JP7015101B2 - 分析方法および液体電極プラズマ発光分析装置 - Google Patents

分析方法および液体電極プラズマ発光分析装置 Download PDF

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Description

本発明は、分析方法および液体電極プラズマ発光分析装置に関する。
試料中の分析対象成分を光分析などで定量分析する際は、標準液を用いて作成した検量線などによって定量値を求める。検量線の作成方法には、検量線法(強度法)、内標準法(強度比法)、標準添加法等がある。試料に含まれる分析対象成分以外の共存成分が測定結果に影響する場合には、検量線法では正確な測定値が出せないため、通常、内標準法や標準添加法が利用される。
標準添加法では一般に、同一量の複数の試料を用意し、各試料に異なる量の標準液(分析対象成分の溶液)を添加し、各々一定量となるように希釈して検量線用試料を調製し、各々の検量線用試料について分析対象成分濃度に対応する信号強度を測定し、各々の検量線用試料の標準物質濃度を横軸に、信号強度を縦軸にとった検量線を作成し、この検量線から試料の分析対象成分濃度を求める。
しかし、標準添加法は、分析操作が煩雑であり、分析に時間がかかる。また、希釈の精度、作成する検量線の個人差等によって測定値に誤差が生じやすい。
そこで、標準添加法の分析操作の煩雑さや分析値の信頼性を改善する試みがなされている。例えば、標準添加法を用いて試料に含まれる物質の濃度を測定、表示する原子分析装置において、試料の測定データおよび各試料に添加された標準物質溶液の濃度データを記憶するメモリと、該メモリに記憶されたデータを使って最小2乗法により標準物質を添加する前の資料に含まれる物質の濃度を算出する演算器とを備えた原子分析装置が提案されている(特許文献1)。
特開昭54-76287号公報
しかし、標準添加法では、同一量の複数の試料を用意する必要があるため、検量線法や内標準法に比べて、測定に必要な試料の量が多くなる。また、測定に際して試薬を用いて前処理等を行う場合、前処理等に必要な試薬の量も多くなる。特許文献1に記載された原子分析装置においても、標準添加法を用いたものである以上、同様の問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、標準添加法に比べて分析操作が簡単で、測定に必要な分析対象試料の量が少ない分析方法および該分析方法を利用した液体電極プラズマ発光分析装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
[1]測定対象試料から得られた液状試料について、前記液状試料の物理的および化学的性状を実質的に変化させない分析法により前記液状試料の分析対象成分濃度xに対応する信号強度を測定するステップと、
前記信号強度を測定した後の液状試料に対し、既知量の分析対象成分を含む標準液を添加し、前記xの関数として表される分析対象成分濃度を有する添加試料を得て、前記添加試料について、前記分析法により前記添加試料の分析対象成分濃度に対応する信号強度を測定するステップと、
前記測定対象試料を、分析対象成分を含まない対照試料に置き換えて得られたブランク試料について、前記分析法によりブランク値としての信号強度を測定するステップと、
前記液状試料、前記添加試料および前記ブランク試料それぞれの分析対象成分濃度と信号強度との関係から、前記液状試料中の分析対象成分濃度xを算出するステップと、
を有することを特徴とする分析方法。
[2]前記分析法が、液体電極プラズマ発光分析法である[1]に記載の分析方法。
[3]前記液状試料が、前記測定対象試料に対して前処理を施したものである[1]または[2]に記載の分析方法。
[4]液体を収容する貯液槽と、
液体電極プラズマ発光分析法により、液体の分析対象成分濃度に対応する信号強度を測定する検出部と、
前記貯液槽内の液体を前記検出部に供給し、前記貯液槽に返送する液体移送手段と、
前記貯液槽に測定対象試料を供給する測定対象試料供給手段と、
前記貯液槽に既知量の分析対象成分を含む標準液を供給する標準液供給手段と、
前記貯液槽に分析対象成分を含まない対照試料を供給する対照試料供給手段と、
前記貯液槽内の液体に対して前処理を施す前処理手段と、
前記検出部、前記液体移送手段、前記測定対象試料供給手段、前記標準液供給手段、前記対照試料供給手段および前記前処理手段を制御すると共に、前記検出部で得られる信号強度が入力される演算制御部と、を備え、
前記演算制御部は、
測定対象試料を貯液槽に供給し、前処理を施して液状試料とし、前記液状試料を前記貯液槽から前記検出部に供給し、前記液状試料の分析対象成分濃度xに対応する信号強度を測定するステップと、
前記信号強度を測定した後の液状試料を前記貯液槽に返送し、既知量の分析対象成分を含む標準液を前記貯液槽に供給して、前記xの関数として表される分析対象成分濃度を有する添加試料を得て、前記添加試料を前記検出部に供給し、前記添加試料の分析対象成分濃度に対応する信号強度を測定するステップと、
分析対象成分を含まない対照試料を貯液槽に供給し、前処理を施してブランク試料とし、前記ブランク試料を前記貯液槽から前記検出部に供給し、ブランク値としての信号強度を測定するステップと、
前記液状試料、前記添加試料および前記ブランク試料それぞれの分析対象成分濃度と信号強度との関係から、前記液状試料中の分析対象成分濃度xを算出するステップと、
を行うように構成されていることを特徴とする液体電極プラズマ発光分析装置。
本発明の分析方法および液体電極プラズマ発光分析装置は、標準添加法に比べて分析操作が簡単であり、分析時間の短縮が可能である。また、測定に必要な分析対象試料および試薬の量が少ない。
本発明の一実施形態に係る分析装置の概略構成図である。 液状試料、添加試料およびブランク試料の分析対象成分濃度と発光量(信号強度)との関係を示す検量線である。
<液体電極プラズマ発光分析装置の構成>
本発明の一実施形態に係る液体電極プラズマ発光分析装置(以下、単に「分析装置」とも記す)について、図1を用いて説明する。
本実施形態の分析装置は、貯液槽1、検出部3、加熱分解槽5、流路L1~L15、弁SV2~SV7、ポンプP1~P7およびこれら全体を制御する演算制御部7から概略構成されている。
貯液槽1は、上面に開口を有する本体と、その上面を覆う蓋体とから構成され、蓋体には複数の流路が挿通している。
検出部3は、液体電極プラズマ発光分析法により、液体の分析対象成分濃度に対応する信号強度を測定する。
液体電極プラズマ発光分析法では、絶縁材料で形成され途中に狭小部を有する流路に導電性の液体を満たした状態で、狭小部に電界が通過するように電界を印加し、狭小部でプラズマを発生させ、発生したプラズマから生じる光を分光測光する。
電界を印加すると、狭小部内の液体が局所的に加熱されて気泡が発生し、気泡の周囲の液体が電極として機能して、気泡中にプラズマが発生する。気泡中に発生したプラズマによって液体中の元素が励起され、その後、基底状態に戻るときに元素固有の波長の光(スペクトル線)が放出される。プラズマからの光を分光して計測される発光スペクトルの波長から試料中の元素を同定できる。また、測定される発光スペクトルの強度(発光量)は試料中の元素の濃度に対応しており、定量に利用できる。本実施形態では、この発光量を、液体の分析対象成分濃度に対応する信号強度として利用する。
液体電極プラズマ発光分析法によれば、液体中に含まれる元素の分析(定性分析、定量分析等)を行うことができる。液体電極プラズマ発光分析法による分析に適した元素(分析対象成分)としては、例えば亜鉛、鉛、カドミウム、銅等の金属元素やヒ素等が挙げられる。
液体電極プラズマ発光分析法は、分析時に気泡が発生するものの、ごく小さい気泡であるため、分析対象の液体の物理的および化学的性状を実質的に変化させない。「実質的に変化させない」とは、分析の前後で分析値(発光スペクトルの強度等)が測定誤差を超えて変化しないことを意味する。分析の前後で液体の物理的および化学的性状が実質的に変化しないため、分析後の液体を再度、分析に利用できる。
物理的性状としては、例えば液体の体積、質量、粘度、電気伝導率等が挙げられる。化学的性状としては、例えば液体に含まれる成分の濃度、存在形態(溶存イオン、錯体、化合物)等が挙げられる。これらの性状は分析値に影響する。
検出部3としては、公知のものを用いることができ、例えば特許第3932368号公報、特許第5530222号公報、特許第5705591号公報、特開2013-185918号公報等に開示される構成のものを用いることができる。
検出部3は、典型的には、絶縁材料で形成され途中に狭小部を有する流路と、前記流路内に前記狭小部を挟むように配置された一対の電極と、前記流路内で発生したプラズマから生じる光を分光して計測する計測手段と、を備える。前記一対の電極間に電流を流すことで、前記狭小部に電界が印加され、プラズマが発生する。
計測手段としては、例えば、分光器と、一端が前記流路に向けて配置され、他端が分光器に接続された光ファイバーと、を備えるものが挙げられる。流路で発生した光は、光ファイバーで受光され、光ファイバーを介して分光器に入力されて分光される。
加熱分解槽5は、貯液槽1よりも上方に設けられており、その内部を加熱できるようになっている。
流路L1~L12は、例えば、軟質チューブで構成することができる。各流路を形成する材質は、耐熱性、耐薬品性等を考慮して適切なものが選択される。
弁SV2~SV7の内、弁SV2、SV3は二方弁であり、弁SV4~SV7は三方弁である。弁SV2~SV7の黒の三角で示した部分は常閉ポートであり、弁SV4~SV7の白の三角で示した部分は常開ポート、半分が白で半分が黒の三角で示した部分は共通ポートである。弁SV2、SV3は常閉弁である。
ポンプP1、P2、P7は、ペリスタル型ポンプである。ペリスタル型ポンプは、軟質チューブをローラーでしごいて送液ないし送気するもので、チューブポンプ、ローラーポンプとも呼ばれる。ローラーでしごく方向を逆転させることにより、送液ないし送気の方向を逆転させることができる。ペリスタル型ポンプの市販品としてはペリスタポンプ(登録商標)が利用できる。
ポンプP3、P5は、定量ポンプである。
ポンプP4は、シリンジポンプである。
ポンプP6は、エアポンプである。
流路L1は、一端が貯液槽1に挿入され、他端が検出部3の流路の一端に接続している。流路L1の一端は、貯液槽1の最下部近傍に配置されている。
流路L2は、一端が検出部3の流路の他端に接続し、他端が貯液槽1に挿入されている。流路L2の他端は、検出部3に導入される液体(液状試料、添加試料、ブランク試料等)が貯液槽1に収容された際に、その液面より上となる位置に配置されている。
流路L2の途中には、ポンプP1が設けられている。
流路L1、L2およびポンプP1によって、貯液槽1内の液体を検出部3に供給し、貯液槽1に返送することができる。つまり、流路L1、L2およびポンプP1によって、本発明における液体移送手段が構成されている。
流路L3は、上流端が測定対象試料を収容するためのタンクT1に挿入され、下流端が貯液槽1に挿入されている。流路L3の上流端は、タンクT1内に収容された測定対象試料の液面下となる位置に配置されている。流路L3の下流端は、検出部3に導入される液体が貯液槽1に収容された際に、その液面より上となる位置に配置されている。
流路L3の途中には、ポンプP2が設けられている。
流路L3およびポンプP2によって、貯液槽1に測定対象試料を供給することができる。つまり、流路L3およびポンプP2が、本発明における測定対象試料供給手段を構成している。
流路L4は、上流端が標準液を収容するためのタンクT2に挿入され、下流端が貯液槽1に挿入されている。流路L4の上流端は、タンクT2内に収容された標準液の液面下となる位置に配置されている。流路L4の下流端は、検出部3に導入される液体が貯液槽1に収容された際に、その液面より上となる位置に配置されている。
流路L4の途中には、ポンプP3が設けられている。
流路L4およびポンプP3によって、貯液槽1に標準液を供給することができる。つまり、流路L4およびポンプP3が、本発明における標準液供給手段を構成している。
標準液としては、既知量の分析対象成分(元素)を含むものが用いられ、例えば原子吸光分析用等として市販されている標準液やその希釈物を用いることができる。標準液の希釈には、例えば塩酸、硝酸、硫酸等を用いることができる。
流路L5は、上流端が弁SV5の常閉ポートに接続し、下流端が貯液槽1に挿入されている。流路L5の下流端は、検出部3に導入される液体が貯液槽1に収容された際に、その液面より上となる位置に配置されている。
流路L6は、一端が弁SV5の共通ポートに接続し、他端が弁SV6の常開ポートに接続している。
流路L7は、一端が弁SV6の共通ポートに接続し、他端がポンプP4に接続している。
流路L8は、上流端が、対照試料を収容するためのタンクT3に挿入され、下流端が弁SV6の常閉ポートに接続している。流路L8の上流端は、タンクT2内に収容された対照試料の液面下となる位置に配置されている。
流路L5~L8、弁SV5、SV6およびポンプP4によって、貯液槽1に対照試料を供給することができる。つまり、流路L5~L8、弁SV5、SV6およびポンプP4が、本発明における対照試料供給手段を構成している。
対照試料としては、分析対象成分を含まないものであればよく、例えば純水等が挙げられる。本実施形態における対照試料は純水である。対照試料は貯液槽1等の洗浄にも用いられる。
流路L9は、上流端が試薬を収容するためのタンクT4に挿入され、下流端が貯液槽1に挿入されている。流路L9の上流端は、タンクT4内に収容された試薬の液面下となる位置に配置されている。流路L9の下流端は、検出部3に導入される液体が貯液槽1に収容された際に、その液面より上となる位置に配置されている。
流路L9の途中には、ポンプP5が設けられている。
タンクT4に収容される試薬は強酸や酸化剤である。強酸としては、例えば塩酸、硝酸硫酸等が挙げられる。酸化剤としては、例えばペルオキソ二硫酸塩水溶液等が挙げられる。強酸や酸化剤は、後述する前処理のための試薬である。また、強酸や酸化剤は電解質であるため、測定対象試料から得られる液状試料の導電性を調整するためにも用いることができる。液体電極プラズマ発光分析法で分析する液体は、導電性を有する必要がある。測定対象試料に強酸や酸化剤を添加することで、測定対象試料から得られる液状試料に導電性を付与したり導電性を高めたりすることができる。
流路L10は、一端が貯液槽1に挿入され、他端が弁SV4の共通ポートに接続している。流路L10の一端は、貯液槽1の最下部近傍に配置されている。
流路L10の中間部分は加熱分解槽5に収容されている。流路L10の加熱分解槽5に収容されている部分は、貯液槽1に収容された液体の全量を収容することができる。流路L10の加熱分解槽5に収容されている部分の貯液槽1側には弁SV2が、貯液槽1と反対側には弁SV3が設けられている。
流路L11は、一端が弁SV4の常閉ポートに接続し、他端は大気開放されている。
流路L11の途中には、ポンプP6が設けられている。
流路L12は、一端が弁SV4の常開ポートに接続し、他端が弁SV5の常開ポートに接続している。
加熱分解槽5、流路L6、L7、L9~L12、弁SV2~SV6およびポンプP4~P6によって、貯液槽1に収容された測定対象試料(または対照試料)に試薬を添加し、分析対象成分である元素をイオン化するための加熱分解処理を行って液状試料(またはブランク試料)とする前処理を行うことができる。つまり、加熱分解槽5、流路L6、L7、L9~L12、弁SV2~SV6およびポンプP4~P6が、本発明における前処理手段を構成している。
流路L13は、上流端が貯液槽1に挿入され、下流端が弁SV7の常閉ポートに接続している。流路L13の上流端は、貯液槽1の最下部近傍に配置されている。
流路L14は、上流端が弁SV7の共通ポートに接続し、下流端が廃液を収容するためのタンクT5に挿入されている。流路L14の下流端は、タンクT5に廃液が収容された際に、その液面より上となる位置に配置されている。
流路L14の途中には、ポンプP7が設けられている。
流路L13、L14およびポンプP7によって、貯液槽1から液体を排出することができる。
流路L15は、上流端が貯液槽1に挿入され、下流端が弁SV7の常開ポートに接続している。流路L15の上流端は、貯液槽1に一定量(例えば5mL)の測定対象試料(または対照試料)が収容された際に液面となる位置に配置されている。
流路L14、L15およびポンプP7によって、貯液槽1に余剰に供給された測定対象試料(または対照試料)を貯液槽1から排出し、一定量の測定対象試料(または対照試料)を貯液槽1に計量することができる。
演算制御部7は、弁SV2~SV7およびポンプP1~P7を制御する。これらの弁やポンプの動作を演算制御部7が制御することにより、測定対象試料、液状試料、添加試料、対照試料、ブランク試料、試薬、標準液等の液体が、各流路内を適宜移動できるようになっている。演算制御部7は、検出部3および加熱分解槽5も制御する。また、検出部3で得られる情報(発光スペクトルの波長、発光量等)が演算制御部7に入力される。
演算制御部7は、以下のステップA1~A4を行うように構成されている。
ステップA1:測定対象試料を貯液槽1に供給し、前処理を施して液状試料とし、液状試料を貯液槽1から検出部3に供給し、液状試料の分析対象成分濃度xに対応する信号強度を測定するステップ。
ステップA2:ステップA1で信号強度を測定した後の液状試料を貯液槽1に返送し、既知量の分析対象成分を含む標準液を貯液槽1に供給して、液状試料の分析対象成分濃度xの関数として表される分析対象成分濃度を有する添加試料を得て、添加試料を検出部3に供給し、添加試料の分析対象成分濃度に対応する信号強度を測定するステップ。
ステップA3:分析対象成分を含まない対照試料を貯液槽1に供給し、前処理を施してブランク試料とし、ブランク試料を貯液槽1から検出部3に供給し、ブランク値としての信号強度を測定するステップ。
ステップA4:液状試料、添加試料およびブランク試料それぞれの分析対象成分濃度と信号強度との関係から、液状試料中の分析対象成分濃度xを算出するステップ。
<分析方法>
本実施形態の分析装置にて上記ステップA1~A4を行うことにより、測定対象試料の分析を行うことができる。以下、各ステップの具体的動作について詳述する。
以下の説明において、特に言及しない限り、ポンプP1~P7は動作させていない。
ポンプP1を動作させるとは、流路L1側から流路L2側に向けて送液ないし送気することを意味し、ポンプP1を逆転動作させるとは、流路L2側から流路L1側に向けて送液ないし送気することを意味する。ポンプP2、P3、P5、P6を動作させるとは、貯液槽1に向けて送液ないし送気することを意味する。ポンプP4を吸引動作させるとは、ポンプP4内に液体ないし気体を吸引することを意味し、ポンプP4を吐出動作させるとは、ポンプP4内の液体ないし気体を吐出することを意味する。ポンプP7を動作させるとは、貯液槽1と反対方向に向けて送液ないし送気することを意味する。
ポンプP1~P7は、動作していないときは気体も液体も流通させず、気密ないし液密を保持している。
また、以下の説明において、特に言及しない限り、弁SV2~SV7は動作させていない。
三方弁を動作させるとは、三方弁の共通ポートと常閉ポート間を流通可能とすることを意味し、三方弁の動作を停止するとは、三方弁の共通ポートと常開ポート間が流通可能な状態に復帰することを意味する。常閉弁を動作させるとは、両ポート間を流通可能とすることを意味し、常閉弁の動作を停止するとは、両ポート間が流通不能な状態に復帰することを意味する。
(ステップA1)
ステップA1では、まず、ポンプP2を動作させ、流路L3を通じてタンクT1内の測定対象試料を貯液槽1に導入する。ポンプP2の流量および動作時間は、貯液槽1に導入された測定対象試料の液面が流路L15の上流端の高さよりも上となるのに充分な流量および動作時間に設定されている。その後、ポンプP2を停止し、ポンプP7を動作させ、貯液槽1内の測定対象試料を流路L15の上流端から吸引し、流路L15、L14を通じて排出させ、貯液槽1内の測定対象試料の液面を流路L15の上流端の高さまで下げる。これにより、一定量の測定対象試料が貯液槽1に計量される。
次いで、ポンプP5を動作させ、タンクT4内の試薬を所定量計量し、流路L9を通じて貯液槽1に導入する。その後、弁SV2~SV4およびポンプP6を動作させ、流路L11、L10を通じて貯液槽1内の液体に空気を送気し、バブリングさせる。これにより、測定対象試料と試薬との混合液が得られる。
次いで、弁SV4およびポンプP6の動作を停止し、弁SV2、SV3を動作させたまま、ポンプP4を吸引動作させることにより、上記貯液槽1内の混合液の全量を流路L10の加熱分解槽5に収容されている部分まで吸引する。そして、弁SV2、SV3およびポンプP4の動作を停止し、加熱分解槽5にて流路L10内の混合液を加熱し、液状試料を得る。
加熱は、分析対象成分である元素をイオン化させるために行われる。以下、この加熱処理を加熱分解処理ともいう。加熱分解処理の条件としては、例えば、100~120℃で10~30分間の条件が挙げられる。
また、加熱分解処理中に、弁SV5を動作させ、ポンプP4を吐出動作させることにより、流路L5~L7内の対照試料を貯液槽1に導入する。次いで、弁SV7およびポンプP7を動作させ、流路L13、L14を通じて貯液槽1内の対照試料をタンクT5に排出させる。これにより、貯液槽1の洗浄が行われる。貯液槽1内の液体がすべて排出された後、弁SV5、SV7およびポンプP7の動作を停止する。
加熱分解処理後、弁SV2~SV4およびポンプP6を動作させ、貯液槽1に向けて送気する。これにより流路L10内の液状試料が貯液槽1に圧送される。
次いで、ポンプP1を動作させ、流路L1を通じて貯液槽1内の液状試料を検出部3に導入する。導入された液状試料は検出部3の流路を通過し、流路L2を経て貯液槽1に返送される。液状試料が検出部3の流路を満たした後、液状試料を一定の流量で流しながら、検出部3での計測を開始する。
検出部3では、液状試料で満たされた流路に電界を印加し、それによって発生したプラズマからの光を分光して計測する。計測は、例えば以下の条件で行われる。
印加電圧:800V,印加時間:2ミリ秒,印加休止時間:40ミリ秒,1測定当たりの印加回数:600回。
検出部3で計測された発光スペクトルの情報は、演算制御部7に入力される。演算制御部7は、分析対象成分に対応するスペクトル線の検出を行い、検出されたスペクトル線の強度(発光量I)を液状試料の分析対象成分濃度xに対応する信号強度とする。
(ステップA2)
ステップA2では、まず、ポンプP1を逆転動作させ、流路L2、検出部3および流路L1内に存在する液状試料(信号強度を測定した後の液状試料)の全量を貯液槽1に返送する。また、ポンプP3を動作させ、タンクT2内の標準液を所定量計量し、流路L4を通じて貯液槽1に導入する。その後、弁SV2~SV4およびポンプP6を動作させ、流路L11、L10を通じて貯液槽1内の液体に空気を送気し、バブリングさせる。これにより、液状試料に標準液が添加された添加試料が得られる。
添加試料の分析対象成分濃度は、液状試料の分析対象成分濃度xの関数として表される。すなわち、液状試料の体積をVmL、液状試料に添加した標準液の分析対象成分濃度をA、体積をVmLとすると、添加試料の分析対象成分濃度は、(x*V+A*V)/(V+V)で表される。
次いで、ポンプP1を動作させ、流路L1を通じて貯液槽1内の添加試料を検出部3に導入する。導入された添加試料は検出部3の流路を通過し、流路L2を経て貯液槽1に返送される。添加試料が検出部3の流路を満たした後、添加試料を一定の流量で流しながら、検出部3での計測を開始する。
検出部3での計測は、ステップA1と同じ条件で行われる。
検出部3で計測された発光スペクトルの情報は、演算制御部7に入力される。演算制御部7は、分析対象成分に対応するスペクトル線の検出を行い、検出されたスペクトル線の強度(発光量I)を添加試料の分析対象成分濃度に対応する信号強度とする。
計測終了後、ポンプP1を逆転動作させ、流路L2、検出部3および流路L1内に存在する添加試料の全量を貯液槽1に返送する。そして、弁SV7およびポンプP7を動作させて、貯液槽1内の添加試料を流路L13、L14を通じて排出する。
その後、貯液槽1、検出部3、流路L1、L2、L10、L15等を洗浄する。洗浄は、例えば、タンクT3から貯液槽1に対照試料を供給し、その対照試料を、上記混合液の代わりに流路L10の加熱分解槽5に収容されている部分まで吸引したり、上記液状試料や添加試料の代わりに流路L1を通じて検出部3に導入し、検出部3の流路および流路L2を経て貯液槽1に返送したりすることにより実施できる。タンクT3から貯液槽1への対照試料の供給は、後述するステップA3で示すようにして実施できる。洗浄後の対照試料は、貯液槽1から流路L13、L14を通じて排出される。
なお、検出部3で計測する液体を液状試料から添加試料に切り換える際には、洗浄を行わなくても、分析値に実質的な影響は見られない。
(ステップA3)
ステップA3では、まず、弁SV6を動作させると共にポンプP4を吸引動作させ、流路L8、L7を通じてタンクT3の対照試料をポンプP4内に吸引する。ポンプP4に吸引する液量は、貯液槽1に導入された対照試料の液面が流路L15の上流端の高さよりも上となるのに充分な液量に設定されている。次いで、弁SV6の動作を停止し、弁SV5を動作させ、ポンプP4を吐出動作させて、ポンプP4内の対照試料を流路L7、L6、L5を通じて送液する。これにより、タンクT3の対照試料の一定量が貯液槽1に供給される。その後、ポンプP4の動作を停止し、ポンプP7を動作させ、貯液槽1内の対照試料を流路L15の上流端から吸引し、流路L15、L14を通じて排出させ、貯液槽1内の対照試料の液面を流路L15の上流端の高さまで下げる。これにより、一定量の対照試料が貯液槽1に計量される。
次いで、ポンプP5を動作させ、タンクT4内の試薬を所定量計量し、流路L9を通じて貯液槽1に導入する。その後、弁SV2~SV4およびポンプP6を動作させ、流路L11、L10を通じて貯液槽1内の液体に空気を送気し、バブリングさせる。これにより、対照試料と試薬との混合液が得られる。
次いで、弁SV4およびポンプP6の動作を停止し、弁SV2、SV3を動作させたまま、ポンプP4を吸引動作させることにより、上記貯液槽1内の混合液の全量を流路L10の加熱分解槽5に収容されている部分まで吸引する。そして、弁SV2、SV3およびポンプP4の動作を停止し、加熱分解槽5にて流路L10内の混合液を加熱(加熱分解処理)して、ブランク試料を得る。このときの加熱分解処理は、ステップA1と同じ条件で行われる。また、加熱分解処理中に、ステップA1と同様にして貯液槽1の洗浄が行われる。
加熱分解処理後、弁SV2~SV4およびポンプP6を動作させ、貯液槽1に向けて送気する。これにより流路L10内のブランク試料が貯液槽1に圧送される。
次いで、ポンプP1を動作させ、流路L1を通じて貯液槽1内のブランク試料を検出部3に導入する。導入されたブランク試料は検出部3の流路を通過し、流路L2を経て貯液槽1に返送される。ブランク試料が検出部3の流路を満たした後、ブランク試料を一定の流量で流しながら、検出部3での計測を開始する。
検出部3での計測は、ステップA1と同じ条件で行われる。
検出部3で計測された発光スペクトルの情報は、演算制御部7に入力される。演算制御部7は、分析対象成分に対応するスペクトル線の検出を行い、検出されたスペクトル線の強度(発光量I)をブランク値としての信号強度、つまり分析対象成分濃度が0である場合の信号強度とする。
計測終了後、ポンプP1を逆転動作させ、流路L2、検出部3および流路L1内に存在するブランク試料の全量を貯液槽1に返送する。そして、弁SV7およびポンプP7を動作させて、貯液槽1内のブランク試料を流路L13、L14を通じて排出する。
検出部3で計測する試料が分析対象成分を含まない場合であっても、信号強度が測定される場合がある。また、測定対象試料を液状試料とする際の前処理(試薬の添加等)が、信号強度に影響することがある。測定対象試料を対照試料に置き換えて得られる、つまり対照試料に対し、測定対象試料に対して行う前処理と同じ前処理を行って得られるブランク試料について信号強度を求めておくことで、ゼロ校正を行うことができる。
(ステップA4)
ステップA4では、ステップA1~A3で得た、液状試料、添加試料およびブランク試料それぞれの信号強度(発光量I、I、I)と分析対象成分濃度との関係から、液状試料中の分析対象成分濃度xを算出する。
ステップA4について、図2を用いて詳述する。図2は、液状試料、添加試料およびブランク試料の分析対象成分濃度と発光量との関係を示す検量線である。
この検量線は、I=α*(濃度)+βで表される。式中のIは発光量、(濃度)は分析対象成分濃度を示す。また、液状試料の体積をVmL、液状試料に添加した標準液の分析対象成分濃度をA、体積をVmLとしたときの添加試料の分析対象成分濃度は、上述のとおり、(x*V+A*V)/(V+V)である。液状試料、添加試料およびブランク試料それぞれの分析対象成分濃度と信号強度を上記検量線に当てはめると、以下の式(1)~(3)が得られる。
=β ・・・(1)
=α*x+β ・・・(2)
=α*(x*V+A*V)/(V+V)+β ・・・(3)
上記式(1)~(3)をxについて解くことで、xの値が得られる。
例えば、上記式(1)~(3)をxについて解くと、以下の式(4)が得られる。この式の右辺の符号に既知の値を代入することでxの値が得られる。
x=A*V*(I-I)/(I*V+I*V-I*V-I*V) ・・・(4)
また、算出されたxの値から、測定対象試料中の分析対象成分濃度yを算出できる。すなわち、分析に供した測定対象試料中の分析対象成分の質量と、この測定対象試料から得られた液状試料中の分析対象成分の質量とは同じである。そのため、測定対象試料の体積をVmLとしたとき、以下の式(5)によりyの値が得られる。
y=x*V/V ・・・(5)
以上説明したように、本発明の分析方法は、従来の標準添加法に比べて分析操作が簡単であり、分析操作の自動化も容易である。例えば、標準添加法では一般に、同一量の複数の測定対象試料を用意し、各測定対象試料に異なる量の標準液を添加し、各々一定量となるように希釈して、検量線用試料を調製している。各試料の希釈は精度良く行う必要があり、手間も時間もかかる。本発明の分析方法では、測定対象試料を複数用意したり希釈したりすることなく分析を行うことができ、分析時間の大幅な短縮が可能である。
また、標準添加法では、上記のように複数の測定対象試料を用意する必要があるため、ある程度の量の測定対象試料が必要になる。また、測定に際して試薬を用いて前処理等を行う場合、前処理等に必要な試薬の量も多くなる。本発明の分析方法によれば、従来の標準添加法に比べて、測定に必要な測定対象試料や試薬の量を低減できる。
また、本発明の分析方法は、標準添加法や内標準法と同様に、検量線法が適さない場合、例えば試料に含まれる分析対象成分以外の共存成分が測定結果に影響するような場合にも利用できる。
したがって、本発明の分析方法は、従来の標準添加法における分析操作の煩雑さを改善した、実用性に優れたものである。
本発明の分析装置によれば、本発明の分析方法を実施できる。
また、本発明の分析方法は、液体電極プラズマ発光分析法により分析を行うための方法として有用である。従来、液体に含まれる元素等の分析には、ICP(高周波誘導結合プラズマ)発光分析法が汎用されている。ICP発光分析法は液体電極プラズマ発光分析法と同様に、共存成分の影響を受ける。このためICP発光分析法による定量分析には、主に、分析対象元素と同様の挙動を示す他の元素(イットリウム等)を標準物質として添加する内標準法が用いられることが多い。しかし、液体電極プラズマ発光分析法の場合、内標準法ではうまく分析を行うことができない。例えば分析値の変動が大きい。これは、液体電極プラズマ発光分析法では、ICP発光分析法に比べて、発生するプラズマの安定性が低いためと考えられる。一方で、液体電極プラズマ発光分析法では分析操作が試料の性状に与える変化が非常に小さいため、本発明の分析方法を適用できる。本発明の分析方法では、液体電極プラズマ発光分析法による分析を良好に行うことができる。
なお、本発明の分析方法および分析装置は上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
上記実施形態では、液状試料等の分析対象成分濃度に対応する信号強度を測定するための分析法として、液体電極プラズマ発光分析法を例にとって説明したが、本発明の分析方法に適用される分析法はこれに限られず、液状試料の物理的および化学的性状を実質的に変化させない分析法であればよい。このような分析法の他の例としては、例えばイオン電極法や蛍光X線分析法等が挙げられる。
測定対象試料に対し、試薬を添加し加熱分解処理する前処理を行う例を示したが、前処理は、適用する分析法(検出部の種類)に応じて適宜変更し得る。分析法によっては、前処理を行わず、測定対象試料(または対照試料)をそのまま液状試料(またはブランク試料)としてもよい。
上記実施形態では、ステップA1~A4をこの順に行う例を示したが、ステップA3、A1、A2、A4の順に行ってもよい。
必要に応じて、ステップA2において、標準液を添加した添加試料(以下、第一の添加試料)についての計測終了後、この第一の添加試料を貯液槽1に返送し、標準液を貯液槽1に供給して、分析対象成分濃度がxの関数として表される第二の添加試料を得て、この第二の添加試料を検出部3に供給し、第二の添加試料の分析対象成分濃度に対応する信号強度を測定するようにしてもよい。この場合、ステップA4において、液状試料、第一の添加試料および前記ブランク試料それぞれの分析対象成分濃度と信号強度との関係から、または液状試料、第二の添加試料およびブランク試料それぞれの分析対象成分濃度と信号強度との関係から、液状試料中の分析対象成分濃度xを算出するようにすることができる。
例えば液状試料に最初に添加したのと同じ濃度および量の標準液を第一の添加試料に添加した場合、つまり、分析対象成分濃度Aの標準液がVmL、トータルで2VmL添加された場合、第二の添加試料中の分析対象成分濃度は、(x*V+A*2V)/(V+2V)で表される。この第二の添加試料について測定した信号強度(発光量I)をステップA4で用いる場合、前記の式(3)が下記の式(3’)に置き換わり、式(4)が下記の式(4 ’)に置き換わる。
=α*(x*V+A*V)/(V+V)+β ・・・(3’)
x=(2*A*V*I+2*A*V*I+V*I+2*V*I)/(V*I+2*V*I-V*I-V*I) ・・・(4 ’)
添加試料中の分析対象成分濃度は、検量線の精度の点から、液状試料中の分析対象成分濃度xの2倍程度になることが好ましい。つまり、添加試料の信号強度からブランク試料の信号強度を減じた値が、液状試料の信号強度からブランク試料の信号強度を減じた値の2倍程度になることが好ましい。しかし、液状試料中の分析対象成分濃度が未知であるため、ステップA2での標準液の添加後に、分析対象成分濃度がほとんど変化しない可能性が考えられる。そこで、最初に標準液を添加した第一の添加試料に、信号強度を測定した後に再度標準液を添加し、得られた第二の添加試料の信号強度を測定する。そして、ステップA4で、第一の添加試料および第二の添加試料のうち、より適切な信号強度が得られた方の結果を用いて、液状試料中の分析対象成分濃度xを算出する。これにより、より正確なxの値を得ることができる。
<使用材料>
亜鉛標準液原液:亜鉛濃度1000mg/L、原子吸光分析用、関東化学株式会社製。
塩酸:試薬特級、関東化学株式会社製。
標準液:亜鉛標準液原液を塩酸で、亜鉛濃度が5mg/L、塩酸濃度が0.56モル/Lとなるように希釈した希釈液。
試料A:亜鉛標準液原液を純水で、亜鉛濃度が0.2mg/Lとなるように希釈した希釈液。
試料B:亜鉛標準液原液を純水で、亜鉛濃度が1mg/Lとなるように希釈した希釈液。
<試験例1>
図1に示す構成の液体電極プラズマ発光分析装置を用い、以下の手順で分析を行った。
タンクT1に測定対象試料として純水、タンクT2に標準液、タンクT3に対照試料として純水、タンクT4に前処理用試薬として塩酸水溶液を収容し、前述のステップA1~A4を順次行って発光量を測定した。測定(ステップA1~A4)は7回行った。
貯液槽1に収容する測定対象試料、対照試料それぞれの液量は5mL、前処理用試薬の添加量は1mL(添加後の塩酸濃度:約3.3モル/L)、標準液の添加量は0.5mLとした。検出部3としては株式会社マイクロエミッション製液体電極プラズマ発光分析装置MH-5000を用い、検出部3での測定条件は以下のようにした。
印加電圧:800V,印加時間:2ミリ秒,印加休止時間:400ミリ秒,1測定当たりの印加回数:600回。
測定条件を前記式(4)に代入した計算式、対照試料から得たブランク試料の発光量の平均値(I)、測定対象試料から得た液状試料の発光量(I)、添加試料の発光量(I)、これらの結果および前記計算式から算出した亜鉛濃度の計算値、それらの平均値をそれぞれ表1に示す。
測定対象試料を純水から試料Aに変更した以外は上記と同様にして分析を行った。測定条件を前記式(4)に代入した計算式、対照試料から得たブランク試料の発光量の平均値(I)、測定対象試料から得た液状試料の発光量(I)、添加試料の発光量(I)、これらの結果および前記計算式から算出した亜鉛濃度の計算値、それらの平均値および変動係数をそれぞれ表2に示す。
測定対象試料を純水から試料Bに変更し、標準液の添加量を1.0mLとした以外は上記と同様にして分析を行った。測定条件を前記式(4)に代入した計算式、対照試料から得たブランク試料の発光量の平均値(I)、測定対象試料から得た液状試料の発光量(I)、添加試料の発光量(I)、これらの結果および前記計算式から算出した亜鉛濃度の計算値、それらの平均値および変動係数をそれぞれ表3に示す。
Figure 0007015101000001
Figure 0007015101000002
Figure 0007015101000003
<試験例2:検量線法による分析>
亜鉛濃度0mg/Lの検量線用試料として、純水を用意した。亜鉛濃度1mg/Lの検量線用試料として、前記亜鉛標準液原液を純水で希釈した希釈液を用意した。
これらの検量線用試料について、図1に示す構成の液体電極プラズマ発光分析装置を用いて発光量を測定し、検量線を作成した。発光量は、タンクT1に検量線用試料を収容し、上述のステップA1を行うことにより測定した。検出部3および検出部3での測定条件は試験例1と同様とした。測定は3回行い、平均値をその検量線用試料の発光量とした。
各検量線用試料の亜鉛濃度と発光量から、検量線:I=α*x+βにおけるα、βの値を算出した。Iは発光量、xは亜鉛濃度を示す。
検量線用試料を純水、試料Aまたは試料Bに変更した以外は上記と同様にして発光量の測定を行った。測定は各試料について7回行った。
純水、試料A、試料Bそれぞれから得た液状試料の発光量(I)、平均値、発光量および前記検量線から算出した亜鉛濃度の計算値をそれぞれ表4~6に示す。試料Aまたは試料Bについては亜鉛濃度の計算値の変動係数も併せて示す。
Figure 0007015101000004
Figure 0007015101000005
Figure 0007015101000006
表1と表4との対比、表2と表5との対比、表3と表6との対比から、本発明の分析方法を用いた試験例1で求められた亜鉛濃度は、試験例2で検量線を用いて求められた値と同等であることが確認できた。
1…貯液槽、3…検出部、5…加熱分解槽、7…演算制御部、P1~P7…ポンプ、L1~L15…流路

Claims (3)

  1. 測定対象試料から得られ、貯液槽に収容された液状試料の一部を、液体電極プラズマ発光分析法の検出部に導入して前記液状試料の分析対象成分濃度xに対応する信号強度を測定するステップと、
    前記信号強度を測定した後の液状試料を前記検出部から前記貯液槽に返送し、既知量の分析対象成分を含む標準液を前記貯液槽に添加し、前記xの関数として表される分析対象成分濃度を有する添加試料を得て、前記添加試料の一部を、前記検出部に導入して前記添加試料の分析対象成分濃度に対応する信号強度を測定するステップと、
    前記測定対象試料を、分析対象成分を含まない対照試料に置き換えて得られ、前記貯液槽に収容されたブランク試料の一部を、前記検出部に導入してブランク値としての信号強度を測定するステップと、
    前記液状試料、前記添加試料および前記ブランク試料それぞれの分析対象成分濃度と信号強度との関係から、前記液状試料中の分析対象成分濃度xを算出するステップと、
    を有することを特徴とする分析方法。
  2. 前記液状試料が、前記測定対象試料に対して前処理を施したものである請求項1に記載の分析方法。
  3. 液体を収容する貯液槽と、
    液体電極プラズマ発光分析法により、液体の分析対象成分濃度に対応する信号強度を測定する検出部と、
    前記貯液槽内の液体の一部を前記検出部に供給し、その後前記検出部から前記貯液槽に返送する液体移送手段と、
    前記貯液槽に測定対象試料を供給する測定対象試料供給手段と、
    前記貯液槽に既知量の分析対象成分を含む標準液を供給する標準液供給手段と、
    前記貯液槽に分析対象成分を含まない対照試料を供給する対照試料供給手段と、
    前記貯液槽内の液体に対して前処理を施す前処理手段と、
    前記検出部、前記液体移送手段、前記測定対象試料供給手段、前記標準液供給手段、前記対照試料供給手段および前記前処理手段を制御すると共に、前記検出部で得られる信号強度が入力される演算制御部と、を備え、
    前記演算制御部は、
    測定対象試料を前記貯液槽に供給し、前処理を施して液状試料とし、前記液状試料の一部を前記貯液槽から前記検出部に供給し、前記液状試料の分析対象成分濃度xに対応する信号強度を測定するステップと、
    前記信号強度を測定した後の液状試料を前記検出部から前記貯液槽に返送し、既知量の分析対象成分を含む標準液を前記貯液槽に供給して、前記xの関数として表される分析対象成分濃度を有する添加試料を得て、前記添加試料の一部を前記検出部に供給し、前記添加試料の分析対象成分濃度に対応する信号強度を測定するステップと、
    分析対象成分を含まない対照試料を前記貯液槽に供給し、前処理を施してブランク試料とし、前記ブランク試料の一部を前記貯液槽から前記検出部に供給し、ブランク値としての信号強度を測定するステップと、
    前記液状試料、前記添加試料および前記ブランク試料それぞれの分析対象成分濃度と信号強度との関係から、前記液状試料中の分析対象成分濃度xを算出するステップと、
    を行うように構成されていることを特徴とする液体電極プラズマ発光分析装置。
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