JP2013016670A - 透明導電フィルムおよびその製造方法並びに有機薄膜太陽電池 - Google Patents

透明導電フィルムおよびその製造方法並びに有機薄膜太陽電池 Download PDF

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Abstract

【課題】透明導電フィルムを導電性、光透過性、および平滑性に優れたものとする。
【解決手段】支持体12上に、導電メッシュ14と、導電メッシュ14の開口部に位置する導電メッシュ14を平坦化するための透明ポリマー16と、導電メッシュ14と透明ポリマー16の表面を覆うように設けられた導電性ポリマー層18とを有する透明導電フィルム10であって、透明ポリマー16を芳香環を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーを少なくとも含有する組成物を重合したものとする。
【選択図】図1

Description

本発明は透明導電フィルムおよびその製造方法並びに有機薄膜太陽電池に関するものである。
太陽電池の技術分野において、近年、軽量、低コスト、フレキシブル化が期待できる有機薄膜太陽電池が注目されている。有機薄膜太陽電池の構成は、2つの異種電極間に、有機材料の薄膜からなる光電変換層を配置してなるものが一般的である。フィルム基板を用いて構成される有機薄膜太陽電池は、シリコン等を用いてなる従来の太陽電池に比べて低コストで製造し得るという利点がある。
有機薄膜太陽電池の基板には、透明導電フィルムが用いられる。透明導電フィルムには、表面の導電性、平滑性、および光透過率が高いことが要求される。このような性質を満たすものとしてインジウムースズ酸化物を蒸着したフィルム(ITOフィルム)が知られているが、ITOフィルムは高価であるため、その代替が求められている。
ITO代替を目的として、例えば特許文献1には導電メッシュと導電性ポリマーとを組み合わせた透明導電フィルムが開示されている。しかし、特許文献1では、導電メッシュの厚みが0.1μmと薄いため、十分な導電性を得るためには線幅を広くする必要がある。しかしそうすると、開口率が低くなるため光透過率が低下してしまう。一方で、導電メッシュの膜厚を厚くすれば導電性を確保することはできるものの、開口部の導電性ポリマーの膜厚も厚くなるため光透過性が低下する。すなわち、導電性と光透過性とを両立することができないという問題を有する。
一方、導電性メッシュの開口部を透明なポリマーで充填した後に、導電性ポリマー層を設置して光透過と導電性を両立する試みもなされている。しかしながら、このような方法の場合、メッシュ電極上に非導電性の透明ポリマーが堆積することで、表面の導電性が低下することが問題となる。特許文献2には導電性メッシュを形成後、全面に紫外線硬化樹脂を塗布、さらに裏面から紫外線を照射して透光部のみ紫外線硬化樹脂を硬化させた後に、導電性メッシュ上の未架橋の紫外線硬化樹脂を除去することにより透光部にのみ樹脂を設ける方法が記載されている。
また、導電性物質として金属ナノワイヤを用い、導電性物質の接触確率を高めることによって導電性物質の配合量を低減し、透明性と導電性の両立を図る試みもなされている(特許文献3)。
特開2009−76668号公報 特開2009−140750号公報 特開2011−29099号公報
特許文献2に記載されている方法は背面から光を照射するため、導電性メッシュ上の紫外線硬化樹脂は硬化しないため、これを取り除けば平坦性は担保できそうであるが、導電性メッシュ上の未硬化樹脂を取り除くことによって、導電性メッシュの開口部の硬化樹脂との間により大きな段差が生じてしまうため、結局段差の問題を解消することはできない。また、金属ナノワイヤの場合、金属ナノワイヤの含有量を増やすと透明導電膜のヘイズが高くなって、光の透過率が低下することになり、透明導電膜としての品質が損なわれるおそれがある。特許文献3ではこの問題を、マトリクス樹脂との屈折率の差や透光性粒子の粒子径を調整することによって克服しようとしているが、実際にこのような調整をすることは困難である。
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、導電性、光透過性、および平滑性のいずれもが良好である透明導電フィルムおよびその製造方法を提供することを目的とするものである。また、本発明はこの透明導電フィルムを用いた有機薄膜太陽電池をも提供することを目的とするものである。
本発明の透明導電フィルムは、支持体上に、導電メッシュと、該導電メッシュの開口部に位置する該導電メッシュを平坦化するための透明ポリマーと、前記導電メッシュと前記透明ポリマーの表面を覆うように設けられた導電性ポリマー層と、を有する透明導電フィルムであって、前記透明ポリマーが芳香環を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーを少なくとも含有する組成物を重合したものであることを特徴とするものである。
前記芳香環を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーは下記一般式(1)で表される化合物であることが好ましい。
(式中、R1、R2は水素原子、アルキル基またはアリール基であり、R3、R4は少なくとも(メタ)アクリロイルオキシ基を置換基として含む置換アルキル基を表す。)
前記一般式(1)で表される化合物のR3、R4はヒドロキシル基を有することが好ましい。
前記一般式(1)で表される化合物は3官能または4官能のアクリレートモノマーであることが好ましい。
前記導電性ポリマー層はドープされたポリエチレンジオキシチオフェンであることが好ましい。
前記導電メッシュは銀、銅、または銀と銅の複合体であることが好ましい。
本発明の有機薄膜太陽電池は、上記記載の透明導電フィルムを第一電極とし、該第一電極上に、少なくとも光電変換層と、第二電極と、をこの順に備えたことを特徴するものである。
本発明の透明導電フィルムの製造方法は、支持体上に導電メッシュを設置する工程と、該導電メッシュ上に芳香環を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーを少なくとも含有する組成物を塗布する工程と、前記塗布した組成物を重合して透明ポリマーを形成する工程と、前記導電メッシュ上に堆積した透明ポリマーをプラズマエッチングにより除去する工程と、前記導電メッシュおよび前記透明ポリマーの表面に導電性ポリマー層を形成する工程と、を含むことを特徴とするものである。
前記導電メッシュ上に堆積した透明ポリマーを除去する工程は酸素プラズマエッチングであることが好ましい。
本発明の透明導電フィルムは、支持体上に、導電メッシュと、この導電メッシュの開口部に位置する導電メッシュを平坦化するための透明ポリマーと、導電メッシュと透明ポリマーの表面を覆うように設けられた導電性ポリマー層とを有する透明導電フィルムであって、透明ポリマーが芳香環を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーを少なくとも含有する組成物を重合したものであるので、透明ポリマーが導電メッシュの開口部を埋めて、透明ポリマーと導電メッシュの上部を段差なく面一に形成することが可能である。そして、導電メッシュによって光透過性が確保されるとともに、導電性ポリマー層を平坦に形成することができるため、短絡を抑制することができ、良好な導電性を確保することが可能である。従って、本発明の透明導電フィルムを有機薄膜太陽電池に用いることで、発電効率の高い有機薄膜太陽電池の提供が可能となる。
また、本発明の透明導電フィルムの製造方法は、導電メッシュ上に芳香環を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーを少なくとも含有する組成物を塗布し、塗布した組成物を重合して透明ポリマーを形成した後、導電メッシュ上に堆積した透明ポリマーをプラズマエッチングにより除去するが、透明ポリマーの芳香環を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーが耐プラズマ性が高いので、開口部の透明ポリマーにダメージを与えることなく導電メッシュ状に堆積した透明ポリマーを除去することができ、透明ポリマーと導電メッシュの上部を面一に形成することが可能となり、透明導電フィルムを簡易に製造することができる。
本発明の透明導電フィルムの一実施の形態を示す概略断面図である。 図1に示す透明導電フィルムの概略平面図である。 本発明の透明導電フィルムの製造工程を示す概略図である。 本発明の有機薄膜太陽電池の一実施の形態を示す概略断面図である。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用する。また、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレートもしくはメタクリレートを意味する。
<透明導電フィルムの構成>
まず、本発明の透明導電フィルムの構成について説明する。図1は、本発明の透明導電フィルムの一実施の形態を示す概略断面図、図2は図1に示す透明導電フィルムの概略平面図である。なお、視認しやすくするため、図中、各構成要素の縮尺等は実際のものとは適宜異ならせてある(以下の図面についても同様)。また図2では導電メッシュの構成を視認しやすくするために、透明ポリマーと導電性ポリマー層は省略して示している。本発明の透明導電フィルム10は、少なくとも、支持体12、導電メッシュ14、透明ポリマー16および導電性ポリマー層18を含んで構成され、透明ポリマー16は導電メッシュ14の開口部20(開口部20は導電メッシュ14に囲まれた領域)に位置し、導電メッシュ14を平坦化するように設けられる。すなわち、透明ポリマー16は、導電メッシュ14の開口部20を埋めて導電メッシュ14の段差を減少させるものであり、好ましくは透明ポリマー16と導電メッシュ14の上部には段差がなく面一となっていることが好ましい。
本発明の透明導電フィルムの好ましい表面抵抗値は、20Ω/sq以下であり、10Ω/sq以下であることが好ましく、1Ω/sq以下であることがより好ましい(JIS7194に従って測定)。また、400nm〜800nmの光波長範囲の平均透過率は50%以上であり、60%以上であることが好ましく、70%以上がより好ましい。光透過率は、積分球式光透過率測定装置を用いて全光透過率として測定することができる。
以下、各構成について詳細に説明する。
<支持体>
本発明の透明導電フィルムに用いられる支持体は、導電メッシュやポリマー層を保持できる表面平滑な基板あるいはフィルムであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択しうる。通常は、支持体を含む透明導電フィルムをそのまま有機薄膜太陽電池などに用いることから、透明性(使用する光の透過性)を有する支持体が好ましい。例としては、プラスチックフィルムやガラスの薄層板などが挙げられる。なお、仮支持体を用いて透明導電フィルムを形成し、この仮支持体を剥離して任意の透明支持体上に導電メッシュ14、透明ポリマー16および導電性ポリマー層18を含む積層体を配置する場合には、仮支持体は特に透明性を必要とせず、プラスチックフィルム、金属箔、紙にプラスチックや金属をラミネートした積層体などを任意に選択して用いることができる。
以下、透明支持体の代表的な例としてプラスチックフィルム基板について説明する。
(プラスチックフィルム基板)
プラスチックフィルム基板は、材質、厚み等に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。基板に用いうるプラスチックフィルムの素材としては、具体的には、例えば、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン樹脂、透明フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィルンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、フルオレン環変性ポリエステル樹脂、アクリロイル化合物などの熱可塑性樹脂が挙げられる。
プラスチックフィルム基板としてはTgの高い耐熱性樹脂も好ましく用いられる。耐熱性樹脂の例としては、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN:120℃)、ポリカーボネート(PC:140℃)、脂環式ポリオレフィン(例えば日本ゼオン(株)製 ゼオノア1600:160℃)、ポリアリレート(PAr:210℃)、ポリエーテルスルホン(PES:220℃)、ポリスルホン(PSF:190℃)、シクロオレフィンコポリマー(COC:特開2001−150584号公報の化合物:162℃)、フルオレン環変性ポリカーボネート(BCF−PC:特開2000−227603号公報の化合物:225℃)、脂環変性ポリカーボネート(IP−PC:特開2000−227603号公報の化合物:205℃)、アクリロイル化合物(特開2002−80616号公報の化合物:300℃以上)、ポリイミド等が挙げられ(括弧内はTgを示す)、これらは本発明における基材として好適である。
本発明においてプラスチックフィルムは、光に対して透明であることが求められる。より具体的には、400nm〜800nmの波長範囲の光に対する光透過率は、通常80%以上であることが好ましく、より好ましくは85%以上、さらに90%以上であることが好ましい。光透過率は、透明導電フィルムと同様、積分球式光透過率測定装置を用いて全光透過率として測定することができる。プラスチックフィルムの厚みに関して特に制限はないが、典型的には1μm〜800μmであり、好ましくは10μm〜300μmである。
(易接着層/下塗り層)
プラスチックフィルム基板は、易接着層もしくは下塗り層を有していてもよい。易接着層もしくは下塗り層の構成としては、単層であっても、多層構造であってもよい。易接着層はバインダーポリマーを含有することが必須であるが、適宜マット剤、界面活性剤、帯電防止剤、屈折率制御のための微粒子などを含有してもよい。易接着層に用いうるバインダーポリマーには特に制限はなく、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、及び、ゴム系樹脂などから適宜選択して用いることができる。
易接着層もしくは下塗り層の乾燥後の塗布膜厚は、50nm〜2μmの範囲であることが好ましい。なお、支持体を仮支持体として用いる場合には、支持体表面に易剥離性処理を施すことも可能である。
アクリル樹脂とはアクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体を成分とするポリマーである。具体的には、例えばアクリル酸、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、アクリルアミド、アクリロニトリル、ヒドロキシルアクリレートなどを主成分とし、これらと共重合可能なモノマー(例えば、スチレン、ジビニルベンゼンなど)を共重合したポリマーであることが好ましい。
ポリウレタン樹脂とは主鎖にウレタン結合を有するポリマーの総称であり、通常ポリイソシアネートとポリオールの反応によって得られる。ポリイソシアネートとしては、TDI(Tolylene Diisocyanate)、MDI(Methyl Diphenyl Isocyanate)、HDI(Hexylene diisocyanate)、IPDI(Isophoron diisocyanate)などがあり、ポリオールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどを好ましく挙げることができる。さらに、本発明のイソシアネートとしてはポリイソシアネートとポリオールの反応によって得られたポリウレタンポリマーに鎖延長処理をして分子量を増大させたポリマーも使用できる。
ポリエステル樹脂とは主鎖にエステル結合を有するポリマーの総称であり、通常ポリカルボン酸とポリオールの反応で得られる。ポリカルボン酸としては、例えば、フマル酸、イタコン酸、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などがあり、ポリオールとしては例えば前述のものがある。
ゴム系樹脂とは合成ゴムのうちジエン系合成ゴムをいう。具体例としてはポリブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−ジビニルベンゼン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレンなどがある。
<導電メッシュ>
導電メッシュは各種の金属材料によって形成される。金属材料の例としては、金、白金、鉄、銅、銀、アルミニウム、クロム、コバルト、ステンレス等が挙げられる。金属材料の好ましい例としては、銅、銀、アルミニウム、金等の低抵抗金属が挙げられ、なかでも、導電性に優れる銀あるいは銅が好ましく用いられる。
メッシュの網目パターンは図2では、正方形のメッシュ網目パターンで示しているが、これに限定されるものではなく、正方形、長方形、菱形、ハニカム、あるいは曲線を用いてもよい。これらのメッシュデザインは開口率(光透過率)と表面抵抗(導電性)が所望の値となるように調整される。開口率は70%以上であることが好ましく、80%以上がより好ましく、さらには85%以上が好ましい。光透過率と導電性はトレードオフの関係にあるため、開口率は大きいほど好ましいが、現実的には95%以下となる。
導電メッシュの表面抵抗は10Ω/sq以下であることが好ましく、3Ω/sq以下であることがさらに好ましく、1Ω/sq以下であることがより好ましい。
導電メッシュの厚みは0.02μm〜20μmであることが好ましい。金属細線の線幅は、光透過性と導電性の観点から、1μm〜500μmの範囲であることが好ましく、1μm〜100μmがより好ましく、さらには3μm〜30μmが好ましい。
導電メッシュ14と透明ポリマー層16を覆うように形成される導電性ポリマーは金属製の導電メッシュ14よりもキャリア(ホールおよび電子)の移動度が低い。このため、導電メッシュ14のピッチは細かい方がデバイス特性上有利である。しかしながらピッチが細かいと光の透過率が低下するので、この二律背反の要求を調整する形で好ましいピッチが選択される。金属細線の線幅に応じて変化するが、ピッチは50μm〜2000μmであることが好ましく、100μm〜1000μmがより好ましく、さらには150μm〜500μmが好ましい。導電メッシュ14の繰り返し単位となる開口部20の面積は1×10-92〜1×10-52であることが好ましく、3×10-92〜1×10-62であることがより好ましく、1×10-82〜1×10-72であることがさらに好ましい。導電メッシュ14は大面積集電のために、バスライン(太線)を有していてもよい。バスラインの太さやピッチは、使用するデバイスに応じて適宜選択される。
<透明ポリマー>
透明ポリマー16は、基板12と導電メッシュ14との段差を埋めて、後述する導電性ポリマー層18を形成するための平滑面を提供するために設けられる。透明ポリマーは芳香環を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーを含む組成物を塗布、重合して得られる。ここで用いられる透明ポリマーは、400nm〜800nmの光線に対して透明であることを要し、具体的には、膜厚3μmのときの400nm〜800nmにおける平均透過率が75%以上であることが好ましく85%以上であることがより好ましい。
芳香環を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーを含む組成物は、少なくとも芳香環を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーおよび有機溶媒を含んで成る組成物であって、芳香環とは例えばベンゼン環、ナフタレン環などであって、多官能とは重合性の官能基を複数有することを意味する。本発明において、芳香環を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、アクリレートモノマーであることが好ましく、3官能または4官能のアクリレートモノマーであることがより好ましい。組成物は、その他のビニルモノマー、重合開始剤、オリゴマー、ポリマー、増感剤などを適宜含有していてもよい。
芳香環を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーの例としては下記一般式(1)で表されるモノマーが好ましい。
(式中、R1、R2は水素原子、アルキル基、アリール基を、R3、R4は少なくとも(メタ)アクリロイルオキシ基を置換基として含む置換アルキル基を表す。)
1〜R4は、さらに置換基を有してもよい。置換基の例としてはアルキル基、アリール基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、アシル基(例えば、アセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基等)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェニルオキシカルボニル基等)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基等)などが挙げられる。これらの置換基はさらに置換基で置換されていてもよい。芳香環を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーは1種類であっても2種以上を適宜混合したものであってもよい。
一般式(1)で表される化合物の好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
組成物に含まれる有機溶媒は、モノマーやその他の成分を溶解し、かつ、塗布後に蒸散して透明ポリマー中に残存しないような有機溶剤が適宜選ばれる。有機溶媒の例としては、メチルエチルケトン、2−メトキシエタノール、2−メトキシ−1−プロパノール、1−メトキシー2−アセトキシプロパン、2−メトキシ−1−アセトキシプロパン、シクロヘキサノン等を好ましく挙げることができる。
芳香環を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーを含む組成物は、その他のビニルモノマーを含んでもよい。ビニルモノマーの例としては、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、スチレン等が挙げられる。これらのなかでも、単官能もしくは多官能(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。以下に、単官能もしくは多官能(メタ)アクリレートモノマーの好ましい具体例を示すが、本発明はこれらに限定されない。
芳香環を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーを含む組成物は、オリゴマー、ポリマーを含んでもよい。また、重合開始剤を含んでいてもよい。重合開始剤としては、各種の光重合開始剤が好ましく用いられる。製造工程における照射光波長との関係で増感剤を添加してもよい。
芳香環を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーを含む組成物における芳香環を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーの組成比は50質量%〜100質量%であることが好ましく、60質量%〜100質量%であることがより好ましく、さらには70質量%〜100質量%であることがより好ましい。
透明ポリマー16は、導電メッシュ14の開口部を埋めて導電メッシュ14の段差を減少させるものであり、透明ポリマー16と導電メッシュ14の上部は段差がなく面一となっていることが好ましいが、上に形成する導電性ポリマー層18の平坦性が確保できる程度の段差は許容される。導電メッシュ14の上部と透明ポリマー16との段差は1μm以下であることが好ましく、より好ましくは200nm以下であることが好ましく、さらには100nm以下であることが好ましい。
<導電性ポリマー層>
導電性ポリマー層18は、導電メッシュ14と透明ポリマー16によって形成される平坦な表面を覆うように形成される。導電性ポリマー層18は、導通のため導電性メッシュ14に接触している。これによって導電性が確保される。導電性ポリマー層18は、適用しようとする太陽電池等の作用スペクトル範囲において透明であることを要し、通常、可視光から近赤外光の光透過性に優れることを要する。具体的には、膜厚0.2μmのときの波長400nm〜800nm領域における平均光透過率が75%以上であることが好ましく85%以上であることがより好ましい。
導電性ポリマー層18を形成する材料としては、導電性を有するポリマー材料であれば特に制限はない。輸送する電荷に関しては、ホール伝導性、電子伝導性のいずれでもよい。具体的な導電性ポリマーの例としては、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフェニレンビニレン、ポリフェニレン、ポリアセチレン、ポリキノキサリン、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチアジアゾール等や、これら導電骨格を複数有するポリマー等が挙げられる。これらのなかではポリチオフェンが好ましく、ポリエチレンジオキシチオフェンが特に好ましい。これらのポリチオフェンは導電性を得るために、通常、部分酸化されている。導電性ポリマーの導電性は部分酸化の程度(ドープ量)で調節することができ、ドープ量が多いほど導電性が高くなる。部分酸化によりポリチオフェンはカチオン性となるので、電荷を中和するための対アニオンを有する。そのようなポリチオフェンの例としては、ポリスチレンスルホン酸を対イオンとするポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT−PSS)が挙げられる。
導電性ポリマー層18には、所望の導電性を損なわない範囲であれば、他のポリマーが添加されてもよい。他のポリマーは塗布性を向上させる目的や膜強度を高める目的で添加される。他のポリマーの例としては、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン樹脂、透明フッ素樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィルンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、フルオレン環変性ポリエステル樹脂、アクリロイル化合物などの熱可塑性樹脂や、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾール等の親水性ポリマー等が挙げられる。これらのポリマーは膜強度を高めるために架橋してもよい。
本発明において導電性ポリマー層18には、単独での体積抵抗率が1×10-1Ωcm以下の導電性ポリマーを含むことが好ましく、1×10-2Ωcm以下の導電性ポリマーを含むことがより好ましい。このような導電性ポリマーを含むことで、導電性ポリマー層の体積抵抗率として5×10-1Ωcm以下となることが好ましく、5×10-2Ωcm以下となることがより好ましい。導電性ポリマー塗布液には、塗布助剤として各種の溶剤、界面活性剤、増粘剤等を添加してもよい。導電性ポリマー層の膜厚としては、20nm〜2μmの範囲内であることが好ましく、50nm〜500nmであることがより好ましい。
<機能性層>
本発明の透明導電フィルムは、上記必須の構成要素に加え、さらに、目的に応じて機能性層を有してもよい。表面側(導電性ポリマー層形成面側)に用いる機能性層としては、剥離性の一時保護層が挙げられる。裏面側(プラスチックフィルム基材の導電メッシュを形成しない面側)に用いる機能層の例としては、ガスバリア層、マット剤層、反射防止層、ハードコート層、防曇層、防汚層、易接着層等が挙げられる。このほか、機能性層に関しては特開2006−289627号公報の段落番号〔0036〕〜〔0038〕に詳しく記載されており、ここに記載の機能性層を目的に応じて本発明の透明導電フィルムに設けてもよい。
<透明導電フィルムの製造>
図3を参照しながら、透明導電フィルムの製造方法について説明する。まず、支持体上に導電メッシュを設置する(図3(a))。導電メッシュ14の形成方法としては特に制限はなく、公知の形成方法を適宜使用しうる。例えば、予め作製した金属メッシュを基材表面に貼り合せる方法、導電材料をパターン状に塗布する方法、蒸着もしくはスパッタ法を用いて導電膜を全面に形成した後にエッチングしてメッシュ状の導電膜を形成する方法、スクリーン印刷、インクジェット印刷などの各種印刷法によりパターン状に導電材料を適用する方法、マスク蒸着法等を用いて導電メッシュを基材表面にパターン状に直接形成する方法、特開2006−352073、特開2009−231194等に記載のハロゲン化銀感光材料を用いる方法(以下、銀塩法と呼ぶことがある)等が挙げられる。
次に、導電メッシュ上に芳香環を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーを少なくとも含有する組成物16´(以下、単に組成物16´ともいう)を塗布する(図3(b))。この際、図3(b)に示すように、組成物16´によって導電メッシュ14と開口部20とをともに覆うように過剰の組成物16´を塗布する。
続いて、塗布した組成物16´を重合させ塗膜内に架橋構造を形成させるとともに塗膜を硬化させる。具体的には、光照射もしくは電子線照射により多官能(メタ)アクリレートモノマーを含む組成物16´を重合させる((図3(c))。光もしくは電子線は組成物の種類に応じた光、電子線の波長を選択すればよい。これによって透明ポリマー16が形成される。
次に、導電メッシュ14上に堆積した過剰の透明ポリマー16をプラズマエッチングにより除去する((図3(d))。導電メッシュ14がちょうど露出したところでエッチングを停止すれば、導電メッシュ14と開口部の透明ポリマー16とを同じ膜厚とすることができる。このような透明ポリマーを得るための好ましいエッチング法としては、各種のドライエッチング(例えば反応性イオンエッチング、プラズマエッチングなど)が例示され、プラズマエッチングが好ましく、酸素プラズマエッチングが特に好ましい。その後、平坦化された導電メッシュ14と透明ポリマー16の表面に、例えば水系塗布法により導電性ポリマーを形成する((図3(e))。以上の工程によって、本発明の透明導電フィルムを製造することができる。
プラズマエッチングは透明ポリマーの炭素−炭素結合を切断しながら、ポリマー層を削っていくため、導電メッシュがちょうど露出してエッチングを終了した後の透明ポリマー16の表面は通常すでにプラズマダメージを受けている。しかし、透明ポリマーとして芳香環を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーを含む組成物の重合体を用いた場合、芳香環を有すること、および多官能(メタ)アクリレートモノマーの重合による架橋構造を有することにより、耐ドライエッチング性、とりわけ耐プラズマ性が高くなる。これはエッチングレートが遅くなることを意味する。耐プラズマ性が低く、エッチングレートが高いポリマーをエッチングしてメッシュ表面を露出させるのと、耐プラズマ性が高く、エッチングレートが低いポリマーをエッチングしてメッシュ表面を露出させるのと、結果の優劣は簡単に予測できるものではないが、発明者らの検討では、後者のほうが導電メッシュ14と透明ポリマー16との平坦性が確保され、この上に形成される透明導電フィルム18の表面平滑性を高くすることができるという結果が得られている。
透明ポリマー16が導電メッシュ14から盛り上がっている状態となっていたり、透明ポリマー16によって導電メッシュの開口部が埋められていない場合、平坦化されていない部分に段差が生じる。この段差があるとその部分の透明導電フィルム18は厚みが薄くなるために、有機薄膜太陽電池等に適用した場合には段差の角部において短絡が生じやすくなったり、変換効率が低くなる。本発明の透明導電フィルムはこのような段差がないため、短絡を抑制することが可能となり、歩留まりよく無機EL、有機ELディスプレイ、有機EL照明、色素増感太陽電池、有機薄膜太陽電池などの広範な目的に使用しうる。なかでも、発電効率に優れた有機薄膜太陽電池の作製のために好適に用いることができる。
以下に本発明の透明導電性フィルムを備えた有機薄膜太陽電池について説明する。
<有機薄膜太陽電池>
本発明の有機薄膜太陽電池は、本発明の透明導電フィルム(第一電極)と、この透明電極フィルムの導電性ポリマー層上に配置されている光電変換層と、透明導電フィルムに対し、光電変換層を挟むように対向配置されている対向電極(第二電極)とを備えて構成される。本発明の有機薄膜太陽電池において、第一電極は正極、負極のいずれの場合もありうる。第二電極は第一電極と反対の極性である(なお、当該分野の文献、特許においては有機薄膜太陽電池の電極に関して、ストックホルム規約とは反対の命名法が通用しているので注意を要する。本発明において正極とはストックホルム規約の命名法に従うとカソードであり、負極はアノードである。)。ただし、透明導電フィルムの導電性ポリマーとしてポリチオフェンを使用する場合は、第一電極は通常正極である。以下、第一電極(本発明の透明導電フィルム10)が正極である構成について詳しく説明する。
図4は、本発明の有機薄膜太陽電池の一実施の形態を示す概略断面図である。なお、図4において図1中の構成要素と同等の構成要素には同番号を付し、それらについての説明は特に必要のない限り省略している。本発明の有機薄膜太陽電池30は最も単純には、図4に示すように、透明導電フィルム10/バルクヘテロ層(光電変換層)22/負極24の構成をとる。バルクヘテロ層と負極との間には、電子捕集層を設置してもよい、各層の間には必要に応じてその他の有機層を設置してもよい。なお、本発明の有機薄膜太陽電池は複数の光電変換層を積層した、いわゆるタンデム型構成をとってもよい。タンデム型素子は直列接続型であっても、並列接続型であってもよい。
(正極)
正極には本発明の透明導電フィルムが使われる。正極の一部として酸化モリブデンを用いてもよい。この場合、例えば、本発明の透明導電フィルム上に酸化モリブデンを蒸着してもよい。
(負極)
負極は、公知の電極材料の中から適宜選択することができる。例えば、金属、合金、金属酸化物、電気伝導性化合物、これらの混合物などが挙げられる。具体例としては、アルカリ土類金属(たとえばMg,Ca等)、金、銀、銅、アルミニウム、マグネシウム−銀合金、インジウム、ニッケルなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用しても、2種以上を適宜併用して用いてもよい。これらの中でも、銀、マグネシウム−銀合金、若しくはアルミニウムを含むことが好ましい。さらに、長期の耐久性を考慮すると、銀が特に好ましい。
負極の厚みは、負極を構成する材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、通常10nm〜5μm程度であり、50nm〜500nmが好ましい。
負極の形成方法については、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。例えば、印刷方式、コーティング方式等の湿式方式、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的方式、CVD、プラズマCVD法等の化学的方式などの中から、上記の負極を構成する材料との適性を考慮して適宜選択した方法に従って形成することができる。例えば、負極の材料として、金属等を選択する場合には、その1種又は2種以上を同時又は順次にスパッタ法等に従って行うことができる。負極を形成するに際してのパターニングは、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングによって行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングによって行ってもよく、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等を行ってもよいし、リフトオフ法や印刷法によって行ってもよい。
負極の形成位置は、透明導電フィルムに対し、バルクへテロ層などの有機層を挟むように対向配置されていれば特に制限はなく、有機層上の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。また、負極と有機層との間に、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のフッ化物、酸化物等による誘電体層を0.1〜5nmの厚みで挿入してもよい。この誘電体層は、一種の電子注入層と見ることもできる。誘電体層は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により形成することができる。
(バルクヘテロ層)
バルクヘテロ層は正孔輸送材料と電子輸送材料が混合された有機の光電変換層である。正孔輸送材料と電子輸送材料の混合比は変換効率が最も高くなるように調整されるが、通常は、質量比で、10:90〜90:10の範囲から選ばれる。このような混合有機層の形成方法は、例えば、真空蒸着による共蒸着法が用いられる。あるいは、両方の有機材料が溶解する溶媒を用いて溶剤塗布することによって作製することも可能である。溶剤塗布法の具体例については後述する。バルクヘテロ層の膜厚は10〜500nmが好ましく、20〜300nmが特に好ましい。
正孔輸送材料は、HOMO準位が4.5〜6.0eVのπ電子共役化合物であり、具体的には、各種のアレーン(例えば、チオフェン、カルバゾール、フルオレン、シラフルオレン、チエノピラジン、チエノベンゾチオフェン、ジチエノシロール、キノキサリン、ベンゾチアジアゾール、チエノチオフェンなど)をカップリングさせた共役ポリマー、フェニレンビニレン系ポリマー、ポルフィリン類、フタロシアニン類等が例示される。このほか、Chem.Rev.2007,107,953−1010にHole Transport materialとして記載されている化合物群やジャーナル オブ ジ アメリカン ケミカル ソサエティー第131巻、16048頁(2009年)に記載のポルフィリン誘導体も適用可能である。
これらの中では、チオフェン、カルバゾール、フルオレン、シラフルオレン、チエノピラジン、チエノベンゾチオフェン、ジチエノシロール、キノキサリン、ベンゾチアジアゾール、チエノチオフェンからなる群より選ばれた構成単位をカップリングさせた共役ポリマーが特に好ましい。具体例としてはポリ3−ヘキシルチオフェン、ポリ3−オクチルチオフェン、ジャーナル オブ ジ アメリカン ケミカル ソサエティー第130巻、3020頁(2008年)に記載の各種ポリチオフェン誘導体、アドバンスト マテリアルズ第19巻、2295頁(2007年)に記載のPCDTBT、ジャーナル オブ ジ アメリカン ケミカル ソサエティー第130巻、732頁(2008年)に記載のPCDTQx、PCDTPP、PCDTPT、PCDTBX、PCDTPX、ネイチャー フォトニクス第3巻、649頁(2009年)に記載のPBDTTT−E、PBDTTT−C、PBDTTT−CF、アドバンスト マテリアルズ第22巻1−4頁(2010年)に記載のPTB7等が挙げられる。
電子輸送材料は、LUMO準位が3.5〜4.5eVであるようなπ電子共役化合物であり、具体的にはフラーレンおよびその誘導体、フェニレンビニレン系ポリマー、ナフタレンテトラカルボン酸イミド誘導体、ペリレンテトラカルボン酸イミド誘導体等が挙げられる。これらの中では、フラーレン誘導体が好ましい。フラーレン誘導体の具体例としてはC60、フェニル−C61−酪酸メチル(文献等でPCBM、[60]PCBM、あるいはPC61BMと称されるフラーレン誘導体)、C70、フェニル−C71−酪酸メチル(多くの文献等でPCBM、[70]PCBM、あるいはPC71BMと称されるフラーレン誘導体)、およびアドバンスト ファンクショナル マテリアルズ第19巻、779−788頁(2009年)に記載のフラーレン誘導体、ジャーナル オブ ジ アメリカン ケミカル ソサエティー第131巻、16048頁(2009年)に記載のフラーレン誘導体SIMEF等が挙げられる。
本発明の有機薄膜太陽電池は上記の層の他に、以下のような層を備えていてもよい。
(電子ブロック層)
正極とバルクヘテロ層の間に電子ブロック層を有してもよい。電子ブロック層はバルクヘテロ層から正極へ電子が移動するのをブロックする機能を担う。このような機能を有する材料は、p型半導体と呼ばれる無機半導体や、正孔輸送材料と呼ばれる有機化合物によって構成される。より具体的には、価電子帯準位が5.5eV以下で、かつ、伝導体準位が3.3eV以下である金属酸化物、またはHOMO準位が5.5eV以下で、かつ、LUMO準位が3.3eV以下である有機化合物が例示される。電子ブロック層に用いることができる金属酸化物の具体例としては、酸化モリブデン、酸化バナジウム等が挙げられる。
電子ブロック層に用いることができる有機化合物の具体例としては、芳香族アミン誘導体、チオフェン誘導体、縮合芳香環化合物、カルバゾール誘導体、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール等が挙げられる。このほか、Chem.Rev.2007年,第107巻,953−1010頁にHole Transport materialとして記載されている化合物群も適用可能である。これらのうち、ポリチオフェンが好ましく、ポリエチレンジオキシチオフェンがより好ましい。ポリエチレンジオキシチオフェンは体積抵抗率が10Ωcmを下回らない程度にドープ(部分酸化)されているのが特に好ましい。このとき、電荷中和のために過塩素酸、ポリスチレンスルホン酸などに由来する対アニオンを有してもよい。
電子ブロック層の膜厚は1〜50nmであることが好ましく、3〜30nmであることがより好ましい。
(電子輸送層)
必要に応じて、バルクヘテロ層と負極との間に電子輸送材料からなる電子輸送層を設置してもよい。電子輸送層に用いることのできる電子輸送材料としては、上記電子ブロック層に挙げた材料および、Chem.Rev.2007年,第107巻,953−1010頁にElectron Transport Materialsとして記載されているものが挙げられる。電子輸送層は、各種の湿式製膜法、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、転写法、印刷法など、いずれによっても好適に形成することができる。
(電子捕集層)
バルクヘテロ層と負極との間には電子捕集層を設置してもよい。電子捕集層には、電子輸送材料、もしくは、電子輸送材料よりもHOMO準位とLUMO準位のエネルギーレベル差が大きい化合物(例えばバソクプロイン、酸化チタン等)が用いられる。電子捕集層の膜厚は1nm〜30nmであり、好ましくは2nm〜15nmである。電子捕集層は、各種の湿式製膜法、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、転写法、印刷法など、いずれによっても好適に形成することができる。
(再結合層)
2層の光電変換層を有するタンデム型の素子では、2層の光電変換層の間に再結合層が設けられる。再結合層の材料としては、導電材料の超薄層が用いられる。好ましい金属としては、金、銀、アルミニウム、白金、酸化ルテニウム等が挙げられる。これらのうち、銀が好ましい。再結合層の膜厚は0.01〜5nmであり、0.1〜1nmが好ましく、0.2〜0.6nmが特に好ましい。再結合層の形成方法については特に制限はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等で形成することができる。
(その他の有機層)
本発明では、必要に応じて、ホールブロック層、励起子拡散防止層等の補助層を有していてもよい。なお、本明細書においてバルクヘテロ層、正孔輸送層、電子輸送層、電子ブロック層、ホールブロック層、励起子拡散防止層など、有機化合物を用いる層の総称として、「有機層」の言葉を用いている。
(アニール)
本発明の有機薄膜太陽電池は、有機層の結晶化やバルクヘテロ層の相分離促進を目的として、種々の方法でアニールしてもよい。アニールの方法としては、蒸着中の基板温度を50℃〜150℃に加熱する方法や、塗布後の乾燥温度を50℃〜150℃とする方法などがある。また、第二電極の形成が終了したのちに50℃〜150℃に加熱してアニールしてもよい。
(保護層)
本発明の有機薄膜太陽電池は、保護層によって保護されていてもよい。保護層に含まれる材料としては、MgO,SiO,SiO2,Al23,Y23,TiO2等の金属酸化物、SiNx等の金属窒化物、SiNxy等の金属窒化酸化物、MgF2,LiF,AlF3,CaF2等の金属フッ化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリパラキシリレン等のポリマー等が挙げられる。これらのうち、金属の酸化物、窒化物、窒化酸化物が好ましく、珪素、アルミニウムの酸化物、窒化物、窒化酸化物が特に好ましい。保護層は単層でも多層構成であってもよい。
保護層の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシ)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法、真空紫外CVD法、コーティング法、印刷法、転写法を適用できる。本発明においては、保護層が導電性層として使用されてもよい。
(ガスバリア層)
本発明の有機薄膜太陽電池はガスバリア層を有してもよい。ガスバリア層は、ガスバリア性を有する層であれば、特に制限はない。通常、ガスバリア層は無機物の層である。無機物としては、典型的には、ホウ素、マグネシウム、アルミニウム、珪素、チタン、亜鉛、スズの酸化物、窒化物、酸窒化物、炭化物、水素化物等が挙げられる。これらは純物質でもよいし、複数組成からなる混合物や傾斜材料層でもよい。これらのうち、アルミニウムの酸化物、窒化物若しくは酸窒化物、又は珪素の酸化物、窒化物若しくは酸窒化物が好ましい。
無機層は単層でも、複数層の積層でもよい。有機層と無機層の積層でも良く、複数の無機層と複数の有機層の交互積層でもよい。有機層は平滑性の層であれば特に制限はないが、(メタ)アクリレートの重合物からなる層などが好ましく例示される。
無機層の厚みに関しては特に限定されないが、1層に付き、通常、5〜500nmの範囲内であり、好ましくは10〜200nmである。無機層は複数のサブレイヤーから成る積層構造であってもよい。この場合、各サブレイヤーが同じ組成であっても異なる組成であってもよい。また、上述したとおり、米国公開特許2004−46497号明細書に開示してあるように有機ポリマー層との界面が明確で無く、組成が膜厚方向で連続的に変化する層であってもよい。
本発明の有機薄層太陽電池の厚さは、50μm〜1mmであることが好ましく、100μm〜500μmであることがより好ましい。
本発明の有機薄層太陽電池を用いて太陽電池モジュールを作製する場合、濱川圭弘著、太陽光発電、最新の技術とシステム(出版:株式会社 シーエムシー)等の記載を参酌することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
<導電メッシュの形成>
[塩臭化銀立方体粒子乳剤(ハロゲン化銀乳剤)の調製]
反応容器内で下記溶液Aを34℃に保ち、特開昭62−160128号公報記載の混合撹拌装置を用いて高速に撹拌しながら、硝酸(濃度6%)を用いてpHを2.95に調整した。引き続き、ダブルジェット法を用いて下記溶液Bと下記溶液Cを一定の流量で8分6秒間かけて添加した。添加終了後に、炭酸ナトリウム(濃度5%)を用いてpHを5.90に調整し、続いて下記溶液Dと溶液Eを添加した。
(溶液A)
アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 18.7g
塩化ナトリウム 0.31g
溶液I(下記) 1.59mL
純水 1,246mL
(溶液B)
硝酸銀 169.9g
硝酸(濃度6%) 5.89mL
純水にて全量を317.1mLとした。
(溶液C)
アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 5.66g
塩化ナトリウム 58.8g
臭化カリウム 13.3g
溶液I(下記) 0.85mL
溶液II(下記) 2.72mL
純水にて全量を317.1mLとした。
(溶液D)
2−メチル−4ヒドロキシ−1,3,3a,7−テトラアザインデン 0.56g
純水 112.1mL
(溶液E)
アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 3.96g
溶液I(下記) 0.40mL
純水 128.5mL
(溶液I)
界面活性剤:ポリイソプロピレンポリエチレンオキシジコハク酸エステルナトリウム塩の10質量%メタノール溶液
(溶液II)
六塩化ロジウム錯体の10質量%水溶液
上記操作終了後に、常法に従い40℃にてフロキュレーション法を用いて脱塩及び水洗処理を施し、溶液Fと防バイ剤を加えて60℃でよく分散し、40℃にてpHを5.90に調整して、最終的に臭化銀を10モル%含む平均粒子径0.09μm、変動係数10%の塩臭化銀立方体粒子乳剤を得た。
(溶液F)
アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 16.5g
純水 139.8mL
上記塩臭化銀立方体粒子乳剤に対し、チオ硫酸ナトリウムをハロゲン化銀1モル当たり20mg用い、40℃にて80分間化学増感を行い、化学増感終了後に4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン(TAI)をハロゲン化銀1モル当たり500mg、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールをハロゲン化銀1モル当たり150mg添加して、ハロゲン化銀乳剤を得た。このハロゲン化銀乳剤のハロゲン化銀粒子とゼラチンの体積比(ハロゲン化銀粒子/ゼラチン)は0.625であった。
[塗布]
さらに硬膜剤(H−1:テトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタン)をゼラチン1g当たり200mgの比率となるようにして添加し、また塗布助剤として、界面活性剤(SU−2:スルホ琥珀酸ジ(2−エチルヘキシル)・ナトリウム)を添加し、表面張力を調整した。こうして得られた塗布液を、銀換算の目付け量が0.625g/m2となるように、下塗り層を施した厚さ100μm、透過率92%(裏面に反射防止加工)のポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム基材上に塗布した後、50℃、24時間のキュア処理を実施して感光材料を得た。
[露光]
得られた感光材料を、メッシュ状のフォトマスク(線幅5μm、ピッチ300μm)を介してUV露光器で露光した。
[化学現像]
露光した感光材料を、下記現像液(DEV−1)を用いて25℃で60秒間の現像処理を行った後、下記定着液(FIX−1)を用いて25℃で120秒間の定着処理を行った。
(DEV−1)
純水 500mL
メトール 2g
無水亜硫酸ナトリウム 80g
ハイドロキノン 4g
ホウ砂 4g
チオ硫酸ナトリウム 10g
臭化カリウム 0.5g
水を加えて全量を1リットルとした。
(FIX−1)
純水 750mL
チオ硫酸ナトリウム 250g
無水亜硫酸ナトリウム 15g
氷酢酸 15mL
カリミョウバン 15g
水を加えて全量を1リットルとした。
[物理現像]
次に、下記物理現像液(PDEV−1)を用いて30℃で10分間物理現像を行った後、水道水で10分間洗い流して水洗処理を行った。
(PDEV−1)
純水 900mL
クエン酸 10g
クエン酸三ナトリウム 1g
アンモニア水(28%) 1.5g
ハイドロキノン 2.3g
硝酸銀 0.23g
水を加えて全量を1000mLとした。
[電解めっき]
物理現像処理の後に、下記電解めっき液を用いて25℃で電解銅めっき処理を施した後、水洗、乾燥処理を行った。なお電解銅めっきにおける電流制御は3Aで1分間、次いで1Aで12分間、計13分間かけて実施した。めっき処理終了後に、水道水で10分間洗い流して水洗処理を行い、乾燥風(50℃)を用いてドライ状態になるまで乾燥した。
(電解めっき液)
硫酸銅(五水和物) 200g
硫酸 50g
塩化ナトリウム 0.1g
水を加えて全量を1000mLとした。
めっき処理後のフィルムを電子顕微鏡にて観察したところ、フィルム基材上に線幅19μm、ピッチ300μm、厚さ2μmの金属メッシュパターンが形成されていることが確認された。この金属メッシュパターン(導電メッシュ)が形成されているフィルムの表面抵抗を、三菱化学(株)低抵抗率計ロレスターGP/ASPプローブを用いて、JIS7194に従い測定したところ、表面抵抗値は1Ω/sq以下であった。
〔実施例1−1〕
導電メッシュを有するフィルム基材の表面を酸素プラズマで処理したのち、例示化合物(1)の2−ブタノン溶液を開口部膜厚が2.5μmとなるようにバー塗布し、乾燥して塗膜を形成した。この塗膜を、酸素濃度50ppm以下の雰囲気下にて、加速電圧:125kV、吸収線量:40kGyの電子ビームを照射して、重合反応を引き起こし、塗膜内に架橋構造を形成させるとともに塗膜を硬化させることで、導電メッシュおよび開口部上に透明ポリマーを形成した。次に、ロレスターGP/ASPプローブにより表面抵抗を測定しながら、表面抵抗値が1Ω/sq以下となるまで酸素プラズマ装置により繰り返しエッチングを行ない、導電メッシュの表面を露出させた。
こうして得られた導電性の表面に、ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホン酸(略称:PEDOT−PSS)の水分散物(H.C.シュタルク社製、クレビオスPH−500)を塗布した。次に、このフィルムを130℃で10分加熱乾燥して、導電性ポリマー層を形成し、透明導電フィルムを完成させた。このとき、導電性ポリマー層18の膜厚は50nmであった。
〔実施例1−2〜4、比較例1−1,2〕
透明ポリマーの形成に用いた例示化合物(1)に代えて、表1に示すモノマーを用いた以外は実施例1−1と同様にして、本発明の透明導電フィルム(実施例1−2〜4)、比較例1−1および比較例1−2の透明導電フィルムを作製した。なお、比較例および実施例1−4で使用した化合物(Acr−1、Acr−2)は下記に示す化合物である。
実施例および比較例の透明導電性フィルムについて光透過率および最大高低差を以下のようにして測定した。
(光透過率の測定)
光透過率は、ヘイズメーター(NDH−2000、日本電色工業(株))を用いて、JIS−K−7105に準じて測定した。
(最大高低差の評価)
セイコーインスツルメンツ社製、SPI3800N型原子間力顕微鏡を用いて1μm角の領域10箇所のそれぞれについて最大高低差を測定し、その平均値を求めた。
測定結果を表1に示す。
表1から明らかなように、本発明の透明導電フィルムは最大高低差が低いことがわかる。2官能モノマーである例示化合物(1)を用いた実施例1−1よりも、3官能モノマーである例示化合物(3)を用いた実施例1−3、4官能モノマーである例示化合物(2)を用いた実施例1−2の方が、段差が低くなり、より好ましいことが分かる。実施例1−4は芳香環を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーが80質量%の含有率のものであるため、同じ例示化合物(2)を用いた実施例1−2より若干段差は増えたものの、平滑性は確保された。一方、比較例1−1の透明導電フィルムは芳香環を有するが多官能でないアクリレートを用いたもの、比較例1−2は芳香環を有しない多官能アクリレートを用いたものであるが、これらは、最大高低差が大きく、本発明の透明導電フィルムと比較して平滑性に劣っていた。
〔実施例2〕
<有機薄膜太陽電池の作製>
以下の手順に従い、実施例1で得られた透明導電フィルム上に電子ブロック層、バルクヘテロ層、電子注入層、負極、保護層を順次成膜し、有機薄膜太陽電池を作製した。
〔電子ブロック層の設置〕
透明導電フィルムの上にポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホン酸(略称:PEDOT−PSS)の水分散物(H.C.シュタルク社製、クレビオスP AI4083、塗布乾燥時の体積抵抗率500〜5000Ωcm)を膜厚25nmとなるように塗布し、120℃で20分間加熱乾燥した。
〔バルクヘテロ層の塗布〕
PCDTBT(アドバンスト マテリアルズ第19巻、2295頁(2007年)に記載のホール輸送材料:下記構造)14mg、及び、PC71BM(フェニル−C71−酪酸メチル、ナノムスペクトラE−110(商品名)、フロンティアカーボン社製)21mgをクロロベンゼン1mlに溶解させ、塗布液とした。窒素で置換したグローブボックス内にて、前記塗布液を電子ブロック層上にスピンコートし、乾燥させた。スピンコーターの回転速度は2000rpm、乾燥膜厚は80nmであった。
〔電子注入層および負極の蒸着〕
バルクヘテロ層の上にフッ化リチウムを0.4nm、アルミニウムを100nmの厚さとなるように順次蒸着し、電子注入層および負極を形成した。このとき、光電変換の有効面積が2mm角(0.04cm)となるようにマスク蒸着した。
〔保護層の成膜〕
次に、容量結合型プラズマCVD装置を用いて、負極上に保護膜として窒化珪素層を形成した。負極、バスラインまで形成の終了した有機薄膜太陽電池素子を、CVDの反応チャンバー内にセットし、減圧下で、下に記載の原料ガス処方に従った原料ガスを導入し、13.56MHzの高周波電力を投入してプラズマを発生させ、窒化珪素層を形成した。厚さは5μmとなるように成膜時間を調整した。
(原料ガス処方)
シラン 25sccm、アンモニア 15sccm、水素 15sccm、窒素 195sccm
以上の方法によって、実施例2−1〜4(本発明の有機薄膜太陽電池素子)、比較例2−1および2を作製した。実施例2−1〜4、比較例2−1および2は、再現性をチェックするため、それぞれ10素子ずつを作製した。
〔発電効率の測定〕
実施例2−1〜4、比較例2−1および2の有機薄膜太陽電池を、窒素雰囲気のグローブボックス中で上面が石英でできている光透過性の測定用カプセルに封入し、ペクセルテクノロジーズ社L12型ソーラーシミュレーターを用いて、AM1.5G、100mW/cm2の模擬太陽光を支持体面側から照射しながら、ソースメジャーユニット(SMU2400型、KEITHLEY社製)を用いて電圧範囲−0.1Vから1.0Vにて、電流値を測定した。得られた電流電圧特性とソーラーシミュレーターの光強度から光電変換効率を算出した。測定は10個の素子全てについて行い、正常素子と異常素子(短絡により光電変換能を示さない素子)とに分類し、歩留まりと変換効率の平均値を求めた。結果を下記表2に示す。
表2より明らかなように、比較例2−1および2は透明ポリマーの平坦性が低いために、短絡が発生する割合が極めて高く、非常に歩留まりが悪かった。一方で、本発明の透明導電フィルムを用いた実施例2−1〜4は短絡の発生率が非常に低く、変換効率も比較例に比べて、約25%アップとなった。
10 透明導電フィルム
12 支持体
14 導電メッシュ
16 透明ポリマー
18 導電性ポリマー層
22 バルクヘテロ層(光電変換層)
24 対向電極(第二電極)
30 有機薄膜太陽電池

Claims (9)

  1. 支持体上に、導電メッシュと、該導電メッシュの開口部に位置する該導電メッシュを平坦化するための透明ポリマーと、前記導電メッシュと前記透明ポリマーの表面を覆うように設けられた導電性ポリマー層と、を有する透明導電フィルムであって、前記透明ポリマーが芳香環を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーを少なくとも含有する組成物を重合したものであることを特徴とする透明導電フィルム。
  2. 前記芳香環を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーが下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項1記載の透明導電フィルム。
    (式中、R1、R2は水素原子、アルキル基またはアリール基であり、R3、R4は少なくとも(メタ)アクリロイルオキシ基を置換基として含む置換アルキル基を表す。)
  3. 前記一般式(1)で表される化合物のR3、R4がヒドロキシル基を有することを特徴とする請求項2記載の透明導電フィルム。
  4. 前記一般式(1)で表される化合物が3官能または4官能のアクリレートモノマーであることを特徴とする請求項2または3記載の透明導電フィルム。
  5. 前記導電性ポリマー層がドープされたポリエチレンジオキシチオフェンであることを特徴とする請求項1、2または3に記載の透明導電フィルム。
  6. 前記導電メッシュが銀、銅、または銀と銅の複合体である請求項1〜5いずれか1項記載の透明導電フィルム。
  7. 請求項1〜6いずれか1項記載の透明導電フィルムを第一電極とし、該第一電極上に、少なくとも光電変換層と、第二電極と、をこの順に備えたことを特徴する有機薄膜太陽電池。
  8. 支持体上に導電メッシュを設置する工程と、該導電メッシュ上に芳香環を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーを少なくとも含有する組成物を塗布する工程と、前記塗布した組成物を重合して透明ポリマーを形成する工程と、前記導電メッシュ上に堆積した透明ポリマーをプラズマエッチングにより除去する工程と、前記導電メッシュおよび前記透明ポリマーの表面に導電性ポリマー層を形成する工程と、を含むことを特徴とする透明導電フィルムの製造方法。
  9. 前記導電メッシュ上に堆積した透明ポリマーを除去する工程が酸素プラズマエッチングであることを特徴とする請求項8記載の透明導電フィルムの製造方法。
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