JP5712509B2 - バリアフィルムの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、電子デバイス等のパッケージ、または有機EL素子や太陽電池、液晶等のプラスチック基板といった材料に用いられるバリアフィルムの製造方法に関する。
従来から、プラスチック基板やフィルムの表面に酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ケイ素等の金属酸化物の薄膜を形成したバリアフィルムは、水蒸気や酸素等の各種ガスの遮断を必要とする物品の包装、食品や工業用品及び医薬品等の変質を防止するための包装用途に広く用いられている。また、包装用途以外にも液晶表示素子、太陽電池、有機エレクトロルミネッセンス(EL)基板等で使用されている。
この様な分野での包装材料としてアルミ箔等が広く用いられているが、使用後の廃棄処理が問題となっているほか、基本的には不透明であり、外から内容物を確認することができないという課題を抱えており、更に、ディスプレイ材料では透明性が求められており、全く適用することができない。
特に、有機エレクトロルミネッセンスや液晶などの表示素子、太陽電池などへの応用が進んでいる透明基材には、近年、軽量化、大型化という要求に加え、ロールtoロールでの生産が可能であること、長期信頼性や形状の自由度が高いこと、曲面表示が可能であること等の高度な要求が加わり、重く割れやすく大面積化が困難なガラス基板に代わって透明プラスチック等のフィルム基材が採用され始めている。例えば、基板として、高分子フィルムを用いた例が開示されて(例えば、特許文献1、2参照)いる。上記の透明樹脂フィルムとして例えばポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」と略記する。)等の比較的酸素透過率の高いものを用いると、透明プラスチック等のフィルム基材はガラスに対しガスバリア性が劣るという問題がある。例えば、有機光電変換素子の基板として用いた場合、ガスバリア性が劣る基材を用いると水蒸気や空気が浸透して、性能が経時的に低下し易くなるという問題がある。
この様な問題を解決するためにフィルム基板上に金属酸化物薄膜を形成してバリアフィルム基材とすることが知られている。包装材や液晶表示素子に使用されるバリアフィルムとしてはプラスチックフィルム上に酸化ケイ素を蒸着したもの(例えば、特許文献1参照)や酸化アルミニウムを蒸着したもの(例えば、特許文献2参照)が知られている。
蒸着法の代わりに、ポリシラザンを主成分とする塗布液を塗布後、加熱処理する方法でガスバリア性層を形成する方法がある。ポリシラザンは400〜500℃にてシリカ転化することが知られているが、ガラス基板やシリコンウェハと異なり上記ロールtoロール生産可能な透明プラスチック等のフィルム基材においては耐熱性の観点より適用ができなかった。また、この点を改良すべく、転化温度を引下げる各種の触媒が検討されているが、塗布膜中に残存する触媒がガスバリア性や透明性を低下させるという弊害があった。他方、低温処理が可能となっても、それに応じて処理(転化)時間が長くなるという生産適性における課題が新たに生じていた。
更に加熱処理に代わる表面処理として、下記技術が知られて(例えば、特許文献3、4参照)いる。これらはシリカ転化のための処理温度の引下げを図る利点はあるものの、しかしながらいずれの技術も、バリア層の平均密度(g/cm)を2.10以上にすることはできず、バリア層としての機能は不十分なものであった。この原因としては、シリカへの転化未了や不純物のバリア層内の残存、揮発性物質の揮発に伴う空隙発生、可撓性が不十分となる素材構成や不適切な生産方法(熱負荷が大きいなど)により発生するバリア層のクラック(亀裂)などが挙げられる。
従って、水蒸気透過率として、1×10−2g/m・dayを大きく下回るような、更なるガスバリア性の改善が求められていた。
さらなるガスバリア性の改善のための技術として、上記ポリシラザン層と、プラズマ化学蒸着法を併用した技術も知られて(例えば、特許文献5参照)いる。しかしながら、この技術においても上述のガスバリア性目標を達成するにいたっていなかった。
バリアフィルムを素子に用いた技術としては、下記技術が知られて(例えば、特許文献6参照)いる。この場合、バリアフィルムを屈曲させたときのクラック耐性が十分に得られていなかった。
シラザン化合物を原料ガスとして、プラズマ化学蒸着法を用いて緻密で、剥離性、耐傷性、輝度寿命、透過率及び遮光性を有する機能体の形成方法としては、下記技術が知られて(例えば、特許文献7参照)いる。この技術を用いて作製された素子は、良好な寿命を有する反面、プラズマ化学蒸着法特有の課題である、対向する電極間のプラズマ空間内においてパーティクルとよばれる、サブミクロンからミクロンサイズの原料反応生成物粒子が発生し、この粒子が蒸着膜面に付着することで均一な膜形成が阻害される場合があり、その部分が欠陥となって素子としての品質を低下させる懸念があった。
また、このサブミクロン(100〜900nm)からミクロンサイズのパーティクルのため、バリア層表層の十点平均粗さ、Rzjisがサブミクロン(100〜900nm)以上となり、バリア膜の表面平滑性、膜の一様性が損なわれることに起因して、折り曲げに対して応力集中に伴うバリア層のクラックを生じやすい構成となっており、改善が求められていた。
特開平2−251429号公報 特開平6−124785号公報 特開2007−237588号公報 特開2000−246830号公報 特開平8−281861号公報 特開2002−222691号公報 特開2004−84027号公報
本発明の目的は、きわめて高いバリア性能を達成できるバリアフィルムの製造方法を提供する。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
1.基材上に、パーヒドロポリシラザンを含有する塗布液を塗布した後、真空紫外線の照射処理をして、ケイ素酸化物を含有するバリア層を形成するバリアフィルムの製造方法であって、
該バリア層の表面から20nmまでの領域の平均密度が2.10g/cm上2.30g/cm以下であり、かつ、該バリア層の表層の十点平均粗さ、Rzjisが90nm以下であることを特徴とするバリアフィルムの製造方法。
2.前記バリア層の表層の十点平均粗さ、Rzjisが30nm以下であることを特徴とする前記1記載のバリアフィルムの製造方法
3.前記バリア層の上に更にバリア層が1〜6層積層されたことを特徴とする前記1又は2記載のバリアフィルムの製造方法
4.前記基材がポリエチレンテレフタレート(PET)であることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項記載のバリアフィルムの製造方法
5.前記バリアフィルムの400〜800nmにおける可視光透過率が70%以上90%以下であることを特徴とする前記1〜4のいずれか1項記載のバリアフィルムの製造方法
本発明により、製造安定性、取り扱い性に優れ、高いバリア性能を達成できるバリアフィルムの製造方法を得ることができる。
バルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子からなる太陽電池を示す断面図である。 タンデム型のバルクヘテロジャンクション層を備える有機光電変換素子からなる太陽電池を示す断面図である。 タンデム型のバルクヘテロジャンクション層を備える有機光電変換素子からなる太陽電池を示す断面図である。 光センサアレイの構成を示す図である。
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
従来から、軽量、安価、透明かつロールtoロール生産可能な透明プラスチックフィルムを基材として利用可能な、各種デバイス素子等に適用可能な高い水蒸気バリア性を有すバリア基材が求められている。このような中、ポリシラザン等は400〜500℃以上にてシリカ転化し良好なバリア性発現可能だが、汎用フィルム(代表例PET)においては耐熱性の観点より適用ができなかった。また、この点を改良すべく、転化温度を引下げる各種の触媒が検討されているが、塗布膜中に残存/揮発する触媒がバリア性や透明性を低下させるという弊害があった。他方、低温処理が可能となっても、それに応じて処理(転化)時間が長くなるという生産適性における課題が新たに生じていた。
更に加熱処理に代わる表面処理として、1周波プラズマ処理が知られており処理温度の引下げを図る利点はあるものの、得られるバリア性は不十分なものであった。
本発明者は、「Si、O含有化合物塗布+2周波プラズマ処理」もしくは、「Si、O含有化合物塗布+真空紫外線の照射処理」により、バリア層の表層の平均密度が2.1〜2.3g/cmと緻密な膜へと低温転化が可能となり、加えて、可視光透過率(透明性)が高く生産適正があり(生産の熱・時間の負荷が少ない)、更に塗布で予めバリア層へ転化すべき膜を設けることで、表面の平滑性と膜厚の一様性が高いバリア層となり、応力集中を緩和するため、折り曲げ耐性に優れ、折り曲げ後もバリア性が良好である、本発明のバリアフィルムをなすことができた。従って、本発明のバリアフィルムを用いて作製した有機光電変換素子、及び、有機エレクトロルミネッセンス素子は、ロールtoロール生産可能な極めて優れたバリアフィルムの提供が可能である。
本発明のバリアフィルムについて説明する。本発明のバリアフィルムは、樹脂フィルム基材、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)やポリエチレンナフタレート(PEN)上に一層のセラミック層を有している。また、本発明のバリアフィルムは、セラミック層を二つ以上積層されていてもよく、バリアフィルムは、樹脂フィルム基材と、少なくとも1層のセラミック層を有している。
バリア層の密度(g/cm)について
本発明におけるバリア層は、ケイ素原子および酸素原子を含有し、酸素及び水蒸気の透過を阻止する膜で、SiおよびOを含有し、バリア層の表層の少なくとも20nmまでの平均密度(g/cm)が2.10以上2.30以下であることを特徴とする。
更に好ましい範囲としては、バリア層表層の少なくとも20nmの平均密度(g/cm)が2.15以上2.25以下である。
この範囲より外れる場合については、例えば、小さい場合は、バリア層への転化未了や低分子量触媒のバリア層内の残存、揮発性触媒の揮発に伴う空隙発生、可撓性が不十分となる素材構成や不適切な生産方法(熱負荷が大きいなど)により発生するバリア層のクラック(亀裂)などが挙げられる。
逆に、大きい場合は、高分子量触媒(金属含有など)のバリア層内の残存などが挙げられ、共にバリア性発現の阻害要因となる。
構成する材料として具体的には、ケイ素を有する無機酸化物が好ましく、酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素等のセラミック層を挙げることができる。この様な、バリア層により、JISK7129B法に従って測定した水蒸気透過率が、10−4g/m/day以下、好ましくは10−5g/m/day以下であり、酸素透過率が0.01ml/m/day以下、好ましくは0.001ml/m/day以下であるバリア性に優れた樹脂フィルムを基材とするフィルムが得られる。
Si原子に対する、O原子の組成比が2.0に近い値の場合、SiOの組成に近づく。SiOであれば平均密度(g/cm)は2.2となる。SiOに近い組成が形成されれば、緻密な構造ができ、十分なバリア性が期待される。
バリア層表層の十点平均粗さ、Rzjis(JIS B 0601:2001年)について、予め塗布で表面平滑性が高く、かつ、膜厚が一様な層のバリア層への転化を図ることで、折り曲げ時の応力集中を緩和可能となり折曲耐性を高められ、フレキシブルなフィルム基材に期待される特性に応えることが可能となり、ロールtoロール生産可能となる。
このような特性を発現するには、バリア層表層の十点平均粗さ、Rzjisがサブミクロン(0.1μm=100nm)以上あってはならず、Rzjisが90nm以下であることが求められる。更に、Rzjisが30nm以下であることがより好適である。
この達成手段としては、化学蒸着に対してバリア層へ転化する層の塗布が優れており、更に、異物の少ない清浄度が高い環境での作製が必要とされる。具体的にはクラス1000相当より清浄度が高いことが必要となる。
本発明のバリア層の密度は、X線反射率測定(XRR)が非破壊で、かつ、表面からの深さ方向の情報が得られるなど点で好適な手段である。但し、より正確な情報を得るには表面からの深さ方向の組成を予め測定しておくことが肝要で、Si原子に対する、O原子やその他の原子の組成比は、スパッタ法を用いて、飛行時間型二次イオン質量分析(TOF−SIMS)や、X線光電子分光(XPS)などで定量することが出来る。通常はXPSが好ましく用いられる。超高真空下におかれた固体表面に軟X線を照射し、光電効果により表面から放出される光電子の運動エネルギーを測定する。光電子の脱出深さが数nmであることから、固体最表面に近い層を構成する原子や分子に関する情報が得られる。イオン(Ar、Xe)照射によるスパッタリングを併用することにより、表面から深さ方向への組成、結合状態の変化などの情報を得ることができる。バリア層の深さ方向の測定は、汚れや異物の付着の無い状態の最表面を基点として、バリア層と基材側と接する面までの厚み深さまで一定間隔にスパッタを行い、組成を分析する。測定間隔は、1nm間隔以上、50nm以下であり、好ましくは、2nm以上、30nm以下であることが好ましい。バリア層の厚みが測定間隔の整数倍と異なる場合は、バリア層厚み以下で最も近い整数倍の測定箇所を組成の比較の終点とする。
本発明のバリアフィルムの特に、水蒸気透過度としては、有機光電変換素子の基板として用いた場合、バリア性が劣る基材を用いると水蒸気や空気が浸透して、性能が経時的に低下し易くなるという問題がある。また、有機ELディスプレイや高精彩カラー液晶ディスプレイ等の高度の水蒸気バリア性を必要とする用途に用いる場合は、特に有機ELディスプレイ用途の場合、極わずかであっても、成長するダークスポットが発生し、ディスプレイの表示寿命が極端に短くなる場合があるため、JISK7129B法に従って測定した水蒸気透過度は前記の値以下であることが好ましい。
この様なバリア性を達成するためには、バリア層表層の十点平均粗さ、Rzjisが、1nm以上、30nm以下であることが好ましい。本発明のバリアフィルムは、平滑層上にケイ素化合物を塗布してセラミック層を形成することにより、平滑層の表面よりもさらに平滑なバリア層を得ることができる。それにより、各種デバイス素子などに用いられる場合には折曲耐性の向上が図れる。
バリア層の形成方法
本発明のバリア層の形成方法としては、基材上に少なくとも1層のケイ素化合物を含有する塗布液を塗布後、酸化性ガス雰囲気下で改質処理(バリア層への転化処理)することにより、ケイ素酸化物を含有するバリア層を形成する方法が挙げられる。
塗布方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。具体例としては、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。塗布厚みは、目的に応じて適切に設定され得る。例えば、塗布厚みは、乾燥後の厚みが好ましくは20nm〜100μm程度、さらに好ましくは20nm〜10μm程度、最も好ましくは20nm〜1μm程度となるように設定され得る。
次に、塗布された膜をアニールする態様がこのましい。アニール温度は、好ましくは60℃〜200℃、さらに好ましくは70℃〜160℃である。アニール時間は、好ましくは30秒〜24時間程度、さらに好ましくは1分〜2時間程度である。このような範囲でアニールを行うことにより、ポリシラザンの一部が反応して分子が固定化され、良好な特性を有するバリアフィルムが得られる。具体的には、下記のようなメカニズムで分子が固定化されると推察される。なお、アニールは、一定温度で行ってもよく、段階的に温度を変化させてもよく、連続的に温度を変化(昇温および/または降温)させてもよい。アニールの際には、反応を安定化するために湿度を調節することが好ましく、通常1%RHから90%RH、より好ましくは5%RHから70%RHである。
ケイ素酸化物のバリア層を形成するためのケイ素化合物の供給は、CVDのようにガスとして供給されるよりも、バリアフィルム基材表面に塗布したほうがより均一で、平滑なバリア層を形成することができる。CVD法などの場合は気相で反応性が増した原料物質が基材表面に体積する工程と同時に、気相中で不必要なパーティクルよばれる異物が生成することは、よく知られているが、原料をプラズマ反応空間に存在させないことで、これらパーティクルの発生を抑制することが可能になる。このことは、先に述べたダークスポット抑制、及び、折曲耐性の向上の点で優れている。
本発明で用いることのできるケイ素化合物としては、好ましいものとして、パーヒドロポリシラザン、シルセスキオキサン、テトラメチルシラン、トリメチルメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラメトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、ヘキサメチルジシラザン、1,1−ジメチル−1−シラシクロブタン、トリメチルビニルシラン、メトキシジメチルビニルシラン、トリメトキシビニルシラン、エチルトリメトキシシラン、ジメチルジビニルシラン、ジメチルエトキシエチニルシラン、ジアセトキシジメチルシラン、ジメトキシメチル−3,3,3−トリフルオロプロピルシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、アリールトリメトキシシラン、エトキシジメチルビニルシラン、アリールアミノトリメトキシシラン、N−メチル−N−トリメチルシリルアセトアミド、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、メチルトリビニルシラン、ジアセトキシメチルビニルシラン、メチルトリアセトキシシラン、アリールオキシジメチルビニルシラン、ジエチルビニルシラン、ブチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、テトラビニルシラン、トリアセトキシビニルシラン、テトラアセトキシシラン、3−トリフルオロアセトキシプロピルトリメトキシシラン、ジアリールジメトキシシラン、ブチルジメトキシビニルシラン、トリメチル−3−ビニルチオプロピルシラン、フェニルトリメチルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ジメチルイソペンチロキシビニルシラン、2−アリールオキシエチルチオメトキシトリメチルシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アリールアミノプロピルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシラン、ジメチルエチキシフェニルシラン、ベンゾイロキシトリメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、ジメチルエトキシ−3−グリシドキシプロピルシラン、ジブトキシジメチルシラン、3−ブチルアミノプロピルトリメチルシラン、3−ジメチルアミノプロピルジエトキシメチルシラン、2−(2−アミノエチルチオエチル)トリエトキシシラン、ビス(ブチルアミノ)ジメチルシラン、ジビニルメチルフェニルシラン、ジアセトキシメチルフェニルシラン、ジメチル−p−トリルビニルシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、ジエチルメチルフェニルシラン、ベンジルジメチルエトキシシラン、ジエトキシメチルフェニルシラン、デシルメチルジメトキシシラン、ジエトキシ−3−グリシドキシプロピルメチルシラン、オクチロキシトリメチルシラン、フェニルトリビニルシラン、テトラアリールオキシシラン、ドデシルトリメチルシラン、ジアリールメチルフェニルシラン、ジフェニルメチルビニルシラン、ジフェニルエトキシメチルシラン、ジアセトキシジフェニルシラン、ジベンジルジメチルシラン、ジアリールジフェニルシラン、オクタデシルトリメチルシラン、メチルオクタデシルジメチルシラン、ドコシルメチルジメチルシラン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン、1,4−ビス(ジメチルビニルシリル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アセトキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3,5−トリメチル−1,3,5−トリビニルシクロトリシロキサン、1,3,5−トリス(3,3,3−トリフルオロプロピル)−1,3,5−トリメチルシクロトリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラエトキシ−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等を挙げることができる。
なかでも常温で固体である珪素化合物が好ましく、パーヒドロポリシラザン、シルセスキオキサンなどがより好ましく用いられる。酸化ケイ素化合物への転化を促進するために、アミンや金属の触媒を添加することもできる。具体的には、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製 アクアミカ NAX120−20、NN110、NN310、NN320、NL110A、NL120A、NL150A、NP110、NP140、SP140などが挙げられる。これらを塗布する場合、塗布液と水分が反応するのを抑制するため、溶媒としてキシレン、ジブチルエーテル、ソルベッソ、ターペン等、水分を含有しにくいものを用いることが好ましい。
シルセスキオキサンとしては、Mayaterials社製Q8シリーズのOctakis(tetramethylammonium)pentacyclo−octasiloxane−octakis(yloxide)hydrate; Octa(tetramethylammonium)silsesquioxane、Octakis(dimethylsiloxy)octasilsesquioxane、Octa[[3−[(3−ethyl−3−oxetanyl)methoxy]propyl]dimethylsiloxy] octasilsesquioxane; Octaallyloxetane silsesquioxane、Octa[(3−Propylglycidylether)dimethylsiloxy] silsesquioxane; Octakis[[3−(2,3−epoxypropoxy)propyl] dimethylsiloxy]octasilsesquioxane、Octakis[[2−(3,4−epoxycyclohexyl)ethyl] dimethylsiloxy]octasilsesquioxane、Octakis[2−(vinyl)dimethylsiloxy]silsesquioxane; Octakis(dimethylvinylsiloxy)octasilsesquioxane、Octakis[(3−hydroxypropyl)dimethylsiloxy] octasilsesquioxane、Octa[(methacryloylpropyl)dimethylsilyloxy]silsesquioxane Octakis[(3−methacryloxypropyl)dimethylsiloxy] octasilsesquioxane、および下記構造式の化合物が挙げられる。
Figure 0005712509
Figure 0005712509
ケイ素化合物を酸化ケイ素化合物に転化する、上述以外のその他の方法としては、たとえば加熱処理(400〜500℃)が知られているが、ガラス基板やシリコンウェハと異なり本発明のロールtoロール生産可能な透明プラスチック等のフィルム基材においては耐熱性の観点より適用ができなかった。一部特殊なエンジニアリングプラスチックフィルムにおいては適用の可能性があるかもしれないが、これらは汎用プラスチックフィルムに対して、高価であったり、また、無色/透明性が得られない等の課題点があった。このような耐熱性プラスチックの無色/透明性を得るのが困難な理由は一般的に芳香族結合に代表される2重結合の共役系が可視光吸収を有することに起因するといわれる。このようなフィルムの代表例はポリイミド(PI)等である。
また、この点を改良すべく、転化温度を引下げる各種の触媒が検討されているが、塗布膜中に残存する触媒がバリア性や透明性を低下させるという弊害があった。更に加熱処理に代わる表面処理として、UVオゾン処理などが知られている。しかしながらいずれの技術も、バリア層としての機能は不十分なものであり、水蒸気透過率として、1×10−2g/m・dayを大きく下回るようなバリア性を得るに至らなかった。
本発明のバリア層は、単層でも、複数の同様な層を積層してもよく、複数の層で、さらにバリア性を向上させることも出来る。
<改質処理の前処理>
構成や製造工程によっては、改質処理(バリア層に転化する処理のこと)前のポリシラザン塗布層、及びポリシラザン塗布層に隣接する応力緩和層の表面または層内に、水分や酸素などの酸素源が多く存在する。
最終形態として、ガスバリア性フィルムは素子に用いられるが、この際に、ガスバリア性フィルム自体が含有する水分や酸素などが素子の阻害因子であるので、改質処理の実施前に前処理として、真空処理・加熱真空処理を行い余分な水分や酸素などの除去処理を行うことが好適である。プロセス上、このタイミングでの、水分や酸素などの除去処理が有用であるのは、改質処理後のガスバリア性が向上した後で、ガスバリア性フィルムに閉じ込められた水分や酸素の除去処理が困難となるからである。
<改質処理>
ポリシラザンの酸化処理としては、水蒸気酸化および/または加熱処理(乾燥処理を含む)、紫外線照射による処理等が知られている。
本発明において、特に有効な改質処理方法として、プラズマ処理と真空紫外線処理を推し掲げる。
プラズマ処理
本発明に用いられるプラズマ処理は、後述のプラズマCVD法における場合の原材料の供給を行わず、プラズマ状態になりやすい放電ガスを供給しながら、プラズマ放電処理を行う。
反応ガスとして、酸化性を有する酸素を供給することで、酸化反応を進めることができる。放電ガスとしては、窒素ガスおよび/または周期表の第18属原子、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が用いられる。これらの中でも窒素、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられ、特に窒素がコストも安く好ましい。具体的には、国際公開第2007/026545号等に記載されている。
前記国際公開公表には、放電空間に異なる周波数の電界を2つ以上印加したもので、第1の高周波電界と第2の高周波電界とを重畳した電界を印加することが記載されているがこの方法が好ましい。
前記第1の高周波電界の周波数ω1より前記第2の高周波電界の周波数ω2が高く、且つ、前記第1の高周波電界の強さV1と、前記第2の高周波電界の強さV2と、放電開始電界の強さIVとの関係が、
V1≧IV>V2 または V1>IV≧V2
を満たし、前記第2の高周波電界の出力密度が、1W/cm以上である。
この様な放電条件をとることにより、例えば窒素ガスのように放電開始電界強度が高い放電ガスでも、放電を開始し、高密度で安定なプラズマ状態を維持出来、高性能な薄膜形成を行うことが出来る。
上記の測定により放電ガスを窒素ガスとした場合、その放電開始電界強度IV(1/2Vp−p)は3.7kV/mm程度であり、従って、上記の関係において、第1の印加電界強度を、V1≧3.7kV/mmとして印加することによって窒素ガスを励起し、プラズマ状態にすることが出来る。
ここで、第1電源の周波数としては、200kHz以下が好ましく用いることが出来る。またこの電界波形としては、連続波でもパルス波でもよい。下限は1kHz程度が望ましい。
一方、第2電源の周波数としては、800kHz以上が好ましく用いられる。この第2電源の周波数が高い程、プラズマ密度が高くなり、緻密で良質な薄膜が得られる。上限は200MHz程度が望ましい。
このような2つの電源から高周波電界を印加することは、第1の高周波電界によって高い放電開始電界強度を有する放電ガスの放電を開始するのに必要であり、また第2の高周波電界の高い周波数および高い出力密度によりプラズマ密度を高くして緻密で良質な薄膜を形成することが出来る。
最終形態としてニーズのある透明であること。すなわち400〜800nmの可視光透過率が70%以上90%以下であることを特徴としたバリア性の高いバリアフィルムを得るには、透明プラスチックフィルム上に低温にて緻密なバリア層転化可能な層を設けることが好適であり、その処理(転化)方法としては、プラズマ処理の中では、上記の第1、第2の高周波電界を用いる2周波AGP処理が優れている。AGP処理とは、化学蒸着すなわち反応ガスのうち少なくとも1種に原料ガスを用いて物理的な積層を行うことに対して、大気圧プラズマのエネルギー印加による表面改質、本願においてはバリア層への転化処理を意味する。
真空紫外線処理
バリア層の転化(改質)方法として、前記2周波AGP処理以外に有効な方法として真空紫外線処理(真空紫外線の照射処理)がある。
紫外線処理では、酸素の存在下で紫外光を照射することで活性酸素やオゾンが発生し、酸化反応をより進行させることができる。
この活性酸素やオゾンは非常に反応性が高く、例えば、珪素化合物としてポリシラザンを選択した場合、珪素酸化物の前駆体であるポリシラザン塗布膜は、シラノールを経由することなく直接酸化されることで、より高密度で欠陥の少ない珪素酸化物膜が形成される。
更に反応性オゾンの不足分を光照射部とは異なる部分で、放電法などの公知の方法により酸素からオゾンを生成し、紫外線照射部に導入しても良い。
このときに照射する紫外線の波長は特に限定されるところではないが、紫外光の波長は100nm〜450nmが好ましく、150nm〜300nm程度の紫外光を照射することがより好ましい。
光源は、低圧水銀灯、重水素ランプ、Xeエキシマーランプ、メタルハライドランプ、エキシマーレーザーなどを用いることができる。ランプの出力としては400W〜30kW、照度としては100mW/cm〜100kW/cm、照射エネルギーとしては10mJ/cm〜5000mJ/cmが好ましく、100mJ/cm〜2000mJ/cmがより好ましい。また、紫外線照射の際の照度は1mW/cm〜10W/cmが好ましい。ポリシラザン塗布膜に酸化性ガス雰囲気下で紫外線を照射することにより、ポリシラザンが高密度の珪素酸化物膜、すなわち高密度シリカ膜に転化するが、該シリカ膜の膜厚や密度は紫外線の強度、照射時間、波長(光のエネルギー密度)により制御が可能であり、所望の膜構造を得るためにランプの種類を使い分ける等、適宜選択することが可能である。また、連続的に照射するmだけでなく複数回の照射を行ってもよく、複数回の照射が短時間ないわゆるパルス照射で有っても良い。
また、紫外線照射と同時に該塗膜を加熱することも、反応(酸化反応、転化処理ともいう)を促進するために好ましく用いられる。加熱の方法は、ヒートブロック等の発熱体に基材を接触させ熱伝導により塗膜を加熱する方法、抵抗線等による外部ヒーターにより雰囲気を加熱する方法、IRヒーターの様な赤外領域の光を用いた方法等が挙げられるが、特に限定はされない。塗膜の平滑性を維持できる方法を適宜選択してよい。
加熱する温度としては、50℃〜200℃の範囲が好ましく、更に好ましくは80℃〜150℃の範囲であり、加熱時間としては1秒〜10時間の範囲が好ましく、更に好ましくは10秒〜1時間の範囲で加熱することである。
その中でもよりフォトンエネルギーが大きい180nm以下の波長成分を有する真空紫外線照射によって処理することが好ましい。エネルギーが小さいとポリシラザンの効果が不十分となりガスバリア性が低くなる為である。
<180nm以下の波長成分を有する真空紫外線照射による処理>
本発明において、好ましい方法として、真空紫外線照射による改質処理が挙げられる。真空紫外線照射による処理は、化合物内の原子間結合力より大きい100〜180nmの光エネルギーを用い、原子の結合を光量子プロセスと呼ばれる光子のみによる作用により、直接切断しながら活性酸素やオゾンによる酸化反応を進行させることで、比較的低温で、膜の形成を行う方法である。
上述に必要な真空紫外光源としては、希ガスエキシマランプが好ましく用いられる。
1.エキシマ発光とは、Xe、Kr、Ar、Neなどの希ガスの原子は化学的に結合して分子を作らないため、不活性ガスと呼ばれる。しかし、放電などによりエネルギーを得た希ガスの原子(励起原子)は他の原子と結合して分子を作ることができる。希ガスがキセノンの場合には
e+Xe→e+Xe
Xe+Xe+Xe→Xe +Xe
となり、励起されたエキシマ分子であるXe が基底状態に遷移するときに172nmのエキシマ光を発光する。エキシマランプの特徴としては、放射が一つの波長に集中し、必要な光以外がほとんど放射されないので効率が高いことが挙げられる。加えて発光効率が他の希ガスよりも高いことや大面積へ照射するためのランプを石英ガラスで作製できることからXeエキシマランプを好ましく使用することが出来る。
エネルギーの観点だけからだとArエキシマ光(波長126nm)が最も高く、高いポリシラザン層の改質効果が期待される。しかし、Arエキシマ光は石英ガラスでの吸収が無視できないほど大きくなるため、二酸化珪素ガラスではなく炭酸カルシウムガラスを用いる必要がある。しかし、炭酸カルシウムガラスは非常に割れやすく大面積を照射するランプとしては製造が困難でるのが実情である。
Xeエキシマランプは波長の短い172nmの紫外線を単一波長で放射することから発光効率に優れている。この光は、酸素の吸収係数が大きいため、微量な酸素でラジカルな酸素原子種やオゾンを高濃度で発生することができる。また、有機物の結合を解離させる波長の短い172nmの光のエネルギーは能力が高いことが知られている。この活性酸素やオゾンと紫外線放射が持つ高いエネルギーによって、短時間でポリシラザン膜の改質を実現できる。したがって、波長185nm、254nmの発する低圧水銀ランプやプラズマ洗浄と比べて高スループットに伴うプロセス時間の短縮や設備面積の縮小、熱によるダメージを受けやすい有機材料やプラスチック基材などへの照射を可能としている。
本発明者らの検討によれば、エキシマ照射処理時の環境としては酸素濃度が0.001〜5%であると好ましい。さらには0.01〜3%であると性能が安定して好ましい。酸素濃度が5%を超えると結合の切断よりも活性酸素等を発生させる方にエネルギーを消費してしまい、0.001%以下に下げてもエキシマ光の照射効率は殆ど変化せず、改質効率および膜の組成制御性も変化しないため、雰囲気の置換時間を余計に要するため生産性の向上が見込みにくい。また、ステージ温度については熱をかけるとより反応が促進され好ましい。その場合の温度は50℃以上、基材のTg+80℃以下の温度が好ましく、基材Tg+30℃以下が基材を痛めずに反応性が良好になるために更に好ましい。
原理的には、比較的厚膜に塗布した膜に長時間エキシマ照射することで、1回の塗布で形成した塗膜から厚いガスバリア層を得ることが可能であるが、厚膜は欠陥を発生しやすいためガスバリア機能は発現しにくい。逆に薄膜過ぎても十分なガスバリア機能は発現しない。従って、前述したようにポリシラザンの膜厚は、30nm〜1000nmが好ましく、より好ましくは30nm〜500nm、更に好ましくは30nm〜300nm、特には30nm〜150nmであり、この膜厚の改質をはかりガスバリア層化する。
ガスバリア機能を高めるために、ガスバリア層を積層、具体的には、ポリシラザン塗布と改質処理の一連の工程の繰り返しを行っても良い。
<高照射強度処理と最大照射強度>
照射強度が高ければ、光子とポリシラザン内の化学結合が衝突する確率が増え、改質反応を短時間化することができる。また、内部まで侵入する光子の数も増加するため改質膜厚も増加および/または膜質の良化(高密度化)が可能である。但し、照射時間を長くしすぎると平面性の劣化やガスバリア性フィルムの他の材料にダメージを与える場合がある。一般的には、照射強度と照射時間の積で表される積算光量で反応進行具合を考えるが、酸化シリコンの様に組成は同一でも、様々な構造形態をとること材料に於いては、照射強度の絶対値が重要になる場合もある。
従って、本発明では真空紫外線照射工程において、少なくとも1回は100〜200mW/cmの最大照射強度を与える改質処理を行うことが好ましい。100mW/cm以上とすることにより、急激な改質効率が劣化することなく、処理に時間を短期間とでき、200mW/cm以下とすることにより、ガスバリア性能の効率よく持たせることができ(200mW/cmを超えて照射してもガスバリア性の上昇は鈍化する)、基材へのダメージばかりでなく、ランプやランプユニットのその他の部材へのダメージも抑えることができ、ランプ自体の寿命も長期化できる。
<真空紫外線の照射時間>
照射時間は、任意に設定可能であるが、基材ダメージや膜欠陥生成の観点およびガスバリア性能のバラつき低減の観点から高照度工程での照射時間は0.1秒〜3分間が好ましい。より好ましくは0.5秒〜1分である。
<真空紫外光照射時の酸素濃度>
本発明における、真空紫外光照射時の酸素濃度は10ppm〜50000ppm(5%)とすることが好ましい。より好ましくは、1000ppm〜30000ppm(3%)である。前記の濃度範囲より酸素濃度が高いと、酸素過多のガスバリア膜となり、ガスバリア性が劣化する。また前記範囲より低い酸素濃度の場合、大気との置換時間が長くなり生産性を落とすのと同時に、ロール・トゥ・ロールの様な連続生産を行う場合はウエッブ搬送によって真空紫外光照射庫内に巻き込む空気量(酸素を含む)が多くなり、多大な流量のガスを流さないと酸素濃度を調整できなくなってくる。
発明者らの検討によると、ポリシラザン含有塗膜中には、大気中での塗布時は酸素および微量の水分が混入し、更には塗膜以外の支持体にも吸着酸素や吸着水があり、照射庫内に敢えて酸素を導入しなくとも改質反応に要する酸素を供給する酸素源は十分にあることが分かった。むしろ、酸素ガスが多く(5〜10%レベル)含まれる雰囲気で真空紫外光を照射した場合、改質後のガスバリア膜が酸素過多の構造となり、ガスバリア性が劣化する。また、前述した様に172nmの真空紫外光が酸素により吸収され膜面に到達する172nmの光量が減少してしまい、光による処理の効率を低下することになる。すなわち、真空紫外光照射時には、できるだけ酸素濃度の低い状態で、真空紫外光が効率良く塗膜まで到達する状態で改質処理することが好ましい。
真空紫外光照射時にこれら酸素以外のガスとしては乾燥不活性ガスとすることが好ましく、特にコストの観点から乾燥窒素ガスにすることが好ましい。酸素濃度の調整は照射庫内へ導入する酸素ガス、不活性ガスの流量を計測し、流量比を変えることで調整可能である。
基材
次に本発明のバリアフィルムで用いられる基材について説明する。本発明の基材は、平滑層を有するフィルムの基材が好ましいが、後述のバリア性を有するバリア層を保持することができる有機材料で形成されたものであれば特に限定されるものではない。
具体的には、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ナイロン(Ny)、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド等の各樹脂フィルム、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明フィルム(製品名Sila−DEC、チッソ株式会社製)、更には前記樹脂を2層以上積層して成る樹脂フィルム等を挙げることができる。コストや入手の容易性の点では、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)などが好ましく用いられ、また、光学的透明性、耐熱性、無機層、バリア層との密着性の点においては、有機無機ハイブリッド構造を有するシルセスキオキサンを基本骨格とした耐熱透明フィルムが好ましく用いることができる。基材の厚みは5〜500μm程度が好ましく、更に好ましくは25〜250μmである。
また、本発明に係る基材は透明であることが好ましい。基材が透明であり、基材上に形成する層も透明であることにより、透明なバリアフィルムとすることが可能となるため、有機EL素子等の透明基板とすることも可能となるからである。
また、上記に挙げた樹脂等を用いた基材は、未延伸フィルムでもよく、延伸フィルムでもよい。
本発明に用いられる基材は、従来公知の一般的な方法により製造することが可能である。例えば、材料となる樹脂を押し出し機により溶融し、環状ダイやTダイにより押し出して急冷することにより、実質的に無定形で配向していない未延伸の基材を製造することができる。また、未延伸の基材を一軸延伸、テンター式逐次二軸延伸、テンター式同時二軸延伸、チューブラー式同時二軸延伸などの公知の方法により、基材の流れ(縦軸)方向、または基材の流れ方向と直角(横軸)方向に延伸することにより延伸基材を製造することができる。この場合の延伸倍率は、基材の原料となる樹脂に合わせて適宜選択することできるが、縦軸方向および横軸方向にそれぞれ2〜10倍が好ましい。
また、本発明に係る樹脂フィルム基材においては、蒸着膜を形成する前にコロナ処理してもよい。
さらに、本発明に係る基材表面には、蒸着膜との密着性の向上を目的としてアンカーコート剤層を形成してもよい。このアンカーコート剤層に用いられるアンカーコート剤としては、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレンビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂、およびアルキルチタネート等を、1または2種以上併せて使用することができる。これらのアンカーコート剤には、従来公知の添加剤を加えることもできる。そして、上記のアンカーコート剤は、ロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレーコート等の公知の方法により基材上にコーティングし、溶剤、希釈剤等を乾燥除去することによりアンカーコーティングすることができる。上記のアンカーコート剤の塗布量としては、0.1〜5g/m(乾燥状態)程度が好ましい。
平滑層
本発明の基材は平滑層を設けることが好ましい。本発明に係る平滑層は、突起等が存在する透明樹脂フィルム基材の粗面を平坦化し、あるいは、透明樹脂フィルム基材に存在する突起により透明無機化合物層に生じた凹凸やピンホールを埋めて平坦化するために設けられる。このような平滑層は、基本的には感光性樹脂を硬化させて形成される。
また、本願で改善を図る折曲耐性に関して、バリア層が一様な膜厚であることが望ましい。これは折曲時の応力集中を緩和させるためである。その観点からも平滑層を設けることが好適である。
平滑層の感光性樹脂としては、例えば、ラジカル反応性不飽和化合物を有するアクリレート化合物を含有する樹脂組成物、アクリレート化合物とチオール基を有するメルカプト化合物を含有する樹脂組成物、エポキシアクリレート、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート、グリセロールメタクリレート等の多官能アクリレートモノマーを溶解させた樹脂組成物等が挙げられる。また、上記のような樹脂組成物の任意の混合物を使用することも可能であり、光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性のモノマーを含有している感光性樹脂であれば特に制限はない。
光重合性不飽和結合を分子内に1個以上有する反応性モノマーとしては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−オクチルアクリレート、n−デシルアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソボニルアクリレート、イソデキシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトリキエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサジオールジアクリレート、1,3−プロパンジオールアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ポリオキシエチルトリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、プロピオンオキサイド変性ペンタエリスリトールトリアクリレート、プロピオンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、ブチレングリコールジアクリレート、1,2,4−ブタンジオールトリアクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタジオールジアクリレート、ジアリルフマレート、1,10−デカンジオールジメチルアクリレート、ペンタエリスリトールヘキサアクリレート、および、上記のアクリレートをメタクリレートに換えたもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドン等が挙げられる。上記の反応性モノマーは、1種または2種以上の混合物として、あるいは、その他の化合物との混合物として使用することができる。
感光性樹脂の組成物は光重合開始剤を含有する。光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミン)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミン)ベンゾフェノン、α−アミノ・アセトフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−tert−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタール、ベンジルメトキシエチルアセタール、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンズスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンジルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モノフォリノ−1−プロパン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モノフォリノフェニル)−ブタノン−1、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、n−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾイン、エオシン、メチレンブルー等の光還元性の色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミン等の還元剤の組み合わせ等が挙げられ、これらの光重合開始剤を1種または2種以上の組み合わせで使用することができる。
平滑層の形成方法は特に制限はないが、スピンコーティング法、スプレー法、ブレードコーティング法、ディップ法等のウエットコーティング法、あるいは、蒸着法等のドライコーティング法により形成することが好ましい。
平滑層の形成では、上述の感光性樹脂に、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤等の添加剤を加えることができる。また、平滑層の積層位置に関係なく、いずれの平滑層においても、成膜性向上および膜のピンホール発生防止等のために適切な樹脂や添加剤を使用してもよい。
感光性樹脂を溶媒に溶解または分散させた塗布液を用いて平滑層を形成する際に使用する溶媒としては、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、α−もしくはβ−テルピネオール等のテルペン類等、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、N−メチル−2−ピロリドン、ジエチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン等のケトン類、トルエン、キシレン、テトラメチルベンゼン等の芳香族炭化水素類、セロソルブ、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、カルビトール、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル等のグリコールエーテル類、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、カルビトールアセテート、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、2−メトキシエチルアセテート、シクロヘキシルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート等の酢酸エステル類、ジエチレングリコールジアルキルエーテル、ジプロピレングリコールジアルキルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、安息香酸メチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等を挙げることができる。
平滑層の平滑性は、JIS B 0601で規定される表面粗さで表現される値で、十点平均粗さ、Rzjisが、10nm以上、30nm以下であることが好ましい。この範囲よりも値が小さい場合には、後述のケイ素化合物を塗布する段階で、ワイヤーバー、ワイヤレスバーなどの塗布方式で、平滑層表面に塗工手段が接触する場合に、塗布性が損なわれる場合がある。また、この範囲よりも大きい場合には、ケイ素化合物を塗布した後の、凹凸を平滑化することが難しくなる場合がある。
表面粗さは、AFM(原子間力顕微鏡)で、極小の先端半径の触針を持つ検出器で連続測定した凹凸の断面曲線から算出され、極小の先端半径の触針により測定方向が数十μmの区間内を多数回測定し、微細な凹凸の振幅に関する粗さである。
平滑層への添加剤
好ましい態様のひとつは、前述の感光性樹脂中に表面に光重合反応性を有する感光性基が導入された反応性シリカ粒子(以下、単に「反応性シリカ粒子」ともいう)を含むものである。ここで光重合性を有する感光性基としては、(メタ)アクリロイルオキシ基に代表される重合性不飽和基などを挙げることができる。また感光性樹脂は、この反応性シリカ粒子の表面に導入された光重合反応性を有する感光性基と光重合反応可能な化合物、例えば、重合性不飽和基を有する不飽和有機化合物を含むものであってもよい。また感光性樹脂としては、このような反応性シリカ粒子や重合性不飽和基を有する不飽和有機化合物に適宜汎用の希釈溶剤を混合することによって固形分を調整したものを用いることができる。
ここで反応性シリカ粒子の平均粒子径としては、0.001〜0.1μmの平均粒子径であることが好ましい。平均粒子径をこのような範囲にすることにより、後述する平均粒子径1〜10μmの無機粒子からなるマット剤と組合せて用いることによって、本発明の効果である防眩性と解像性とをバランス良く満たす光学特性と、ハードコート性とを兼ね備えた平滑層を形成し易くなる。尚、このような効果をより得易くする観点からは、更に平均粒子径として0.001〜0.01μmのものを用いることがより好ましい。本発明に用いられる平滑層中には、上述の様な無機粒子を質量比として20%以上60%以下含有することが好ましい。20%以上添加することで、バリア層との密着性が向上する。また60%を超えると、フィルムを湾曲させたり、加熱処理を行った場合にクラックが生じたり、バリアフィルムの透明性や屈折率などの光学的物性に影響を及ぼすことがある。
本発明では、重合性不飽和基修飾加水分解性シランが、加水分解性シリル基の加水分解反応によって、シリカ粒子との間に、シリルオキシ基を生成して化学的に結合しているようなものを、反応性シリカ粒子として用いることができる。
加水分解性シリル基としては、例えば、アルコキシリル基、アセトキシリル基等のカルボキシリレートシリル基、クロシリル基等のハロゲン化シリル基、アミノシリル基、オキシムシリル基、ヒドリドシリル基等が挙げられる。
重合性不飽和基としては、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニル基、プロペニル基、ブタジエニル基、スチリル基、エチニイル基、シンナモイル基、マレート基、アクリルアミド基等が挙げられる。
本発明における平滑層の厚みとしては、1〜10μm、好ましくは2〜7μmであることが望ましい。1μm以上にすることにより、平滑層を有するフィルムとしての平滑性を十分なものにし易くなり、10μm以下にすることにより、平滑フィルムの光学特性のバランスを調整し易くなると共に、平滑層を透明高分子フィルムの一方の面にのみ設けた場合における平滑フィルムのカールを抑え易くすることができるようになる。
ブリードアウト防止層
本発明のバリアフィルムは、平滑層を有するフィルムを加熱した際に、フィルム基材中から未反応のオリゴマーなどが表面へ移行して、接触する面を汚染してしまう現象を抑制する目的で、平滑層を有する基材の反対面にブリードアウト防止層を設けることが好ましい。
ブリードアウト防止層は、この機能を有していれば、基本的に平滑層と同じ構成をとっても構わない。
ブリードアウト防止層に含ませることが可能な、重合性不飽和基を有する不飽和有機化合物としては、分子中に2個以上の重合性不飽和基を有する多価不飽和有機化合物、あるいは分子中に1個の重合性不飽和基を有する単価不飽和有機化合物等を挙げることができる。
ここで多価不飽和有機化合物としては、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また単価不飽和有機化合物としては、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、2−メトキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート等が挙げられる。
その他の添加剤として、マット剤を含有しても良い。マット剤としては、平均粒子径が0.1〜5μm程度の無機粒子が好ましい。
このような無機粒子としては、シリカ、アルミナ、タルク、クレイ、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化ジルコニウム等の1種又は2種以上を併せて使用することができる。
ここで無機粒子からなるマット剤は、ハードコート剤の固形分100質量部に対して2質量部以上、好ましくは4質量部以上、より好ましくは6質量部以上、20質量部以下、好ましくは18質量部以下、より好ましくは16質量部以下の割合で混合されていることが望ましい。
また本発明の平滑層には、ハードコート剤及びマット剤の他の成分として熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂、光重合開始剤等を含有させてもよい。
このような熱可塑性樹脂としては、アセチルセルロース、ニトロセルロース、アセチルブチルセルロース、エチルセルロース、メチルセルロース等のセルロース誘導体、酢酸ビニル及びその共重合体、塩化ビニル及びその共重合体、塩化ビニリデン及びその共重合体等のビニル系樹脂、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール等のアセタール系樹脂、アクリル樹脂及びその共重合体、メタクリル樹脂及びその共重合体等のアクリル系樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹脂、線状ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。
また熱硬化性樹脂としては、アクリルポリオールとイソシアネートプレポリマーとからなる熱硬化性ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。
また電離放射線硬化性樹脂としては、光重合性プレポリマー若しくは光重合性モノマーなどの1種又は2種以上を混合した電離放射線硬化塗料に電離放射線(紫外線又は電子線)を照射することで硬化するものを使用することができる。ここで光重合性プレポリマーとしては、1分子中に2個以上のアクリロイル基を有し、架橋硬化することにより3次元網目構造となるアクリル系プレポリマーが特に好ましく使用される。このアクリル系プレポリマーとしては、ウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、エポキシアクリレート、メラミンアクリレート等が使用できる。また光重合性モノマーとしては、上記に記載した多価不飽和有機化合物等が使用できる。
また光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルメチルケタール、ベンゾインベンゾエート、ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−(4−(メチルチオ)フェニル)−2−(4−モルフォリニル)−1−プロパン、α−アシロキシムエステル、チオキサンソン類等が挙げられる。
以上のようなブリードアウト防止層は、ハードコート剤、マット剤、及び必要に応じて他の成分を配合して、適宜必要に応じて用いる希釈溶剤によって塗布液として調製し、当該塗布液を基材表面に従来公知の塗布方法によって塗布した後、電離放射線を照射して硬化させることにより形成することができる。尚、電離放射線を照射する方法としては、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、メタルハライドランプなどから発せられる100〜400nm、好ましくは200〜400nmの波長領域の紫外線を照射する、又は走査型やカーテン型の電子線加速器から発せられる100nm以下の波長領域の電子線を照射することにより行うことができる。
本発明におけるブリードアウト防止層の厚みとしては、1〜10μm、好ましくは2〜7μmであることが望ましい。1μm以上にすることにより、フィルムとしての耐熱性を十分なものにし易くなり、10μm以下にすることにより、平滑フィルムの光学特性のバランスを調整し易くなると共に、平滑層を透明高分子フィルムの一方の面に設けた場合におけるバリアフィルムのカールを抑え易くすることができるようになる。
ケイ素化合物を有する層
本発明のバリアフィルムは、先述の塗布で設ける最適な方法以外にも、スパッタリング法、イオンアシスト法、後述するプラズマCVD法、後述する大気圧または大気圧近傍の圧力下でのプラズマCVD法等を適用して、ケイ素化合物を有する層が積層されて形成されたものであることが好ましく、特に大気圧プラズマCVDによる方法は、減圧チャンバー等が不要で、高速製膜ができ生産性の高い製膜方法であり好ましい。上記ケイ素化合物を有する層をプラズマCVDにより追加形成することで、一層バリア性の高いバリア層を容易に形成することが可能となるからである。
スパッタリング法、イオンアシスト法、プラズマCVD法では、バリア性の高い膜を形成できる反面、製膜工程において、パーティクルと呼ばれる微粒子状の異物が発生し、バリア層中あるいは表面に付着した欠陥を生じやすい欠陥がある。
本発明のバリアフィルムは、この様な欠陥が生じても、前述のケイ素化合物を有する層の存在により、欠陥部からのガス透過を抑制することができ、より高いバリア性を実現できるものである。
本発明におけるこれらのケイ素化合物を有する層の厚さは、用いられる材料の種類、構成により最適条件が異なり、適宜選択されるが、1〜2000nmの範囲内であることが好ましい。ケイ素化合物を有する層の厚さが、上記の範囲より薄い場合には、均一な膜が得られず、ガスに対するバリア性の向上を得られにくいからである。また、ケイ素化合物を有する層の厚さが上記の範囲より厚い場合には、バリアフィルムにフレキシビリティを保持させることが困難であり、成膜後に折り曲げ、引っ張り等の外的要因により、バリアフィルムに亀裂が生じる等のおそれがあるからである。
厚みがこれ以下であると膜欠陥が多く、充分な防湿性が得られない。また、厚みが大きい方が理論的には防湿性は高いが、余り大きいと内部応力が不必要に大きくなり、割れやすく好ましい防湿性が得られない。
また、本発明においては、上記ケイ素化合物を有する層が、透明であることが好ましい。透明であることにより、バリアフィルムを透明なものとすることが可能となり、EL素子の透明基板等の用途にも使用することが可能となるからである。バリアフィルムの光透過率としては、例えば試験光の波長を550nmとしたとき透過率が80%以上のものが好ましく、90%以上が更に好ましい。
プラズマCVD法、大気圧または大気圧近傍の圧力下でのプラズマCVD法により得られるケイ素化合物を有する層は、原材料(原料ともいう)である有機金属化合物、分解ガス、分解温度、投入電力などの条件を選ぶことで、金属炭化物、金属窒化物、金属酸化物、金属硫化物等のセラミック層を、またこれらの混合物(金属酸窒化物、金属窒化炭化物など)も作り分けることができるため好ましい。
例えば、ケイ素化合物を原料化合物として用い、分解ガスに酸素を用いれば、ケイ素酸化物が生成する。また、亜鉛化合物を原料化合物として用い、分解ガスに二硫化炭素を用いれば、硫化亜鉛が生成する。これはプラズマ空間内では非常に活性な荷電粒子・活性ラジカルが高密度で存在するため、プラズマ空間内では多段階の化学反応が非常に高速に促進され、プラズマ空間内に存在する元素は熱力学的に安定な化合物へと非常な短時間で変換されるためである。
このような無機物の原料としては、典型または遷移金属元素を有していれば、常温常下で気体、液体、固体いずれの状態であっても構わない。気体の場合にはそのまま放電空間に導入できるが、液体、固体の場合は、加熱、バブリング、減圧、超音波照射等の手段により気化させて使用する。又、溶媒によって希釈して使用してもよく、溶媒は、メタノール、エタノール、n−ヘキサンなどの有機溶媒及びこれらの混合溶媒が使用出来る。尚、これらの希釈溶媒は、プラズマ放電処理中において、分子状、原子状に分解されるため、影響は殆ど無視することができる。
また、これらの金属を含む原料ガスを分解して無機化合物を得るための分解ガスとしては、水素ガス、メタンガス、アセチレンガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、窒素ガス、アンモニアガス、亜酸化窒素ガス、酸化窒素ガス、二酸化窒素ガス、酸素ガス、水蒸気、フッ素ガス、フッ化水素、トリフルオロアルコール、トリフルオロトルエン、硫化水素、二酸化硫黄、二硫化炭素、塩素ガスなどが挙げられる。
金属元素を含む原料ガスと、分解ガスを適宜選択することで、各種の金属炭化物、金属窒化物、金属酸化物、金属ハロゲン化物、金属硫化物を得ることができる。
これらの反応性ガスに対して、主にプラズマ状態になりやすい放電ガスを混合し、プラズマ放電発生装置にガスを送りこむ。
このような放電ガスとしては、窒素ガスおよび/または周期表の第18属原子、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が用いられる。これらの中でも窒素、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられ、特に窒素がコストも安く好ましい。
上記放電ガスと反応性ガスを混合し、混合ガスとしてプラズマ放電発生装置(プラズマ発生装置)に供給することで膜形成を行う。放電ガスと反応性ガスの割合は、得ようとする膜の性質によって異なるが、混合ガス全体に対し、放電ガスの割合を50%以上として反応性ガスを供給する。
本発明に係るケイ素化合物を有する層においては、含有する無機化合物が、SiOxCy(x=1.5〜2.0、y=0〜0.5)または、SiOx、SiNyまたはSiOxNy(x=1〜2、y=0.1〜1)であることが好ましく、光線透過性及び後述する大気圧プラズマCVD適性の観点から、SiOxであることが好ましい。
本発明に係るケイ素化合物を有する層が含有する無機化合物は、例えば、上記有機ケイ素化合物に、更に酸素ガスや窒素ガスを所定割合で組み合わせて、O原子とN原子の少なくともいずれかと、Si原子とを含む膜を得ることができる。
以上のように、上記のような原料ガスを放電ガスと共に使用することにより様々な無機薄膜を形成することができる。
次いで、本発明のバリアフィルムの製造方法において、本発明に係るケイ素化合物を有する層の形成に好適に用いることのできる大気圧プラズマCVD法について、更に詳細に説明する。
CVD法(化学的気相成長法)は、揮発・昇華した有機金属化合物が高温の基材表面に付着し、熱により分解反応が起き、熱的に安定な無機物の薄膜が生成されるというものであり、このような通常のCVD法(熱CVD法とも称する)では、通常500℃以上の基板温度が必要であるため、プラスチック基材への製膜には使用することが難しいが一方、プラズマCVD法は、基材近傍の空間に電界を印加し、プラズマ状態となった気体が存在する空間(プラズマ空間)を発生させ、揮発・昇華した有機金属化合物がこのプラズマ空間に導入されて分解反応が起きた後に基材上に吹きつけられることにより、無機物の薄膜を形成するというものである。プラズマ空間内では、数%の高い割合の気体がイオンと電子に電離しており、ガスの温度は低く保たれるものの、電子温度は非常な高温のため、この高温の電子、あるいは低温ではあるがイオン・ラジカルなどの励起状態のガスと接するために無機膜の原料である有機金属化合物は低温でも分解することができる。したがって、無機物を製膜する基材についても低温化することができ、樹脂フィルム基材上へも十分製膜することが可能な製膜方法である。
またこの方法によれば、樹脂フィルム上に前記セラミック層を形成させたときの膜密度が緻密であり、安定した性能を有する薄膜が得られる。
次いで、大気圧或いは大気圧近傍でのプラズマCVD法を用いた前記ケイ素化合物を有する層の積層方法の一例について述べる。
プラズマ放電処理装置においては、ガス供給手段から、前記金属を含む原料ガス、分解ガスを適宜選択して、またこれらの反応性ガスに対して、主にプラズマ状態になりやすい放電ガスを混合してプラズマ放電発生装置にガスを送りこむことで前記の層を得ることができる。
放電ガスとしては、前記のように窒素ガスおよび/または周期表の第18属原子、具体的には、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等が用いられる。これらの中でも窒素、ヘリウム、アルゴンが好ましく用いられ、特に窒素がコストも安く好ましい。
本発明に適用できる大気圧プラズマ放電処理装置としては、例えば、特開2004−68143号公報、同2003−49272号公報、国際公開第02/48428号パンフレット等に記載されている大気圧プラズマ放電処理装置を挙げることができる。
<ガスバリア性フィルムの用途>
本発明のバリアフィルムは、種々の封止用材料、フィルムとして用いることができる。
本発明のガスバリア性フィルムは、光電変換素子、EL素子に特に有用に用いることができる。本発明のガスバリア性フィルムは透明であるため、このガスバリア性フィルムを支持体として用いて光電変換素子に用いた場合この側から太陽光の受光を行うように構成でき、EL素子に用いた場合、素子からの発光を妨げないため発光効率を劣化させない。
本発明のバリアフィルムは、例えば有機光電変換素子に用いることができる。有機光電変換素子に用いる際に、本発明のバリアフィルムは透明であるため、このバリアフィルムを基材として用いてこの側から太陽光の受光を行うように構成できる。即ち、このバリアフィルム上に、例えば、ITO等の透明導電性薄膜を透明電極として設け、有機光電変換素子用樹脂基材を構成することができる。そして、基材上に設けられたITO透明導電膜を陽極としてこの上に多孔質半導体層を設け、更に金属膜からなる陰極を形成して有機光電変換素子を形成し、この上に別の封止材料を(同じでもよいが)重ねて前記バリアフィルム基材と周囲を接着、素子を封じ込めることで有機光電変換素子を封止することができ、これにより外気の湿気や酸素等のガスによる素子への影響を封じることが出来る。
有機光電変換素子用樹脂基材はこの様にして形成されたバリアフィルムのセラミック層上に、透明導電性膜を形成することによって得られる。透明導電膜の形成は、真空蒸着法やスパッタリング法等を用いることにより、また、インジウム、スズ等の金属アルコキシド等を用いたゾルゲル法等塗布法によっても製造できる。
透明導電膜の膜厚としては、0.1nm〜1000nmの範囲の透明導電膜が好ましい。
次いでこれらバリアフィルム、またこれに透明導電膜が形成された有機光電変換素子用樹脂基材を用いた有機光電変換素子について説明する。
〔封止フィルムとその製造方法〕
本発明は、前記セラミック層を有するバリアフィルムを基板として用いることが特徴の一つである。
前記セラミック層を有するバリアフィルムにおいてセラミック層上に、更に透明導電膜を形成し、これを陽極としてこの上に、有機光電変換素子を構成する層、陰極となる層とを積層し、この上に更にもう一つのバリアフィルムを封止フィルムとして、重ね接着することで封止する。
用いられるもう一つの封止材料(封止フィルム)としては、本発明に係わる前記緻密な構造を有するセラミック層を有するバリアフィルムを用いることができる。また、例えば、包装材等に使用される公知のバリアフィルム、例えばプラスチックフィルム上に酸化ケイ素や、酸化アルミニウムを蒸着したもの、緻密なセラミック層と、柔軟性を有する衝撃緩和ポリマー層を交互に積層した構成のバリアフィルム等を封止フィルムとして用いることが出来る。また特に、樹脂ラミネート(ポリマー膜)された金属箔は、光取りだし側のバリアフィルムとして用いることはできないが、低コストで更に透湿性の低い封止材料であり光取り出しを意図しない(透明性を要求されない)場合封止フィルムとして好ましい。
本発明において金属箔とはスパッタや蒸着等で形成された金属薄膜や、導電性ペースト等の流動性電極材料から形成された導電膜と異なり、圧延等で形成された金属の箔またはフィルムを指す。
金属箔としては、金属の種類に特に限定はなく、例えば銅(Cu)箔、アルミニウム(Al)箔、金(Au)箔、黄銅箔、ニッケル(Ni)箔、チタン(Ti)箔、銅合金箔、ステンレス箔、スズ(Sn)箔、高ニッケル合金箔等が挙げられる。これらの各種の金属箔の中で特に好ましい金属箔としてはAl箔が挙げられる。
金属箔の厚さは6〜50μmが好ましい。6μm未満の場合は、金属箔に用いる材料によっては使用時にピンホールが空き、必要とするバリア性(透湿度、酸素透過率)が得られなくなる場合がある。50μmを越えた場合は、金属箔に用いる材料によってはコストが高くなったり、有機光電変換素子が厚くなりフィルムのメリットが少なくなる場合がある。
樹脂フィルム(ポリマー膜)がラミネートされた金属箔において樹脂フィルムとしては、機能性包装材料の新展開(株式会社 東レリサーチセンター)に記載の各種材料を使用することが可能であり、例えばポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリアミド系樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合体系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体系樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン共重合体系樹脂、セロハン系樹脂、ビニロン系樹脂、塩化ビニリデン系樹脂等が挙げられる。ポリプロピレン系樹脂、ナイロン系樹脂等の樹脂は、延伸されていてもよく、さらに塩化ビニリデン系樹脂をコートされていてもよい。また、ポリエチレン系樹脂は、低密度あるいは高密度のものも用いることができる。
後述するが、2つのフィルムの封止方法としては、例えば、一般に使用されるインパルスシーラー熱融着性の樹脂層をラミネートして、インパルスシーラーで融着させ、封止する方法が好ましく、この場合、バリアフィルム同士の封止は、フィルム膜厚が300μmを超えると封止作業時のフィルムの取り扱い性が悪化するのとインパルスシーラー等による熱融着が困難となるため膜厚としては300μm以下が望ましい。
〔有機光電変換素子の封止〕
本発明では、本発明に係る前記セラミック層を有する樹脂フィルム(バリアフィルム)上に透明導電膜を形成し、作製した有機光電変換素子用樹脂基材上に、有機光電変換素子各層を形成した後、上記封止フィルムを用いて、不活性ガスによりパージされた環境下で、上記封止フィルムで陰極面を覆うようにして、有機光電変換素子を封止することができる。
不活性ガスとしては、Nの他、He、Ar等の希ガスが好ましく用いられるが、HeとArを混合した希ガスも好ましく、気体中に占める不活性ガスの割合は、90〜99.9体積%であることが好ましい。不活性ガスによりパージされた環境下で封止することにより、保存性が改良される。
また、前記の樹脂フィルム(ポリマー膜)がラミネートされた金属箔を用いて、有機光電変換素子を封止するにあたっては、ラミネートされた樹脂フィルム面ではなく、金属箔上にセラミック層を形成し、このセラミック層面を有機光電変換素子の陰極に貼り合わせることが好ましい。封止フィルムのポリマー膜面を有機光電変換素子の陰極に貼り合わせると、部分的に導通が発生することがある。
封止フィルムを有機光電変換素子の陰極に貼り合わせる封止方法としては、一般に使用されるインパルスシーラーで融着可能な樹脂フィルム、例えばエチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)やポリプロピレン(PP)フィルム、ポリエチレン(PE)フィルム等の熱融着性フィルムを積層して、インパルスシーラーで融着させ封止する方法がある。
接着方法としてはドライラミネート方式が作業性の面で優れている。この方法は一般には1.0〜2.5μm程度の硬化性の接着剤層を使用する。ただし接着剤の塗設量が多すぎる場合には、トンネル、浸み出し、縮緬皺等が発生することがあるため、好ましくは接着剤量を乾燥膜厚で3〜5μmになるように調節することが好ましい。
ホットメルトラミネーションとはホットメルト接着剤を溶融し基材に接着層を塗設する方法であるが、接着剤層の厚さは一般に1〜50μmと広い範囲で設定可能な方法である。一般に使用されるホットメルト接着剤のベースレジンとしては、EVA、EEA、ポリエチレン、ブチルラバー等が使用され、ロジン、キシレン樹脂、テルペン系樹脂、スチレン系樹脂等が粘着付与剤として、ワックス等が可塑剤として添加される。
エクストルージョンラミネート法とは高温で溶融した樹脂をダイスにより基材上に塗設する方法であり、樹脂層の厚さは一般に10〜50μmと広い範囲で設定可能である。
エクストルージョンラミネートに使用される樹脂としては一般に、LDPE、EVA、PP等が使用される。
次いで、有機光電変換素子を構成する有機光電変換素子材料各層(構成層)について説明する。
(有機光電変換素子および太陽電池の構成)
本発明に係る有機光電変換素子の好ましい態様を説明するが、これに限定されるものではない。有機光電変換素子としては特に制限がなく、陽極と陰極と、両者に挟まれた発電層(p型半導体とn型半導体が混合された層、バルクヘテロジャンクション層、i層とも言う)が少なくとも1層以上あり、光を照射すると電流を発生する素子であればよい。
有機光電変換素子の層構成の好ましい具体例を以下に示す。
(i)陽極/発電層/陰極
(ii)陽極/正孔輸送層/発電層/陰極
(iii)陽極/正孔輸送層/発電層/電子輸送層/陰極
(iv)陽極/正孔輸送層/p型半導体層/発電層/n型半導体層/電子輸送層/陰極
(v)陽極/正孔輸送層/第1発光層/電子輸送層/中間電極/正孔輸送層/第2発光層/電子輸送層/陰極
ここで、発電層は、正孔を輸送できるp型半導体材料と電子を輸送できるn型半導体材料を含有していることが必要であり、これらは実質2層でヘテロジャンクションを形成していても良いし、1層の内部で混合された状態となっているバルクヘテロジャンクションを形成しても良いが、バルクヘテロジャンクション構成のほうが光電変換効率が高いため、好ましい。発電層に用いられるp型半導体材料、n型半導体材料については後述する。
有機EL素子同様、発電層を正孔輸送層、電子輸送層で挟み込むことで、正孔及び電子の陽極・陰極への取り出し効率を高めることができるため、それらを有する構成((ii)、(iii))の方が好ましい。また、発電層自体も正孔と電子の整流性(キャリア取り出しの選択性)を高めるため、(iv)のようにp型半導体材料とn型半導体材料単体からなる層で発電層を挟み込むような構成(p−i−n構成ともいう)であっても良い。また、太陽光の利用効率を高めるため、異なる波長の太陽光をそれぞれの発電層で吸収するような、タンデム構成((v)の構成)であっても良い。
太陽光利用率(光電変換効率)の向上を目的として、図1に示す有機光電変換素子10におけるサンドイッチ構造に替わって、一対の櫛歯状電極上にそれぞれ正孔輸送層14、電子輸送層16を形成し、その上に光電変換部15を配置するといった、バックコンタクト型の有機光電変換素子が構成とすることもできる。
さらに、詳細な本発明に係る有機光電変換素子の好ましい態様を下記に説明する。
図1は、バルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子からなる太陽電池の一例を示す断面図である。図1において、バルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子10は、基板11の一方面上に、陽極12、正孔輸送層17、バルクヘテロジャンクション層の発電層14、電子輸送層18及び陰極13が順次積層されている。
基板11は、順次積層された陽極12、発電層14及び陰極13を保持する部材である。本実施形態では、基板11側から光電変換される光が入射するので、基板11は、この光電変換される光を透過させることが可能な、すなわち、この光電変換すべき光の波長に対して透明な部材である。基板11は、例えば、ガラス基板や樹脂基板等が用いられる。この基板11は、必須ではなく、例えば、発電層14の両面に陽極12及び陰極13を形成することでバルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子10が構成されてもよい。
発電層14は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する層であって、p型半導体材料とn型半導体材料とを一様に混合したバルクヘテロジャンクション層を有して構成される。p型半導体材料は、相対的に電子供与体(ドナー)として機能し、n型半導体材料は、相対的に電子受容体(アクセプタ)として機能する。
図1において、基板11を介して陽極12から入射された光は、発電層14のバルクヘテロジャンクション層における電子受容体あるいは電子供与体で吸収され、電子供与体から電子受容体に電子が移動し、正孔と電子のペア(電荷分離状態)が形成される。発生した電荷は、内部電界、例えば、陽極12と陰極13の仕事関数が異なる場合では陽極12と陰極13との電位差によって、電子は、電子受容体間を通り、また正孔は、電子供与体間を通り、それぞれ異なる電極へ運ばれ、光電流が検出される。例えば、陽極12の仕事関数が陰極13の仕事関数よりも大きい場合では、電子は、陽極12へ、正孔は、陰極13へ輸送される。なお、仕事関数の大小が逆転すれば電子と正孔は、これとは逆方向に輸送される。また、陽極12と陰極13との間に電位をかけることにより、電子と正孔の輸送方向を制御することもできる。
なお図1には記載していないが、正孔ブロック層、電子ブロック層、電子注入層、正孔注入層、あるいは平滑化層等の他の層を有していてもよい。
さらに好ましい構成としては、前記発電層14が、いわゆるp−i−nの三層構成となっている構成(図2)である。通常のバルクヘテロジャンクション層は、p型半導体材料とn型半導体層が混合した、i層単体であるが、p型半導体材料単体からなるp層、およびn型半導体材料単体からなるn層で挟むことにより、正孔及び電子の整流性がより高くなり、電荷分離した正孔・電子の再結合等によるロスが低減され、一層高い光電変換効率を得ることができる。
さらに、太陽光利用率(光電変換効率)の向上を目的として、このような光電変換素子を積層した、タンデム型の構成としてもよい。図3は、タンデム型のバルクヘテロジャンクション層を備える有機光電変換素子からなる太陽電池を示す断面図である。タンデム型構成の場合、基板11上に、順次透明電極12、第1の発電層14′を積層した後、電荷再結合層15を積層した後、第2の発電層16、次いで対電極13を積層することで、タンデム型の構成とすることができる。第2の発電層16は、第1の発電層14′の吸収スペクトルと同じスペクトルを吸収する層でもよいし、異なるスペクトルを吸収する層でもよいが、好ましくは異なるスペクトルを吸収する層である。また第1の発電層14′、第2の発電層16がともに前述のp−i−nの三層構成であってもよい。
以下に、これらの層を構成する材料について述べる。
p型半導体材料
本発明に係る有機光電変換素子の発電層(バルクヘテロジャンクション層)に用いられるp型半導体材料としては、種々の縮合多環芳香族低分子化合物や共役系ポリマー・オリゴマーが挙げられる。
縮合多環芳香族低分子化合物としては、例えば、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン、ヘプタセン、クリセン、ピセン、フルミネン、ピレン、ペロピレン、ペリレン、テリレン、クオテリレン、コロネン、オバレン、サーカムアントラセン、ビスアンテン、ゼスレン、ヘプタゼスレン、ピランスレン、ビオランテン、イソビオランテン、サーコビフェニル、アントラジチオフェン等の化合物、ポルフィリンや銅フタロシアニン、テトラチアフルバレン(TTF)−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体、ビスエチレンテトラチアフルバレン(BEDTTTF)−過塩素酸錯体、及びこれらの誘導体や前駆体が挙げられる。
また上記の縮合多環を有する誘導体の例としては、国際公開第03/16599号パンフレット、国際公開第03/28125号パンフレット、米国特許第6,690,029号明細書、特開2004−107216号公報等に記載の置換基をもったペンタセン誘導体、米国特許出願公開第2003/136964号明細書等に記載のペンタセンプレカーサ、J.Amer.Chem.Soc.,vol127.No14.4986、J.Amer.Chem.Soc.,vol.123、p9482、J.Amer.Chem.Soc.,vol.130(2008)、No.9、2706等に記載のトリアルキルシリルエチニル基で置換されたアセン系化合物等が挙げられる。
共役系ポリマーとしては、例えば、ポリ3−ヘキシルチオフェン(P3HT)等のポリチオフェン及びそのオリゴマー、またはTechnical Digest of the International PVSEC−17, Fukuoka, Japan, 2007, P1225に記載の重合性基を有するようなポリチオフェン、Nature Material,(2006)vol.5,p328に記載のポリチオフェン−チエノチオフェン共重合体、WO2008/000664号に記載のポリチオフェン−ジケトピロロピロール共重合体、Adv Mater,2007p4160に記載のポリチオフェン−チアゾロチアゾール共重合体,Nature Mat.vol.6(2007),p497に記載のPCPDTBT等のようなポリチオフェン共重合体、ポリピロール及びそのオリゴマー、ポリアニリン、ポリフェニレン及びそのオリゴマー、ポリフェニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリチエニレンビニレン及びそのオリゴマー、ポリアセチレン、ポリジアセチレン、ポリシラン、ポリゲルマン等のσ共役系ポリマー、等のポリマー材料が挙げられる。
また、ポリマー材料ではなくオリゴマー材料としては、チオフェン6量体であるα−セクシチオフェンα,ω−ジヘキシル−α−セクシチオフェン、α,ω−ジヘキシル−α−キンケチオフェン、α,ω−ビス(3−ブトキシプロピル)−α−セクシチオフェン、等のオリゴマーが好適に用いることができる。
これらの化合物の中でも、溶液プロセスが可能な程度に有機溶剤への溶解性が高く、かつ乾燥後は結晶性薄膜を形成し、高い移動度を達成することが可能な化合物が好ましい。
また、発電層上に電子輸送層を塗布で製膜する場合、電子輸送層溶液が発電層を溶かしてしまうという課題があるため、溶液プロセスで塗布した後に不溶化できるような材料を用いても良い。
このような材料としては、Technical Digest of the International PVSEC−17, Fukuoka, Japan, 2007, P1225に記載の重合性基を有するようなポリチオフェンのような、塗布後に塗布膜を重合架橋して不溶化できる材料、または米国特許出願公開第2003/136964号、および特開2008−16834号等に記載されているような、熱等のエネルギーを加えることによって可溶性置換基が反応して不溶化する(顔料化する)材料などを挙げることができる。
n型半導体材料
本発明に係る有機光電変換素子のバルクヘテロジャンクション層に用いられるn型半導体材料としては、特に限定されないが、例えば、フラーレン、オクタアザポルフィリン等、p型半導体の水素原子をフッ素原子に置換したパーフルオロ体(パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン等)、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等の芳香族カルボン酸無水物やそのイミド化物を骨格として含む高分子化合物等を挙げることができる。
しかし、各種のp型半導体材料と高速(〜50fs)かつ効率的に電荷分離を行うことができる、フラーレン誘導体が好ましい。フラーレン誘導体としては、フラーレンC60、フラーレンC70、フラーレンC76、フラーレンC78、フラーレンC84、フラーレンC240、フラーレンC540、ミックスドフラーレン、フラーレンナノチューブ、多層ナノチューブ、単層ナノチューブ、ナノホーン(円錐型)等、およびこれらの一部が水素原子、ハロゲン原子、置換または無置換のアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルキル基、シリル基、エーテル基、チオエーテル基、アミノ基、シリル基等によって置換されたフラーレン誘導体を挙げることができる。
中でも[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッドメチルエステル(略称PCBM)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−nブチルエステル(PCBnB)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−イソブチルエステル(PCBiB)、[6,6]−フェニルC61−ブチリックアシッド−nヘキシルエステル(PCBH)、Adv.Mater.,vol.20(2008),p2116等に記載のbis−PCBM、特開2006−199674号公報等のアミノ化フラーレン、特開2008−130889号公報等のメタロセン化フラーレン、米国特許第7329709号明細書等の環状エーテル基を有するフラーレン等のような、置換基を有してより溶解性が向上したフラーレン誘導体を用いることが好ましい。
正孔輸送層・電子ブロック層
本発明の有機光電変換素子10は、バルクヘテロジャンクション層と陽極との中間には正孔輸送層17を、バルクヘテロジャンクション層で発生した電荷をより効率的に取り出すことが可能となるため、これらの層を有していることが好ましい。
これらの層を構成する材料としては、例えば、正孔輸送層17としては、スタルクヴイテック社製、商品名BaytronP等のPEDOT、ポリアニリン及びそのドープ材料、WO2006/019270号等に記載のシアン化合物、などを用いることができる。なお、バルクヘテロジャンクション層に用いられるn型半導体材料のLUMO準位よりも浅いLUMO準位を有する正孔輸送層には、バルクヘテロジャンクション層で生成した電子を陽極側には流さないような整流効果を有する、電子ブロック機能が付与される。このような正孔輸送層は、電子ブロック層とも呼ばれ、このような機能を有する正孔輸送層を使用するほうが好ましい。このような材料としては、特開平5−271166号公報等に記載のトリアリールアミン系化合物、また酸化モリブデン、酸化ニッケル、酸化タングステン等の金属酸化物等を用いることができる。また、バルクヘテロジャンクション層に用いたp型半導体材料単体からなる層を用いることもできる。これらの層を形成する手段としては、真空蒸着法、溶液塗布法のいずれであってもよいが、好ましくは溶液塗布法である。バルクヘテロジャンクション層を形成する前に、下層に塗布膜を形成すると塗布面をレベリングする効果があり、リーク等の影響が低減するため好ましい。
電子輸送層・正孔ブロック層
本発明の有機光電変換素子10は、バルクヘテロジャンクション層と陰極との中間には電子輸送層18を形成することで、バルクヘテロジャンクション層で発生した電荷をより効率的に取り出すことが可能となるため、これらの層を有していることが好ましい。
また電子輸送層18としては、オクタアザポルフィリン、p型半導体のパーフルオロ体(パーフルオロペンタセンやパーフルオロフタロシアニン等)を用いることができるが、同様に、バルクヘテロジャンクション層に用いられるp型半導体材料のHOMO準位よりも深いHOMO準位を有する電子輸送層には、バルクヘテロジャンクション層で生成した正孔を陰極側には流さないような整流効果を有する、正孔ブロック機能が付与される。このような電子輸送層は、正孔ブロック層とも呼ばれ、このような機能を有する電子輸送層を使用するほうが好ましい。このような材料としては、バソキュプロイン等のフェナントレン系化合物、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、ペリレンテトラカルボン酸無水物、ペリレンテトラカルボン酸ジイミド等のn型半導体材料、及び酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ガリウム等のn型無機酸化物及びフッ化リチウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属化合物等を用いることができる。また、バルクヘテロジャンクション層に用いたn型半導体材料単体からなる層を用いることもできる。これらの層を形成する手段としては、真空蒸着法、溶液塗布法のいずれであってもよいが、好ましくは溶液塗布法である。
その他の層
エネルギー変換効率の向上や、素子寿命の向上を目的に、各種中間層を素子内に有する構成としてもよい。中間層の例としては、正孔ブロック層、電子ブロック層、正孔注入層、電子注入層、励起子ブロック層、UV吸収層、光反射層、波長変換層などを挙げることができる。
透明電極(第1電極)
本発明に係る有機光電変換素子の透明電極は、陰極、陽極は特に限定せず、素子構成により選択することができるが、好ましくは透明電極を陽極として用いることである。例えば、陽極として用いる場合、好ましくは380〜800nmの光を透過する電極である。材料としては、例えば、インジウムチンオキシド(ITO)、SnO、ZnO等の透明導電性金属酸化物、金、銀、白金等の金属薄膜、金属ナノワイヤー、カーボンナノチューブ用いることができる。
またポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリチエニレンビニレン、ポリアズレン、ポリイソチアナフテン、ポリカルバゾール、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、ポリフェニルアセチレン、ポリジアセチレン及びポリナフタレンの各誘導体からなる群より選ばれる導電性高分子等も用いることができる。また、これらの導電性化合物を複数組み合わせて透明電極とすることもできる。
対電極(第2電極)
本発明に係る有機光電変換素子の対電極は導電材単独層であっても良いが、導電性を有する材料に加えて、これらを保持する樹脂を併用しても良い。対電極の導電材としては、仕事関数の小さい(4eV以下)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが用いられる。このような電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。これらの中で、電子の取り出し性能及び酸化等に対する耐久性の点から、これら金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物、アルミニウム等が好適である。対電極はこれらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。また、膜厚は通常10nm〜5μm、好ましくは50〜200nmの範囲で選ばれる。
対電極の導電材として金属材料を用いれば対電極側に来た光は反射されて第1電極側に反射され、この光が再利用可能となり、光電変換層で再度吸収され、より光電変換効率が向上し好ましい。
また、対電極13は、金属(例えば金、銀、銅、白金、ロジウム、ルテニウム、アルミニウム、マグネシウム、インジウム等)、炭素からなるナノ粒子、ナノワイヤー、ナノ構造体であってもよく、ナノワイヤーの分散物であれば、透明で導電性の高い対電極を塗布法により形成でき好ましい。
また、対電極側を光透過性とする場合は、例えば、アルミニウム及びアルミニウム合金、銀及び銀化合物等の対電極に適した導電性材料を薄く1〜20nm程度の膜厚で作製した後、上記透明電極の説明で挙げた導電性光透過性材料の膜を設けることで、光透過性対電極とすることができる。
中間電極
また、前記(v)(または図3)のようなタンデム構成の場合に必要となる中間電極の材料としては、透明性と導電性を併せ持つ化合物を用いた層であることが好ましく、前記透明電極で用いたような材料(ITO、AZO、FTO、酸化チタン等の透明金属酸化物、Ag、Al、Au等の非常に薄い金属層またはナノ粒子・ナノワイヤーを含有する層、PEDOT:PSS、ポリアニリン等の導電性高分子材料等)を用いることができる。
なお前述した正孔輸送層と電子輸送層の中には、適切に組み合わせて積層することで中間電極(電荷再結合層)として働く組み合わせもあり、このような構成とすると1層形成する工程を省くことができ好ましい。
金属ナノワイヤ
本発明に係る導電性繊維としては、金属でコーティングした有機繊維や無機繊維、導電性金属酸化物繊維、金属ナノワイヤ、炭素繊維、カーボンナノチューブ等を用いることができるが、金属ナノワイヤが好ましい。
一般に、金属ナノワイヤとは、金属元素を主要な構成要素とする線状構造体のことをいう。特に、本発明における金属ナノワイヤとはnmサイズの直径を有する線状構造体を意味する。
本発明に係る金属ナノワイヤとしては、1つの金属ナノワイヤで長い導電パスを形成するために、また、適度な光散乱性を発現するために、平均長さが3μm以上であることが好ましく、さらには3〜500μmが好ましく、特に3〜300μmであることが好ましい。併せて、長さの相対標準偏差は40%以下であることが好ましい。また、平均直径は、透明性の観点からは小さいことが好ましく、一方で、導電性の観点からは大きい方が好ましい。本発明においては、金属ナノワイヤの平均直径として10〜300nmが好ましく、30〜200nmであることがより好ましい。併せて、直径の相対標準偏差は20%以下であることが好ましい。
本発明に係る金属ナノワイヤの金属組成としては特に制限はなく、貴金属元素や卑金属元素の1種または複数の金属から構成することができるが、貴金属(例えば、金、白金、銀、パラジウム、ロジウム、イリジウム、ルテニウム、オスミウム等)及び鉄、コバルト、銅、錫からなる群に属する少なくとも1種の金属を含むことが好ましく、導電性の観点から少なくとも銀を含むことがより好ましい。また、導電性と安定性(金属ナノワイヤの硫化や酸化耐性、及びマイグレーション耐性)を両立するために、銀と、銀を除く貴金属に属する少なくとも1種の金属を含むことも好ましい。本発明に係る金属ナノワイヤが2種類以上の金属元素を含む場合には、例えば、金属ナノワイヤの表面と内部で金属組成が異なっていてもよいし、金属ナノワイヤ全体が同一の金属組成を有していてもよい。
本発明において金属ナノワイヤの製造手段には特に制限はなく、例えば、液相法や気相法等の公知の手段を用いることができる。また、具体的な製造方法にも特に制限はなく、公知の製造方法を用いることができる。例えば、Agナノワイヤの製造方法としては、Adv.Mater.,2002,14,833〜837;Chem.Mater.,2002,14,4736〜4745等、Auナノワイヤの製造方法としては特開2006−233252号公報等、Cuナノワイヤの製造方法としては特開2002−266007号公報等、Coナノワイヤの製造方法としては特開2004−149871号公報等を参考にすることができる。特に、上述した、Adv.Mater.及びChem.Mater.で報告されたAgナノワイヤの製造方法は、水系で簡便にAgナノワイヤを製造することができ、また銀の導電率は金属中で最大であることから、本発明に係る金属ナノワイヤの製造方法として好ましく適用することができる。
本発明においては、金属ナノワイヤが互いに接触し合うことにより3次元的な導電ネットワークを形成し、高い導電性を発現するとともに、金属ナノワイヤが存在しない導電ネットワークの窓部を光が透過することが可能となり、さらに、金属ナノワイヤの散乱効果によって、有機発電層部からの発電を効率的に行うことが可能となる。第1電極において金属ナノワイヤを有機発電層部に近い側に設置すれば、この散乱効果がより有効に利用できるのでより好ましい実施形態である。
光学機能層
本発明の有機光電変換素子は、太陽光のより効率的な受光を目的として、各種の光学機能層を有していて良い。光学機能層としては、たとえば、反射防止膜、マイクロレンズアレイ等の集光層、陰極で反射した光を散乱させて再度発電層に入射させることができるような光拡散層などを設けても良い。
反射防止層としては、各種公知の反射防止層を設けることができるが、例えば、透明樹脂フィルムが二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムである場合は、フィルムに隣接する易接着層の屈折率を1.57〜1.63とすることで、フィルム基板と易接着層との界面反射を低減して透過率を向上させることができるのでより好ましい。屈折率を調整する方法としては、酸化スズゾルや酸化セリウムゾル等の比較的屈折率の高い酸化物ゾルとバインダー樹脂との比率を適宜調整して塗設することで実施できる。易接着層は単層でもよいが、接着性を向上させるためには2層以上の構成にしてもよい。
集光層としては、例えば、支持基板の太陽光受光側にマイクロレンズアレイ上の構造を設けるように加工したり、あるいは所謂集光シートと組み合わせたりすることにより特定方向からの受光量を高めたり、逆に太陽光の入射角度依存性を低減することができる。
マイクロレンズアレイの例としては、基板の光取り出し側に一辺が30μmでその頂角が90度となるような四角錐を2次元に配列する。一辺は10〜100μmが好ましい。これより小さくなると回折の効果が発生して色付き、大きすぎると厚みが厚くなり好ましくない。
また光散乱層としては、各種のアンチグレア層、金属または各種無機酸化物などのナノ粒子・ナノワイヤー等を無色透明なポリマーに分散した層などを挙げることができる。
製膜方法・表面処理方法
各種の層の形成方法
電子受容体と電子供与体とが混合されたバルクヘテロジャンクション層、および輸送層・電極の形成方法としては、蒸着法、塗布法(キャスト法、スピンコート法を含む)等を例示することができる。このうち、バルクヘテロジャンクション層の形成方法としては、蒸着法、塗布法(キャスト法、スピンコート法を含む)等を例示することができる。このうち、前述の正孔と電子が電荷分離する界面の面積を増大させ、高い光電変換効率を有する素子を作製するためには、塗布法が好ましい。また塗布法は、製造速度にも優れている。
この際に使用する塗布方法に制限は無いが、例えば、スピンコート法、溶液からのキャスト法、ディップコート法、ブレードコート法、ワイヤバーコート法、グラビアコート法、スプレーコート法等が挙げられる。さらには、インクジェット法、スクリーン印刷法、凸版印刷法、凹版印刷法、オフセット印刷法、フレキソ印刷法等の印刷法でパターニングすることもできる。
塗布後は残留溶媒及び水分、ガスの除去、及び半導体材料の結晶化による移動度向上・吸収長波化を引き起こすために加熱を行うことが好ましい。製造工程中において所定の温度でアニール処理されると、微視的に一部が凝集または結晶化が促進され、バルクヘテロジャンクション層を適切な相分離構造とすることができる。その結果、バルクヘテロジャンクション層のキャリア移動度が向上し、高い効率を得ることができるようになる。
発電層(バルクヘテロジャンクション層)14は、電子受容体と電子供与体とが均一に混在された単一層で構成してもよいが、電子受容体と電子供与体との混合比を変えた複数層で構成してもよい。この場合、前述したような塗布後に不溶化できるような材料を用いることで形成することが可能となる。
パターニング
本発明に係る電極、発電層、正孔輸送層、電子輸送層等をパターニングする方法やプロセスには特に制限はなく、公知の手法を適宜適用することができる。
バルクヘテロジャンクション層、輸送層等の可溶性の材料であれば、ダイコート、ディップコート等の全面塗布後に不要部だけ拭き取っても良いし、インクジェット法やスクリーン印刷等の方法を使用して塗布時に直接パターニングしても良い。
電極材料などの不溶性の材料の場合は、電極を真空堆積時にマスク蒸着を行ったり、エッチング又はリフトオフ等の公知の方法によってパターニングすることができる。また、別の基板上に形成したパターンを転写することによってパターンを形成しても良い。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例1
以下に示すように、バリアフィルム(試料)を作製/評価した。
(基材)
熱可塑性樹脂の基材として、両面に易接着加工された125μm厚みの、ポリエステルフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、テトロンO3)の基板を、170℃で30分アニール加熱処理したものを用いた。
(平滑層およびブリードアウト防止層を有するフィルムの作製)
以下の形成方法により、片面にブリードアウト防止層、反対面に平滑層を形成し、バリアフィルム用基材を得た。
(ブリードアウト防止層の形成)
上記基材の片面に、JSR株式会社製 UV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材 OPSTAR Z7535を塗布、乾燥後の膜厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、硬化条件;1.0J/cm空気下、高圧水銀ランプ使用、乾燥条件;80℃、3分で硬化を行い、ブリードアウト防止層を形成した。
(平滑層の形成)
続けて上記基材の反対面に、JSR株式会社製 UV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材 OPSTAR Z7501を塗布、乾燥後の膜厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、乾燥条件;80℃、3分で乾燥後、空気雰囲気下、高圧水銀ランプ使用、硬化条件;1.0J/cm硬化を行い、平滑層を形成した。
このときの十点平均粗さ、Rzjisは16nmであった。
表面粗さは、AFM(原子間力顕微鏡)で、極小の先端半径の触針を持つ検出器で連続測定した凹凸の断面曲線から算出され、極小の先端半径の触針により測定方向が30μmの区間内を多数回測定し、微細な凹凸の振幅に関する平均の粗さである。
(バリアフィルム試料No.1−1の作製)
(バリア層の形成)
次に、上記平滑層、ブリードアウト防止層を設けた試料の上にセラミック層を以下に示す条件で、形成した。
〔セラミック層塗布液〕
パーヒドロポリシラザン(PHPS)(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製 アクアミカ NN120−20)の20質量%ジブチルエーテル溶液
ワイヤレスバーにて、乾燥後の膜厚が、0.3μmとなるように塗布、乾燥して試料を得た。塗布された膜を温度80℃、湿度40%RHの雰囲気下で30分処理しアニールした。
〔加熱処理〕
更に、オーブンにて450℃1時間処理して、バリア層を形成し、試料No.1−1を得た。尚、試料No.1−1はバリア層に亀裂を生じた。
(バリアフィルム試料No.1−2〜1−10、2−1〜2−8、3−1、3−2及び4−1〜4−3の作製)
試料1−1の基材を表1のものに変え、更に、塗布液、処理方法を表1の様にした以外は、試料1−1と同様にして、試料No.1−2〜1−10、2−1〜2−8、3−1、3−2及び4−1〜4−3を得た。尚、表1において、アミン触媒を含有する塗布液に用いたアミン化合物は、AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製 NAXCAT−10DBである。
尚、試料2−1の基材は、125μm厚PENは両面に易接着加工された125μm厚みの、ポリエチレンナフタレート(帝人デュポンフィルム株式会社製、テオネックスQ83)の基板を、170℃で30分アニール加熱処理したものを用いた。
更に、PETの膜厚違いとして、75μmは両面に易接着加工された、ポリエステルフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、テトロンO3)の基板を、170℃で30分アニール加熱処理したものを用い、38μmは両面に易接着加工された、ポリエステルフィルム(帝人デュポンフィルム株式会社製、テトロンHS)の基板を、170℃で30分アニール加熱処理したものを用いた。
又、試料2−2の、セラミック層塗布液は、パーヒドロポリシラザン(PHPS)(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製 アクアミカ NN120−20)の20質量%ジブチルエーテル溶液(アミン触媒の含有なし)と、パーヒドロポリシラザン(PHPS)(AZエレクトロニックマテリアルズ(株)製 アクアミカ NAX120−20)の20質量%ジブチルエーテル溶液(アミン触媒5質量%含有)を4:1に混合した塗布液である。
また、試料2−6は、オクタ(ヒドロジメチルシロキシ)シルセスキオキサンの5%トルエン(表1にシルセスキオキサンと記載)溶液をワイヤレスバーにて、乾燥後の膜厚が、0.3μmとなるように塗布、乾燥した。
Figure 0005712509
〔UVオゾン処理〕
試料1−7の処理方法は、90℃に加熱しながら12時間のUVオゾン処理である。条件は、フィルジェン株式会社製のUVオゾン発生装置UV253HR12(低圧水銀ランプ:合成石英、波長184.9nm、253.7nm)を用い最大出力1500VA(=W)にて実施した。
〔バリア層の2層積層〕
試料3−1、3−2及び4−14−2は、ポリシラザン塗布〜AGP処理を同様に2回繰り返しバリア層の2層積層を実施した。または、ポリシラザン塗布〜AGP処理をして形成したバリア層上にCVDのバリア層を積層した。尚、CVDのバリア層形成の詳細な条件は下記のプラズマ処理の2周波AGPバリアと同様とした。
〔プラズマ処理〕
試料1−8〜1−10、2−1〜2−6、3−1、3−2、4−1及び4−2は、下記の条件でプラズマ処理を行い、バリア層を形成した。バリア層の形成時の基材保持温度は、120℃とした。
ロール電極型放電処理装置を用いて処理を実施。ロール電極に対向する棒状電極を複数個フィルムの搬送方向に対し平行に設置し、各電極部に原料及び電力を投入し以下のように、塗工面をプラズマ処理した。
ここで誘電体は対向する電極共に、セラミック溶射加工のものに片肉で1mm被覆した。また、被覆後の電極間隙は、1mmに設定した。また誘電体を被覆した金属母材は、冷却水による冷却機能を有するステンレス製ジャケット仕様であり、放電中は冷却水による電極温度コントロールを行いながら実施した。ここで使用する電源は、応用電機製高周波電源(80、100kHz)、パール工業製高周波電源(13.56MHz)を使用した。
〔2周波AGPバリア(CVDのバリア層積層条件も同じ)〕
放電ガス:Nガス
反応ガス1:酸素ガスを全ガスに対し8%
反応ガス2:TEOSを全ガスに対し0.1%
低周波側電源電力:100kHzを2W/cm
高周波側電源電力:13.56MHzを10W/cm
〔2周波酸素AGP処理〕
放電ガス:Nガス
反応ガス:酸素ガスを全ガスに対し7%
低周波側電源電力:80kHzを3W/cm
高周波側電源電力:13.56MHzを9W/cm
〔1周波酸素AGP処理1〕
放電ガス:Nガス
反応ガス:酸素ガスを全ガスに対し7%
低周波側電源電力:80kHzを3W/cm
〔1周波酸素AGP処理2〕
放電ガス:Nガス
反応ガス:酸素ガスを全ガスに対し7%
高周波側電源電力:13.56MHzを9W/cm
〔エキシマ処理〕
試料2−7、2−8、4−3は、下記の条件でエキシマ処理を行い、バリア層を形成した。また、4−3は、ポリシラザン塗布〜エキシマ処理を同様に2回繰り返しバリア層の2層積層を実施した。
MDエキシマ社製のステージ可動型キセノンエキシマ照射装置MODEL:MECL−M−1−200を用いて、照射庫内の雰囲気を窒素と酸素を用いて下記の様に制御しながら、ステージの移動速度を5mm/秒の速さで試料を往復搬送させて、合計10往復照射した。本装置は有効照射幅10mmのXeエキシマランプが1本装着されており、ステージ搬送速度10mm/secで搬送した場合、1秒処理/パスに相当する。尚、改質処理後のガスバリア層の膜厚は150nmであった。
(エキシマ処理の条件)
エキシマ光強度:60mW/cm(172nm)
試料と光源の距離:1mm
(試料2−7の雰囲気条件とステージ加熱温度)
10往復:酸素濃度1.5% ステージ加熱温度: 80℃
(試料2−8の雰囲気条件)
10往復:酸素濃度0.01% ステージ加熱温度:100℃
(試料4−3の雰囲気条件)
10往復:酸素濃度0.1% ステージ加熱温度:120℃
〔処理(バリア層を形成)後のRzjisの測定方法〕
表面粗さは、AFM(原子間力顕微鏡)で、極小の先端半径の触針を持つ検出器で連続測定した凹凸の断面曲線から算出され、極小の先端半径の触針により測定方向が30μmの区間内を多数回測定し、微細な凹凸の振幅に関する十点平均の粗さである。
〔バリア層の深さ方向の密度測定方法〕
バリア層の深さ方向の密度は、
1)深さ方向の組成分析
2)深さ方向の密度分析
の2段階で行うことにより、よい正確な情報として得ることが可能である。
〔深さ方向の組成分析(測定)〕
上記のようにして得られたバリアフィルムを、スパッタ法を用いて、バリア層(セラミック層)表面から深さ方向へエッチングを行い、XPS表面分析装置を用いて、バリア層最表面を0nmとして、10nm毎のセラミック層の原子組成比を測定した。
XPS表面分析装置としては、特に限定なく、いかなる機種も使用することができるが、本実施例においてはVGサイエンティフィックス社製ESCALAB−200Rを用いた。X線アノードにはMgを用い、出力600W(加速電圧15kV、エミッション電流40mA)で測定した。
〔深さ方向の密度分析(測定とシミュレーション)〕
本発明のバリア層の密度は、X線反射率測定(XRR)が非破壊で、かつ、表面からの深さ方向の情報が得られるなど点で好適な手段である。
本実施例においては(株)リガク製 X線反射率測定(XRR)装置を用い、その1)で得られた深さ方向10nm毎の平均組成情報を元にして、密度分析(測定とシミュレーション)として深さ方向10nm毎の平均値算出を行った。
表2に求めたバリア層の表面から20nmまでの平均密度(g/cm)を記載した。尚、表2において、密度とRzjisの評価欄における○及び◎は実用可で×は、実用できない。
〔バリアフィルムの透過率(%)の測定方法〕
本実施例においては、JIS−R−3106に準じ可視光透過率(400〜800nm)を測定した。
尚、測定装置は株式会社日立ハイテクノロジーズ製の日立分光光度計 U−4100を用い、可視光透過率(400〜800nm)を下記のように分類し表2に記載した。
○:70〜90%
×:70%未満
実施例2
以下に示すように、実施例1のバリアフィルム(試料)を用い、各素子(OPV・OLED)を作製/評価した。
(有機光電変換素子:OPVの作製)
あらかじめ、半径10mmの曲率になるように、180度の角度で100回屈曲を繰り返したバリアフィルム試料No.1−1〜1−10、2−1〜2−8、3−1、3−2及び4−1〜4−3(以後試料No.1−1〜4−3と略記する)と、屈曲を行わなかったバリアフィルム試料No.1−1〜4−3にそれぞれ、インジウム・スズ酸化物(ITO)透明導電膜を150nm堆積したもの(シート抵抗10Ω/□)を、通常のフォトリソグラフィー技術と湿式エッチングとを用いて2mm幅にパターニングし第1の電極を形成した。パターン形成した第1の電極を、界面活性剤と超純水による超音波洗浄、超純水による超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥させ、最後に紫外線オゾン洗浄を行った。
この透明基板上に、導電性高分子であるBaytron P4083(スタルクヴィテック社製)を膜厚が30nmになるように塗布乾燥した後、150℃で30分間熱処理させ正孔輸送層を製膜した。
これ以降は、基板を窒素チャンバー中に持ち込み、窒素雰囲気下で作製した。
まず、窒素雰囲気下で上記基板を150℃で10分間加熱処理した。次に、クロロベンゼンにP3HT(プレクトロニクス社製:レジオレギュラーポリ−3−ヘキシルチオフェン)とPCBM(フロンティアカーボン社製:6,6−フェニル−C61−ブチリックアシッドメチルエステル)を3.0質量%になるように1:0.8で混合した液を調製し、フィルタでろ過しながら膜厚が100nmになるように塗布を行い、室温で放置して乾燥させた。続けて、150℃で15分間加熱処理を行い、光電変換層を製膜した。
次に、上記一連の機能層を製膜した基板を真空蒸着装置チャンバー内に移動し、1×10−4Pa以下までに真空蒸着装置内を減圧した後、蒸着速度0.01nm/秒でフッ化リチウムを0.6nm積層し、更に続けて、2mm幅のシャドウマスクを通して(受光部が2×2mmに成るように直行させて蒸着)、蒸着速度0.2nm/秒でAlメタルを100nm積層することで第2の電極を形成した。得られた有機光電変換素子SC−101を窒素チャンバーに移動し、封止用キャップとUV硬化樹脂を用いて封止を行って、受光部が2×2mmサイズの有機光電変換素子を作製した。
(有機光電変換素子の封止)
窒素ガス(不活性ガス)によりパージされた環境下で、2枚のバリアフィルムのバリア層を設けた面を内側にして、屈曲を繰り返したバリアフィルム試料と屈曲を行わなかったバリアフィルム試料No.1−1〜4−3にそれぞれ該当する二組の有機光電変換素子試料No.1−1〜4−3の両面を封止した二組の有機光電変換素子試料No.1−1〜4−3を作製した。この封止に際して、シール材としてエポキシ系光硬化型接着剤をガスバリア層に塗布し、上記有機光電変換素子をバリアフィルム間に挟み込んで密着させた後、片側の基板側からUV光を照射して硬化させた。こうして両面封止済みの有機光電変換素子試料No.1−1〜4−3が得られた。
(有機エレクトロルミネッセンス素子:OLEDの作製)
あらかじめ、半径10mmの曲率になるように、180度の角度で100回屈曲を繰り返したバリアフィルム試料No.1−1〜4−3と、屈曲を行わなかったバリアフィルム試料No.1−1〜4−3にそれぞれ、厚さ150nmのITO(インジウムチンオキシド)をスパッタ法により成膜し、フォトリソグラフィー法によりパターニングを行い、第1電極層を形成した。なお、パターンは発光面積が50mm平方になるようなパターンとした。
〈正孔輸送層の形成〉
第1電極層が形成されたガスバリア性フィルムの第1電極層の上に、以下に示す正孔輸送層形成用塗布液を押出し塗布機で塗布した後、乾燥し正孔輸送層を形成した。正孔輸送層形成用塗布液は乾燥後の厚みが50nmになるように塗布した。
正孔輸送層形成用塗布液を塗布する前に、ガスバリア性フィルムの洗浄表面改質処理を、波長184.9nmの低圧水銀ランプを使用し、照射強度15mW/cm、距離10mmで実施した。帯電除去処理は、微弱X線による除電器を使用し行った。
(塗布条件)
塗布工程は大気中、25℃相対湿度50%の環境で行った。
(正孔輸送層形成用塗布液の準備)
ポリエチレンジオキシチオフェン・ポリスチレンスルホネート(PEDOT/PSS、Bayer社製 Bytron P AI 4083)を純水で65%、メタノール5%で希釈した溶液を正孔輸送層形成用塗布液として準備した。
(乾燥および加熱処理条件)
正孔輸送層形成用塗布液を塗布した後、製膜面に向け高さ100mm、吐出風速1m/s、幅手の風速分布5%、温度100℃で溶媒を除去した後、引き続き、加熱処理装置を用い温度150℃で裏面伝熱方式の熱処理を行い、正孔輸送層を形成した。
〈発光層の形成〉
引き続き、正孔輸送層迄を形成したガスバリア性フィルムの正孔輸送層の上に、以下に示す白色発光層形成用塗布液を押出し塗布機で塗布した後、乾燥し発光層を形成した。白色発光層形成用塗布液は乾燥後の厚みが40nmになるように塗布した。
(白色発光層形成用塗布液)
ホスト材のH−Aを1.0gと、ドーパント材D−Aを100mg、ドーパント材D−Bを0.2mg、ドーパント材D−Cを0.2mg、100gのトルエンに溶解し白色発光層形成用塗布液として準備した。
Figure 0005712509
(塗布条件)
塗布工程を窒素ガス濃度99%以上の雰囲気で、塗布温度を25℃とし、塗布速度1m/minで行った。
(乾燥および加熱処理条件)
白色発光層形成用塗布液を塗布した後、製膜面に向け高さ100mm、吐出風速1m/s、幅手の風速分布5%、温度60℃で溶媒を除去した後、引き続き、温度130℃で加熱処理を行い、発光層を形成した。
〈電子輸送層の形成〉
引き続き、発光層迄を形成したのち、以下に示す電子輸送層形成用塗布液を押出し塗布機で塗布した後、乾燥し電子輸送層を形成した。電子輸送層形成用塗布液は乾燥後の厚みが30nmになるように塗布した。
(塗布条件)
塗布工程は窒素ガス濃度99%以上の雰囲気で、電子輸送層形成用塗布液の塗布温度を25℃とし、塗布速度1m/minで行った。
(電子輸送層形成用塗布液)
電子輸送層はE−Aを2,2,3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール中に溶解し0.5質量%溶液とし電子輸送層形成用塗布液とした。
Figure 0005712509
(乾燥および加熱処理条件)
電子輸送層形成用塗布液を塗布した後、製膜面に向け高さ100mm、吐出風速1m/s、幅手の風速分布5%、温度60℃で溶媒を除去した後、引き続き、加熱処理部で温度200℃で加熱処理を行い、電子輸送層を形成した。
(電子注入層の形成)
引き続き、形成された電子輸送層の上に電子注入層を形成した。まず、基材を減圧チャンバーに投入し、5×10−4Paまで減圧した。あらかじめ、真空チャンバーにタンタル製蒸着ボートに用意しておいたフッ化セシウムを加熱し、厚さ3nmの電子注入層を形成した。
(第2電極の形成)
引き続き、形成された電子注入層の上に第1電極の上に取り出し電極になる部分を除き、形成された電子注入層の上に5×10−4Paの真空下にて第2電極形成材料としてアルミニウムを使用し、取り出し電極を有するように蒸着法にて、発光面積が50mm平方になるようにマスクパターン成膜し、厚さ100nmの第2電極を積層した。
(裁断)
第2電極まで形成したガスバリア性フィルムを、再び窒素雰囲気に移動し、規定の大きさに裁断し、有機エレクトロルミネッセンス素子(OLED)試料No.1−1〜4−3を作製した。
(断裁の方法)
断裁の方法として、特に限定するところではないが、紫外線レーザー(例えば、波長266nm)、赤外線レーザー、炭酸ガスレーザー等の高エネルギーレーザーによるアブレーション加工で行うことが好ましい。ガスバリア性フィルムは割れやすい無機の薄膜を有しているため、通常のカッターで断裁すると断細部で亀裂が発生することがある。素子の断裁だけでなく、ガスバリア性フィルム単体での断裁も同様である。更には無機層表面に有機成分を含む保護層を設置することでも断裁時のヒビ割れを抑制することが可能である。
(電極リード接続)
作製した有機EL素子に、ソニーケミカル&インフォメーション素子株式会社製異方性導電フィルムDP3232S9を用いて、フレキシブルプリント基材(ベースフィルム:ポリイミド12.5μm、圧延銅箔18μm、カバーレイ:ポリイミド12.5μm、表面処理NiAuメッキ)を接続した。
圧着条件:温度170℃(別途熱伝対を用いて測定したACF温度140℃)、圧力2MPa、10秒で圧着を行った。
(封止)
電極リード(フレキシブルプリント基材)を接続した有機EL素子を、市販のロールラミネート装置を用いて封止部材を接着し、有機EL素子101を製作した。
なお、封止部材として、実施例1で作製したガスバリア性フィルムの同じ試料No同士を、同じくOPVと同様に、屈曲繰り返しの「有と有」・「無と無」を組み合わせるようにして、ドライラミネーション用の接着剤(2液反応型のウレタン系接着剤)を用いラミネートした(接着剤層の厚み1.5μm)ものを用いた。
上記ドライラミネーション用の接着剤は、バリア層面に熱硬化性接着剤を、ディスペンサを使用して厚み20μmで均一に塗布した構成物を用いた。
熱硬化接着剤としては以下のエポキシ系接着剤を用いた。
ビスフェノールAジグリシジルエーテル(DGEBA)
ジシアンジアミド(DICY)
エポキシアダクト系硬化促進剤
しかる後、封止基板を、取り出し電極および電極リードの接合部を覆うようにして密着・配置して、圧着ロールを用いて圧着条件、圧着ロール温度120℃、圧力0.5MPa、装置速度0.3m/minで密着封止した。
(評価)
<水蒸気透過率の評価>
以下の測定方法により評価した。
装置
蒸着装置:日本電子(株)製真空蒸着装置JEE−400
恒温恒湿度オーブン:Yamato Humidic ChamberIG47M
レーザー顕微鏡:KEYENCE VK−8500
原子間力顕微鏡(AFM):Digital Instruments社製DI3100。
原材料
水分と反応して腐食する金属:カルシウム(粒状)
水蒸気不透過性の金属:アルミニウム(φ3〜5mm、粒状)
水蒸気バリア性評価用セルの作製
あらかじめ、半径10mmの曲率になるように、180度の角度で100回屈曲を繰り返したバリアフィルム試料No.1−1〜4−3のセラミック層面に、真空蒸着装置(日本電子製真空蒸着装置 JEE−400)を用い、透明導電膜を付ける前のバリアフィルム試料の蒸着させたい部分(12mm×12mmを9箇所)以外をマスクし、金属カルシウムを蒸着させた。その後、真空状態のままマスクを取り去り、シート片側全面にアルミニウムをもう一つの金属蒸着源から蒸着させた。アルミニウム封止後、真空状態を解除し、速やかに乾燥窒素ガス雰囲気下で、厚さ0.2mmの石英ガラスに封止用紫外線硬化樹脂(ナガセケムテックス製)を介してアルミニウム封止側と対面させ、紫外線を照射することで、評価用セルを作製した。また、屈曲前後のバリア性の変化を確認するために、上記屈曲の処理を行わなかったバリアフィルムについても同様に、水蒸気バリア性評価用セルを作製した。
得られた両面を封止した試料を60℃、90%RHの高温高湿下で保存し、特開2005−283561号公報記載の方法に基づき、金属カルシウムの腐食量からセル内に透過した水分量を計算し、以下の評価基準で評価した。
なお、バリアフィルム面から以外の水蒸気の透過が無いことを確認するために、比較試料としてバリアフィルム試料の代わりに、厚さ0.2mmの石英ガラス板を用いて金属カルシウムを蒸着した試料を、同様な60℃、90%RHの高温高湿下保存を行い、1000時間経過後でも金属カルシウム腐食が発生しないことを確認した。
5:1×10−5g/m/day未満
4:1×10−5g/m/day以上、1×10−4g/m/day未満
3:1×10−4g/m/day以上、1×10−3g/m/day未満
2:1×10−3g/m/day以上、1×10−2g/m/day未満
1:1×10−2g/m/day以上
得られた結果は、表2の水蒸気透過率の欄に示す。
<有機光電変換素子:OPVの耐久性の評価>
《エネルギー変換効率の評価》
上記作製した屈曲を繰り返したバリアフィルム試料と屈曲を行わなかったバリアフィルム試料No.1−1〜4−3にそれぞれ該当する有機光電変換素子試料No.1−1〜4−3について、ソーラーシミュレーター(AM1.5Gフィルタ)の100mW/cmの強度の光を照射し、有効面積を4.0mmにしたマスクを受光部に重ね、IV特性を評価することで、短絡電流密度Jsc(mA/cm)、開放電圧Voc(V)及びフィルファクターFF(%)を、同素子上に形成した4箇所の受光部をそれぞれ測定し、下記式1に従って求めたエネルギー変換効率PCE(%)の4点平均値を見積もった。
(式1)PCE(%)=〔Jsc(mA/cm)×Voc(V)×FF(%)〕/100mW/cm
初期電池特性としての変換効率を測定し、性能の経時的低下の度合いを温度60℃、湿度90%RH環境で1000時間保存した加速試験後の変換効率残存率により評価した。
加速試験後の変換効率/初期変換効率の比について以下の評価を行った。
5:90%以上
4:70%以上、90%未満
3:40%以上、70%未満
2:20%以上、40%未満
1:20%未満
屈曲を繰り返したバリアフィルム試料No.1−1〜4−3にそれぞれ該当する有機素子試料No.1−1〜4−3それぞれの評価結果を表2の加速試験後の変換効率残存率の欄に示す。尚、屈曲を行わなかったバリアフィルム試料No.1−1〜4−3にそれぞれ該当する有機光電変換素子試料No.1−1〜4−3は、加速試験前後の変換効率残存率に差は認められなかった。
<有機エレクトロルミネッセンス素子:OLEDの耐久性の評価>
《輝度の評価》
上記作製した屈曲を繰り返したバリアフィルム試料と屈曲を行わなかったバリアフィルム試料No.1−1〜4−3にそれぞれ該当するOLED試料No.1−1〜4−3について、100mW時の輝度(cd/m)をコニカミノルタセンシング(株)製の分光放射輝度計 CS−2000A を用い計測した。尚、評価の安定のため10点測定の平均値を求めた。
初期発光特性としての輝度を測定し、性能の経時的低下の度合いを温度60℃、湿度90%RH環境で1000時間保存した加速試験後の輝度残存率により評価した。
加速試験後の輝度/初期の輝度の比(輝度残存率)について以下の評価を行った。
5:90%以上
4:70%以上、90%未満
3:40%以上、70%未満
2:20%以上、40%未満
1:20%未満
屈曲を繰り返したバリアフィルム試料No.1−1〜4−3にそれぞれ該当する有機素子試料No.1−1〜4−3それぞれの評価結果を表2の加速試験後のOLEDの欄に示す。尚、屈曲を行わなかったバリアフィルム試料No.1−1〜4−3にそれぞれ該当するOLED試料No.1−1〜4−3は、加速試験前後の輝度残存率に差は認められなかった。
Figure 0005712509
Figure 0005712509
表1及び表2から明らかなように、本発明のバリアフィルムは、可視光透過率(透明性)と平滑性が高く、ロールtoロール生産可能かつ生産適正があり(生産の熱・時間の負荷が少ない)、更に折り曲げ耐性に優れ、水蒸気透過率も低く、従って、本発明のバリアフィルムを用いて作製した有機光電変換素子及び有機エレクトロルミネッセンス素子は、過酷な環境下での性能劣化が発生し難い。
10 バルクヘテロジャンクション型の有機光電変換素子
11 基板
12 透明電極
13 対極
14 光電変換部(バルクヘテロジャンクション層)
14p p層
14i i層
14n n層
14′ 第1の光電変換部
15 電荷再結合層
16 第2の光電変換部
17 正孔輸送層
18 電子輸送層
20 光センサアレイ
21 基板
22 透明電極
23 対電極
24 光電変換部
24a バッファ層
24b 光電変換層

Claims (5)

  1. 基材上に、パーヒドロポリシラザンを含有する塗布液を塗布した後、真空紫外線の照射処理をして、ケイ素酸化物を含有するバリア層を形成するバリアフィルムの製造方法であって、
    該バリア層の表面から20nmまでの領域の平均密度が2.10g/cm上2.30g/cm以下であり、かつ、該バリア層の表層の十点平均粗さ、Rzjisが90nm以下であることを特徴とするバリアフィルムの製造方法。
  2. 前記バリア層の表層の十点平均粗さ、Rzjisが30nm以下であることを特徴とする請求項1記載のバリアフィルムの製造方法。
  3. 前記バリア層の上に更にバリア層が1〜6層積層することを特徴とする請求項1又は2記載のバリアフィルムの製造方法。
  4. 前記基材がポリエチレンテレフタレート(PET)であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のバリアフィルムの製造方法。
  5. 前記バリアフィルムの400〜800nmにおける可視光透過率が、70%以上、90%以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のバリアフィルムの製造方法。
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