JP2018154012A - 機能性フィルム、及び、電子デバイスの製造方法 - Google Patents

機能性フィルム、及び、電子デバイスの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】機能性層同士が直に接した場合にも、機能の低下を抑制することが可能な機能性フィルムを提供する。【解決手段】基材と、基材の一方の面に形成された表面が無機化合物からなる第1機能性層と、基材の他方の面に形成された第2機能性層とを備え、第1機能性層の粗さ曲線の最大断面高さ(Rt)が、1nm以上50nm以下、且つ、弾性率が10GPa〜25GPaであり、第2機能性層の粗さ曲線の最大断面高さ(Rt)が、30nm以上90nm以下、且つ、弾性率が4GPa〜8GPaである機能性フィルムを構成する。【選択図】図1

Description

本発明は、機能性フィルム、及び、機能性フィルムを用いた電子デバイスの製造方法に係わる。
電子デバイス等に適用される機能性フィルムとして、基材上に機能性層を備える構成が知られている。例えば、基材の両面に、プライマ層、アンカーコート層や、ガスバリア層等の機能性層が形成された機能性フィルムが提案されている(特許文献1参照)。
特開2006−7624号公報
しかしながら、機能性フィルムを用いて電子デバイス等を製造する際、機能性フィルムをロール状に巻回し、張力をかけて巻出して使用する、いわゆるロールトゥロール(Roll to Roll)に上記構成の機能性フィルムを適用すると、基材の両面に形成された機能性層同士が直に接することにより、機能性層が持つ各種の機能が低下する場合がある。例えば、機能性層としてガスバリア層が形成されている場合には、機能性層同士の摩擦によりガスバリア層の表面に傷が入り、バリア性が低下する場合がある。また、直に接する機能性層同士が固着してしまう、いわゆるブロッキングが発生し、ガスバリア層によるバリア性が低下する場合がある。
従って、機能性層同士が直に接した場合においても、機能性層の有する各種機能の低下を抑制することが可能な機能性フィルムが求められている。また、機能性層同士が直に接する処理に機能性フィルムを適用しても、機能性フィルムの各種機能の低下を抑制することが可能な電子デバイスの製造方法が求められている。
上述した問題の解決のため、本発明においては、機能性層同士が直に接した場合にも、機能の低下を抑制することが可能な機能性フィルム、及び、この機能性フィルムを用いた電子デバイスの製造方法を提供する。
本発明の機能性フィルムは、基材と、基材の一方の面に形成された表面が無機化合物からなる第1機能性層と、基材の他方の面に形成された第2機能性層とを備える。そして、第1機能性層の粗さ曲線の最大断面高さ(Rt)が、1nm以上50nm以下、且つ、弾性率が10GPa〜25GPaであり、第2機能性層の粗さ曲線の最大断面高さ(Rt)が、30nm以上90nm以下、且つ、弾性率が4GPa〜8GPaである。
また、本発明の電子デバイスの製造方法は、第1機能性層と前記第2機能性層とが接してロール状に巻回されている上記機能性フィルムを、張力を掛けて巻出して搬送し、機能性フィルム上に電子部材を形成する。
本発明によれば、機能性層同士が直に接した場合にも、機能の低下を抑制することが可能な機能性フィルム、及び、この機能性フィルムを用いた電子デバイスの製造方法を提供することができる。
機能性フィルムの構成を示す図である。 真空プラズマCVD装置の模式図である。 ローラー間放電プラズマCVD装置の一例を示す模式図である。 電子デバイスの製造工程を説明するための図である。
以下、本発明を実施するための形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.機能性フィルムの実施の形態(第1実施形態)
2.電子デバイスの製造方法(第2実施形態)
〈1.機能性フィルムの実施の形態(第1実施形態)〉
機能性フィルムの具体的な実施の形態について説明する。図1に、本実施の形態の機能性フィルムの概略構成図を示す。
図1に示す機能性フィルム10は、基材11と、基材11の第1面側に形成された第1機能性層12と、基材11の第2面側に形成された第2機能性層13とを有する。また、図1に示す機能性フィルム10は、基材11の第1面側に第3機能性層17が形成され、第3機能性層17上に第1機能性層12が形成されている。第1機能性層12は、例えば、基材11側から、第1ガスバリア層14、第2ガスバリア層15(PHPS)、及び、第3ガスバリア層16からなる3層のガスバリア層を有する。
機能性フィルム10の第1面側の表面、すなわち第1機能性層12の第3ガスバリア層16の表面18の粗さ曲線の最大断面高さ(Rt)が1nm以上50nm以下、且つ、弾性率が10GPa〜25GPaである。また、機能性フィルム10の第2面側の表面、すなわち第2機能性層13の表面19の粗さ曲線の最大断面高さ(Rt)が30nm以上90nm以下、且つ、弾性率が4GPa〜8GPaである。
機能性フィルム10は、第1機能性層12の表面18の弾性率の方が、第2機能性層13の表面19の弾性率よりも大きい。すなわち、第2機能性層13の表面19よりも、第1機能性層12の表面18の方が表面の強度が高い。このため、第1機能性層12の表面18と、第2機能性層13の表面19とを直に重ねた際にも、第1機能性層12の表面18に傷が発生しにくい。例えば、第1機能性層12として、ガスバリア層を形成することにより、ガスバリア層に傷が発生しにくくなる。よって、機能性フィルム10において、傷の発生によるガスバリア性の低下が抑制される。
また、第1機能性層12の表面18の粗さ曲線の最大断面高さ(Rt)が1nm以上50nm以下であり、第2機能性層13の表面19の粗さ曲線の最大断面高さ(Rt)が30nm以上90nm以下であれば、第1機能性層12の表面18と、第2機能性層13の表面19とを直に重ねた際に、第2機能性層13の表面19に傷が発生しにくい。これは、第2機能性層13の表面19より第1機能性層12の表面18の強度を高くした場合にも、第2機能性層13の表面19のRtが大きすぎると、第1機能性層12の表面18に傷が入りやすくなる。このため、第2機能性層13の表面19の粗さ曲線の最大断面高さ(Rt)を30nm以上90nm以下とすることが好ましい。また、第2機能性層13の表面19は、第1機能性層12の表面18よりも強度が低いため、第1機能性層12の表面18のRtを第2機能性層13よりも小さくすることにより、第2機能性層13の表面19への傷の発生を抑制することができる。
好ましくは、第1機能性層12の表面18のRtが、第2機能性層13の表面19のRtよりも小さいことにより、第1機能性層12の表面18と第2機能性層13の表面19とを直に重ねた際に、表面18,19に傷が発生しにくくなる。さらに、第1機能性層12の表面18のRtが、第2機能性層13の表面19のRtよりも30nm以上小さいと、第1機能性層12の表面18と第2機能性層13の表面19とを直に重ねた際に、第表面18,19に傷が発生しにくくなる。
例えば、第2機能性層13の表面19に傷が発生すると、第1機能性層12の表面18と、第2機能性層13の表面19とを直に重ねた際に、第2機能性層13の表面19に発生した傷が、第1機能性層12の表面18に傷を与える場合がある。このため、第2機能性層13の表面19の傷の発生を抑制することにより、第1機能性層12の表面18での傷の発生も抑制することができる。
さらに、第2機能性層13の表面19の粗さ曲線の最大断面高さ(Rt)を、30nm以上90nm以下とすることにより、第1機能性層12の表面18と、第2機能性層13の表面19とを直に重ねた際に、第1機能性層12と第2機能性層13とのブロッキングを抑制することができる。このため、ブロッキングによる第1機能性層12、及び、第2機能性層13の機能の低下を抑制することができる。
第1機能性層12の表面18と、第2機能性層13の表面19とを直に重ねた状態としては、例えば、第1機能性層12の表面18と第2機能性層13の表面19とが直に接した状態で機能性フィルム10がロール状に巻回された状態、いわゆるフィルムロールの状態が想定できる。
機能性フィルム10をロール状に巻回する際、及び、フィルムロールから機能性フィルム10を巻出す際に、機能性フィルム10に張力が掛かった状態で、第1機能性層12の表面18と、第2機能性層13の表面19とが接触する。このため、機能性フィルム10の、巻回、巻出しの両方において、機能性フィルム10に掛かる張力により、第1機能性層12の表面18と、第2機能性層13の表面19とが擦れ合う。しかしながら、機能性フィルム10が上記構成を有することにより、第1機能性層12の表面18での傷の発生を抑制することができる。さらに、第1機能性層12と第2機能性層13とのブロッキングを抑制することができる。このため、機能性フィルム10の各種機能の低下を抑制することができる。
機能性フィルム10の好ましい形態としては、ガスバリア性フィルムが挙げられる。この場合には、第1機能性層12がガスバリア層を有し、第2機能性層13が基材11の裏面を保護するハードコート層で有ることが好ましい。ガスバリア性フィルムとしては、40℃90%RHにおける水蒸気透過度が、5×10−4(g/m/day)以下であることが好ましい。これは、機能性フィルム10の作製当初だけでなく、ロール状に巻回さら、さらにフィルムロールから巻出された後にも、機能性フィルム10が上記のガスバリア性を有していることが好ましい。
また、機能性フィルム10は、電子デバイスの製造等に適用される場合には、150〜180℃の高温加工工程に耐える耐熱性が要求される。このため、機能性フィルム10の各機能性層が、高温加工工程後においても機能が低下しないことが好ましい。特に、機能性フィルム10の基材11が樹脂フィルムである場合には、基材11を構成する樹脂フィルムの動的弾性率測定(DMA)における損失弾性率のピーク温度が、140℃以上200℃以下であることが好ましい。
以下、機能性フィルム10の各構成について説明する。なお、以下の説明は、機能性フィルム10の構成の一例であり、これらに限定されない。また、機能性フィルム10は、これら以外の構成を有していてもよい。
[機能性フィルム]
機能性フィルム10は、基材11と、基材11の両面に形成された第1機能性層12、及び、第2機能性層13とを有していればよい。機能性フィルム10において、形成される第1機能性層12、及び、第2機能性層13の種類や、第1機能性層12、及び、第2機能性層13を構成する層の積層数は特に限定されない。また、機能性フィルム10は、基材11、第1機能性層12、及び、第2機能性層13以外の構成を、いずれかの層間に有していてもよい。
[基材]
機能性フィルム10に用いられる基材11としては、例えば、樹脂フィルム等が挙げられる。樹脂フィルムは、バリア層等の機能性層を保持できるフィルムであれば材質、厚み等に特に制限はなく、使用目的等に応じて適宜選択することができる。樹脂フィルムとしては、従来公知の樹脂フィルムを用いることができる。基材11は、複数の材料から形成されていてもよい。樹脂フィルムとしては、特開2013−226758号公報の段落[0124]〜[0136]、国際公開第2013/002026号の段落[0044]〜[0047]等に記載された樹脂フィルムを挙げることができる。
基材11として用いることができる樹脂フィルムのより好ましい具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリシクロオレフィン(COP)が挙げられる。
また、機能性フィルム10に用いられる基材11は、電子デバイスの製造等における高温加工工程に耐える耐熱性を有することが好ましい。このため、基材11としては、動的弾性率測定(DMA)における損失弾性率のピーク温度が、140℃以上200℃以下の樹脂フィルムを用いることが好ましい。このような耐熱性を有する樹脂フィルムとしては、ポリエチレンナフタレート(PEN)が挙げられる。
動的粘弾性は、例えば、エスアイアイ・ナノテクノロジー株式会社製のDMS6200等を用いて、支持体を正弦波モードで引っ張ることで測定できる。測定条件としては、樹脂フィルムを25℃から220℃まで5℃/1分で昇温した後、220℃で5分間保持する。樹脂フィルムへの応力の印加は、1Hzとし、30秒ごとに測定データをサンプリングする。測定結果として、貯蔵弾性率、損失弾性率の温度依存性の曲線が得られ、損失弾性率が上に凸となるピーク温度を求めることができる。
基材11は、樹脂フィルムが単独、又は、複数用いられていてもよく、複数の層から形成されていてもよい。基材11は、枚葉形状及びロール形状に限定されないが、生産性の観点からロールトゥロール方式にも対応できるロール形状が好ましい。また、基材11の厚さは、特に制限されないが、5〜500μm程度が好ましい。
[機能性層]
機能性フィルム10において、第1機能性層12、第2機能性層13、及び、第3機能性層17としては、例えば、バリア層、保護層、平滑層、ブリードアウト層、アンカーコート層、デシカント層等が挙げられる。これらの層は、基材11両面において単層の機能性層として形成されていてもよく、複数層からなる機能性層として形成されていてもよい。
特に、機能性フィルム10において、第1機能性層12、第2機能性層13、及び、第3機能性層17のいずれか1つが、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/(m・24h・atm)以下、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された、水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下のバリア層であることが好ましい。
機能性フィルム10において、第1機能性層12、第2機能性層13、及び、第3機能性層17の機能性層は、それぞれ機能性フィルム10の使用目的に応じて、任意に構成や材料等が選択される。好ましい形態としては、ガスバリア性を有する第1機能性層12がガスバリア層、第2機能性層13が、基材11の保護層として機能するハードコート層、第3機能性層17が、基材11と第1機能性層12との接合性や密着性を向上させるアンカーコート層(易接着層)である機能性フィルム10が挙げられる。
[バリア層]
機能性層を構成するバリア層としては、バリア性を有する層であれば、特に限定されることなく、従来公知の構成を適用することができる。例えば、一般的な無機化合物の気相成膜により形成されたバリア層や、ケイ素化合物を含む塗布液を用いて湿式塗布法によって形成されたバリア層、遷移金属を含むバリア層等が挙げられる。
[バリア層;気相成膜]
無機化合物の気相成膜によって形成されたバリア層(以下、気相成膜バリア層ともいう)は、無機化合物を含む。当該無機化合物としては、特に限定されないが、例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属酸窒化物または金属酸炭化物が挙げられる。無機化合物としては、ガスバリア性能の点で、Si、Al、In、Sn、Zn、Ti、Cu、Ce及びTaから選ばれる1種以上の金属を含む、酸化物、窒化物、炭化物、酸窒化物又は酸炭化物等が好ましい。好適な無機化合物として具体的には、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸炭化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、及び、アルミニウムシリケート等の複合体が挙げられる。無機化合物を含むバリア層は、副次的な成分として、上記の無機化合物以外の元素を含有してもよい。
気相成膜バリア層のガスバリア性は、基材上に上記バリア層を形成した積層体において算出する水蒸気透過率(WVTR)が、0.1g/(m・day)以下であることが好ましい。
気相成膜バリア層の膜厚は、特に制限されないが、5〜1000nmであること好ましい。このような範囲であれば、高いガスバリア性能、折り曲げ耐性、断裁加工適性に優れる。また、気相成膜バリア層は2層以上から構成されてもよい。
気相成膜バリア層を形成するための気相成膜方法としては、特に限定されない。既存の薄膜堆積技術を利用することができる。例えば、従来公知の蒸着法、反応性蒸着法、スパッタ法、反応性スパッタ法、化学気相成長法等の気相成膜法を用いることができる。これらの気相成膜法によるバリア層は、公知の条件を適用して作製することができる。また、上記要件(1)及び(2)を同時に満たすバリア層を形成する方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることができるが、例えば、国際公開第2012/046767号の段落[0049]〜[0069]等に記載の方法を参照することができる。
例えば、化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition:CVD)は、基材上に、目的とする薄膜の成分を含む原料ガスを供給し、基材表面又は気相での化学反応により膜を堆積する方法である。また、化学反応を活性化する目的で、プラズマを発生させる方法等があり、熱CVD法、触媒化学気相成長法、光CVD法、プラズマを励起源としたプラズマCVD法(PECVD法)である真空プラズマCVD法、大気圧プラズマCVD法等の公知のCVD法が挙げられる。特に、PECVD法が好ましい方法である。以下、化学気相成長法の好ましい手法として、真空プラズマCVD法について詳しく説明する。
[真空プラズマCVD法]
真空プラズマCVD法は、プラズマ源を搭載した真空容器に成膜ガスを流入させ、電源からプラズマ源に電力供給する事で真空容器内に放電プラズマを発生させ、プラズマで成膜ガスを分解反応させ、生成された反応種を基材に堆積させる方法である。真空プラズマCVD法により得られる気相成膜バリア層は、原料ガスとなる無機化合物、反応ガス、分解温度、投入電力等の条件を選ぶことで、目的の化合物を製造できるため好ましい。
原材料の無機化合物としては、ケイ素化合物、チタン化合物、及び、アルミニウム化合物等のケイ素を含む化合物及び金属を含む化合物を用いることが好ましい。これら原材料の化合物は、単独でも又は2種以上組み合わせても用いてもよい。
これらの、ケイ素化合物、チタン化合物、及び、アルミニウム化合物として、従来公知の化合物を用いることができる。例えば、公知の化合物としては特開2013−063658号公報の段落[0028]〜[0031]、特開2013−047002号公報の段落[0078]〜[0081]等に記載された化合物を挙げることができる。好ましくは、シラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、等が挙げられる。
また、これらの無機材料を含む原料ガスを分解して無機化合物を得るための反応ガスとしては、水素ガス、メタンガス、アセチレンガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、窒素ガス、アンモニアガス、亜酸化窒素ガス、酸化窒素ガス、二酸化窒素ガス、酸素ガス、及び、水蒸気等が挙げられる。また、上記反応ガスを、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスと混合して用いてもよい。原材料の化合物を含む原料ガスと、反応ガスを適宜選択することで所望の気相成膜バリア層を得ることができる。
(真空プラズマCVD装置)
以下、好適な形態である真空プラズマCVD法について具体的に説明する。図2に、真空プラズマCVD法に適用される、真空プラズマCVD装置の模式図の一例を示す。
図2に示す真空プラズマCVD装置40は、真空槽42を有しており、真空槽42の内部の底面側には、サセプタ44が配置されている。サセプタ44上には、アノード電極41が配置されている。また、真空槽42の内部の天井側には、サセプタ44と対向する位置にカソード電極43が配置されている。真空槽42の外部には、熱媒体循環系46と、真空排気系47と、ガス導入系48と、高周波電源49が配置されている。熱媒体循環系46内には熱媒体が配置されている。熱媒体循環系46には、熱媒体を移動させるポンプと、熱媒体を加熱する加熱装置と、冷却する冷却装置と、熱媒体の温度を測定する温度センサと、熱媒体の設定温度を記憶する記憶装置とを有する加熱冷却装置45が設けられている。
加熱冷却装置45は、熱媒体の温度を測定し、熱媒体を記憶された設定温度まで加熱または冷却し、サセプタ44に供給するように構成されている。図2に記載の真空プラズマCVD装置40の詳細は、国際公開第2012/090644号の段落[0080]〜[0098]等を参照することができる。
[真空プラズマCVD法:ロールトゥロール]
次に、真空プラズマCVD装置の別の形態として、ロールトゥロール(Roll to Roll)方式によるバリア層の成膜方法について説明する。ロールトゥロール方式によって成膜されるバリア層は、炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子を含有し、層厚方向に組成が連続的に変化し、下記要件(1)及び(2)を同時に満たすことが好ましい。
(1)バリア層において、X線光電子分光法による深さ方向の元素分布測定に基づく各構成元素の分布曲線のうち、当該バリア層の層厚方向におけるバリア層表面からの距離と、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量(100at%)に対する炭素原子の量の比率(炭素原子比率(at%))との関係を示す炭素分布曲線が、極値を有し、炭素分布曲線の炭素原子比率の最大の極値(極大値)と最小の極値(極小値)との差が3at%以上である。
(2)バリア層の全層厚の90%以上の領域において、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量(100at%)に対する各原子の平均原子比率が、下記式(A)又は(B)で表される序列の大小関係を有する。
式(A):(炭素平均原子比率)<(ケイ素平均原子比率)<(酸素平均原子比率)
式(B):(酸素平均原子比率)<(ケイ素平均原子比率)<(炭素平均原子比率)
なお、バリア層と基材との界面領域における測定精度は、基材の構成原子のノイズ等でやや精度が低下するため、上記要件(2)においては、バリア層の全層厚の90〜95%の範囲内の領域で上記式(A)又は式(B)で規定する関係を満たすことが好ましい。ここで、バリア層の膜厚の少なくとも90%以上とは、バリア層中で連続していなくてもよく、単に90%以上の部分で下記式(A)又は式(B)で規定する関係を満たしていればよい。
(X線光電子分光法による深さ方向の元素分布測定)
バリア層内における炭素原子の含有比率の平均値は、以下のXPSデプスプロファイルの測定によって求めることができる。
バリア層の層厚方向におけるケイ素分布曲線、酸素分布曲線、及びケイ素分布曲線等は、X線光電子分光法(XPS:Xray Photoelectron Spectroscopy)の測定と、アルゴン等の希ガスイオンスパッタとを併用することにより、試料内部を露出させつつ順次表面組成分析を行う、いわゆるXPSデプスプロファイル測定により作成することができる。このようなXPSデプスプロファイル測定により得られる分布曲線は、例えば、縦軸を各元素の原子比(単位:at%)とし、横軸をエッチング時間(スパッタ時間)として作成することができる。なお、このように横軸をエッチング時間とする元素の分布曲線においては、エッチング時間が、バリア層の層厚方向におけるバリア層の表面からの距離におおむね相関する。このため、XPSデプスプロファイル測定の際に採用したエッチング速度とエッチング時間との関係から算出される、バリア層の表面からの距離を「バリア層の層厚方向におけるバリア層の表面からの距離」として採用することができる。また、このようなXPSデプスプロファイル測定に際して採用するスパッタ法としては、以下の測定条件とすることが好ましい。
(測定条件)
エッチングイオン種:アルゴン(Ar
エッチング速度(SiO熱酸化膜換算値):0.05nm/sec
エッチング間隔(SiO換算値):10nm
X線光電子分光装置:Thermo Fisher Scientific社製、機種名"VG Theta Probe"
照射X線:単結晶分光AlKα
X線のスポットおよびそのサイズ:800×400μmの楕円形
炭素分布曲線は実質的に連続であることが好ましい。ここで、炭素分布曲線が実質的に連続とは、具体的には、エッチング速度とエッチング時間とから算出されるバリア層のうちの少なくとも1層の膜厚方向における該バリア層の表面からの距離(x、単位:nm)と、炭素の原子比(C、単位:at%)との関係において、[(dC/dx)≦0.5]で表される条件を満たすことをいう。
(バリア層における炭素元素プロファイル)
バリア層は、バリア層の構成元素として炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子を含む。そして、層厚方向に組成が連続的に変化し、X線光電子分光法による深さ方向の元素分布測定に基づく各構成元素の分布曲線のうち、炭素分布曲線が、上記要件(1)を満たす。また、炭素原子比率がバリア層の特定の領域において、濃度勾配を有して連続的に変化する構成を有することが、ガスバリア性と屈曲性を両立する観点から好ましい。
このような炭素原子分布プロファイルを有するバリア層においては、層内における炭素分布曲線が少なくとも1つの極値を有し、更に、少なくとも2つの極値を有することがより好ましく、少なくとも3つの極値を有することが特に好ましい。炭素分布曲線が極値を有すると、得られるバリア層のフィルムを屈曲させた場合におけるガスバリア性が十分発揮できる。また、少なくとも2つ又は3つの極値を有する場合においては、炭素分布曲線が有する1つの極値とこれに隣接する極値との厚さ方向の距離の差の絶対値が200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、75nm以下であることが特に好ましい。
なお、上記分布曲線の極値とは、バリア層の厚さ方向において、バリア層の表面からの距離に対する元素の原子比率の極大値又は極小値である。極大値とは、バリア層の表面からの距離を変化させた場合に元素の原子比率の値が増加から減少に変わる変曲点であり、且つ、その変曲点の位置から厚さ方向に4〜20nm変化させた位置の元素の原子比率の値が3at%以上減少する点のことをいう。また、極小値とは、バリア層の表面からの距離を変化させた場合に元素の原子比の値が減少から増加に変わる変曲点であり、且つ、その変曲点の位置から厚さ方向に4〜20nm変化させた位置の元素の原子比率の値が3at%以上増加する点のことをいう。すなわち、極大値及び極小値は、厚さ方向の位置を4〜20nmの範囲で変化させた際に、いずれかの範囲で元素の原子比の値が3at%以上減少又は増加する点である。
(バリア層における各元素プロファイル)
バリア層においては、構成元素として炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子を含有することを特徴とするが、それぞれの原子の比率と、最大値及び最小値についての好ましい態様を、以下に説明する。
(炭素原子比率の最大値と最小値の関係)
バリア層では、炭素分布曲線における炭素原子比率の最大の極値(極大値)と最小の極値(極小値)の差が3at%以上であることが好ましく、5at%以上であることがより好ましい。炭素原子比率の最大値及び最小値の差を3at%以上とすることにより、作製したバリア層を屈曲させた際のガスバリア性が十分得られる。最大値及び最小値の差が5at%以上であれば、得られるバリア層のフィルムを屈曲させた場合におけるガスバリア性がより向上する。
(酸素原子比率の最大値と最小値の関係)
バリア層においては、酸素分布曲線における最大の極値(極大値)と最小の極値(極小値)の差の絶対値が3at%以上であることが好ましく、5at%以上であることがより好ましい。
(ケイ素原子比率の最大値と最小値の関係)
バリア層においては、ケイ素分布曲線における最大の極値(極大値)と最小の極値(極小値)の差の絶対値が10at%未満であることが好ましく、5at%未満であることがより好ましい。最大の極値(極大値)と最小の極値(極小値)の差が10at%未満であれば、得られるバリア層のガスバリア性及び機械的強度が得られる。
また、膜面全体の均一性やガスバリア性を向上させるためには、バリア層が膜面方向(バリア層の表面に平行な方向)で実質的に一様であることが好ましい。バリア層が膜面方向において実質的に一様とは、XPSデプスプロファイル測定によりバリア層の膜面の任意の2箇所の測定箇所について酸素分布曲線、炭素分布曲線、及び、酸素−炭素合計の分布曲線を作成した場合に、その任意の2箇所の測定箇所において得られる炭素分布曲線が持つ極値の数が同じであり、それぞれの炭素分布曲線における炭素の原子比率の最大値及び最小値の差の絶対値が、互いに同じであるか、又は、5at%以内の差であることをいう。
バリア層では、上記要件(1)及び(2)を同時に満たすバリア層を少なくとも1層備えることが好ましいが、そのような条件を満たす層を、2層以上を備えていてもよい。さらに、バリア層を2層以上備える場合には、複数のバリア層の材質は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
また、ケイ素分布曲線、酸素分布曲線及び炭素分布曲線において、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対するケイ素原子比率は、19〜40at%の範囲であることが好ましく、30〜40at%の範囲であることがより好ましい。また、バリア層中におけるケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する酸素原子比率は、33〜67at%の範囲であることが好ましく、41〜62at%の範囲であることがより好ましい。さらに、バリア層中におけるケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する炭素原子比率は、1〜19at%の範囲であることが好ましく、3〜19at%の範囲であることがより好ましい。
上記したバリア層のその他の構成については、国際公開第2012/046767号の段落[0025]〜[0047]、特開2014−000782号公報の段落[0029]〜[0040]等に記載された構成を適宜参照及び採用することができる。
(バリア層の厚さ)
バリア層の厚さは、5〜1000nmの範囲内であることが好ましく、10〜800nmの範囲内であることより好ましく、100〜500nmの範囲内であることが特に好ましい。バリア層の厚さが範囲内であれば、酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性等のガスバリア性に優れ、屈曲された状態でも良好なガスバリア性が得られる。さらに、バリア層の厚さの合計値が範囲内であると、上記効果に加えて所望の平面性を実現することができる。
(ローラー間放電プラズマCVD装置)
緻密に元素分布が制御させたバリア層を形成することができる観点からは、有機ケイ素化合物を含む原料ガスと酸素ガスとを用いて、磁場を印加したローラー間に放電空間を有する放電プラズマ化学気相成長法により形成する方法が好ましい。
より詳しくは、磁場を印加したローラー間放電プラズマ処理装置を用い、基材を一対の成膜ローラーに巻き回し、この一対の成膜ローラー間に成膜ガスを供給しながらプラズマ放電する、プラズマ化学気相成長法でバリア層を形成することが好ましい。また、このように一対の成膜ローラー間に磁場を印加しながら放電する際には、一対の成膜ローラー間の極性を交互に反転させることが好ましい。このように、一対の成膜ローラーを用い、その一対の成膜ローラー上に基材を巻き回して、かかる一対の成膜ローラー間にプラズマ放電することにより、基材と成膜ローラーとの間の距離が変化し、プラズマ強度が異なることによって、炭素原子比率が濃度勾配を有し、かつ層内で連続的に変化するようなバリア層を形成することが可能となる。
また、成膜時に一方の成膜ローラー上に存在する基材の表面部分を成膜しつつ、かつ、もう一方の成膜ローラー上に存在する樹脂基材の表面部分も同時に成膜することが可能となる。すなわち、成膜効率を倍にでき、且つ、同じ構造の膜が成膜されるため、炭素分布曲線の極値を倍増させることが可能となり、効率よく上記要件(1)及び(2)を同時に満たすバリア層を形成することが可能となる。
上述のプラズマCVD法によりバリア層を製造する際に用いることができる成膜装置としては特に制限されないが、例えば、図3に示す製造装置を用いた場合には、プラズマCVD法を利用しながら、ロールトゥロール方式でバリア層を製造することができる。以下、図3を参照しながら、バリア層の製造方法についてより詳細に説明する。なお、図3は、バリア層の製造において好適に利用することができる磁場を印加したローラー間放電プラズマCVD装置の一例を示す模式図である。
図3に示す磁場を印加したローラー間放電プラズマCVD装置(以下、単にプラズマCVD装置ともいう。)50は、主には、繰り出しローラー51と、搬送ローラー52、搬送ローラー54、搬送ローラー55及び搬送ローラー57と、成膜ローラー53及び成膜ローラー56と、成膜ガス供給管59と、プラズマ発生用電源63と、成膜ローラー53,56の内部に設置された磁場発生装置61及び磁場発生装置62と、巻取りローラー58とを備えている。また、このようなプラズマCVD製造装置においては、少なくとも成膜ローラー53,56と、成膜ガス供給管59と、プラズマ発生用電源63と、磁場発生装置61,62とが、図示を省略した真空チャンバー内に配置されている。また、図3においては、成膜ローラー53,56にプラズマ発生用電源63に接続された電極ドラムが設置される。更に、このようなプラズマCVD製造装置において、真空チャンバー(不図示)は、真空ポンプ(不図示)に接続されており、この真空ポンプにより真空チャンバー内の圧力を適宜調整することが可能となっている。
このようなプラズマCVD製造装置においては、一対の成膜ローラー(成膜ローラー53と成膜ローラー56)を一対の対向電極として機能させることが可能となるように、各成膜ローラーがそれぞれプラズマ発生用電源63に接続されている。対の成膜ローラーに、プラズマ発生用電源63より電力を供給することにより、成膜ローラー53と成膜ローラー56との間の空間に放電し、プラズマを発生させることができる。このようなプラズマCVD製造装置においては、一対の成膜ローラー53,56は、その中心軸が同一平面上において略平行となるようにして配置することが好ましい。このようにして、一対の成膜ローラー53,56を配置することにより、成膜レートを倍にでき、尚かつ、同じ構造の膜を成膜できる。
また、成膜ローラー53及び成膜ローラー56の内部には、成膜ローラーが回転しても回転しないようにして固定された磁場発生装置61及び磁場発生装置62がそれぞれ設けられている。
さらに、成膜ローラー53及び成膜ローラー56としては、適宜公知のローラーを用いることができ、より効率よく薄膜を形成することができる観点から、直径が同一のものを使うことが好ましい。また、このようなプラズマCVD製造装置に用いる繰り出しローラー51及び搬送ローラー52,54,55,57としては、公知のローラーを適宜選択して用いることができる。また、巻取りローラー58も、バリア層を形成した基材60を巻き取ることが可能なものであればよく、特に制限されず、適宜公知のローラーを用いることができる。
成膜ガス供給管59としては、原料ガス及び酸素ガスを所定の速度で供給又は排出することが可能なものを適宜用いることができる。さらに、プラズマ発生用電源63としては、従来公知のプラズマ発生装置の電源を用いることができる。このようなプラズマ発生用電源63としては、効率よくプラズマCVD法を実施することが可能となることから、一対の成膜ローラーの極性を交互に反転させることが可能なもの(交流電源など)を利用することが好ましい。また、このようなプラズマ発生用電源63としては、印加電力を100W〜10kWの範囲とすることができ、かつ交流の周波数を50Hz〜500kHzの範囲とすることが可能なものであることがより好ましい。また、磁場発生装置61,62としては、適宜公知の磁場発生装置を用いることができる。
図3に示すプラズマCVD装置50を用いて、例えば、原料ガスの種類、プラズマ発生装置の電極ドラムの電力、磁場発生装置の強度、真空チャンバー内の圧力(減圧度)、成膜ローラーの直径、樹脂基材の搬送速度等を適宜調整することにより、所望のバリア層を製造することができる。
図3に示すプラズマCVD装置50において、成膜ガス(原料ガス等)を真空チャンバー内に供給し、一対の成膜ローラー53,56間に、磁場を発生させながらプラズマ放電を行うことにより、成膜ガス(原料ガス等)がプラズマによって分解され、成膜ローラー53が保持する基材60の表面上、及び、成膜ローラー56が保持する基材60の表面上に、バリア層が形成される。なお、このような成膜に際しては、基材60が繰り出しローラー51、搬送ローラー52,54,55,57、巻取りローラー58、及び、成膜ローラー53、56等で搬送されることにより、ロールトゥロール方式の連続的な成膜プロセスでバリア層を形成することができる。
(原料ガス)
プラズマ化学気相成長法に用いる成膜ガスとしては、有機ケイ素化合物を含む原料ガスと酸素ガスとを用い、その成膜ガス中の酸素ガスの含有量は、成膜ガス中の有機ケイ素化合物の全量を完全酸化するのに必要な理論酸素量以下であることが好ましい。
バリア層の作製に用いる成膜ガスを構成する原料ガスとしては、少なくともケイ素を含有する有機ケイ素化合物を用いることが好ましい。バリア層の作製に適用可能な有機ケイ素化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。これらの有機ケイ素化合物の中でも、成膜での取り扱い及び得られるバリア層のガスバリア性等の観点から、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンが好ましい。また、これらの有機ケイ素化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
また、成膜ガスは、原料ガスの他に反応ガスとして、酸素ガスを含有することができる。酸素ガスは、原料ガスと反応して酸化物等の無機化合物となるガスである。成膜ガスとしては、原料ガスを真空チャンバー内に供給するために、必要に応じて、キャリアガスを用いてもよい。さらに、成膜ガスとしては、プラズマ放電を発生させるために、必要に応じて、放電用ガスを用いてもよい。このようなキャリアガス及び放電用ガスとしては、適宜公知のものを使用することができ、例えば、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン等の希ガスや水素ガスを用いることができる。
このような成膜ガスが、ケイ素を含有する有機ケイ素化合物を含む原料ガスと酸素ガスを含有する場合、原料ガスと酸素ガスの比率としては、原料ガスと酸素ガスとを完全に反応させるために理論上必要となる酸素ガスの量の比率よりも、酸素ガスの比率を過剰にし過ぎないことが好ましい。これについては、例えば、国際公開第2012/046767号等の記載を参照することができる。
(真空度)
真空チャンバー内の圧力(真空度)は、原料ガスの種類等に応じて適宜調整することができるが、0.5〜100Paの範囲とすることが好ましい。
(ローラー成膜)
図3に示すプラズマCVD装置50を用いたプラズマCVD法においては、成膜ローラー53,56間に放電するために、プラズマ発生用電源63に接続された電極ドラムに印加する電力は、原料ガスの種類や真空チャンバー内の圧力等に応じて適宜調整することができる。電極ドラムに印加する電力としては、例えば、0.1〜10kWの範囲内とすることが好ましい。このような範囲の印加電力であれば、パーティクル(不正粒子)の発生も見られず、成膜時に発生する熱量も制御範囲内であるため、成膜時の基材表面温度の上昇による、樹脂基材の熱変形、熱による性能劣化や成膜時の皺の発生もない。
プラズマCVD装置50において、基材60の搬送速度(ライン速度)は、原料ガスの種類や真空チャンバー内の圧力等に応じて適宜調整することができるが、0.25〜100m/minの範囲内とすることが好ましく、0.5〜20m/minの範囲内とすることがより好ましい。ライン速度が範囲内であれば、樹脂基材の熱に起因する皺も発生し難く、形成されるバリア層の厚さも十分に制御可能となる。
[バリア層;湿式塗布]
ケイ素化合物を含む塗布液を用いて湿式塗布法によって形成されたバリア層としては、ポリシラザン化合物を含む塗布液を公知の湿式塗布法により塗布したのち、塗膜に改質処理を行って形成したバリア層が挙げられる。
(ポリシラザン化合物)
バリア層の形成に用いるポリシラザン化合物とは、構造内にケイ素−窒素結合を持つポリマーで、酸窒化ケイ素の前駆体となるポリマーであり、下記一般式(1)の構造を有するものが好ましく用いられる。
Figure 2018154012
式中、R、R、及びRは、各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、又はアルコキシ基を表す。
得られるバリア層の膜としての緻密性の観点からは、R、R及びRの全てが水素原子であるパーヒドロポリシラザンを用いることが好ましい。その他、ポリシラザンの詳細については、特開2013−255910号公報の段落[0024]〜[0040]、特開2013−188942号公報の段落[0037]〜[0043]、特開2013−151123号公報の段落[0014]〜[0021]、特開2013−052569号公報の段落[0033]〜[0045]、特開2013−129557号公報の段落[0062]〜[0075]、特開2013−226758号公報の段落[0037]〜[0064]等を参照することができる。
ポリシラザンは、有機溶媒に溶解した溶液の状態で市販されており、市販品をそのままポリシラザン含有塗布液として使用することができる。ポリシラザン溶液の市販品としては、AZエレクトロニックマテリアルズ社製のNN120−20、NAX120−20、NL120−20等が挙げられる。
(ポリシラザン化合物を用いたバリア層の形成方法)
ポリシラザン化合物を含有する溶液を用いた塗膜は、ポリシラザン化合物と添加元素化合物を含有する溶液を、基材の上等に塗布して形成することができる。塗布液を塗布する方法としては、任意の適切な方法を採用できる。具体的には例えば、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。塗布液を塗布した後は、塗膜を乾燥させることが好ましい。塗膜を乾燥することによって、塗膜中に含有される有機溶媒を除去することができる。塗膜の形成方法については、特開2014−151571号公報の段落[0058]〜[0064]、特開2011−183773号公報の段落[0052]〜[0056]等を参照することができる。
(改質処理)
改質処理とは、ポリシラザン化合物の酸化ケイ素または酸化窒化珪素への転化反応をいう。改質処理は、ポリシラザン化合物の転化反応に基づく公知の方法を選ぶことができる。改質処理は、低温で転化反応が可能な、プラズマやオゾンや紫外線を使う転化反応が好ましい。プラズマやオゾンや紫外線を使う転化反応は、従来公知の方法を用いることができる。改質処理は、ポリシラザン化合物含有液の塗膜に、波長200nm以下の真空紫外線(VUV)を照射して行うことが好ましい。
バリア層の厚さは、1〜500nmの範囲が好ましい、より好ましくは10〜300nmの範囲であるが、バリア層全体が改質層であってもよく、改質処理された改質層の厚さが1〜50nm、好ましくは1〜10nmであってもよい。
(真空紫外線光処理)
ポリシラザン化合物を含む塗膜にVUVを照射する工程では、ポリシラザンの少なくとも一部が酸窒化ケイ素へと改質されることが好ましい。VUV照射工程において、ポリシラザン化合物を含む塗膜が受ける塗膜面でのVUVの照度は30〜200mW/cmの範囲であることが好ましく、50〜160mW/cmの範囲であることがより好ましい。VUVの照度を30mW/cm以上とすることで、改質効率を十分に奏することができ、200mW/cm以下では、塗膜への損傷発生率を極めて抑え、基材への損傷も低減させることができる。
ポリシラザン化合物を含む塗膜の表面におけるVUVの照射エネルギー量は、200〜10000mJ/cmの範囲であることが好ましく、500〜5000mJ/cmの範囲であることがより好ましい。VUVの照射エネルギー量を200mJ/cm以上とすることで、ポリシラザンの改質が十分に行われる。また、10000mJ/cm以下とすることにより、過剰改質を抑えてバリア層のクラックや、基材の熱変形の発生を極力抑えることができる。
真空紫外光源としては、希ガスエキシマランプが好ましく用いられる。
真空紫外線は、酸素による吸収があるため紫外線照射工程での効率が低下しやすいことから、VUVの照射は、可能な限り酸素濃度の低い状態で行うことが好ましい。すなわち、VUV照射時の酸素濃度は、10〜10000ppmの範囲とすることが好ましく、より好ましくは50〜5000ppmの範囲、さらに好ましく80〜4500ppmの範囲、最も好ましくは100〜1000ppmの範囲である。
また、VUV明射時に用いられる、照射雰囲気を満たすガスとしては乾燥不活性ガスとすることが好ましく、特にコストの観点から乾燥窒素ガスにすることが好ましい。酸素濃度の調整は照射庫内へ導入する酸素ガス、不活性ガスの流量を計測し、流量比を変えることで調整可能である。
これらの改質処理は、例えば、特開2012−086394号公報の段落[0055]〜[0091]、特開2012−006154号公報の段落[0049]〜[0085]、特開2011−251460号公報の段落[0046]〜[0074]等に記載の内容を参照することができる。
(中間層)
バリア層を積層する場合には、各バリア層の間に中間層を設けることが好ましい。中間層としては、ポリシロキサン改質層を適用することが好ましい。ポリシロキサン改質層は、ポリシロキサンを含有した塗布液を湿式塗布法によりバリア層上に塗布して乾燥した後、その乾燥した塗膜に真空紫外光を照射することによって形成することができる。
中間層形成用の塗布液の塗布方法としては、スピンコート、ディッピング、ローラーブレード、スプレー法などが挙げられる。真空紫外光としては、上述したポリシラザン化合物の改質処理に用いたVUV照射を用いることが好ましい。
中間層を形成するために用いる塗布液は、主には、ポリシロキサン及び有機溶媒を含有する。中間層の形成に適用可能なポリシロキサンとしては、特に制限はないが、下記一般式(2)で表されるオルガノポリシロキサンが特に好ましい。
Figure 2018154012
上記一般式(2)において、R〜Rは、各々同一又は異なる炭素数1〜8の有機基を表す。ここで、R〜Rの少なくとも1つの基は、アルコキシ基及び水酸基のいずれかを含む。mは1以上の整数である。
上記一般式(2)において、mが1以上で、かつ、ポリスチレン換算の重量平均分子量が1000〜20000であるオルガノポリシロキサンが特に好ましい。オルガノポリシロキサンのポリスチレン換算の重量平均分子量が、1000以上であれば、形成する中間層に亀裂が生じ難く、ガスバリア性を維持することができ、20000以下であれば、形成される中間層の硬化が充分となり、そのため得られる中間層として十分な硬度が得られる。
中間層の乾燥膜厚としては、100nm〜10μmの範囲が好ましく、50nm〜1μmであることがより好ましい。中間層の膜厚が100nm以上であれば、十分なガスバリア性を確保することができる。また、中間層の膜厚が10μm以下であれば、中間層形成時に安定した塗布性を得ることができる。
その他、ポリシロキサンの詳細については、特開2013−151123号公報の段落[0028]〜[0032]、特開2013−086501号公報の段落[0050]〜[0064]、特開2013−059927号公報の段落[0063]〜[0081]、特開2013−226673号公報の段落[0119]〜[0139]等を参照することができる。
[バリア層;遷移金属含有層]
また、バリア層としては、遷移金属(M2)含有層と、遷移金属以外の無機元素(M1)含有層との積層形態であることが好ましい。無機材料(M1)含有層としては、上記ケイ素化合物を含む塗布液を用いて湿式塗布法によって形成されたバリア層が好ましい。
遷移金属含有層と遷移金属以外の無機元素含有層との積層形態からなるバリア層は、少なくとも厚さ方向において、無機元素M1及び遷移金属M2を含有する混合領域を有し、混合領域における無機元素M1に対する遷移金属M2の原子数比の値(M2/M1)が、0.02〜49の範囲内にある領域を、厚さ方向に連続して5nm以上有することが好ましい。
さらに、上記バリア層において遷移金属含有層は、第3族〜第11族の遷移金属を主成分aとして含有するA領域と、第12族〜第14族の無機元素を主成分bとして含有するB領域との間に、主成分a及び主成分bに由来する化合物を含有する混合領域を有することが好ましい。
無機元素M1及び遷移金属M2を含有する混合領域では、遷移金属M2と無機元素M1に加えて酸素が含有されていることが好ましい。また、この混合領域は、遷移金属の酸化物と無機元素の酸化物との混合物、又は、遷移金属M2と無機元素M1との複合酸化物の少なくとも一方を含有することが好ましく、遷移金属M2と無機元素M1との複合酸化物を含有することがより好ましい。
(遷移金属(M2)含有層:A領域)
遷移金属(M2)含有層におけるA領域とは、金属として遷移金属M2を主成分aとして含有する領域をいう。
遷移金属M2としては、特に制限されず、任意の遷移金属を単独で又は組み合わせて用いることができる。ここで、遷移金属とは、長周期型周期表の第3族元素から第11族元素を指し、遷移金属としては、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Pd、Ag、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、及びAuなどが挙げられる。
なかでも、良好なバリア性が得られる遷移金属M2としては、Nb、Ta、V、Zr、Ti、Hf、Y、La、Ce等が挙げられる。これらのなかでも、種々の検討結果から、特に第5族元素であるNb、Ta、Vが、バリア層に含有される無機元素M1に対する結合が生じやすい観点から、好ましく用いることができる。
特に、遷移金属M2が第5族元素(特に、Nb)であって、詳細は後述する無機元素M1がSiであると、著しいバリア性の向上効果を得ることができ、特に好ましい組み合わせである。これは、Siと第5族元素(特に、Nb)との結合が特に生じやすいためであると考えられる。さらに、光学特性の観点から、遷移金属M2は、透明性が良好な化合物が得られるNb、Taが特に好ましい。
A領域の厚さとしては、バリア性と光学特性との両立の観点から、2〜50nmの範囲であることが好ましく、4〜25nmの範囲であることがより好ましく、5〜15nmの範囲であることがさらに好ましい。
(無機元素(M1)含有層:B領域)
無機元素(M1)含有層におけるB領域とは、遷移金属以外の無機材料を主成分bとして含有する領域をいう。無機元素M1としては、長周期型周期表の第12族〜第14族の金属から選択される無機元素が好ましい。無機元素M1としては、特に制限されず、第12族〜第14族の任意の金属を単独で又は組み合わせて用いることができるが、例えば、Si、Al、Zn、In及びSnなどが挙げられる。なかでも、無機元素M1として、Si、Sn又はZnを含むことが好ましく、Siを含むことがより好ましく、Si単独であることが特に好ましい。
B領域の厚さとしては、バリア性と生産性との両立の観点から、10〜1000nmの範囲であることが好ましく、20〜500nmの範囲であることがより好ましく、50〜300nmの範囲であることがさらに好ましい。
(混合領域)
混合領域は、長周期型周期表の第12族〜第14族の金属から選択される無機元素M1、及び、第3族元素から第11族の金属から選択される遷移金属M2が含有されている領域であって、無機元素M1に対する無機元素M2の原子数比の値(M2/M1)が、0.02〜49の範囲内にある混合領域を、厚さ方向に連続して5nm以上有する領域である。ここで、混合領域は、構成成分の化学組成が相互に異なる複数の領域として形成されていてもよく、また、構成成分の化学組成が連続して変化している領域として形成されていてもよい。
(酸素欠損組成)
上記混合領域において、一部の組成は、酸素が欠損した非化学量論的組成(酸素欠損組成)であることが好ましい。酸素欠損組成とは、混合領域の組成を下記化学組成式(1)で表したとき、下記関係式(2)で規定する条件を満たすことをいう。また、混合領域における酸素欠損程度を表す酸素欠損度指標としては、混合領域における[(2y+3z)/(a+bx)]を算出して得られる値の最小値を用いる。
化学組成式(1):(M1)(M2)
関係式(2):(2y+3z)/(a+bx)<1.0
なお、上記化学組成式式(1)及び関係式(2)において、M1は無機元素、M2は遷移金属、Oは酸素、Nは窒素を表す。x、y、zは、それぞれ化学量論係数であり、aはM1の最大価数、bはM2の最大価数を表す。また、以降の説明では、特別の区別が必要ない場合、上記化学組成式(1)で表す組成を、単に複合領域の組成と言う。
上述したように、無機元素M1と遷移金属M2との複合領域の組成は、化学組成式(1)である(M1)(M2)で示される。この組成からも明らかなように、上記複合領域の組成は、一部窒化物の構造を含んでいてもよく、窒化物の構造を含んでいる方がバリア性の観点から好ましい。
ここでは、無機元素M1の最大価数をa、遷移金属M2の最大価数をb、Oの価数を2、Nの価数を3とする。そして、上記複合領域の組成(一部が窒化物となっていてもよい)が化学量論的組成になっている場合は、[(2y+3z)/(a+bx)=1.0]となる。この式は、無機元素M1及び遷移金属M2の結合手の合計と、O、Nの結合手の合計とが同数であることを意味し、この場合、無機元素M1及び遷移金属M2ともに、O及びNのいずれか一方と結合していることになる。なお、無機元素M1として2種以上が併用される場合や、遷移金属M2として2種以上が併用される場合には、各元素の最大価数を各元素の存在比率によって加重平均することにより算出される複合価数を、それぞれの「最大価数」のa及びbの値として採用する。
一方、混合領域において、関係式(2)で示す[(2y+3z)/(a+bx)<1.0]となる場合には、無機元素M1及び遷移金属M2の結合手の合計に対して、O、Nの結合手の合計が不足していることを意味し、この様な状態が上記の「酸素欠損」である。酸素欠損状態においては、無機元素M1及び遷移金属M2の余った結合手は互いに結合する可能性を有しており、無機元素M1や遷移金属M2の金属同士が直接結合すると、金属の間にOやNを介して結合した場合よりも緻密で高密度な構造が形成され、その結果として、バリア性が向上すると考えられる。
また、混合領域は、xの値が、[0.02≦x≦49(0<y、0≦z)]を満たす領域である。これは、遷移金属M2/無機元素M1の原子数比率の値が0.02〜49の範囲内にあり、厚さが5nm以上である領域と定義する、としたことと同一の定義である。
この領域では、無機元素M1及び遷移金属M2の双方が金属同士の直接結合に関与することから、この条件を満たす混合領域が所定値以上(5nm)の厚さで存在することで、バリア性の向上に寄与すると考えられる。なお、無機元素M1及び遷移金属M2の存在比率が近いほどバリア性の向上に寄与すると考えられることから、混合領域は、[0.1≦x≦10]を満たす領域を5nm以上の厚さで含むことが好ましく、[0.2≦x≦5]を満たす領域を5nm以上の厚さで含むことがより好ましく、[0.3≦x≦4]を満たす領域を5nm以上の厚さで含むことが更に好ましい。
ここで、上述した混合領域の範囲内に、関係式(2)で示す[(2y+3z)/(a+bx)<1.0]の関係を満たす領域が存在すれば、バリア性の向上効果が発揮されることが確認されるが、混合領域は、その組成の少なくとも一部が[(2y+3z)/(a+bx)≦0.9]を満たすことが好ましく、[(2y+3z)/(a+bx)≦0.85]を満たすことがより好ましく、[(2y+3z)/(a+bx)≦0.8]を満たすことがさらに好ましい。ここで、混合領域における[(2y+3z)/(a+bx)]の値が小さくなるほど、バリア性の向上効果は高くなるが、可視光の吸収が大きくなる。従って、透明性が望まれる用途に使用するバリア層の場合には、[0.2≦(2y+3z)/(a+bx)]であることが好ましく、[0.3≦(2y+3z)/(a+bx)]であることがより好ましく、[0.4≦(2y+3z)/(a+bx)]であることがさらに好ましい。
なお、良好なバリア性が得られる混合領域の厚さは、後述するXPS分析法におけるSiO換算のスパッタ厚さとして、5nm以上であり、この厚さは、8nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、20nm以上であることがさらに好ましい。混合領域の厚さは、バリア性の観点からは特に上限はないが、光学特性の観点から、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることがさらに好ましい。
(XPSによる組成分析と混合領域の厚さの測定)
バリア層の混合領域や、A領域及びB領域における組成分布や各領域の厚さ等は、上述のX線光電分光法(X−ray Photoelectron Spectroscopy、略称:XPS)を用いて測定することにより求めることができる。
[ハードコート層]
基材11が表面にハードコート層を有することにより、機能性フィルム10の耐久性や平滑性が向上する。ハードコート層は、硬化型樹脂から形成されていることが好ましい。硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ビニルベンジル樹脂等の熱硬化型樹脂、紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシ樹脂等の活性エネルギー線硬化型樹脂が挙げられる。
また、ハードコート層には、耐傷性、滑り性や屈折率を調整するために、酸化珪素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等の無機化合物の微粒子、又は、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、シリコーン系樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、ポリ弗化エチレン系樹脂粉末等の紫外線硬化性樹脂組成物を加えることができる。また、ハードコート層の耐熱性を高めるために、光硬化反応を抑制しないような酸化防止剤を選んで用いることができる。更にハードコート層は、シリコーン系界面活性剤、ポリオキシエーテル化合物、フッ素−シロキサングラフトポリマーを含有してもよい。
ハードコート層を形成するための塗布液に含有される有機溶媒としては、例えば、炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン等)、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチル等)、グリコールエーテル類、その他の有機溶媒の中から適宜選択し、またはこれらを混合し利用できる。また、塗布液に含有される硬化型樹脂含量は、例えば、5〜80質量%である。
ハードコート層は、上記塗布液を用いて、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法等公知の湿式塗布方法で塗設することができる。塗布液の層厚としては、例えば0.1〜30μmである。また、基材11に塗布液を塗布する前に、あらかじめ基材11に真空紫外線照射等の表面処理を行うことが好ましい。
塗布液を塗布して形成した塗膜には、紫外線等の活性エネルギー線を照射して樹脂を硬化させる。これにより、ハードコート層を形成する。硬化に用いる光源としては、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等が挙げられる。照射条件は、例えば50〜2000mJ/cmの範囲内が好ましい。
[易接着層(アンカーコート層)]
機能性フィルム10は、基材11と他の機能性層との接着性(密着性)の向上を目的として、基材11上に第3機能性層17のような易接着層(アンカーコート層)を有していてもよい。この易接着層に用いられるアンカーコート剤としては、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレン・ビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂、及び、アルキルチタネート等を、1種又は2種以上併せて使用することができる。これらのアンカーコート剤には、従来公知の添加剤を加えることもできる。上記アンカーコート剤は、市販品を使用してもよい。具体的には、シロキサン系UV硬化性ポリマー溶液として、信越化学工業社製、「X−12−2400」の3%イソプロピルアルコール溶液を用いることができる。
上記の易接着層は、アンカーコート剤をロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレーコート等の公知の方法により、基材上にコーティングし、溶剤、希釈剤等を乾燥除去することにより形成することができる。
[保護層]
機能性層としては、バリア層等の上部(最表面部)に、有機化合物を含む保護層を設けてもよい。保護層に用いられる有機化合物としては、有機モノマー、オリゴマー、ポリマー等の有機樹脂、有機基を有するシロキサンやシルセスキオキサンのモノマー、オリゴマー、ポリマー等を用いた有機無機複合樹脂層を好ましく用いることができる。さらに、上記した中間層としてのポリシロキサン改質層を、保護層として用いることが特に好ましい。
保護層は、有機樹脂や無機材料に、必要に応じて他の成分を希釈溶剤に配合して塗布液を調製し、この塗布液を基材表面に従来公知の塗布方法によって塗布した後、電離放射線を照射して硬化させることにより形成することが好ましい。
[平滑層]
機能性フィルム10は、基材11と機能性層との間に平滑層(下地層、プライマー層)を有していてもよい。平滑層は突起等が存在する基材11の粗面を平坦化するために設けられる。このような平滑層を形成するための材料は限定されないが、硬化性樹脂を含むことが好ましい。
硬化性樹脂としては特に限定されず、紫外線等の活性エネルギー線の照射により硬化する活性エネルギー線硬化性樹脂や、加熱により硬化する熱硬化性樹脂等が挙げられる。硬化性樹脂は、単独でも2種以上組み合わせて用いてもよい。活性エネルギー線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂の材料としては、従来公知の材料を用いることができる。
平滑層の形成方法は、特に制限はないが、硬化性材料を含む塗布液をスピンコーティング法、スプレー法、ブレードコーティング法、ディップ法、グラビア印刷法等のウエットコーティング法、または蒸着法等のドライコーティング法により塗布し塗膜を形成した後、可視光線、赤外線、紫外線、X線、α線、β線、γ線、電子線等の活性エネルギー線の照射、加熱等により、塗膜を硬化させて形成する方法が好ましい。
平滑層の平滑性は、JIS B 0601:2001年で規定される表面粗さで表現される値で、最大断面高さRt(p)が、10nm以上、30nm以下であることが好ましい。表面粗さは、AFM(原子間力顕微鏡)を用いた極小の先端半径の触針を持つ検出器で連続測定した凹凸の断面曲線から算出され、極小の先端半径の触針により測定方向が数十μmの区間内を多数回測定し、微細な凹凸の振幅に関する粗さである。平滑層の厚さとしては、特に制限されないが、0.1〜10μmの範囲が好ましい。
平滑層の詳細については、特開2014−141056号公報の段落[0125]〜[0143]、特開2014−141055号公報の段落[0138]〜[0150]、特開2013−226757号公報の段落[0131]〜[0143]等を参照して採用することができる。
[ブリードアウト層]
機能性フィルム10は、ブリードアウト防止層を有していてもよい。ブリードアウト防止層は、樹脂フィルム上に上記平滑層を形成した場合に、加熱によって未反応のオリゴマー等が樹脂フィルムの表面へ移行して、接触する面を汚染する現象を抑制する目的で、平滑層を有する基材11の反対面に設けられる。ブリードアウト防止層は、この機能を有していれば、基本的に上記した平滑層と同じ構成を適用することができる。
[デシカント層]
機能性フィルム10は、デシカント層(水分吸着層)を有してもよい。デシカント層に用いられる材料としては、例えば、酸化カルシウムや有機金属酸化物等が挙げられる。酸化カルシウムは、バインダー樹脂等に分散させて用いることが好ましく、市販品としては、例えば、サエスゲッター社のAqvaDryシリーズ等が好ましい。また、有機金属酸化物としては、双葉電子工業社製のOleDry(登録商標)シリーズ等を用いることができる。
〈2.電子デバイスの製造方法〉
次に、上記機能性フィルムを用いた電子デバイスの製造方法について説明する。本実施形態の製造方法において作製する電子デバイスとしては、光電変換素子(太陽電池素子)や有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子、液晶表示素子、電子ペーパー、薄膜トランジスタ、タッチパネル等の各種電子デバイスが挙げられる。これらの電子デバイスの構成については、上述の機能性フィルムを適用できれば特に制限はなく、従来公知の構成を適用することができる。
図4に、電子デバイスの製造装置の概略構成を示す。図4に示す電子デバイスの製造装置20は、機能性フィルム10が巻回されたフィルムロール21と、機能性フィルム10の第1面(第1機能性層)側、又は、第2面(第2機能性層)側に加工を施す電子部材形成部22とを備える。
電子デバイスの製造においては、生産性の向上が可能なことから、ロールトゥロール法を用いることが好ましい。ロールトゥロール法では、電子部材の加工を行うための機能性フィルム10として、機能性フィルム10がロール状に巻回されたフィルムロール21を準備する。そして、フィルムロール21から張力をかけて機能性フィルム10を巻出し、電子部材形成部22に搬送する。そして、電子部材形成部22において、機能性フィルム10の第1面(第1機能性層)側、及び、第2面(第2機能性層)側の少なくともいずれか一方に、電子デバイスを作製するための加工が行われる。
電子部材形成部22における機能性フィルム10の加工としては、例えば、機能性フィルム10の第1面側、又は、第2面側に電子部材を作製する工程や、予め準備された電子部材に機能性フィルム10の第1面側、又は、第2面側を貼合する工程等が挙げられる。機能性フィルム10を用いた電子部材形成部22における加工は、特に限定されない。機能性フィルム10がガスバリア性フィルムである場合には、電子部材を封止材料として用いる封止工程が挙げられる。また、機能性フィルム10が電子デバイスの基材として用いられる場合には、機能性フィルム10上に電極や半導体素子等の各種の電子部材を形成する工程が挙げられる。
電子部材形成部22における加工では、熱を伴う場合がある。例えば、機能性フィルム10が、ディスプレイ用基材バリアとして用いられる場合には、電子部材形成部22において、150〜180℃の高温加工工程が行われる場合がある。このため、機能性フィルム10は、このような高温処理の適用が可能な耐熱性が要求される。
ガスバリア層のような無機膜が形成される層や、ハードコート層等の耐熱性の高い樹脂が用いられる機能性層は、構成する材料の耐熱性が高い場合が多く、高温処理の適用が可能な耐熱性を有している場合が多い。これに対し、機能性フィルム10を構成する基材は、可撓性や透明性が主に要求されるため、耐熱性の低い材料が用いられる場合が多い。このため、機能性フィルム10を構成する基材の耐熱温度が、機能性フィルム10の耐熱温度として考慮される場合が多い。
従って、機能性フィルム10が、上述の電子部材形成部22において要求される耐熱性を有するためには、機能性フィルム10を構成する基材の耐熱性が高い方が好ましい。このため、機能性フィルム10においては、基材の動的弾性率測定における損失弾性率のピーク温度が140℃以上であることが好ましい。また、加工性の観点から、動的弾性率測定における損失弾性率のピーク温度が、200℃以下であることが好ましい。
また、電子デバイスの製造では、電子部材形成部22における加工処理の速度に合わせて、機能性フィルム10を搬送する速度に、加速及び減速が繰り返される。すなわち、フィルムロール21から巻出される際に、機能性フィルム10に掛かる張力が一定ではなく、張力の増加及び減少が繰り返される。
上述のロールトゥロール法において、機能性フィルム10の搬送に加速及び減速が繰り返される場合には、フィルムロール21において、機能性フィルム10の第1機能性層と第2機能性層との接触する面において強い摩擦力が発生する。しかし、第1機能性層の表面の粗さ曲線の最大断面高さ(Rt)が1nm以上50nm以下、且つ、弾性率が10GPa〜25GPaであり、第2機能性層の表面の粗さ曲線の最大断面高さ(Rt)が30nm以上90nm以下、且つ、弾性率が4GPa〜8GPaである構成を有することにより、ロールトゥロール法において発生する強い摩擦が発生しても、第1機能性層及び第2機能性層の表面の傷の発生を抑制することができる。
実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〈試料101の機能性フィルムの作製〉
以下の方法で、試料101の機能性フィルムを作製した。なお、以下の工程において、クリアハードコート層の作製、及び、機能性層の作製は、全てロールトゥロール法を適用して作製している。
[基材準備:基材]
基材と、基材の第1面側に形成された易接着層からなる第3機能性層と、基材の第2面側に形成された易接着層からなる第2機能性層とを有する、厚さ100μmのPENフィルム(帝人社製、Q65HWA)のロールを準備した。
(クリアハードコート層の形成(表面))
準備した両面に易接着層を有する基材において、第1機能性層を作製する面(第1面側)に、下記の方法で厚さ0.5μmのクリアハードコート層を形成した。
UV硬化型樹脂(アイカ工業社製、品番:Z731L)を、乾燥層厚が0.5μmになるように基材の第1面側(第3機能性層上)にロールトゥロール方式で塗布した後、80℃で乾燥した。その後、空気下、高圧水銀ランプを用いて照射エネルギー量0.5J/cmの条件で硬化を行った。
[第1機能性層の作製]
クリアハードコート層上に、第1機能性層としてガスバリア層を作製した。ガスバリア層の作製は、図3に示す製造装置を用いたプラズマCVD法により膜厚100nmの第1ガスバリア層を作製した後、ポリシラザン含有液を乾燥膜厚が200nmとなるように塗布し、塗膜に改質エネルギー6.0J/cmの改質処理を行ってエキシマ改質層形成からなる第2ガスバリア層及び第3ガスバリア層を作製した。
(第1ガスバリア層;CVD層)
上述の図3に示すプラズマCVD装置を用いて、下記条件で成膜した。
原料ガス(HMDSO)供給量:50sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)
酸素ガス(O)供給量:500sccm
真空チャンバー内の真空度:3Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:1.2kW
プラズマ発生用電源の周波数:80kHz
フィルムの搬送速度:0.5m/min
(第2ガスバリア層;ポリシラザン改質層)
ポリシラザン含有塗布液として、パーヒドロポリシラザン(PHPS)の7質量%ジブチルエーテル溶液を調製した。なお、パーヒドロポリシラザン(PHPS)として、AZエレクトロニックマテリアルズ社製のアクアミカNN120−10(無触媒タイプ)と、NAX120−20(アミン触媒タイプ)との混合液を用いた。
そして、調製したポリシラザン含有塗布液をダイコート法で、乾燥後の平均層厚が200nmとなるように第1ガスバリア層上に塗布した。その後、温度85℃、湿度55%RHの雰囲気下で1分間乾燥させた。更に、温度25℃、湿度10%RH(露点温度−8℃)の雰囲気下に10分間保持し、除湿処理を行ってポリシラザンを含有する塗布膜を形成した。その後下記の条件でエキシマ光照射処理を行った。
(エキシマ光照射処理条件)
照射波長:172nm
ランプ封入ガス:Xe
エキシマランプ光強度:130mW/cm(172nm)
試料と光源の距離:1mm
フィルム加熱温度:70℃
照射装置内の酸素濃度:1.0%
エキシマランプ照射時間:5秒
(第3ガスバリア層;ポリシラザン改質層)
ポリシラザン含有塗布液として、パーヒドロポリシラザン(PHPS)の7質量%ジブチルエーテル溶液を調製した。なお、パーヒドロポリシラザン(PHPS)として、AZエレクトロニックマテリアルズ社製のアクアミカNN120−10(無触媒タイプ)と、NAX120−20(アミン触媒タイプ)との混合液を用いた。
そして、調製したポリシラザン含有塗布液をダイコート法で、乾燥後の平均層厚が200nmとなるように、第2ガスバリア層上に塗布した。その後、温度85℃、湿度55%RHの雰囲気下で1分間乾燥させた。更に、温度25℃、湿度10%RH(露点温度−8℃)の雰囲気下に10分間保持し、除湿処理を行ってポリシラザンを含有する塗布膜を形成した。その後下記の条件でエキシマ光照射処理を行った。
(エキシマ光照射処理条件)
照射波長:172nm
ランプ封入ガス:Xe
エキシマランプ光強度:130mW/cm(172nm)
試料と光源の距離:1mm
フィルム加熱温度:70℃
照射装置内の酸素濃度:1.0%
エキシマランプ照射時間:5秒
[表面ラミネートフィルムの貼合]
上述の方法で第1機能性層を作製した後、機能性フィルムを巻き取る前に、第1機能性層上に、表面ラミネートフィルム(LF)として東レ製トレテック#7332を貼合した。そして、表面ラミネートフィルム(LF)を貼合した後に巻回し、機能性フィルムのフィルムロールを作製した。
〈試料102の機能性フィルムの作製〉
第3ガスバリア層の成膜は行なわずに第1機能性層を作製したことを除き、上述の試料101と同様の方法で試料102の機能性フィルムを作製した。
〈試料103の機能性フィルムの作製〉
上述の試料102の機能性フィルムの作製において、第1ガスバリア層を下記のフィラー入りのポリマー層で作製した以外は、上述の試料102と同様の方法で試料103の機能性フィルムを作製した。
[第1ガスバリア層(ポリマー層)の作製]
HC2087(出光テクノファイン株式会社製)をイソプロピルアルコールで希釈し、塗布液を調製した。この塗布液を、クリアハードコート層上に、スピンコーターで乾燥膜厚が100nmとなるような厚さで塗布し乾燥して塗膜を得た。その後、塗膜に対して、上述の試料101の第2ガスバリア層と同様の条件でエキシマ光を照射して、第1ガスバリア層を作製した。
〈試料104の機能性フィルムの作製〉
上述の試料101の機能性フィルムの作製において、第3ガスバリア層として、下記のスパッタ法でSiO膜を形成した以外は、上述の試料101と同様の方法で試料104の機能性フィルムを作製した。
[第3ガスバリア層(SiO)の作製]
第2ガスバリア層上に、大阪真空社のマグネトロンスパッタ装置を用い、Ar20sccm、O0sccm、スパッタ圧0.1Pa、室温下、ターゲット側電力150W、成膜レート0.3nm/sでSiOをRFスパッタし、厚さ200nmの第3ガスバリア層を作製した。ターゲット−基板間距離は90mmであった。
〈試料105の機能性フィルムの作製〉
上述の試料102の機能性フィルムの作製において、第2ガスバリア層の作製条件を下記のように変更した以外は、上述の試料102と同様の方法で試料105の機能性フィルムを作製した。
[第2ガスバリア層(フィラー入りシロキサン改質層)の作製]
HC2087(出光テクノファイン株式会社製)をイソプロピルアルコールで希釈し、塗布液を調製した。この塗布液を、第1ガスバリア層上に、スピンコーターで乾燥膜厚が100nmとなるような厚さで塗布し乾燥して塗膜を得た。その後、塗膜に対して、上述の試料101の第2ガスバリア層と同様の条件でエキシマ光を照射して、第1ガスバリア層を作製した。
〈試料106の機能性フィルムの作製〉
上述の試料102の機能性フィルムの作製において、第2機能性層として、基材の第2面側に形成された易接着層と、易接着層上に形成されたフィラー入りポリシラザン改質層とからなる積層膜を作製した。具体的には、基材の第2面側の易接着層上に、上述の試料105の第2ガスバリア層と同様の方法でフィラー入りポリシラザン改質層を作製した。第2機能性層の作製以外は、上述の試料102と同様の方法で試料106の機能性フィルムを作製した。(なぜガスバリア層の物性が102と違う?)
〈試料107の機能性フィルムの作製〉
上述の試料102の機能性フィルムの作製において、第2機能性層として、基材の第2面側に形成された易接着層と、易接着層上に形成されたポリマー層とからなる積層膜を作製した。具体的には、基材の第2面側の易接着層上に、横浜ゴム製のHR370−21を1μm塗布し、高圧水銀ランプ400mJ/cm照射してポリマー層を作製した。第2機能性層の作製以外は、上述の試料102と同様の方法で試料107の機能性フィルムを作製した。
〈試料108の機能性フィルムの作製〉
第1機能性層として、基材側から順に、第1ガスバリア層、第2ガスバリア層、第3ガスバリア層、第4ガスバリア層の4層を作製した以外は、上述の試料101と同様の方法で試料108の機能性フィルムを作製した。なお、第1ガスバリア層と第3ガスバリア層は、上述の試料104の第3ガスバリア層(SiO膜)と同様の方法で作製し、第2ガスバリア層と第4ガスバリア層は、横浜ゴム製のHR370−21を1μm塗布し、高圧水銀ランプ400mJ/cm照射して作製した。
〈評価〉
作製した試料101〜108の機能性フィルムに対して下記の評価を行った。なお、評価に用いる機能性フィルムのサンプルとして、以下の3つの測定用サンプルを採取した。
[サンプル採取]
(サンプル1:巻回前)
機能性フィルムに表面ラミネートフィルム(LF)を貼合した後、機能性フィルムと表面ラミネートフィルムとを巻回する前に、機能性フィルムから測定用のサンプルを切り出した。これは、巻回前の機能性フィルムの表面の状態を評価するための評価用サンプルである。
(サンプル2:ラミネートフィルム付き巻回後)
表面ラミネートフィルムを貼号した状態で機能性フィルムを巻回し、機能性フィルムと表面ラミネートフィルムとのフィルムロールを作製した後、フィルムロールから機能性フィルムと表面ラミネートフィルムとを巻き出して、表面ラミネートフィルムを剥離した後に機能性フィルムから測定用のサンプルを切り出した。これは、第1機能性層と第2機能性層とが直に接しないように機能性フィルムを巻回した場合の、機能性フィルムの表面の状態を観測するための評価用サンプルである。
(サンプル3:ラミネートフィルム剥離巻回後)
表面ラミネートフィルムを剥離した後の機能性フィルムを巻回し、機能性フィルムのフィルムロールを作製した後、フィルムロールから機能性フィルムを巻き出して、巻き取ったロールから機能性フィルムを巻出す毎に、巻出しを一旦停止し、巻出しから100m地点の機能性フィルムから測定用のサンプルを切り出した。これは、第1機能性層と第2機能性層とが直に接した状態で機能性フィルムを巻回した場合の、機能性フィルムの表面の状態を観測するための評価用サンプルである。
[粗さ曲線の最大断面高さ(Rt)]
機能性層の表面粗さは、Veeco社製の非接触3次元表面形状粗さ計WykoNT9300を用いて、PSIモード、測定倍率40倍にて測定し、Rtを求めた。1回の測定での測定領域は、159.2μm×119.3μmとし、測定点は640×480点(画像表示ではピクセル数)とした。測定は、機能性層の表面の任意の5点で行い、5回の測定値の平均値とした。
[硬度、弾性率]
機能性層の弾性率をエスアイアイ・ナノテクノロジー社製、走査プローブ顕微鏡SPI3800N走査型プローブ顕微鏡とHysitoron社製Triboscopeを用いて測定した。圧子としては、cube corner tip(90°)を用いた。
測定では、圧子を試料表面に直角に当て、徐々に荷重を印加し、最大荷重到達後に荷重を0にまで徐々に戻した。このときの最大荷重Pを圧子接触部の投影面積Aで除した値P/Aをナノインデンテーション硬度(H)として算出した。ナノインデンテーション弾性率(Er)は、除荷曲線の傾きSとて[Er=(S×√π)/(2√A)]を用いて算出した。なお、πは円周率を示す。
なお、弾性率の測定においては、標準試料として、附属の溶融石英を押し込んだ結果得られる硬さが9.5±1.5GPaとなるよう、事前に測定装置を校正して測定した。測定試料は、スライドガラス上に東亞合成株式会社製接着剤アロンアルファ(登録商標)を1滴滴下した後、約1cm角に切った試料を載せ、24時間放置して硬化させた。最大荷重Pは20μNに設定して測定を行った。負荷及び除荷はとも5秒で行った。
[バリア性]
まず、ガラス基板上の20mm×20mmの面積に、日本電子(株)製真空蒸着装置JEE−400を用いてカルシウム(Ca:腐食性金属)を蒸着し、厚さ80nmのCa層を作製した。次に、接着剤(スリーボンド製1655)を用いて、Ca層を形成したガラス基板上に作製した各試料の機能性フィルムを貼合して封止し、Ca法評価試料を作製した。なお、接着剤を貼合した機能性フィルムは接着剤の水分及びガスバリアーフィルム表面の吸着水を除去するため1昼夜グローブボックス(GB)内に放置した。
次に、作製したCa法評価試料を、40℃、90%RH環境で、2時間保管した。そして、保管後のCa法評価試料にガラス面側の法線方向から光を入射し、反対面側からエリア型のCCDカメラを用いて撮影して、Ca層の評価画像を得た。
次に、得られた評価画像のCa蒸着部の濃度変化から水分透過量を算出して、時間に対する水分透過量の傾きから水蒸気透過度(WVTR)の平均値(g/m/day)を算出した。
上記試料101〜108の機能性フィルムの評価結果を1に示す。
Figure 2018154012
表1に示すように、機能性フィルムの第1面側の表面の粗さ曲線の最大断面高さ(Rt)が0.5nm以上3nm以下、且つ、弾性率が10GPa〜25GPaを満たし、さらに、機能性フィルムの第2面側の表面の粗さ曲線の最大断面高さ(Rt)が0.5nm以上8nm以下、且つ、弾性率が4GPa〜8GPaの規定を満たす試料101及び試料102の機能性フィルムは、巻回前の機能性フィルム、表面ラミネートフィルム付きで巻回した機能性フィルム、及び、表面ラミネートフィルムを剥離後に巻回した機能性フィルムのいずれにおいても、ガスバリア性の低下がない。すなわち、上記規定を満たす試料101及び試料102の機能性フィルムは、機能性フィルムの第1機能性層と第2機能性層とが直に接するように巻回した後、フィルムロールから張力をかけて巻出した際にも、ガスバリア層の表面の傷の発生を抑制することができ、ガスバリア性の低下を抑制することができている。従って、上記規定を満たす機能性フィルムを作製することにより、機能性層の有する各種機能の低下を抑制することが可能な機能性フィルムを実現することができる。
一方、機能性フィルムの第1面側の表面が上記いずれかの規定を満たさない試料103〜105、及び、試料108の機能性フィルムは、巻回前の機能性フィルムに対し、表面ラミネートフィルムを剥離後に巻回した機能性フィルムのガスバリア性が低下している。
また、機能性フィルムの第2面側の表面が上記いずれかの規定を満たさない試料106、及び、試料107の機能性フィルムも、巻回前の機能性フィルムに対し、表面ラミネートフィルム付きで巻回した機能性フィルム、及び、表面ラミネートフィルムを剥離後に巻回した機能性フィルムのガスバリア性が低下している。
従って、機能性フィルムが第1面側及び第2面側の両方において上記規定を満たすことにより、機能性層の有する各種機能の低下を抑制することが可能な機能性フィルムを実現することができる。
〈試料201の機能性フィルムの作製〉
基材の両面に易接着層(第2機能性層、第3機能性層)を形成した厚さ50μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製、ルミラー(登録商標)(U48))のロールを準備した以外は、上述の試料102と同様の方法で試料201の機能性フィルムを作製した。
〈試料202の機能性フィルムの作製〉
基材の両面に易接着層(第2機能性層、第3機能性層)を形成した厚さ50μmのポリシクロオレフィン(COP)基材(日本ゼオン社製、ゼオノア(登録商標)ZF14)のロールを準備した以外は、上述の試料102と同様の方法で試料202の機能性フィルムを作製した。
〈評価〉
[粗さ曲線の最大断面高さ(Rt)・硬度・弾性率・バリア性]
試料201、試料202の機能性フィルムについて、上述の実施例1と同様の方法で、サンプルを採取し、粗さ曲線の最大断面高さ(Rt)、硬度、弾性率、バリア性を評価した。
[電子部材の作製]
試料101、試料102、試料201、試料202の機能性フィルムにおいて、ガスバリア層(第1機能性層)上に、電子部材として下記の条件で金属導電層とポリマー導電層とからなる電極を作製した。そして、電極形成後の機能性フィルムの状態を評価した。
(金属導電層の形成)
上記で得られた機能性フィルムの機能層面に、以下の方法で金属導電層を形成した。
機能性フィルムに、グラビア印刷試験機K303MULTICOATER(RK Print Coat Instruments Ltd製)を用い、銀ナノインク(TEC−PR−030:Inktec社製)を、50μm幅、1mmピッチのメッシュパターンで印刷し、これを120℃で30分間熱処理して、金属細線パターンからなる金属導電層を作製した。
(ポリマー導電層の形成)
下記(1)〜(2)の手順で、金属導電層上にポリマー導電層を作製した。
(1)ポリマー導電層形成用組成物の調製
透明導電性ポリマーClevios PH510(Heraeus社製 1.89%液)と、自己分散型ポリマープラスコートZ−561(互応化学工業社製25%液)とを、固形分比15:85で混合し、この混合物70質量部に、極性溶媒ジメチルスルホキシド15質量部、エチレングリコールモノブチルエーテル12質量部を混合した後、水を加えて100質量部として、ポリマー導電層形成用組成物を調製した。
(2)塗布と乾燥処理
機能性フィルムに形成した金属導電層上に、前述のポリマー導電層形成用組成物を、インクジェット印刷により塗布した。そして、ウシオ電機株式会社製の赤外線ヒータ(1000W/色温度2500K、ウシオ電機株式会社製)を用いた輻射伝熱乾燥により、塗膜を乾燥してポリマー導電層を形成し、金属導電層とポリマー導電層とを有する電極を形成した。なお、塗膜の乾燥において、赤外線ヒータとサンプルとの距離(間隔)を100mmに保持した。また、フィラメント温度は1500℃とし、処理時間は15分とした。
また、インクジェット印刷は、インクジェットヘッド(コニカミノルタIJ社製)を取り付けた卓上型ロボット Shotmaster−300(武蔵エンジニアリング社製)を用い、インクジェット評価装置EB150(コニカミノルタIJ社製)にて制御した。
上記試料101、試料102、試料201、試料202の機能性フィルムの機能性フィルムの評価結果を表2に示す。
Figure 2018154012
表2に示すように、試料201及び試料202の機能性フィルムにおいても、第1面側の表面の粗さ曲線の最大断面高さ(Rt)が1nm以上50nm以下、且つ、弾性率が10GPa〜25GPaを満たし、さらに、機能性フィルムの第2面側の表面の粗さ曲線の最大断面高さ(Rt)が30nmnm以上90nm以下、且つ、弾性率が4GPa〜8GPaの規定を満たすため、巻回前の機能性フィルム、表面ラミネートフィルム付きで巻回した機能性フィルム、及び、表面ラミネートフィルムを剥離後に巻回した機能性フィルムのいずれにおいても、ガスバリア性の低下がない。従って、機能性フィルムの第1機能性層と第2機能性層とが直に接するように巻回した後、フィルムロールから張力をかけて巻出した際にも、ガスバリア層の表面の傷の発生を抑制することができ、ガスバリア性の低下を抑制することができている。
しかし、試料201及び試料202の機能性フィルムは、電極形成の際に変形してしまい、電子部材としての使用が困難な状態となった。これは、試料201の機能性フィルムの基材は、動的弾性率測定における損失弾性率のピーク温度が90℃のPETであり、試料202の機能性フィルムの基材は、動的弾性率測定における損失弾性率のピーク温度が132℃のCOPであるため、共に基材の耐熱性が低い。これに対し、試料101及び試料102の機能性フィルムの基材は、動的弾性率測定における損失弾性率のピーク温度が155℃のPENである。従って、機能性フィルムと電子デバイスの作製に適用する際、高温加工工程が行われる場合には、機能性フィルムの基材に耐熱性の高い基材を用いることが好ましい。
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
10 機能性フィルム、11,60 基材、12 第1機能性層、13 第2機能性層、14 第1ガスバリア層、15 第2ガスバリア層、16 第3ガスバリア層、17 第3機能性層、18,19 表面、20 製造装置、21 フィルムロール、22 電子部材形成部、40 真空プラズマCVD装置、41 アノード電極、42 真空槽、43 カソード電極、44 サセプタ、45 加熱冷却装置、46 熱媒体循環系、47 真空排気系、48 ガス導入系、49 高周波電源、50 プラズマCVD装置、51 繰り出しローラー、52,54,55,57 搬送ローラー、53,56 成膜ローラー、58 巻取りローラー、59 成膜ガス供給管、61,62 磁場発生装置、63 プラズマ発生用電源

Claims (6)

  1. 基材と、
    前記基材の一方の面に形成された表面が無機化合物からなる第1機能性層と、
    前記基材の他方の面に形成された第2機能性層と、を備え、
    前記第1機能性層の粗さ曲線の最大断面高さ(Rt)が、1nm以上50nm以下、且つ、弾性率が10GPa〜25GPaであり、
    前記第2機能性層の粗さ曲線の最大断面高さ(Rt)が、30nm以上90nm以下、且つ、弾性率が4GPa〜8GPaである
    機能性フィルム。
  2. 前記第1機能性層と前記第2機能性層とが接してロール状に巻回されている請求項1に記載の機能性フィルム。
  3. 40℃90%RHにおける水蒸気透過度が、5×10−4(g/m/day)以下である請求項1に記載の機能性フィルム。
  4. 前記基材の動的弾性率測定における損失弾性率のピーク温度が、140℃以上200℃以下である請求項1に記載の機能性フィルム。
  5. 電子部材と、機能性フィルムとを有する電子デバイスの製造方法であって、
    基材の一方の面に形成された表面が無機化合物からなる粗さ曲線の最大断面高さ(Rt)が、1nm以上50nm以下、且つ、弾性率が10GPa〜25GPaの第1機能性層と、前記基材の他方の面に形成された粗さ曲線の最大断面高さ(Rt)が、30nm以上90nm以下、且つ、弾性率が4GPa〜8GPaの第2機能性層とを備え、前記第1機能性層と前記第2機能性層とが接してロール状に巻回されている前記機能性フィルムを、張力を掛けて巻出して搬送し、
    前記機能性フィルム上に電子部材を形成する
    電子デバイスの製造方法。
  6. 加速、及び、減速を伴って前記機能性フィルムを搬送する請求項5に記載の電子デバイスの製造方法。
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