JP2015147983A - 透明導電フィルム、透明導電フィルムの製造方法、および透明導電フィルムを用いてなる電子デバイス - Google Patents

透明導電フィルム、透明導電フィルムの製造方法、および透明導電フィルムを用いてなる電子デバイス Download PDF

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Abstract

【課題】優れた湿熱特性を有する透明導電フィルム、透明導電フィルムの製造方法およびそのような透明導電フィルムを用いてなる電子デバイスを提供する。
【解決手段】樹脂基材の少なくとも片面に透明導電層を形成してなる透明導電フィルム等であって、透明導電層が、酸化亜鉛を含むとともに、ガリウムとインジウムをドープしてなる酸化亜鉛膜であり、透明導電層は、XPSの元素分析測定による亜鉛量、ガリウム量、酸素量、およびインジウム量の合計量(100atom%)に対して、インジウム量を0.01〜8atom%の範囲内の値とするとともに、ガリウム量を0.1〜10atom%の範囲内の値とし、当該酸化亜鉛膜の初期の比抵抗(ρ0)を5×10-4Ω・cmを超えて、1×10-1Ω・cm以下の値とし、かつ、酸化亜鉛膜の膜厚を10〜300nmの範囲内の値とする。
【選択図】図5

Description

本発明は、透明導電フィルム、透明導電フィルムの製造方法、および透明導電フィルムを用いてなる電子デバイスに関し、特に、湿熱特性に優れる透明導電フィルム、透明導電フィルムの製造方法、およびそのような透明導電フィルムを用いてなる電子デバイスに関する。
従来、液晶デバイスや有機エレクトロルミネッセンスデバイス(有機EL素子)を備えた画像表示装置において、錫ドープ酸化インジウムを透明導電層の形成材料として用いた透明導電フィルムが広く用いられている。
一方、高価で希少金属であるインジウムを多量に含む錫ドープ酸化インジウムを用いた透明導電層の代替として、透明性や表面平滑性に優れた酸化亜鉛透明を用いた透明導電フィルムが提案されている。
より具体的には、有機高分子フィルム基材上にAl23薄膜が形成されており、その上にGaをドープしたZnOであるGZO薄膜が形成されている透明導電フィルムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
また、酸化亜鉛を主成分とし、濃度制御容易なドーパントによって、抵抗率の低下を目的とした低抵抗率透明導電体が提案されている。
すなわち、酸化亜鉛、酸化インジウムおよび酸化ガリウムからなる透明導電体であって、インジウムおよびガリウムの元素濃度をそれぞれ所定範囲内の値とした低抵抗率透明導電体が提案されている(例えば、特許文献2)。
一方で、極薄膜レベルであっても優れた耐湿熱特性を得ることを目的として、特定の元素をドープした透明導電性酸化亜鉛膜が提案されている。
すなわち、酸化亜鉛に、Ga及び/又はAlからなる第1元素と、In、Bi、Se、Ce、Cu、Er及びEuからなる群から選択される少なくとも1つからなる第2元素が添加された透明導電性酸化亜鉛膜であって、所定の湿熱試験前後における比抵抗が所定範囲内の値であり、亜鉛と第2元素の原子数量比および膜厚を所定の範囲内の値に規定した透明導電性酸化亜鉛膜が提案されている(例えば、特許文献3)。
特許第4917897号公報(特許請求の範囲等) 特開2006−147325号公報(特許請求の範囲等) 特開2013−147727号公報(特許請求の範囲等)
しかしながら、特許文献1に開示された透明導電性フィルムは、アンダーコート層としてAl23薄膜を必須としているにも関わらず、ガリウムのみをドープした酸化亜鉛膜は、未だ耐湿熱特性が不十分であるという問題が見られた。
また、特許文献2に開示された低抵抗率透明導電体は、抵抗率の改善は図れたものの、湿熱特性については、何ら考慮されていないという問題が見られた。
また、特許文献3に開示された透明導電性酸化亜鉛膜は、ある程度の湿熱特性は得られているものの、成膜条件が比較的過酷であり、また膜厚が140nm以下であることを必須としており、用途が比較的狭く限定されるという問題が見られた。
そこで、本発明者らは、このような問題を鋭意検討した結果、樹脂基材の少なくとも片面に透明導電層を形成してなる透明導電フィルムであって、酸化亜鉛膜が、酸化亜鉛を含むとともに、ガリウムとインジウムをドープしてなる酸化亜鉛膜であり、当該酸化亜鉛膜が、XPS分析によって測定される所定量のガリウムおよびインジウムを含むとともに所定範囲の比抵抗および膜厚を有する透明導電フィルムを構成することにより、湿熱特性に優れることを見出し、本発明を完成させたものである。
すなわち、本発明は、湿熱特性に優れる、例えば、60℃、相対湿度95%の条件下で、500時間、保管後も比抵抗の増加率が低い透明導電フィルム、透明導電フィルムの製造方法、およびそのような透明導電フィルムを用いてなる電子デバイスを提供することを目的とする。
本発明によれば、樹脂基材の少なくとも片面に透明導電層を形成してなる透明導電フィルムであって、透明導電層が、酸化亜鉛を含むとともに、ガリウムとインジウムをドープしてなる酸化亜鉛膜であり、透明導電層は、XPSの元素分析測定による亜鉛量、ガリウム量、酸素量、およびインジウム量の合計量(100atom%)に対して、インジウム量を0.01〜8atom%の範囲内の値とするとともに、ガリウム量を0.1〜10atom%の範囲内の値とし、当該酸化亜鉛膜の初期の比抵抗(ρ0)を5×10-4Ω・cmを超えて、1×10-1Ω・cm以下の値とし、かつ、酸化亜鉛膜の膜厚を10〜300nmの範囲内の値とすることを特徴とする透明導電フィルムが提供され、上述した問題を解決することができる。
すなわち、本発明の透明導電層が、所定量のガリウムおよびインジウムを含んでいることから、透明導電層の湿熱特性を向上させることができる。
また、透明導電層が、所定の膜厚及び比抵抗を有しているため、好適な光透過性および導電性を発揮することができる。
また、本発明を構成するにあたり、透明導電膜層における初期の比抵抗をρ0とし、60℃、相対湿度95%の条件下で、500時間、保管した後の比抵抗をρ1としたとき、ρ10で表わされる比率を1.5以下の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、湿熱特性に優れる透明導電フィルムを得ることができる。
また、本発明を構成するにあたり、樹脂基材が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、シクロオレフィン系コポリマ、シクロオレフィン系ポリマ、ポリエーテルスルフォン、ポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
このように構成することにより、透明導電フィルムに柔軟性および透明性を付与することができる。
また、本発明を構成するにあたり、樹脂基材の少なくとも片面に、ガスバリア層がさらに形成してあることが好ましい。
このように構成することにより、透明導電性フィルムのガスバリア性を一段と向上させることができるため、湿熱特性をさらに向上させることができる。
また、本発明を構成するにあたり、ガスバリア層が、金属、無機酸化物、無機窒化物、無機酸窒化物、無機炭化物、無機硫化物、無機酸窒化炭化物、高分子化合物およびこれらの複合体から選ばれる少なくとも1種からなることが好ましい。
このように構成することにより、ガスバリア層が十分なガスバリア性を発揮することができる。
また、本発明を構成するにあたり、ガスバリア層の水蒸気透過率を0.1g・m-2・day-1以下の値とすることが好ましい。
このように水蒸気透過率を制限することにより、樹脂基材を透過して、水蒸気等が浸入したとしても、その水蒸気等の更なる浸透を防ぎ、結果として、透明導電層が劣化することを防ぐことができる。
また、本発明の別の態様は、上述したいずれかの透明導電フィルムを透明電極に用いてなることを特徴とする電子デバイスである。
このように、湿熱特性に優れる透明導電フィルムを透明電極に用いることにより、電子デバイスの長期安定性を好適に図ることができる。
また、本発明のさらに別の態様は、樹脂基材の少なくとも片面に透明導電層を形成してなる透明導電フィルムの製造方法であって、下記工程(1)〜(2)を含むことを特徴とする透明導電フィルムの製造方法である。
(1)樹脂基材、および焼結体を準備する工程
(2)樹脂基材上に、透明導電層として、スパッタリング法または蒸着法を用いて、焼結体から、酸化亜鉛を含むとともに、ガリウムとインジウムをドープしてなる酸化亜鉛膜であり、透明導電層は、XPSの元素分析測定による亜鉛量、ガリウム量、酸素量、およびインジウム量の合計量(100atom%)に対して、インジウム量を0.01〜8atom%の範囲内の値とするとともに、ガリウム量を0.1〜10atom%の範囲内の値とし、当該酸化亜鉛膜の初期の比抵抗(ρ0)が5×10-4Ω・cmを超えて、1×10-1Ω・cm以下の値であり、かつ、膜厚が10〜300nmの範囲内の値である、酸化亜鉛膜を形成する工程
すなわち、このように製造することによって、湿熱特性に優れた透明導電フィルムを安定的に製造することができる。
また、本発明を実施するにあたり、工程(1)と、工程(2)との間において、工程(1)´として、樹脂基材の少なくとも片面にガスバリア層を形成する工程をさらに含むことが好ましい。
このように製造することによって、湿熱特性により優れた透明導電フィルムを効率的に製造することができる。
また、本発明を実施するにあたり、樹脂基材上に、透明導電層を形成する際の樹脂基材の温度を10〜150℃の範囲内の値とすることが好ましい。
このように製造することによって、使用可能な基材の種類が増えるため、多用途に使用可能な透明導電フィルムを製造可能であるばかりか、経済的にも有利である。
図1(a)〜(d)は、本発明の透明導電層を含む透明導電フィルムの態様を説明するために供する図である。 図2は、本発明の亜鉛、ガリウムおよび酸素を含むとともにインジウムをドープしてなる酸化亜鉛膜のIn Plane法によるX線回折チャートである。 図3は、本発明の酸化亜鉛膜のOut of plane法による002面におけるX線回折チャートである。 図4は、GZO膜の結晶構造を説明するために供する写真である。 図5は、本発明におけるンジウム量と透明導電層の比抵抗との関係を説明するために供する図である。 図6は、本発明の透明導電フィルムの湿熱特性を説明するために供する図である。
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、樹脂基材の少なくとも片面に透明導電層を形成してなる透明導電フィルムであって、透明導電層が、酸化亜鉛を含むとともに、ガリウムとインジウムをドープしてなる酸化亜鉛膜であり、透明導電層は、XPSの元素分析測定による亜鉛量、ガリウム量、酸素量、およびインジウム量の合計量(100atom%)に対して、インジウム量を0.01〜8atom%の範囲内の値とするとともに、ガリウム量を0.1〜10atom%の範囲内の値とし、当該酸化亜鉛膜の初期の比抵抗(ρ0)を5×10-4Ω・cmを超えて、1×10-1Ω・cm以下の値とし、かつ、酸化亜鉛膜の膜厚を10〜300nmの範囲内の値とすることを特徴とする透明導電フィルムである。
以下、第1の実施形態の透明導電フィルムにつき、適宜図面を参照して具体的に説明する。
1.透明導電層
透明導電層は、酸化亜鉛を含むとともに、ガリウムとインジウムをドープしてなる酸化亜鉛膜であり、XPSの元素分析測定による亜鉛量、ガリウム量、酸素量、およびインジウム量の合計量(100atom%)に対して、インジウム量を0.01〜8atom%の範囲内の値とし、かつ、ガリウム量を0.1〜10atom%の範囲内の値とすることを特徴とする。
すなわち、透明導電層が特定の元素を所定量の割合で含む酸化亜鉛膜であることによって、湿熱特性や透明性に優れた透明導電層とすることができる。
(1)結晶構造
酸化亜鉛膜は、六方晶系ウルツ鉱型の結晶構造を有しており、ガリウムをドープした酸化亜鉛膜(以下、GZO膜と称する)もまた、図4に示すように、六方晶系ウルツ鉱型の結晶構造を有しており、c軸配向性の強い薄膜であることが知られている。
また、本発明における透明導電層は、酸化亜鉛を含むとともに、ガリウムとインジウムをドープしてなる酸化亜鉛膜(以下、In−GZO膜と称する場合がある)であるが、インジウムをドープしても、インジウム量が比較的少量であるため、図2および図3に示すように、c軸配向性の高い柱状構造をとっていることが理解される。
より具体的には、図2は、インジウムの量を変化させた場合におけるIn plane法によるX線回折チャートを示している。ここで、特性曲線Aは、重量比がZnO:Ga23:In23=94.0:5.7:0.3である焼結体から得られたIn−GZO膜のX線回折チャートであり、特性曲線Bは、重量比がZnO:Ga23:In23=93.5:5.7:1.0である焼結体から得られたIn−GZO膜のX線回折チャートであり、特性曲線Cは、重量比がZnO:Ga23:In23=89.3:5.7:5.0である焼結体から得られたIn−GZO膜のX線回折チャートであり、特性曲線Dは、重量比がZnO:Ga23:In23=84.3:5.7:10.0である焼結体から得られたIn−GZO膜のX線回折チャートであり、特性曲線Eは、インジウムを含まない、すなわち、GZO膜のX線回折チャートである。
また、図3は、002面におけるOut of plane法によるX線回折チャートを示している。ここで、図2と同様に、特性曲線Aは、重量比がZnO:Ga23:In23=94.0:5.7:0.3である焼結体から得られたIn−GZO膜のX線回折チャートであり、特性曲線Bは、重量比がZnO:Ga23:In23=93.5:5.7:1.0である焼結体から得られたIn−GZO膜のX線回折チャートであり、特性曲線Cは、重量比がZnO:Ga23:In23=89.3:5.7:5.0である焼結体から得られたIn−GZO膜のX線回折チャートであり、特性曲線Dは、重量比がZnO:Ga23:In23=84.3:5.7:10.0である焼結体から得られたIn−GZO膜のX線回折チャートであり、特性曲線Eは、インジウムを含まない、すなわち、GZO膜のX線回折チャートである。
すなわち、図2〜図3より、In−GZO膜はGZO膜と同様の回折ピークを示していることから、結晶構造も類似していることが理解される。
(2)構成
また、本発明において、透明導電層は、XPSの元素分析測定による亜鉛量、ガリウム量、酸素量、およびインジウム量の合計量(100atom%)に対して、インジウム量を0.01〜8atom%の範囲内の値とし、かつ、ガリウム量を0.1〜10atom%の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、透明導電層におけるインジウム量が0.01atom%未満の値となると、湿熱特性が著しく低下する場合があるためである。
一方、透明導電層におけるインジウム量が8atom%を超えた値となると、比抵抗が著しく大きな値となり、透明導電フィルムの電気特性が低下する場合があるためである。
したがって、湿熱特性を良好なものとする点から、透明導電層において、XPSの元素分析測定による亜鉛量、ガリウム量、酸素量、およびインジウム量の合計量(100atom%)に対して、インジウム量を0.02〜7atom%の範囲内の値とし、かつ、ガリウム量を0.5〜10atom%の範囲内の値とすることが好ましい。
なお、XPSの元素分析測定による各元素量は、透明導電層全体において、深さ方向のXPS分析によって測定される、各深さにおける元素量の平均値を意味する。
(3)膜厚
また、本発明において、透明導電層の膜厚が10〜300nmの範囲内の値であることを特徴とする。
この理由は、透明導電層の膜厚が10nm未満の値となると、透明導電層の安定的形成が困難となる場合が生じるばかりか、湿熱特性等が、著しく低下する場合があるためである。
一方、透明導電層の膜厚が300nmを超えた値になると、透明導電層の形成に過度に時間を要し、生産性が低下する場合があるためである。
したがって、透明導電層の膜厚が20〜250nmの範囲内の値であることがより好ましく、30〜200nmの範囲内の値であることがさらに好ましい。
なお、透明導電層の膜厚(d)は、実施例1において具体的に説明するように、分光エリプソメーターを用いて、測定することができる。
(4)比抵抗
また、図1(a)〜(d)に例示される透明導電層10、10´の初期の比抵抗(ρ0)を5×10-4Ω・cmを超えて、1×10-1Ω・cm以下の値とすることを特徴とする。
この理由は、透明導電層の初期の比抵抗が5×10-4Ω・cm以下の値になると、成膜条件が複雑になる場合があるためである。
一方、透明導電層の初期の比抵抗が1×10-1Ω・cmを超えた値になると、好適な導電性が得られない場合があるためである。
したがって、透明導電膜層の初期の比抵抗を5.5×10-4Ω・cm〜1×10-2Ω・cmの範囲内の値とすることが、より好ましく、6×10-4Ω・cm〜5×10-3Ω・cmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、透明導電層の比抵抗(ρ)は、実施例1において具体的に説明するように、透明導電フィルムの膜厚(d)および測定した表面抵抗率(R)より、算出することができる。
ここで、図5を参照して、本発明の透明導電層を構成する酸化亜鉛膜におけるインジウム量と透明導電層の比抵抗との関係を説明する。
すなわち、図5の横軸に、酸化亜鉛膜中のインジウム量を採り、縦軸に、酸化亜鉛膜の比抵抗が採って示してある。
かかる特性曲線より酸化亜鉛膜中のインジウム量が増加するに伴い、比抵抗が著しく増加し、電気特性が低下することが理解される。
したがって、酸化亜鉛膜中のインジウム量が、XPSの元素分析測定による亜鉛量、ガリウム量、酸素量、およびインジウム量の合計量(100atom%)に対して、インジウム量を0.01〜8atom%の範囲内の値であれば、酸化亜鉛膜が所定の比抵抗の範囲内の値を維持し、好適な電気特性が得られることが理解される。
(5)湿熱特性
また、図1(a)〜(d)に例示される透明導電層10、10´における初期の比抵抗をρ0とし、60℃、相対湿度95%の条件下で、500時間、保管した後の比抵抗をρ1としたときに、ρ10で表わされる比率を1.5以下の値とすることが好ましい。
なお、透明導電層の比抵抗(ρ0、ρ1)は、実施例1において具体的に説明するように、表面抵抗測定装置を用いて、測定することができる。
ここで、図6を参照して、透明導電フィルムにおける、透明導電層の構成と、環境試験前後における比抵抗の変化との関係を説明する。
すなわち、図6の横軸に、60℃、相対湿度95%の条件下での保管経過時間が採って示してあり、縦軸に、ρ10で表わされる比率が採って示してある。
そして、特性曲線Aは、重量比がZnO:Ga23:In23=94.0:5.7:0.3である焼結体から得られたIn−GZO膜の湿熱特性を示す曲線であり、特性曲線Bは、重量比がZnO:Ga23:In23=93.5:5.7:1.0である焼結体から得られたIn−GZO膜の湿熱特性を示す曲線であり、特性曲線Cは、重量比がZnO:Ga23:In23=89.3:5.7:5.0である焼結体から得られたIn−GZO膜の湿熱特性を示す曲線であり、特性曲線Dは、重量比がZnO:Ga23:In23=84.3:5.7:10.0である焼結体から得られたIn−GZO膜の湿熱特性を示す曲線であり、特性曲線Eは、インジウムを含まない、すなわち、GZO膜の湿熱特性を示す曲線である。
これらの特性曲線A〜Eより、GZO膜である透明導電層に、インジウムを少量添加することにより、湿熱特性が劇的に向上していることが理解される。
また、インジウムの配合量の増加により、より湿熱特性が向上する傾向が見られている。
すなわち、GZO膜に比較し、In−GZO膜は、湿熱環境下での比抵抗の変化の割合が長期にわたって低いことから、経時における湿熱特性が優れていることが理解される。
したがって、上述のように、ρ10で表わされる比率を1.3以下の値とすることがより好ましく、1.2以下の値とすることがさらに好ましい。
2.樹脂基材
(1)種類
図1に例示する樹脂基材12に使用される樹脂としては、柔軟性および透明性に優れるものであれば特に限定されず、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリフェニレンスルフィド、ポリアリレート、アクリル系樹脂、シクロオレフィン系コポリマ、シクロオレフィン系ポリマ、芳香族系重合体、ポリウレタン系ポリマ等が挙げられる。
これらの中でも、透明性に優れ、柔軟性および汎用性があることから、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリアミド又はシクロオレフィン系ポリマ、ポリエーテルスルフォンからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましく、ポリエステル又はシクロオレフィン系ポリマがより好ましい。
より具体的には、ポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリアリレート等が挙げられる。
また、ポリアミドとしては、全芳香族ポリアミド、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン共重合体等が挙げられる。
また、シクロオレフィン系ポリマとしては、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、及びこれらの水素化物が挙げられる。例えば、アぺル(三井化学社製のエチレン−シクロオレフィン共重合体)、アートン(JSR社製のノルボルネン系重合体)、ゼオノア(日本ゼオン社製のノルボルネン系重合体)等が挙げられる。
(2)膜厚
また、図1に例示する樹脂基材12の膜厚は、使用目的等に応じて決定すればよいが、柔軟性および取り扱いが容易であるという点から、1〜1000μmの範囲内の値とすることが好ましく、5〜250μmの範囲内の値とすることがより好ましく、10〜200μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(3)添加剤
また、樹脂基材には、上述した樹脂成分の他に、透明性等を損なわない範囲で、酸化防止剤、難燃剤、滑剤等の各種添加剤を含んでも良い。
3.ガスバリア層
(1)態様
また、本発明において、樹脂基材の少なくとも片面に、ガスバリア層がさらに形成してあることが好ましい。
より具体的には、図1(c)に例示されるように、ガスバリア層14は、樹脂基材12と、透明導電層10と、の間に形成され、樹脂基材12を透過して、水蒸気等が浸入したとしても、その水蒸気等の更なる浸透を防ぎ、結果として、透明導電層10が劣化することを防ぐための層である。
したがって、所定のガスバリア性を発揮するのであれば、かかるガスバリア層の構成については、特に制限されるものではないが、例えば、アルミニウム、マグネシウム、ジルコニウム、チタン、亜鉛、スズ等の金属;酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化スズ等の無機酸化物;窒化珪素等の無機窒化物;無機炭化物;無機硫化物;これらの複合体である酸窒化珪素等の無機酸化炭化物;無機窒化炭化物;無機酸化窒化炭化物;高分子化合物等の一種単独または二種以上の組み合わせが挙げられる。
また、かかるガスバリア層は、各種高分子樹脂、硬化剤、老化防止剤、光安定剤、難燃剤等の他の配合成分を含んでいても良い。
なお、ガスバリア層は、樹脂基材上に複数層形成してもよく、上述の透明導電層を形成した後に、ガスバリア層を形成してもよい。
また、ガスバリア層を形成する方法としては、特に限定されず、例えば、蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、熱CVD法、プラズマCVD法等により樹脂基材上に形成する方法や、上記材料を有機溶剤に溶解または分散した溶液を公知の塗布方法によって樹脂基材上に塗布し、得られた塗膜を適度に乾燥して形成する方法、または得られた塗膜に対して、大気圧プラズマ処理、イオン注入処理、ランプアニール処理等の改質処理を行って形成する方法等が挙げられる。
(2)膜厚
また、図1(c)に例示されるガスバリア層14の膜厚を20nm〜50μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、このような所定膜厚のガスバリア層とすることによって、さらに優れたガスバリア性や密着性が得られるとともに、柔軟性と、被膜強度とを両立させることができるためである。
したがって、ガスバリア層の膜厚を30nm〜1,000nmの範囲内の値とすることがより好ましく、40nm〜500nmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
(3)水蒸気透過率(WVTR)
また、ガスバリア層の40℃、相対湿度90%の雰囲気下で測定される水蒸気透過率を0.1g・m-2・day-1以下の値とすることが好ましく、0.05g・m-2・day-1以下の値とすることがより好ましく、0.01g・m-2・day-1以下の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、このような水蒸気透過率の値とすることによって、透明導電層が劣化することを防ぎ、耐湿熱性に優れたガスバリア性が得られるためである。
なお、ガスバリア層の水蒸気透過率としては、公知方法で測定することができ、例えば、実施例1に示すように、市販の水蒸気透過率測定装置を用いて測定することができる。
4.他層
さらに、本発明の透明導電フィルムには、必要に応じて、各種他層を設けることができる。
このような他層としては、例えば、アンダーコート層(プライマー層)、平坦化層、ハードコート層、保護層、帯電防止層、防汚層、防眩層、カラーフィルター、接着剤層、装飾層、印刷層等が挙げられる。
ここで、図1(d)に示すように、アンダーコート層16は、樹脂基材12と透明導電層10の密着性を向上させるために設ける層であり、材料としては、例えば、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、シランカップリング剤、エポキシ系樹脂、ポリエステル系樹脂、紫外線硬化型樹脂等の公知のものを用いることができる。
また、図1(d)に示すように、樹脂基材12の透明導電層10と反対側の面には、各種用途に応じて他層18(防眩層、帯電防止層、防反射層、防汚層等)を設けることも好ましい。
5.透明導電フィルム
(1)態様
図1(a)〜(d)に例示される透明導電フィルム50、50´、50´´、50´´´は、樹脂基材12上の片面または両面に透明導電層10、10´を形成してなる透明導電フィルムであって、透明導電層が、酸化亜鉛を含むとともに、ガリウムとインジウムをドープしてなる酸化亜鉛膜であり、当該透明導電層は、XPSの元素分析測定による亜鉛量、ガリウム量、酸素量、およびインジウム量の合計量(100atom%)に対して、インジウム量を0.01〜8atom%の範囲内の値とし、かつ、ガリウム量を0.1〜10atom%の範囲内の値とし、所定の比抵抗および膜厚を有している。
また、図1(c)に示すように、基材と透明導電層との間にガスバリア層14を含んだ場合であっても好ましい態様である。
なお、本発明において、透明導電層の透明性に関して、所定厚さ、例えば、20〜600nmのいずれかにおいて、波長550nmの光線透過率が70%以上の値であることが好ましく、80%以上の値であることがより好ましく、90%以上の値であることがさらに好ましい。
また、透明導電フィルムの透明性に関して、所定厚さ、例えば10μm〜1mmのいずれかにおいて、波長550nmの光線透過率が50%以上の値であることが好ましく、60%以上の値であることがより好ましく、70%以上の値であることがさらに好ましい。
(2)比抵抗
図1(a)〜(d)に例示される透明導電フィルム50、50´、50´´、50´´´の比抵抗(ρ)は、事実上、透明導電層10、10´の比抵抗と同一であることから、再度の説明は省略する。
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、樹脂基材の少なくとも片面に透明導電層を形成してなる透明導電フィルムの製造方法であって、下記工程(1)〜(2)を含むことを特徴とする透明導電フィルムの製造方法である。
(1)樹脂基材、および焼結体を準備する工程
(2)樹脂基材上に、透明導電層として、スパッタリング法または蒸着法を用いて、焼結体から、酸化亜鉛を含むとともに、ガリウムとインジウムをドープしてなる酸化亜鉛膜であり、透明導電層は、XPSの元素分析測定による亜鉛量、ガリウム量、酸素量、およびインジウム量の合計量(100atom%)に対して、インジウム量を0.01〜8atom%の範囲内の値とするとともに、ガリウム量を0.1〜10atom%の範囲内の値とし、当該酸化亜鉛膜の初期の比抵抗(ρ0)が5×10-4Ω・cmを超えて、1×10-1Ω・cm以下の値であり、かつ、膜厚が10〜300nmの範囲内の値である、酸化亜鉛膜を形成する工程
以下、第2の実施形態の透明導電フィルムの製造方法について、具体的に説明する。
1.工程(1):樹脂基材および焼結体を準備する工程
工程(1)は、樹脂基材および焼結体を準備する工程である。
すなわち、図1(a)〜(d)に例示される透明導電層は、酸化亜鉛を主成分とするとともに、酸化ガリウムおよび酸化インジウムをさらに含む焼結体から成膜することが好ましい。
また、透明導電層を形成する焼結体において、当該焼結体の全体量に対して、酸化亜鉛の配合量を70〜99.98重量%の範囲内の値とし、酸化ガリウムの配合量を0.01〜15重量%の範囲内の値とし、かつ、酸化インジウムの配合量を0.01〜15重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、配合量が制御された酸化亜鉛−酸化ガリウム−酸化インジウムの三元系焼結体を用いることにより、湿熱特性に優れた透明導電層を効率的に成膜することができ、ひいては、生産効率を向上させることができるためである。
より具体的には、焼結体の全体量に対して、酸化インジウムの配合量が0.01重量%未満の場合は、成膜後の透明導電層に含まれるインジウムの量が著しく少なくなり、十分な湿熱特性が得られない場合があるためである。
一方、酸化インジウムの量が15重量%を超える場合は、成膜後の透明導電層に含まれるインジウムの量が増加するため、比抵抗が著しく大きな値となる場合があるためである。
したがって、焼結体の全体量に対して、酸化亜鉛の配合量を76〜99.4重量%の範囲内の値とし、酸化ガリウムの配合量を0.5〜12重量%の範囲内の値とし、かつ、酸化インジウムの配合量を0.1〜12重量%の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、焼結体の全体量に対して、酸化亜鉛の配合量を80〜98.7重量%の範囲内の値とし、酸化ガリウムの配合量を1〜10重量%の範囲内の値とし、かつ、酸化インジウムの配合量を0.3〜10重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、樹脂基材の詳細については、既に記載した通りであるため、省略する。
2.工程(1)´:ガスバリア層の形成工程
工程(1)´は、透明導電フィルムがガスバリア層を備える場合のガスバリア層の形成工程であって、ガスバリア性を所望する樹脂基材12を準備し、樹脂基材上にガスバリア層14を形成する工程である。
3.工程(2):透明導電層の形成工程
工程(2)は、樹脂基材の少なくとも片面に透明導電層を形成する方法である。
透明導電層を形成する方法として、例えば、スパッタリング法や蒸着法に代表される物理的作製法と、化学気相成長法に代表される化学的作製法が挙げられる。
これらの中でも、簡便に透明導電体層が形成できることから、スパッタリング法または蒸着法が好ましい。すなわち、スパッタリング法または蒸着法により形成することにより、形成される透明導電層の組成を容易に制御することができるため、効率よく透明導電層を形成することができる。
より具体的なスパッタリング法として、DCスパッタリング法、DCマグネトロンスパッタリング法、RFスパッタリング法、RFマグネトロンスパッタリング法、DC+RF重畳スパッタリング法、DC+RF重畳マグネトロンスパッタリング法、対向ターゲットスパッタリング法、ECRスパッタリング法、デュアルマグネトロンスパッタリング法等が挙げられる。
また、より具体的な蒸着法として、抵抗加熱法、電子線加熱法、レーザー加熱法、アーク蒸着法、および誘導加熱法等が挙げられる。
また、スパッタリングまたは蒸着の条件としては、特に限定されないが、背圧としては、1×10-2Pa以下の値が好ましく、1×10-3Pa以下の値がより好ましい。
また、アルゴンガスを系内に導入する形成方法を選択した場合、系内圧力を0.1〜5Pa、より好ましくは0.2〜1Paの範囲内の値とすることが好ましい。
さらに、スパッタリング法または蒸着法で、系内に導入するガス種は、アルゴン(Ar)もしくはアルゴン(Ar)と酸素(O2)の混合ガスを用いることが生産コスト上好ましいが、Ar以外の希ガス、窒素(N2)等を用いても良い。混合ガスを用いる場合、かかる混合比(O2/(Ar+O2))を0.01〜20の範囲内の値とすることが好ましく、0.1〜10の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
この理由は、アルゴンと酸素の混合比が上記範囲であれば、比抵抗が低く、反射率が低い導電層を成膜することができるためである。
また、樹脂基材上に透明導電層を形成する際の樹脂基材の温度を10〜150℃の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、樹脂基材の温度が10〜150℃の範囲内の値であれば、軟化点が比較的低い樹脂基材であっても、好適に透明導電層を形成することができるためである。
[第3の実施形態]
第3の実施形態は、上述したいずれかの透明導電フィルムを透明電極に用いてなることを特徴とする電子デバイスである。
より具体的には、所定の透明導電フィルムを備えた透明電極を搭載してなる液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、無機ELディスプレイ、電子ペーパー、太陽電池、有機トランジスタ、有機EL照明、無機EL照明、熱電変換デバイス、ガスセンサー等が挙げられる
すなわち、本発明の電子デバイスは、第1の実施形態に記載の透明導電フィルムを備えているので、比抵抗が十分に小さく、かつ、長期に渡って比抵抗の上昇が抑制できる導電性を発揮することができる。
以下、本発明を実施例によってさらに詳細に説明する。但し、以下の説明は、本発明を例示的に示すものであり、本発明はこれらの記載に制限されるものではない。
[実施例1]
1.透明導電フィルムの製造
(1)工程(1):樹脂基材および焼結体を準備する工程
樹脂基材として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績社製、A4100、厚み:100μm)を準備した。
また、酸化亜鉛−酸化ガリウム−酸化インジウムの三元系焼結体(ZnO:Ga23:In23=94.0重量%:5.7重量%:0.3重量%)を準備した。
(2)工程(1)´:ガスバリア層の形成工程
次いで、樹脂基材上に、光硬化性樹脂からなるアンダーコート層形成溶液を塗布した後、120℃、1分間の条件で加熱処理して、乾燥させた。
次いで、UV光照射ラインを用いて、高圧水銀灯を用い、ラインスピ−ド:20m/min、積算光量:100mJ、ピーク強度:1.466W、パス回数:2回の条件でUV照射を行い、アンダーコート層を形成した。
次いで、形成したアンダーコート層上に、ポリシラザン化合物としてのアクアミカNL110−20(クラリアントジャパン社製)を塗布した後、120℃で、1分間の条件で加熱処理して、乾燥させ、ポリシラザン化合物含有層(膜厚:150nm)を得た。その後、23℃、50%RH環境下でシーズニングを行った。
次いで、下記プラズマ注入装置を用いて、下記プラズマイオン注入条件で、ポリシラザン化合物含有層に対して、アルゴンのプラズマイオンを注入し、プラズマイオン注入膜としてのガスバリア層とした。
(プラズマイオン装置)
RF電源:日本電子(株)製、型番「RF」56000
高電圧パルス電源:栗田製作所(株)製、型番「PV−3−HSHV−0835」
(プラズマイオン注入条件)
プラズマ生成ガス:アルゴン(Ar)
ガス流量:100sccm
Duty比:0.5%
繰り返し周波数:1000Hz
印加電圧:−6kV
RF電源:周波数13.56MHz、印加電力1000W
チャンバー内圧:0.2Pa
パルス幅:5μsec
処理時間(イオン注入時間):5分間
搬送速度:0.2m/min
また、得られたガスバリア層を積層した樹脂基材について、水蒸気透過率測定装置(MOCON(株)製、AQUATRAN)を用いて、40℃、相対湿度90%の条件下における水蒸気透過率を測定したところ、0.02g・m-2・day-1であった。
(3)工程(2):透明導電層の形成工程
次いで、得られたガスバリア層を積層した樹脂基材に対し、DCマグネトロンスパッタリング法により、上述の三元系焼結体を用いて、下記スパッタリング条件にて、透明導電層(膜厚:100nm)を形成して、透明導電フィルムとした。
樹脂基材温度:20℃
DC出力:500W
キャリアガス:アルゴン(Ar)
成膜圧力:0.6Pa
成膜時間:35sec.
2.透明導電フィルムの評価
得られた透明導電フィルムにつき、以下の測定を行い、評価した。
(1)XPS分析における元素分析測定
XPS測定分析装置(アルバックファイ社製、Quantum2000)を用いて、得られた透明導電フィルムにおける透明導電層の亜鉛、ガリウム、インジウムおよび酸素の元素分析を行った。得られたXPS測定による各元素量を、表1に示す。
(2)透明導電層の膜厚(d)
得られた透明導電フィルムの透明導電層における膜厚(d)を、分光エリプソメーターM−2000U(J.A.ウーラム・ジャパン社製)を用いて測定した。
(3)比抵抗およびρ1/ρ0の算出
得られた透明導電フィルムの透明導電層における初期の表面抵抗率(R0)を、表面抵抗測定装置として、LORESTA−GP MCP−T600(三菱化学(株)製)およびプローブとして、PROBE TYPE ASP(三菱化学アナリテック(株)製)を用いて、温度23℃、50%RHの環境条件下、測定した。
次いで、得られた透明導電性フィルムを、60℃、95%RH環境下に、500時間置き、取り出し後、23℃50%RH環境下で1日調温・調湿を行い、湿熱試験後の表面抵抗率(R1)を測定した。
すなわち、透明導電層における初期表面抵抗率(R0)および湿熱試験後の表面抵抗率(R)、さらには、透明導電フィルムの膜厚(d)を測定し、それらから下式(1)および(2)より、比抵抗(ρ0)および湿熱試験後の比抵抗(ρ1)を算出して、ρ1/ρ0の比率を得た。得られた結果を表1に示す。
なお、図5に、実施例1等における透明導電層中のインジウム量と、比抵抗との関係を示し、図6に、実施例1等における湿熱試験経過時間と、湿熱試験前後における比抵抗の比率(ρ1/ρ0)との関係を示す。
0=ρ0/d (1)
1=ρ1/d (2)
[実施例2]
実施例2においては、スパッタリングに用いた三元系焼結体の重量比をZnO:Ga23:In23=93.3:5.7:1.0に変えたほかは、実施例1と同様に透明導電積層体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例3においては、スパッタリングに用いた三元系焼結体の重量比をZnO:Ga23:In23=89.3:5.7:5.0に変えたほかは、実施例1と同様に透明導電積層体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[実施例4]
実施例4においては、スパッタリングに用いた三元系焼結体の重量比をZnO:Ga23:In23=84.3:5.7:10.0に変えたほかは、実施例1と同様に透明導電積層体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
[比較例1]
比較例1においては、スパッタリングに用いた焼結体として、重量比をZnO:Ga23=94.3:5.7の焼結体を用いたほかは、実施例1と同様に透明導電積層体を製造し、評価した。得られた結果を表1に示す。
実施例1〜4においては、透明導電層の比抵抗が所定範囲内の値であり、かつ、経時で比抵抗の変化率が小さく、例えば、ρ1/ρ0が1.5以下の値である透明導電フィルムが得られた。
一方、透明導電層がインジウムを含まないGZO膜である比較例1においては、環境試験後の比抵抗が著しく大きく、例えば、ρ1/ρ0が2.5以上の値となった。
以上、詳述したように、本発明の透明導電フィルムによれば、樹脂基材上の少なくとも片面に透明導電層を形成してなる透明導電フィルムであって、透明導電層が、酸化亜鉛を含むとともに、ガリウムとインジウムをドープしてなる透明導電膜であって、XPSの元素分析によって測定される亜鉛量、ガリウム量、酸素量、およびインジウム量に関して、所定のインジウム量およびガリウム量を有する酸化亜鉛膜を含んでおり、かつ、当該酸化亜鉛膜が、特定の比抵抗および膜厚を有することによって、湿熱特性が極めて優れた透明導電フィルムが効率的に得られるようになった。
よって、本発明の透明導電フィルムは、所定の湿熱特性が所望される電気製品、電子部品、画像表示装置(有機エレクトロルミネッセンス素子、無機エレクトロルミネッセンス素子、液晶表示装置、電子ペーパー等)太陽電池等の各種用途において、透明電極等として、有効に使用されることが期待される。
10、10´:透明導電層
12:樹脂基材
14:ガスバリア層
16:アンダーコート層
18:他の層
20:GZO膜
50、50´、50´´、50´´´:透明導電フィルム

Claims (10)

  1. 樹脂基材の少なくとも片面に透明導電層を形成してなる透明導電フィルムであって、
    前記透明導電層が、酸化亜鉛を含むとともに、ガリウムとインジウムをドープしてなる酸化亜鉛膜であり、
    前記透明導電層は、XPSの元素分析測定による亜鉛量、ガリウム量、酸素量、およびインジウム量の合計量(100atom%)に対して、インジウム量を0.01〜8atom%の範囲内の値とするとともに、ガリウム量を0.1〜10atom%の範囲内の値とし、
    当該酸化亜鉛膜の初期の比抵抗(ρ0)を5×10-4Ω・cmを超えて、1×10-1Ω・cm以下の値とし、
    かつ、前記酸化亜鉛膜の膜厚を10〜300nmの範囲内の値とすることを特徴とする透明導電フィルム。
  2. 前記透明導電膜層における初期の比抵抗をρ0とし、60℃、相対湿度95%の条件下で、500時間、保管した後の比抵抗をρ1としたとき、ρ10で表わされる比率を1.5以下の値とすることを特徴とする請求項1に記載の透明導電フィルム。
  3. 前記樹脂基材が、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、シクロオレフィン系コポリマ、シクロオレフィン系ポリマ、ポリエーテルスルフォン、ポリイミドからなる群から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1または2に記載の透明導電フィルム。
  4. 前記樹脂基材の少なくとも片面に、ガスバリア層がさらに形成してあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の透明導電フィルム。
  5. 前記ガスバリア層が、金属、無機酸化物、無機窒化物、無機酸窒化物、無機炭化物、無機硫化物、無機酸窒化炭化物、高分子化合物およびこれらの複合体から選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする請求項4に記載の透明導電フィルム。
  6. 前記ガスバリア層の水蒸気透過率を0.1g・m-2・day-1以下の値とすることを特徴とする請求項4または5に記載の透明導電フィルム。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載の透明導電フィルムを透明電極に用いてなることを特徴とする電子デバイス。
  8. 樹脂基材の少なくとも片面に透明導電層を形成してなる透明導電フィルムの製造方法であって、下記工程(1)〜(2)を含むことを特徴とする透明導電フィルムの製造方法。
    (1)前記樹脂基材、および焼結体を準備する工程
    (2)前記樹脂基材上に、前記透明導電層として、スパッタリング法または蒸着法を用いて、前記焼結体から、酸化亜鉛を含むとともに、ガリウムとインジウムをドープしてなる酸化亜鉛膜であり、前記透明導電層は、XPSの元素分析測定による亜鉛量、ガリウム量、酸素量、およびインジウム量の合計量(100atom%)に対して、インジウム量を0.01〜8atom%の範囲内の値とするとともに、ガリウム量を0.1〜10atom%の範囲内の値とし、当該酸化亜鉛膜の初期の比抵抗(ρ0)が5×10-4Ω・cmを超えて、1×10-1Ω・cm以下の値であり、かつ、膜厚が10〜300nmの範囲内の値である、前記酸化亜鉛膜を形成する工程
  9. 前記工程(1)と、前記工程(2)との間において、工程(1)´として、前記樹脂基材の少なくとも片面にガスバリア層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項8に記載の透明導電フィルムの製造方法。
  10. 前記樹脂基材上に、前記透明導電層を形成する際の前記樹脂基材の温度を10〜150℃の範囲内の値とすることを特徴とする請求項8または9に記載の透明導電フィルムの製造方法。
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