JPWO2020013232A1 - パラミロン系樹脂、成形用材料および成形体、並びにパラミロン系樹脂の製造方法 - Google Patents

パラミロン系樹脂、成形用材料および成形体、並びにパラミロン系樹脂の製造方法 Download PDF

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Abstract

パラミロンの重量平均分子量が70000〜140000の範囲にあり、このパラミロンのヒドロキシ基の水素原子が、炭素数14以上の直鎖状飽和脂肪族アシル基である長鎖成分と、炭素数2又は3のアシル基(アセチル基又は/及びプロピオニル基)である短鎖成分で置換されたパラミロン系樹脂であって、前記長鎖成分による置換度(DSLo)と前記短鎖成分による置換度(DSSh)が、以下の条件式(1)及び(2)を満たし、アイゾット衝撃強度が5.0kJ/m2以上であり、MFR(210℃、荷重5kgにおけるメルトフローレート)が2g/10min以上である、パラミロン系樹脂。機械特性および熱可塑性に優れたパラミロン系樹脂を提供する。2.2 ≦ DSLo+DSSh≦ 2.8 (1)5≦ DSSh/DSLo≦ 25 (2)

Description

本発明は、パラミロン系樹脂、成形用材料および成形体、並びにパラミロン系樹脂の製造方法に関するものである。
植物成分を原料とするバイオプラスチックは、石油枯渇対策や温暖化対策に寄与できるため、包装、容器、繊維などの一般製品に加え、電子機器、自動車等の耐久製品への利用も開始されている。
しかし、通常のバイオプラスチックは、デンプン等の食用成分を原料としているため、将来の食料不足への懸念から、非食用の植物成分を原料とする新しいバイオプラスチックの開発が求められている。
非食用の植物成分としては、木材や草木の主要成分であるセルロースが代表的であり、これを利用したバイオプラスチックが開発され、一部製品化されている。
セルロースは、木材等に含まれるリグニンやヘミセルロースを、薬剤を用いて除くことで得られる。または、綿はほぼセルロースでできているため、このまま用いることができる。セルロースは、β−1,4グルコースが重合した高分子であるが、ヒドロキシ基に由来する水素結合によって強力な分子間力を持つため熱可塑性がない。また、特殊な溶媒を除き、溶媒溶解性も低い。さらに、親水性基であるヒドロキシ基を多く有するため吸水性が高く、耐水性が低い。
このため、セルロースのヒドロキシ基の水素原子をアセチル基等の短鎖アシル基で置換してセルロースの分子間力を下げ、さらに可塑剤を添加することで熱可塑性が付与されている。さらに、アセチル基のような短鎖有機基だけでは熱可塑性や耐水性は不十分であるため、短鎖有機基に加えて、より炭素数の多い長鎖有機基をセルロースに導入することが行われている。導入された長鎖有機基が疎水性の内部可塑剤として機能し、セルロース誘導体の熱可塑性や耐水性が改良される。
セルロース以外の非食用成分の植物原料として、藻類バイオマスに注目が集まっている。藻類は農地に適さない土地でも培養でき、食糧生産と競合することがない上に、CO、栄養塩、太陽光によって循環的に培養を繰り返すことができる。そのため、化石資源の代替として持続的な利用が可能である。さらに藻類は、有用な有機成分、特にバイオプラスチックの主要成分として有効な長鎖脂肪酸や多糖類などを高効率で生産することも可能である。このような藻類由来の多糖類として、β−1,3グルカン(パラミロン)が知られている。パラミロンはグルコースの重合体(重合度700−750)で、β−1,3結合のみで構成されるという特徴を持つ。セルロースと同様に、パラミロンもヒドロキシ基に由来する水素結合によって強力な分子間力を持つため、熱可塑性がない。
このため、パラミロンを使ったバイオプラスチックに関しては、セルロースと同様に、パラミロンにアセチル基や長鎖有機基などを付加させることで、熱可塑性を有するパラミロン誘導体が開発されている。
例えば、特許文献1には、パラミロンのヒドロキシ基の少なくとも一つがアルキルカルボニル基で置換されているパラミロンエステル誘導体を主成分とした、配向性を備えた透明な繊維が記載されている。
また、特許文献2には、パラミロンのヒドロキシ基が短鎖アシル基(炭素数1〜5の短鎖脂肪族炭化水素基またはフェニル基を含む)及び長鎖アシル基(炭素数13以上の長鎖脂肪族炭化水素基を含む)で置換されたパラミロン誘導体が記載されている。また、このパラミロン誘導体は、良好な熱可塑性を有し、成形加工に適していることが記載されている。
特許文献3には、パラミロンのヒドロキシ基の少なくとも一部と、カルダノールまたはその誘導体とを、エステル結合、エーテル結合、またはウレタン結合により結合させたパラミロン誘導体が記載され、このパラミロン誘導体は、良好な熱可塑性を有し、成形加工に適していることが記載されている。
特開2017−218566公報 特許第6029155号 特開2014−98095公報
本発明の目的は、機械特性および熱可塑性に優れたパラミロン系樹脂、これを用いた成形用材料および成形体、並びにパラミロン系樹脂の製造方法を提供することにある。
本発明の一態様によれば、パラミロンの重量平均分子量が70000〜140000の範囲にあり、該パラミロンのヒドロキシ基の水素原子が、炭素数14以上の直鎖状飽和脂肪族アシル基である長鎖成分と、炭素数2又は3のアシル基(アセチル基又は/及びプロピオニル基)である短鎖成分で置換されたパラミロン系樹脂であって、
前記長鎖成分による置換度(DSLo)と前記短鎖成分による置換度(DSSh)が、以下の条件式(1)及び(2)を満たし、
アイゾット衝撃強度が5.0kJ/m以上であり、
MFR(210℃、荷重5kgにおけるメルトフローレート)が2g/10min以上である、パラミロン系樹脂が提供される。
2.2 ≦ DSLo+DSSh ≦ 2.8 (1)
5≦ DSSh/DSLo ≦ 25 (2)
本発明の他の態様によれば、上記のパラミロン系樹脂を含む成形用材料が提供される。
本発明の他の態様によれば、上記の成形用材料を用いて形成された成形体が提供される。
本発明の他の態様によれば、上記のパラミロン系樹脂を製造する方法であって、
酸捕捉成分の存在下、加温下で、
溶媒中に分散された重量平均分子量70000〜140000のパラミロンと、
塩化アセチル又は/及び塩化プロピオニルと、
前記長鎖成分を有する長鎖脂肪酸の酸塩化物である長鎖反応剤とを反応させて、該パラミロンを構成するパラミロンのヒドロキシ基をアシル化する工程と、
前記アシル化工程により得られたアシル化パラミロンを前記溶媒から分離する工程を含む、パラミロン系樹脂の製造方法が提供される。
本発明の実施形態によれば、機械特性および熱可塑性に優れたパラミロン系樹脂、これを用いた成形用材料および成形体、並びにパラミロン系樹脂の製造方法が提供できる。
本発明の実施形態によるパラミロン系樹脂は、パラミロンのヒドロキシ基の水素原子が、炭素数14以上の直鎖状飽和脂肪族アシル基である長鎖成分と、炭素数2又は3のアシル基(アセチル基又は/及びプロピオニル基)である短鎖成分で置換されたパラミロン誘導体である。
前記長鎖成分による置換度(DSLo)と前記短鎖成分の置換度(DSSh)が、以下の条件式(1)及び(2)を満たすことが好ましい。
2.2 ≦ DSLo+DSSh ≦ 2.8 (1)
5≦ DSSh/DSLo ≦ 25 (2)
またDSLoが特に0.1〜0.5の範囲にあることが好ましく、0.1〜0.4の範囲にあることがより好ましく、0.15〜0.4の範囲にあることがさらに好ましい。またDSShが特に2.0〜2.5の範囲にあることが好ましい。
本発明の実施形態によるパラミロン系樹脂は、重量平均分子量が70000〜140000の範囲にあるパラミロンに、そのパラミロンのヒドロキシ基を利用して、前記長鎖成分と前記短鎖成分が導入されたものであることが好ましい。本発明の実施形態によるパラミロン系樹脂の重量平均分子量(Mw)は、10万〜35万の範囲が好ましく、15万〜35万の範囲がより好ましい。このパラミロン(長鎖成分と短鎖成分の導入前)とパラミロン系樹脂(長鎖成分と短鎖成分の導入後)の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により以下の条件で測定した値である。
(パラミロンのGPC測定条件)
カラム:PLgel20μmMIXED-A(製品名、アジレントテクノロジー(株)製)
溶離液:ジメチルアセトアミド(DMAc)溶液(0.1M LiCl)
流速:0.5mL/min
検出器:RI(示差屈折率)(東ソー(株)製RI-71)
温度:23.0℃
標準試料:Pullulan standard
(パラミロン系樹脂のGPC測定条件)
カラム:SHIMPAC GPC-80MC×2本、GPC-8025C×1本(製品名、島津製作所(株)製)
溶離液:クロロホルム(CHCl
流速:1.0mL/min
検出器:RI(示差屈折率)(島津製作所製 RID-10A)
温度:40.0℃
標準試料:Polystyrene standard
このようなパラミロン系樹脂は、優れた機械特性および熱可塑性を有することができる。機械特性としては、例えば耐衝撃性に優れた樹脂を得ることができる。パラミロンやパラミロン系樹脂の分子量が低すぎると、製造した樹脂を用いた成形体の耐衝撃性等の機械特性が十分でない場合がある。逆に、パラミロンやパラミロン系樹脂の重量平均分子量が高すぎると、製造した樹脂の流動性が低くなりすぎて、成形に支障をきたす場合がある。
長鎖成分の導入により、熱可塑性や耐水性を高めることができ、また、この長鎖成分と短鎖成分とを特定の比率で有することにより、曲げ強度や、弾性率、耐衝撃性等の機械特性を高めることができる。長鎖成分の炭素数は、特に16〜22の範囲にあることが好ましい。
本発明の実施形態によるパラミロン系樹脂においては、流動性、耐水性、耐衝撃性等の観点から、グルコース単位あたりのヒドロキシ基の平均個数(水酸基残存度、DSOH)が0.8以下であることが好ましい。
本発明の実施形態によるパラミロン系樹脂は、アイゾット衝撃強度が5.0kJ/m以上であることが好ましい。また、本発明の実施形態によるパラミロン系樹脂のMFR(210℃、荷重5kgにおけるメルトフローレート)が2g/10min以上であることが好ましい。このアイゾット衝撃強度は、JIS K7110に準拠して測定したノッチ付きアイゾット衝撃強度である。このMFRは、流動性が低くなりすぎて成形への支障を防ぐ点から2g/10min以上が好ましく、5g/10min以上がより好ましく、10g/10min以上がさらに好ましい。このMFRの上限は特に制限されないが、一般に200g/10min以下に設定することができ、また180g/10min以下に設定することができ、さらに150g/10min以下に設定することができる。MFRが大きすぎる場合は、樹脂の分子量が低い傾向にあり、これに応じて耐衝撃性が低くなる傾向がある。
本発明の実施形態によるパラミロン系樹脂の製造方法においては、前記溶媒が、綿繊維製のろ紙による保液率が90体積%以上となる溶媒を用いることができる。また、前記酸捕捉成分は、トリエチルアミンまたはピリジンを含むことが好ましい。また、前記アシル化工程の反応温度は50〜100℃であることが好ましい。また、前記溶媒の量(質量比)は、前記パラミロンの乾燥質量に対して10〜50倍量であることが好ましい。また、前記のアシル化工程の後、アルカリ性水溶液を加えて、25〜75℃で1〜5時間保持する工程をさらに含むことができる。
(パラミロン)
パラミロンは、下記式(1)で示されるβ−D−グルコース分子(β−D−グルコピラノース)がβ(1→3)グリコシド結合により重合した直鎖状の高分子である。パラミロンを構成する各グルコース単位は三つのヒドロキシ基を有している(式中のnは自然数を示す)。本発明の実施形態では、このようなパラミロンに、これらのヒドロキシ基を利用して、短鎖有機基および長鎖有機基を導入することができる。
Figure 2020013232
パラミロンは、藻類の主成分であり、藻類からたんぱく質等の他の成分を分離処理することによって得られる。パラミロンは、ユーグレナに貯蔵多糖として蓄積された多糖類であり、栄養条件などの環境によりエネルギー源として貯蔵または消費されるものである。パラミロンはグルコースからのみ成り、Euglena gracilisから得たパラミロンの平均重合度は、グルコース単位で約700〜750であることが知られている。GPCにより測定したパラミロンの重量平均分子量は240000程度である。
本発明の実施形態に用いるパラミロンの重量平均分子量は、70000〜140000の範囲にあることが好ましく、70000〜120000の範囲にあることがより好ましく、70000〜100000の範囲にあることがさらに好ましい。パラミロンの重量平均分子量が低すぎると、製造した樹脂の耐衝撃性が十分でない場合がある。逆に、重量平均分子量が高すぎると、製造した樹脂の流動性が低くなりすぎて、成形に支障をきたす場合がある。パラミロンを酸やアルカリで加水分解することで、パラミロンの分子量を調整することができる。分子量は加水分解条件により制御することが可能である。
パラミロンには、類似の構造物、例えばセルロース、キチン、キトサン、ヘミセルロース、キシラン、グルコマンナン、カードラン等が混合されていてもよい。このような類似の構造物が混合されている場合は、その類似の構造物の含有量は混合物全体に対して30質量%以下が好ましく、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がさらに好ましい。
上記説明はパラミロンを対象としているが、この類縁体として、通常の非食用の多糖類、すなわち、セルロース、キチン、キトサン、ヘミセルロース、キシラン、グルコマンナン、カードランなどにも、本発明は適用可能である。
(長鎖成分)
本発明の実施形態によるパラミロン系樹脂は、パラミロンのヒドロキシ基を利用して、前記短鎖成分に加えて前記長鎖成分が導入されたものである。
このような長鎖成分は、パラミロン中のヒドロキシ基と長鎖反応剤とを反応させることで導入することができる。この長鎖成分は、パラミロンのヒドロキシ基の水素原子に代えて導入されたアシル基に相当する。また長鎖成分の長鎖有機基とパラミロンのピラノース環は、エステル結合を介して結合することができる。この導入されたアシル基は炭素数14以上の直鎖状飽和脂肪族アシル基であり、炭素数14〜30の直鎖状飽和脂肪族アシル基が挙げられ、炭素数14〜22の直鎖状飽和脂肪族アシル基が好ましく、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸のカルボキシル基からOHを除いた基(テトラデカノイル基、ヘキサデカノイル基、オクタデカノイル基、イコサノイル基、ドコサノイル基)がより好ましい。
長鎖反応剤は、パラミロン中のヒドロキシ基と反応できる官能基を少なくとも一つ持つ化合物であり、例えばカルボキシル基、カルボン酸ハライド基、又はカルボン酸無水物基を有する化合物を用いることができる。
長鎖反応剤には、例えば、その炭素数が14以上の長鎖カルボン酸、およびその長鎖カルボン酸の酸ハライド又は酸無水物を用いることができる。これらのカルボン酸又はカルボン酸誘導体の飽和度ができるだけ高いことが望ましく、直鎖状飽和脂肪酸、その酸ハライド又は無水物が好ましい。長鎖カルボン酸の具体例としては、例えば、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、マルガリン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リグノセリン酸、セロチン酸、モンタン酸、メリシン酸等の直鎖状飽和脂肪酸が挙げられ、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸が好ましい。さらに長鎖カルボン酸としては、環境調和性の観点からは、天然物から得られるカルボン酸であることが好ましい。
この長鎖成分は、炭素数14以上のもの好ましく、16以上のものが特に好ましい。長鎖成分導入時の反応効率の点から、炭素数が48以下のものが好ましく、36以下のものがより好ましく、22以下のものが特に好ましい。この長鎖成分は一種単独であってもよいし、2種以上を含んでいてもよい。
パラミロンのグルコース単位あたりの導入された長鎖成分の平均個数(DSLo)(長鎖成分導入比率)、すなわちグルコース単位あたりの長鎖成分(炭素数14以上の直鎖状飽和脂肪族アシル基)で置換されたヒドロキシ基の平均個数(水酸基置換度)は、前記の式(1)及び(2)の条件を満たすことが好ましい。また、DSLoは、短鎖成分の構造および導入量、長鎖成分の構造、目的の生成物に要求される物性、製造時の効率に応じて、例えば0.1〜0.5の範囲に設定することができる。より十分な長鎖成分の導入効果を得る点からDSLoは、0.14以上が好ましく、0.15以上がより好ましく、製造時の効率や耐久性(強度、耐熱性など)の観点からは、0.4以下が好ましい。
上述の長鎖成分をパラミロン又はその誘導体に導入することにより、その特性を改質することができ、例えば耐水性や熱可塑性、機械特性を向上することができる。
(短鎖成分)
本発明の実施形態によるパラミロン系樹脂は、パラミロンのヒドロキシ基を利用して、前記長鎖成分に加えて、前記短鎖成分が導入されたものである。短鎖成分として、アセチル基又は/及びプロピオニル基が好ましく、少なくともプロピオニル基を含むことが好ましく、プロピオニル基が特に好ましい。
このような短鎖成分は、パラミロン中のヒドロキシ基と短鎖反応剤とが反応することで導入することができる。この短鎖成分は、パラミロンのヒドロキシ基の水素原子に代えて導入されたアシル基部分に相当する。また短鎖成分の短鎖有機基(メチル基又はエチル基)とパラミロンのピラノース環は、エステル結合を介して結合することができる。
この短鎖反応剤は、パラミロン中のヒドロキシ基と反応できる官能基を少なくとも一つ持つ化合物であり、例えばカルボキシル基、カルボン酸ハライド基、カルボン酸無水物基を有する化合物が挙げられる。具体的には、脂肪族モノカルボン酸、その酸ハロゲン化物、その酸無水物が挙げられる。
この短鎖成分は、その炭素数が2〜3であることが好ましく、その炭素数が3であることがより好ましく、パラミロンのヒドロキシ基の水素原子が、炭素数2〜3のアシル基(アセチル基、プロピオニル基)で置き換えられていることが好ましく、少なくとも炭素数3のアシル基(プロピオニル基)で置き換えられていることがより好ましい。
パラミロンのグルコース単位あたりの導入された短鎖成分の平均個数(DSSh)(短鎖成分導入比率)、すなわちグルコース単位あたりの短鎖成分(アセチル基又は/及びプロピオニル基)で置換されたヒドロキシ基の平均個数(水酸基置換度)は、前記の式(1)及び(2)の条件を満たすことが好ましい(なお、3≧DSLo+DSShである)。また、DSSHは、2.0〜2.5の範囲に設定することができる。短鎖成分の導入効果を十分に得る点から、DSSHは2.0以上が好ましく、特に、耐水性、流動性などの観点からは、DSShは2.1以上が好ましい。短鎖成分の導入効果を得ながら、長鎖成分の効果を十分に得る点から、DSShは2.5以下が好ましく、2.4以下がより好ましく、2.3以下がさらに好ましい。
上述の短鎖成分をパラミロン又はその誘導体に導入することにより、パラミロンの分子間力(分子間結合)を低減することができ、弾性率等の機械特性や、耐薬品性、表面硬度の物性を高めることができる。
式(2)に示す通り、長鎖成分の比率と短鎖成分の比率の比(DSSh/DSLo)は5以上25以下であることが好ましい。この比が5未満の場合は、材料が柔軟になりすぎて、強度・耐熱性が低下する傾向があり、逆に25を上回ると熱可塑性が不足して成形用途に不適となる。これらの点から、DSSh/DSLoは5以上が好ましく、6以上がより好ましく、25以下が好ましく、18以下がより好ましく、10以下に設定してもよい。
式(1)に示す通り、長鎖成分の比率と短鎖成分の比率の合計(DSLo+DSSh)は、2.2以上2.8以下が好ましい。長鎖成分と短鎖成分の十分な導入効果を得る点から、DSLo+DSShは、2.2以上が好ましく、2.3以上がより好ましく、また、機械特性等の観点から、2.8以下が好ましく、2.7以下がより好ましい。
(パラミロン系樹脂のヒドロキシ基の残存量)
ヒドロキシ基の残存量が多いほど、パラミロン系樹脂の最大強度や耐熱性が大きくなる傾向がある一方で、吸水性が高くなる傾向がある。一方、ヒドロキシ基の変換率(置換度)が高いほど、吸水性が低下し、可塑性や破断歪みが増加する傾向がある一方で、最大強度や耐熱性が低下する傾向がある。これらの傾向等を考慮して、ヒドロキシ基の変換率を適宜設定することができる。
最終生成パラミロン系樹脂のグルコース単位あたりの残存するヒドロキシ基の平均個数(水酸基残存度、DSOH)は、0〜0.8の範囲に設定することができる(なお、DSLo+DSSh+DSOH=3である)。DSLo+DSShが2.2〜2.8の範囲にある場合は、DSOHは0.2〜0.8の範囲に設定できる。ヒドロキシ基は、最大強度等の機械特性や耐熱性等の耐久性の観点から、残存していてもよく、例えば、水酸基残存度は0.01以上に設定でき、さらに0.1以上に設定できる。特に、流動性の観点からは、最終生成パラミロン系樹脂の水酸基残存度は0.1以上が好ましく、0.2以上がより好ましく、流動性に加えて耐水性などの観点から0.8以下が好ましく、耐水性に加えてさらに耐衝撃性などの観点から0.6以下が好ましく、0.5以下がより好ましい。
(パラミロンの活性化)
パラミロンに長鎖成分と短鎖成分を導入するための反応工程の前に、パラミロンの反応性を上げるために、活性化処理(前処理工程)を行うことができる。この活性化処理は、パラミロンのアセチル化の前に通常行われる活性化処理を適用できる。
活性化処理は、例えば、パラミロンに親和する活性化溶媒をパラミロンに対して噴霧する方法、あるいはパラミロンを活性化溶媒に浸漬する方法(浸漬法)などの湿式法で、パラミロンと当該溶媒とを接触させ、パラミロンを膨潤させる。これにより、パラミロン分子鎖間に反応剤が浸入しやすくなるため(溶媒や触媒を用いている場合はこれらとともに浸入しやすくなるため)、パラミロンの反応性が向上する。ここで、活性化溶媒は、例えば、水;酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、エナント酸、カプリル酸、ペラルゴン酸、ステアリン酸などのカルボン酸;メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールなどのアルコール;ジメチルホルムアミド、ホルムアミド、エタノールアミン、ピリジンなどの含窒素化合物;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド化合物が挙げられ、これらの2種以上を組み合わせて使用できる。特に好ましくは、水、酢酸、ピリジン、ジメチルスルホキシドを使用できる。
長鎖脂肪酸中にパラミロンを投入し、活性化を行うこともできる。長鎖脂肪酸の融点が室温以上である場合、当該融点以上に加熱することもできる。
活性化溶媒の使用量は、パラミロン100質量部に対して例えば10質量部以上、好ましくは20質量部以上、より好ましくは30質量部以上に設定できる。パラミロンを活性化溶媒に浸漬する場合は、パラミロンに対して質量で例えば1倍以上、好ましくは5倍以上、より好ましくは10倍以上に設定することができる。前処理後の活性化溶媒の除去の負担や材料コスト低減等の点から300倍以下が好ましく、100倍以下がより好ましく、50倍以下がさらに好ましい。
活性化処理の温度は、例えば0〜100℃の範囲で適宜設定できる。活性化の効率やエネルギーコスト低減の観点から10〜40℃が好ましく、15〜35℃がより好ましい。
長鎖脂肪酸を溶融させた中にパラミロンを投入する場合、当該長鎖脂肪酸の融点以上に加熱することもできる。
活性化処理の時間は、例えば0.1時間〜72時間の範囲で適宜設定できる。十分な活性化を行い且つ処理時間を抑える観点から、0.1時間〜24時間が好ましく、0.5時間〜3時間がより好ましい。
活性化処理後、過剰な活性化溶媒は吸引濾過、フィルタープレス、圧搾などの固液分離方法により除去することができる。
活性化処理後、パラミロンに含まれる活性化溶媒を反応時に用いる溶媒に置換することができる。例えば、活性化溶媒を反応時に用いる溶媒に代えて上記の活性化処理の浸漬法に従って置換処理を行うことができる。
(長鎖成分よび短鎖成分の導入方法)
本発明の実施形態によるパラミロン誘導体(パラミロン系樹脂)は、以下に示す方法によって製造することができる。
本発明の実施形態によるパラミロン誘導体の製造方法は、溶媒中、酸捕捉成分の存在下、加温下で、この溶媒中に分散されたパラミロンと短鎖反応剤(短鎖アシル化剤)および長鎖反応剤(長鎖アシル化剤)とを反応させて、パラミロンのヒドロキシ基をアシル化する工程を有する。短鎖反応剤(短鎖アシル化剤)と長鎖反応剤(長鎖アシル化剤)は溶媒に溶解していることが好ましい。酸捕捉成分を溶媒として用いることもできる。
パラミロンに長鎖成分を導入するための長鎖反応剤としては、前記の直鎖状飽和脂肪酸の酸塩化物が好ましく、一種を単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。パラミロンに短鎖成分を導入するための短鎖反応剤としては、塩化アセチル又は/及び塩化プロピオニルが好ましく、塩化プロピオニルがより好ましい。
長鎖反応剤および短鎖反応剤の添加量は、目的のパラミロン誘導体の長鎖成分による置換度(DSLo)及び短鎖成分による置換度(DSSh)に応じて設定することができる。短鎖反応剤が多すぎると、長鎖成分の結合量が低下し、長鎖成分による置換度(DSLo)が低下する傾向がある。
溶媒としては、綿繊維製のろ紙による保液率が90体積%以上となる溶媒を用いることができる。
「保液率」は以下の方法で測定することができる。
綿繊維製のろ紙(5B、40mmφ、含水率約2%)を各溶媒に室温下1hr浸漬する。浸漬前後の重量を測定し、下式に当てはめて保液率(vol%)を求める。浸漬後の試料から溶媒のしたたりがとまった時点で重量を測定した。
保液率(vol%)=(浸漬後重量−浸漬前重量)/浸漬前重量/溶媒比重×100
上記の手法で保液率90vol%以上となる溶媒としては、水(保液率145vol%)、酢酸(保液率109vol%)、ジオキサン(保液率93vol%)、ピリジン(保液率109vol%)、N−メチルピロリドン(保液率104vol%)、N,N−ジメチルアセトアミド(保液率112vol%)、N,N−ジメチルホルムアミド(保液率129vol%)、ジメチルスルホキシド(保液率180vol%)が挙げられる。
酸捕捉成分としては、副生する酸(塩酸、酢酸、プロピオン酸など)を中和する塩基であれば特に限定されるものではなく、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属水酸化物;水酸化カルシウム、水酸化バリウムなどのアルカリ土類金属水酸化物;ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドなどの金属アルコキシド;ジアザビシクロウンデセン、ジアザビシクロノネン、トリエチルアミン、ピリジンなどの含窒素求核性化合物が挙げられ、中でもトリエチルアミンやピリジンが好ましく、溶媒としても使用できる点でピリジンが特に好ましい。酸捕捉成分を溶媒とは別に添加する場合、反応開始時から酸捕捉成分が反応系に存在することが好ましい。酸捕捉成分が反応開始時に反応系に存在していれば、アシル化剤を添加する前に添加しても後に添加しても構わない。
酸捕捉成分の添加量は、長鎖反応剤(長鎖アシル化剤)と短鎖反応剤(短鎖アシル化剤)の合計仕込み量に対して0.1〜10当量が好ましく、0.5〜5当量がより好ましい。ただし、含窒素求核性化合物を溶媒として用いる場合はこの範囲に限定されない。酸捕捉剤の添加量が少ないとアシル化反応の効率が低下する。また、酸捕捉剤の添加量が多いとパラミロンが分解して分子量が低下することがある。
このアシル化工程における反応温度は、50〜100℃が好ましく、75〜95℃がより好ましい。反応時間は、2時間から5時間に設定でき、3時間から4時間に設定することが好ましい。反応温度が十分に高いと反応速度を高くできるため、比較的短い時間でアシル化反応を完了させることができ、反応効率を高めることができる。また、反応温度が上記範囲にあれば、加熱による分子量の低下を抑えることができる。
溶媒の量は、原料のパラミロンの乾燥質量に対して10〜50倍量に設定することができ、10〜40倍量(質量比)に設定することが好ましい。
(熟成工程)
上記のアシル化の工程の後、アルカリ性水溶液を加えて、加温しながら保持(熟成)することが好ましい。この熟成時の温度は25〜75℃が好ましく、40〜70℃が好ましく、熟成の時間は1〜5時間の範囲に設定でき、1〜3時間の範囲が好ましい。
アルカリ性水溶液の添加量は、使用する溶媒に対して3〜30質量%相当量に設定することができ、5〜20質量%相当量が好ましい。
アルカリ性水溶液としては、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどの水溶液が挙げられ、水酸化ナトリウムの水溶液が好ましい。アルカリ性水溶液の濃度は1〜30質量%が好ましく、5〜20質量%がより好ましい。
このような熟成によって一旦結合した長鎖成分と短鎖成分が部分的に加水分解し、均質に水酸基を復活させることができ、強度や耐衝撃性などの機械特性を高めることができ、また、その後の析出工程で良好な性状(微粒状)の生成物を得ることができる。
(回収工程)
長鎖成分および短鎖成が導入されたパラミロン誘導体(生成物)は、通常の回収方法に従って反応溶液から回収することができ、その方法は限定されるものではないが、生成物が反応溶液に溶解していない場合は、反応溶液と生成物とを固液分離する回収方法が製造エネルギーの観点から好ましい。生成物が反応溶液に溶解ないし親和して固液分離が困難な場合は、反応溶液を留去し生成物を残留分として回収することができる。あるいは、反応溶液に、生成物に対する貧溶媒を添加することにより、析出した生成物を固液分離して回収してもよい。
反応溶液を留去する場合、短鎖反応剤や反応溶媒、触媒は沸点が低いものが好ましいが、触媒を留去せずに、洗浄溶媒等により生成物から除去することもできる。また、反応溶液から溶媒等の生成物以外の成分を留去する際に、生成物が析出した時点で留去を止め、その後、残る反応溶液と析出した生成物とを固液分離して生成物を回収することもできる。
固液分離方法としては、濾過(自然ろ過、減圧ろ過、加圧ろ過、遠心ろ過、およびこれらの熱時ろ過)、自然沈降・浮上、分液、遠心分離、圧搾等が挙げられ、これらを適宜組み合わせて行ってもよい。
固液分離後の濾液に溶解した生成物(パラミロン誘導体)は、生成物に対する貧溶媒を添加することにより析出させ、さらに固液分離して回収することができる。
反応溶液から回収した固形分(パラミロン誘導体)は、必要に応じて洗浄し、通常の方法で乾燥することができる。
本方法で製造されたパラミロン誘導体は、熱可塑性のマトリックスの中にパラミロン主鎖結晶による補強結晶構造を有することができる。これは、パラミロン原料をアシル化した際の未反応部分に由来する。このようなパラミロン主鎖結晶は、例えば、X線回折法により評価できる。この評価時には、例えば、パラミロン誘導体をプレスして密度を上げることで、信号を確認しやすくすることもできる。
(その他のパラミロン誘導体の製造方法)
アシル化剤として長鎖成分と短鎖成分を有する混合酸無水物を用い、固液不均一系でパラミロンをアシル化することで、パラミロン系樹脂を得ることができる。パラミロンは活性化処理することが好ましい。活性化処理は通常の方法で行うことができる。
アシル化は、綿繊維製のろ紙による保液率90%以上となる溶媒(例えばジオキサン、乾燥パラミロン重量の例えば80〜120倍量)中、酸触媒(例えば硫酸)の存在下、45〜65℃で2〜5時間攪拌して行うことができる。その後、水を加えて、数時間(例えば1〜3時間)、加熱下(例えば55〜75℃)で熟成させることが好ましい。
反応終了後は、水/メタノール混合溶媒等の貧溶媒を加えて液相に溶解している生成物を十分に析出させ、固液分離を行って生成物を回収することができる。その後、洗浄、乾燥を行うことができる。
また、アシル化は、パラミロン及びアシル化剤が溶媒に溶解した均一溶解系で行ってもよい。パラミロンは活性化処理することが好ましい。活性化処理は通常の方法で行うことができる。
アシル化の際の溶媒としては、N,N−ジメチルアセトアミド、ピリジン、N−メチルピロリジノン等のパラミロンと親和性の高い溶媒を用いる。
アシル化剤としては、アシル化に用いる溶媒と同じ溶媒中で、長鎖成分と短鎖成分を有する混合酸無水物を形成し、これを用いることができる。
反応終了後は、メタノール等の貧溶媒を加えて生成物を析出させ、固液分離を行って生成物を回収することができる。その後、洗浄、乾燥を行うことができる。
(成形用樹脂組成物および添加剤)
本発明の実施形態によるパラミロン誘導体は、所望の特性に応じて添加剤を加え、成形用材料に好適な樹脂組成物を得ることができる。このパラミロン誘導体は、通常のパラミロン誘導体と相溶する添加剤と相溶させることができる。
本発明の実施形態によるパラミロン誘導体には、通常の熱可塑性樹脂に使用する各種の添加剤を適用できる。例えば、可塑剤を添加することで、熱可塑性や破断時の伸びを一層向上できる。このような可塑剤としては、フタル酸ジブチル、フタル酸ジアリール、フタル酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジ−2−メトキシエチル、エチルフタリルエチルグリコレート、メチルフタリルエチルグリコレート等のフタル酸エステル;酒石酸ジブチル等の酒石酸エステル;アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル等のアジピン酸エステル;トリアセチン、ジアセチルグリセリン、トリプロピオニトリルグリセリン、グリセリンモノステアレートなどの多価アルコールエステル;リン酸トリエチル、リン酸トリフェニル、リン酸トリクレシルなどのリン酸エステル;ジブチルアジペート、ジオクチルアジペート、ジブチルアゼレート、ジオクチルアゼレート、ジオクチルセバケート等の二塩基性脂肪酸エステル;クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、アセチルクエン酸トリブチル等のクエン酸エステル;エポキシ化大豆油、エポキシ化亜麻仁油等のエポキシ化植物油;ヒマシ油およびその誘導体;O−ベンゾイル安息香酸エチル等の安息香酸エステル;セバシン酸エステル、アゼライン酸エステル等の脂肪族ジカルボン酸エステル;マレイン酸エステル等の不飽和ジカルボン酸エステル;その他、N−エチルトルエンスルホンアミド、トリアセチン、p−トルエンスルホン酸O−クレジル、トリプロピオニンなどが挙げられる。中でも特に、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ベンジル−2ブトキシエトキシエチル、リン酸トリクレジル、リン酸ジフェニルクレジル、リン酸ジフェニルオクチルなどの可塑剤を添加すると、熱可塑性や破断時の伸びだけでなく、耐衝撃性も効果的に向上させることができる。
その他の可塑剤として、シクロヘキサンジカルボン酸ジヘキシル、シクロヘキサンジカルボン酸ジオクチル、シクロヘキサンジカルボン酸ジ−2−メチルオクチル等のシクロヘキサンジカルボン酸エステル;トリメリット酸ジヘキシル、トリメリット酸ジエチルヘキシル、トリメリット酸ジオクチル等のトリメリット酸エステル;ピロメリット酸ジヘキシル、ピロメリット酸ジエチルヘキシル、ピロメリット酸ジオクチル等のピロメリット酸エステルが挙げられる。
本発明の実施形態によるパラミロン誘導体には、必要に応じて、無機系もしくは有機系の粒状または繊維状の充填剤を添加できる。充填剤を添加することによって、強度や剛性を一層向上できる。充填剤としては、例えば、鉱物質粒子(タルク、マイカ、焼成珪成土、カオリン、セリサイト、ベントナイト、スメクタイト、クレイ、シリカ、石英粉末、ガラスビーズ、ガラス粉、ガラスフレーク、ミルドファイバー、ワラストナイト(またはウォラストナイト)など)、ホウ素含有化合物(窒化ホウ素、炭化ホウ素、ホウ化チタンなど)、金属炭酸塩(炭酸マグネシウム、重質炭酸カルシウム、軽質炭酸カルシウムなど)、金属珪酸塩(珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、アルミノ珪酸マグネシウムなど)、金属酸化物(酸化マグネシウムなど)、金属水酸化物(水酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウムなど)、金属硫酸塩(硫酸カルシウム、硫酸バリウムなど)、金属炭化物(炭化ケイ素、炭化アルミニウム、炭化チタンなど)、金属窒化物(窒化アルミニウム、窒化ケイ素、窒化チタンなど)、ホワイトカーボン、各種金属箔が挙げられる。繊維状の充填剤としては、有機繊維(天然繊維、紙類など)、無機繊維(ガラス繊維、アスベスト繊維、カーボン繊維、シリカ繊維、シリカ・アルミナ繊維、ウォラストナイト、ジルコニア繊維、チタン酸カリウム繊維など)、金属繊維などが挙げられる。これらの充填剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
本発明の実施形態によるパラミロン誘導体には、必要に応じて、難燃剤を添加できる。難燃剤を添加することによって、難燃性を付与できる。難燃剤としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、ハイドロタルサイトのような金属水和物、塩基性炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、シリカ、アルミナ、タルク、クレイ、ゼオライト、臭素系難燃剤、三酸化アンチモン、リン酸系難燃剤(芳香族リン酸エステル類、芳香族縮合リン酸エステル類など)、リンと窒素を含む化合物(フォスファゼン化合物)などが挙げられる。これらの難燃剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
本発明の実施形態によるパラミロン誘導体には、必要に応じて、耐衝撃性改良剤を添加できる。耐衝撃性改良剤を添加することによって、耐衝撃性を向上できる。耐衝撃性改良剤としては、ゴム成分やシリコーン化合物を挙げられる。ゴム成分としては、天然ゴム、エポキシ化天然ゴム、合成ゴムなどが挙げられる。また、シリコーン化合物としては、アルキルシロキサン、アルキルフェニルシロキサンなどの重合によって形成された有機ポリシロキサン、もしくは、前記有機ポリシロキサンの側鎖または末端をポリエーテル、メチルスチリル、アルキル、高級脂肪酸エステル、アルコキシ、フッ素、アミノ基、エポキシ基、カルボキシル基、カルビノール基、メタクリル基、メルカプト基、フェノール基などで変性した変性シリコーン化合物などが挙げられる。これらの耐衝撃性改良剤は、単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。
このシリコーン化合物としては、変性シリコーン化合物(変性ポリシロキサン化合物)が好ましい。この変性シリコーン化合物としては、ジメチルシロキサンの繰り返し単位から構成される主鎖を持ち、その側鎖または末端のメチル基の一部が、アミノ基、エポキシ基、カルビノール基、フェノール基、メルカプト基、カルボキシル基、メタクリル基、長鎖アルキル基、アラルキル基、フェニル基、フェノキシ基、アルキルフェノキシ基、長鎖脂肪酸エステル基、長鎖脂肪酸アミド基、ポリエーテル基から選ばれる少なくとも1種類の基を含む有機置換基で置換された構造を有する変性ポリジメチルシロキサンが好ましい。変性シリコーン化合物は、このような有機置換基を有することによって、前述のパラミロン誘導体に対する親和性が改善され、パラミロン誘導体中の分散性が向上し、耐衝撃性に優れる樹脂組成物を得ることができる。
このような変性シリコーン化合物は、通常の方法に従って製造されるものを用いることができる。
この変性シリコーン化合物に含まれる上記の有機置換基としては、下記式(2)〜(20)で表されるものを挙げることができる。
Figure 2020013232
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上記の式中、a、bはそれぞれ1から50の整数を表す。
上記の式中、R〜R10、R12〜R15、R19、R21は、それぞれ2価の有機基を表す。2価の有機基としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基等のアルキレン基、フェニレン基、トリレン基等のアルキルアリーレン基、−(CH−CH−O)−(cは1から50の整数を表す)、−〔CH−CH(CH)−O〕−(dは1から50の整数を表す)等のオキシアルキレン基やポリオキシアルキレン基、−(CH)e−NHCO−(eは1から8の整数を表す)を挙げることができる。これらのうち、アルキレン基が好ましく、特に、エチレン基、プロピレン基が好ましい。
上記の式中、R11、R16〜R18、R20、R22は、それぞれ炭素数20以下のアルキル基を表す。アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基などが挙げられる。また、上記アルキル基の構造中に、1つ以上の不飽和結合を有していてもよい。
変性シリコーン化合物中の有機置換基の合計平均含有量は、パラミロン誘導体組成物の製造時において、当該変性シリコーン化合物がマトリックスのパラミロン誘導体中に適度な粒径(例えば0.1μm以上100μm以下)で分散可能な範囲とすることが望ましい。パラミロン誘導体中において、変性シリコーン化合物が適度な粒径で分散すると、弾性率の低いシリコーン領域の周囲への応力集中が効果的に発生し、優れた耐衝撃性を有する樹脂成形体を得ることができる。かかる有機置換基の合計平均含有量は、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、また、70質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましい。変性シリコーン化合物は、有機置換基が適度に含有されていれば、パラミロン系樹脂との親和性が向上し、パラミロン誘導体中において適度な粒径で分散でき、さらに、成形品において当該変性シリコーン化合物の分離によるブリードアウトを抑制することができる。有機置換基の合計平均含有量が少なすぎると、パラミロン系樹脂中において適度な粒径での分散が困難になる。
変性ポリジメチルシロキサン化合物中の有機置換基がアミノ基、エポキシ基、カルビノール基、フェノール基、メルカプト基、カルボキシル基、メタクリル基の場合、この変性ポリジメチルシロキサン化合物中の有機置換基の平均含有量は下記式(I)から求めることができる。
有機置換基平均含有量(%)=
(有機置換基の式量/有機置換基当量)×100 (I)
式(I)中、有機置換基当量は、有機置換基1モルあたりの変性シリコーン化合物の質量の平均値である。
変性ポリジメチルシロキサン化合物中の有機置換基がフェノキシ基、アルキルフェノキシ基、長鎖アルキル基、アラルキル基、長鎖脂肪酸エステル基、長鎖脂肪酸アミド基の場合、この変性ポリジメチルシロキサン化合物中の有機置換基の平均含有量は下記式(II)から求めることができる。
有機置換基平均含有量(%)=
x×w/[(1−x)×74+x×(59+w)]×100 (II)
式(II)中、xは変性ポリジメチルシロキサン化合物中の全シロキサン繰り返し単位に対する有機置換基含有シロキサン繰り返し単位のモル分率の平均値であり、wは有機置換基の式量である。
変性ポリジメチルシロキサン化合物中の有機置換基がフェニル基の場合、この変性ポリジメチルシロキサン化合物中のフェニル基の平均含有量は下記式(III)から求めることができる。
フェニル基平均含有量(%)=
154×x/[74×(1−x)+198×x]×100 (III)
式(III)中、xは変性ポリジメチルシロキサン化合物(A)中の全シロキサン繰り返し単位に対するフェニル基含有シロキサン繰り返し単位のモル分率の平均値である。
変性ポリジメチルシロキサン化合物中の有機置換基がポリエーテル基の場合、この変性ポリジメチルシロキサン化合物中のポリエーテル基の平均含有量は下記式(IV)から求めることができる。
ポリエーテル基平均含有量(%)=HLB値/20×100 (IV)
式(IV)中、HLB値は界面活性剤の水と油への親和性の程度を表す値であり、グリフィン法に基づいて下記の式(V)により定義される。
HLB値=20×(親水部の式量の総和/分子量) (V)
本実施形態のパラミロン誘導体へは、当該誘導体に対する親和性が異なる2種類以上の変性シリコーン化合物を添加してもよい。この場合、比較的親和性の低い変性シリコーン化合物(A1)の分散性が、比較的親和性の高い変性シリコーン化合物(A2)によって改善され、より一層優れた耐衝撃性を有するパラミロン系樹脂組成物を得ることができる。比較的親和性の低い変性シリコーン化合物(A1)の有機置換基の合計平均含有量としては、0.01質量%以上が好ましく、0.1質量%以上がより好ましく、また15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。比較的親和性の高い変性シリコーン化合物(A2)の有機置換基の合計平均含有量は、15質量%以上が好ましく、20質量%以上がより好ましく、また90質量%以下が好ましい。
変性シリコーン化合物(A1)と変性シリコーン化合物(A2)との配合比(質量比)は、10/90〜90/10の範囲で設定できる。
変性シリコーン化合物においては、ジメチルシロキサン繰返し単位および有機置換基含有シロキサン繰り返し単位が、同種のものが連続して接続されても、交互に接続されても、また、ランダムに接続されていてもよい。変性シリコーン化合物は、分岐構造を有していてもよい。
変性シリコーン化合物の数平均分子量は、900以上が好ましく、1000以上がより好ましく、また1000000以下が好ましく、300000以下がより好ましく、100000以下がさらに好ましい。変性シリコーン化合物の分子量が十分に大きいと、パラミロン誘導体組成物の製造時において、溶融した当該パラミロン誘導体と混練時に揮発による喪失を抑制することができる。また、変性シリコーン化合物の分子量が大きすぎることなく適度な大きさであると、分散性がよく均一な成形品を得ることができる。
数平均分子量は、試料のクロロホルム0.1%溶液のGPCによる測定値(ポリスチレン標準試料で較正)を採用することができる。
このような変性シリコーン化合物の添加量は、十分な添加効果を得る点から、パラミロン誘導体組成物全体に対して1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましい。パラミロン系樹脂の強度等の特性を十分に確保し、またブリードアウトを抑制する点から20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
このような変性シリコーン化合物をパラミロン誘導体に添加することにより、樹脂中に変性シリコーン化合物を適度な粒径(例えば0.1〜100μm)で分散させることができ、樹脂組成物の耐衝撃性を向上できる。
本実施形態のパラミロン誘導体には、必要に応じて、着色剤、酸化防止剤、熱安定剤など、通常の樹脂組成物に適用される添加剤を添加してもよい。
本実施形態のパラミロン誘導体には、必要に応じて、一般的な熱可塑性樹脂を添加してもよい。
熱可塑性樹脂として、ポリエステルを添加することができ、直鎖状脂肪族ポリエステルを好適に用いることができる。この直鎖状脂肪族ポリエステル(Y)としては、下記(Y1)及び(Y2)の直鎖状脂肪族ポリエステルが好ましく、例えば、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリカプロラクトン等が挙げられる。
(Y1)下記式(21)及び式(22)の少なくとも一方の繰り返し単位を含む直鎖状脂肪族ポリエステル
−(CO−R23−COO−R24−O−)− (21)
−(CO−R25−O−)− (22)
前記式(21)中、R23は、二価脂肪族基を表し、その炭素数は、1〜12であり、好ましくは2〜8であり、より好ましくは2〜4である。またR24は、二価脂肪族基を表し、その炭素数は、2〜12であり、好ましくは2〜8であり、より好ましくは2〜4である。
前記式(22)中、R25は、二価脂肪族基を表し、その炭素数は、2〜10であり、好ましくは2〜8であり、より好ましくは2〜4である。
(Y2)環状エステルの開環重合物からなる直鎖状脂肪族ポリエステル。
前記直鎖状脂肪族ポリエステル(Y1)は、例えば、脂肪族ジカルボン酸、その酸無水物及びそのジエステル体からなる群から選択された少なくとも一種と、脂肪族ジオールとの縮合反応により得られる。
前記脂肪族ジカルボン酸は、例えば、炭素数3〜12であり、好ましくは炭素数3〜9であり、より好ましくは炭素数3〜5である。この脂肪族カルボン酸は、例えば、アルカンジカルボン酸であり、具体例として、例えば、マロン酸、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸等があげられる。前記脂肪族ジカルボン酸は、例えば、いずれか一種類を使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。
前記脂肪族ジオールは、例えば、炭素数2〜12であり、好ましくは炭素数2〜8であり、より好ましくは炭素数2〜6である。この脂肪族ジオールは、例えば、アルキレングリコールであり、具体例として、例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール及び1,12−ドデカンジオール等があげられる。中でも、炭素数2〜6の直鎖型脂肪族ジオールが好ましく、特に、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールが好ましい。前記脂肪族ジオールは、例えば、いずれか一種類を使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。
前記直鎖状脂肪族ポリエステル(Y2)は、環状エステルが開環重合した直鎖状脂肪族ポリエステルである。この環状エステルは、例えば、炭素数2〜12のラクトンがあげられ、具体例として、例えば、α−アセトラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン及びδ−バレロラクトン等があげられる。前記環状エステルは、例えば、いずれか一種類を使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。
前記直鎖状脂肪族ポリエステル(Y)の数平均分子量は、特に制限されず、下限は、例えば、10000以上が好ましく、より好ましくは20000以上であり、また、上限は、例えば、200000以下が好ましく、より好ましくは100000以下である。前記脂肪族ポリエステルは、その分子量を前記範囲に設定することで、例えば、より分散性に優れ、より均一な成形体を得ることができる。
前記数平均分子量は、例えば、試料のクロロホルム0.1%溶液に関する、GPCによる測定値(ポリスチレン標準試料で較正)を採用できる。
本発明の実施形態によるパラミロン誘導体には、熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)などの柔軟性に優れる熱可塑性樹脂を添加することにより、耐衝撃性を向上できる。このような熱可塑性樹脂(特にTPU)の添加量は、十分な添加効果を得る点から、本実施形態のパラミロン誘導体を含む組成物全体に対して1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましい。
耐衝撃性向上に好適な熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)は、ポリオール、ジイソシアネート、および鎖延長剤を用いて調製されるものを用いることができる。
このポリオールとしては、ポリエステルポリオール、ポリエステルエーテルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエーテルポリオールが挙げられる。
上記のポリエステルポリオールとしては、脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等)、芳香族ジカルボン酸(フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)、脂環族ジカルボン酸(ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等)等の多価カルボン酸又はこれらの酸エステルもしくは酸無水物と、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,3−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール等の多価アルコール又はこれらの混合物との脱水縮合反応で得られるポリエステルポリオール;ε−カプロラクトン等のラクトンモノマーの開環重合で得られるポリラクトンジオール等が挙げられる。
上記のポリエステルエーテルポリオールとしては、脂肪族ジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等)、芳香族ジカルボン酸(フタル酸、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)、脂環族ジカルボン酸(ヘキサヒドロフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等)等の多価カルボン酸又はこれらの酸エステルもしくは酸無水物と、ジエチレングリコールもしくはアルキレンオキサイド付加物(プロピレンオキサイド付加物等)等のグリコール等又はこれらの混合物との脱水縮合反応で得られる化合物が挙げられる。
上記のポリカーボネートポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール等の多価アルコールの1種または2種以上と、ジエチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等とを反応させて得られるポリカーボネートポリオールが挙げられる。また、ポリカプロラクトンポリオール(PCL)とポリヘキサメチレンカーボネート(PHL)との共重合体であってもよい。
上記のポリエーテルポリオールとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、テトラヒドロフラン等の環状エーテルをそれぞれ重合させて得られるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等、及び、これらのコポリエーテルが挙げられる。
TPUの形成に用いられるジイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート(TDI)、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、1,5−ナフチレンジイソシアネート(NDI)、トリジンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添XDI、トリイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート(TMXDI)、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネートメチルオクタン、リジンエステルトリイソシアネート、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(水素添加MDI;HMDI)等が挙げられる。これらの中でも、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)及び1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)を好適なものとして用いることができる。
TPUの形成に用いられる鎖延長剤としては、低分子量ポリオールが使用できる。この低分子量ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、グリセリン等の脂肪族ポリオール;1,4−ジメチロールベンゼン、ビスフェノールA、ビスフェノールAのエチレンオキサイドもしくはプロピレンオキサイド付加物等の芳香族グリコールが挙げられる。
これらの材料から得られる熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)に、シリコーン化合物が共重合されていると、さらに優れた耐衝撃性を得ることができる。
これらの熱可塑性ポリウレタンエラストマー(TPU)は、単独で用いても、組み合わせて用いてもよい。
本発明の実施形態によるパラミロン誘導体に各種添加剤や熱可塑性樹脂を添加した樹脂組成物の製造方法については、特に限定はなく、例えば各種添加剤とパラミロン系樹脂をハンドミキシングや、公知の混合機、例えばタンブラーミキサー、リボンブレンダー、単軸や多軸混合押出機、混練ニーダー、混練ロール等のコンパウンディング装置で溶融混合し、必要に応じ適当な形状に造粒等を行うことにより製造できる。また別の好適な製造方法として、有機溶媒等の溶剤に分散させた、各種添加剤と樹脂を混合し、さらに必要に応じて、凝固用溶剤を添加して各種添加剤と樹脂の混合組成物を得て、その後、溶剤を蒸発させる製造方法がある。
以上に説明した実施形態によるパラミロン系樹脂は、成形用材料(樹脂組成物)のベース樹脂として用いることができる。当該パラミロン系樹脂をベース樹脂として用いた成形用材料は、電子機器用外装などの筺体などの成形体に好適である。
ここでベース樹脂とは、成形用材料中の主成分を意味し、この主成分の機能を妨げない範囲で他の成分を含有することを許容することを意味し、特にこの主成分の含有割合を特定するものではないが、この主成分が組成物中の50質量%以上、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、特に好ましくは90質量%以上を占めることを包含するものである。
以下、具体例を挙げて本発明をさらに詳しく説明する。
[重量平均分子量の測定]
パラミロン及びパラミロン系樹脂の重量平均分子量はGPCにより以下の条件で測定して求めた。測定結果を表1〜3に示す。
(パラミロンのGPC測定条件)
カラム:PLgel20μmMIXED-A(製品名、アジレントテクノロジー(株)製)
溶離液:ジメチルアセトアミド(DMAc)溶液(0.1M LiCl)
流速:0.5mL/min
検出器:RI(示差屈折率)( 東ソー(株)製RI-71)
温度:23.0℃
標準試料:Pullulan standard
ポンプ:島津製作所製LC-20AD
オートサンプラ―:島津製作所製SIL-20ACHT
カラムオーブン:東ソー製CTO-20AC
(パラミロン系樹脂のGPC測定条件)
カラム:SHIMPAC GPC-80MC×2本、GPC-8025C×1本(製品名、島津製作所(株)製)
溶離液:クロロホルム(CHCl
流速:1.0mL/min
検出器:RI(示差屈折率)(島津製作所製 RID-10A)
温度:40.0℃
標準試料:Polystyrene standard
ポンプ:島津製作所製LC-20AD
オートサンプラ―:島津製作所製SIL-20A
カラムオーブン:島津製作所製CTO-20A
(実施例1)
原料パラミロンを塩酸水溶液で処理することで、分子量を調整したパラミロン1を得た。次に、パラミロン1を固液不均一系でアシル化することで、本実施例のパラミロン系樹脂を得た。具体的には、下記に従ってパラミロン系樹脂(パラミロンプロピオネートステアレート)を作製した。
原料パラミロン(重量平均分子量242000)15g及び1%塩酸水溶液150gを反応器に投入し、100℃で4時間撹拌後、水で洗浄することで、分子量を調整したパラミロン1を得た。パラミロン1の重量平均分子量(Mw)は、139000であった。
パラミロン1の4.5g(乾燥質量換算、27.8mmol/グルコース単位)を反応器に投入し、窒素雰囲気下で59mlのN−メチルピロリドンと8.2mLのピリジンの混合液に分散させ、室温で一晩撹拌して活性化を行った。
その後、パラミロンの分散液を10℃以下に冷却し、ステアロイルクロリド1.68g(5.6mmol)と塩化プロピオニル7.70g(83.3mmol)を予め混合して10℃以下を維持しながら反応器に投入した。
90℃で4時間加熱しながら撹拌した後、65℃まで冷却し、メタノール67mlを滴下して30分程度撹拌した。
さらに水を15ml加えて生成物を析出させ、吸引ろ過で回収した。得られた固形分を100mlのメタノール/水混合液(9/1v/v)でろ液の色が消えるまで(5回)洗浄した。
洗浄した固形分を105℃で5時間真空乾燥し、粉末状のパラミロン系樹脂(パラミロンプロピオネートステアレート)9.44g(収率100%)を得た。
得られたパラミロン系樹脂(パラミロンプロピオネートステアレート)をH−NMR(Bruker社製、AV−400、400MHz、溶媒:CDCl)によって測定したところ、DSLoは0.16、DSShは2.4であった。
また、このパラミロン系樹脂について、下記に従って評価を行った。結果を表1に示す。
[ガラス転移点(Tg)の測定]
ガラス転移点は、下記の条件で示差走査熱量測定(DSC:Differential scanning calorimetry)を行って求めた。測定装置は、セイコーインスツルメンツ社のEXSTAR2000,DSC6200を用いた。
パラミロン系樹脂を20℃から200℃まで10℃/minで昇温した後、200℃から−30℃まで50℃/minで急冷した。そして、−30℃から200℃まで20℃/minで昇温した時のガラス転移点(Tg)を測定した。
[射出成形体の作製]
射出成形(Thermo Electron Corporation製、HAAKE MiniJet II)を使用して、上記で得たパラミロン系樹脂から下記形状の成形体を作製した。
成形体サイズ:厚み2.4mm、幅12.4mm、長さ80mm
その際、成形機のシリンダー温度を200℃、金型温度を65℃、射出圧力1200bar(120MPa)で5秒間、保圧600bar(60MPa)で20秒間の成形条件に設定した。
[曲げ特性の測定]
上記の成形体について、JIS K7171に基づいて曲げ試験を行い、最大曲げ応力、曲げ弾性率、曲げ破断伸びを測定した。
[アイゾット衝撃強度の測定]
上記の成形体について、JIS K7110に記載の条件でノッチ付きアイゾット衝撃強度を測定した。
得られたデータは下記の基準で評価した。
アイゾット衝撃強度の評価基準
○:5.0kJ/m以上
×:5.0kJ/m未満
[流動性(メルトフローレート(MFR))の測定]
高下式フローテスター(島津製作所株式会社製、製品名:CFT−500D)を用い、JIS7210:1990に基づいて、温度210℃、荷重5kg、ダイ2mmφ×10mm(穴の直径2mm、穴の長さ10mm)、余熱2分(試料をシリンダー充填してピストンを挿入した時点から荷重をかけるまでの時間)の条件でMFRを測定した。
得られたデータは下記の基準で評価した。
MFRの評価基準
○:2g/10min以上
×:2g/10min未満
(実施例2)
原料パラミロン(重量平均分子量242000)15g及び3%塩酸水溶液150gを反応器に投入し、100℃で4時間撹拌後、水で洗浄することで、分子量を調整したパラミロン2を得た。パラミロン2の重量平均分子量(Mw)は、83700であった。パラミロン1をパラミロン2に変更した以外は実施例1と同様の分量と方法に従って、パラミロン系樹脂(パラミロンプロピオネートステアレート)を作製した(収量9.3g、収率99%)。
得られたパラミロン系樹脂(パラミロンプロピオネートステアレート)を実施例1と同様にH−NMRによって測定したところ、DSLoは0.14、DSShは2.4であった。
また、このパラミロン系樹脂について、実施例1と同様の方法に従って衝撃強度等の機械特性と流動性の評価を行った。結果を表1に示す。
(実施例3)
原料パラミロン(重量平均分子量242000)15g及び3%塩酸水溶液150gを反応器に投入し、100℃で6時間撹拌後、水で洗浄することで、分子量を調整したパラミロン3を得た。パラミロン3の重量平均分子量(Mw)は、71200であった。パラミロン1をパラミロン3に変更した以外は実施例1と同様の分量と方法に従って、パラミロン系樹脂(パラミロンプロピオネートステアレート)を作製した(収量8.9g、収率93%)。
得られたパラミロン系樹脂(パラミロンプロピオネートステアレート)を実施例1と同様にH−NMRによって測定したところ、DSLoは0.16、DSShは2.5であった。
また、このパラミロン系樹脂について、実施例1と同様の方法に従って衝撃強度等の機械特性と流動性の評価を行った。結果を表1に示す。
(比較例1)
原料パラミロン(重量平均分子量242000)を塩酸水溶液で処理しないでアシル化した以外は実施例1と同様の分量と方法に従って、パラミロン系樹脂(パラミロンプロピオネートステアレート)を作製した(収量8.9g、収率93%)。
得られたパラミロン系樹脂(パラミロンプロピオネートステアレート)を実施例1と同様にH−NMRによって測定したところ、DSLoは0.16、DSShは2.3であった。
また、このパラミロン系樹脂について、実施例1と同様の方法に従って衝撃強度等の機械特性と流動性の評価を行った。結果を表1に示す。なお、比較例1のパラミロン系樹脂はクロロホルムに十分に溶解しなかったためGPC測定を行えなかった。
表1に、製造したパラミロン系樹脂(パラミロンプロピオネートステアレート)の長鎖成分(オクタデカノイル基(ステアリン酸に含まれるアシル基部分に相当))、短鎖成分(プロピオニル基)及びそれらの置換度、並びに衝撃強度等の機械特性及び流動性の評価結果をまとめた。
Figure 2020013232
表1が示すように、本発明の実施形態による実施例のパラミロン系樹脂(パラミロン誘導体)は、いずれも機械特性(衝撃強度等)および熱可塑性(流動性:MFR)に優れることが分かる。
一方、重量平均分子量が70000〜140000の範囲にないパラミロンを用いて作製した比較例1のパラミロン系樹脂は、生成物の不均質性が高く、曲げ破断伸びが低下し、衝撃強度が劣るとともに、熱可塑性(流動性:MFR)も不十分であることが分かる。
(実施例4)
長鎖反応剤と短鎖反応剤の量をステアロイルクロリド3.36g(11.1mmol)と塩化プロピオニル7.70g(83.3mmol)へ変更した以外は実施例1と同じ方法に従って、パラミロン系樹脂(パラミロンプロピオネートステアレート)を作製した(収量8.3g、収率82%)。
得られたパラミロン系樹脂(パラミロンプロピオネートステアレート)を実施例1と同様にH−NMRによって測定したところ、DSLoは0.32、DSShは2.1であった。
また、このパラミロン系樹脂について、実施例1と同様の方法に従って衝撃強度等の機械特性と流動性の評価を行った。結果を表2に示す。なお、得られたパラミロン系樹脂はクロロホルムに十分に溶解しなかったためGPC測定を行えなかった。
(実施例5)
長鎖反応剤と短鎖反応剤の量をステアロイルクロリド2.10g(6.90mmol)と塩化プロピオニル6.41g(69.4mmol)へ変更した以外は実施例1と同じ方法に従って、パラミロン系樹脂(パラミロンプロピオネートステアレート)を作製した(収量9.3g、収率96%)。
得られたパラミロン系樹脂(パラミロンプロピオネートステアレート)を実施例1と同様にH−NMRによって測定したところ、DSLoは0.27、DSShは2.1であった。
また、このパラミロン系樹脂について、実施例1と同様の方法に従って衝撃強度等の機械特性と流動性の評価を行った。結果を表2に示す。なお、得られたパラミロン系樹脂はクロロホルムに十分に溶解しなかったためGPC測定を行えなかった。
(実施例6)
長鎖反応剤と短鎖反応剤の量をステアロイルクロリド0.84g(2.80mmol)と塩化プロピオニル7.70g(83.3mmol)へ変更した以外は実施例1と同じ方法に従って、パラミロン系樹脂(パラミロンプロピオネートステアレート)を作製した(収量9.3g、収率95%)。
得られたパラミロン系樹脂(パラミロンプロピオネートステアレート)を実施例1と同様にH−NMRによって測定したところ、DSLoは0.10、DSShは2.5であった。
また、このパラミロン系樹脂について、実施例1と同様の方法に従って衝撃強度等の機械特性と流動性の評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例7)
パラミロン1に代えてパラミロン2を用い、長鎖反応剤と短鎖反応剤の量をステアロイルクロリド3.36g(11.1mmol)と塩化プロピオニル7.70g(83.3mmol)へ変更した以外は実施例1と同じ方法に従って、パラミロン系樹脂(パラミロンプロピオネートステアレート)を作製した(収量9.0g、収率89%)。
得られたパラミロン系樹脂(パラミロンプロピオネートステアレート)を実施例1と同様にH−NMRによって測定したところ、DSLoは0.30、DSShは2.1であった。
また、このパラミロン系樹脂について、実施例1と同様の方法に従って衝撃強度等の機械特性と流動性の評価を行った。結果を表2に示す。
(実施例8)
パラミロン1に代えてパラミロン3を用い、長鎖反応剤と短鎖反応剤の量をステアロイルクロリド3.36g(11.1mmol)と塩化プロピオニル7.70g(83.3mmol)へ変更した以外は実施例1と同じ方法に従って、パラミロン系樹脂(パラミロンプロピオネートステアレート)を作製した(収量9.5g、収率91%)。
得られたパラミロン系樹脂(パラミロンプロピオネートステアレート)を実施例1と同様にH−NMRによって測定したところ、DSLoは0.35、DSShは2.2であった。
また、このパラミロン系樹脂について、実施例1と同様の方法に従って衝撃強度等の機械特性と流動性の評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例2)
原料パラミロンを塩酸水溶液で処理しないでアシル化を行い、長鎖反応剤と短鎖反応剤の量をステアロイルクロリド3.99g(13.2mmol)と塩化プロピオニル8.54g(92.3mmol)へ変更した以外は実施例1と同じ方法に従って、パラミロン系樹脂(パラミロンプロピオネートステアレート)を作製した(収量8.5g、収率83%)。
得られたパラミロン系樹脂(パラミロンプロピオネートステアレート)を実施例1と同様にH−NMRによって測定したところ、DSLoは0.31、DSShは2.2であった。
また、このパラミロン系樹脂について、実施例1と同様の方法に従って衝撃強度等の機械特性と流動性の評価を行った。結果を表2に示す。なお、得られたパラミロン系樹脂はクロロホルムに十分に溶解しなかったためGPC測定を行えなかった。
(比較例3)
パラミロン1に代えてパラミロン2を用い、長鎖反応剤と短鎖反応剤の量をステアロイルクロリド6.73g(22.2mmol)と塩化プロピオニル7.70g(83.3mmol)へ変更した以外は実施例1と同じ方法に従って、パラミロン系樹脂(パラミロンプロピオネートステアレート)を作製した(収量11.4g、収率96%)。
得られたパラミロン系樹脂(パラミロンプロピオネートステアレート)を実施例1と同様にH−NMRによって測定したところ、DSLoは0.60、DSShは1.9であった。
また、このパラミロン系樹脂について、実施例1と同様の方法に従って衝撃強度等の機械特性と流動性の評価を行った。結果を表2に示す。
(比較例4)
パラミロン1に代えてパラミロン2を用い、長鎖反応剤と短鎖反応剤の量をステアロイルクロリド1.68g(5.60mmol)と塩化プロピオニル6.16g(66.6mmol)へ変更した以外は実施例1と同じ方法に従って、パラミロン系樹脂(パラミロンプロピオネートステアレート)を作製した(収量8.1g、収率92%)。
得られたパラミロン系樹脂(パラミロンプロピオネートステアレート)を実施例1と同様にH−NMRによって測定したところ、DSLoは0.16、DSShは2.0であった。
また、このパラミロン系樹脂について、実施例1と同様の方法に従って衝撃強度等の機械特性と流動性の評価を行った。結果を表2に示す。
Figure 2020013232
表2が示すように、本発明の実施形態による実施例のパラミロン系樹脂(パラミロン誘導体)は、いずれも機械特性(衝撃強度等)および熱可塑性(流動性:MFR)に優れることが分かる。
一方、重量平均分子量が70000〜140000の範囲にないパラミロンを用いて作製した比較例2のパラミロン系樹脂は、実施例4と同様の長鎖及び短鎖の付加量(DSLo、DSSh)であるが、実施例4に比べてパラミロンの分子量が高いため(結果、得られたパラミロン系樹脂の分子量も高いため)、熱可塑性(流動性:MFR)が低いことが分かる。
また、パラミロンの重量平均分子量が70000〜140000の範囲内であっても、比較例3のように長鎖の付加量(DSLo)が高すぎると柔軟性が高まるため、最大曲げ応力、曲げ弾性率および耐熱性(Tg)は低下することが分かる。
逆に、比較例4のように長鎖の付加量(DSLo)が低く、且つ長鎖と短鎖の付加量(DSLo+DSSh)が小さいと、耐衝撃性および熱可塑性(流動性:MFR)が低下することが分かる。
(実施例9)
パラミロン1に代えてパラミロン3を用い、ステアロイルクロリドの量を4.20g(13.9mmol)へ変更し、さらに短鎖反応剤を塩化アセチル6.54g(83.3mmol)へ変更した以外は実施例1と同じ方法に従って、パラミロン系樹脂(パラミロンアセテートステアレート)を作製した(収量9.5g、収率97%)。
得られたパラミロン系樹脂(パラミロンアセテートステアレート)を実施例1と同様にH−NMRによって測定したところ、DSLoは0.32、DSShは2.4であった。
また、このパラミロン系樹脂について、実施例1と同様の方法に従って衝撃強度等の機械特性と流動性の評価を行った。結果を表3に示す。
(実施例10)
パラミロン1に代えてパラミロン3を用い、ステアロイルクロリドの量を4.20g(13.9mmol)へ変更し、さらに短鎖反応剤を塩化アセチル3.27g(41.6mmol)及び塩化プロピオニル3.85g(41.6mmol)へ変更した以外は実施例1と同じ方法に従って、パラミロン系樹脂(パラミロンアセテートプロピオネートステアレート)を作製した(収量10.2g、収率97%)。
得られたパラミロン系樹脂(パラミロンアセテートプロピオネートステアレート)を実施例1と同様にH−NMRによって測定したところ、DSLoは0.31、アセチル基(Ac)のDSShは1.4、プロピオニル基(Pr)のDSShは0.88であった。
また、このパラミロン系樹脂について、実施例1と同様の方法に従って衝撃強度等の機械特性と流動性の評価を行った。結果を表3に示す。
(比較例5)
原料パラミロンを塩酸水溶液で処理しないでアシル化を行い、ステアロイルクロリドの量を4.44g(14.6mmol)へ変更し、さらに短鎖反応剤を塩化アセチル6.90g(87.9mmol)へ変更した以外は実施例1と同じ方法に従って、パラミロン系樹脂(パラミロンアセテートステアレート)を作製した(収量8.5g、収率94%)。
得られたパラミロン系樹脂(パラミロンアセテートステアレート)を実施例1と同様にH−NMRによって測定したところ、DSLoは0.26、DSShは2.2であった。
また、このパラミロン系樹脂について、実施例1と同様の方法に従って衝撃強度等の機械特性と流動性の評価を行った。結果を表3に示す。なお、得られたパラミロン系樹脂はクロロホルムに十分に溶解しなかったためGPC測定を行えなかった。
(比較例6)
原料パラミロンを塩酸水溶液で処理しないでアシル化を行い、ステアロイルクロリドの量を3.74g(12.3mmol)へ変更し、さらに短鎖反応剤を塩化アセチル2.90g(36.9mmol)及び塩化プロピオニル3.42g(37.0mmol)へ変更した以外は実施例1と同じ方法に従って、パラミロン系樹脂(パラミロンアセテートプロピオネートステアレート)を作製した(収量9.3g、収率96%)。
得られたパラミロン系樹脂(パラミロンアセテートプロピオネートステアレート)を実施例1と同様にH−NMRによって測定したところ、DSLoは0.35、アセチル基(Ac)のDSShは1.2、プロピオニル基(Pr)のDSShは0.72であった。
また、このパラミロン系樹脂について、実施例1と同様の方法に従って衝撃強度等の機械特性と流動性の評価を行った。結果を表3に示す。なお、得られたパラミロン系樹脂はクロロホルムに十分に溶解しなかったためGPC測定を行えなかった。
Figure 2020013232
表3が示すように、本発明の実施形態による実施例のパラミロン系樹脂(パラミロン誘導体)は、いずれも機械特性(衝撃強度等)および熱可塑性(流動性:MFR)に優れることが分かる。
一方、重量平均分子量が70000〜140000の範囲にないパラミロンを用いて作製した比較例5及び6のパラミロン系樹脂は、それぞれ実施例9及び10と同様の短鎖及び長鎖の付加量であるにもかかわらず、パラミロンの分子量が高すぎるため、耐衝撃性および熱可塑性(流動性:MFR)は低いことが分かる。
(実施例11)
原料パラミロン(重量平均分子量242000)15g及び5%塩酸水溶液150gを反応器に投入し、90℃で4時間撹拌後、水で洗浄することで、分子量を調整したパラミロン4を得た。パラミロン4の重量平均分子量(Mw)は、96700であった。
パラミロン1をパラミロン4に変更し、混合液の量をN−メチルピロリドン51mLとピリジン7.1mLに変更し、長鎖反応剤としてパルミトイルクロリド3.05g(11.1mmol)へ変更した以外は実施例1と同じ方法に従って、パラミロン系樹脂(パラミロンプロピオネートパルミテート)を作製した(収量9.9g、収率100%)。
得られたパラミロン系樹脂(パラミロンプロピオネートパルミテート)を実施例1と同様にH−NMRによって測定したところ、DSLoは0.26、DSShは2.3であった。
また、このパラミロン系樹脂について、実施例1と同様の方法に従って衝撃強度等の機械特性と流動性の評価を行った。結果を表4に示す。
(実施例12)
パラミロン1をパラミロン4に変更し、混合液の量をN−メチルピロリドン51mLとピリジン7.1mLに変更し、長鎖反応剤としてミリストイルクロリド2.74g(11.1mmol)へ変更した以外は実施例1と同じ方法に従って、パラミロン系樹脂(パラミロンプロピオネートミリステート)を作製した(収量9.3g、収率95%)。
得られたパラミロン系樹脂(パラミロンプロピオネートミリステート)を実施例1と同様にH−NMRによって測定したところ、DSLoは0.29、DSShは2.4であった。
また、このパラミロン系樹脂について、実施例1と同様の方法に従って衝撃強度等の機械特性と流動性の評価を行った。結果を表4に示す。
Figure 2020013232
表4が示すように、本発明の実施形態による実施例のパラミロン系樹脂(パラミロン誘導体)は、いずれも機械特性(衝撃強度等)および熱可塑性(流動性:MFR)に優れることが分かる。
以上、実施形態及び実施例を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態及び実施例に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明の範囲内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
この出願は、2018年7月10日に出願された日本出願特願2018−130984を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。

Claims (9)

  1. パラミロンの重量平均分子量が70000〜140000の範囲にあり、該パラミロンのヒドロキシ基の水素原子が、炭素数14以上の直鎖状飽和脂肪族アシル基である長鎖成分と、炭素数2又は3のアシル基(アセチル基又は/及びプロピオニル基)である短鎖成分で置換されたパラミロン系樹脂であって、
    前記長鎖成分による置換度(DSLo)と前記短鎖成分による置換度(DSSh)が、以下の条件式(1)及び(2)を満たし、
    アイゾット衝撃強度が5.0kJ/m以上であり、
    MFR(210℃、荷重5kgにおけるメルトフローレート)が2g/10min以上である、パラミロン系樹脂。
    2.2 ≦ DSLo+DSSh ≦ 2.8 (1)
    5≦ DSSh/DSLo ≦ 25 (2)
  2. DSLoが0.1〜0.5の範囲にあり、DSShが2.0〜2.5の範囲にある、請求項1に記載のパラミロン系樹脂。
  3. 前記長鎖成分がミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸から選ばれる少なくとも一種の脂肪酸のアシル基部分である、請求項1又は2に記載のパラミロン系樹脂。
  4. 請求項1から3のいずれか一項に記載のパラミロン系樹脂を含む成形用材料。
  5. 請求項4に記載の成形用材料を用いて形成された成形体。
  6. 請求項1から3のいずれか一項に記載のパラミロン系樹脂を製造する方法であって、
    酸捕捉成分の存在下、加温下で、
    溶媒中に分散された重量平均分子量70000〜140000のパラミロンと、
    塩化アセチル又は/及び塩化プロピオニルと、
    前記長鎖成分を有する長鎖脂肪酸の酸塩化物である長鎖反応剤とを反応させて、該パラミロンのヒドロキシ基をアシル化する工程と、
    前記アシル化工程により得られたアシル化パラミロンを前記溶媒から分離する工程を含む、パラミロン系樹脂の製造方法。
  7. 前記溶媒が、水、酢酸、ジオキサン、ピリジン、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシドから選ばれる少なくとも1種である、請求項6又は7に記載のパラミロン系樹脂の製造方法。
  8. 前記酸捕捉成分は、トリエチルアミンまたはピリジンを含む、請求項6又は7に記載のパラミロン系樹脂の製造方法。
  9. 前記溶媒の量は、前記パラミロンの乾燥質量に対して10〜50倍量である、請求項6から8のいずれか一項に記載のパラミロン系樹脂の製造方法。
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