JPWO2020110586A1 - サイドエアバッグ装置 - Google Patents

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Abstract

膨張展開時、エアバッグの下方側が乗員の大腿部に乗り上げることを防止する。また、膨張展開時、上下方向や前後方向へのずれを抑制して所定位置への膨張展開をより確実に行う。車両用シートの背もたれSBの側方に設置されるサイドエアバッグ装置11である。エアバッグ12と、このエアバッグ12内に設けられ、センサーからの出力信号を受けて折り畳み状態の前記エアバッグ12にガスを供給するインフレータ13を備える。前記エアバッグ12は、上方から、少なくとも乗員Pの腹部Pabを保護する第1保護部と、乗員Pの腰部Phiを保護する第2保護部とを有する。当該エアバッグ12を形成する、乗員Pと接する側の基布パネル14aの、前記第2保護部を含む当該エアバッグ12の下方領域内の上下方向中間部分に、当該基布パネル14aの表面よりも大きな摩擦係数を有する滑り止め部分を有する。

Description

本発明は、例えば、車両が側面から衝突された時(以下、側面衝突時という。)に、乗員を保護するため、車両に設置されるサイドエアバッグ装置に関するものである。特に、ベンチシートに設置した場合に有効なサイドエアバッグ装置に関するものである。
以下、本願において「上」「上方」とは正規の状態で車両用シートに着座した乗員の頭部方向を、「下」「下方」とは同じく足元方向を意味する。また、「前」「前方」とは正規の状態で車両用シートに着座した乗員の正面側の方向を、「後」「後方」とは同じく背面側の方向を意味する。また「左右方向」とは正規の状態で車両用シートに着座した乗員の右手と左手の方向を意味する。
自動車の車室に設置される車両用シートには、一人の乗員のみが着坐可能なセパレートシートと、複数の乗員が着座可能なベンチシートがある。このうち、前側(1列目)のフロントシートにはセパレートシートが、後側(例えば2列目)のリアシートにはベンチシートが設けられることが多い。
このうち、セパレートシートに設置するサイドエアバッグ装置の場合、当該セパレートシートの側面とサイドドアの内面との間に余裕がある。従って、例えば側面衝突時、セパレートシートの背もたれ(以下、シートバックという。)の側方内部に設置したサイドエアバッグ装置のエアバッグの膨張展開が妨げられることはない。
一方、ベンチシートに設置するサイドエアバッグ装置の場合、当該ベンチシートのクッション(以下、シートクッションという。)の側面とサイドドアや車体の内面との間隔が狭く、ほとんど隙間がない場合が多い。
しかも、サイドエアバッグ装置の設置位置は、ベンチシートに着座する乗員の側方であっても、タイヤハウスなどの存在により、セパレートシートに設置する場合に比べて車両の前方側に設置せざるを得ないことが多い。
例えば特許文献1,2では、サイドエアバッグ装置は、リアのベンチシートのシートバックと、サイドドアや車体の内面との間の、タイヤハウスの前方側に設置されている。
このような位置にサイドエアバッグ装置を設置した場合、膨張展開したエアバッグがベンチシートのシートクッションの側面とサイドドアや車体の内面との間から、乗員の着座面よりも下側に潜り込むことはほとんど不可能になる。
そうすると、エアバッグの下方側はどうしてもベンチシートのシートクッションの着座面に向かって膨張展開することになって、ベンチシートに着座した乗員の大腿部付近にエアバッグの下方側が膨張展開することになる。
乗員Pの大腿部付近でエアバッグ1の下方側1aが膨張展開すると、前記大腿部Pfeと前記下方側1aが重なる部分(図8(b)のSで示す斜線部)が滑って、図9に示すように、エアバッグ1の下方側1aが乗員Pの大腿部Pfeに乗り上げてしまうことがある。また、乗員の腰部Phiについても同様のことが言える(図8(c)のSで示す斜線部参照)。
エアバッグ1の下方側1aが乗員Pの大腿部Pfeに乗り上げると、乗員Pの大腿部Pfeを拘束できなくなって、エアバッグ本来の乗員保護機能を発揮できなくなる。しかも、前記乗り上げにより乗員Pの腹部Pabにエアバッグ1が潜り込んで、乗員Pにダメージを与える可能性もある。なお、図8,9中、BSはリアのベンチシート、SDはサイドドアを示す。また、Pthは乗員Pの胸部、Phiは乗員Pの腰部、Pheは乗員Pの頭部を示す。
特開2017−52493号公報 特開2018−100000号公報
本発明が解決しようとする問題点は、サイドエアバッグ装置を、ベンチシートのシートバックと、サイドドアや車体の内面との間に設置した場合、エアバッグの下方側が乗員の大腿部に乗り上げ、乗員の大腿部を拘束できなくなるという点である。
本発明は、前記課題を解決することを目的としたもので、例えば側面衝突時にエアバッグが膨張展開した際、エアバッグの下方側が乗員の大腿部に乗り上げることを防止することである。本発明において、乗員とは、WorldSID 50などに代表される側面衝突用ダミーを示す。より具体的には、WorldSID 50(WorldSID 50th Percentile Male Side Impact Dummy W50-00000)、SID-IIs(SID-IIs Side Impact Dummy)、およびES-2/ES-2re(ES-2/ES-2re Side Impact Dummy)などである。
すなわち、本発明は、車両用シートのシートバックの側方に設置されるサイドエアバッグ装置である。このサイドエアバッグ装置は、エアバッグと、このエアバッグ内に設けられ、センサーからの出力信号を受けて折り畳み状態の前記エアバッグにガスを供給するインフレータを備えている。
本発明では、前記エアバッグは、上方から、少なくとも乗員の腹部を保護する第1保護部と、乗員の腰部を保護する第2保護部とを有している。そして、当該エアバッグを形成する、乗員と接する側の基布パネルの、前記第2保護部を含む当該エアバッグの下方領域内の上下方向中間部分に、当該基布パネルの表面部よりも大きな摩擦係数を有する滑り止め部分を有することが最も主要な特徴である。
上記本発明では、エアバッグの膨張展開時、乗員と接する側の基布パネルの第2保護部を含む当該エアバッグの下方領域内の上下方向中間部分の表面部が、着座した乗員の大腿部の上面側と重なっても、前記表面部が前記大腿部上を滑ることを防止できる。従って、エアバッグの第2保護部が乗員の大腿部に乗り上げることがなく、衝撃が加わった部位に向かう乗員の大腿部の移動を拘束することが可能になる。なお、第1保護部は、少なくとも乗員の腹部を保護する部分であるが、胸部や肩部、さらに頭部を保護する部分を含むように形成されたものでもよい。
本発明は、乗員と接する側の基布パネルの、第2保護部を含むエアバッグの下方領域内の上下方向中間部分だけでなく、前記下方領域内の上下方向上方部分にも滑り止め部分を有するものとしてもよい。この場合、当該表面部が前記乗員の腰部と重なっても、当該表面部が前記腰部上を滑ることがないので、衝撃が加わった部位に向かう乗員の腰部の移動を拘束することが可能になる。
また、前記滑り止め部分は、エアバッグの膨張展開時に、少なくとも車両用シートのシートクッション側部に位置するように設けることが望ましい。このような位置に滑り止めを設けた場合、エアバッグの下部が不用意にシートクッションの上部に持ち上げられて乗員の大腿部から腰部を保護することができなくなることを防止できる。
本発明のサイドエアバッグ装置は、車両用シートがベンチシートの場合、当該ベンチシートのシートバックとサイドドア或いは車体の内面との間の空間に設けられる。
一方、本発明のサイドエアバッグ装置は、車両用シートが車両の幅方向に複数並んでいるセパレートシートの場合、両セパレートシートの間に、或いは、セパレートシートのサイドドア側に設けられる。
本発明は、エアバッグを、前記第2保護部を含む下部チャンバと、前記第1保護部に相当する上部チャンバに分割し、下部チャンバに前記大きな摩擦係数の滑り止め部分を設けるようにすることが望ましい。このようにすれば、エアバッグの膨張展開時に、上下方向や前後方向へのずれを抑制でき、所定位置への膨張展開をより確実に行えるようにできる。
本発明において、滑り止め部分における摩擦係数を大きくする手段は、例えば、樹脂コーティングを施すことによって、或いは、パッチを取り付けることによって行う。
本発明では、上部チャンバに収納したインフレータに、下部チャンバが所定圧力になった時、下部チャンバ内のガスが上部チャンバに戻るのを阻止する逆止弁を設けたインナーチューブを設置し、当該インナーチューブを下部チャンバに導入することが望ましい。このようにすれば、下部チャンバ内を所定の圧力に保持できるので、エアバッグの膨張展開後の乗員保護時に、乗員の大腿部や腰部の保護性能を確実に維持することができる。
本発明では、エアバッグの膨張展開時に、乗員の腰部と接する側の基布パネルの、第2保護部を含むエアバッグの下方領域内の上下方向中間部分の表面部が、着座した乗員のサイドドア側の大腿部の上面側を滑ることがなくなる。或いは、前記上下方向中間部分より上の表面部が、着座した乗員のサイドドア側の大腿部の上面側や腰部上を滑ることがなくなる。従って、膨張展開したエアバッグが、例えば乗員の大腿部の上方、腰部上や腹部の前方に乗ることもなくなって、乗員の大腿部とサイドドアまたは車両の内面との間にエアバッグが確実に膨張展開できるようになる。
すなわち、本発明では、シートの側面と、サイドドアや車体の内面との間にほとんど隙間がないベンチシートに設置した場合であっても、エアバッグの下方側が乗員の大腿部に乗り上げることがなく、乗員の大腿部の移動を効果的に拘束することができる。
本発明のサイドエアバッグ装置の第1の実施例を示した図で、(a)はエアバッグの折り畳み前の状態を示した図、(b)はエアバッグの展開状態を車両の前側から見た図である。 リアのベンチシートに設置した図1に示す本発明のサイドエアバッグ装置のエアバッグが展開した状態を示した斜視図である。 リアのベンチシートに設置した図1に示す本発明のサイドエアバッグ装置のエアバッグが展開した状態を示した車両の側方から見た図である。 本発明のサイドエアバッグ装置の第2の実施例を示した図1(a)と同様の図である。 本発明のサイドエアバッグ装置の第3の実施例を示した図1(b)と同様の図である。 フロントのセパレートシートのサイドドア側に設置した本発明のサイドエアバッグ装置が膨張展開した状態を示した図で、(a)は車両の側方から見た図、(b)は車両の前側から見た図である。 フロントの隣り合うセパレートシート間に設置した本発明のサイドエアバッグ装置が膨張展開した状態を示した図6と同様の図である。 従来のサイドエアバッグ装置をリアのベンチシートに設置した場合の問題点を説明する図で、(a)は車両の側方から見た図、(b)は(a)の矢視AーA図、(c)は(a)の矢視BーB図である。 リアのベンチシートに設置した従来のサイドエアバッグ装置のエアバッグが展開した状態を示した斜視図である。
本発明の目的は、より適切に乗員を保護することである。具体的には、例えば側面衝突時にエアバッグが膨張展開した際、エアバッグの下方側が乗員の大腿部に乗り上げることを防止することである。また、エアバッグの膨張展開時に、上下方向や前後方向へのずれを抑制して所定位置への膨張展開をより確実に行えるようにすることである。
本発明は、エアバッグを形成する、乗員と接する側の基布パネルの、乗員の腰部を保護する第2保護部を含むエアバッグの下方領域内の上下方向中間部分に、当該基布パネルの表面部よりも大きな摩擦係数の滑り止め部材を設けることで、前記目的を実現した。
以下、本発明の実施例を、添付図面を用いて説明する。
(第1の実施例)
図1〜図3は本発明のサイドエアバッグ装置11の第1の実施例を示した図である。
本発明のサイドエアバッグ装置11は、例えば、リアのベンチシートBSのシートバックSBとサイドドアSDの内面との間の空間に設置する。当該空間は、例えば前記ベンチシートBSの左右方向外側に設けられるサイドガーニッシュで車室と隔てた空間に限らず、サイドガーニッシュを設ける代わりにシートバックSBの左右方向外側を延長した側端部で車室と隔てた空間でもよい。
このサイドエアバッグ装置11は、エアバッグ12の内部に、センサーからの出力信号を受信してその外側面から前記エアバッグ12の内部にガスを噴出する、例えば筒形状のインフレータ13を配置している。
このインフレータ13の外側面には、例えば、その長手方向に適宜の間隔を存して2本のスタッドボルト13aが突出して設けられている。そして、これらスタッドボルト13aを用いて、例えば、サイドガーニッシュに取り付けたケースに本発明のサイドエアバッグ装置11を取り付けている。
前記エアバッグ12は、正規の状態でリアのベンチシートBSに着座した乗員Pの大腿部Pfe、腰部Phi、腹部Pab、胸部Pth及び肩部Pshを拘束することが可能なように、図1(a)に示すように、前後方向よりも上下方向が長く形成されている。そして、左右方向に厚みを有するように、例えば、同形状に形成された2枚の基布パネル14a,14bの外周部を縫製15して、袋状に形成されている。
第1の実施例では、前記エアバッグ12は、上方から下方に上部チャンバ12b及び下部チャンバ12aを備えている。上部チャンバ12bは乗員Pの肩部Psh、胸部Pth、及び腹部Pabを保護する第1保護部に対応し、下部チャンバ12aは乗員Pの腰部Phiを保護する第2保護部に対応している。上部チャンバ12bと下部チャンバ12aは、例えば隔壁16により分割されている。なお、図1中の21は前記隔壁16を基布パネル14a,14bに取り付ける縫製部を示す。
そして、下部チャンバ12aで、正規の状態でリアのベンチシートBSに着座した乗員Pの腰部Phi及び大腿部Pfeを拘束する。また、上部チャンバ12bで、正規の状態でリアのベンチシートBSに着座した乗員Pの腹部Pab、胸部Pth及び肩部Pshを拘束する。
また、エアバッグ12を形成する基布パネル14a,14bのうちの、乗員Pの腰部Phiと接する側の基布パネル14aの、下部チャンバ12aの上下方向中間部分の表面側に、基布パネル14a,14bよりも大きな摩擦係数を有するパッチ17aを縫製18して取り付けている。
この縫製18は、パッチ17aの上辺近傍と下辺近傍に、パッチ17aの端辺に沿うようになされている。パッチ17aの上下端部の近傍を縫製18することで、パッチ17aの上下端部が乗員Pの大腿部Pfe等と接触した際に、縫製18の存在によってさらに滑り止めの効果を増すように働く。従って、パッチ17aの取り付けに際しては、上下端部近傍を縫製18することが好ましい。但し、このパッチ17aは、大きすぎるとエアバッグ12の膨張展開時に支障をきたし、小さすぎると適切な滑り止め効果が期待できない。従って、これらの問題が生じないような所定の大きさにすることが必要である。また、パッチ17aを設ける位置は、少なくとも乗員Pの大腿部Pfeの一番外側に出っ張っている点Pfe−Pの高さ位置を含むように設ける。
この第1の実施例では、例えば側面衝突時、リアのベンチシートBSに着座した乗員Pの大腿部Pfeの上面側に、膨張展開したエアバッグ12のパッチ17aが重なりそうになっても、当該パッチ17aにより下部チャンバ12aが大腿部Pfe上を滑ることがない。従って、膨張展開したエアバッグ12の下部チャンバ12aが乗員Pの大腿部Pfeに乗り上げることがなくなって、上下方向や前後方向へのずれが抑制でき、より確実な所定位置への膨張展開が可能になる。
その際、例えば図3に示すように、エアバッグ12の下端12cがリアのベンチシートBSのシートクッションSCの表面と接するようにしておけば、シートクッションSCの座面とエアバッグ12の下端12cの間に隙間がなくなる。従って、乗員Pの大腿部Pfeが潜り込むことがないので、衝撃が加わった部位に向かう乗員Pの大腿部Pfeの移動を確実に拘束することができる。
また、第1の実施例では、前記インフレータ13の例えば下端部に、逆止弁19を取り付けたインナーチューブ20を取り付け、上部チャンバ12bにインフレータ13を収納する一方、前記インナーチューブ20を下部チャンバ12a内に導いている。
前記逆止弁19は、インナーチューブ20の下端部に形成され、インフレータ13で発生したガスにより下部チャンバ12aが所定圧力になった時には上部チャンバ12bに前記ガスが戻ることを阻止する。このようにすれば、下部チャンバ12aが所定内部圧力を保持できるので、エアバッグ膨張展開後の乗員保護時に、乗員Pの大腿部Pfeや腰部Phiの拘束を確実に維持することができる。
(第2の実施例)
図4は本発明のサイドエアバッグ装置11の第2の実施例を示した図である。
第2の実施例は、第2保護部である下部チャンバ12aの、乗員Pの腰部Phiと接する側の基布パネル14aの表面側に取り付けるパッチ17bで、下部チャンバ12aの前記基布パネル14aの上下方向中間部分のみならずその上方部分も覆うものである。この上方部分を覆うパッチ17bの部分を、前記上下方向中間部分を覆う部分よりも後方に少しずらすことによって、このパッチ17bが乗員Pの腰部Phiに接触した時に、当該パッチ17bが滑るのをより確実に防ぐように働く。
この第2の実施例では、例えば側面衝突時、リアのベンチシートBSに着座した乗員Pの大腿部Pfeの上面側に、膨張展開したエアバッグ12が重なろうとしても、前記パッチ17bによってエアバッグ12が大腿部Pfe上を滑ることがない。従って、エアバッグ12の下方部分が乗員Pの大腿部Pfeに乗り上げることがない。
また、第2の実施例では、膨張展開したエアバッグ12がリアのベンチシートBSに着座した乗員Pの腰部Phiの上に重なろうとしても、前記パッチ17bによってエアバッグ12が前記腰部Phiを滑ることがない。
従って、衝撃が加わった部位に向かう乗員Pの大腿部Pfeの移動を確実に拘束することができる。また、衝撃が加わった部位に向かう乗員Pの腰部Phiの移動も確実に拘束することができる。
(第3の実施例)
図5は本発明のサイドエアバッグ装置11の第3の実施例を示した図である。
第3の実施例は、乗員Pの腰部Phiと接する側の基布パネル14aの、前記下部チャンバ12aを形成する基布パネル14aaの表面側に、前記パッチ17a,17bの替りに、基布パネル14a,14bよりも摩擦係数が大きい樹脂コーティングを施したものである。
この第3の実施例では、エアバッグ12は、乗員Pの腰部Phiと接する側の基布パネル14aが、前記基布パネル14aaと、上部チャンバ12bを形成する基布パネル14abの2枚となるほかは第1や第2の実施例と相違する箇所はない。なお、図5中の22は前記基布パネル14aaと前記基布パネル14abの縫製部を示す。
この第3の実施例も、第2の実施例と同様の作用効果を奏することができる。
本発明は上記の例に限らず、各請求項に記載された技術的思想の範疇であれば、適宜実施の形態を変更しても良いことは言うまでもない。
すなわち、以上で述べたサイドエアバッグ装置は、本発明の好ましい例であって、これ以外の実施態様も含まれる。特に本願明細書中に限定する主旨の記載がない限り、本発明は添付図面に示した詳細な部品の形状、大きさ、および構成配置等に制約されるものではない。また、本願明細書の中に用いられた表現および用語は説明を目的としたもので、特に限定される主旨のない限り、それに限定されるものではない。
例えば、第1〜第3の実施例では、本発明のサイドエアバッグ装置11をリアのベンチシートBSのシートバックSBとサイドドアSDの内面との間の空間に設置している。
しかしながら、本発明のサイドエアバッグ装置11は、図6に示すように、フロントのセパレートシートSSや、3列シートの2列目のセパレートシートSSのサイドドアSD側(ニアサイド)に設置してもよい。また、図7に示すように、隣り合うセパレートシートSSの間(ファーサイド)に設置してもよい。
この場合、エアバッグ12の下部チャンバ12aをシートクッションSCの座面よりも下方まで至る長さとし、パッチ17c又は樹脂コーティングは、前記下部チャンバ12aのシートクッションSCの側面と相対する位置に取り付けておくことが望ましい。このような位置にパッチ17c又は樹脂コーティングを取り付けた場合、エアバッグ12の下部が不用意にシートクッションSCの上部に持ち上げられることがなくなる。従って、乗員Pの大腿部Pfeから腰部Phiを確実に保護することができるようになる。
また、第1〜第3の実施例では、隔壁16を設けてエアバッグ12を下部チャンバ12aと上部チャンバ12bに分割しているが、必ずしも隔壁16を設ける必要はなく、単に縫製により分割してもよい。
また、第1〜第3の実施例では、エアバッグ12を下部チャンバ12aと上部チャンバ12bに分割しているが、摩擦係数を大きくする位置の特定が可能であれば、必ずしも下部チャンバ12aと上部チャンバ12bに分割しなくてもよい。
また、第1、第2の実施例では、パッチ17a,17bの基布パネル14aへの取り付けを縫製18によって行っているが、基布パネル14aへのパッチ17a,17bの取り付け位置が変化しないのであれば、接着などの他の手段で取り付けてもよい。
また、第3の実施例では、乗員Pと接する側の基布パネル14aの、下部チャンバ12aを形成する部分12aaの全てに、基布パネル14a,14bよりも摩擦係数が大きい樹脂コーティングを施している。
しかしながら、部分的に樹脂コーティングを施すことが可能であれば、第1又は第2の実施例のパッチ17a又は17bと同じ領域のみに樹脂コーティングを施してもよい。この場合、乗員Pと接する側の基布パネル14aは、第3の実施例のように、下部チャンバ12aを形成する基布パネル14aaと、上部チャンバ12bを形成する基布パネル14abの2枚とする必要がなくなる。
また、第1〜第3の実施例では、インフレータ13の下端部に、逆止弁19を取り付けたインナーチューブ20を接続しているが、逆止弁19を取り付けたインナーチューブ20をインフレータ13に接続しなくてもよい。
また、第1〜第3の実施例では、第1保護部である上部チャンバ12bが乗員Pの肩部Psh、胸部Pth、腹部Pabを保護するように形成されているが、乗員Pの頭部Pheも保護するように形成されたものでもよい。逆に、カーテンエアバッグ等で乗員Pの頭部Pheや肩部Psh等まで保護されるような場合には、乗員Pの腹部Pabのみを保護するように形成されたものでもよい。
11 サイドエアバッグ装置
12 エアバッグ
12a 下部チャンバ
12b 上部チャンバ
13 インフレータ
14a 乗員と接する側の基布パネル
14aa 下部チャンバ12aにおける乗員と接する側の基布パネル
17a パッチ
17b パッチ
17c パッチ
19 逆止弁
BS ベンチシート
SS セパレートシート
SB シートバック
SC シートクッション
SD サイドドア
P 乗員

Claims (11)

  1. 車両用シートの背もたれの側方に設置されるサイドエアバッグ装置であって、
    エアバッグと、
    このエアバッグ内に設けられ、センサーからの出力信号を受けて折り畳み状態の前記エアバッグにガスを供給するインフレータと、
    を備え、
    前記エアバッグは、上方から、少なくとも乗員の腹部を保護する第1保護部と、乗員の腰部を保護する第2保護部とを有し、当該エアバッグを形成する、乗員と接する側の基布パネルの、前記第2保護部を含む当該エアバッグの下方領域内の上下方向中間部分に、当該基布パネルの表面部よりも大きな摩擦係数を有する滑り止め部分を有することを特徴とするサイドエアバッグ装置。
  2. 前記乗員と接する側の前記基布パネルの、前記下方領域内の上下方向中間部分だけでなく、前記下方領域内の上下方向上方部分にも前記滑り止め部分を有することを特徴とする請求の範囲第1項に記載のサイドエアバッグ装置。
  3. 前記滑り止め部分は、前記エアバッグの膨張展開時に、少なくとも乗員の大腿部の一番外側に出っ張っている点の高さ位置を含むように設けられることを特徴とする請求の範囲第1項又は第2項に記載のサイドエアバッグ装置。
  4. 前記滑り止め部分は、前記エアバッグの膨張展開時に、少なくとも前記車両用シートのシートクッション側部に位置するように設けられることを特徴とする請求の範囲第1項から第3項の何れか1項に記載のサイドエアバッグ装置。
  5. 前記サイドエアバッグ装置は、前記車両用シートがベンチシートの場合、当該ベンチシートの背もたれとサイドドア或いは車体の内面との間の空間に設けられることを特徴とする請求の範囲第1項から第4項の何れか1項に記載のサイドエアバッグ装置。
  6. 前記サイドエアバッグ装置は、前記車両用シートが車両の幅方向に複数並んでいるセパレートシートの場合、両セパレートシートの間に設けられることを特徴とする請求の範囲第1項から第4項の何れか1項に記載のサイドエアバッグ装置。
  7. 前記サイドエアバッグ装置は、前記車両用シートが車両の幅方向に複数並んでいるセパレートシートの場合、当該セパレートシートのサイドドア側に設けられることを特徴とする請求の範囲第1項から第4項の何れか1項に記載のサイドエアバッグ装置。
  8. 前記エアバッグは、前記第2保護部を含む下部チャンバと、前記第1保護部に相当する上部チャンバに分割されており、前記下部チャンバに前記滑り止め部分が設けられていることを特徴とする請求の範囲第1項から第7項の何れか1項に記載のサイドエアバッグ装置。
  9. 樹脂コーティングを施すことによって前記滑り止め部分を設けることを特徴とする請求の範囲第1項から第8項の何れか1項に記載のサイドエアバッグ装置。
  10. パッチを取付けることによって前記滑り止め部分を設けることを特徴とする請求の範囲第1項から第8項の何れか1項に記載のサイドエアバッグ装置。
  11. 前記上部チャンバ内に前記インフレータを収納する一方、当該インフレータに、前記ガスの供給により前記下部チャンバが所定圧力になった時、前記上部チャンバに前記ガスが戻ることを阻止する逆止弁を設けたインナーチューブを設け、当該インナーチューブを前記下部チャンバに導いたことを特徴とする請求の範囲第8項から第10項の何れか1項に記載のサイドエアバッグ装置。
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