JP2018136190A - La−icp−ms装置を用いた定量分析方法およびla−icp−ms装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】固体標準試料を用いることなく、定量分析を可能とする、LA−ICP−MS装置を用いた定量分析方法を提供する。【解決手段】本発明の定量分析方法は、LA部2、またはETV部1によって生じた試料の微粉体をイオン化して質量分析を行うICP−MS部3を備えるLA−ICP−MS装置を用いる。そして、分析対象の固体試料9にレーザーアブレーションを行うことによって生じた試料の微粒子をICP−MS部3へ導入し、固体試料9の検出元素イオンの第1信号強度を測定する工程と、固体試料9に含まれた元素を既知量含む標準液体試料49を加熱気化することによって生じた試料の微粒子をICP−MS部3へ導入し、標準液体試料49から得られた上記検出元素の検出元素イオンの第2信号強度を測定する工程と、第1信号強度と、第2信号強度とに基づいて固体試料9中の上記検出元素の含有量を求める工程と、を有する。【選択図】図1
Description
本発明は、LA−ICP−MS装置を用いた定量分析方法およびLA−ICP−MS装置に関する。
ICP−MS(Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometer)装置は、誘導結合によって生成される約10,000℃のアルゴンガスのプラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)を利用して液体試料中の元素をイオン化し、質量分析(MS:Mass Spectrometer)を行う装置である。
また、LA−ICP―MS(Laser Ablation-Inductively Coupled Plasma Mass Spectrometer)装置は、LA部においてレーザー光を固体試料に照射し、試料の一部を爆発的に剥離させて生じた微粒子またはガス化物をICP−MS部(誘導結合プラズマ質量分析部)に導入して試料に含まれる元素の定量分析を行う装置である。
例えば、下記特許文献1には、LA−ICP−MS装置によって、従来測定困難だった炭素などの元素を測定し、その元素を多く含む測定試料の測定結果を補正することにより、測定試料中の測定元素を精度良く定量分析する技術が開示されている。
しかしながら、上記ICP−MS装置において、固体試料を分析する場合には、液化が必要である。このため、例えば、セラミックスやガラスなどの耐薬品性に優れ、酸溶解に時間と手間を要する試料については、分析が困難な場合がある。
一方、LA−ICP―MS装置において、固体試料中の元素濃度を求めるためには、固体試料と類似の組成を有し、測定対象である上記元素の濃度が既知である固体標準試料が必要となる。そのため、固体標準試料が市販されていない、または、固体標準物質を作製することが困難な材料については、定量分析が困難であった。
そこで、本発明の目的は、固体標準試料を用いることなく、LA−ICP−MS装置を用いて定量分析する方法を提供することにある。また、固体標準試料を用いることなく、定量分析が可能なLA−ICP−MS装置を提供することにある。
本発明の前記ならびにその他の目的と新規な特徴は、本明細書の記述および添付図面から明らかになるであろう。
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、次のとおりである。
本発明のLA−ICP−MS装置を用いた定量分析方法は、(a)内部に第1試料が配置される第1試料室を有し前記第1試料にレーザーアブレーションを行うLA部と、内部に第2試料が配置される第2試料室を有し前記第2試料の気化を行うETV部と、前記LA部および前記ETV部と接続され、前記LA部または前記ETV部で処理された前記第1試料または前記第2試料をイオン化して質量分析を行うICP−MS部と、を有するLA−ICP−MS装置を用意する工程、(b)分析対象の固体試料である前記第1試料を前記第1試料室に配置し、前記第1試料にレーザーアブレーション処理を施し、処理された前記第1試料を前記ICP−MS部に導入し、前記第1試料から得られた検出元素イオンの第1信号強度を測定する工程、(c)前記第1試料に含まれた前記検出元素を既知の濃度含む標準液体試料である前記第2試料を前記第2試料室に配置し、前記第2試料に加熱気化処理を施し、処理された前記第2試料を前記ICP−MS部に導入し、前記第2試料から得られた前記検出元素イオンの第2信号強度を測定する工程、(d)前記第1信号強度と、前記第2信号強度と、前記既知の濃度とに基づいて前記第1試料中の前記検出元素の含有量を求める工程、を含む。
本発明のLA−ICP−MS装置は、内部に第1試料が配置される第1試料室を有し前記第1試料にレーザーアブレーションを行うLA部と、内部に第2試料が配置される第2試料室を有し前記第2試料の気化を行うETV部と、前記LA部および前記ETV部と接続され、前記LA部または前記ETV部で処理された前記第1試料または前記第2試料をイオン化して質量分析を行うICP−MS部と、を有し、前記第1試料は、分析対象の固体試料であり、前記第2試料は、前記第1試料に含まれた前記検出元素を既知の濃度で含む標準液体試料である。
本願において開示される発明のうち、代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば以下のとおりである。
本願において開示される発明によれば、固体標準試料を用いることなく、LA−ICP−MS装置を用いて定量分析を行うことができる。また、固体標準試料を用いることなく、定量分析が可能なLA−ICP−MS装置を実現することができる。
以下、実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための全図において、同一の機能を有する部材には同一または関連する符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
(実施の形態)
<LA−ICP−MS装置>
図1は、本実施の形態のLA−ICP−MS装置(レーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析装置)の構成を示す模式図である。
<LA−ICP−MS装置>
図1は、本実施の形態のLA−ICP−MS装置(レーザーアブレーション誘導結合プラズマ質量分析装置)の構成を示す模式図である。
図1に示すように、本実施の形態のLA−ICP−MS装置は、分析対象(被検査試料)の固体試料にレーザー光を照射してレーザーアブレーションを行うLA部2と、分析対象の固体試料に含まれる元素を既知濃度で含む標準液体試料の加熱気化を行うETV(Electrothermal Vaporization、加熱気化、電熱気化)部1と、ETV部1またはLA部2から導入された試料をプラズマでイオン化して質量分析を行うICP−MS部3と、を有する。
(1)LA部2は、試料室4、レーザー照射部5、CCDカメラ6を主として備えている。試料室4内にはステージ8が備えられており、このステージ8の上には、分析対象の固体試料9が配置される。ステージ8は、X、Y、Z方向に移動可能に制御される。
このようなLA部2において、レーザー照射部5から所定の波長で出射されたレーザー光は、ハーフミラー10で反射され、レンズ17を通り、分析対象の固体試料9へと照射される。レーザーとしては、例えば、Nd:YAGレーザーやTi:Sapphireレーザーなどを用いることができる。CCDカメラ6は、試料室4内に配置された分析対象の固体試料9を観察できる位置に配置され、例えば、固体試料9の表面におけるレーザー光の照射位置を観察する。
試料室4には、ヘリウム(He)やアルゴン(Ar)などの希ガスよりなるキャリアガスを試料室4内に導入する管19と、試料室4外に導出する管20とが接続されている。
管20は、ICP−MS部3側の管22に接続されている。そして、管19によって試料室4内へ導入されたキャリアガスは、レーザー光の照射によって気化された固体試料9と共に、管20、22を通ってICP−MS部3へ導かれる。ここで、レーザー光の照射によって、固体試料9は瞬時に加熱され気化されるが、その後、再凝集(再凝縮)し、微粒子となる。ここでは、レーザー光の照射後の試料を微粒子として説明するが、レーザー光の照射後の試料の形態に制限はなく、キャリアガスとともにICP−MS部3へ導かれ分析可能な状態形態であればよい。
(2)一方、ETV部1は、試料室40を備え、試料室40内には、電源(電源ユニット)に接続された第1電極(第1端子)T1および第2電極(第2端子)T2と、第1電極T1と第2電極T2との間に接続され、標準液体試料49を配置する搭載部41と、を有する。
試料室40には、ヘリウム(He)やアルゴン(Ar)などの希ガスよりなるキャリアガスを試料室40内に導入する管24と、試料室40外に導出する管23とが接続されている。
管23は、ICP−MS部3側の管22に接続されている。そして、管24によって試料室4内へ導入されたキャリアガスは、加熱によって気化された標準液体試料49と共に、管23、22を通ってICP−MS部3へ導かれる。ここで、加熱によって、標準液体試料49は瞬時に気化されるが、その後、再凝集(再凝縮)し、微粒子となる。ここでは、加熱気化後の試料を微粒子として説明するが、加熱気化後の試料の形態に制限はなく、キャリアガスとともにICP−MS部3へ導かれ分析可能な状態形態であればよい。
このように、ETV部1、LA部2およびICP−MS部3は、上記管(20、22、23)を介して接続され、ETV部1からICP−MS部3へ、LA部2からICP−MS部3へ、試料を搬送可能に構成されている。よって、本実施の形態の装置は、LA・ETV−ICP−MS装置とも言える。なお、上記管(20、22、23)中に、電磁弁などを設け、ETV部1からICP−MS部3への試料の搬送と、LA部2からICP−MS部3への試料の搬送を切り替えてもよい。
図2は、ETV部の構成例を示す模式図であり、図3は、電極台と蒸発チャンバーを示す側面図および上面図である。図4は、電極台の電極部近傍の斜視図である。
図2に示すように、試料室(40)は、電極台ELと蒸発チャンバーVCとからなる。図3(a)に示すように、電極台ELは、第1電極(第1端子)T1および第2電極(第2端子)T2と、第1電極T1と第2電極T2との間に接続されたタングステンフィラメント(導電体、導体)WFよりなる搭載部41とを有する。
蒸発チャンバーVCには、キャリアガスを導入する管24と、キャリアガスを蒸発チャンバーVC外に導出する管23とが接続されている(図3(b))。管23は、ICP−MS部3と管22を介して接続される(図1参照)。
電極台ELと蒸発チャンバーVCは、例えば、ホウケイ酸ガラス製である。電極台ELは、蒸発チャンバーVCの開放端に挿入され(図2参照)、これらの接続部には、例えば、SPCジョイント構成を用いることができる。
図3(a)および図4に示すように、第1電極(第1端子)T1および第2電極(第2端子)T2は、それぞれ、銅製の支持部T1B、T2Bと、銅製のプレート部T1P、T2Pとを有する(図4参照)。銅製のプレート部T1P、T2Pは、銅製の支持部T1B、T2Bに、真ちゅう製のネジSCにより、取り外し可能に固定されている。そして、銅製のプレート部T1Pと銅製の支持部T1Bとの間には、タングステンフィラメントWF(41)の一端が、挟み込まれ、ネジSCにより固定されている。また、銅製のプレート部T2Pと銅製の支持部T2Bとの間には、タングステンフィラメントWF(41)の他端が、挟み込まれ、ネジSCにより固定されている。タングステンフィラメントWF(41)の略中央にはループRが形成されている。タングステンフィラメントWF(41)の直径は、例えば、0.2mm程度であり、ループRの直径(ループ径)は、例えば、2mm程度である。このタングステンフィラメントWF(41)のループRに、標準液体試料の液滴を搭載(注入、保持)する。なお、図4においては、ループRを一重としたが、ループRを多重(コイル状)としてもよい。このようなループR内に保持する試料(液滴)の量は、例えば、3〜10μL程度で充分である。このように、ループRを試料の搭載部(41)とすることで、微量な試料(液滴)を液滴の表面張力を利用し、保持することができ、制御性および効率良く、試料(液滴)を加熱気化することができる。
上記第1電極(第1端子)T1および第2電極(第2端子)は、電源ユニットPSUと接続されている(図2参照)。図2に示すように、電源ユニットPSUは、例えば、並列に接続された電源PとコンデンサCとを有する。また、電源ユニットPSUは、タイマーTMと、スイッチSWa、SWb、SWcとを有する。電源Pは、例えば、最大値3.0A、40Vの直流電源である。コンデンサCは、例えば、0.22Fの大容量コンデンサである。電源ユニットPSUの各構成部品は、例えば、アルミ合金製の箱などに収納することができる。
上記第1電極(第1端子)T1は、例えば、タイマーTMおよびスイッチSWaを介して電源Pの一端に接続されている。また、第2電極(第2端子)T2は、例えば、電源Pの他端に接続されている。
また、上記第1電極(第1端子)T1は、例えば、スイッチSWcを介してコンデンサCの一端に接続されている。また、第2電極(第2端子)T2は、例えば、コンデンサCの他端に接続されている。
また、電源Pの一端は、例えば、スイッチSWbを介してコンデンサCの一端に接続され、電源Pの他端は、コンデンサCの他端に接続されている。
例えば、スイッチSWaをオンすることにより、電源PによりタングステンフィラメントWF(41)が通電され、ループR内の試料(液滴)を乾燥することができる。上記タイマーTMは、例えば、乾燥時間の制御に用いる。
次いで、例えば、スイッチSWaをオフ、スイッチSWbをオンすることにより、電源PによりコンデンサCを充電する。
次いで、例えば、スイッチSWa、SWbをオフし、スイッチSWcをオンすることにより、コンデンサCによりタングステンフィラメントWF(41)が通電され、ループR内の試料を一気に加熱気化する。言い換えれば、コンデンサCにより第1電極(第1端子)T1と第2電極(第2端子)T2との間に電圧が印加され、ループR内の試料を一気に加熱気化する。なお、図2に示すように、スイッチSWcとして多極スイッチを用いることにより、放電のタイミングを外部装置に知らせることができる。
このように、上記電源ユニットPSUを用いることで、試料49の乾燥および加熱気化を、制御性および効率良く、行うことができる。
(3)次に、ICP−MS部3について説明する(図1参照)。ICPは、前述したように、Inductively Coupled Plasma(誘導結合プラズマ)の略であり、高周波電磁誘導によって希ガスをプラズマ化して高温状態を実現する技術を意味する。ICP−MS部3では、高周波電磁誘導により維持された高温のプラズマによって測定対象物をイオン化させ、そのイオンを質量分析装置で検出することにより、原子種やその濃度を計測する。
ICP−MS部3は、管22からキャリアガスと共に導入された試料(9、49)の微粒子を、イオン化するプラズマを発生させるプラズマトーチ21と、このプラズマトーチ21の先端部近傍に位置するイオン導入部を有する質量分析部25とを備えている。
プラズマトーチ21は、例えば3重管構造となっており、管22からキャリアガスが導入され、管26からプラズマ形成用のプラズマガスが導入されるようになっている。プラズマガスとしては、例えば、希ガス(例えば、アルゴンガスなど)を用いる。
プラズマトーチ21は、例えば3重管構造となっており、管22からキャリアガスが導入され、管26からプラズマ形成用のプラズマガスが導入されるようになっている。プラズマガスとしては、例えば、希ガス(例えば、アルゴンガスなど)を用いる。
そして、プラズマトーチ21には、図示しない高周波電源に接続された高周波コイル28が設けられており、この高周波コイル28に、例えば27.12MHzもしくは40.68MHz、1〜2KW程度の高周波電流が加えられることにより、プラズマトーチ21の先端側の内部にプラズマが形成される。
質量分析部25においては、プラズマトーチ21で生じたイオンを、イオン導入部を介して、イオンレンズ部(25a)及び質量分析計部(25b)内に導入する。イオンレンズ部(25a)及び質量分析計(25b)内は、真空ポンプによって、プラズマトーチ21側のイオンレンズ部(25a)が低真空室、その奥の質量分析計部(25b)が高真空室となるように減圧されている。なお、LA部2の試料室4、ETV部1の試料室40は、常圧(大気圧)でよい。
そして、質量分析部25の処理室25a内において、上記プラズマの光とイオンをイオンレンズ33で分離してイオンのみを通過させ、質量分析計部(25b)でイオンの質量電化比毎にイオンを分離して検出器35で検出する。例えば、検出元素イオンの信号を、時間ごとにチャートとして表示させることができる(図5参照)。検出元素の濃度は、信号強度(ピーク高さ)と対応する。
<定量分析方法>
<<標準液体試料の調整>>
標準液体試料(49)としては、例えば、金属元素(金属イオン)を含む液を用いることができる。特に、金属の水溶液もしくは強酸酸性溶液(強酸酸性水溶液)を用いることが好ましい。強酸としては、硝酸、塩酸、硫酸を用いることができる。このような、金属の標準液体試料は、市販されているものも多い。例えば、シグマアルドリッチ製や関東化学製のものがある。
<<標準液体試料の調整>>
標準液体試料(49)としては、例えば、金属元素(金属イオン)を含む液を用いることができる。特に、金属の水溶液もしくは強酸酸性溶液(強酸酸性水溶液)を用いることが好ましい。強酸としては、硝酸、塩酸、硫酸を用いることができる。このような、金属の標準液体試料は、市販されているものも多い。例えば、シグマアルドリッチ製や関東化学製のものがある。
具体的には、Ag、Al、As、Au、B、Ba、Be、Bi、Ca、Cd、Ce、Co、Cr、Cs、Cu、Dy、Er、Eu、Fe、Ga、Gd、Ge、Hg、Ho、In、K、La、Li、Lu、Mg、Mn、Mo、Na、Nb、Nd、Ni、Pb、Pd、Pr、Pt、Rb、Rh、Sb、Sc、Se、Si、Sm、Sn、Sr、Ta、Tb、Te、Ti、Tl、Tm、V、W、Y、Yb、Zn、Zrの水溶液もしくは強酸酸性溶液を、標準液体試料として用いることができる。
中でも、硝酸酸性溶液で用いることが好ましい金属としては、Ag、Crが挙げられる。また、塩酸酸性溶液で用いることが好ましい金属としては、Sn、Sbが挙げられる。硫酸酸性溶液で用いることが好ましい金属としては、Tiが挙げられる。もちろん、測定対象金属を強酸を用いて溶解したものを作製し、標準液体試料(49)として用いてもよい。
標準液体試料となる、上記のような金属元素(金属イオン)を含む液を、単に“標準液”と言う場合がある。例えば、Crの強酸酸性溶液を“Cr標準液”と言う。
ここで、上記標準液体試料(49)としては、複数の金属の標準液を混合したものを用いてもよい。例えば、後述する内標準金属(内標準元素)の標準液と測定対象金属の標準液を混合したものを標準液体試料(49)としてもよい。また、複数の測定対象金属の標準液を混合したものを標準液体試料(49)としてもよい。
このように、金属の標準液を標準液体試料として用いることで、試料中の濃度や、金属の混合比などを容易に調整することができる。
<<固体試料に含まれる特定元素の定量分析>>
固体試料に含まれる元素については、元素に固有の数値である質量電化比をLA−ICP−MS装置によって検出することにより判断することができる。よって、LA−ICP−MS分析により、あらかじめ固体試料に含まれる元素を特定しておき(定性分析)、これにより検出された各元素の量を上記標準液体試料を用いて定量する。以下に、定量分析方法について説明する。
固体試料に含まれる元素については、元素に固有の数値である質量電化比をLA−ICP−MS装置によって検出することにより判断することができる。よって、LA−ICP−MS分析により、あらかじめ固体試料に含まれる元素を特定しておき(定性分析)、これにより検出された各元素の量を上記標準液体試料を用いて定量する。以下に、定量分析方法について説明する。
まず、分析対象の固体試料に含まれる元素を含有し、この元素の濃度が既知である標準液体試料を準備する。言い換えれば、上記定性分析で検出された特定元素を既知の濃度(含有量)で含む標準液体試料を準備する。この標準液体試料を、電極台ELのタングステンフィラメントWFよりなる搭載部41に搭載し、タングステンフィラメントWFに、例えば、数Aの電流を数十秒間流して標準液体試料を加熱乾燥する。
次いで、例えば、数十VでコンデンサCを充電した後、コンデンサCを放電してタングステンフィラメントWFを一気に加熱し、タングステンフィラメントWF上の試料を気化させる。加熱気化処理した試料(微粒子)を、キャリアガスによりICP−MS部3に導入し、質量分析を行う。分析結果より、含有元素の信号強度と元素濃度との関係が分かる。
また、分析対象の固体試料を、試料室4のステージ8上に搭載し、CCDカメラ6により、固体試料9におけるレーザー光の照射位置を確認した後、レーザー光を照射し、固体試料9を微粒子化する。微粒子化した試料を、キャリアガスによりICP−MS部3に導入し、質量分析を行う。測定された分析対象の固体試料中の元素の信号強度と、上記含有元素の信号強度との関係から、分析対象の固体試料中の元素の濃度(含有量)が分かる。
<<検量線の作製>>
検量線を用いて、分析対象の固体試料中の元素の濃度(含有量)を求めてもよい。例えば、標準液体試料中の元素の濃度を変えて質量分析を行い、各濃度と信号強度との関係に基づき検量線を作成する。この検量線から、分析対象の固体試料中の元素の信号強度と対応する濃度を読み取り、当該元素を定量してもよい。
検量線を用いて、分析対象の固体試料中の元素の濃度(含有量)を求めてもよい。例えば、標準液体試料中の元素の濃度を変えて質量分析を行い、各濃度と信号強度との関係に基づき検量線を作成する。この検量線から、分析対象の固体試料中の元素の信号強度と対応する濃度を読み取り、当該元素を定量してもよい。
図5は、標準液体試料に由来する信号と、分析対象の固体試料に由来する信号とを示す模式データである。図5に示す信号の内、標準液体試料に由来する信号をETVSで示し、分析対象の固体試料に由来する信号をLASで示す。例えば、標準液体試料に由来する信号をETVSにおいては、濃度が大きくなるにしたがって信号強度が大きくなっている。このような、濃度と信号強度の関係から検量線を作成し、分析対象の固体試料に由来する信号をLASの信号強度から固体試料に含まれる元素を定量することができる。
また、標準液体試料として、内標準金属M0の標準液と、測定対象の金属M1の標準液体試料とを混合したものを用いて、検量線を作成してもよい(内標準法)。内標準金属としては、分析対象の固体試料の主成分、言い換えれば、含有率の一番大きな元素(母材)を用いることができる。この場合、濃度と信号強度比(測定対象の金属M1の信号強度/内標準金属M0の信号強度)との関係に基づき検量線を作成する(図7参照)。このような検量線を用いることにより、定量分析の精度を向上させることができる。
また、複数の測定対象の金属M1、M2、M3…について、標準液を混合したものを標準液体試料として用いてもよい。この場合、一度の質量分析により、複数の金属の信号を検出することができ、複数の金属の定量を行うことができる。
[実施例]
次に、上記実施の形態に係る定量分析方法によって分析対象の固体試料の特定元素濃度(Cr濃度およびNi濃度)を測定した実施例について説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。
次に、上記実施の形態に係る定量分析方法によって分析対象の固体試料の特定元素濃度(Cr濃度およびNi濃度)を測定した実施例について説明する。なお、本発明は、以下の実施例によって限定されるものではない。
以下の実施例では、レーザーアブレーション装置(LA部)としては、ESI社製NWR−FEMTOを用いた。レーザーアブレーション装置(LA部)のステージ上の空間(試料セル)の大きさは、幅105mm×奥行105mm×高さ20mmである。ステージの高さについては、調整が可能である。また、試料セルの上部には、フェムト秒レーザー光が透過可能な窓が設けられている。また、試料セルには、キャリアガスの供給口、ICP−MS部に繋がる管の接続口が設けられている。
また、誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS部)としては、GBC Scientific社製OptiMass 9500を用いた。
また、加熱気化導入装置(ETV部)としては、図2〜図4を参照しながら説明した装置を用いた。
レーザーアブレーション装置(LA部)と、誘導結合プラズマ質量分析装置(ICP−MS部)との間を接続する管(管20、22)としては、長さ約1m×内径4mmのナイロンチューブを用いた。このナイロンチューブの途中に樹脂製の三又ジョイントを接続し、内径4mmのビニルチューブ(管23)で加熱気化導入装置(ETV部)と接続した。
分析対象の固体試料(9)としては、ステンレス鋼(AISI304 IARM2F)を用いた。ステンレス鋼は、鉄(Fe)を主成分(50%以上)とし、クロム(Cr)などを含む合金鋼である。また、標準液体試料としては、市販のFe標準液、Cr標準液、Ni標準液の混合液を用いた。Fe標準液、Cr標準液、Ni標準液のそれぞれの濃度は、1.000g/L)である。これらの標準液を、1mol/Lの硝酸で希釈することにより、濃度の調整を行った。標準液の調整に用いた水は、比抵抗18.0MΩ以上の超純水であり、硝酸などの薬品類は特級試薬を使用した。
各標準液の混合比(Fe、Ni、Cr)を変えた試料を3種類準備した。試料1の混合比は、(Fe:50、Ni:5.0、Cr:5.0)、試料2の混合比は、(Fe:50、Ni:10、Cr:10)、試料3の混合比は、(Fe:50、Ni:20、Cr:20)である。なお、各数値の単位は、mg/Lである。このように、固体試料であるステンレス鋼の母材であるFe(57Fe+)を内標準金属とした。このように、上記試料1〜3において、母材(Fe)に対する測定元素(Ni、Cr)の割合を変えることにより、濃度を変化させる。
標準液体試料(試料1〜3のいずれか)を、マイクロピペットにより、5μL採取し、タングステンフィラメントのループR部に注入する。次いで、フィラメントに2.5Aの電流を70秒間流して標準液体試料を加熱乾燥させた。その後、13.5Vで充電した大容量のコンデンサ(C)を放電してタングステンフィラメントを一気に加熱し、タングステンフィラメント上の試料を気化した(微粒子化した)。試料の微粒子をアルゴンガス流(0.90L/min)で、ICP−MS部に導入し、標準液体試料(試料1〜3)中の各元素の信号強度と濃度との関係(検量線)を求めた。
次いで、分析対象の固体試料(9)の表面にレーザー光を照射し、生じた微粒子を、ヘリウムガス流(0.85L/min)でICP−MS部に搬送し、固体試料の構成元素の信号強度を測定した。上記検量線により、分析対象の固体試料(9)の構成元素の濃度を求めた。
図6に分析結果を示す。図6は、CrとNiの信号を示す図であり、(a)は、Crの信号であり、(b)は、Niの信号である。図6の横軸は時間(Time/s)であり、縦軸は信号強度(Signal intensity/106cps)である。
図6(a)のS1、S2、S3(0秒〜45秒までの信号)は、上記試料1〜3におけるCrの信号である。そして、45秒以降の信号は、固体試料に由来するCrの信号である。また、図6(b)のS1、S2、S3(0秒〜45秒までの信号)は、上記試料1〜3におけるNiの信号である。そして、45秒以降の信号は、固体試料に由来するNiの信号である。
Ni、Crとも標準液体試料中の元素濃度が上昇するにつれて信号強度が上昇している。そして、これに基づき作成された検量線は、良好な直線性を示した(R2>0.99)。得られた検量線を用いて、ステンレス鋼中のNi、Crの定量値(含有率(%))を求めた。図7は、Crの検量線の一例である。縦軸は、CrとFeの信号強度比(Crの信号強度/Feの信号強度)、横軸は、Cr濃度である。このような検量線をCr、Niについて作成し、Ni、Crの定量値(含有率(%))を求めた。その結果、Niの含有率は7.7%、Crの含有率は19.3%であるという値が得られた。固体試料として用いたステンレス鋼(AISI304 IARM2F)のNiおよびCrの認証値は、それぞれNiは8.09%、Crは18.37%であり、両元素とも定量値と認証値の差は、認証値の5%程度であった。このように、本実施例の標準液体試料を用いた固体試料の定量分析の精度が良好であることが確認できた。
なお、液体試料をICP−MS装置に導入する方法としては、ネブライザ(噴霧器)を用いる方法があるが、係る方法で標準液体試料を測定しても検量線の精度が十分でなく、定量分析の精度が満足の行くものではないことが報告されている。このように、本実施の形態の手法によれば、ネブライザ(噴霧器)を用いる方法より高精度の定量を行うことができる。
以上詳細に説明したように、上記実施の形態および実施例によれば、容易に入手可能で、濃度調整が容易である金属の標準液を標準液体試料として用いて、ETV法により気化導入することにより、定量分析が可能となる。即ち、固体標準試料を用いることなくLA−ICP−MS装置による定量分析が可能となる。特に、耐薬品性に優れ、酸溶解に時間と手間を要するため、固体試料の液化が必要不可欠な通常のICP−MS装置による分析が困難である、セラミックス(例えば、Al2O3)やガラス(例えば、ホウ珪酸ガラス)などの固体試料の定量分析でも迅速・簡便に行うことができる。また、主要構成成分が良く似た固体標準物質を準備する必要がなく、固体標準試料を準備し難い材料(例えば、上記セラミックスのような金属酸化物を含む金属化合物)についても、迅速・簡便に定量分析を行うことができる。
以上、本発明者によってなされた発明をその実施の形態および実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
例えば、上記実施の形態においては、標準液体試料の搭載部として、タングステンフィラメントを用いたが、タングステン以外の高融点金属(例えば、タンタル)のフィラメントを用いてもよい。また、フィラメントではなく、筒状や板状の導電部材(導電体)を標準液体試料の搭載部としてもよい。図8は、搭載部の構成例を示す斜視図である。図8(a)は、筒状の搭載部41を示す。この搭載部41は、例えば、炭素(C)よりなる。孔(穴)41bより試料を筒内に導入する。図8(b)、(c)は、板状の搭載部41を示す。この搭載部41は、例えば、タングステン(W)よりなる。なお、タングステン以外の高融点金属(例えば、タンタル)で構成してもよい。窪み41aに試料を搭載する。
但し、図8に示す搭載部の場合、加熱に必要な印加電流が大きくなる。そのため、加熱には、数十Aを流すことが可能な大型の直流電源を用いる必要がある。これに対し、フィラメントであれば、装置を安価に作成することができ、また、装置への取り付け、交換も容易に行うことができる。
本発明は、LA−ICP−MS装置を用いた定量分析方法に適用して有効である。
1 ETV部
2 LA部
3 ICP−MS部
4 試料室
5 レーザー照射部
6 CCDカメラ
8 ステージ
9 分析対象の固体試料(試料)
10 ハーフミラー
17 レンズ
19 管
20 管
21 プラズマトーチ
22 管
23 管
24 管
25 質量分析部
25a イオンレンズ部
25b 質量分析計部
26 管
28 高周波コイル
33 イオンレンズ
34 リフレクトロン
35 検出器
40 試料室
41 搭載部
49 標準液体試料(試料)
C コンデンサ
EL 電極台
ETVS 信号
LAS 信号
P 電源
PSU 電源ユニット
R ループ
SC ネジ
SWa スイッチ
SWb スイッチ
SWc スイッチ
T1 第1電極(第1端子)
T1B 支持部
T1P プレート部
T2 第2電極(第2端子)
T2B 支持部
T2P プレート部
TM タイマー
VC 蒸発チャンバー
2 LA部
3 ICP−MS部
4 試料室
5 レーザー照射部
6 CCDカメラ
8 ステージ
9 分析対象の固体試料(試料)
10 ハーフミラー
17 レンズ
19 管
20 管
21 プラズマトーチ
22 管
23 管
24 管
25 質量分析部
25a イオンレンズ部
25b 質量分析計部
26 管
28 高周波コイル
33 イオンレンズ
34 リフレクトロン
35 検出器
40 試料室
41 搭載部
49 標準液体試料(試料)
C コンデンサ
EL 電極台
ETVS 信号
LAS 信号
P 電源
PSU 電源ユニット
R ループ
SC ネジ
SWa スイッチ
SWb スイッチ
SWc スイッチ
T1 第1電極(第1端子)
T1B 支持部
T1P プレート部
T2 第2電極(第2端子)
T2B 支持部
T2P プレート部
TM タイマー
VC 蒸発チャンバー
Claims (20)
- (a)内部に第1試料が配置される第1試料室を有し前記第1試料にレーザーアブレーションを行うLA部と、
内部に第2試料が配置される第2試料室を有し前記第2試料の気化を行うETV部と、
前記LA部および前記ETV部と接続され、前記LA部または前記ETV部で処理された前記第1試料または前記第2試料をイオン化して質量分析を行うICP−MS部と、を有するLA−ICP−MS装置を用意する工程、
(b)分析対象の固体試料である前記第1試料を前記第1試料室に配置し、前記第1試料にレーザーアブレーション処理を施し、処理された前記第1試料を前記ICP−MS部に導入し、前記第1試料から得られた検出元素イオンの第1信号強度を測定する工程、
(c)前記第1試料に含まれた前記検出元素を既知の濃度含む標準液体試料である前記第2試料を前記第2試料室に配置し、前記第2試料に加熱気化処理を施し、処理された前記第2試料を前記ICP−MS部に導入し、前記第2試料から得られた前記検出元素イオンの第2信号強度を測定する工程、
(d)前記第1信号強度と、前記第2信号強度と、前記既知の濃度とに基づいて前記第1試料中の前記検出元素の含有量を求める工程、
を含むLA−ICP−MS装置を用いた定量分析方法。 - 請求項1記載のLA−ICP―MS装置を用いた定量分析方法において、
前記(c)工程は、前記検出元素を異なる濃度で有する複数の前記標準液体試料について、それぞれ前記第2信号強度を求める工程を有し、
前記(d)工程は、前記複数の前記標準液体試料のそれぞれの濃度と、前記複数の前記標準液体試料のそれぞれの前記第2信号強度とに基づく検量線により、前記第1試料中の前記検出元素の含有量を求める工程を有する、LA−ICP−MS装置を用いた定量分析方法。 - 請求項2記載のLA−ICP―MS装置を用いた定量分析方法において、
前記複数の標準液体試料は、前記検出元素および内標準元素を有し、
前記(c)工程の検量線は、前記第2信号強度/前記内標準元素の第3信号強度を用いて作成される、LA−ICP−MS装置を用いた定量分析方法。 - 請求項1記載のLA−ICP―MS装置を用いた定量分析方法において、
前記LA部の前記第1試料室に接続された第1管と、前記ICP−MS部に接続された第2管と、前記ETV部の前記第2試料室に接続された第3管と、を有し、
前記第1管は前記第2管と接続され、前記第3管は、前記第2管と接続されている、LA−ICP−MS装置を用いた定量分析方法。 - 請求項1記載のLA−ICP―MS装置を用いた定量分析方法において、
前記ETV部は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に接続された導電体よりなる前記第2試料の搭載部と、を有し、
前記第2試料は、前記搭載部に搭載され、前記第1電極と前記第2電極との間に電流を印加することにより、加熱気化される、LA−ICP−MS装置を用いた定量分析方法。 - 請求項5記載のLA−ICP―MS装置を用いた定量分析方法において、
前記第1電極と前記第2電極との間は、前記導電体よりなり、筒状の導電体または板状の導電体またはループを有する導線で接続され、前記第2試料は、前記筒状の導電体内または前記板状の導電体の上部または前記導線のループ部に配置される、LA−ICP−MS装置を用いた定量分析方法。 - 請求項6記載のLA−ICP―MS装置を用いた定量分析方法において、
前記筒状の導電体は、筒の側面に試料導入のために穴があけられた炭素製の導電体であり、前記板状の導電体は、中央部に窪み加工が施されたタンタルもしくはタングステン製の導電体であり、前記導線は、タンタルもしくはタングステン製のフィラメントである、LA−ICP−MS装置を用いた定量分析方法。 - 請求項7記載のLA−ICP―MS装置を用いた定量分析方法において、
前記ETV部は、前記第1電極と前記第2電極との間に並列に接続された電源を有し、 前記第2試料は、前記筒状の導電体内または前記板状の導電体の上部または前記導線のループ部に配置され、前記電源からの電力供給により加熱気化される、LA−ICP−MS装置を用いた定量分析方法。 - 請求項4記載のLA−ICP―MS装置を用いた定量分析方法において、
前記レーザーアブレーション処理された前記第1試料は、第1キャリアガスとともに前記第1管および前記第2管を通って、前記ICP−MS部へ導入され、
前記加熱気化処理された前記第2試料は、第2キャリアガスとともに前記第3管および前記第2管を通って、前記ICP−MS部へ導入され、
前記第1キャリアガスと、前記第2キャリアガスは、希ガスである、LA−ICP−MS装置を用いた定量分析方法。 - 請求項9記載のLA−ICP―MS装置を用いた定量分析方法において、
前記希ガスは、ArまたはHeである、LA−ICP−MS装置を用いた定量分析方法。 - 請求項1記載のLA−ICP―MS装置を用いた定量分析方法において、
前記標準液体試料は、金属の強酸酸性溶液である、LA−ICP−MS装置を用いた定量分析方法。 - 内部に第1試料が配置される第1試料室を有し前記第1試料にレーザーアブレーションを行うLA部と、
内部に第2試料が配置される第2試料室を有し前記第2試料の気化を行うETV部と、
前記LA部および前記ETV部と接続され、前記LA部または前記ETV部で処理された前記第1試料または前記第2試料をイオン化して質量分析を行うICP−MS部と、
を有し、
前記第1試料は、分析対象の固体試料であり、前記第2試料は、前記第1試料に含まれる元素を既知の濃度で含む標準液体試料である、LA−ICP−MS装置。 - 請求項12記載のLA−ICP―MS装置において、
前記標準液体試料は、金属の強酸酸性溶液である、LA−ICP−MS装置。 - 請求項12記載のLA−ICP―MS装置において、
前記LA部の前記第1試料室に接続された第1管と、前記ICP−MS部に接続された第2管と、前記ETV部の前記第2試料室に接続された第3管と、を有し、
前記第1管は前記第2管と接続され、前記第3管は、前記第2管と接続されている、LA−ICP−MS装置。 - 請求項12記載のLA−ICP―MS装置において、
前記ETV部は、第1電極と、第2電極と、前記第1電極と前記第2電極との間に接続された導電体よりなる前記第2試料の搭載部と、前記第1電極と前記第2電極との間に並列に接続された電源と、を有する、LA−ICP−MS装置。 - 請求項15記載のLA−ICP―MS装置において、
前記第1電極と前記第2電極との間は、前記導電体よりなり、筒状の導電体または板状の導電体またはループを有する導線で接続され、前記第2試料は、前記筒状の導電体内または前記板状の導電体の上部または前記導線のループ部に配置される、LA−ICP−MS装置。 - 請求項16記載のLA−ICP―MS装置において、
前記筒状の導電体は、筒の側面に試料導入のために穴があけられた炭素製の導電体であり、前記板状の導電体は、中央部に窪み加工が施されたタンタルもしくはタングステン製の導電体であり、前記導線は、タンタルもしくはタングステン製のフィラメントである、LA−ICP−MS装置。 - 請求項17記載のLA−ICP―MS装置において、
前記第2試料は、前記電源から導電体に電流を印加することにより加熱気化される、LA−ICP−MS装置。 - 請求項14記載のLA−ICP―MS装置において、
前記レーザーアブレーション処理された前記第1試料は、第1キャリアガスとともに前記第1管および前記第2管を通って、前記ICP−MS部へ導入され、
前記加熱気化処理された前記第2試料は、第2キャリアガスとともに前記第3管および前記第2管を通って、前記ICP−MS部へ導入され、
前記第1キャリアガスと、前記第2キャリアガスは、希ガスである、LA−ICP−MS装置。 - 請求項19記載のLA−ICP―MS装置において、
前記希ガスは、ArまたはHeである、LA−ICP−MS装置。
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- 2017-02-21 JP JP2017030413A patent/JP2018136190A/ja active Pending
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