JPWO2020075831A1 - タイヤ - Google Patents

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Abstract

優れた氷雪路面及び湿潤路面でのグリップ性能を有しつつ、転がり抵抗を低減できるタイヤを提供することを目的とする。
前記課題を解決するべく、本発明は、ベースゴムと、該ベースゴムのタイヤ半径方向外側に位置するキャップゴムと、を有するトレッド部を備えたタイヤであって、前記ベースゴムは、貯蔵弾性率E’が10MPaより大きく、前記キャップゴムは、変性共役ジエン系重合体(A1)を含むゴム成分(A)と、シリカ(B1)及びカーボンブラック(B2)を含む補強性充填剤(B)と、低温軟化剤(C)と、を含み、前記変性共役ジエン系重合体(A1)は、重量平均分子量が20×10以上300×10以下であって、該変性共役ジエン系重合体(A1)の総量に対して、分子量が200×10以上500×10以下である変性共役ジエン系重合体を、0.25質量%以上30質量%以下含有し、収縮因子(g’)が0.64未満であり、前記シリカ(B1)の含有量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して65〜155質量部であることを特徴とする。

Description

本発明は、タイヤに関するものである。
車両の安全性を向上させる観点から、乾燥路面のみならず、湿潤路面、氷雪路面等の様々な路面上でのタイヤの制動性や駆動性を向上させるために、種々の検討がなされている。例えば、湿潤路面での性能を向上させるために、天然ゴム(NR)やブタジエンゴム(BR)等のゴム成分と共にアロマオイルを配合したゴム組成物をトレッドゴムに用いる技術が知られている(特許文献1)。
また、シリカのような無機充填剤を、トレッドゴム用のゴム組成物に配合することによって、ウェットグリップ性能を向上させる技術も知られている(特許文献2)。
しかしながら、特許文献1のアロマオイルを配合する技術については、アロマオイルとNRやBRとの相溶性が高くないため、湿潤路面での性能を向上させる効果が小さく、また、アロマオイルを配合すると、転がり抵抗や耐摩耗性が悪化する等の問題があった。
また、特許文献2の無機充填剤を配合する技術についても、無機充填剤を配合しただけでは、氷雪路面や湿潤路面でのグリップ性を大きく改善することは難しく、無機充填剤を多く配合した場合には、低ロス性を悪化させ、転がり抵抗の上昇を招くという問題もあった。
特開平5−269884号公報 特開2009−256540号公報
そのため、本発明の目的は、優れた氷雪路面及び湿潤路面でのグリップ性能を有しつつ、転がり抵抗の低減及び耐摩耗性の向上を可能にした、タイヤを提供することにある。
上記課題を解決する本発明の要旨構成は、以下の通りである。
本発明のタイヤは、ベースゴムと、該ベースゴムのタイヤ半径方向外側に位置するキャップゴムと、を有するトレッド部を備えたタイヤであって、
前記ベースゴムは、貯蔵弾性率E’が10MPaより大きく、
前記キャップゴムは、変性共役ジエン系重合体(A1)を含むゴム成分(A)と、シリカ(B1)及びカーボンブラック(B2)を含む補強性充填剤(B)と、低温軟化剤(C)と、を含み、
前記変性共役ジエン系重合体(A1)は、重量平均分子量が20×10以上300×10以下であって、該変性共役ジエン系重合体(A1)の総量に対して、分子量が200×10以上500×10以下である変性共役ジエン系重合体を、0.25質量%以上30質量%以下含有し、収縮因子(g’)が0.64未満であり、
前記シリカ(B1)の含有量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して65〜155質量部であることを特徴とする。
上記構成を具えることによって、優れた氷雪路面及び湿潤路面でのグリップ性能を有しつつ、転がり抵抗の低減及び耐摩耗性の向上が可能となる。
また、本発明のタイヤでは、前記ゴム成分(A)が、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム及びイソプレンゴムからなる群より選択される少なくとも一種(A2)を、さらに含むことが好ましい。タイヤの氷雪路面及び湿潤路面でのグリップ性能と、転がり抵抗の低減及び耐摩耗性の向上とを、より高いレベルで両立できるためである。
さらに、本発明のタイヤでは、前記低温軟化剤(C)が、オレイン酸オクチルであることが好ましい。タイヤの氷雪路面及び湿潤路面でのグリップ性能を、より向上できるためである。
また、本発明のタイヤでは、前記キャップゴムが、熱可塑性樹脂(D)を、さらに含むことが好ましい。タイヤの氷雪路面及び湿潤路面でのグリップ性能を、より向上できるためである。
さらに、本発明のタイヤでは、前記変性共役ジエン系重合体(A1)は、分岐を有し、分岐度が5以上であることが好ましい。タイヤの氷雪路面及び湿潤路面でのグリップ性能を、より向上できるためである。
また、本発明のタイヤでは、前記変性共役ジエン系重合体(A1)は、1以上のカップリング残基と、該カップリング残基に対して結合する共役ジエン系重合体鎖と、を有し、
前記分岐は、1の前記カップリング残基に対して5以上の前記共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むことが好ましい。タイヤの氷雪路面及び湿潤路面でのグリップ性能を、より向上できるためである。
さらに、本発明のタイヤでは、前記変性共役ジエン系重合体(A1)は、下記一般式(I):
Figure 2020075831
[式中、Dは、共役ジエン系重合体鎖を示し、R、R及びRは、それぞれ独立して単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基を示し、R、R、及びRは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、R及びR10は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R11は、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、m及びxは、それぞれ独立して1〜3の整数を示し、x≦mであり、pは、1又は2を示し、yは、1〜3の整数を示し、y≦(p+1)であり、zは、1又は2の整数を示し、それぞれ複数存在する場合のD、R〜R11、m、p、x、y、及びzは、それぞれ独立しており、iは、0〜6の整数を示し、jは、0〜6の整数を示し、kは、0〜6の整数を示し、(i+j+k)は、3〜10の整数であり、((x×i)+(y×j)+(z×k))は、5〜30の整数であり、Aは、炭素数1〜20の、炭化水素基、又は、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を有し、かつ、活性水素を有しない有機基を示す]で表されることが好ましく、
前記一般式(I)において、Aは、下記一般式(II):
Figure 2020075831
[式中、Bは、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示し、複数存在する場合のBは、各々独立している]、
下記一般式(III):
Figure 2020075831
[式中、Bは、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Bは、炭素数1〜20のアルキル基を示し、aは、1〜10の整数を示し、それぞれ複数存在する場合のB及びBは、各々独立している]、
下記一般式(IV):
Figure 2020075831
[式中、Bは、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示し、複数存在する場合のBは、各々独立している]、
下記一般式(V):
Figure 2020075831
[式中、Bは、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示し、複数存在する場合のBは、各々独立している]のいずれかで表されることがより好ましい。
タイヤの氷雪路面及び湿潤路面でのグリップ性能と、転がり抵抗の低減及び耐摩耗性の向上とを、より高いレベルで両立できるためである。
さらにまた、本発明のタイヤでは、前記変性共役ジエン系重合体(A1)は、共役ジエン系重合体を、下記一般式(VI):
Figure 2020075831
[式中、R12、R13及びR14は、それぞれ独立して単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R15、R16、R17、R18及びR20は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基を示し、R19及びR22は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R21は、炭素数1〜20の、アルキル基又はトリアルキルシリル基を示し、mは、1〜3の整数を示し、pは、1又は2を示し、R12〜R22、m及びpは、複数存在する場合、それぞれ独立しており、i、j及びkは、それぞれ独立して0〜6の整数を示し、但し、(i+j+k)は、3〜10の整数であり、Aは、炭素数1〜20の、炭化水素基、又は、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子からなる群から選択される少なくとも一種の原子を有し、活性水素を有しない有機基を示す]で表されるカップリング剤と反応させてなることが好ましく、前記一般式(VI)で表されるカップリング剤が、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、及びテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンからなる群から選択される少なくとも一種であることがより好ましい。
タイヤの転がり抵抗さらに低減できるためである。
本発明によれば、優れた氷雪路面及び湿潤路面でのグリップ性能を有しつつ、転がり抵抗の低減及び耐摩耗性の向上を可能にしたタイヤを提供できる。
以下に、本発明のタイヤを、その実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明のタイヤは、ベースゴムと、該ベースゴムのタイヤ半径方向外側に位置するキャップゴムと、を有するトレッド部を備えたタイヤである。
そして、本発明は、
前記ベースゴムについては、貯蔵弾性率E’が10MPaより大きく、
前記キャップゴムについては、変性共役ジエン系重合体(A1)を含むゴム成分(A)と、シリカ(B1)及びカーボンブラック(B2)を含む補強性充填剤(B)と、低温軟化剤(C)と、を含み、
前記変性共役ジエン系重合体(A1)は、重量平均分子量が20×10以上300×10以下であって、該変性共役ジエン系重合体(A1)の総量に対して、分子量が200×10以上500×10以下である変性共役ジエン系重合体を、0.25質量%以上30質量%以下含有し、収縮因子(g’)が0.64未満であり、
前記シリカ(B1)の含有量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して65〜155質量部であることを特徴とする。
前記キャップゴムのゴム成分(A)として、変性共役ジエン系重合体(A1)を使用するとともに、低温軟化剤(C)を含有させることによって、低温域での損失正接(tanδ)を向上させることができるとともに、低温域での損失正接(tanδ)は、タイヤの氷雪性能及びウェット性能に関連していることから、低温域の損失正接(tanδ)が向上することによって、氷雪路面及び湿潤路面でのグリップ性能を向上させることができる。
さらに、前記キャップゴムのゴム成分(A)として、変性共役ジエン系重合体(A1)を用いることによって、前記キャップゴム中に多く含まれるシリカ(B1)の分散性が高まる結果、転がり抵抗及び耐摩耗性についても改善を図ることができる。
さらにまた、前記ベースゴムとして、貯蔵弾性率が高い(E’>10MPa)ゴムを用いることによって、路面への接地性が高まるとともに、ブロックのせん断変形を抑制でき、蹴りだし時の滑りを抑えることができる結果、氷雪路面及び湿潤路面でのグリップ性能と、耐摩耗性の向上及び転がり抵抗低減とのバランスについて、さらなる改善が可能となる。
また、前記ベースゴムの粘弾性と、前記キャップゴムの粘弾性とが、ベースゴムの粘弾性の方が高いことが好ましい。特に、キャップゴムの30℃の貯蔵弾性率E’/ベースゴムの30℃の貯蔵弾性率E’は、0.5より小さいことが好ましく、0.4より小さいことがより好ましく、0.35より小さいことがさらに好ましい。なお、前記ベースゴムの軟化点及び前記キャップゴムの粘弾性は、それぞれのゴムの材料となる後述のゴム組成物の組成を調整することによって、制御することが可能である。
さらに、前記ベースゴムの軟化点及び前記キャップゴムの軟化点は、それぞれのゴムの材料となる後述のゴム組成物の組成(例えば軟化剤の含有量等)を調整することによって、制御することが可能である。
なお、前記ベースゴム及び前記キャップゴムの厚さについては、タイヤ幅方向の断面を観察した際の、タイヤ赤道面上のベースゴムの厚さ及びキャップゴムの厚さとする。
(キャップゴム)
本発明のタイヤは、上述したように、ベースゴム及びキャップゴムを有するトレッド部を備え、前記キャップゴムは、変性共役ジエン系重合体(A1)を含むゴム成分(A)と、シリカ(B1)及びカーボンブラック(B2)を含む補強性充填剤(B)と、低温軟化剤(C)と、を含む。
なお、前記キャップゴムの粘弾性としては、15Hz、30℃、歪1%で測定した際の貯蔵弾性率E’が4〜8MPaであることが好ましく、4.5〜6.5MPaであることがより好ましく、5〜6.2がさらに好ましく、5.2〜6.0であることが特に好ましく、5.4〜5.95MPaであることが最も好ましい。
前記キャップゴムのゴム成分(A)については、変性共役ジエン系重合体(A1)を含み、必要に応じて、その他のゴム成分を含むことができる。
ここで、前記変性共役ジエン系重合体(A1)は、重量平均分子量(Mw)が20×10以上300×10以下であって、該変性共役ジエン系重合体(A1)の総量に対して、分子量が200×10以上500×10以下である変性共役ジエン系重合体を、0.25質量%以上30質量%以下含有し、収縮因子(g’)が0.64未満である。
一般に、分岐を有する重合体は、同一の絶対分子量である直鎖状の重合体と比較した場合に、分子の大きさが小さくなる傾向にあり、前記収縮因子(g’)は、想定上同一の絶対分子量である直鎖状重合体に対する、分子の占める大きさの比率の指標である。即ち、重合体の分岐度が大きくなれば、収縮因子(g’)は小さくなる傾向にある。本実施形態では、分子の大きさの指標として固有粘度を用い、直鎖状の重合体は、固有粘度[η]=−3.883M0.771の関係式に従うものとして用いる。変性共役ジエン系重合体の各絶対分子量のときの収縮因子(g’)を算出し、絶対分子量が100×10〜200×10のときの収縮因子(g’)の平均値を、その変性共役ジエン系重合体の収縮因子(g’)とする。ここで、「分岐」とは、1つの重合体に対して、他の重合体が直接的又は間接的に結合することにより形成されるものである。また、「分岐度」は、1の分岐に対して、直接的又は間接的に互いに結合している重合体の数である。例えば、後述するカップリング残基を介して間接的に、後述の5つの共役ジエン系重合体鎖が互いに結合している場合には、分岐度は5である。なお、カップリング残基とは、共役ジエン系重合体鎖に結合される、変性共役ジエン系重合体の構成単位であり、例えば、後述する共役ジエン系重合体とカップリング剤とを反応させることによって生じる、カップリング剤由来の構造単位である。また、共役ジエン系重合体鎖は、変性共役ジエン系重合体の構成単位であり、例えば、後述する共役ジエン系重合体とカップリング剤とを反応させることによって生じる、共役ジエン系重合体由来の構造単位である。
前記収縮因子(g’)は、0.64未満であり、好ましくは0.63以下であり、より好ましくは0.60以下であり、さらに好ましくは0.59以下であり、より一層好ましくは0.57以下である。また、収縮因子(g’)の下限は特に限定されず、検出限界値以下であってもよいが、好ましくは0.30以上であり、より好ましくは0.33以上であり、さらに好ましくは0.35以上であり、より一層好ましくは0.45以上である。収縮因子(g’)がこの範囲である変性共役ジエン系重合体(A1)を使用することで、変性共役ジエン系重合体(A1)を配合した前記キャップゴムを構成するゴム組成物(以下、単に「ゴム組成物」ということがある。)の加工性が向上する。
収縮因子(g’)は分岐度に依存する傾向にあるため、例えば、分岐度を指標として収縮因子(g’)を制御することができる。具体的には、分岐度が6である変性共役ジエン系重合体とした場合には、その収縮因子(g’)は0.59以上0.63以下となる傾向にあり、分岐度が8である変性共役ジエン系重合体とした場合には、その収縮因子(g’)は0.45以上0.59以下となる傾向にある。収縮因子(g’)は、後述する実施例に記載の方法により測定する。
前記変性共役ジエン系重合体(A1)は、分岐を有し、分岐度が5以上であることが好ましい。また、変性共役ジエン系重合体(A1)は、1以上のカップリング残基と、該カップリング残基に対して結合する共役ジエン系重合体鎖とを有し、さらに、上記分岐が、1の当該カップリング残基に対して5以上の当該共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むことがより好ましい。分岐度が5以上であること、及び、分岐が、1のカップリング残基に対して5以上の共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むよう、変性共役ジエン系重合体の構造を特定することにより、より確実に収縮因子(g’)を0.64未満にすることができる。なお、1のカップリング残基に対して結合している共役ジエン系重合体鎖の数は、収縮因子(g’)の値から確認することができる。
また、前記変性共役ジエン系重合体(A1)は、分岐を有し、分岐度が6以上であることがより好ましい。また、変性共役ジエン系重合体(A1)は、1以上のカップリング残基と、該カップリング残基に対して結合する共役ジエン系重合体鎖とを有し、さらに、上記分岐が、1の当該カップリング残基に対して6以上の当該共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むことが、さらに好ましい。分岐度が6以上であること、及び、分岐が、1のカップリング残基に対して6以上の共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むよう、変性共役ジエン系重合体の構造を特定することにより、収縮因子(g’)を0.63以下にすることができる。
さらに、前記変性共役ジエン系重合体(A1)は、分岐を有し、分岐度が7以上であることがさらに好ましく、分岐度が8以上であることがより一層好ましい。分岐度の上限は特に限定されないが、18以下であることが好ましい。また、変性共役ジエン系重合体(A1)は、1以上のカップリング残基と、該カップリング残基に対して結合する共役ジエン系重合体鎖とを有し、さらに、上記分岐が、1の当該カップリング残基に対して7以上の当該共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むことが、より一層好ましく、1の当該カップリング残基に対して8以上の当該共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むことが、特に好ましい。分岐度が8以上であること、及び、分岐が、1のカップリング残基に対して8以上の共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むよう、変性共役ジエン系重合体の構造を特定することにより、収縮因子(g’)を0.59以下にすることができる。
前記変性共役ジエン系重合体(A1)は、窒素原子と、ケイ素原子とを有することが好ましい。この場合、変性共役ジエン系重合体(A1)を配合したゴム組成物の加工性が良好となり、タイヤの氷雪路面及び湿潤路面でのグリップ性能、並びに、耐摩耗性を向上させつつ、転がり抵抗をより低減できる。なお、変性共役ジエン系重合体(A1)が窒素原子を有することは、後述する実施例記載の方法で、特定のカラムへの吸着の有無によって確認することができる。また、変性共役ジエン系重合体(A1)がケイ素原子を有することは、後述する実施例に記載の方法で金属分析によって確認することができる。
前記共役ジエン系重合体鎖は、少なくともその1つの末端が、それぞれカップリング残基が有するケイ素原子と結合していることが好ましい。この場合、複数の共役ジエン系重合体鎖の末端が、1のケイ素原子と結合していてもよい。また、共役ジエン系重合体鎖の末端と炭素数1〜20のアルコキシ基又は水酸基とが、一つのケイ素原子に結合し、その結果として、その1つのケイ素原子が炭素数1〜20のアルコキシシリル基又はシラノール基を構成していてもよい。
前記変性共役ジエン系共重合体(A1)は、伸展油を加えた油展重合体とすることができる。該変性共役ジエン系共重合体(A1)は、非油展であっても、油展であってもよいが、耐摩耗性の観点から、100℃で測定されるムーニー粘度が、20以上100以下であることが好ましく、30以上80以下であることがより好ましい。なお、ムーニー粘度は、後述する実施例に記載の方法により測定する。
前記変性共役ジエン系重合体(A1)の重量平均分子量(Mw)は、20×10以上300×10以下であり、好ましくは50×10以上であり、より好ましくは64×10以上であり、さらに好ましくは80×10以上である。また、上記重量平均分子量は、好ましくは250×10以下であり、更に好ましくは180×10以下であり、より好ましくは150×10以下である。重量平均分子量が20×10未満では、タイヤの氷雪路面及び湿潤路面でのグリップ性能と転がり抵抗の低減とを、高いレベルで両立することができない。また、重量平均分子量が300×10を超えると、前記変性共役ジエン系共重合体(A1)を含むゴム組成物の加工性が悪化する。変性共役ジエン系重合体(A1)及び後述する共役ジエン系重合体の重量平均分子量は、後述する実施例に記載の方法により測定する。
前記変性共役ジエン系重合体(A1)は、該変性共役ジエン系重合体の総量(100質量%)に対して、分子量が200×10以上500×10以下である変性共役ジエン系重合体(以下、「特定の高分子量成分」ともいう。)を、0.25質量%以上30質量%以下含む。該特定の高分子量成分の含有量が0.25質量%未満でも、30質量%を超えても、タイヤの氷雪路面及び湿潤路面でのグリップ性能と転がり抵抗の低減とを、高いレベルで両立することができない。
前記変性共役ジエン系重合体(A1)は、特定の高分子量成分を、好ましくは1.0質量%以上含み、より好ましくは1.4質量%以上含み、さらに好ましくは1.75質量%以上含み、より一層好ましくは2.0質量%以上含み、特に好ましくは2.15質量%以上含み、極めて好ましくは2.5質量%以上含む。また、変性共役ジエン系重合体(A1)は、特定の高分子量成分を、好ましくは28質量%以下含み、より好ましくは25質量%以下含み、さらに好ましくは20質量%以下含み、より一層好ましくは18質量%以下含む。
なお、本明細書において「分子量」とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によって得られる、標準ポリスチレン換算分子量である。特定の高分子量成分の含有量がこのような範囲にある変性共役ジエン系重合体(A1)を得るためには、後述する重合工程と反応工程とにおける反応条件を制御することが好ましい。例えば、重合工程においては、後述する有機モノリチウム化合物の重合開始剤としての使用量を調整すればよい。また、重合工程において、連続式、及び回分式のいずれの重合様式においても、滞留時間分布を有する方法を用いる、すなわち、成長反応の時間分布を広げるとよい。
前記変性共役ジエン系重合体(A1)においては、数平均分子量(Mn)に対する重量平均分子量(Mw)の比で表される分子量分布(Mw/Mn)は、1.6以上3.0以下が好ましい。変性共役ジエン系重合体(A1)の分子量分布がこの範囲であれば、変性共役ジエン系重合体(A1)を含むゴム組成物の加工性が良好となる。
なお、変性共役ジエン系重合体(A1)及び後述する共役ジエン系重合体に対する、数平均分子量、重量平均分子量、分子量分布、特定の高分子量成分の含有量は、後述する実施例に記載の方法により測定する。
前記変性共役ジエン系重合体(A1)の製造方法は、特に限定されるものではないが、有機モノリチウム化合物を重合開始剤として用い、少なくとも共役ジエン化合物を重合し、共役ジエン系重合体を得る重合工程と、該共役ジエン系重合体の活性末端に対して、5官能以上の反応性化合物(以下、「カップリング剤」ともいう。)を反応させる反応工程と、を有することが好ましい。カップリング剤としては、窒素原子とケイ素原子とを有する5官能以上の反応性化合物を反応させるのが好ましい。
前記変性共役ジエン系重合体(A1)は、共役ジエン系重合体を、一般式(VI)で表されるカップリング剤と反応させてなることが好ましい。該カップリング剤と反応させてなる変性共役ジエン系重合体(A1)を含むゴム組成物をタイヤに使用することで、タイヤの耐摩耗性を向上させ、転がり抵抗の低減が可能となる。
Figure 2020075831
なお、一般式(VI)中、R12、R13及びR14は、それぞれ独立して単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R15、R16、R17、R18及びR20は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基を示し、R19及びR22は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R21は、炭素数1〜20の、アルキル基又はトリアルキルシリル基を示し、mは、1〜3の整数を示し、pは、1又は2を示し、R11〜R22、m及びpは、複数存在する場合、それぞれ独立しており、i、j及びkは、それぞれ独立して0〜6の整数を示し、但し、(i+j+k)は、3〜10の整数であり、Aは、炭素数1〜20の、炭化水素基、又は、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子からなる群から選択される少なくとも一種の原子を有し、活性水素を有しない有機基を示す。
ここで、一般式(VI)中、Aが示す炭化水素基は、飽和、不飽和、脂肪族、及び芳香族の炭化水素基を包含する。活性水素を有しない有機基としては、例えば、水酸基(−OH)、第2級アミノ基(>NH)、第1級アミノ基(−NH)、スルフヒドリル基(−SH)等の活性水素を有する官能基、を有しない有機基が挙げられる。
前記重合工程は、リビングアニオン重合反応による成長反応による重合が好ましく、これにより、活性末端を有する共役ジエン系重合体を得ることができ、高変性率の変性ジエン系重合体(A1)を得ることができる。
前記共役ジエン系重合体は、少なくとも共役ジエン化合物を重合して得られ、必要に応じて共役ジエン化合物とビニル置換芳香族化合物との両方を共重合して得られる。
前記共役ジエン化合物としては、炭素数4〜12の共役ジエン化合物が好ましく、より好ましくは炭素数4〜8の共役ジエン化合物である。このような共役ジエン化合物としては、例えば、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、及び1,3−ヘプタジエンが挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、1,3−ブタジエン、及びイソプレンが好ましい。これら共役ジエン化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記ビニル置換芳香族化合物としては、モノビニル芳香族化合物が好ましい。該モノビニル芳香族化合物としては、例えば、スチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルエチルベンゼン、ビニルキシレン、ビニルナフタレン、及びジフェニルエチレンが挙げられる。これらの中でも、工業的入手の容易さの観点から、スチレンが好ましい。これらビニル置換芳香族化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記有機モノリチウム化合物の重合開始剤としての使用量は、目標とする共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体の分子量によって決めることが好ましい。重合開始剤の使用量に対する、共役ジエン化合物等の単量体の使用量が重合度に関係し、すなわち、数平均分子量及び/又は重量平均分子量に関係する。従って、分子量を増大させるためには、重合開始剤を減らす方向に調整するとよく、分子量を低下させるためには、重合開始剤量を増やす方向に調整するとよい。
前記有機モノリチウム化合物は、工業的入手の容易さ及び重合反応のコントロールの容易さの観点から、好ましくは、アルキルリチウム化合物である。この場合、重合開始末端にアルキル基を有する、共役ジエン系重合体が得られる。アルキルリチウム化合物としては、例えば、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、及びスチルベンリチウムが挙げられる。アルキルリチウム化合物としては、工業的入手の容易さ及び重合反応のコントロールの容易さの観点から、n−ブチルリチウム、及びsec−ブチルリチウムが好ましい。これらの有機モノリチウム化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記重合工程において、重合反応様式としては、例えば、回分式、連続式の重合反応様式が挙げられる。連続式においては、1個又は2個以上の連結された反応器を用いることができる。連続式の反応器は、例えば、撹拌機付きの槽型、管型のものが用いられる。連続式においては、好ましくは、連続的に単量体、不活性溶媒、及び重合開始剤が反応器にフィードされ、該反応器内で重合体を含む重合体溶液が得られ、連続的に重合体溶液が排出される。回分式の反応器は、例えば、攪拌機付の槽型のものが用いられる。回分式においては、好ましくは、単量体、不活性溶媒、及び重合開始剤がフィードされ、必要により単量体が重合中に連続的又は断続的に追加され、該反応器内で重合体を含む重合体溶液が得られ、重合終了後に重合体溶液が排出される。本実施形態において、高い割合で活性末端を有する共役ジエン系重合体を得るには、重合体を連続的に排出し、短時間で次の反応に供することが可能な、連続式が好ましい。
前記重合工程は、不活性溶媒中で重合することが好ましい。溶媒としては、例えば、飽和炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素系溶媒が挙げられる。具体的な炭化水素系溶媒としては、以下のものに限定されないが、例えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン等の脂環族炭化水素;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素及びそれらの混合物からなる炭化水素が挙げられる。重合反応に供する前に、不純物であるアレン類、及びアセチレン類を有機金属化合物で処理することで、高濃度の活性末端を有する共役ジエン系重合体が得られる傾向にあり、高い変性率の変性共役ジエン系重合体が得られる傾向にあるため好ましい。
前記重合工程においては、極性化合物を添加してもよい。極性化合物を添加することで、芳香族ビニル化合物を共役ジエン化合物とランダムに共重合させることができ、また、極性化合物は、共役ジエン部のミクロ構造を制御するためのビニル化剤としても用いることができる傾向にある。
前記極性化合物としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、ジオキサン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジメトキシベンゼン、2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパン等のエーテル類;テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、キヌクリジン等の第3級アミン化合物;カリウム−tert−アミラート、カリウム−tert−ブチラート、ナトリウム−tert−ブチラート、ナトリウムアミラート等のアルカリ金属アルコキシド化合物;トリフェニルホスフィン等のホスフィン化合物等を用いることができる。これらの極性化合物は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記重合工程において、重合温度は、生産性の観点から、0℃以上であることが好ましく、120℃以下であることがさらに好ましく、50℃以上100℃以下であることが特に好ましい。このような範囲にあることで、重合終了後の活性末端に対するカップリング剤の反応量を充分に確保することができる傾向にある。
前記共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体(A1)中の結合共役ジエン量は、特に限定されないが、40質量%以上100質量%以下であることが好ましく、55質量%以上80質量%以下であることがより好ましい。
また、前記共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体(A1)中の結合芳香族ビニル量は、特に限定されないが、0質量%以上60質量%以下であることが好ましく、20質量%以上45質量%以下であることがより好ましく、30質量%以上45質量%以下であることがさらに好ましく、35質量%以上45質量%以下であることが特に好ましく、39質量%以上45質量%以下であることが極めて好ましく、40質量%以上45質量%以下であることが最も好ましい。
前記結合共役ジエン量及び結合芳香族ビニル量が上記範囲であると、ゴム組成物をキャップゴムに適用した際に、低転がり抵抗と、ウェット性能と、耐摩耗性とを、高度にバランスすることが可能となる。
なお、結合芳香族ビニル量は、フェニル基の紫外吸光によって測定でき、ここから結合共役ジエン量も求めることができる。具体的には、後述する実施例に記載の方法に準じて測定する。
前記変性共役ジエン系重合体(A1)は、ガラス転移温度(Tg)が−50℃を超えることが好ましく、−30℃以上−20℃以下であることがより好ましく、−45℃以上−15℃以下であることがさらに好ましい。変性共役ジエン系重合体(A1)のガラス転移温度(Tg)が−45℃以上−15℃以下の範囲にあると、タイヤの氷雪路面及び湿潤路面でのグリップ性能と、転がり抵抗の低減及び耐摩耗性の向上とを、より高いレベルで両立することができる。
なお、ガラス転移温度については、ISO 22768:2006に従い、所定の温度範囲で昇温しながらDSC曲線を記録し、DSC微分曲線のピークトップ(Inflection point)をガラス転移温度とする。具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定する。
前記反応性化合物(カップリング剤)は、好ましくは、窒素原子とケイ素原子とを有する5官能以上の反応性化合物であることが好ましく、少なくとも3個のケイ素含有官能基を有していることが好ましい。さらに好ましいカップリング剤は、少なくとも1のケイ素原子が、炭素数1〜20のアルコキシシリル基又はシラノール基を構成するものであり、より好ましくは上記一般式(VI)で表される化合物である。
カップリング剤が有するアルコキシシリル基は、例えば、共役ジエン系重合体が有する活性末端と反応して、アルコキシリチウムが解離し、共役ジエン系重合体鎖の末端とカップリング残基のケイ素との結合を形成する傾向にある。カップリング剤1分子が有するSiORの総数から、反応により減じたSiOR数を差し引いた値が、カップリング残基が有するアルコキシシリル基の数となる。また、カップリング剤が有するアザシラサイクル基は、>N−Li結合及び共役ジエン系重合体末端とカップリング残基のケイ素との結合を形成する。なお、>N−Li結合は、仕上げ時の水等により容易に>NH及びLiOHとなる傾向にある。また、カップリング剤において、未反応で残存したアルコキシシリル基は、仕上げ時の水等により容易にシラノール(Si−OH基)となり得る傾向にある。
前記反応工程における反応温度は、好ましくは共役ジエン系重合体の重合温度と同様の温度であり、より好ましくは0℃以上120℃以下であり、さらに好ましくは50℃以上100℃以下である。また、重合工程後からカップリング剤が添加されるまでの温度変化は、好ましくは10℃以下であり、より好ましくは5℃以下である。
前記反応工程における反応時間は、好ましくは10秒以上であり、より好ましくは30秒以上である。重合工程の終了時から反応工程の開始時までの時間は、カップリング率の観点から、より短い方が好ましいが、より好ましくは5分以内である。
反応工程における混合は、機械的な攪拌、スタティックミキサーによる攪拌等のいずれでもよい。重合工程が連続式である場合は、反応工程も連続式であることが好ましい。反応工程における反応器は、例えば、撹拌機付きの槽型、管型のものが用いられる。カップリング剤は、不活性溶媒により希釈して反応器に連続的に供給してもよい。重合工程が回分式の場合は、重合反応器にカップリング剤を投入する方法でも、別の反応器に移送して反応工程を行ってもよい。
前記一般式(VI)において、Aは、好ましくは一般式(II)〜(V)のいずれかで表される。Aが一般式(II)〜(V)のいずれかで表されるものであることにより、より優れた性能を有する変性共役ジエン系重合体(A1)を得ることができる。
Figure 2020075831
前記一般式(II)中、Bは、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示す。複数存在する場合のBは、各々独立している。
前記一般式(III)中、Bは、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Bは、炭素数1〜20のアルキル基を示し、aは、1〜10の整数を示す。それぞれ複数存在する場合のB及びBは、各々独立している。
前記一般式(IV)中、Bは、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示す。複数存在する場合のBは、各々独立している。
前記一般式(V)中、Bは、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示す。複数存在する場合のBは、各々独立している。
なお、前記一般式(II)〜(V)中のB、B、B、Bに関して、炭素数1〜20の炭化水素基としては、炭素数1〜20のアルキレン基等が挙げられる。
好ましくは、前記一般式(VI)において、Aは、前記一般式(II)又は(III)で表され、kは、0を示す。
より好ましくは、前記一般式(VI)において、Aは、前記一般式(II)又は(III)で表され、kは、0を示し、前記一般式(II)又は(III)において、aは、2〜10の整数を示す。
より一層好ましくは、前記一般式(VI)において、Aは、前記一般式(II)で表され、kは、0を示し、前記一般式(II)において、aは、2〜10の整数を示す。
かかるカップリング剤としては、例えば、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]アミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリエトキシシリルプロピル)アミン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン、トリス(3−トリメトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン、ビス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−(3−トリスメトキシシリルプロピル)−メチル−1,3−プロパンジアミン等が挙げられ、これらの中でも、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンが特に好ましい。
前記カップリング剤としての一般式(VI)で表される化合物の添加量は、共役ジエン系重合体のモル数対カップリング剤のモル数が、所望の化学量論的比率で反応させるよう調整することができ、そのことにより所望の分岐度が達成される傾向にある。具体的な重合開始剤のモル数は、カップリング剤のモル数に対して、好ましくは5.0倍モル以上、より好ましくは6.0倍モル以上であることが好ましい。この場合、一般式(VI)において、カップリング剤の官能基数((m−1)×i+p×j+k)は、5〜10の整数であることが好ましく、6〜10の整数であることがより好ましい。
前記特定の高分子成分を有する変性共役ジエン系重合体(A1)を得るためには、共役ジエン系重合体の分子量分布(Mw/Mn)を、好ましくは1.5以上2.5以下、より好ましくは1.8以上2.2以下とするとよい。また、得られる変性共役ジエン系重合体(A2)は、GPCによる分子量曲線が一山のピークが検出されるものであることが好ましい。
前記変性共役ジエン系重合体(A1)のGPCによるピーク分子量をMp、共役ジエン系重合体のピーク分子量をMpとした場合、以下の式が成り立つことが好ましい。
(Mp/Mp)<1.8×10−12×(Mp−120×10+2
Mpは、20×10以上80×10以下、Mpは30×10以上150×10以下がより好ましい。Mp及びMpは、後述する実施例に記載の方法により求める。
前記変性共役ジエン系重合体(A1)の変性率は、好ましくは30質量%以上、より好ましくは50質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。変性率が30質量%以上であることで、ゴム組成物をキャップゴムに適用した際に、タイヤの耐摩耗性を向上させつつ、転がり抵抗を更に低減できる。なお、変性率は、後述する実施例に記載の方法により測定する。
前記反応工程の後、共重合体溶液に、必要に応じて、失活剤、中和剤等を添加してもよい。失活剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、水;メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール等が挙げられる。中和剤としては、以下のものに限定されないが、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、バーサチック酸(炭素数9〜11個で、10個を中心とする、分岐の多いカルボン酸混合物)等のカルボン酸;無機酸の水溶液、炭酸ガス等が挙げられる。
また、前記変性共役ジエン系重合体(A1)は、重合後のゲル生成を防止する観点及び加工時の安定性を向上させる観点から、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシトルエン(BHT)、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−tert−ブチルフェノール)プロピネート、2−メチル−4,6−ビス[(オクチルチオ)メチル]フェノール等の酸化防止剤を添加することが好ましい。
前記変性共役ジエン系重合体(A1)の加工性をより改善するために、必要に応じて、伸展油を変性共役ジエン系共重合体に添加することができる。伸展油を変性共役ジエン系重合体に添加する方法としては、以下のものに限定されないが、伸展油を該重合体溶液に加え、混合して、油展共重合体溶液としたものを脱溶媒する方法が好ましい。伸展油としては、例えば、アロマ油、ナフテン油、パラフィン油等が挙げられる。これらの中でも、環境安全上の観点、並びにオイルブリード防止及びウェット性能の観点から、IP346法による多環芳香族(PCA)成分が3質量%以下であるアロマ代替油が好ましい。アロマ代替油としては、Kautschuk Gummi Kunststoffe52(12)799(1999)に示されるTDAE(Treated Distillate Aromatic Extracts)、MES(Mild Extraction Solvate)等の他、RAE(Residual Aromatic Extracts)が挙げられる。
伸展油の添加量は、特に限定されないが、変性共役ジエン系重合体(A1)100質量部に対し、20質量部以下であることが好ましく、15質量部以下であることがより好ましく、12質量部以下であることが特に好ましい。また、伸展油の添加量は、変性共役ジエン系重合体(A1)100質量部に対し、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることが特に好ましい。
前記変性共役ジエン系重合体(A1)を、重合体溶液から取得する方法としては、公知の方法を用いることができる。その方法として、例えば、スチームストリッピング等で溶媒を分離した後、重合体を濾別し、さらにそれを脱水及び乾燥して重合体を取得する方法、フラッシングタンクで濃縮し、さらにベント押出し機等で脱揮する方法、ドラムドライヤー等で直接脱揮する方法が挙げられる。
上記一般式(VI)で表されるカップリング剤と、共役ジエン系重合体とを反応させてなる変性共役ジエン系重合体(A1)は、例えば、一般式(I)で表される。
Figure 2020075831
一般式(I)中、Dは、共役ジエン系重合体鎖を示し、該共役ジエン系重合体鎖の重量平均分子量は、10×10〜100×10であることが好ましい。該共役ジエン系重合体鎖は、変性共役ジエン系重合体の構成単位であり、例えば、共役ジエン系重合体とカップリング剤とを反応させることによって生じる、共役ジエン系重合体由来の構造単位である。
、R及びRは、各々独立に、単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R及びRは、各々独立に、炭素数1〜20のアルキル基を示し、R、R、及びRは、各々独立に、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、R及びR10は、各々独立に、炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R11は、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示す。m及びxは、1〜3の整数を示し、x≦mであり、pは、1又は2を示し、yは1〜3の整数を示し、y≦(p+1)であり、zは、1又は2の整数を示す。それぞれ複数存在する場合のD、R〜R11、m、p、x、y、及びzは、各々独立しており、同じであっても異なっていてもよい。また、iは、0〜6の整数を示し、jは0〜6の整数を示し、kは0〜6の整数を示し、(i+j+k)は3〜10の整数であり、((x×i)+(y×j)+(z×k))は、5〜30の整数である。Aは、炭素数1〜20の炭化水素基、又は、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、硫黄原子、及びリン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を有し、かつ、活性水素を有しない有機基を示す。Aが示す炭化水素基は、飽和、不飽和、脂肪族、及び芳香族の炭化水素基を包含する。上記活性水素を有しない有機基としては、例えば、水酸基(−OH)、第2級アミノ基(>NH)、第1級アミノ基(−NH)、スルフヒドリル基(−SH)等の活性水素を有する官能基、を有しない有機基が挙げられる。
上記一般式(I)において、Aは、上記一般式(II)〜(V)のいずれかで表されることが好ましい。Aが一般式(II)〜(V)のいずれかで表されることにより、ゴム組成物をキャップゴムに適用した際に、タイヤの低転がり抵抗及び耐摩耗性と、氷雪路面及び湿潤路面でのグリップ性能とを、高度にバランスさせることが可能となる。
また、好ましくは、前記一般式(I)において、Aは、前記一般式(II)又は(III)で表され、kは、0を示す。
より好ましくは、前記一般式(I)において、Aは、前記一般式(II)又は(III)で表され、kは、0を示し、前記一般式(II)又は(III)において、aは、2〜10の整数を示す。
より一層好ましくは、前記一般式(I)において、Aは、前記一般式(II)で表され、kは、0を示し、前記一般式(II)において、aは、2〜10の整数を示す。
前記キャップゴムのゴム成分(A)中の、前記変性共役ジエン系重合体(A1)の含有率は、20〜70質量%であることが好ましく、30〜50質量%であることがさらに好ましい。ゴム成分(A)中の変性共役ジエン系重合体(A1)の含有率が20質量%以上の場合、タイヤに適用した際に、タイヤのウェット性能を更に向上させることができる。また、ゴム成分(A)中の変性共役ジエン系重合体(A1)の含有率が70質量%以下の場合、ゴム組成物の加工性が向上する。
また、前記キャップゴムのゴム成分(A)は、その他のゴム成分として、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム及びイソプレンゴム(合成イソプレンゴム)からなる群より選択される少なくとも一種(A2)を、さらに含むことが好ましい。これらのゴム成分を含有することで、タイヤの氷雪路面及び湿潤路面でのグリップ性能と、転がり抵抗の低減及び耐摩耗性の向上とを、より高いレベルで両立できる。
なお、上述した、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム及びイソプレンゴム(合成イソプレンゴム)からなる群より選択される少なくとも一種(A2)については、未変性のゴムであっても、変性されたゴムであってもよい。
また、前記キャップゴムは、補強性充填剤(B)を含み、該補強性充填剤として、シリカ(B1)及びカーボンブラック(B2)を含む。
ここで、補強性充填剤(B)中のシリカ(B1)の含有比率は、80〜99質量%であることが好ましく、より好ましくは92〜98質量%、さらに好ましくは93〜97質量%である。補強性充填剤(B)中のシリカ(B1)の割合が80質量%であれば、補強性充填剤(B)を含んだゴム組成物の低ロス性の向上(ひいては転がり抵抗の低減)及び耐摩耗性の向上に寄与でき、99質量%以下とすることで、ゴム組成物の加工性悪化を抑えることができる。
さらに、前記シリカ(B1)の含有量は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して、65〜155質量部であり、好ましくは70〜150質量部、より好ましくは80〜130質量部である。前記シリカ(B1)の含有量が、記ゴム成分(A)100質量部に対して65質量部以上であれば、タイヤの氷雪路面及び湿潤路面でのグリップ性能を向上でき、155質量部以下とすることで、補強性充填剤(B)を含んだゴム組成物の加工性悪化を抑えることができる。
前記シリカ(B1)としては、例えば、湿式シリカ(含水ケイ酸)、乾式シリカ(無水ケイ酸)、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられ、これらの中でも、湿式シリカが好ましい。これらシリカは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
また、前記湿式シリカは、沈降シリカを用いることができる。なお、沈降シリカとは、製造初期に、反応溶液を比較的高温、中性〜アルカリ性のpH領域で反応を進めてシリカ一次粒子を成長させ、その後酸性側へ制御することで、一次粒子を凝集させる結果得られるシリカのことである。
また、前記シリカ(B1)は、セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)が、60〜200m/gであることが好ましく、80〜180m/gであることがより好ましい。前記シリカ(B1)のCTABが60m/g以上であれば、タイヤの耐摩耗性をより向上でき、前記シリカ(B1)のCTABが200m/g以下であれば、転がり抵抗やゴム組成物の加工性の悪化を抑制することができる。
なお、前記セチルトリメチルアンモニウムブロミド吸着比表面積(CTAB)(m/g)については、ASTM D3765−92に準拠して測定された値を意味する。ただし、ASTM D3765−92はカーボンブラックのCTABを測定する方法であるため、本発明では、標準品であるIRB#3(83.0m/g)の代わりに、別途セチルトリメチルアンモニウムブロミド(以下、CE−TRABと略記する)標準液を調製し、これによってシリカOT(ジ−2−エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム)溶液の標定を行い、上記シリカ表面に対するCE−TRAB1分子当たりの吸着断面積を0.35nmとして、CE−TRABの吸着量から算出される比表面積(m/g)をCTABの値とする。これは、カーボンブラックとシリカとでは表面が異なるので、同一表面積でもCE−TRABの吸着量に違いがあると考えられるためである。
また、前記補強性充填剤(B)としての、カーボンブラック(B2)としては、特に限定されるものではなく、例えば、GPF、FEF、HAF、ISAF、SAFグレードのカーボンブラックが挙げられる。これらの中でも、ゴム組成物の耐摩耗性を向上させる観点から、ISAF、SAFグレードのカーボンブラックが好ましい。これらカーボンブラックは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
前記キャップゴム中のカーボンブラック(B2)の含有量は、特に限定はされないが、前記ゴム成分(A)100質量部に対して1〜15質量部の範囲が好ましく、3〜10質量部の範囲がより好ましい。カーボンブラックを1質量部以上配合することで、タイヤの耐摩耗性をより向上し、また、カーボンブラックの配合量が15質量部以下であれば、タイヤの転がり抵抗の悪化を十分に抑制できる。
また、前記補強性充填剤(B)は、上述したシリカ(B1)、カーボンブラック(B2)の他、下記一般式(XX):
nM・xSiO・zHO ・・・ (XX)
[式中、Mは、アルミニウム、マグネシウム、チタン、カルシウム及びジルコニウムからなる群から選ばれる金属、これらの金属の酸化物又は水酸化物、及びそれらの水和物、またはこれらの金属の炭酸塩から選ばれる少なくとも一種であり;n、x、y及びzは、それぞれ1〜5の整数、0〜10の整数、2〜5の整数、及び0〜10の整数である]で表される無機化合物を含むこともできる。
前記一般式(XX)の無機化合物としては、γ−アルミナ、α−アルミナ等のアルミナ(Al)、ベーマイト、ダイアスポア等のアルミナ一水和物(Al・H2O)、ギブサイト、バイヤライト等の水酸化アルミニウム[Al(OH)]、炭酸アルミニウム[Al(CO]、水酸化マグネシウム[Mg(OH)]、酸化マグネシウム(MgO)、炭酸マグネシウム(MgCO)、タルク(3MgO・4SiO・H2O)、アタパルジャイト(5MgO・8SiO・9HO)、チタン白(TiO2)、チタン黒(TiO2n−1)、酸化カルシウム(CaO)、水酸化カルシウム[Ca(OH)]、酸化アルミニウムマグネシウム(MgO・Al)、クレー(Al・2SiO)、カオリン(Al・2SiO・2HO)、パイロフィライト(Al・4SiO・H2O)、ベントナイト(Al・4SiO・2HO)、ケイ酸アルミニウム(AlSiO、Al・3SiO・5HO等)、ケイ酸マグネシウム(MgSiO、MgSiO等)、ケイ酸カルシウム(CaSiO等)、ケイ酸アルミニウムカルシウム(Al・CaO・2SiO等)、ケイ酸マグネシウムカルシウム(CaMgSiO)、炭酸カルシウム(CaCO)、酸化ジルコニウム(ZrO)、水酸化ジルコニウム[ZrO(OH)・nHO]、炭酸ジルコニウム[Zr(CO]、各種ゼオライトのように、電荷を補正する水素、アルカリ金属又はアルカリ土類金属を含む結晶性アルミノケイ酸塩等を挙げることができる。
前記一般式(XX)の無機化合物は、耐摩耗性とウェット性能のバランスの観点から、平均粒径が0.01〜10μmであることが好ましく、0.05〜5μmであることが更に好ましい。
前記一般式(XX)の無機化合物の配合量は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して5〜25質量部の範囲が好ましく、5〜20質量部の範囲が更に好ましい。
また、前記キャップゴムは、前記シリカ(B1)の配合効果を向上させるために、シランカップリング剤(E)を含むこともできる。該シランカップリング剤(E)としては、下記式(VII):
3−mSi−(CH−S−(CH−SiA3−m ・・・ (VII)
[式(VII)中、AはC2n+1O(nは1〜3の整数)又は塩素原子であり、Bは炭素数1〜3のアルキル基であり、mは1〜3の整数、aは1〜9の整数、bは1以上の整数である。但し、mが1の時、Bは互いに同一であっても異なっていてもよく、mが2又は3の時、Aは互いに同一であっても異なっていてもよい。]で表される化合物、下記式(VIII):
3−mSi−(CH−Y ・・・ (VIII)
[式(VIII)中、AはC2n+1O(nは1〜3の整数)又は塩素原子であり、Bは炭素数1〜3のアルキル基であり、Yはメルカプト基、ビニル基、アミノ基、グリシドキシ基又はエポキシ基であり、mは1〜3の整数、cは0〜9の整数である。但し、mが1の時、Bは互いに同一であっても異なっていてもよく、mが2又は3の時、Aは互いに同一であっても異なっていてもよい。]で表される化合物、下記式(IX):
3−mSi−(CH−S−Z ・・・ (IX)
[式(IX)中、AはC2n+1O(nは1〜3の整数)又は塩素原子であり、Bは炭素数1〜3のアルキル基であり、Zはベンゾチアゾリル基、N,N−ジメチルチオカルバモイル基又はメタクリロイル基であり、mは1〜3の整数、aは1〜9の整数、bは1以上の整数で分布を有していてもよい。但し、mが1の時、Bは互いに同一であっても異なっていてもよく、mが2又は3の時、Aは互いに同一であっても異なっていてもよい。]で表される化合物、及び下記式(X):
31 32 33 Si−R34−S−CO−R35 ・・・ (X)
[式(X)中、R31は、R36O−、R36C(=O)O−、R3637C=NO−、R3637NO−、R3637N−及び−(OSiR3637(OSiR353637)から選択され、かつ炭素数が1〜18であり(但し、R36及びR37は、それぞれ独立してアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基及びアリール基から選択され、かつ炭素数が1〜18であり、nは0〜10である);
32は、水素、又は炭素数1〜18のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基及びアリール基から選択され;
33は、−[O(R38O)0.5−(但し、R38は、アルキレン基及びシクロアルキレン基から選択され、かつ炭素数が1〜18であり、mは1〜4である)であり;
x、y及びzは、x+y+2z=3、0≦x≦3、0≦y≦2、0≦z≦1の関係を満たし;
34は、アルキレン基、シクロアルキレン基、シクロアルキルアルキレン基、アルケニレン基、アリーレン基及びアラルキレン基から選択され、かつ炭素数が1〜18であり;
35は、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アリール基及びアラルキル基から選択され、かつ炭素数が1〜18である。]で表される化合物が好ましい。これらシランカップリング剤(E)(C)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
上記式(VII)で表される化合物としては、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−メチルジメトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルエチル)テトラスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリメトキシシリルプロピル)ジスルフィド、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)トリスルフィド等が挙げられる。
また、上記式(VIII)で表される化合物としては、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピル−ジ(トリデカン−1−オキシ−13−ペンタ(エチレンオキシド))エトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン等が挙げられる。これらの市販品としては、例えば、エボニック・デグッサ社製の商品名「VP Si363」が挙げられる。
さらに、上記式(IX)で表される化合物としては、3-トリメトキシシリルプロピル−N,N−ジメチルカルバモイルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルベンゾチアゾリルテトラスルフィド、3−トリメトキシシリルプロピルメタクリロイルモノスルフィド等が挙げられる。
また、上記式(X)で表される化合物については、式(X)中、R32、R35、R36及びR37において、アルキル基は、直鎖状でも分岐状でもよく、該アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。また、アルケニル基も、直鎖状でも分岐状でもよく、該アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、メタニル基等が挙げられる。さらに、シクロアルキル基としては、シクロヘキシル基、エチルシクロヘキシル基等が、シクロアルケニル基としては、シクロヘキセニル基、エチルシクロヘキセニル基等が、アリール基としては、フェニル基、トリル基等が挙げられる。またさらに、R5において、アラルキル基としては、フェネチル基等が挙げられる。
上記式(X)中、R34及びR38において、アルキレン基は、直鎖状でも分岐状でもよく、該アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基等が挙げられる。また、シクロアルキレン基としては、シクロヘキシレン基等が挙げられる。またさらに、R34において、アルケニレン基は、直鎖状でも分岐状でもよく、該アルケニレン基としては、ビニレン基、プロペニレン基等が挙げられる。また、シクロアルキルアルキレン基としては、シクロヘキシルメチレン基等が、アリーレン基としては、フェニレン基等が、アラルキレン基としては、キシリレン基等が挙げられる。
上記式(X)中、R33において、−[O(R38O)0.5−基としては、1,2−エタンジオキシ基、1,3−プロパンジオキシ基、1,4−ブタンジオキシ基、1,5−ペンタンジオキシ基、1,6−ヘキサンジオキシ基等が挙げられる。
上記式(X)で表される化合物は、特表2001−505225号に記載の方法と同様に合成することができ、また、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製の商品名「NXT」(式(X)のR31=CO、R34=C、R35=C15、x=3、y=0、z=0:3−オクタノイルチオ−プロピルトリエトキシシラン)等の市販品を利用することもできる。
また、上記式(VII)、(VIII)、(IX)又は(X)で表される化合物の中でも、上記式(VIII)で表される化合物、上記式(X)で表される化合物が好ましい。
前記シランカップリング剤(E)の配合量については、シリカ(B1)の分散性を向上させる観点から、前記シリカ(B1)100質量部に対して1質量部以上が好ましく、4質量部以上がより好ましく、また、20質量部以下が好ましく、12質量部以下が更に好ましい。
また、本発明のタイヤのキャップゴムは、低温軟化剤(C)を含む。
前記低温軟化剤(C)を含むことによって、低温域(0℃近辺)でゴムを軟化できるため、優れた氷雪路面及び湿潤路面でのグリップ性能を実現できる。また、低温軟化剤(C)を含有するゴム組成物の加工性や、作業性を向上させる効果もある。
ここで、低温軟化剤については、例えば、鉱物由来のミネラルオイル、石油由来のアロマチックオイル、パラフィンオイル、ナフテンオイル、天然物由来のパームオイル、オレイン酸オクチル等が挙げられるが、これらの中でも、低温域での軟化性能に優れ、タイヤの氷雪路面及び湿潤路面でのグリップ性能をより向上できる観点から、オレイン酸オクチルを用いることが好ましい。
前記低温軟化剤(C)の含有量については、特に限定はされないが、前記ゴム成分(A)100質量部に対して1〜5質量部の範囲が好ましく、1.5〜3質量部の範囲がより好ましい。低温軟化剤(C)を前記ゴム成分(A)100質量部に対して1質量部以上配合することで、氷雪路面及び湿潤路面でのグリップ性能の向上が可能となり、また、軟化剤を5質量部以下配合することで、剛性の低下を抑制できる。
また、本発明のタイヤのキャップゴムは、熱可塑性樹脂(D)を、さらに含むことが好ましい。前記キャップゴムが、熱可塑性樹脂(D)を含有することで、タイヤの氷雪路面及び湿潤路面でのグリップ性能と転がり抵抗の低減とを、より高いレベルで両立することができる。
前記熱可塑性樹脂(D)の含有量は、前記ゴム成分(A)100質量部に対して、1〜50質量部が好ましく、5〜30質量部がより好ましい。熱可塑性樹脂(D)の含有量がゴム成分(A)100質量部に対して1質量部以上であれば、ゴム組成物のウェット性能がより向上し、また、50質量部以下であれば、ゴム組成物の弾性率の低下をより抑制し易くなる。そのため、熱可塑性樹脂(D)の含有量が、ゴム成分(A)100質量部に対して1〜50質量部の場合、タイヤの氷雪路面をより向上させることができる。
前記熱可塑性樹脂(D)としては、C系樹脂、C−C系樹脂、C系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、テルペンフェノール樹脂、テルペン樹脂、ロジン樹脂、及びアルキルフェノール樹脂等が挙げられ、C系樹脂、C−C系樹脂、C系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、ロジン樹脂、及びアルキルフェノール樹脂から選択される少なくとも一種が好ましい。熱可塑性樹脂(D)として、C系樹脂、C−C系樹脂、C系樹脂、ジシクロペンタジエン樹脂、テルペンフェノール樹脂、テルペン樹脂、ロジン樹脂、及びアルキルフェノール樹脂の少なくとも一種を含む場合、タイヤのウェット性能を更に向上させることができる。
前記熱可塑性樹脂(D)の中でも、C系樹脂、C−C系樹脂及びC系樹脂が特に好ましい。C−C系樹脂及びC系樹脂は、天然ゴム(A1)との相溶性が高く、ゴム組成物の低歪領域での弾性率を高くする効果、並びにゴム組成物の高歪領域での弾性率を低下させる効果が更に大きくなり、タイヤのウェット性能を更に向上させることができる。前記熱可塑性樹脂(D)は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
前記C系樹脂とは、C系合成石油樹脂を指し、該C系樹脂としては、例えば、石油化学工業のナフサの熱分解によって得られるC留分を、AlCl、BF等のフリーデルクラフツ型触媒を用いて重合して得られる脂肪族系石油樹脂が挙げられる。前記C留分には、通常、1−ペンテン、2−ペンテン、2−メチル−1−ブテン、2−メチル−2−ブテン、3−メチル−1−ブテン等のオレフィン系炭化水素、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,2−ペンタジエン、1,3−ペンタジエン、3−メチル−1,2−ブタジエン等のジオレフィン系炭化水素等が含まれる。なお、前記C系樹脂としては、市販品を利用することができ、例えば、エクソンモービルケミカル社製脂肪族系石油樹脂である「エスコレッツ(登録商標)1000シリーズ」、日本ゼオン株式会社製脂肪族系石油樹脂である「クイントン(登録商標)100シリーズ」の内「A100、B170、M100、R100」、東燃化学社製「T−REZ RA100」等が挙げられる。
前記C−C系樹脂とは、C−C系合成石油樹脂を指し、該C−C系樹脂としては、例えば、石油由来のC留分とC留分とを、AlCl、BF等のフリーデルクラフツ型触媒を用いて重合して得られる固体重合体が挙げられ、より具体的には、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、インデン等を主成分とする共重合体等が挙げられる。該C−C系樹脂としては、C以上の成分の少ない樹脂が、ゴム成分との相溶性の観点から好ましい。ここで、「C以上の成分が少ない」とは、樹脂全量中のC以上の成分が50質量%未満、好ましくは40質量%以下であることを言うものとする。前記C−C系樹脂としては、市販品を利用することができ、例えば、商品名「クイントン(登録商標)G100B」(日本ゼオン株式会社製)、商品名「ECR213」(エクソンモービルケミカル社製)、商品名「T−REZ RD104」(東燃化学社製)等が挙げられる。
前記C系樹脂は、例えば、石油化学工業のナフサの熱分解により、エチレン、プロピレン等の石油化学基礎原料と共に副生するC留分である、ビニルトルエン、アルキルスチレン、インデンを主要なモノマーとする炭素数9の芳香族を重合した樹脂である。ここで、ナフサの熱分解によって得られるC留分の具体例としては、ビニルトルエン、α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、γ−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、インデン等が挙げられる。該C系樹脂は、C留分と共に、C留分であるスチレン等、C10留分であるメチルインデン、1,3−ジメチルスチレン等、更にはナフタレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、p−tert−ブチルスチレン等をも原料として用い、これらのC〜C10留分等を混合物のまま、例えばフリーデルクラフツ型触媒により共重合して得ることができる。また、前記C系樹脂は、水酸基を有する化合物、不飽和カルボン酸化合物等で変性された変性石油樹脂であってもよい。なお、前記C系樹脂としては、市販品を利用することができ、例えば、未変性C系石油樹脂としては、商品名「日石ネオポリマー(登録商標)L−90」、「日石ネオポリマー(登録商標)120」、「日石ネオポリマー(登録商標)130」、「日石ネオポリマー(登録商標)140」(JX日鉱日石エネルギー株式会社製)等が挙げられる。
前記ジシクロペンタジエン樹脂は、シクロペンタジエンを二量体化して得られるジシクロペンタジエンを主原料に製造された石油樹脂である。前記ジシクロペンタジエン樹脂としては、市販品を利用することができ、例えば、日本ゼオン株式会社製脂環式系石油樹脂である商品名「クイントン(登録商標)1000シリーズ」の内「1105、1325、1340」等が挙げられる。
前記テルペンフェノール樹脂は、例えば、テルペン類と種々のフェノール類とを、フリーデルクラフツ型触媒を用いて反応させたり、又はさらにホルマリンで縮合する方法で得ることができる。原料のテルペン類としては特に制限はなく、α−ピネンやリモネン等のモノテルペン炭化水素が好ましく、α−ピネンを含むものがより好ましく、特にα−ピネンであることが好ましい。該テルペンフェノール樹脂としては、市販品を利用することができ、例えば、商品名「タマノル803L」、「タマノル901」(荒川化学工業株式会社製)、商品名「YSポリスター(登録商標)U」シリーズ、「YSポリスター(登録商標)T」シリーズ、「YSポリスター(登録商標)S」シリーズ、「YSポリスター(登録商標)G」シリーズ、「YSポリスター(登録商標)N」シリーズ、「YSポリスター(登録商標)K」シリーズ、「YSポリスター(登録商標)TH」シリーズ(ヤスハラケミカル株式会社製)等が挙げられる。
前記テルペン樹脂は、マツ属の木からロジンを得る際に同時に得られるテレピン油、或いは、これから分離した重合成分を配合し、フリーデルクラフツ型触媒を用いて重合して得られる固体状の樹脂であり、β−ピネン樹脂、α−ピネン樹脂等が挙げられる。該テルペン樹脂としては、市販品を利用することができ、例えば、ヤスハラケミカル株式会社製の商品名「YSレジン」シリーズ(PX−1250、TR−105等)、ハーキュリーズ社製の商品名「ピコライト」シリーズ(A115、S115等)等が挙げられる。
前記ロジン樹脂は、マツ科の植物の樹液である松脂(松ヤニ)等のバルサム類を集めてテレピン精油を蒸留した後に残る残留物で、ロジン酸(アビエチン酸、パラストリン酸、イソピマール酸等)を主成分とする天然樹脂、及びそれらを変性、水素添加等で加工した変性樹脂、水添樹脂である。例えば、天然樹脂ロジン、その重合ロジンや部分水添ロジン;グリセリンエステルロジン、その部分水添ロジンや完全水添ロジンや重合ロジン;ペンタエリスリトールエステルロジン、その部分水添ロジンや重合ロジン等が挙げられる。天然樹脂ロジンとして、生松ヤニやトール油に含まれるガムロジン、トール油ロジン、ウッドロジン等がある。前記ロジン樹脂としては、市販品を利用することができ、例えば、商品名「ネオトール105」(ハリマ化成株式会社製)、商品名「SNタック754」(サンノプコ株式会社製)、商品名「ライムレジンNo.1」、「ペンセルA」及び「ペンセルAD」(荒川化学工業株式会社製)、商品名「ポリペール」及び「ペンタリンC」(イーストマンケミカル株式会社製)、商品名「ハイロジン(登録商標)S」(大社松精油株式会社製)等が挙げられる。
前記アルキルフェノール樹脂は、例えば、アルキルフェノールとホルムアルデヒドとの触媒下における縮合反応によって得られる。該アルキルフェノール樹脂としては、市販品を利用することができ、例えば、商品名「ヒタノール1502P」(アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、日立化成株式会社製)、商品名「タッキロール201」(アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業株式会社製)、商品名「タッキロール250−I」(臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業株式会社製)、商品名「タッキロール250−III」(臭素化アルキルフェノールホルムアルデヒド樹脂、田岡化学工業株式会社製)、商品名「R7521P」、「SP1068」、「R7510PJ」、「R7572P」及び「R7578P」(SI GROUP INC.製)等が挙げられる。
なお、前記キャップゴムには、上述した、ゴム成分(A)、補強性充填剤(B)、低温軟化剤(C)、熱可塑性樹脂(D)、シランカップリング剤(E)に加えて、ゴム工業界で通常使用される配合剤、例えば、ステアリン酸、老化防止剤、酸化亜鉛(亜鉛華)、加硫促進剤、加硫剤等を、本発明の目的を害しない範囲内で適宜選択して含むことができる。
(ベースゴム)
本発明のタイヤは、上述したように、ベースゴム及びキャップゴムを有するトレッド部を備え、前記ベースゴムは、貯蔵弾性率E’が6MPaより小さい。
ここで、前記ベースゴムの貯蔵弾性率E’は、30℃における貯蔵弾性率であり、例えば、ゴム組成物を配合・混練し、得られたゴム組成物を、145℃、33分間で加硫してなる、加硫ゴムに対して、粘弾性測定機で、−25℃〜65℃まで測定し、15Hz、30℃、歪1%で測定した際の弾性率とすることができる。
前記ベースゴムの貯蔵弾性率E’を高く(10MPaより大きく)設定することによって、氷雪路面及び湿潤路面でのグリップ性能を高く維持しつつ、転がり抵抗のさらなる低減及び耐摩耗性をさらなる向上が可能となる。
同様の観点から、前記ベースゴムの貯蔵弾性率E’は、12MPa以上であることが好ましく、15MPa以上であることがより好ましく、16MPa以上であることがより好ましく、16.5MPa以上であることがより好ましく、17MPa以上であることがさらに好ましい。なお、前記ベースゴムの貯蔵弾性率E’は、接地面積を確保する観点からは、18MPa以下であることが好ましい。
ここで、前記ベースゴムについては、ゴム成分と、充填剤と、その他の含有成分を含むことができる。
前記ベースゴムに含まれるゴム成分については、特に限定はされず、要求される性能に応じて適宜変更することができる。
例えば、より優れた耐摩耗性を得ることができる観点からは、天然ゴム若しくはジエン系合成ゴムを単独で、又は、天然ゴム及びジエン系合成ゴムを併用した形で、含有することができる。
また、前記ゴム成分は、前記ジエン系ゴム100%から構成することもできるが、本発明の目的を損なわない範囲であれば、ジエン系以外のゴムを含有することもできる。
ここで、前記ジエン系合成ゴムとしては、ポリブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、スチレンイソプレンブタジエンゴム(SIBR)、クロロプレンゴム(CR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)等が挙げられる。
また、非ジエン系ゴムについては、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)、エチレンプロピレンゴム(EPM)、ブチルゴム(IIR)等が挙げられる。
なお、これらの合成ゴムについては、1種単独で用いてもよいし、2種以上のブレンドとして用いてもよい。また、これらのゴムは変性基で変性されたものでもよい。
さらに、より優れた耐摩耗性が得られる観点から、前記ベースゴムに含まれるゴム成分は、少なくとも天然ゴムを含有し、ゴム成分中の天然ゴムの含有比率が、70〜100質量%であることが好ましい。
前記ベースゴムに含まれる充填剤については、特に限定はされず、要求される性能に応じて適宜変更することができる。
例えば、前記充填剤として、カーボンブラックや、シリカ、その他の無機充填剤等を含むことができる。
前記カーボンブラックの種類については、特に限定はされず、要求される性能に応じて適宜選択することができる。例えば、オイルファーネス法により製造された任意のハードカーボンを用いることができる。
また、前記ベースゴムに含まれる前記カーボンブラックの含有量については、前記ゴム成分100質量部に対して、35〜45質量部であることが好ましい。前記カーボンブラックの含有量を、前記ゴム成分100質量部に対して、35質量部以上とすることで、より高い補強性及び耐亀裂進展性を得ることができ、45質量部以下とすることで、転がり抵抗のさらなる改善を図ることができる。
前記シリカの種類については、例えば、湿式シリカ、コロイダルシリカ、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム等が挙げられる。
上述した中でも、前記シリカは、湿式シリカであることが好ましく、沈降シリカであることがより好ましい。これらのシリカは、分散性が高く、タイヤの転がり抵抗の低減を図り、耐摩耗性をより向上できる。なお、沈降シリカとは、製造初期に、反応溶液を比較的高温、中性〜アルカリ性のpH領域で反応を進めてシリカ一次粒子を成長させ、その後酸性側へ制御することで、一次粒子を凝集させる結果得られるシリカのことである。
なお、その他の無機化合物としては、上述したキャップゴムに用いられる無機化合物と同様の無機化合物が挙げられる。
なお、前記ベースゴムは、上述したゴム成分及び充填剤の他にも、その他の成分を、発明の効果を損なわない程度に含むことができる。
その他の成分としては、例えば、シランカップリング剤、軟化剤、ステアリン酸、老化防止剤、加硫促進剤、加硫剤等の、ゴム工業で通常使用されている添加剤を適宜含むことができる。
前記充填剤としてシリカを含有する場合には、シランカップリング剤をさらに含有することが好ましい。シリカによる補強性及び低発熱性の効果をさらに向上させることができるからである。なお、シランカップリング剤は、公知のものを適宜使用することができる。
前記軟化剤としては、公知のものを用いることができ、特に制限されない。例えば、例えば、パラフィン系、ナフテン系、アロマチック系等のプロセスオイルを用いることができる。引張強度、耐摩耗性を重視する用途にはアロマチック系が、低発熱性、低温特性を重視する用途にはナフテン系又はパラフィン系が用いられる。軟化剤の含有量は、例えば、前記ゴム成分100質量部に対して、0〜100質量部が好ましく、100質量部以下であれば加硫ゴムの引張強度、低発熱性(低燃費性)が悪化するのを抑制することができる。
前記老化防止剤としては、公知のものを用いることができ、特に制限されない。例えば、フェノール系老化防止剤、イミダゾール系老化防止剤、アミン系老化防止剤等を挙げることができる。これら老化防止剤は、1種又は2種以上を併用することができる。
前記加硫促進剤としては、公知のものを用いることができ、特に制限されるものではない。例えば、2−メルカプトベンゾチアゾール、ジベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系加硫促進剤;N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等のスルフェンアミド系加硫促進剤;ジフェニルグアニジン(1,3−ジフェニルグアニジン等)等のグアニジン系加硫促進剤;テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、テトラブチルチウラムジスルフィド、テトラドデシルチウラムジスルフィド、テトラオクチルチウラムジスルフィド、テトラベンジルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系加硫促進剤;ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛等のジチオカルバミン酸塩系加硫促進剤;ジアルキルジチオリン酸亜鉛等が挙げられる。
前記加硫促進助剤については、例えば、亜鉛華(ZnO)や脂肪酸等が挙げられる。脂肪酸としては、飽和若しくは不飽和、直鎖状若しくは分岐状のいずれの脂肪酸であってもよく、脂肪酸の炭素数も特に制限されないが、例えば炭素数1〜30、好ましくは15〜30の脂肪酸、より具体的にはシクロヘキサン酸(シクロヘキサンカルボン酸)、側鎖を有するアルキルシクロペンタン等のナフテン酸;ヘキサン酸、オクタン酸、デカン酸(ネオデカン酸等の分岐状カルボン酸を含む)、ドデカン酸、テトラデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸(ステアリン酸)等の飽和脂肪酸;メタクリル酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和脂肪酸;ロジン、トール油酸、アビエチン酸等の樹脂酸などが挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。本発明においては、亜鉛華及びステアリン酸を好適に用いることができる。
なお、本発明のタイヤは、トレッド部が上述したキャップゴム及びベースゴムを有すること以外は、特に限定はされない。
また、本発明のタイヤは、適用するタイヤの種類に応じ、未加硫のゴム組成物を用いて成形後に加硫してもよく、予備加硫工程等を経た半加硫ゴムを用いて成形後、さらに本加硫して製造してもよい。
さらに、本発明のタイヤは、空気入りタイヤであることが好ましく、該空気入りタイヤに充填する気体としては、通常の或いは酸素分圧を調整した空気の他、窒素、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガスを用いることができる。
さらに、本発明のタイヤは、各種車輌向けのタイヤとして利用できるが、乗用車用タイヤとして用いられることが好ましい。氷雪路面及び湿潤路面でのグリップ性能の向上と、転がり抵抗の低減及び耐摩耗性の向上との両立を、より効果的に発揮できるためである。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は、下記の実施例に何ら限定されるものではない。
合成した変性共役ジエン系重合体の、結合スチレン量、ブタジエン部分のミクロ構造、分子量、収縮因子(g’)、ムーニー粘度、ガラス転移温度(Tg)、変性率、窒素原子の有無、ケイ素原子の有無は以下の方法で分析する。
(1)結合スチレン量
変性共役ジエン系重合体を試料として、試料100mgを、クロロホルムで100mLにメスアップし、溶解して測定サンプルとする。スチレンのフェニル基による紫外線吸収波長(254nm付近)の吸収量により、試料100質量%に対しての結合スチレン量(質量%)を測定する(島津製作所社製の分光光度計「UV−2450」)。
(2)ブタジエン部分のミクロ構造(1,2−ビニル結合量)
変性共役ジエン系重合体を試料として、試料50mgを、10mLの二硫化炭素に溶解して測定サンプルとする。溶液セルを用いて、赤外線スペクトルを600〜1000cm−1の範囲で測定して、所定の波数における吸光度によりハンプトンの方法(R.R.Hampton,Analytical Chemistry 21,923(1949)に記載の方法)の計算式に従い、ブタジエン部分のミクロ構造、すなわち、1,2−ビニル結合量(mol%)を求める(日本分光社製のフーリエ変換赤外分光光度計「FT−IR230」)。
(3)分子量
共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体を試料として、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC測定装置(東ソー社製の商品名「HLC−8320GPC」)を使用して、RI検出器(東ソー社製の商品名「HLC8020」)を用いてクロマトグラムを測定し、標準ポリスチレンを使用して得られる検量線に基づいて、重量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)と分子量分布(Mw/Mn)と、変性共役ジエン系重合体のピークトップ分子量(Mp)と共役ジエン系重合体のピークトップ分子量(Mp)とその比率(Mp/Mp)と、分子量200×10以上500×10以下の割合と、を求める。溶離液は5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHF(テトラヒドロフラン)を使用する。カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel SuperMultiporeHZ−H」を3本接続し、その前段にガードカラムとして東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn SuperMP(HZ)−H」を接続して使用する。測定用の試料10mgを10mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液10μLをGPC測定装置に注入して、オーブン温度40℃、THF流量0.35mL/分の条件で測定する。
上記のピークトップ分子量(Mp及びMp)は、次のようにして求める。測定して得られるGPC曲線において、最も高分子量の成分として検出されるピークを選択する。その選択したピークについて、そのピークの極大値に相当する分子量を算出し、ピークトップ分子量とする。
また、上記の分子量200×10以上500×10以下の割合は、積分分子量分布曲線から分子量500×10以下が全体に占める割合から分子量200×10未満が占める割合を差し引くことで算出する。
(4)収縮因子(g’)
変性共役ジエン系重合体を試料として、ポリスチレン系ゲルを充填剤としたカラムを3本連結したGPC測定装置(Malvern社製の商品名「GPCmax VE−2001」)を使用して、光散乱検出器、RI検出器、粘度検出器(Malvern社製の商品名「TDA305」)の順番に接続されている3つの検出器を用いて測定し、標準ポリスチレンに基づいて、光散乱検出器とRI検出器結果から絶対分子量を、RI検出器と粘度検出器の結果から固有粘度を求める。直鎖ポリマーは、固有粘度[η]=−3.883M0.771に従うものとして用い、各分子量に対応する固有粘度の比としての収縮因子(g’)を算出する。溶離液は5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHFを使用する。カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel G4000HXL」、「TSKgel G5000HXL」、及び「TSKgel G6000HXL」を接続して使用する。測定用の試料20mgを10mLのTHFに溶解して測定溶液とし、測定溶液100μLをGPC測定装置に注入して、オーブン温度40℃、THF流量1mL/分の条件で測定する。
(5)ムーニー粘度
共役ジエン系重合体又は変性共役ジエン系重合体を試料として、ムーニー粘度計(上島製作所社製の商品名「VR1132」)を用い、JIS K6300に準拠し、L形ローターを用いてムーニー粘度を測定する。測定温度は、共役ジエン系重合体を試料とする場合には110℃とし、変性共役ジエン系重合体を試料とする場合には100℃とする。まず、試料を1分間試験温度で予熱した後、ローターを2rpmで回転させ、4分後のトルクを測定してムーニー粘度(ML(1+4))とする。
(6)ガラス転移温度(Tg)
変性共役ジエン系重合体を試料として、ISO 22768:2006に準拠して、マックサイエンス社製の示差走査熱量計「DSC3200S」を用い、ヘリウム50mL/分の流通下、−100℃から20℃/分で昇温しながらDSC曲線を記録し、DSC微分曲線のピークトップ(Inflection point)をガラス転移温度とする。
(7)変性率
変性共役ジエン系重合体を試料として、シリカ系ゲルを充填剤としたGPCカラムに、変性した塩基性重合体成分が吸着する特性を応用することにより、測定する。試料及び低分子量内部標準ポリスチレンを含む試料溶液を、ポリスチレン系カラムで測定したクロマトグラムと、シリカ系カラムで測定したクロマトグラムと、の差分よりシリカ系カラムへの吸着量を測定し、変性率を求める。具体的には、以下に示すとおりである。
試料溶液の調製:試料10mg及び標準ポリスチレン5mgを20mLのTHFに溶解させて、試料溶液とする。
ポリスチレン系カラムを用いたGPC測定条件:東ソー社製の商品名「HLC−8320GPC」を使用して、5mmol/Lのトリエチルアミン入りTHFを溶離液として用い、試料溶液10μLを装置に注入し、カラムオーブン温度40℃、THF流量0.35mL/分の条件で、RI検出器を用いてクロマトグラムを得る。カラムは、東ソー社製の商品名「TSKgel SuperMultiporeHZ−H」を3本接続し、その前段にガードカラムとして東ソー社製の商品名「TSKguardcolumn SuperMP(HZ)−H」を接続して使用する。
シリカ系カラムを用いたGPC測定条件:東ソー社製の商品名「HLC−8320GPC」を使用して、THFを溶離液として用い、試料溶液50μLを装置に注入し、カラムオーブン温度40℃、THF流量0.5ml/分の条件で、RI検出器を用いてクロマトグラムを得る。カラムは、商品名「Zorbax PSM−1000S」、「PSM−300S」、「PSM−60S」を接続して使用し、その前段にガードカラムとして商品名「DIOL 4.6×12.5mm 5micron」を接続して使用する。
変性率の計算方法:ポリスチレン系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料のピーク面積をP1、標準ポリスチレンのピーク面積をP2、シリカ系カラムを用いたクロマトグラムのピーク面積の全体を100として、試料のピーク面積をP3、標準ポリスチレンのピーク面積をP4として、下記式より変性率(%)を求める。
変性率(%)=[1−(P2×P3)/(P1×P4)]×100
(ただし、P1+P2=P3+P4=100)
(8)窒素原子の有無
前記(7)と同様の測定を行い、算出された変性率が10%以上であった場合、窒素原子を有していると判断する。
(9)ケイ素原子の有無
変性共役ジエン系重合体0.5gを試料として、JIS K 0101 44.3.1に準拠して、紫外可視分光光度計(島津製作所社製の商品名「UV−1800」)を用いて測定し、モリブデン青吸光光度法により定量する。これにより、ケイ素原子が検出された場合(検出下限10質量ppm)、ケイ素原子を有していると判断する。
(変性共役ジエン系重合体の合成)
内容積が10Lで、内部の高さ(L)と直径(D)との比(L/D)が4.0であり、底部に入口、頂部に出口を有し、攪拌機付槽型反応器である攪拌機及び温度制御用のジャケットを有する槽型圧力容器を重合反応器とする。予め水分除去した、1,3−ブタジエンを17.2g/分、スチレンを10.5g/分、n−ヘキサンを145.3g/分の条件で混合する。この混合溶液を反応基の入口に供給する配管の途中に設けたスタティックミキサーにおいて、残存不純物不活性処理用のn−ブチルリチウムを0.117mmol/分で添加、混合した後、反応基の底部に連続的に供給する。更に、極性化合物として2,2−ビス(2−オキソラニル)プロパンを0.019g/分の速度で、重合開始剤としてn−ブチルリチウムを0.242mmol/分の速度で、攪拌機で激しく混合する重合反応器の底部へ供給し、連続的に重合反応を継続させた。反応器頂部出口における重合溶液の温度が75℃となるように温度を制御する。重合が十分に安定したところで、反応器頂部出口より、カップリング剤添加前の重合体溶液を少量抜出し、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように添加した後に溶媒を除去し、110℃のムーニー粘度及び各種の分子量を測定する。
次に、反応器の出口より流出した重合体溶液に、カップリング剤として2.74mmol/Lに希釈したテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミンを0.0302mmol/分(水分5.2ppm含有n−ヘキサン溶液)の速度で連続的に添加し、カップリング剤を添加された重合体溶液はスタティックミキサーを通ることで混合されカップリング反応する。このとき、反応器の出口より流出した重合溶液にカップリング剤が添加されるまでの時間は4.8分、温度は68℃であり、重合工程における温度と、変性剤を添加するまでの温度との差は7℃である。カップリング反応した重合体溶液に、酸化防止剤(BHT)を重合体100gあたり0.2gとなるように0.055g/分(n−ヘキサン溶液)で連続的に添加し、カップリング反応を終了する。酸化防止剤と同時に、重合体100gに対してオイル(JX日鉱日石エネルギー社製 JOMOプロセスNC140)が10.0gとなるように連続的に添加し、スタティックミキサーで混合する。スチームストリッピングにより溶媒を除去して、変性共役ジエン系重合体を得る。
なお、変性共役ジエン系重合体は、カップリング剤添加前の重合体溶液から得た共役ジエン系重合体を、上記の方法で分析したところ、重量平均分子量(Mw)が35.8×10g/molであり、数平均分子量(Mn)が16.6×10g/molであり、分子量分布(Mw/Mn)が2.16であり、ピークトップ分子量(Mp)が30.9×10g/molであり、ムーニー粘度(110℃)が47であることがわかる。
また、得られた、変性共役ジエン系重合体を上記の方法で分析したところ、結合スチレン量が35質量%であり、ビニル結合量(1,2−結合量)が42mol%であり、重量平均分子量(Mw)が85.2×10g/molであり、数平均分子量(Mn)が38.2×10g/molであり、分子量分布(Mw/Mn)が2.23であり、ピークトップ分子量(Mp)が96.8×10g/molであり、ピークトップ分子量の比率(Mp/Mp)が3.13であり、分子量200×10以上500×10以下の割合が4.6%であり、収縮因子(g’)が0.57であり、ムーニー粘度(100℃)が65であり、ガラス転移温度(Tg)が−24℃であり、変性率が80%であることがわかる。また、得られた、変性共役ジエン系重合体が窒素原子を有すること、ケイ素原子を有することも確認する。
なお、前記変性共役ジエン系重合体は、カップリング剤の官能基数と添加量から想定される分岐数に相当する「分岐度」は8であり(収縮因子の値からも確認できる)、カップリング剤1分子が有するSiORの総数から反応により減じたSiOR数を引いた値に相当する「SiOR残基数」は4である。
(ベースゴム用ゴム組成物)
表1に示す配合処方に従い、通常のバンバリーミキサーを用いて、ベースゴム用ゴム組成物を製造した。また、得られた加硫ゴムの15Hz、歪1%条件での、30℃貯蔵弾性率E’(MPa)についても表1に示す。
Figure 2020075831
*11:インドネシア製「SIR20」
*12:JSR株式会社製、商品名「BR01」
*13:旭カーボン株式会社製、商品名「N234」
*14:N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラー(登録商標)CZ−G」
*16:JSR株式会社製、商品名「0122」
(キャップゴム用ゴム組成物)
表7の比較例110〜112、実施例28については、表7に示す配合処方に従い、通常のバンバリーミキサーを用いて、キャップゴム用ゴム組成物を製造した。また、得られた加硫ゴムの、15Hz、歪1%条件での、30℃貯蔵弾性率E’(MPa)についても表7に示す。
また、実施例1〜27及び比較例1〜109については、表2〜6に示す配合処方に従い、通常のバンバリーミキサーを用いて、キャップゴム用ゴム組成物を製造する。
<実施例1〜28、比較例1〜112>
得られたベースゴム用ゴム組成物及びキャップゴム用ゴム組成物について、トレッド部に用いて、サイズ195/65R15の乗用車用空気入りラジアルタイヤのサンプルを作製する。
得られたタイヤに対して、下記の方法で、氷雪路面でのグリップ性能、耐亀裂進展性、湿潤路面でのグリップ性能、転がり抵抗を評価する。結果を表2〜6に示す。
<評価>
(10)氷雪路面でのグリップ性能
比較例110〜112、実施例28について、キャップゴム及びベースゴムの、それぞれの−20℃でのE’を測定した。E’は粘弾性測定機で−25℃〜65℃まで測定し、15Hz、−20℃、歪0.1%で測定した際のE’である。そして寄与率を1:1として、トレッドの−20℃におけるE’を算出し、氷雪路面でのグリップ性能の指標とした。
また、実施例1〜27、比較例1〜109については、同様に、キャップゴム及びベースゴムの−20℃でのE’の数値を元に、トレッドの−20℃におけるE’を算出する。
表2〜6では、比較例1の算出値を100として指数化し、表7では、比較例110の算出値を100として指数化している。
(11)耐摩耗性
各サンプルのタイヤを試験車(排気量2000ccの乗用車)に装着し、乾燥路面テストコースにおいて、1000km走行した後の、タイヤの溝の残量を測定する。
評価については、比較例1のタイヤの溝の残量を100とした場合の指数として表示する。試験片の数字が大きい程、溝の残量があり、耐摩耗性に優れることを示す。評価結果を表2〜6に示す。
(12)湿潤路面でのグリップ性能
比較例110〜112、実施例28については、長径40mm短径20mmの測定冶具に合うように、キャップ配合の加硫ゴムを4mm、ベース配合の加硫ゴムを2mmとした台形の加硫ゴムサンプルを作成した後、固定した湿潤鉄板路面上に押し付けて往復させるときに発生する摩擦力をロードセルで検出し、動摩擦係数を算出した。
また、実施例1〜27及び比較例1〜109については、同様の条件で動摩擦係数を算出する。
評価結果は、表7では、比較例110を100とし、表2〜6では、比較例1を100として指数化している。
(13)転がり抵抗
比較例110〜112、実施例28については、キャップゴム及びベースゴムの、それぞれの50℃でのtanδを測定した。tanδは粘弾性測定機で−25℃〜65℃まで測定し、15Hz、−20℃、歪1%で測定した際のtanδである。そしてベース/キャップの寄与率を1:4として転がり抵抗値を算出し、指数化した。指数値は表7に示す。
また、実施例1〜27、比較例1〜109については同様の条件で、転がり抵抗値を算出し、指数化する。指数値は表2〜6に示す。
Figure 2020075831
Figure 2020075831
Figure 2020075831
Figure 2020075831
Figure 2020075831
Figure 2020075831
*1 天然ゴム: インドネシア製「SIR20」
*2 ブタジエンゴム: JSR株式会社製、商品名「BR01」
*3 スチレン−ブタジエン共重合体ゴムA: JSR株式会社製、乳化重合スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、商品名「1723」、ゴム成分100質量部に対してオイル分37.5質量部を含む、ガラス転移温度(Tg)=−18℃、結合スチレン量=23.5質量%、結合ビニル量=18.9質量%
*4 スチレン−ブタジエン共重合体ゴムB: JSR株式会社製、溶液重合スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、商品名「HR755B」、ゴム成分100質量部に対してオイル分10.0質量部を含む、ガラス転移温度(Tg)=−21℃、結合スチレン量=40.9質量%、結合ビニル量=18.9質量%
*5 変性スチレン−ブタジエン共重合体ゴム: 上記の方法で合成した変性スチレンスチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ゴム成分100質量部に対してオイル分10.0質量部を含む、重量平均分子量(Mw)=85.2×10、分子量200×10以上500×10以下の割合=4.6%
収縮因子(g’)=0.59、ガラス転移温度(Tg)=−25℃
*6 カーボンブラック: 旭カーボン株式会社製、商品名「#78」
*7 シリカA: 東ソーシリカ株式会社製、商品名「ニップシールEL」
*8 シリカB:: 下記の方法で得られたシリカ
撹拌機を備えた180リットルのジャケット付きステンレス反応槽に、水65リットルとケイ酸ナトリウム水溶液(SiO160g/リットル、SiO/NaOモル比3.3)1.25リットルを入れ、96℃に加熱する。生成した溶液中のNaO濃度は0.015mol/リットルである。
この溶液の温度を96℃に維持しながら、上記と同様のケイ酸ナトリウム水溶液を流量750ミリリットル/分で、硫酸(18mol/リットル)を流量33ミリリットル/分で、同時に滴下する。流量を調整しつつ、反応溶液中のNaO濃度を0.005〜0.035mol/リットルの範囲に維持しながら中和反応を行う。反応途中から反応溶液は白濁をはじめ、30分目に粘度が上昇してゲル状溶液となる。さらに、添加を続けて100分で反応を停止する。生じた溶液中のシリカ濃度は85g/リットルである。引き続いて、上記と同様の硫酸を溶液のpHが3になるまで添加してケイ酸スラリーを得る。得られたケイ酸スラリーをフィルタープレスで濾過、水洗を行って湿潤ケーキを得る。次いで湿潤ケーキを乳化装置を用いてスラリーとして、噴霧式乾燥機で乾燥し、シリカBを得る。なお、得られたシリカBのCTABは79m/gである。
*9 シリカC: 東ソーシリカ株式会社製、商品名「AQ―N」
*10 シリカD: 下記の方法で得られたシリカ
撹拌機を備えた180リットルのジャケット付きステンレス反応槽に、水89リットルとケイ酸ナトリウム水溶液(SiO160g/リットル、SiO/NaOモル比3.3)1.70リットルを入れ、75℃に加熱する。生成した溶液中のNaO濃度は0.015mol/リットルである。
この溶液の温度を75℃に維持しながら、上記と同様のケイ酸ナトリウム水溶液を流量520ミリリットル/分で、硫酸(18mol/リットル)を流量23ミリリットル/分で、同時に滴下する。流量を調整しつつ、反応溶液中のNaO濃度を0.005〜0.035mol/リットルの範囲に維持しながら中和反応を行う。反応途中から反応溶液は白濁をはじめ、46分目に粘度が上昇してゲル状溶液となる。さらに、添加を続けて100分で反応を停止する。生じた溶液中のシリカ濃度は60g/リットルである。引き続いて、上記と同様の硫酸を溶液のpHが3になるまで添加してケイ酸スラリーを得る。得られたケイ酸スラリーをフィルタープレスで濾過、水洗を行って湿潤ケーキを得る。次いで湿潤ケーキを、乳化装置を用いてスラリーとして、噴霧式乾燥機で乾燥し、シリカBを得る。なお、得られたシリカDのCTABは180m/gである。
*11 シランカップリング剤: 3−[エトキシビス(3,6,9,12,15−ペンタオキサオクタコサン−1−イルオキシ)シリル]−1−プロパンチオール、Evonik社製シランカップリング剤、商品名「Si363」(登録商標)
*12 低温軟化剤: オクチルオレート、花王株式会社製
*13 C−C系樹脂: 日本ゼオン株式会社製、商品名「クイントン(登録商標)G100B」
*14 老化防止剤: N−(1,3−ジメチルブチル)−N’−フェニル−p−フェニレンジアミン、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクラック6C」
*15 加硫促進剤A: 1,3−ジフェニルグアニジン、住友化学株式会社製、商品名「ソクシノール(登録商標)D−G」
*16 加硫促進剤B: N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアゾリルスルフェンアミド、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラー(登録商標)CZ−G」
*17 加硫促進剤C: ジベンゾチアゾリルジスルフィド、大内新興化学工業株式会社製、商品名「ノクセラー(登録商標)DM−P」
表2〜6の結果から、実施例の各サンプルについては、各比較例のサンプルに比べて、氷雪路面でのグリップ性能、耐摩耗性、湿潤路面でのグリップ性能及び転がり抵抗について、バランス良く優れた効果を示すことがわかる。
なお、比較例の各サンプルは、少なくとも1つの評価項目で、指標値よりも劣る値を示している。
表7の結果から、実施例は、各比較例のサンプルに比べて、耐摩耗性、湿潤路面でのグリップ性能及び転がり抵抗について、バランス良く優れた効果を示すことがわかる。
本発明によれば、優れた湿潤路面でのグリップ性能を有しつつ、転がり抵抗の低減及び耐摩耗性の向上を可能にしたタイヤを提供できる。

Claims (10)

  1. ベースゴムと、該ベースゴムのタイヤ半径方向外側に位置するキャップゴムと、を有するトレッド部を備えたタイヤであって、
    前記ベースゴムは、貯蔵弾性率E’が10MPaより大きく、
    前記キャップゴムは、変性共役ジエン系重合体(A1)を含むゴム成分(A)と、シリカ(B1)及びカーボンブラック(B2)を含む補強性充填剤(B)と、低温軟化剤(C)と、を含み、
    前記変性共役ジエン系重合体(A1)は、重量平均分子量が20×10以上300×10以下であって、該変性共役ジエン系重合体(A1)の総量に対して、分子量が200×10以上500×10以下である変性共役ジエン系重合体を、0.25質量%以上30質量%以下含有し、収縮因子(g’)が0.64未満であり、
    前記シリカ(B1)の含有量が、前記ゴム成分(A)100質量部に対して65〜155質量部であることを特徴とする、タイヤ。
  2. 前記ゴム成分(A)が、天然ゴム、ポリブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム及びイソプレンゴムからなる群より選択される少なくとも一種(A2)を、さらに含むことを特徴とする、請求項1に記載のタイヤ。
  3. 前記低温軟化剤(C)が、オレイン酸オクチルであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のタイヤ。
  4. 前記キャップゴムが、熱可塑性樹脂(D)を、さらに含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のタイヤ。
  5. 前記変性共役ジエン系重合体(A1)は、分岐を有し、分岐度が5以上であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のタイヤ。
  6. 前記変性共役ジエン系重合体(A1)は、1以上のカップリング残基と、該カップリング残基に対して結合する共役ジエン系重合体鎖と、を有し、
    前記分岐は、1の前記カップリング残基に対して5以上の前記共役ジエン系重合体鎖が結合している分岐を含むことを特徴とする、請求項5に記載のタイヤ。
  7. 前記変性共役ジエン系重合体(A1)は、下記一般式(I):
    Figure 2020075831
    [式中、Dは、共役ジエン系重合体鎖を示し、R、R及びRは、それぞれ独立して単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R及びRは、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基を示し、R、R、及びRは、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、R及びR10は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R11は、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、m及びxは、それぞれ独立して1〜3の整数を示し、x≦mであり、pは、1又は2を示し、yは、1〜3の整数を示し、y≦(p+1)であり、zは、1又は2の整数を示し、それぞれ複数存在する場合のD、R〜R11、m、p、x、y、及びzは、それぞれ独立しており、iは、0〜6の整数を示し、jは、0〜6の整数を示し、kは、0〜6の整数を示し、(i+j+k)は、3〜10の整数であり、((x×i)+(y×j)+(z×k))は、5〜30の整数であり、Aは、炭素数1〜20の、炭化水素基、又は、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子からなる群より選ばれる少なくとも1種の原子を有し、かつ、活性水素を有しない有機基を示す]で表される、請求項1〜6のいずれか1項に記載のタイヤ。
  8. 前記一般式(I)において、Aは、下記一般式(II):
    Figure 2020075831
    [式中、Bは、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示し、複数存在する場合のBは、各々独立している]、
    下記一般式(III):
    Figure 2020075831
    [式中、Bは、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、Bは、炭素数1〜20のアルキル基を示し、aは、1〜10の整数を示し、それぞれ複数存在する場合のB及びBは、各々独立している]、
    下記一般式(IV):
    Figure 2020075831
    [式中、Bは、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示し、複数存在する場合のBは、各々独立している]、
    下記一般式(V):
    Figure 2020075831
    [式中、Bは、単結合又は炭素数1〜20の炭化水素基を示し、aは、1〜10の整数を示し、複数存在する場合のBは、各々独立している]のいずれかで表されることを特徴とする、請求項7に記載のタイヤ。
  9. 前記変性共役ジエン系重合体(A1)は、共役ジエン系重合体を、下記一般式(VI):
    Figure 2020075831
    [式中、R12、R13及びR14は、それぞれ独立して単結合又は炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R15、R16、R17、R18及びR20は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキル基を示し、R19及びR22は、それぞれ独立して炭素数1〜20のアルキレン基を示し、R21は、炭素数1〜20の、アルキル基又はトリアルキルシリル基を示し、mは、1〜3の整数を示し、pは、1又は2を示し、R12〜R22、m及びpは、複数存在する場合、それぞれ独立しており、i、j及びkは、それぞれ独立して0〜6の整数を示し、但し、(i+j+k)は、3〜10の整数であり、Aは、炭素数1〜20の、炭化水素基、又は、酸素原子、窒素原子、ケイ素原子、硫黄原子及びリン原子からなる群から選択される少なくとも一種の原子を有し、活性水素を有しない有機基を示す]で表されるカップリング剤と反応させてなることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか1項に記載のタイヤ。
  10. 前記一般式(VI)で表されるカップリング剤が、テトラキス[3−(2,2−ジメトキシ−1−アザ−2−シラシクロペンタン)プロピル]−1,3−プロパンジアミン、テトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−プロパンジアミン、及びテトラキス(3−トリメトキシシリルプロピル)−1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンからなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする、請求項9に記載のタイヤ。
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