JP2017033897A - 透明導電性積層体及び透明導電性積層体の製造方法 - Google Patents

透明導電性積層体及び透明導電性積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】基材として、透明樹脂基材を用いた場合であっても、優れた湿熱特性を有する透明導電膜を備えた透明導電性積層体及びそのような透明導電性積層体の効率的な製造方法を提供する。
【解決手段】透明樹脂基材と、無機材料を主成分としてなる透明ガスバリア層と、少なくともインジウム及びガリウムをドーパントとして含む酸化亜鉛材料からなる透明導電膜と、を順次に含む透明導電性積層体及びそのような透明導電膜の製造方法であって、透明導電膜の表面におけるJIS B 0601:2001に準拠して測定される算術平均粗さを0.1〜0.8nmの範囲内の値とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、透明導電性積層体及び透明導電性積層体の製造方法に関する。特に、基材として、透明樹脂基材を用いた場合であっても、優れた湿熱特性を有する透明導電膜を備えた透明導電性積層体及びそのような透明導電性積層体の効率的な製造方法に関する。
従来、液晶デバイスや有機エレクトロルミネッセンスデバイスを備えた画像表示装置において、錫ドープ酸化インジウムからなる透明導電膜を備えた透明導電性フィルムが広く用いられている。
一方、希少金属であり高価なインジウムを多量に含む錫ドープ酸化インジウムを用いた透明導電膜の代替として、酸化亜鉛を用いた透明導電膜が提案されている(例えば、特許文献1〜2参照)。
より具体的には、特許文献1には、有機高分子フィルム基材上にAl23薄膜が成膜されており、その上にGaをドープしたZnOであるGZO薄膜が成膜された透明導電性フィルムが提案されている。
また、特許文献2には、酸化亜鉛を主成分とし、濃度制御が容易なドーパントによって、抵抗率の低下を目的とした低抵抗率透明導電性積層体が提案されている。
すなわち、酸化亜鉛、酸化インジウム及び酸化ガリウムからなる透明導電性積層体であって、酸素を除いて、インジウムの元素濃度を0.5〜1.5原子%の範囲内の値、及びガリウムの元素濃度を0.5〜3.5原子%の範囲内の値とした低抵抗率透明導電性積層体が提案されている。
さらに、タッチパネルに適し、透明性や導電性に優れた、基材、下地膜及び透明導電膜を含んでなる透明導電性積層体であって、原子間力顕微鏡による平均面粗さ(Ra)を所定範囲とした透明導電性積層体が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
より具体的には、ガラス基板等の基材に、平均面粗さ(Ra)が0.7〜5nmの範囲の酸化亜鉛や酸化第二スズ等からなる下地層を設け、さらに、平均面粗さ(Ra)が1〜5nmの範囲のインジウムスズ酸化物(ITO)等からなる透明導電膜を形成してなる透明導電性積層体である。
特許第4917897号公報(特許請求の範囲等) 特開2006−147325号公報(特許請求の範囲等) 特開2007−287450号公報(特許請求の範囲等)
しかしながら、特許文献1に開示された透明導電性フィルムは、アンダーコート層としてAl23薄膜を必須としているとともに、ガリウムのみをドープした酸化亜鉛膜は、未だ湿熱特性が不十分であるという問題が見られた。
また、特許文献2に開示された低抵抗率透明導電性積層体であれば、初期抵抗率をそれなりに改善することができたものの、ガリウムの元素濃度が少なすぎるため、湿熱特性については、未だ改善されていないという問題が見られた。
その上、特許文献1〜2に開示された透明導電性フィルム等において、透明導電膜の表面の算術平均粗さ(Ra)を考慮して、湿熱特性を向上させ、ひいては、優れた導電性と、優れた湿熱特性と、のバランスをとるという意図は何ら見出せていなかった。
それに対して、特許文献3に開示された透明導電性積層体は、平均面粗さ(Ra)が所定範囲の下地層及び透明導電膜を設けることを考慮しているものの、透明導電膜におけるRaの下限値が1nmであって、良好な湿熱特性が得られないという問題が見られた。
そこで、本発明者らは、このような問題を検討した結果、所定の透明樹脂基材上に形成してなる透明ガスバリア層の上に、所定方法で透明導電膜をさらに形成し、かつ、その表面における算術平均粗さ(Ra)を所定範囲の値に規定することにより、優れた導電性と、優れた湿熱特性と、のバランスが取れることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、透明導電性積層体を、所定の透明樹脂基材/透明ガスバリア層/透明導電膜の構成とし、かつ、透明導電膜の表面粗さ/厚さを制御するという簡易な制御方法でもって、比較的良好な初期比抵抗値を示すとともに、60℃、95%RHや85℃、85%RHの条件下に、それぞれ500時間保管した場合であっても、比抵抗値の増加を効果的に抑制できる透明導電性積層体、及び、そのような透明導電性積層体の効率的な製造方法を提供することを目的とする。
本発明によれば、透明樹脂基材と、無機材料を主成分としてなる透明ガスバリア層と、少なくともインジウム及びガリウムをドーパントとして含む酸化亜鉛材料からなる透明導電膜と、を順次に含んでなる透明導電性積層体であって、透明導電膜の表面におけるJIS B 0601:2001(以下、単に、JIS B 0601と称する場合がある。)に準拠して測定される算術平均粗さを0.1〜0.8nmの範囲内の値とすることを特徴とする透明導電性積層体が提供され、上述した問題点を解決することができる。
すなわち、本発明の透明導電性積層体であれば、下地が透明樹脂基材であっても、その上側に、所定の透明ガスバリア層及び透明導電膜がそれぞれ形成してあることによって、優れたガスバリア性を発揮するとともに、優れた湿熱導電性についても発揮することができる。
より具体的には、透明樹脂基材上に、所定の透明ガスバリア層が形成してあり、かつ、その上側に、直接的又は間接的に、所定の透明導電膜が形成してあることによって、透明導電膜の表面における表面粗さを低減することができ、ひいては、湿熱環境下における水分子の物理吸着を低減することができる。
したがって、湿熱特性として、60℃、95%RHや、85℃、85%RHの条件下にそれぞれ500時間保管した場合であっても、比抵抗の増加を効果的に抑制することができる。
また、本発明の透明導電性積層体を構成するにあたり、透明導電膜における、インジウムのドープ量(原子%)を[In]とし、ガリウムのドープ量(原子%)を[Ga]とした場合に、[In]/[Ga]で表わされる比率を0.01以上の値とすることが好ましい。
このように、形成された透明導電膜中の[In]/[Ga]で表わされる比率を制限することによって、透明導電膜において所定の平滑性が得られ、ひいては、良好な湿熱特性を得ることができる。
また、本発明の透明導電性積層体を構成するにあたり、透明樹脂基材と、透明ガスバリア層と、の間に、算術平均粗さが0.5nm以下である表面粗さ調整層を設けることが好ましい。
このように所定算術平均粗さを有する表面粗さ調整層を設けることによって、透明導電性積層体において、さらに優れたガスバリア性を発揮するとともに、透明導電膜の表面における表面粗さを低減することができ、ひいては、湿熱導電性についても向上させることができる。
また、本発明の透明導電性積層体を構成するにあたり、透明樹脂基材の表面における算術平均粗さが2nm以下の値であり、透明ガスバリア層の表面における算術平均粗さが1.2nm以下の値であって、かつ、透明導電膜の表面における算術平均粗さが0.1〜0.8nmの範囲内の値であることが好ましい。
このように透明樹脂基材、透明ガスバリア層、及び透明導電膜の算術平均粗さを数値として制御することによって、結果として、透明導電膜の表面粗さの調整が容易になり、それにより、湿熱導電性についても向上させることができる。
また、本発明の透明導電性積層体を構成するにあたり、透明樹脂基材の厚さが0.5〜500μmの範囲内の値であり、透明ガスバリア層の厚さが20〜1000nmの範囲内の値であり、かつ、透明導電膜の厚さが10nm〜200nmの範囲内の値であることが好ましい。
このように透明樹脂基材、透明ガスバリア層、及び透明導電膜の厚さを数値として制御することによって、結果として、透明導電膜の表面粗さの調整が容易になり、それにより、湿熱導電性についても向上させることができる。
また、本発明の透明導電性積層体を構成するにあたり、透明樹脂基材が、ポリエチレンナフタレート樹脂(PEN)を主成分としたものであることが好ましい。
このように透明樹脂基材を、PENを主成分として構成することによって、透明樹脂基材の表面粗さの調整のみならず、透明ガスバリア層及び透明導電膜の表面粗さの調整も容易になって、ひいては、透明導電膜の湿熱導電性についても向上させることができる。
また、本発明の別の態様は、透明樹脂基材と、無機材料を主成分としてなる透明ガスバリア層と、イオンプレーティング法により形成してなる、少なくともインジウム及びガリウムをドーパントとして含む酸化亜鉛材料からなる透明導電膜と、を順次に含み、透明導電膜の表面におけるJIS B 0601に準拠して測定される算術平均粗さを0.1〜0.8nmの範囲内の値としてなる透明導電性積層体の製造方法であって、下記工程(1)〜(3)を順次に含むことを特徴とする透明導電性積層体の製造方法である。
(1)算術平均粗さが2nm以下である透明樹脂基材を準備する工程
(2)透明樹脂基材の上側に、無機材料を主成分としてなる透明ガスバリア層を形成する工程
(3)イオンプレーティング法により、透明ガスバリア層の上側に、透明導電膜を成膜する工程
このような透明導電性積層体の製造方法であれば、下地が透明樹脂基材であっても、その上側に、所定の透明ガスバリア層及び透明導電膜をそれぞれ形成することによって、優れたガスバリア性や湿熱導電性を発揮する透明導電性積層体を効率的に製造することができる。
図1(a)〜(c)は、本願発明の透明導電性積層体の態様を説明するために供する図である。 図2(a)は、In23を含まない酸化亜鉛材料からなる焼結体に由来した透明導電膜における、XPS測定によるエッチング時間に伴う元素量の変化を説明するために供する図であり、図2(b)は、図2(a)の縦軸(1〜10原子%)の部分拡大図である。 図3(a)は、In23を1重量%含む酸化亜鉛材料からなる焼結体に由来した透明導電膜における、XPS測定によるエッチング時間に伴う元素量の変化を説明するために供する図であり、図3(b)は、図3(a)の縦軸(1〜10原子%)の部分拡大図である。 図4(a)は、In23を2.5重量%含む酸化亜鉛材料からなる焼結体に由来した透明導電膜における、XPS測定によるエッチング時間に伴う元素量の変化を説明するために供する図であり、図4(b)は、図4(a)の縦軸(1〜10原子%)の部分拡大図である。 図5(a)〜(b)は、酸化亜鉛材料からなる焼結体におけるIn23配合量と、XPS測定によるIn量及びGa量の関係を、それぞれ説明するために供する図である。 図6は、透明導電膜のRaと、比抵抗の比率ρ1/ρ0と、の関係を説明するために供する図である。 図7は、透明導電膜のRaと、比抵抗の比率ρ2/ρ0と、の関係を説明するために供する図である。 図8は、透明導電膜のRzと、比抵抗の比率ρ1/ρ0と、の関係を説明するために供する図である。 図9は、透明導電膜のRzと、比抵抗の比率ρ2/ρ0と、の関係を説明するために供する図である。 図10は、透明導電膜におけるIn23配合量(重量%)と、Raと、の関係を説明するために供する図である。 図11は、透明導電膜におけるIn23配合量(重量%)と、Rzと、の関係を説明するために供する図である。 図12(a)〜(c)は、透明導電性積層体の製造方法の一例を示す図である。 図13(a)〜(b)は、イオンプレーティング法及びスパッタリング法で形成してなる透明導電膜の、それぞれの深さ方向における各元素(GaやIn等)の検出強度に関する特性曲線を説明するために供する図である。 図14は、透明導電膜(実施例1)のSPM(Scanning Probe Microscope)観察像である。 図15(a)〜(b)は、透明導電膜(実施例2)のX線回折チャートである。 図16は、透明導電膜(実施例2)のSPM観察像である。 図17は、透明導電膜(実施例3)のSPM観察像である。 図18は、透明導電膜(実施例4)のSPM観察像である。 図19は、透明導電膜(比較例1)のSPM観察像である。 図20(a)〜(b)は、透明導電膜(比較例1)のX線回折チャートである。
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、図1(a)〜(c)に例示されるように、透明樹脂基材10と、無機材料を主成分としてなる透明ガスバリア層12、12aと、少なくともインジウム及びガリウムをドーパントとして含む酸化亜鉛材料を主成分としてなる透明導電膜14と、を順次に含む透明導電性積層体50、50a、50bであって、透明導電膜14の表面におけるJIS B 0601に準拠して測定される算術平均粗さを0.1〜0.8nmの範囲内の値とすることを特徴とする透明導電性積層体50、50a、50bである。
以下、第1の実施形態の透明導電性積層体について、適宜図面を参照して具体的に説明する。
1.透明樹脂基材
(1)基本的態様/透明性
図1(a)〜(c)に例示される透明樹脂基材10の基本的態様としては、透明性に優れるとともに、算術平均粗さが所定値以下のものであれば特に限定されないものの、典型的には、樹脂フィルムが挙げられる。
より具体的には、透明樹脂基材の透明性に関して、所定厚さ(1〜1000μm)において、可視光透過率(例えば、波長550nm)が80%以上であれば好ましく、85%以上であればより好ましく、90%以上であればさらに好ましいと言える。
但し、かかる可視光透過率の値が過度に大きくなると、樹脂フィルムの種類が過度に制限されたり、樹脂フィルムのコストが高くなったりする場合がある。
したがって、樹脂フィルムの可視光透過率の上限を100%以下とすることが好ましく、99.9%以下の値とすることがより好ましく、99.8%以下の値とすることがさらに好ましい。
(2)構成材料
また、透明樹脂基材の構成材料としては、特に制限されるものではないが、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、あるいは光硬化性樹脂を主成分としたものが挙げられる。
例えば、好適な熱可塑性樹脂としては、ポリオレフィン樹脂(アクリル系樹脂やメタクリル樹脂等のアクリル樹脂、シクロオレフィン系ポリマー、シクロオレフィン系コポリマー等を含む。)、ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリナフタレンテレフタレート樹脂等を含む。)、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリエーテルケトン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリエーテルスルフォン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリアセタール樹脂、4フッ化エチレン樹脂、フッ化ビニリデン樹脂、芳香族系樹脂等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
また、好適な熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂等の少なくとも一つが挙げられる。
さらに、好適な光硬化性樹脂としては、光硬化性アクリル樹脂、光硬化性ウレタン樹脂、光硬化性エポキシ樹脂等の少なくとも一つが挙げられる。
そして、これらの構成材料のうち、製造容易性等の観点から熱可塑性樹脂がより好ましい。
特に、ポリナフタレンテレフタレート樹脂の一つであるポリエチレン−2,6−ナフタレート樹脂(単に、PENと称する場合がある。)であれば、製造容易性を有し、かつ、比較的耐熱性にも優れている。
したがって、表面粗さ調整層、透明ガスバリア層、及び透明導電膜の形成時における、熱等の影響を緩和することができる。すなわち、透明樹脂基材としての表面粗さの調整が容易になって、ひいては、透明導電膜の湿熱導電性についても向上させることができる。
また、かかるPENであれば、同じ厚さのポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)と比較した場合に、透湿度および酸素透過率がそれぞれ小さくなることから、かかるPENを用いて透明導電性積層体を構成した場合、ガスバリア性についても向上させることができる。
(3)算術平均粗さ(Ra又はRa1)
また、透明樹脂基材のJIS B 0601に準拠して測定される算術平均粗さ(Ra、但し、他と区別するために、Ra1と称する場合がある。以下、同様である。)を2nm以下の値とすることが好ましい。
この理由は、透明樹脂基材の算術平均粗さが2nmを超えると、透明ガスバリア層及び透明導電膜の表面粗さの調整についてもそれぞれ困難になり、ひいては、透明導電膜の湿熱導電性についての向上が期待できないためである。
したがって、透明樹脂基材の算術平均粗さを1.5nm以下の値とすることが好ましく、1.3nm以下の値とすることがより好ましく、1.2nm以下の値とすることがさらに好ましい。
但し、下限の値をかなり小さくすると、透明樹脂基材の歩留まりが低下する場合がある。
したがって、透明樹脂基材の算術平均粗さを0.01nm以上とすることが好ましく、0.05nm以上とすることがより好ましく、0.1nm以上とすることがさらに好ましい。
なお、透明樹脂基材のJIS B 0601に準拠して測定される最大高さ粗さ(Rz、但し、他と区別するために、Rz1と称する場合がある。以下、同様である。)については、0.5〜500nmの範囲内の値とすることが好ましく、1〜300nmの範囲内の値とすることがより好ましく、2〜100nmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(4)厚さ(t1)
また、図1(a)に例示されるように、透明樹脂基材10の厚さ(t1)としては、1〜1000μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、透明樹脂基材の厚さが所定範囲内の値であれば、算術平均粗さを調整しやすいばかりか、所定の機械的特性や耐熱性、あるいは、透明性が得られるためである。
したがって、透明樹脂基材の厚さを10〜500μmの範囲内の値とすることがより好ましく、50〜200μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(5)その他
その上、透明樹脂基材の片面あるいは両面において、上述した算術平均粗さが0.5nm以下の値である表面粗さ調整層とは異なる層であって、かつ、従来公知のハードコート層、光学調整層、プライマー層等の他の層を含むことができる。
逆に言えば、ハードコート層、光学調整層、プライマー層等の他の層の算術平均粗さが0.5nm以下の値であって、透明導電膜の算術平均粗さを調整する機能を発揮する場合には、上述した表面粗さ調整層に含めることができる。
2.透明ガスバリア層
(1)主成分/透明性
図1(a)〜(c)に例示される透明ガスバリア層12、12aの主成分としてのガスバリア材料は、所定のガスバリア性が得られるのであれば特に制限されるものではないが、例えば、ポリシラザン化合物、ポリカルボシラン化合物、ポリシラン化合物、ポリオルガノシロキサン化合物、テトラオルガノシラン化合物等のケイ素化合物;酸化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸窒化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ、酸化ジルコニウム等の無機酸化物;窒化ケイ素、窒化アルミニウム等の無機窒化物;酸化窒化ケイ素等の無機酸化窒化物;アルミニウム、マグネシウム、亜鉛、スズ等の金属等が挙げられる。
これらは1種単独であっても、あるいは2種以上を組み合わせても使用することができる。そして、2種以上組み合わせて使用する場合、複数のガスバリア材料が均一に分散されていても良く、あるいは、厚さ方向に沿って、複数のガスバリア材料の配合組成が、漸次変化していてもよい。
また、透明ガスバリア層を形成する方法についても、使用するガスバリア材料の種類等に応じて適宜選択すればよい。
例えば、比較的低分子材料であれば、ガスバリア材料を、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、プラズマCVD法等により、基材フィルム上に形成する方法が好ましい。
また、ケイ素化合物等であれば、有機溶剤に溶解した溶液を、基材フィルムに塗布し、得られた塗膜に対してプラズマイオン注入する方法等も好適である。
ここで、プラズマイオン注入法にて注入されるイオンの種類としては、例えば、アルゴン、ヘリウム、ネオン、クリプトン、キセノン等の希ガス、フルオロカーボン、水素、窒素、酸素、二酸化炭素、塩素、フッ素、硫黄等のイオン;金、銀、銅、白金、ニッケル、パラジウム、クロム、チタン、モリブデン、ニオブ、タンタル、タングステン、アルミニウム等の金属のイオン等が挙げられる。
より具体的には、分子内に−Si−N−結合(シラザン結合)を含む繰り返し単位を有するポリシラザン化合物に対して、プラズマイオン注入法により改質することにより得られる透明ガスバリア層であることが好ましい。
そして、かかるポリシラザン化合物として、パーヒドロポリシラザン(PHPS)を用いることが特に好ましい。
この理由は、パーヒドロポリシラザンであれば、透明性に優れるとともに、良好なガスバリア性や機械的特性を得ることができるためである。
したがって、基材上に、塗布法等でパーヒドロポリシラザン層を形成した後、それに対して、プラズマイオン注入法を施すと、変性ポリシラザン層としてのガスバリアフィルムが得られるが、そのようなガスバリアフィルムであれば、ガスバリア性に優れるばかりか、透明性や機械的特性にも優れているためである。
なお、透明ガスバリア層の透明性に関して、所定厚さ(20〜1000nm)において、可視光透過率(例えば、550nm)が80%以上であれば好ましく、85%以上であればより好ましく、90%以上であればさらに好ましいと言える。
但し、可視光透過率の値が過度に大きくなると、透明ガスバリア層の構成材料等の種類が過度に制限されたり、歩留まりが低下して、製造コストが高くなったりする場合がある。
したがって、透明ガスバリア層の可視光透過率の上限を100%以下とすることが好ましく、99.9%以下の値とすることがより好ましく、99.8%以下の値とすることがさらに好ましい。
(2)多層構造
また、図1(a)及び(c)に例示されるように、透明ガスバリア層12は、単層であっても良いが、図1(b)に例示されるように、複数の薄膜からなる透明ガスバリア層12aが、上下方向に2〜8層並行配置してなる、多層構造であることが好ましい。
この理由は、単層の透明ガスバリア層よりも、多層構造の透明ガスバリア層とするほうが、透明導電性積層体において、さらに優れたガスバリア性を発揮するためである。
また、透明導電膜における表面粗さの低減によって、透明導電膜の表面側からの水分等による劣化を抑制することに加えて、劣化因子である水分等を基材側から効果的に遮断することができ、ひいては、湿熱導電性についても向上させることができるためである。
より具体的には、樹脂基材上に単層の透明ガスバリア層(約150nm)が形成してある場合、所定条件下(40℃、90%RH)の水蒸気透過率は1×10-2g/day程度である。
それが2層の透明ガスバリア層(合計して約300nm)となると、水蒸気透過率が1×10-3g/day程度となって、著しく低下し、良好なガスバリア性を得ることができる。
また、それが4層の透明ガスバリア層(合計して約600nm)となると、水蒸気透過率が5×10-4g/day以下とさらに低下し、さらに良好なガスバリア性を得ることができる。
また、透明ガスバリア層は、基本的に無機材料、例えば、パーヒドロポリシラザンから形成してあることから、密着性に優れており、多層構造にしたとしても、各層が剥離するおそれがない。
その上、透明ガスバリア層の厚さはnmオーダーであって相当薄いため、2〜8層程度の多層構造にしたとしても、全体として、過度に厚くなることもない。
(3)厚さ(t2)
また、図1(a)に例示されるように、透明ガスバリア層12の厚さ(t2)を20〜1000nmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、厚さがかかる範囲内の値であれば、優れたガスバリア性と、優れた湿熱特性とを、さらに安定的に両立させることができるためである。
すなわち、かかる厚さが20nm未満の値となると、ガスバリア性が劣り、表面粗さが粗くなる場合があるためである。
一方、かかる厚さが1000nmを超えると、膜応力が大きくなり、クラック等により膜自体が損傷する場合があるためである。
したがって、透明ガスバリア層の厚さを30nm以上の値とすることがより好ましく、50nm以上の値とすることがさらに好ましい。
また、かかる透明ガスバリア層の厚さを800nm以下の値とすることがより好ましく、600nm以下の値とすることがさらに好ましい。
(4)算術平均粗さ(Ra又はRa2)
また、透明ガスバリア層は、単層であっても多層であっても良いが、その最表面において、JIS B 0601に準拠して測定される算術平均粗さ(Ra、但し、他と区別するために、Ra2と称する場合がある。以下、同様である。)を1.2nm以下の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる算術平均粗さを所定値以下とすることにより、その上に、直接的又は間接的に形成する透明導電膜についての算術平均粗さの調整が容易になり、ひいては、優れた湿熱特性を得ることができるためである。
すなわち、透明ガスバリア層の算術平均粗さを所定以下の値とすることにより、透明導電膜についての算術平均粗さも所望範囲の値となる。よって、透明導電膜の表面の平滑性が向上し、湿熱環境下において水分子が透明導電膜中へ物理吸着することを効果的に防ぐものと推察される。
したがって、かかる透明ガスバリア層の算術平均粗さを1nm以下の値とすることがより好ましく、0.7nm以下の値とすることがさらに好ましく、0.5nm以下の値とすることがさらに好ましい。
一方、かかる算術平均粗さを過度に小さくしようとすると、透明導電膜を成膜する工程が複雑になり、生産コストを著しく増加させてしまう場合がある。
したがって、かかる透明ガスバリア層の算術平均粗さを0.01nm以上の値とすることが好ましく、0.02nm以上の値とすることがより好ましく、0.05nm以上の値とすることがさらに好ましい。
なお、透明ガスバリア層のJIS B 0601に準拠して測定される最大高さ粗さ(Rz、但し、他と区別するために、Rz2と称する場合がある。以下、同様である。)については、0.1〜20nmの範囲内の値とすることが好ましく、0.5〜15nmの範囲内の値とすることがより好ましく、1〜10nmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
3.透明導電膜
(1)主成分/透明性
図1(a)〜(c)に例示される透明導電膜14は、少なくともインジウム及びガリウムをドーパントとして含む酸化亜鉛材料を主成分とすることを特徴とする。
この理由は、酸化亜鉛材料を主成分とすることにより、透明導電膜を成膜した場合に、優れた導電性や透明性を、低コストにて得ることができるためである。
より具体的には、透明導電膜の透明性に関して、厚さが20〜600nmの場合に、波長550nmの光線透過率が70%以上の値であることが好ましく、80%以上の値であることがより好ましく、90%以上の値であることがさらに好ましい。
但し、可視光透過率の値が過度に大きくなると、透明導電膜の構成材料等の種類が過度に制限されたり、歩留まりが低下して、製造コストが高くなったりする場合がある。
したがって、透明導電膜の可視光透過率の上限を100%以下とすることが好ましく、99.9%以下の値とすることがより好ましく、99.8%以下の値とすることがさらに好ましい。
(2)ドーパント
本発明の透明導電膜は、その主成分としての酸化亜鉛に対して、少なくともインジウム及びガリウムを含む2種以上のドーパントをドープすることが好ましい。
この理由は、酸化亜鉛を主成分とした透明導電膜では、初期的な導電性が良好になるものの、湿熱特性としては、不十分な場合が多いためである。したがって、少なくともインジウム及びガリウムを選択することにより、良好な初期的導電性を維持しつつ、良好な湿熱特性を発揮することができる。
なお、インジウム及びガリウム以外のドーパントの種類については、特に限定されるものではないが、例えば、ホウ素、マグネシウム、アルミニウム、チタン、バナジウム、マンガン、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ニオブ、モリブデン、テクネチウム、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、銀、スズ、アンチモン、ランタノイド、ハフニウム、タンタル、タングステン、レニウム、イリジウム、白金、金、ビスマス、アクチノイド、タリウム等から選択することができる。
そして、酸化亜鉛に対して、ガリウムやインジウムをドープする場合、その配合比率に関しては、所望の導電性等が得られれば、特に制限されるものではないが、透明導電膜中のインジウムのドープ量(原子%)を[In]とし、ガリウムのドープ量(原子%)を[Ga]とした場合に、[In]/[Ga]で表わされる比率を0.01以上の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる[In]/[Ga]で表わされる比率を制限することにより、透明導電膜において所定の平滑性が得られ、ひいては、良好な湿熱特性を得ることができるためである。
但し、かかる[In]/[Ga]で表わされる比率が過度に大きくなる、すなわち、インジウムのドープ量が過度に大きくなることを意味しているが、結果として、透明導電膜の初期の比抵抗値が大きくなる場合がある。
したがって、透明導電膜中の[In]/[Ga]で表わされる比率を0.02〜5の範囲内の値とすることがより好ましく、0.05〜2の範囲内の値とすることがさらに好ましく、0.15〜1の範囲内の値とすることが最も好ましい。
その他、ガリウムのドープ量(原子%)を、インジウムのドープ量(原子%)よりも多くなるように配合する場合、酸素を除いて、全体量(亜鉛+ガリウム+インジウム)を100原子%としたときに、ガリウムのドープ量を1〜15原子%の範囲内の値とすることが好ましく、2〜10原子%の範囲内の値とすることがより好ましく、3〜7原子%の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、酸素を除いて、全体量を100原子%としたときに、インジウムのドープ量を0.1〜5原子%の範囲内の値とすることが好ましく、0.5〜4原子%の範囲内の値とすることがより好ましく、1〜3原子%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
すなわち、かかる所定量のガリウム及びインジウムをドープし、かつ、ガリウムのドープ量を、インジウムのそれよりも多くすることにより、初期的導電性や透明性、あるいは耐熱性等と、湿熱特性との間のバランスをさらに良好なものとすることができるためである。
(3)元素比
また、透明導電膜の好適な配合組成に関して、XPSの元素分析測定を用いて、制御することができる。
すなわち、ドーパントがインジウム及びガリウムである場合には、亜鉛量[Zn]、ガリウム量[Ga]、インジウム量[In]の合計量に対するガリウム量[Ga]の割合([Ga]×100/([Zn]+[Ga]+[In])を0.1〜20%の範囲内の値とするとともに、インジウム量[In]の割合([In]×100/([Zn]+[Ga]+[In])を0.1〜20%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる[In]や[Ga]の割合がそれぞれ0.1%未満の値となると、透明導電膜の算術平均粗さRaが十分に低減せず、十分な湿熱特性を得ることが困難になる場合があるためである。
一方、かかる[In]や[Ga]の割合がそれぞれ20%を超えた値となると、比抵抗が過度に大きな値となり、十分な導電性を得ることが困難になる場合があるためである。
したがって、かかる[In]や[Ga]の割合をそれぞれ0.1%以上の値とすることがより好ましく、0.5%以上の値とすることがさらに好ましい。
また、かかる[In]や[Ga]の割合をそれぞれ10%以下の値とすることがより好ましく、7%以下の値とすることがさらに好ましい。
なお、図2(a)〜(b)に、In23を含まない酸化亜鉛材料からなる焼結体に由来した透明導電膜における、XPS測定によるエッチング時間に伴う元素量の変化を示す。
また、図3(a)〜(b)に、In23を1重量%含む酸化亜鉛材料からなる焼結体に由来した透明導電膜における、XPS測定によるエッチング時間に伴う元素量の変化を示す。
また、図4(a)〜(b)に、In23を2.5重量%含む酸化亜鉛材料からなる焼結体に由来した透明導電膜における、XPS測定によるエッチング時間に伴う元素量の変化を示す。
すなわち、図5(a)〜(b)に示すように、In23を所定量、例えば、0.1重量%〜10重量%の範囲、より好ましくは、0.5重量%〜4重量%の範囲で含む酸化亜鉛材料からなる焼結体を用いることにより、透明導電膜における表面付近のIn量やGa量等を、それぞれ精度良く制御することができる。
(4)厚さ(t3)
また、図1(a)に例示されるように、透明導電膜14の厚さ(t3)を20〜300nmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、透明導電膜の厚さ(t3)をかかる範囲内の値とすることにより、優れた導電性と、優れた湿熱特性とを、さらに安定的に両立させることができるためである。
すなわち、かかる厚さが20nm未満の値となると、導電性が劣り、表面粗さが粗くなる場合があるためである。一方、かかる厚さが300nmを超えた値となると、膜応力が大きくなり、クラック等により膜自体が損傷する場合があるためである。
したがって、かかる厚さを30nm以上の値とすることがより好ましく、50nm以上の値とすることがさらに好ましい。
また、かかる厚さを250nm以下の値とすることがより好ましく、200nm以下の値とすることがさらに好ましい。
(5)算術平均粗さ(Ra又はRa3)
また、図1(a)に例示されるように、透明導電膜14につき、JIS B 0601に準拠して測定される算術平均粗さ(Ra、但し、他と区別するために、Ra3と称する場合がある。以下、同様である。)を0.1nm〜0.8nmの範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかる算術平均粗さを所定範囲内の値とすることにより、水分子の物理吸着を効果的に防ぎ、優れた湿熱特性が得られるためである。
すなわち、かかる算術平均粗さを所定以下の値とすることにより、表面の平滑性が良好となり、湿熱環境下において水分子が透明導電膜中へ物理吸着することを効果的に防ぎ、透明導電膜の劣化を抑制できると推察される。
したがって、図6に示すように、60℃、95%RHの条件下で500時間保管した場合であっても、あるいは、図7に示すように、85℃、85%RHの条件下で500時間保管した場合であっても、それぞれ初期の比抵抗に対する比抵抗の増加を効果的に抑制することができる。
すなわち、透明導電膜の初期の比抵抗ρ0に対して、ρ1(Ω・cm)は、60℃、95%RHの条件下、500時間経過した後における透明導電膜の比抵抗であり、ρ2(Ω・cm)は、85℃、85%RHの条件下、500時間経過した後における透明導電膜の比抵抗であり、これらの比抵抗の比率(ρ1/ρ0あるいはρ2/ρ0)を湿熱特性の指標とすることができる。
ここで、湿熱環境下における水の存在形態は、1分子から数分子が水素結合したクラスター状態に至るまで、様々であると類推される。したがって、水1分子におけるファンデルワールス径は約0.28nmであることから、算術平均粗さが可能な限り0.28nmに近づくように平滑性を向上させることが望ましいと言える。
よって、かかる透明導電膜の算術平均粗さを0.7nm以下の値とすることがより好ましく、0.6nm以下の値とすることがさらに好ましい。
一方、かかる透明導電膜の算術平均粗さを過度に小さくしようとすると、透明導電膜を成膜する工程が複雑になり、生産コストを著しく増加させてしまう場合がある。
したがって、かかる透明導電膜の算術平均粗さを0.1nm以上の値とすることが好ましく、0.3nm以上の値とすることがより好ましい。
なお、本発明における透明導電膜の算術平均粗さ(Ra)は、透明導電膜の露出した表面を対象とし、走査型プローブ顕微鏡(SPM:Scanning Probe Microscope)を用いて、走査範囲を1μm2とし、JIS B 0601に準拠して測定される値を意味する。
そして、透明導電膜の算術平均粗さ(Ra)は、図10に示すように、酸化亜鉛材料に対するIn23の配合量を所定範囲(例えば、0を超えて、5重量%以下の範囲内の値とする。)で変えたり、透明導電膜の厚さを所定範囲(例えば、50〜300nmの範囲内の値とする。)で変えたりすることによって、適宜調整することができる。
(6)最大高さ粗さ(Rz又はRz3)
また、図1(a)〜(c)に例示される透明導電膜14につき、JIS B 0601に準拠して測定される最大高さ粗さ(Rz、但し、他と区別するために、Rz3と称する場合がある。以下、同様である。)を9.2nm以下の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる最大高さ粗さを所定以下の値とすることにより、水分子の物理吸着を効果的に防ぐと推察されることから、60℃、95%RH、あるいは、85℃、85%RHの条件下、それぞれ500時間保管した場合であっても、比抵抗の増加を効果的に抑制できるような、優れた湿熱特性を得ることができるためである。
すなわち、かかる最大高さ粗さが9nmを超えた値となると、水分子の物理吸着を効果的に防ぐことができず、湿熱特性が過度に低下する場合があるとためである。
より具体的には、図8より、透明導電膜の最大高さ粗さが9nm以下の場合、比抵抗の比率ρ1/ρ0は、全て2未満の低い値を維持しているが、かかる最大高さ粗さが9nmを超えた値になると、比抵抗の比率ρ1/ρ0は急激に上昇することが分かる。
同様に、図9より、透明導電膜の最大高さ粗さが9nm以下の場合、比抵抗の比率ρ2/ρ0は、全て2.5未満の低い値を維持しているが、かかる最大高さ粗さが9nmを超えた値になると、比抵抗の比率ρ2/ρ0は急激に上昇することが分かる。
すなわち、かかる透明導電膜の最大高さ粗さを8nm以下とすることがより好ましく、7nm以下とすることがさらに好ましい。
一方、かかる最大高さ粗さが過度に小さくしようとすると、透明導電膜を成膜する工程が複雑になり、生産コストを著しく増加させてしまう場合がある。
したがって、かかる最大高さ粗さを1nm以上の値とすることが好ましく、2nm以上の値とすることがより好ましく、3nm以上の値とすることがさらに好ましい。
なお、本発明における最大高さ粗さは、透明導電膜の露出した表面を対象とし、走査型プローブ顕微鏡(SPM)を用いて、走査範囲を1μm2とし、JIS B 0601に準拠して測定される値を意味する。
そして、透明導電膜の最大高さ粗さ(Rz)は、図11に示すように、焼結体におけるIn23配合量を所定範囲(例えば、0を超えて、5重量%以下)で変えたり、透明導電膜の厚さを所定範囲(例えば、50〜300nm)で変えたりすることによって、適宜調整することができる。
(7)比抵抗
また、透明導電膜の初期の比抵抗ρ0を5×10-4Ω・cmを超えて、1×10-1Ω・cm以下の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる比抵抗ρ0を所定の範囲内の値とすることにより、上述したように、優れた導電性と、優れた湿熱特性とを、さらに安定的に両立させることができるためである。
すなわち、かかる比抵抗ρ0が5×10-4Ω・cm以下の値となると、成膜条件が複雑になる場合があるためである。
一方、かかる比抵抗ρ0が1×10-1Ω・cmを超えた値となると、十分な導電性を得ることが困難になる場合があるためである。
したがって、かかる比抵抗ρ0を5.5×10-4Ω・cm以上の値とすることがより好ましく、6×10-4Ω・cm以上の値とすることがさらに好ましい。
また、かかる比抵抗ρ0を1×10-2Ω・cm以下の値とすることがより好ましく、5×10-3Ω・cm以下の値とすることが好ましい。
(8)膜密度
また、透明導電膜の膜密度を5.4g/cm3以上、6.0g/cm3以下の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる膜密度の値を所定の範囲内の値とすることにより、優れた導電性と、優れた湿熱特性と、優れた表面特性を、さらに安定的に満たすことができるためである。すなわち、かかる膜密度が5.4g/cm3より小さい値となると、所定量のガリウムとインジウムを含んだ場合においても、所望の表面特性を得ることができず、所望の湿熱特性を得ることが困難になる場合があるためである。
一方、かかる膜密度が6.0g/cm3を超えた値となると、例えば、Ga23添加量固定して、In23添加量を増加させた場合に、In23添加量が増加するに従って、膜密度は増加する傾向を示すため、初期の比抵抗が増加し、十分な導電性を得ることが困難になる場合が予測されるためである。
したがって、かかる膜密度の下限に関し、5.5g/cm3以上とすることがより好ましく、5.6g/cm3以上とすることがさらに好ましく、5.7g/cm3以上とすることが最も好ましい。
また、かかる膜密度の上限に関し、5.95g/cm3より小さくすることがより好ましく、5.9g/cm3より小さくすることがさらに好ましいと言える。
なお、膜密度の測定方法について、本願の実施例等では、簡便なX線反射率法(XRR法)を選択したが、これに限定されるものではない。
4.表面粗さ調整層
また、図1(c)に例示されるように、透明樹脂基材10と、透明導電膜14と、の間に形成される表面粗さ調整層16は、任意に設けることができる。
より具体的には、透明導電膜14における表面平滑性の向上に寄与する層であって、所定厚さにおいて、可視光透過率(例えば、波長550nm)が少なくとも85%以上の値を有していれば、その構成については、特に制限されるものではない。
但し、表面平滑性の向上に寄与しやすくなるため、JIS B 0601に準拠して、SPMを用いて測定される、表面粗さ調整層16の算術平均粗さ(Ra)を0.5nm以下の値とすることが好ましく、0.1〜0.45nmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.2〜0.4nmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
また、表面粗さ調整層16の厚さを30〜5000nmの範囲内の値とすることが好ましく、50〜4000nmの範囲内の値とすることがより好ましく、100〜3000nmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
したがって、ハードコート層やプライマー層であっても、これらの算術平均粗さ(Ra)が0.5nm以下の値であって、かつ、可視光透過率が少なくとも85%以上であれば、表面粗さ調整層そのもの、又はその一部とすることができる。
その他、表面粗さ調整層16は、単層であってもよく、あるいは、同一又は異種構成材料からなる複数層であってもよい。
すなわち、表面粗さ調整層の構成材料としては、ケイ素含有化合物(シリコーン化合物)、アクリル化合物、エステル化合物、ウレタン化合物、エポキシ化合物等の一種単独又は二種以上の組み合わせが挙げられる。
その上、溶剤の使用量を少なくした場合であっても、均一な厚さに形成できることから、表面粗さ調整層の構成材料として、紫外線硬化樹脂を構成すべく、ラジカル発生剤を含んでなるケイ素含有化合物(シリコーン化合物)等であることがより好ましい。
5.透明導電性積層体
(1)基本的構成
図1(a)〜(c)に示すように、所定の透明導電膜14及び透明ガスバリア層12が、透明樹脂基材10の片面又は両面に成膜されて、透明導電性積層体50を構成することができる。
そして、かかる透明導電性積層体の透明性としては、厚さが1μm〜1mmの場合において、可視光透過率(例えば、波長550nm)が50%以上であることが好ましく、60%以上の値であることがより好ましく、70%以上の値であることがさらに好ましい。
但し、かかる可視光透過率の値が過度に大きくなると、透明樹脂層、透明ガスバリア層、及び透明導電膜等の構成材料の種類が過度に制限されたり、歩留まりが低下して、製造コストが高くなったりする場合がある。
したがって、かかる透明導電性積層体の可視光透過率の上限を99%以下とすることが好ましく、98%以下の値とすることがより好ましく、97%以下の値とすることがさらに好ましい。
(2)関係式
また、透明導電性積層体を構成するにあたり、透明樹脂基材の表面におけるJIS B 0601に準拠して測定される算術平均粗さをRa1とし、透明ガスバリア層の表面における、同算術平均粗さをRa2とし、透明導電膜の表面における同算術平均粗さをRa3としたときに、以下の関係式(1)および関係式(2)を満足することが好ましい。
Ra2<Ra1 (1)
Ra3<Ra1 (2)
この理由は、各透明樹脂基材、透明ガスバリア層、及び透明導電膜が、算術平均粗さに関して、所定の関係式を満足することによって、結果として、透明導電膜の表面粗さの調整が容易になり、それによって、湿熱導電性についても向上させることができるためである。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、図12(a)〜(c)に例示されるように、第1の実施形態の透明導電性積層体50、50a、50bの製造方法であって、透明樹脂基材10と、無機材料を主成分としてなる透明ガスバリア層12と、イオンプレーティング法により形成してなる、少なくともインジウム及びガリウムをドーパントとして含む酸化亜鉛材料からなる透明導電膜14と、を順次に含み、透明導電膜14の表面におけるJIS B 0601に準拠して測定される算術平均粗さを0.1nm以上、0.8nm以下の範囲内の値としてなる透明導電性積層体50、50a、50bの製造方法であって、下記工程(1)〜(3)を順次に含むことを特徴とする透明導電性積層体の製造方法である。
(1)算術平均粗さが2nm以下である透明樹脂基材10を準備する工程
(2)透明樹脂基材10の上側に、無機材料を主成分としてなる透明ガスバリア層12aを形成する工程
(3)イオンプレーティング法により、透明ガスバリア層12aの上側に、透明導電膜14を成膜する工程
以下、第2の実施形態の透明導電膜の製造方法について、具体的に説明する。
1.工程(1)
工程(1)は、図12(a)に例示されるように、算術平均粗さ(Ra1)が2nm以下である透明樹脂基材10を準備する工程である。
すなわち、一部上述したように、かかる透明樹脂基材の算術平均粗さ(Ra1)が2nmを超えた値になると、透明ガスバリア層の算術平均粗さ(Ra2)や透明導電膜の算術平均粗さ(Ra3)の調整が困難となるばかりか、ひいては、透明導電性積層体の湿熱特性が低下する場合があるためである。
ここで、透明樹脂基材としては、可視光透過率が所定範囲内の値であるとともに、算術平均粗さが所定値以下のものであれば特に限定されないが、典型的には、第1の実施形態において詳述したのと同様の樹脂フィルムが挙げられる。
なお、透明樹脂基材の片面あるいは両面において、第1の実施形態において詳述した表面粗さ調整層、あるいは、それ以外のハードコート層、光学調整層、プライマー層等を含んでもよい。
2.工程(2)
また、工程(2)は、図12(b)に例示されるように、透明樹脂基材10の上側に、無機材料を主成分としてなる透明ガスバリア層12を形成する工程である。
すなわち、透明樹脂基材10の上側に、無機材料を塗布し、次いで、プラズマイオン注入法によって、無機材料を変性させて、算術平均粗さ(Ra)が所定範囲の値である透明ガスバリア層12を形成する工程である。
すなわち、算術平均粗さを1.2nm以下の値とした透明ガスバリア層12を形成することが好ましい。
3.工程(3)
また、工程(3)は、図12(c)に例示されるように、イオンプレーティング法(RPD法と称する場合がある。)により、透明ガスバリア層12の上側に、透明導電膜14を成膜して、透明導電性積層体50とする工程である。
すなわち、算術平均粗さを0.1〜0.8nmの範囲内の値とした透明ガスバリア層12を、所定方法で形成することが好ましい。
この理由は、透明樹脂基材の上に透明導電膜を成膜する方法を、イオンプレーティング法に制限するのは、成膜される透明導電膜の組成を容易に制御することができ、かつ、効率よく超薄膜の透明導電膜が成膜できるためである。
また、透明導電膜における算術平均粗さを所定範囲内の値とするのは、良好な湿熱特性を得るためである。
以下、イオンプレーティング法を用いた透明導電膜14の成膜法を詳述する。
すなわち、イオンプレーティング法の条件としては、特に限定されないが、背圧としては、1×10-2Pa以下の値とすることが好ましく、1×10-3Pa以下の値とすることがより好ましい。
さらに、系内に導入するガス種としては、アルゴン(Ar)もしくはアルゴン(Ar)と酸素(O2)の混合ガスを用いることが生産コスト上好ましいが、Ar以外の希ガスや窒素(N2)等を用いてもよい。
また、アルゴンと酸素の混合ガスを用いる場合、混合比(O2/(Ar+O2))を0.01〜20の範囲内の値とすることが好ましく、0.1〜10の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、アルゴンと酸素の混合比がかかる上述した範囲内の値であれば、成膜される透明導電膜の組成を容易に制御することができることから、比抵抗が低く、かつ、湿熱特性に優れ、さらに、透明導電性積層体に最適な屈折率を有する透明導電膜を成膜することができるためである。
また、イオンプレーティング法における成膜圧力は、所定の導電性、並びに、算術平均粗さが得られれば、特に限定されないが、0.1〜1Paの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、成膜圧力をかかる範囲内の値とすることにより、所定の算術平均粗さRaを有する所定の透明導電膜を、より効率的かつ安定的に製造することができるためである。
すなわち、成膜圧力が0.1Pa未満の値となると、系内に導入したガス種の電離が継続的に行なわれず、系内のプラズマ状態が維持できなくなる場合があるためである。
一方、成膜圧力が1Paを超えた値となると、系内における、成膜に寄与する粒子の平均自由行程が小さくなり、基材近傍においても、粒子同士の衝突頻度が高くなるため、結果として、粒子が基材に飛来する角度が、基材に対して鋭角となり、所定の算術平均粗さを超え、膜密度が小さい透明導電膜となる場合があるためである。
したがって、成膜圧力を0.12Pa以上の値とすることがより好ましく、0.15Pa以上の値とすることがさらに好ましい。
また、成膜圧力を0.95Pa以下の値とすることがより好ましく、0.9Pa以下の値とすることがさらに好ましい。
また、イオンプレーティング法における成膜する際の温度を10〜300℃の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる成膜温度を所定範囲内の値とすることにより、所定の算術平均粗さRaを有する所定の透明導電膜を、より効率的かつ安定的に製造することができるためである。
すなわち、成膜温度が10℃未満の値となると、飛来した成膜粒子の拡散が不十分になると推察され、安定的に所望の表面粗さが得られない場合があるためである。一方、成膜温度が300℃を超えた値となると、透明樹脂基材等が軟化し、所望の表面粗さが得られない場合があるためである。
したがって、成膜温度を12℃以上の値とすることがより好ましく、15℃以上の値とすることがさらに好ましい。
一方、成膜温度を250℃以下の値とすることがより好ましく、200℃以下の値とすることがさらに好ましい。
但し、基材の変形等が発生しない程度であれば、工程(2)の前に、基材中に含まれるアウトガスを除去し、より効率的かつ安定的に透明導電膜を成膜するためのプレアニール処理を実施してもよい。
また、基材の変形や透明導電膜の割れ等が発生しない程度であれば、工程(2)の後に、さらに精密に表面粗さを制御するためのアニール処理やプラズマ処理、あるいは、機械的研磨処理を実施してもよい。
さらに、イオンプレーティング法を実施するに際して、酸化ガリウム及び酸化インジウムを含む焼結体(ターゲット)を用いることが特に好ましい。
すなわち、かかる焼結体において、当該焼結体の全体量に対して、酸化亜鉛の配合量を70〜99.98重量%の範囲内の値とし、酸化ガリウムの配合量を0.01〜15重量%の範囲内の値とし、かつ、酸化インジウムの配合量を0.01〜15重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、配合量が制御された酸化亜鉛−酸化ガリウム−酸化インジウムの三元系焼結体を用いることにより、湿熱特性に優れた透明導電膜を効率的に成膜することができ、ひいては、生産効率を向上させることができるためである。
より具体的には、焼結体の全体量に対して、酸化インジウムの配合量が0.01重量%未満の値となると、成膜後の透明導電膜に含まれるインジウムの量が過度に少なくなるためである。したがって、得られる透明導電膜の算術平均粗さRaが低減せず、水分子の物理吸着を有効に抑制することが困難になると推察され、十分な湿熱特性を得ることができなくなる場合があるためである。
一方、酸化インジウムの量が15重量%を超えた値となると、成膜後の透明導電膜に含まれるインジウムの量が増加することにより、比抵抗が過度に大きな値となる場合があるためである。
したがって、焼結体の全体量に対して、酸化亜鉛の配合量を78〜99.4重量%の範囲内の値とし、酸化ガリウムの配合量を0.5〜12重量%の範囲内の値とし、かつ、酸化インジウムの配合量を0.1〜10重量%の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、焼結体の全体量に対して、酸化亜鉛の配合量を82〜98.7重量%の範囲内の値とし、酸化ガリウムの配合量を1〜10重量%の範囲内の値とし、かつ、酸化インジウムの配合量を0.3〜8重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、図13(a)〜(b)に、かかるイオンプレーティング法及びスパッタリング法で形成してなる透明導電膜のSIMSチャートをそれぞれ示す。
それぞれの方法で成膜してなる透明導電膜の深さ方向における各元素の検出強度(cps)を表している。
そして、例えば、図13(a)に示すSIMSチャートは、イオンプレーティング法で成膜された透明導電膜に対応するが、ラインAで示されるGa、および、ラインBで示されるInの検出強度は表層側で減少が認められ、ラインDで示されるOの検出強度は逆に表層側で増加が認められることから、少なくとも表層にドーパントの偏析は見られない。
一方、図13(b)に示すSIMSチャートは、スパッタリング法で成膜された透明導電膜に対応するが、特に、ラインBで示されるInの検出強度とラインDで示されるOの検出強度に差異が見られ、ドーパントであるInの表層側での偏析が認められる。
よって、かかるSIMSチャートの特性曲線の相違から、透明導電膜が、イオンプレーティング法あるいはスパッタリング法で成膜されたか否かの判断情報になると言える。
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。但し、本発明はこれらの記載に制限されるものではない。
[実施例1]
1.透明導電性積層体の製造
(1)透明樹脂基材の準備工程
透明樹脂基材として、厚さ75μmのポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルム(帝人デュポン社製、PENQ65HWA)を準備した。
ここで、JIS B 0601に準拠して、ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルムのRa、Rzを測定したところ、それぞれ、1.1nm、及び23.4nmであった。
次いで、当該基材上に、厚さ2500nmのシリコーン硬化材料からなる表面粗さ調整層を設けた。
すなわち、トリメトキシメチルシラン(AZMAX社製)5.78g(42.5mmol)、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン(信越化学社製、KBM−503)1.77g(7.5mmol)を酢酸エチル50mlに溶解させ、蒸留水25mlを加えて撹拌した。
次いで、触媒としてリン酸数滴を加え、そのまま室温で18時間撹拌した。
この得られた溶液に、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて中和した後、水層を除去するとともに、得られた有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した。
次いで、硫酸マグネシウムをろ別した後、ろ液を減圧濃縮し、n−ヘキサンを用いて再沈殿法により精製した。
次いで、精製物を、酢酸エチルに溶解させた後、光重合性開始剤として、2,4,6−トリメチルベンゾイル−ジフェニル−ホスフィンオキシド(BASF社製、Lucirin(登録商標)TPO)を固形分に対し1重量%、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンを固形分に対し2重量%添加して、表面粗さ調整層溶液とした。
次いで、得られた表面粗さ調整層用溶液を、ポリエチレン−2,6−ナフタレートフィルム上に、塗布した。
次いで、120℃、1分間の加熱乾燥を行った後、UV光照射ラインを用いてUV光照射を行ない(高圧水銀灯、ライン速度、20m/min、積算光量100mJ、ピーク強度1.466W、パス回数2回)、表面粗さ調整層を形成した。
ここで、JIS B 0601に準拠して、表面粗さ調整層のRa、Rzを測定したところ、それぞれ、0.33nm、及び3.3nmであった。
(2)焼結体の準備工程
次いで、イオンプレーティング用の焼結体(タイプ1)として、を酸化亜鉛−酸化ガリウム−酸化インジウムの三元系焼結体(ZnO:96重量%、ドーパントとしてのGa23:3重量%、及びドーパントとしてのIn23:1重量%)を準備した。
(3)透明ガスバリア層の形成工程
次いで、表面粗さ調整層上に、ペルヒドロポリシラザン溶液(アクアミカNL110A−20)を塗布し、120℃、1分間の加熱乾燥を行い、ケイ素系高分子層(厚み150nm)を形成した。
次に、プラズマイオン注入装置を用いて、このケイ素系高分子層の表面に、Arをプラズマイオン注入して、透明ガスバリア層を形成した。
なお、透明ガスバリア層を形成するために用いたプラズマイオン注入装置及びプラズマイオン注入条件は、以下の通りである。
RF電源:日本電子社製、型番号「RF」56000
高電圧パルス電源:栗田製作所社製、「PV−3−HSHV−0835」
プラズマ生成ガス:Ar
ガス流量:100sccm
Duty比:0.5%
繰り返し周波数:1000Hz
印加電圧:−6kV
RF電源:周波数 13.56MHz、印加電力 1000W
チャンバー内圧:0.2Pa
パルス幅:5μsec
処理時間(イオン注入時間):5分間
搬送速度:0.2m/min
すなわち、実施例1では、かかるガスバリア形成工程を合計4回繰り返し、表面粗さ調整層及び多層構造(4層)からなる透明ガスバリア層を形成した透明樹脂基材を準備した。そして、JIS B 0601に準拠して、透明ガスバリア層のRa及びRzを測定したところ、それぞれ0.41nm、及び4.4nmであった。
(4)透明導電膜の成膜工程
表面粗さ調整層及び多層構造(4層)の透明ガスバリア層(合計厚さ:150nm×4)を設けてなる透明樹脂基材に対して、下記成膜条件にて、厚さが120nmの透明導電膜を成膜した。
基板温度:25℃
放電電流:150A
キャリアガス:アルゴン(Ar)、酸素(O
酸素比率:全ガス流量に対して6%
成膜圧力:0.2Pa
成膜時間:35sec.
2.透明導電膜の評価
得られた透明導電膜につき、以下の測定を行い、評価した。
(1)X線回折測定
得られた透明導電膜における結晶構造を、X線回折装置((株)リガク製、全自動水平型多目的X線回折装置 Smart Lab)を用いて、In plane法(透明導電膜面のa軸方向に由来する結晶面の回折ピークを測定する方法)及びOut of plane法(透明導電膜面のc軸方向に由来する結晶面の回折ピークを測定する方法)により確認した。
その結果、インジウム由来のピークは確認されず、主成分である酸化亜鉛由来の六方晶系ウルツ鉱型の多結晶構造を有しており、基材上で、結晶成長を伴いながら成膜することが確認された。
(2)SPM観察
得られた透明導電膜の表面の1μm2において、走査型プローブ顕微鏡(島津製作所(株)製、SPM9700)によって、図14に示されるSPM(Scanning Probe Microscope)観察像を得た。
かかるSPM観察像により、透明導電膜におけるインジウム量が多くなるほど、透明導電膜の表面凹凸が小さくなることが確認された。
(3)XPS分析
下記XPS測定装置を用い、所定の測定条件等において、得られた透明導電膜における亜鉛、ガリウム及びインジウムの元素分析としてのXPS分析を行った。得られた結果を表1に示す。
(XPS測定装置)
機種名:PHI Quantera SXM(アルバックファイ社製)
X線源:AlKα(1486.6eV)
X線ビーム径:100μm
(測定条件)
電力値:25W
電圧:15kV
取り出し角度:45度
真空度:5.0×10-8Pa
Pass Energy:112eV
Time Per Step:20msec
eV step:0.1eV
(スパッタリング条件)
スパッタリングガス:アルゴン
印加電圧:−4kV
スパッタリング時間:5min
インターバル時間:0.2min
(測定元素ピーク)
In:In3d5/2
Zn:Zn2p3/2
Ga:Ga2p3/2
(4)算術平均粗さ(Ra)及び最大高さ粗さ(Rz)の測定
得られた透明導電膜の露出面におけるRaおよびRzを、走査型プローブ顕微鏡(SPM)を用いて、走査範囲を1μm2とし、JIS B 0601に準拠して測定した。得られた結果を表1に示す。
(5)抵抗値の測定
得られた透明導電膜における初期の表面抵抗率R0(Ω/□)を、表面抵抗測定装置(三菱化学(株)製、LORESTA−GP MCP−T600)及びプローブ(三菱化学アナリテック(株)製、PROBE TYPE ASP)を用いて、23℃、50%RHの環境下において測定した。
次いで、得られた透明導電膜を、60℃、95%RHの湿熱環境下に500時間載置した後、23℃、50%RHの環境下で1日調温・調湿を行い、湿熱試験(以下、「湿熱試験1」と称する場合がある。)の後の表面抵抗率R1(Ω/□)を測定した。
また、得られた透明導電膜を、85℃、85%RHの湿熱環境下に500時間載置した後、23℃、RH50%の環境下で1日調温・調湿を行い、湿熱試験1とは別の湿熱試験(以下、「湿熱試験2」と称する場合がある。)の後の表面抵抗率R2(Ω/□)を測定した。
次いで、得られた初期の表面抵抗率R0、湿熱試験1後の表面抵抗率R1及び湿熱試験2後の表面抵抗率R2のそれぞれに対して透明導電膜の厚さ120nmを掛けて、初期の比抵抗ρ0(Ω・cm)、湿熱試験1後の比抵抗ρ1(Ω・cm)及び湿熱試験2後の比抵抗ρ2(Ω・cm)を算出するとともに、ρ1/ρ0(−)及びρ2/ρ0も算出した。得られた結果を表1に示す。
(6)膜密度の測定
得られた透明導電膜における膜密度をX線反射率法(XRR法)により測定した。すなわち、下記X線回折装置を用いて、下記測定条件にしたがって測定した。得られた結果を表1に示す。
測定装置:薄膜評価用試料水平型X線回折装置、「SmartLab」、(株)リガク製
X線源;Cu−Kα1(波長:1.54059Å)
光学系;並行ビーム光学系
入射側スリット系;Ge(220)2結晶、高さ制限スリット5mm、入射スリット0.05mm
受光側スリット系;受光スリット 0.10mm、ソーラースリット 5°
検出器;シンチレーションカウンター
管電圧・管電流;45kV−200mA
走査軸;2θ/θ
走査モード;連続スキャン
走査範囲;0.1〜3.0deg.
走査速度;1deg./min.
サンプリング間隔;0.002°/step
[実施例2]
実施例2では、イオンプレーティング用の焼結体(タイプ2)として、酸化亜鉛−酸化ガリウム−酸化インジウムの三元系焼結体(ZnO:94.5重量%、ドーパントとしてのGa23:3重量%、及びドーパントとしてのIn23:2.5重量%)を準備したほかは、実施例1と同様に、透明導電性積層体を成膜し、評価した。
なお、図15(a)〜(b)に、透明導電性積層体におけるIn plane法及びOut of plane法によって得られたX線回折チャートをそれぞれ示す。
さらに、図16に、透明導電性積層体におけるSPM観察像(実施例2)を示す。
[実施例3〜4]
実施例3〜4では、透明ガスバリア層を2層とした以外は、実施例1及び2と同様に、それぞれ透明導電性積層体を成膜し、評価した。
なお、図17〜図18に、それぞれ得られた透明導電性積層体の表面(透明導電膜)におけるSPM観察像を示す。
[比較例1]
比較例1では、透明ガスバリア層を0層とするとともに、イオンプレーティング用の焼結体(タイプ3)として、酸化亜鉛−酸化ガリウムの二元系焼結体(ZnO:97重量%、ドーパントとしてのGa23:3重量%)を準備した以外は、実施例1と同様に、透明導電性積層体を成膜し、評価した。
なお、図19に、得られた透明導電性積層体の表面(透明導電膜)におけるSPM観察像を示す。
さらに、図20(a)〜(b)に、透明導電性積層体におけるIn plane法及びOut of plane法によって得られたX線回折チャートをそれぞれ示す。
以上、詳述したように、本発明の透明導電性積層体によれば、透明樹脂基材を用いた場合であっても、酸化亜鉛材料を主成分とした透明導電膜において、その表面における算術平均粗さ(Ra)を所定範囲内の値に規定することにより、優れた湿熱特性を得ることができるようになった。
また、透明樹脂基材と、透明導電膜との間に、表面粗さ調整層を設けることによって、透明導電膜の表面における算術平均粗さ(Ra)を所定範囲内の値に容易に調節できるようになった。
さらに、例えば、PENを主成分としてなる透明樹脂基材と、透明導電膜との間に、単層又は多層の透明ガスバリア層を設けることによって、透明導電膜の表面における算術平均粗さ(Ra)を所定範囲内の値に維持したまま、良好なガスバリア性が得られるようになった。
よって、本発明の透明導電膜は、所定の湿熱特性が所望される電気製品、電子部品、画像表示装置(有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、液晶ディスプレイ、電子ペーパー等)太陽電池等の各種用途において、透明電極等として、有効に使用されることが期待される。
10:透明樹脂基材
12、12a:透明ガスバリア層
14:透明導電膜
16:表面粗さ調整層
50、50a、50b:透明導電性積層体

Claims (7)

  1. 透明樹脂基材と、無機材料を主成分としてなる透明ガスバリア層と、少なくともインジウム及びガリウムをドーパントとして含む酸化亜鉛材料からなる透明導電膜と、を順次に含む透明導電性積層体であって、
    前記透明導電膜の表面におけるJIS B 0601:2001に準拠して測定される算術平均粗さを0.1〜0.8nmの範囲内の値とすることを特徴とする透明導電性積層体。
  2. 前記透明導電膜における、前記インジウムのドープ量(原子%)を[In]とし、前記ガリウムのドープ量(原子%)を[Ga]とした場合に、[In]/[Ga]で表わされる比率を0.01以上の値とすることを特徴とする請求項1に記載の透明導電性積層体。
  3. 前記透明樹脂基材と、前記透明ガスバリア層と、の間に、算術平均粗さが0.5nm以下である表面粗さ調整層を設けることを特徴とする請求項1又は2に記載の透明導電性積層体。
  4. 前記透明樹脂基材の表面における算術平均粗さが2nm以下の値であり、前記透明ガスバリア層の表面における算術平均粗さが1.2nm以下の値であって、かつ、前記透明導電膜の表面における算術平均粗さが0.1〜0.8nmの範囲内の値であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の透明導電性積層体。
  5. 前記透明樹脂基材の厚さが0.5〜500μmの範囲内の値であり、前記透明ガスバリア層の厚さが20〜1000nmの範囲内の値であり、かつ、前記透明導電膜の厚さが10nm〜50μmの範囲内の値であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の透明導電性積層体。
  6. 前記透明樹脂基材が、ポリエチレンナフタレート樹脂を主成分としたものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の透明導電性積層体。
  7. 透明樹脂基材と、無機材料を主成分としてなる透明ガスバリア層と、イオンプレーティング法により形成してなる、少なくともインジウム及びガリウムをドーパントとして含む酸化亜鉛材料からなる透明導電膜と、を順次に含み、透明導電膜の表面におけるJIS B 0601:2001に準拠して測定される算術平均粗さを0.1〜0.8nmの範囲内の値としてなる透明導電性積層体の製造方法であって、下記工程(1)〜(3)を順次に含むことを特徴とする透明導電性積層体の製造方法。
    (1)算術平均粗さが2nm以下である透明樹脂基材を準備する工程
    (2)前記透明樹脂基材の上側に、無機材料を主成分としてなる透明ガスバリア層を形成する工程
    (3)イオンプレーティング法により、前記透明ガスバリア層の上側に、前記透明導電膜を成膜する工程
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