JPWO2020049956A1 - 有機薄膜トランジスタ、および、有機薄膜トランジスタの製造方法 - Google Patents

有機薄膜トランジスタ、および、有機薄膜トランジスタの製造方法 Download PDF

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Abstract

屈曲性が高く、絶縁膜のピンホールあるいは平面性に起因するキャリア移動度の低下を抑制できる有機薄膜トランジスタ、および、有機薄膜トランジスタの製造方法を提供する。ゲート電極と、ゲート電極を覆って形成される絶縁膜と、絶縁膜上に形成される有機半導体層と、有機半導体層上に形成されるソース電極、および、ドレイン電極を有し、絶縁膜は、SiNHからなる無機膜を含む。

Description

本発明は、有機薄膜トランジスタ、および、この有機薄膜トランジスタを製造する製造方法に関する。
有機半導体は、従来の無機半導体とは異なり、各種溶剤に溶かすことができる有機分子からなるため、塗布および印刷技術等によって形成することができる。そのため、ロール・トゥ・ロール(以下、RtoRともいう)で製造する各種デバイスに用いることができる。このような有機半導体を用いた有機薄膜トランジスタが各種提案されている。
有機薄膜トランジスタの一般的な構成としては、基板上に形成されるゲート電極、このゲート電極を覆う絶縁膜、絶縁膜上に形成される有機半導体層、有機半導体層上に形成されるソース電極およびドレイン電極を有する。
このように半導体として有機半導体を用いることで、有機薄膜トランジスタにフレキシブル性を持たせることが多数提案されている。しかしながら、有機薄膜トランジスタにフレキシブル性を持たせるためには、有機薄膜トランジスタを構成する他の材料も屈曲性を持ちつつ性能を発現する必要がある。
特に、有機半導体層とゲート電極とを隔てている絶縁膜が問題となる。絶縁膜にクラックが発生すると、電流が短絡し、所望の応答速度を得られなくなるためである。
絶縁膜としては、SiO2膜およびSiN膜等の無機膜を気相成膜で形成することが知られている。
例えば、特許文献1には、ゲート電極と、ゲート電極に対向する有機半導体膜と、有機半導体膜の一部を覆う保護膜と、有機半導体膜に電気的に接続され、間隙を間にして対をなすソース・ドレイン電極とを備えるトランジスタが記載されている。この特許文献1には、ゲート電極と有機半導体膜とを絶縁するためのゲート絶縁膜として、酸化ケイ素(SiOx)、窒化ケイ素(SiNx)等の無機絶縁材料を用いることが記載されている。
また、絶縁膜として絶縁性の有機材料を用いて形成することも開示されている。
例えば、特許文献1には、ポリビニルフェノール(PVP)、ポリイミド等の有機絶縁材料を絶縁膜として用いることが記載されている。
しかしながら、絶縁膜として有機膜を用いる場合、物質としての密度が低いので、ピンホールにより短絡したり、形成時に用いる溶剤等が残留して有機半導体に影響を与えるといった問題があり、また、均一に薄く塗るのも難しいという問題があるため、実用化には課題が残る。
特開2015−177099号公報
絶縁膜として無機膜を用いる場合、無機膜の厚みを薄くするとピンホールが形成されてゲート電極と有機半導体層とが短絡してしまう。そのため、無機膜にピンホールが生じることを抑制するために、例えば、1μm程度以上の厚い無機膜とする必要があった。しかしながら、無機膜を厚くすると屈曲性が低下してしまうという問題があった。
本発明の課題は、このような問題点を解決することにあり、屈曲性が高く、絶縁膜のピンホールあるいは平面性に起因するキャリア移動度の低下を抑制できる有機薄膜トランジスタ、および、有機薄膜トランジスタの製造方法を提供することにある。
本発明は、以下の構成によって課題を解決する。
[1] ゲート電極と、
ゲート電極を覆って形成される絶縁膜と、
絶縁膜上に形成される有機半導体層と、
有機半導体層上に形成されるソース電極、および、ドレイン電極を有し、
絶縁膜は、SiNHからなる無機膜を含む有機薄膜トランジスタ。
[2] 無機膜中のSiNとHとの原子数の比率SiN:Hが、1:0.7〜2である[1]に記載の有機薄膜トランジスタ。
[3] 無機膜の厚みが1nm〜100nmである[1]または[2]に記載の有機薄膜トランジスタ。
[4] 無機膜のゲート電極側に有機層を有する[1]〜[3]のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタ。
[5] 有機層の厚みが0.01μm〜1μmである[4]に記載の有機薄膜トランジスタ。
[6] 有機層のガラス転移温度が200℃以上である[4]または[5]に記載の有機薄膜トランジスタ。
[7] 無機膜の有機半導体層側の表面にSiO2をからなる第2の無機膜を有する[1]〜[6]のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタ。
[8] ゲート電極、絶縁膜、有機半導体層、ソース電極、および、ドレイン電極を支持する支持体を有する[1]〜[7]のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタ。
[9] [1]〜[8]のいずれかに記載の有機薄膜トランジスタの製造方法であって、
支持体上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、
ゲート電極の上に絶縁膜を積層する絶縁膜積層工程と、
絶縁膜の上に有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と
有機半導体層の上にソース電極およびドレイン電極を形成するソースドレイン電極形成工程とを有し、
絶縁膜は、SiNHからなる無機層を含む有機薄膜トランジスタの製造方法。
[10] 絶縁膜積層工程は、
基板と、基板上に形成された無機層を含む転写層とを有する転写型積層フィルムをゲート電極の上に積層した後に、
転写層から基板を剥離することで、ゲート電極の上に絶縁膜を積層する[9]に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
本発明によれば、屈曲性が高く、絶縁膜のピンホールあるいは平面性に起因するキャリア移動度の低下を抑制できる有機薄膜トランジスタ、および、有機薄膜トランジスタの製造方法を提供することができる。
本発明の有機薄膜トランジスタの一例を概念的に示す断面図である。 本発明の有機薄膜トランジスタの他の例を概念的に示す断面図である。 本発明の有機薄膜トランジスタの他の例を概念的に示す断面図である。 本発明の有機薄膜トランジスタの他の例を概念的に示す断面図である。 本発明の有機薄膜トランジスタの製造方法の一例を説明するための図である。 本発明の有機薄膜トランジスタの製造方法の一例を説明するための図である。 本発明の有機薄膜トランジスタの製造方法の一例を説明するための図である。 本発明の有機薄膜トランジスタの製造方法の一例を説明するための図である。 本発明の有機薄膜トランジスタの製造方法の一例を説明するための図である。 本発明の有機薄膜トランジスタの製造方法の一例を説明するための図である。
以下、本発明の有機薄膜トランジスタ、および、有機薄膜トランジスタの製造方法の実施形態について、図面に基づいて説明する。本明細書の図面において、視認しやすくするために各部の縮尺を適宜変更して示している。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
以下の説明において、「厚み」とは、後述する支持体、ゲート電極、絶縁膜および有機半導体層等が並ぶ(積層される)方向(以下、厚み方向)における長さを意味する。
[有機薄膜トランジスタ]
本発明の有機薄膜トランジスタは、
ゲート電極と、
ゲート電極を覆って形成される絶縁膜と、
絶縁膜上に形成される有機半導体層と、
有機半導体層上に形成されるソース電極、および、ドレイン電極を有し、
絶縁膜は、SiNHからなる無機膜を含む有機薄膜トランジスタである。
図1に、本発明の有機薄膜トランジスタの一例を概念的に示す。
図1は、本発明の有機薄膜トランジスタの主面に垂直な方向の断面を模式的に示す断面図である。主面とは、シート状物(フィルム、板状物)の最大面である。
図1に示す有機薄膜トランジスタ10aは、支持体12と、支持体12上に形成されたトランジスタ素子18と、を有して構成される。
トランジスタ素子18は、支持体12の表面に形成されたゲート電極20と、ゲート電極20を包含するように形成された無機膜(絶縁膜)22と、無機膜22上に形成された有機半導体層24と、有機半導体層24上にそれぞれ離間して形成されるソース電極26およびドレイン電極28と、を有する。すなわち、トランジスタ素子18は、いわゆるボトムゲート−トップコンタクト型のトランジスタ素子である。
なお、以下の説明において、便宜的に支持体12側を下側、ソース電極26およびドレイン電極28側を上側として説明を行う。
ここで、本発明において、絶縁膜は、SiNH(水素化窒化ケイ素)からなる無機膜を含む。図1に示す例では、SiNHからなる無機膜22が絶縁膜である。
SiNHからなる無機膜(以下、SiNH膜ともいう)22は、従来の有機薄膜トランジスタで絶縁膜として用いられているSiO(酸化ケイ素)膜、SiN(窒化ケイ素)膜等の無機膜と比較して柔軟性に優れている。また、SiNH膜は、柔軟性に優れており割れにくいためクラック等による絶縁性の低下も起きにくい。そのため、本発明の有機薄膜トランジスタは、絶縁膜として、SiNHからなる無機膜22を用いることで、絶縁膜を絶縁性に優れ、かつ、柔軟性に優れるものとすることができる。これによって、有機薄膜トランジスタとして屈曲性を高くすることができ、また、絶縁膜のピンホールおよび平面性等に起因するキャリア移動度の低下を抑制できる。
ここで、SiNH膜22中のSiNとHとの原子数の比率SiN:Hは、1:0.7〜2であるのが好ましく、1:0.8〜1.8であるのがより好ましく、1:0.9〜1.5であるのがさらに好ましい。
SiNH膜22中のHの比率が高いと膜の緻密さが低下するため屈曲性は高くなる。一方、Hの比率が高すぎると膜の緻密さが低くなりすぎて、絶縁性が低くなるおそれがある。これに対して、SiNとHとの原子数の比率SiN:Hを上記範囲とすることで、屈曲性と絶縁性を両立することができる。
SiNとHとの原子数の比率は、RBS/HFS法(Rutherford Backscattering Spectrometry/Hydrogen Forward scattering Spectrometry(ラザフォード後方散乱分析/水素前方散乱分析法))を利用して測定できる。
具体的には、RBS/HFS法によって、SiNH膜22の厚さ方向の全域においてケイ素、水素、および、窒素の各原子の量(数)を検出して、原子数の比率を算出すればよい。
あるいは、XPS測定(X線光電子分光測定)により、SiNH膜22の表面におけるSi、N、Hの原子数を測定し、これからSiNとH原子の比率として算出することもできる。
また、屈曲性の観点では、SiNH膜22は薄いほど好ましい。一方、絶縁性の観点では、SiNH膜22はある程度の厚みが必要である。以上の観点から、SiNH膜22の厚みは、1nm〜100nmであるのが好ましく、5nm〜80nmであるのがより好ましく、10nm〜50nmであるのがさらに好ましい。
ここで、図1に示す例では、ゲート電極20の上に直接、SiNH膜22が積層された構成としたがこれに限定はされず、ゲート電極20とSiNH膜22との間に他の層を有していてもよい。
例えば、図2に示す有機薄膜トランジスタ10bは、支持体12の表面に形成されたゲート電極20と、ゲート電極20を包含するように形成された有機層21と、有機層21の上に形成されたSiNH膜22と、SiNH膜22上に形成された有機半導体層24と、有機半導体層24上にそれぞれ離間して形成されるソース電極26およびドレイン電極28と、を有する。
有機層21はSiNH膜22の下地となる層である。後述するが、SiNH膜22は、好ましくは、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)によって形成される。SiNH膜22をプラズマCVDで形成する場合には、SiNH膜22を導体であるゲート電極20の上に直接形成することは難しい。
これに対して、ゲート電極20の上に有機層21を設けることで、SiNH膜22をプラズマCVDで形成することができる。また、有機層21は、SiNH膜22の形成面の凹凸および表面に付着する異物等を包埋する。その結果、SiNH膜22の形成面を適正にして、均一な厚みでピンホール等のないSiNH膜22を適正に形成することを可能にする。
また、後述するように、SiNH膜22は転写によってゲート電極20の上に積層して形成することができる。この場合は、基板を剥離可能な転写型の積層フィルム(図7参照)を作製し、転写型積層フィルムから基板を剥離してSiNH膜22を含む転写層をゲート電極20上に転写する。転写型積層フィルムにおいて、転写層を基板から剥離可能にするために、SiNH膜22は、基板の上に形成された有機層21上に形成されている。この有機層21側をゲート電極20側に向けて転写することで図2に示す構成の有機薄膜トランジスタとすることができる。
SiNH膜22を転写によって形成する構成とすることで、支持体12およびゲート電極20の構成によらず、SiNH膜22をプラズマCVD等の所望の方法、条件で形成することが可能となる。
また、本発明の有機薄膜トランジスタは、図3に示す有機薄膜トランジスタ10cのように、支持体12の表面に形成されたゲート電極20と、ゲート電極20を包含するように形成された接着層30と、接着層30の上に形成されたSiNH膜22と、SiNH膜22上に形成された有機層21と、有機層21上に形成された有機半導体層24と、有機半導体層24上にそれぞれ離間して形成されるソース電極26およびドレイン電極28と、を有する構成としてもよい。
SiNH膜22を転写によってゲート電極20の上に積層する場合は、転写型積層フィルムのSiNH膜22側を接着層30を介して貼り合わせて、その後、転写型積層フィルムの基板を転写層から剥離することで、SiNH膜22をゲート電極20の上に積層することもできる。この場合、図3に示すように、絶縁膜であるSiNH膜22が接着層30と有機層21とに挟まれた構成となる。
なお、有機層21はSiNH膜22の下地となる層であり、SiNH膜22の形成面の凹凸等を包埋して適正にできればよく、絶縁性は有していなくてもよい。
同様に、接着層30は、SiNH膜22を含む転写層をゲート電極20上に貼合することができればよく、絶縁性は有していなくてもよい。
また、SiNH膜22の下地層となる有機層21を有する構成の場合には、SiNH膜22と有機層21との組み合わせを2以上有していてもよい。すなわち、例えば、ゲート電極20の上に有機層21、SiNH膜22、有機層21、SiNH膜22のように有機層およびSiNH膜を2層以上有する構成としてもよい。
また、図1に示す例では、絶縁膜はSiNHからなる無機膜22を有する構成としたが、これに限定はされず、他の層を有していてもよい。
例えば、図4に示す有機薄膜トランジスタ10dは、絶縁膜として、SiNHからなる無機膜22と、第2の無機膜23とを有する。なお、有機薄膜トランジスタ10dは第2の無機膜23を有する以外は、図1に示す有機薄膜トランジスタ10aと同様の構成を有する。
第2の無機膜23は、SiO(酸化ケイ素)膜、SiN(窒化ケイ素)膜等の公知の無機膜とすることができる。第2の無機膜23を有することにより、高い絶縁性を得ることができる。その際、SiNH膜22を有するので、第2の無機膜23は薄くても絶縁性を確保でき、屈曲性も損なわない。
また、第2の無機膜23として、SiNH膜22の有機半導体層24側(以下、表層ともいう)に、SiO2膜を有することが好ましい。SiNH膜22の表層にSiO2膜を有することで、SAM(self-assemble monolayer)等の有機半導体を形成する面に対して行われている従来公知の表面処理を行うことができる。これによって、絶縁膜の表面上で結晶性の高い有機半導体層が形成されやすくなり、有機薄膜トランジスタの性能を向上できる。
なお、第2の無機膜23としてSiO2膜、および、SiN膜等のケイ素化合物膜を形成する場合には、SiNH膜22と第2の無機膜23とは明確な界面を有するように別の層として形成されていてもよいし、SiNH膜22の表層においてSiO2の割合が高くなるように、一つの層として形成されていてもよい。
表面処理の効果を十分に得られる観点から、SiO2膜の厚みは0.1nm〜5nmが好ましく、0.2nm〜3nmがより好ましく、0.1nm〜1nmがさらに好ましい。
以下、有機薄膜トランジスタを構成する部位について詳細に説明する。
<支持体>
支持体12は、各種の有機薄膜トランジスタにおいて支持体として利用される、公知のシート状物(フィルム、板状物)を用いることができる。
支持体12の材料には、制限はなく、トランジスタ素子18を形成可能であれば、各種の材料が利用可能である。支持体12の材料としては、プラスチック材料、シリコン材料、ガラス材料、石英、および、セラミック材料等が挙げられる。中でも、各デバイスへの適用性及びコストの観点から、ガラス材料又はプラスチック材料であることが好ましい。
プラスチック材料としては、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などのポリエステルフィルム、シクロオレフィンポリマーフィルム、ポリカーボネートフィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルム、ポリイミドフィルムが例示される。また、これらプラスチックフィルムをガラスに貼り合わせたものを用いることもできる。
基板の厚みは、特に限定されない。例えば、10mm以下であるのが好ましく、2mm以下であるのが更に好ましく、1.5mm以下であるのが特に好ましい。一方、0.01mm以上であるのが好ましく、0.05mm以上であるのが更に好ましい。
<ゲート電極>
ゲート電極20は、有機薄膜トランジスタのゲート電極として用いられている従来公知の電極を用いることができる。
ゲート電極を構成する導電性材料(電極材料ともいう)としては、特に限定されない。例えば、白金、金、銀、アルミニウム、クロム、ニッケル、銅、モリブデン、チタン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、ナトリウム、パラジウム、鉄、マンガン等の金属;InO2、SnO2、インジウム・錫酸化物(ITO)、フッ素ドープ酸化錫(FTO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、ガリウムドープ酸化亜鉛(GZO)等の導電性金属酸化物;ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)/ポリスチレンスルホン酸(PEDOT/PSS)等の導電性高分子;塩酸、硫酸、スルホン酸等の酸、PF6、AsF5、FeCl3等のルイス酸、ヨウ素等のハロゲン原子、ナトリウム、カリウム等の金属原子等のドーパントを添加した上記導電性高分子、並びに、カーボンブラック、グラファイト粉、金属微粒子等を分散した導電性の複合材料等が挙げられる。これらの材料は、1種のみを用いても、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用してもよい。
また、ゲート電極は、上記導電性材料からなる1層でもよく、2層以上を積層してもよい。
ゲート電極の形成方法に制限は無い。例えば、真空蒸着法等の物理蒸着法(PVD)、化学蒸着法(CVD法)、スパッタ法、印刷法(塗布法)、転写法、ゾルゲル法、メッキ法等により形成された膜を、必要に応じて所望の形状にパターンニングする方法が挙げられる。
塗布法では、上記材料の溶液、ペースト又は分散液を調製、塗布し、乾燥、焼成、光硬化又はエージング等により、膜を形成し、又は直接電極を形成できる。
また、インクジェット印刷、スクリーン印刷、(反転)オフセット印刷、凸版印刷、凹版印刷、平版印刷、熱転写印刷、マイクロコンタクトプリンティング法等は、所望のパターニングが可能であり、工程の簡素化、コスト低減、高速化の点で好ましい。
スピンコート法、ダイコート法、マイクログラビアコート法、ディップコート法を採用する場合も、下記フォトリソグラフィー法等と組み合わせてパターニングすることができる。
フォトリソグラフィー法としては、例えば、フォトレジストのパターニングと、エッチング液によるウェットエッチングや反応性のプラズマによるドライエッチング等のエッチングやリフトオフ法等とを組み合わせる方法等が挙げられる。
他のパターニング方法として、上記材料に、レーザーや電子線等のエネルギー線を照射して、研磨し、又は材料の導電性を変化させる方法も挙げられる。
さらに、支持体以外の基板に印刷したゲート電極用組成物を転写させる方法も挙げられる。
ゲート電極20の厚みは、任意であるが、1nm以上が好ましく、10nm以上が特に好ましい。また、500nm以下が好ましく、200nm以下が特に好ましい。
<ソース電極、ドレイン電極>
ソース電極26は、有機薄膜トランジスタにおいて、配線を通じて外部から電流が流入する電極である。また、ドレイン電極28は、配線を通じて外部に電流を送り出す電極であり、通常、有機半導体層24に接して設けられる。
ソース電極及びドレイン電極の材料としては、従来の有機薄膜トランジスタに用いられている導電性材料を用いることができ、例えば、上記ゲート電極で説明した導電性材料等が挙げられる
ソース電極及びドレイン電極は、それぞれ、上記ゲート電極の形成方法と同様の方法により形成することができる。
上記フォトリソグラフィー法としては、リフトオフ法又はエッチング法を採用できる。
特に、ソース電極及びドレイン電極はエッチング法でも好適に形成することができる。エッチング法は、導電性材料を成膜した後に不要部分をエッチングにより除去する方法である。エッチング法によりパターニングすると、レジスト除去時に下地に残った導電性材料の剥がれ、レジスト残渣や除去された導電性材料の下地への再付着を防止でき、電極エッジ部の形状に優れる。この点で、リフトオフ法よりも好ましい。
リフトオフ法は、下地の一部にレジストを塗布し、この上に導電性材料を成膜し、レジスト等を溶媒により溶出又は剥離等することにより、レジスト上の導電性材料ごと除去して、レジストが塗布されていなかった部分にのみ導電性材料の膜を形成する方法である。
ソース電極26及びドレイン電極28の厚みは、任意であるが、それぞれ、1nm以上が好ましく、10nm以上が特に好ましい。また、500nm以下が好ましく、300nm以下が特に好ましい。
<有機半導体層>
有機半導体層24は、半導体性を示し、キャリアを蓄積可能な層である。有機半導体層24は、有機半導体を含有する層であればよい。
有機半導体としては、特に限定されず、有機ポリマー及びその誘導体、低分子化合物等が挙げられる。
本発明において、低分子化合物は、有機ポリマー及びその誘導体以外の化合物を意味する。すなわち、繰り返し単位を有さない化合物をいう。低分子化合物は、このような化合物である限り、分子量は特に限定されるものではない。低分子化合物の分子量は、好ましくは300〜2000であり、さらに好ましくは400〜1000である。
有機半導体層24の材料としては、特開2015−170760号公報の段落[0063]〜[0160]に記載の材料が例示される。また、有機半導体層24の材料として、特開2015−195361に記載の有機半導体、特開2018−006745号に記載の有機半導体も例示される。
有機半導体層24の形成方法は特に限定はされず、従来公知の有機半導体層の形成方法が利用可能である。例えば、有機半導体層となる材料を溶媒に溶解してその溶液を絶縁膜上に塗布し、乾燥させることにより半導体活性層を形成する方法がある。
有機半導体層24の厚みは、任意であるが、0.001μm以上が好ましく、0.01μm以上が特に好ましい。また、1μm以下が好ましく、0.5μm以下が特に好ましい。
<無機膜(SiNH膜)>
SiNH膜22は、ゲート電極20と有機半導体層24との間に積層され、ゲート電極20と有機半導体層24とを絶縁する層である。
前述のとおり、絶縁膜としてSiNH膜22を用いることで、従来の有機薄膜トランジスタで絶縁膜として用いられているSiO(酸化ケイ素)膜、SiN(窒化ケイ素)膜等の無機膜と比較して柔軟性に優れた絶縁膜とすることができる。
なお、SiNH膜22を2層以上有する場合には、2層以上のSiNH膜22は、同じ組成比であってもよいし、異なる組成比であってもよい。また、厚みも同じであっても異なっていてもよい。
SiNH膜22は、材料に応じた公知の方法で形成できる。
例えば、CCP(Capacitively Coupled Plasma)−CVDおよびICP(Inductively Coupled Plasm)−CVD等のプラズマCVD、原子層堆積法(ALD(Atomic Layer Deposition))、マグネトロンスパッタリングおよび反応性スパッタリング等のスパッタリング、ならびに、真空蒸着などの各種の気相成膜法が好適に挙げられる。
中でも、CCP−CVDおよびICP−CVD等のプラズマCVDは、好適に利用される。
<第2の無機膜>
第2の無機膜23は、無機化合物を含む薄膜である。第2の無機膜23は、絶縁性を発現する。また、第2の無機膜23を有することで、表面性状をSiNH膜とは異なるものとすることができ、有機半導体を形成する面に対して行われている従来公知の表面処理を行うことができる。
第2の無機膜23の材料には、制限はなく、絶縁性を発現する無機化合物からなる、公知の有機薄膜トランジスタに用いられる無機化合物が、各種、利用可能である。
第2の無機膜23の材料としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化インジウムスズ(ITO)などの金属酸化物; 窒化アルミニウムなどの金属窒化物; 炭化アルミニウムなどの金属炭化物; 酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素、酸炭化ケイ素、酸化窒化炭化ケイ素などのケイ素酸化物; 窒化ケイ素、窒化炭化ケイ素などのケイ素窒化物; 炭化ケイ素等のケイ素炭化物; これらの水素化物; これら2種以上の混合物; および、これらの水素含有物等、の無機化合物が挙げられる。また、これらの2種以上の混合物も、利用可能である。
第2の無機膜23の厚さには、制限はなく、材料に応じて、目的とする絶縁性および表面性状を発現できる厚さを、適宜、設定できる。
第2の無機膜23の厚さは、50nm以下が好ましく、5〜50nmがより好ましく、10〜30nmがさらに好ましい。
第2の無機膜23の厚さを2nm以上とすることにより、十分な目的とする絶縁性および表面性状得られる点で好ましい。また、第2の無機膜23は、一般的に脆く、厚過ぎると、割れ、ヒビ、および、剥がれ等を生じる可能性が有り屈曲性が低下するが、第2の無機膜23の厚さを50nm以下とすることにより、割れが発生することを防止して屈曲性の低下を抑制できる。
第2の無機膜23は、材料に応じた公知の方法で形成できる。
例えば、CCP(Capacitively Coupled Plasma)−CVDおよびICP(Inductively Coupled Plasm)−CVD等のプラズマCVD、原子層堆積法(ALD(Atomic Layer Deposition))、マグネトロンスパッタリングおよび反応性スパッタリング等のスパッタリング、ならびに、真空蒸着などの各種の気相成膜法が好適に挙げられる。
中でも、CCP−CVDおよびICP−CVD等のプラズマCVDは、好適に利用される。
<有機層>
有機層21は、SiNH膜22を適正に形成するための下地層となる層である。
有機層21の表面に形成されるSiNH膜22は、好ましくは、プラズマCVD(Chemical Vapor Deposition)によって形成される。そのため、SiNH膜22を形成する際に、有機層21がプラズマによってエッチングされて、有機層21とSiNH膜22との間には、有機層21の成分とSiNH膜22の成分とを有する、混合層のような層が形成される。その結果、有機層21とSiNH膜22とは、非常に強い密着力で密着される。
なお、有機層21の厚さとは、上述の混合層を含まない、有機層21の形成成分のみからなる層の厚さである。
また、有機層21は、SiNH膜22を適正に形成するための下地層であるので、ゲート電極20の表面に形成される有機層21は、ゲート電極20および支持体12の表面の凹凸および表面に付着する異物等を包埋する。その結果、SiNH膜22の形成面を適正にして、適正にSiNH膜22を形成することを可能にする。
また、SiNH膜22および有機層21を転写にてゲート電極20上に形成する場合には、有機層21は、基板32が剥離可能に貼着される層である(図7参照)。すなわち、有機層21は、基板32から剥離可能な層である。従って、有機層21とSiNH膜22との密着力が、基板32と有機層21との密着力よりも強い。
上述のとおり、SiNH膜22をプラズマCVDによって形成する場合には、有機層21がプラズマによってエッチングされて、混合層が形成され、有機層21とSiNH膜22との密着力は、非常に高くなる。従って、有機層21とSiNH膜22との密着力は、基板32と有機層21との密着力よりも、遥かに強く、有機層21から基板32を剥離しても、有機層21とSiNH膜22とが剥離することは無い。
基板32を剥離可能にする有機層21にSiNH膜22を形成することにより、基板32が剥離可能な転写型積層フィルムを実現している。
SiNH膜22の形成の際に有機層21には高い温度がかかるため、有機層21は、耐熱性が高いのが好ましい。具体的には、有機層21は、ガラス転移温度(Tg)が175℃以上であるのが好ましく、200℃以上であるのがより好ましく、250℃以上であるのがさらに好ましい。
上述のように、有機層21の表面に形成されるSiNH膜22は、好ましくは、プラズマCVDによって形成される。有機層21のTgを175℃以上とすることにより、SiNH膜22を形成する際における、プラズマによる有機層21のエッチングおよび揮発を好適に抑制して、適正な有機層21およびSiNH膜22を好適に形成できる等の点で好ましい。
有機層21のTgの上限には、制限はないが、500℃以下であるのが好ましい。
また、Tgと同様の理由で、有機層21を形成する樹脂は、ある程度、分子量が大きいのが好ましい。
具体的には、有機層21を形成する樹脂は、分子量(重量平均分子量(Mw))が500以上であるのが好ましく、1000以上であるのがより好ましく、1500以上であるのがさらに好ましい。
なお、有機層21のTgは、示差走査熱量計(DSC)等を用いる公知の方法で特定すればよい。また、分子量も、ゲル浸透クロマトグラフィ(GPC)等を用いる公知の方法で測定すればよい。また、市販品を用いる場合には、有機層21のTgおよび分子量は、カタログ値を用いればよい。
以上の点に関しては、後述する接着層30も同様である。
有機層21の形成材料としては、公知のガスバリアフィルムで無機層の下地層として用いられている、有機層(有機層)が各種利用可能である。有機層21は、例えば、モノマー、ダイマーおよびオリゴマー等を重合(架橋、硬化)した有機化合物からなる層である。有機層21を形成するための組成物は、有機化合物を1種のみ含んでもよく、2種以上含んでもよい。
有機層21は、例えば、熱可塑性樹脂および有機ケイ素化合物等を含有する。熱可塑性樹脂は、例えば、ポリエステル、(メタ)アクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、セルロースアシレート、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、脂環式ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、フルオレン環変性ポリカーボネート、脂環変性ポリカーボネート、フルオレン環変性ポリエステル、および、アクリル化合物等が挙げられる。有機ケイ素化合物は、例えば、ポリシロキサンが挙げられる。
有機層21は、強度が優れる観点と、ガラス転移点の観点とから、好ましくは、ラジカル硬化性化合物および/またはエーテル基を有するカチオン硬化性化合物の重合物を含む。
有機層21は、有機層21の屈折率を低くする観点から、好ましくは、(メタ)アクリレートのモノマー、オリゴマー等の重合体を主成分とする(メタ)アクリル樹脂を含む。有機層21は、屈折率を低くすることにより、透明性が高くなり、光透過性が向上する。
有機層21は、より好ましくは、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(DPGDA)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(TMPTA)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(DPHA)などの、2官能以上の(メタ)アクリレートのモノマー、ダイマーおよびオリゴマー等の重合体を主成分とする(メタ)アクリル樹脂を含み、さらに好ましくは、3官能以上の(メタ)アクリレートのモノマー、ダイマーおよびオリゴマー等の重合体を主成分とする(メタ)アクリル樹脂を含む。また、これらの(メタ)アクリル樹脂を、複数用いてもよい。主成分とは、含有する成分のうち、最も含有質量比が大きい成分をいう。
また、有機層21は、芳香族環を有する樹脂によって形成することで、基板32を剥離可能にすることができる。
有機層21は、好ましくは、ビスフェノール構造を含む樹脂を主成分とする。有機層21は、より好ましくは、ポリアリレート(ポリアリレート樹脂(PAR))を主成分とする。周知のように、ポリアリレートとは、ビスフェノールAに代表されるビスフェノールなどの2価フェノールと、フタル酸(テレフタル酸、イソフタル酸)などの2塩基酸との重縮合体からなる芳香族ポリエステルである。
有機層21をビスフェノール構造を含む樹脂を主成分とすることにより、特に、有機層21をポリアリレートを主成分とすることにより、基板32と有機層21との密着力が適正で、かつ、容易に基板32を剥離可能とすることができる。また、適度な柔軟性を有するので基板32を剥離する際のSiNH膜22の損傷(割れおよびヒビ等)を防止できる、耐熱性が高いため適正なSiNH膜22を安定して形成できる、転写後の性能劣化を防止できる、有機薄膜トランジスタとしての伸縮性を高くすることができる等の点で好ましい。
なお、主成分とは、含有する成分のうち、最も含有質量比が大きい成分をいう。
有機層21を芳香族環を有する各種の樹脂で形成する場合には、有機層21は、芳香族環を有する樹脂であれば、市販品を用いて形成してもよい。
有機層21の形成に利用可能な市販品の樹脂としては、ユニチカ株式会社製のユニファイナー(unifiner:登録商標)およびUポリマー(登録商標)、ならびに、三菱ガス化学株式会社製のネオプリム(登録商標)等が例示される。
有機層21は、材料に応じた公知の方法で形成できる。
例えば、有機層21は、有機層21となる樹脂(有機化合物)等を溶剤に溶解した組成物(樹脂組成物)を調製して、基板32に塗布し、組成物を乾燥させる、塗布法で形成できる。塗布法による有機層21の形成では、必要に応じて、さらに、乾燥した組成物に、紫外線を照射することにより、成物中の樹脂(有機化合物)を重合(架橋)させてもよい。
有機層21を形成するための組成物は、有機化合物に加え、好ましくは、有機溶剤、界面活性剤、および、シランカップリング剤などを含む。
有機層21の厚みには特に限定はないが、有機層21はSiNH膜22の下地層となるため、欠陥のない緻密なSiNH膜22を形成するためには、有機層21がSiNH膜22形成面の表面の凹凸および異物を包埋して、SiNH膜22の形成面を平坦な表面とする必要がある。また、SiNH膜22を転写にてゲート電極20上に積層する場合には、基板32を剥離する際に、剥離時に引き裂かれない機械強度を維持する必要がある。そのため、有機層21の厚みはある程度の厚みが必要である。
以上の観点から、有機層21の厚みは、0.01μm〜1μmの範囲とするのが好ましく、0.03μm〜0.8μmの範囲とするのがより好ましく、0.05μm〜0.5μmの範囲とするのがさらに好ましい。
なお、有機層21を複数有する場合には、複数の有機層21は、同じ材料で形成されていてもよいし、異なる材料で形成されていてもよい。また、厚みも同じであっても異なっていてもよい。
また、SiNH膜22を転写にてゲート電極20上に積層する場合には、有機層21は基板32と剥離可能に形成される必要がある。そのため、上述のように有機層21の材料として剥離性を有する材料を用いてもよいし、有機層21と基板32との間に剥離層を設けてもよい。剥離層としては、従来公知の剥離層が適宜利用可能である。
<接着層>
接着層30は、SiNH膜22を転写にてゲート電極20上に積層する場合に、SiNH膜22と有機層21とを有する転写層をゲート電極20上に貼り合わせるためのものである。接着層30は、SiNH膜22とゲート電極20および支持体12との間に、ゲート電極20を包埋するように形成される。
また、接着層30は、絶縁性を発現するSiNH膜22を保護する保護層としても作用する。
接着層30は、従来公知のOCA(光学透明接着剤)でもよいし、ホットメルト接着剤(HMA(Hot Melting Adhesive))を用いる接着層であってもよい。具体的には、ホットメルト接着層は、常温では固体で、加熱することで流動して、接着性を発現する接着層である。なお、本発明において、常温とは23℃である。
ホットメルト接着剤を用いる場合は、接着層30は、30〜200℃で流動して接着性を発現するのが好ましく、接着層30は、40〜180℃で流動して接着性を発現するのがより好ましく、50〜150℃で流動して接着性を発現するのがさらに好ましい。
接着層30が常温で流動して接着性を発現する場合には、転写型積層フィルムの切断時および転写時に、上述した箔引きが生じやすく、絶縁性能の低下等を生じる。
また、流動して接着性を発現する温度が高すぎると、貼着対象への貼着時に必要な加熱温度が高くなってしまい、基板32、有機層21および貼着対象に熱ダメージを与えてしまう。
ホットメルト接着剤を用いる場合は、接着層30のTgには制限は無いが、130℃以下であるのが好ましく、100℃以下であるのがより好ましく、60℃以下であるのがさらに好ましく、30℃以下であるのが特に好ましい。
接着層30のTgを130℃以下とすることにより、熱流動性が得やすいため、加熱による接着性および転写性を向上して上述した箔引きを防止できる、低温で接着でき生産性を向上できる等の点で好ましい。
接着層30のTgの下限にも制限はないが、−150℃以上であるのが好ましい。
ホットメルト接着剤を用いる場合は、接着層30は、常温では固体で、加熱により流動して接着性を発現できれば、材料に制限はない。
ホットメルト接着剤を用いる場合は、接着層30は、非晶性樹脂を主成分とするのが好ましく、アクリル樹脂を主成分とするのがより好ましく、単一のアクリレートモノマーを重合してなる樹脂(アクリルホモポリマー(ホモアクリルポリマー))を主成分とするのがさらに好ましい。
接着層30の主成分を非晶性樹脂、特にアクリル樹脂とすることにより、透明性が高いガスバリアフィルムが得られる等の点で好ましい。
さらに、接着層30の主成分をアクリルホモポリマーとすることにより、上述した利点に加え、熱による転写性を良好にできる、箔引きを防止できる、硬化した後の巻き取り時にブロッキングしにくい等の点で好ましい。また、接着層30をアクリルホモポリマーで形成することにより、上述した利点に加え、接着層30を、比較的、低い温度で流動して接着性を発現する層にできる。従って、積層フィルムに高い耐熱性を要求されない場合には、アクリルホモポリマーからなる接着層30は、好適に利用される。
ホットメルト接着剤を用いる場合は、常温では固体で、加熱により流動して接着性を発現する接着層30を形成できれば、公知の各種の樹脂が利用可能であり、また、市販品も利用可能である。
具体的には、大成ファインケミカル株式会社製の0415BA(アクリルホモポリマー)および#7000シリーズ等が例示される。
接着層30には、必要に応じて、スチレンアクリル共重合体(スチレン変性アクリル樹脂)、ウレタンアクリル共重合体(ウレタン変性アクリル樹脂)、および、ガラス転移点調節用のアクリル樹脂からなる群より選択される1以上を含んでもよい。
接着層30に、これらの成分を添加することで、接着層30のTgを向上できる。従って、用途等に応じて、有機薄膜トランジスタに耐熱性が要求される場合には、これらの成分を添加した接着層30は、好適に例示される。
また、接着層30にスチレンアクリル共重合体と添加することで、接着層30の硬さを調節できるので、貼着対象との硬さのバランスを調節できる。接着層30にウレタンアクリル共重合体を添加することにより、SiNH膜22との密着性を向上できる。
なお、これらの成分の添加量には、制限はなく、添加する成分および目的とするTgに応じて、適宜、すればよい。しかしながら、これらの成分の添加量は、接着層30の主成分が、上述した非晶性樹脂およびアクリル樹脂等となる量とするのが好ましい。
スチレンアクリル共重合体、ウレタンアクリル共重合体、および、ガラス転移点調節用のアクリル樹脂には、制限はなく、樹脂等のTg調節に使用される、各種の樹脂が利用可能である。また、これらの成分は、市販品も利用可能である。
一例として、スチレンアクリル共重合体としては、大成ファインケミカル株式会社製の#7000シリーズ等が例示される。
ウレタンアクリル共重合体としては、大成ファインケミカル株式会社製のアクリット(登録商標)8UAシリーズ等が例示される。
ガラス転移点調節用のアクリル樹脂としては、PMMA(例えば、三菱化学株式会社製のダイヤナール(登録商標)など)等が例示される。
接着層30の厚みは特に限定はないが、十分な密着性を得られる観点から接着層30はある程度の厚みが必要である。有機薄膜トランジスタ全体の軽量化および薄手化を図れる観点からは、接着層30の厚みは薄いのが好ましい。
以上の観点から、接着層の厚みは、20μm〜0.1μmの範囲とするのが好ましく、5μm〜0.3μmの範囲とするのがより好ましく、2μm〜0.5μmの範囲とするのがさらに好ましい。
[有機薄膜トランジスタの製造方法]
本発明の有機薄膜トランジスタの製造方法は、
支持体上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、
ゲート電極の上に絶縁膜を積層する絶縁膜積層工程と、
絶縁膜の上に有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と
有機半導体層の上にソース電極およびドレイン電極を形成するソースドレイン電極形成工程とを有し、
絶縁膜は、SiNHからなる無機層を含む有機薄膜トランジスタの製造方法である。
以下、図5〜図10の概念図を参照して、本発明の有機薄膜トランジスタの製造方法の一例を説明する。なお、以下に説明する製造方法は、図3に示すように、SiNH膜22の上下に、接着層30と有機層21とを有する有機薄膜トランジスタ10cの製造方法である。
まず、ゲート電極形成工程として、図5に示すように、支持体12の上にゲート電極を形成する。ゲート電極20の材料および形成方法は前述のとおりである。
次に、絶縁膜積層工程において、ゲート電極20の上に絶縁膜を積層する。
まず、図6に示すように、ゲート電極20の上に接着層30を形成する。
一方で、図7に示すような基板32と、有機層21およびSiNH膜22を有する転写層とを有する転写型積層フィルム40を準備する。この転写型積層フィルム40は、転写層から基板32を剥離可能なものである。
基板32は、各種の積層型の機能性フィルムなどにおいて基板(支持体)として利用される、公知のシート状物(フィルム、板状物)を用いることができる。また、基板32は、各種の光学透明接着剤(OCA(Optical Clear Adhesive))においてセパレータ(軽剥離セパレータおよび重剥離セパレータ)として用いられている各種のシート状物も利用可能である。
このような転写型積層フィルム40は、基板32の上に前述の方法で有機層21を形成し、さらに、有機層21の上に、前述の方法でSiNH膜22を形成することで作製することができる。
また、転写型積層フィルム40は、SiNH膜22の上に保護フィルムを有していてもよい。転写型積層フィルム40が保護フィルムを有する場合には、転写の前に保護フィルムを剥離しておけばよい。
図8に示すように、このような転写型積層フィルム40を、SiNH膜22側を接着層30に接着させて積層する。必要に応じて加熱、圧着等を行ってもよい。
その後、図9に示すように、基板32を剥離して絶縁膜であるSiNH膜22をゲート電極上に積層する。
次に、図10に示すように、有機半導体層形成工程において、SiNH膜22の上層に、図示例では有機層21の上に有機半導体層24を形成する。上述のとおり、有機半導体層24は従来公知の方法で形成することができる。
次に、ソースドレイン電極形成工程において、有機半導体層24上にソース電極26およびドレイン電極28を形成する。上述のとおり、ソース電極26およびドレイン電極28は従来公知の方法で形成することができる。これにより、図3に示す有機薄膜トランジスタ10cが作製される。
なお、上記例では、絶縁膜積層工程において、SiNH膜22および有機層21を基板32上に有する転写型積層フィルムを用いて、SiNH膜22および有機層21をゲート電極20上に転写して積層する構成としたが、これに限定はされない。
例えば、絶縁膜積層工程において、ゲート電極20上に直接、SiNH膜22を形成する構成としてもよい。あるいは、ゲート電極20上に有機層21を形成し、この有機層21上にSiNH膜22を形成する構成としてもよい。
また、上記有機薄膜トランジスタの製造方法は、各工程をロール・トゥ・ロール(RtoR)によって行ってもよいし、カットされた転写型積層フィルムを用いて、バッチ式で行ってもよい。また、転写型積層フィルム40の作製、および、上記有機薄膜トランジスタの製造方法の各工程のすべてを一連のRtoRによって行ってもよい。
以上、本発明の有機薄膜トランジスタ、および、有機薄膜トランジスタの製造方法について詳細に説明したが、本発明は上記の態様に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々、改良や変更を行ってもよい。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。本発明は、以下に示す具体例に限定されない。
[実施例1]
<有機薄膜トランジスタの作製>
支持体12として、厚み0.1mmのPEN(帝人フィルムソリューション株式会社製)を用い、以下のようにして図1に示すような有機薄膜トランジスタを作製した。
(ゲート電極の形成)
ガラス基板上に、金を真空蒸着し、ゲート電極20を形成した。ゲート電極20は幅10mm、厚さ50nmとした。
(絶縁膜の形成)
CVD装置を用いて、ゲート電極20が形成された支持体12上に、SiNH膜を形成した。
CVD装置は、CCP−CVDによる成膜装置、基板を巻き掛けて搬送する対向電極となるドラム、樹脂層に積層された保護フィルムを剥離するガイドローラ、剥離した保護フィルムを巻き取る回収ロール、長尺な保護フィルムを巻回したロールの装填部、および、成膜済の無機層の表面に保護フィルムを積層するガイドローラ等を有する。なお、CVD装置は2つ以上の成膜ユニット(成膜装置)を有するものを用いた。
装填部に装填されたロールからゲート電極20が形成された支持体12を送り出し、SiNH膜22を形成した。SiNH膜22の形成には、2つの電極(成膜ユニット)を使用し、原料ガスは、シランガス、アンモニアガスおよび水素ガスを用いた。原料ガスの供給量は、第1成膜ユニットは、シランガス150sccm、アンモニアガス300sccmおよび水素ガス800sccmとし、第2成膜ユニットは、シランガス150sccm、アンモニアガス350sccmおよび水素ガス800sccmとした。第1成膜ユニットおよび第2成膜ユニットにおいて、プラズマ励起電力は2.5kW、プラズマ励起電力の周波数は13.56MHzとした。ドラムには、周波数0.4MHz、0.5kWのバイアス電力を供給した。また、ドラムは、冷却手段によって30℃に温度制御した。成膜圧力は50Paとした。SiNH膜22の膜厚は20nmであった。
また、SiNH膜22中のSiNとHとの原子数の比率SiN:Hを、ラザフォード後方散乱分析装置(KOBELCO社製、HRBS−V500)を用いて、RBS/HFS法によって測定したところ、SiN:Hは、1:1.2であった。
(有機半導体層の形成)
下記に示す有機半導体bを0.5wt%濃度で溶解したトルエン溶液を調製した。この溶液をSiNH膜22の上にスピンコート(500回転で20秒及び1000回転で20秒)し、乾燥後の層厚が150nmとなるように有機半導体層24を形成した。
Figure 2020049956
(ソース電極およびドレイン電極の形成)
有機半導体層24の上に金を真空蒸着し、ソース電極26およびドレイン電極28を形成した。ソース電極26およびドレイン電極28はそれぞれ、チャネル長30μm、厚さ50nmとし、チャネル幅は10mmとした。
以上により有機薄膜トランジスタを作製した。
[実施例2]
SiNH膜22を形成する前に下記の工程によって有機層21を形成した以外は実施例1と同様にして図2に示すような有機薄膜トランジスタを作製した。
(有機層形成工程)
TMPTA(ダイセル・オルネクス株式会社製)および光重合開始剤(ランベルティ社製、ESACURE(登録商標) KTO46)を用意し、重量比率として95:5となるように秤量し、これらをメチルエチルケトンに溶解させ、固形分濃度15%の塗布液とした。この塗布液を、スピンコーターを用いて、ゲート電極20を形成した支持体12上に塗布し、50℃で3分間乾燥した。その後、紫外線を照射(積算照射量約600mJ/cm2)し後にUV硬化にて硬化させた。有機層21の厚みは0.5μmとなった。
その後、有機層21の上に実施例1と同様にしてSiNH膜22を形成した。
[実施例3]
SiNH膜22を転写によって積層した以外は実施例1と同様にして図3に示すような有機薄膜トランジスタを作製した。
<転写型積層フィルムの作製>
基板32としてPETフィルム(東洋紡株式会社製 A4100、厚み100μm、幅1000mm、長さ100m)を用い、未下塗り面に以下の手順で有機層21およびSiNH膜22を形成し、転写型積層フィルム40を作製した。
(有機層の形成)
ポリアリレート(ユニチカ社製ユニファイナ―(登録商標)M−2000H)とシクロヘキサノンを用意し、重量比率として5:95となるように秤量し、常温で溶解させ、固形分濃度5%の塗布液とした。使用したポリアリレートのTgは275℃(カタログ値)である。
この塗布液を、ダイコーターを用いてRtoRにより上記基板32に塗布し、130℃の乾燥ゾーンを3分間通過させた。最初の膜面タッチロールに触れる前に、PE(ポリエチレン)の保護フィルムを貼合し、後に巻き取った。基板32上に形成された有機層21の厚さは、0.5μmであった。
(SiNH膜の形成)
ドラムに基板を巻きかけて成膜を行う、RtoRの一般的なCVD装置を用いて、有機層21の表面にSiNH膜22を形成した。
CVD装置は、CCP−CVDによる成膜装置、基板を巻き掛けて搬送する対向電極となるドラム、樹脂層に積層された保護フィルムを剥離するガイドローラ、剥離した保護フィルムを巻き取る回収ロール、長尺な保護フィルムを巻回したロールの装填部、および、成膜済の無機層の表面に保護フィルムを積層するガイドローラ等を有する。なお、CVD装置は2つ以上の成膜ユニット(成膜装置)を有するものを用いた。
装填部に装填されたロールから有機層21が形成された基板32を送り出し、成膜前の最後の膜面タッチロールを通過後に保護フィルムを剥離し、暴露された有機層21の上にSiNH膜22を形成した。SiNH膜22の形成には、2つの電極(成膜ユニット)を使用し、原料ガスは、シランガス、アンモニアガスおよび水素ガスを用いた。原料ガスの供給量は、第1成膜ユニットは、シランガス150sccm、アンモニアガス300sccmおよび水素ガス800sccmとし、第2成膜ユニットは、シランガス150sccm、アンモニアガス350sccmおよび水素ガス800sccmとした。第1成膜ユニットおよび第2成膜ユニットにおいて、プラズマ励起電力は2.5kW、プラズマ励起電力の周波数は13.56MHzとした。ドラムには、周波数0.4MHz、0.5kWのバイアス電力を供給した。また、ドラムは、冷却手段によって30℃に温度制御した。成膜圧力は50Paとした。成膜直後のSiNH膜22の膜面にPEの保護フィルムを貼合し、後に巻き取った。SiNH膜22の膜厚は20nmであった。
また、SiN:Hは、1:1.2であった。
<SiNH膜の転写>
上記で作製した転写型積層フィルム40から基板32を剥離して、SiNH膜22および有機層21をゲート電極20上に、有機層21をゲート電極側にして接着剤を用いて貼合した。
[実施例4]
SiNH膜22を形成する際の条件を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして有機薄膜トランジスタを作製した。
原料ガスの供給量は、第1成膜ユニットは、シランガス150sccm、アンモニアガス300sccmおよび水素ガス500sccmとし、第2成膜ユニットは、シランガス150sccm、アンモニアガス350sccmおよび水素ガス500sccmとした。第1成膜ユニットおよび第2成膜ユニットにおいて、プラズマ励起電力は2.5kW、プラズマ励起電力の周波数は13.56MHzとした。ドラムには、周波数0.4MHz、0.5kWのバイアス電力を供給した。
SiNH膜22の膜厚は20nmであった。また、SiNH膜22中のSiNとHとの原子数の比率SiN:Hは、1:0.75であった。
[実施例5]
SiNH膜22を形成する際の条件を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして有機薄膜トランジスタを作製した。
原料ガスの供給量は、第1成膜ユニットは、シランガス150sccm、アンモニアガス100sccmおよび水素ガス1000sccmとし、第2成膜ユニットは、シランガス150sccm、アンモニアガス100sccmおよび水素ガス1000sccmとした。第1成膜ユニットおよび第2成膜ユニットにおいて、プラズマ励起電力は2.5kW、プラズマ励起電力の周波数は13.56MHzとした。ドラムには、周波数0.4MHz、0.5kWのバイアス電力を供給した。
SiNH膜22の膜厚は20nmであった。また、SiNH膜22中のSiNとHとの原子数の比率SiN:Hは、1:1.8であった。
[実施例6]
SiNH膜22を形成する際の条件を以下のように変更した以外は、実施例1と同様にして有機薄膜トランジスタを作製した。
原料ガスの供給量は、第1成膜ユニットは、シランガス75sccm、アンモニアガス180sccmおよび水素ガス300sccmとし、第2成膜ユニットは、シランガス75sccm、アンモニアガス180sccmおよび水素ガス300sccmとした。第1成膜ユニットおよび第2成膜ユニットにおいて、プラズマ励起電力は2.5kW、プラズマ励起電力の周波数は13.56MHzとした。ドラムには、周波数0.4MHz、0.5kWのバイアス電力を供給した。
SiNH膜22の膜厚は9nmであった。また、SiN:Hは、1:1.2であった。
[実施例7]
SiNH膜22の上にSiO2膜23を有する構成とした以外は、実施例1と同様にして有機薄膜トランジスタを作製した。
SiNH膜22の形成後、SiNH膜22の形成に用いたCVD装置の第3成膜ユニットにおいて、SiNH膜22上にSiO2膜を形成した。
第3成膜ユニットにおける原料ガスの供給量は、シランガス150sccm、アンモニアガス300sccmおよび水素ガス0sccmとした。第3成膜ユニットにおいて、プラズマ励起電力は2.5kW、プラズマ励起電力の周波数は13.56MHzとした。大気に暴露して表面を酸化させ、SiO2膜を得た。
SiO2膜23の膜厚は2nmであった。
[比較例1]
絶縁膜として、SiN膜を形成した以外は実施例1と同様にして有機薄膜トランジスタを作製した。
(SiN膜の形成)
ドラムに基板を巻きかけて成膜を行う、RtoRの一般的なCVD装置を用いて、有機層21の表面にSiN膜を形成した。
装填部に装填されたロールからゲート電極20が形成された支持体12を送り出し、SiN膜を形成した。SiN膜の形成には、2つの電極(成膜ユニット)を使用し、原料ガスは、シランガス、アンモニアガスおよび窒素ガスを用いた。原料ガスの供給量は、第1成膜ユニットは、シランガス150sccm、アンモニアガス300sccmおよび窒素ガス100sccmとし、第2成膜ユニットは、シランガス150sccm、アンモニアガス350sccmおよび窒素ガス500sccmとした。第1成膜ユニットおよび第2成膜ユニットにおいて、プラズマ励起電力は2.5kW、プラズマ励起電力の周波数は13.56MHzとした。ドラムには、周波数0.4MHz、0.5kWのバイアス電力を供給した。また、ドラムは、冷却手段によって30℃に温度制御した。成膜圧力は50Paとした。SiN膜の膜厚は20nmであった。
[評価]
<キャリア移動度>
上記で作製した各実施例および比較例の有機薄膜トランジスタについて、キャリア移動度を下記方法により評価した。
ソース電極−ドレイン電極間に−40Vの電圧を印加し、ゲート電圧を40V〜−40Vの範囲で変化させ、ドレイン電流Idを表わす下記式を用いてキャリア移動度μを算出した。
Id=(w/2L)μCi(Vg−Vth)2
(式中、Lはゲート長、wはゲート幅、Ciは絶縁層の単位面積当たりの容量、Vgはゲート電圧、Vthは閾値電圧)
<屈曲性>
各実施例および比較例の有機薄膜トランジスタを、φ8mmで10万回外曲げした後に、先と同様に、キャリア移動度(表1中、「移動度」)を測定し、曲げ試験前のキャリア移動度に対する比率を算出した。
結果を、下記の表に示す。
Figure 2020049956
表1から本発明の有機薄膜トランジスタは、比較例に比べて、屈曲試験後のキャリア移動度の低下が小さく、屈曲性が高いことがわかる。
また、実施例1と実施例2との対比から、無機膜の下地層となる有機層を有するのが好ましいことがわかる。
また、実施例2と実施例3との対比から、無機膜を転写によって積層するのが好ましいことがわかる。
また、実施例1、実施例4、および実施例5の対比から、SiNとHとの原子数の比率SiN:Hは、1:0.9〜1.5であるのがより好ましいことがわかる。
また、実施例1と実施例6との対比から無機膜の厚みは、10nm以上であるのが好ましいことがわかる。
また、実施例1と実施例7との対比から、第2の無機膜を有するのが好ましいことがわかる。
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
10、10a〜10d 有機薄膜トランジスタ
12 支持体
18 トランジスタ素子
20 ゲート電極
21 有機層
22 SiNH膜(無機膜、絶縁膜)
23 第2の無機膜(SiO2膜)
24 有機半導体層
26 ソース電極
28 ドレイン電極
30 樹脂層
32 基板
40 転写型積層フィルム

Claims (10)

  1. ゲート電極と、
    前記ゲート電極を覆って形成される絶縁膜と、
    前記絶縁膜上に形成される有機半導体層と、
    前記有機半導体層上に形成されるソース電極、および、ドレイン電極を有し、
    前記絶縁膜は、SiNHからなる無機膜を含む有機薄膜トランジスタ。
  2. 前記無機膜中のSiNとHとの原子数の比率SiN:Hが、1:0.7〜2である請求項1に記載の有機薄膜トランジスタ。
  3. 前記無機膜の厚みが1nm〜100nmである請求項1または2に記載の有機薄膜トランジスタ。
  4. 前記無機膜の前記ゲート電極側に有機層を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタ。
  5. 前記有機層の厚みが0.01μm〜1μmである請求項4に記載の有機薄膜トランジスタ。
  6. 前記有機層のガラス転移温度が200℃以上である請求項4または5に記載の有機薄膜トランジスタ。
  7. 前記無機膜の前記有機半導体層側の表面にSiO2をからなる第2の無機膜を有する請求項1〜6のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタ。
  8. 前記ゲート電極、前記絶縁膜、前記有機半導体層、前記ソース電極、および、前記ドレイン電極を支持する支持体を有する請求項1〜7のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタ。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法であって、
    支持体上にゲート電極を形成するゲート電極形成工程と、
    前記ゲート電極の上に絶縁膜を積層する絶縁膜積層工程と、
    前記絶縁膜の上に有機半導体層を形成する有機半導体層形成工程と
    前記有機半導体層の上にソース電極およびドレイン電極を形成するソースドレイン電極形成工程とを有し、
    前記絶縁膜は、SiNHからなる無機層を含む有機薄膜トランジスタの製造方法。
  10. 前記絶縁膜積層工程は、
    基板と、基板上に形成された前記無機層を含む転写層とを有する転写型積層フィルムを前記ゲート電極の上に積層した後に、
    前記転写層から前記基板を剥離することで、前記ゲート電極の上に前記絶縁膜を積層する請求項9に記載の有機薄膜トランジスタの製造方法。
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