JP2011169884A - 微粒子分析装置および微粒子分析方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】大気等の雰囲気ガス中の浮遊微粒子を構成する元素の定性および定量分析を高精度かつ短時間で連続的に行うことができる微粒子分析装置を提供する。
【解決手段】雰囲気ガス中に浮遊する微粒子を雰囲気ガスと共にサンプリングするサンプリング手段と、サンプリングした微粒子に対してレーザー光を照射し、レーザー光を照射した際に生じる散乱光の強度に基づきサンプリングした微粒子の総質量濃度を測定する微粒子総質量濃度測定手段と、微粒子総質量濃度測定手段で総質量濃度を測定した微粒子を大気圧励起源でイオン化し、微粒子を構成する元素を定性すると共に、該元素を微粒子総質量濃度測定手段で測定した総質量濃度に基づき定量分析する質量分析手段とを備え、質量分析手段が、微粒子をイオン化した際の微粒子を構成する各元素のイオン強度を検出するイオン強度検出手段と、微粒子を構成する各元素の量を算出する演算手段とを備えることを特徴とする微粒子分析装置である。
【選択図】図1

Description

本発明は、大気等の雰囲気ガス中に浮遊している微粒子を分析する装置および方法に関し、特には、雰囲気ガス中の浮遊微粒子を構成する元素を定性および定量分析(元素分析)することが可能な微粒子分析装置並びに微粒子分析方法に関するものである。
近年、環境問題に対する関心の高まりから、大気中に浮遊している微粒子(浮遊微粒子)に対して環境基準や環境目標値が設定される傾向がある。そのため、大気中の浮遊微粒子を分析する方法が注目されている。
ここで、一般に、大気中に浮遊している微粒子の総量(総質量濃度)を測定する方法としては、微粒子にレーザー光を照射した際の散乱光の強度を測定することで浮遊微粒子の総質量濃度を求める光散乱法や、フィルタ上に捕集した微粒子に対してβ線を照射し、微粒子の捕集前後のβ線強度の減衰率から浮遊微粒子の総質量濃度を求めるβ線吸収法が知られている。
しかし、上記光散乱法およびβ線吸収法では、浮遊微粒子の総質量濃度を求めることはできるものの、浮遊微粒子を構成する元素を元素毎に定量分析する(即ち、浮遊微粒子を元素分析する)ことはできなった。そのため、光散乱法やβ線吸収法を用いた浮遊微粒子の分析では、浮遊微粒子を構成する元素の種類および量を求め、その分析結果から微粒子の発生源を推定または特定するということができなかった。
一方、浮遊微粒子を元素分析することができる方法としては、回分的な元素分析方法と、連続的な元素分析方法とが知られている。具体的には、浮遊微粒子の元素分析を回分的に行う方法としては、フィルタ上に浮遊微粒子を捕集し、該フィルタ上に捕集された微粒子を、走査型電子顕微鏡(SEM)法、電子線マイクロアナリシス(EPMA)法、レーザー発光分光分析法または二次イオン質量分析法などの機器分析法、或いは、化学的な処理を用いた化学分析法により分析する方法が知られている。また、浮遊微粒子の元素分析を連続的に行う方法としては、高周波誘導結合プラズマ(ICP)質量分析装置や飛行時間型質量分析装置(TOF−MS)へ浮遊微粒子を連続的に導入して分析する方法が知られている。
しかし、浮遊微粒子の元素分析を回分的に行う方法には、フィルタ上に浮遊微粒子を捕集した後に分析を行うため分析に時間がかかるという問題点があった。また、浮遊微粒子の元素分析を回分的に行う方法のうち、機器分析法には、分析対象となる微粒子がフィルタ上に捕集された微粒子の一部に限定されるため、浮遊微粒子全体に対して正確な元素分析を行うことができないという問題があった。一方、浮遊微粒子の元素分析を連続的に行う方法には、浮遊微粒子全体に対して短時間で元素分析を行うことができるものの、浮遊微粒子の導入効率や、浮遊微粒子の励起効率またはイオン化効率が安定せず(誤差要因が大きく)、分析値が安定しないため、浮遊微粒子の定性分析や浮遊微粒子を構成する元素の量の相対的な比較を短時間で行うことはできても、浮遊微粒子を構成する元素の正確な定量分析を行うことができないという問題があった。また、特に、浮遊微粒子をイオン化して飛行時間型質量分析装置で分析する方法には、浮遊微粒子の真空中でのイオン化時に微粒子が揮散して正確な定量分析を行うことができないという問題もあった。
そこで、高周波誘導結合プラズマ質量分析装置または飛行時間型質量分析装置へ導入される浮遊微粒子のうち一部を計数計に分配導入して、質量分析装置へ導入される浮遊微粒子の粒子数を測定することにより、計数計で測定された浮遊微粒子の絶対量に基づき、質量分析装置で浮遊微粒子を構成する元素の正確な定量分析を連続的に短時間で行う方法が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。
しかし、計数計を用いて浮遊微粒子の絶対量に基づき元素の定量分析を行う上記方法では、サンプリングした浮遊微粒子の一部を計数計に分配導入して浮遊微粒子の絶対量を求めており、計数計と質量分析装置とで同一の粒子を測定していないので、特に流入する微粒子の量が経時変化するような場合には、分析結果に大きな誤差が生じる恐れがあり、高精度で元素分析を行うことができなかった。また、上記方法には、計数計(例えばファラデーカップ)に複数の粒子が同時に導入された場合に、該複数の粒子を単一の粒子として分析してしまい、分析結果に大きな誤差が生じる恐れもあった。
特開平10−288601号公報 特開平10−288602号公報
そのため、大気等の雰囲気ガス中の浮遊微粒子を構成する元素の定性および定量分析(浮遊微粒子の元素分析)を高精度かつ短時間で連続的に行うことができる微粒子分析装置並びに微粒子分析方法を開発することが求められていた。
この発明は、上記課題を有利に解決することを目的とするものであり、本発明の微粒子分析装置は、雰囲気ガス中に浮遊する微粒子を雰囲気ガスと共にサンプリングするサンプリング手段と、前記サンプリング手段でサンプリングした微粒子に対してレーザー光を照射し、該レーザー光を照射した際に生じる散乱光の強度に基づきサンプリングした微粒子の総質量濃度を測定する微粒子総質量濃度測定手段と、前記微粒子総質量濃度測定手段で総質量濃度を測定した微粒子を大気圧励起源でイオン化し、微粒子を構成する元素を定性すると共に、該元素を前記微粒子総質量濃度測定手段で測定した総質量濃度に基づき定量分析する質量分析手段と、前記サンプリング手段と前記質量分析手段との間に設けられて、前記雰囲気ガスを不活性ガスに置換する不活性ガス置換手段とを備え、前記質量分析手段が、微粒子をイオン化した際の微粒子を構成する各元素のイオン強度を検出するイオン強度検出手段と、微粒子を構成する各元素について、前記微粒子総質量濃度測定手段で測定した微粒子の総質量濃度A、前記イオン強度検出手段で検出した任意の元素Xのイオン強度I、該元素Xの予め定められた感度係数aおよび微粒子を構成する各元素のイオン強度Iと感度係数aとの積の和Σ(I×a)を用いて微粒子を構成する元素Xの量C=A×I×a/Σ(I×a)を算出する演算手段とを備えることを特徴とする。
ここで、本発明の微粒子分析装置は、前記大気圧励起源がマイクロ波誘導プラズマ(MIP)であることが好ましい。
更に、本発明の微粒子分析装置は、前記サンプリング手段が、微粒子を分級してサンプリングするための分級手段を備えることが好ましい。
また、本発明の微粒子分析装置は、前記不活性ガス置換手段と前記質量分析手段との間に設けられ、不活性ガス置換手段で得た前記微粒子と前記不活性ガスとの混合物に対して標準ガス成分を含む標準ガスを供給する標準ガス供給手段を更に備え、前記質量分析手段が、前記微粒子および前記標準ガス成分を大気圧励起源でイオン化し、前記イオン強度検出手段が、前記微粒子を構成する各元素および標準ガス成分のイオン強度を検出し、前記演算手段が、前記微粒子総質量濃度測定手段で測定した微粒子の総質量濃度A、前記イオン強度検出手段で検出した前記標準ガス成分のイオン強度Iに対する任意の元素Xのイオン強度Iの比I/I、該元素Xの予め定められた感度係数a、並びに、前記標準ガス成分のイオン強度Iに対する微粒子を構成する各元素のイオン強度Iの比I/Iと感度係数aとの積の和Σ{(I/I)×a}を用いて微粒子を構成する元素Xの量C=A×(I/I)×a/Σ{(I/I)×a}を算出することが好ましい。
更に、本発明の微粒子分析装置は、前記不活性ガス置換手段よりも上流側に設けられ、不活性ガス置換手段へバックグラウンド雰囲気を前記サンプリング手段でサンプリングした微粒子と切り替え可能に供給するバックグラウンド雰囲気供給手段を更に備え、バックグランド雰囲気を供給した際には、前記不活性ガス置換手段が、バックグラウンド雰囲気中のバックグラウンドガスを不活性ガスに置換し、前記質量分析手段が、前記バックグラウンド雰囲気中に含まれているバックグラウンド微粒子を大気圧励起源でイオン化し、前記イオン強度検出手段が、前記バックグラウンド微粒子を構成する各元素のイオン強度を検出し、そして、前記演算手段が、前記微粒子総質量濃度測定手段で測定した微粒子の総質量濃度A、前記イオン強度検出手段で検出した前記微粒子中の任意の元素Xのイオン強度Iと前記バックグラウンド微粒子中の任意の元素Xのイオン強度Ibとの差I−Ib、該元素Xの予め定められた感度係数a、並びに、前記微粒子を構成する各元素のイオン強度Iと前記バックグラウンド微粒子を構成する各元素のイオン強度Ibとの差I−Ibと、感度係数aとの積の和Σ{(I−Ib)×a}を用いて微粒子を構成する元素Xの量C=A×(I−Ib)×a/Σ{(I−Ib)×a}を算出することが好ましい。
また、本発明の微粒子分析装置は、前記不活性ガス置換手段よりも上流側に設けられ、不活性ガス置換手段へバックグラウンド雰囲気を前記サンプリング手段でサンプリングした微粒子と切り替え可能に供給するバックグラウンド雰囲気供給手段を備え、バックグランド雰囲気を供給した際には、前記不活性ガス置換手段が、バックグラウンド雰囲気中のバックグラウンドガスを不活性ガスに置換し、前記不活性ガス置換手段と前記質量分析手段との間に設けられ、不活性ガス置換手段で得た前記微粒子と前記不活性ガスとの混合物、或いは、前記バックグラウンド雰囲気中に含まれているバックグラウンド微粒子と前記不活性ガスとの混合物に対して標準ガス成分を含む標準ガスを供給する標準ガス供給手段を更に備え、前記質量分析手段が、前記微粒子および前記標準ガス成分、或いは、前記バックグラウンド微粒子および前記標準ガス成分を大気圧励起源でイオン化し、前記イオン強度検出手段が、前記微粒子を構成する各元素および標準ガス成分のイオン強度、或いは、前記バックグラウンド微粒子を構成する各元素および標準ガス成分のイオン強度を検出し、そして、前記演算手段が、前記微粒子総質量濃度測定手段で測定した微粒子の総質量濃度A、前記イオン強度検出手段で検出した前記微粒子中の任意の元素Xのイオン強度I、前記バックグラウンド微粒子中の任意の元素Xのイオン強度Ib、該元素Xの予め定められた感度係数a、前記微粒子と前記不活性ガスとの混合物に供給した前記標準ガス成分のイオン強度I、前記バックグラウンド微粒子と前記不活性ガスとの混合物に供給した前記標準ガス成分のイオン強度Ib、並びに、前記微粒子と不活性ガスとの混合物に供給した標準ガス成分のイオン強度Iに対する微粒子を構成する各元素のイオン強度Iの比I/Iと前記バックグラウンド微粒子と不活性ガスとの混合物に供給した標準ガス成分のイオン強度Ibに対する前記バックグラウンド微粒子を構成する各元素のイオン強度Ibの比Ib/Ibとの差I/I−Ib/Ibと、感度係数aとの積の和Σ{(I/I−Ib/Ib)×a}を用いて微粒子を構成する元素Xの量C=A×(I/I−Ib/Ib)×a/Σ{(I/I−Ib/Ib)×a}を算出することが好ましい。
また、本発明の微粒子分析方法は、雰囲気ガス中に浮遊する微粒子を雰囲気ガスと共にサンプリングするサンプリング工程と、前記サンプリング工程でサンプリングした微粒子に対してレーザー光を照射し、該レーザー光を照射した際に生じる散乱光の強度に基づきサンプリングした微粒子の総質量濃度を測定する微粒子総質量濃度測定工程と、前記微粒子総質量濃度測定工程で総質量濃度を測定した微粒子を大気圧励起源でイオン化し、微粒子を構成する元素を定性すると共に、該元素を前記微粒子総質量濃度測定工程で測定した総質量濃度に基づき定量分析する質量分析工程と、前記サンプリング工程と前記質量分析工程との間で、前記雰囲気ガスを不活性ガスに置換する不活性ガス置換工程とを含み、前記質量分析工程が、微粒子をイオン化した際の微粒子を構成する各元素のイオン強度を検出するイオン強度検出工程と、微粒子を構成する各元素について、前記微粒子総質量濃度測定工程で測定した微粒子の総質量濃度A、前記イオン強度検出工程で検出した任意の元素Xのイオン強度I、該元素Xの予め定められた感度係数aおよび微粒子を構成する各元素のイオン強度Iと感度係数aとの積の和Σ(I×a)を用いて微粒子を構成する元素Xの量C=A×I×a/Σ(I×a)を算出する演算工程とを更に含むことを特徴とする。
ここで、本発明の微粒子分析方法は、前記大気圧励起源がマイクロ波誘導プラズマであることが好ましい。
更に、本発明の微粒子分析方法は、前記サンプリング工程が、微粒子を分級してサンプリングするための分級工程を含むことが好ましい。
また、本発明の微粒子分析方法は、前記不活性ガス置換工程と前記質量分析工程との間に設けられ、不活性ガス置換工程で得た前記微粒子と前記不活性ガスとの混合物に対して標準ガス成分を含む標準ガスを供給する標準ガス供給工程を更に備え、前記質量分析工程で、前記微粒子および前記標準ガス成分を大気圧励起源でイオン化し、前記イオン強度検出工程で、前記微粒子を構成する各元素および標準ガス成分のイオン強度を検出し、前記演算工程で、前記微粒子総質量濃度測定工程で測定した微粒子の総質量濃度A、前記イオン強度検出工程で検出した前記標準ガス成分のイオン強度Iに対する任意の元素Xのイオン強度Iの比I/I、該元素Xの予め定められた感度係数a、並びに、前記標準ガス成分のイオン強度Iに対する微粒子を構成する各元素のイオン強度Iの比I/Iと感度係数aとの積の和Σ{(I/I)×a}を用いて微粒子を構成する元素Xの量C=A×(I/I)×a/Σ{(I/I)×a}を算出することが好ましい。
更に、本発明の微粒子分析方法は、バックグラウンド雰囲気をサンプリングするバックグラウンド雰囲気サンプリング工程と、前記バックグラウンド雰囲気中のバックグラウンドガスを不活性ガスに置換するバックグラウンド用不活性ガス置換工程と、前記バックグラウンド用不活性ガス置換工程の後で、前記バックグラウンド雰囲気中に含まれているバックグラウンド微粒子を大気圧励起源でイオン化し、該バックグラウンド微粒子を構成する各元素のイオン強度を検出するバックグラウンド用イオン強度検出工程とを更に含み、前記演算工程で、前記微粒子総質量濃度測定工程で測定した微粒子の総質量濃度A、前記イオン強度検出工程で検出した前記微粒子中の任意の元素Xのイオン強度Iと前記バックグラウンド用イオン強度検出工程で検出した前記バックグラウンド微粒子中の任意の元素Xのイオン強度Ibとの差I−Ib、該元素Xの予め定められた感度係数a、並びに、前記微粒子を構成する各元素のイオン強度Iと前記バックグラウンド微粒子を構成する各元素のイオン強度Ibとの差I−Ibと、感度係数aとの積の和Σ{(I−Ib)×a}を用いて微粒子を構成する元素Xの量C=A×(I−Ib)×a/Σ{(I−Ib)×a}を算出することが好ましい。
また、本発明の微粒子分析方法は、前記不活性ガス置換工程と前記質量分析工程との間に設けられ、不活性ガス置換工程で得た前記微粒子と前記不活性ガスとの混合物に対して標準ガス成分を含む標準ガスを供給する標準ガス供給工程と、バックグラウンド雰囲気をサンプリングするバックグラウンド雰囲気サンプリング工程と、前記バックグラウンド雰囲気中のバックグラウンドガスを不活性ガスに置換するバックグラウンド用不活性ガス置換工程と、前記バックグラウンド用不活性ガス置換工程で得たバックグラウンド微粒子と前記不活性ガスとの混合物に対して標準ガス成分を含む標準ガスを供給するバックグラウンド用標準ガス供給工程と、前記バックグラウンド用標準ガス供給工程の後で、前記バックグラウンド雰囲気中に含まれているバックグラウンド微粒子および標準ガス成分を大気圧励起源でイオン化し、該バックグラウンド微粒子を構成する各元素および標準ガス成分のイオン強度を検出するバックグラウンド用イオン強度検出工程とを更に備え、前記質量分析工程で、前記微粒子および前記標準ガス成分を大気圧励起源でイオン化し、前記イオン強度検出工程で、前記微粒子を構成する各元素および標準ガス成分のイオン強度を検出し、そして、前記演算工程で、前記微粒子総質量濃度測定工程で測定した微粒子の総質量濃度A、前記イオン強度検出工程で検出した前記微粒子中の任意の元素Xのイオン強度I、前記バックグラウンド用イオン強度検出工程で検出した前記バックグラウンド微粒子中の任意の元素Xのイオン強度Ib、該元素Xの予め定められた感度係数a、前記微粒子と前記不活性ガスとの混合物に供給した前記標準ガス成分のイオン強度I、前記バックグラウンド微粒子と前記不活性ガスとの混合物に供給した前記標準ガス成分のイオン強度Ib、並びに、前記微粒子と不活性ガスとの混合物に供給した標準ガス成分のイオン強度Iに対する微粒子を構成する各元素のイオン強度Iの比I/Iと前記バックグラウンド微粒子と不活性ガスとの混合物に供給した標準ガス成分のイオン強度Ibに対する前記バックグラウンド微粒子を構成する各元素のイオン強度Ibの比Ib/Ibとの差I/I−Ib/Ibと、感度係数aとの積の和Σ{(I/I−Ib/Ib)×a}を用いて微粒子を構成する元素Xの量C=A×(I/I−Ib/Ib)×a/Σ{(I/I−Ib/Ib)×a}を算出することが好ましい。
なお、本発明において、「感度係数」とは、イオン化効率の違い等に起因する、イオン強度検出手段またはイオン強度検出工程若しくはバックグラウンド用イオン強度検出工程における元素間の検出感度の違いを補正するための係数を指し、例えば、既知の濃度の標準物質を分析してイオン強度を測定し、測定したイオン強度を比較することにより求めることができる。具体的には、既知の濃度の標準物質を質量分析計で分析した際に得られるイオン強度に対する標準物質の濃度の比、すなわち検量線の勾配を「感度係数」とすることができる。
また、本発明において、「標準ガス」とは、測定対象の微粒子に含まれている元素とは分離測定可能な濃度既知の成分を含むガスを指す。
本発明の微粒子分析装置および微粒子分析方法によれば、大気等の雰囲気ガス中の浮遊微粒子を構成する元素の定性および定量分析(浮遊微粒子の元素分析)を高精度かつ短時間で連続的に行うことができる。
本発明に従う微粒子分析装置の一例の構成を示す説明図である。 本発明に従う微粒子分析装置の他の例の構成を示す説明図である。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。ここに、本発明の微粒子分析装置の一例は、大気中に浮遊している微粒子を構成する元素を定性および定量分析(元素分析)するための微粒子分析装置10である。
ここで、図1に示すように、微粒子分析装置10は、大気中の浮遊微粒子を大気と共にサンプリングするサンプリング手段としてのサンプリング装置1と、サンプリング装置1で浮遊微粒子と共に採取した大気を不活性ガスに置換する不活性ガス置換手段としての不活性ガス置換装置2と、サンプリング装置1でサンプリングした浮遊微粒子の総質量濃度を測定する微粒子総質量濃度測定手段としての光散乱式微粒子量測定装置3と、光散乱式微粒子量測定装置3で総質量濃度を測定した浮遊微粒子を構成する元素を定性すると共に、該元素を定量分析する質量分析手段としての質量分析装置4とを備えている。
サンプリング装置1は、周囲の雰囲気(大気中)から浮遊微粒子および大気を同時に吸引(サンプリング)するためのポンプ11と、ポンプ11でサンプリングした浮遊微粒子および大気が流れる流路を切り替える切替バルブ12と、ポンプ11でサンプリングした浮遊微粒子を分級するための分級器13とを備えている。
ここで、ポンプ11としては、一定の流量で浮遊微粒子および大気(雰囲気ガス)を同時にサンプリングすることができるもの、例えば、流体を用いて作り出した負圧を利用して目的物質を吸引するアスピレータ(水流ポンプ等)を用いることができる。このように、アスピレータなどを用いれば、不純物の混入を防止しつつ、サンプリングした浮遊微粒子を一定の流量、例えば0.5〜2.0L/minで光散乱式微粒子量測定装置3および質量分析装置4へ送ることができる。なお、サンプリングした浮遊微粒子を光散乱式微粒子量測定装置3および質量分析装置4へ送る流量を0.5〜2.0L/minとすれば、質量分析装置4の大気圧励起源を安定して維持することができる。
切替バルブ12としては、既知の二方切替弁を用いることができる。そして、微粒子分析装置10では、この切替バルブ12により、ポンプ11でサンプリングした浮遊微粒子および大気の流路が、光散乱式微粒子量測定装置3および質量分析装置4へと向かう流路と、微粒子分析装置10の外へ排出される流路との何れかに切り替えられる。従って、微粒子分析装置10では、ポンプ11でサンプリングした浮遊微粒子および大気のうち、一定時間採取分のみを、光散乱式微粒子量測定装置3および質量分析装置4で分析することができる。なお、本発明の微粒子分析装置では、浮遊微粒子の連続分析を行う場合には、切替バルブを設けなくても良い。
分級器13としては、ポンプ11でサンプリングした浮遊微粒子および大気の流量を変化させることなく浮遊微粒子を分級することができるもの、例えば、微分型電気移動度分級器(DMA)やロープレッシャーインパクター(LPI)を用いることができる。このように、分級器13で予め分級した浮遊微粒子を、分級後連続して光散乱式微粒子量測定装置3や質量分析装置4で分析すれば、粒度分布が一定の範囲内に収まった浮遊微粒子を分析することができるので、大気中に浮遊する微粒子の粒径範囲が広い場合であっても、高精度な分析を行うことができる。なお、分級器13では、浮遊微粒子を、例えば粒径2.5μm未満の微粒子、粒径2.5〜10μmの微粒子、粒径10μm超の微粒子に分級することができる。また、微粒子分析装置10では、分級器13で分級した微粒子を、各粒径範囲ごとに全て分析しても良いし、分級したうちの一つの粒径範囲、例えば粒径2.5〜10μmの微粒子のみを分析しても良い。
不活性ガス置換装置2としては、浮遊微粒子と共にサンプリングされた大気(窒素ガス、酸素ガスなど)をアルゴンガス、キセノンガス、ネオンガス、ヘリウムガスなどの不活性ガスに置換することができる装置、例えば住友精化製のガス交換システムなどを用いることができる。
光散乱式微粒子量測定装置3としては、サンプリングした浮遊微粒子にレーザー光を照射するためのレーザー光源(図示せず)と、照射したレーザー光が浮遊微粒子により散乱された際の散乱光の強度を測定する散乱光強度測定部(図示せず)とを備える通常の光散乱式微粒子量測定装置を用いることができる。そして、この光散乱式微粒子量測定装置3では、浮遊微粒子にレーザー光を照射した際の散乱光の強度に基づき既知の方法で算出した浮遊微粒子の個数N、浮遊粒子の平均直径Dを用いて、下記の式に従い浮遊微粒子の総質量濃度Aが算出される。
A=KπN(D/4
A:総質量濃度[μg/m]、K:定数[−]、N:浮遊微粒子の個数[個/m]、D:浮遊微粒子の平均直径[μm]、Q:浮遊微粒子の散乱効率[−]
質量分析装置4は、浮遊微粒子をイオン化するための大気圧励起源としてのマイクロ波誘導プラズマ発生器41と、マイクロ波誘導プラズマ発生器41で浮遊微粒子をイオン化した際のイオン化された元素のイオン強度を検出するイオン強度検出手段としてのイオン強度検出器42と、イオン強度検出器42で検出された各元素のイオン強度および光散乱式微粒子量測定装置3で算出された浮遊微粒子の総質量濃度に基づき浮遊微粒子を構成する元素の量を算出する演算手段としての演算器(コンピュータ)43とを備えている。なお、質量分析装置4としては、例えば既知の四重極質量分析装置や、飛行時間質量分析装置に演算器43を組合せたものを用いることもできる。
マイクロ波誘導プラズマ発生器41としては、既知のプラズマ発生器を用いることができる。そして、このマイクロ波誘導プラズマ発生器41では、不活性ガス置換装置2により置換された不活性ガス雰囲気下、浮遊微粒子が安定的にイオン化される。なお、本発明の微粒子分析装置では、大気圧励起源として誘導結合プラズマ(ICP)発生器を用いてもよいが、炭素(C)や酸素(O)などの元素を効率的にイオン化して浮遊微粒子を高精度で分析するという観点からは、特に有機系微粒子の含有比率が高い大気中の浮遊微粒子等を分析する際には、大気圧励起源としてマイクロ波誘導プラズマ発生器41を用いることが好ましい。
イオン強度検出器42としては、既知のイオン検出器を用いることができる。そして、このイオン強度検出器42では、検出されたイオン種から浮遊微粒子を構成する元素が定性されると共に、各イオン種(元素)のイオン強度が測定される。
そして、質量分析装置4の演算器43では、イオン強度検出器42で検出した各イオン種(元素)のイオン強度と、光散乱式微粒子量測定装置3で算出した浮遊微粒子の総質量濃度とを用いて、浮遊微粒子を構成する各元素の量が算出される。具体的には、演算器43では、光散乱式微粒子量測定装置3で算出された浮遊微粒子の総質量濃度A、イオン強度検出器42で定性された任意の元素Xのイオン強度I、元素Xの予め定められた感度係数aおよび浮遊微粒子を構成する各元素のイオン強度Iと感度係数aとの積の和Σ(I×a)を用いて、浮遊微粒子を構成する元素Xの量C=A×I×a/Σ(I×a)を算出することが、イオン強度検出器42で定性された全てのイオン種(元素)に対して行われる。
なお、感度係数a,aは、元素毎に異なるイオン化効率等を補正するためのものであり、例えば既知の量・濃度の標準物質を質量分析装置4で分析してイオン強度を測定し、測定したイオン強度を比較することにより求めることができる。より具体的には、感度係数a,aは、例えば、電子顕微鏡等を用いて予め浮遊粒子を定性分析して浮遊微粒子に含まれている元素を特定し、該浮遊微粒子に含まれている元素の標準物質(濃度既知)を質量分析計で分析した際に得られるイオン強度に対する標準物質の濃度の比(検量線の勾配)を求めることにより、決定することができる。ここで、複数の元素の標準物質を含む標準試料を用いて感度係数a,aを求める場合には、共存元素の影響を抑える観点から、各元素の質量数を質量干渉の無い範囲とすることが好ましい。
ここで、この微粒子分析装置10では、まず、サンプリング装置1のポンプ11で浮遊微粒子が大気と共に吸引され、分級器13で浮遊微粒子が分級される。次に、不活性ガス置換装置2で大気が不活性ガスに置換される。そして、不活性ガス雰囲気下、サンプリングした浮遊微粒子の総質量濃度が光散乱式微粒子量測定装置3で測定され、浮遊微粒子を構成する元素の定性分析や、浮遊微粒子の総質量濃度に基づく浮遊微粒子を構成する元素の定量分析が、質量分析装置4で行われる。
そして、このような微粒子分析装置10によれば、微粒子総質量濃度測定手段としての光散乱式微粒子量測定装置3で総質量濃度を測定した浮遊微粒子を質量分析手段としての質量分析装置4で分析し、浮遊微粒子を構成する元素を光散乱式微粒子量測定装置3で測定した総質量濃度に基づき定量しているので、同一の浮遊微粒子に対して総質量濃度の測定と定量分析とを連続的に行うことができる。従って、ポンプ11で吸引した雰囲気ガス(大気)中の浮遊微粒子の量が経時変化するような場合でも、大きな誤差を生じることなく高精度且つ短時間で浮遊微粒子の元素分析(定性および定量分析)を行うことができる。また、浮遊微粒子を構成する元素の量を、演算手段としての演算器43を用いて、イオン強度検出器42で検出されたイオン強度に感度係数を乗じて算出しているので、元素間で異なるイオン化効率の違いを補正して、より高精度な微粒子の元素分析を行うことができる。更に、質量分析手段としての質量分析装置4で分析を行う前に、不活性ガス置換手段としての不活性ガス置換装置2で雰囲気ガスを不活性ガスに置換しているので、雰囲気ガスが大気等の場合であっても、大気圧励起源としてのマイクロ波誘導プラズマ発生器41でプラズマを安定的に発生させて浮遊微粒子のイオン化を行うことができると共に、大気中に含まれているNやOによりイオン強度検出器42で検出されるイオン強度のバックグラウンドが上昇することがないので、浮遊微粒子を構成する元素を高精度で定量することができる。また、分級手段としての分級器13で浮遊微粒子を分級してサンプリングすれば、粒径が一定の範囲内の分級した浮遊微粒子のみを対象として分析を行うことができるので、大気中に浮遊する浮遊微粒子の粒径範囲が広い場合であっても、浮遊微粒子を安定的にイオン化させることができる。従って、浮遊微粒子を構成する元素を正確に定量することができる。
従って、微粒子分析装置10によれば、雰囲気中の浮遊微粒子の元素分析を高精度で迅速に行うことができるので、該元素分析結果に基づき浮遊微粒子の発生源を推定することもできる。なお、上述した微粒子分析装置10は、大気中の浮遊微粒子の分析に用いたが、本発明の微粒子分析装置は、クリーンルーム中の浮遊微粒子の分析など、任意の雰囲気ガス中の浮遊微粒子の分析に用いることができる。なお、本発明の微粒子分析装置を用いてクリーンルームの雰囲気ガス中の浮遊微粒子を分析すれば、該分析結果に基づいてクリーンルーム中の浮遊微粒子の発生源を特定し、クリーンルームの清浄度を更に高めることができる。
次に、本発明の他の例の微粒子分析装置20について、図2を用いて説明する。この微粒子分析装置20は、大気圧励起源としてのプラズマの変動や、イオン強度検出器の劣化等に起因する装置感度の経時変化(ドリフト)、並びに、バックグラウンドの影響を抑制して、より高精度な分析を可能としたものである。
ここで、この微粒子分析装置20は、サンプリング装置1の前段に、バックグラウンド雰囲気供給手段としての流路切替バルブ5およびバックグラウンド雰囲気源7が設けられており、流路切替バルブ5で流路を切り替えることによりサンプリング装置1が雰囲気ガス(大気)とバックグラウンド雰囲気(バックグランドガスと微量のバックグラウンド微粒子との混合物)とを選択的にサンプリングできる点、並びに、光散乱式微粒子量測定装置3と質量分析装置4との間に、標準ガス供給手段としての混合器6および標準ガス発生器8が設けられており、質量分析装置4で分析されるサンプル(即ち、大気中の浮遊微粒子と不活性ガスとの混合物、或いは、バックグラウンド雰囲気中に含まれているバックグラウンド微粒子と不活性ガスとの混合物)に標準ガスを添加して混合できる点で先の一例の微粒子分析装置10と構成が異なっており、他の点では先の一例の微粒子分析装置10と同様に構成されている。なお、図2中、先の一例の微粒子分析装置10と同様の構成を有する部材には先の一例と同一の符号を付した。
なお、この微粒子分析装置20では、サンプリング装置1でバックグラウンド雰囲気をサンプリングした場合、該バックグラウンド雰囲気は、ポンプ11、切替バルブ12および分級器13を通って不活性ガス置換装置2へと進む。そして、不活性ガス置換装置2では、バックグラウンド雰囲気中のガス(バックグラウンドガス)が不活性ガスに置換される。また、この微粒子分析装置20では、不活性ガス置換装置2を介して得られる、浮遊微粒子と不活性ガスとの混合物、或いは、バックグラウンド微粒子と不活性ガスとの混合物は、光散乱式微粒子量測定装置3を通った後、混合器6において標準ガスと混合されてから、質量分析装置4へと送られる。更に、この微粒子分析装置20では、演算器43において、浮遊微粒子の総質量濃度A、浮遊微粒子中の各元素のイオン強度I,I、バックグラウンド微粒子中の各元素のイオン強度Ib,Ib、各元素の予め定められた感度係数a,a、標準ガス成分のイオン強度I,Ibを用いて浮遊微粒子を構成する各元素の量が算出される。
ここで、流路切替バルブ5としては、サンプリング装置1でサンプリングする雰囲気を、浮遊微粒子および大気からなる大気雰囲気と、バックグラウンド微粒子およびバックグラウンドガスからなるバックグラウンド雰囲気との間で切り替えることができる弁、例えば三方コックなどを用いることができる。
バックグラウンド雰囲気源7は、微粒子分析装置20におけるバックグラウンド測定に用い得る、性状が安定した清浄な雰囲気であるバックグラウンド雰囲気を供給するものである。そして、バックグラウンド雰囲気としては、空気清浄度がクラス1の雰囲気や、クラス100の雰囲気などの微粒子量が少なく且つ性状が安定した雰囲気を用いることができる。また、バックグラウンド雰囲気源としては、クリーンベンチやクリーンルームなどを用いることができる。なお、本発明の微粒子分析装置では、流路切替バルブ5およびバックグラウンド雰囲気源7は、不活性ガス置換装置2よりも上流側であれば、例えばサンプリング装置1と不活性ガス置換装置2との間に設けても良い。
混合器6は、浮遊微粒子と不活性ガスとの混合物、或いは、バックグラウンド微粒子と不活性ガスとの混合物と、標準ガス発生器8から供給された標準ガスとを均一に混合するものである。
標準ガス発生器8は、浮遊微粒子に含まれている元素とは分離測定可能な濃度既知の成分(標準ガス成分)を含むガスである標準ガスを発生させるものである。そして、標準ガス発生器8としては、標準ガスを一定量で連続的に発生させることができる装置、例えば、標準ガスボンベや、特許第3672267号明細書に記載されているような、金属化合物を封入するためのセルと、セルを加熱するための加熱装置と、金属化合物に対して不活性な気体を流すための流路と、セルと流路とを接続するための連通管とを備え、連通管は、流路の流入口と流出口との間に接続している標準ガス調製装置を用いることができる。なお、大気中の浮遊微粒子を分析する際の標準ガス成分としては、例えば常温で昇華性の高い、クロム(Cr)、モリブデン(Mo)またはタングステン(W)のヘキサカルボニル化合物等から発生させたCr、MoまたはWなどを用いることができる。
そして、この微粒子分析装置20では、まず、サンプリング装置1で浮遊微粒子を大気と共にサンプリングし、不活性ガス置換装置2で大気を不活性ガスに置換した後に、光散乱式粒子量測定装置3で浮遊微粒子の総質量濃度Aを算出する。更に、混合器6において、光散乱式微粒子量測定装置3で総質量濃度Aを測定した浮遊微粒子と不活性ガスとの混合物に対し、標準ガス発生器8から所定量の標準ガスを供給し、混合した後に、浮遊微粒子と標準ガス成分とを質量分析装置4のマイクロ波誘導プラズマ発生器41でイオン化し、浮遊微粒子を構成する各元素のイオン強度I,Iおよび標準ガス成分のイオン強度Iをイオン強度検出器42で検出する。
次に、この微粒子分析装置20では、大気中の浮遊微粒子の分析に引き続いてバックグラウンド雰囲気をサンプリングして分析する。具体的には、まず、バックグラウンド雰囲気源7から流路切替バルブ5を介してバックグラウンド雰囲気をサンプリング装置1でサンプリングし、次に、バックグラウンド雰囲気中のバックグラウンドガスを不活性ガス置換装置2で不活性ガスに置換した後に、バックグラウンド微粒子と不活性ガスとの混合物を光散乱式粒子量測定装置3に通す。更に、混合器6において、バックグラウンド微粒子と不活性ガスとの混合物に対し、標準ガス発生器8から所定量の標準ガスを供給し、混合した後に、バックグラウンド微粒子と標準ガス成分とを質量分析装置4のマイクロ波誘導プラズマ発生器41でイオン化し、バックグラウンド微粒子を構成する各元素のイオン強度Ib,Ibおよび標準ガス成分のイオン強度Ibをイオン強度検出器42で検出する。
そして、この微粒子分析装置20では、演算器43において、浮遊微粒子中の元素のイオン強度I,Iのみを用いて元素Xの量Cを演算する代わりに、光散乱式微粒子量測定装置3で測定した浮遊微粒子の総質量濃度A、イオン強度検出器42で検出した浮遊微粒子中の任意の元素Xのイオン強度I、バックグラウンド微粒子中の任意の元素Xのイオン強度Ib、該元素Xの予め定められた感度係数a、浮遊微粒子と不活性ガスとの混合物に供給した標準ガス成分のイオン強度I、バックグラウンド微粒子と不活性ガスとの混合物に供給した標準ガス成分のイオン強度Ib、並びに、浮遊微粒子と不活性ガスとの混合物に供給した標準ガス成分のイオン強度Iに対する浮遊微粒子を構成する各元素のイオン強度Iの比I/Iとバックグラウンド微粒子と不活性ガスとの混合物に供給した標準ガス成分のイオン強度Ibに対するバックグラウンド微粒子を構成する各元素のイオン強度Ibの比Ib/Ibとの差I/I−Ib/Ibと、感度係数aとの積の和Σ{(I/I−Ib/Ib)×a}を用いて浮遊微粒子を構成する元素Xの量C=A×(I/I−Ib/Ib)×a/Σ{(I/I−Ib/Ib)×a}を算出する。なお、感度係数a,aは、先の一例の微粒子分析装置10と同様にして求めることができる。
ここで、この微粒子分析装置20によれば、先の一例の微粒子分析装置10と同様にして、雰囲気中の浮遊微粒子の元素分析を高精度で迅速に行うことができる。
また、この微粒子分析装置20では、標準ガスを使用し、イオン強度検出器42で検出された浮遊微粒子を構成する各元素のイオン強度(I,I)と標準ガスのイオン強度(I)との比(I/I,I/I)を用いて浮遊微粒子の元素分析を行っているので、プラズマ状態の変動やイオン強度検出器の劣化等に起因する装置感度の経時変化(ドリフト)の影響を抑えて高い精度で分析を実施することができる。なお、微粒子分析装置20では、浮遊微粒子を連続的にサンプリングして分析しているので、内標準法を用いた溶液の定量分析等とは異なり、一定量の標準ガスを連続的に供給する必要がある。
更に、この微粒子分析装置20では、大気雰囲気中の浮遊微粒子の分析と連続してバックグラウンド雰囲気中のバックグラウンド微粒子の分析を行い、浮遊微粒子と不活性ガスとの混合物に供給した標準ガス成分のイオン強度Iに対する浮遊微粒子を構成する各元素のイオン強度(I,I)の比(I/I,I/I)と、バックグラウンド微粒子と不活性ガスとの混合物に供給した標準ガス成分のイオン強度(Ib)に対するバックグラウンド微粒子を構成する各元素のイオン強度(Ib,Ib)の比(Ib/Ib,Ib/Ib)との差(I/I−Ib/Ib,I/I−Ib/Ib)を用いて浮遊微粒子の元素分析を行っているので、大気圧励起源の安定性を高めるための不活性ガス等の不純物ガス成分の影響、即ちバックグラウンドの影響を抑制して高い精度で分析することができる。よって、この微粒子分析装置20では、標準ガス供給手段としての混合器6および標準ガス発生器8で標準ガスを供給すると共にバックグラウンド雰囲気供給手段としての流路切替バルブ5およびバックグラウンド雰囲気源7からバックグラウンド雰囲気を供給することで、標準ガス成分を用いて装置感度の経時変化(ドリフト)の影響を抑制しつつ、バックグラウンド雰囲気を用いてバックグラウンドの影響を抑制して、より一層高い精度で分析を行うことができる
なお、本発明の微粒子分析装置は、上記一例および他の例に限定されることなく、適宜変更を加えることができる。具体的には、本発明の微粒子分析装置は、分級器を備えていなくても良い。
また、本発明の微粒子分析装置では、先の他の例の微粒子分析装置20のようにバックグラウンド雰囲気供給手段と標準ガス供給手段との双方を備えていなくても良く、バックグラウンド雰囲気供給手段と標準ガス供給手段との何れか一方のみを備えていても良い。
なお、バックグラウンド雰囲気供給手段のみを備えている場合には、バックグラウンド雰囲気供給手段でバックグラウンド雰囲気を供給し、演算器で、浮遊微粒子中の元素のイオン強度I,Iのみを用いて元素Xの量Cを演算する代わりに、浮遊微粒子の総質量濃度A、浮遊微粒子中の任意の元素Xのイオン強度Iとバックグラウンド微粒子中の任意の元素Xのイオン強度Ibとの差I−Ib、該元素Xの予め定められた感度係数a、並びに、浮遊微粒子を構成する各元素のイオン強度Iとバックグラウンド微粒子を構成する各元素のイオン強度Ibとの差I−Ibと、感度係数aとの積の和Σ{(I−Ib)×a}を用いて浮遊微粒子を構成する元素Xの量C=A×(I−Ib)×a/Σ{(I−Ib)×a}を算出することにより、大気圧励起源の安定性を高めるための不活性ガス等の不純物ガス成分の影響、即ちバックグラウンドの影響を抑制して浮遊微粒子を高い精度で分析することができる。
また、標準ガス供給手段のみを備えている場合には、標準ガス供給手段で標準ガスを供給し、演算器で、浮遊微粒子中の元素のイオン強度I,Iのみを用いて元素Xの量Cを演算する代わりに、浮遊微粒子の総質量濃度A、標準ガス成分のイオン強度Iに対する任意の元素Xのイオン強度Iの比I/I、該元素Xの予め定められた感度係数a、並びに、標準ガス成分のイオン強度Iに対する微粒子を構成する各元素のイオン強度Iの比I/Iと感度係数aとの積の和Σ{(I/I)×a}を用いて浮遊微粒子を構成する元素Xの量C=A×(I/I)×a/Σ{(I/I)×a}を算出することにより、ドリフトの影響を抑制して浮遊微粒子を高い精度で分析することができる。
因みに、高精度且つ短時間で浮遊微粒子の元素分析を行うことができる微粒子分析装置としては、大気中の浮遊微粒子を大気と共にサンプリングするサンプリング装置と、サンプリング装置で浮遊微粒子と共に採取した大気を不活性ガスに置換する不活性ガス置換装置と、サンプリングした浮遊微粒子の総質量濃度を測定する光散乱式微粒子量測定装置と、光散乱式微粒子量測定装置で総質量濃度を測定した浮遊微粒子を構成する元素を定性すると共に、該元素を定量分析する発光分光分析装置とを備える微粒子分析装置も挙げられる。
この微粒子分析装置では、発光分光分析装置内の大気圧励起源により励起された微粒子が基底状態に戻る際の発光を利用して、微粒子を構成する各元素の定性分析および定量分析を行う。なお、この微粒子分析装置での定量分析は、上記一例の微粒子分析装置10と同様に、光散乱式微粒子量測定装置で算出された浮遊微粒子の総質量濃度A、定性した任意の元素Xの発光強度I’、元素Xの予め定められた感度係数a’および浮遊微粒子を構成する各元素の発光強度I’と感度係数a’との積の和Σ(I’×a’)を用いて、浮遊微粒子を構成する元素Xの量C=A×I’×a’/Σ(I’×a’)を演算器で算出することにより実施できる。
なお、この発光分光分析装置を利用した微粒子分析装置においても、先のイオン強度検出器を用いた微粒子分析装置と同様にバックグラウンド雰囲気供給手段や標準ガス供給手段を設けることができる。そして、バックグラウンド雰囲気供給手段や標準ガス供給手段を用いた場合には、先のイオン強度検出器を用いた微粒子分析装置で元素Xの量を計算する式中のIをI’に、aをa’に、IをI’に、aをa’に、I,Ibをそれぞれ標準ガス成分の発光強度I’,I’bに、そして、Ib,Ibをそれぞれバックグラウンド微粒子の元素の発光強度I’b,I’bに置き換えた式を用いて元素Xの量を算出することができる。
以下、実施例1により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例1に何ら限定されるものではない。
(分析例1)
図1に示すような構成の微粒子分析装置を用いて、環境大気から採取した3種の試料(A,B,C)の元素分析を行った。具体的には、試料A,B,Cのそれぞれについて、分級器で分級を行い、粒径2.5μm以下の粒子に対して光散乱式微粒子量測定装置および質量分析装置を用いた分析を行った。浮遊微粒子を構成する元素のイオン強度Iおよび各元素の感度係数aを表1に示し、分析に要した時間T、光散乱式微粒子量測定装置で測定された浮遊微粒子の総質量濃度Aおよび元素の量Cを表2に示す。
なお、分級器としてはロープレッシャーインパクター(東京ダイレック製)を用い、不活性ガス置換装置としてはガス交換システム(住友精化製)を用い、光散乱式微粒子量測定装置および質量分析装置としてはThermo製の装置を用いた。また、質量分析装置の大気圧励起源としてはマイクロ波誘導プラズマ(プラズマガス:He)を用い、定量分析は、試料の採取開始からイオン強度が検出されなくなるまでの値を積算して行った。また、感度係数の決定は、予め濃度既知の標準物質を分析し、イオン強度を比較する(検量線の勾配を求める)ことにより行った。
(分析例2)
環境大気から採取した3種の試料(A,B,C)をロープレッシャーインパクターで分級した後にフィルタ上に捕集し、湿式法(金属成分は酸分解−ICP質量分析法、ガス成分はガス分析法)で浮遊微粒子を構成する元素の定量分析を行った。分析に要した時間Tおよび浮遊微粒子を構成する元素の量Cを表2に示す。なお、湿式法による分析は、3種の試料をそれぞれ2回捕集し、1回目に捕集した試料は酸分解−ICP質量分析法で、2回目に捕集した試料はガス分析法で分析することにより行った。そして、ガス分析法で測定した値は、表2中では丸括弧内に記載した。
Figure 2011169884
Figure 2011169884
(分析例3)
分級器を備えていない以外は図1に示すのと同様の構成を有する微粒子分析装置を用いて、環境大気から採取した3種の試料(A,B,C)の元素分析を分析例1と同様にして行った。浮遊微粒子を構成する元素のイオン強度Iおよび各元素の感度係数aを表3に示し、分析に要した時間T、光散乱式微粒子量測定装置で測定された浮遊微粒子の総質量濃度Aおよび元素の量Cを表4に示す。なお、感度係数aは、分析例1と同じ値を用いた。
(分析例4)
環境大気から採取した3種の試料(A,B,C)を分級することなくフィルタ上に捕集し、湿式法(酸分解−ICP質量分析法およびガス分析法)で浮遊微粒子を構成する元素の定量分析を行った。分析に要した時間Tおよび浮遊微粒子を構成する元素の量Cを表4に示す。なお、湿式法による分析は、分析例2と同様にして行い、ガス分析法で測定した値は、表4中では丸括弧内に記載した。
Figure 2011169884
Figure 2011169884
分析例1,3および分析例2,4より、本発明の微粒子分析装置によれば、大気中の浮遊微粒子を高精度且つ短時間で元素分析できることが分かった。また、従来法では複数のサンプルを測定するので当然に精度が落ちるのに対し、本発明の微粒子分析装置においては、サンプリングした試料を分級した後に元素分析することにより、より高精度な分析値を得られることが分かった。
以下、実施例2により本発明を更に詳細に説明するが、本発明は下記の実施例2に何ら限定されるものではない。
(分析例5)
分析例1と同様の手法を用いて、環境大気から採取した試料Aの元素分析を5回繰り返した。そして、元素Si,Al,Feについて全5回の分析値の変動係数(=(標準偏差/平均値)×100)を求めた。結果を表5に示す。
(分析例6)
図2に示すような構成の微粒子分析装置を用いた以外は分析例5と同様にして、環境大気から採取した試料Aの元素分析を5回繰り返した。そして、分析例5と同様にして、元素Si,Al,Feについて全5回の分析値の変動係数を求めた。結果を表5に示す。
なお、バックグラウンド雰囲気源としては、HEPAフィルターユニットSS−MAC(日本エアテック社製)を搭載した簡易型クリーンベンチを用い、標準ガス成分としては、クロムヘキサカルボニルから発生するCrを用い、標準ガス成分のイオン強度Iは、質量数53のイオン強度とした。
Figure 2011169884
分析例5および6より、バックグラウンド雰囲気供給手段および標準ガス供給手段を用いた方が、より高精度な分析をし得ることが分かる。
本発明の微粒子分析装置および微粒子分析方法によれば、大気等の雰囲気ガス中の浮遊微粒子を構成する元素の定性および定量分析(浮遊微粒子の元素分析)を高精度かつ短時間で連続的に行うことができる。
1 サンプリング装置
2 不活性ガス置換装置
3 光散乱式微粒子量測定装置
4 質量分析装置
5 流路切替バルブ
6 混合器
7 バックグラウンド雰囲気源
8 標準ガス発生器
10 微粒子分析装置
20 微粒子分析装置
11 ポンプ
12 切替バルブ
13 分級器
41 マイクロ波誘導プラズマ発生器
42 イオン強度検出器
43 演算器

Claims (12)

  1. 雰囲気ガス中に浮遊する微粒子を雰囲気ガスと共にサンプリングするサンプリング手段と、
    前記サンプリング手段でサンプリングした微粒子に対してレーザー光を照射し、該レーザー光を照射した際に生じる散乱光の強度に基づきサンプリングした微粒子の総質量濃度を測定する微粒子総質量濃度測定手段と、
    前記微粒子総質量濃度測定手段で総質量濃度を測定した微粒子を大気圧励起源でイオン化し、微粒子を構成する元素を定性すると共に、該元素を前記微粒子総質量濃度測定手段で測定した総質量濃度に基づき定量分析する質量分析手段と、
    前記サンプリング手段と前記質量分析手段との間に設けられて、前記雰囲気ガスを不活性ガスに置換する不活性ガス置換手段と、
    を備え、
    前記質量分析手段が、微粒子をイオン化した際の微粒子を構成する各元素のイオン強度を検出するイオン強度検出手段と、微粒子を構成する各元素について、前記微粒子総質量濃度測定手段で測定した微粒子の総質量濃度A、前記イオン強度検出手段で検出した任意の元素Xのイオン強度I、該元素Xの予め定められた感度係数aおよび微粒子を構成する各元素のイオン強度Iと感度係数aとの積の和Σ(I×a)を用いて微粒子を構成する元素Xの量C=A×I×a/Σ(I×a)を算出する演算手段とを備えることを特徴とする、微粒子分析装置。
  2. 前記大気圧励起源がマイクロ波誘導プラズマであることを特徴とする、請求項1に記載の微粒子分析装置。
  3. 前記サンプリング手段が、微粒子を分級してサンプリングするための分級手段を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の微粒子分析装置。
  4. 前記不活性ガス置換手段と前記質量分析手段との間に設けられ、不活性ガス置換手段で得た前記微粒子と前記不活性ガスとの混合物に対して標準ガス成分を含む標準ガスを供給する標準ガス供給手段を更に備え、
    前記質量分析手段が、前記微粒子および前記標準ガス成分を大気圧励起源でイオン化し、
    前記イオン強度検出手段が、前記微粒子を構成する各元素および標準ガス成分のイオン強度を検出し、
    前記演算手段が、前記微粒子総質量濃度測定手段で測定した微粒子の総質量濃度A、前記イオン強度検出手段で検出した前記標準ガス成分のイオン強度Iに対する任意の元素Xのイオン強度Iの比I/I、該元素Xの予め定められた感度係数a、並びに、前記標準ガス成分のイオン強度Iに対する微粒子を構成する各元素のイオン強度Iの比I/Iと感度係数aとの積の和Σ{(I/I)×a}を用いて微粒子を構成する元素Xの量C=A×(I/I)×a/Σ{(I/I)×a}を算出する、請求項1〜3の何れかに記載の微粒子分析装置。
  5. 前記不活性ガス置換手段よりも上流側に設けられ、不活性ガス置換手段へバックグラウンド雰囲気を前記サンプリング手段でサンプリングした微粒子と切り替え可能に供給するバックグラウンド雰囲気供給手段を更に備え、
    バックグランド雰囲気を供給した際には、
    前記不活性ガス置換手段が、バックグラウンド雰囲気中のバックグラウンドガスを不活性ガスに置換し、
    前記質量分析手段が、前記バックグラウンド雰囲気中に含まれているバックグラウンド微粒子を大気圧励起源でイオン化し、
    前記イオン強度検出手段が、前記バックグラウンド微粒子を構成する各元素のイオン強度を検出し、そして、
    前記演算手段が、前記微粒子総質量濃度測定手段で測定した微粒子の総質量濃度A、前記イオン強度検出手段で検出した前記微粒子中の任意の元素Xのイオン強度Iと前記バックグラウンド微粒子中の任意の元素Xのイオン強度Ibとの差I−Ib、該元素Xの予め定められた感度係数a、並びに、前記微粒子を構成する各元素のイオン強度Iと前記バックグラウンド微粒子を構成する各元素のイオン強度Ibとの差I−Ibと、感度係数aとの積の和Σ{(I−Ib)×a}を用いて微粒子を構成する元素Xの量C=A×(I−Ib)×a/Σ{(I−Ib)×a}を算出する、請求項1〜3の何れかに記載の微粒子分析装置。
  6. 前記不活性ガス置換手段よりも上流側に設けられ、不活性ガス置換手段へバックグラウンド雰囲気を前記サンプリング手段でサンプリングした微粒子と切り替え可能に供給するバックグラウンド雰囲気供給手段を備え、バックグランド雰囲気を供給した際には、前記不活性ガス置換手段が、バックグラウンド雰囲気中のバックグラウンドガスを不活性ガスに置換し、
    前記不活性ガス置換手段と前記質量分析手段との間に設けられ、不活性ガス置換手段で得た前記微粒子と前記不活性ガスとの混合物、或いは、前記バックグラウンド雰囲気中に含まれているバックグラウンド微粒子と前記不活性ガスとの混合物に対して標準ガス成分を含む標準ガスを供給する標準ガス供給手段を更に備え、
    前記質量分析手段が、前記微粒子および前記標準ガス成分、或いは、前記バックグラウンド微粒子および前記標準ガス成分を大気圧励起源でイオン化し、
    前記イオン強度検出手段が、前記微粒子を構成する各元素および標準ガス成分のイオン強度、或いは、前記バックグラウンド微粒子を構成する各元素および標準ガス成分のイオン強度を検出し、そして、
    前記演算手段が、前記微粒子総質量濃度測定手段で測定した微粒子の総質量濃度A、前記イオン強度検出手段で検出した前記微粒子中の任意の元素Xのイオン強度I、前記バックグラウンド微粒子中の任意の元素Xのイオン強度Ib、該元素Xの予め定められた感度係数a、前記微粒子と前記不活性ガスとの混合物に供給した前記標準ガス成分のイオン強度I、前記バックグラウンド微粒子と前記不活性ガスとの混合物に供給した前記標準ガス成分のイオン強度Ib、並びに、前記微粒子と不活性ガスとの混合物に供給した標準ガス成分のイオン強度Iに対する微粒子を構成する各元素のイオン強度Iの比I/Iと前記バックグラウンド微粒子と不活性ガスとの混合物に供給した標準ガス成分のイオン強度Ibに対する前記バックグラウンド微粒子を構成する各元素のイオン強度Ibの比Ib/Ibとの差I/I−Ib/Ibと、感度係数aとの積の和Σ{(I/I−Ib/Ib)×a}を用いて微粒子を構成する元素Xの量C=A×(I/I−Ib/Ib)×a/Σ{(I/I−Ib/Ib)×a}を算出する、請求項1〜3の何れかに記載の微粒子分析装置。
  7. 雰囲気ガス中に浮遊する微粒子を雰囲気ガスと共にサンプリングするサンプリング工程と、
    前記サンプリング工程でサンプリングした微粒子に対してレーザー光を照射し、該レーザー光を照射した際に生じる散乱光の強度に基づきサンプリングした微粒子の総質量濃度を測定する微粒子総質量濃度測定工程と、
    前記微粒子総質量濃度測定工程で総質量濃度を測定した微粒子を大気圧励起源でイオン化し、微粒子を構成する元素を定性すると共に、該元素を前記微粒子総質量濃度測定工程で測定した総質量濃度に基づき定量分析する質量分析工程と、
    前記サンプリング工程と前記質量分析工程との間で、前記雰囲気ガスを不活性ガスに置換する不活性ガス置換工程と、
    を含み、
    前記質量分析工程が、微粒子をイオン化した際の微粒子を構成する各元素のイオン強度を検出するイオン強度検出工程と、微粒子を構成する各元素について、前記微粒子総質量濃度測定工程で測定した微粒子の総質量濃度A、前記イオン強度検出工程で検出した任意の元素Xのイオン強度I、該元素Xの予め定められた感度係数aおよび微粒子を構成する各元素のイオン強度Iと感度係数aとの積の和Σ(I×a)を用いて微粒子を構成する元素Xの量C=A×I×a/Σ(I×a)を算出する演算工程とを更に含むことを特徴とする、微粒子分析方法。
  8. 前記大気圧励起源がマイクロ波誘導プラズマであることを特徴とする、請求項7に記載の微粒子分析方法。
  9. 前記サンプリング工程が、微粒子を分級してサンプリングするための分級工程を含むことを特徴とする、請求項7または8に記載の微粒子分析方法。
  10. 前記不活性ガス置換工程と前記質量分析工程との間に設けられ、不活性ガス置換工程で得た前記微粒子と前記不活性ガスとの混合物に対して標準ガス成分を含む標準ガスを供給する標準ガス供給工程を更に備え、
    前記質量分析工程で、前記微粒子および前記標準ガス成分を大気圧励起源でイオン化し、
    前記イオン強度検出工程で、前記微粒子を構成する各元素および標準ガス成分のイオン強度を検出し、
    前記演算工程で、前記微粒子総質量濃度測定工程で測定した微粒子の総質量濃度A、前記イオン強度検出工程で検出した前記標準ガス成分のイオン強度Iに対する任意の元素Xのイオン強度Iの比I/I、該元素Xの予め定められた感度係数a、並びに、前記標準ガス成分のイオン強度Iに対する微粒子を構成する各元素のイオン強度Iの比I/Iと感度係数aとの積の和Σ{(I/I)×a}を用いて微粒子を構成する元素Xの量C=A×(I/I)×a/Σ{(I/I)×a}を算出する、請求項7〜9の何れかに記載の微粒子分析方法。
  11. バックグラウンド雰囲気をサンプリングするバックグラウンド雰囲気サンプリング工程と、
    前記バックグラウンド雰囲気中のバックグラウンドガスを不活性ガスに置換するバックグラウンド用不活性ガス置換工程と、
    前記バックグラウンド用不活性ガス置換工程の後で、前記バックグラウンド雰囲気中に含まれているバックグラウンド微粒子を大気圧励起源でイオン化し、該バックグラウンド微粒子を構成する各元素のイオン強度を検出するバックグラウンド用イオン強度検出工程と、
    を更に含み、
    前記演算工程で、前記微粒子総質量濃度測定工程で測定した微粒子の総質量濃度A、前記イオン強度検出工程で検出した前記微粒子中の任意の元素Xのイオン強度Iと前記バックグラウンド用イオン強度検出工程で検出した前記バックグラウンド微粒子中の任意の元素Xのイオン強度Ibとの差I−Ib、該元素Xの予め定められた感度係数a、並びに、前記微粒子を構成する各元素のイオン強度Iと前記バックグラウンド微粒子を構成する各元素のイオン強度Ibとの差I−Ibと、感度係数aとの積の和Σ{(I−Ib)×a}を用いて微粒子を構成する元素Xの量C=A×(I−Ib)×a/Σ{(I−Ib)×a}を算出する、請求項7〜9の何れかに記載の微粒子分析方法。
  12. 前記不活性ガス置換工程と前記質量分析工程との間に設けられ、不活性ガス置換工程で得た前記微粒子と前記不活性ガスとの混合物に対して標準ガス成分を含む標準ガスを供給する標準ガス供給工程と、
    バックグラウンド雰囲気をサンプリングするバックグラウンド雰囲気サンプリング工程と、
    前記バックグラウンド雰囲気中のバックグラウンドガスを不活性ガスに置換するバックグラウンド用不活性ガス置換工程と、
    前記バックグラウンド用不活性ガス置換工程で得たバックグラウンド微粒子と前記不活性ガスとの混合物に対して標準ガス成分を含む標準ガスを供給するバックグラウンド用標準ガス供給工程と、
    前記バックグラウンド用標準ガス供給工程の後で、前記バックグラウンド雰囲気中に含まれているバックグラウンド微粒子および標準ガス成分を大気圧励起源でイオン化し、該バックグラウンド微粒子を構成する各元素および標準ガス成分のイオン強度を検出するバックグラウンド用イオン強度検出工程と、
    を更に備え、
    前記質量分析工程で、前記微粒子および前記標準ガス成分を大気圧励起源でイオン化し、
    前記イオン強度検出工程で、前記微粒子を構成する各元素および標準ガス成分のイオン強度を検出し、そして、
    前記演算工程で、前記微粒子総質量濃度測定工程で測定した微粒子の総質量濃度A、前記イオン強度検出工程で検出した前記微粒子中の任意の元素Xのイオン強度I、前記バックグラウンド用イオン強度検出工程で検出した前記バックグラウンド微粒子中の任意の元素Xのイオン強度Ib、該元素Xの予め定められた感度係数a、前記微粒子と前記不活性ガスとの混合物に供給した前記標準ガス成分のイオン強度I、前記バックグラウンド微粒子と前記不活性ガスとの混合物に供給した前記標準ガス成分のイオン強度Ib、並びに、前記微粒子と不活性ガスとの混合物に供給した標準ガス成分のイオン強度Iに対する微粒子を構成する各元素のイオン強度Iの比I/Iと前記バックグラウンド微粒子と不活性ガスとの混合物に供給した標準ガス成分のイオン強度Ibに対する前記バックグラウンド微粒子を構成する各元素のイオン強度Ibの比Ib/Ibとの差I/I−Ib/Ibと、感度係数aとの積の和Σ{(I/I−Ib/Ib)×a}を用いて微粒子を構成する元素Xの量C=A×(I/I−Ib/Ib)×a/Σ{(I/I−Ib/Ib)×a}を算出する、請求項7〜9の何れかに記載の微粒子分析方法。
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