JP6885412B2 - 機能性フィルム積層体、及び、電子デバイスの製造方法 - Google Patents

機能性フィルム積層体、及び、電子デバイスの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、機能性フィルムと保護フィルムとを備える機能性フィルム積層体、及び、機能性フィルム積層体を備える電子デバイスの製造方法に係わる。
電子デバイス等に適用される機能性フィルムとして、基材上に機能性層を備える構成が知られている。また、機能性フィルムを構成する基材の裏面側に保護フィルムを備えた、[保護フィルム/樹脂硬化層/基材/機能性層]の積層構成を有する機能性フィルム積層体が知られている(例えば、特許文献1参照)。ここで、保護フィルムは、基材(第2基材)と粘着層とから構成され、機能性フィルムの基材に対して剥離可能なように設けられる。保護フィルムが剥離された際には、樹脂硬化層が一時的に機能性フィルムの最表面となる。上記構成を有する機能性フィルム積層体は、例えば、ディスプレイデバイスの作製に用いられている。ディスプレイデバイスの作製においても、上記構成の機能性フィルム積層体から保護フィルムが剥離された後には、樹脂硬化層が最表面となる。
上記構成の機能性フィルム積層体において、保護フィルムは樹脂硬化層の汚れ防止、傷防止の目的で設けられている。保護フィルムの粘着層は中間作業の取扱い時に剥離しないよう、ある程度の粘着力が必要とされる。
国際公開第2015/178405号
しかしながら、保護フィルムの粘着層の粘着力が大きすぎると、保護フィルムの剥離時に、大きな力が局所的に保護フィルムと機能性フィルムとに加わる。このため、このような機能性フィルム積層体を有機ELデバイス等の電子デバイスに適用した場合、機能性フィルム積層体を貼合後に保護フィルムを剥離すると、剥離の際に局所的に発生する大きな力が電子デバイスに加わる。このため、電子デバイスに層間での剥離等の損傷が発生し、電子デバイスの信頼性が低下する場合がある。
上述した問題の解決のため、本発明においては、信頼性の低下を抑制することが可能な機能性フィルム積層体、及び、電子デバイスの製造方法を提供する。
本発明の機能性フィルム積層体は、基材、基材の第1面側に形成された機能性層、及び、基材の第2面側に形成された樹脂硬化層を有する機能性フィルムと、機能性フィルムの樹脂硬化層に接して貼り合わされた、剥離可能な保護フィルムとを備える。そして、樹脂硬化層の平均表面粗さ(算術平均粗さ;Ra)が1.1nm以上5nm以下であり、保護フィルムの粘着力が平均値で0.15N/25mm以上0.5N/25mm以下であり、且つ、[粘着力(N/25mm)/Ra(nm)]の値が0.1以上0.3以下である。
また、本発明の電子デバイスの製造方法は、基材、基材の第1面側に形成された機能性層、及び、基材の第2面側に形成された平均表面粗さ(算術平均粗さRa)が1.1nm以上5nm以下の樹脂硬化層を有する機能性フィルムと、樹脂硬化層に接して貼り合わされた粘着力が平均値で0.15N/25mm以上0.5N/25mm以下、且つ、[粘着力(N/25mm)/Ra(nm)]の値が0.1以上0.3以下の剥離可能な保護フィルムとを備える機能性フィルム積層体を準備する工程と、機能性フィルム積層体を電子部材に貼合する工程と、機能性フィルム積層体から保護フィルムを剥離する工程とを有する。
本発明によれば、信頼性の低下を抑制することが可能な機能性フィルム積層体、及び、電子デバイスの製造方法を提供することができる。
第1実施形態の機能性フィルム積層体の構成を示す図である。 真空プラズマCVD装置の模式図である。 ローラー間放電プラズマCVD装置の一例を示す模式図である。 第2実施形態の機能性フィルム積層体の構成を示す図である。 電子デバイスの製造方法を説明するための図である。 電子デバイスの製造方法を説明するための図である。 電子デバイスの製造方法を説明するための図である。 電子デバイスの製造方法を説明するための図である。 電子デバイスの製造方法を説明するための図である。
以下、本発明を実施するための形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.機能性フィルム積層体の実施の形態(第1実施形態)
2.機能性フィルム積層体の実施の形態(第2実施形態)
3.電子デバイスの製造方法
〈1.機能性フィルム積層体の実施の形態(第1実施形態)〉
機能性フィルム積層体の具体的な実施の形態について説明する。図1に、本実施形態の機能性フィルム積層体の概略構成図を示す。
[機能性フィルム積層体の概要]
図1に示す機能性フィルム積層体10は、機能性フィルム20と、保護フィルム30とから構成されている。具体的には、機能性フィルム20は、基材21と、基材21の第1面(表面)側に形成された機能性層22と、基材21の第2面(裏面)側に形成された樹脂硬化層23とを有する。また、保護フィルム30は、粘着層32と保護基材31とから構成される。粘着層32は、保護基材31の一方の面(第1面、又は、表面)側を覆うように形成されている。そして、機能性フィルム20の樹脂硬化層23側(機能性フィルム20の裏面側)に、粘着層32を介して保護基材31が貼合されている。機能性フィルム積層体10において、樹脂硬化層23と粘着層32とは直に接するように設けられている。
また、保護フィルム30は、機能性フィルム20の樹脂硬化層23から、剥離可能なように貼合されている。このため、機能性フィルム積層体10は、機能性フィルム20の樹脂硬化層23と、保護フィルム30の粘着層32との間において、保護フィルム30と機能性フィルム20との剥離が可能である。
機能性フィルム積層体10において、樹脂硬化層23の平均表面粗さは、算術平均粗さ(Ra)で表され、Raが1.1nm以上5nm以下である。そして、保護フィルム30において、粘着層32の粘着力は、平均値で0.15N/25mm以上0.5N/25mm以下である。さらに、樹脂硬化層23の平均表面粗さRaと粘着層32の粘着力との関係を表す[粘着力(N/25mm)/Ra(nm)]の値が、0.1以上0.3以下である。なお、粘着層32の粘着力は、後述する測定方法を用いた平滑ガラス板において測定される値である。
機能性フィルム積層体10を電子デバイス等に適用する場合には、機能性層22が電子部材側となるように、機能性フィルム積層体10を貼合する。そして、樹脂硬化層23から保護フィルムを剥離することにより、樹脂硬化層23が最表面に露出される。このため、機能性フィルム20を備える電子デバイスにおいては、樹脂硬化層23が電子デバイスの最表面となる。
このように、樹脂硬化層23が電子デバイスの最表面となるため、機能性フィルム20の製造工程中や、電子デバイスの製造工程中において、樹脂硬化層23に傷等の損傷が発生すると、電子デバイス等の外観上の不良となってしまう。このため、機能性フィルム20の製造工程中や、電子デバイスの製造工程中において、樹脂硬化層23の損傷を防ぐために、機能性フィルム20の樹脂硬化層23上に剥離可能な保護フィルム30を設けた機能性フィルム積層体10を構成する。そして、電子デバイス等に機能性フィルム積層体10を貼合した後、保護フィルム30を剥離することにより、損傷のない樹脂硬化層23を露出させることができる。
しかしながら、樹脂硬化層23と保護フィルム30との接合力が小さいと、機能性フィルム20の製造工程中や、電子デバイスの製造工程中において、保護フィルム30が剥離してしまう。すなわち、粘着層32の粘着力が小さいと、機能性フィルム20の製造工程中や、電子デバイスの製造工程中において、保護フィルム30が剥離してしまう。
一方で、樹脂硬化層23と保護フィルム30との接合力が大きすぎると、剥離する際に、一定の張力を掛けて剥離しても、連続的(スムーズ)に剥がれずに、不連続(間欠的)に剥がれる。このため、機能性フィルム20と保護フィルム30との界面において、剥離の応力が均一に掛からずに、機能性フィルムと保護フィルムとの界面の一部分において、瞬間的に大きな力が発生する。
このように、局所的に大きな力が加わると、機能性フィルム20の機能性層22や、電子部材等に剥離や割れ等の損傷が発生し、機能性フィルム20や電子デバイスの信頼性が低下する。例えば、電子部材として有機EL素子等を用いた場合には、有機層の剥離等の損傷が発生し、電子デバイスの信頼性が低下する。
このため、機能性フィルム20や電子デバイスの信頼性の低下を抑制するためには、機能性フィルム20の樹脂硬化層23と粘着層32との間の接合力を、工程中での剥離抑制が可能であり、且つ、剥離した際の他の部材への損傷の発生を抑制することができる、所望の範囲に調整する必要がある。
樹脂硬化層23と粘着層32との接合力は、粘着層32の粘着力と、樹脂硬化層23の表面粗さとに強い影響を受ける。例えば、樹脂硬化層23の表面の平滑性が高いほど粘着層32との接合力が大きくなりやすく、樹脂硬化層23の表面粗さが増すほど粘着層32との接合力が小さくなりやすい。また、粘着層32の粘着力が大きくなるほど樹脂硬化層23との接合力が大きくなりやすく、粘着層32の粘着力が小さくなるほど樹脂硬化層23との接合力が小さくなりやすい。このため、これらを所望の範囲に調整することにより、工程中の剥離抑制と、剥離時の損傷の抑制とを両立することが可能となる。
作業工程中での保護フィルム30の剥離を抑制するためには、樹脂硬化層23と粘着層32との接合力が大きい方がよい。このため、粘着層32の粘着力として、平均値で0.15N/25mm以上必要となる。また、剥離時の不連続な剥離を防ぐためには、樹脂硬化層23と粘着層32との接合力は小さい方がよいため、粘着層32の粘着力を平均値で0.5N/25mm以下とする。
一方、上記範囲の粘着力において、作業工程中の十分な接合力と、剥離の際の連続的な剥離とを得るためには、樹脂硬化層23の平均表面粗さRaを、1.1nm以上5nm以下とする必要がある。
さらに、上記樹脂硬化層23の表面粗さと、粘着層32の粘着力の範囲において、表面粗さと粘着力との比率を表す[粘着力(N/25mm)/Ra(nm)]を、0.1以上0.3以下となる範囲に調整する。この比率は、樹脂硬化層23の平均表面粗さRaと、粘着層32の粘着力とが、それぞれ上記範囲内であっても、粗さと粘着力との比率が外れると、作業工程中で要求される十分な接合力と、剥離時の連続的な剥離とが発生しにくくなる。これは、粗さの大きい樹脂硬化層23に、小さい粘着力の粘着層32を接合した場合には、接合力が不足するためである。また、平滑性の高い樹脂硬化層23に、大きい粘着力の粘着層32を接合した場合には、接合力が大きくなりすぎるためである。
従って、上述の構成の機能性フィルム積層体10において、樹脂硬化層23の平均表面粗さRaを1.1nm以上5nm以下、粘着層32の粘着力を平均値で0.15N/25mm以上0.5N/25mm以下とし、さらに、[粘着力(N/25mm)/Ra(nm)]を0.1以上0.3以下とすることにより、作業工程中での保護フィルム30の剥離と、剥離時の不連続な剥離による大きな力の発生とを抑制することができ、機能性フィルム積層体10の信頼性、及び、機能性フィルム20を適用した電子デバイス等の信頼性の向上が可能となる。
[機能性フィルム]
以下、機能性フィルム積層体10の各構成について説明する。なお、以下の説明は、機能性フィルム積層体10の構成の一例であり、これらに限定されない。また、機能性フィルム積層体10は、これら以外の構成を有していてもよい。
機能性フィルム20は、基材21と、基材21の一方の面(第1面、表面)側に形成された機能性層22と、基材21の他方の面(第2面、裏面)側に形成された樹脂硬化層23とを備える。機能性フィルム20は、機能性層22が所望の機能を有し、且つ、樹脂硬化層23が保護フィルム30との間に所望の剥離特性を発現できるように形成されていれば、各構成に用いられる材料は特に限定されない。
[基材]
機能性フィルム積層体10の機能性フィルム20に用いられる基材21としては、例えば、樹脂フィルム等が挙げられる。樹脂フィルムは、バリア層等の機能性層を保持できるフィルムであれば材質、厚み等に特に制限はなく、使用目的等に応じて適宜選択することができる。樹脂フィルムとしては、従来公知の樹脂フィルムを用いることができる。基材21は、複数の材料から形成されていてもよい。樹脂フィルムとしては、特開2013−226758号公報の段落[0124]〜[0136]、国際公開第2013/002026号の段落[0044]〜[0047]等に記載された樹脂フィルムを挙げることができる。
基材21として用いることができる樹脂フィルムのより好ましい具体例としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ポリシクロオレフィン(COP)が挙げられる。
基材21は、樹脂フィルムが単独、又は、複数用いられていてもよく、複数の層から形成されていてもよい。基材21の形状は、枚葉形状及びロール形状に限定されないが、生産性の観点からロールトゥロール方式でも対応できるロール形状が好ましい。また、基材21の厚さは、特に制限されないが、5〜500μm程度が好ましい。
[機能性層]
機能性層22としては、例えば、バリア層、保護層、平滑層、ブリードアウト層、アンカーコート層、デシカント層等が挙げられる。これらの層は、基材21上に単層の機能性層22として形成されていてもよく、複数層からなる機能性層22として形成されていてもよい。
特に、機能性フィルム20は、機能性層22として、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が1×10−3ml/(m・24h・atm)以下、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度(90±2)%RH)が、1×10−3g/(m・24h)以下のバリア層を備えることが好ましい。
[バリア層]
機能性層22を構成するバリア層としては、バリア性を有する層であれば、特に限定されることなく、従来公知の構成を適用することができる。例えば、一般的な無機化合物の気相成膜によって形成されたバリア層や、ケイ素化合物を含む塗布液を用いて湿式塗布法によって形成されたバリア層、遷移金属を含むバリア層等が挙げられる。
[バリア層;気相成膜]
無機化合物の気相成膜によって形成されたバリア層(以下、気相成膜バリア層ともいう)は、無機化合物を含む。バリア層に用いられる無機化合物としては、特に限定されないが、例えば、金属酸化物、金属窒化物、金属炭化物、金属酸窒化物又は金属酸炭化物が挙げられる。無機化合物としては、ガスバリア性能の点で、Si、Al、In、Sn、Zn、Ti、Cu、Ce及びTaから選ばれる1種以上の金属を含む、酸化物、窒化物、炭化物、酸窒化物又は酸炭化物等が好ましい。好適な無機化合物として具体的には、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸炭化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、及び、アルミニウムシリケート等の複合体が挙げられる。無機化合物を含むバリア層は、副次的な成分として、上記の無機化合物以外の元素を含有してもよい。
気相成膜バリア層のガスバリア性は、基材上に上記バリア層を形成した積層体において算出する水蒸気透過率(WVTR)が、0.1g/(m・day)以下であることが好ましい。
気相成膜バリア層の膜厚は、特に制限されないが、5〜1000nmであること好ましい。このような範囲であれば、高いガスバリア性能、折り曲げ耐性、断裁加工適性に優れる。また、気相成膜バリア層は2層以上から構成されていてもよい。
気相成膜バリア層を形成するための気相成膜方法としては、特に限定されない。気相成膜方法としては、既存の薄膜堆積技術を用いることができる。例えば、従来公知の蒸着法、反応性蒸着法、スパッタ法、反応性スパッタ法、化学気相成長法等の気相成膜法を用いることができる。これらの気相成膜法によるバリア層は、公知の条件を適用して作製することができる。
例えば、化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition:CVD)は、基材上に、目的とする薄膜の成分を含む原料ガスを供給し、基材表面又は気相での化学反応により膜を堆積する方法である。また、化学反応を活性化する目的で、プラズマを発生させる方法等があり、熱CVD法、触媒化学気相成長法、光CVD法、プラズマを励起源としたプラズマCVD法(PECVD法)である真空プラズマCVD法や大気圧プラズマCVD法等の公知のCVD法が挙げられる。特に、化学気相成長法としては、PECVD法が好ましい方法である。以下、化学気相成長法の好ましい手法として、真空プラズマCVD法について詳しく説明する。
[真空プラズマCVD法]
真空プラズマCVD法は、プラズマ源を搭載した真空容器に材料ガスを流入させ、電源からプラズマ源に電力供給することで真空容器内に放電プラズマを発生させ、プラズマで材料ガスを分解反応させ、生成された反応種を基材に堆積させる方法である。真空プラズマCVD法により得られる気相成膜バリア層では、原材料である金属化合物、分解ガス、分解温度、投入電力等の条件を選ぶことで、目的の化合物からなるバリア層を製造できる。
原材料の化合物としては、ケイ素化合物、チタン化合物、及び、アルミニウム化合物等のケイ素を含む化合物及び金属を含む化合物を用いることが好ましい。これら原材料の化合物は、単独でも又は2種以上組み合わせて用いてもよい。
これらの、ケイ素化合物、チタン化合物、及び、アルミニウム化合物としては、従来公知の化合物を用いることができる。例えば、公知の化合物としては、特開2013−063658号公報の段落[0028]〜[0031]、特開2013−047002号公報の段落[0078]〜[0081]等に記載された化合物を挙げることができる。好ましくは、シラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ヘキサメチルジシロキサン、等が挙げられる。
また、これらの金属を含む原料ガスを分解して無機化合物を得るための分解ガスとしては、水素ガス、メタンガス、アセチレンガス、一酸化炭素ガス、二酸化炭素ガス、窒素ガス、アンモニアガス、亜酸化窒素ガス、酸化窒素ガス、二酸化窒素ガス、酸素ガス、及び、水蒸気等が挙げられる。また、上記分解ガスを、アルゴンガス、ヘリウムガス等の不活性ガスと混合して用いてもよい。原材料の化合物を含む原料ガスと、分解ガスを適宜選択することで所望の気相成膜バリア層を得ることができる。
(真空プラズマCVD装置)
以下、好適な形態である真空プラズマCVD法について具体的に説明する。図2に、真空プラズマCVD法に適用される、真空プラズマCVD装置の模式図の一例を示す。
図2に示す真空プラズマCVD装置40は、真空槽42を有しており、真空槽42の内部の底面側には、サセプタ44が配置されている。サセプタ44上には、アノード電極41が配置されている。また、真空槽42の内部の天井側には、サセプタ44と対向する位置にカソード電極43が配置されている。真空槽42の外部には、熱媒体循環系46と、真空排気系47と、ガス導入系48と、高周波電源49とが配置されている。熱媒体循環系46内には熱媒体が配置されている。熱媒体循環系46には、熱媒体を移動させるポンプと、熱媒体を加熱する加熱装置と、熱媒体を冷却する冷却装置と、熱媒体の温度を測定する温度センサと、熱媒体の設定温度を記憶する記憶装置とを有する加熱冷却装置45が設けられている。
加熱冷却装置45は、熱媒体の温度を測定し、熱媒体を記憶された設定温度まで加熱又は冷却し、サセプタ44に供給するように構成されている。図2に記載の真空プラズマCVD装置40の詳細は、国際公開第2012/090644号の段落[0080]〜[0098]等を参照することができる。
[真空プラズマCVD法:ロールトゥロール]
次に、真空プラズマCVD装置の別の形態として、ロールトゥロール(Roll to Roll)方式によるバリア層の成膜方法について説明する。ロールトゥロール方式によって成膜されるバリア層は、炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子を含有し、層厚方向に組成が連続的に変化し、下記要件(1)及び(2)を同時に満たすことが好ましい。
(1)バリア層において、X線光電子分光法による深さ方向の元素分布測定に基づく各構成元素の分布曲線のうち、当該バリア層の層厚方向におけるバリア層表面からの距離と、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量(100at%)に対する炭素原子の量の比率(炭素原子比率(at%))との関係を示す炭素分布曲線が、極値を有し、炭素分布曲線の炭素原子比率の最大の極値(極大値)と最小の極値(極小値)との差が3at%以上である。
(2)バリア層の全層厚の90%以上の領域において、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量(100at%)に対する各原子の平均原子比率が、下記式(A)又は(B)で表される序列の大小関係を有する。
式(A):(炭素平均原子比率)<(ケイ素平均原子比率)<(酸素平均原子比率)
式(B):(酸素平均原子比率)<(ケイ素平均原子比率)<(炭素平均原子比率)
なお、バリア層と基材との界面領域における測定精度は、基材の構成原子のノイズ等でやや精度が低下するため、上記要件(2)においては、バリア層の全層厚の90〜95%の範囲内の領域で上記式(A)又は式(B)で規定する関係を満たすことが好ましい。ここで、バリア層の膜厚の少なくとも90%以上とは、バリア層中で連続していなくてもよく、単に90%以上の部分で上記式(A)又は式(B)で規定する関係を満たしていればよい。
(X線光電子分光法による深さ方向の元素分布測定)
バリア層内における炭素原子の含有比率の平均値は、以下のXPSデプスプロファイルの測定によって求めることができる。
バリア層の層厚方向におけるケイ素分布曲線、酸素分布曲線、及び、ケイ素分布曲線等は、X線光電子分光法(XPS:X-Ray Photoelectron Spectroscopy)の測定と、アルゴン等の希ガスイオンスパッタとを併用することにより、試料内部を露出させつつ順次表面組成分析を行う、いわゆるXPSデプスプロファイル測定により作成することができる。このようなXPSデプスプロファイル測定により得られる分布曲線は、例えば、縦軸を各元素の原子比(単位:at%)とし、横軸をエッチング時間(スパッタ時間)として作成することができる。なお、このように横軸をエッチング時間とする元素の分布曲線においては、エッチング時間が、バリア層の層厚方向におけるバリア層の表面からの距離におおむね相関する。このため、XPSデプスプロファイル測定の際に採用するエッチング速度とエッチング時間との関係から算出されるバリア層の表面からの距離を「バリア層の層厚方向におけるバリア層の表面からの距離」として採用することができる。また、このようなXPSデプスプロファイル測定に際して採用するスパッタ法としては、以下の測定条件とすることが好ましい。
(測定条件)
エッチングイオン種:アルゴン(Ar
エッチング速度(SiO熱酸化膜換算値):0.05nm/sec
エッチング間隔(SiO換算値):10nm
X線光電子分光装置:Thermo Fisher Scientific社製、機種名"VG Theta Probe"
照射X線:単結晶分光AlKα
X線のスポット及びサイズ:800×400μmの楕円形
炭素分布曲線は実質的に連続であることが好ましい。ここで、炭素分布曲線が実質的に連続とは、具体的には、エッチング速度とエッチング時間とから算出される、バリア層の膜厚方向におけるバリア層の表面からの距離(x、単位:nm)と、炭素の原子比(C、単位:at%)との関係において、[(dC/dx)≦0.5]で表される条件を満たすことをいう。
(バリア層における炭素原子プロファイル)
バリア層は、構成元素として炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子を含む。そして、層厚方向に組成が連続的に変化し、X線光電子分光法による深さ方向の元素分布測定に基づく各構成元素の分布曲線のうち、炭素分布曲線が上記要件(1)を満たす。また、炭素原子比率がバリア層の特定の領域において、濃度勾配が連続的に変化する構成を有することが、ガスバリア性と屈曲性を両立する観点から好ましい。
このような炭素原子プロファイルを有するバリア層においては、層内における炭素分布曲線が少なくとも1つの極値を有することがより好ましい。更に、炭素分布曲線が、少なくとも2つの極値を有することがより好ましく、少なくとも3つの極値を有することが特に好ましい。炭素分布曲線が極値を有すると、バリア層を有するフィルムを屈曲させた場合でも、ガスバリア性を十分に確保できる。また、炭素分布曲線が少なくとも2つ又は3つの極値を有する場合は、1つの極値とこれに隣接する他の極値との厚さ方向の距離の差の絶対値が200nm以下であることが好ましく、100nm以下であることがより好ましく、75nm以下であることが特に好ましい。
なお、上記分布曲線の極値とは、バリア層の厚さ方向において、バリア層の表面からの距離に対する元素の原子比率の極大値又は極小値である。極大値とは、バリア層の表面からの距離を変化させた場合に元素の原子比率の値が増加から減少に変わる変曲点であり、且つ、その変曲点の位置から厚さ方向に4〜20nm変化させた位置の元素の原子比率の値が3at%以上減少する点のことをいう。また、極小値とは、バリア層の表面からの距離を変化させた場合に元素の原子比の値が減少から増加に変わる変曲点であり、且つ、その変曲点の位置から厚さ方向に4〜20nm変化させた位置の元素の原子比率の値が3at%以上増加する点のことをいう。すなわち、極大値及び極小値は、厚さ方向の位置を4〜20nmの範囲で変化させた際に、いずれかの範囲で元素の原子比の値が3at%以上減少又は増加する点である。
(バリア層における各原子プロファイル)
バリア層は、構成元素として炭素原子、ケイ素原子及び酸素原子を含有することを特徴とするが、各原子の比率と、各原子の比率の最大値及び最小値についての好ましい態様を、以下に説明する。
(炭素原子比率の最大値と最小値の関係)
バリア層では、炭素分布曲線における炭素原子比率の最大の極値(極大値)と最小の極値(極小値)との差が3at%以上であることが好ましく、5at%以上であることがより好ましい。炭素原子比率の最大値及び最小値の差を3at%以上とすることにより、作製したバリア層を屈曲させた際のガスバリア性が十分得られる。最大値及び最小値の差が5at%以上であれば、バリア層を有するフィルムを屈曲させた場合におけるガスバリア性がより向上する。
(酸素原子比率の最大値と最小値の関係)
バリア層においては、酸素分布曲線における最大の極値(極大値)と最小の極値(極小値)との差の絶対値が3at%以上であることが好ましく、5at%以上であることがより好ましい。
(ケイ素原子比率の最大値と最小値の関係)
バリア層においては、ケイ素分布曲線における最大の極値(極大値)と最小の極値(極小値)との差の絶対値が10at%未満であることが好ましく、5at%未満であることがより好ましい。最大の極値(極大値)と最小の極値(極小値)との差が10at%未満であれば、バリア層に十分なガスバリア性及び機械的強度が得られる。
また、膜面全体の均一性やガスバリア性を向上させるためには、バリア層が膜面方向(バリア層の表面に平行な方向)で実質的に一様であることが好ましい。バリア層が膜面方向で実質的に一様とは、XPSデプスプロファイル測定によるバリア層の膜面の任意の2箇所の測定箇所において、酸素分布曲線、炭素分布曲線、及び、酸素−炭素合計の分布曲線を作成した際に、任意の2箇所の測定箇所で得られる炭素分布曲線の極値の数が同じであり、且つ、各炭素分布曲線における炭素の原子比率の最大値及び最小値の差の絶対値が、互いに同じであるか、又は、5at%以内の差であることをいう。
バリア層は、上記要件(1)及び(2)を同時に満たすバリア層を少なくとも1層備えることが好ましいが、そのような条件を満たす層を、2層以上を備えていてもよい。さらに、バリア層を2層以上備える場合には、複数のバリア層の材質は、同一であってもよく、異なっていてもよい。
また、ケイ素分布曲線、酸素分布曲線及び炭素分布曲線において、ケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対するケイ素原子比率は、19〜40at%の範囲であることが好ましく、30〜40at%の範囲であることがより好ましい。また、バリア層中におけるケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する酸素原子比率は、33〜67at%の範囲であることが好ましく、41〜62at%の範囲であることがより好ましい。さらに、バリア層中におけるケイ素原子、酸素原子及び炭素原子の合計量に対する炭素原子比率は、1〜19at%の範囲であることが好ましく、3〜19at%の範囲であることがより好ましい。
上記のバリア層のその他の構成については、国際公開第2012/046767号の段落[0025]〜[0047]、特開2014−000782号公報の段落[0029]〜[0040]等に記載された構成を適宜参照及び採用することができる。
(バリア層の厚さ)
バリア層の厚さは、5〜1000nmの範囲内であることが好ましく、10〜800nmの範囲内であることがより好ましく、100〜500nmの範囲内であることが特に好ましい。バリア層の厚さが範囲内であれば、酸素ガスバリア性、水蒸気バリア性等のガスバリア性に優れ、屈曲された状態でも良好なガスバリア性が得られる。さらに、バリア層の厚さの合計値が範囲内であると、上記効果に加えて所望の平面性を実現することができる。
(バリア層の形成方法)
上記要件(1)及び(2)を同時に満たすバリア層を形成する方法としては、特に限定されず公知の方法を用いることができるが、例えば、国際公開第2012/046767号の段落[0049]〜[0069]等に記載の方法を参照することができる。
また、緻密に元素分布が制御させたバリア層を形成することができる観点からは、有機ケイ素化合物を含む原料ガスと酸素ガスとを用いて、磁場を印加したローラー間に放電空間を有する放電プラズマ化学気相成長法を用いることが好ましい。
より詳しくは、磁場を印加したローラー間放電プラズマ処理装置を用い、基材を一対の成膜ローラーに巻き回し、この一対の成膜ローラー間に成膜ガスを供給しながらプラズマ放電する、プラズマ化学気相成長法でバリア層を形成することが好ましい。また、一対の成膜ローラー間に磁場を印加しながら放電する際には、一対の成膜ローラー間の極性を交互に反転させることが好ましい。このように、一対の成膜ローラー上に基材を巻き回し、この一対の成膜ローラー間にプラズマ放電をすることにより、基材と放電空間との距離が変化し、基材表面でのプラズマ強度が連続的に変化することによって、炭素原子比率が濃度勾配を有し、且つ、炭素原子比率が層内で連続的に変化するバリア層を形成することが可能となる。
また、成膜時に一方の成膜ローラー上に存在する基材の表面に成膜しつつ、且つ、対となる他方の成膜ローラー上に存在する基材の表面にも同時に成膜することが可能となる。すなわち、成膜効率を倍にでき、且つ、同様の構成の膜を成膜できるため、炭素分布曲線の極値を倍増させることが可能となり、効率よく上記要件(1)及び(2)を同時に満たすバリア層を形成することが可能となる。
(ローラー間放電プラズマCVD装置)
上述のプラズマCVD法でバリア層を製造する際に用いる成膜装置は、特に制限されない。例えば、図3に示す製造装置を用いた場合には、プラズマCVD法を利用しながら、ロールトゥロール方式でバリア層を製造することができる。以下、図3を参照しながら、バリア層の製造方法について詳細に説明する。なお、図3は、バリア層の製造において好適に利用することができる、磁場を印加したローラー間放電プラズマCVD装置の一例を示す模式図である。
図3に示す磁場を印加したローラー間放電プラズマCVD装置(以下、単にプラズマCVD装置ともいう。)50は、主には、繰り出しローラー51と、搬送ローラー52、搬送ローラー54、搬送ローラー55及び搬送ローラー57と、成膜ローラー53及び成膜ローラー56と、成膜ガス供給管59と、プラズマ発生用電源63と、成膜ローラー53の内部に設置された磁場発生装置61と、成膜ローラー56の内部に設置された磁場発生装置62と、巻取りローラー58とを備えている。また、このようなプラズマCVD製造装置においては、少なくとも成膜ローラー53,56と、成膜ガス供給管59と、プラズマ発生用電源63と、磁場発生装置61,62とが、図示を省略した真空チャンバー内に配置されている。また、図3においては、成膜ローラー53,56にプラズマ発生用電源63に接続された電極ドラムが設置される。更に、このようなプラズマCVD製造装置において、真空チャンバー(不図示)は、真空ポンプ(不図示)に接続されており、この真空ポンプにより真空チャンバー内の圧力を適宜調整することが可能となっている。
このようなプラズマCVD製造装置においては、一対の成膜ローラー(成膜ローラー53と成膜ローラー56)を一対の対向電極として機能させることが可能となるように、各成膜ローラーがそれぞれプラズマ発生用電源63に接続されている。成膜ローラー53と成膜ローラー56とにプラズマ発生用電源63から電力を供給することにより、成膜ローラー53と成膜ローラー56との間の空間に放電してプラズマを発生させることができる。このようなプラズマCVD製造装置においては、一対の成膜ローラー53,56は、その中心軸が同一平面上において略平行となるように配置することが好ましい。このように、一対の成膜ローラー53,56を配置することにより、成膜レートを倍にでき、尚かつ、同様の構成の膜を形成できる。
また、成膜ローラー53及び成膜ローラー56の内部には、成膜ローラーが回転しても回転しないようにして固定された磁場発生装置61及び磁場発生装置62がそれぞれ設けられている。
成膜ローラー53及び成膜ローラー56としては、適宜公知のローラーを用いることができる。成膜ローラー53及び成膜ローラー56としては、効率よく薄膜を形成する観点から、直径が同一のローラーを使うことが好ましい。また、このようなプラズマCVD製造装置に用いる繰り出しローラー51及び搬送ローラー52,54,55,57としては、公知のローラーを適宜選択して用いることができる。巻取りローラー58も、バリア層を形成した基材60を巻き取ることが可能なものであればよく、特に制限されず、適宜公知のローラーを用いることができる。
成膜ガス供給管59としては、原料ガス及び酸素ガスを所定の速度で供給又は排出することが可能なものを適宜用いることができる。さらに、プラズマ発生用電源63としては、従来公知のプラズマ発生装置の電源を用いることができる。このようなプラズマ発生用電源63としては、効率よくプラズマCVD法を実施することが可能となることから、一対の成膜ローラーの極性を交互に反転させることが可能なもの(交流電源など)を利用することが好ましい。また、このようなプラズマ発生用電源63としては、印加電力を100W〜10kWの範囲とすることができ、かつ交流の周波数を50Hz〜500kHzの範囲とすることが可能なものであることがより好ましい。また、磁場発生装置61,62としては、適宜、公知の磁場発生装置を用いることができる。
図3に示すプラズマCVD装置50を用いて、例えば、原料ガスの種類、プラズマ発生装置の電極ドラムの電力、磁場発生装置の強度、真空チャンバー内の圧力(減圧度)、成膜ローラーの直径、基材の搬送速度等を適宜調整することにより、所望のバリア層を製造することができる。
図3に示すプラズマCVD装置50において、成膜ガス(原料ガス等)を真空チャンバー内に供給し、一対の成膜ローラー53,56間に、磁場を発生させながらプラズマ放電を行うことにより、成膜ガス(原料ガス等)がプラズマによって分解され、成膜ローラー53が保持する基材60の表面上、及び、成膜ローラー56が保持する基材60の表面上に、バリア層が形成される。なお、このような成膜に際しては、基材60が繰り出しローラー51、搬送ローラー52,54,55,57、巻取りローラー58、及び、成膜ローラー53,56等で搬送されることにより、ロールトゥロール方式の連続的な成膜プロセスでバリア層を形成することができる。
(成膜ガス)
プラズマ化学気相成長法に用いる成膜ガスとしては、有機ケイ素化合物を含む原料ガスと酸素ガスとを用い、その成膜ガス中の酸素ガスの含有量が、成膜ガス中の有機ケイ素化合物の全量を完全酸化するのに必要な理論酸素量以下であることが好ましい。
バリア層の作製に用いる成膜ガスを構成する原料ガスとしては、少なくともケイ素を含有する有機ケイ素化合物を用いることが好ましい。バリア層の作製に適用可能な有機ケイ素化合物としては、例えば、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサン、ビニルトリメチルシラン、メチルトリメチルシラン、ヘキサメチルジシラン、メチルシラン、ジメチルシラン、トリメチルシラン、ジエチルシラン、プロピルシラン、フェニルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン等が挙げられる。これらの有機ケイ素化合物の中でも、成膜での取り扱い及び得られるバリア層のガスバリア性等の観点から、ヘキサメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチルジシロキサンが好ましい。また、これらの有機ケイ素化合物は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
成膜ガスは、原料ガスの他に反応ガスとして、酸素ガスを含有することができる。酸素ガスは、原料ガスと反応して酸化物等の無機化合物となるガスである。また、成膜ガスとしては、原料ガスを真空チャンバー内に供給するために、必要に応じて、キャリアガスを用いてもよい。さらに、成膜ガスとしては、プラズマ放電を発生させるために、必要に応じて、放電用ガスを用いてもよい。このようなキャリアガス及び放電用ガスとしては、適宜公知のものを使用することができ、例えば、ヘリウム、アルゴン、ネオン、キセノン等の希ガスや水素ガスを用いることができる。
成膜ガスが有機ケイ素化合物を含む原料ガスと酸素ガスとを含有する場合、原料ガスと酸素ガスとの比率は、原料ガスと酸素ガスとを完全に反応させるために理論上必要となる酸素ガスの量の比率よりも、酸素ガスの比率を過剰にし過ぎないことが好ましい。これについては、例えば、国際公開第2012/046767号等の記載を参照することができる。
(真空度)
真空チャンバー内の圧力(真空度)は、原料ガスの種類等に応じて適宜調整することができるが、0.5〜100Paの範囲とすることが好ましい。
(ローラー成膜)
図3に示すプラズマCVD装置50を用いたプラズマCVD法において、成膜ローラー53,56間に放電するために、プラズマ発生用電源63に接続された電極ドラムに印加する電力は、原料ガスの種類や真空チャンバー内の圧力等に応じて適宜調整することができる。電極ドラムに印加する電力としては、例えば、0.1〜10kWの範囲内とすることが好ましい。このような範囲の印加電力であれば、パーティクル(不正粒子)の発生を抑制することができ、成膜時に発生する熱量も制御範囲内であるため、成膜時の基材表面温度の上昇による、基材の熱変形、熱による性能劣化や成膜時の皺の発生を抑制することができる。
プラズマCVD装置50において、基材60の搬送速度(ライン速度)は、原料ガスの種類や真空チャンバー内の圧力等に応じて適宜調整することができるが、0.25〜100m/minの範囲内とすることが好ましく、0.5〜20m/minの範囲内とすることがより好ましい。ライン速度が範囲内であれば、基材の熱に起因する皺も発生し難く、形成されるバリア層の厚さも十分に制御可能となる。
[バリア層;湿式塗布]
ケイ素化合物を含む塗布液を用いた湿式塗布法によるバリア層は、ポリシラザン化合物を含む塗布液を公知の湿式塗布法を用いて塗布した後、塗膜に改質処理を行って形成することができる。
(ポリシラザン化合物)
バリア層の形成に用いるポリシラザン化合物とは、構造内にケイ素−窒素結合を持つ酸窒化ケイ素の前駆体となるポリマーである。ポリシラザン化合物としては、下記一般式(1)の構造を有するものが好ましく用いられる。
Figure 0006885412
式中、R、R、及びRは、各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基、又はアルコキシ基を表す。
バリア層の膜としての緻密性の観点からは、R、R及びRの全てが水素原子であるパーヒドロポリシラザンを用いることが好ましい。その他、ポリシラザンの詳細については、特開2013−255910号公報の段落[0024]〜[0040]、特開2013−188942号公報の段落[0037]〜[0043]、特開2013−151123号公報の段落[0014]〜[0021]、特開2013−052569号公報の段落[0033]〜[0045]、特開2013−129557号公報の段落[0062]〜[0075]、特開2013−226758号公報の段落[0037]〜[0064]等を参照することができる。
ポリシラザンは、有機溶媒に溶解した溶液の状態で市販されており、市販品をそのままポリシラザン含有塗布液として使用することができる。ポリシラザン溶液の市販品としては、AZエレクトロニックマテリアルズ社製のNN120−20、NAX120−20、NL120−20等が挙げられる。
(ポリシラザン化合物を用いたバリア層の形成方法)
ポリシラザン化合物を含有する溶液を用いた塗膜は、ポリシラザン化合物と添加剤等を含有する溶液を、基材上に塗布して形成することができる。溶液の塗布法としては、任意の適切な方法を採用できる。例えば、スピンコート法、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。溶液を塗布した後は、塗膜を乾燥させることが好ましい。塗膜を乾燥することによって、塗膜に含まれる有機溶媒を除去することができる。塗膜の形成方法については、特開2014−151571号公報の段落[0058]〜[0064]、特開2011−183773号公報の段落[0052]〜[0056]等を参照することができる。
(改質処理)
改質処理とは、ポリシラザン化合物の酸化ケイ素又は酸化窒化珪素への転化反応を行うための処理である。改質処理は、ポリシラザン化合物の転化反応についての公知の方法を用いることができる。改質処理としては、低温で転化反応が可能な、プラズマやオゾンや紫外線を使う転化反応が好ましい。プラズマやオゾンや紫外線を使う転化反応は、従来公知の方法を用いることができる。改質処理は、ポリシラザン化合物含有液の塗膜に、波長200nm以下の真空紫外線(VUV)を照射して行うことが好ましい。
湿式塗布法により形成するバリア層の厚さは、1〜500nmの範囲が好ましい、より好ましくは10〜300nmの範囲である。バリア層は、全体が改質層であってもよく、改質処理された改質層の厚さが1〜50nm、好ましくは1〜10nmであってもよい。
(真空紫外線処理)
ポリシラザン化合物を含む塗膜にVUVを照射する工程では、ポリシラザンの少なくとも一部が酸窒化ケイ素に改質されることが好ましい。VUV照射工程において、ポリシラザン化合物を含む塗膜が受ける塗膜面でのVUVの照度は30〜200mW/cmの範囲であることが好ましく、50〜160mW/cmの範囲であることがより好ましい。VUVの照度を30mW/cm以上とすることで、改質効率を十分に得ることができ、200mW/cm以下では、塗膜への損傷発生率を極めて抑え、基材への損傷も低減させることができる。
ポリシラザン化合物を含む塗膜の表面におけるVUVの照射エネルギー量は、200〜10000mJ/cmの範囲であることが好ましく、500〜5000mJ/cmの範囲であることがより好ましい。VUVの照射エネルギー量を200mJ/cm以上とすることで、ポリシラザンの改質が十分に行われる。また、10000mJ/cm以下とすることにより、過剰改質を抑えてバリア層のクラックや、基材の熱変形の発生を極力抑えることができる。
真空紫外線の光源としては、希ガスエキシマランプが好ましく用いられる。
真空紫外線は酸素による吸収があるため、紫外線照射工程での効率が低下しやすいことから、VUVの照射は、可能な限り酸素濃度の低い状態で行うことが好ましい。すなわち、VUV照射時の酸素濃度は、10〜10000ppmの範囲とすることが好ましく、より好ましくは50〜5000ppmの範囲、さらに好ましく80〜4500ppmの範囲、最も好ましくは100〜1000ppmの範囲である。
また、VUV照射時に用いられる照射雰囲気を満たすガスとしては、乾燥不活性ガスが好ましく、特にコストの観点から乾燥窒素ガスが好ましい。酸素濃度の調整は、照射庫内へ導入する酸素ガス、不活性ガスの流量を計測し、流量比を変えることで調整可能である。
これらの改質処理は、例えば、特開2012−086394号公報の段落[0055]〜[0091]、特開2012−006154号公報の段落[0049]〜[0085]、特開2011−251460号公報の段落[0046]〜[0074]等に記載の内容を参照することができる。
(中間層)
バリア層を積層する場合には、各バリア層の間に中間層を設けることが好ましい。中間層としては、ポリシロキサン改質層を適用することが好ましい。ポリシロキサン改質層は、ポリシロキサンを含有する塗布液を、湿式塗布法を用いてバリア層上に塗布して乾燥した後、その乾燥した塗膜に真空紫外線を照射することによって形成することができる。
中間層形成用の塗布液の塗布方法としては、スピンコート、ディッピング、ローラーブレード、スプレー法等が挙げられる。真空紫外線としては、上述したポリシラザン化合物の改質処理と同様のVUV照射を用いることが好ましい。
中間層を形成するために用いる塗布液は、主に、ポリシロキサン及び有機溶媒を含有する。中間層の形成に適用可能なポリシロキサンとしては、特に制限はないが、下記一般式(2)で表されるオルガノポリシロキサンが特に好ましい。
Figure 0006885412
上記一般式(2)において、R〜Rは、各々同一又は異なる炭素数1〜8の有機基を表す。ここで、R〜Rの少なくとも1つの基は、アルコキシ基及び水酸基のいずれかを含む。mは1以上の整数である。
上記一般式(2)で表されるオルガノポリシロキサンにおいて、mが1以上で、かつ、ポリスチレン換算の重量平均分子量が1000〜20000であることが特に好ましい。オルガノポリシロキサンのポリスチレン換算の重量平均分子量が、1000以上であれば、形成する中間層に亀裂が生じ難く、ガスバリア性を維持することができ、20000以下であれば、形成される中間層の硬化が充分となり、中間層として十分な硬度が得られる。
中間層の乾燥膜厚としては、100nm〜10μmの範囲が好ましく、50nm〜1μmであることがより好ましい。中間層の膜厚が100nm以上であれば、十分なガスバリア性を確保することができる。また、中間層の膜厚が10μm以下であれば、中間層形成時に安定した塗布性を得ることができる。
その他、ポリシロキサンの詳細については、特開2013−151123号公報の段落[0028]〜[0032]、特開2013−086501号公報の段落[0050]〜[0064]、特開2013−059927号公報の段落[0063]〜[0081]、特開2013−226673号公報の段落[0119]〜[0139]等を参照することができる。
[バリア層;遷移金属含有層]
また、バリア層としては、遷移金属(M2)含有層と、遷移金属以外の無機元素(M1)含有層との積層形態であることが好ましい。無機元素(M1)含有層としては、上記ケイ素化合物を含む塗布液を用いて湿式塗布法によって形成されたバリア層が好ましい。
遷移金属含有層と遷移金属以外の無機元素含有層との積層形態からなるバリア層は、少なくとも厚さ方向において、無機元素M1と遷移金属M2とを含有する混合領域を有し、混合領域における無機元素M1に対する遷移金属M2の原子数比の値(M2/M1)が、0.02〜49の範囲内にある領域を、厚さ方向に連続して5nm以上有することが好ましい。
さらに、上記バリア層において遷移金属含有層は、第3族〜第11族の遷移金属を主成分aとして含有するA領域と、第12族〜第14族の無機元素を主成分bとして含有するB領域との間に、主成分a及び主成分bに由来する化合物を含有する混合領域を有することが好ましい。
無機元素M1と遷移金属M2とを含有する混合領域では、遷移金属M2と無機元素M1に加えて酸素が含有されていることが好ましい。また、この混合領域は、遷移金属の酸化物と無機元素の酸化物との混合物、又は、遷移金属M2と無機元素M1との複合酸化物の少なくとも一方を含有することが好ましく、遷移金属M2と無機元素M1との複合酸化物を含有することがより好ましい。
(遷移金属(M2)含有層:A領域)
遷移金属(M2)含有層におけるA領域とは、金属として遷移金属M2を主成分aとして含有する領域をいう。
遷移金属M2としては、特に制限されず、任意の遷移金属が単独で又は組み合わせて用いられる。ここで、遷移金属とは、長周期型周期表の第3族元素から第11族元素を指し、遷移金属としては、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Nb、Mo、Tc、Ru、Pd、Ag、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、及びAu等が挙げられる。
良好なバリア性が得られる遷移金属M2としては、Nb、Ta、V、Zr、Ti、Hf、Y、La、Ce等が挙げられる。これらのなかでも、種々の検討結果から、特に第5族元素であるNb、Ta、Vが、バリア層に含有される無機元素M1に対する結合が生じやすい観点から好ましい。
特に、遷移金属M2が第5族元素(特に、Nb)であって、詳細を後述する無機元素M1がSiである場合には、著しいバリア性の向上効果を得ることができる。これは、Siと第5族元素(特に、Nb)との結合が特に生じやすいためであると考えられる。さらに、光学特性の観点から、遷移金属M2は、透明性が良好な化合物が得られるNb、Taが特に好ましい。
A領域の厚さとしては、バリア性と光学特性との両立の観点から、2〜50nmの範囲であることが好ましく、4〜25nmの範囲であることがより好ましく、5〜15nmの範囲であることがさらに好ましい。
(無機元素(M1)含有層:B領域)
無機元素(M1)含有層におけるB領域とは、遷移金属以外の無機材料を主成分bとして含有する領域をいう。無機元素M1としては、長周期型周期表の第12族〜第14族の金属から選択される無機元素が好ましい。無機元素M1としては、特に制限されず、第12族〜第14族の任意の金属を単独で又は組み合わせて用いることができるが、例えば、Si、Al、Zn、In及びSn等が挙げられる。無機元素M1としては、Si、Sn又はZnを含むことが好ましく、Siを含むことがより好ましく、Si単独であることが特に好ましい。
B領域の厚さは、バリア性と生産性との両立の観点から、10〜1000nmの範囲であることが好ましく、20〜500nmの範囲であることがより好ましく、50〜300nmの範囲であることが特に好ましい。
(混合領域)
混合領域は、長周期型周期表の第12族〜第14族の金属から選択される無機元素M1、及び、第3族元素から第11族の金属から選択される遷移金属M2が含有されている領域であって、無機元素M1に対する無機元素M1の原子数比の値(M2/M1)が、0.02〜49の範囲内である領域を、厚さ方向に連続して5nm以上有する領域である。ここで、混合領域は、構成成分の化学組成が相互に異なる複数の領域として形成されていてもよく、また、構成成分の化学組成が連続して変化している領域として形成されていてもよい。
(酸素欠損組成)
上記混合領域において、一部の組成は、酸素が欠損した非化学量論的組成(酸素欠損組成)であることが好ましい。酸素欠損組成とは、混合領域の組成を下記化学組成式(1)で表したとき、下記関係式(2)で規定する条件を満たすことをいう。また、混合領域における酸素欠損程度を表す酸素欠損度指標としては、混合領域における[(2y+3z)/(a+bx)]を算出して得られる値の最小値を用いる。
化学組成式(1):(M1)(M2)
関係式(2):(2y+3z)/(a+bx)<1.0
なお、下記組成式(1)及び関係式(2)において、M1は無機元素、M2は遷移金属、Oは酸素、Nは窒素を表す。x、y、zは、それぞれ化学量論係数であり、aはM1の最大価数、bはM2の最大価数を表す。また、以降の説明では、特別の区別が必要ない場合、上記化学組成式(1)で表す組成を、単に複合領域の組成と言う。
上述したように、無機元素M1と遷移金属M2との複合領域の組成は、式(1)である(M1)(M2)で示される。この組成からも明らかなように、上記複合領域の組成は、一部窒化物の構造を含んでいてもよく、窒化物の構造を含んでいる方がバリア性の観点から好ましい。
無機元素M1の最大価数をa、遷移金属M2の最大価数をb、Oの価数を2、Nの価数を3とすると、上記複合領域の組成(一部が窒化物となっていてもよい)が化学量論的組成になっている場合は、[(2y+3z)/(a+bx)=1.0]となる。この場合、この式は、無機元素M1及び遷移金属M2の結合手の合計と、O、Nの結合手の合計とが同数であることを意味し、無機元素M1と遷移金属M2とがともに、O及びNのいずれか一方と結合していることになる。なお、無機元素M1として2種以上が併用される場合や、遷移金属M2として2種以上が併用される場合には、各元素の最大価数を各元素の存在比率によって加重平均することにより算出される複合価数を、それぞれの「最大価数」のa及びbの値として採用する。
一方、混合領域において、関係式(2)で示す[(2y+3z)/(a+bx)<1.0]となる場合には、無機元素M1及び遷移金属M2の結合手の合計に対して、O、Nの結合手の合計が不足していることを意味する。この様な状態が上記の「酸素欠損」である。酸素欠損状態においては、無機元素M1及び遷移金属M2の余った結合手は互いに結合する可能性を有している。無機元素M1や遷移金属M2の金属同士が直接結合すると、金属の間にOやNを介して結合した場合よりも緻密で高密度な構造が形成される。その結果として、バリア性が向上すると考えられる。
また、混合領域は、xの値が、[0.02≦x≦49(0<y、0≦z)]を満たす領域である。これは、遷移金属M2/無機元素M1の原子数比率の値が0.02〜49の範囲内にあり、厚さが5nm以上である領域と定義する、としたことと同一の定義である。
この領域では、無機元素M1及び遷移金属M2の双方が金属同士の直接結合に関与する。このため、この条件を満たす混合領域が所定値以上(5nm)の厚さで存在すると、バリア性の向上に寄与すると考えられる。なお、無機元素M1及び遷移金属M2の存在比率が近いほどバリア性の向上に寄与すると考えられることから、混合領域は、[0.1≦x≦10]を満たす領域を5nm以上の厚さで含むことが好ましく、[0.2≦x≦5]を満たす領域を5nm以上の厚さで含むことがより好ましく、[0.3≦x≦4]を満たす領域を5nm以上の厚さで含むことが更に好ましい。
ここで、上述した混合領域の範囲内に、関係式(2)で示す[(2y+3z)/(a+bx)<1.0]の関係を満たす領域が存在すれば、バリア性の向上効果が発揮されることが確認されるが、混合領域は、その組成の少なくとも一部が[(2y+3z)/(a+bx)≦0.9]を満たすことが好ましく、[(2y+3z)/(a+bx)≦0.85]を満たすことがより好ましく、[(2y+3z)/(a+bx)≦0.8]を満たすことがさらに好ましい。ここで、混合領域における[(2y+3z)/(a+bx)]の値が小さくなるほど、バリア性の向上効果は高くなるが、可視光の吸収が大きくなる。従って、透明性が望まれる用途に使用するバリア層の場合には、[(2y+3z)/(a+bx)≧0.2]であることが好ましく、[(2y+3z)/(a+bx)≧0.3]であることがより好ましく、[(2y+3z)/(a+bx)≧0.4]であることがさらに好ましい。
なお、良好なバリア性が得られる混合領域の厚さは、後述するXPS分析法におけるSiO換算のスパッタ厚さとして、5nm以上であり、この厚さは、8nm以上であることが好ましく、10nm以上であることがより好ましく、20nm以上であることがさらに好ましい。混合領域の厚さは、バリア性の観点からは特に上限はないが、光学特性の観点から、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがより好ましく、30nm以下であることがさらに好ましい。
(XPS分析法による組成分析と混合領域の厚さの測定)
バリア層の混合領域や、A領域及びB領域における組成分布や各領域の厚さ等は、上述のX線光電子分光法(X-Ray Photoelectron Spectroscopy、略称:XPS)を用いた、XPSデプスプロファイル測定により求めることができる。
[保護層]
機能性フィルム20は、バリア層等の機能性層22の上部(最表面部)に、有機化合物等を含む保護層を有していてもよい。保護層に用いられる有機化合物としては、有機モノマー、オリゴマー、ポリマー等の有機樹脂、有機基を有するシロキサンやシルセスキオキサンのモノマー、オリゴマー、ポリマー等を用いた有機無機複合樹脂を好ましく用いることができる。さらに、上記した中間層としてのポリシロキサン改質層を、保護層として用いることが特に好ましい。
保護層は、有機樹脂や無機材料に、必要に応じて他の成分を希釈溶剤に配合して塗布液を調製し、この塗布液を基材表面に従来公知の塗布方法によって塗布した後、電離放射線を照射して硬化させることにより形成することが好ましい。
[平滑層]
機能性フィルム20は、基材21と機能性層22との間に平滑層(下地層、プライマー層)を有していてもよい。平滑層は突起等が存在する基材21の粗面を平坦化するために設けられる。このような平滑層を形成するための材料は限定されないが、硬化性樹脂を含むことが好ましい。
硬化性樹脂としては特に限定されず、紫外線等の活性エネルギー線の照射により硬化する活性エネルギー線硬化性樹脂や、加熱により硬化する熱硬化性樹脂等が挙げられる。硬化性樹脂は、単独でも2種以上組み合わせて用いてもよい。活性エネルギー線硬化性樹脂及び熱硬化性樹脂の材料としては、従来公知の材料を用いることができる。
平滑層の形成方法は、特に制限はないが、硬化性材料を含む塗布液をスピンコーティング法、スプレー法、ブレードコーティング法、ディップ法、グラビア印刷法等のウエットコーティング法、又は、蒸着法等のドライコーティング法により塗布して塗膜を形成した後、可視光線、赤外線、紫外線、X線、α線、β線、γ線、電子線等の活性エネルギー線の照射、加熱等により、塗膜を硬化させる方法が好ましい。
平滑層の平滑性は、JIS B 0601:2001年で規定される表面粗さの値で、最大断面高さRt(p)が、10nm以上、30nm以下であることが好ましい。表面粗さは、AFM(原子間力顕微鏡)を用いた極小の先端半径の触針を持つ検出器で連続測定した凹凸の断面曲線から算出され、極小の先端半径の触針により、測定方向が数十μmの区間内を多数回測定した微細な凹凸の振幅に関する粗さである。平滑層の厚さとしては、特に制限されないが、0.1〜10μmの範囲が好ましい。
平滑層の詳細については、特開2014−141056号公報の段落[0125]〜[0143]、特開2014−141055号公報の段落[0138]〜[0150]、特開2013−226757号公報の段落[0131]〜[0143]等を参照して採用することができる。
[ブリードアウト層]
機能性フィルム20は、ブリードアウト防止層を有していてもよい。ブリードアウト防止層は、樹脂フィルム上に上記平滑層を形成した場合に、加熱によって未反応のオリゴマー等が樹脂フィルムの表面へ移行して、接触する面を汚染する現象を抑制する目的で、平滑層を有する基材21の反対面に設けられる。ブリードアウト防止層は、この機能を有していれば、基本的に上記した平滑層と同じ構成を適用することができる。
[アンカーコート層]
機能性フィルム20は、基材21と機能性層22との接着性(密着性)の向上を目的として、基材21上にアンカーコート層を有していてもよい。このアンカーコート層に用いられるアンカーコート剤としては、ポリエステル樹脂、イソシアネート樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エチレン・ビニルアルコール樹脂、ビニル変性樹脂、エポキシ樹脂、変性スチレン樹脂、変性シリコン樹脂、及び、アルキルチタネート等を、1種又は2種以上併せて使用することができる。これらのアンカーコート剤には、従来公知の添加剤を加えることもできる。上記アンカーコート剤は、市販品を使用してもよい。具体的には、シロキサン系UV硬化性ポリマー溶液として、信越化学工業社製、「X−12−2400」の3%イソプロピルアルコール溶液を用いることができる。
上記のアンカーコート層は、アンカーコート剤をロールコート、グラビアコート、ナイフコート、ディップコート、スプレーコート等の公知の方法により、基材上にコーティングし、溶剤、希釈剤等を乾燥除去することにより形成することができる。
[デシカント層]
機能性フィルム20は、デシカント層(水分吸着層)を有してもよい。デシカント層に用いられる材料としては、例えば、酸化カルシウムや有機金属酸化物等が挙げられる。酸化カルシウムは、バインダ樹脂等に分散させて用いることが好ましく、市販品としては、例えば、サエスゲッター社のAqvaDryシリーズ等が好ましい。また、有機金属酸化物としては、双葉電子工業社製のOleDry(登録商標)シリーズ等を用いることができる。
[樹脂硬化層]
機能性フィルム20を構成する樹脂硬化層23としては、表面粗さRaを上記範囲内に調整することができれば、各種硬化型樹脂を特に限定することなく使用することができる。樹脂硬化層23の形成に使用される硬化型樹脂としては、熱硬化型樹脂や活性エネルギー線硬化型樹脂が挙げられるが、成形が容易なことから活性エネルギー線硬化型樹脂を好ましく用いることができる。
(熱硬化型樹脂)
熱硬化型樹脂は、特に制限はなく、具体的には、エポキシ樹脂、シアネートエステル樹脂、フェノール樹脂、ビスマレイミド−トリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ビニルベンジル樹脂等が挙げられる。
エポキシ樹脂としては、平均して1分子当り2個以上のエポキシ基を有していればよく、具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、リン含有エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、芳香族グリシジルアミン型エポキシ樹脂(具体的には、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジル−p−アミノフェノール、ジグリシジルトルイジン、ジグリシジルアニリン等)、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族鎖状エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン構造を有するエポキシ樹脂、ビスフェノールのジグリシジルエーテル化物、ナフタレンジオールのジグリシジルエーテル化物、フェノール類のグリシジルエーテル化物、及び、アルコール類のジグリシジルエーテル化物、並びに、これらのエポキシ樹脂のアルキル置換体、ハロゲン化物及び水素添加物等が挙げられる。これらは1種又は2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(活性エネルギー線硬化型樹脂)
活性エネルギー線硬化型樹脂は、紫外線や電子線のような活性線照射により架橋反応等を経て硬化する樹脂である。活性エネルギー線硬化型樹脂としては、エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーを含む成分が好ましい。このような活性エネルギー線硬化型樹脂に、紫外線や電子線のような活性エネルギー線を照射することによって硬化させて、樹脂硬化層23が形成される。活性エネルギー線硬化型樹脂としては、紫外線硬化型樹脂や電子線硬化型樹脂等が挙げられるが、紫外線照射によって硬化する紫外線硬化型樹脂が好ましい。
(紫外線硬化型樹脂)
紫外線硬化型樹脂としては、例えば、紫外線硬化型ウレタンアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂、紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂、又は紫外線硬化型エポキシ樹脂等を挙げることができる。
紫外線硬化型アクリルウレタン系樹脂は、一般にポリエステルポリオールにイソシアネートモノマー、又は、プレポリマーを反応させて得られた生成物に更に2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート等のヒドロキシ基を有するアクリレート系のモノマーを反応させることによって容易に得ることができる。例えば、特開昭59−151110号公報に記載の樹脂を用いることができる。
紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂は、一般にポリエステルポリオールに2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシアクリレート系のモノマーを反応さて形成することができる。紫外線硬化型ポリエステルアクリレート系樹脂としては、例えば、特開昭59−151112号公報に記載の樹脂を用いることができる。
紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂の具体例としては、エポキシアクリレートをオリゴマーとし、これに反応性希釈剤、光反応開始剤を添加して反応させることで生成することができる。紫外線硬化型エポキシアクリレート系樹脂としては、例えば、特開平1−105738号公報に記載の樹脂を用いることができる。
また、樹脂硬化層23には、紫外線硬化型ポリオールアクリレート系樹脂を用いることが好ましい。このような化合物としては、例えば、多官能アクリレート樹脂等が挙げられる。ここで、多官能アクリレート樹脂とは、分子中に2個以上のアクリロイルオキシ基又はメタクロイルオキシ基を有する化合物である。
多官能アクリレート樹脂のモノマーとしては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、グリセリントリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、トリス(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、テトラメチロールメタントリメタクリレート、テトラメチロールメタンテトラメタクリレート、ペンタグリセロールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、グリセリントリメタクリレート、ジペンタエリスリトールトリメタクリレート、ジペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレートが挙げられる。これらの化合物は、それぞれ単独又は2種以上を混合して用いられる。また、上記モノマーの2量体、3量体等のオリゴマーであってもよい。
紫外線硬化型樹脂の市販品としては、例えば、アデカオプトマーKR・BYシリーズ、KR−400、KR−410、KR−550、KR−566、KR−567、BY−320B(以上、社ADEKA製)、コーエイハードA−101−KK、A−101−WS、C−302、C−401−N、C−501、M−101、M−102、T−102、D−102、NS−101、FT−102Q8、MAG−1−P20、AG−106、M−101−C(以上、広栄化学社製)、セイカビームPHC2210(S)、PHC X−9(K−3)、PHC2213、DP−10、DP−20、DP−30、P1000、P1100、P1200、P1300、P1400、P1500、P1600、SCR900(以上、大日精化工業社製)、KRM7033、KRM7039、KRM7130、KRM7131、UVECRYL29201、UVECRYL29202(以上、ダイセル・ユーシービー社製)、RC−5015、RC−5016、RC−5020、RC−5031、RC−5100、RC−5102、RC−5120、RC−5122、RC−5152、RC−5171、RC−5180、RC−5181(以上、DIC社製)、オーレックスNo.340クリヤ(以上、中国塗料社製)、サンラッドH−601、RC−750、RC−700、RC−600、RC−500、RC−611、RC−612(以上、三洋化成工業社製)、SP−1509、SP−1507(以上、昭和高分子社製)、RCC−15C(グレース・ジャパン社製)、アロニックスM−6100、M−8030、M−8060(以上、東亞合成社製)等を適宜選択して利用できる。
(光重合開始剤)
また、紫外線硬化型樹脂の硬化促進のために、光重合開始剤を紫外線硬化型樹脂に対して2〜30質量%の範囲内で含有することが好ましい。光重合開始剤としては、光照射によりカチオン重合を開始させるルイス酸を放出する、オニウム塩の複塩の一群が特に好ましい。
このようなオニウム塩としては、特に、カチオン重合開始剤として芳香族オニウム塩を使用することが特に有効であり、中でも特開昭50−151996号公報、特開昭50−158680号公報等に記載の芳香族ハロニウム塩、特開昭50−151997号公報、特開昭52−30899号公報、特開昭59−55420号公報、特開昭55−125105号公報等に記載のVIA族芳香族オニウム塩、特開昭56−8428号公報、特開昭56−149402号公報、特開昭57−192429号公報等に記載のオキソスルホニウム塩、特公昭49−17040号公報等に記載の芳香族ジアゾニウム塩、米国特許第4139655号明細書等に記載のチオピリリウム塩等が好ましい。また、アルミニウム錯体や光分解性ケイ素化合物系重合開始剤等を挙げることができる。上記カチオン重合開始剤と、ベンゾフェノン、ベンゾインイソプロピルエーテル、チオキサントン等の光増感剤を併用することができる。
(各種添加剤)
樹脂硬化層23には、表面粗さや、耐傷性、滑り性、屈折率等を調整するために無機化合物又は有機化合物の微粒子を含んでもよい。また、樹脂硬化層23の耐熱性を高めるために、光硬化反応を抑制しない酸化防止剤を用いることができる。
樹脂硬化層23に使用される無機微粒子としては、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化スズ、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO;Indium Tin Oxide)、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウムを挙げることができる。特に、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等が好ましく用いられる。
また、有機粒子としては、ポリメタアクリル酸メチルアクリレート樹脂粉末、アクリルスチレン系樹脂粉末、ポリメチルメタクリレート樹脂粉末、シリコーン系樹脂粉末、ポリスチレン系樹脂粉末、ポリカーボネート樹脂粉末、ベンゾグアナミン系樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、ポリオレフィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、又は、ポリフッ化エチレン系樹脂粉末等紫外線硬化性樹脂組成物を加えることができる。特に好ましくは、架橋ポリスチレン粒子(例えば、綜研化学製SX−130H、SX−200H、SX−350H)、ポリメチルメタクリレート系粒子(例えば、綜研化学製MX150、MX300)、フッ素含有アクリル樹脂微粒子が挙げられる。フッ素含有アクリル樹脂微粒子としては、例えば日本ペイント製のFS−701等の市販品が挙げられる。また、アクリル粒子として、例えば日本ペイント製のS−4000、アクリル−スチレン粒子として、例えば日本ペイント製のS−1200、MG−251等が挙げられる。
樹脂硬化層23の形成に用いる樹脂硬化層形成用塗布液には、溶媒が含まれていてもよい。樹脂硬化層形成用塗布液に含有される有機溶媒としては、例えば、炭化水素類(例えば、トルエン、キシレン等)、アルコール類(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール等)、ケトン類(例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)、エステル類(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、乳酸メチル等)、グリコールエーテル類、その他の有機溶媒の中から適宜選択し、又は、これらを混合し利用できる。プロピレングリコールモノアルキルエーテル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)又はプロピレングリコールモノアルキルエーテル酢酸エステル(アルキル基の炭素原子数として1〜4)等を5質量%以上、より好ましくは5〜80質量%以上含有する上記有機溶媒を用いることが好ましい。
更に樹脂硬化層23には、シリコーン系界面活性剤又はポリオキシエーテル化合物を含有させることができる。また、樹脂硬化層23には、フッ素−シロキサングラフトポリマーを含有させてもよい。
(樹脂硬化層の形成方法)
樹脂硬化層23の形成方法としては、特に制限はないが、樹脂硬化層形成用塗布液を用い、湿式塗布方式で塗布後、乾燥して形成する方法が好ましい。具体的には、樹脂硬化層形成用塗布液を塗布して塗布膜を形成し、形成した塗布膜に対して硬化処理を施す。例えば、樹脂硬化層23が熱硬化性樹脂で形成される場合には、硬化手段として加熱ヒーター等を用いて熱エネルギーを付与して硬化する。或いは、樹脂硬化層23が活性エネルギー線(例えば、紫外線)硬化型樹脂で形成されているが場合には、硬化手段として活性エネルギー線(例えば、紫外線)照射装置等を用いて活性エネルギー線等を照射して硬化し、樹脂硬化層23を形成する。
樹脂硬化層形成用塗布液の塗布は、例えば、グラビアコーター、ディップコーター、リバースコーター、ワイヤーバーコーター、ダイコーター、インクジェット法等公知の湿式塗布方法で行うことができる。塗布液の塗布量は、ウェット層厚として0.1〜40μmが好適であり、より好ましくは、0.5〜30μmである。
樹脂硬化層23を形成するために用いる光源としては、紫外線等の活性エネルギー線を発生する光源であれば制限なく使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、活性エネルギー線の照射量が、好ましくは5〜350mJ/cmの範囲内であり、特に好ましくは250〜300mJ/cmの範囲内である。
(樹脂硬化層の表面粗さの測定方法)
樹脂硬化層23の表面粗さは、非接触型干渉顕微鏡(WYKO)を用いて観察された算術平均粗さ(Ra)で定義する。WYKOを用いたRaの測定は、従来公知の方法を適用することができる。
[保護フィルム]
保護フィルム30は、保護基材31と、保護基材31を機能性フィルム20の基材21の裏面側に貼り合わせるための粘着層32とを備える。保護フィルム30は、保護フィルム30の粘着力が平均値で0.15N/25mm以上0.5N/25mm以下に形成されていれば、保護基材31及び粘着層32に用いられる材料は特に限定されない。
また、保護フィルムとしては、自己粘着性の共押出延伸多層フィルムを用いることもできる。このような自己粘着性の共押出延伸多層フィルムとしては、例えば、フタムラ化学社製の自己粘着性OPPフィルムFSA−010M、FSA−020M、FSA−050M、FSA−100M、FSA−150M、FSA−300M、FSA−010B等を用いることができる。
[保護基材]
保護基材31としては、上述の機能性フィルム20の基材21と同じ樹脂フィルムを使用することができる。耐熱性や、光学的な特性から、保護基材31としては、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)を用いることが好ましい。
保護基材31は、樹脂フィルムが単独、又は、複数用いられていてもよく、複数の層から形成されていてもよい。保護基材31は、枚葉形状及びロール形状に限定されないが、生産性の観点からロールトゥロール方式でも対応できるロール形状が好ましい。
保護基材31の厚さは、特に制限されないが、5〜500μm程度が好ましく、25μm〜150μmがより好ましい。保護基材31の厚が5μm以上であれば、取り扱い易い十分な厚さとなる。また、保護基材31の厚が500μm以下であれば、十分な柔軟性を有し、搬送性やロールへの密着性が十分に得られる。
[粘着層]
粘着層32は、粘着剤を含んで構成される。粘着層32に用いられる粘着剤は、機能性フィルム積層体10に要求される粘着力を得ることができれば特に限定されず、従来公知の材料を用いることができる。粘着層32に使用する粘着剤としては、感圧粘着剤を用いることが好ましい。感圧粘着剤は、凝集力と弾性とを有し、長時間にわたり安定した粘着性を維持できる。また、粘着層を形成する際に、熱や有機溶媒等の要件を必要とせず、圧力を加えるだけで保護フィルム30を機能性フィルム20に貼合することができる。
粘着層32を形成するための粘着剤としては、透明性に優れる材料が好ましい。粘着層32を形成するための粘着剤としては、例えば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、ゴム系樹脂、ウレタン系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、及び、シリコン系樹脂等を含む粘着剤を挙げることができる。粘着剤の形態としては、例えば、溶剤型、エマルション型、及び、ホットメルト型等を用いることができる。
粘着層32を形成するための粘着剤としては、アクリル系粘着剤が、耐久性、透明性、粘着特性の調整の容易さ等の面から好ましい。アクリル系粘着剤は、アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、これに極性単量体成分を共重合したアクリル系ポリマーを用いたものである。上記アクリル酸アルキルエステルとは、アクリル酸又はメタクリル酸のアルキルエステルであって、特に限定されないが、例えば、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル等が挙げられる。具体的には、東洋インキ社製BPS5978を使用できる。
アクリル系粘着剤の硬化剤としては、例えば、イソシアネート系、エポキシ系、アリジリン系硬化剤が利用できる。イソシアネート系硬化剤としては、長期保存後も安定した粘着力を得るため、及び、より硬い粘着層32を形成するために、トルイレンジイソシアネート(TDI)等の芳香族系のタイプを用いることが好ましい。具体的には、東洋インキ社製BXX5134を使用することができる。
硬化剤の添加量は、粘着剤に対して3質量%〜9質量%であることが好ましく、5質量%〜7質量%であることがより好ましい。このような範囲であれば、粘着剤成分を十分に硬化させることができ、十分な接着力も確保することができるとともに、保護フィルム30を機能性フィルム20から剥離した後に、機能性フィルム20側に粘着層32が残存しにくい。
粘着層32を構成する粘着剤の重量平均分子量は、40万以上140万以下であることが好ましい。重量平均分子量がこの範囲内の値であれば、粘着力が過度になることが少なく、必要な範囲で粘着力を得ることができる。さらに、上記の重量平均分子量の範囲であれば、剥離後の機能性フィルム20側への粘着層32の残存を抑制することができる。さらに、上記範囲の重量平均分子量であれば、プラズマCVD法等の熱やエネルギーがかかる方法を用いて機能性層22を形成する際に、粘着剤の転写や剥離が発生しにくくなり、保護フィルム30の剥離を抑制することができる。
また、粘着剤に含まれる上記樹脂類の他に、粘着層の物性向上の観点から、各種添加剤を用いることができる。例えば、ロジン等の天然樹脂、変性ロジン、ロジン及び変性ロジンの誘導体、ポリテルペン系樹脂、テルペン変性体、脂肪族系炭化水素樹脂、シクロペンタジエン系樹脂、芳香族系石油樹脂、フェノール系樹脂、アルキル−フェノール−アセチレン系樹脂、クマロン−インデン系樹脂、ビニルトルエン−α−メチルスチレン共重合体をはじめとする粘着付与剤、老化防止剤、安定剤、及び、軟化剤等を必要に応じて用いることができる。これらは必要に応じて2種以上用いることもできる。また、耐光性を上げるために、粘着剤にベンゾフェノン系やベンゾトリアゾール系等の有機系紫外線吸収剤を添加することもできる。
粘着層32の厚さは、保護フィルム30の取扱い易さから10μm以上50μm以下であることが好ましい。このような範囲であれば、保護フィルム30と機能性フィルム20とに十分な密着力を得ることができる。さらに、保護フィルム30を剥離する際にも、機能性フィルム20に対して過度な力をかける必要がなく、機能性層22の損傷を抑制することができる。
粘着層32を保護基材31の表面に形成(塗工)する方法は特に限定されない。例えば、スクリーン法、グラビア法、メッシュ法、バー塗工法等を用いて、上記粘着剤を保護基材31上に塗布し、乾燥又は硬化することにより、粘着層32を形成することができる。
粘着層32は、粘着力の平均値が、0.15N/25mm以上0.5N/25mm以下となるように調整する。粘着層の粘着力は、使用する粘着剤を適宜選択することにより調整することができる。
(粘着力の測定方法)
粘着層の粘着力は、JIS Z 0237:2009に記載の粘着テープの粘着力の測定方法に準拠した方法で測定する。また、粘着層32の粘着力は、下記の方法で算出される平均値により規定する。
まず、保護基材31上に粘着層32を形成した25mm幅の保護フィルム30を、平滑なガラス板に貼合した後、保護フィルム30を30mm/minの剥離速度で剥離する。剥離方向は、ガラス板表面に対して、90度となるようにした。このときの剥離力を連続的に測定し、連続的に得られた測定値から平均値を算出する。これを、粘着層32の粘着力の平均値とする。
被粘着体として剛性のあるガラス板を用いることにより、粘着量の強さにかかわらず、一定の張力を掛けた剥離に対して連続的(スムーズ)に保護フィルム30が剥離されるため、粘着力の測定を安定して行うことができる。被粘着体としてフレキシブルな基材を用いると、被粘着体の固定が不十分であった場合には、保護フィルム30が連続的(スムーズ)に剥離されずに不連続(間欠的)な剥離となるため、安定して測定を行うことが難しい。
〈2.機能性フィルム積層体の実施の形態(第2実施形態)〉
次に、機能性フィルム積層体の第2実施形態について説明する。第2実施形態の機能性フィルム積層体は、上述の第1実施形態の機能性フィルム積層体に、粘着層(第2粘着層)と離型フィルムとを有する構成である。なお、第2実施形態は第2粘着層と離型フィルムとを有する以外、上述の第1実施形態と同様である。このため、以下の機能性フィルム積層体の説明においては、第1実施形態と同じ構成については説明を省略する。
図4に、第2実施形態の機能性フィルム積層体10Aを示す。図4に示す機能性フィルム積層体10Aは、機能性フィルム20Aと、保護フィルム30と、離型フィルム33とから構成される。具体的には、機能性フィルム20Aは、基材21と、基材21の第1面(表面)側に形成された機能性層22と、基材21の第2面(裏面)側に形成された樹脂硬化層23と、機能性層22上に形成された第2粘着層24とを有する。そして、第2粘着層24上に、剥離可能な離型フィルム33が貼合されている。また、保護フィルム30の構成は上述の第1実施形態と同様であり、保護基材31と粘着層(第1粘着層)32とを有し、第1粘着層32が機能性フィルム20Aの樹脂硬化層23に直に接するように設けられている。なお、離型フィルム33は、第2粘着層24の表面を保護するための構成であり、機能性フィルム積層体10Aの構成に含めなくてもよい。このため、離型フィルム33を除き、樹脂硬化層23から第2粘着層24までの機能性フィルム20Aと、保護基材31及び粘着層32からなる保護フィルム30とを、機能性フィルム積層体10Aとしてもよい。
機能性フィルム積層体10Aにおいては、第2粘着層24と、離型フィルム33とを有することにより、電子デバイスの作製に好適となる。例えば、離型フィルム33を剥離することにより、第2粘着層24を露出させた後、露出させた第2粘着層24を電子部材に貼合し、保護フィルム30を剥離することにより、機能性フィルム20Aを備える電子デバイスを作製することができる。
以下、機能性フィルム積層体10Aを構成する第2粘着層24及び離型フィルム33について説明する。なお、以下の説明は一例であり、これらに限定されない。機能性フィルム積層体10Aは、これら以外の構成を有していてもよい。
[粘着層(第2粘着層)]
第2粘着層24は、上述の第1粘着層32と同様の構成を適用できる。第2粘着層24に用いられる粘着剤は、機能性フィルム20Aを備える電子デバイスにおいて、要求される粘着力を得ることができれば特に限定されず、従来公知の材料を用いることができる。
[離型フィルム]
離型フィルム33としては、上述の基材21や保護基材31と同様の樹脂フィルムを用いることができる。樹脂フィルムの離型性が十分でない場合には、第2粘着層24に貼合する樹脂フィルムの面に離型処理を施すことが好ましい。離型処理としては、例えば、従来公知の方法によりシリコーン系材料やフッ素系材料を用いて離型層を形成する方法が挙げられる。
また、市販の離型フィルムを用いることもできる。
〈3.電子デバイスの製造方法〉
次に、上記機能性フィルム積層体を用いた電子デバイスの製造方法について説明する。本実施形態の製造方法において作製する電子デバイスとしては、光電変換素子(太陽電池素子)や有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子、液晶表示素子、電子ペーパー、薄膜トランジスタ、タッチパネル等の各種電子デバイスが挙げられる。これらの電子デバイスの構成については、上述の機能性フィルム積層体を構成する機能性フィルムを適用できれば特に制限はなく、従来公知の構成を適用することができる。
以下の説明では、電子部材と上記機能性フィルムとから構成される電子デバイスについて説明する。この電子デバイスの製造においては、先ず、図4に示す構成の機能性フィルム積層体10Aと、電子部材とを準備する。そして、電子部材に離型フィルム33を除く機能性フィルム積層体10Aを貼合し、機能性フィルム積層体10Aから保護フィルム30を剥離することで、電子部材と機能性フィルム20Aとからなる電子デバイスを作製することができる。
機能性フィルム積層体10Aの準備工程においては、上記規定を満たす機能性フィルム20Aと、保護フィルム30とからなる機能性フィルム積層体10Aを準備する。以下、機能性フィルム積層体10の準備工程の一例として、機能性フィルム積層体10Aの製造方法について説明する。なお、電子デバイスの製造方法おいては、機能性フィルム20A及び保護フィルム30が上記規定を満たしていれば、機能性フィルム積層体10Aを準備する工程は、下記の製法や工程順に限定されない。
[機能性フィルム積層体を準備する工程]
まず、機能性フィルム20Aを作製するための基材21を準備する。基材21は、機能性層22を作製した際に、上記機能性フィルム20Aの規定が満たされるように、樹脂フィルムを作製する。或いは、上記規定を満たすことが可能な市販の樹脂フィルムを基材として準備する。樹脂フィルムを作製には、従来公知の樹脂フィルムの作製方法を適用することができる。
次に、基材21の裏面側に樹脂硬化層23を形成する。樹脂硬化層23の形成方法としては、上述の方法を適用することができる。
次に、保護フィルム30を準備する。保護フィルム30は、上記基材21と同様の方法で保護基材31となる樹脂フィルムを準備した後、この樹脂フィルムの一方の面に第1粘着層32を形成して作製することができる。また、保護基材31と第1粘着層32とが一体化した保護フィルム30を作製してもよい。或いは、市販の粘着層着きの樹脂フィルムを保護フィルム30として準備してもよい。保護フィルム30の作製には、従来公知の製造方法を適用することができる。保護フィルム30の準備においては、上記規定を満たしていれば、用いる材料や製法等は特に限定されない。
次に、樹脂硬化層23に、保護フィルム30の第1粘着層32を貼り合わせる。樹脂硬化層23への保護フィルム30の貼合方法は特に限定されず、従来公知の方法と適用することができる。好ましくは、保護フィルム30の貼合と連続して機能性層22の形成を行うオンライン方式が例示される。また、基材21に保護フィルム30を貼合し、巻き取り軸で基材21と保護フィルム30との積層体を巻き取った後、別工程で基材21と保護フィルム30とからなる積層体を巻き出して、基材21上に機能性層22の形成を行うオフライン方式であってもよい。
基材21の裏面側に保護フィルム30を貼り合わせた後、基材21の表面側に機能性層22を作製する。作製する機能性層22の種類及び製法は、上述の各種機能性層22から任意の構成を選択すればよく、上述の各種機能性層22以外の層を作製してもよい。機能性層22は、基材21上に形成された際に、機能性フィルム20Aの上記規定を満たすように作製できればよい。
次に、離型フィルム33を準備する。そして、準備した離型フィルム33上に第2粘着層24を形成する。第2粘着層24の形成は、上述の第1粘着層32と同様の方法を用いることができる。そして、第2粘着層24を形成した離型フィルム33を、機能性フィルム20Aの機能性層22上に貼合し、図4に示す構成の機能性フィルム積層体10Aを作製する。
[電子部材を準備する工程]
次に、図5に示す、電子デバイスの作製に用いる電子部材80を準備する。ここでは、一例として、支持基材81上に[陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極]の発光積層体82の構成を有する、有機EL素子の作製方法について説明する。
まず、支持基材81上に所望の電極物質、例えば、陽極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは10〜200nmの膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング、プラズマCVD等の方法で形成し、陽極を作製する。
次に、陽極上に有機EL素子材料である正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の各有機化合物薄膜を形成する。この有機化合物薄膜の成膜方法としては、蒸着法、ウェットプロセス(スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、印刷法)等が挙げられるが、均質な膜が得られやすく、且つ、ピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法、スピンコート法、インクジェット法、印刷法を用いることが好ましい。また、層毎に異なる成膜法を適用してもよい。
上記各層を形成後、電子注入層上に陰極用物質からなる薄膜を1μm以下、好ましくは50〜200nmの範囲の膜厚になるように、例えば、蒸着やスパッタリング等の方法で形成して陰極を設け、発光積層体82を作製する。
以上の工程で所望の有機EL素子(電子部材80)を作製できる。有機EL素子及びその作製方法の詳細については、特開2013−226732号公報の段落[0212]〜[0218]、特開2013−39706号公報の段落[0078]等の記載を参照することができる。
[電子部材上に機能性フィルム積層体を貼合する工程]
次に、図6に示すように、機能性フィルム積層体10Aから、離型フィルム33を剥離し、第2粘着層24を露出する。そして、図7に示すように、離型フィルム33を剥離した機能性フィルム積層体10Aの第2粘着層24側を、電子部材80の発光積層体82上に貼合する。そして、離型フィルム33を除く機能性フィルム積層体10Aを、電子部材80と一体化する。
[機能性フィルム積層体から保護フィルムを剥離する工程]
次に、図8に示すように、保護フィルム30を剥離し、機能性フィルム20Aの樹脂硬化層23を露出させる。このとき、機能性フィルム20Aと保護フィルム30とは、樹脂硬化層23の平均表面粗さRaが1.1nm以上5nm以下、第1粘着層32の粘着力が平均値で0.15N/25mm以上0.5N/25mm以下、及び、[粘着力(N/25mm)/Ra(nm)]の値が0.1以上0.3以下を満たすため、保護フィルム30が連続的(スムーズ)に剥離される。この結果、機能性フィルム20Aと保護フィルム30との界面の一部分での瞬間的な大きな力の発生を抑制することができ、電子部材80や機能性層22等での損傷の発生を抑制することができる。
以上の工程により、図9に示す、電子部材80と機能性フィルム20Aとを有する電子デバイスを製造することができる。
なお、電子デバイスの製造においては、上述の規定を満たす機能性フィルム積層体を用いて、機能性フィルム積層体を電子部材に貼合した後、機能性フィルム積層体から保護フィルムを剥離する工程を有していれば、その他の工程については特に限定されない。機能性フィルム積層体において、機能性フィルムと保護フィルムとの接合力が、連続的(スムーズ)な剥離が可能な範囲内であれば、不連続(間欠的)な剥離によって発生する大きな力による損傷を抑制することができるため、電子デバイスの信頼性の低下を抑制することができる。
[電子デバイスの作製;他の方法]
なお、上述の電子デバイスの製造方法では、図4に示す、第2粘着層24と離型フィルム33とを有する機能性フィルム積層体10Aを用いた方法について説明しているが、電子デバイスの作製においては、図1に示す構成の機能性フィルム積層体10を用いてもよい。例えば、図1に示す構成の機能性フィルム積層体10の機能性層22上に直接第2粘着層24を形成し、これを電子部材に貼合した後、機能性フィルム積層体10から保護フィルム30を剥離することで、電子部材と機能性フィルム20とからなる電子デバイスを作製することができる。この方法においても、電子部材を準備する工程、及び、電子部材上に機能性フィルム積層体を貼合する工程は、上述の電子デバイスの製造方法と同様の方法を適用することができる。また、機能性フィルム積層体を準備する工程では、第2粘着層を形成する場所を離型フィルムから機能性層上に変更して、同様に行うことができる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〈試料101〜124の電子デバイスの作製〉
下記の方法で、保護フィルム1〜6の作製、裏面側に保護フィルムが貼合された基材1〜7の作製、基材上に機能性層が形成された機能性フィルム積層体の作製、及び、電子デバイスの作製を行い、下記表1に示す基材1〜7と保護フィルム1〜6との組合せで、試料101〜124の電子デバイスを作製した。
[保護フィルムの作製]
保護基材として、38μm厚のPETフィルムを準備した。ロールトゥロール方式の塗布ラインを用い、保護基材の片面にコロナ処理をした後、コロナ処理面に後述する粘着層塗布液を、後述する乾燥膜厚となるように塗布、乾燥して、粘着層を形成した。次に、後に剥離する離形層付きPETフィルムを粘着層面に貼合し、巻き取った。このようにして、保護フィルム1〜6を作製した。
(粘着層の作製;保護フィルム1)
下記の方法でアクリルポリマー溶液1を調製し、さらに、調製したアクリルポリマー溶液1を用いて粘着層塗布液1を作製した。そして、粘着層塗布液1を保護基材上に乾燥膜厚が25μmとなるように塗布し、80℃で乾燥して粘着層を形成した。これにより、保護フィルム1を得た。作製した保護フィルム1の粘着力を後述する方法により測定したところ、保護フィルム1の粘着力は、0.10N/25mmであった。
(アクリルポリマー溶液1の調製)
撹拌機、温度計、還流冷却器及び窒素導入管を備えた反応装置に、窒素ガスを導入して、反応装置内の空気を窒素ガスで置換した。その後、反応装置に2−エチルヘキシルアクリレート90質量部、8−ヒドロキシオクチルアクリレート9質量部、メタクリル酸1.0質量部とともに溶剤(酢酸エチル)を60質量部加えた。その後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.1質量部を2時間かけて滴下し、65℃で6時間反応させ、重量平均分子量50万のアクリルポリマー溶液1(固形分60質量%のアクリルポリマーの酢酸エチル溶液)を得た。
(粘着層塗布液1の調製)
下記の素材を混合し、さらに、100質量部のメチルエチルケトンで希釈した後、ろ過して粘着層塗布液1を調製した。
アクリルポリマー溶液1:98.00質量部
1−オクチルピリジニウム ドデシルベンゼンスルホン酸塩:1.30質量部
ポリイソシアネート(東ソー社製、コロネートHX):0.64質量部
シロキサン化合物(信越シリコーン社製、KF−351A):0.06質量部
(粘着層の作製;保護フィルム2)
アクリルポリマー溶液1の組成を下記のように変更してアクリルポリマー溶液2(Mw:50万、固形分60質量%のアクリルポリマーの酢酸エチル溶液)を調製し、さらに、粘着層塗布液1の組成を下記のように変更して粘着層塗布液2を調製した以外は、上述の保護フィルム1と同様の方法で保護フィルム2を作製した。保護フィルム2の粘着力は、0.16N/25mmであった。
(アクリルポリマー溶液2)
2−エチルヘキシルアクリレート:92質量部
8−ヒドロキシオクチルアクリレート:7質量部
メタクリル酸:1質量部
(粘着層塗布液2)
アクリルポリマー:98.00質量部
1−オクチルピリジニウム ドデシルベンゼンスルホン酸塩:1.30質量部
ポリイソシアネート(東ソー社製、コロネートHL):0.66質量部
シロキサン化合物(信越シリコーン社製、KF−351A):0.04質量部
(粘着層の作製;保護フィルム3)
アクリルポリマー溶液1の組成を下記のように変更してアクリルポリマー溶液3(Mw:50万、固形分60質量%のアクリルポリマーの酢酸エチル溶液)を調製し、さらに、粘着層塗布液1の組成を下記のように変更して粘着層塗布液3を調製した以外は、上述の保護フィルム1と同様の方法で保護フィルム3を作製した。保護フィルム3の粘着力は、0.25N/25mmであった。
(アクリルポリマー溶液3)
2−エチルヘキシルアクリレート:72質量部
ブチルアクリレート:20質量部
8−ヒドロキシオクチルアクリレート:7質量部
メタクリル酸:1質量部
(粘着層塗布液3)
アクリルポリマー:98.00質量部
1−オクチルピリジニウム ドデシルベンゼンスルホン酸塩:1.30質量部
ポリイソシアネート(東ソー社製、コロネートHL):0.66質量部
シロキサン化合物(信越シリコーン社製、KF−351A):0.04質量部
(粘着層の作製;保護フィルム4)
アクリルポリマー溶液1の組成を下記のように変更してアクリルポリマー溶液4(Mw:50万、固形分60質量%のアクリルポリマーの酢酸エチル溶液)を調製し、粘着層塗布液1の組成を下記のように変更して粘着層塗布液4を調製し、さらに、粘着層塗布液4の乾燥膜厚が30μmとなるように塗布した以外は、上述の保護フィルム1と同様の方法で保護フィルム4を作製した。保護フィルム4の粘着力は、0.34N/25mmであった。
(アクリルポリマー溶液4)
2−エチルヘキシルアクリレート:65質量部
ブチルアクリレート:25質量部
6−ヒドロキシヘキシルアクリレート:8質量部
カルボキシエチルアクリレート:2質量部
(粘着層塗布液4)
アクリルポリマー:98.00質量部
1−オクチルピリジニウム ドデシルベンゼンスルホン酸塩:1.30質量部
ポリイソシアネート(東ソー社製、コロネートHL):0.66質量部
シロキサン化合物(信越シリコーン社製、KF−351A):0.04質量部
(粘着層の作製;保護フィルム5)
アクリルポリマー溶液1の組成を下記のように変更してアクリルポリマー溶液5(Mw:50万、固形分60質量%のアクリルポリマーの酢酸エチル溶液)を調製し、粘着層塗布液1の組成を下記のように変更して粘着層塗布液5を調製し、さらに、粘着層塗布液5の乾燥膜厚が30μmとなるように塗布した以外は、上述の保護フィルム1と同様の方法で保護フィルム5を作製した。保護フィルム5の粘着力は、0.47N/25mmであった。
(アクリルポリマー溶液5)
2−エチルヘキシルアクリレート:50質量部
ブチルアクリレート:40質量部
6−ヒドロキシヘキシルアクリレート:8質量部
カルボキシエチルアクリレート:2質量部
(粘着層塗布液5)
アクリルポリマー:98.00質量部
1−オクチルピリジニウム ドデシルベンゼンスルホン酸塩:1.30質量部
ポリイソシアネート(東ソー社製、コロネートHL):0.66質量部
シロキサン化合物(信越シリコーン社製、KF−351A):0.04質量部
(粘着層の作製;保護フィルム6)
アクリルポリマー溶液1の組成を下記のように変更してアクリルポリマー溶液6(Mw:50万、固形分60質量%のアクリルポリマーの酢酸エチル溶液)を調製し、粘着層塗布液1の組成を下記のように変更して粘着層塗布液6を調製し、さらに、粘着層塗布液6の乾燥膜厚が40μmとなるように塗布した以外は、上述の保護フィルム1と同様の方法で保護フィルム6を作製した。保護フィルム6の粘着力は、0.60N/25mmであった。
(アクリルポリマー溶液6)
2−エチルヘキシルアクリレート:40質量部
ブチルアクリレート:50質量部
6−ヒドロキシヘキシルアクリレート:8質量部
カルボキシエチルアクリレート:2質量部
(粘着層塗布液6)
アクリルポリマー:98.00質量部
1−オクチルピリジニウム ドデシルベンゼンスルホン酸塩:1.30質量部
ポリイソシアネート(東ソー社製、コロネートHL):0.66質量部
シロキサン化合物(信越シリコーン社製、KF−351A):0.04質量部
[裏面側に保護フィルム(1〜6)が貼合された基材1の作製]
機能性フィルムの基材を構成する樹脂フィルムとして、両面を易接着処理した厚さ50μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製、ルミラー(登録商標)U48)のロールを準備した。そして、準備した基材に対して、後述する機能性層を作製する面と反対の面(裏面)に、ロールトゥロール方式の塗布ラインを用いて、下記の方法で樹脂硬化層塗布液1を塗布及び乾燥した後、UV硬化処理を行って、裏面樹脂硬化層1を形成した。
次に、裏面樹脂硬化層1を形成した後、基材を巻き取る前に、上述の方法で作製した保護フィルム(1〜6から一種を選択)を、離形層付きPETフィルムを剥離しながらインラインで裏面樹脂硬化層1上に貼合し、一旦巻き取った。
次に、基材の機能性層を作製する面(表面)に、下記の方法で表面樹脂硬化層塗布液1を塗布及び乾燥した後、UV硬化処理を行って表面樹脂硬化層1を形成した。これにより、裏面側に保護フィルム(1〜6)が貼合された基材1を作製し、巻き取った。
裏面側に保護フィルムが貼合された基材1から、保護フィルムを剥離し、裏面樹脂硬化層1の平均表面粗さ(算術平均粗さ;Ra)を後述する方法で測定したところ、裏面樹脂硬化層1の平均表面粗さ(Ra)は1.2nmであった。
(裏面樹脂硬化層1)
裏面樹脂硬化層塗布液1として、UV硬化型樹脂(アイカ工業株式会社製、Z731L)を用いた。また、裏面樹脂硬化層塗布液1を、乾燥膜厚が1.2μmとなるように塗布した。乾燥温度は80℃とし、UV硬化処理は0.5J/cmとした。
(表面樹脂硬化層1)
表面樹脂硬化層塗布液1として、UV硬化型樹脂(JSR株式会社製、オプスターZ7527)を用いた。また、表面樹脂硬化層塗布液1を、乾燥膜厚が3.0μmとなるように塗布した。乾燥温度は80℃とし、UV硬化処理は0.5J/cmとした。
[裏面側に保護フィルムが貼合された基材2の作製]
裏面樹脂硬化層1の形成方法を、下記の裏面樹脂硬化層2の形成方法に変えた以外は、裏面側に保護フィルムが貼合された基材1と同様の方法で、裏面側に保護フィルムが貼合された基材2を作製した。裏面樹脂硬化層2の平均表面粗さ(Ra)は0.8nmであった。
(裏面樹脂硬化層2)
裏面樹脂硬化層塗布液2として、UV硬化型樹脂(JSR株式会社製、オプスターZ7527)を用いた。また、裏面樹脂硬化層塗布液2を、乾燥膜厚が2.0μmとなるように塗布した。乾燥温度は80℃とし、UV硬化処理は0.5J/cmとした。
[裏面側に保護フィルムが貼合された基材3の作製]
裏面樹脂硬化層1の形成方法を、下記の裏面樹脂硬化層3の形成方法に変えた以外は、裏面側に保護フィルムが貼合された基材1と同様の方法で、裏面側に保護フィルムが貼合された基材3を作製した。裏面樹脂硬化層3の平均表面粗さ(Ra)は0.6nmであった。
(裏面樹脂硬化層3)
裏面樹脂硬化層塗布液3として、下記の組成の塗布液を用いた。また、裏面樹脂硬化層塗布液3を、乾燥膜厚が2.0μmとなるように塗布した。乾燥温度は80℃とし、UV硬化処理は0.5J/cmとした。
(裏面樹脂硬化層塗布液3)
下記の材料を混合した後、ろ過して裏面樹脂硬化層塗布液3を得た。
サートマー社製SR368(重合性バインダ):12.0質量部
荒川化学社製ビームセット575(重合性バインダ):22.0質量部
BASF社製イルガキュア651(重合開始剤):1.0質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテル(溶媒):65.0質量部
[裏面側に保護フィルムが貼合された基材4の作製]
裏面樹脂硬化層1の形成方法を、下記の裏面樹脂硬化層4の形成方法に変えた以外は、裏面側に保護フィルムが貼合された基材1と同様の方法で、裏面側に保護フィルムが貼合された基材4を作製した。裏面樹脂硬化層4の平均表面粗さ(Ra)は2.5nmであった。
(裏面樹脂硬化層4)
裏面樹脂硬化層塗布液4として、下記の組成の塗布液を用いた。また、裏面樹脂硬化層塗布液4を、乾燥膜厚が1.5μmとなるように塗布した。乾燥温度は80℃とし、UV硬化処理は0.5J/cmとした。
(裏面樹脂硬化層塗布液4)
裏面樹脂硬化層塗布液3に対して、シリカ粒子のMEK分散液(堺化学工業社製、MSD−90)を、固形分比率で3質量%となる比率で添加し、十分に混合し、ろ過して、裏面樹脂硬化層塗布液4を得た。
[裏面側に保護フィルムが貼合された基材5の作製]
裏面樹脂硬化層1の形成方法を、下記の裏面樹脂硬化層5の形成方法に変えた以外は、裏面側に保護フィルムが貼合された基材1と同様の方法で、裏面側に保護フィルムが貼合された基材5を作製した。裏面樹脂硬化層5の平均表面粗さ(Ra)は4.5nmであった。
(裏面樹脂硬化層5)
裏面樹脂硬化層塗布液5として、下記の組成の塗布液を用いた。また、裏面樹脂硬化層塗布液5を、乾燥膜厚が1.5μmとなるように塗布した。乾燥温度は80℃とし、UV硬化処理は0.5J/cmとした。
(裏面樹脂硬化層塗布液5)
裏面樹脂硬化層塗布液3に対して、シリカ粒子のMEK分散液(堺化学工業社製、MSD−90)を、固形分比率で8質量%となる比率で添加し、十分に混合し、ろ過して、裏面樹脂硬化層塗布液5を得た。
[裏面側に保護フィルムが貼合された基材6の作製]
裏面樹脂硬化層1の形成方法を、下記の裏面樹脂硬化層6の形成方法に変えた以外は、裏面側に保護フィルムが貼合された基材1と同様の方法で、裏面側に保護フィルムが貼合された基材6を作製した。裏面樹脂硬化層6の平均表面粗さ(Ra)は7.0nmであった。
(裏面樹脂硬化層6)
裏面樹脂硬化層塗布液6として、下記の組成の塗布液を用いた。また、裏面樹脂硬化層塗布液6を、乾燥膜厚が1.5μmとなるように塗布した。乾燥温度は80℃とし、UV硬化処理は0.5J/cmとした。
(裏面樹脂硬化層塗布液6)
裏面樹脂硬化層塗布液3に対して、シリカ粒子のPGME分散液(堺化学工業社製、MSD−89)を、固形分比率で5質量%となる比率で添加し、十分に混合し、ろ過して、裏面樹脂硬化層塗布液6を得た。
[裏面側に保護フィルムが貼合された基材7の作製]
裏面樹脂硬化層1の形成方法を、下記の裏面樹脂硬化層7の形成方法に変えた以外は、裏面側に保護フィルムが貼合された基材1と同様の方法で、裏面側に保護フィルムが貼合された基材7を作製した。裏面樹脂硬化層7の平均表面粗さ(Ra)は10.0nmであった。
(裏面樹脂硬化層7)
裏面樹脂硬化層塗布液7として、下記の組成の塗布液を用いた。また、裏面樹脂硬化層塗布液7を、乾燥膜厚が1.5μmとなるように塗布した。乾燥温度は80℃とし、UV硬化処理は0.5J/cmとした。
(裏面樹脂硬化層塗布液7)
裏面樹脂硬化層塗布液3に対して、シリカ粒子のPGME分散液(堺化学工業社製、MSD−89)を、固形分比率で10質量%となる比率で添加し、十分に混合し、ろ過して、裏面樹脂硬化層塗布液7を得た。
[機能性フィルム積層体の作製]
上述の方法で作製した裏面側に保護フィルムが貼合された基材1〜7の表面樹脂硬化層上に、機能性層としてバリア層を形成し、機能性フィルム積層体を作製した。バリア層は、WO2016/009801の実施例に記載された試料No.28と同様の方法で形成した。
具体的には、図3に記載の成膜部に対向した一対の成膜ロールを有する装置を、2台つなげた構成(第1成膜部、第2成膜部を有する)のロールトゥロール型のローラー間放電プラズマCVD装置を用いた。有効成膜幅を1000mmとし、下記の成膜条件で膜厚100nmの第1バリア層を作製した。
さらに、上記の方法で作製した第1バリア層上に、下記の方法で調製したポリシラザン含有液を乾燥膜厚が300nmとなるように塗布し、大気中(露点5℃)において80℃で2分間乾燥した。そして、乾燥後の塗膜に改質エネルギー6.0J/cmの改質処理を行い、ポリシラザン改質層からなる第2バリア層を作製した。
(プラズマCVD成膜条件)
搬送速度:6.0m/min、
第1成膜部の原料ガス(HMDSO)供給量:150sccm(Standard Cubic Centimeter per Minute)
第1成膜部の酸素ガス供給量:400sccm
第1成膜部の真空度:2.0Pa
第1成膜部の印加電力:4.0kW
第2成膜部の原料ガス(HMDSO)供給量:150sccm
第2成膜部の酸素ガス供給量:400sccm
第2成膜部の真空度:2.0Pa
第2成膜部の印加電力:4.0kW
電源周波数:84kHz
全成膜ロールの温度:30℃
(ポリシラザン含有液の調製)
パーヒドロポリシラザンを20質量%含むジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、NN120−20)と、アミン触媒(N,N,N',N'−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン(TMDAH))を含むパーヒドロポリシラザン20質量%のジブチルエーテル溶液(AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製、NAX120−20)とを、4:1(質量比)の割合で混合し、さらに乾燥膜厚調整のためジブチルエーテルで適宜希釈し、ポリシラザン含有液を調製した。
[電子デバイスの作製]
電子デバイスを作製するための支持基材として、WO2016/009801の実施例に記載された試料No.28と同様の方法で、ガスバリア性フィルムを作製した。そして、このガスバリア性フィルムのバリア層上に、WO2016/009801の実施例に記載された方法と同様の方法で、有機EL素子を作製した。このとき、アルミ箔の替わりに、上記で作製した裏面に保護フィルムを有する機能性フィルム積層体を用い、加熱による硬化処理を行わずに、下記の方法で固体封止を行った。そして、有機EL素子上を機能性フィルム積層体で固体封止した後、機能性フィルム積層体から保護フィルムを剥離して、電子デバイスを作製した。保護フィルムの剥離は、剥離速度30mm/minで行った。
(有機EL素子の固体封止)
まず、上述の裏面に保護フィルムを有する機能性フィルム積層体のバリア層表面を、UV洗浄した。この後、下記の方法で作製した接着剤層塗布液を、機能性フィルム積層体のバリア層上に、乾燥後の層の厚さが30μmになるよう、アプリケーターを用いて均一に塗布し、60℃で10分間乾燥させ、感圧型接着剤層を形成した。さらに、感圧型接着剤層を形成した機能性フィルム積層体を、酸素濃度10ppm以下、水分濃度10ppm以下のグローブボックス内で24時間保持し、乾燥させた。
(接着剤層塗布液の調製)
下記の各材料を固形分40%となるようにトルエン中に溶解した。
タフテックP1500(旭化成社製、水添スチレン系熱可塑性エラストマー):18質量部
ESCOREZ5600(ExxonMobil社製、水添芳香族変性脂環族系炭化水素樹脂):18質量部
OndinaG17(Shell社製、ホワイトオイル):4質量部
トルエン:60質量部
〈評価方法〉
[樹脂硬化層の表面粗さ(Ra)]
樹脂硬化層の表面粗さは、Veeco社製の非接触3次元表面形状粗さ計WykoNT9300を用いて、PSIモード、測定倍率40倍にて測定した。1回の測定での測定領域は、159.2μm×119.3μmとし、測定点は640×480点(画像表示ではピクセル数)とした。測定は、樹脂硬化層の表面の任意の5点で行い、5回の測定値の平均値とした。
[粘着層の粘着力]
JIS Z 0237:2009に記載の粘着テープの粘着力の測定方法に準拠した方法で、平滑なガラス板に保護フィルムを貼合した後、25mm幅、30mm/minの剥離速度で、保護フィルムの剥離力を連続的に測定し、剥離力の平均値を算出した。
[樹脂硬化層/保護フィルムの工程適性]
工程適性は、作製した機能性フィルム積層体に、機能性層の作製から電子部材への貼合までの工程を想定したロール搬送を行い、保護フィルムの剥離有無を目視で確認した。
[有機EL素子の発光状態]
作製した電子デバイス(有機EL素子)を発光させて、発光領域内に非発光部が存在するかを目視で確認した。
保護フィルムを剥離する際に、間欠的(不連続)な剥離による瞬間的に大きな応力の発生があると、有機EL素子の有機層等に剥離が発生するため、有機EL素子の発光領域内に非発光部が形成される。この発光領域内の発光状態を確認することにより、保護フィルムの剥離の際の素子の破損を検査した。
上記試料101〜124の電子デバイスの基材1〜7と保護フィルム1〜6との組合せ、樹脂硬化層(裏面樹脂硬化層)のRa(nm)、粘着層の粘着力(N/25mm)、及び、[粘着力/Ra]、並びに、工程中での保護フィルムの剥離の有無、及び、保護フィルム剥離後の有機EL素子の発光状態の評価結果を表1に示す。
Figure 0006885412
表1に示すように、ロール搬送において保護フィルムの剥離が無く、有機EL素子の発光状態に非発光部が存在しない、試料110、試料111、試料114、試料115、及び、試料119は、樹脂硬化層のRaが1.1nm以上5nm以下であり、粘着層の粘着力の平均値が0.15N/25mm以上0.5N/25mm以下であり、且つ、[粘着力(N/25mm)/Ra(nm)]の値が0.1以上0.3以下である。この結果から、上記規定を全て満たすことにより、機能性フィルム積層体の作製工程中において保護フィルムの剥離が発生せず、保護フィルムの剥離の際に電子部材に損傷を発生させない機能性フィルム積層体を実現することができる。
試料101〜試料104、及び、試料106〜試料108のように、樹脂硬化層のRaが1.1nm未満の場合は、ガラス板で測定された粘着層の粘着力が小さくても、樹脂硬化層との間では接合力が大きくなり過ぎる。このため、保護フィルムを剥離する際に、間欠的(不連続)な剥離による瞬間的に大きな応力の発生があり、電子部材の損傷が発生してしまう。従って、有機EL素子の発光状態の確認において、非発光部分が確認される。
また、試料108、試料112、試料116、試料120、試料122、及び、試料124のように、粘着層の粘着力が0.5N/25mmを超える場合は、樹脂硬化層の粗さが小さい場合だけでなく、樹脂硬化層の粗さが大きい場合(試料122、試料124)にも、粘着層が樹脂硬化層の凹凸に追従して密着し、樹脂硬化層との間で接合力が大きくなり過ぎる。このため、保護フィルムを剥離する際に、間欠的(不連続)な剥離による瞬間的に大きな応力の発生があり、電子部材の損傷が発生してしまう。従って、有機EL素子の発光状態の確認において、非発光部分が確認される。
試料101、試料105、試料109、試料113、及び、試料117のように、粘着層の粘着力が0.11N/25mm未満の場合には、樹脂硬化層の粗さが大きい場合だけでなく、樹脂硬化層の粗さが小さい場合(試料101、試料105)にも、樹脂硬化層と粘着層との接合力が十分に得られず、作業工程中で保護フィルムが剥離してしまう。
また、試料118のように、樹脂硬化層のRaが1.1nm以上5nm以下を満たし、且つ、粘着層の粘着力の平均値が0.15N/25mm以上0.5N/25mm以下を満たす場合においても、[粘着力(N/25mm)/Ra(nm)]の値が0.1以上0.3以下を満たさず、0.1未満の場合には作業工程中で保護フィルムが剥離してしまう。
一方、試料103、試料104、及び、試料107のように、[粘着力(N/25mm)/Ra(nm)]の値が0.3を超えると、保護フィルムを剥離する際に、間欠的(不連続)な剥離による瞬間的に大きな応力の発生があり、電子部材の損傷が発生してしまう。また、試料112のように、樹脂硬化層のRaが1.1nm以上5nm以下を満たしている場合にも、[粘着力(N/25mm)/Ra(nm)]の値が0.3を超えると、保護フィルムを剥離する際に、間欠的(不連続)な剥離による瞬間的に大きな応力の発生があり、電子部材の損傷が発生してしまう。
試料121〜試料124のように、Raが5nmを超えると、上記規定の粘着力の範囲では、[粘着力(N/25mm)/Ra(nm)]の値が0.1以上0.3以下とならない。このため、作業工程中での保護フィルムの剥離、又は、保護フィルムの剥離の際の電子部材の損傷が発生してしまう。
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
10,10A・・・機能性フィルム積層体、20,20A・・・機能性フィルム、21,60・・・基材、22・・・機能性層、23・・・樹脂硬化層、24・・・第2粘着層、30・・・保護フィルム、31・・・保護基材、32・・・第1粘着層、33・・・離型フィルム、40・・・真空プラズマCVD装置、41・・・アノード電極、42・・・真空槽、43・・・カソード電極、44・・・サセプタ、45・・・加熱冷却装置、46・・・熱媒体循環系、47・・・真空排気系、48・・・ガス導入系、49・・・高周波電源、50・・・プラズマCVD装置、51・・・繰り出しローラー、52,54,55,57・・・搬送ローラー、53,56・・・成膜ローラー、58・・・巻取りローラー、59・・・成膜ガス供給管、61,62・・・磁場発生装置、63・・・プラズマ発生用電源、80・・・電子部材、81・・・支持基材、82・・・発光積層体

Claims (6)

  1. 基材、前記基材の第1面側に形成された機能性層、及び、前記基材の第2面側に形成された樹脂硬化層を有する機能性フィルムと、
    前記機能性フィルムの前記樹脂硬化層に接して貼り合わされた、剥離可能な保護フィルムと、を備え、
    前記樹脂硬化層の平均表面粗さ(算術平均粗さRa)が、1.1nm以上5nm以下であり、
    前記保護フィルムの粘着力が、平均値で0.15N/25mm以上0.5N/25mm以下であり、且つ、
    [粘着力(N/25mm)/Ra(nm)]の値が、0.1以上0.3以下である
    機能性フィルム積層体。
  2. 前記機能性フィルムが、前記機能性層としてバリア層を含む請求項1に記載の機能性フィルム積層体。
  3. 前記機能性フィルムが、前記機能性層側にさらに第2粘着層を有する請求項1に記載の機能性フィルム積層体。
  4. 電子部材と、前記電子部材に貼合された機能性フィルムとを有する電子デバイスの製造方法であって、
    基材、前記基材の第1面側に形成された機能性層、及び、前記基材の第2面側に形成された平均表面粗さ(算術平均粗さRa)が1.1nm以上5nm以下の樹脂硬化層を有する機能性フィルムと、前記樹脂硬化層に接して貼り合わされた粘着力が平均値で0.15N/25mm以上0.5N/25mm以下、且つ、[粘着力(N/25mm)/Ra(nm)]の値が0.1以上0.3以下の剥離可能な保護フィルムとを備える機能性フィルム積層体を準備する工程と、
    前記機能性フィルム積層体を電子部材に貼合する工程と、
    前記機能性フィルム積層体から前記保護フィルムを剥離する工程と、を有する
    電子デバイスの製造方法。
  5. 前記電子部材が有機エレクトロルミネッセンス素子である請求項4に記載の電子デバイスの製造方法。
  6. 前記有機エレクトロルミネッセンス素子が、支持基材と、前記支持基材上に設けられた積層体とからなり、前記積層体上に前記機能性フィルム積層体が貼合される請求項5に記載の電子デバイスの製造方法。
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