JP2017171736A - 熱伝導性樹脂膜の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】無機成分を用いなくともそれ単独で熱伝導性の良好な樹脂膜を製造する方法を提供する。【解決手段】基材上に有機薄膜を作製する第1工程と、前記有機薄膜を配向処理する第2工程と、前記配向処理した有機薄膜上に、芳香族環又は複素芳香族環を含む樹脂及び有機溶媒を含む樹脂膜形成用組成物を塗布し、前記有機溶媒を蒸発させて樹脂膜を得る第3工程とを含む熱伝導性樹脂膜の製造方法。【選択図】なし
Description
本発明は、熱伝導性樹脂膜の製造方法に関する。
近年、電子デバイスの進展に伴い、その軽量化、コンパクト化が図られている。その取組みの中で、従来用いられてきたガラス基板のかわりに、より軽くて柔軟な樹脂基板を用いる試みがなされている。
基板上には、例えば、有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子が搭載される。有機EL素子は発光の際に一部が熱エネルギーに変換され、有機EL素子がジュール熱等で発熱してしまうことがある。この発熱は、輝度等の発光特性の低下や、素子自体の劣化を招く場合があるとされている。また、素子の温度が高くなるほど、有機EL素子の特性劣化を引き起こしやすい傾向がある。
素子の過度な発熱による残像や焼き付き現象が課題として挙げられる。これは、表示パターンに対応した電流が発光素子に流れるため、表示パターンによって電流が多く流れる部分とそうでない部分が生じ、表示パターンによって発熱量が異なることによる。すなわち、長時間固定パターンを表示し続けると、局所的に有機EL素子の発熱量が異なり、ディスプレイ表示画面に残像や焼き付きが発生し、画質の低下を招くおそれがある。このため、局所的な発熱量の違いを防止するために、熱を迅速に拡散し、素子全体の発熱を均一に拡散させ、放熱効率を上げる必要がある。
素子の過度な発熱が引き起こすもう一つの問題として、例えば、輝度のバラツキが挙げられる。画面全体を長時間にわたり白表示した場合、素子構造や素子を格納する筐体構造等の違いにより放熱されやすい部分とされにくい部分が生じる。その結果、局所的な温度差で発光特性に差が生じ、表示画面の輝度にバラツキが生じることがある。表示画面の輝度を均一にするためには、局部的に発生した熱を均一に拡散させ、外部へ放出することが必要である。
しかし、樹脂基板は、ガラス基板と比較して熱伝導性が劣ることが多い。このため、電子デバイスでの樹脂基板の実用化には、樹脂基板の熱伝導性を高めることが解決すべき課題の一つである。
このような課題を解決する手段として、例えば、樹脂に金属や熱伝導性の良好な無機充填剤を添加して熱伝導率を高める方法が種々検討されている(特許文献1〜3)。しかし、これらの技術では、添加した無機充填剤によって樹脂基板の柔軟性が損なわれてしまうという課題がある。このため、無機成分を含まなくとも、十分な熱伝導性を発揮できる樹脂膜の開発が望まれている。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたものであり、無機成分を用いなくともそれ単独で熱伝導性の良好な樹脂膜を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討を重ねた結果、配向処理した有機薄膜上に樹脂膜を形成することで、無機成分を用いなくともそれ単独で熱伝導性の良好な樹脂膜が得られることを見出し、本発明を完成させた。
したがって、本発明は、下記熱伝導性樹脂膜の製造方法を提供する。
1.基材上に有機薄膜を作製する第1工程と、
前記有機薄膜を配向処理する第2工程と、
前記配向処理した有機薄膜上に、芳香族環又は複素芳香族環を含む樹脂及び有機溶媒を含む樹脂膜形成用組成物を塗布し、前記有機溶媒を蒸発させて樹脂膜を得る第3工程と
を含む熱伝導性樹脂膜の製造方法。
2.前記第1工程において、有機薄膜がポリイミドからなるものである1の熱伝導性樹脂膜の製造方法。
3.前記第2工程において、配向処理がラビング法によるものである1又は2の熱伝導性樹脂膜の製造方法。
4.前記第3工程において、前記有機溶媒が、下記式(I)〜(III)で表される溶媒から選ばれる少なくとも1種である1〜3のいずれかの熱伝導性樹脂膜の製造方法。
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表し、R3は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、hは、自然数を表す。)
5.前記第3工程において、前記樹脂が、下記式(1−1)若しくは(1−2)で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体、又は下記式(1−3)で表されるポリアミック酸からなるものである1〜4のいずれかの熱伝導性樹脂膜の製造方法。
[式中、X1は、ビフェニル−4,4'−ジイル基を表し、Y1は、下記式(2)で表される4価の基を表し、X2は、下記式(3)で表される2価の基を表し、Y2及びX3は、ビフェニル−3,3',4,4'−テトライル基を表し、Y3は、p−フェニレン基を表す。
(式中、Lは、−O−、−S−、−CO−又は−SO−を表す。)]
6.前記樹脂膜形成用組成物を前記配向処理した有機薄膜上に塗布し、加熱して前記有機溶媒を蒸発させるとともに、前記ポリベンゾオキサゾール前駆体又はポリアミック酸を閉環させる、5の熱伝導性樹脂膜の製造方法。
7.前記第3工程において、得られる樹脂膜が、下記式(4−1)若しくは(4−2)で表されるポリベンゾオキサゾール、又は下記式(4−3)で表されるポリイミドを含むものである1〜6のいずれかの熱伝導性樹脂膜の製造方法。
[式中、X1は、ビフェニル−4,4'−ジイル基を表し、Y1は、式(2)で表される4価の基を表し、X2は、式(3)で表される2価の基を表し、Y2及びX3は、ビフェニル−3,3',4,4'−テトライル基を表し、Y3は、p−フェニレン基を表す。
(式中、Lは、−O−、−S−、−CO−又は−SO−を表す。)]
8.1〜7のいずれかの製造方法により得られる熱伝導性樹脂膜を、基板として備える電子デバイス。
9.下記式(4−1)若しくは(4−2)で表されるポリベンゾオキサゾール、又は下記式(4−3)で表され、熱拡散率が、2.0m2/sを超え、5.0m2/s以下であるポリイミドを含む熱伝導性樹脂膜を、基板として備える電子デバイス。
[式中、X1は、ビフェニル−4,4'−ジイル基を表し、Y1は、式(2)で表される4価の基を表し、X2は、式(3)で表される2価の基を表し、Y2及びX3は、ビフェニル−3,3',4,4'−テトライル基を表し、Y3は、p−フェニレン基を表す。
(式中、Lは、−O−、−S−、−CO−又は−SO−を表す。)]
10.有機EL素子である8又は9の電子デバイス。
1.基材上に有機薄膜を作製する第1工程と、
前記有機薄膜を配向処理する第2工程と、
前記配向処理した有機薄膜上に、芳香族環又は複素芳香族環を含む樹脂及び有機溶媒を含む樹脂膜形成用組成物を塗布し、前記有機溶媒を蒸発させて樹脂膜を得る第3工程と
を含む熱伝導性樹脂膜の製造方法。
2.前記第1工程において、有機薄膜がポリイミドからなるものである1の熱伝導性樹脂膜の製造方法。
3.前記第2工程において、配向処理がラビング法によるものである1又は2の熱伝導性樹脂膜の製造方法。
4.前記第3工程において、前記有機溶媒が、下記式(I)〜(III)で表される溶媒から選ばれる少なくとも1種である1〜3のいずれかの熱伝導性樹脂膜の製造方法。
5.前記第3工程において、前記樹脂が、下記式(1−1)若しくは(1−2)で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体、又は下記式(1−3)で表されるポリアミック酸からなるものである1〜4のいずれかの熱伝導性樹脂膜の製造方法。
6.前記樹脂膜形成用組成物を前記配向処理した有機薄膜上に塗布し、加熱して前記有機溶媒を蒸発させるとともに、前記ポリベンゾオキサゾール前駆体又はポリアミック酸を閉環させる、5の熱伝導性樹脂膜の製造方法。
7.前記第3工程において、得られる樹脂膜が、下記式(4−1)若しくは(4−2)で表されるポリベンゾオキサゾール、又は下記式(4−3)で表されるポリイミドを含むものである1〜6のいずれかの熱伝導性樹脂膜の製造方法。
8.1〜7のいずれかの製造方法により得られる熱伝導性樹脂膜を、基板として備える電子デバイス。
9.下記式(4−1)若しくは(4−2)で表されるポリベンゾオキサゾール、又は下記式(4−3)で表され、熱拡散率が、2.0m2/sを超え、5.0m2/s以下であるポリイミドを含む熱伝導性樹脂膜を、基板として備える電子デバイス。
10.有機EL素子である8又は9の電子デバイス。
本発明の熱伝導性樹脂膜の製造方法によれば、無機成分を用いなくともそれ単独で熱伝導性の良好な樹脂膜を製造することができる。
[熱伝導性樹脂膜の製造方法]
本発明の熱伝導性樹脂膜の製造方法は、基材上に有機薄膜を作製する第1工程と、前記有機薄膜を配向処理する第2工程と、前記配向処理した有機薄膜上に、樹脂及び有機溶媒を含む樹脂膜形成用組成物を塗布し、前記有機溶媒を蒸発させて樹脂膜を得る第3工程とを含むものである。
本発明の熱伝導性樹脂膜の製造方法は、基材上に有機薄膜を作製する第1工程と、前記有機薄膜を配向処理する第2工程と、前記配向処理した有機薄膜上に、樹脂及び有機溶媒を含む樹脂膜形成用組成物を塗布し、前記有機溶媒を蒸発させて樹脂膜を得る第3工程とを含むものである。
[第1工程]
第1工程は、基材上に有機薄膜を作製する工程である。前記基材としては、ガラス、プラスチック(ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ、メラミン、トリアセチルセルロース、ABS、AS、ノルボルネン系樹脂等)、金属(シリコンウエハ等)、木材、紙、スレート等が挙げられるが、特に、前記有機薄膜との密着性の観点から、ガラス、金属(シリコンウエハ等)等が好ましい。なお、基材表面は、単一の材料で構成されていてもよく、2以上の材料で構成されていてもよい。
第1工程は、基材上に有機薄膜を作製する工程である。前記基材としては、ガラス、プラスチック(ポリカーボネート、ポリメタクリレート、ポリスチレン、ポリエステル、ポリオレフィン、エポキシ、メラミン、トリアセチルセルロース、ABS、AS、ノルボルネン系樹脂等)、金属(シリコンウエハ等)、木材、紙、スレート等が挙げられるが、特に、前記有機薄膜との密着性の観点から、ガラス、金属(シリコンウエハ等)等が好ましい。なお、基材表面は、単一の材料で構成されていてもよく、2以上の材料で構成されていてもよい。
前記有機薄膜としては、ポリイミド、アクリル、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアゾール(ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾチアゾール)等が挙げられる。これらのうち、優れた耐熱性と溶剤耐性を有する観点から、ポリイミド薄膜、ポリアゾール(ポリベンゾオキサゾール、ポリベンゾイミダゾール、ポリベンゾチアゾール)薄膜等が好ましく、ポリイミド薄膜がより好ましい。
前記ポリイミドとしては、特に限定されないが、耐熱性に優れ、かつ樹脂膜形成用組成物を好適に剥離させることができる、芳香族環又は複素芳香族環を含むポリイミドが好ましい。このようなポリイミドとしては、ベンゼン核を1〜5つ含む芳香族テトラカルボン酸二無水物と、ジアミンとを反応させて得られるポリアミック酸を用いて形成されるポリイミドであって、ガラス転移温度が200℃以上又はガラス転移温度を持たないポリイミド等が挙げられる。
前記芳香族テトラカルボン酸二無水物として具体的には、ピロメリット酸二無水物、ベンゼン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,2,6,7−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,2,7,8−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−2,2',3,3'−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−2,3,3',4'−テトラカルボン酸二無水物、ビフェニル−3,3',4,4'−テトラカルボン酸二無水物、アントラセン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、アントラセン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、アントラセン−1,2,6,7−テトラカルボン酸二無水物、アントラセン−1,2,7,8−テトラカルボン酸二無水物、アントラセン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、フェナントレン−1,2,3,4−テトラカルボン酸二無水物、フェナントレン−1,2,5,6−テトラカルボン酸二無水物、フェナントレン−1,2,6,7−テトラカルボン酸二無水物、フェナントレン−1,2,7,8−テトラカルボン酸二無水物、フェナントレン−1,2,9,10−テトラカルボン酸二無水物、フェナントレン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、フェナントレン−2,3,6,7−テトラカルボン酸二無水物、フェナントレン−2,3,9,10−テトラカルボン酸二無水物、フェナントレン−3,4,5,6−テトラカルボン酸二無水物、フェナントレン−3,4,9,10−テトラカルボン酸二無水物等が挙げられる。
前記ジアミンとしては、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン(m−フェニレンジアミン)、1,2−ジアミノベンゼン(o−フェニレンジアミン)、2,4−ジアミノトルエン、2,5−ジアミノトルエン、2,6−ジアミノトルエン、4,6−ジメチル−m−フェニレンジアミン、2,5−ジメチル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジメチル−p−フェニレンジアミン、2,4,6−トリメチル−1,3−フェニレンジアミン、2,3,5,6−テトラメチル−p−フェニレンジアミン、m−キシリレンジアミン、p−キシリレンジアミン、5−トリフルオロメチルベンゼン−1,3−ジアミン、5−トリフルオロメチルベンゼン−1,2−ジアミン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン−1,2−ジアミン等のベンゼン核を1つ含むジアミン;1,2−ナフタレンジアミン、1,3−ナフタレンジアミン、1,4−ナフタレンジアミン、1,5−ナフタレンジアミン、1,6−ナフタレンジアミン、1,7−ナフタレンジアミン、1,8−ナフタレンジアミン、2,3−ナフタレンジアミン、2,6−ナフタレンジアミン、4,4'−ビフェニルジアミン、2,2'−ビス(トリフルオロメチル)−4,4'−ジアミノビフェニル、3,3'−ジメチル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3'−ジカルボキシ−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、3,3',5,5'−テトラメチル−4,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノベンズアニリド、3,3'−ジクロロベンジジン、3,3'−ジメチルベンジジン、2,2'−ジメチルベンジジン、3,3'−ジアミノジフェニルメタン、3,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、3,3'−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4'−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4'−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3'−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル−4,4'−ジアミン、3,3',5,5'−テトラフルオロビフェニル−4,4'−ジアミン、4,4'−ジアミノオクタフルオロビフェニル、2−(3−アミノフェニル)−5−アミノベンズイミダゾール、2−(4−アミノフェニル)−5−アミノベンゾオキゾール等のベンゼン核を2つ含むジアミン;1,5−ジアミノアントラセン、2,6−ジアミノアントラセン、9,10−ジアミノアントラセン、1,8−ジアミノフェナントレン、2,7−ジアミノフェナントレン、3,6−ジアミノフェナントレン、9,10−ジアミノフェナントレン、1,3−ビス(3−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノフェニル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニルスルフィド)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェニルスルホン)ベンゼン、1,3−ビス[2−(4−アミノフェニル)イソプロピル]ベンゼン、1,4−ビス[2−(3−アミノフェニル)イソプロピル]ベンゼン、1,4−ビス[2−(4−アミノフェニル)イソプロピル]ベンゼン、4,4''−ジアミノ−p−ターフェニル、4,4''−ジアミノ−m−ターフェニル等のベンゼン核を3つ含む芳香族ジアミンが挙げられる。更に、前記ジアミンは、芳香族ジアミンに加えて芳香族ジアミン以外のジアミンを含んでもよく、例えば、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン等のシロキサン構造を含むジアミン等を含んでもよい。
前記有機薄膜を形成する方法としては、有機薄膜を形成し得る樹脂及び有機溶媒を含む有機薄膜形成用組成物を前記基材上に塗布し、加熱処理する方法が挙げられる。前記有機溶媒としては、後述する第3工程において用いられる樹脂膜形成用組成物に含まれる有機溶媒として例示するものと同様のものが挙げられる。
前記有機薄膜形成用組成物における樹脂の濃度は、作製する有機薄膜の厚み、組成物の粘度等を勘案して適宜設定するものではあるが、通常1〜30質量%程度、好ましくは1〜20質量%程度である。
前記有機薄膜としてポリイミド薄膜を採用する場合は、例えば、ポリアミック酸と有機溶媒とを含むポリイミド薄膜形成用組成物を基材上に塗布し、加熱してポリアミック酸を熱イミド化することで、ポリイミド薄膜を形成することができる。なお、ポリイミド薄膜形成用組成物は、ポリアミック酸と有機溶媒のほかに、シランカップリング剤、界面活性剤、レベリング剤、架橋剤等のその他の成分を含んでもよい。
前記ポリアミック酸の重量平均分子量は、5,000〜1,000,000が好ましく、10,000〜500,000がより好ましく、ハンドリング性の観点から15,000〜200,000がより一層好ましい。なお、本発明において重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)分析による標準ポリスチレン換算で得られる平均分子量である。
イミド化するための加熱温度は、通常50〜550℃の範囲内で適宜決定されるが、好ましくは200℃以上、また、好ましくは500℃以下である。加熱温度をこのようにすることで、得られる膜の脆弱化を防ぎつつ、イミド化反応を十分に進行させることが可能となる。加熱時間は、加熱温度によって異なるため一概に規定できないが、通常5分〜5時間である。また、イミド化率は、50〜100%の範囲であればよい。
前記有機薄膜は、基材の一部表面に形成されていてもよいし、全面に形成されていてもよい。基体の一部表面に有機薄膜を形成する態様としては、基体表面のうち所定の範囲にのみ有機薄膜を形成してもよく、ドットパターン、ラインアンドスペースパターン等のパターン状に有機薄膜を形成してもよい。
塗布方法は、特に限定されないが、例えば、キャストコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、インクジェット法、印刷法(凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等)等が挙げられる。
加熱態様の好ましい一例としては、50〜100℃で5分間〜2時間加熱した後に、そのまま段階的に加熱温度を上昇させて最終的に375℃超〜450℃で30分〜4時間加熱する手法が挙げられる。特に、50〜100℃で5分間〜2時間加熱した後に、100℃超〜375℃で5分間〜2時間、最後に375℃超〜450℃で30分〜4時間加熱することが好ましい。
加熱に用いる器具としては、例えば、ホットプレート、オーブン等が挙げられる。加熱雰囲気は、空気下であっても不活性ガス下であってもよく、また、常圧下であっても減圧下であってもよい。
有機薄膜の厚さは、通常0.01〜50μm程度、生産性の観点から、好ましくは0.05〜20μm程度、より好ましくは0.05〜5μm程度であり、加熱前の塗膜の厚さを調整して所望の厚さを実現することができる。
[第2工程]
第2工程は、前記有機薄膜を配向処理する工程である。前記配向処理方法としては、ラビング処理、光配向処理等の方法が挙げられる。このうち、樹脂膜形成用組成物との適度な密着性と適度な剥離性を有する観点から、ラビング処理が好ましい。
第2工程は、前記有機薄膜を配向処理する工程である。前記配向処理方法としては、ラビング処理、光配向処理等の方法が挙げられる。このうち、樹脂膜形成用組成物との適度な密着性と適度な剥離性を有する観点から、ラビング処理が好ましい。
ラビング処理は既存のラビング装置を利用して行うことができる。この際のラビング布の材質としては、コットン、ナイロン、レーヨン等が挙げられる。ラビング処理の条件としては、一般に、回転速度300〜2,000rpm、送り速度5〜100mm/s、押し込み量0.1〜1.0mmという条件が好ましい。
光配向処理法としては、前記有機薄膜表面に、一定方向に偏光した放射線を照射し、必要に応じて、更に150〜250℃の温度で加熱処理を行い、配向能を付与する方法が挙げられる。放射線としては、波長100nm〜800nmの紫外線や可視光線が挙げられる。このうち、波長100nm〜400nmの紫外線が好ましく、波長200nm〜400nmのものが特に好ましい。また、配向性を改善するために、有機薄膜を形成した基板を50〜250℃で加熱しつつ、放射線を照射してもよい。前記放射線の照射量は、1〜10,000mJ/cm2の範囲にあることが好ましく、100〜5,000mJ/cm2の範囲にあることが特に好ましい。
[第3工程]
第3工程は、前記配向処理した有機薄膜上に、芳香族環又は複素芳香族環を含む樹脂及び有機溶媒を含む樹脂膜形成用組成物を塗布し、前記有機溶媒を蒸発させて樹脂膜を得る工程である。
第3工程は、前記配向処理した有機薄膜上に、芳香族環又は複素芳香族環を含む樹脂及び有機溶媒を含む樹脂膜形成用組成物を塗布し、前記有機溶媒を蒸発させて樹脂膜を得る工程である。
前記樹脂膜形成用組成物に含まれる樹脂は、芳香族環又は複素芳香族環を含む樹脂である限り特に限定されないが、耐熱性、及び有機薄膜と樹脂膜形成用組成物との剥離性を向上させる観点から、下記式(1−1)若しくは(1−2)で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体、又は下記式(1−3)で表されるポリアミック酸からなるものが好ましい。
式中、X1は、ビフェニル−4,4'−ジイル基を表し、Y1は、式(2)で表される4価の基を表し、X2は、式(3)で表される2価の基を表し、Y2及びX3は、ビフェニル−3,3',4,4'−テトライル基を表し、Y3は、p−フェニレン基を表す。
(式中、Lは、−O−、−S−、−CO−又は−SO−を表す。)
式(1−1)で表される樹脂は、例えば特開2004−250494号公報に記載の方法に従って製造することができる。
式(1−2)で表される樹脂は、例えば英国特許出願公告第1181531号明細書に記載の方法に従って製造することができる。
式(1−3)で表される樹脂は、例えば特開2009−091573号公報に記載の方法に従って製造することができる。
前記樹脂の重量平均分子量は、10,000〜1,000,000が好ましく、15,000〜1,000,000がより好ましく、20,000〜500,000がより一層好ましい。
前記樹脂膜形成用組成物に含まれる有機溶媒としては、前記樹脂を溶解できるものである限り特に限定されないが、平坦性の高い樹脂膜形成組成物を再現性よく得ることを考慮すると、下記式(I)〜(III)で表される溶媒から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
(式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表し、R3は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表し、hは、自然数を表す。)
式中、R1及びR2は、それぞれ独立に、炭素数1〜4のアルキル基を表す。R3は、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。前記アルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられる。
また、式(I)中、hは、自然数を表すが、1〜3の自然数が好ましく、1又は2がより好ましい。
式(I)で表される有機溶媒としては、2−メトキシ−N,N−ジメチルアセトアミド、3−メトキシ−N,N−ジメチルプロピルアミド、3−エトキシ−N,N−ジメチルプロピルアミド、3−プロポキシ−N,N−ジメチルプロピルアミド、3−イソプロポキシ−N,N−ジメチルプロピルアミド、3−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピルアミド、3−sec−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピルアミド、3−tert−ブトキシ−N,N−ジメチルプロピルアミド等が挙げられる。
式(II)で表される有機溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、N−エチル−2−ピロリドン、N−プロピル−2−ピロリドン、N−ブチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
式(III)で表される有機溶媒としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N,N−ジメチルイソブチルアミド、等が挙げられる。
また、単独では前記樹脂を溶解しない溶媒であっても、溶解性を損なわない範囲であれば前記溶媒に加えて使用することができる。その具体例としては、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、エチルカルビトールアセテート、エチレングリコール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール、1−ブトキシ−2−プロパノール、1−フェノキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールジアセテート、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセテート、プロピレングリコール−1−モノエチルエーテル−2−アセテート、ジプロピレングリコール、2−(2−エトキシプロポキシ)プロパノール、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−プロピル、乳酸n−ブチル、乳酸イソアミル等が挙げられる。
前記樹脂膜形成用組成物における樹脂の濃度は、作製する樹脂膜の厚み、組成物の粘度等を勘案して適宜設定するものではあるが、通常1〜30質量%程度、好ましくは1〜20質量%程度である。
樹脂膜形成用組成物を塗布する方法としては、特に限定されないが、例えば、キャストコート法、スピンコート法、ブレードコート法、ディップコート法、ロールコート法、バーコート法、ダイコート法、インクジェット法、印刷法(凸版、凹版、平版、スクリーン印刷等)等が挙げられる。
前記有機溶媒を蒸発させるときの加熱温度は、50〜200℃が好ましく、50〜150℃がより好ましい。また、そのときの加熱時間は、5分間〜5時間が好ましく、5分間〜3時間がより好ましい。
前記樹脂として、式(1−1)若しくは(1−2)で表されるポリベンゾオキサゾール前駆体、又は式(1−3)で表されるポリアミック酸からなるものを使用する場合は、溶媒を蒸発させるとともに前記ポリベンゾオキサゾール前駆体又はポリアミック酸を閉環させることが好ましい。その結果、前記樹脂膜は、下記式(4−1)若しくは(4−2)で表されるポリベンゾオキサゾール、又は下記式(4−3)で表されるポリイミドを含むものであることが好ましい。
(式中、X1、X2、X3、Y1、Y2及びY3は、前記と同じ。)
このとき、閉環するための加熱温度は、通常50〜550℃の範囲内で適宜決定されるが、好ましくは200℃以上、また、好ましくは500℃以下である。加熱温度をこのようにすることで、得られる膜の脆弱化を防ぎつつ、オキサゾール化又はイミド化反応を十分に進行させることが可能となる。加熱時間は、加熱温度によって異なるため一概に規定できないが、通常5分〜5時間である。また、オキサゾール化率又はイミド化率は、50〜100%の範囲であればよい。
加熱態様の好ましい一例としては、50〜100℃で5分間〜2時間加熱した後に、そのまま段階的に加熱温度を上昇させて最終的に375℃超〜450℃で30分〜4時間加熱する手法が挙げられる。特に、50〜100℃で5分間〜2時間加熱した後に、100℃超〜375℃で5分間〜2時間、最後に375℃超〜450℃で30分〜4時間加熱することが好ましい。
前記樹脂膜の厚さは、特に限定されないが、後述する電子デバイスの基板として使用する場合、通常1〜100μm程度、十分な自己支持性と柔軟性の観点から、好ましくは5〜75μm程度、より好ましくは5〜50μm程度である。
前記樹脂膜は、前記基材上の有機薄膜よりも大きい面積で形成してもよく、同じ面積かそれよりも小さい面積で形成してもよい。大きい面積で形成した場合は、前記有機薄膜と重なっている部分をカットし、前記樹脂膜を前記有機薄膜から剥離することで、本発明の熱伝導性樹脂膜を回収することができる。
本発明の方法によって得られた樹脂膜は、熱伝導性が良好なものとなる。本発明の方法によって得られた樹脂膜の熱拡散率は、2.0m2/sを超え、5.0m2/s以下であることが好ましく、2.1〜4.8m2/sであることがより好ましい。また、前記樹脂膜の熱伝導率は、0.28〜0.80W/m・Kであることが好ましく、0.32〜0.75W/m・Kであることがより好ましい。
[電子デバイス]
本発明の電子デバイスは、前述した熱伝導性樹脂膜を基板として備えるものである。前記電子デバイスとしては、有機EL素子、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、光半導体(LED)素子、電子ペーパー、固体撮像素子、有機薄膜太陽電池、色素増感太陽電池、有機薄膜トランジスタ(TFT)、3Dディスプレイ、タッチパネル等が挙げられる。
本発明の電子デバイスは、前述した熱伝導性樹脂膜を基板として備えるものである。前記電子デバイスとしては、有機EL素子、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、光半導体(LED)素子、電子ペーパー、固体撮像素子、有機薄膜太陽電池、色素増感太陽電池、有機薄膜トランジスタ(TFT)、3Dディスプレイ、タッチパネル等が挙げられる。
本発明の電子デバイスの製造方法の一例について説明する。前述の方法によって、基材上に有機薄膜を形成し、この有機薄膜の上に、樹脂膜形成用組成物を塗布し、この塗膜を加熱して、基材に固定された樹脂膜を形成する。この際、有機薄膜を全て覆うようにして、前記有機薄膜の面積と比較して大きい面積で、樹脂膜を形成することが好ましい。次に、前記樹脂膜の上に、所望の回路を形成し、その後、例えば前記有機薄膜に沿って樹脂膜をカットし、この回路が形成された樹脂膜を前記有機薄膜から剥離して、回路が形成された樹脂膜と基材とを分離することで、電子デバイスを製造することができる。
以下、製造例、実施例及び比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に限定されない。なお、下記例において使用した化合物、重量平均分子量及び分子量分布の測定方法、並びにFTIRの測定方法は、以下のとおりである。
AHPE:3,3'−ジアミノ−4,4'−ジヒドロキシジフェニルエーテル
DPDOC:4,4'−ビフェニルジカルボニルクロリド
HAB:3,3'−ジヒドロキシベンジジン
OBBOC:4,4′−オキシビスベンゾイルクロリド
PMDA:ピロメリット酸二無水物
BPDA:3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
p−PDA:p−フェニレンジアミン
H−PAM:1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン
BCS:ブチルセロソルブ
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
LS−4668:3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
DPDOC:4,4'−ビフェニルジカルボニルクロリド
HAB:3,3'−ジヒドロキシベンジジン
OBBOC:4,4′−オキシビスベンゾイルクロリド
PMDA:ピロメリット酸二無水物
BPDA:3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物
p−PDA:p−フェニレンジアミン
H−PAM:1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン
BCS:ブチルセロソルブ
NMP:N−メチル−2−ピロリドン
LS−4668:3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン
[重量平均分子量及び分子量分布の測定方法]
ポリマーの重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)の測定は、日本分光(株)製GPC装置(カラム:昭和電工(株)製OHpak SB803-HQ及びOHpak SB804-HQ;溶離液:ジメチルホルムアミド/LiBr・H2O(29.6mM)/H3PO4(29.6mM)/THF(0.1質量%);流量:1.0mL/分;カラム温度:40℃;Mw:標準ポリスチレン換算値)を用いて行った。
ポリマーの重量平均分子量(Mw)及び分子量分布(Mw/Mn)の測定は、日本分光(株)製GPC装置(カラム:昭和電工(株)製OHpak SB803-HQ及びOHpak SB804-HQ;溶離液:ジメチルホルムアミド/LiBr・H2O(29.6mM)/H3PO4(29.6mM)/THF(0.1質量%);流量:1.0mL/分;カラム温度:40℃;Mw:標準ポリスチレン換算値)を用いて行った。
[FTIRの測定]
ニコレットインスツルメント製NEXUS 670FT-IRを用いて測定した。
ニコレットインスツルメント製NEXUS 670FT-IRを用いて測定した。
AHPE[1]0.681g(2.93mmol)をNMP13.5gに溶解し、ピリジン0.580g(7.33mmol)を添加した後、DPDOC[2]0.818g(2.93mmol)を添加し、室温にて24時間攪拌した。その後、得られた溶液を純水500mLへ投入した。得られた沈殿物を濾別後、70℃で24時間減圧乾燥し、目的のポリベンゾオキサゾール前駆体[P1−1]を得た。ポリベンゾオキサゾール前駆体[P1−1]のMwは53,000、Mw/Mnは3.7であった。また、FTIR測定により、フェノール性ヒドロキシ基由来の3,300cm-1のピーク及びアミド基由来1,651cm-1のピークが確認された。
HAB[3]0.761g(3.52mmol)をNMP13.2gに溶かし、ピリジン0.418g(5.28mmol)を添加した後、OBBOC[4]1.038g(3.52mmol)を添加し、室温にて24時間攪拌した。その後、得られた溶液を純水500mLへ投入した。得られた沈殿物を濾別後、70℃で24時間減圧乾燥し、目的のポリベンゾオキサゾール前駆体[P2−1]を得た。ポリベンゾオキサゾール前駆体[P2−1]のMwは134,000、Mw/Mnは3.2であった。
p−PDA[5]3.218g(30mmol)をNMP88.2gに溶解させた。得られた溶液にBPDA[6]8.581g(29mmol)を加え、窒素雰囲気下、23℃で24時間反応させ、ポリアミック酸[P3−1]を得た。ポリアミック酸[P3−1]のMwは107,300、Mw/Mnは4.6であった。
[実施例1〜3、比較例1〜3]
[2]第1工程 有機薄膜の製造
p−PDA9.934g(92mmol)及びH−PAM0.042g(93mmol)をNMP220.0gに溶解させた。得られた溶液に、PMDA19.835g(91mmol)を加え、窒素雰囲気下、23℃で24時間反応させ、ポリアミック酸を得た。得られたポリアミック酸のMwは48,000、Mw/Mnは2.9であった。
得られたポリアミック酸、シランカップリング剤LS−4668、及びBCSをNMPに溶解し、ポリマー濃度が5質量%であり、LS−4668濃度が0.05質量%であり、BCS濃度が20質量%である下地基板用反応液を得た。得られた反応液をスピンコータ(条件:回転数3,000rpmで約30秒)を用いて、100mm×100mmガラス基板の上に塗布した。
そして、得られた塗膜を、ホットプレートを用いて80℃で10分間加熱し、その後、オーブンを用いて、300℃で30分間加熱し、加熱温度を400℃まで昇温(10℃/分)し、更に400℃で30分間加熱し、ガラス基板上に厚さ約0.1μmの下地基板用ポリイミド薄膜を形成した。なお、昇温の間、ポリイミド薄膜付ガラス基板をオーブンから取り出すことはせず、オーブン内で加熱した。
[2]第1工程 有機薄膜の製造
p−PDA9.934g(92mmol)及びH−PAM0.042g(93mmol)をNMP220.0gに溶解させた。得られた溶液に、PMDA19.835g(91mmol)を加え、窒素雰囲気下、23℃で24時間反応させ、ポリアミック酸を得た。得られたポリアミック酸のMwは48,000、Mw/Mnは2.9であった。
得られたポリアミック酸、シランカップリング剤LS−4668、及びBCSをNMPに溶解し、ポリマー濃度が5質量%であり、LS−4668濃度が0.05質量%であり、BCS濃度が20質量%である下地基板用反応液を得た。得られた反応液をスピンコータ(条件:回転数3,000rpmで約30秒)を用いて、100mm×100mmガラス基板の上に塗布した。
そして、得られた塗膜を、ホットプレートを用いて80℃で10分間加熱し、その後、オーブンを用いて、300℃で30分間加熱し、加熱温度を400℃まで昇温(10℃/分)し、更に400℃で30分間加熱し、ガラス基板上に厚さ約0.1μmの下地基板用ポリイミド薄膜を形成した。なお、昇温の間、ポリイミド薄膜付ガラス基板をオーブンから取り出すことはせず、オーブン内で加熱した。
[3]第2工程 有機薄膜の配向処理
製造例1で得られた下地基板用ポリイミド薄膜を、レーヨン布でラビング(ローラー直径:120mm、ローラー回転数:1,000rpm、移動速度:20mm/sec、押し込み長:0.4mm)し、配向処理を行った。
製造例1で得られた下地基板用ポリイミド薄膜を、レーヨン布でラビング(ローラー直径:120mm、ローラー回転数:1,000rpm、移動速度:20mm/sec、押し込み長:0.4mm)し、配向処理を行った。
ポリベンゾオキサゾール前駆体[P1−1]1gをNMP9gに溶かし、室温で24時間攪拌した。この溶液を前記第2工程で配向処理したポリイミド薄膜付ガラス基板上にバーコーターにて250μm厚で塗布した。その後、この基板をホットプレート上、80℃で30分ベークし、その後、オーブンを用いて、140℃で30分間加熱し、加熱温度を210℃まで昇温(10℃/分、以下同様)し、210℃で30分間、加熱温度を300℃まで昇温し、300℃で30分間、加熱温度を400℃まで昇温し、400℃で60分間加熱した。昇温の間、膜付き基板をオーブンから取り出すことはせず、オーブン内で加熱した。得られた塗布基板を配向処理したポリイミド薄膜付ガラス基板から剥離し、目的のポリベンゾオキサゾール膜[P1]を得た。このフィルムをFTIRで測定した結果、3,300cm-1のピーク及び1,651cm-1のピークが消失し、新たにベンゾオキサゾール由来の1,616cm-1のピークが出現した。このことから、ポリベンゾオキサゾール膜[P1]が得られたことが確認された。
ポリベンゾオキサゾール前駆体[P1−1]のかわりにポリベンゾオキサゾール前駆体[P2−1]を用いた以外は、実施例1と同様の方法で目的のポリベンゾオキサゾール膜[P2]を得た。
[実施例3]ポリイミド膜[P3]の作製
[比較例1]ポリベンゾオキサゾール膜[P1']の作製
ポリベンゾオキサゾール前駆体[P1−1]1gをNMP9gに溶かし、室温で24時間攪拌した。この溶液を、配向処理をしていないポリイミド薄膜付ガラス基板上にバーコーターにて250μm厚で塗布した。その後、実施例2−1と同様にベークした後にポリイミド薄膜付ガラス基板上から剥離し、ポリベンゾオキサゾール膜[P1']を得た。
ポリベンゾオキサゾール前駆体[P1−1]1gをNMP9gに溶かし、室温で24時間攪拌した。この溶液を、配向処理をしていないポリイミド薄膜付ガラス基板上にバーコーターにて250μm厚で塗布した。その後、実施例2−1と同様にベークした後にポリイミド薄膜付ガラス基板上から剥離し、ポリベンゾオキサゾール膜[P1']を得た。
[比較例2]ポリベンゾオキサゾール膜[P2']の作製
ポリベンゾオキサゾール前駆体[P1−1]のかわりにポリベンゾオキサゾール前駆体[P2−1]を用いた以外は、比較例1と同様の方法で目的のポリベンゾオキサゾール膜[P2']を得た。
ポリベンゾオキサゾール前駆体[P1−1]のかわりにポリベンゾオキサゾール前駆体[P2−1]を用いた以外は、比較例1と同様の方法で目的のポリベンゾオキサゾール膜[P2']を得た。
[比較例3]ポリイミド膜[P3']の作製
ポリベンゾオキサゾール前駆体[P1−1]のかわりにポリアミック酸[P3−1]を用いた以外は、比較例1と同様の方法で目的のポリイミド膜[P3']を得た。
ポリベンゾオキサゾール前駆体[P1−1]のかわりにポリアミック酸[P3−1]を用いた以外は、比較例1と同様の方法で目的のポリイミド膜[P3']を得た。
[5]樹脂膜の評価
得られた樹脂膜の評価を、以下の方法に従って行った。なお、樹脂膜は、各評価試験のためにそれぞれ作製した。
得られた樹脂膜の評価を、以下の方法に従って行った。なお、樹脂膜は、各評価試験のためにそれぞれ作製した。
<膜厚の測定>
得られた樹脂膜の膜厚を、(株)ミツトヨ製マイクロメータを用いて測定した。結果を表1に示す。
得られた樹脂膜の膜厚を、(株)ミツトヨ製マイクロメータを用いて測定した。結果を表1に示す。
<熱拡散率の測定>
得られた樹脂膜の熱拡散率を、(株)ベテル製サーモウェーブアナライザTA−35を用いて測定した。結果を表1に示す。
得られた樹脂膜の熱拡散率を、(株)ベテル製サーモウェーブアナライザTA−35を用いて測定した。結果を表1に示す。
<熱伝導率の測定>
得られた樹脂膜の熱伝導率は下記式より算出した。なお、比熱は(株)パーキンエルマージャパン製DSCにより測定し、密度は浮沈法(溶媒;四塩化炭素及びキシレン)により測定した。得られた結果を表1に記載した。
得られた樹脂膜の熱伝導率は下記式より算出した。なお、比熱は(株)パーキンエルマージャパン製DSCにより測定し、密度は浮沈法(溶媒;四塩化炭素及びキシレン)により測定した。得られた結果を表1に記載した。
表1に示した結果より、配向処理した有機薄膜上に形成した樹脂膜は、配向処理していない有機薄膜上に形成したものに比べて、熱拡散率や熱伝導率が大きいものとなった。
Claims (10)
- 基材上に有機薄膜を作製する第1工程と、
前記有機薄膜を配向処理する第2工程と、
前記配向処理した有機薄膜上に、芳香族環又は複素芳香族環を含む樹脂及び有機溶媒を含む樹脂膜形成用組成物を塗布し、前記有機溶媒を蒸発させて樹脂膜を得る第3工程と
を含む熱伝導性樹脂膜の製造方法。 - 前記第1工程において、有機薄膜がポリイミドからなるものである請求項1記載の熱伝導性樹脂膜の製造方法。
- 前記第2工程において、配向処理がラビング法によるものである請求項1又は2記載の熱伝導性樹脂膜の製造方法。
- 前記樹脂膜形成用組成物を前記配向処理した有機薄膜上に塗布し、加熱して前記有機溶媒を蒸発させるとともに、前記ポリベンゾオキサゾール前駆体又はポリアミック酸を閉環させる、請求項5記載の熱伝導性樹脂膜の製造方法。
- 請求項1〜7のいずれか1項記載の製造方法により得られる熱伝導性樹脂膜を、基板として備える電子デバイス。
- 有機エレクトロルミネッセンス素子である請求項8又は9記載の電子デバイス。
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-
2016
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