JP2012079869A - 有機薄膜太陽電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】ITOを用いることなく、透明で、発電効率の経時劣化が抑制されたバルクヘテロ型有機薄膜太陽電池及びその製造方法を提供する。
【解決手段】支持体12上に、該支持体12上に配置されている導電メッシュ16Aと導電性ポリマー層16Bとを含んで構成される第1の電極16と、電子ブロック層26と、バルクへテロ接合型の光電変換層18と、膜厚が10nm以上30nm以下であり、貴金属を固形分換算で70質量%以上含む光透過性膜からなる第2の電極20と、をこの順に有する有機薄膜太陽電池。
【選択図】図1

Description

本発明は有機薄膜太陽電池及びその製造方法に関し、詳しくは透明導電フィルムを第1の電極とし、貴金属を主成分として含む光透過性の第2の電極を備え、透明かつフレキシブルであるという特性を備えたバルクヘテロ型有機薄膜太陽電池に関する。
近年、軽量、低コスト、フレキシブル化が期待できる有機電子デバイスが注目されている。特に、バルクヘテロ型有機薄膜太陽電池への期待が高まっている。
バルクヘテロ型有機薄膜太陽電池の構成としては、2つの異種電極間に、電子輸送材料とホール輸送材料を混合してなるバルクヘテロ接合型の光電変化層(以下、適宜、「バルクへテロ層」と称する。)を配置してなるものが一般的であり、アモルファスシリコン等を用いてなるフレキシブル太陽電池に比べて製造が容易で、低コストで任意の面積の太陽電池を製造しうるという利点があり、実用化が望まれている。
バルクヘテロ型有機薄膜太陽電池は、光吸収特性を調整できるという特長を有する。このため、無機半導体を用いてなる太陽電池とは異なり、透明な太陽電池の製造が可能である。透明で薄型の太陽電池は設置場所の自由度が高い。
有機薄膜太陽電池のような有機電子デバイスにおいては、受光側の電極は高い透明性を有することが発電効率の点から好ましい。従って、透明な有機薄膜太陽電池を実現するには、さらに、第2の電極も透明とすることが必要である。透明な有機薄膜太陽電池の例として、ITO(インジウム−スズ酸化物)、もしくはITOとAg−Mg薄膜とのハイブリッド電極を第2の電極とする態様が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、第2の電極に用いられるITO膜は気相法で形成され、高価で、且つ、気相法製膜のための製造設備も必要である。また、効率を上げるために膜厚を厚くすると透明性が低下することから、代替となる電極材料が求められているのが現状である。
このため、ITOを使用せずに必要性能を満たした、透明なバルクヘテロ型有機薄膜太陽電池の実現が望まれている。
米国特許7,157,217公報
本発明が解決しようとする課題は、ITOを用いることなく、透明で、発電効率の経時劣化が抑制されたバルクヘテロ型有機薄膜太陽電池及びその製造方法を提供することにある。
上記課題のもと、本発明者が鋭意検討を行った結果、導電メッシュと導電性ポリマーとを含んで構成される透明導電性フィルムを第1の電極とし、貴金属を主成分とする透明薄膜を第2の電極とすることによって、本発明の課題が達成されることを見出し、本発明を完成した。即ち、本発明の構成は以下に示すとおりである。
<1> 支持体上に、該支持体上に配置されている導電メッシュと導電性ポリマーとを含んで構成される第1の電極と、電子ブロック層と、バルクへテロ接合型の光電変換層と、膜厚が10nm以上30nm以下であり、貴金属を固形分換算で90質量%以上含む光透過性膜からなる第2の電極と、をこの順に有する有機薄膜太陽電池。
<2> 前記光透過性膜の可視光透過率が10%以上である<1>に記載の有機薄膜太陽電池。
<3> 前記光透過性膜が含む前記貴金属が銀である<1>又は<2>に記載の有機薄膜太陽電池。
<4> 前記光透過性膜が、さらにアルミニウムを含有する層を有する<1>〜<3>のいずれか1つに記載の有機薄膜太陽電池。
<5> 前記光透過性膜が、銀を含有する層とアルミニウムを含有する層との重層構造を有し、該アルミニウムを含有する層が、前記光電変換層に隣接した層である光電変換層に隣接する<1>〜<4>のいずれか1つに記載の有機薄膜太陽電池。
<6> 前記第2の電極上に、無機酸化物を含む保護層を有する<1>〜<6>のいずれか1つに記載の有機薄膜太陽電池。
<7> 前記導電メッシュが銀を含む<1>〜<6>のいずれか1つに記載の有機薄膜太陽電池。
<8> 前記導電メッシュが銀および親水性ポリマーを含む<1>〜<7>のいずれか1つに記載の有機薄膜太陽電池。
<9> 前記導電メッシュの平面視による線幅が1μm以上20μm以下である<1>〜<8>のいずれか1つに記載の有機薄膜太陽電池。
<10> 前記導電メッシュの平面視によるピッチが50μm以上500μm以下である<1>〜<9>のいずれか1つに記載の有機薄膜太陽電池。
<11> 前記導電メッシュにおいて繰り返し単位となる開口部の面積が1×10−8以上1×10−7以下である<1>〜<10>のいずれか1つに記載の有機薄膜太陽電池。
<12> 前記導電性ポリマー層が、体積抵抗率が1×10−2Ωcm以下のポリチオフェン誘導体を含有する<1>〜<11>のいずれか1つに記載の有機薄膜太陽電池。
<13> 前記ポリチオフェン誘導体が、ポリエチレンジオキシチオフェンである<12>に記載の有機薄膜太陽電池。
<14> 前記バルクヘテロ接合型の光電変換層がフラーレン誘導体を含有する<1>〜<13>のいずれか1つに記載の有機薄膜太陽電池。
<15> 支持体上に導電メッシュを配置する工程と、該導電メッシュの開口部内及び該導電性メッシュ上に導電性ポリマー層を形成する工程と、該導電性ポリマー層上に、電子ブロック層、バルクヘテロ接合型の光電変換層、及び、膜厚が10nm以上30nm以下であり、貴金属を固形分換算で90質量%以上含む光透過性膜からなる第2の電極を順次形成する工程と、を含む有機薄膜太陽電池の製造方法。
<16> 前記支持体上に導電メッシュを形成する工程が、前記支持体上にハロゲン化銀を含有する組成物を塗布してハロゲン化銀含有層を形成する工程、該ハロゲン化銀含有層をパターン露光する工程、パターン露光後のハロゲン化銀含有層を現像する工程、及び、形成されたパターン状のハロゲン化銀含有層を定着する工程を、この順で含む<15>に記載の有機薄膜太陽電池の製造方法。
本発明によれば、ITOを用いることなく、透明で、発電効率の経時劣化が抑制されたバルクヘテロ型有機薄膜太陽電池及びその製造方法を提供することができる。
(A)は本発明の有機薄膜太陽電池の一態様である実施例1の太陽電池の構成を示す概略断面図であり、(B)は、本発明の有機薄膜太陽電池の他の態様を示す概略断面図である。 本発明の有機薄膜太陽電池における導電メッシュの一態様を示す概略平面図である。
本発明のバルクヘテロ型有機薄膜太陽電池(以下、本発明の太陽電池と略すことがある)について詳細に説明する。なお、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
図1(A)は、本発明の太陽電池の一態様を示す概略断面図であり、図2はその概略平面図である。
本発明の太陽電池10は、少なくとも、基板12、透明導電層(第1の電極)16、バルクヘテロ層18、透明な第2の電極20を含んで構成される。図1(A)では、第1の電極において、導電ポリマー層16Bは導電メッシュ16Aの開口部のみに配置される。図1(B)は、本発明の太陽電池の別の態様を示す概略断面図であり、本実施形態では、導電ポリマー層16Bは導電メッシュ16A上及びその開口部に配置される。
なお、上記構成を有し、本発明の効果を損なわない限り、所望により、ホールブロック層、電子ブロック層、励起子拡散防止層、ホール輸送層、電子輸送層、ホール捕集層、電子捕集層、易接着層、保護層、導電層、ガスバリア層、マット剤層、反射防止層、ハードコート層、防曇層、防汚層などの公知の層をさらに設けてもよい。
前記図1(A)及び図1(B)に示す実施形態では、第1の電極16とバルクヘテロ層18との間に電子ブロック層26を、バルクヘテロ層18と透明な第2の電極20との間に電子捕集層28とを、それぞれ有するが、これらの層は必要に応じて設けられる任意の層である。
本発明の技術的ポイントは高価なITOを用いないことにある。このため、第一の電極として用いる透明導電フィルムには、ITO蒸着フィルムではなく、本発明者らの工夫による金属メッシュと導電性ポリマーから構成される透明導電フィルムを、第二の透明電極には貴金属を主成分として含む光透過性薄膜を検討した。
ところが、ITO蒸着フィルムに代えて金属メッシュと導電性ポリマーから構成される透明導電フィルム(第一電極)と、金属からなる光透過性薄膜(第二電極)を用いて得られた太陽電池は、耐久性が悪いことが判明した。そこで、さらに検討した結果、第二の光透過性電極を貴金属を主成分とする光透過性薄膜とすることで、耐久性が改良できることがわかった。これにより、フレキシブル、透明、発電効率、耐久性の各要因を満足するバルクヘテロ型有機薄膜太陽電池を作製することができた。
以下、本発明に好ましく用いることのできる材料について詳しく述べる。
本発明の有機薄膜太陽電池においては、第1の電極16である透明導電層を備えた透明導電フィルム22を用いている。第1の電極16を備える透明導電フィルム22は、少なくとも、支持体としての光透過性の基板12と、該基板12上に配置されている導電メッシュ16Aと、該導電メッシュ16Aの開口部24内に該導電メッシュ16Aと接して配置されている導電性ポリマー層16Bを含んで構成される。なお、導電性ポリマー層16Bは、開口部24内のみならず、さらに該導電メッシュ16A上に形成されていてもよい。
〔支持体〕
本発明の太陽電池に用いうる支持体は、導電メッシュ、バスラインや導電性ポリマー層等を保持できる表面平滑な基板或いはフィルムであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択しうる。本発明における支持体は、太陽電池における基板としてそのまま使用するために、透明性(使用する光の透過性)を有することが好ましく、プラスチックフィルムやガラスの薄層板などから選択される。
本発明においては、透明な有機薄膜太陽電池に用いられることから、透明性を有する支持体が選択される。ここで、可撓性の素材からなる支持体を選択することで、フレキシブルな太陽電池10が得られる。
以下、透明支持体の代表的な例としてプラスチックフィルム基材について説明する。
(プラスチックフィルム基板)
本発明に係る支持体としては、透明性、強度、ハンドリング性が良好で比較的安価なプラスチックフィルム基板を用いることが好ましい。
プラスチックフィルム基板は、後述する導電メッシュ、バスライン及び導電性ポリマー層等を保持できるものであれば、材質、厚み等に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、透明導電フィルム22に好適な支持体としては、400nm〜800nmの波長範囲の光に対し透過性である支持体が挙げられ、後述する導電メッシュや導電性ポリマー層等を保持できるものであれば、材質、厚み等に特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
基板(支持体)として用いうるプラスチックフィルムの素材としては、具体的には、例えば、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン樹脂、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィルンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、フルオレン環変性ポリエステル樹脂、アクリロイル化合物などの熱可塑性樹脂が挙げられる。
プラスチックフィルム基板は、耐熱性を有する素材からなることが好ましい。具体的には、ガラス転移温度(Tg)が100℃以上、及び、線熱膨張係数が40ppm/℃以下の少なくともいずれかの物性を満たす耐熱性を有し、さらに、前記したように露光波長に対し高い透明性を有する素材により成形されることが好ましい。
なお、プラスチックフィルムのTg及び線膨張係数は、JIS K 7121に記載のプラスチックの転移温度測定方法、及び、JIS K 7197に記載のプラスチックの熱機械分析による線膨張率試験方法により測定され、本発明においては、この方法により測定した値を用いている。
プラスチックフィルムのTgや線膨張係数は、添加剤などによって調整することができる。このような耐熱性に優れる熱可塑性樹脂として、例えば、ポリエチレンナフタレート(PEN:120℃)、ポリカーボネート(PC:140℃)、脂環式ポリオレフィン(例えば日本ゼオン(株)製 ゼオノア1600:160℃)、ポリアリレート(PAr:210℃)、ポリエーテルスルホン(PES:220℃)、ポリスルホン(PSF:190℃)、シクロオレフィンコポリマー(COC:特開2001−150584号公報の化合物:162℃)、フルオレン環変性ポリカーボネート(BCF−PC:特開2000−227603号公報の化合物:225℃)、脂環変性ポリカーボネート(IP−PC:特開2000−227603号公報の化合物:205℃)、アクリロイル化合物(特開2002−80616号公報の化合物:300℃以上)、ポリイミド等が挙げられ(括弧内はTgを示す)、これらは本発明における基材として好適である。なかでも、特に透明性が求められる用途には、脂環式ポレオレフィン等を使用するのが好ましい。
本発明においてプラスチックフィルム基板12は、光に対して透明であることが求められる。より具体的には、400nm〜1000nmの波長範囲の光に対する光透過率は、通常80%以上が好ましく、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。
なお、光透過率は、JIS−K7105に記載された方法、すなわち積分球式光透過率測定装置を用いて全光透過率及び散乱光量を測定し、全光透過率から拡散透過率を引いて算出することができる。本明細書においては、この方法を用いた値を採用している。
プラスチックフィルムの厚みに関して特に制限はないが、典型的には1μm〜800μmであり、好ましくは10μm〜300μmである。
プラスチックフィルムの裏面(導電メッシュを設置しない側の面)には、公知の機能性層を設けてもよい。機能層の例としては、ガスバリア層、マット剤層、反射防止層、ハードコート層、防曇層、防汚層等が挙げられる。このほか、機能性層に関しては特開2006−289627号公報の段落番号〔0036〕〜〔0038〕に詳しく記載されている。
(易接着層/下塗り層)
プラスチックフィルム基板は、その表面に設けられる親水性ポリマー層との密着性向上の観点から、易接着層もしくは下塗り層を有していてもよい。
易接着層もしくは下塗り層は、以下に詳述する親水性ポリマー層との親和性を高める目的で設置される。
易接着層もしくは下塗り層の構成としては、単層であってもよく、多層構造であってもよい。
易接着層はバインダーポリマーを含有することが必須であるが、必要に応じてマット剤、界面活性剤、帯電防止剤、屈折率制御のための微粒子などを含有してもよい。
易接着層に用いうるバインダーポリマーには特に制限はなく、以下に記載の親水性ポリマーや、アクリル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、及び、ゴム系樹脂などから適宜選択して用いることができる。
易接着層もしくは下塗り層を単層構成とする場合には、層の形成に各種の親水性ポリマーが用いられる。また、重層構成とする場合には、導電メッシュとバスラインとを形成する最表面層に親水性ポリマーを用いればよい。
本発明において、易接着層もしくは下塗り層に使用される親水性ポリマーとしては、ゼラチン、ゼラチン誘導体、カゼイン、寒天、アルギン酸ソーダ、でんぷん、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマー、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロースエステル、塩化ビニル含有共重合体、塩化ビニリデン含有共重合体、アクリル酸エステル含有共重合体、酢酸ビニル含有共重合体、ブタジエン含有共重合体などのラテックスポリマー、ポリアクリル酸共重合体、無水マレイン酸共重合体、等が例示される。
易接着層もしくは下塗り層に用いる親水性ポリマーについてさらに詳細に説明する。
前記アクリル樹脂とは、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体を成分とするポリマーである。具体的には、例えばアクリル酸、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、アクリルアミド、アクリロニトリル、ヒドロキシルアクリレートなどを主成分としてこれらと共重合可能なモノマー(例えば、スチレン、ジビニルベンゼンなど)を共重合したポリマーである。
ポリウレタン樹脂とは主鎖にウレタン結合を有するポリマーの総称であり、通常ポリイソシアネートとポリオールの反応によって得られる。ポリイソシアネートとしては、TDI(Tolylene Diisocyanate)、MDI(Methyl Diphenyl Isocyanate)、HDI(Hexylene diisocyanate)、IPDI(Isophoron diisocyanate)などがあり、ポリオールとしてはエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ヘキサントリオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどがある。さらに、本発明のイソシアネートとしてはポリイソシアネートとポリオールの反応によって得られたポリウレタンポリマーに鎖延長処理をして分子量を増大させたポリマーも使用できる。
ポリエステル樹脂とは主鎖にエステル結合を有するポリマーの総称であり、通常ポリカルボン酸とポリオールの反応で得られる。ポリカルボン酸としては、例えば、フマル酸、イタコン酸、アジピン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸などがあり、ポリオールとしては例えば前述のものがある。
本発明のゴム系樹脂とは合成ゴムのうちジエン系合成ゴムをいう。具体例としてはポリ
ブタジエン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−ジビニルベンゼン共重合体、ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、ポリクロロプレンなどがある。
易接着層もしくは下塗り層の乾燥後の塗布膜厚は、50nm〜2μmの範囲であることが好ましい。膜厚は、重層構成の場合、複数層の膜厚の合計が上記範囲にあることが好ましい。
なお、支持体を仮支持体として用いる場合には、支持体表面に易剥離性処理を施すことも可能である。
〔導電メッシュ〕
本発明において導電メッシュ16Aは、金属材料によって形成される平面視による線幅が1μm以上100μm未満の、複数の細線状の導電層が互いに交差して形成されたメッシュである。導電メッシュを構成する金属材料の例としては、金、白金、鉄、銅、銀、アルミニウム、クロム、コバルト、ステンレス等が挙げられる。金属材料の好ましい例としては、銅、銀、アルミニウム、金等の低抵抗金属が挙げられ、なかでも、導電性に優れる銀もしくは銅が特に好ましく用いられる。
導電メッシュを構成する材料としては、導電性を確保するために十分な金属材料を含有する他には特に制限はなく、例えば、金属材料のみからなるものであってもよく、銀と親水性ポリマーとを含む材料、粒子状或いは微細な繊維状の金属材料とバインダーとを含む材料、等を用いてもよい。
メッシュのパターンには特に制限がない。ストライプ、正方形、長方形、菱形、ハニカム、あるいは曲線を用いてもよい。図2は、正方形のメッシュ網目パターンの一例を示す概略平面図である。
これらのメッシュデザインは開口率(光透過率)と表面抵抗(導電性)が所望の値となるように調整される。図2では、該導電メッシュ16Aに区画された領域24が開口部を表し、該開口率は70%以上であり、80%以上が好ましく、85%以上がより好ましい。光透過率と導電性はトレードオフの関係にあるため、開口率は大きいほど好ましいが、現実的には95%以下となる。
導電メッシュ16Aの厚みは特に制限は無いが、通常は0.02μm以上、20μm以下である。好ましい線幅は、3μm以上50μm以下であり、5μm以上25μm以下がより好ましい。
導電メッシュ16Aの導電性は、表面抵抗値として20Ω/sq以下であることが好ましく、10Ω/sq以下であることがさらに好ましい。
導電メッシュ16Aのピッチは細かい方がデバイス特性上有利である。しかしながらピッチが細かいと光の透過率が低下するので、妥協点が選ばれる。ピッチは金属細線の線幅に応じて変化するが、50μm以上2000μm以下であることが好ましく、100μm以上1000μm以下がより好ましい。
開口部24の観点から言えば、導電メッシュ16Aの繰り返し単位となる開口部24の面積が1×10−9以上1×10−5以下であることが好ましく、3×10−9以上1×10−6以下であることがより好ましく、1×10−8以上1×10−7以下であることがさらに好ましい。
導電メッシュ16Aは、大面積集電のために、バスライン(太線)を有していてもよい。バスラインの太さやピッチは、使用するデバイスに応じて適宜選択される。
本発明における導電メッシュおよびバスラインの形成方法としては特に制限はなく、公知の形成方法を適宜使用しうる。
導電メッシュは、印刷法で形成してもよい。印刷法による形成方法としては、例えば、グラビア印刷(凹版オフセット印刷)、スクリーン印刷、インクジェット印刷などの各種印刷法によりパターン状に導電材料を適用する方法、マスク蒸着法等を用いて導電メッシュを基材表面にパターン状に直接形成する方法、特開2006−352073、特開2009−231194等に記載のハロゲン化銀感光材料を用いる方法(以下、銀塩法と呼ぶことがある)等が挙げられる。このとき、導電メッシュと、バスラインとを同一組成にて同時に形成してもよく、導電メッシュと、バスラインとを同時に形成する場合にも、上記方法を適宜使用することができる。
本発明の太陽電池における導電メッシュおよびバスラインは、印刷法、もしくは銀塩法で形成することが好ましい。
印刷法としては、導電性物質を含む組成物、例えば、導電性インクなどを、支持体上に、印刷により適用して、パターン状の導電メッシュを設ける工程であり、印刷としては、十分な導電性材料を含む組成物を任意の形状に適用しうるという観点からは、グラビア印刷及びスクリーン印刷を適用することが好ましい。印刷法により導電メッシュを形成する場合、所望により同時に、又は逐次印刷によりバスラインを形成してもよい。
導電メッシュを構成する導電性物質を含む組成物としては、必要な導電性を確保しうる導電性材料を含有するものであれば特に制限はないが、微粒子状或いは微細な繊維状などの形状を有する固体金属材料を主成分とし、これを保持するためのバインダーをさらに含むことが好ましい。導電性物質を含む材料は、溶剤を含有してもよい。
なお、グラビア印刷法、およびスクリーン印刷法により、導電メッシュを作製する方法の詳細については、特開2001−102792公報、および、特開平11−170420号公報に詳しく記載されている。
銀塩法により導電メッシュを形成する方法としては、前記支持体上にハロゲン化銀と親水性ポリマーとを含有する組成物を塗布してハロゲン化銀含有層を形成する工程、該ハロゲン化銀含有層を、導電メッシュに適合するパターンに応じてパターン露光する工程、パターン露光後のハロゲン化銀含有層を現像して銀を含むパターン状の導電層を形成する工程、及び、現像されたパターン状の導電層を定着し、未反応のハロゲン化銀を除去する工程を、含む方法が挙げられる。パターン露光は、所望により、導電メッシュのパターンとバスラインのパターンを同時に露光してもよく、別々に順次露光してもよい。パターン形成に際しては、マスクを介するパターン露光の他、レーザー等を用いる走査(スキャニング)露光を適用してもよい。
銀塩法で作製される導電メッシュは、銀と親水性ポリマーとを含んで形成される層であり、導電性を確保するのに十分な量の銀を含有する。
銀塩法に用いられる親水性ポリマーの例としては、ゼラチン、ゼラチン誘導体、カゼイン、寒天、アルギン酸ソーダ、でんぷん、ポリビニルアルコールなどの水溶性ポリマー;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどのセルロースエステル等が例示される。
ハロゲン化銀含有層には、銀や親水性ポリマーのほかにも塗布、現像、定着工程に由来する物質が含まれてもよい。
銀塩法で銀を含む導電メッシュ及びバスラインを形成した後、銅めっきを施して、さらに抵抗の低い導電メッシュを得る方法も好ましく用いられる。
〔導電性ポリマー層〕
本発明における導電性ポリマー層16Bは、本発明の太陽電池の作用スペクトル範囲において透明であることを要し、通常、可視光から近赤外光の光透過性に優れることを要する。具体的には、膜厚0.2μmのときの波長400nm〜800nm領域における平均光透過率が75%以上であることが好ましく85%以上であることがより好ましい。
導電性ポリマー層16Bは、少なくとも導電メッシュ16Aにより区画される開口部24内に該導電メッシュ16Aと接触して配置される。導電性ポリマー層16Bの厚みは任意であり、例えば、導電メッシュ16Aの高さより薄くても、略同一であってもよく、また、導電メッシュ16Aの高さより厚く形成され、導電メッシュ16Aの表面を覆うように形成されてもよい。
導電性ポリマー層16Bを形成する場合、通常、少なくとも、導電メッシュ16Aにより区画される開口部24に導電性ポリマーを充填して形成するが、メニスカス効果により、開口部24の中央に位置する導電性ポリマー層16Bの厚みは導電メッシュ16Aと接触している部分の厚みより小さくなる傾向があるが、特に支障はない。
いずれの態様においても導電性ポリマー層16Bは、導通のため導電性メッシュ16Aに接触して設けられる。
後述するように、導電メッシュ16Aと導電性ポリマー層16Bとにより本発明の有機薄膜太陽電池10の第1の電極16を構成する。
導電性ポリマー層16Bを形成する材料としては、導電性を有するポリマー材料であれば特に制限はない。輸送する電荷に関しては、ホール伝導性、電子伝導性のいずれでもよい。具体的な導電性ポリマーの例としては、例えば、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフェニレンビニレン、ポリフェニレン、ポリアセチレン、ポリキノキサリン、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチアジアゾール等や、これら導電骨格を複数有するポリマー等が挙げられる。
これらのなかではポリチオフェンが好ましく、ポリエチレンジオキシチオフェンが特に好ましい。これらのポリチオフェンは導電性を得るために、通常、部分酸化されている。導電性ポリマーの導電性は部分酸化の程度(ドープ量)で調節することができ、ドープ量が多いほど導電性が高くなる。部分酸化によりポリチオフェンはカチオン性となるので、電荷を中和するための対アニオンを有する。そのようなポリチオフェンの例としては、ポリスチレンスルホン酸を対イオンとするポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT−PSS)が挙げられる。
導電性ポリマー層16Bには、所望の導電性を損なわない範囲であれば、他のポリマーが添加されてもよい。他のポリマーは塗布性を向上させる目的や膜強度を高める目的で添加される。他のポリマーの例としては、ポリエステル樹脂、メタクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン樹脂、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、セルロースアシレート樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、脂環式ポリオレフィン樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、シクロオレフィルンコポリマー、フルオレン環変性ポリカーボネート樹脂、脂環変性ポリカーボネート樹脂、フルオレン環変性ポリエステル樹脂、アクリロイル化合物などの熱可塑性樹脂や、ゼラチン、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピリジン、ポリビニルイミダゾール等の親水性ポリマー等が挙げられる。これらのポリマーは膜強度を高めるために架橋してもよい。
本発明において導電性ポリマー層16Bには、単独での体積抵抗率が1×10−1Ωcm以下の導電性ポリマーを含むことが好ましく、1×10−2Ωcm以下の導電性ポリマーを含むことがより好ましい。このような導電性ポリマーを含むことで、導電性ポリマー層の体積抵抗率として5×10−1Ωcm以下となることが好ましく、5×10−2Ωcm以下となることがより好ましい。
導電性ポリマー層16Bの膜厚としては、50nm〜5μmの範囲内であることが好ましく、100nm〜2μmであることがより好ましい。
導電性ポリマーは多くの場合、水溶液もしくは水分散物であるため、導電性ポリマー層の形成には、通常の水系塗布法が用いられる。導電メッシュを銀塩法で作製した場合は、導電メッシュの周りに親水性ポリマーが存在するため、水分散物を塗布するのに都合がよい。導電性ポリマー塗布液には、塗布助剤として、各種の溶剤、界面活性剤、増粘剤等を添加してもよい。
<電子ブロック層>
本発明では、導電メッシュ16Aと導電性ポリマー層16Bをと含んで構成される第1の電極(正極)16とバルクヘテロ層18の間に電子ブロック層26を有することが好ましい。電子ブロック層26はバルクヘテロ層18から正極16へ電子が移動するのをブロックする機能を担う。このような機能を有する材料は、p型半導体と呼ばれる無機半導体や、正孔輸送材料と呼ばれる有機化合物によって構成される。より具体的には、価電子帯準位が5.5eV以下で、かつ、伝導体準位が3.3eV以下である金属酸化物、またはHOMO準位が5.5eV以下で、かつ、LUMO準位が3.3eV以下である有機化合物が例示される。
(電子ブロック層に用いる金属酸化物)
電子ブロック層に用いることができる金属酸化物の具体例としては、酸化モリブデン、酸化バナジウム等が挙げられる。
金属酸化物により電子ブロック層26を形成する場合には、一般的には、蒸着法などの気相法が適用される。
(電子ブロック層に用いる有機化合物)
電子ブロック層に用いることができる有機化合物の具体例としては、芳香族アミン誘導体、チオフェン誘導体、縮合芳香環化合物、カルバゾール誘導体、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロール等が挙げられる。このほか、Chem.Rev.2007年,第107巻,953−1010頁にHole Transport materialとして記載されている化合物群も適用可能である。
なかでもポリチオフェンが好ましく、ポリエチレンジオキシチオフェンがより好ましい。ポリエチレンジオキシチオフェンは体積抵抗率が10Ωcmを下回らない程度にドープ(部分酸化)されていてもよい。このとき、電荷中和のために過塩素酸、ポリスチレンスルホン酸などに由来する対アニオンを有してもよい。
電子ブロック層に用いる材料としては、酸化モリブデンもしくはポリチオフェンが好ましく、酸化モリブデンもしくはポリエチレンジオキシチオフェンがより好ましい。
電子ブロック層26の膜厚は、バルクヘテロ型光電変換層中に存在する電子輸送材料から、第1の電極16を構成する導電性ポリマー層16Bへの電子の漏出を抑制するに十分な厚みを選択する必要があり、そのような観点からは厚みは0.1nm以上であることが好ましく、厚みの上限には特に制限はないが、製造効率の観点からは50nm以下であることが好ましい。より好ましい厚みは1nm〜20nmの範囲である。
<光電変換層>
光電変換層18はホール輸送層(正孔輸送層)と電子輸送層からなる平面ヘテロ構造でもよいし、ホール輸送材料と電子輸送材料を混合したバルクヘテロ構造でもよい。平面ヘテロ構造をとる場合、正極側がホール輸送層、負極側が電子輸送層である。また、平面ヘテロ構造の中間層としてバルクヘテロ層を有するハイブリッド構造であってもよい。
正孔輸送層は正孔輸送材料からなる。
正孔輸送材料は、HOMO準位が4.5eV〜6.0eVのπ電子共役化合物であり、具体的には、各種のアレーン(例えば、チオフェン、カルバゾール、フルオレン、シラフルオレン、チエノピラジン、チエノベンゾチオフェン、ジチエノシロール、キノキサリン、ベンゾチアジアゾール、チエノチオフェンなど)をカップリングさせた共役ポリマー、フェニレンビニレン系ポリマー、ポルフィリン類、フタロシアニン類等が例示される。このほか、Chem.Rev.2007,107,953−1010にHole Transport materialとして記載されている化合物群やジャーナル オブ ジ アメリカン ケミカル ソサエティー第131巻、16048頁(2009年)に記載のポルフィリン誘導体も適用可能である。
これらの中では、チオフェン、カルバゾール、フルオレン、シラフルオレン、チエノピラジン、チエノベンゾチオフェン、ジチエノシロール、キノキサリン、ベンゾチアジアゾール、チエノチオフェンからなる群より選ばれた構成単位をカップリングさせた共役ポリマーが特に好ましい。具体例としてはポリ3−ヘキシルチオフェン、ポリ3−オクチルチオフェン、ジャーナル オブ ジ アメリカン ケミカル ソサエティー第130巻、3020頁(2008年)に記載の各種ポリチオフェン誘導体、アドバンスト マテリアルズ第19巻、2295頁(2007年)に記載のPCDTBT、ジャーナル オブ ジ アメリカン ケミカル ソサエティー第130巻、732頁(2008年)に記載のPCDTQx、PCDTPP、PCDTPT、PCDTBX、PCDTPX、ネイチャー フォトニクス第3巻、649頁(2009年)に記載のPBDTTT−E、PBDTTT−C、PBDTTT−CF、アドバンスト マテリアルズ第22巻1−4頁(2010年)に記載のPTB7等が挙げられる。
正孔輸送層の膜厚は5〜500nmが好ましく、10〜200nmが特に好ましい。
電子輸送層は電子輸送材料からなる。電子輸送材料は、LUMO準位が3.5eV〜4.5eVであるようなπ電子共役化合物であり、具体的にはフラーレンおよびその誘導体、フェニレンビニレン系ポリマー、ナフタレンテトラカルボン酸イミド誘導体、ペリレンテトラカルボン酸イミド誘導体等が挙げられる。これらの中では、フラーレン誘導体が好ましい。フラーレン誘導体の具体例としてはC60、フェニル−C61−酪酸メチル(文献等でPCBM、[60]PCBM、あるいはPC61BMと称されるフラーレン誘導体)、C70、フェニル−C71−酪酸メチル(多くの文献等でPCBM、[70]PCBM、あるいはPC71BMと称されるフラーレン誘導体)、およびアドバンスト ファンクショナル マテリアルズ第19巻、779−788頁(2009年)に記載のフラーレン誘導体、ジャーナル オブ ジ アメリカン ケミカル ソサエティー第131巻、16048頁(2009年)に記載のフラーレン誘導体SIMEF等が挙げられる。
電子輸送層の膜厚は5〜500nmが好ましく、10〜200nmが特に好ましい。
バルクヘテロ型の光電変換層(以下、適宜、バルクヘテロ層と称する)18は正孔輸送材料と電子輸送材料が混合された有機の光電変換層である。正孔輸送材料と電子輸送材料の混合比は変換効率が最も高くなるように調整されるが、通常は、質量比で、10:90〜90:10の範囲から選ばれる。このような混合有機層の形成方法は、例えば、真空蒸着による共蒸着法が用いられる。あるいは、両方の有機材料が溶解する溶媒を用いて溶剤塗布することによって作製することも可能である。溶剤塗布法の具体例については後述する。
バルクヘテロ層18の膜厚は10nm〜500nmが好ましく、20nm〜300nmが特に好ましい。
バルクヘテロ層における正孔輸送材料と電子輸送材料は完全に均一に混合していてもよいし、1nm乃至1μmのドメインサイズとなるように相分離していてもよい。層分離構造は、不規則構造でも規則構造でもよい。規則構造を形成する場合、トップダウンによる規則構造でもよいし、自己組織化等のボトムアップによるものでもよい。ここで用いられる正孔輸送材料と電子輸送材料とは、既述の正孔輸送層、電子輸送層において説明したものが同様に挙げられる。
<電子捕集層>
本発明では、必要に応じて、電子輸送材料からなる電子捕集層28を設置してもよい。電子捕集層に用いることのできる電子輸送材料としては、前記の材料および、Chem.Rev.2007,107,953−1010にElectron Transport Materialsとして記載されているものや、電子輸送性を有するn型無機酸化物半導体(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化タングステン等)が挙げられる。これらの中では、酸化チタン、酸化亜鉛が好ましい。この他、酸化リチウム、フッ化リチウムも好ましく用いられる。
電子捕集層の膜厚は1nm〜30nmであり、好ましくは1nm〜15nmである。電子輸送層は、各種の湿式製膜法、蒸着法やスパッタ法等の乾式製膜法、転写法、印刷法など、いずれによっても好適に形成することができる。とりわけ、ジャーナル オブ フィジカル ケミストリー C 第114巻、6849〜6853頁(2010年)に記載の酸化亜鉛層の形成方法や、シン ソリッド フィルム 第517巻、3766〜3769頁(2007)、アドバンスト マテリアルズ第19巻、2445〜2449頁(2007年)に記載の酸化チタン層の形成方法が特に好適である。
<負極(第2の電極)>
本発明において負極20は、貴金属を主成分とする光透過性薄膜からなる。本発明において貴金属とは標準酸化還元電位が+0.3Vよりも高い金属と定義される。例えば、銅、銀、パラジウム、イリジウム、金、白金、およびこれらの金属を複数種含む合金などが該当する。
前記貴金属としては、伝導度の観点から、金、銀、銅が好ましく、銀が特に好ましい。ここで、固形分とは、膜中の溶剤を除いた全成分を指す。
本発明における光透過性膜は、これら貴金属の含有率が固形分換算で90質量%以上含有することを要する。貴金属を含有する層における貴金属の含有量は90質量%以上であることを要し、95質量%以上であることが好ましく、100質量%であることが最も好ましい。
また、前記光透過性膜は、貴金属を固形分換算で90質量%以上含む層を有する膜のみからなるものであってもよく、また、本発明の効果を損なわない限りにおいて、所望により前記貴金属を固形分換算で90質量%以上含む層以外の層を有していてもよい。
負極を構成する光透過性膜中に含まれる貴金属の含有量は、例えば、王水等に溶解した負極試料を、ICP発光分光法(誘導結合プラズマ発光分光法)や原子吸光法を用いて定量することにより測定しうる。
負極20は副成分として、仕事関数が4.5eV以下で、標準酸化還元電位が−2.0V以上+0.3V以下の金属を含んでいてもよい。この例としては、アルミニウム、ガリウム、インジウム、スズ、ジルコニウム、チタニウム、亜鉛、マンガン、ニオブ、バナジウム等が挙げられ、なかでも、アルミニウムが、変換効率と耐久性の両立という観点から好ましい。前記副成分は、貴金属を含有する層に含まれてもよく、また、以下に詳述するように、副成分を含有する別の層として、貴金属を含有する層に隣接して設けられることで含まれてもよい。
光透過性膜において、副成分が貴金属を含有層に含まれる場合の含有量は10質量%以下である。副成分の金属は、貴金属との合金として含まれ、単一の膜を形成してもよいが、互いに相分離した状態で含まれていてもよい。即ち、副成分の金属を含む層と貴金属を含む層とが積層されて光透過性膜を形成してもよく、このような副成分としての金属を含有する層と貴金属を含有する層とが積層された光透過性膜を備えることが、変換効率向上の観点からより好ましい。
この場合、バルクヘテロ層18(電子捕集層がある場合は電子捕集層28)側に、副成分の金属を含む層が隣接し、該副成分の金属を含む層に隣接して貴金属を含む層が配置される構成をとることが特に好ましい。
負極20の膜厚は、十分な光透過率の値が得られるように調整される。太陽電池素子が光透過性であるということを担保するために、負極単独での光透過率は波長40nm〜800nmに対し、平均として10%以上であり、20%以上が好ましく、30%以上がより好ましい。
なお、光透過性は分光光度計を用いて、400nm〜800nmの光透過率を測定し、得られた光透過率の値を平均することで求められる。
このような物性値を得るためには、負極を構成する光透過性膜の膜厚は30nm以下であることを要する。また、負極は設置された面全体に導電性を有しなければならない。厳密に平滑な層を作製すれば、膜厚1nmでも原理的にはこのような導電性を得ることができるが、そのような理想的な薄膜を形成することは難しいため、実質的には10nm以上の膜厚が必要である。
すなわち、本発明における負極を構成する貴金属を含有する層からなる光透過性膜の膜厚は10nm〜30nmである。光透過性が重要な用途では10nmに近い膜厚が、導電性が重要な用途では30nmに近い膜厚が選択される。
負極を構成する光透過性膜が貴金属を含有する層と副成分を含有する層との2層からなる重層構造を有する場合、副成分の層は0.1nm〜5nmであることが好ましく、0.5〜3nmがより好ましい。また、2つの層の合計の厚みが10nm〜30nmの範囲であることが好ましい。
負極の形成方法については、特に制限はなく、公知の方法に従って行うことができる。例えば、蒸着法、イオンプレーティング法やスパッタリング法などの真空成膜法が選ばれる。負極の材料として、複数種の金属を用いる場合には、2種以上を同時又は順次にスパッタ法等に従って成膜することができる。負極を形成するに際してのパターニングは、フォトリソグラフィーなどによる化学的エッチングによって行ってもよいし、レーザーなどによる物理的エッチングによって行ってもよく、マスクを重ねて真空蒸着やスパッタ等を行ってもよい。
本発明において、負極形成位置は特に制限はなく、有機層上の全部に形成されていてもよく、その一部に形成されていてもよい。また、負極と有機層との間に、アルカリ金属又はアルカリ土類金属のフッ化物、酸化物等による誘電体層を0.1〜5nmの厚みで挿入してもよい。この誘電体層は、一種の電子注入層と見ることもできる。誘電体層は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等により形成することができる。
負極(第2の電極)の厚みは、負極を構成する材料により適宜選択することができ、一概に規定することはできないが、上記好ましい光透過性を実現する観点から、通常10nm〜30nmであることが好ましく、10nm〜20nmであることがより好ましい。負極を構成する光透過性膜が重層構造を有する場合、複数の層の厚みを合計した値が上記範囲にあることが好ましい。
<バスライン>
負極は、導電性を補助するためのバスラインを有してもよく、また、バスラインを有することは好ましい態様である。バスラインとは、負極と電気的に接触している金属のラインのことである。バスラインは太陽電池全面にわたって負極の面抵抗が低くなるように設計される。バスラインは均等な線幅、ピッチからなるメッシュでも良いし、線幅やピッチの異なるメッシュでも良いし、低頻度の太線と高頻度の細線が交差するいわゆるフィッシュボーンパターンでも良く、これら以外のパターンでもよい。
バスラインの膜厚は50nm〜500nmが好ましく、80nm〜300nmがより好ましい。バスラインの開口率は60%以上であり、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。
バスラインの形成方法には特に制限はないが、負極と同じ金属を同じ方法で成膜するのが好ましい。この場合、負極を成膜する際にマスクを替えて連続的にバスラインを形成できるという利点が生ずる。
<その他有機層>
本発明では、必要に応じて、ホールブロック層、励起子拡散防止層等の補助層を有していてもよい。なお、本発明においてバルクヘテロ層、正孔輸送層、電子輸送層、電子ブロック層、ホールブロック層、励起子拡散防止層など、有機化合物を用いる層の総称として、「有機層」の言葉を用いる。
<保護層>
本発明の有機薄膜太陽電池は、保護層によって保護されていてもよい。特に、負極および所望によりバスラインを配した負極上に保護層を形成することは、負極の腐食防止の観点で好ましい。保護層に含まれる材料としては、MgO、SiO、SiO、Al、Y、TiO等の金属酸化物、SiN等の金属窒化物、SiN等の金属窒化酸化物、MgF、LiF、AlF、CaF等の金属フッ化物、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリパラキシリレン等のポリマー等が挙げられる。これらのうち、金属の酸化物、窒化物、窒化酸化物が好ましく、珪素、アルミニウムの酸化物、窒化物、窒化酸化物が特に好ましい。保護層は単層でも多層構成であってもよい。
保護層の形成方法については、特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、MBE(分子線エピタキシ)法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法(高周波励起イオンプレーティング法)、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、ガスソースCVD法、真空紫外CVD法、コーティング法、印刷法、転写法を適用できる。
<ガスバリア層>
本発明の有機薄膜太陽電池はガスバリア層を有してもよい。ガスバリア層は、ガスバリア性を有する層であれば、特に制限はない。通常、ガスバリア層は無機物の層である。無機物としては、典型的には、ホウ素、マグネシウム、アルミニウム、珪素、チタン、亜鉛、スズの酸化物、窒化物、酸窒化物、炭化物、水素化物等が挙げられる。これらは純物質でもよいし、複数組成からなる混合物や傾斜材料層でもよい。これらのうち、アルミニウムの酸化物、窒化物若しくは酸窒化物、又は珪素の酸化物、窒化物若しくは酸窒化物が好ましい。
無機層は単層でも、複数層の積層でもよい。有機層と無機層の積層でも良く、複数の無機層と複数の有機層の交互積層でもよい。有機層は平滑性の層であれば特に制限はないが、(メタ)アクリレートの重合物からなる層などが好ましく例示される。
無機層の厚みに関しては特に限定されないが、1層に付き、通常、5〜500nmの範囲内であり、好ましくは10〜200nmである。無機層は複数のサブレイヤーから成る積層構造であってもよい。この場合、各サブレイヤーが同じ組成であっても異なる組成であってもよい。また、上述したとおり、米国公開特許2004−46497号明細書に開示してあるように有機ポリマー層との界面が明確で無く、組成が膜厚方向で連続的に変化する層であってもよい。
本発明の有機薄層太陽電池の厚さは、50μm〜1mmであることが好ましく、100μm〜500μmであることがより好ましい。
本発明の有機薄層太陽電池を用いて太陽電池モジュールを作製する場合、濱川圭弘著、太陽光発電、最新の技術とシステム(出版:株式会社 シーエムシー)等の記載を参酌することができる。
<再結合層>
2層の光電変換層を有するタンデム型の素子では、2層の光電変換層の間に再結合層が設けられる。再結合層の材料は、前記負極材料の中から選ばれる。再結合層の膜厚は0.01〜5nmであり、0.1〜1nmが好ましく、0.2〜0.6nmが特に好ましい。再結合層の形成方法については特に制限はなく、例えば真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等で形成することができる。
<アニール>
本発明の有機薄膜太陽電池は、有機層の結晶化やバルクヘテロ層の相分離促進を目的として、種々の方法でアニールしても良い。アニールの方法としては、蒸着中の基板温度を50℃〜150℃に加熱する方法や、塗布後の乾燥温度を50℃〜150℃とする方法などがある。また、第二電極の形成が終了したのちに50℃〜150℃に加熱してアニールしても良い。
本発明の有機薄層太陽電池の厚さは、50μm〜1mmであることが好ましく、100μm〜500μmであることがより好ましい。
本発明の有機薄層太陽電池を用いて太陽電池モジュールを作製する場合、濱川圭弘著、太陽光発電、最新の技術とシステム(出版:株式会社 シーエムシー)等の記載を参酌することができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
〔実施例1〕
厚み125μmのポリエチレンナフタレートフィルム(帝人デュポン株式会社からテオネックスQ−65FAの名で市販されているフィルム)12上に、導電メッシュ16A、導電性ポリマー層16B、電子ブロック層26、バルクヘテロ層18、電子捕集層28、負極20の順に積層し、図1(A)に示す如き構成を有する実施例1のバルクヘテロ型有機薄膜太陽電池10を作製した。
〔導電メッシュの形成〕
[ハロゲン化銀乳剤の調製]
反応容器内で下記溶液Aを34℃に保ち、特開昭62−160128号公報記載の混合撹拌装置を用いて高速に撹拌しながら、硝酸(濃度6%)を用いてpHを2.95に調整した。引き続き、ダブルジェット法を用いて下記溶液Bと下記溶液Cを一定の流量で8分6秒間かけて添加した。添加終了後に、炭酸ナトリウム(濃度5%)を用いてpHを5.90に調整し、続いて下記溶液Dと溶液Eを添加した。
(溶液A)
アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 18.7g
塩化ナトリウム 0.31g
溶液I(下記) 1.59mL
純水 1,246mL

(溶液B)
硝酸銀 169.9g
硝酸(濃度6%) 5.89mL
純水にて全量を317.1mLとした。
(溶液C)
アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 5.66g
塩化ナトリウム 58.8g
臭化カリウム 13.3g
溶液I(下記) 0.85mL
溶液II(下記) 2.72mL
純水にて全量を317.1mLとした。
(溶液D)
2−メチル−4ヒドロキシ−1,3,3a,7−テトラアザインデン 0.56g
純水 112.1mL

(溶液E)
アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 3.96g
溶液I(下記) 0.40mL
純水 128.5mL
〈溶液I〉
界面活性剤:ポリイソプロピレンポリエチレンオキシジコハク酸エステルナトリウム塩の10質量%メタノール溶液

〈溶液II〉
六塩化ロジウム錯体の10質量%水溶液
上記操作終了後に、常法に従い40℃にてフロキュレーション法を用いて脱塩及び水洗処理を施し、溶液Fと防バイ剤を加えて60℃でよく分散し、40℃にてpHを5.90に調整して、最終的に臭化銀を10モル%含む平均粒子径0.09μm、変動係数10%の塩臭化銀立方体粒子乳剤を得た。

(溶液F)
アルカリ処理不活性ゼラチン(平均分子量10万) 16.5g
純水 139.8mL
上記塩臭化銀立方体粒子乳剤に対し、チオ硫酸ナトリウムをハロゲン化銀1モル当たり20mg用い、40℃にて80分間化学増感を行い、化学増感終了後に4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデン(TAI)をハロゲン化銀1モル当たり500mg、1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールをハロゲン化銀1モル当たり150mg添加して、ハロゲン化銀乳剤を得た。このハロゲン化銀乳剤のハロゲン化銀粒子とゼラチンの体積比(ハロゲン化銀粒子/ゼラチン)は0.625であった。
[塗布]
さらに硬膜剤(H−1:テトラキス(ビニルスルホニルメチル)メタン)をゼラチン1g当たり200mgの比率となるようにして添加し、また塗布助剤として、界面活性剤(SU−2:スルホコハク酸ジ(2−エチルヘキシル)・ナトリウム)を添加し、表面張力を調整した。
こうして得られた塗布液を、銀換算の目付け量が0.625g/mとなるように、下塗り層を施した厚さ100μm、透過率92%(裏面に反射防止加工)のポリエチレンナフタレート(PEN)フィルム基材上に塗布した後、50℃、24時間のキュア処理を実施して感光材料を得た。
[露光]
得られた感光材料を、メッシュ状のフォトマスク(線幅5μm、ピッチ300μm)を介してUV露光器で露光した。
[化学現像]
露光した感光材料を、下記現像液(DEV−1)を用いて25℃で60秒間の現像処理を行った後、下記定着液(FIX−1)を用いて25℃で120秒間の定着処理を行った。
(DEV−1)
純水 500mL
メトール 2g
無水亜硫酸ナトリウム 80g
ハイドロキノン 4g
ホウ砂 4g
チオ硫酸ナトリウム 10g
臭化カリウム 0.5g
水を加えて全量を1リットルとした。
(FIX−1)
純水 750mL
チオ硫酸ナトリウム 250g
無水亜硫酸ナトリウム 15g
氷酢酸 15mL
カリミョウバン 15g
水を加えて全量を1リットルとした。
[物理現像]
次に、下記物理現像液(PDEV−1)を用いて30℃で10分間物理現像を行った後、水道水で10分間洗い流して水洗処理を行った。
(PDEV−1)
純水 900mL
クエン酸 10g
クエン酸三ナトリウム 1g
アンモニア水(28%) 1.5g
ハイドロキノン 2.3g
硝酸銀 0.23g
水を加えて全量を1000mLとした。
[電解めっき]
物理現像処理の後に、下記電解めっき液を用いて25℃で電解銅めっき処理を施した後、水洗、乾燥処理を行った。なお電解銅めっきにおける電流制御は3Aで1分間、次いで1Aで12分間、計13分間かけて実施した。めっき処理終了後に、水道水で10分間洗い流して水洗処理を行い、乾燥風(50℃)を用いてドライ状態になるまで乾燥した。

(電解めっき液)
硫酸銅(五水和物) 200g
硫酸 50g
塩化ナトリウム 0.1g
水を加えて全量を1000mLとした。
めっき処理後のフィルムを電子顕微鏡にて観察したところ、フィルム基材上に線幅14μm、ピッチ300μmの金属メッシュパターンが形成されていることが確認された。このようにして透明導電フィルム(A−0)を得た。
[表面抵抗の測定]
透明導電フィルム(A−0)の表面抵抗を、三菱化学(株)低抵抗率計ロレスターGP/ASPプローブを用いて、JIS7194に従い測定したところ、表面抵抗値は1Ω/sq以下であった。
〔導電性ポリマー層の形成〕
透明導電フィルム(A−0)の表面に、ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホン酸(略称:PEDOT−PSS)の水分散物(H.C.シュタルク社製、クレビオスPH−500に5質量%のジメチルスルホキシドを添加した溶液、塗布乾燥時の体積抵抗率1〜5×10−3Ωcm)を塗布した。次に、このフィルムを120℃で20分間加熱乾燥して、導電性ポリマー層を形成し、透明導電フィルムとした。このとき、導電性ポリマー層の膜厚は200nmであった。
〔電子ブロック層の設置〕
透明導電フィルムの上にポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホン酸(略称:PEDOT−PSS)の水分散物(H.C.シュタルク社製、クレビオスP AI4083、塗布乾燥時の体積抵抗率500〜5000Ωcm)を膜厚25nmとなるように塗布し、120℃で20分間加熱乾燥した。
〔バルクヘテロ層の塗布〕
P3HT(ポリ−3−ヘキシルチオフェン、Lisicon SP−001(商品名)、メルク社製)20mg、及び、PCBM([6,6]−phenyl C61−butyric acid methyl ester、ナノムスペクトラE−100H(商品名)、フロンティアカーボン社製)14mgをクロロベンゼン1mlに溶解させ、光電変換層塗布液とした。窒素で置換したグローブボックス内にて、光電変換塗布液を前記透明導電フィルム(TCF−1)上にスピンコートし、乾燥してバルクヘテロ型の光電変換層26を形成した。スピンコーターの回転速度は2000rpm、乾燥膜厚は90nmであった。
〔電子捕集層の蒸着〕
バルクヘテロ層26上に、フッ化リチウム(LiF)を1nmの膜厚となるように真空蒸着し、電子捕集層28を形成した。
〔負極の蒸着〕
電子捕集層28上にアルミニウムを2nm、銀を15nm順次蒸着して重層構造の光透過性膜を形成し、負極20とした。このとき、光電変換の有効面積が0.5cmとなるようなマスクを用いた。
光透過性膜の光透過性を測定するために、透明なガラス上にアルミニウムを2nm、銀を15nm順次蒸着し、400〜800nmの平均光透過率を求めたところ、35%であった。従って得られた光透過性膜は、本発明に好ましい光透過性を有することがわかる。
(対照例)
なお、対照例として、銀膜厚を25nm、35nmと厚くしていったところ、平均光透過率は11%、6%と減少した。このことから、貴金属として銀を用いた場合、膜厚35nmでは、本発明に対しては不適切な厚さであることがわかる。
〔保護層の成膜〕
次に、容量結合型プラズマCVD装置を用いて、負極上に保護層(図示せず)として窒化珪素層を形成した。負極、バスラインまで形成の終了した有機薄膜太陽電池素子を、CVDの反応チャンバー内にセットし、減圧下で、下に記載の原料ガス処方に従った原料ガスを導入し、13.56MHzの高周波電力を投入してプラズマを発生させ、窒化珪素層を形成した。厚さは2μmとなるように成膜時間を調整した。
(原料ガス処方)
シラン 25sccm、アンモニア 15sccm、水素 15sccm、窒素 195sccm
以上の方法によって、本発明のバルクヘテロ型有機薄膜太陽電池素子(P−1)を作製した。
〔実施例2〕
負極としてアルミニウム2nm蒸着した後、銀の膜厚を25nmとした以外は、実施例1と同様にして実施例2の太陽電池(P−2)を作製した。負極を構成する光透過性膜の光透過性を実施例1と同様にして測定したところ、11%であった。
〔実施例3〕
負極としてアルミニウムを蒸着せずに銀の単独膜とし、銀の膜厚を15nmとした以外は、実施例1と同様にして実施例2の太陽電池(P−3)を作製した。負極を構成する光透過性膜の光透過性を実施例1と同様にして測定したところ、39%であった。
〔比較例1〕
銀を用いずアルミニウムのみを15nm蒸着する膜を形成して負極とした以外は、実施例1と同様にして比較用の太陽電池(PR−1)を作製した。負極を構成する光透過性膜の光透過性を実施例1と同様にして測定したところ、41%であった。
〔比較例2〕
負極として、電子捕集層上にアルミニウムを2nm、銀を5nm、順次蒸着して重層構造の構成とする以外は実施例1と同様の方法で順次積層し、比較例2の有機薄膜太陽電池(PR−2)を作製した。負極を構成する光透過性膜の光透過性を実施例1と同様にして測定したところ、56%であった。
〔発電効率の測定〕
実施例1〜3及び比較例1、2にて得られた有機薄膜太陽電池を、25℃、相対湿度10%に条件下、ペクセルテクノロジーズ社L12型ソーラシミュレーターを用いて、AM1.5G、100mW/cmの模擬太陽光を照射しながら、ソースメジャーユニット(SMU2400型、KEITHLEY社製)を用いて電圧範囲−0.1Vから1.0Vにて、電流値を測定した。得られた電流電圧特性をペクセルテクノロジーズ社I−Vカーブアナライザーを用いて評価し、特性パラメーターを算出した。測定結果を下記表1に示す。
表1の結果より、アルミニウム−銀負極における銀の膜厚が5nmでは導電性が得られず、太陽電池として機能しないことがわかる。一方、貴金属である銀を100質量%含有する層を含む光透過性膜を備えた本発明の有機薄膜太陽電池は、アルミニウムのみを含有する層からなる光透過性膜を備える比較例1との対比において、同等又はそれ以上の変換効率を達成するものである。なお、本発明による太陽電池は一般的な有機薄膜太陽電池に対して変換効率が低いが、これは、負極に透明性を付与したため、本来負極で反射して電気エネルギーに変換されるべき光が透過してしまうことによる。実用上、太陽電池が透明であることを求められる用途では、変換効率が不透明のものに比較し、ある程度低下することは本質的に避けられないことである。
〔発光効率の経時安定性の評価〕
次に、各素子を露点−60℃の窒素雰囲気下に200時間静置した後、AM1.5、100mW/cmの模擬太陽光を照射しながら電流電圧特性を測定し、変換効率の維持率を測定した。測定結果を表2に示す。

変換効率の維持率(%)=(経時後の変換効率)÷(素子作製直後の変換効率)×100
表2の結果から、貴金属として銀を100質量%含む光透過性膜を負極としても用いた本発明の太陽電池は、厳しい条件における経時後も発光効率が低下せず、経時的な発光効率の低下が抑制されることがわかる。他方、アルミニウム単独の負極では、初期の変換効率は同等であるものの、本発明の有機薄膜太陽電池に較べて耐久性が劣ることがわかる。
10 有機薄膜太陽電池
12 基板
16 透明導電層(第1の電極)
16A 導電メッシュ
16B 導電性ポリマー層
18 バルクヘテロ接合型光電変換層(バルクヘテロ層)
20 負極(光透過性膜)
26 電子ブロック層
28 電子捕集層

Claims (16)

  1. 支持体上に、該支持体上に配置されている導電メッシュと導電性ポリマー層とを含んで構成される第1の電極と、電子ブロック層と、バルクへテロ接合型の光電変換層と、膜厚が10nm以上30nm以下であり、貴金属を固形分換算で90質量%以上含む光透過性膜からなる第2の電極と、をこの順に有する有機薄膜太陽電池。
  2. 前記光透過性膜の可視光透過率が10%以上である請求項1に記載の有機薄膜太陽電池。
  3. 前記光透過性膜が含む前記貴金属が銀である請求項1又は請求項2に記載の有機薄膜太陽電池。
  4. 前記光透過性膜が、さらにアルミニウムを含有する層を有する請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の有機薄膜太陽電池。
  5. 前記光透過性膜が、銀を含有する層とアルミニウムを含有する層とを含む重層構造を有し、該アルミニウムを含有する層が、前記光電変換層に隣接した層である請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の有機薄膜太陽電池。
  6. 前記第2の電極上に、無機酸化物を含む保護層を有する請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の有機薄膜太陽電池。
  7. 前記導電メッシュが銀を含む請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の有機薄膜太陽電池。
  8. 前記導電メッシュが銀および親水性ポリマーを含む請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の有機薄膜太陽電池。
  9. 前記導電メッシュの平面視による線幅が1μm以上20μm以下である請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の有機薄膜太陽電池。
  10. 前記導電メッシュの平面視によるピッチが50μm以上500μm以下である請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の有機薄膜太陽電池。
  11. 前記導電メッシュにおいて繰り返し単位となる開口部の面積が1×10−8以上1×10−7以下である請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の有機薄膜太陽電池。
  12. 前記導電性ポリマー層が、体積抵抗率が1×10−2Ωcm以下のポリチオフェン誘導体を含有する請求項1から請求項11のいずれか1項に記載の有機薄膜太陽電池。
  13. 前記ポリチオフェン誘導体が、ポリエチレンジオキシチオフェンである請求項12に記載の有機薄膜太陽電池。
  14. 前記光電変換層がフラーレン誘導体を含有する請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の有機薄膜太陽電池。
  15. 支持体上に導電メッシュを配置する工程と、該導電メッシュの開口部内及び該導電性メッシュ上に導電性ポリマー層を形成する工程と、該導電性ポリマー層上に、電子ブロック層、バルクヘテロ接合型の光電変換層、及び、膜厚が10nm以上30nm以下であり、貴金属を固形分換算で90質量%以上含む光透過性膜からなる第2の電極を順次形成する工程と、を含む有機薄膜太陽電池の製造方法。
  16. 前記支持体上に導電メッシュを形成する工程が、前記支持体上にハロゲン化銀を含有する組成物を塗布してハロゲン化銀含有層を形成する工程、該ハロゲン化銀含有層をパターン露光する工程、パターン露光後のハロゲン化銀含有層を現像する工程、及び、形成されたパターン状のハロゲン化銀含有層を定着する工程を、この順で含む請求項15に記載の有機薄膜太陽電池の製造方法。
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