JP6467625B2 - 固体電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、固体電解コンデンサおよびその製造方法に関し、特に誘電体層上に形成された導電性高分子層を具備する固体電解コンデンサに関する。
近年、電子機器の小型化及び軽量化に伴って、小型かつ大容量の高周波用コンデンサが求められている。このようなコンデンサとして、等価直列抵抗(ESR)が小さく、周波数特性に優れている固体電解コンデンサの開発が進められている。固体電解コンデンサは、タンタル、ニオブ、チタン、アルミニウムなどの弁作用金属により形成された陽極と、陽極の表面に形成された誘電体層と、誘電体層の表面に形成された固体電解質層とを具備する。
また、誘電体層の表面に、固体電解質層として、導電性高分子層を形成することが提案されている(例えば、特許文献1、2)。導電性高分子層は、陽極と陰極との間に過剰な漏れ電流が流れた場合に、局所的に発生するジュール熱により、所要箇所が絶縁化(高抵抗化)することが知られている。これにより、漏れ電流が抑制されることから、このような導電性高分子層の機能は、自己修復機能とも称される。
特開2000−68152号公報 特開2005−281410号公報
しかしながら、固体電解質層として導電性高分子層を具備する固体電解コンデンサにおいても、漏れ電流を抑制することができず、自己修復機能が十分に発揮されない場合がある。例えば、誘電体層と導電性高分子層との界面に剥離が生じると、導電性高分子層の所要箇所に十分な電流が流れず、ジュール熱の発生が不十分となり、導電性高分子層の絶縁化が進行しにくくなる。
上記に鑑み、本発明は、固体電解質層として導電性高分子層を具備する固体電解コンデンサにおいて、陽極と陰極との間の漏れ電流を低減する、自己修復機能を高めることを目的とする。
本発明の一局面は、陽極と、前記陽極上に形成された誘電体層と、前記誘電体層上に形成された導電性高分子層と、を備え、前記誘電体層の表面に点在するカップリング粒子を有し、前記導電性高分子層は、前記カップリング粒子を覆うと共に、前記誘電体層と接触している、固体電解コンデンサに関する。好ましい形態では、前記陽極は、弁作用金属又は弁作用金属を含む合金の粒子の結合体からなり、前記粒子同士の粒界を覆う前記誘電体層の括れ部において、前記カップリング粒子が複数凝集して二次粒子を形成している。
カップリング粒子は、誘電体層と導電性高分子層との密着性を向上させるとともに、導電性高分子層を局所的に流れる漏れ電流の電流密度を増大させる作用を有する。従って、ジュール熱の発生による導電性高分子層の絶縁化が進行しやすく、自己修復機能が発揮されやすい。また、結合体を構成する粒子同士の粒界を覆う誘電体層の括れ部に、カップリング粒子の二次粒子を形成することにより、機械的なストレスにより欠陥が生じ易い括れ部における誘電体層と導電性高分子層との密着性を向上させる効果が大きくなる。よって、欠陥が生じ易い括れ部における自己修復機能を選択的に高めることができる。
カップリング粒子は、誘電体層と化学結合していることが好ましい。また、カップリング粒子は、導電性高分子層と電気的相互作用により結合していることが好ましい。これにより、誘電体層と導電性高分子層との密着性を向上させる効果が大きくなる。
カップリング粒子は、誘電体層と結合可能であり、かつ導電性高分子層により覆うことが可能な粒子であればよいが、ナノ粒子であることが好ましい。ナノ粒子は、多孔質体からなる陽極の細孔に侵入しやすく、陽極の表面に分散して均質に点在しやすい。
カップリング粒子としては、例えば、酸化チタンを用いることが好ましい。酸化チタンの粒子は、安価で、入手し易く、化学的安定性に優れている。
本発明の他の一局面は、陽極上に誘電体層を形成する工程と、前記誘電体層の表面に、カップリング粒子が分散した分散液を塗布することにより、前記誘電体層の表面に前記カップリング粒子を点在させる工程と、前記カップリング粒子が点在する前記誘電体層の表面に導電性高分子を付与して、導電性高分子層を形成する工程と、を有する、固体電解コンデンサの製造方法に関する。前記誘電体層の表面にカップリング粒子が分散した分散液を塗布する工程は、減圧雰囲気中で行うことが望ましい。
上記製造方法によれば、誘電体層の表面にカップリング粒子が点在し、かつ導電性高分子層が、カップリング粒子を覆うと共に、誘電体層と接触している状態を、容易に得ることができる。また、誘電体層の表面にカップリング粒子が分散した分散液を塗布する工程を減圧雰囲気中で行うことにより、弁作用金属又は弁作用金属を含む合金の粒子同士の粒界を覆う誘電体層の括れ部で、複数のカップリング粒子を凝集させることが容易となる。よって、括れ部にカップリング粒子の二次粒子が形成され易い。
カップリング粒子が分散した分散液中において、カップリング粒子は、電荷を帯びていることが好ましい。カップリング粒子が電荷を帯びることにより、分散液中でのカップリング粒子の分散性が向上し、誘電体層の表面に点在しやすくなる。
本発明によれば、陽極と陰極との間の漏れ電流を低減する、自己修復機能に優れた固体電解コンデンサを得ることができる。
本発明の一実施形態に係る固体電解コンデンサの断面模式図である。 図1の実線αで囲まれた領域の拡大図である。 本発明の他の実施形態に係る固体電解コンデンサの要部の断面模式図である。 本発明の実施例に係るカップリング粒子を点在させた誘電体層を有する陽極のSEM写真を示す図である。 本発明の実施例に係る第1導電性高分子層が形成された陽極のSEM写真を示す図である。 本発明の比較例に係る誘電体層を有する陽極のSEM写真を示す図である。 本発明の比較例に係る第1導電性高分子層が形成された陽極のSEM写真を示す図である。
第1実施形態
以下、図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態に係る固体電解コンデンサ20の断面模式図である。図2は、図1の実線αで囲まれた領域の拡大図である。
固体電解コンデンサ20は、ほぼ直方体の外形を有するコンデンサ素子10と、コンデンサ素子10を封止する樹脂外装体11と、樹脂外装体11の外部にそれぞれ露出する陽極端子7および陰極端子9と、を備えている。固体電解コンデンサ20は、コンデンサ素子10と同じく、ほぼ直方体の外形を有する。
コンデンサ素子10は、ほぼ直方体の陽極1と、第一端部2aが陽極1に埋設され、第二端部2bが陽極1から引き出された陽極リード2と、陽極1の表面を覆う誘電体層3と、誘電体層3の表面を覆う導電性高分子層4と、導電性高分子層4の表面を覆う陰極層5と、を有している。図示例の陰極層5は、2層構造であり、導電性高分子層4と接触するカーボン層5aと、カーボン層5aの表面を覆う銀ペースト層5bと、を有している。
陽極リード2の第二端部2bは、樹脂外装体11で封止されている陽極端子7の第一端部7aと、溶接等により電気的に接続されている。一方、陰極層5は、樹脂外装体11で封止されている陰極端子9の第一端部9aと、導電性接着材8(例えば熱硬化性樹脂と金属粒子との混合物)を介して、電気的に接続されている。陽極端子7の第二端部7bおよび陰極端子9の第二端部9bは、それぞれ樹脂外装体11の異なる側面から引き出され、一方の主要平坦面(図1では下面)まで露出状態で延在している。この平坦面における各端子の露出箇所は、固体電解コンデンサ20を搭載すべき基板(図示せず)との半田接続等に用いられる。
陽極1は、導電性を有する多孔質体から構成されている。陽極リード2は、例えば導電性を有するワイヤから構成されている。陽極1は、例えば、陽極リード2の第一端部2aを弁作用金属又は弁作用金属を含む合金の粒子に埋め込み、その状態で金属粒子を直方体に成形し、成形体を焼結させることにより作製される。すなわち、陽極1は、弁作用金属又は弁作用金属を含む合金の粒子の結合体(焼結体)である。これにより、陽極1の外周面から、陽極リード2の第二端部2bが植立するように引き出される。本実施形態においては、陽極1は弁作用金属の粒子の多孔質体である。
上記のように、陽極1は、弁作用金属の粒子の結合体であるため、結合体には粒子同士の粒界が多数存在する。また、結合体は、粒子形状を反映した括れ部(ネック)を有する。
陽極1および陽極リード2を構成する導電性材料には、同種または異種の材料が用いられる。導電性材料としては、弁作用金属であるチタン(Ti)、タンタル(Ta)、アルミニウム(Al)、ニオブ(Nb)等が用いられる。これらの金属は、その酸化物も含め、誘電率が高いため、陽極1の構成材料として適している。なお、導電性材料は、2種以上の金属からなる合金であってもよい。例えば、弁作用金属と、ケイ素、バナジウム、ホウ素等とを含む合金を用いることができる。また、弁作用金属と窒素等の典型元素とを含む化合物を用いてもよい。尚、本実施形態において、弁作用金属の合金は、弁作用金属を主成分とし、弁作用金属を50原子%以上含むことが好ましい。また、陽極1および陽極リード2は、互いに異なる導電性材料により構成してもよい。
誘電体層3は、陽極1を構成する導電性材料の表面に形成されている。具体的には、誘電体層3は、陽極1を構成する導電性材料の表面を酸化することにより、酸化被膜として形成することができる。従って、誘電体層3は、図2に示すように、陽極1を構成する多孔質体の表面(細孔の内壁面を含む)に沿って均一に形成されている。これにより、粒子同士の粒界を覆う誘電体層にも、括れ部が形成される。
導電性高分子層4は、誘電体層3の表面を覆うように形成されている。具体的には、導電性高分子層4は、陽極1を構成する多孔質体の表面に沿って形成された誘電体層3の表面に形成されている。
本実施形態においては、導電性高分子層4は、誘電体層3と接触する第1導電性高分子層4aと、第1導電性高分子層4aの表面を覆う第2導電性高分子層4bと、を有している。第2導電性高分子層4bは、例えば、第1導電性高分子層4aを構成する高分子に連続するように、同種または別種の高分子を電解重合させることにより形成される。
ここで、誘電体層3の表面には、複数のカップリング粒子15が点在するように設けられている。即ち、カップリング粒子15は、誘電体層3の表面の一部だけを覆っている。そして、カップリング粒子15と、カップリング粒子15により覆われない誘電体層3の出面とが、いずれも第1導電性高分子層4aにより覆われている。従って、誘電体層3の表面は、第1導電性高分子層4aと接触している。本実施形態においては、誘電体層3の表面をカップリング粒子15が覆う被覆率は、5〜30%程度であり、カップリング粒子15から露出した誘電体層3の表面に第1導電性高分子層4aが形成されている。
陰極層5は、第2導電性高分子層4bの表面を覆うように形成されている。具体的には、陰極層5は、第2導電性高分子層4bの表面に形成されたカーボン層5aと、カーボン層5aの表面に形成された銀ペースト層5bと、を有している。
斯くして、陽極1および陽極リード2により、コンデンサ素子10の陽極部材が構成され、導電性高分子層4および陰極層5により、コンデンサ素子10の陰極部材が構成され、誘電体層3により、コンデンサ素子10の誘電体部材が構成されている。
次に、誘電体層3と導電性高分子層4との界面について、より詳細に説明する。
図2に示すように、誘電体層3と導電性高分子層4との界面には、複数のカップリング粒子15が点在している。カップリング粒子15は、誘電体層3および導電性高分子層4の両者と相互作用することにより、両者の結合を補強する、カップリング作用を有する。
カップリング粒子15によるカップリング作用は、カップリング粒子15と誘電体層3または導電性高分子層4との間の化学結合、双極子−双極子相互作用、ファンデルワールス力などに基づいている。カップリング作用の発現により、誘電体層3と導電性高分子層4との密着性の向上だけでなく、界面付近の導電性高分子層4の緻密化、導電性高分子層4の導電性の向上、などの効果を得ることもできる。
誘電体層3の表面には、多数の水酸基(−OH)が存在する。従って、カップリング粒子15は、誘電体層の表面水酸基と、共有結合、水素結合などの化学結合を形成可能な部分(化学結合部分)を有していることが好ましい。また、カップリング粒子15は、導電性高分子層4を構成する導電性高分子と電気的相互作用により結合する部分(電気的結合部分)を有していることが好ましい。電気的結合部分は、静電相互作用を発現し得る部分であればよい。
上記結合部分を有する粒子としては、電荷を有する金属酸化物粒子が好ましく、特に、周期表の第三周期または第四周期に位置する金属の酸化物が好ましい。中でも3価以上の酸化数を取り得る金属の酸化物が安定で好ましく、酸化チタン(TiO2)、酸化ケイ素(SiO2)、酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化亜鉛(ZnO)、酸化アルミニウム(Al23)、各種ケイ酸塩(例えばアルミノ珪酸塩)などを用いることができる。このような金属酸化物粒子は、その表面に水酸基を有するため、誘電体層3の表面水酸基と、例えば脱水反応により、化学結合を形成する。これらのうちでも、酸化チタンは、カップリング粒子として好適である。酸化チタンの粒子は、安価で、入手し易く、耐酸性や耐アルカリ性に優れ、化学的に安定である。
カップリング粒子15は、導電性を有さず、高い絶縁性を有することが好ましい。これにより、漏れ電流が発生した際には、カップリング粒子15とカップリング粒子15との間に介在する導電性高分子に流れる電流密度が高められる。よって、漏れ電流が流れたときに、所要箇所にジュール熱が発生しやすくなり、導電性高分子層4の絶縁化による自己修復機能を高めることができる。
カップリング粒子15の粒径範囲は、例えば1nm〜1000nmが好ましい。このような粒径範囲であれば、カップリング粒子15が、多孔質体からなる陽極1の細孔内に侵入しやすく、細孔の内壁面にもカップリング粒子15を配置しやすい。なお、陽極1の細孔径分布における平均細孔径は、例えば0.1μm〜10μmであり、誘電体層3の厚さは、例えば10nm〜200nmである。また、導電性高分子層4の厚さは、例えば1μm〜50μmである。
カップリング粒子15は、ナノ粒子であることが更に好ましい。ここで、ナノ粒子とは、粒径範囲が1nm〜40nm、好ましくは1nm〜10nmの粒子を意味する。ナノ粒子は、多孔質体の細孔の内壁やエッチングピットの内壁に効率よく配置される。よって、誘電体層3と導電性高分子層4との密着性を向上させる効果が大きくなる。また、ナノ粒子は、電荷を帯び易いことから、導電性高分子層4との電気的相互作用も良好となる。
カップリング粒子15の粒径の測定方法としては、走査型顕微鏡(SEM)による測定や、液体にカップリング粒子15を分散させた分散液に対して、光子相関法、レーザー回折・散乱法、超音波減衰法を適用して測定することができる。なお、カップリング粒子15の体積粒度分布におけるメディアン径(平均値)は、20nm以下であることが好ましく、10nm以下もしくは5nm以下であることが更に好ましい。
カップリング粒子15は、誘電体層3の表面に点在していることが好ましいが、部分的に凝集していてもよい。例えば、多孔質体の最外表面から離れた内部(陽極リード2寄りの位置)に存在する細孔の内壁面に、その細孔が埋まらないようにカップリング粒子15を部分的に凝集させることが好ましい。これにより、多孔質体の内部の細孔内にまで導電性高分子を導くことができ、誘電体層3と導電性高分子層4との密着性が高められる。
カップリング粒子15による誘電体層3の被覆率は、上記のように、5〜30%であることが好ましい。このような被覆率であれば、カップリング粒子15と誘電体層3または高分子電解質層4との相互作用が発現しやすく、かつ優れた高周波特性を阻害することもない。カップリング粒子15が、誘電体層3の表面を全面的に覆ってしまうと、カップリング作用が得られず、かつ固体電解コンデンサの静電容量も低下する。
第1導電性高分子層4aは、カップリング粒子15を点在させた誘電体層3に、第1導電性高分子の溶液または分散液を塗布し、その後、乾燥させることにより形成することができる。誘電体層3に第1導電性高分子の溶液または分散液を塗布する方法は、特に限定されない。例えば、カップリング粒子15を点在させた誘電体層3を有する陽極1を、第1導電性高分子の溶液または分散液に浸漬すればよい。これにより、図2に示すように、第1導電性高分子は、多孔質体である陽極1を構成する弁作用金属の粒子の隙間に侵入し、カップリング粒子15とともに誘電体層3の表面を覆い、第1導電性高分子層4aが形成される。第1導電性高分子層4aは、第2導電性高分子層4bを電解重合により形成するためのプレコート層である。
第1導電性高分子の溶液または分散液には、導電性高分子の導電性を向上させるために、様々なドーパントを添加してもよい。ドーパントは、特に限定されないが、1,5−ナフタレンジスルホン酸、1,6−ナフタレンジスルホン酸、1−オクタンスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、2,6−ナフタレンジスルホン酸、2,7−ナフタレンジスルホン酸、2−メチル−5−イソプロピルベンゼンスルホン酸、4−オクチルベンゼンスルホン酸、4−ニトロトルエン−2−スルホン酸、m−ニトロベンゼンスルホン酸、n−オクチルスルホン酸、n−ブタンスルホン酸、n−ヘキサンスルホン酸、o−ニトロベンゼンスルホン酸、p−エチルベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ハイドロオキシベンゼンスルホン酸、ブチルナフタレンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ポリビニルスルホン酸、メタンスルホン酸などが挙げられる。また、その誘導体としては、リチウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩などの金属塩、メチルアンモニウム塩、ジメチルアンモニウム塩、トリメチルアンモニウム塩などのアンモニウム塩、ピペリジウム塩、ピロリジウム塩、ピロリニウム塩などが挙げられる。
第1導電性高分子層4aに用いる第1導電性高分子としては、溶媒に対する溶解性や導電性に優れる点で、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリフルオレン、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルフェノール、ポリフェニレン、ポリピリジン、これらの高分子の誘導体や共重合体などが挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、溶媒に対する溶解性や導電性に優れる点で、ポリアニリンが好ましい。
なお、導電性高分子を化学的な重合により形成する場合、重合開始剤として、硫酸や過酸化水素水を用いることがある。しかし、第1導電性高分子の溶液または分散液にこれらの重合開始剤を含ませると、硫酸や過酸化水素がカップリング粒子と反応する可能性がある。例えば、過酸化水素はカップリング粒子と錯体を形成する惧れがある。また、誘電体層の表面に未定着の正電荷を有するカップリング粒子に、硫酸イオンが吸着し、カップリング粒子の表面電荷が中和されると、カップリング粒子同士の静電反発効果が損なわれる。その結果、カップリング粒子が、過度に凝集した状態で水中に流出することがある。そして、過度に凝集したカップリング粒子が、多孔質体の細孔に充填されると、細孔を塞いでしまう惧れがある。このような場合、導電性高分子層が、誘電体層の表面に十分に形成され難くなる。従って、第1導電性高分子層4aの形成に用いる第1導電性高分子の溶液または分散液には、カップリング粒子の分散性を阻害する物質、具体的にはカップリング粒子に吸着したり、カップリング粒子と錯形成する物質を含有させないことが好ましい。
第2導電性高分子層4bは、電解重合により電気化学的に形成することができる。電解重合は薄膜状の高分子を合成するのに適している。例えば、高分子原料のモノマーとドーパントを含む溶液中に、第1導電性高分子層4aが形成されたコンデンサ素子の前駆体を浸漬し、これを電極として電流を流すか、電極に電位を走査することで、モノマーの重合が進行する。
第2導電性高分子層4bに用いるドーパントとしては、第1導電性高分子層4aと同様の材料を用いてもよいし、異なる材料を用いてもよい。第2導電性高分子層4bに用いる第2導電性高分子としても、第1導電性高分子層4aと同様の材料を用いてもよいし、異なる材料を用いてもよい。よって、第2導電性高分子としては、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリフルオレン、ポリビニルカルバゾール、ポリビニルフェノール、ポリフェニレン、ポリピリジン、これらの高分子の誘導体や共重合体を用いることができる。これらのうちでも、誘電体層の表面に形成されやすく、導電性に優れる点で、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリンなどが好適に用いられる。ポリチオフェンとしては、ポリ3,4−エチレンジオキシチオフェンが特に好適に用いられる。
次に、固体電解コンデンサの製造方法について、更に具体的に説明する。
(1)陽極1を形成する工程
図2に示すような多孔質焼結体からなる陽極1は、陽極リード2の第一端部2aを弁作用金属の粒子に埋め込み、その状態で金属粒子を直方体に成形し、成形体を焼結させることにより作製される。
(2)誘電体層3を形成する工程
電解水溶液(例えばリン酸水溶液)が満たされた化成槽に、陽極1を浸漬し、陽極リード2の第二端部2bを化成槽の陽極に接続して、陽極酸化を行うことにより、陽極1の表面に弁作用金属の酸化被膜からなる誘電体層3を形成することができる。電解水溶液としては、リン酸水溶液に限らず、硝酸、酢酸、硫酸などを用いることができる。
(3)誘電体層3にカップリング粒子15を点在させる工程
カップリング粒子15は、誘電体層3にカップリング粒子15が分散した分散液を塗布し、その後、乾燥させることにより、誘電体層3の表面に点在させることができる。誘電体層3に分散液を塗布する方法は、特に限定されない。例えば、誘電体層3を有する陽極1を、分散液に浸漬し、その後、乾燥させればよい。これにより、誘電体層3の表面にカップリング粒子15が点在するように付着する。誘電体層3の表面にカップリング粒子15を付着させた後、適宜、陽極1を水洗し、更に乾燥させてもよい。
カップリング粒子15による誘電体層3の被覆率は、分散液に含まれるカップリング粒
子15の含有率により適宜調整できる。上記のように、誘電体層3を有する陽極1を分散
液に浸漬する場合であれば、分散液中のカップリング粒子15の濃度を0.01〜1.5
g/L(リットル)とすることにより、適度な被覆率を達成することができる。
カップリング粒子15を分散させる分散媒としては、水、アルコール系の溶媒などを用いることができる。また、分散液には、カップリング粒子15の分散性を高めるために、界面活性剤などの分散剤を添加してもよい。また、分散媒には、カップリング粒子15の電荷に応じて、カップリング粒子15の静電反発効果を高める添加剤を加えてもよい。
カップリング粒子15は、電荷を帯びることにより、分散液中での分散性が向上し、誘電体層3に点在させやすくなる。カップリング粒子15が、正または負の電荷を帯びている場合、分散液中での分散性が高く、誘電体層3の表面に点在させやすい。また、分散液中でのカップリング粒子15の静電反発効果を高めるために、分散液のpHを調節してもよい。なお、ナノ粒子が帯びる電荷の種類や強度は、分散液のpHを変化させることにより、制御が可能である。
このように、誘電体層3にカップリング粒子15を点在させる工程は、工業的に安定な手法である湿式法が好ましい。上記方法により、例えば酸化チタンなどの金属酸化物のナノ粒子を誘電体層3の表面に点在させると、金属酸化物の表面水酸基と誘電体層3の表面水酸基との間で化学結合が形成される。
(4)第1導電性高分子層4aを形成する工程
次に、カップリング粒子15が点在する誘電体層3を有する陽極1を、第1導電性高分子(例えばポリアニリン)が溶解する溶液に浸漬し、その後、乾燥させる。これにより、誘電体層3の表面に、第1導電性高分子のディップ膜が形成される。また、第1導電性高分子の分散液を誘電体層3に塗布し、乾燥させて、第1導電性高分子層4aを形成してもよい。溶液または分散液中の第1導電性高分子の濃度は、例えば0.5〜6g/L(リットル)であればよい。
第1導電性高分子の溶液や分散液に、陽極1を浸漬する場合でも、カップリング粒子15は、誘電体層3の表面水酸基と化学結合し、固定化されているため、誘電体層3から剥離しにくい。また、第1導電性高分子の高分子鎖は、カップリング粒子15が有する電荷と電気的相互作用(例えば静電相互作用)によって結合する。これにより、誘電体層3と第1導電性高分子層4aとの密着性が担保される。
(5)第2導電性高分子層4bを形成する工程
次に、カップリング粒子15を介して第1導電性高分子層4aを形成した誘電体層3を有する陽極1を、第2導電性高分子の原料であるモノマーとドーパントとを含む溶液に浸漬し、電解重合を行う。これにより、第1導電性高分子層4aの表面に第2導電性高分子層4bが形成される。溶液中のモノマー濃度は、例えば0.1〜2mol/L(リットル)であればよい。
ただし、第2導電性高分子層4bを形成する方法は、電解重合に限られない。例えば、ポリアニリンなどの第2導電性高分子の溶液または分散液を、第1導電性高分子層4aを介して、誘電体層3の表面に、塗布し、乾燥させてもよい。また、第1導電性高分子層4aを形成せず、カップリング粒子15が点在する誘電体層3に、直接、第2導電性高分子の溶液または分散液を塗布し、乾燥させて、所要の導電性高分子層を形成してもよい。その場合、第2導電性高分子の溶液や分散液には、カップリング粒子15と反応する成分を含めないように留意すればよい。
(6)陰極層5を形成する工程
第2導電性高分子層4bの表面に、カーボンペーストおよび銀ペーストを順次に塗布することにより、カーボン層5aと銀ペースト層5bとで構成される陰極層5が形成される。カーボン層5aの厚さは、例えば1〜20μmであり、銀ペースト層5aの厚さは、例えば50〜100μmであればよい。カーボンペーストは、黒鉛などの導電性炭素材料を含む組成物である。また、銀ペースト層5bは、銀粒子と樹脂とを含む組成物である。なお、陰極層5の構成は、これに限られず、集電機能を有する構成であればよい。
次に、誘電体層3と導電性高分子層4との界面にカップリング粒子15を設けたことによる作用効果について、更に説明する。
一般に、誘電体層3の表面に導電性高分子層4を形成する場合、誘電体層3と導電性高分子層4との界面では、剥離が生じやすい。一方、本実施形態では、誘電体層3の表面にカップリング粒子15が点在しているため、導電性高分子層4は、カップリング粒子15とともに誘電体層3の表面を覆うこととなる。カップリング粒子15は、誘電体層3と導電性高分子層4の両者と相互作用することから、誘電体層3と導電性高分子層4との密着性が高められる。その結果、誘電体層3と導電性高分子層4との界面における剥離が抑制される。また、カップリング粒子15の存在により、導電性高分子層4を流れる電流密度も高められると考えられる。これらの効果が相乗的に奏されることにより、陽極1と陰極2との間に過剰な漏れ電流が流れた際には、導電性高分子層4に必要なジュール熱が発生し、導電性高分子層4の絶縁化が感度よく進行する。これにより、漏れ電流を低減する自己修復機能が高められる。
第2実施形態
図3は、本実施形態に係る固体電解コンデンサの要部の断面模式図である。本実施形態においては、図3に示すように、誘電体層3上には、複数のカップリング粒子が2次元的又は3次元的に凝集して二次粒子16を形成している。また、図3に示すように、陽極1を構成する弁作用金属の粒子同士の粒界を覆う誘電体層3の括れ部13において、複数の二次粒子16が更に凝集している。ここで、誘電体層3の括れ部13とは、弁作用金属又は弁作用金属を含む合金の粒子同士の粒界の近傍の誘電体層3に形成された括れた部分を意味する。なお、図3では、二次粒子16を構成するカップリング粒子(一次粒子)は明示されていない。
カップリング粒子の二次粒子16は、基本的に、二次粒子を構成しない単独のカップリング粒子15と同様の効果を奏することに加え、以下のような効果を奏する。
まず、陽極1を構成する弁作用金属の粒子同士の粒界近傍には、機械的なストレスにより欠陥が生じ易い。従って、誘電体層3の括れ部13と導電性高分子層4との密着性を向上させる必要性は、誘電体層3の括れ部13以外の部分と導電性高分子層4との密着性を向上させる必要性より大きい。本実施形態では、導電性高分子層4との密着性を向上させる必要性の大きい括れ部13に、複数のカップリング粒子が含まれている二次粒子16を付着させているため、括れ部13における自己修復機能を選択的に高めることができる。また、複数の二次粒子16が括れ部13において凝集することにより、括れ部13における自己修復機能は更に向上する。
次に、複数のカップリング粒子の凝集体である二次粒子16の粒径は、第1導電性高分子層4aの形態に影響を与える。具体的には、二次粒子16の形状が第1導電性高分子層4aの陰極層5側の表面に反映され、当該表面に凹凸が形成される。このような凹凸により、アンカー効果が発現し、第1導電性高分子層4aと第2導電性高分子層4bとの密着性が高められる。
なお、上記のような効果を得るためには、誘電体層3の括れ部13の少なくとも一部が、二次粒子16で覆われていればよい。また、誘電体層3の括れ部13以外の表面に、二次粒子16が点在する箇所があってもよい。
二次粒子16の粒径は、10〜50nmであることが好ましい。カップリング粒子を上記粒径範囲に二次粒子化することで、カップリング粒子の高い分散性を維持しつつも、誘電体層3の必要箇所に選択的に、複数のカップリング粒子を配置することが容易となる。また、第1導電性高分子層4aの陰極層5側の表面に形成される凹凸もアンカー効果を得るのに十分な大きさとなる。
次に、本実施形態に係る固体電解コンデンサの製造方法について、第1実施形態と異なる部分について説明する。陽極1を形成する工程(1)、誘電体層3を形成する工程(2)および第1導電性高分子層4aを形成する工程(4)以降の工程は、第1実施形態と同様である。一方、誘電体層3にカップリング粒子を点在させる工程(3A)は、以下の要領で行われる。
(3A)誘電体層3にカップリング粒子の二次粒子16を点在させる工程
カップリング粒子の二次粒子16は、例えば、減圧雰囲気中で、誘電体層3を有する陽極1を、カップリング粒子15が分散した分散液に浸漬し、その後、35〜150℃の温度範囲で乾燥させることにより、誘電体層3の括れ部13に適度に凝集させることができる。乾燥の温度や時間を制御することにより、括れ部13に選択的かつ適度にカップリング粒子が凝集し、二次粒子16を形成する。
上記工程3Aにおいて、分散液中のカップリング粒子15の濃度、減圧条件および乾燥温度を変化させることにより、二次粒子16が括れ部13を被覆する程度を制御することが可能である。また、減圧雰囲気中で、誘電体層3を浸漬することにより、多孔質体である、誘電体層3を有する陽極1の内部の細孔の内壁面にまで、カップリング粒子を到達させることが容易となる。減圧雰囲気としては、例えば10-1〜500Paの圧力範囲であることが好ましい。
なお、上記実施形態では、陽極1が金属粒子から形成された多孔質体である場合について説明したが、陽極の構成は、これに限定されるものではない。陽極1は、例えば、弁作用金属の金属箔や金属板であってもよい。その場合、金属箔や金属板には、エッチングピットを設けることが好ましい。その場合、カップリング粒子の粒径範囲は、エッチングピットに侵入しやすい粒径範囲に、適宜、制御すればよい。また、エッチングピット内の凹凸により括れ部が形成されている場合、エッチングピット内の括れ部に二次粒子を配置しても上記と同様の効果を得ることができる。
また、上記実施形態では、導電性高分子層4が、第1導電性高分子層4aと第2導電性高分子層4bを有する2層構造である場合について説明したが、導電性高分子層4は、1層構造でもよく、3層以上の構造を有してもよい。どのような構造であっても、誘電体層3と導電性高分子層4との界面に、カップリング粒子15が配置されていればよい。
次に、実施例に基づいて、本発明の固体電解コンデンサについて、より具体的に説明する。ただし、以下の実施例は、本発明を限定するものではない。
(実施例1)
下記の要領でコンデンサ素子を作製し、その特性を評価した。
<工程1:陽極1の形成>
弁作用金属として、一次粒子径が約0.5μm、二次粒子径が約100μmであるタンタル金属粒子を用いた。タンタルからなる陽極リード2の第一端部2aがタンタル金属粒子に埋め込まれるように、タンタル金属粒子を直方体に成形し、その後、成形体を真空中で焼結した。これにより、タンタルの多孔質焼結体からなる陽極1を得た。陽極1は、長さ4.4mm、幅3.3mm、厚さ0.9mmの直方体である。陽極1の一側面(3.3mm×0.9mm)からは、陽極リード2の第二端部2bが突出した状態で固定されている。
<工程2:誘電体層3の形成>
電解水溶液である0.01〜0.1質量%のリン酸水溶液が満たされた化成槽に、陽極1と陽極リード2の一部を浸漬し、陽極リード2の第二端部2bを化成槽の陽極に接続した。そして、陽極酸化を行うことにより、図1に示すように、陽極1の表面および陽極リード2の一部の表面に、酸化タンタル(Ta25)の誘電体層3を形成した。この陽極酸化により、図2に示すように、陽極1を構成する多孔質体の表面(細孔の内壁面を含む)および陽極リード2の一部に、均一な誘電体層3が形成された。
なお、電解水溶液としては、リン酸水溶液に限らず、硝酸、酢酸、硫酸などを用いることができる。
<工程3:カップリング粒子の点在>
カップリング粒子として、一次粒子の粒径範囲が5〜10nmの酸化チタン粒子を用いた。具体的には、酸化チタン粒子が分散する分散液中に、誘電体層3を形成した陽極1を100Paの減圧雰囲気中において浸漬し、その後、分散液から陽極1を引き上げ、100℃において10分間乾燥させた。こ
れにより、カップリング粒子の二次粒子16を、誘電体層3の表面に点在させ、タンタル金属粒子の粒界近傍の誘電体層の表面(括れ部13)に凝集するように付着させた。分散液の分散媒は水であり、カップリング粒子の濃度は1g/Lに調整した。尚、分散液には、カップリング粒子の分散性を調節するため分散剤を添加し、分散液のpHを8.4とした。また、酸化チタン粒子の電荷を確認したところ、酸化チタン粒子は負の電荷を帯びていた。
誘電体層3に二次粒子16を形成した状態において、陽極1を破断し、SEM(走査型電子顕微鏡)により二次粒子16を観察したSEM写真を図4に示す。また、SEM写真を利用して求めたカップリング粒子による誘電体層3の被覆率は20%であった。被覆率は、カップリング粒子を点在させた誘電体層3を有する陽極1(多孔質体)の、50000倍〜100000倍のSEM像を撮影して求めた。具体的には、多孔質体およびカップリング粒子を平面に投影させ、視野面積において、誘電体層の表面に占める、カップリング粒子の二次粒子16が占める面積の割合として求めた。また、SEM写真において、カップリング粒子の二次粒子16を無作為に10個抽出し、10個の二次粒子16の平均粒径を求めたところ、30nmであった。
<工程4:第1導電性高分子層4aの形成>
カップリング粒子の二次粒子16を点在させた誘電体層3の表面に、ポリアニリン溶液を塗布し、乾燥し、第1導電性高分子層4bを形成した。なお、ポリアニリン溶液には、硫酸および過酸化水素水が含まれなことを確認した。ポリアニリン溶液のポリアニリン濃度は2g/Lであり、溶媒にはNMP(N−メチル−2−ピロリドン)を用いた。第1導電性高分子層4aの厚さは10nmであった。このように第1導電性高分子層4aまで形成した陽極を破断し、断面をSEMで観察した。このときの第1導電性高分子層4aの表面のSEM写真を図5に示す。図5では、二次粒子16の形状が第1導電性高分子層4aの陰極層5の表面に反映され、当該表面に凹凸が形成されている様子が見られる。このような凹凸は、第1導電性高分子層4aと第2導電性高分子層4bとの密着性を高める作用を有する。
<工程5:第2導電性高分子層4bの形成>
ドーパントを溶解させたピロール溶液中に、第1導電性高分子層4aまで形成された陽極1を浸漬し、電解重合を行うことにより、第1導電性高分子層4aの表面を均一に覆う第2導電性高分子層4bを形成した。電解重合は、第2導電性高分子層4bの厚さが15μmになるまで行った。
<工程6:陰極層5の形成>
導電性高分子層4(第2導電性高分子層4b)の表面に、カーボンペーストを塗布することにより、カーボン層5aを形成した。次に、カーボン層5aの表面に、銀ペーストを塗布することにより、銀ペースト層5bを形成した。こうして、カーボン層5aと銀ペースト層5bとで構成される陰極層5を形成した。
上記のようにして、実施例1のコンデンサ素子を完成させた。
(比較例1)
誘電体層3の表面にカップリング粒子を点在させる工程3を行わなかったこと以外は、実施例1と同様にして、比較例1のコンデンサ素子を作製した。図6は、本比較例で用いた誘電体層を形成した陽極を破断し、断面をSEMで観察したときの誘電体層の表面のSEM写真である。図7は、第1導電性高分子層まで形成した陽極1を破断し、断面を観察したときの第1導電性高分子層の表面のSEM写真である。
[評価]
実施例1および比較例1のコンデンサ素子を、それぞれ250個ずつ作製し、漏れ電流を測定した。具体的には、陽極1と陰極5との間に10Vの電圧を印加し、40秒後の漏れ電流を測定した。そして、所定の基準値と対比することにより、良否判定を行い、歩留まりを求めた。
表1に、測定結果を、静電容量(C)とともに示す。なお、表1では、実施例1の数値を1とし、比較例1の数値は、実施例1に対して規格化した。
表1より、実施例1は、比較例1と比べて、漏れ電流の基準値に対する良否判定において、歩留まりが高くなっている。また、実施例1の静電容量は、比較例1と同等である。以上より、実施例1のように、誘電体層の表面にカップリング粒子を点在させることにより、静電容量を低下させることなく、漏れ電流を低減できることが確認できた。
1:陽極、2:陽極リード、3:誘電体層、4:導電性高分子層、4a:第1導電性高分子層、4b:第2導電性高分子層、5:陰極層、5a:カーボン層、5b:銀ペースト層、7:陽極端子、8:導電性接着材、9:陰極端子、10:コンデンサ素子、11:樹脂外装体、13:括れ部、15:カップリング粒子、16:二次粒子、20:固体電解コンデンサ

Claims (7)

  1. 弁作用金属又は弁作用金属を含む合金の粒子の結合体からなる陽極と、
    前記陽極上に形成された誘電体層と、
    前記誘電体層上に形成された導電性高分子層と、を備える固体電解コンデンサであって、
    前記誘電体層の表面に点在するカップリング粒子を有し、
    前記導電性高分子層は、前記カップリング粒子を覆うと共に、前記誘電体層と接触し、
    前記カップリング粒子は、前記結合体の括れ部に形成された誘電体層の表面において、複数凝集している固体電解コンデンサ。
  2. 前記カップリング粒子は、複数凝集して二次粒子を形成している請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  3. 前記カップリング粒子は、前記誘電体層と化学結合すると共に、前記導電性高分子層と電気的相互作用により結合している、請求項1または2に記載の固体電解コンデンサ。
  4. 前記カップリング粒子は、ナノ粒子である、請求項1〜3の何れか1項に記載の固体電解コンデンサ。
  5. 前記カップリング粒子は、周期表の第三周期または第四周期に位置する金属の酸化物を含む、請求項1〜4の何れか1項に記載の固体電解コンデンサ。
  6. 陽極上に誘電体層を形成する工程と、
    前記誘電体層の表面に、カップリング粒子が分散した分散液を塗布することにより、前記誘電体層の表面に前記カップリング粒子を点在させる工程と、
    前記カップリング粒子が点在する前記誘電体層の表面に導電性高分子層を形成する工程と、を有する、固体電解コンデンサの製造方法。
  7. 前記カップリング粒子は、前記分散液中で電荷を帯びている、請求項6に記載の固体電解コンデンサの製造方法。
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