JPWO2020004411A1 - セリア−ジルコニア系複合酸化物分散液の製造方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、色のばらつきが抑制されたセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液を安定的に製造することができる方法を提供する。本発明は、水溶性セリウム化合物及び水溶性ジルコニウム化合物を含む原料を水中で塩基性化合物を用いて中和してスラリーを得る工程と、該スラリーに過酸化水素を加えた後、過酸化水素以外の酸を加えて加熱することで水熱反応を行う工程とを含むセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液の製造方法に関する。

Description

本発明は、セリア−ジルコニア系複合酸化物分散液の製造方法に関する。
酸化ジルコニウムは、その高い屈折率を活かして透明性が必要とされるフィルム等樹脂成形体の屈折率を向上させる成分として利用されており、例えば酸化ジルコニウムを配合したフィルムは液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の反射防止膜等として使用されている。
このような酸化ジルコニウムについては、ジルコニウムのみの酸化物に加え、ジルコニウムと他の金属元素を含む酸化物についても種々検討がされており、ジルコニウムとセリウムとの複合酸化物や、酸化ジルコニウム粒子が他の金属酸化物で被覆された複合酸化物、酸化ジルコニウムに対して、アルミニウム、マグネシウム、チタン及び希土類元素から選ばれる少なくとも1種の安定化元素を含む固溶体等が開示されている(特許文献1〜7参照)。
特開2003−277059号公報 特開2009−167085号公報 特表2007−504091号公報 特開2014−105132号公報 特表2008−538349号公報 特開2007−31192号公報 特開2010−132494号公報
上記特許文献のうち、特許文献2、5−7には、酸化ジルコニウムが他の金属元素の酸化物で被覆されたものや、ジルコニウムと他の金属元素の複合酸化物のゾルが開示されている。このうち特許文献7には、高濃度かつ低粘度で透明性の高い酸化ジルコニウム分散液を製造する方法について記載され、ジルコニウム塩と共に安定化元素として希土類元素の塩を原料として使用し、酸化ジルコニウム分散液を製造することが記載されているが、本発明者は、この方法で希土類元素としてセリウムを使用してセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液を複数回製造した場合、得られる複合酸化物分散液の色が同じ色にならず、ばらつきが生じるという課題があることを見出した。色の違いは含まれる複合酸化物の物性に違いがあることを意味し、この複合酸化物を利用した場合に各種性能にばらつきが生じることが懸念されるため、このような色の違いが抑制されたセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液を安定的に製造することができる方法を検討する余地があった。
本発明は、上記現状に鑑み、色のばらつきが抑制されたセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液を安定的に製造することができる方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、セリア−ジルコニア系複合酸化物分散液の色の違いを抑制する方法について検討した。そして、水溶性セリウム化合物と水溶性ジルコニウム化合物を含む原料と塩基性化合物とを中和することで得られるスラリーに過酸化水素を添加し、その後に過酸化水素以外の酸を加えて水熱反応を行うようにすると、色のばらつきを抑制し、安定した品質のセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液を製造することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、水溶性セリウム化合物及び水溶性ジルコニウム化合物を含む原料を水中で塩基性化合物を用いて中和してスラリーを得る工程と、該スラリーに過酸化水素を加えた後、過酸化水素以外の酸を加えて加熱することで水熱反応を行う工程とを含むことを特徴とするセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液の製造方法である。
上記水熱反応工程において、スラリー中に含まれるジルコニウム元素と前記塩基性化合物に含まれる金属元素とを除く金属元素1モル部に対して0.5モル部以上の過酸化水素を使用することが好ましい。
上記水熱反応工程において、スラリー中に含まれる前記塩基性化合物を除く原料由来の金属元素の合計1モル部に対して0.5モル部以上の過酸化水素以外の酸を使用することが好ましい。
上記水熱反応工程において、過酸化水素及び過酸化水素以外の酸を加えた後、105℃以上に加熱することが好ましい。
上記水溶性セリウム化合物及び水溶性ジルコニウム化合物を含む原料は、セリウム、ジルコニウム以外の金属元素の化合物を更に含むことが好ましい。
上記セリウム、ジルコニウム以外の金属元素は、周期表第3周期から第6周期、かつ、第2族から第15族から選ばれる元素の少なくとも1種以上であることが好ましい。
本発明はまた、セリア−ジルコニア系複合酸化物を固形分として含む分散液であって、
該分散液は、固形分濃度が10〜50質量%であり、屈折率が1.340〜1.500であり、波長435nmの光透過率が50%以下、かつ、波長550nmの光透過率が80%以上であり、かつ、CIE色度座標上において0.325≦x≦0.375、かつ0.350≦y≦0.400の範囲にある色を呈することを特徴とするセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液でもある。
本発明のセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液の製造方法は、色のばらつきが抑制されたセリウムとジルコニウムとを含む複合酸化物の分散液を安定的に製造することができるため、ディスプレイの反射膜の材料や自動車排気ガス浄化用触媒の原料として使用されるセリア−ジルコニア系複合酸化物の製造方法として好適に使用することができる。
実施例1〜5及び比較例1、2で得られたセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液の色を分光色差計で測定した結果を示す図である。 実施例1において製造されたセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液の固形分を透過型電子顕微鏡で観察した結果を示した図である。 実施例1において製造されたセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液の固形分のX線回折測定結果を示した図である。
以下、本発明の好ましい形態について具体的に説明するが、本発明は以下の記載のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。
1.セリア−ジルコニア系複合酸化物分散液の製造方法
本発明のセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液の製造方法は、水溶性セリウム化合物及び水溶性ジルコニウム化合物を含む原料を水中で塩基性化合物を用いて中和してスラリーを得る工程(スラリー調製工程)、スラリーに過酸化水素を加えた後、過酸化水素以外の酸を加えて加熱することで水熱反応を行う工程(水熱反応工程)を含むことを特徴とする。
水溶性セリウム化合物及び水溶性ジルコニウム化合物を含む原料を、水中で塩基性化合物を用いて中和した後、水熱反応を行う前に過酸化水素を加えることでセリウム化合物中のセリウム原子を酸化させることができ、これにより得られるセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液の製造毎の色のばらつきを抑制し、品質の安定したセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液を製造することができると考えらえる。
上記スラリー調製工程に用いる原料は、水溶性ジルコニウム化合物中のジルコニウム原子1モルに対し、水溶性セリウム化合物中のセリウム原子をモル比で0.05〜19の範囲となるように含むことが好ましい。こうすることで、紫外線吸収効果や酸素吸蔵放出効果等の特性をより充分に保持したセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液の調製が可能になる。より好ましくは、前記比が0.1〜6.0であり、更に好ましくは、0.25〜4である。
上記スラリー調製工程に用いる水溶性セリウム化合物及び水溶性ジルコニウム化合物は、それぞれセリウム元素、ジルコニウム元素を含む化合物であればよいが、化合物としては、酸化物、水酸化物、酸化水酸化物、塩化物、硫化物、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、炭酸水素塩、酢酸塩、リン酸塩、蓚酸塩、酪酸塩、セレン酸塩、ヨウ素酸塩、フッ化物等が挙げられる。水溶性セリウム化合物及び水溶性ジルコニウム化合物は同じ種類の化合物であってもよく、異なる種類の化合物であってもよい。
なお、本明細書では金属の元素について、慣用的に”元素”を”原子”と記載していることがあるが本質的に同じ意味である。
上記スラリー調製工程に用いる水溶性セリウム化合物及び水溶性ジルコニウム化合物を含む原料は、水溶性セリウム化合物及び水溶性ジルコニウム化合物以外のその他の成分を含んでいてもよい。その他の成分としては、異元素及びそのイオンや金属化合物、分散剤、凝集剤、消泡剤、pH調整剤、緩衝剤、粘度調整剤、熱安定剤、濾過助剤、触媒等が挙げられる。中でも、屈折率の調整や触媒性能を発現させるなどより性能を付加するために金属化合物、すなわち、セリウム、ジルコニウム以外の金属元素の化合物を更に含むことが好ましい。
セリウム、ジルコニウム以外の金属元素としては、周期表第3周期から第6周期、かつ、第2族から第15族から選ばれる元素の少なくとも1種以上が好ましい。より好ましくは、Mg、Al、Si、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Sr、Y、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、In、Sn、Sb、Ba、La、Pr、Nd、Pm、Sm、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Pb、Biのいずれかの金属元素から選ばれる少なくとも1種以上である。
化合物としては、上記セリウム化合物やジルコニウム化合物と同様のものが挙げられる。
上記スラリー調製工程で、水溶性セリウム化合物及び水溶性ジルコニウム化合物以外の金属化合物を原料に含む場合、金属化合物の含有量は、原料中に含まれる水溶性ジルコニウム化合物中のジルコニウム原子と原料に含まれる水溶性セリウム化合物中のセリウム原子の合計1モルに対し、該金属化合物が含む金属(原子)のモル比が0.01〜1であることが好ましい。このような比率であると、作製したセリア−ジルコニア系複合酸化物に、新たな物性や性能を付加させることができる。例えば、イットリウム原子を含むと腐食性ガスへの耐性が向上する。前記モル比はより好ましくは、0.03〜0.7であり、更に好ましくは、0.05〜0.5である。
上記スラリー調製工程では、水溶性セリウム化合物及び水溶性ジルコニウム化合物を含む原料を水中で塩基性化合物を用いて中和する。
塩基性化合物としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムカリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素アンモニウム、亜硫酸リチウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウム、亜硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウム、蓚酸リチウム、蓚酸ナトリウム、蓚酸カリウム、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸カルシウム、酢酸バリウム、ギ酸リチウム、ギ酸ナトリウム、ギ酸カリウム、安息香酸リチウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、リチウムフェノキシド、ナトリウムフェノキシド、カリウムフェノキシド、リチウムメトキシド、ナトリウムメトキシド、カリウムメトキシド、リチウムエトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムエトキシド、リン酸リチウム、リン酸三ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウム、リン酸三アンモニウム、硫化リチウム、硫化ナトリウム、硫化カリウム、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カリウム、アンモニア、メチルアミン、ジエチルアミン、ヒドラジン等が挙げられ、これらの1種又は2種以上を使用することができる。
上記塩基性化合物の使用量は、塩基性化合物を除く原料に含まれる全ての金属元素の合計1モル部に対して、0.8〜5.0モル部となる割合であることが好ましい。これにより原料を中和し、かつ、過剰な塩基性化合物が中和して得られたスラリーに残留することも抑制することができる。より好ましくは、塩基性化合物を除く原料に含まれる全ての金属元素の合計1モル部に対して、1.0〜4.9モル部となる割合であり、更に好ましくは、原料に含まれる全ての金属元素の合計1モル部に対して、1.2〜4.8モル部となる割合である。
上記水中での中和は、塩基性化合物を除く原料を水溶液又は水分散液とし、そこに塩基性化合物を添加して中和してもよく、塩基性化合物水溶液に塩基性化合物を除く原料を添加して中和してもよく、塩基性化合物を除く原料と塩基性化合物とを共に水中に徐々に添加して中和してもよいが、これらの中でも塩基性化合物を除く原料と塩基性化合物とを共に水中に徐々に添加して中和することが好ましい。このようにすることで、より粒子径の揃った粒子を製造することができる。この場合、塩基性化合物を除く原料を水溶液又は水分散液とし、また塩基性化合物も水溶液としたうえで、水中に徐々に添加することが反応をより均一に進行させる点から好ましい。
上記水溶液または水分散液に使用する水は、純水、イオン交換水が挙げられるが、反応を阻害しない範囲で、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、等の水に溶解あるいは混和する化合物を含んでも良い。
上記中和におけるpHの範囲は6〜14が好ましい。pHが6以下の範囲であると水酸化セリウムが溶解する可能性がある。より好ましくはpHの範囲は7〜13である。pHが13を超えると水酸化セリウムの安定度が高くなり、酸化セリウムとしての収量が低下する恐れがあるためである。
上記中和で塩基として金属化合物を使用した場合、得られたスラリーを濾過し、更に洗浄水の電気伝導率が200μS/cm以下になるまで洗浄して塩基性の金属化合物を除去した残渣(共沈物ともいう)をリパルプすることで水酸化ジルコニウムと水酸化セリウムを含むスラリーを調整することが好ましい。
水熱反応工程においては、中和して得られたスラリー中に含まれるジルコニウム元素と塩基性化合物に含まれる元素とを除く金属元素1モル部に対して0.5モル部以上の過酸化水素を使用することが好ましい。このような割合で過酸化水素を使用することで、セリウム化合物中のセリウム原子を十分に酸化して酸化数の高い状態にすることができ、これにより色の安定した複合酸化物を得ることができる。過酸化水素の使用量は、操作上の安全性、及び製造コストの点から、スラリー中に含まれるジルコニウム元素と塩基性化合物に含まれる元素とを除く金属元素1モル部に対して2.0モル部以下であることが好ましい。
過酸化水素は2〜90重量%の水溶液が市販されているが、水熱反応工程にはいずれの濃度のものを使用しても良い。
上記過酸化水素の添加方法は特に制限されず、中和して得られたスラリーに一括して添加してもよく、滴下等により分割して添加してもよい。過酸化水素を添加したスラリーはガラス棒等で均一になるまでよく混合することが好ましい。
上記水熱反応工程においては、中和して得られたスラリー中に含まれる塩基性化合物を除く原料由来の金属元素の合計1モル部に対して過酸化水素以外の酸の使用量が0.5〜20モル部であることが好ましい。これにより、得られる分散液の透明性が向上するのみならず、粘度を低下させることができる。0.5モル部未満であると、分散液の透明性が低くなる虞がある。また20モル部を超える範囲では透明性の向上も粘度の低下も頭打ちとなり、添加量に見合う効果も得られず、経済的でもない。より好ましくは、1〜10モル部である。
上記水熱反応工程に用いる過酸化水素以外の酸としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、乳酸、リンゴ酸、シュウ酸、酪酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、マレイン酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、サリチル酸等の有機酸や硝酸、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸が挙げられ、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
上記過酸化水素以外の酸の添加方法は特に制限されず、上記過酸化水素を含む水熱反応前のスラリーに一括して添加してもよく、滴下等により分割して添加してもよい。添加後はスラリーをガラス棒等で均一になるまでよく混合することが好ましい。
上記水熱反応工程において、過酸化水素及び過酸化水素以外の酸を加えた後、加熱する温度は、複合酸化物が形成される限り特に制限されないが、105℃以上であることが好ましい。105℃以上に加熱することで、より多くの複合酸化物を得ることができる。加熱温度は、より好ましくは、160℃以上であり、更に好ましくは、170℃以上である。また、製造コストの点から、加熱温度は、水の臨界温度である374℃以下であることが好ましい。より好ましくは、300℃以下である。
上記水熱反応工程において、過酸化水素及び過酸化水素以外の酸を加えた後、加熱する時間は、複合酸化物が形成される限り特に制限されないが、複合酸化物の収率向上と製造の効率とを考慮すると、0.5〜240時間であることが好ましい。より好ましくは、1〜10時間であり、更に好ましくは、1.5〜5時間である。
上記水熱反応工程によって得られた分散液はそのまま使用してもよいが、本発明では、限外濾過膜を用いて脱塩・濃縮する工程を含むことが好ましい。これにより、上記スラリー調製工程において生成した水溶性塩や、上記水熱反応工程において添加した酸の過剰分を取り除き、不純物が少ないセリア−ジルコニア系複合酸化物の分散液を得ることができる。
上記脱塩・濃縮工程の方法は特に制限されず、半透膜、イオン交換樹脂、電気透析、脱塩カラム、ゲル濾過クロマトグラフィー、遠心分離、超音波霧化分離、煮沸濃縮、真空濃縮等を使用することができる。
本発明のセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液の製造方法は、上述したスラリー調製工程、水熱反応工程、濃縮工程以外のその他の工程を含んでいてもよい。その他の工程としては、スラリー調製工程で得られたスラリーを水熱反応工程前にろ過、洗浄、リパルプする工程や、原料粉末を水に溶解させ水溶液を調製する工程、超音波等で分散性を高める工程、分散液中の複合酸化物を粉砕する工程、分散液を希釈する工程、分散液のpHを調整する工程、分散液の粘度を調整する工程、分散液の温度を調整する工程、分散液を更に濃縮する工程、分散液を更に脱塩する工程、分散液の用途等に応じ、前記添加剤等を添加する工程等が挙げられる。
2.セリア−ジルコニア系複合酸化物分散液
本発明はまた、セリア−ジルコニア系複合酸化物を固形分として含む分散液であって、該分散液は、固形分濃度が10〜50質量%であり、屈折率が1.340〜1.500であり、波長435nmの光透過率が50%以下、かつ、波長550nmの光透過率が80%以上であり、かつ、CIE色度座標上において0.325≦x≦0.375、かつ0.350≦y≦0.400の範囲にある色を呈することを特徴とするセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液でもある。
このような本発明のセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液は、屈折率が高いセリア−ジルコニア系複合酸化物を高い濃度で含む分散液であって、色すなわち物性が安定していることから、各種用途に好適に用いることができる。
セリア−ジルコニア系複合酸化物分散液の屈折率、光透過率及びCIE色度座標は実施例に記載の方法で測定することができる。
本発明のセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液に含まれるセリア−ジルコニア系複合酸化物は、セリウム原子とジルコニウム原子とを物質量比(セリウム原子/ジルコニウム原子)で5/95〜95/5の割合で含むことが好ましい。このような割合でセリウム元素を含むことで、酸化セリウムが本来有している紫外線吸収効果や酸素吸蔵放出効果等の特性をより充分に保持したセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液の調製が可能になる。より好ましくは、セリウム原子とジルコニウム原子とを物質量比で20/80〜80/20の割合で含むことであり、更に好ましくは、物質量比で30/70〜70/30の割合で含むことである。
本発明のセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液の屈折率は1.340〜1.500であるが、1.345〜1.475であることが好ましい。より好ましくは、1.350〜1.450である。
本発明のセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液の波長435nmの光透過率は50%以下であるが、45%以下であることが好ましい。より好ましくは、40%以下である。
また、波長550nmの光透過率は80%以上であるが、83%以上であることが好ましい。より好ましくは、85%以上である。
本発明のセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液は、固形分の平均TEM径、結晶子径及びBET換算径のいずれもが20nm以下であることが好ましい。このようなものであると、可視光の散乱が少なくなり分散液の透明性が向上する。平均TEM径、結晶子径及びBET換算径は、より好ましくは、15nm以下であり、更に好ましくは、10nm以下である。
セリア−ジルコニア系複合酸化物分散液の固形分の平均TEM径、結晶子径及びBET換算径は、実施例に記載の方法により測定することができる。
本発明のセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液は、固形分の(結晶子径)/(平均TEM径)×100で求められる百分率が50%以上であることが好ましい。この百分率の値が大きいほど、より単結晶に近い粒子であることを示しているため、本明細書中では単結晶率と称する。単結晶率は、より好ましくは60%以上であり、更に好ましくは、70%以上である。
上記単結晶率は、実施例に記載の方法により測定することができる。ここで、固形分とはセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液を105℃で12時間以上乾燥させることで得られる複合酸化物ナノ粒子粉末状にしたものを意味する。
本発明のセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液は、固形分中にセリウム、ジルコニウム以外の金属元素の化合物を更に含むことが好ましい。これにより、セリア−ジルコニア系複合酸化物の特性を変化させ、各種用途により好適なものとすることができる。
セリウム、ジルコニウム以外の金属元素としては、周期表第3周期から第6周期、かつ、第2族から第15族から選ばれる元素の少なくとも1種以上であることが好ましい。これらの中でも、Mg、Al、Si、Ca、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ga、Ge、Sr、Y、Nb、Mo、Ru、Rh、Pd、Ag、In、Sn、Sb、Ba、La、Pr、Nd、Pm、Sm、Er、Tm、Yb、Lu、Hf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Au、Pb、Biのいずれかの金属元素から選ばれる少なくとも1種以上であることがより好ましい。
本発明のセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液が、固形分中にセリウム、ジルコニウム以外の金属元素の化合物を更に含む場合、該セリウム、ジルコニウム以外の金属原子とセリウム原子、ジルコニア原子とのモル比(セリウム、ジルコニウム以外の金属原子/セリウム原子、ジルコニウム原子の合計)は、1/99〜50/50の割合であることが好ましい。このような割合で含むことで、酸化セリウムが本来有している特性を充分に保持しつつ、セリウム、ジルコニウム以外の金属元素を含むことの効果をより十分に発揮することができる。該モル比は、より好ましくは、2/98〜30/70の割合であり、更に好ましくは、3/97〜10/90の割合である。
本発明のセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液は、屈折率が高いセリア−ジルコニア系複合酸化物を高い濃度で含む分散液であって、色すなわち物性も安定していることから、各種用途に好適に用いることができ、例えば、自動車排気ガス浄化用触媒の原料として用いられることは本発明のセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液の好適な実施形態の1つである。
本発明を詳細に説明するために以下に具体例を挙げるが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。特に断りのない限り、「wt%」とは「重量%(質量%)」を意味する。
実施例、比較例における各種測定は以下のようにして行った。
<屈折率>
ポケット屈折計PAL−RI(アタゴ社製)を用いて固形分濃度10質量%、25℃に調整したサンプルを測定した。
<光透過率>
紫外可視近赤外分光光度計V−770(日本分光社製)を用い、光路長10mmの角セルに固形分濃度10質量%に調整したサンプルを入れ、波長300〜800nmの全光透過率を測定した。
<CIE色度座標>
分光色差計SE 6000(日本電色工業社製)を用い、固形分濃度10〜15質量%に調整したサンプルを透過モードにて測定し、XYZ表色系よりCIE色度座標を算出した。
<平均TEM径>
透過型電子顕微鏡JEM−2100(日本電子社製)にて粒子の観察を行った。そのうち300粒子の粒子径の平均値を平均TEM径とした。およそ中心を通る最も長い径を長径とし、およそ中心を通る最も短い径を短径としたうえで、粒子径=(長径+短径)/2で算出した。
<BET換算径>
全自動比表面積測定装置Macsorb HM model−1220(マウンテック社製)を用い、セリア−ジルコニア系複合酸化物分散液の固形分を、窒素/ヘリウム混合ガスを用いたBET流動法1点法によって測定した。
<結晶子径>
粉末X線回折装置RINT−UltimaIII(リガク社製、線源:CuKα)を用い、セリア−ジルコニア系複合酸化物分散液の固形分の粉末X線回折測定を行った。得られた回折パターンのうち、回折強度が最も強いピークの半値全幅から結晶子径を算出した。
後述する各実施例で用いた化合物や機器は以下のものを使用した。
オキシ塩化ジルコニウム(米山薬品工業社製)
塩化セリウム七水和物(富士フイルム和光純薬社製)
水酸化カリウム(富士フイルム和光純薬社製)
酢酸99%(富士フイルム和光純薬社製)
過酸化水素(富士フイルム和光純薬社製)
限外濾過膜(旭化成社製「マイクローザ」)
実施例1
オキシ塩化ジルコニウム濃度が0.58mol/L、塩化セリウム濃度が0.23mol/Lの混合水溶液3.42Lと2.7mol/L濃度の水酸化カリウム水溶液2.52Lを調製した。予め純水3.06Lを仕込んだ反応器に上記混合水溶液と水酸化カリウム水溶液を同時に注ぎ、共沈物スラリーを得た。このとき反応器中のpHは10〜12の範囲であった。得られた共沈物スラリーを濾過、洗浄し、これをリパルプすることで水酸化ジルコニウムと水酸化セリウムを含むスラリーを得た。
このスラリー中の固形分濃度を確認した上で、固形分重量が12.4gとなるようにスラリーを秤量し、これに過酸化水素0.018mol(上記スラリー中のセリウム原子1モル部に対して0.83モル部)を加えて攪拌した後、酢酸0.46mol(上記スラリー中のジルコニウム原子とセリウム原子の合計量1モル部に対して6.2モル部)を加え、スラリーの全量が0.1Lとなるよう純水を加えた後、200℃で3時間水熱処理して透明な分散液を得た。この分散液を限外濾過膜にて洗浄、濃縮し、セリア−ジルコニア複合酸化物ナノ粒子含有率11重量%の、透明性が高いセリア−ジルコニア複合酸化物ナノ粒子分散液を得た。
得られた複合酸化物ナノ粒子分散液について蛍光X線分析を行ったところ、物質量比でセリウム:ジルコニウム=19:81であり、X線回折パターンは正方晶のZrOとほとんど同じ角度においてピークが確認できたが、全てのピークがわずかに低角度側にずれていた。これはジルコニウムよりもイオン半径の大きなセリウムが、ZrOの結晶格子中のジルコニウムと置換固溶しているためであると考えられる。
得られた複合酸化物ナノ粒子分散液を透過型電子顕微鏡にて観察したところ、平均TEM径は4.2nmであり、これはBET換算径5.4nm、結晶子径3.7nmとおおよそ一致し、粒子の単結晶率は88%であった。この溶液の屈折率は1.3494であり、色度座標はそれぞれx=0.353、y=0.382であった。これを図1の色度図に示す。435nmの光透過率が27.3%、550nmの光透過率は86.3%であり、鮮やかな黄色を呈していた。
得られたセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液の固形分を透過型電子顕微鏡JEM−2100(日本電子社製)で観察した結果を図2に、固形分のX線回折測定結果を図3に示す。
実施例2
オキシ塩化ジルコニウム濃度が0.59mol/L、塩化セリウム濃度が0.24mol/Lの混合水溶液6.75Lと2.6mol/L濃度の水酸化カリウム水溶液5.1Lを調製した。予め純水6.15Lを仕込んだ沈殿反応器に上記混合水溶液と水酸化カリウム水溶液とを同時に注ぎ、共沈物スラリーを得た。このとき反応器中のpHは10〜12の範囲であった。得られた共沈物スラリーを濾過、洗浄し、これをリパルプすることで水酸化ジルコニウムと水酸化セリウムを含むスラリーを得た。得られたスラリーを4ヶ月間室温にて空気と触れた状態で放置した。
このスラリー中の固形分濃度を確認した上で、固形分重量が12.4gとなるように4ヶ月放置スラリーを秤量し、これに過酸化水素0.018mol(上記スラリー中のセリウム原子1モル部に対して0.99モル部)を加えて攪拌した後、酢酸0.46mol(上記スラリー中のジルコニウム原子とセリウム原子の合計量1モル部に対して6.3モル部)を加え、スラリーの全量が0.1Lとなるよう純水を加えた後、200℃で3時間水熱処理して透明な分散液を得た。この分散液を限外濾過膜にて洗浄、濃縮し、セリア−ジルコニア複合酸化物ナノ粒子含有率14重量%の、透明性が高いセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液を得た。
得られたセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液について蛍光X線分析を行ったところ、物質量比でセリウム:ジルコニウム=25:75であり、X線回折パターンは正方晶のZrOとほとんど同じ角度においてピークが確認できたが、全てのピークがわずかに低角度側にずれていた。これはジルコニウムよりもイオン半径の大きなセリウムが、ZrOの結晶格子中のジルコニウムと置換固溶しているためであると考えられる。
得られたセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液を透過型電子顕微鏡にて観察したところ、平均TEM径は4.4nmであり、これはBET換算径5.2nm、結晶子径4.2nmとおおよそ一致し、粒子の単結晶率は95%であった。この溶液の屈折率は1.3529であり、色度座標はそれぞれx=0.345、y=0.373であった。これを図1の色度図に示す。435nmの光透過率が34.8%、550nmの光透過率は86.5%であり、鮮やかな黄色を呈していた。
実施例3
オキシ塩化ジルコニウム濃度が0.43mol/L、塩化セリウム濃度が0.31mol/L、塩化イットリウム濃度が0.04mol/Lの混合水溶液0.4Lと3.53mol/L濃度の水酸化カリウム水溶液0.3Lを調製した。予め純水0.3Lを仕込んだ反応器に上記混合水溶液と水酸化カリウム水溶液を同時に注ぎ、共沈物スラリーを得た。このとき反応器中のpHは10〜12の範囲であった。得られた共沈物スラリーを濾過、洗浄し、これをリパルプすることで水酸化ジルコニウムと水酸化セリウム、水酸化イットリウムを含むスラリーを得た。
このスラリー中の固形分濃度を確認した上で、固形分重量が12.4gとなるようにスラリーを秤量し、これに過酸化水素0.018mol(上記スラリー中のセリウム原子とイットリウム原子の合計1モル部に対して0.61モル部)を加えて攪拌した後、酢酸0.47mol(上記スラリー中のジルコニウム原子とセリウム原子、イットリウム原子の合計量1モル部に対して6.0モル部)を加え、スラリーの全量が0.1Lとなるよう純水を加えた後、200℃で3時間水熱処理して透明な分散液を得た。この分散液を限外濾過膜にて洗浄、濃縮し、セリア−ジルコニア系複合酸化物ナノ粒子含有率12重量%の、透明性が高いセリア−ジルコニア系複合酸化物ナノ粒子分散液を得た。
得られた複合酸化物ナノ粒子分散液の屈折率は1.3502であり、色度座標はそれぞれx=0.347、y=0.378であった。これを図1の色度図に示す。435nmの光透過率が33.0%、550nmの光透過率は90.7%であり、鮮やかな黄色を呈していた。
実施例4
オキシ塩化ジルコニウム濃度が0.34mol/L、塩化セリウム濃度が0.22mol/L、塩化ネオジム濃度が0.03mol/Lの混合水溶液1.0Lと3.48mol/L濃度の水酸化カリウム水溶液0.8Lを調製した。予め純水0.9Lを仕込んだ反応器に上記混合水溶液と水酸化カリウム水溶液を同時に注ぎ、共沈物スラリーを得た。このとき反応器中のpHは10〜12の範囲であった。得られた共沈物スラリーを濾過、洗浄し、これをリパルプすることで水酸化ジルコニウムと水酸化セリウム、水酸化ネオジムを含むスラリーを得た。
このスラリー中の固形分濃度を確認した上で、固形分重量が74.4gとなるようにスラリーを秤量し、これに過酸化水素0.18mol(上記スラリー中のセリウム原子とネオジム原子の合計1モル部に対して1.0モル部)を加えて攪拌した後、酢酸2.8mol(上記スラリー中のジルコニウム原子とセリウム原子、ネオジム原子の合計量1モル部に対して6.3モル部)を加え、スラリーの全量が0.6Lとなるよう純水を加えた後、200℃で3時間水熱処理して透明な分散液を得た。この分散液を限外濾過膜にて洗浄、濃縮し、セリア−ジルコニア系複合酸化物ナノ粒子含有率11重量%の、透明性が高いセリア−ジルコニア系複合酸化物ナノ粒子分散液を得た。
得られた複合酸化物ナノ粒子分散液の屈折率は1.3486であり、色度座標はそれぞれx=0.364、y=0.395であった。これを図1の色度図に示す。435nmの光透過率が19.0%、550nmの光透過率は80.6%であり、鮮やかな黄色を呈していた。
実施例5
オキシ塩化ジルコニウム濃度が0.34mol/L、塩化セリウム濃度が0.22mol/L、塩化ランタン濃度が0.03mol/Lの混合水溶液1.0Lと3.48mol/L濃度の水酸化カリウム水溶液0.8Lを調製した。予め純水0.9Lを仕込んだ反応器に上記混合水溶液と水酸化カリウム水溶液を同時に注ぎ、共沈物スラリーを得た。このとき反応器中のpHは10〜12の範囲であった。得られた共沈物スラリーを濾過、洗浄し、これをリパルプすることで水酸化ジルコニウムと水酸化セリウム、水酸化ランタンを含むスラリーを得た。
このスラリー中の固形分濃度を確認した上で、固形分重量が74.4gとなるようにスラリーを秤量し、これに過酸化水素0.20mol(上記スラリー中のセリウム原子とランタン原子の合計1モル部に対して1.0モル部)を加えて攪拌した後、酢酸2.9mol(上記スラリー中のジルコニウム原子とセリウム原子、ランタン原子の合計量1モル部に対して6.3モル部)を加え、スラリーの全量が0.6Lとなるよう純水を加えた後、200℃で3時間水熱処理して透明な分散液を得た。この分散液を限外濾過膜にて洗浄、濃縮し、セリア−ジルコニア系複合酸化物ナノ粒子含有率12重量%の、透明性が高いセリア−ジルコニア系複合酸化物ナノ粒子分散液を得た。
得られた複合酸化物ナノ粒子分散液の屈折率は1.3500であり、色度座標はそれぞれx=0.362、y=0.393であった。これを図1の色度図に示す。435nmの光透過率が20.5%、550nmの光透過率は83.9%であり、鮮やかな黄色を呈していた。
比較例1
実施例1と同様の水酸化ジルコニウムと水酸化セリウムを含むスラリーを、該スラリー中の固形分重量が12.4gとなるように秤量し、酢酸0.15mol(上記スラリー中のジルコニウム原子とセリウム原子の合計量1モル部に対して2.0モル部)を加え、更にスラリーの全量が0.1Lとなるよう純水を加えた後、200℃で3時間水熱処理して透明性が低い分散液を得た。この分散液を限外濾過膜にて洗浄、濃縮し、セリア−ジルコニア複合酸化物ナノ粒子含有率14重量%の、透明性が高いセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液を得た。
得られたセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液について蛍光X線分析を行ったところ、物質量比でセリウム:ジルコニウム=21:79であり、X線回折パターンは正方晶のZrOとほとんど同じ角度においてピークが確認できたが、全てのピークがわずかに低角度側にずれていた。これはジルコニウムよりもイオン半径の大きなセリウムが、ZrOの結晶格子中のジルコニウムと置換固溶しているためであると考えられる。
得られたセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液を透過型電子顕微鏡にて観察したところ、平均TEM径は4.1nmであり、これはBET換算径(5.2nm)、結晶子径(3.8nm)とおおよそ一致し、粒子の単結晶率は93%であった。この溶液の屈折率は1.3529であり、色度座標はそれぞれx=0.382、y=0.414であった。これを図1の色度図に示す。435nmの光透過率が7.3%、550nmの光透過率は76.1%であり、赤みがかった黄色を呈していた。
比較例2
実施例1と同様の水酸化ジルコニウムと水酸化セリウムを含むスラリーを、該スラリー中の固形分重量が12.4gとなるように秤量し、これにヒドラジン0.010mol(上記スラリー中のセリウム原子1モル部に対して0.48モル部)を加えよく攪拌した後、酢酸0.15mol(上記スラリー中のジルコニウム原子とセリウム原子の合計量1モル部に対して2.0モル部)を加え、更にスラリーの全量が0.1Lとなるよう純水を加えた後、200℃で3時間水熱処理して透明性が低い分散液を得た。この分散液を限外濾過膜にて洗浄、濃縮し、セリア−ジルコニア複合酸化物ナノ粒子含有率11重量%の透明性が高いセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液を得た。
得られたセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液について蛍光X線分析を行ったところ、物質量比でセリウム:ジルコニウム=17:83であり、X線回折パターンは正方晶のZrOとほとんど同じ角度においてピークが確認できたが、全てのピークがわずかに低角度側にずれていた。これはジルコニウムよりもイオン半径の大きなセリウムが、ZrOの結晶格子中のジルコニウムと置換固溶しているためであると考えられる。
得られたセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液を透過型電子顕微鏡にて観察したところ、平均TEM径は3.7nmであり、これはBET換算径(4.9nm)、結晶子径(3.4nm)とおおよそ一致し、粒子の単結晶率は92%であった。この溶液の屈折率は1.3484であり、色度座標はそれぞれx=0.393、y=0.434であった。これを図1の色度図に示す。435nmの光透過率が2.4%、550nmの光透過率は75.0%であり、強く赤みがかった黄色を呈していた。
実施例1〜5および比較例1〜2で得られた分散液の物性等を表1にまとめた。
実施例1、2及び比較例1、2の結果から、水熱反応工程の前に過酸化水素を滴下することで、セリア−ジルコニア系複合酸化物分散液の色はCIE色度座標で規定した範囲内に収まることが確認され、実施例3〜5の結果から、セリウム原子及びジルコニウム原子以外の金属原子を含む場合にも水熱反応工程の前に過酸化水素を滴下することで、セリア−ジルコニア系複合酸化物分散液の色はCIE色度座標で規定した範囲内に収まることが確認された。実施例1〜5は原料のセリウム原子の状態が酸化された状態、比較例1は原料のセリウム原子の酸化が不十分な状態、比較例2は原料のセリウム原子の状態が還元された状態であることを想定したものであり、比較例1、2の生成物は赤みがかった黄色を呈し、CIE色度座標で規定した範囲外であった。この結果から、セリア−ジルコニア系複合酸化物分散液の色のばらつきは、反応前のセリウム原子の酸化状態に起因すると推察される。
Figure 2020004411
このように、本発明によって作製したセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液は、色調が一定で安定しているので、例えばディスプレイの反射膜として使用した場合の色調が安定することが期待される。

Claims (7)

  1. 水溶性セリウム化合物及び水溶性ジルコニウム化合物を含む原料を水中で塩基性化合物を用いて中和してスラリーを得る工程と、
    該スラリーに過酸化水素を加えた後、過酸化水素以外の酸を加えて加熱することで水熱反応を行う工程と
    を含むことを特徴とするセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液の製造方法。
  2. 前記水熱反応工程において、スラリー中に含まれるジルコニウム元素と前記塩基性化合物に含まれる金属元素とを除く金属元素1モル部に対して0.5モル部以上の過酸化水素を使用することを特徴とする請求項1に記載のセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液の製造方法。
  3. 前記水熱反応工程において、スラリー中に含まれる前記塩基性化合物を除く原料由来の金属元素の合計1モル部に対して0.5モル部以上の過酸化水素以外の酸を使用することを特徴とする請求項1又は2に記載のセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液の製造方法。
  4. 前記水熱反応工程において、過酸化水素及び過酸化水素以外の酸を加えた後、105℃以上に加熱することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液の製造方法。
  5. 前記水溶性セリウム化合物及び水溶性ジルコニウム化合物を含む原料は、セリウム、ジルコニウム以外の金属元素の化合物を更に含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液の製造方法。
  6. 前記セリウム、ジルコニウム以外の金属元素は、周期表第3周期から第6周期、かつ、第2族から第15族から選ばれる元素の少なくとも1種以上であることを特徴とする請求項5に記載のセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液の製造方法。
  7. セリア−ジルコニア系複合酸化物を固形分として含む分散液であって、
    該分散液は、固形分濃度が10〜50質量%であり、
    屈折率が1.340〜1.500であり、
    波長435nmの光透過率が50%以下、かつ、波長550nmの光透過率が80%以上であり、かつ、
    CIE色度座標上において0.325≦x≦0.375、かつ0.350≦y≦0.400の範囲にある色を呈する
    ことを特徴とするセリア−ジルコニア系複合酸化物分散液。
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