JP4328483B2 - 固体電解コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する分野】
本発明は、固体電解コンデンサ及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、固体電解コンデンサは、陽極−誘電体−電解質層−陰極の構成となっており、一般的に陽極として弁作用を有する金属(弁作用金属)の表層に誘電体層として酸化被膜(以下、誘電体層とする)を形成し、その上に半導体層として固体電解質層が形成されると共に陰極としてグラファイト等の陰極体を形成した構造となっている。
ここで、弁作用金属とは、陽極酸化によって厚みの制御可能な酸化被膜を形成させることのできる金属であり、Nb、Al、Ta、Ti、Hf、Zrなどをさすが、現実的にはAl、Taの2つが主に使用されている。
このうち、Alについてはエッチング箔を陽極として使用することが多く、Taは粉末焼結され多孔質体を形成し、それを陽極に用いている。
多孔質焼結体タイプの電解コンデンサは、固体電解コンデンサの中でも特に小型大容量化が可能であるため、携帯電話、情報端末機器などの小型化のニーズにマッチした部品として強い需要がある。
【0003】
以下に、Ta固体電解コンデンサの従来の構造及び製造方法について図面を用いて説明する。
図4は、Ta固体電解コンデンサの従来の構成を示す断面図である。
図4に示すように、Taを用いた従来の固体電解コンデンサ1は、素子リード線11aが埋設されたTa混合粉末を焼結してなる陽極体11の表面に誘電体層12が形成され、固体電解質層として炭素粉末等を含有する導電性高分子層が前記誘電体層12の表面に形成されている。
また、半導体層として形成された前記電解質層13上には、陰極としての機能を有するグラファイトペースト層14と、Agペースト層15とが形成されている。
このようにして、前記陽極体11側の素子リード線11a及び前記Agペースト層15のそれぞれにリードフレーム52が接合され、係るリードフレーム52を露出させる態様で、全体が樹脂51でモールド外装される。
【0004】
次に、Ta固体電解コンデンサの従来の製造方法について図5を用いて説明する。
(1)Ta多孔質体の形成(S1)
(i) Ta粉末調合
プレス成形性を向上させるためにTa粉末にバインダーを添加して混合する。
(ii) プレス・焼結
前記Ta混合粉末の中に陽極の素子リード線を挿入し、円柱状又は直方体状にプ レス成形する。
ついで、そのプレス成形品を高真空中(10−4Pa以下)で,1300〜2000℃に加熱することによって焼結し、Ta多孔質体、すなわち陽極体を形成する。
【0005】
(2)誘電体層形成(S2)
化成処理(S2a)
前記Ta多孔質体を陽極として対向電極とともに燐酸などの電解液中に浸漬し、化成電圧を印加することによってTa多孔質体表面に誘電体となるTa酸化皮膜を形成する(陽極酸化法)。
このとき、化成電圧の条件(V(フォーメーションボルト))により誘電体層(Ta酸化皮膜)の厚さが決まり、コンデンサとしての特性が決定される。
なお、前記電解液は、その濃度を0.6容量%とした燐酸水溶液などが用いられる。
【0006】
(3)電解質層形成(S3)
前段階で形成されたTa多孔質体の酸化皮膜の上に、半導体層として固体電解質層が形成される。(S3a)
固体電解質としては、二酸化マンガンや、ピロール、チオフェン及びその誘導体を重合させた導電性高分子などを用いる。
ここで、例えば固体電解質としてピロール重合体を用いた場合には、表面に誘電体層が形成された陽極体をモノマー溶液を用いて化学重合、電解重合させることによって固体電解質層が形成される。
また、固体電解質層としてマンガンを用いる場合には、表面に誘電体層が形成された陽極体を硝酸マンガン等に浸漬して加熱処理等を順次行うことにより固体電解質層が形成される。
【0007】
(4)再化成工程(S4)
次に、前記固体電解質層の形成工程時、特にマンガンを固体電解質層の成分として選択した場合には、その工程中に行われる熱処理によって前記誘電体層が破壊されている箇所がある。
この誘電体層の破壊箇所を再び修復するために、誘電体層及び固体電解質層が順次形成された陽極体を化成液に再び浸漬する。
【0008】
(5)陰極体形成(S5)
グラファイトペースト層形成(S5a)、Agペースト層形成(S6)
前記固体電解質層の上に陰極体としての機能を有するグラファイト層、さらにAgペースト層を形成する。
(6)リードフレーム接合(S7)、モールド外装(S8)
次に、陽極の素子リード線にリードフレーム陽極部をスポット溶接によって接合し、Agペースト層にリードフレーム陰極部を導電性接着剤によって接合する。
最後に全体を樹脂でモールド外装し、図4に示すような構造のTa固体電解コンデンサが完成する。
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来の固体電解コンデンサにおいては、前記電解質層には多数の空隙が存在し、この空隙には、前記電解質層上に形成される陰極層の形成物質である導電性の粒子が入り込んでいる。
このような現象が顕著であると、固体電解コンデンサ自体のESR(等価直列抵抗)を低下させるといった利点に加え、高周波でも容量を出すことができるという点で有利な効果をもたらす。
しかしながら、電解質層の空隙に入り込んだ陰極体を形成する物質(導電性物質)が、誘電体層上の欠陥部に達すると、その部分に電界が集中し、発熱し、誘電体層の結晶化が起こり、誘電体層の絶縁破壊が生じやすくなる。
ここで、前記誘電体層上の欠陥部分とは、一般には、当初予定していた誘電体層の厚さとは著しく厚さの異なる領域を指し、現在の固体電解コンデンサの製法においては、生じざるを得ない部分である。
【0010】
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、陰極体を構成する粒子が電解質層に浸透することを妨げることなく、誘電体層上に生じた欠陥部に前記陰極体を構成する粒子が付着することによって起こる絶縁破壊を未然に防ぐことで漏れ電流の低減を実現し、良好な固体電解コンデンサ及びその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前記課題を解決するために提供する本願第一の発明に係る固体電解コンデンサは、素子リード線を埋設し、弁作用金属粉末を焼結してなる陽極体の表面上に化成処理によって誘電体層が形成され、係る誘電体層上に形成された電解質層上に陰極体が形成され、その陰極体上に銀ペースト層が形成され、前記素子リード線及び前記銀ペースト層のそれぞれに外部端子が接続され、係る外部端子を露出させる態様で樹脂封止を施してなり、前記電解質層内には前記陰極体を構成する粒子が含有された固体電解コンデンサにおいて、前記陽極体の表面上に化成処理によって前記誘電体層が形成された後に、導電性高分子からなる前記電解質層を形成し、前記誘電体層を修復する再化成処理を行った後の化成体を非導電性のコロイド粒子を分散したコロイド溶液に浸漬し、乾燥することによって前記誘電体層と前記電解質層との間に大きさの平均が、前記陰極体を形成する粒子の大きさの平均よりも小である非導電性の粒子を介在せしめてなることを特徴とする
【0012】
係る構成とすることにより、モールド実装及びはんだ実装における熱膨張や熱収縮等で、陰極体を形成し、電解質層に存在する導電性の粒子が誘電体層に必要以上に接触し、電界集中が生じるのを防ぐことができる。
従って、誘電体層の絶縁破壊によるショート不良を未然に防止し、製品の歩留まりを向上させることができる。
【0013】
前記課題を解決するために提供する本願第二の発明に係る固体電解コンデンサは、請求項1に記載の固体電解コンデンサにおいて、前記非導電性の粒子が前記誘電体層上の凹部をなす領域に配置されたことを特徴とする。
【0014】
係る構成とすることにより、不均一な厚さで形成された誘電体層上の領域に生じる深刻な電界集中を防ぐことができる。
前記不均一な厚さ、とは特に▲1▼Ta中への不純物混入や、▲2▼化成工程における電流の不均一や、▲3▼外部からの機械的ストレス等、止むを得ない事情で部分的に薄くなった部分である。
このような領域は、予定通りの厚さで形成された領域よりも電界集中が生じやすく、この領域の電界集中を未然に防ぐことによって、製品の歩留まりを向上させることができる。
【0015】
前記課題を解決するために提供する本願第三の発明に係る固体電解コンデンサは、請求項1に記載の固体電解コンデンサにおいて、前記非導電性の粒子は、前記電解質層及び誘電体層の界面と陽極体表面との距離が前記誘電体層の厚さの平均よりも小となる連続的な領域に配置されたことを特徴とする。
【0016】
係る構成とすることにより、不均一な厚さで形成された誘電体層上の領域に生じる深刻な電界集中を防ぐことができる。
【0017】
前記課題を解決するために提供する本願第四の発明に係る固体電解コンデンサは、請求項2又は請求項3の何れか一に記載の固体電解コンデンサにおいて、前記非導電性の粒子は、前記誘電体層の表面上と陰極体を形成する粒子との間に存在することを特徴とする。
【0018】
係る構成とすることにより、誘電体層表面上の不完全な領域に導電性の粒子(陰極体を構成する粒子)が直接付着することを防止し、誘電体層の絶縁破壊を防ぎ、製品の歩留まりを向上させる。
【0020】
係る構成とすることにより、非導電性の粒子を効率よく誘電体層上に付着させることができる。
【0021】
前記課題を解決するために提供する本願第の発明に係る固体電解コンデンサの製造方法は、素子リード線を埋設し、弁作用金属粉末を焼結して陽極体を形成する工程と、その陽極体の表面上に誘電体層を形成する化成処理工程と、前記誘電体層上に導電性高分子からなる電解質層を形成する工程と、前記陽極体の表面上の前記誘電体層を修復する再化成処理工程と、その再化成処理工程後の化成体を非導電性のコロイド粒子を分散したコロイド溶液に浸漬し、乾燥して前記誘電体層と前記電解質層との間に非導電性の粒子を介在せしめる工程と、前記電解質層上に陰極体及び銀ペースト層を形成して、前記素子リード線及び前記銀ペースト層のそれぞれに外部端子を接続し、係る外部端子を露出させる態様で樹脂封止を施す工程とよりなることを特徴とする。
【0022】
係る方法を採用することにより、モールド実装及びはんだ実装における熱膨張や熱収縮等で、陰極体を形成し、電解質層に存在する導電性の粒子が誘電体層に必要以上に接触し、電界集中が生じるのを防ぐことができる。
従って、誘電体層の絶縁破壊によるショート不良を未然に防止し、製品の歩留まりを向上させることができる。
【0023】
前記課題を解決するために提供する本願第の発明に係る固体電解コンデンサの製造方法は、素子リード線を埋設し、弁作用金属粉末を焼結して陽極体を形成する工程と、その陽極体の表面上に誘電体層を形成する化成処理工程と、前記誘電体層上に導電性高分子からなる電解質層を形成する工程と、前記陽極体の表面上の前記誘電体層を修復する再化成処理工程と、その再化成処理工程後の化成体を非導電性のコロイド粒子を分散したコロイド溶液に浸漬し、乾燥して誘電体層表面上の凹部をなす領域上に前記コロイド粒子を存在させる工程と、前記電解質層上に陰極体及び銀ペースト層を形成して、前記素子リード線及び前記銀ペースト層のそれぞれに外部端子を接続し、係る外部端子を露出させる態様で樹脂封止を施す工程とよりなることを特徴とする。
【0024】
係る方法を採用することにより、不均一な厚さで形成された誘電体層上に生じる深刻な電界集中を防ぐことができる。
【0025】
前記課題を解決するために提供する本願第の発明に係る固体電解コンデンサの製造方法は、素子リード線を埋設し、弁作用金属粉末を焼結して陽極体を形成する工程と、その陽極体の表面上に誘電体層を形成する化成処理工程と、前記誘電体層上に導電性高分子からなる電解質層を形成する工程と、前記陽極体の表面上の前記誘電体層を修復する再化成処理工程と、その再化成処理工程後の化成体を非導電性のコロイド粒子を分散したコロイド溶液に減圧下で浸漬し、乾燥して前記電解質層及び誘電体層の界面と陽極体表面との距離が前記誘電体層の厚さの平均よりも小となる誘電体層表面上の領域に前記コロイド粒子を存在させる工程と、前記電解質層上に陰極体及び銀ペースト層を形成して、前記素子リード線及び前記銀ペースト層のそれぞれに外部端子を接続し、係る外部端子を露出させる態様で樹脂封止を施す工程とよりなることを特徴とする。
【0026】
係る方法を採用することにより、不均一な厚さで形成された誘電体層上に生じる深刻な電界集中を防ぐことができる。
【0027】
前記課題を解決するために提供する本願第の発明に係る固体電解コンデンサの製造方法は、請求項5乃至請求項7の何れか一に記載の固体電解コンデンサの製造方法において、前記非導電性の粒子の大きさの平均は、前記陰極体を形成する粒子の大きさの平均よりも小であることを特徴とする。
【0028】
係る方法を採用することにより、非導電性の粒子を効率よく誘電体層上に付着させることができる
【発明の実施の形態】
【0029】
以下に、本発明に係る固体電解コンデンサ及びその製造方法の一実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明に係る固体電解コンデンサの一実施の形態における構成を示す模式断面図である。
図1に示すように、本発明に係る固体電解コンデンサ1は、コンデンサ素子10と、そのコンデンサ素子10の陽極部を構成する素子リード線11a及び陰極部を構成するAgペースト層15のそれぞれが直接的又は間接的にリードフレーム52に接合され、モールド樹脂51によって封止されてなる。
コンデンサ素子10は、Taよりなる素子リード線11aが埋設されたTa混合粉末を焼結してなる陽極体11の表面に誘電体層12が形成され、その誘電体層12の表面に電解質層13及び陰極体14が形成されてなる。
この電解質層13は、誘電体層12の表面に形成される導電性高分子131からなる。
また、電解質層13を包むように、陰極体14としてグラファイトペースト層14が形成され、Agペースト層15が陰極体14上に形成されている。
なお、陰極端子側のリードフレーム52とAgペースト層15とは導電性接着剤53によって接合されている。
【0030】
ここで、本発明に係る固体電解コンデンサの構造、特にコンデンサ素子10の構造について、図2を参照して以下に説明する。
図2は、本発明に係る固体電解コンデンサにおけるコンデンサ素子の模式断面図である。
図2に示すように、本発明に係る固体電解質コンデンサのコンデンサ素子10は、表面及び内部に多数の凹凸部を有する焼結体である陽極体11と、その陽極体11の表面に形成された誘電体層12と、係る誘電体層12の表面上に形成された電解質層13と、これらを包むように形成された陰極体14(グラファイトペースト層141)と、Agペースト層15とからなる。
この電解質層13は、誘電体層12の表面及び電解質層13の空隙部に充填されるように形成された導電性高分子131からなるものである。
ここで、導電性高分子131のさらなる導電性向上を目的としてSnO、ZnOの粉末、それらを被覆した無機粒子(TiO、BaSOなど)、カーボンブラック、黒鉛、カーボン繊維などのカーボン系導電性フィラーなどを添加することも可能である。
上記添加剤の含有量は特に限定しないが、導電性高分子100重量部に対して4000重量部以下の割合であることが望ましい。4000重量部を越える場合には導電層の粘度が上がり、塗布ムラの原因となる恐れがある。
また、電解質層13には、多数の空隙部が形成されており、この空隙部内にグラファイト粒子等導電性の粒子が適正量存在することで、電解質層13が半導体層としての機能をなすと共に、ESRを低下させる働きがある。
ここで、本発明に係る固体電解コンデンサにおいては、誘電体層12の表面(電解質層13形成側の面)が凹部を形成している領域(121)、すなわち誘電体層12の平均厚さよりも著しく小の領域に非導電性粒子100aを介してグラファイト粒子141aが付着している。
これは、電解質層13内に存在するグラファイト粒子141のうち、誘電体層12の表面側で、凹部121内に存在するグラファイト粒子141aが誘電体層12に接触することを防ぐための構成であり、このように非導電性粒子100aがグラファイト粒子141aと誘電体層12との接触を妨げることによって、凹部121における電界集中を防ぐことができる。
さらに、非導電性粒子100aの大きさは、電解質層13内のグラファイト粒子141aが誘電体層12に接触することを可能な限り防止するために、非導電性粒子100aの大きさ<グラファイト粒子141aの大きさとする。
【0031】
次に、本発明に係る固体電解コンデンサの一実施の形態における製造方法について図面を参照して以下に説明する。
ここで、本発明に係る固体電解コンデンサ及びその製造方法の実施の形態に記載された溶液の濃度表記は特別な記載がない限り容量%を意味するものとする。図3は、本発明に係る固体電解コンデンサの一実施の形態における製造方法を示すフローチャートである。
図3に示すように、まず、
(1)Ta多孔質体(陽極体)の形成(S101)
▲1▼Ta粉末調合
プレス成形性を向上させるためにTa粉末にバインダーを添加して混合する。
▲2▼プレス・焼結
前記Ta混合粉末の中に陽極の素子リード線を挿入し、円柱状及び直方体状にプレス成形する。
ついで、そのプレス成形品を高真空中(10−4Pa以下)で,1400〜2000℃に加熱することによって焼結し、Ta多孔質体(陽極体)を形成する。
【0032】
(2)誘電体層形成(S102)
(化成処理(S102a))
前記Ta多孔質体を陽極として対向電極とともに燐酸などの電解水溶液中に浸漬し、化成電圧を印加することによってTa多孔質体表面に誘電体層となるTa酸化皮膜を形成する(陽極酸化法)。
このとき、化成電圧の条件(V(フォーメーションボルト))によりTa酸化皮膜の厚さが決まり、コンデンサとしての特性が決定される。なお、電解液としては、その濃度を0.6%とした燐酸水溶液などが用いられる。
また、このようにして表面に誘電体層が形成された陽極体を化成体として、以下に説明を続ける。
【0033】
(3)電解質層形成(S103)
本願発明における電解質層は導電性高分子からなる。
・導電性高分子層形成(S103a)
本願発明における半導体層として機能する主要な要素である電解質層の形成には、導電性高分子が用いられる。
この導電性高分子材料としては、ピロール、チオフェン及びその誘導体を重合させた導電性高分子などが用いられる。
従って、この電解質層の形成は、前記誘電体層の形成後に、酸化剤に浸漬し、乾燥した後、モノマー溶液に浸漬することによってなされる。
【0034】
(4)再化成工程(S104)
次に、前記誘電体の修復を目的として前記化成処理(S102a)を再び行う。
【0035】
(5)非導電性粒子配置工程(S105)
非導電性の粒子を誘電体層上に(配置)付着させる方法としては、まず、非導電性の粒子を予めコロイド粒子として用意し、溶媒に分散させてコロイド溶液を作成する。
このとき、コロイド溶液の所要は、0.1重量%〜5重量%のシリカ水溶液とした。
このようにして作成されたコロイド溶液に再化成工程まで施した化成体を浸漬する。
その後、浸漬された化成体を100℃〜150℃で乾燥、すなわち、溶媒に分散された非導電性の粒子を電解質層の空隙部等及び前記凹部の細部に入り込ませ、溶媒を気化させる。
【0036】
(6)陰極体形成(S106)
グラファイト層形成(S106a)
そして、前記電解質層13を包むように、グラファイトからなる陰極体を形成する。
【0037】
(7)Agペースト層形成(S107)
その後、前記陰極体と陰極端子との接合を良好にするために前記陰極体の上にAgペースト層を形成する。
【0038】
(8)リードフレーム接合(S108)
次に、陽極の素子リード線にリードフレーム陽極部をスポット溶接によって接合し、Agペースト層にリードフレーム陰極部を導電性接着剤によって接合する。
【0039】
(9)モールド外装(S109)
最後に全体を樹脂でモールド外装し、図1に示すような構成のTa固体電解コンデンサが完成する。
【0040】
(実施例)
このようにして製造される本発明に係る固体電解コンデンサの製造工程中のLC不良率及び実装後のLC不良率のそれぞれについて、従来の製造方法によって得られた固体電解コンデンサと比較した結果を表1に示す。
ここで、本発明に使用したコロイド粒子(非導電性粒子)の平均の大きさ(径)は陰極体を形成する導電性粒子(グラファイト粒子)の平均の大きさ(径)を5.0×10−6m〜2.0×10−5mとし、電解質層の空隙の平均の大きさ(径)を1.0×10−6m〜1.0×10−4mとしたとき、1.0×10−9m〜1.0×10−7mとしたものである。
【表1】
Figure 0004328483
表1に示されるように、非導電性粒子を誘電体層上の凹部(一般には欠陥部とも呼ばれる)に、導電性の粒子の付着を遮断するように付着させることによって、工程中及び実装後におけるLC不良率が格段に低下することが分かる。
【発明の効果】
【0041】
以上説明したように、本発明に係る固体電解コンデンサ及びその製造方法によれば、非導電性の粒子が誘電体層と電解質層との間、特に前記誘電体層上の欠陥部と前記電解質との間に所定の密度で介在していることにより、陰極体を形成している導電性粒子が前記欠陥部に付着することを防ぐことができる。
すなわち、前記導電性粒子等の導電性物質が前記欠陥部に直接付着することによって引き起こされる電界集中を未然に防ぎ、結果として誘電体層の絶縁破壊を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る固体電解コンデンサの一実施の形態における構成を示す模式断面図である。
【図2】本発明に係る固体電解コンデンサの一実施の形態における構造を示す模式断面図である。
【図3】本発明に係る固体電解コンデンサの製造方法の一実施の形態を示すフローチャートである。
【図4】従来における固体電解コンデンサの構造を示す断面図である。
【図5】従来における固体電解コンデンサの製造方法を示すフローチャートである。

Claims (8)

  1. 素子リード線を埋設し、弁作用金属粉末を焼結してなる陽極体の表面上に化成処理によって誘電体層が形成され、係る誘電体層上に形成された電解質層上に陰極体が形成され、その陰極体上に銀ペースト層が形成され、前記素子リード線及び前記銀ペースト層のそれぞれに外部端子が接続され、係る外部端子を露出させる態様で樹脂封止を施してなり、前記電解質層内には前記陰極体を構成する粒子が含有された固体電解コンデンサにおいて、前記陽極体の表面上に化成処理によって前記誘電体層が形成された後に、導電性高分子からなる前記電解質層を形成し、前記誘電体層を修復する再化成処理を行った後の化成体を非導電性のコロイド粒子を分散したコロイド溶液に浸漬し、乾燥することによって前記誘電体層と前記電解質層との間に大きさの平均が、前記陰極体を形成する粒子の大きさの平均よりも小である非導電性の粒子を介在せしめてなることを特徴とする固体電解コンデンサ。
  2. 前記非導電性の粒子が前記誘電体層上の凹部をなす領域に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  3. 前記非導電性の粒子は、前記電解質層及び前記誘電体層の界面と前記陽極体表面との距離が前記誘電体層の厚さの平均よりも小となる連続的な領域に配置されたことを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  4. 前記非導電性の粒子は、前記誘電体層の表面上と前記陰極体を形成する粒子との間に存在することを特徴とする請求項2又は請求項3の何れか一に記載の固体電解コンデンサ。
  5. 素子リード線を埋設し、弁作用金属粉末を焼結して陽極体を形成する工程と、その陽極体の表面上に誘電体層を形成する化成処理工程と、前記誘電体層上に導電性高分子からなる電解質層を形成する工程と、前記陽極体の表面上の前記誘電体層を修復する再化成処理工程と、その再化成処理工程後の化成体を非導電性のコロイド粒子を分散したコロイド溶液に浸漬し、乾燥して前記誘電体層と前記電解質層との間に非導電性の粒子を介在せしめる工程と、前記電解質層上に陰極体及び銀ペースト層を形成して、前記素子リード線及び前記銀ペースト層のそれぞれに外部端子を接続し、係る外部端子を露出させる態様で樹脂封止を施す工程とよりなることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  6. 素子リード線を埋設し、弁作用金属粉末を焼結して陽極体を形成する工程と、その陽極体の表面上に誘電体層を形成する化成処理工程と、前記誘電体層上に導電性高分子からなる電解質層を形成する工程と、前記陽極体の表面上の前記誘電体層を修復する再化成処理工程と、その再化成処理工程後の化成体を非導電性のコロイド粒子を分散したコロイド溶液に浸漬し、乾燥して誘電体層表面上の凹部をなす領域上に前記コロイド粒子を存在させる工程と、前記電解質層上に陰極体及び銀ペースト層を形成して、前記素子リード線及び前記銀ペースト層のそれぞれに外部端子を接続し、係る外部端子を露出させる態様で樹脂封止を施す工程とよりなることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  7. 素子リード線を埋設し、弁作用金属粉末を焼結して陽極体を形成する工程と、その陽極体の表面上に誘電体層を形成する化成処理工程と、前記誘電体層上に導電性高分子からなる電解質層を形成する工程と、前記陽極体の表面上の前記誘電体層を修復する再化成処理工程と、その再化成処理工程後の化成体を非導電性のコロイド粒子を分散したコロイド溶液に減圧下で浸漬し、乾燥して前記電解質層及び誘電体層の界面と陽極体表面との距離が前記誘電体層の厚さの平均よりも小となる誘電体層表面上の領域に前記コロイド粒子を存在させる工程と、前記電解質層上に陰極体及び銀ペースト層を形成して、前記素子リード線及び前記銀ペースト層のそれぞれに外部端子を接続し、係る外部端子を露出させる態様で樹脂封止を施す工程とよりなることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  8. 前記非導電性の粒子の大きさの平均は、前記陰極体を形成する粒子の大きさの平均よりも小であることを特徴とする請求項5乃至請求項7の何れか一に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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