JPWO2020027345A1 - 金属微粒子の分析方法および誘導結合プラズマ質量分析方法 - Google Patents

金属微粒子の分析方法および誘導結合プラズマ質量分析方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、金属微粒子が含まれる試料を誘導結合プラズマ質量分析装置により分析する場合に、標準となる金属微粒子を要することなく、分析できる方法を提供する。誘導結合プラズマ質量分析装置を用いた液体中の金属微粒子の分析方法であって、前記分析装置に、既知濃度の特定元素を含む標準溶液を貯蔵する標準溶液貯蔵手段と、標準溶液を吸引および吐出するシリンジポンプと、標準溶液が供給される標準溶液用ネブライザーと標準溶液用スプレーチャンバーとを有する溶液導入手段と、から構成された標準溶液導入装置を設け、3μL/min以下の流量で標準溶液を標準溶液用ネブライザーに直接供給し、検出器より得られた標準溶液信号強度と導入した特定元素の物理量に基づき、特定元素による金属微粒子の粒径値を算出する金属微粒子の分析方法に関する。

Description

本発明は、液体や気体に含まれる金属微粒子の分析方法およびその分析方法を用いた誘導結合プラズマ質量分析方法に関する。
近年、半導体ウェーハ等の基板に混入した金属、有機物質等の分析や、気相中に浮遊する粒子中の金属などを分析には、誘導結合プラズマ質量分析装置(以下、場合によりICP−MSと略す)を用いて行われることが知られている。この分析対象となる金属は、液体や気体中に金属微粒子として存在している場合があり、この金属微粒子ついてもICP−MSにより分析されることが知られている。
このICP−MSにおいて、溶液系の分析を行う装置構成は、図1に示すように、測定対象となる試料溶液を貯蔵する試料貯蔵部101と、試料用ネブライザー102と試料用スプレーチャンバー103とを有する試料導入部と、プラズマを形成して試料をイオン化するトーチ部104と、イオンをプラズマから取り入れるためのインターフェース部105と、イオンを分離する質量分析部106と、分離したイオンを検出する検出部107とを備えるものである。そして、このICP−MSでは、試料溶液に含まれる金属元素の原子をイオン化して、その一部が質量分析部を透過して検出器に到達したものをパルスカウントとして検出している。一般的には、10〜10個の原子がプラズマに導入されイオン化した時に1個のイオンが検出器まで到達して1カウントの信号強度として検出される。
このICP−MSにおいて、試料溶液に溶け込んだ金属の濃度の分析を行う場合、金属を混合した標準溶液を分析して得られる検量線(濃度vs信号強度)を用いて行われる(例えば、特許文献1)。予め、標準溶液の金属濃度に対する信号強度の検量線を準備しておき、試料溶液による信号強度から試料溶液中の金属濃度を測定する。
これに対して、金属微粒子として溶液に混入している試料溶液を分析する場合、粒径既知の金属微粒子が所定量投入された標準溶液を分析して、検出器から得られる金属微粒子数と、金属微粒子1個当たりの信号強度を予め測定して行われる。検出器では、1個の金属微粒子が検出される場合、金属微粒子を構成する金属元素のイオンに相当する信号強度がピークとして出現するため、そのピーク数が検出器に到達した金属微粒子の個数として測定される。また、信号強度は金属微粒子の粒径と相関する。
具体的には、標準としての粒径50nmの金属(Aと仮定する)微粒子を用いた場合を例として説明する。以下では、簡易な説明とするため、仮想の金属元素(A)を用いる。標準としての粒径50nmの金属(A)微粒子を10個/mLとなるようにした標準溶液を用いた場合、この標準溶液を1μL/secでネブライザーへ吸引させて分析する。検出器により、1秒間に100個の金属(A)微粒子が検出されたとすると、ネブライザーに導入した1秒間当たりの粒子数1,000個に対して、実際に検出された個数が100個であるため、スプレーチャンバーを10%の金属(A)微粒子が透過してきたことになる。また、1個の金属(A)微粒子による信号強度が50カウントという結果であった場合、50nm粒径の金属(A)微粒子の容積(6.54×10−17cm)と50nm粒径の金属(A)微粒子の密度(10g/cmと仮定する)から得られる50nm粒径の金属(A)微粒子の重量(654ag)を信号強度50カウントで割ることにより、1カウント当たりの重量感度値(654/50=13.08ag/count)が得られる。金属(A)微粒子による1カウント当たりの重量感度値は、トーチ部に導入された金属(A)微粒子の絶対量に対して検出される信号強度を示すことになり、測定対象の試料溶液中に金属(A)微粒子が含まれていた場合、その検出結果で得られた1個の金属(A)微粒子による信号強度値により、試料溶液中の金属(A)微粒子の粒径を算出することができる。
また、試料溶液の金属(A)微粒子の濃度を分析するためには、試料導入部における試料用スプレーチャンバーの透過効率を予め測定する必要がある。このスプレーチャンバーは、ネブラザーによりアルゴンガスでエアロゾル状とされたもののうち、細かいエアロゾルのみを選別してトーチ部へ流出するものである。ネブライザーに吸引された液量に対するスプレーチャンバーからトーチ部へ送られる液量の比率をスプレーチャンバーの透過効率という。上記した標準の金属(A)微粒子用いた場合に求められた粒子個数で計算することも可能であるが、標準溶液中の正確な粒子個数を求めるのは非常に難しい。よって、ネブライザーから検出器までの感度とトーチ部のプラズマから検出器までの感度の比率を用いてスプレーチャンバーの透過効率を求める方法が用いられる。つまり既知濃度の金属(A)標準溶液をICP−MSで分析して得られるネブライザーから検出器までの1カウント当たりの重量感度値と、粒径既知の金属(A)微粒子を含む標準溶液により得られた、トーチ部のプラズマから検出器までの1カウント当たりの重量感度値と比較することにより求める。
具体的には、金属(A)濃度が1ppb(1pg/μL)の標準溶液を1μL/secでネブライザーへ吸引させて分析する。検出器により、1秒間に10,000カウント検出された場合、ネブライザーへの導入量(1pg/sec=10ag/sec)とから、ネブライザーから検出器までの1カウント当たりの重量感度値(10/10=100ag/count)が得られる。このネブライザー導入による1カウント当たりの重量感度値は、ネブライザーへ導入された金属(A)の重量(絶対量)に対して検出される信号強度を表わすことになる。そのため、上述した金属(A)微粒子によるトーチ部のプラズマから検出器までの1カウント当たりの重量感度値を、ネブライザー導入による1カウント当たりの重量感度値で割る(13.08/100=0.13)ことで、使用しているスプレーチャンバーの透過効率(13%)が求められる。即ち、ネブライザーに吸引された液量の13%が、使用しているスプレーチャンバーからトーチ部へ送られる液量となることが判る。このスプレーチャンバーの透過効率が判ればトーチ部への導入量が判るので、粒径既知の金属(A)微粒子以外の元素のトーチ部への導入量が求められ、試料溶液のそれらの元素の金属微粒子の濃度を算出ことができる。
このように、金属微粒子の状態で液中に存在する試料溶液をICP−MSで分析する場合、既知粒径の金属微粒子を含む標準溶液を準備する必要がある。しかし、Auのような元素については、既知粒径の金属微粒子が市販されているものの、ICP−MSで分析できる多くの金属元素については粒径既知の金属微粒子を準備することは極めて困難である。また、既知粒径のAuの金属微粒子により標準溶液を調整する場合、微粒子の凝集、溶解等により正確な粒径および粒子数のコントロールには非常に困難な作業を伴い、迅速な分析が行えないという現状がある。
また、誘導結合プラズマ質量分析においては、金属微粒子を含む気体による試料ガスを分析することや、固体試料にレーザ光を照射して試料を蒸発、微粒化し、その微粒化試料を直接分析する、レーザーアブレーションICP−MSと呼ばれる分析が知られている(例えば、特許文献2)。このような気相中の金属微粒子の分析においても、ICP−MSで分析できる多くの金属元素の粒径既知の金属微粒子を準備することは困難であるため、気相中の金属微粒子を定量的に分析することを効率的に行えない状況である。
特開平3−108246号公報 特開2018−136190号公報
以上のような実情を背景に、本発明は、測定対象として金属微粒子が含まれる試料を誘導結合プラズマ質量分析装置により分析する場合において、標準となる金属微粒子を必要とすることなく、特定元素を含む標準溶液を用いることにより、特定元素の金属微粒子の粒径を得ることができる金属微粒子の分析方法を提供することを目的とする。そして、その金属微粒子の分析方法を用いて、試料中に含まれる金属微粒子の粒子数、濃度を測定する誘導結合プラズマ質量分析方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、特定元素が既知濃度の標準溶液を、極めて低流量で直接ネブライザーに供給すると、スプレーチャンバーからトーチ部へ導入した標準溶液のほぼ100%(全量)をプラズマに導入できることを見出し、本発明を想到した。
本発明は、測定対象となる試料溶液を貯蔵する試料貯蔵部と、試料用ネブライザーと試料用スプレーチャンバーとを有する試料導入部と、プラズマを形成して試料をイオン化するトーチ部と、イオンをプラズマから取り入れるためのインターフェース部と、イオンを分離する質量分析部と、分離したイオンを検出する検出部とを備える誘導結合プラズマ質量分析装置を用いた、液体中の金属微粒子の分析方法であって、当該誘導結合プラズマ質量分析装置に、既知濃度の特定元素を含む標準溶液を貯蔵する標準溶液貯蔵手段と、標準溶液を吸引および吐出するシリンジポンプと、標準溶液が供給される標準溶液用ネブライザーと標準溶液用スプレーチャンバーとを有する溶液導入手段と、から構成された標準溶液導入装置を設け、試料導入部とトーチ部とを接続する流路に、標準溶液用スプレーチャンバーから流出する標準溶液を導入させるための標準溶液導入路を接続し、3μL/min以下の流量で標準溶液を標準溶液用ネブライザーに直接供給することにより、溶液導入手段からトーチ部に標準溶液を導入して、検出器より得られた標準溶液信号強度と導入した特定元素の物理量に基づき、1カウント当たりの特定元素重量である標準溶液感度値を求め、試料溶液の導入により検出器から得られる、特定元素による1個の金属微粒子の試料溶液信号カウント数と、前記標準溶液感度値とから、特定元素による金属微粒子の粒径値を算出することを特徴とする。
そして、本発明は、上記記載の液体中の金属微粒子の分析方法における標準溶液感度値を用いるものであり、既知濃度の特定元素を含む試料用標準溶液を試料導入部からトーチ部に導入して、検出器より得られた試料用標準溶液信号強度より、試料用標準溶液信号強度1カウント当たりの特定元素重量である試料導入部感度値を算出し、前記標準溶液感度値と試料導入部感度値とから試料用スプレーチャンバーの透過効率を算出し、測定対象である試料溶液を試料導入部からトーチ部に一定時間導入して検出器により得られる特定元素の金属微粒子数と、試料用スプレーチャンバーの透過効率とから、試料溶液に含まれる特定元素の金属微粒子数を算出し、試料溶液の導入により検出器から得られた特定元素の金属微粒子信号強度の総積算値と標準溶液感度値と、スプレーチャンバーの透過効率とから、試料溶液に含まれる特定元素の金属微粒子総重量を算出し、試料貯蔵部と試料導入部との間に設けた流量検出手段から得られる試料溶液の導入量と、算出された特定元素の金属微粒子総重量とから、試料溶液の金属微粒子濃度を算出する、ことを特徴とする金属微粒子数および金属微粒子濃度の誘導結合プラズマ質量分析方法に関する。
また、本発明は、測定対象の固体試料にレーザ光を照射して試料を蒸発、微粒化するレーザーアブレーション器、または測定対象を含む試料ガスのガス成分をアルゴンガスに置換するガス置換器のいずれかにより生成した試料ガスを導入するガス化試料導入部と、プラズマを形成して試料をイオン化するトーチ部と、イオンをプラズマから取り入れるためのインターフェース部と、イオンを分離する質量分析部と、分離したイオンを検出する検出部とを備える誘導結合プラズマ質量分析装置を用いた、気体中の金属微粒子の分析方法であって、当該誘導結合プラズマ質量分析装置に、既知濃度の特定元素を含む標準溶液を貯蔵する貯蔵手段と、標準溶液を吸引および吐出するシリンジポンプと、標準溶液が供給される標準溶液用ネブライザーと標準溶液用スプレーチャンバーとを有する溶液導入手段と、から構成された標準溶液導入装置を設け、ガス化試料導入部とトーチ部とを接続する流路に、標準溶液用スプレーチャンバーから流出する標準溶液を導入させるための標準溶液導入路を接続し、3μL/min以下の流量で標準溶液を標準溶液用ネブライザーに直接供給することにより、溶液導入手段からトーチ部に標準溶液を導入して、検出器より得られた標準溶液信号強度と導入した特定元素の物理量に基づき、標準溶液信号強度1カウント当たりの特定元素重量である標準溶液感度値を求め、試料ガスの導入により検出器から得られる、特定元素による1個の金属微粒子の信号強度カウント数と、前記標準溶液感度値とから、特定元素による金属微粒子の粒径値を算出することを特徴とする。
さらに、本発明は、上記記載の気体中の金属微粒子の分析方法における標準溶液感度値を用いるものであり、測定対象である試料ガスを試料導入部からトーチ部に一定時間導入して検出器により得られる特定元素の金属微粒子数を測定し、試料ガスの導入により検出器から得られた特定元素の金属微粒子信号強度の総積算値と標準溶液感度値および試料ガスの導入量から、試料ガスの金属微粒子濃度を算出する、ことを特徴とする金属微粒子数および金属微粒子濃度の誘導結合プラズマ質量分析方法に関する。
本発明における金属微粒子の分析方法においては、3μL/min以下の流量で標準溶液を標準溶液用ネブライザーに安定して直接供給することが重要となる。そのため、標準溶液を吸引および吐出するシリンジポンプには高性能のものを用いる。具体的には、0.1μL/minの流量を安定して吐出することができる性能を有した高性能シリンジポンプを用いることが好ましい。
本発明において、3μL/min以下の流量で標準溶液を標準溶液用ネブライザーに直接供給することで、供給した標準溶液のほぼ100%(全量)をプラズマに導入できることを確認したのは、次のような検証による。検証1:標準溶液用スプレーチャンバーを加熱して温度を変化させても、標準溶液信号強度1カウント当たりの特定元素重量である標準溶液感度値に変化が生じなかった。検証2:既知粒径のAuの金属微粒子により得られる感度値と、標準溶液感度値がほぼ一致した。検証3:標準溶液の導入量を変化させた場合、3μL/minまでの流量であれば、信号強度が直線的に変化した。3μL/minの流量を超えてくると信号強度が下がる傾向が見られ、標準溶液が標準溶液用スプレーチャンバー内でトラップされ始める現象が認められた。検証4:3本の同タイプのネブライザーを標準溶液用ネブライザーとして用い、標準溶液感度値を比較したところ、相対標準偏差が1%以内であった。
本発明によれば、標準となる金属微粒子を要することなく、試料中に含まれる金属微粒子の粒径を測定でき、試料中に含まれる金属微粒子数や金属微粒子濃度を分析することができる。
従来の誘導結合プラズマ質量分析装置の概略図。 本実施形態の誘導結合プラズマ質量分析装置の概略図。 標準溶液導入量と信号強度との関係を示すグラフ。 標準溶液導入量と内標準の信号強度との関係を示すグラフ。 本実施形態における試料ガス分析用の誘導結合プラズマ質量分析装置の概略図。 特定元素の標準溶液導入量と信号強度との関係を示すグラフ。
本実施形態では、溶液系の試料を分析する場合を例にして説明する。図2に本実施形態の誘導結合プラズマ質量分析装置の概略図を示す。図2に示すICP−MSには、標準溶液導入装置2が接続されている。この標準溶液導入装置2は、標準溶液を貯蔵する標準溶液貯蔵容器201と、標準溶液を吸引および吐出するシリンジポンプ202と、標準溶液が供給される標準溶液用ネブライザー203と標準溶液用スプレーチャンバー204とから構成されている。また、廃棄用の廃棄容器205も備えている。そして、シリンジポンプ202には、0.1〜99.0μL/minの流量を制御できる性能を有するものを使用した。このシリンジポンプの制御流量については、シリンジポンプを構成するシリンジに使用しているボールねじの物理的な稼働量から計算することにより求められる。尚、標準溶液導入装置2以外のICP−MS(アジレント・テクノロジー(株)製モデル8800)本体の装置構成は、図1で示したものと基本的に同じであり、試料貯蔵部101と試料溶液用ネブライザー102とを連結する流路には、ネブライザーに導入した試料溶液の導入量を測定するための光センサー108と空気注入弁109とが設けられている。
標準溶液導入装置2の標準溶液用スプレーチャンバー204から流出する標準溶液を導入させるための標準溶液導入路206は、試料導入部の試料溶液用スプレーチャンバー103とトーチ部104とを接続する流路110に接続されている。
本発明において、図2に示すようにICP−MS本体に標準溶液導入装置を別途設置して、ICP−MS本体側の試料溶液の分析用導入経路を残している理由は、分析時における試料溶液の交換などの作業が迅速に行えることや、測定対象となる金属微粒子を含む試料溶液を分析する場合、ある程度の導入量で試料溶液をトーチ部に導入する必要があるためである。
まず、3μL/min以下の流量で標準溶液を標準溶液用ネブライザーに直接供給すると、供給した標準溶液のほぼ100%(全量)をプラズマに導入できることを確認した際の4つの検証について説明する。
<検証1> 標準溶液用スプレーチャンバーを加熱して温度を変化させて、標準溶液信号強度1カウント当たりの特定元素重量である標準溶液感度値を調査した。この標準溶液信号強度1カウント当たりの特定元素重量である標準溶液感度値は、次のようにして得られた。
標準溶液は、Auを10ppb{他の単位で表わすと(ng/mL)または(pg/μL)}含む標準溶液を用いた。そして、この標準溶液を標準溶液用ネブライザーに、1μL/minの流量で直接導入させ、検出された信号強度を調べた。この標準溶液の分析を行う際、ICP−MS本体側では、試料溶液用ネブライザーに0.3mL/minの流量で純水を供給した。また、標準溶液用ネブライザーと試料溶液用ネブライザーとにはアルゴン(Ar)ガスを供給した。
検出器から得られた信号強度は、1秒間当たり29,159カウントであった(29,159counts/sec)。また、標準溶液用ネブライザーに吸引されたAuの1秒間当たりの導入絶対量は10pg/min=0.167pg/sec=167,000ag/secとなる。よって、この標準溶液信号強度1カウント当たりの特定元素重量である標準溶液感度値は167,000/29,159=5.72ag/countsとなった。この時の標準溶液用スプレーチャンバーの温度は23℃であった。
標準溶液用スプレーチャンバーの基準温度を23℃として、標準溶液用スプレーチャンバー温度を120℃に加熱して、同様な条件で標準溶液信号強度1カウント当たりの特定元素重量である標準溶液感度値を求めたところ、5.71ag/countsとなった。この結果、標準溶液用スプレーチャンバー温度を変化させても、1μL/minの流量で標準溶液を標準溶液用ネブライザーに直接供給すると、その際の標準溶液感度値に変化がないため、標準溶液用ネブライザーに直接供給した標準溶液のほぼ100%(全量)がプラズマに導入されたものと考えられた。
<検証2> 粒径60nmのAuの金属微粒子を用いて分析を行った。この粒径60nmのAuの金属微粒子の1個の信号強度は、385カウントであった。粒径60nmのAuの金属微粒子の1個の容積は1.13E−16cmであり、Auの密度は19.32g/cmであるので、その重量は2,183.16agとなる。これを385カウントで減算すると、5.67ag/countとなる。つまり、粒径60nmのAuの金属微粒子の1個の信号強度から求められる感度値は、5.67ag/countに相当する。
検証1と同様な条件で、Auを10ppb含む標準溶液を用い、この標準溶液を標準溶液用ネブライザーに、1μL/minの流量で直接吸引させ、検出された信号強度を調べた。その結果、検出器から得られた信号強度は、1秒間当たり29,159カウントであった(29,159counts/sec)。この結果よりAuを含む標準溶液の標準溶液感度値は、5.72ag/countsであった。上記したAuの金属微粒子より得られた感度値と標準溶液感度値とを比較した結果(5.67/5.72=0.992(99.2%))、標準溶液用ネブライザーに直接供給した標準溶液のほぼ100%(全量)がプラズマに導入されたものと考えられた。
<検証3> 標準溶液の導入量を変化させた場合、その信号強度の変化について調べた。まず、バナジウム(V)とニッケル(Ni)と鉛(pb)とウラン(U)の4種類の金属を混合して含む標準溶液を用い、標準溶液用ネブライザーへの導入量を0、1、2.5、5.0、7.5、10μL/minとした時の信号強度について調べた。図3にその結果を示す。図3に示すように、1〜5μL/minの流量であれば信号強度は直線的に増加することが判った。
図4には、内標準としての金属元素Mo、Wを用いて、標準溶液の導入量を変化させた際の信号強度を調べた結果を示す。これら金属元素は、Mo(CO)とW(CO)のカルボニル化合物を用いて行った。これら化合物は常温で昇華して、一定のガス蒸気を発生する。図5に、内標準としてのMoとWを分析した際の誘導結合プラズマ質量分析装置の概略図を示す。ICP−MS本体1のトーチ部104から検出部107までと、標準溶液導入装置2ついては、図2と同様である。図2と異なるのは、試料溶液用スプレーチャンバーの所に、ガス置換器301が配置されている。このガス置換器301は、測定対象を含む試料ガスのガス成分をアルゴンガスに置換するものである。また、このガス置換器301(ガス置換器301に向かう矢印は試料ガスの導入を示している)とトーチ部104とを接続する流路110には、金属標準ガス発生器302の金属標準ガス導入路303が接続されている。金属標準ガス発生器302にはアルゴンガスが導入(金属標準ガス発生器302に向かう矢印はアルゴンガスの導入を示している)されており、この金属標準ガス発生器302にMo(CO)とW(CO)のカルボニル化合物が投入される。
図5に示す装置により、標準溶液を導入しながら、0.2L/minの一定流量のアルゴンガスともに昇華したMoとWを、金属標準ガス導入路303によりトーチ部104に導入した。標準溶液の導入量は0、1、2.5、5.0、7.5、10μL/minとし、その際のMoとWに関する信号強度について調べた。この時に、ガス置換器301からはアルゴンガスが流出(流量0.8mL/min)される状態とした。
図4に示すように、内標準としてのMo、Wの信号強度は標準溶液の導入量が多くなると、低下していく傾向が確認された。この内標準の信号強度は、ICP−MS本体の感度に相応するもので、ICP−MS本体の感度が変化しなければ、内標準としてのMo、Wが一定流量で導入されている場合、その信号強度は一定になる。しかし、図4のように標準溶液の導入量が多くなると、内標準としてのMo、Wの信号強度は低下する傾向となっているので、ICP−MS本体の感度は標準溶液の導入量が多いと低下する傾向となることを示している。そのため、レーザーアブレーション器やガス置換器を用いて行う試料ガスを分析する場合、標準溶液の導入量をできるだけ少なく制御することが、ICP−MSを高感度に維持できることが判った。
また、加えて、他の金属元素として鉄(Fe)と銅(Cu)と亜鉛(Zn)の3種類の金属が混合して含む標準溶液を用い、標準溶液用ネブライザーへの導入量を3.0μL/min以下の時の信号強度を調べた。その結果を図6に示す。図6は、3種類の金属の結果を並列して示しており、各グラフの縦軸は信号強度(カウント)で横軸は導入量である。3種類の金属において、3.0μL/min以下の流量であれば、信号強度は直線的に増加することが判った。この結果より、3μL/min以下の流量で標準溶液を標準溶液用ネブライザーに直接供給すると、標準溶液用ネブライザーに直接供給した標準溶液のほぼ100%(全量)がプラズマに導入されたものと考えられた。尚、3μL/minの流量を超えてくると信号強度が下がる傾向が見られ、標準溶液が標準溶液用スプレーチャンバー内でトラップされ始める現象も認められた。
<検証4> 3本の同タイプのネブライザーを標準溶液用ネブライザーとして用い、その信号強度を比較した。標準溶液として、バナジウム(V)と鉛(Pb)とウラン(U)の3種類の金属を混合して含む標準溶液を用いた。条件としては、3種類の金属の混合濃度10ng/mLの標準溶液を、1μL/minの流量で標準溶液用ネブライザーから導入した。その他は検証3の標準溶液の場合と同様である。
また、内標準の金属元素としてCr,Mo、Wの3種類を用いた場合についても合わせて調べた。内標準の3種類の金属は、カルボニル化合物を用い、検証3の図5で説明した方法により導入させた。標準溶液を導入しながら、0.2L/minの流量のアルゴンガスともに昇華したCr、Mo、Wを、金属標準ガス導入路303によりトーチ部104に導入した。この時に、ガス置換器301からはアルゴンガスが流出(流量0.8mL/min)する状態とした。
3本の同タイプのネブライザーを標準溶液用ネブライザーとして使用した際の各金属元素の信号強度を調べた結果を表1に示す。
Figure 2020027345
表1で示す標準溶液のV、Pb、Uの結果が、同タイプの3本のネブライザーを交換した時の安定性を示し、内標準としてのCr、Mo、Wの結果がICP-MS本体の安定性を示すものとなる。
表1に示す各元素の信号強度における相対標準偏差により、ICP−MS本体の安定性を考慮して、標準溶液の相対標準偏差から内標準の相対標準偏差を差し引いた場合、約1%未満の相対標準偏差値となった。この約1%未満の相対標準偏差は、3本の同タイプのネブライザーを交換した際の安定性を示すことになる。通常のICP-MSによる分析において、ネブライザーへの一般的な溶液導入量は200μL/minであり、このレベルの溶液導入量でネブライザーを変更した場合、同タイプのネブライザーであっても、信号強度は大きく変化し、20%程度の相対標準偏差となる。しかしながら、1μL/minの流量で標準溶液を標準溶液用ネブライザーに導入した場合、同タイプの3本のネブライザーに交換しても、その信号強度にはほとんど変化がないことが判明した。このことから、1μL/minの流量で標準溶液を標準溶液用ネブライザーに直接供給すると、標準溶液用ネブライザーに直接供給した標準溶液のほぼ100%(全量)がプラズマに導入されたものと考えられた。
以上の4つの検証結果より、3μL/min以下の流量で標準溶液を標準溶液用ネブライザーに直接供給すると、供給した標準溶液のほぼ100%(全量)をプラズマに導入できるものと判断した。
次に、金属微粒子の粒径を測定する方法、および試料溶液の金属微粒子数及び濃度を測定する方法について説明する。検証1で示したように、Auを10ppb含む標準溶液を用いた場合、この標準溶液を標準溶液用ネブライザーに、1μL/minの流量で直接吸引させ、検出された信号強度より、標準溶液信号強度1カウント当たりの特定元素重量である標準溶液感度値は167,000/29,159=5.72ag/countsとなる。
次に、粒径未知のAu金属微粒子が含まれている試料溶液を試料用貯蔵部に投入し、この試料溶液を試料用溶液用ネブライザーに、60μL/min(1μl/sec)の流量で1分間吸引させ、検出された信号強度を調べた。この試料溶液の分析を行う際、標準溶液導入装置では、標準溶液用ネブライザーに1μL/minの流量で純水を供給した。また、標準溶液用ネブライザーと試料溶液用ネブライザーとにはアルゴン(Ar)ガスを供給した。
この試料溶液により得られた検出結果より、試料溶液中のAuの金属微粒子の1個当たりの信号強度が381カウント(counts)であった。この場合、5.72×381=2,183.9agが検出されたAuの金属微粒子1個分の総重量となるので、この総重量をAuの密度(19.32g/cm)を用いて容積を計算し、それから粒径を算出すると60nmの金属微粒子であることが判った(2,183.9/19.32=1.13E−16cmの容積が算出され、球容積=4πr/3の式より粒径を算出)。尚、本発明における特定元素の物理量とは、特定元素の原子量、特定元素の密度を含むものである。
また、検出器では、1個のAuの金属微粒子が検出される場合、金属微粒子を構成する金属元素のイオンに相当する信号強度がピークとして出現するため、そのピーク数により、検出器に到達したAuの金属微粒子の個数として測定されるが、1分間に検出器に到達したAuの金属微粒子の個数は1300個であった。また、そのピークの平均信号強度は30カウントであった。
次に、試料溶液用スプレーチャンバーの透過効率の測定について説明する。試料溶液として、Auを1ppb含む試料用標準溶液を用い、この試料用標準溶液を試料溶液用ネブライザーに、60μL/minの流量で吸引させ、検出された信号強度を調べた。この標準溶液の分析を行う際、ICP−MS本体側では、標準溶液用ネブライザーに1μL/minの流量で純水を供給した。また、標準溶液用ネブライザーと試料溶液用ネブライザーとにはアルゴン(Ar)ガスを供給した。試料用標準溶液の流量は、空気注入弁から溶液中に気泡を通過させ、その気泡を2つの光センサーで感知し、二点間の移動速度を計算して計測される。
この試料用標準溶液により、1秒間に20,000カウントの信号強度を検出した。試料溶液用ネブライザーへの導入量は、1pg/sec=1,000fg/sec=1,000,000ag/secである。
試料用標準溶液信号強度1カウント当たりの特定元素重量である試料導入部感度値は、50ag/countとなる。そして、検証1で示したように、標準溶液感度値を試料導入部感度値で割る(5.72/50=0.114と試料溶液用スプレーチャンバーの透過効率(11.4%)が得られる。
試料溶液中のAuの金属微粒子の粒子数は、試料溶液用スプレーチャンバーの透過効率を考慮することにより計算できる。上述したように。Auの金属微粒子を含む試料溶液の分析より、1分間に1300個のAuの金属微粒子が検出されたので、60μLの試料溶液には1,300/0.114=11,403(個)が含まれることが判る。
試料溶液により得られた1,300個の粒子の平均信号強度30カウントにおいて、1分間当たりのAuの金属微粒子信号強度の総積算値は1,300x30=39,000countとなり、Auの総重量としては、5.72×39,000=223,080agになる。スプレーチャンバーの透過効率を考慮すると、試料溶液中のAuの総重量は223,080/0.114=1,956,842agとなる。このAuの総重量が60μLの容量に含まれているので、試料溶液のAuの金属微粒子濃度は、1,956,842/60=32,614ag/μL=32.6fg/μL=0.032pg/μL(ppb)が得られる。
以上が溶液系の試料を分析する場合であるが、気体中に含まれる金属微粒子を分析する場合は、測定対象の固体試料にレーザ光を照射して試料を蒸発、微粒化するレーザーアブレーション器、または測定対象を含む試料ガスのガス成分をアルゴンガスに置換するガス置換器が用いられる。この気体に含まれる金属微粒子を分析する場合、レーザーアブレーション器またはガス置換器のいずれかにより生成した試料ガスをトーチ部に直接導入することで行われる。このような試料ガスの分析の場合、溶液系のようなネブライザーやスプレーチャンバーを用いないため、トーチ部に供給する試料ガスのほぼ100%(全量)がプラズマに導入されることになる。試料ガスの分析の場合は、図5に示した装置概略図となる。図5にはガス置換器を配置した場合であるが、このガス置換器の所に、レーザーアブレーション器を配置することで固定試料の分析を行うことができる。図5に示す装置を用いて標準溶液の分析を行うだけで、試料ガスに含まれる金属微粒子の粒径を算出することができる。尚、標準溶液を分析する場合、ICP−MS本体側には試料ガスの代わりにアルゴンガスを用いる。
また、試料ガスにおける特定元素の金属微粒子の粒子数は、試料ガスによる検出結果からそのピーク数を計測することによりわかる。また、試料ガスにおける特定元素の金属微粒子の濃度については、試料ガスの導入により検出器から得られた特定元素金属微粒子信号強度の総積算値と試料ガスの導入量とから算出することができる。
本発明は、標準となる金属微粒子を要することなく、試料中に含まれる金属微粒子の粒径を測定でき、試料中に含まれる金属微粒子数や金属微粒子濃度を分析することができる。そのため、大気中の金属微粒子の連続リアルタイムモニタリング、大気中および排ガス中の水銀(Hg)分析、たばこ煙中の金属成分分析、半導体製造で用いられる各種ガス中の微量金属不純物分析などの様々な分析を、ICP−MSにより迅速、かつ効率よく行うことが可能となる。
1 ICP−MS(本体)
101 試料貯蔵部
102 試料溶液用ネブライザー
103 試料溶液用スプレーチャンバー
104 トーチ部
105 インターフェース部
106 質量分析部
107 検出器
108 光センサー
109 空気注入弁
110 流路
2 標準溶液導入装置
201 標準溶液貯蔵容器
202 シリンジポンプ
203 標準溶液用ネブライザー
204 標準溶液用スプレーチャンバー
205 廃棄容器
206 標準溶液導入路
301 ガス置換器
302 金属標準ガス発生装置
303 金属標準ガス導入路

Claims (4)

  1. 測定対象となる試料溶液を貯蔵する試料貯蔵部と、試料用ネブライザーと試料用スプレーチャンバーとを有する試料導入部と、プラズマを形成して試料をイオン化するトーチ部と、イオンをプラズマから取り入れるためのインターフェース部と、イオンを分離する質量分析部と、分離したイオンを検出する検出部とを備える誘導結合プラズマ質量分析装置を用いた、液体中の金属微粒子の分析方法であって、
    当該誘導結合プラズマ質量分析装置に、
    既知濃度の特定元素を含む標準溶液を貯蔵する標準溶液貯蔵手段と、標準溶液を吸引および吐出するシリンジポンプと、標準溶液が供給される標準溶液用ネブライザーと標準溶液用スプレーチャンバーとを有する溶液導入手段と、から構成された標準溶液導入装置を設け、
    試料導入部とトーチ部とを接続する流路に、標準溶液用スプレーチャンバーから流出する標準溶液を導入させるための標準溶液導入路を接続し、
    3μL/min以下の流量で標準溶液を標準溶液用ネブライザーに直接供給することにより、溶液導入手段からトーチ部に標準溶液を導入して、検出器より得られた標準溶液信号強度と導入した特定元素の物理量に基づき、標準溶液信号強度1カウント当たりの特定元素重量である標準溶液感度値を求め、
    試料溶液の導入により検出器から得られる、特定元素による1個の金属微粒子の試料溶液信号カウント数と、前記標準溶液感度値とから、特定元素による金属微粒子の粒径値を算出することを特徴とする、液体中の金属微粒子の分析方法。
  2. 請求項1に記載の液体中の金属微粒子の分析方法における標準溶液感度値を用いるものであり、
    既知濃度の特定元素を含む試料用標準溶液を試料導入部からトーチ部に導入して、検出器より得られた試料用標準溶液信号強度より、試料用標準溶液信号強度1カウント当たりの特定元素重量である試料導入部感度値を算出し、
    前記標準溶液感度値と試料導入部感度値とから試料用スプレーチャンバーの透過効率を算出し、
    測定対象である試料溶液を試料導入部からトーチ部に一定時間導入して検出器により得られる特定元素の金属微粒子数と、試料用スプレーチャンバーの透過効率とから、試料溶液に含まれる特定元素の金属微粒子数を算出し、試料溶液の導入により検出器から得られた特定元素の金属微粒子信号強度の総積算値と標準溶液感度値と、スプレーチャンバーの透過効率とから、試料溶液に含まれる特定元素の金属微粒子総重量を算出し、
    試料貯蔵部と試料導入部との間に設けた流量検出手段から得られる試料溶液の導入量と、算出された特定元素の金属微粒子総重量とから、試料溶液の金属微粒子濃度を算出する、ことを特徴とする金属微粒子数および金属微粒子濃度の誘導結合プラズマ質量分析方法。
  3. 測定対象の固体試料にレーザ光を照射して試料を蒸発、微粒化するレーザーアブレーション器、または測定対象を含む試料ガスのガス成分をアルゴンガスに置換するガス置換器のいずれかにより生成した試料ガスを導入するガス化試料導入部と、
    プラズマを形成して試料をイオン化するトーチ部と、イオンをプラズマから取り入れるためのインターフェース部と、イオンを分離する質量分析部と、分離したイオンを検出する検出部とを備える誘導結合プラズマ質量分析装置を用いた、気体中の金属微粒子の分析方法であって、
    当該誘導結合プラズマ質量分析装置に、既知濃度の特定元素を含む標準溶液を貯蔵する貯蔵手段と、標準溶液を吸引および吐出するシリンジポンプと、標準溶液が供給される標準溶液用ネブライザーと標準溶液用ネブライザーが組み合わされた標準溶液用スプレーチャンバーとを有する溶液導入手段と、から構成された標準溶液導入装置を設け、
    ガス化試料導入部とトーチ部とを接続する流路に、標準溶液用スプレーチャンバーから流出する標準溶液を導入させるための標準溶液導入路を接続し、
    3μL/min以下の流量で標準溶液を標準溶液用ネブライザーに直接供給することにより、溶液導入手段からトーチ部に標準溶液を導入して、検出器より得られた標準溶液信号強度と導入した特定元素の物理量に基づき、標準溶液信号強度1カウント当たりの特定元素重量である標準溶液感度値を求め、
    試料ガスの導入により検出器から得られる、特定元素による1個の金属微粒子の信号強度カウント数と、前記標準溶液感度値とから、特定元素による金属微粒子の粒径値を算出することを特徴とする、気体中の金属微粒子の分析方法。
  4. 請求項3に記載の気体中の金属微粒子の分析方法における標準溶液感度値を用いるものであり、
    測定対象である試料ガスを試料導入部からトーチ部に一定時間導入して検出器により得られる特定元素の金属微粒子数を測定し、
    試料ガスの導入により検出器から得られた特定元素の金属微粒子信号強度の総積算値と標準溶液感度値および試料ガスの導入量から、試料ガスの金属微粒子濃度を算出する、ことを特徴とする金属微粒子数および金属微粒子濃度の誘導結合プラズマ質量分析方法。

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