JPWO2019176705A1 - 赤外分析装置、赤外分析チップ、及び赤外イメージングデバイス - Google Patents

赤外分析装置、赤外分析チップ、及び赤外イメージングデバイス Download PDF

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Abstract

高い空間分解能と時間分解能をもち、チップ上への集積が可能な赤外分析の構成と手法を提供する。赤外分析装置は、ナノカーボン材料を発光材料に用いた光源と、前記光源から出力されサンプルを透過またはサンプルで反射された赤外光を検出する検出手段と、を有し、前記ナノカーボン材料は基板の表面に配置されて表面発光する。

Description

本発明は、赤外分析装置、赤外分析チップ、及び赤外イメージングデバイスに関する。
近赤外から中赤外の領域の分光測定では、フーリエ変換赤外分光(FT−IR:Fourier transfer infrared spectroscopy)で知られる赤外分光分析装置が実用化されている。赤外分光分析は、化学・バイオ・材料・物理等の分野における物質の構造解析・同定・定性・定量分析技術として、基礎研究から産業界まで幅広く利用されている。赤外分光分析や赤外吸収測定ではブロードな波長領域の赤外光源が必要であり、一般に、ハロゲンランプやセラミック光源といったマクロなサイズ(ミリメートルオーダー)で低速(応答速度が100ms程度)な黒体放射光源が用いられている。
可視〜近赤外領域においては、近年、フェムト〜ナノ秒の短パルス光源を用いた時間分解分光測定技術が進展し、時々刻々と進む化学反応や構造変化の過程を解明することが可能となっている。
可視光領域では、バイオ分野や医療分野での光技術の応用が進んでおり、対物レンズ等を用いた顕微分光測定によって、サブミクロンオーダーの空間分解能も得られている。可視光領域の蛍光マーカーを用いた、バイオイメージングやバイオチップ分析なども行われている。赤外領域でも、可視光領域と同程度の高い時間的および空間的な分解能を有する分光分析やイメージング技術が望まれる。
一方、カーボンナノチューブを用いた光源(たとえば、特許文献1及び非特許文献1参照)や、グラフェンを用いた光源(たとえば、特許文献1参照)が提案されている。
特許第5747334号 特許第6155012号
T. Mori, Y. Yamauchi, S. Honda, H. Maki, An electrically-driven, ultra-high-speed, on-chip light emitter based on carbon nanotubes, Nano Letters 14 (2014) 3277.
現在の赤外分光分析装置で用いられている光源は、サイズが大きく応答速度が遅い。そのため、(1)サブミクロンオーダーの空間分解能が得られない、(2)パルスレーザーのような高速の時間分解測定ができない、(3)赤外光源をチップ上に集積化することができない、等の問題がある。
すなわち、FT−IRで一般的に用いられているマクロな光源は、幾何光学的な限界、回折限界などの制約から、対物レンズを用いた顕微分光技術においても10μm程度の空間分解能しか得られない。
赤外領域で高速な時間分解測定を行う場合は、高速の赤外「検出器」を用いたステップスキャン方式などを採用しているが、可視光領域と異なり、赤外領域では「高速」かつ「高感度」な検出器は現時点では存在しない。そのため、高速測定を行う場合は低感度とならざるを得ず、逆に、高感度に測定する場合は、低速の検出器を使用せざるを得ない。
さらに、現状の赤外分光分析では、化学、医療、バイオイメージング等の分野で必要とされるサブミクロンオーダーの高分解能の局所分析ができないため、イメージング分野への適用が極めて限定的となっている。マイクロ流路などを用いた分析チップでは、様々な原理の分析技術が組み合わされているが、ハロゲンランプやセラミック光源などの赤外光源は、チップ上に集積することができない。赤外領域で、可視領域と同様のバイオイメージングやバイオチップ分析を行うことができれば、高価な蛍光マーカーが不要となり、利用範囲が大きく広がるはずである。
本発明は、高い空間分解能と時間分解能をもち、チップ上への集積が可能な赤外分析の構成と手法を提供することを目的とする。
本発明の第1の側面において、赤外分析装置は、
ナノカーボン材料を発光材料に用いた光源と、
前記光源から出力され、サンプルを透過またはサンプルで反射された赤外光を検出する検出手段と、
を有し、前記ナノカーボン材料は基板の表面に配置されて表面発光する。
本発明の第2の側面では、赤外分析チップを提供する。赤外分析チップは、
マイクロ流路が形成された基板と、
前記基板の第1の面の前記マイクロ流路が形成されている位置に集積される光検出/分光手段と、
前記基板の第2の面で前記光検出/分光手段と対向する位置に集積される赤外光源と、
を有する。
別の構成例として、赤外分析チップは、
赤外光を発光する複数の発光素子がアレー状に配列された光源基板と、
前記光源基板の表面で前記複数の発光素子に対応する位置に固定され、特定の物質と選択的に結合するプローブ物質と、
を有する構成であってもよい。
本発明の第3の側面では、赤外イメージングデバイスを提供する。赤外イメージングデバイスは、
赤外光を発光する複数の発光素子がアレー状に配列された光源基板と、
前記光源基板に対向して配置される赤外線検出器と、
を有し、
前記光源基板の表面はサンプルの搭載が可能であり、前記赤外線検出器は、前記複数の発光素子の発光タイミングと同期して動作する。
別の構成例として、赤外イメージングデバイスは、
一対の電極の間に延設されるナノカーボン材料と、前記ナノカーボン材料にゲート電圧を印加するゲート電極とを有する光源素子が複数配列される赤外光源アレーと、
前記ゲート電圧を制御する電圧制御部と、
前記赤外光源アレーに対向して配置される赤外線検出器と、
を有し、前記電圧制御部は、前記ゲート電圧を変化させることで、前記ナノカーボン材料の長さ方向に沿ってホットスポットを掃引する。
本発明の構成と手法により、高い空間分解能と時間分解能をもち、チップ上への集積が可能な赤外分析が実現される。
実施形態で用いられるナノカーボン光源の基本構造を示す斜視図である。 図1のナノカーボン光源に保護膜を設けた構成を示す図である。 ナノカーボン光源を有するプローブ光源の模式図である。 作製したナノカーボン光源の赤外カメラ画像である。 第1実施形態の赤外分光装置の模式図である。 近接場を利用した局所赤外測定を示す図である。 グラフェン光源を用いた本発明によるポリスチレンの赤外分光高分析結果の図である。 実施形態のナノカーボン光源の直接強度変調を示す図である。 強度変調された赤外光を用いた大気分子の赤外分光分析結果の図である。 第2実施形態の赤外分析装置の模式図である。 ナノカーボン光源による赤外イメージングの測定例を示す図である。 第3実施形態の赤外分析装置の模式図であり、高速赤外分光測定原理を示す図である。 化学反応パルス刺激による測定物質の変化の例を示す図である。 化学反応パルス刺激とナノカーボン光源からの赤外パルス照射の繰り返しによる高速時間分解測定の例を示す図である。 ナノカーボン光源からの短パルス発光を示す図である。 第4実施形態の赤外分析装置の模式図であり、マイクロ流路を有するマイクロ分析チップを用いた赤外測定を示す図である。 ナノカーボン光源と検出器を基板上に集積したマイクロ分析チップの模式図である。 第5実施形態の赤外分析の原理を説明する図である。 実施形態のバイオチップに適用される赤外光源アレーの模式図である。 マトリックス電極を利用した赤外光源アレーの模式図である。 図18Aの赤外光源アレーに整流作用を持たせた回路図である。 第5実施形態の赤外分析装置160の模式図である。 第6実施形態の赤外光源アレーのイメージングへの適用例を示す図である。 第7実施形態のナノカーボン光源10Aの模式図である。 第7実施形態のナノカーボン光源を用いた光源アレーのイメージングへの適用例を示す図である。 第7実施形態のイメージングデバイスを用いた赤外分析装置の概略構成図である。
実施形態では、(i)グラフェン、カーボンナノチューブといったサブミクロンオーダーの発光材料を赤外光源に用いた新しい赤外分光分析装置を提供する。(ii)近接場光を利用して、回折限界を超える高い空間分解能の赤外分光分析と、これを利用した赤外イメージングを実現する。(iii)高速(100ps程度)に発光強度を変調可能なナノカーボン光源を用いることにより、新しい原理の高速の時間分解赤外分光測定を可能にする。(iv)微小な発光素子をマイクロ流路上に形成したマイクロ流路分析装置を提供する。(v)ナノカーボン光源のような微小な赤外光源素子を2次元アレーに配列することにより、蛍光マーカーを用いない新しい原理の赤外吸収によるバイオチップ分析技術を提供する。(vi)微小な赤外光源素子を2次元に配列することにより、単一の赤外検出器で高速の赤外イメージングを実現する。(vii)赤外光源素子を、ホットスポットの掃引が可能な構成とすることで、単一の赤外光源素子で1次元方向に空間分解能をもたせることができる。また、ホットスポットの掃引が可能な赤外光源素子を掃引方向と直交する方向に複数配列することで、広範囲の赤外イメージングを実現する。
以下で、発明の実施形態を詳細に説明する。
<第1実施形態>
第1実施形態では、グラフェンまたはカーボンナノチューブといったナノメートルオーダーまたはサブミクロンサイズの発光材料を赤外光源に用いることで、ハロゲンランプやセラミック光源を使った従来の赤外分光分析装置(FT−IR等)に代わる小型で安価、高速、かつ高空間分解能の赤外分析装置を実現する。
図1Aは、実施形態の赤外分析装置で用いるナノカーボン光源10の基本構成図である。基板11上に、ナノカーボン材料15が配置されており、ナノカーボン材料15の両端に電極12a、12bが形成されている。電極12a、12bは、ナノカーボン材料15の両端でナノカーボン材料15と電気的に接続されている。
ナノカーボン光源10は、発光層としてのナノカーボン材料15を表面に露出させる平面構造を有している。電極12aと12bは、ナノカーボン材料15と電気的に接続されていればよいので、一部または全部が基板11に埋め込まれていてもよい。
ナノカーボン材料15は、シリコン基板やガラス基板などあらゆる基板上に形成することが可能であり、基板11は、シリコン基板、ガラス基板、ポリマー基板など、その材料や種類を問わない。ナノカーボン材料15としては、単層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ、単層グラフェン、多層グラフェン、薄いグラファイト等が用いられる。カーボンナノチューブは、1本のカーボンナノチューブでもよいし、複数のカーボンナノチューブがシート状に形成されたカーボンナノチューブ薄膜でもよい。ナノカーボン材料15に通電することができればナノカーボン光源10は発光するため、ナノカーボン材料15の電気的特性は、金属的であっても半導体的であってもよい。
ナノカーボン材料15は、図1Aのように基板11上に露出した構造でもよいが、図1Bに示すように、ナノカーボン材料15を含む発光素子表面を光透過性の保護膜16で被覆してもよい。保護膜16としては、酸化シリコン、アルミナなど、使用波長に対して光透過性の絶縁薄膜を用いてもよい。
ナノカーボン光源10は、一対の電極12a、12bを介してナノカーボン材料15を通電加熱することによって発光する。通電加熱により、ナノカーボン材料15の温度が上昇し、温度上昇に伴う熱放射(黒体放射、または灰色体放射と呼ばれる)によって発光する。ナノカーボン光源10からの熱放射は、プランク則と呼ばれる黒体放射の式で記述される発光スペクトルを有しており、主に赤外領域(遠赤外〜近赤外)でブロードな発光スペクトルを有している。また、大きな電流を流す、あるいはナノカーボン材料15で架橋構造またはメンブレン構造を持つ発光素子を作製することで、ナノカーボン材料15の温度を高温にすることができ、可視光領域まで発光させることもできる。
実施形態では、ナノカーボン光源10を赤外光源として利用した新しい赤外分析技術を実現する。従来の赤外分光分析では、赤外光源として、ハロゲンランプやセラミック光源が用いられているが、これらの光源は、サイズがミリメートルオーダーと大きく、また応答速度が100ms程度と遅い。そのため、赤外光の回折限界によって10μm以下の空間分解能が得られない、高速の測定ができない、チップ上に集積できないといった問題がある。
これに対し、実施形態のナノカーボン光源10は、黒体放射による赤外光源として振る舞うが、従来の赤外光源とは異なり、(i)ナノメートルオーダーという超小型化が可能、(ii)シリコンチップ上やガラス状などあらゆる基板上に集積化が可能、(iii)応答時間100psの高速発光が可能、といった特徴がある。ナノカーボン光源10を用いることにより、高速で高空間分解能の赤外領域の分光分析装置を実現することができ、従来の赤外光源では実現できない新しい原理による赤外分光装置が開発可能となる。
図2は、ナノカーボン光源10を備えたプローブ型の光源20の模式図である。ナノカーボン光源10は、どのような形状の基板に形成されてもよい。図1A及び図1Bのようなフラットな基板11上に形成された発光素子を用いても良いし、図2のように、突起またはプローブの形状に加工された凸状の基板11Aの先端にナノカーボン光源10(またはナノカーボン発光素子)を作り込んでもよい。基板11Aの形状がプローブ型であっても、基板11Aの先端は平坦面にすることが可能であり、ナノカーボン光源10の発光面(すなわちナノカーボン材料の配置面)は2次元的な広がりを有する平面にすることもできる。なお、基板11Aの先端を曲面に加工した場合にも、曲面にナノカーボン光源10を作製することができる。
基板11Aの先端に形成されるナノカーボン光源10も、プローブ型の光源20それ自体も微小であることから、ナノカーボン光源10を測定対象に接近させた状態で、測定対象に赤外光を照射し、測定することができる。
図3は、実際に作製したナノカーボン光源10の赤外カメラ像である。ナノカーボン材料15としてグラフェンを用いている。図3の(A)は、印加電圧が0V、すなわち電極12a、12bに電圧が印加されていない状態の素子表面の画像である。一対の電極12aと12bの間の暗い領域がグラフェンのナノカーボン材料15である。
図3の(B)は、電圧印加による発光状態を示す。この例では、ナノカーボン材料15に3.7Vの電圧を印加しており、グラフェン(G)の部分が発光している様子がわかる。この発光は赤外波長の光であり、測定対象物を照射する測定光として用いることができる。
図4は、第1実施形態の赤外分析装置100の模式図である。赤外分析装置100は、ナノカーボン光源10と、分光器・光検出器110−1及び110−2を有する。ナノカーボン光源10と、分光器・光検出器110−1及び110−2の間に、測定対象のサンプルSが配置される。分光器・光検出器110−1は、サンプルSからの反射光LR、散乱光LS等を検出する。分光器・光検出器110−2は、サンプルSを透過した透過光LTを検出する。必ずしもサンプルSの反射側と透過側の両方に分光器・光検出器110を配置する必要はなく、いずれか一方の側にだけ配置してもよい。
サンプルS上の所定の測定領域101に、ナノカーボン光源10から発生する赤外光を照射する。ナノカーボン光源10から照射された赤外光LIRは、サンプルSの分子振動等による赤外吸収によって、その一部が吸収される。この吸収を伴った赤外光は、サンプルSで透過、反射、または散乱された光によって観測される。透過光LT、反射光LR、散乱光LSの少なくともひとつを分光器・光検出器110で観測することによって、サンプルSでの光吸収を測定することができる。分光器・光検出器110によって単に赤外光の強度を測定するだけではなく、回折格子やマイケルソン干渉系などによる分光によって、吸収スペクトルを測定することができる。
サンプルSは、固体、液体、気体の物質のいずれであってもよく、ナノカーボン光源10と分光器・光検出器110の間に配置されたサンプルSの状態を、赤外分析装置100によって検出し分析することができる。微小で平面発光構造を有するナノカーボン光源10を用いていることから、光源とサンプルSを近づけることによって、サンプルSの一部分を局所的に測定することも可能である。特に、図2のようなプローブ型の光源20を用いる場合は、サンプルSの形状如何にかかわらず、光源をサンプル表面に近接させて、局所的な測定を行うことができる。
図5は、近接場を利用した局所的な赤外測定を示す図である。実施形態のナノカーボン光源10、またはナノカーボン光源10を用いたプローブ型の光源20は、光源自体が微小なサイズで、発光層が露出可能な平面構造を有している。このナノカーボン独自の発光構造を利用して、ナノカーボン光源10の近傍に発生する近接場による、高空間分解能の局所領域測定を実現する。
ナノカーボン光源10から発生する光は、遠隔場によって取り出されて測定に利用できるだけではなく、光源近傍に発生する近接場によって測定することが可能である。この近接場は、光源からの距離によって指数的に減衰するものであり、光源の近傍にのみ存在する場である。近接場光102は、測定対象のサンプルSをナノカーボン光源10に近接させることで取り出すことが可能であり、測定に利用できる。
近接場光102は、通常の遠隔場の光と異なり、回折限界に関係なく光源のサイズで決まる局所的な光となる。したがって、従来の赤外分光で問題となっている回折限界を超えて、超高空間分解の局所赤外測定が可能となる。
ナノカーボン光源10のサイズは、ナノメートルオーダーまで小さくできることから、従来の赤外分光での回折限界である10μmと比べて、けた違いに小さな領域を測定できる。実施形態のナノカーボン光源10によって生成される近接場は、微細な細孔や、鋭いプローブ探針の先端の球面に局所的に発生する近接場光とは異なり、光源そのものの近傍に発生する近接場であり、従来の近接場分光法とは全く原理が異なる。
細孔やプローブ探針を用いた従来の近接場は、外部から、レーザー光などを細孔やプローブ先端に照射することによって、その細孔やプローブ先端に電磁界的に発生するものである。実施形態の近接場は、微細なナノカーボン光源10そのものに発生する近接場を利用しており、従来のような外部のレーザー光などを用いずに、「光源の近傍に発生する近接場」を利用した新しい原理の近接場赤外測定である。
このように、光源そのものに発生する近接場を利用するには、「光源が極めて微小なサイズである」ことに加えて、「発光領域が外部に露出可能な平面構造である」必要があり、実施形態のナノカーボン光源10のような、微小で発光層が露出している平面構造の素子でないと実現することができない。
従来の赤外光源であるハロゲンランプは、発光層となる金属フィラメントがミリメーターオーダーの大きなサイズであるとともに、フィラメント部分はガラス管等に封止されており、発光層を測定対象のサンプルに近づけることができない。一方、ナノカーボン光源10は、最小でナノメートルオーダーまで小さくできる微小な光源であることに加えて、発光層のナノカーボンが露出した平面構造の素子であり、発光層であるナノカーボンを測定対象のサンプルSに極めて接近させることが可能である。
特に、近接場光の強度は、発光層からの距離に対して指数的に減少するため、発光層と測定対象のサンプルSを波長と比べて十分に近づける必要がある。光源近傍の近接場を利用するためには、ナノカーボン光源10のような平面構造の光源でないと実現できない。また、赤外分析装置100は、微小なナノカーボン光源10そのものの近接場を用いるため、高価で大型のレーザー光源を用いる必要がなく、低コストで超小型の赤外分析装置100が実現できる。
ナノカーボン光源10としては、図1Aのように、ナノカーボン材料15が完全に露出した構成でもよいし、図1Bのように、ナノカーボン材料15が薄い保護膜16に覆われていてもよい。保護膜16が薄ければ、近接場を利用することができる。通常、保護膜16の厚さが光の波長よりも小さければ問題がなく、膜厚が小さいほど近接場光の強度が大きくなる。
ナノカーボン光源10は、従来のハロゲンランプ等の赤外光源と異なり、応答時間が100psオーダーという極めて高速な赤外発光が可能である。ナノカーボン光源10にパルスや矩形などの変調した電圧や電流を印加することにより、100psオーダーの短パルス光や立ち上がりの早い矩形発光などが得られる。印加する電圧や電流の波形により、自由な強度変調の赤外光が得られる。
このような高速な光源としては、現在、パルスレーザーが用いられており、フェムト〜ナノ秒の短パルス光源を用いた時間分解分光測定が行われている。このような短パルスのレーザー光源は、現在、紫外・可視・近赤外領域では用いられているが、中赤外領域では高速なパルスレーザー光源は存在しない。さらに、レーザー光源は、非常に狭い波長幅の光源となるため、赤外分光等で必要となるブロードな発光スペクトルは有していない。
これに対し、実施形態のナノカーボン光源10は、上述のように非常に高速な光源であるにもかかわらず、発光スペクトルは、黒体照射のプランク則で記述される赤外〜可視領域での非常にブロードなスペクトルを有している。そのため、従来のハロゲンランプと同様に赤外分光に用いることができるだけではなく、ハロゲンランプでは不可能な、100psオーダーの非常に高い時間分解能を有する時間分解赤外測定が可能となる。このような超高速な赤外分析装置は、現在の技術では存在しておらず、実施形態の赤外分析装置100は、新しい原理での赤外分析装置である。
実施形態の赤外分析装置100は、赤外分光を応用した赤外センシングも可能である。分光分析では、一般的な材料の分析を行うために、分光器等によるスペクトル測定を行うが、分光器は大型の装置になり高価である。一方、分光器を用いなくても、フィルター等によって、特定の波長範囲の赤外光に限定して光検出を行うことで、特定の固体・液体・気体の物質の有無、濃度、量、混合割合などをセンシングすることができる。ナノカーボン光源10を用いた超小型な構造で、様々な物質のセンシングが可能となり、小型のセンサーを作製することができる。センシングでは、測定対象のサンプルSにナノカーボン光源10を接近させて測定したり、ナノカーボン光源10と分光器・光検出器110の間の空間に存在する固体・液体・気体の物質をセンシングすることが可能である。
図6は、グラフェンを用いたナノカーボン光源10による赤外分光の例を示す。500μm角のグラフェンを有するナノカーボン光源10を用いて、図5の方式でポリスチレンを赤外透過光測定した例である。図中の下側のスペクトルがナノカーボン光源10を用いた赤外分析装置100での実測値、上側のスペクトルが文献値である。スペクトルの吸収ピークが文献値と一致しており、実施形態の赤外分析装置100で、従来のFT−IRによる赤外分光分析と同様の結果が得られる。この測定結果は、ナノカーボン光源10を用いた振動分光などの赤外分光分析が、実際に可能であることを示している。
実施形態のナノカーボン光源10は、変調した電圧や電流を印加することで、発光強度を直接変調することができる。ナノカーボン光源10自体が、高速な点滅動作が可能であることから、従来の赤外光源では難しい光源の直接強度変調を利用した高感度測定が可能である。例えば、ナノカーボン光源10の発光を直接強度変調し、この変調光に同期させて光検出器で受光することにより、ロックインアンプやゲート動作などの同期測定による高感度の光検出が実現する。従来の赤外光源での分析と比べて、非常に高感度な赤外光源による分光・分析・センシングが可能となる。特に、光源側が高速である場合は、検出器側は低速な検出器であっても時間分解測定が可能である。「低速で高感度」の赤外検出器も利用できるため、赤外検出器の種類を問わずに、時間分解測定を高感度で行うことができる。
図7Aは、ナノカーボン光源10を用いた直接強度変調の例を示す。3μm角のグラフェン膜を用いたナノカーボン光源10で、1kHzの直接強度変調を行った例である。図7Bは、163Hzで直接変調したナノカーボン光源10からの直接変調光と、ロックインアンプによる赤外検出器とを用いた大気分子の赤外分光分析結果である。ブロードな波長範囲で、大気中の二酸化炭素分子と水分子が検出されている。水分子と二酸化炭素のそれぞれで、異なる波長域で吸収ピークが検出されているのは、分子振動の種類が異なるからである。
図7Aに示すように、実施形態のナノカーボン光源10では、単一のパルス電気信号の印加による単パルス光だけではなく、繰り返しパルス電圧を印加することによって、連続的なパルス光を発生することができる。非常に高速に直接変調できることから、発生するパルス光のタイミングを自在に制御することができる。これらの特性を用いて、あるタイミングで単一のパルス光を発生させたときの高速な赤外分析が可能になる。加えて、繰り返しのパルス光を入射することによる時間分解測定も可能である。繰り返しパルス光による赤外分析では、パルス光発生に遅延時間を持たせることによる時間分解測定も可能であり、これによりストロボ的な時間分解の赤外分析が可能となる。
このように、ブロードなスペクトルかつ高速変調が可能なナノカーボン光源10を用いることで、赤外分析装置100により新しい分析手法を実現することができる。
<第2実施形態>
図8は、第2実施形態の走査型の赤外分析装置100Aの模式図である。第2実施形態では、ナノカーボン光源10をサンプルSに対して相対的に走査することにより赤外イメージングを実現する。
赤外分析装置100Aは、先端にナノカーボン光源10を有するプローブ型の光源20と、分光器・光検出器110−1及び110−2を有する。プローブ型の光源20では、プローブ形状に加工された基板11Aの先端に平面型のナノカーボン光源10が設けられている。
測定対象のサンプルSは、ガラスなどの光透過性のステージ22の上に配置され、光源20からの光をサンプルSに照射しながらスキャンする。プローブ型の光源20とステージ22の少なくとも一方は、図示しない3軸マニピュレータに接続され、3軸方向への移動が可能である。これにより、ナノカーボン光源10とサンプルSの一方が他方に対して相対的に走査する。
サンプルSからの透過光LT、散乱光LS、反射光LRの少なくとも一つを分光器・光検出器110−1、110−2で検出することで、サンプルSで生じた光吸収やスペクトル変化などの情報を得ることができる。赤外分析装置100Aを画像処理装置に接続することで、検出信号を画像信号に変換して、赤外イメージング装置として用いることもできる。
ナノカーボン光源10は、従来の赤外光源とは異なり、極めて微小な赤外光源であり、発光層が表面に露出可能な平面構造を有している。測定対象のサンプルSに対して発光層を接近または接触させて、ナノカーボン光源10を1次元、2次元、または3次元的にスキャンすることで、1次元、2次元、または3次元の赤外イメージングが可能となる。例えば、サンプルSの内部の分子振動等による赤外吸収などによって、透過・散乱・反射光の強度やスペクトルに変化が生じることから、1次元、2次元、または3次元での変化を画像として観測することができる。透過・散乱・反射光は、分光器により分光することが可能であることから、波長に依存したイメージングも可能である。
赤外分析装置100Aでは、イメージングだけではなく、特定の局所領域における分析にも適している。例えば、サンプルSのある箇所にプローブ型の光源20を固定して、その微小領域の赤外分光が可能である。第1実施形態と同様に、光源として非常に微小なナノカーボン光源10を用いていることから、ナノカーボン光源10をサンプルSに波長以下の距離まで接近させて、近接場光を利用した測定が可能である。すなわち、光の回折限界を超えて、高空間分解能でのイメージングや分光イメージングが可能である。この原理を用いれば、従来の顕微赤外分光分析装置では、回折限界で10μm程度であった空間分解能を、近接場でナノメートルオーダーまで向上させることが可能となる。測定対象のサンプルSとしては、あらゆる形状の物体をイメージング可能であり、通常の液体や固体に加えて、細胞などの生体組織等のバイオイメージングにも利用でき、化学・バイオ・材料・物理分野でのイメージングが可能である。
図9は、赤外分析装置100Aを用いた赤外イメージングの測定結果を示す。この例では、グラフェンを用いたナノカーボン光源10上で、ガラス上に配置された「5」という数字がパターニングされたサンプルSをスキャンしている。サンプルSの形状を反映した赤外イメージが得られていることがわかる。
<第3実施形態>
図10は、第3実施形態の赤外分析装置100Bの模式図である。第3実施形態では、ナノカーボン光源10を用いたポンプ−プローブ分光を実現する。赤外分析装置100Bは、ナノカーボン光源10と、励起源105と、分光器・光検出器110を有する。ナノカーボン光源10はプローブ光源として用いられ、赤外域のブローブ光Lprobeを出力する。分光器・光検出器110の出力は情報処理装置103の入力に接続されていてもよい。
ハロゲンランプやセラミック光源といった、低速(約100ms)の応答速度しか有していない従来の光源では、光源を変調することによる高速な赤外分光分析や高速時間分解測定を行うことができない。たとえば、時々刻々と変化する化学反応などを赤外分光で追跡することができない。
これに対し、ナノカーボン光源10は、100psオーダーの非常に高速な発光の応答速度を持っているため、光源としてナノカーボン光源10を用いることで、赤外分析装置100Bに、100psの超高速の時間分解能を持たせることができる。赤外分析装置100Bは、高速な化学反応などを、赤外分光によって追跡することができる。上述のように、光源側が高速であると、検出器側は、どんなに低速な検出器でも時間分解測定が可能である。そのため、分光器・光検出器110として、超高感度な光検出器を利用することができる。
赤外分析装置100Bの測定系では、ポンプ光源などの励起源105から、化学反応を開始する化学反応パルス刺激PをサンプルSの測定領域101に印加する。ポンプ光の照射からΔt秒の遅延時間で、ナノカーボン光源10からプローブ光Lprobeのパルスを測定領域101に照射する。サンプルに化学反応を開始する刺激を与えることができればよいので、化学反応パルスは光の照射に限定されず、電気化学反応電圧の印加、反応物質パルスの供給など、電気刺激や物質供給などを行ってもよい。
光化学反応では、測定対象サンプルに対して光を照射することで光化学反応を開始できる。電気化学反応では、測定対象サンプルに電気化学反応を生じさせる電極を形成し、この電極に反応開始の電圧等の電気信号を入力する。反応物質供給では、化学反応に必要となる物質を流路等から供給することで、混合等によって反応が開始する。これらの化学反応パルス刺激は、図10に示した波形の刺激でも良いし、矩形状の刺激供給でもよい。
刺激により生じたサンプル内部の変化は、透過光、散乱光、または反射光として、分光器・光検出器110によって検出される。検出された光は、たとえば、励起された分子振動による赤外吸収結果として、情報処理装置103に入力されて、信号処理、分析等が行われてもよい。情報処理装置103は、たとえば、スペクトラムアナライザ、画像信号への変換器、などのデジタル信号処理機能を有していてもよい。
図11は、化学反応刺激による測定物質の変化の例を示す。図10の測定系で、化学反応パルス刺激をサンプルに印加した場合、図11に示すように、化学反応刺激によって化学反応が進行し、反応過程や中間体を経て、最終的な生成物が得られる。このとき、化学反応パルス刺激(Lpump)の印加タイミングt1から遅延時間Δt秒後に、ナノカーボン光源10から赤外光をプローブ光LprobeとしてサンプルSに照射すると、反応過程や中間体生成状態のサンプルSに対して赤外光が照射される。サンプルSからの透過・散乱・反射光を分光器・光検出器110で測定することにより、反応過程や中間体の振動分光等による分析が可能となる。
遅延時間Δtを少しずつ変えて測定した場合、サンプルSの時間に依存した赤外分析が可能である。遅延時間の依存性を測定することにより、時々刻々と進むサンプルSの反応過程を赤外分析で追跡して分析することが可能である。このような測定系での分光器としては、グレーティングを用いた分光器やマイケルソン干渉を使うことができる。マイケルソン干渉系の測定では、高速光源を用いたステップ・アンド・スキャン方式による時間分解測定も可能である。
従来と異なり、赤外光源(ナノカーボン光源10)の側で高速の時間分解測定が実現されることから、赤外分光の時間分解能のために高速の光検出器を用いる必要はなく、低速の光検出器を利用してもよい。一般に、高速の光検出器は受光感度が悪く、高感度の光検出器は低速であることから、感度と速度はトレードオフであったが、実施形態の構成と手法により、従来使用できなかった高感度の光検出器を使った高速時間分解が実現できる。
図12は、化学反応パルス刺激とプローブ光の繰り返し照射による測定系の例を示す。刺激現105からの化学反応パルス刺激と、ナノカーボン光源10からの赤外パルス光の照射を繰り返して行うことで、より高感度な高速時間分解測定が可能となる。原理と装置構成自体は、図10の赤外分析装置100Bと同じである。
測定領域101に、気体、液体、または固体のサンプルを配置する。一例として、サンプルSは、フローセル201等によって供給可能である。化学反応パルス刺激に対して、ナノカーボン光源10からの赤外光(Lprobe)を遅延時間Δtで照射し、これを繰り返す。カーボン光源10からの赤外光は、一例として、超短パルスの赤外光である。パルス刺激による反応と赤外光による測定を、高速で繰り返し測定し、分光器・光検出器110または情報処理装置103で積算することで、繰り返し回数に相当する分だけ高いS/N比で高感度に測定することができる。
図10と図11を参照して述べたように、化学反応パルス刺激としては、光化学反応励起光、電気化学反応電圧、反応物質パルス供給など、化学反応を開始する任意の刺激を与えることができる。刺激の印加方法も種々の方法があり、遅延時間Δtを少しずつ変えて測定することで、時々刻々と進む反応過程を追跡した分析が可能である。分光器として、グレーディングやマイケルソン干渉系が使用可能であり、ステップ・アンド・スキャン方式も利用できる。光検出器は、低速で高感度の光検出器を利用することができるため、高感度の測定が可能である。
第3実施形態の赤外分析装置100Bによる高速時間分解測定は、精密な遅延時間制御を伴うが、ナノカーボン光源10が、任意のタイミングで極短パルスの赤外光を発生できることから、実現可能である。ナノカーボン光源10が、直接変調可能な高速光源であることを最大限利用したものである。
図13は、ナノカーボン光源10からの短パルス発光を示す図である。赤外分析装置100Bの時間分解能は、ナノカーボン光源10の発光の応答速度で決まる。ナノカーボン光源10を用いることで、図13のように100psオーダーの短パルス光を用いた高速時間分解測定が実現する。
<第4実施形態>
図14は、第4実施形態の赤外分析装置100Cの模式図である。第4実施形態では、マイクロ流路を有するマイクロ分析チップを用いた赤外測定を実現する。マイクロ分析チップは、赤外分光(または吸光)分析を効率的に行う赤外分析チップの一例である。
赤外分析装置100Cは、ナノカーボン光源10と分光器・光検出器110を有する。ナノカーボン光源10と分光器・光検出器110の間に、マイクロ分析チップ108が配置されてもよい。マイクロ分析チップ108にはマイクロ流路107が形成されており、サンプルSはマイクロ流路107内に供給される。マイクロ流路107を有するマイクロ分析チップ108は、微量の化学分析、バイオ分析、医療診断などで有効に用いられる。
ナノカーボン光源10は、非常に微小であることに加えて、シリコン、ガラス、ポリマー等を含む任意の無機または有機の材料に形成可能である。また、発光層が露出可能な平面構造を有している。ナノカーボン光源10を、マイクロ分析チップ108のマイクロ流路107に隣接して配置可能であり、ナノカーボン光源10からの赤外光LIRを用いてチップ上での測定及び分析が実現できる。
マイクロ分析チップ108は、シリコン、ガラスなどの無機材料、あるいはポリマーなどの有機材料を用いて、マイクロ流路107を有するチップ本体を作製可能である。ナノカーボン光源10を、マイクロ流路107の近傍(たとえば直下)に配置する。ナノカーボン光源10からの赤外光を、マイクロ流路107を流れるサンプルSに照射し、サンプルSからの透過・散乱・反射光(Lout)を、分光器・光検出器110で観測する。これにより、マイクロ流路107を流れる物質の赤外分析、またはセンシングが可能になる。
図14のように、マイクロ分析チップ108の外側に、ナノカーボン光源10をマイクロ流路107と対向するように接合等により配置してもよい。ナノカーボン光源10は、微小で平面構造の光源であり、様々な基板上に直接形成できることから、マイクロ流路107が形成されたマイクロ分析チップ108に、あるいはマイクロ流路107の中に、直接ナノカーボン光源10を形成してもよい。ナノカーボン光源10を用いることで、従来の赤外光源では実現できない光源付きのマイクロ分析チップ108も実現可能である。
図10〜12(第3実施形態)のように光化学反応励起光、電気化学反応電圧、反応物質パルス供給などの化学反応パルス刺激を入力可能なマイクロ流路107を形成することで、第3実施形態と同様の時間分解測定が可能となる。たとえば、図14の測定系において、マイクロ流路107に対して、外部から光化学反応用のポンプ光を照射する、マイクロ流路107内に電気化学反応用の電極を形成して電気刺激を印加する。複数のマイクロ流路107を利用してその合流による混合反応や層界面での反応を開始させる、などが可能である。サンプルSに対する刺激により化学反応をスタートさせ、反応刺激とナノカーボン光源10のパルス光出力のタイミング差である遅延時間Δtを制御することで、高速の時間分解測定を行うことができる。
図15は、ナノカーボン光源10と検出器を基板上に集積したマイクロ分析チップ120の模式図である。ナノカーボン光源10を有するマイクロ分析チップ120に対して、さらに分光器・光検出器110や、バンドパスフィルター等の光学フィルター106を集積してもよい。この集積構成により、外部の分光器や光検出器を用いずに、光学部品をすべてチップ上に集積した、完全オンチップ型のマイクロ分析チップ120が実現する。
図15の例では、積層方向にナノカーボン光源10の上部にマイクロ流路107を形成し、マイクロ流路107のさらに上部に分光器・光検出器110を配置することで、ナノカーボン光源10からの赤外光とマイクロ流路107内のサンプルによる反応(赤外吸収等)をダイレクトに測定できる。マイクロ流路107を有するマイクロ分析チップ120も、赤外分析チップの一例である。
マイクロ流路107を分岐させ、分岐チャネルに供給ノズル125〜129を設けることで、マイクロ流路・リアクター123を構成してもよい。たとえば、供給ノズル125、128からA流体を供給し、供給ノズル126、129からB流体を供給し、供給ノズル127からC流体を供給する。流路の合流により、混合流体がナノカーボン光源10の上を流れる。
光学フィルター106をマイクロ流路107の上部または下部に形成することにより、特定の波長のみを検出して分析、センシング等を行うことができる。この分析・センシングでは、分光器・光検出器110として単素子の光検出器を利用できるが、アレー状の光検出器を利用してもよい。この場合、中心波長の異なる光学フィルターをアレー状に並べることで、分光測定もチップ上で行うことができる。
ナノカーボン光源10は、非常に小型で高集積であることからアレー化が容易である。ナノカーボン光源10をアレー化した場合は、分光器・光検出器110が単一の素子であっても分光することができる。たとえば、アレー状に形成したナノカーボン光源10と対向するように、中心波長の異なる光学フィルター106をアレー状に並べてもよい。アレー状に配置されるナノカーボン光源10のそれぞれの点灯タイミングを制御することにより、単素子の分光器・光検出器110で分光することができる。
図15のマイクロ分析チップ120に対しても、第3実施形態(図10〜12)の化学反応パルス刺激による時間分解測定を適用可能である。この場合は、高集積の時間分解測定チップが実現される。
<第5実施形態>
図16は、第5実施形態の赤外分析の原理を説明する図である。第5実施形態では、ナノカーボン光源10のような微小な赤外光源にプローブ物質を固定したバイオチップを用いた赤外分析技術を提供する。ここで用いられるバイオチップも赤外分析チップの一例である。バイオチップ上に分析用のサンプルを供給し、微細な赤外光源に固定されたプローブ物質にサンプル物質を結合させて、簡便かつ高速に赤外分析を行う。
現在、半導体微細加工技術をバイオ分野に応用したものとして、バイオチップがある。バイオチップでは、半導体・絶縁体などの基板表面上に固定プローブ(DNA、タンパク質、糖鎖、細胞、分子等)を1個、または複数配置する。固定プローブは、1次元または2次元のアレー状に配列されてもよい。基板上の固定プローブにサンプル物質(DNA、タンパク質、糖鎖、細胞、分子等)が選択的に結合する性質を利用して分析する。
バイオチップを用いた一般的な分析では、分析サンプル物質の断片に「蛍光体」を取り付け、その蛍光パターンを解析してサンプル物質の検出・分析を行っている。蛍光体は極めて高価であり、分析装置自体も大型であることなどから、非常に高価な分析手法となっている。
第5実施形態では、基板表面に微小赤外光源(例えばナノカーボン光源)を単体、または1次元若しくは2次元のアレー状に配列し、この微小赤外光源上に固定プローブを配置する。固定プローブに選択的に結合した分析サンプル物質を、微小赤外光源から出力される光の赤外吸収等を利用して、同定・検出・分析する。
図16において、基板11上に形成したナノカーボン光源10などの微小な赤外光源の上に、分析用の固定プローブ131を配置して、光源一体型のバイオチップ130を作製する。固定プローブ131としては、DAN、タンパク質、糖鎖、細胞、分子などを用いることができる。固定プローブ131は、特定のサンプル物質(DNA、タンパク質、糖鎖、細胞、分子等)と選択的に結合する。固定プローブ131は、微小赤外光源を構成するナノカーボン光源10に直接結合して形成することも可能であるし、ナノカーボン光源10上にキャップ層を設けて、キャップ層に固定プローブを結合させてもよい。
固定プローブ131付きの微小赤外光源に分析用のサンプルを導入すると、固定プローブ131と選択的に結合可能なサンプル物質135が、固定プローブ131に結合する。固定プローブ131とサンプル物質135の結合には選択性があるため、特定のサンプル物質135のみが固定プローブ131に結合するように固定プローブ131を選定することができる。この性質を利用して、分析用のサンプル物質の同定、検出、分析(分子構造の特定など)をすることができる。
分析サンプルの導入後に、微小赤外光源から光照射すると、微小赤外光源直上にある分析サンプルや分析サンプルに修飾したマーカー分子が赤外吸収を生じる。微小赤外光源上に捕獲された分析サンプルを透過した赤外光のスペクトル測定や透過率測定を行うことにより、サンプル内部の分子振動等による赤外吸収によって分析サンプルを同定、検出、または分析することができる。
第5実施形態の手法では、従来のバイオチップ分析で必要な蛍光体によるマーカーが不要となる。実施形態では、効果な蛍光体マーカーに替えて、分析用のサンプル物質135自体、またはサンプル物質135に修飾した分子自体がマーカーとなり、分子振動などの赤外吸収を利用する。可視領域で発光する蛍光マーカーに替えて、分子による赤外領域での吸収を用いるので、従来法ではマーカーとして用いることができなかった非発光の分子もバイオチップ分析用のマーカーとして用いることができ、低コストのバイオチップ分析が実現する。
微小光源は、赤外域で動作する化合物半導体の発光素子や、有機発光素子であってもよい。微小光源としてナノカーボン光源10を用いる場合は、可視光領域で発光させることもできるため、可視光の吸収を利用したバイオチップ130も開発することができる。また、ナノカーボン光源10からの可視光を励起光として用いて、従来通りの蛍光体を用いた分析も可能である。
図17は、実施形態のバイオチップ130に適用される赤外光源アレー140の模式図である。図16のバイオチップ分析は、微小赤外光源を1次元または2次元のアレーに配列することにより、より高速で大容量の分析が可能になる。図17では、基板141上に多数のナノカーボン光源10を2次元アレーに配置している。ナノカーボン光源10を利用した場合、各光源が微細であるにもかかわらず作製が容易であることから、安価かつ容易に赤外光源アレー140を得ることができる。
ナノカーボン光源10の各々が高速な発光の応答性を有していることから、アレー状に配列されたナノカーボン光源10をそれぞれ独立して、異なるタイミングで、高速に点灯制御することができる。
図18Aは、変形例としてマトリックス電極を利用した赤外光源アレー140Aを示す。図18Bは整流作用を持たせた赤外光源アレーの回路図である。図18Aにおいて、水平方向に延びる複数の電極142と、垂直方向に延びる複数の電極143が、互いに電気的に絶縁されかつ交差して配置される。水平方向の電極142は、櫛歯状の電極突起142tを有する。各電極突起142tは、垂直方向の電極143と対向して電極ペアを形成する。各電極ペアにカーボンナノ材料が接続されて、1つのナノカーボン光源10のセルが構成される。
図18Bに示すように、各セルに整流効果を与えてもよい。この場合は、たとえば抵抗性であるナノカーボン光源10と直列に、整流性の素子(たとえばダイオード)145を接続する。素子145により、電流の逆流によるパスを抑制して、所望の位置のナノカーボン光源10だけを発光させやすくする。
たとえば、選択された水平方向の電極142に高電位を印加し、それ以外の電極142をOFFにする。選択された垂直方向の電極143に低電位を印加し、それ以外の電極143をOFFによる。選択された電極142と電極143で決定される位置のナノカーボン光源10が発光する。この構成では、選択された光源以外を光源へ迂回する電流が抑制されるため、発光効率を高めるとともに、他の光源の誤動作(誤発光)を抑制することができる。
図19は、第5実施形態の赤外分析装置160の模式図である。赤外分析装置160は赤外光源アレー140(または140A)と一体型のバイオチップ150と、分光器・光検出器110を有する。バイオチップ150も赤外分析チップの一例である。バイオチップ150と分光器・光検出器110の間に、集光レンズ151を配置してもよい。
バイオチップ150の赤外光源アレー140(または140A)では、図17または図18のように、1次元若しくは2次元のアレーに配列したナノカーボン光源10のそれぞれに、図16のような固定プローブ131が形成されている。固定プローブ131に、分析対象のサンプル物質135が結合した場合、ナノカーボン光源10からの赤外光155が吸収され、赤外吸収に基づく分析が可能となる。図19のように、単一の分光器・光検出器110を用いる場合でも、各ナノカーボン光源10の発光のタイミングを制御して、検出タイミングと同期させることで、2次元チップ分析が可能である。たとえば、図19の矢印のように、アレー配列されたナノカーボン光源10を順に走査して点灯することで、各セルの情報を分光器・光検出器110で得ることができる。
バイオチップ150の各ナノカーボン光源10に、分析に必要な複数種類の固定プローブ131を形成してもよい。この場合、種類の異なる固定プローブ131のそれぞれに対応して、異なる種類のサンプル物質135を同時に検出・分析することができる。バイオチップ150上に、分析したい分析サンプル物質を導入し、複数の種類の固定プローブ131と接触させる。固定プローブ131の種類とサンプル物質135との間の結合性の大小に応じて、ある種類の固定プローブ131にはサンプル物質135が結合するが、別の種類の固定プローブ131にはこのサンプル物質135は結合しない。
この状態で、配列したナノカーボン光源10を順番に発光させ、発光と同期して分光器・光検出器110で赤外光155を検出することで、特定の固定プローブ131にサンプル物質135が結合しているか否かを検出することができる。
図16を参照して説明したのと同じ原理で、サンプル物質135自体、またはサンプル物質135に修飾した分子等が、分子振動などによる赤外吸収を生じる。ナノカーボン光源10上の固定プローブ131に結合したサンプル物質135を透過した赤外光155の透過率測定やスペクトル測定を行うことにより、サンプル物質135の同定・検出・分析を行うことができる。高価な蛍光体によるマーカーが不要であり、従来法ではマーカーとして用いることができなかった非発光の分子などもバイオチップ分析用のマーカーとして用いることができる。
ナノカーボン光源10をアレー配置しているため、様々な種類の固定プローブ131を用いた分析を同時に同一のバイオチップ150上で行うことができる。バイオチップ150は、安価で、高速かつ大容量の分析を可能にする。このバイオチップ分析では、赤外光源としてナノカーボン光源10を利用することで、非常に微小な光源を1次元、または2次元にアレー配列することができる。また、ナノカーボン光源10が非常に高速な発光の応答性を有していることから、各ナノカーボン光源10を個別に、異なるタイミングで、高速に点灯制御することができる。
1次元、または2次元状に配列したバイオチップ分析では、様々な種類の固定プローブ131を任意の配置でパターン化できる。分析して得られる赤外吸収や赤外スペクトルの配列パターンが、バイオチップ分析における物質の分子構造や性質等を反映したパターンとなる。測定で得られた1次元、2次元のパターンを解析することにより、高効率の検出・分析が可能となる。
現在の蛍光マーカーを用いた2次元配列のバイオチップでは、発現するパターンを撮像素子などの2次元検出器アレーを用いてパターン像として撮影する必要がある。たとえばDNAチップの場合は、DNA塩基配列を反映した発現パターンを、撮像素子などの2次元検出器アレーを用いて、光像として撮影する。
これに対し、実施形態の赤外分析装置160では、ナノカーボン光源10を用いた赤外光源側が2次元アレーとなっており、各ナノカーボン光源10を独立して点灯制御することができる。配列されたナノカーボン光源10を順番に発光させることにより、単一チャネルの分光器・光検出器110を用いることができる。赤外分析装置160の構成が簡便になり、安価に装置を構成することができる。
赤外光検出器では、可視検出器と比べて、高性能な2次元検出器が無い。高性能の赤外検出器は、単一チャネルの検出器となるため、実施形態の手法により、高性能な単一チャネル光検出器の使用が可能になる。ナノカーボン光源10の発光タイミングを制御することで、分光が容易になり、分光を併用したバイオチップ分析も可能となる。また、ナノカーボン光源10は、可視光でも発光させることができるため、従来の蛍光体を用いた分析や可視光の吸収を利用したバイオチップも開発することができる。
このバイオチップ分析技術は、第1実施形態〜第4実施形態の構成及び手法と組み合わせることも可能である。
<第6実施形態>
図20は、第6実施形態のイメージングデバイスへの応用を示す図である。第6実施形態では、ナノカーボン光源10などの微細な赤外発光素子のアレー配列を、赤外イメージングに応用する。赤外イメージングデバイスは、複数の赤外発光素子が配列された赤外光源アレー140と、赤外光源アレー140に対向して配置される分光器・光検出器110(図19等参照)を有し、赤外光源アレー140の表面に直接サンプルを配置することが可能である。
赤外発光素子として、ナノカーボン光源10を用いてもよい。ナノカーボン光源10はハロゲンランプなどの従来の赤外光源と異なり、シリコン、ガラス、半導体、絶縁体、高分子基板をはじめ、様々な基板材料の上にアレー集積することができ、かつ個々の光源素子を独立して点灯させることができる。
1次元または2次元状の赤外光源アレー140の上に、観測対象のサンプルSを配置することで、単一の分光器・光検出器110を用いてイメージングが可能になる。サンプルSは、バイオ試料、生体試料、有機物質、無機物質などを含む。
一般的に、赤外光検出器では、低ノイズで高感度のアレー検出器を作るのが難しく、赤外イメージングの実用化を妨げる原因となっている。本発明では、検出器側ではなく、発光素子側がアレー状になっているため、検出器としては、「単一素子」で構成される高性能(高感度・高速)の検出器を利用することができる。
赤外光源アレー140に含まれる各発光素子、たとえばナノカーボン光源10の点灯のタイミングと、分光器・光検出器の検出タイミングを同期させることによって、各光源上の赤外吸収率やスペクトルのイメージングを、高速に行うことができる。また、単一の検出器で良いことから、分光器やフィルターと組み合わせた波長選択も容易であり、波長ごとにイメージングする分光イメージングも容易に実現できる。
この赤外イメージングは、ナノカーボン光源10の「高速光源」、「微小光源」といった特徴を利用して実現できるものであり、従来のハロゲンランプやセラミック光源を用いた赤外分析技術では実現できない全く新しいイメージング手法である。なお、ナノカーボン光源10以外でも、半導体発光素子や有機発光素子など、高速の応答と微細化が可能な素子を用いて赤外イメージングを行ってもよい。
<第7実施形態>
図21は、第7実施形態のナノカーボン光源10Aの模式図である。ナノカーボン光源10Aは、一対の電極12a、12bの間に所定の方向に長く延びる状のナノカーボン材料15と、ゲート電極19を有する。所定方向に長く延びるナノカーボン材料15は、たとえば1層または複数層のグラフェンである。基板11上にCVD法などで直接グラフェンを成長してもよいし、転写法等で形成してもよい。
ゲート電極19としては、金属材料などの金属電極をはじめ、ドープしたシリコンなどの導電性基板自体を電極として利用することができる。ゲート電極19は、たとえば基板11の裏面(ナノカーボン材料15と反対側の面)に導電性の透明材料で形成されてもよい。また、ゲート電極は、基板下部に広く形成した電極でも良いが、グラフェンの直下のみに局所的に形成したゲート電極でも良い。また、ゲート電極上の基板11としては、絶縁体であれば良く、絶縁基板だけではなくシリコン上の酸化シリコン薄膜などの絶縁薄膜材料でも良い。ゲート電極19に電圧を印加することで、ナノカーボン材料15内のキャリア濃度を空間的に制御することができ、たとえば、キャリア濃度が少ないところで明るく発光するホットスポット109を形成することができる。ホットスポット109からの発光は、図中で「Lemit」で示されている。
ゲート電極に印加する電圧を変えることで、ナノカーボン材料15の長さ方向に沿ってホットスポット109の位置を連続的に変えることができる。これにより、ゲート電圧により発光位置をナノカーボン材料15の長さ方向に掃引可能なナノカーボン光源10Aを作製することができる。
この構成により、単一のナノカーボン光源10Aの素子を用いて、1次元方向に空間分解能を持たせることができる。この光源は、1次元イメージングデバイスの光源として用いることが可能である。
図22は、図21のナノカーボン光源10Aを、掃引方向と直交する方向に複数配列した赤外光源アレー170を示す。この赤外光源アレー170を、分光器・光検出器110及びゲート電圧コントローラと組み合わせることで、2次元のイメージングデバイスを実現することができる。
赤外光源アレー170の表面に、サンプルSを直接搭載することができる。基板11の裏面に共通のゲート電極19が一つ形成されていてもよいし、対応するナノカーボン光源10Aごとに、ストライプ状のゲート電極19が設けられていてもよい。共通のゲート電極19を用いる場合は、一対の電極12a、12bを順次選択し、選択されたナノカーボン光源10Aごとにゲート電圧を変化させることで、ナノカーボン材料15の長さ方向にホットスポット109をスイープすることができる。ストライプ状の個別のゲート電極19を用いる場合は、複数のナノカーボン光源10Aでホットスポット109を同時にスイープすることができる。この場合は高速のイメージングが可能になる。
単一のナノカーボン光源10Aでは、ナノカーボン材料15の長さに限界があったり、ホットスポット109の掃引距離に限界がある場合もあるが、ナノカーボン光源10Aを2次元面内に並べることで、広範囲、かつ高速のイメージングが可能になる。
図22では、紙面の縦方向にだけナノカーボン光源10Aを並べているが、たとえば絶縁層を介して、複数のナノカーボン光源10を紙面の横方向(水平方向)にも並べて、2次元マトリクス状の光源アレーとしてもよい。
図23は、第7実施形態のイメージングデバイス180の概略構成図である。イメージングデバイス180は、赤外光源アレー170と、赤外光源アレー170に印加される電圧を制御する電圧制御部210と、サンプルSを透過した赤外光(Lemit)を検出する分光器・光検出器110を有する。
赤外光源アレー170と分光器・光検出器110の間に、集光レンズ151を配置してもよい。分光器・光検出器110の出力に、表示装置を含む情報処理装置103(図10参照)を接続してもよい。
電圧制御部210は、ゲート電極19に印加される電圧レベルを制御する。また、複数配列されたナノカーボン光源10Aを順次選択して、一対の電極12a、12b間に印加される電圧のオン/オフを制御してもよい。
赤外光源アレー170の各ナノカーボン光源10Aのスイープごとに分光器・光検出器110の出力結果を、情報処理装置103または外部のメモリに保存することで、1ライン分のサンプル情報(光吸収率やスペクトル変化等)が得られる。すべてのナノカーボン光源10Aについてホットスポットをスイープすることで、サンプルSの内部情報の2次元分布を得ることができる。
<実施形態の赤外分析の効果>
本発明の赤外分光は、ナノカーボン光源10などの微小な赤外光源を用いている。発光材料にカーボンナノチューブを用いる場合は光源素子サイズが1nm角、グラフェンを用いる場合は100nm角という微細化が可能である。従来の走査型近接場光顕微鏡(SNOM:Scanning Near field Optical Microscopy)で用いるレーザー光源は、最小でも10cm角程度の大きさを有する。FT−IRで用いるハロゲンランプやセラミック光源も1cm角程度の大きさである。
本発明では、微小な赤外光源素子を用いるため、集積化(チップ化)、及びアレー化が可能であるが、FT−IRやSNOMで用いられる光源は集積化・チップ化することができない。また、本発明では、変調による高感度化、分析チップ化、及び2次元アレー光源による高速イメージングが可能であるが、SNOMとFT−IRのいずれにおいても、これらの効果を得ることができない。
波長域に関し、本発明の赤外分析では1〜10μmの広い波長域にわたって測定する。FT−IRも同様の波長域で測定を行うが、SNOMではレーザーの単一波長または狭い波長範囲となる。
空間分解能は、本発明の赤外分析では1nm〜100nmの高い空間分解能が実現される。SNOMの空間分解能も10nmと高いが、FT−IRでは10μmである。
時間分解は、本発明の赤外分析では100psと高速の時間分解測定が可能であるが、典型的なFT−IRは100msと遅い。SNOMでは、時間分解測定が通常難しい。
このように、本発明では微小な光源サイズで高い空間分解能と時間分解能を有し、集積化、変調による高感度化、分析チップ化、高速イメージングが可能である。
<その他の変形例>
上記では、特定の実施形態に基づいて発明の構成と手法を説明してきたが、本発明は上述した特定の例に限定されない。第1実施形態〜第7実施形態を互いに組み合わせてもよい。たとえば、第5実施形態のバイオチップ130、及び/または150と、第6実施形態の赤外イメージングは、ともに2次元赤外アレー光源があれば実現できるため、バイオチップ130または150を用いた赤外イメージングが可能である。2次元配列された赤外光源アレーでは、ナノカーボン光源が理想的な候補のひとつではあるが、微小な赤外光源素子が2次元配列された赤外光源アレーが実現できれば、どのような微小赤外光源を用いてもよい。
現在、DNAチップなどのバイオチップとしては、可視光と蛍光マーカーを用いたバイオチップが実用化しているが、高価な蛍光マーカーと、2次元の撮像素子によるカメラが使われており、コストの高い分析方法となっている。第5実施形態及び第6実施形態のように、蛍光マーカーを用いる替わりに、2次元に配列した発光素子アレーを用いれば、発光素子の発光点を次々と変えていくことによって、2次元の撮像素子を用いなくても、単チャンネルの受光素子でDNA分析などのバイオチップ分析を行うことができる。第7実施形態のように、ホットスポットを掃引することで、単一の赤外光源で1次元方向に空間分解能を持たせることができる。ホットスポットのスイープ可能な赤外光源を掃引方向と直交する方向に複数配列することで、広範囲のイメージングが可能になる。
発光素子の発光タイミングや掃引タイミングを制御することで、バイオチップ分析において分光を併用することも可能となる。たとえば、2次元のDNAパターンの解析において、分光による自由度を加えて、より高度なDNA発現パターンの分析が可能となり、より詳細なDNA分析が実現する。
実施形態のバイオチップ分析と赤外光源アレーを、従来の蛍光体を用いた分析と組み合わせてもよい。この場合は、2次元配列された発光素子からの光を利用した蛍光マーカーの分析や、可視光領域での光吸収を用いたバイオチップ分析にも応用できる。
2次元配列される発光素子として実施形態のナノカーボン光源10または10Aを用いる場合は、従来の蛍光マーカーによる2次元蛍光パターン像によるバイオチップ解析(DNA解析など)に替えて、分子振動などによる赤外吸収を利用した赤外吸収パターンに基づいてバイオチップ解析が可能となる。蛍光マーカーを必要としないサンプル分析が可能となり、蛍光を示さないサンプル物質自体や、サンプル物質に修飾した分子の赤外吸収による分析が可能となり、安価なバイオチップやDNA分析が実現できる。
図示は省略しているが、第4実施形態、及び第5実施形態の赤外分析装置で用いられる分光器・光検出器110の出力を、信号処理あるいは画像処理を行う情報処理装置103(図10参照)に供給してもよい。第6実施形態の赤外イメージングで用いる単一の検出器の出力を、情報処理装置103に入力してもよい。いずれの場合も、高速、高感度の赤外分析が実現する。
本件出願は、2018年3月16日に出願された日本国特許出願第2018−072742号と、2018年7月6日に出願された日本国特許出願第2018−129537号に基づき、その優先権を主張するものであり、上記2つの日本国特許出願の全内容は本件出願中に含まれる。
10,10A ナノカーボン光源
11、11A、121、141 基板
12a、12b 電極
15 ナノカーボン材料
16 保護膜
20 プローブ型の光源
22 ステージ
100、100A〜100C、160 赤外分析装置
102 近接場光
103 情報処理装置
105 励起源
106 光学フィルター
107 マイクロ流路
108,120 マイクロ分析チップ(赤外分析チップ)
110、110−1、110−2 分光器・光検出器(検出手段)
123 マイクロ流路・リアクター
130、150 バイオチップ(赤外分析チップ)
131 固定プローブ
140、140A、170 赤外光源アレー
180 イメージングデバイス
S サンプル

Claims (14)

  1. ナノカーボン材料を発光材料に用いた光源と、
    前記光源から出力され、サンプルを透過またはサンプルで反射された赤外光を検出する検出手段と、
    を有し、
    前記ナノカーボン材料は基板の表面に配置されて表面発光することを特徴とする赤外分析装置。
  2. 前記光源の発光面は、使用波長以下の距離で前記サンプルに近接して配置され、前記光源自体の近接場光で前記サンプルを照射することを特徴とする請求項1に記載の赤外分析装置。
  3. 前記光源は、突起状の前記基板の先端に配置され、前記サンプルに対して相対移動が可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の赤外分析装置。
  4. 前記サンプルをパルス刺激する励起源、
    をさらに有し、
    前記光源は、前記パルス刺激から所定時間遅延して、直接変調によるパルス光を出力することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の赤外分析装置。
  5. 前記光源と前記検出手段の間に配置され、前記サンプルを前記光源の近傍に供給するマイクロ流路を有する赤外分析チップ、
    をさらに有することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の赤外分析装置。
  6. 前記光源と、前記検出手段は、前記赤外分析チップに集積されていることを特徴とする請求項5に記載の赤外分析装置。
  7. 前記光源は、複数の赤外発光素子がアレー状に配列された赤外光源アレーであることを特徴とする請求項1に記載の赤外分析装置。
  8. 前記複数の赤外発光素子の発光は切り替え可能であり、
    前記検出手段は単一の検出素子で形成されていることを特徴とする請求項7に記載の赤外分析装置。
  9. 前記光源の表面に、特定の物質と結合するプローブ物質が固定されていることを特徴とする請求項1、7、または8に記載の赤外分析装置。
  10. マイクロ流路が形成された基板と、
    前記基板の第1の面の前記マイクロ流路が形成されている位置に集積される光検出/分光手段と、
    前記基板の第2の面で前記光検出/分光手段と対向する位置に集積される赤外光源と、
    を有する赤外分析チップ。
  11. 赤外光を発光する複数の発光素子がアレー状に配列された光源基板と、
    前記光源基板の表面で前記複数の発光素子に対応する位置に固定され、特定の物質と選択的に結合するプローブ物質と、
    を有する赤外分析チップ。
  12. 赤外光を発光する複数の発光素子がアレー状に配列された光源基板と、
    前記光源基板に対向して配置される赤外線検出器と、
    を有し、
    前記光源基板の表面はサンプルの搭載が可能であり、
    前記赤外線検出器は、前記複数の発光素子の発光タイミングと同期して動作することを特徴とする赤外イメージングデバイス。
  13. 一対の電極の間に延設されるナノカーボン材料と、前記ナノカーボン材料にゲート電圧を印加するゲート電極とを有する光源素子が複数配列される赤外光源アレーと、
    前記ゲート電圧を制御する電圧制御部と、
    前記赤外光源アレーに対向して配置される赤外線検出器と、
    を有し、前記電圧制御部は、前記ゲート電圧を変化させることで、前記ナノカーボン材料の長さ方向に沿ってホットスポットを掃引することを特徴とする赤外イメージングデバイス。
  14. 複数の前記光源素子は、前記ホットスポットの掃引方向と直交する方向に配列されていることを特徴とする請求項13に記載の赤外イメージングデバイス。
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