以下、本発明について、図を適宜参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いる図面は、本発明の特徴をわかりやすくするために便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合がある。したがって、図面に記載の各構成要素の寸法比率などは、実際とは異なっていることがある。以下の説明において例示される材料、寸法等は一例であって、本発明はそれらに限定されるものではなく、その効果を奏する範囲で適宜変更して実施することが可能である。
リチウムイオン二次電池100は、電池が組み立てられた後、規定の充放電性能を担保するために、商用利用前に予備充放電が行われ得る。この予備充放電の際に、フッ素(F)やリン(P)を含む析出物が負極30の表面に堆積する。
また、この予備充放電の際に、LiF等のSEI被膜が負極30の表面に形成される。
積層体40は、正極20と負極30とが、セパレータ10を挟んで対向配置されたものである。正極20は、板状(膜状)の正極集電体22上に正極活物質層24が設けられたものである。負極30は、板状(膜状)の負極集電体32に負極活物質層34が設けられたものである。
正極活物質層24及び負極活物質層34は、セパレータ10の両側にそれぞれ接触している。正極集電体22及び負極集電体32の端部には、それぞれリード62、60が接続されており、リード60、62の端部はケース50の外部にまで延びている。図1では、ケース50内に積層体40が一つの場合を例示したが、複数積層されていてもよい。
負極活物質層34は、中央部と、中央部より側面側の縁部と、に区分けされ得る。負極活物質層34が四角形の場合、4つの側面が存在するので、負極活物質層34は4つの縁部を有し得るが、本明細書では説明の便宜上、図2に示されるように、中央物341並びに2つの縁部(第1縁部342及び第2縁部343)を想定する。しかしながら、当業者は、2以上の側面を有する多角形に対しても同様に、本明細書での説明が適用できることを理解するであろう。
図2は、負極活物質層34における中央部341並びに第1縁部342及び第2縁部343を示す。図2において、リード60は、負極集電体32の端部に設けられている。
別の一態様では、中央部341は、第1側面と第2側面との距離をLとした際に、第1側面と第2側面の中央から第1側面及び第2側面に向かって(1/6)Lだけ進んだ部分を指してもよい。第1縁部342は、第1側面と第2側面との距離をLとした際に、第1側面から第2側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分を指してもよい。第2縁部343は、第1側面と第2側面との距離をLとした際に、第2側面から第1側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分を指してもよい。
負極活物質層34はリンを含有し得る。リンは、負極活物質層34に添加した添加剤として存在してもよいし、商用利用前の予備充放電を介して、非水電解液に含まれる電解質と反応して、高抵抗の析出物として存在してもよい。
負極活物質層34はフッ素を含有し得る。フッ素は、負極活物質層34に添加した添加剤として存在してもよいし、商用利用前の予備充放電を介して、非水電解液に含まれる電解質と反応して、高抵抗の析出物として存在してもよい。
充放電後に、負極活物質層34においてリンは様々な形で含まれ得る。ここで、充放電とは、製品出荷前の脱ガス・エージング工程で行われる1サイクル又は数サイクルの充放電、及びユーザーによる通常の電池使用時における充放電の両方を意味する。また、充放電後とは、充電後の状態及び放電後の状態のいずれでもよい。
充放電後に、負極活物質層34においてフッ素は様々な形で含まれ得る。ここで、充放電とは、製品出荷前の脱ガス・エージング工程で行われる1サイクル又は数サイクルの充放電、及びユーザーによる通常の電池使用時における充放電の両方を意味する。また、充放電後とは、充電後の状態及び放電後の状態のいずれでもよい。
リンは、負極活物質層34においてリン化合物として含まれ得る。リン化合物は、芳香族化合物又は脂肪族化合物であり得る。特に、リン化合物は、リン酸エステル化合物であり得る。リン酸エステル化合物は、トリフェニルホスフェート(TPP)、トリクレジルホスフェート(TCP)、トリキシレニルホスフェート(TXP)、クレジルジフェニルホスフェート(CDP)、2−エチルヘキシルジフェニルホスフェート(EHDP)、t−ブチルフェニルジフェニルホスフェート(t−BDP)、ビス−(t−ブチルフェニル)フェニルホスフェート(BBDP)、トリス−(t−ブチルフェニル)ホスフェート(TBDP)、イソプロピルフェニルジフェニルホスフェート(IPP)、ビス−(イソプロピルフェニル)ジフェニルホスフェート(BIPP)、トリス−(イソプロピルフェニル)ホスフェート(TIPP)や、トリス(クロロエチル)ホスフェート、トリス(β−クロロプロピル)ホスフェート、テトラキス(2クロロエチル)ジクロロイソペンチルジホスフェート、ポリオキシアルキレンビス(ジクロロアルキル)ホスフェート、レゾルシノールビス−ジフェニルホスフェート、レゾルシノールビス−ジキシレニルホスフェート、ビスフェノールAビス−ジフェニルホスフェート、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト及びトリス(2−エチルヘキシル)ホスファイトであり得る。好ましくは、リン酸エステル化合物は、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、トリクレジルホスファイト及びトリス(2−エチルヘキシル)ホスファイトから成る群の内の一種以上であり得る。リン化合物は、結晶として含まれても良く、アモルファスとして含まれても良い。負極活物質層34におけるリン含有量は、負極材料に含まれるリン成分、並びに、非水電解液及びリチウム塩に含まれるリン成分に由来し得る。
フッ素は、負極活物質層34においてフッ素化合物として含まれ得る。フッ素化合物は、フッ素系界面活性剤又はフッ素系難燃剤であり得る。フッ素系界面活性剤は、ヘプタデカフルオロ−1−オクタンスルホン酸カリウム、ヘプタデカフルオロオクタンスルホン酸、ヘプタデカフルオロノナン酸、ヘプタデカフルオロ−1−オクタンスルホン酸リチウム、ヘンエイコサフルオロウンデカン酸、4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,11−ヘプタデカフルオロウンデカン酸、ノナデカフルオロデカン酸、ノナフルオロ−1−ブタンスルホン酸、ノナフルオロ−1−ブタンスルホン酸リチウム、ノナフルオロ−1−ブタンスルホン酸カリウム、ペンタデカフルオロオクタン酸、ペンタデカフルオロオクタン酸アンモニウム、トリデカフルオロヘプタン酸、トリコサフルオロドデカン酸、ウンデカフルオロヘキサン酸であり得る。フッ素系難燃剤は、ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオルエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル、ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体、エチレン・四フッ化エチレン共重合体、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体であり得る。好ましくは、フッ素系界面活性剤は、サーフロン(登録商標)(AGCセイケミカル社製)及びFC−4430(スリーエム社製)から成る群の内の一種以上であり得る。フッ素系難燃剤は、ポリフロンPTFEルブロン(ダイキン社製)及びポリフロンMPA(ダイキン社製)から成る群の内の一種以上であり得る。フッ素化合物は、結晶として含まれても良く、アモルファスとして含まれても良い。負極活物質層34におけるフッ素含有量は、負極材料に含まれるフッ素成分、並びに、非水電解液及びリチウム塩に含まれるフッ素成分に由来し得る。
本願では、負極活物質層34におけるリン含有量の分布、つまりリン濃度の分布を一定の範囲内に調整することで、充放電時に負極活物質層34に形成される析出物の分布を制御する。また、本願では、負極活物質層34におけるフッ素含有量の分布、つまりフッ素濃度の分布を一定の範囲内に調整することで、充放電時に負極活物質層34に形成される析出物の分布を制御する。これにより、当該負極活物質層34を備えるリチウムイオン二次電池100のサイクル特性が向上する。
一態様では、負極活物質層34の中央部におけるリン含有量は、中央部より側面側の縁部における平均リン含有量と異なる。また、他の一態様では、負極活物質層34の中央部におけるフッ素含有量は、中央部より側面側の縁部における平均フッ素含有量と異なる。中央部におけるリン含有量、または、フッ素含有量は、負極活物質層34における中央部の任意の5つまたは3つの地点のリン含有量、または、フッ素含有量を測定することで得られる平均値である。縁部における平均リン含有量、または、平均フッ素含有量は、負極活物質層34における縁部の異なる複数地点、例えば各縁部でそれぞれ任意の5つまたは3つの地点のリン含有量を測定することで得られる平均値である。
中央部におけるリン含有量P1と縁部における平均リン含有量P2とが、1<P1/P2≦1.30の関係を満たし得る。P1/P2は、1.20以下であってよく、1.10以下であってよい。
中央部におけるフッ素含有量F1と縁部における平均フッ素含有量F2とが、1<F1/F2≦1.22の関係を満たし得る。F1/F2は、1.10以上1.15以下であってよく、1.10以上1.12以下であってよい。
リン含有量の分布は、負極活物質層34に添加するリン化合物の含有量で調整できる。また、リン含有量の分布は、負極活物質層34の密度に分布をつけ、負極活物質層34内部における電解液の保液性に分布を生じさせることで、エージングによる電解質の分解によるリンの析出状態に差を生じさせることでも調整し得る。
フッ素含有量の分布は、負極活物質層34に添加するフッ素化合物の含有量で調整できる。また、フッ素含有量の分布は、負極活物質層34の密度に分布をつけ、負極活物質層34内部における電解液の保液性に分布を生じさせることで、エージングによる電解質の分解によるフッ素の析出状態に差を生じさせることでも調整し得る。
負極活物質層34の縁部における平均リン含有量に対する中央部におけるリン含有量の割合を、1より大きい一定の範囲内に調整することにより、中央部における電気抵抗が縁部と比べて増加し得る。中央部と縁部との間の電気抵抗差は、正極−負極間に電圧が印可される充放電時において、高抵抗である中央部と低抵抗である縁部との間で適度な電位勾配を形成する。これにより、リチウムイオンの挿入脱離及び電子移動は、負極活物質層34の中央部よりも縁部において増加するようになり安定する。このように、事前に負極活物質層34におけるリン含有量の分布を制御することにより、局所的な高抵抗をもたらす意図しない析出物の集中的な形成が防止され、リチウムイオン二次電池100のサイクル特性の向上につながる。
負極活物質層34の縁部における平均フッ素含有量に対する中央部におけるフッ素含有量の割合を、1より大きい一定の範囲内に調整することにより、中央部における電気抵抗が縁部と比べて増加し得る。中央部と縁部との間の電気抵抗差は、正極−負極間に電圧が印可される充放電時において、高抵抗である中央部と低抵抗である縁部との間で適度な電位勾配を形成する。これにより、リチウムイオンの挿入脱離及び電子移動は、負極活物質層34の中央部よりも縁部において増加するようになり安定する。このように、事前に負極活物質層34におけるフッ素含有量の分布を制御することにより、局所的な高抵抗をもたらす意図しない析出物の集中的な形成が防止され、リチウムイオン二次電池100のサイクル特性の向上につながる。
負極活物質層34は、リン含有層(図示しない)を有し得る。中央部におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と縁部におけるリン含有層の平均厚さT2[μm]とが、1<T1/T2≦1.80、且つ、T1≦10の関係を満たし得る。T1/T2は、1.20以上であってよく、1.40以上であってよく、1.50以上であってよい。T1/T2は、1.70以下であってよく、1.60以下であってよい。T1は8μm以下であってよく、6μm以下であってよく、5μm以下であってよい。中央部におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]は、中央部における走査型電子顕微鏡での断面観測によって決定され得、縁部におけるリン含有層の平均厚さT2[μm]は、縁部における走査型電子顕微鏡での断面観測によって決定され得る。
中央部におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と縁部におけるリン含有層の平均厚さT2[μm]との比率を所定の範囲に設定することによって、電池組立時や充放電時において負極のしわの形成が抑制され得る。また、中央部におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]を所定の値以下にすることによって、内部抵抗を低くすることができる。
他の一態様では、負極活物質層34の中央部におけるリン含有量P1と縁部の任意の地点におけるリン含有量P3とが、1<P1/P3≦1.30の関係を満たし得る。P1/P3は、1.20以下であってよく、1.10以下であってよい。
負極活物質層34の縁部の任意の地点におけるリン含有量に対する中央部におけるリン含有量の割合を、1より大きい一定の範囲内に調整することにより、中央部における電気抵抗が縁部の任意の地点と比べて増加し得る。中央部と縁部の任意の地点との間の電気抵抗差は、正極−負極間に電圧が印可される充放電時において、高抵抗である中央部と低抵抗である縁部の任意の地点との間で適度な電位勾配を形成する。これにより、リチウムイオンの挿入脱離及び電子移動は、負極活物質層34の中央部よりも縁部の任意の地点において増加するようになり安定する。このように、事前に負極活物質層34におけるリン含有量の分布を制御することにより、局所的な高抵抗をもたらす意図しない析出物の集中的な形成が防止され、リチウムイオン二次電池100のサイクル特性の向上につながる。
負極活物質層34は、リン含有層(図示しない)を有し得る。中央部におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と縁部の任意の地点におけるリン含有層の厚さT3[μm]とが、1<T1/T3≦1.80、且つ、T1≦10の関係を満たし得る。T1/T3は、1.20以上であってよく、1.40以上であってよく、1.50以上であってよい。T1/T3は、1.70以下であってよく、1.60以下であってよい。T1は8μm以下であってよく、6μm以下であってよく、5μm以下であってよい。中央部におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]は、中央部における走査型電子顕微鏡での断面観測によって決定され得、縁部の任意の地点におけるリン含有層の厚さT3[μm]は、縁部の任意の地点における走査型電子顕微鏡での断面観測によって決定され得る。
中央部におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と縁部の任意の地点におけるリン含有層の厚さT3[μm]との比率を所定の範囲に設定することによって、電池組立時や充放電時におけるしわの形成が抑制され得る。また、中央部におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]を所定の値以下にすることによって、内部抵抗を低くすることができる。
負極活物質層34は、フッ素含有層(図示しない)を有し得る。中央部におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と縁部におけるフッ素含有層の平均厚さT2[μm]とが、1<T1/T2≦1.80、且つ、T1≦10の関係を満たし得る。T1/T2は、1.20以上であってよく、1.40以上であってよく、1.50以上であってよい。T1/T2は、1.70以下であってよく、1.60以下であってよい。T1は8μm以下であってよく、6μm以下であってよく、5μm以下であってよい。中央部におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]は、中央部における走査型電子顕微鏡での断面観測によって決定され得、縁部におけるフッ素含有層の平均厚さT2[μm]は、縁部における走査型電子顕微鏡での断面観測によって決定され得る。
中央部におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と縁部におけるフッ素含有層の平均厚さT2[μm]との比率を所定の範囲に設定することによって、電池組立時や充放電時において負極のしわの形成が抑制され得る。また、中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]を所定の値以下にすることによって、内部抵抗を低くすることができる。
他の一態様では、負極活物質層34の中央部におけるフッ素含有量F1と縁部の任意の地点におけるフッ素含有量F3とが、1<F1/F3≦1.22の関係を満たし得る。F1/F3は、1.10以上1.15以下であってよく、1.10以上1.12以下であってよい。
負極活物質層34の縁部の任意の地点におけるフッ素含有量に対する中央部におけるフッ素含有量の割合を、1より大きい一定の範囲内に調整することにより、中央部における電気抵抗が縁部の任意の地点と比べて増加し得る。中央部と縁部の任意の地点との間の電気抵抗差は、正極−負極間に電圧が印可される充放電時において、高抵抗である中央部と低抵抗である縁部の任意の地点との間で適度な電位勾配を形成する。これにより、リチウムイオンの挿入脱離及び電子移動は、負極活物質層34の中央部よりも縁部の任意の地点において増加するようになり安定する。このように、事前に負極活物質層34におけるフッ素含有量の分布を制御することにより、局所的な高抵抗をもたらす意図しない析出物の集中的な形成が防止され、リチウムイオン二次電池100のサイクル特性の向上につながる。
負極活物質層34は、フッ素含有層(図示しない)を有し得る。中央部におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と縁部の任意の地点におけるフッ素含有層の厚さT3[μm]とが、1<T1/T3≦1.80、且つ、T1≦10の関係を満たし得る。T1/T3は、1.20以上であってよく、1.40以上であってよく、1.50以上であってよい。T1/T3は、1.70以下であってよく、1.60以下であってよい。T1は8μm以下であってよく、6μm以下であってよく、5μm以下であってよい。中央部におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]は、中央部における走査型電子顕微鏡での断面観測によって決定され得、縁部の任意の地点におけるフッ素含有層の厚さT3[μm]は、縁部の任意の地点における走査型電子顕微鏡での断面観測によって決定され得る。
中央部におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と縁部の任意の地点におけるフッ素含有層の厚さT3[μm]との比率を所定の範囲に設定することによって、電池組立時や充放電時におけるしわの形成が抑制され得る。また、中央部におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]を所定の値以下にすることによって、内部抵抗を低くすることができる。
負極活物質層34の中央部におけるリン含有量と前記縁部における平均リン含有量の関係、および、前記中央部におけるフッ素含有量と前記縁部における平均フッ素含有量の割合を、1より大きい一定の範囲内に調整することにより、中央部における電気抵抗が縁部と比べて増加し得る。中央部と縁部との間の電気抵抗差は、正極−負極間に電圧が印可される充放電時において、高抵抗である中央部と低抵抗である縁部との間で適度な電位勾配を形成する。これにより、リチウムイオンの挿入脱離及び電子移動は、負極活物質層34の中央部よりも縁部において増加するようになり安定する。このように、事前に負極活物質層34におけるリン含有量の分布を制御することにより、局所的な高抵抗をもたらす意図しない析出物の集中的な形成が防止され、リチウムイオン二次電池100のサイクル特性のさらなる向上につながる。
負極層の中央部におけるリンおよびフッ素の含有量の合計が、中央部より側面側の縁部における平均リン含有量および平均フッ素含有量の合計と異なっていることにより、高抵抗である中央部と低抵抗である縁部との間での電位勾配が好適な状態となり、負極活物質層34の縁部におけるリチウムイオンの挿入脱離及び電子移動がより安定する。。
また、中央部におけるリン含有量P1およびフッ素含有量F1の合計と前記縁部における平均リン含有量P2および平均フッ素含有量F2の合計とが、上記関係を満たすことにより、リチウムイオン二次電池100のサイクル特性のさらなる向上につながる。
この理由は定かではないが、中央部におけるリン含有量P1およびフッ素含有量F1の合計と前記縁部における平均リン含有量P2および平均フッ素含有量F2の合計とを特定の範囲に制御することで、中央部と端部との間における電位勾配の形成が安定し、局所的な高抵抗をもたらす意図しない析出物の集中的な形成がより防止されるためと考えられる。。
本願では、負極活物質層34における水分含有量の分布を一定の範囲内に調整することで、充放電時に負極活物質層34に形成される析出物の分布を制御する。これにより、当該負極活物質層34を備えるリチウムイオン二次電池100のサイクル特性が向上する。
一態様では、負極活物質層34の中央部における水分含有量は、中央部より側面側の縁部における平均水分含有量と異なる。中央部における水分含有量は、負極活物質層34における中央部の任意の5つの地点の水分含有量を測定することで得られる平均値である。縁部における平均水分含有量は、負極活物質層34における縁部の異なる複数地点、例えば各縁部でそれぞれ任意の5つの地点の水分含有量を測定することで得られる平均値である。
中央部における単位質量当たりの水分含有量W1[ppm]と縁部における単位質量当たりの平均水分含有量W2[ppm]とが、1<W1/W2≦1.5の関係を満たし得る。W1/W2は、1.4以下であってよく、1.3以下であってよい。
負極活物質層34の縁部における単位質量当たりの平均水分含有量に対する中央部における単位質量当たりの水分含有量の割合を、1より大きい一定の範囲内に調整することにより、中央部における析出物の量を縁部と比べて増加させ得る。このような析出物は高抵抗被膜を形成し得、正極−負極間に電圧が印可される充放電時において、高抵抗被膜の多い中央部と高抵抗被膜の少ない縁部との間で適度な電位勾配が形成される。これにより、リチウムイオンの挿入脱離及び電子移動は、負極活物質層34の中央部よりも縁部において増加するようになり安定する。このように、事前に析出物の分布を制御することにより、意図しない析出物の集中的な形成が防止され、リチウムイオン二次電池100のサイクル特性の向上につながる。
他の一態様では、負極活物質層34の中央部における単位質量当たりの水分含有量W1[ppm]と縁部の任意の地点における単位質量当たりの水分含有量W3[ppm]とが、1<W1/W3≦1.5の関係を満たし得る。W1/W3は、1.4以下であってよく、1.3以下であってよい。
負極活物質層34の縁部の任意の地点における単位質量当たりの水分含有量に対する中央部における単位質量当たりの水分含有量の割合を、1より大きい一定の範囲内に調整することにより、中央部における析出物の量を縁部と比べて増加させ得る。このような析出物は高抵抗被膜を形成し得、正極−負極間に電圧が印可される充放電時において、高抵抗被膜の多い中央部と高抵抗被膜の少ない縁部との間で適度な電位勾配が形成される。これにより、リチウムイオンの挿入脱離及び電子移動は、負極活物質層34の中央部よりも縁部において増加するようになり安定する。このように、事前に析出物の分布を制御することにより、意図しない析出物の集中的な形成が防止され、リチウムイオン二次電池100のサイクル特性の向上につながる。
中央部341におけるリン含有量P1と第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量P2とが、1<P1/P2≦1.30の関係を満たし得る。P1/P2は、1.20以下であってよく、1.10以下であってよい。
特定の態様では、負極活物質層34は、リン含有層(図示しない)を有し得る。中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343におけるリン含有層の平均厚さT2[μm]とが、1<T1/T2≦1.80、且つ、T1≦10の関係を満たし得る。T1/T2は、1.20以上であってよく、1.40以上であってよく、1.50以上であってよい。T1/T2は、1.70以下であってよく、1.60以下であってよい。T1は8μm以下であってよく、6μm以下であってよく、5μm以下であってよい。
図2に示される他の特定の態様では、中央部341におけるリン含有量P1と第1縁部342及び第2縁部343の任意の地点におけるリン含有量P3とが、1<P1/P3≦1.30の関係を満たし得る。P1/P3は、1.20以下であってよく、1.10以下であってよい。
他の特定の態様では、負極活物質層34は、リン含有層(図示しない)を有し得る。中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の地点におけるリン含有層の厚さT3[μm]とが、1<T1/T3≦1.80、且つ、T1≦10の関係を満たし得る。T1/T3は、1.20以上であってよく、1.40以上であってよく、1.50以上であってよい。T1/T3は、1.70以下であってよく、1.60以下であってよい。T1は8μm以下であってよく、6μm以下であってよく、5μm以下であってよい。
リン含有層は、負極活物質層34とセパレータ10との界面に形成されてよい。リン含有層がセパレータ10に面して形成されることにより、局所的な高抵抗をもたらす意図しない析出物の形成が効果的に抑制され得る。
本願とは対照的に、負極活物質層34におけるリン含有量の分布及びリン含有層の厚さを調整しない場合は、局所的な高抵抗をもたらす析出物が充放電時に負極活物質層34上にランダムに形成されて、予測不能な分布をし得る。この場合、意図しない場所に析出物が集中的に形成されることがあり、リチウムイオン二次電池100の不安定なサイクル特性につながり得る。
また、負極活物質層34におけるリン含有量の分布の偏りを大きくし過ぎると、充放電時において第1縁部342及び/又は第2縁部343との間に形成される電位勾配が大きくなり過ぎて、充放電の不安定化につながり、サイクル特性が悪化し得る。
中央部341におけるリン含有層の平均厚さと第1縁部342及び/又は第2縁部343におけるリン含有層の平均厚さとの比率が、本願の範囲外であると、電池組立時や充放電時において負極のしわが形成され易くなり、負極活物質層34が負極集電体32からはがれる等の悪影響がもたらされ得る。また、中央部341におけるリン含有層の平均厚さが本願の範囲外であると、内部抵抗が大きくなる問題が生じ得る。
負極活物質層34におけるリン含有量は、例えば、SEM−EDS(走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法)分析を用いて測定することができる。SEM−EDS分析によって、負極活物質層34におけるリン含有量を定量的に測定することができる。
中央部341におけるフッ素含有量F1と第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量F2とが、1<F1/F2≦1.22の関係を満たし得る。F1/F2は、1.10以上1.15以下であってよく、1.10以上1.12以下であってよい。
特定の態様では、負極活物質層34は、フッ素含有層(図示しない)を有し得る。中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343におけるフッ素含有層の平均厚さT2[μm]とが、1<T1/T2≦1.80、且つ、T1≦10の関係を満たし得る。T1/T2は、1.20以上であってよく、1.40以上であってよく、1.50以上であってよい。T1/T2は、1.70以下であってよく、1.60以下であってよい。T1は8μm以下であってよく、6μm以下であってよく、5μm以下であってよい。
図2に示される他の特定の態様では、中央部341におけるフッ素含有量F1と第1縁部342及び第2縁部343の任意の地点におけるフッ素含有量F3とが、1<F1/F3≦1.22の関係を満たし得る。F1/F3は、1.10以上1.15以下であってよく、1.10以上1.12以下であってよい。
他の特定の態様では、負極活物質層34は、フッ素含有層(図示しない)を有し得る。中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の地点におけるフッ素含有層の厚さT3[μm]とが、1<T1/T3≦1.80、且つ、T1≦10の関係を満たし得る。T1/T3は、1.20以上であってよく、1.40以上であってよく、1.50以上であってよい。T1/T3は、1.70以下であってよく、1.60以下であってよい。T1は8μm以下であってよく、6μm以下であってよく、5μm以下であってよい。
フッ素含有層は、負極活物質層34とセパレータ10との界面に形成されてよい。フッ素含有層がセパレータ10に面して形成されることにより、局所的な高抵抗をもたらす意図しない析出物の形成が効果的に抑制され得る。
本願とは対照的に、負極活物質層34におけるフッ素含有量の分布及びフッ素含有層の厚さを調整しない場合は、局所的な高抵抗をもたらす析出物が充放電時に負極活物質層34上にランダムに形成されて、予測不能な分布をし得る。この場合、意図しない場所に析出物が集中的に形成されることがあり、リチウムイオン二次電池100の不安定なサイクル特性につながり得る。
また、負極活物質層34におけるフッ素含有量の分布の偏りを大きくし過ぎると、充放電時において第1縁部342及び/又は第2縁部343との間に形成される電位勾配が大きくなり過ぎて、充放電の不安定化につながり、サイクル特性が悪化し得る。
中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さと第1縁部342及び/又は第2縁部343におけるフッ素含有層の平均厚さとの比率が、本願の範囲外であると、電池組立時や充放電時において負極のしわが形成され易くなり、負極活物質層34が負極集電体32からはがれる等の悪影響がもたらされ得る。また、中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さが本願の範囲外であると、内部抵抗が大きくなる問題が生じ得る。
負極活物質層34におけるフッ素含有量は、例えば、SEM−EDS(走査型電子顕微鏡−エネルギー分散型X線分光法)分析を用いて測定することができる。SEM−EDS分析によって、負極活物質層34におけるフッ素含有量を定量的に測定することができる。
中央部341における単位質量当たりの水分含有量W1[ppm]と第1縁部342及び第2縁部343における単位質量当たりの平均水分含有量W2[ppm]とが、1<W1/W2≦1.5の関係を満たし得る。W1/W2は、1.4以下であってよく、1.3以下であってよい。
図2に示される他の特定の態様では、中央部341における単位質量当たりの水分含有量W1[ppm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の地点における単位質量当たりの水分含有量W3[ppm]とが、1<W1/W3≦1.5の関係を満たし得る。W1/W3は、1.4以下であってよく、1.3以下であってよい。
本願とは対照的に、負極活物質層34における水分含有量の分布を調整しない場合は、充放電時に負極活物質層34上に析出物がランダムに形成されて、予測不能な分布をし得る。この場合、意図しない場所に析出物が集中的に形成されることがあり、リチウムイオン二次電池100の不安定なサイクル特性につながり得る。
また、負極活物質層34における水分含有量の分布の偏りを大きくし過ぎると、充放電時に負極活物質層34上に形成される析出物の分布が大きくなり過ぎる。これにより、負極30にしわが形成され得、負極活物質層34が負極集電体32からはがれる等の悪影響がもたらされ得る。
水分含有量の比率だけでなく、その絶対量も考慮することが好ましい。負極活物質層34の中央部341、第1縁部342、及び第2縁部343における水分含有量は、300[ppm]以下、200[ppm]以下、150[ppm]以下、又は100[ppm]以下であり得る。また、負極活物質層34の中央部341、第1縁部342、及び第2縁部343における水分含有量は、10[ppm]以上、20[ppm]以上、又は50[ppm]以上であり得る。負極活物質層34における水分含有量が10[ppm]よりも少ないと、形成される析出物が少なくなり、意図しない析出物の形成を抑制できないことがある。逆に、負極活物質層34における水分含有量が300[ppm]より多いと、形成される析出物が多くなり、電極におけるシワの形成につながり、リチウムイオン伝導を阻害し得る。
カールフィッシャー法によって測定される水分は、他の構成分子と相互作用を有さない自由水、及び、他の構成分子に強くひきつけられていて簡単に取り除くことができない結合水を含み得る。結合水は、結晶中に含まれる水である結晶水を含み得る。結晶水は、金属イオンに配位して錯イオンを形成している配位水、SO4 2−等の陰イオンと水素結合している陰イオン水、結晶格子の空所を満たしている格子水、構造水、オキソニウムイオン、沸石水、氷等を含み得る。
なお、結合水であるか否かは、水分を含有する積層体40のマススペクトルを測定して確認する。積層体40を真空中で加熱し、温度を徐々に上昇させながら、m/z値が18の物質(すなわち、H2O)の検出量を測定する。結合水は、積層体40の構成分子と結合しているため、100℃以下の温度で脱離しない。これに対し、積層体40に単に吸着しているだけの自由水(吸着水とも呼ばれる)は、100℃以下の温度で脱離する。そのため、100℃以上の温度で脱離した水分の有無で、結合水の有無を確認できる。
本願では、300℃より高温で負極活物質層34から放出されない水は、考慮されなくてもよい。このような安定的な水分は、充放電時における析出物形成に関与しないと考えられ得る。
また、上記の他に、バインダーとして、例えば、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−HFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ヘキサフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−HFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン系フッ素ゴム(VDF−PFP系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−ペンタフルオロプロピレン−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFP−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−パーフルオロメチルビニルエーテル−テトラフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−PFMVE−TFE系フッ素ゴム)、ビニリデンフルオライド−クロロトリフルオロエチレン系フッ素ゴム(VDF−CTFE系フッ素ゴム)等のビニリデンフルオライド系フッ素ゴムを用いてもよい。
また、バインダーとして電子伝導性の導電性高分子やイオン伝導性の導電性高分子を用いてもよい。電子伝導性の導電性高分子としては、例えば、ポリアセチレン等が挙げられる。この場合は、バインダーが導電材の機能も発揮するので導電材を添加しなくてもよい。イオン伝導性の導電性高分子としては、例えば、リチウムイオン等のイオンの伝導性を有するものを使用することができ、例えば、高分子化合物(ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド等のポリエーテル系高分子化合物、ポリフォスファゼン等)のモノマーと、LiClO4、LiBF4、LiPF6等のリチウム塩又はリチウムを主体とするアルカリ金属塩と、を複合化させたもの等が挙げられる。複合化に使用する重合開始剤としては、例えば、上記のモノマーに適合する光重合開始剤又は熱重合開始剤が挙げられる。
またこの他に、バインダーとして、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)等のセルロース、スチレン・ブタジエンゴム(SBR)、エチレン・プロピレンゴム、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂等を用いてもよい。
負極活物質層34中の負極活物質、導電材及びバインダーの含有量は特に限定されない。負極活物質層34における負極活物質の構成比率は、質量比で80%以上99%以下であることが好ましく、90%以上98%以下であることがより好ましい。また負極活物質層34における導電材の構成比率は、質量比で0%以上20%以下であることが好ましく、負極活物質層34におけるバインダーの構成比率は、質量比で1%以上10%以下であることが好ましい。
負極活物質とバインダーの含有量を上記範囲とすることにより、バインダーの量が少なすぎて強固な負極活物質層34を形成できなくなることを防ぐことができる。また、電気容量に寄与しないバインダーの量が多くなり、十分な体積エネルギー密度を得ることが困難となる傾向も抑制できる。
正極活物質層24における正極活物質の構成比率は、質量比で80%以上90%以下であることが好ましい。また正極活物質層24における導電材の構成比率は、質量比で0.5%以上10%以下であることが好ましく、正極活物質層24におけるバインダーの構成比率は、質量比で0.5%以上10%以下であることが好ましい。
非水電解液は、リンを含んでもよい。非水電解液がリンを含む場合、負極活物質層34に含まれるリンとの相互作用により、充放電時における内部抵抗が減少して、サイクル特性に有利に働き得る。
非水電解液は、フッ素を含んでもよい。非水電解液がフッ素を含む場合、負極活物質層34に含まれるフッ素との相互作用により、充放電時における内部抵抗が減少して、サイクル特性に有利に働き得る。
イオン液体は、カチオンとアニオンの組み合わせによって様々な種類がある。例えば、イミダゾリウム塩、ピロリジニウム塩、ピペリジニウム塩、ピリジニウム塩、アンモニウム塩等の窒素系のイオン液体、ホスホニウム塩等のリン系のイオン液体、スルホニウム塩等の硫黄系のイオン液体等が挙げられる。窒素系のイオン液体は、環状の第四級アンモニウム塩と鎖状の第四級アンモニウム塩とに分けることができる。
イオン液体のカチオンとしては、窒素系、リン系、硫黄系等のものが報告されている。イオン液体のカチオンは、第四級アンモニウムカチオン、スルホニウムカチオン、ホスホニウムカチオンからなる群から選択される少なくとも1種以上であることが好ましい。これらのカチオンは、還元側の電位窓が広い。そのため、これらのカチオンは負極30の表面で還元分解されにくい。
リチウム塩は、リンを含んでもよい。リチウム塩がリンを含む場合、負極活物質層34に含まれるリンとの相互作用により、充放電時における内部抵抗が減少して、サイクル特性に有利に働き得る。
リチウム塩は、フッ素を含んでもよい。リチウム塩がフッ素を含む場合、負極活物質層34に含まれるフッ素との相互作用により、充放電時における内部抵抗が減少して、サイクル特性に有利に働き得る。
例えば、ケース50として、図1に示すように、金属箔52を高分子膜54で両側からコーティングした金属ラミネートフィルムを利用できる。金属箔52としては例えばアルミ箔を、高分子膜54としてはポリプロピレン等の膜を利用できる。例えば、外側の高分子膜54の材料としては融点の高い高分子、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド等が好ましく、内側の高分子膜54の材料としてはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等が好ましい。
リード60は、図2のように、負極集電体32の、第1縁部342が設けられる負極活物質層34の第1側面側に設置されてもよい。リード60は、負極集電体32の、第2縁部343が設けられる負極活物質層34の第2側面側に設置されてもよい(図示されない)。リード60は、負極集電体32の、第1縁部342又は第2縁部343が設けていない負極活物質層34の側面に設置されてもよい(図示されない)。いずれの場合も、負極活物質層34における中央部341と第1縁部342及び/又は第2縁部343におけるリン含有量、または、フッ素含有量が本実施形態で特定される範囲内であれば、中央部341と第1縁部342との間に、及び中央部341と第2縁部343との間に適度な電位勾配が形成され、充放電時におけるリチウムイオンの挿入脱離及び電子移動が促進されて安定する。
または、いずれの場合も、負極活物質層34における中央部341と第1縁部342及び/又は第2縁部343における水分含有量が本実施形態で特定される範囲内であれば、中央部341と第1縁部342との間に、及び中央部341と第2縁部343との間に適度な電位勾配が形成され、充放電時におけるリチウムイオンの挿入脱離及び電子移動が促進され得る。これにより、負極活物質層34とリード60間の内部抵抗が低下し得る。
上述のように、本実施形態による負極30は、充放電時におけるリチウムイオンの挿入脱離及び電子移動が促進されるので、充放電時に負極30の表面における析出物の過剰な堆積を抑制し得る。そのため、正極20と、本実施形態による負極30と、上記正極20と上記負極30との間に介在するセパレータ10及び非水電解液と、を備えるリチウムイオン二次電池は、サイクル特性に優れるという優位点を有する。
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
実施例1は、以下の工程A1〜A9により、作製した。
工程A1
負極活物質とバインダーと溶媒とを混合し、負極合剤スラリーA及びBをそれぞれ用意した。負極合剤スラリーAは、負極活物質を98質量%、バインダーを1質量%及び溶媒を1質量%含み、負極合剤スラリーBは、負極活物質を97質量%、バインダーを2質量%及び溶媒を1質量%含む。負極合剤スラリーA及びBにおける、負極活物質として、リチウムイオン二次電池用天然黒鉛材を用いた。また、増粘剤としてのCMCと結着剤としてのSBRとの質量比1:1の混合物をバインダーとして用いた。溶媒として水を用いた。負極合剤スラリーBには別途、リン化合物としてのトリフェニルホスファイト1質量%溶液が添加された。負極合剤スラリーBでは、リン化合物とその他の成分との質量比が2:98となるようにリン化合物が添加された。
上記スラリーA及びBを構成するこれらの成分の混合方法は特に制限されず、混合順序もまた特に制限されない。
工程A2
第1側面と第2側面との距離をLとした際に、第1側面から第2側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分及び第2側面から第1側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分を形成するように、工程A1で作製したスラリーAを50重量%、スラリーBを50重量%の割合で混合したスラリーを負極集電体32としての電解銅箔(古河電工製)上に塗布した。また、第1側面と第2側面の中央から第1側面及び第2側面に向かって(1/6)Lだけ進んだ部分を形成するように、工程A1で作製したスラリーAを45重量%、スラリーBを55重量%の割合で混合したスラリーを負極集電体32に塗布した。このようにして、負極30を作製した。
前述の中央部並びに第1縁部及び第2縁部の定義から明らかなように、スラリーBが塗布された部分は、中央部341を含み得、スラリーAが塗布された部分は、第1縁部342及び第2縁部343を含み得る。
塗布方法としては、特に制限はなく、通常電極を作製する場合に採用される方法を用いることができる。例えば、スリットダイコート法、ドクターブレード法が挙げられる。スラリーA及びBの塗布は、同時に行ってもよく、別々に行ってもよい。
工程A3
工程A2で塗工した負極30を熱風式乾燥法にて15分間乾燥させた。熱風の温度は85℃であった。
工程A4
正極活物質とバインダーと溶媒とを混合し、正極合剤スラリーを用意した。正極活物質として、平均粒径10μmのLiNi0.83Co0.12Al0.05O2を準備した。この正極活物質92質量部と、アセチレンブラック4質量部と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)4質量部と、をそれぞれ秤量した後、それらをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に分散させて、正極合剤スラリーを調製した。
工程A5
工程A4で作製した正極合剤スラリーを正極集電体22としてのリチウムイオン電池用アルミニウム集電箔(UACJ製)上に塗布して、正極20を作製した。
塗布方法としては、特に制限はなく、通常電極を作製する場合に採用される方法を用いることができる。例えば、スリットダイコート法、ドクターブレード法が挙げられる。
工程A6
工程A5で塗工した正極20を熱風式乾燥法にて乾燥させた。
工程A7
工程A3で作製した負極30、セパレータ10としての膜厚20μmのポリエチレン微多孔膜(空孔率:40%)、及び工程A6で作製した正極20を交互に積層し、積層体を作製した。積層体40の積層方向に対して垂直な方向から、プレス器具で加熱加圧し、正極20、セパレータ10、及び負極30を密着させてもよい。
工程A8
工程A7で作製した積層体をラミネート外装体50(ナイロン/アルミニウム箔/無延伸ポリプロピレン)に封入し、電解液を注入した。電解液は、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)を体積比3:7で混合し、1mol/Lになるようにリチウム塩としてのLiPF6を溶解して調製した。その後、ラミネート外装体50を封止することでリチウムイオン二次電池を作製した。
ラミネート外装体50に電解液を注入するのではなく、積層体40を電解液に含浸させてもよい。
工程A9
工程A8で作製したリチウムイオン二次電池を、エージング処理として1サイクル又は数サイクル充放電させた後、リチウムイオン二次電池を解体し、取り出された負極活物質層34の中央部341、第1縁部342及び第2縁部343における各リン含有量をSEM−EDS分析で測定した。(使用機器:SU8010(日立ハイテクフィールディング製))中央部341におけるリン含有量は、負極活物質層34における中央部341の任意の3つの地点のリン含有量を測定することで得られる平均値とした。第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量は、負極活物質層34における第1縁部342及び第2縁部343から、任意の3つの地点を抽出し、リン含有量を測定することで得られる平均値とした。また、中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1は、負極活物質層34における中央部341の任意の3つの地点の断面を走査型電子顕微鏡で観測することで得られる平均値とした。第1縁部342及び第2縁部343におけるリン含有層の平均厚さT2は、負極活物質層34における第1縁部342及び第2縁部343から、任意の3つの地点を抽出し、断面を走査型電子顕微鏡で観測することで得られる平均値とした。繰り返しになるが、中央部341は、スラリーBが塗布された部分に含まれ、第1縁部342及び第2縁部343は、スラリーAが塗布された部分に含まれる。上記1サイクル又は数サイクルの充放電を介して、負極活物質層34におけるリン含有量が決定される。リン含有量は、負極の作製に使用した負極合剤スラリーに含まれるリン成分、並びに、非水電解液及びリチウム塩に含まれるリン成分に応じて決定され得る。
中央部341の任意の3つの地点は、リチウムイオン二次電池を解体して取り出した負極活物質層34の中央部341における中央地点、および、その中心地点を通る1本の直線のそれぞれの両端部2地点の合計3点とした。
負極活物質層34における第1縁部342及び第2縁部343から抽出した任意の3つの地点は、リチウムイオン二次電池を解体して取り出した第1縁部342又は第2縁部343における中央点のいずれか1点、および、中央点を抽出されなかった縁部の中心地点を通る1本の直線のそれぞれの両端部2地点の合計3点とした。
中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1に係る任意の3つの地点は、リチウムイオン二次電池を解体して取り出した負極活物質層34の中央部341における中央地点、および、その中心地点を通る1本の直線の両端部2地点の合計3点とした。
第1縁部342及び第2縁部343におけるリン含有層の平均厚さT2に係る任意の3つの地点は、リチウムイオン二次電池を解体して取り出した第1縁部342又は第2縁部343における中央点のいずれか1点、および、中央点を抽出されなかった縁部の中心地点を通る1本の直線のそれぞれの両端部2地点の合計3点とした。
上記1サイクル又は数サイクルの充放電後における負極活物質層34中のリン含有量分布と、1000サイクル後の負極活物質層34中のリン含有量分布との間に有意な差異は観測されなかった。
実施例1〜9並びに比較例1〜3から得られた、負極活物質層34の中央部341におけるリン含有量P1、第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量P2、第1縁部342及び第2縁部343の任意の3地点におけるリン含有量P3−1〜P3−3、それらの比率、並びに1000サイクル後のサイクル特性を表1に示す。また、実施例10〜25については、さらに、中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1、第1縁部342及び第2縁部343におけるリン含有層の平均厚さT2、第1縁部342及び第2縁部343の任意の地点におけるリン含有層の厚さT3−1〜T3−3、並びにそれらの比率を示す。中央部341におけるリン含有量P1、第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量P2は、製品出荷前の脱ガス・エージング工程で行われる1サイクル又は数サイクルの充放電後のリン含有量を意味する。平均リン含有量P2は、任意の3地点におけるリン含有量P3−1〜P3−3の平均値である。リン含有層の平均厚さT2は、任意の3地点におけるリン含有層の厚さT3−1〜T3−3の平均値である。
(実施例1)
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.07であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、85.1%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有量(P3−1)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−1)は、1.10であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有量(P3−2)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−2)は、1.04であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有量(P3−3)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−3)は、1.08であった。
(実施例2)
工程A2において、第1側面と第2側面の中央から第1側面及び第2側面に向かって(1/6)Lだけ進んだ部分を形成するように、工程A1で作製したスラリーAを40重量%、スラリーBを60重量%の割合で混合したスラリーを負極集電体32に塗布したこと以外は、実施例1と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.16であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、85.5%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有量(P3−1)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−1)は、1.23であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有量(P3−2)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−2)は、1.00であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有量(P3−3)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−3)は、1.28であった。
(実施例3)
工程A2において、第1側面と第2側面の中央から第1側面及び第2側面に向かって(1/6)Lだけ進んだ部分を形成するように、工程A1で作製したスラリーAを33重量%、スラリーBを67重量%の割合で混合したスラリーを負極集電体32に塗布したこと以外は、実施例1と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.24であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、85.1%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有量(P3−1)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−1)は、1.22であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有量(P3−2)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−2)は、1.24であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有量(P3−3)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−3)は、1.25であった。
(実施例4)
工程A2において、第1側面と第2側面の中央から第1側面及び第2側面に向かって(1/6)Lだけ進んだ部分を形成するように、工程A1で作製したスラリーAを24重量%、スラリーBを76重量%の割合で混合したスラリーを負極集電体32に塗布したこと以外は、実施例1と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.29であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、85.6%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有量(P3−1)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−1)は、1.29であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有量(P3−2)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−2)は、1.29であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有量(P3−3)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−3)は、1.30であった。
(実施例5)
工程A1において負極合剤スラリーBに添加するリン化合物としてトリフェニルホスファイト2質量%溶液を用い、リン化合物とその他の成分との質量比が4:96となるように添加されたこと以外は、実施例1と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.19であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、86.1%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有量(P3−1)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−1)は、1.16であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有量(P3−2)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−2)は、1.16であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有量(P3−3)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−3)は、1.24であった。
(実施例6)
工程A1において負極合剤スラリーBに添加するリン化合物としてトリスノニルフェニルホスファイト2質量%溶液を用い、リン化合物とその他の成分との質量比が4:96となるように添加されたこと以外は、実施例1と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.01であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、86.5%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有量(P3−1)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−1)は、1.02であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有量(P3−2)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−2)は、1.01であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有量(P3−3)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−3)は、1.01であった。
(実施例7)
工程A1において負極合剤スラリーBに添加するリン化合物としてトリクレジルホスファイト2質量%溶液を用い、リン化合物とその他の成分との質量比が4:96となるように添加されたこと以外は、実施例1と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.08であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、86.0%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有量(P3−1)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−1)は、1.07であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有量(P3−2)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−2)は、1.05であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有量(P3−3)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−3)は、1.11であった。
(実施例8)
工程A1において負極合剤スラリーBに添加するリン化合物としてトリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト2質量%溶液を用い、リン化合物とその他の成分との質量比が4:96となるように添加されたこと以外は、実施例1と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.05であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、86.1%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有量(P3−1)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−1)は、1.03であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有量(P3−2)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−2)は、1.12であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有量(P3−3)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−3)は、1.01であった。
(比較例1)
工程A1において第1側面と第2側面の中央から第1側面及び第2側面に向かって(1/6)Lだけ進んだ部分を形成するように、工程A1で作製したスラリーAを20重量%、スラリーBを80重量%の割合で混合したスラリーを負極集電体32に塗布したこと以外は、実施例1と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.31であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、73.1%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有量(P3−1)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−1)は、1.30であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有量(P3−2)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−2)は、1.31であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有量(P3−3)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−3)は、1.32であった。
(比較例2)
工程A1において負極合剤スラリーBのみを作製したこと、及び、工程A2において第1縁部342及び第2縁部343並びに中央部341にスラリーBを塗布したこと以外は、実施例1と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は0.97であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、73.9%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有量(P3−1)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−1)は、0.96であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有量(P3−2)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−2)は、0.98であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有量(P3−3)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−3)は、0.98であった。
(実施例9)
工程A2において、第1側面と第2側面の中央から第1側面及び第2側面に向かって(1/6)Lだけ進んだ部分を形成するように、工程A1で作製したスラリーAを22重量%、スラリーBを78重量%の割合で混合したスラリーを負極集電体32に塗布したこと以外は実施例1と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.30であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、86.3%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有量(P3−1)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−1)は、1.30であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有量(P3−2)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−2)は、1.30であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有量(P3−3)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−3)は、1.30であった。
(比較例3)
工程A2において、第1側面と第2側面の中央から第1側面及び第2側面に向かって(1/6)Lだけ進んだ部分を形成するように、工程A1で作製したスラリーAを50重量%、スラリーBを50重量%の割合で混合したスラリーを負極集電体32に塗布したこと以外は、実施例1と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.00であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、73.1%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有量(P3−1)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−1)は、1.00であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有量(P3−2)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−2)は、0.99であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有量(P3−3)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−3)は、1.01であった。
(実施例10)
工程A2において、負極集電体32の全面にスラリーAのみを塗布した。その上に、リン化合物としてのトリフェニルホスファイト1質量%溶液をアプリケータを用いて塗布した。第1側面から第2側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分及び第2側面から第1側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分は、アプリケータのギャップを10μm、第1側面と第2側面の中央から第1側面及び第2側面に向かって(1/6)Lだけ進んだ部分は、アプリケータのギャップを15μmとして塗布した。得られた負極30を用いたこと以外は、実施例1と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.16であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、87.0%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有量(P3−1)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−1)は、1.21であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有量(P3−2)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−2)は、1.01であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有量(P3−3)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−3)は、1.28であった。
中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343におけるリン含有層の平均厚さT2[μm]との比率(T1/T2)は1.16であった。また、T1は、12.2μmであった。
中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有層の厚さT3−1[μm]との比率(T1/T3−1)は、1.16であった。中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有層の厚さT3−2[μm]との比率(T1/T3−2)は、1.21であった。中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有層の厚さT3−3[μm]との比率(T1/T3−3)は、1.12であった。
(実施例11)
工程A2において第1側面から第2側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分及び第2側面から第1側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分は、アプリケータのギャップを12μm、第1側面と第2側面の中央から第1側面及び第2側面に向かって(1/6)Lだけ進んだ部分は、アプリケータのギャップを15μmとしたこと以外は、実施例10と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.16であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、87.5%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有量(P3−1)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−1)は、1.21であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有量(P3−2)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−2)は、1.01であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有量(P3−3)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−3)は、1.28であった。
中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343におけるリン含有層の平均厚さT2[μm]との比率(T1/T2)は1.04であった。また、T1は、11.6μmであった。
中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有層の厚さT3−1[μm]との比率(T1/T3−1)は、1.01であった。中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有層の厚さT3−2[μm]との比率(T1/T3−2)は、1.05であった。中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有層の厚さT3−3[μm]との比率(T1/T3−3)は、1.05であった。
(実施例12)
工程A2において第1側面から第2側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分及び第2側面から第1側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分は、アプリケータのギャップを18μm、第1側面と第2側面の中央から第1側面及び第2側面に向かって(1/6)Lだけ進んだ部分は、アプリケータのギャップを20μmとしたこと以外は、実施例10と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.16であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、87.1%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有量(P3−1)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−1)は、1.21であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有量(P3−2)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−2)は、1.01であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有量(P3−3)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−3)は、1.28であった。
中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343におけるリン含有層の平均厚さT2[μm]との比率(T1/T2)は1.08であった。また、T1は、14.8μmであった。
中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有層の厚さT3−1[μm]との比率(T1/T3−1)は、1.10であった。中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有層の厚さT3−2[μm]との比率(T1/T3−2)は、1.07であった。中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有層の厚さT3−3[μm]との比率(T1/T3−3)は、1.07であった。
(実施例13)
工程A2において第1側面から第2側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分及び第2側面から第1側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分は、アプリケータのギャップを22μm、第1側面と第2側面の中央から第1側面及び第2側面に向かって(1/6)Lだけ進んだ部分は、アプリケータのギャップを26μmとしたこと以外は、実施例10と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.16であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、87.2%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有量(P3−1)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−1)は、1.21であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有量(P3−2)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−2)は、1.01であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有量(P3−3)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−3)は、1.28であった。
中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343におけるリン含有層の平均厚さT2[μm]との比率(T1/T2)は1.10であった。また、T1は、16.7μmであった。
中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有層の厚さT3−1[μm]との比率(T1/T3−1)は、1.04であった。中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有層の厚さT3−2[μm]との比率(T1/T3−2)は、1.08であった。中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有層の厚さT3−3[μm]との比率(T1/T3−3)は、1.18であった。
(実施例14)
工程A2において第1側面から第2側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分及び第2側面から第1側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分は、アプリケータのギャップを8μm、第1側面と第2側面の中央から第1側面及び第2側面に向かって(1/6)Lだけ進んだ部分は、アプリケータのギャップを13μmとしたこと以外は、実施例10と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.16であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、87.7%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有量(P3−1)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−1)は、1.21であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有量(P3−2)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−2)は、1.01であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有量(P3−3)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−3)は、1.28であった。
中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343におけるリン含有層の平均厚さT2[μm]との比率(T1/T2)は1.78であった。また、T1は、9.8μmであった。
中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有層の厚さT3−1[μm]との比率(T1/T3−1)は、1.78であった。中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有層の厚さT3−2[μm]との比率(T1/T3−2)は、1.75であった。中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有層の厚さT3−3[μm]との比率(T1/T3−3)は、1.78であった。
(実施例15)
工程A2において第1側面から第2側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分及び第2側面から第1側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分は、アプリケータのギャップを7μm、第1側面と第2側面の中央から第1側面及び第2側面に向かって(1/6)Lだけ進んだ部分は、アプリケータのギャップを9μmとしたこと以外は、実施例10と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.16であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、87.5%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有量(P3−1)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−1)は、1.21であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有量(P3−2)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−2)は、1.01であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有量(P3−3)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−3)は、1.28であった。
中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343におけるリン含有層の平均厚さT2[μm]との比率(T1/T2)は1.56であった。また、T1は、7.5μmであった。
中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有層の厚さT3−1[μm]との比率(T1/T3−1)は、1.63であった。中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有層の厚さT3−2[μm]との比率(T1/T3−2)は、1.50であった。中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有層の厚さT3−3[μm]との比率(T1/T3−3)は、1.56であった。
(実施例16)
工程A2において第1側面から第2側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分及び第2側面から第1側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分は、アプリケータのギャップを5μm、第1側面と第2側面の中央から第1側面及び第2側面に向かって(1/6)Lだけ進んだ部分は、アプリケータのギャップを7μmとしたこと以外は、実施例10と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.16であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、87.9%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有量(P3−1)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−1)は、1.21であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有量(P3−2)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−2)は、1.01であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有量(P3−3)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−3)は、1.28であった。
中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343におけるリン含有層の平均厚さT2[μm]との比率(T1/T2)は1.59であった。また、T1は、5.1μmであった。
中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有層の厚さT3−1[μm]との比率(T1/T3−1)は、1.76であった。中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有層の厚さT3−2[μm]との比率(T1/T3−2)は、1.76であった。中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有層の厚さT3−3[μm]との比率(T1/T3−3)は、1.34であった。
(実施例17)
工程A2において第1側面から第2側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分及び第2側面から第1側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分は、アプリケータのギャップを4μm、第1側面と第2側面の中央から第1側面及び第2側面に向かって(1/6)Lだけ進んだ部分は、アプリケータのギャップを6μmとしたこと以外は、実施例10と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.16であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、87.3%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有量(P3−1)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−1)は、1.21であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有量(P3−2)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−2)は、1.01であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有量(P3−3)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−3)は、1.28であった。
中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343におけるリン含有層の平均厚さT2[μm]との比率(T1/T2)は1.71であった。また、T1は、4.8μmであった。
中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有層の厚さT3−1[μm]との比率(T1/T3−1)は、1.60であった。中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有層の厚さT3−2[μm]との比率(T1/T3−2)は、1.78であった。中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有層の厚さT3−3[μm]との比率(T1/T3−3)は、1.78であった。
(実施例18)
工程A1において、リン化合物として、トリフェニルホスファイト1質量%溶液と、トリスノニルフェニルホスファイト2質量%溶液を、50重量%ずつ混合したものを用いたこと以外は、実施例10と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.12であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、80.1%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有量(P3−1)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−1)は、1.23であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有量(P3−2)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−2)は、0.92であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有量(P3−3)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−3)は、1.28であった。
中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343におけるリン含有層の平均厚さT2[μm]との比率(T1/T2)は1.16であった。また、T1は、12.2μmであった。
中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有層の厚さT3−1[μm]との比率(T1/T3−1)は、1.16であった。中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有層の厚さT3−2[μm]との比率(T1/T3−2)は、1.21であった。中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有層の厚さT3−3[μm]との比率(T1/T3−3)は、1.12であった。
(実施例19)
工程A1において、リン化合物として、30重量%のトリフェニルホスファイト1質量%溶液と、70重量%のトリスノニルフェニルホスファイト2質量%溶液を混合したものを用いたこと以外は、実施例10と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.01であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、78.5%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有量(P3−1)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−1)は、0.97であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有量(P3−2)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−2)は、0.99であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有量(P3−3)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−3)は、1.06であった。
中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343におけるリン含有層の平均厚さT2[μm]との比率(T1/T2)は1.16であった。また、T1は、12.2μmであった。
中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有層の厚さT3−1[μm]との比率(T1/T3−1)は、1.16であった。中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有層の厚さT3−2[μm]との比率(T1/T3−2)は、1.21であった。中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有層の厚さT3−3[μm]との比率(T1/T3−3)は、1.12であった。
(実施例20)
工程A1において、リン化合物として、20重量%のトリフェニルホスファイト1質量%溶液と、80重量%のトリスノニルフェニルホスファイト2質量%溶液を混合したものを用いたこと以外は、実施例10と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.18であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、80.8%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有量(P3−1)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−1)は、1.31であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有量(P3−2)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−2)は、1.08であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有量(P3−3)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−3)は、1.17であった。
中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343におけるリン含有層の平均厚さT2[μm]との比率(T1/T2)は1.16であった。また、T1は、12.2μmであった。
中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有層の厚さT3−1[μm]との比率(T1/T3−1)は、1.16であった。中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有層の厚さT3−2[μm]との比率(T1/T3−2)は、1.21であった。中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有層の厚さT3−3[μm]との比率(T1/T3−3)は、1.12であった。
(実施例21)
工程A1において、リン化合物として、60重量%のトリフェニルホスファイト1質量%溶液と、40重量%のトリスノニルフェニルホスファイト2質量%溶液を混合したものを用いたこと以外は、実施例10と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.21であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、78.1%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有量(P3−1)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−1)は、1.34であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有量(P3−2)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−2)は、1.01であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有量(P3−3)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−3)は、1.33であった。
中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343におけるリン含有層の平均厚さT2[μm]との比率(T1/T2)は1.16であった。また、T1は、12.2μmであった。
中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有層の厚さT3−1[μm]との比率(T1/T3−1)は、1.16であった。中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有層の厚さT3−2[μm]との比率(T1/T3−2)は、1.21であった。中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有層の厚さT3−3[μm]との比率(T1/T3−3)は、1.12であった。
(実施例22)
実施例10の再現実験として、実施例10と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.16であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、79.6%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有量(P3−1)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−1)は、1.21であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有量(P3−2)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−2)は、1.01であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有量(P3−3)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−3)は、1.28であった。
中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343におけるリン含有層の平均厚さT2[μm]との比率(T1/T2)は1.16であった。また、T1は、12.2μmであった。
中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有層の厚さT3−1[μm]との比率(T1/T3−1)は、1.01であった。中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有層の厚さT3−2[μm]との比率(T1/T3−2)は、1.67であった。中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有層の厚さT3−3[μm]との比率(T1/T3−3)は、1.00であった。
(実施例23)
実施例10の再現実験として、実施例10と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.16であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、76.2%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有量(P3−1)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−1)は、1.21であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有量(P3−2)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−2)は、1.01であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有量(P3−3)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−3)は、1.28であった。
中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343におけるリン含有層の平均厚さT2[μm]との比率(T1/T2)は1.16であった。また、T1は、12.2μmであった。
中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有層の厚さT3−1[μm]との比率(T1/T3−1)は、1.00であった。中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有層の厚さT3−2[μm]との比率(T1/T3−2)は、1.79であった。中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有層の厚さT3−3[μm]との比率(T1/T3−3)は、0.98であった。
(実施例24)
実施例10の再現実験として、実施例10と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.16であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、78.9%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有量(P3−1)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−1)は、1.21であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有量(P3−2)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−2)は、1.01であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有量(P3−3)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−3)は、1.28であった。
中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343におけるリン含有層の平均厚さT2[μm]との比率(T1/T2)は1.18であった。また、T1は、12.2μmであった。
中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有層の厚さT3−1[μm]との比率(T1/T3−1)は、1.01であった。中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有層の厚さT3−2[μm]との比率(T1/T3−2)は、1.82であった。中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有層の厚さT3−3[μm]との比率(T1/T3−3)は、1.01であった。
(実施例25)
実施例10の再現実験として、実施例10と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.16であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、77.1%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有量(P3−1)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−1)は、1.21であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有量(P3−2)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−2)は、1.01であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有量(P3−3)に対するリン含有量(P1)の比率(P1/P3−3)は、1.28であった。
中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343におけるリン含有層の平均厚さT2[μm]との比率(T1/T2)は1.44であった。また、T1は、12.2μmであった。
中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるリン含有層の厚さT3−1[μm]との比率(T1/T3−1)は、1.01であった。中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるリン含有層の厚さT3−2[μm]との比率(T1/T3−2)は、1.85であった。中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるリン含有層の厚さT3−3[μm]との比率(T1/T3−3)は、1.82であった。
実施例1から9では、第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)が、1<P1/P2≦1.30の関係を満たしており、1000サイクル後のサイクル特性は85.1%以上であった。この高いサイクル特性は、中央部341と第1縁部342及び第2縁部343との間で適度な電位勾配を形成したことにより、充放電時のリチウムイオンの挿入脱離及び電子移動が負極全体として安定したことに起因すると考えられ得る。
実施例10から25では、中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343におけるリン含有層の平均厚さT2[μm]とが、1<T1/T2≦1.80、且つ、T1≦10の関係を満たしており、1000サイクル後のサイクル特性は76.2%以上であった。この高いサイクル特性は、電池組立時や充放電時において負極のしわの形成が抑制されたこと、及び、中央部341における薄いリン含有層が内部抵抗を低下したことに起因すると考えられ得る。
一方、比較例1から3では、第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)が、1<P1/P2≦1.30の関係を満たしておらず、1000サイクル後のサイクル特性は75.6%以下であった。これは、中央部341と第1縁部342又は第2縁部343との間で形成される電位勾配が大きくなりすぎたことに起因すると考えられる。
実施例26は、以下の工程B1〜B9により、作製した。
工程B1
負極活物質とバインダーと溶媒とを混合し、負極合剤スラリーA及びBをそれぞれ用意した。負極合剤スラリーAは、負極活物質を98質量%、バインダーを1質量%及び溶媒を1質量%含み、負極合剤スラリーBは、負極活物質を97質量%、バインダーを2質量%及び溶媒を1質量%含む。負極合剤スラリーA及びBにおける、負極活物質として、リチウムイオン二次電池用天然黒鉛材を用いた。また、増粘剤としてのCMCと結着剤としてのSBRとの質量比1:1の混合物をバインダーとして用いた。溶媒として水を用いた。負極合剤スラリーBには別途、添加剤としてのサーフロン(登録商標)(AGCセイケミカル社製)1質量%溶液が添加された。負極合剤スラリーBでは、添加剤とその他の成分との質量比が2:98となるように添加剤が添加された。
上記スラリーA及びBを構成するこれらの成分の混合方法は特に制限されず、混合順序もまた特に制限されない。
実施例26に係る工程B2〜B8は、上記実施例1に係る工程A2〜A8と同様である。
工程B9
工程B8で作製したリチウムイオン二次電池を、エージング処理として1サイクル又は数サイクル充放電させた後、リチウムイオン二次電池を解体し、取り出された負極活物質層34の中央部341、第1縁部342及び第2縁部343における各フッ素含有量をSEM−EDS分析で測定した。(使用機器:SU8010(日立ハイテクフィールディング製))中央部341におけるフッ素含有量は、負極活物質層34における中央部341の任意の3つの地点のフッ素含有量を測定することで得られる平均値とした。第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量は、負極活物質層34における第1縁部342及び第2縁部343から、任意の3つの地点を抽出し、フッ素含有量を測定することで得られる平均値とした。また、中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1は、負極活物質層34における中央部341の任意の3つの地点の断面を走査型電子顕微鏡で観測することで得られる平均値とした。第1縁部342及び第2縁部343におけるフッ素含有層の平均厚さT2は、負極活物質層34における第1縁部342及び第2縁部343から、任意の3つの地点を抽出し、断面を走査型電子顕微鏡で観測することで得られる平均値とした。繰り返しになるが、中央部341は、スラリーBが塗布された部分に含まれ、第1縁部342及び第2縁部343は、スラリーAが塗布された部分に含まれる。上記1サイクル又は数サイクルの充放電を介して、負極活物質層34におけるフッ素含有量が決定される。フッ素含有量は、負極の作製に使用した負極合剤スラリーに含まれるフッ素成分、並びに、非水電解液及びリチウム塩に含まれるフッ素成分に応じて決定され得る。
中央部341の任意の3つの地点は、リチウムイオン二次電池を解体して取り出した負極活物質層34の中央部341における中央地点、および、その中心地点を通る1本の直線のそれぞれの両端部2地点の合計3点とした。
負極活物質層34における第1縁部342及び第2縁部343から抽出した任意の3つの地点は、リチウムイオン二次電池を解体して取り出した第1縁部342又は第2縁部343における中央点のいずれか1点、および、中央点を抽出されなかった縁部の中心地点を通る1本の直線のそれぞれの両端部2地点の合計3点とした。
中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1に係る任意の3つの地点は、リチウムイオン二次電池を解体して取り出した負極活物質層34の中央部341における中央地点、および、その中心地点を通る1本の直線の両端部2地点の合計3点とした。
第1縁部342及び第2縁部343におけるリン含有層の平均厚さT2に係る任意の3つの地点は、リチウムイオン二次電池を解体して取り出した第1縁部342又は第2縁部343における中央点のいずれか1点、および、中央点を抽出されなかった縁部の中心地点を通る1本の直線のそれぞれの両端部2地点の合計3点とした。
上記1サイクル又は数サイクルの充放電後における負極活物質層34中のフッ素含有量分布と、1000サイクル後の負極活物質層34中のフッ素含有量分布との間に有意な差異は観測されなかった。
実施例26〜33並びに比較例4〜6から得られた、負極活物質層34の中央部341におけるフッ素含有量F1、第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量F2、第1縁部342及び第2縁部343の任意の3地点におけるフッ素含有量F3−1〜F3−3、それらの比率、並びに1000サイクル後のサイクル特性を表2に示す。また、実施例34〜49については、さらに、中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1、第1縁部342及び第2縁部343におけるフッ素含有層の平均厚さT2、第1縁部342及び第2縁部343の任意の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−1〜T3−3、並びにそれらの比率を示す。中央部341におけるフッ素含有量F1、第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量F2は、製品出荷前の脱ガス・エージング工程で行われる1サイクル又は数サイクルの充放電後のフッ素含有量を意味する。平均フッ素含有量F2は、任意の3地点におけるフッ素含有量F3−1〜F3−3の平均値である。フッ素含有層の平均厚さT2は、任意の3地点におけるフッ素含有層の厚さT3−1〜T3−3の平均値である。
(実施例26)
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.09であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、87.3%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有量(F3−1)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−1)は、1.10であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有量(F3−2)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−2)は、1.10であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有量(F3−3)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−3)は、1.09であった。
(実施例27)
工程B2において、第1側面と第2側面の中央から第1側面及び第2側面に向かって(1/6)Lだけ進んだ部分を形成するように、工程B1で作製したスラリーAを40重量%、スラリーBを60重量%の割合で混合したスラリーを負極集電体32に塗布したこと以外は、実施例26と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.10であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、87.5%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有量(F3−1)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−1)は、1.10であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有量(F3−2)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−2)は、1.09であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有量(F3−3)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−3)は、1.10であった。
(実施例28)
工程B2において、第1側面と第2側面の中央から第1側面及び第2側面に向かって(1/6)Lだけ進んだ部分を形成するように、工程B1で作製したスラリーAを33重量%、スラリーBを67重量%の割合で混合したスラリーを負極集電体32に塗布したこと以外は、実施例26と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.20であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、87.1%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有量(F3−1)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−1)は、1.18であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有量(F3−2)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−2)は、1.20であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有量(F3−3)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−3)は、1.20であった。
(実施例29)
工程B2において、第1側面と第2側面の中央から第1側面及び第2側面に向かって(1/6)Lだけ進んだ部分を形成するように、工程B1で作製したスラリーAを24重量%、スラリーBを76重量%の割合で混合したスラリーを負極集電体32に塗布したこと以外は、実施例26と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.22であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、87.8%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有量(F3−1)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−1)は、1.22であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有量(F3−2)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−2)は、1.22であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有量(F3−3)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−3)は、1.22であった。
(実施例30)
工程B1において、負極合剤スラリーBに添加する添加剤としてのサーフロン2質量%溶液を用い、添加剤とその他の成分との質量比が4:96となるように添加されたこと以外は、実施例26と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.15であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、88.3%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有量(F3−1)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−1)は、1.09であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有量(F3−2)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−2)は、1.20であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有量(F3−3)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−3)は、1.17であった。
(実施例31)
工程B1において、負極合剤スラリーBに添加する添加剤としてのFC−4430(スリーエム社製)2質量%溶液を用い、添加剤とその他の成分との質量比が4:96となるように添加されたこと以外は、実施例26と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.12であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、88.6%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有量(F3−1)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−1)は、1.11であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有量(F3−2)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−2)は、1.10であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有量(F3−3)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−3)は、1.14であった。
(実施例32)
工程B1において、負極合剤スラリーBに添加する添加剤としてのポリフロンPTFEルブロン(ダイキン社製)2質量%溶液を用い、添加剤とその他の成分との質量比が4:96となるように添加されたこと以外は、実施例26と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.10であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、88.2%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有量(F3−1)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−1)は、1.08であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有量(F3−2)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−2)は、1.19であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有量(F3−3)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−3)は、1.04であった。
(実施例33)
工程B1において、負極合剤スラリーBに添加する添加剤としてのポリフロンMPA(ダイキン社製)2質量%溶液を用い、添加剤とその他の成分との質量比が4:96となるように添加されたこと以外は、実施例26と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.01であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、88.5%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有量(F3−1)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−1)は、1.08であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有量(F3−2)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−2)は、1.10であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有量(F3−3)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−3)は、1.14であった。
(比較例4)
工程B1において第1側面と第2側面の中央から第1側面及び第2側面に向かって(1/6)Lだけ進んだ部分を形成するように、工程B1で作製したスラリーAを20重量%、スラリーBを80重量%の割合で混合したスラリーを負極集電体32に塗布したこと以外は、実施例26と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.23であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、75.2%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有量(F3−1)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−1)は、1.25であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有量(F3−2)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−2)は、1.22であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有量(F3−3)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−3)は、1.21であった。
(比較例5)
工程B1において負極合剤スラリーBのみを作製したこと、及び、工程B2において第1縁部342及び第2縁部343並びに中央部341にスラリーBを塗布したこと以外は、実施例26と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は0.99であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、75.6%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有量(F3−1)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−1)は、0.98であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有量(F3−2)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−2)は、1.05であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有量(F3−3)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−3)は、0.94であった。
(比較例6)
工程B1において負極合剤スラリーAを10重量%、スラリーBを90重量%の割合で混合したスラリーを作製したこと、及び、工程B2において第1縁部342及び第2縁部343並びに中央部341に上記混合したスラリーを塗布したこと以外は、実施例26と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.00であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、75.3%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有量(F3−1)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−1)は、1.00であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有量(F3−2)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−2)は、1.00であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有量(F3−3)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−3)は、1.00であった。
(実施例34)
工程B2において、負極集電体32の全面にスラリーAのみを塗布した。その上に、添加剤としてのサーフロン1質量%溶液をアプリケータを用いて塗布した。第1側面から第2側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分及び第2側面から第1側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分は、アプリケータのギャップを10μm、第1側面と第2側面の中央から第1側面及び第2側面に向かって(1/6)Lだけ進んだ部分は、アプリケータのギャップを15μmとして塗布した。得られた負極30を用いたこと以外は、実施例26と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.10であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、89.3%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有量(F3−1)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−1)は、1.10であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有量(F3−2)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−2)は、1.09であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有量(F3−3)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−3)は、1.10であった。
中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343におけるフッ素含有層の平均厚さT2[μm]との比率(T1/T2)は1.1であった。また、T1は、11.3μmであった。
中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−1[μm]との比率(T1/T3−1)は、1.11であった。中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−2[μm]との比率(T1/T3−2)は、1.06であった。中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−3[μm]との比率(T1/T3−3)は、1.01であった。
(実施例35)
工程B1において、第1側面から第2側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分及び第2側面から第1側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分は、アプリケータのギャップを12μm、第1側面と第2側面の中央から第1側面及び第2側面に向かって(1/6)Lだけ進んだ部分は、アプリケータのギャップを15μmとしたこと以外は、実施例34と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.10であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、89.1%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有量(F3−1)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−1)は、1.10であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有量(F3−2)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−2)は、1.09であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有量(F3−3)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−3)は、1.10であった。
中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343におけるフッ素含有層の平均厚さT2[μm]との比率(T1/T2)は1.3であった。また、T1は、14.7μmであった。
中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−1[μm]との比率(T1/T3−1)は、1.67であった。中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−2[μm]との比率(T1/T3−2)は、1.35であった。中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−3[μm]との比率(T1/T3−3)は、1.01であった。
(実施例36)
工程B1において、第1側面から第2側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分及び第2側面から第1側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分は、アプリケータのギャップを18μm、第1側面と第2側面の中央から第1側面及び第2側面に向かって(1/6)Lだけ進んだ部分は、アプリケータのギャップを20μmとしたこと以外は、実施例34と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.10であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、89.5%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有量(F3−1)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−1)は、1.10であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有量(F3−2)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−2)は、1.09であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有量(F3−3)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−3)は、1.10であった。
中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343におけるフッ素含有層の平均厚さT2[μm]との比率(T1/T2)は1.2であった。また、T1は、15.2μmであった。
中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−1[μm]との比率(T1/T3−1)は、1.15であった。中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−2[μm]との比率(T1/T3−2)は、1.15であった。中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−3[μm]との比率(T1/T3−3)は、1.15であった。
(実施例37)
工程B1において、第1側面から第2側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分及び第2側面から第1側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分は、アプリケータのギャップを22μm、第1側面と第2側面の中央から第1側面及び第2側面に向かって(1/6)Lだけ進んだ部分は、アプリケータのギャップを26μmとしたこと以外は、実施例34と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.10であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、89.8%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有量(F3−1)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−1)は、1.10であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有量(F3−2)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−2)は、1.09であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有量(F3−3)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−3)は、1.10であった。
中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343におけるフッ素含有層の平均厚さT2[μm]との比率(T1/T2)は1.0であった。また、T1は、17.2μmであった。
中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−1[μm]との比率(T1/T3−1)は、1.02であった。中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−2[μm]との比率(T1/T3−2)は、1.04であった。中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−3[μm]との比率(T1/T3−3)は、1.07であった。
(実施例38)
工程B1において、第1側面から第2側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分及び第2側面から第1側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分は、アプリケータのギャップを8μm、第1側面と第2側面の中央から第1側面及び第2側面に向かって(1/6)Lだけ進んだ部分は、アプリケータのギャップを13μmとしたこと以外は、実施例34と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.10であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、89.1%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有量(F3−1)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−1)は、1.10であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有量(F3−2)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−2)は、1.09であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有量(F3−3)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−3)は、1.10であった。
中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343におけるフッ素含有層の平均厚さT2[μm]との比率(T1/T2)は1.8であった。また、T1は、9.8μmであった。
中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−1[μm]との比率(T1/T3−1)は、1.78であった。中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−2[μm]との比率(T1/T3−2)は、1.75であった。中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−3[μm]との比率(T1/T3−3)は、1.78であった。
(実施例39)
工程B1において、第1側面から第2側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分及び第2側面から第1側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分は、アプリケータのギャップを7μm、第1側面と第2側面の中央から第1側面及び第2側面に向かって(1/6)Lだけ進んだ部分は、アプリケータのギャップを9μmとしたこと以外は、実施例34と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.10であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、89.4%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有量(F3−1)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−1)は、1.10であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有量(F3−2)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−2)は、1.09であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有量(F3−3)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−3)は、1.10であった。
中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343におけるフッ素含有層の平均厚さT2[μm]との比率(T1/T2)は1.6であった。また、T1は、7.5μmであった。
中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−1[μm]との比率(T1/T3−1)は、1.56であった。中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−2[μm]との比率(T1/T3−2)は、1.79であった。中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−3[μm]との比率(T1/T3−3)は、1.39であった。
(実施例40)
工程B1において、第1側面から第2側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分及び第2側面から第1側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分は、アプリケータのギャップを5μm、第1側面と第2側面の中央から第1側面及び第2側面に向かって(1/6)Lだけ進んだ部分は、アプリケータのギャップを7μmとしたこと以外は、実施例34と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.10であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、89.3%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有量(F3−1)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−1)は、1.10であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有量(F3−2)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−2)は、1.09であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有量(F3−3)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−3)は、1.10であった。
中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343におけるフッ素含有層の平均厚さT2[μm]との比率(T1/T2)は1.6であった。また、T1は、5.1μmであった。
中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−1[μm]との比率(T1/T3−1)は、1.34であった。中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−2[μm]との比率(T1/T3−2)は、1.76であった。中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−3[μm]との比率(T1/T3−3)は、1.76であった。
(実施例41)
工程B1において、第1側面から第2側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分及び第2側面から第1側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分は、アプリケータのギャップを4μm、第1側面と第2側面の中央から第1側面及び第2側面に向かって(1/6)Lだけ進んだ部分は、アプリケータのギャップを6μmとしたこと以外は、実施例34と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.10であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、89.3%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有量(F3−1)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−1)は、1.10であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有量(F3−2)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−2)は、1.09であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有量(F3−3)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−3)は、1.10であった。
中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343におけるフッ素含有層の平均厚さT2[μm]との比率(T1/T2)は1.7であった。また、T1は、4.8μmであった。
中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−1[μm]との比率(T1/T3−1)は、1.60であった。中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−2[μm]との比率(T1/T3−2)は、1.78であった。中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−3[μm]との比率(T1/T3−3)は、1.78であった。
(実施例42)
工程B1において、添加剤として、サーフロン1質量%溶液と、サーフロン2質量%溶液を、50重量%ずつ混合したものを用いたこと以外は、実施例34と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.10であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、81.2%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有量(F3−1)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−1)は、1.00であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有量(F3−2)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−2)は、1.20であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有量(F3−3)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−3)は、1.10であった。
中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343におけるフッ素含有層の平均厚さT2[μm]との比率(T1/T2)は1.1であった。また、T1は、11.3μmであった。
中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−1[μm]との比率(T1/T3−1)は、1.11であった。中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−2[μm]との比率(T1/T3−2)は、1.06であった。中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−3[μm]との比率(T1/T3−3)は、1.01であった。
(実施例43)
工程B1において、添加剤として、30重量%のサーフロン1質量%溶液と、70重量%のサーフロン2質量%溶液を混合したものを用いたこと以外は、実施例26と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.05であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、79.9%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有量(F3−1)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−1)は、0.99であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有量(F3−2)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−2)は、0.98であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有量(F3−3)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−3)は、1.20であった。
中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343におけるフッ素含有層の平均厚さT2[μm]との比率(T1/T2)は1.1であった。また、T1は、11.3μmであった。
中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−1[μm]との比率(T1/T3−1)は、1.11であった。中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−2[μm]との比率(T1/T3−2)は、1.06であった。中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−3[μm]との比率(T1/T3−3)は、1.01であった。
(実施例44)
工程B1において、添加剤として、20重量%のサーフロン1質量%溶液と、80重量%のサーフロン2質量%溶液を混合したものを用いたこと以外は、実施例34と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.10であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、82.1%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有量(F3−1)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−1)は、1.25であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有量(F3−2)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−2)は、1.02であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有量(F3−3)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−3)は、1.04であった。
中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343におけるフッ素含有層の平均厚さT2[μm]との比率(T1/T2)は1.1であった。また、T1は、11.3μmであった。
中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−1[μm]との比率(T1/T3−1)は、1.11であった。中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−2[μm]との比率(T1/T3−2)は、1.06であった。中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−3[μm]との比率(T1/T3−3)は、1.01であった。
(実施例45)
工程B1において、添加剤として、60重量%のサーフロン1質量%溶液と、40重量%のサーフロン2質量%溶液を混合したものを用いたこと以外は、実施例34と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.15であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、79.2%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有量(F3−1)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−1)は、1.01であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有量(F3−2)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−2)は、1.23であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有量(F3−3)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−3)は、1.24であった。
中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343におけるフッ素含有層の平均厚さT2[μm]との比率(T1/T2)は1.1であった。また、T1は、11.3μmであった。
中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−1[μm]との比率(T1/T3−1)は、1.11であった。中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−2[μm]との比率(T1/T3−2)は、1.06であった。中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−3[μm]との比率(T1/T3−3)は、1.01であった。
(実施例46)
実施例34の再現実験として、実施例34と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.10であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、80.5%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有量(F3−1)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−1)は、1.10であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有量(F3−2)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−2)は、1.09であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有量(F3−3)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−3)は、1.10であった。
中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343におけるフッ素含有層の平均厚さT2[μm]との比率(T1/T2)は1.2であった。また、T1は、12.2μmであった。
中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−1[μm]との比率(T1/T3−1)は、1.01であった。中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−2[μm]との比率(T1/T3−2)は、1.67であった。中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−3[μm]との比率(T1/T3−3)は、1.00であった。
(実施例47)
実施例34の再現実験として、実施例34と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.10であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、76.9%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有量(F3−1)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−1)は、1.10であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有量(F3−2)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−2)は、1.09であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有量(F3−3)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−3)は、1.10であった。
中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343におけるフッ素含有層の平均厚さT2[μm]との比率(T1/T2)は1.2であった。また、T1は、12.2μmであった。
中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−1[μm]との比率(T1/T3−1)は、1.00であった。中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−2[μm]との比率(T1/T3−2)は、1.79であった。中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−3[μm]との比率(T1/T3−3)は、0.98であった。
(実施例48)
実施例34の再現実験として、実施例34と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.10であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、80.2%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有量(F3−1)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−1)は、1.10であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有量(F3−2)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−2)は、1.09であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有量(F3−3)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−3)は、1.10であった。
中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343におけるフッ素含有層の平均厚さT2[μm]との比率(T1/T2)は1.2であった。また、T1は、12.2μmであった。
中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−1[μm]との比率(T1/T3−1)は、1.01であった。中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−2[μm]との比率(T1/T3−2)は、1.82であった。中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−3[μm]との比率(T1/T3−3)は、1.01であった。
(実施例49)
実施例34の再現実験として、実施例34と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.10であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、78.4%であった。
第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有量(F3−1)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−1)は、1.10であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有量(F3−2)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−2)は、1.09であった。第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有量(F3−3)に対するフッ素含有量(F1)の比率(F1/F3−3)は、1.10であった。
中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343におけるフッ素含有層の平均厚さT2[μm]との比率(T1/T2)は1.4であった。また、T1は、12.2μmであった。
中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第一の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−1[μm]との比率(T1/T3−1)は、1.01であった。中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第二の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−2[μm]との比率(T1/T3−2)は、1.85であった。中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343の任意の第三の地点におけるフッ素含有層の厚さT3−3[μm]との比率(T1/T3−3)は、1.82であった。
実施例26から33では、第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)が、1<F1/F2≦1.22の関係を満たしており、1000サイクル後のサイクル特性は87.1%以上であった。この高いサイクル特性は、中央部341と第1縁部342及び第2縁部343との間で適度な電位勾配を形成したことにより、充放電時のリチウムイオンの挿入脱離及び電子移動が負極全体として安定したことに起因すると考えられ得る。
実施例34から49では、中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1[μm]と第1縁部342及び第2縁部343におけるフッ素含有層の平均厚さT2[μm]とが、1<T1/T2≦1.80、且つ、T1≦10の関係を満たしており、1000サイクル後のサイクル特性は76.9%以上であった。この高いサイクル特性は、電池組立時や充放電時において負極のしわの形成が抑制されたこと、及び、中央部341における薄いフッ素含有層が内部抵抗を低下したことに起因すると考えられ得る。
一方、比較例4から6では、第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)が、1<F1/F2≦1.22の関係を満たしておらず、1000サイクル後のサイクル特性は75.6%以下であった。これは、中央部341と第1縁部342又は第2縁部343との間で形成される電位勾配が大きくなりすぎたことに起因すると考えられる。また、中央部341におけるフッ素含有層の平均厚さT1が20μm以上であり、負極活物質層34の内部抵抗が増加したと考えられる。
実施例50は、以下の工程C1〜C9により、作製した。
工程C1
負極活物質とバインダーと溶媒とを混合し、負極合剤スラリーA及びBをそれぞれ用意した。負極合剤スラリーAは、負極活物質を98質量%、バインダーを1質量%及び溶媒を1質量%含み、負極合剤スラリーBは、負極活物質を97質量%、バインダーを2質量%及び溶媒を1質量%含む。負極合剤スラリーA及びBにおける、負極活物質として、リチウムイオン二次電池用天然黒鉛材を用いた。また、増粘剤としてのCMCと結着剤としてのSBRとの質量比1:1の混合物をバインダーとして用いた。溶媒として水を用いた。負極合剤スラリーBには別途、リン化合物としてのトリフェニルホスファイト1質量%溶液を添加した。スラリーBはスラリーAよりもバインダー含有量が多いので、水分吸着能が高い。
上記スラリーA及びBを構成するこれらの成分の混合方法は特に制限されず、混合順序もまた特に制限されない。
実施例50に係る工程C2は、上記実施例1に係る工程A2と同様である。
工程C3:
工程C3−1
工程C2で塗工した負極30を熱風式乾燥法にて15分間乾燥させた。熱風の温度は85℃であった。
工程C3−2
工程C3−1で乾燥させた負極活物質層34の、スラリーAが塗布された部分のみを熱風式乾燥法にてさらに15分間乾燥させた。熱風の温度は100℃であった。
工程C3−3
工程C2で塗工した負極30を低露点環境(ドライルーム)内に24時間放置した。
実施例50に係る工程C4〜C8は、上記実施例1に係る工程A4〜A8と同様である。
工程C9
工程C8で作製したリチウムイオン二次電池を1サイクル又は数サイクル充放電させた後、リチウムイオン二次電池を解体し、取り出された負極活物質層34の中央部341、第1縁部342及び第2縁部343における各水分含有量をカールフィッシャー法で測定した。中央部341における水分含有量は、負極活物質層34における中央部の任意の5つの地点の水分含有量を測定することで得られる平均値とした。第1縁部342及び第2縁部343における平均水分含有量は、負極活物質層34における第1縁部342の任意の5つの地点及び第2縁部343の任意の5つの地点の水分含有量を測定することで得られる平均値とした。繰り返しになるが、中央部341は、スラリーBが塗布された部分に含まれ、第1縁部342及び第2縁部343は、スラリーAが塗布された部分に含まれる。上記1サイクル又は数サイクルの充放電を介して、負極活物質層34における水分含有量に応じた量の析出物が負極活物質層34上に形成される。
工程C8で作製したリチウムイオン二次電池を、エージング処理として1サイクル又は数サイクル充放電させた後、リチウムイオン二次電池を解体し、取り出された負極活物質層34の中央部341、第1縁部342及び第2縁部343における各リン含有量をSEM−EDS分析で測定した。中央部341におけるリン含有量は、負極活物質層34における中央部341の任意の5つの地点のリン含有量を測定することで得られる平均値とした。第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量は、負極活物質層34における第1縁部342の任意の5つの地点及び第2縁部343の任意の5つの地点のリン含有量を測定することで得られる平均値とした。繰り返しになるが、中央部341は、スラリーBが塗布された部分に含まれ、第1縁部342及び第2縁部343は、スラリーAが塗布された部分に含まれる。上記1サイクル又は数サイクルの充放電を介して、負極活物質層34におけるリン含有量が決定される。リン含有量は、負極の作製に使用した負極合剤スラリーに含まれるリン成分、並びに、非水電解液及びリチウム塩に含まれるリン成分に応じて決定され得る。
工程C8で作製したリチウムイオン二次電池を、エージング処理として1サイクル又は数サイクル充放電させた後、リチウムイオン二次電池を解体し、取り出された負極活物質層34の中央部341、第1縁部342及び第2縁部343における各フッ素含有量をSEM−EDS分析で測定した。中央部341におけるフッ素含有量は、負極活物質層34における中央部341の任意の5つの地点のフッ素含有量を測定することで得られる平均値とした。第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量は、負極活物質層34における第1縁部342の任意の5つの地点及び第2縁部343の任意の5つの地点のフッ素含有量を測定することで得られる平均値とした。繰り返しになるが、中央部341は、スラリーBが塗布された部分に含まれ、第1縁部342及び第2縁部343は、スラリーAが塗布された部分に含まれる。上記1サイクル又は数サイクルの充放電を介して、負極活物質層34におけるフッ素含有量が決定される。フッ素含有量は、負極の作製に使用した負極合剤スラリーに含まれるフッ素成分、並びに、非水電解液及びリチウム塩に含まれるフッ素成分に応じて決定され得る。
中央部341の任意の5つの地点は、リチウムイオン二次電池を解体して取り出した負極活物質層34の中央部341における中央地点、および、その中心地点を通る2本の直線のそれぞれの両端部4地点の合計5点とした。
負極活物質層34における第1縁部342及び第2縁部343から抽出した任意の5つの地点は、リチウムイオン二次電池を解体して取り出した第1縁部342又は第2縁部343における中央点のいずれか1点、および、中央点を抽出されなかった縁部の中心地点を通る2本の直線のそれぞれの両端部4地点の合計5点とした。
中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1に係る任意の5つの地点は、リチウムイオン二次電池を解体して取り出した負極活物質層34の中央部341における中央地点、および、その中心地点を通る2本の直線の両端部4地点の合計5点とした。
第1縁部342及び第2縁部343におけるリン含有層の平均厚さT2に係る任意の5つの地点は、リチウムイオン二次電池を解体して取り出した第1縁部342又は第2縁部343における中央点のいずれか1点、および、中央点を抽出されなかった縁部の中心地点を通る2本の直線のそれぞれの両端部4地点の合計5点とした。
上記1サイクル又は数サイクルの充放電後における負極活物質層34中の水分含有量分布と、1000サイクル後の負極活物質層34中の水分含有量分布との間に有意な差異は観測されなかった。
上記1サイクル又は数サイクルの充放電後における負極活物質層34中のリン含有量分布と、1000サイクル後の負極活物質層34中のリン含有量分布との間に有意な差異は観測されなかった。
上記1サイクル又は数サイクルの充放電後における負極活物質層34中のフッ素含有量分布と、1000サイクル後の負極活物質層34中のフッ素含有量分布との間に有意な差異は観測されなかった。
実施例50〜69から得られた、負極活物質層34の中央部341における単位質量当たりの水分含有量W1[ppm]、第1縁部342及び第2縁部343における単位質量当たりの平均水分含有量W2[ppm]、それらの比率、並びに1000サイクル後のサイクル特性を表3および表4に示す。負極活物質層34の中央部341におけるリン含有量P1、第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量P2、並びにそれらの比率を表3に示す。また、負極活物質層34の中央部341におけるフッ素含有量F1、第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量F2、並びにそれらの比率を表4に示す。
(実施例50)
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.16であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均水分含有量(W2)に対する中央部341における水分含有量(W1)の比率(W1/W2)は1.22であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、88.3%であった。
(実施例51)
工程C3−3において負極30を大気環境下で12時間放置したこと以外は、実施例50と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.16であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均水分含有量(W2)に対する中央部341における水分含有量(W1)の比率(W1/W2)は1.03であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、89.1%であった。
(実施例52)
工程C3−3で負極30を低露点環境(ドライルーム)内に12時間放置したこと以外は、実施例50と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.16であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均水分含有量(W2)に対する中央部341における水分含有量(W1)の比率(W1/W2)は1.47であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、88.9%であった。
(実施例53)
工程C3−3で負極30を大気環境下で6時間放置したこと以外は、実施例50と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.16であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均水分含有量(W2)に対する中央部341における水分含有量(W1)の比率(W1/W2)は1.03であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、89.2%であった。
(実施例54)
工程C1及びC2でスラリーAのみを用いて、負極活物質層34を形成するように負極集電体32に塗布したこと以外は、実施例50と同様に作製した。工程C3−2では、第1側面から第2側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分及び第2側面から第1側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分のみを熱風式乾燥法にてさらに15分間乾燥させた点に留意されたい。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.16であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均水分含有量(W2)に対する中央部341における水分含有量(W1)の比率(W1/W2)は1.04であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、89.0%であった。
(実施例55)
工程C1及びC2でスラリーBのみを用いて、負極活物質層34を形成するように負極集電体32に塗布したこと以外は、実施例50と同様に作製した。工程C3−2では、第1側面から第2側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分及び第2側面から第1側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分のみを熱風式乾燥法にてさらに15分間乾燥させた点に留意されたい。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.16であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均水分含有量(W2)に対する中央部341における水分含有量(W1)の比率(W1/W2)は1.06であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、89.1%であった。
(実施例56)
工程C1及びC2でスラリーAのみを用いて、負極活物質層34を形成するように負極集電体32に塗布したこと、及び、工程C3−1で、熱風式乾燥法にて負極30を5分間乾燥させたこと以外は、実施例50と同様に作製した。工程C3−2では、第1側面から第2側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分及び第2側面から第1側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分のみを熱風式乾燥法にてさらに15分間乾燥させた点に留意されたい。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.16であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均水分含有量(W2)に対する中央部341における水分含有量(W1)の比率(W1/W2)は1.69であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、85.6%であった。
(実施例57)
工程C1及びC2でスラリーAのみを用いて、負極活物質層34を形成するように負極集電体32に塗布したこと、工程C3−1で、熱風式乾燥法にて負極30を5分間乾燥させたこと、及び、工程C3−2で負極活物質層34の、第1側面と第2側面の中央から第1側面及び第2側面に向かって(1/6)Lだけ進んだ部分のみを熱風式乾燥法にて乾燥させたこと以外は、実施例50と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.16であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均水分含有量(W2)に対する中央部341における水分含有量(W1)の比率(W1/W2)は0.62であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、86.1%であった。
(実施例58)
工程C1及びC2でスラリーBのみを用いて、負極活物質層34を形成するように負極集電体32に塗布したこと、及び、工程C3−1で、熱風式乾燥法にて負極を5分間乾燥させたこと以外は、実施例50と同様に作製した。工程C3−2では、第1側面から第2側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分及び第2側面から第1側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分のみを熱風式乾燥法にてさらに15分間乾燥させた点に留意されたい。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.16であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均水分含有量(W2)に対する中央部341における水分含有量(W1)の比率(W1/W2)は1.68であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、85.3%であった。
(実施例59)
工程C2において、第1側面と第2側面の中央から第1側面及び第2側面に向かって(1/6)Lだけ進んだ部分を形成するように、工程C1で作製したスラリーAを40重量%、スラリーBを60重量%の割合で混合したスラリーを負極集電体32に塗布したこと以外は、実施例50と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.16であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均水分含有量(W2)に対する中央部341における水分含有量(W1)の比率(W1/W2)は1.00であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、84.9%であった。
(実施例60)
工程C1において、リン化合物としてのトリフェニルホスファイト1質量%溶液に代わり、サーフロン(登録商標)(AGCセイケミカル社製)1質量%溶液を添加したこと以外は、実施例50と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.10であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均水分含有量(W2)に対する中央部341における水分含有量(W1)の比率(W1/W2)は1.28であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、90.1%であった。
(実施例61)
工程C1において、リン化合物としてのトリフェニルホスファイト1質量%溶液に代わり、サーフロン(登録商標)(AGCセイケミカル社製)1質量%溶液を添加したこと以外は、実施例51と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.10であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均水分含有量(W2)に対する中央部341における水分含有量(W1)の比率(W1/W2)は1.05であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、91.4%であった。
(実施例62)
工程C1において、リン化合物としてのトリフェニルホスファイト1質量%溶液に代わり、サーフロン(登録商標)(AGCセイケミカル社製)1質量%溶液を添加したこと以外は、実施例52と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.10であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均水分含有量(W2)に対する中央部341における水分含有量(W1)の比率(W1/W2)は1.48であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、90.8%であった。
(実施例63)
工程C1において、リン化合物としてのトリフェニルホスファイト1質量%溶液に代わり、サーフロン(登録商標)(AGCセイケミカル社製)1質量%溶液を添加したこと以外は、実施例53と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.10であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均水分含有量(W2)に対する中央部341における水分含有量(W1)の比率(W1/W2)は1.10であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、91.1%であった。
(実施例64)
工程C1において、リン化合物としてのトリフェニルホスファイト1質量%溶液に代わり、サーフロン(登録商標)(AGCセイケミカル社製)1質量%溶液を添加したこと以外は、実施例54と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.10であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均水分含有量(W2)に対する中央部341における水分含有量(W1)の比率(W1/W2)は1.03であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、90.9%であった。
(実施例65)
工程C1において、リン化合物としてのトリフェニルホスファイト1質量%溶液に代わり、サーフロン(登録商標)(AGCセイケミカル社製)1質量%溶液を添加したこと以外は、実施例55と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.10であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均水分含有量(W2)に対する中央部341における水分含有量(W1)の比率(W1/W2)は1.09であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、91.0%であった。
(実施例66)
工程C1において、リン化合物としてのトリフェニルホスファイト1質量%溶液に代わり、サーフロン(登録商標)(AGCセイケミカル社製)1質量%溶液を添加したこと以外は、実施例56と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.10であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均水分含有量(W2)に対する中央部341における水分含有量(W1)の比率(W1/W2)は1.67であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、87.2%であった。
(実施例67)
工程C1において、リン化合物としてのトリフェニルホスファイト1質量%溶液に代わり、サーフロン(登録商標)(AGCセイケミカル社製)1質量%溶液を添加したこと以外は、実施例57と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.10であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均水分含有量(W2)に対する中央部341における水分含有量(W1)の比率(W1/W2)は0.61であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、88.3%であった。
(実施例68)
工程C1において、リン化合物としてのトリフェニルホスファイト1質量%溶液に代わり、サーフロン(登録商標)(AGCセイケミカル社製)1質量%溶液を添加したこと以外は、実施例58と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.10であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均水分含有量(W2)に対する中央部341における水分含有量(W1)の比率(W1/W2)は1.64であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、87.9%であった。
(実施例69)
工程C1において、リン化合物としてのトリフェニルホスファイト1質量%溶液に代わり、サーフロン(登録商標)(AGCセイケミカル社製)1質量%溶液を添加したこと以外は、実施例59と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.10であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均水分含有量(W2)に対する中央部341における水分含有量(W1)の比率(W1/W2)は1.00であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、87.6%であった。
実施例50から55、58から66、および、68から69では、第1縁部342及び第2縁部343における平均水分含有量(W2)に対する中央部341における水分含有量(W1)の比率(W2/W1)が、1<W1/W2≦1.5の関係を満たしており、1000サイクル後のサイクル特性は85.1%以上であった。これは、中央部341における析出物の量を所定の範囲内で増加させて、中央部341と第1縁部342との間で、及び中央部341と第2縁部343との間で適度な電位勾配を形成したことにより、充放電時のリチウムイオンの挿入脱離及び電子移動が負極全体として安定したからだと考えられ得る。
実施例70は、以下の工程D1〜D9により、作製した。
工程D1
負極活物質とバインダーと溶媒とを混合し、負極合剤スラリーA及びBをそれぞれ用意した。負極合剤スラリーAは、負極活物質を98質量%、バインダーを1質量%及び溶媒を1質量%含み、負極合剤スラリーBは、負極活物質を97質量%、バインダーを2質量%及び溶媒を1質量%含む。負極合剤スラリーA及びBにおける、負極活物質として、リチウムイオン二次電池用天然黒鉛材を用いた。また、増粘剤としてのCMCと結着剤としてのSBRとの質量比1:1の混合物をバインダーとして用いた。溶媒として水を用いた。負極合剤スラリーBには別途、リン化合物としてのトリフェニルホスファイト1質量%溶液およびサーフロン(登録商標)(AGCセイケミカル社製)1質量%溶液が添加された。負極合剤スラリーBでは、リン化合物およびフッ素化合物の合計重量比とその他の成分との質量比が2:98となるようにリン化合物が添加された。
上記スラリーA及びBを構成するこれらの成分の混合方法は特に制限されず、混合順序もまた特に制限されない。
工程D2
第1側面と第2側面との距離をLとした際に、第1側面から第2側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分及び第2側面から第1側面に向かって(1/3)Lだけ進んだ部分を形成するように、工程D1で作製したスラリーAを50重量%、スラリーBを50重量%の割合で混合したスラリーを負極集電体32としての電解銅箔(古河電工製)上に塗布した。また、第1側面と第2側面の中央から第1側面及び第2側面に向かって(1/6)Lだけ進んだ部分を形成するように、工程D1で作製したスラリーAを45重量%、スラリーBを55重量%の割合で混合したスラリーを負極集電体32に塗布した。このようにして、負極30を作製した。
前述の中央部並びに第1縁部及び第2縁部の定義から明らかなように、スラリーBが塗布された部分は、中央部341を含み得、スラリーAが塗布された部分は、第1縁部342及び第2縁部343を含み得る。
塗布方法としては、特に制限はなく、通常電極を作製する場合に採用される方法を用いることができる。例えば、スリットダイコート法、ドクターブレード法が挙げられる。スラリーA及びBの塗布は、同時に行ってもよく、別々に行ってもよい。
工程D3
工程D2で塗工した負極30を熱風式乾燥法にて15分間乾燥させた。熱風の温度は85℃であった。
工程D4
正極活物質とバインダーと溶媒とを混合し、正極合剤スラリーを用意した。正極活物質として、平均粒径10μmのLiNi0.83Co0.12Al0.05O2を準備した。この正極活物質92質量部と、アセチレンブラック4質量部と、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)4質量部と、をそれぞれ秤量した後、それらをN−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に分散させて、正極合剤スラリーを調製した。
工程D5
工程D4で作製した正極合剤スラリーを正極集電体22としてのリチウムイオン電池用アルミニウム集電箔(UACJ製)上に塗布して、正極20を作製した。
塗布方法としては、特に制限はなく、通常電極を作製する場合に採用される方法を用いることができる。例えば、スリットダイコート法、ドクターブレード法が挙げられる。
工程D6
工程D5で塗工した正極20を熱風式乾燥法にて乾燥させた。
工程D7
工程D3で作製した負極30、セパレータ10としての膜厚20μmのポリエチレン微多孔膜(空孔率:40%)、及び工程D6で作製した正極20を交互に積層し、積層体を作製した。積層体40の積層方向に対して垂直な方向から、プレス器具で加熱加圧し、正極20、セパレータ10、及び負極30を密着させてもよい。
工程D8
工程D7で作製した積層体をラミネート外装体50(ナイロン/アルミニウム箔/無延伸ポリプロピレン)に封入し、電解液を注入した。電解液は、エチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)を体積比3:7で混合し、1mol/Lになるようにリチウム塩としてのLiPF6を溶解して調製した。その後、ラミネート外装体50を封止することでリチウムイオン二次電池を作製した。
ラミネート外装体50に電解液を注入するのではなく、積層体40を電解液に含浸させてもよい。
工程D9
工程D8で作製したリチウムイオン二次電池を、エージング処理として1サイクル又は数サイクル充放電させた後、リチウムイオン二次電池を解体し、取り出された負極活物質層34の中央部341、第1縁部342及び第2縁部343における各リン含有量をSEM−EDS分析で測定した。(使用機器:SU8010(日立ハイテクフィールディング製))中央部341におけるリン含有量は、負極活物質層34における中央部341の任意の3つの地点のリン含有量を測定することで得られる平均値とした。第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量は、負極活物質層34における第1縁部342及び第2縁部343から、任意の3つの地点を抽出し、リン含有量を測定することで得られる平均値とした。また、中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1は、負極活物質層34における中央部341の任意の3つの地点の断面を走査型電子顕微鏡で観測することで得られる平均値とした。第1縁部342及び第2縁部343におけるリン含有層の平均厚さT2は、負極活物質層34における第1縁部342及び第2縁部343から、任意の3つの地点を抽出し、断面を走査型電子顕微鏡で観測することで得られる平均値とした。繰り返しになるが、中央部341は、スラリーBが塗布された部分に含まれ、第1縁部342及び第2縁部343は、スラリーAが塗布された部分に含まれる。上記1サイクル又は数サイクルの充放電を介して、負極活物質層34におけるリン含有量が決定される。リン含有量は、負極の作製に使用した負極合剤スラリーに含まれるリン成分、並びに、非水電解液及びリチウム塩に含まれるリン成分に応じて決定され得る。
中央部341の任意の3つの地点は、リチウムイオン二次電池を解体して取り出した負極活物質層34の中央部341における中央地点、および、その中心地点を通る1本の直線のそれぞれの両端部2地点の合計3点とした。
負極活物質層34における第1縁部342及び第2縁部343から抽出した任意の3つの地点は、リチウムイオン二次電池を解体して取り出した第1縁部342又は第2縁部343における中央点のいずれか1点、および、中央点を抽出されなかった縁部の中心地点を通る1本の直線のそれぞれの両端部2地点の合計3点とした。
中央部341におけるリン含有層の平均厚さT1に係る任意の3つの地点は、リチウムイオン二次電池を解体して取り出した負極活物質層34の中央部341における中央地点、および、その中心地点を通る1本の直線の両端部2地点の合計3点とした。
第1縁部342及び第2縁部343におけるリン含有層の平均厚さT2に係る任意の3つの地点は、リチウムイオン二次電池を解体して取り出した第1縁部342又は第2縁部343における中央点のいずれか1点、および、中央点を抽出されなかった縁部の中心地点を通る1本の直線のそれぞれの両端部2地点の合計3点とした。
上記1サイクル又は数サイクルの充放電後における負極活物質層34中のリン含有量分布と、1000サイクル後の負極活物質層34中のリン含有量分布との間に有意な差異は観測されなかった。
実施例70〜78から得られた、負極活物質層34の中央部341におけるリン含有量P1、第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量P2、第1縁部342及び第2縁部343の任意の3地点におけるリン含有量P3−1〜P3−3、それらの比率を表5に示す。実施例70〜78から得られた、負極活物質層34の中央部341におけるフッ素含有量F1、第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量F2、第1縁部342及び第2縁部343の任意の3地点におけるフッ素含有量F3−1〜F3−3、それらの比率を表5に示す。さらに、表5には、実施例70〜78から得られた、リン含有量P1およびフッ素含有量F1の合計と平均リン含有量P2および平均フッ素含有量F2の合計の比率((P1+F1)/(P2+F2))、および1000サイクル後のサイクル特性を示す。
中央部341におけるリン含有量P1、第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量P2は、製品出荷前の脱ガス・エージング工程で行われる1サイクル又は数サイクルの充放電後のリン含有量を意味する。平均リン含有量P2は、任意の3地点におけるリン含有量P3−1〜P3−3の平均値である。
中央部341におけるフッ素含有量F1、第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量F2は、製品出荷前の脱ガス・エージング工程で行われる1サイクル又は数サイクルの充放電後のフッ素含有量を意味する。平均フッ素含有量F2は、任意の3地点におけるフッ素含有量F3−1〜F3−3の平均値である。
実施例79〜88から得られた、負極活物質層34の中央部341におけるリン含有量P1、第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量P2、および、それらの比率を表6に示す。実施例79〜88から得られた、負極活物質層34の中央部341におけるフッ素含有量F1、第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量F2、および、それらの比率を表6に示す。さらに、表6には、実施例79〜88から得られた、リン含有量P1およびフッ素含有量F1の合計と平均リン含有量P2および平均フッ素含有量F2の合計の比率((P1+F1)/(P2+F2))、負極活物質層34の中央部341における単位質量当たりの水分含有量W1[ppm]、第1縁部342及び第2縁部343における単位質量当たりの平均水分含有量W2[ppm]、それらの比率、および1000サイクル後のサイクル特性を示す。
中央部341におけるリン含有量P1、第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量P2は、製品出荷前の脱ガス・エージング工程で行われる1サイクル又は数サイクルの充放電後のリン含有量を意味する。
中央部341におけるフッ素含有量F1、第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量F2は、製品出荷前の脱ガス・エージング工程で行われる1サイクル又は数サイクルの充放電後のフッ素含有量を意味する。
(実施例70)
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.07であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.09であった。
リン含有量P1およびフッ素含有量F1の合計と平均リン含有量P2および平均フッ素含有量F2の合計の比率((P1+F1)/(P2+F2))は、1.09であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、91.4%であった。
(実施例71)
工程D2において、中央部におけるスラリーAおよびスラリーBの混合比を40:60(スラリーA:スラリーB)に変更した以外は、実施例70と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.16であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.10であった。
リン含有量P1およびフッ素含有量F1の合計と平均リン含有量P2および平均フッ素含有量F2の合計の比率((P1+F1)/(P2+F2))は、1.10であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、90.1%であった。
(実施例72)
工程D2において、中央部におけるスラリーAおよびスラリーBの混合比を33:67(スラリーA:スラリーB)に変更した以外は、実施例70と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.24であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.20であった。
リン含有量P1およびフッ素含有量F1の合計と平均リン含有量P2および平均フッ素含有量F2の合計の比率((P1+F1)/(P2+F2))は、1.20であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、91.8%であった。
(実施例73)
工程D2において、中央部におけるスラリーAおよびスラリーBの混合比を24:76(スラリーA:スラリーB)に変更した以外は、実施例70と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.29であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.22であった。
リン含有量P1およびフッ素含有量F1の合計と平均リン含有量P2および平均フッ素含有量F2の合計の比率((P1+F1)/(P2+F2))は、1.23であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、91.3%であった。
(実施例74)
工程D2において、中央部におけるスラリーAおよびスラリーBの混合比を4:96(スラリーA:スラリーB)に変更した以外は、実施例70と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.19であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.15であった。
リン含有量P1およびフッ素含有量F1の合計と平均リン含有量P2および平均フッ素含有量F2の合計の比率((P1+F1)/(P2+F2))は、1.16であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、92.1%であった。
(実施例75)
工程D1において、リン化合物としてトリスノニルフェニルホスファイト2質量%溶液、フッ素化合物としてFC−4430(スリーエム社製)2質量%溶液に変更し、リン化合物およびフッ素化合物の合計重量比とその他の成分との質量比が4:96に変更した以外は、実施例70と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.01であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.12であった。
リン含有量P1およびフッ素含有量F1の合計と平均リン含有量P2および平均フッ素含有量F2の合計の比率((P1+F1)/(P2+F2))は、1.10であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、90.9%であった。
(実施例76)
工程D1において、リン化合物としてトリクレジルホスファイト2質量%溶液に変更、フッ素化合物としてポリフロンPTFEルブロン(ダイキン社製)2質量%溶液し、リン化合物およびフッ素化合物の合計重量比とその他の成分との質量比が4:96に変更した以外は、実施例70と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.08であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.10であった。
リン含有量P1およびフッ素含有量F1の合計と平均リン含有量P2および平均フッ素含有量F2の合計の比率((P1+F1)/(P2+F2))は、1.10であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、91.1%であった。
(実施例77)
工程D1において、リン化合物としてトリス(2−エチルヘキシル)ホスファイト2質量%、フッ素化合物として溶液ポリフロンMPA(ダイキン社製)2質量%溶液し、リン化合物およびフッ素化合物の合計重量比とその他の成分との質量比が4:96に変更した以外は、実施例70と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.05であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.01であった。
リン含有量P1およびフッ素含有量F1の合計と平均リン含有量P2および平均フッ素含有量F2の合計の比率((P1+F1)/(P2+F2))は、1.01であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、89.5%であった。
(実施例78)
工程D2において、中央部におけるスラリーAおよびスラリーBの混合比を22:78(スラリーA:スラリーB)に変更した以外は、実施例70と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.31であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.23であった。
リン含有量P1およびフッ素含有量F1の合計と平均リン含有量P2および平均フッ素含有量F2の合計の比率((P1+F1)/(P2+F2))は、1.24であった。また、1000サイクル後のサイクル特性は、89.1%であった。
(実施例79)
実施例71の再現実験として、実施例71と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.16であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.10であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均水分含有量(W2)に対する中央部341における水分含有量(W1)の比率(W1/W2)は1.32であった。
また、1000サイクル後のサイクル特性は、91.9%であった。
(実施例80)
実施例71の再現実験として、実施例71の再現実験として、実施例71と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.16であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.10であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均水分含有量(W2)に対する中央部341における水分含有量(W1)の比率(W1/W2)は1.05であった。
また、1000サイクル後のサイクル特性は、92.3%であった。
(実施例81)
実施例71の再現実験として、実施例71と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.16であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.10であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均水分含有量(W2)に対する中央部341における水分含有量(W1)の比率(W1/W2)は1.49であった。
また、1000サイクル後のサイクル特性は、91.6%であった。
(実施例82)
実施例71の再現実験として、実施例71と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.16であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.10であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均水分含有量(W2)に対する中央部341における水分含有量(W1)の比率(W1/W2)は1.08であった。
また、1000サイクル後のサイクル特性は、92.1%であった。
(実施例83)
実施例71の再現実験として、実施例71と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.16であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.10であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均水分含有量(W2)に対する中央部341における水分含有量(W1)の比率(W1/W2)は1.06であった。
また、1000サイクル後のサイクル特性は、92.2%であった。
(実施例84)
実施例71の再現実験として、実施例71と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.16であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.10であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均水分含有量(W2)に対する中央部341における水分含有量(W1)の比率(W1/W2)は1.13であった。
また、1000サイクル後のサイクル特性は、91.4%であった。
(実施例85)
実施例71の再現実験として、実施例71と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.16であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.10であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均水分含有量(W2)に対する中央部341における水分含有量(W1)の比率(W1/W2)は1.67であった。
また、1000サイクル後のサイクル特性は、89.9%であった。
(実施例86)
実施例71の再現実験として、実施例71と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.16であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.10であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均水分含有量(W2)に対する中央部341における水分含有量(W1)の比率(W1/W2)は0.61であった。
また、1000サイクル後のサイクル特性は、90.1%であった。
(実施例87)
実施例71の再現実験として、実施例71と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.16であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.10であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均水分含有量(W2)に対する中央部341における水分含有量(W1)の比率(W1/W2)は1.53であった。
また、1000サイクル後のサイクル特性は、89.5%であった。
(実施例88)
実施例71の再現実験として、実施例71と同様に作製した。
第1縁部342及び第2縁部343における平均リン含有量(P2)に対する中央部341におけるリン含有量(P1)の比率(P1/P2)は1.16であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均フッ素含有量(F2)に対する中央部341におけるフッ素含有量(F1)の比率(F1/F2)は1.10であった。
第1縁部342及び第2縁部343における平均水分含有量(W2)に対する中央部341における水分含有量(W1)の比率(W1/W2)は1.00であった。
また、1000サイクル後のサイクル特性は、89.8%であった。
実施例70〜78では、リン含有量P1およびフッ素含有量F1の合計と平均リン含有量P2および平均フッ素含有量F2の合計の比率((P1+F1)/(P2+F2))が、1<(P1+F1)/(P2+F2)≦1.24の関係を満たしており、1000サイクル後のサイクル特性は88.9%以上であった。この理由は定かではないが、中央部におけるリン含有量P1およびフッ素含有量F1の合計と前記縁部における平均リン含有量P2および平均フッ素含有量F2の合計とを特定の範囲に制御することで、中央部と端部との間における電位勾配の形成が安定し、局所的な高抵抗をもたらす意図しない析出物の集中的な形成がより防止されるためと考えられる。
実施例79〜85、および、実施例87〜88では、第1縁部342及び第2縁部343における平均水分含有量(W2)に対する中央部341における水分含有量(W1)の比率(W2/W1)が、1<W1/W2≦1.5の関係を満たしており、1000サイクル後のサイクル特性は89.5%以上であった。これは、中央部341における析出物の量を所定の範囲内で増加させて、中央部341と第1縁部342との間で、及び中央部341と第2縁部343との間で適度な電位勾配を形成したことにより、充放電時のリチウムイオンの挿入脱離及び電子移動が負極全体として安定したからだと考えられ得る。