JPWO2019142839A1 - 光学異方体及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

液晶性化合物を含む液晶組成物の硬化物で形成され、下記要件(1)〜(3)を満たす第一領域及び第二領域を含む光学異方性層を備える光学異方体。(1)光学異方性層の面内遅相軸及び厚み方向の両方に平行な光学異方性層の断面において、第一領域が、光学異方性層の面内方向に対して傾斜した第一遅相軸を有する。(2)前記断面において、第二領域が、光学異方性層の面内方向に対して傾斜した第二遅相軸を有する。(3)前記断面において、第一遅相軸と第二遅相軸とがなす角度Δθが、40°〜80°である。

Description

本発明は、光学異方体及びその製造方法に関する。
光学部材の一つとして、液晶性化合物を用いて製造される光学異方体が知られている。この光学異方体は、一般に、液晶性化合物を含む液晶組成物を配向させ、その配向状態を維持したままで硬化させた硬化物で形成された領域を含む光学異方性層を備える。このような光学異方体として、特許文献1に記載のものが提案されている。
特許第5363022号公報
光学異方体が備える光学異方性層は、通常、液晶性化合物によって生じる面内レターデーションを有する。よって、光学異方体は、有機エレクトロルミネッセンス表示パネル(以下、適宜「有機EL表示パネル」ということがある。)に設けられる円偏光板及び楕円偏光板等の偏光板に適用することができる。この偏光板は、通常、直線偏光子と光学異方体とを組み合わせて含む。このような偏光板は、反射抑制能力を有する反射抑制フィルムとして機能できるので、有機EL表示パネルの表示面に設けることにより、表示面の正面方向において外光の反射を抑制することができる。
また、表示面の傾斜方向において外光の反射を抑制して優れた視野角特性を得る観点から、光学異方性層は、その厚み方向において複屈折を適切に調整することが好ましい。厚み方向における光学異方性層の複屈折を調整することにより、当該光学異方性層の傾斜方向におけるレターデーションが調整される。よって、このような光学異方性層を備えた光学異方体を用いれば、傾斜方向において外光の反射の抑制が可能な偏光板を得ることができる。厚み方向における複屈折の調整のためには、例えば、光学異方性層に含まれる液晶性化合物の分子を、当該光学異方性層の層平面に対して傾斜させることが考えられる。
液晶性化合物の分子を光学異方性層の層平面に対して傾斜させる技術については、特許文献1に記載されたように、従来から様々に検討がなされている。ところが、従来の技術で得られる光学異方体の光学異方性層の傾斜方向のレターデーションには、方位依存性があった。ここで、レターデーションの方位依存性とは、レターデーションが方位によって異なる性質をいう。
よって、従来の光学異方性層は、傾斜方向のレターデーションが一定ではなく、その傾斜方向の方位毎に異なっていた。特に、光学異方性層の面内遅相軸に垂直な傾斜方向と、光学異方性層の面内進相軸に垂直な傾斜方向との間で、レターデーションが大きく異なる傾向があった。そのため、従来の光学異方体を反射抑制フィルムに適用した場合、傾斜方向における反射抑制能力には、方位依存性が生じていた。反射抑制能力の方位依存性とは、反射抑制能力が方位によって異なる性質をいう。
また、光学異方性層の傾斜方向のレターデーションの方位依存性は、反射抑制フィルム以外の用途においても、課題を生じることがあった。例えば、光学異方体を位相差板、波長板、光学補償フィルム等の光学部材として液晶表示装置に設けた場合、傾斜方向のレターデーションが方位毎に異なることで、傾斜方向から見た黒輝度等の表示性能には方位依存性が生じることがあった。「黒輝度」とは、黒表示状態の時の表示面の輝度のことをいう。黒表示状態とは、表示面の全面に黒色を表示した状態のことをいう。また、表示性能の方位依存性とは、表示性能が方位によって異なる性質をいう。
以上のような事情から、傾斜方向におけるレターデーションの方位依存性を抑制できる技術の開発が求められている。
本発明は、前記の課題に鑑みて創案されたもので、傾斜方向におけるレターデーションの方位依存性を抑制できる光学異方性層を備えた光学異方体及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明者は、前記の課題を解決するべく鋭意検討した。その結果、本発明者は、光学異方性層が、当該光学異方性層の面内遅相軸及び厚み方向の両方に平行な光学異方性層の断面において、下記の要件(1)〜(3)を満たす第一領域及び第二領域の組み合わせを含むことにより、前記の課題を解決できることを見い出し、本発明を完成させた。
(1)第一領域が、光学異方性層の面内方向に対して傾斜した第一遅相軸を有する。
(2)第二領域が、光学異方性層の面内方向に対して傾斜した第二遅相軸を有する。
(3)第一遅相軸と第二遅相軸とがなす角度Δθが、所定の範囲にある。
すなわち、本発明は、下記のものを含む。
〔1〕 液晶性化合物を含む液晶組成物の硬化物で形成され下記要件(1)〜(3)を満たす第一領域及び第二領域、を含む光学異方性層を備える、光学異方体。
(1)前記光学異方性層の面内遅相軸及び厚み方向の両方に平行な前記光学異方性層の断面において、前記第一領域が、前記光学異方性層の面内方向に対して傾斜した第一遅相軸を有する。
(2)前記断面において、前記第二領域が、前記光学異方性層の面内方向に対して傾斜した第二遅相軸を有する。
(3)前記断面において、前記第一遅相軸と前記第二遅相軸とがなす角度Δθが、40°〜80°である。
〔2〕 前記第一領域の面内遅相軸と前記第二領域の面内遅相軸とがなす角度が、0°〜5°である、〔1〕記載の光学異方体。
〔3〕 前記光学異方性層の前記断面において、前記第一領域の第一遅相軸が前記光学異方性層の面内方向に対してなす角度θ1が、20°〜40°であり、
前記光学異方性層の前記断面において、前記第二領域の第二遅相軸が前記光学異方性層の面内方向に対してなす角度θ2が、20°〜40°である、〔1〕又は〔2〕に記載の光学異方体。
〔4〕 測定波長550nmでの前記光学異方性層の面内レターデーションが、100nm以上180nm以下である、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の光学異方体。
〔5〕 測定波長550nmでの前記光学異方性層の面内レターデーションが、240nm以上320nm以下である、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の光学異方体。
〔6〕 測定波長550nmでの前記第一領域の面内レターデーション及び前記第二領域の面内レターデーションの両方が、30nm以上である、〔4〕記載の光学異方体。
〔7〕 測定波長550nmでの前記第一領域の面内レターデーション及び前記第二領域の面内レターデーションの両方が、60nm以上である、〔5〕記載の光学異方体。
〔8〕 位相差フィルムである、〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の光学異方体。
〔9〕 〔1〕〜〔8〕のいずれか一項に記載の光学異方体の製造方法であって、
液晶性化合物を含む液晶組成物の硬化物で形成された層を用意する工程と、
前記層を貼り合わせる工程と、を含む、光学異方体の製造方法。
〔10〕 〔1〕〜〔8〕のいずれか一項に記載の光学異方体の製造方法であって、
液晶性化合物を含む液晶組成物で形成された層を用意する工程と、
前記層を貼り合わせる工程と、
貼り合わせられた前記層を硬化させる工程と、を含む光学異方体の製造方法。
〔11〕 〔1〕〜〔8〕のいずれか一項に記載の光学異方体及び直線偏光子を備える、偏光板。
本発明によれば、傾斜方向におけるレターデーションの方位依存性を抑制できる光学異方性層を備えた光学異方体及びその製造方法を提供できる。
図1は、本発明の第一実施形態に係る光学異方体を模式的に示す斜視図である。 図2は、本発明の第一実施形態に係る光学異方体の光学異方性層を模式的に示す断面図である。 図3は、面内遅相軸に平行で且つ厚み方向に対して非平行な平面で切られた一例としての光学異方性層の一部を模式的に示す斜視図である。 図4は、本発明の第一実施形態に係る光学異方体の光学異方性層を模式的に示す断面図である。 図5は、本発明の第一実施形態に係る光学異方体の光学異方性層を模式的に示す断面図である。 図6は、本発明の第一実施形態に係る光学異方体の光学異方性層を模式的に示す断面図である。 図7は、本発明の第一実施形態に係る光学異方体の光学異方性層を模式的に示す断面図である。 図8は、本発明の第二実施形態に係る光学異方体を模式的に示す斜視図である。 図9は、本発明の第二実施形態に係る光学異方体の光学異方性層を模式的に示す断面図である。
以下、例示物及び実施形態を示して本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す例示物及び実施形態に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、ある層の「面内方向」とは、別に断らない限り、層平面に平行な方向を表す。
以下の説明において、ある層の「厚み方向」とは、別に断らない限り、層平面に垂直な方向を表す。よって、別に断らない限り、ある層の面内方向と厚み方向とは、垂直である。
以下の説明において、ある層の「傾斜方向」とは、別に断らない限り、層平面に平行でも垂直でもない方向を表し、具体的には前記層平面の極角が5°以上85°以下の範囲の方向を指す。
以下の説明において、ある層の傾斜方向の「方位」とは、別に断らない限り、その傾斜方向の、層平面に平行な成分を表す。
以下の説明において、ある面の「正面方向」とは、別に断らない限り、その面の法線方向を表し、具体的には前記面の極角0°の方向を指す。
以下の説明において、ある面の「傾斜方向」とは、別に断らない限り、その面に平行でも垂直でもない方向を表し、具体的には前記面の極角が5°以上85°以下の範囲の方向を指す。
以下の説明において、ある層の「面内遅相軸」とは、別に断らない限り、面内方向の遅相軸をいう。
以下の説明において、ある層の「面内進相軸」とは、別に断らない限り、面内方向の進相軸をいう。
以下の説明において、ある要素が面内方向に対して(即ち、層平面に対して)「傾斜している」とは、その要素が前記面内方向に対して(即ち、層平面に対して)平行でも垂直でもないことを表す。前記の要素が前記面内方向に対して(即ち、層平面に対して)なす角度は、通常、5°以上85°以下の範囲にある。
以下の説明において、要素の方向が「平行」及び「垂直」とは、別に断らない限り、本発明の効果を損なわない範囲内、例えば±4°、好ましくは±3°、より好ましくは±1°の範囲内での誤差を含んでいてもよい。
以下の説明において、別に断らない限り、ある層に含まれる液晶性化合物の分子の「チルト角」とは、その液晶性化合物の分子が層平面に対してなす角度を表す。このチルト角は、液晶性化合物の分子の屈折率楕円体において最大の屈折率の方向が層平面となす角度のうち、最大の角度に相当する。よって、屈折率楕円体において最大の屈折率の方向が一つである場合は、その方向が層平面となす角度が、チルト角に相当する。また、屈折率楕円体において最大の屈折率の方向が複数ある場合は、それらの方向のうち層平面となす角度が最大になる方向と層平面とがなす角度が、チルト角に相当する。
以下の説明において、逆波長分散性の複屈折とは、別に断らない限り、波長450nmにおける複屈折Δn(450)及び波長550nmにおける複屈折Δn(550)が、下記式(N1)を満たす複屈折をいう。このような逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物は、通常、測定波長が長いほど、大きい複屈折を発現できる。
Δn(450)<Δn(550) (N1)
以下の説明において、順波長分散性の複屈折とは、別に断らない限り、波長450nmにおける複屈折Δn(450)及び波長550nmにおける複屈折Δn(550)が、下記式(N2)を満たす複屈折をいう。このような順波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物は、通常、測定波長が長いほど、小さい複屈折を発現できる。
Δn(450)>Δn(550) (N2)
以下の説明において、ある層の面内レターデーションReは、別に断らない限り、Re=(nx−ny)×dで表される値である。ここで、nxは、層の厚み方向に垂直な方向(面内方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表す。nyは、層の前記面内方向であってnxの方向に直交する方向の屈折率を表す。dは、層の厚みを表す。レターデーションの測定波長は、別に断らない限り、550nmである。面内レターデーションReは、位相差計(Axometrics社製「AxoScan」)を用いて測定できる。
以下の説明において、固有複屈折値が正の樹脂とは、延伸方向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率よりも大きくなる樹脂を意味する。また、固有複屈折値が負の樹脂とは、延伸方向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率よりも小さくなる樹脂を意味する。固有複屈折値は、誘電率分布から計算できる。
以下の説明において、置換基を有する基の炭素原子数には、別に断らない限り、前記置換基の炭素原子数を含めない。よって、例えば「置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基」との記載は、置換基の炭素原子数を含まないアルキル基自体の炭素原子数が1〜20であることを表す。
[1.光学異方体の第一実施形態]
(1.1.第一領域の第一遅相軸と第二領域の第二遅相軸の説明)
図1は、本発明の第一実施形態に係る光学異方体10を模式的に示す斜視図である。図1に示すように、本発明の第一実施形態に係る光学異方体10は、光学異方性層100を備える。光学異方性層100は、当該光学異方性層100の面内方向のうち屈折率が最大となる面内遅相軸A1と、当該光学異方性層100の面内方向のうち屈折率が最小となる面内進相軸A2とを有する。また、図1においては、光学異方性層100の厚み方向を矢印A3で示す。さらに、光学異方性層100の層平面の極角φ1、面内遅相軸A1に対する方位角φ2の傾斜方向を矢印A4で示し、その矢印A4で示す傾斜方向の方位を矢印A5で示す。
図2は、本発明の第一実施形態に係る光学異方体10の光学異方性層100を模式的に示す断面図である。図2では、光学異方性層100を、当該光学異方性層100の面内遅相軸A1(図1参照)及び厚み方向A3(図1参照)の両方に平行な平面で切った断面100Sを示す。以下の説明において、ある層の面内遅相軸及び厚み方向の両方に平行な当該層の断面を、「特定断面」ということがある。
図2に示すように、光学異方性層100は、液晶性化合物を含む液晶組成物の硬化物で形成された第一領域110及び第二領域120を含む。第一領域110及び第二領域120は、光学異方性層100の面内方向A6に平行に(即ち、層平面に平行に)広がる層状の領域である。また、第一領域110と第二領域120とは、光学異方性層100の厚み方向A3(図1参照)において異なる位置にある。本実施形態では、光学異方性層100の全体が液晶組成物の硬化物で形成された層であり、その一部が第一領域110、その残りの部分が第二領域120となっている例を示して説明する。以下の説明において、液晶組成物の硬化層によって形成された層を、適宜「液晶硬化層」ということがある。よって、本実施形態に示す例では、第一領域110は、光学異方性層100としての液晶硬化層の厚み方向のある範囲に含まれる領域であり、第二領域120は、その液晶硬化層の厚み方向の別の範囲に含まれる領域である。
第一領域110は、液晶組成物の硬化物で形成されているので、液晶性化合物を含む。液晶組成物の硬化物に含まれる「液晶性化合物」には、重合した液晶性化合物も含まれる。第一領域110では、前記の液晶性化合物の少なくとも一部の分子(図示せず)が、光学異方性層100の面内方向A6に対して(即ち、層平面に対して)傾斜するように配向している。そのため、第一領域110は、光学異方性層100の特定断面100Sにおいて、光学異方性層100の面内方向A6に対して(即ち、層平面に対して)傾斜した第一遅相軸A110を有する(要件(1))。この第一遅相軸A110は、光学異方性層100の特定断面100Sに平行な方向のうち、第一領域110の屈折率が最大の方向である。
他方、第二領域120も、液晶組成物の硬化物で形成されているので、液晶性化合物を含む。また、第二領域120でも、前記の液晶性化合物の少なくとも一部の分子(図示せず)が、光学異方性層100の面内方向A6に対して(即ち、層平面に対して)傾斜している。そのため、第二領域120は、光学異方性層100の特定断面100Sにおいて、光学異方性層100の面内方向A6に対して(即ち、層平面に対して)傾斜した第二遅相軸A120を有する(要件(2))。この第二遅相軸A120は、光学異方性層100の特定断面100Sに平行な方向のうち、第二領域120の屈折率が最大の方向である。
さらに、光学異方性層100の特定断面100Sにおいて、第一遅相軸A110と第二遅相軸A120とは、所定の範囲の角度Δθをなす。具体的には、角度Δθは、通常40°以上、好ましくは50°以上、より好ましくは55°以上であり、通常80°以下、好ましくは70°以下、特に好ましくは65°以下である。
液晶組成物の硬化物で形成された第一領域110及び第二領域120の傾斜方向A4におけるレターデーションには、一般に、方位依存性がある。しかし、上述した第一遅相軸A110を有する第一領域110と第二遅相軸A120を有する第二領域120とを組み合わせることにより、第一領域110のレターデーションの方位依存性と、第二領域120のレターデーションの方位依存性とを、相殺することができる。よって、第一領域110及び第二領域120を含む光学異方性層100の全体としては、傾斜方向A4におけるレターデーションの方位依存性を抑制できる。したがって、いずれの方位A5(図1参照)においても、通常は近い値のレターデーションを得ることができ、好ましくは同じ値のレターデーションを得ることができる。そのため、例えば、この光学異方性層100を備える光学異方体10を直線偏光子と組み合わせて偏光板を得た場合に、傾斜方向A4における反射抑制能力の方位依存性を抑制できる。
レターデーションの方位依存性を効果的に抑制する観点では、光学異方性層100の特定断面100Sにおいて第一領域110の第一遅相軸A110が光学異方性層100の面内方向A6に対して(即ち、層平面に対して)なす角度θ1は、所定の範囲に収まることが好ましい。具体的には、角度θ1は、好ましくは20°以上、より好ましくは25°以上、特に好ましくは27°以上であり、好ましくは40°以下、より好ましくは35°以下、特に好ましくは33°以下である。これにより、例えば光学異方体10を直線偏光子と組み合わせて偏光板を得た場合に、反射抑制能力の方位依存性を効果的に抑制できる。
レターデーションの方位依存性を効果的に抑制する観点では、光学異方性層100の特定断面100Sにおいて第二領域120の第二遅相軸A120が光学異方性層100の面内方向A6に対して(即ち、層平面に対して)なす角度θ2は、所定の範囲に収まることが好ましい。具体的には、角度θ2は、好ましくは20°以上、より好ましくは25°以上、特に好ましくは27°以上であり、好ましくは40°以下、より好ましくは35°以下、特に好ましくは33°以下である。これにより、例えば光学異方体10を直線偏光子と組み合わせて偏光板を得た場合に、反射抑制能力の方位依存性を効果的に抑制できる。
さらに、レターデーションの方位依存性を効果的に抑制する観点では、特定断面100Sにおいて、第一領域110の第一遅相軸A110と、第二領域120の第二遅相軸A120とは、光学異方性層100の面内方向A6に平行な(即ち、層平面に平行な)対称面に対して面対称に近い関係にあることが好ましい。よって、角度θ1と角度θ2とは、近い値であることが好ましく、同じ値であることが更に好ましい。具体的には、角度θ1と角度θ2との差の絶対値|θ1−θ2|は、好ましくは20°以下、より好ましくは15°以下、特に好ましくは10°以下である。
光学異方性層100の特定断面100Sにおける第一領域110の第一遅相軸A110及び第二領域120の第二遅相軸A120は、光学異方性層100を面内遅相軸A1に平行な平面で切って現れる断面を含む切片を偏光観察することにより、測定できる。
通常は、光学異方性層100を、当該光学異方性層100の面内遅相軸A1及び厚み方向A3の両方に平行な平面で切って、特定断面100Sを形成する。そして、この特定断面100Sを含む切片の偏光観察を行う。偏光観察は、偏光顕微鏡を用いてクロスニコルにて行うことができる。この際、偏光観察を、特定断面100Sに垂直な軸を中心にして光学異方性層100を回転させながら行って、第一領域110及び第二領域120の消光位を特定する。そして、特定された消光位から、特定断面100Sにおける第一領域110の第一遅相軸A110及び第二領域120の第二遅相軸A120を得ることができる。
ところで、第一領域110及び第二領域120は、一般に、薄い。そのため、前記のように特定断面100Sを含む切片を観察して消光位を特定しようとしても、偏光顕微鏡の倍率が不足することもありえる。この場合、図3に示すように、光学異方性層100の面内遅相軸A1に平行で且つ厚み方向A3に対して非平行に光学異方性層100を切って得られる大きな評価用断面100Eを利用して、特定断面100Sにおける第一領域110の第一遅相軸A110及び第二領域120の第二遅相軸A120を測定してもよい。この図3は、光学異方性層100の面内遅相軸A1に平行で且つ厚み方向A3に対して非平行な平面で切られた一例としての光学異方性層100の一部を模式的に示す斜視図である。具体的には、評価用断面100Eを含む切片の偏光観察によって、第一領域110及び第二領域120の消光位を特定する。特定された消光位から、評価用断面100Eにおける第一領域110の遅相軸A130及び第二領域120の遅相軸A140を得る。そして、この評価用断面100Eにおける遅相軸A130及び遅相軸A140から、計算により、特定断面100Sにおける第一遅相軸A110及び第二遅相軸A120を求めることができる。
(1.2.第一領域及び第二領域における液晶性化合物の分子の配向状態の説明)
光学異方性層100の第一領域110及び第二領域120は、前記のように、液晶組成物の硬化物によって形成されている。液晶組成物の硬化は、通常、当該液晶組成物が含む重合性の化合物の重合によって達成されるので、液晶性化合物が重合性を有する場合には、液晶組成物の硬化時に液晶性化合物が重合しうる。このように重合した液晶性化合物も、液晶組成物の硬化物に含まれる液晶性化合物に含める。液晶組成物の硬化物においては、通常、液晶性化合物の分子の配向状態は固定されている。
光学異方性層100の第一領域110及び第二領域120が、光学異方性層100の面内方向A6に対して(即ち、層平面に対して)傾斜するように配向した液晶性化合物の分子を含むので、特定断面100Sにおける第一領域110の第一遅相軸A110及び第二領域120の第二遅相軸A120は、図2に示すように、光学異方性層100の面内方向A6に対して(即ち、層平面に対して)傾斜している。この際、液晶性化合物の分子の配向状態は、所望の第一遅相軸A110及び第二遅相軸A120が得られる範囲で、任意である。
図4は、液晶性化合物の分子111及び121の配向状態の例を示すため、本発明の第一実施形態に係る光学異方体10の光学異方性層100を模式的に示す断面図である。図4に示すように、光学異方性層100の第一領域110に含まれる液晶性化合物の分子111は、チルト角が均一であってもよい。この場合、通常は、第一領域110に含まれる液晶性化合物の分子111のチルト角が、特定断面100Sにおいて第一遅相軸A110が光学異方性層100の面内方向A6に対して(即ち、層平面に対して)なす角度θ1に一致する。また、光学異方性層100の第二領域120に含まれる液晶性化合物の分子121は、チルト角が均一であってもよい。この場合、通常は、第二領域120に含まれる液晶性化合物の分子121のチルト角が、特定断面100Sにおいて第二遅相軸A120が光学異方性層100の面内方向A6に対して(即ち、層平面に対して)なす角度θ2に一致する。
図5〜図7は、それぞれ、液晶性化合物の分子111及び121の配向状態の例を示すため、本発明の第一実施形態に係る光学異方体10の光学異方性層100を模式的に示す断面図である。図5〜図7に示すように、光学異方性層100の第一領域110及び第二領域120に含まれる液晶性化合物の分子111及び液晶性化合物の分子121は、チルト角が不均一であってもよい。例えば、厚み方向A3において液晶性化合物の分子のチルト角が異なる配向があり(例えば、特許第5363022号公報、国際公開第2018/173778号(又は特願2017−060122号)、特開2018−163218号公報(又は特願2017−059327号)、特開2018−162379号公報(又は特願2017−060154号)、国際公開第2018/173773号(又は特願2017−060159号))、このような配向を第一領域110及び第二領域120に適用してもよい。
チルト角が不均一である場合、第一領域110の一側と他側とで液晶性化合物の分子111のチルト角が異なることがありえる。また、チルト角が不均一である場合、第二領域120の一側と他側とで液晶性化合物の分子121のチルト角が異なることがありえる。このような場合、第一領域110の向きと第二領域120の向きとの組み合わせは、任意である。例えば、第一領域110と第二領域120とは、図5に示すように、第一領域110のチルト角が小さい側の界面と、第二領域120のチルト角が小さい側の界面とが対向する向きで、設けられていてもよい。また、例えば、第一領域110と第二領域120とは、図6に示すように、第一領域110のチルト角が大きい側の界面と、第二領域120のチルト角が大きい側の界面とが対向する向きで、設けられていてもよい。さらに、例えば、第一領域110と第二領域120とは、図7に示すように、第一領域110のチルト角が大きい側の界面と、第二領域120のチルト角が小さい側の界面とが対向する向きで、設けられていてもよい。また、例えば、第一領域110と第二領域120とは、第一領域110のチルト角が小さい側の界面と、第二領域120のチルト角が大きい側の界面とが対向する向きで、設けられていてもよい。
(1.3.面内遅相軸の説明)
光学異方性層100を厚み方向A3から見た場合、第一領域110の面内遅相軸(図示せず)と第二領域120の面内遅相軸(図示せず)とがなす角度は、通常0°〜5°、好ましくは0°〜4°、より好ましくは0°〜3°、特に好ましくは0°〜1°である。このように、厚み方向A3から見て、第一領域110の面内遅相軸と第二領域120の面内遅相軸とは、平行又は平行に近いことが好ましい。これにより、光学異方性層100の傾斜方向におけるレターデーションの方位依存性を効果的に抑制できる。
光学異方性層100を厚み方向A3から見た場合、光学異方性層100の面内遅相軸A1と第一領域110の面内遅相軸(図示せず)とがなす角度は、通常0°〜5°、好ましくは0°〜4°、より好ましくは0°〜3°、特に好ましくは0°〜1°である。また、光学異方性層100を厚み方向A3から見た場合、光学異方性層100の面内遅相軸A1と第二領域120の面内遅相軸(図示せず)とがなす角度は、通常0°〜5°、好ましくは0°〜4°、より好ましくは0°〜3°、特に好ましくは0°〜1°である。このように、厚み方向A3から見て、光学異方性層100の面内遅相軸A1と第一領域110の面内遅相軸とは、通常、平行又は平行に近い。さらに、厚み方向A3から見て、光学異方性層100の面内遅相軸A1と第二領域120の面内遅相軸とは、通常、平行又は平行に近い。このような場合に、光学異方性層100の傾斜方向におけるレターデーションの方位依存性を効果的に抑制できる。
(1.4.面内レターデーションの説明)
光学異方性層100のレターデーションは、通常、光学異方体10の用途に応じて適切な範囲に設定される。
例えば、測定波長550nmでの光学異方性層100の面内レターデーションは、100nm以上180nm以下であってもよい。このような範囲の面内レターデーションを有する光学異方性層100は、1/4波長板として機能することが可能である。より詳細に説明すると、1/4波長板として機能できる光学異方性層100の測定波長550nmでの面内レターデーションは、好ましくは100nm以上、より好ましくは110nm以上、特に好ましくは120nm以上であり、好ましくは180nm以下、より好ましく170nm以下、特に好ましくは160nm以下である。
例えば、測定波長550nmでの光学異方性層100の面内レターデーションは、240nm以上320nm以下であってもよい。このような範囲の面内レターデーションを有する光学異方性層100は、1/2波長板として機能することが可能である。より詳細に説明すると、1/2波長板として機能できる光学異方性層100の測定波長550nmでの面内レターデーションは、好ましくは240nm以上、より好ましくは250nm以上、特に好ましくは260nm以上であり、好ましくは320nm以下、より好ましくは310nm以下、特に好ましくは300nm以下である。
光学異方性層100の面内レターデーションは、逆波長分散性であってもよく、順波長分散性であってもよい。逆波長分散性の面内レターデーションとは、波長450nmにおける面内レターデーションRe(450)及び波長550nmにおける面内レターデーションRe(550)が、下記式(N3)を満たす面内レターデーションをいう。また、順波長分散性の面内レターデーションとは、前記の面内レターデーションRe(450)及びRe(550)が、下記式(N4)を満たす面内レターデーションをいう。中でも、広い波長範囲において反射抑制能力を発揮できるようにする観点では、光学異方性層100の面内レターデーションは、逆波長分散性であることが好ましい。
Re(450)/Re(550)<1.00 (N3)
Re(450)/Re(550)>1.00 (N4)
第一領域110の面内レターデーションは、所定値以上の値であることが好ましい。第一領域110の面内レターデーションが所定値以上に大きいことにより、第一領域110と第二領域120との間でのレターデーションの方位依存性の相殺を、効果的に行うことができる。具体的には、測定波長550nmにおける第一領域110の面内レターデーションは、通常30nm以上である。さらには、第一領域110の面内レターデーションは、光学異方性層100の面内レターデーションに応じて、更に適切な範囲にあることがより好ましい。
例えば、光学異方性層100が1/4波長板として機能できる面内レターデーションを有している場合、測定波長550nmにおける第一領域110の面内レターデーションは、好ましくは30nm以上、より好ましくは40nm以上、特に好ましくは50nm以上である。このように大きい面内レターデーションを第一領域110が有していることにより、第一領域110と第二領域120との間でのレターデーションの方位依存性の相殺を、効果的に行うことができる。よって、光学異方性層100の傾斜方向におけるレターデーションの方位依存性を、効果的に抑制することが可能である。測定波長550nmにおける第一領域110の面内レターデーションの上限は、光学異方性層100の面内レターデーションを所望の範囲に収められるように設定でき、好ましくは120nm以下、より好ましくは110nm以下、特に好ましくは95nm以下である。
例えば、光学異方性層100が1/2波長板として機能できる面内レターデーションを有している場合、測定波長550nmにおける第一領域110の面内レターデーションは、好ましくは60nm以上、より好ましくは80nm以上、特に好ましくは100nm以上である。このように大きい面内レターデーションを第一領域110が有していることにより、第一領域110と第二領域120との間でのレターデーションの方位依存性の相殺を、効果的に行うことができる。よって、光学異方性層100の傾斜方向におけるレターデーションの方位依存性を、効果的に抑制することが可能である。測定波長550nmにおける第一領域110の面内レターデーションの上限は、光学異方性層100の面内レターデーションを所望の範囲に収められるように設定でき、好ましくは240nm以下、より好ましくは220nm以下、特に好ましくは190nm以下である。
第一領域110の面内レターデーションは、逆波長分散性であってもよく、順波長分散性であってもよい。中でも、逆波長分散性の面内レターデーションを有する光学異方性層100を得る観点から、第一領域110の面内レターデーションは、逆波長分散性であることが好ましい。
第二領域120の面内レターデーションは、所定値以上の値であることが好ましい。第二領域120の面内レターデーションが所定値以上に大きいことにより、第一領域110と第二領域120との間でのレターデーションの方位依存性の相殺を、効果的に行うことができる。具体的には、測定波長550nmにおける第二領域120の面内レターデーションは、通常30nm以上である。さらには、第二領域120の面内レターデーションは、光学異方性層100の面内レターデーションに応じて、更に適切な範囲にあることがより好ましい。具体的には、測定波長550nmにおける第二領域120の面内レターデーションは、測定波長550nmにおける第一領域110の面内レターデーションの範囲として説明したのと同じ範囲にあることが好ましい。さらには、第一領域110の面内レターデーション及び第二領域120の面内レターデーションの両方が、測定波長550nmにおける第一領域110の面内レターデーションの範囲として説明したのと同じ範囲にあることが好ましい。これにより、第一領域110と第二領域120との間でのレターデーションの方位依存性の相殺を、特に効果的に行うことができる。
第二領域120の面内レターデーションは、逆波長分散性であってもよく、順波長分散性であってもよい。中でも、逆波長分散性の面内レターデーションを有する光学異方性層100を得る観点から、第二領域120の面内レターデーションは、逆波長分散性であることが好ましい。
測定波長550nmにおいて、第一領域110の面内レターデーションと第二領域120の面内レターデーションとの差は、小さいことが好ましい。具体的には、前記の差は、好ましくは100nm以下、より好ましくは50nm以下、更に好ましくは30nm以下、特に好ましくは10nm以下である。このように差が小さいことにより、第一領域110と第二領域120との間でのレターデーションの方位依存性の相殺を、特に効果的に行うことができる。
(1.5.光学異方性層の特性の説明)
光学異方性層100は、傾斜方向におけるレターデーションの方位依存性が抑制されている。よって、光学異方性層100のレターデーション比R(50°)/R(0°)の方位角方向における最大値と最小値の差を、小さくできる。前記のレターデーション比R(50°)/R(0°)の方位角方向における最大値と最小値の差は、光学異方性層100の傾斜方向におけるレターデーションの方位依存性の程度を表す。具体的には、光学異方性層100のレターデーション比R(50°)/R(0°)の方位角方向における最大値と最小値の差は、好ましくは0.20以下、より好ましくは0.10以下、特に好ましくは0.05以下であり、理想的には0.00である。
前記のR(50°)とは、入射角が50°での光学異方性層100のレターデーションを表す。また、R(0°)は、入射角0°での光学異方性層100のレターデーションを表す。通常は、レターデーション比R(50°)/R(0°)は、光学異方性層100の面内遅相軸A1及び面内進相軸A2の一方に対して垂直な方位で最大となり、光学異方性層100の面内遅相軸A1及び面内進相軸A2の他方に対して垂直な方位で最小となる。よって、これらの方位間でのレターデーション比R(50°)/R(0°)の差を測定することで、レターデーション比R(50°)/R(0°)の方位角方向における最大値と最小値の差を求めることができる。
優れた視野角特性を実現する観点から、光学異方性層100の面内遅相軸A1に対して垂直な測定方向、及び、光学異方性層100の面内進相軸A2に対して垂直な測定方向、の少なくとも一方の測定方向で測定された当該光学異方性層100の平均レターデーション比R(±50°)/R(0°)が、1.00に近いことが好ましい。具体的には、前記の平均レターデーション比R(±50°)/R(0°)は、好ましくは0.90以上、より好ましくは0.95以上であり、また、好ましくは1.10以下、より好ましくは1.05以下である。R(±50°)とは、入射角が−50°及び+50°での光学異方性層100のレターデーションR(−50°)及びR(+50°)の平均値を表す。また、R(0°)は、前記の通り、入射角0°での光学異方性層100のレターデーションを表す。
一般に、画像表示装置の表示面に入射角「+φ」で入射する外光は、出射角「−φ」で反射する。よって、表示面に設けられる偏光板が光学異方体を含む場合、表示面の傾斜方向において外光は入射角「+φ」での往路と出射角「−φ」での復路とを含む経路で光学異方性層100を通過する。光学異方性層100の平均レターデーション比R(±50°)/R(0°)が1.00に近い前記の範囲にあることにより、光学異方体を含む偏光板によって、傾斜方向における外光の反射を効果的に抑制できる。具体的には、外光が光学異方性層100を入射時及び反射時の2回通る間に、その偏光状態を適切に変換して、偏光板の直線偏光子による効果的な遮断を実現することが可能となる。よって、このような光学異方体は、直線偏光子と組み合わせて偏光板を得た場合に、その偏光板による反射抑制能力を広い入射角範囲において発揮できるので、特に優れた視野角特性を得ることができる。
さらには、光学異方性層100の面内遅相軸A1に対して垂直な測定方向で測定された平均レターデーション比R(±50°)/R(0°)、及び、光学異方性層100の面内進相軸A2に対して垂直な測定方向で測定された平均レターデーション比R(±50°)/R(0°)の両方が、1.00に近い前記の範囲にあることが好ましい。一般に、光学異方性層100の平均レターデーション比R(±50°)/R(0°)は、光学異方性層100の面内遅相軸A1に垂直な方位の測定方向において最小又は最大の一方となり、光学異方性層100の面内進相軸A2に垂直な方位の測定方向において最小又は最大の他方となる。よって、面内遅相軸A1に対して垂直な測定方向及び面内進相軸A2に対して垂直な測定方向の両方で、光学異方性層100の平均レターデーション比R(±50°)/R(0°)が1.00に近い範囲にあれば、全ての方位において、光学異方性層100の平均レターデーション比R(±50°)/R(0°)を1.00に近い値にできる。したがって、反射抑制能力の方位依存性を、特に効果的に抑制できる。
(1.6.厚みの説明)
第一領域110の厚み及び第二領域120の厚みは、それぞれ独立に、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.3μm以上であり、好ましくは9μm以下、より好ましくは5μm以下である。第一領域110の厚み及び第二領域120の厚みが前記の範囲にあることにより、面内レターデーション等の特性を所望の範囲に容易に調整することができる。
光学異方性層100の厚みは、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上であり、好ましくは200μm以下、より好ましくは100μm以下である。このような厚みの光学異方性層100は、有機EL表示パネルの反射抑制フィルム用の偏光板に用いられてきた従来の位相差フィルムよりも薄いので、有機EL表示パネルの薄型化に貢献できる。
(1.7.光学異方体の特性及び形状)
光学異方体10は、透明性に優れることが好ましい。具体的には、光学異方体10の全光線透過率は、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上、特に好ましくは88%以上である。また、光学異方体10のヘイズは、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。全光線透過率は、紫外・可視分光計を用いて、波長400nm〜700nmの範囲で測定できる。また、ヘイズは、ヘイズメーターを用いて測定できる。
光学異方体10の形状は任意であるが、フィルム状であることが好ましい。この場合、光学異方性層100が面内レターデーションを有していることから、光学異方体10は、位相差フィルムとして用いることができる。
(1.8.製造方法)
上述した光学異方体10の製造方法は、特に制限は無い。例えば、光学異方体10は、
(i)液晶性化合物を含む液晶組成物で形成された層(以下、適宜「液晶組成物層」ということがある。)を用意する工程と、
(ii)液晶組成物層を貼り合わせる工程と、
(iii)貼り合わせられた液晶組成物層を硬化させる工程と、
を含む製造方法によって、製造できる。
工程(i)では、通常、適切な支持面に、液晶組成物によって液晶組成物層を形成する。支持面としては、液晶組成物層を支持できる任意の面を用いうる。この支持面としては、光学異方性層の面状態を良好にする観点から、凹部及び凸部の無い平坦面を用いることが好ましい。また、光学異方性層の生産性を高める観点から、前記の支持面としては、長尺の基材の表面を用いることが好ましい。ここで「長尺」とは、幅に対して、5倍以上の長さを有する形状をいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するフィルムの形状をいう。
基材としては、通常、樹脂フィルム又はガラス板を用いる。特に、高い温度で配向処理を行う場合、その温度に耐えられる基材を選択するのが好ましい。樹脂としては、通常、熱可塑性樹脂を用いる。中でも、配向規制力の高さ、機械的強度の高さ、及びコストの低さといった観点から、樹脂としては、正の固有複屈折値を有する樹脂が好ましい。更には、透明性、低吸湿性、寸法安定性及び軽量性に優れることから、ノルボルネン系樹脂等の、脂環式構造含有重合体を含む樹脂を用いることが好ましい。基材に含まれる樹脂の好適な例を商品名で挙げると、ノルボルネン系樹脂として、日本ゼオン社製「ゼオノア」を挙げられる。
支持面としての基材の表面には、液晶組成物層における液晶性化合物の分子の配向を促進するため、配向規制力を付与するための処理が施されていることが好ましい。配向規制力とは、液晶組成物に含まれる液晶性化合物の分子を配向させることができる、面の性質をいう。支持面に配向規制力を付与するため処理としては、例えば、光配向処理、ラビング処理、配向膜形成処理、イオンビーム配向処理、延伸処理などが挙げられる。
液晶組成物層を形成する工程(i)において、液晶組成物は、通常、流体状で用意される。そのため、通常は、支持面に液晶組成物を塗工して、液晶組成物層を形成する。液晶組成物を塗工する方法としては、例えば、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、ギャップコーティング法、及びディッピング法が挙げられる。
液晶組成物層を形成した後で、必要に応じて、液晶組成物層に含まれる液晶性化合物の分子を配向させる工程(iv)を行ってもよい。配向を行う際には、通常、液晶組成物層を、所定の温度条件に所定の時間だけ保持する。これにより、液晶組成物層において、液晶性化合物の分子が配向する。
通常、面内方向においては、液晶性化合物の分子は、支持面の配向規制力に応じた方向に配向する。また、条件が適切である場合、厚み方向においては、液晶性化合物の分子は、少なくとも一部が面内方向に対して(即ち、層平面に対して)傾斜するように配向する。前記の条件を適切に調整する方法としては、液晶組成物の組成を適切に調製する方法、液晶性化合物の分子を面内方向に対して(即ち、層平面に対して)傾斜するように配向させる配向規制力を有する支持面を用いる方法、磁界を印加する方法、配向時の温度条件を適切に調整する方法、等が挙げられる。これらの方法としては、例えば、特許第5363022号公報、国際公開第2018/173778号(又は特願2017−060122号)、特開2018−163218号公報(又は特願2017−059327号)、特開2018−162379号公報(又は特願2017−060154号)、国際公開第2018/173773号(又は特願2017−060159号)に記載の方法を適用してもよい。
中でも、配向時の温度条件を適切に調整する方法が好ましい。この方法では、前記の配向を、液晶組成物層の温度条件が、試験組成物の残留分粘度が800cp(センチポアズ)以下となる温度条件と同一になるように、行う。前記の試験組成物とは、液晶組成物から重合開始剤を除いた組成を有する組成物である。また、試験組成物の残留分粘度とは、配向時の液晶組成物層と同一温度条件における、試験組成物の残留成分の粘度である。また、試験組成物の残留成分とは、試験組成物に含まれる成分のうち、配向時の液晶組成物層と同一温度条件において気化せずに残留した成分である。このような要件を満たすように配向を行うことで、液晶組成物層に含まれる液晶性化合物の分子を面内方向に対して(即ち、層平面に対して)大きく傾斜するように配向させることができる。
配向時の液晶組成物層と同一温度条件における試験組成物の残留分粘度は、下記の方法によって測定できる。
液晶組成物から重合開始剤を除いた試験組成物を用意する。この試験組成物をロータリーエバポレーターで減圧濃縮して溶媒を除去し、残留成分を得る。この残留成分について、予め、測定温度を変化させながら粘度を測定し、測定温度とその測定温度での粘度との情報を得る。この情報を、以下、適宜「温度−粘度情報」という。この「温度−粘度情報」から、配向時の液晶組成物層の温度における粘度を、残留分粘度として読み取る。
配向時の液晶組成物層と同一温度条件において試験組成物の残留分粘度を上述した範囲に収める方法としては、例えば、配向時の液晶組成物層の温度を、適切に調整する方法が挙げられる。この方法では、通常、液晶組成物層の温度を十分に高温にすることで、この温度と同一温度条件での試験組成物の残留分粘度を低くして、上述した範囲となるように調整する。
液晶性化合物の分子を配向させる工程(iv)において、液晶組成物層の温度を所定の温度条件に保持する時間は、所望の光学異方性層100が得られる範囲で任意に設定でき、例えば30秒間〜5分間でありうる。
液晶組成物層を用意し、必要に応じて液晶性化合物の分子を配向させた後で、液晶組成物層を貼り合わせる工程(ii)を行う。本実施形態で例示したように全体が液晶組成物で形成された光学異方性層100を得ようとする場合、液晶組成物層の貼り合わせは直接に行う。液晶組成物層の貼り合わせが「直接」とは、貼り合わせられる液晶組成物層の間に他の層がないことをいう。
前記の貼り合わせでは、例えば、1つの液晶組成物層を用意した後で、その液晶組成物層を折り曲げて、貼り合わせてもよい。この場合、折り目の一側にある液晶組成物層が第一領域110に対応し、折り目の他側にある液晶組成物層が第二領域120に対応する。
また、前記の貼り合わせでは、例えば、複数の液晶組成物層を用意した後で、それらの液晶組成物層を貼り合わせてもよい。この場合、少なくとも一の液晶組成物層が第一領域110に対応し、別の少なくとも一の液晶組成物層が第二領域120に対応する。
液晶組成物層の貼り合わせを行った後で、液晶組成物層を硬化させて、液晶硬化層としての光学異方性層100を得る工程(iii)を行う。この工程(iii)では、通常、液晶性化合物の一部又は全部を重合させて、液晶組成物層を硬化させる。このように硬化させることで、貼り合わせられた液晶組成物層の界面において液晶組成物層同士が結着する。よって、液晶組成物層が硬化した領域としての第一領域110及び第二領域120を含む液晶硬化層として、光学異方性層100が得られる。重合の際、液晶性化合物は、一般に、その分子の配向状態を維持したままで重合する。よって、前記の重合により、通常は、重合前の液晶組成物に含まれていた液晶性化合物の配向状態は固定される。
重合方法としては、液晶組成物に含まれる成分の性質に適合した方法を選択しうる。重合方法としては、例えば、活性エネルギー線を照射する方法、及び、熱重合法が挙げられる。中でも、加熱が不要であり、室温で重合反応を進行させられるので、活性エネルギー線を照射する方法が好ましい。ここで、照射される活性エネルギー線には、可視光線、紫外線、及び赤外線等の光、並びに電子線等の任意のエネルギー線が含まれうる。
なかでも、操作が簡便なことから、紫外線等の光を照射する方法が好ましい。紫外線照射時の温度は、基材のガラス転移温度以下とすることが好ましく、好ましくは150℃以下、より好ましくは100℃以下、特に好ましくは80℃以下である。紫外線照射時の温度の下限は、15℃以上としうる。紫外線の照射強度は、好ましくは0.1mW/cm以上、より好ましくは0.5mW/cm以上であり、好ましくは10000mW/cm以下、より好ましくは5000mW/cm以下である。紫外線の照射量は、好ましくは0.1mJ/cm以上、より好ましくは0.5mJ/cm以上であり、好ましくは10000mJ/cm以下、より好ましくは5000mJ/cm以下である。
前記の例に係る製造方法では、光学異方性層100に含まれる液晶組成物層を一度に硬化させたが、硬化の態様はこの例に限定されない。例えば、第一領域110に対応する液晶組成物層の一部を先行して硬化させてもよく、第二領域120に対応する液晶組成物層の一部を先行して硬化させてもよい。例えば、
(v)液晶組成物の硬化物によって形成された層を用意する工程と、
(vi)この層の表面に、直接に、液晶組成物層を形成する工程と、
(vii)液晶組成物層を貼り合わせる工程と、
(viii)貼り合わせられた液晶組成物層を硬化させる工程と、
を含む製造方法を、行ってもよい。以下の説明では、工程(v)で用意される液晶組成物の硬化物によって形成された層を、光学異方性層100としての液晶硬化層全体と区別するために、適宜「第一の単位硬化層」ということがある。ここで、ある層の表面に別の層を形成する態様が「直接に」とは、これら2層の間に他の層が無いことをいう。
工程(v)は、通常、適切な支持面に、液晶組成物によって液晶組成物層を形成する工程、必要に応じて液晶組成物層に含まれる液晶性化合物の分子を配向させる工程、液晶組成物層を硬化させて第一の単位硬化層を得る工程、を含む。これらの工程における具体的な操作は、上述した工程(i)、(iv)及び(iii)と同じにできる。この工程(v)により、液晶組成物の硬化物によって形成された第一の単位硬化層が得られる。第一の単位硬化層に含まれる液晶性化合物の分子は、通常、その面内方向においては一方向に配向する。また、第一の単位硬化層に含まれる液晶性化合物の分子は、通常、その厚み方向においては、少なくとも一部が面内方向に対して(即ち、層平面に対して)傾斜するように配向する。
第一の単位硬化層を用意した後で、第一の単位硬化層の表面に、直接に、液晶組成物層を形成する工程(vi)を行う。この工程により、第一の単位硬化層上に形成された層として、液晶組成物層が用意される。液晶組成物層の形成は、通常、第一の単位硬化層の表面に液晶組成物を塗工することによって、行う。塗工方法は、工程(i)の項で説明したのと同じ方法を用いてもよい。液晶組成物を塗工する前に、第一の単位硬化層の表面には、ラビング処理等の配向規制力を付与するための処理を施してもよい。しかし、第一の単位硬化層の表面は、通常は、特段の処理を施さなくても、当該表面上に形成される液晶組成物層に含まれる液晶性化合物の分子を適切に配向させる配向規制力を有する。よって、工程数を減らして製造を効率的に進める観点では、工程(vi)は、第一の単位硬化層の表面にラビング処理を施さないことが好ましい。
第一の単位硬化層の表面に液晶組成物層を形成した後で、必要に応じて、液晶組成物層に含まれる液晶性化合物の分子を配向させる工程(ix)を行ってもよい。この工程(ix)における具体的な操作は、上述した工程(iv)と同じにできる。これにより、液晶組成物層において、液晶性化合物の分子が配向する。通常、面内方向においては、液晶組成物層に含まれる液晶性化合物の分子は、第一の単位硬化層の表面の配向規制力により、第一の単位硬化層に含まれる液晶性化合物の配向方向と同じ方向に配向する。他方、厚み方向においては、液晶組成物層に含まれる液晶性化合物の分子は、少なくとも一部が面内方向に対して(即ち、層平面に対して)傾斜するように配向する。特に、逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物(以下、適宜「逆分散液晶性化合物」ということがある。)を含む第一の単位硬化層は、当該第一の単位硬化層の表面に形成される液晶組成物層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子を、面内方向に対して(即ち、層平面に対して)大きく傾斜させる配向膜として機能できる。よって、第一遅相軸A110及び第二遅相軸A120が面内方向A6に対して(即ち、層平面に対して)なす角度θ1及びθ2が大きい光学異方性層100を容易に得ることができる。
液晶組成物層を用意し、必要に応じて液晶性化合物の分子を配向させた後で、液晶組成物層を貼り合わせる工程(vii)を行う。この貼り合わせは、通常、直接に行う。
前記の貼り合わせでは、例えば、第一の単位硬化層及び当該第一の単位硬化層上に形成された液晶組成物層を備える1つの中間フィルムを用意した後で、その中間フィルムを折り曲げて、貼り合わせてもよい。この場合、折り目の一側にある第一の単位硬化層及び液晶組成物層が第一領域110に対応し、折り目の他側にある第一の単位硬化層及び液晶組成物層が第二領域120に対応する。
また、前記の貼り合わせでは、例えば、第一の単位硬化層及び当該第一の単位硬化層上に形成された液晶組成物層を備える2つの中間フィルムを用意した後で、それらの液晶組成物層を貼り合わせてもよい。この場合、一方の中間フィルムの第一の単位硬化層及び液晶組成物層が第一領域110に対応し、他方の中間フィルムの第一の単位硬化層及び液晶組成物層が第二領域120に対応する。
液晶組成物層の貼り合わせを行った後で、液晶組成物層を硬化させて、液晶硬化層としての光学異方性層100を得る工程(viii)を行う。以下の説明では、第一の単位硬化層上に形成された液晶組成物層が硬化した層を、光学異方性層100としての液晶硬化層全体及び第一の単位硬化層と区別するために、適宜「第二の単位硬化層」ということがある。この工程(viii)における具体的な操作は、工程(iii)と同じにできる。これにより、液晶組成物層の界面において液晶組成物層同士が結着する。よって、第一の単位硬化層及び第二の単位硬化層を含む層としての第一領域110と、第一の単位硬化層及び第二の単位硬化層を含む層としての第二領域120とを含む液晶硬化層として、光学異方性層100が得られる。
以上のような製造方法により、光学異方性層100を得ることができる。したがって、上述した製造方法で光学異方性層100を製造することを含む方法により、光学異方体10を得ることができる。この製造方法は、上述した工程に組み合わせて、更に任意の工程を含んでいてもよい。
上述した製造方法では、通常、基材を含む光学異方体10が得られる。そこで、例えば、上述した製造方法は、基材を剥離する工程を含んでいてもよい。これにより、光学異方性層100自体を、光学異方体10として得ることができる。
また、上述した製造方法は、例えば、基材上に設けられた光学異方性層100を、任意のフィルム層に転写する工程を含んでいてもよい。よって、例えば、光学異方体10の製造方法は、基材上に形成された光学異方性層100と任意のフィルム層とを貼り合わせた後で、必要に応じて基材を剥離して、光学異方性層100及び任意のフィルム層を含む光学異方体10を得る工程を含んでいてもよい。この際、貼り合わせには、適切な粘着剤又は接着剤を用いてもよい。
さらに、上述した製造方法は、例えば、得られた光学異方体10に更に任意の層を設ける工程を含んでいてもよい。
[2.光学異方体の第二実施形態]
第一実施形態では、液晶組成物の硬化物のみからなる光学異方性層100を備えた光学異方体10を説明したが、光学異方体は、液晶組成物の硬化物のみからなるものに限られない。以下、その実施形態を、例を示して説明する。
図8は、本発明の第二実施形態に係る光学異方体20を模式的に示す斜視図である。また、図9は、本発明の第二実施形態に係る光学異方体20の光学異方性層200を模式的に示す断面図である。図9では、光学異方性層200を、当該光学異方性層200の面内遅相軸A1(図8参照)及び厚み方向A3(図8参照)の両方に平行な平面で切った断面200Sを示す。また、第二実施形態に係る光学異方体20では、第一実施形態に係る光学異方体10と同様の部位は、同様の符号を付して示す。
図8及び図9に示すように、本発明の第二実施形態に係る光学異方体20は、光学異方性層200が、第一領域110及び第二領域120の間に液晶組成物の硬化物以外の材料で形成された非液晶領域230を含むこと以外は、第一実施形態に係る光学異方体10と同じに設けられている。第一領域110、第二領域120及び非液晶領域230は、光学異方性層200の面内方向A6に平行に(即ち、層平面に平行に)広がる層状の領域である。また、第一領域110、第二領域120及び非液晶領域230は、光学異方性層200の厚み方向A3において異なる位置にある。このような光学異方体20は、第一実施形態に係る光学異方体10と同じ特性を有し、第一実施形態に係る光学異方体10と同じ効果を発揮できる。
非液晶領域230の材料としては、例えば、ガラス、樹脂等が挙げられる。また、非液晶領域230の材料は、1種類でもよく、2種類以上でもよい。中でも、非液晶領域230の材料は、樹脂が好ましく、特に、粘着剤又は接着剤として用いられる樹脂が好適である。これらの粘着剤又は接着剤を用いることにより、光学異方体20の製造を容易に行うことができる。
非液晶領域230は、面内レターデーションを有する光学異方性の領域であってもよいが、実質的に面内レターデーションを有さない光学等方性の領域であることが好ましい。非液晶領域230が光学等方性の領域であることにより、光学異方性層200の全体としてレターデーションの方位依存性を抑制できるとの効果を、より効果的に発揮できる。
非液晶領域230が光学等方性の領域である場合、測定波長550nmにおける当該非液晶領域230の具体的な面内レターデーションは、好ましくは10nm以下、より好ましくは5nm以下、特に好ましくは3nm以下である。
上述した光学異方体20の製造方法は、特に制限は無い。例えば、粘着剤又は接着剤で形成された非液晶領域230を備える光学異方体20は、
(x)液晶性化合物を含む液晶組成物の硬化物で形成された液晶硬化層を用意する工程と、
(xi)液晶硬化層を貼り合わせる工程と、
を含む製造方法によって、製造できる。
工程(x)は、通常、適切な支持面に、液晶組成物によって液晶組成物層を形成する工程、必要に応じて液晶組成物層に含まれる液晶性化合物の分子を配向させる工程、液晶組成物層を硬化させて液晶硬化層を得る工程、を含む。これらの工程における具体的な操作は、第一実施形態で説明した工程(i)、(iv)及び(iii)と同じにできる。この工程(x)により、液晶組成物の硬化物によって形成された液晶硬化層が得られる。液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子は、通常、その面内方向においては一方向に配向している。また、液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子は、通常、その厚み方向においては、少なくとも一部が面内方向に対して(即ち、層平面に対して)傾斜するように配向する。
また、工程(x)は、第一の単位硬化層を用意する工程、第一の単位硬化層の表面に、直接に、液晶組成物層を形成する工程、必要に応じて液晶組成物層に含まれる液晶性化合物の分子を配向させる工程、及び、液晶組成物層を硬化させて液晶硬化層を得る工程、を含んでいてもよい。これらの工程における具体的な操作は、第一実施形態で説明した工程(v)、(vi)、(ix)及び(iii)と同じにできる。この工程(x)により、第一の単位硬化層及び第二の単位硬化層を含む液晶硬化層を得ることができる。このような第一の単位硬化層と第二の単位硬化層との組み合わせによれば、逆分散液晶性化合物を用いた場合に、第一実施形態で説明したように、第一遅相軸A110及び第二遅相軸A120が面内方向A6に対して(即ち、層平面に対して)なす角度θ1及びθ2が大きい光学異方性層200を容易に得ることができる。
液晶硬化層を用意した後で、その液晶硬化層を貼り合わせる工程を行う。この貼り合わせは、接着剤又は粘着剤を用いて行う。
前記の貼り合わせでは、例えば、1つの液晶硬化層を用意した後で、その液晶硬化層を折り曲げて、貼り合わせてもよい。この場合、折り目の一側にある液晶硬化層としての第一領域110、折り目の他側にある液晶硬化層としての第二領域120、及び、それらの間にある接着剤又は粘着剤の層としての非液晶領域230を備えた光学異方性層200が得られる。
また、前記の貼り合わせでは、例えば、複数の液晶硬化層を用意した後で、それらの液晶硬化層を貼り合わせてもよい。この場合、少なくとも一の液晶硬化層としての第一領域110、別の少なくとも一の液晶硬化層としての第二領域120、及び、それらの間にある接着剤又は粘着剤の層としての非液晶領域230を備えた光学異方性層200が得られる。
以上のような製造方法により、光学異方性層200を得ることができる。したがって、上述した製造方法で光学異方性層200を製造することを含む方法により、光学異方体20を得ることができる。この製造方法は、上述した工程に組み合わせて、更に任意の工程を含んでいてもよい。任意の工程としては、例えば、第一実施形態で説明した工程が挙げられる。
[3.光学異方体のその他の実施形態]
光学異方体は、上述した第一実施形態及び第二実施形態から更に変更して実施してもよい。
第一実施形態では、第一領域110及び第二領域120のみを含む液晶硬化層を光学異方性層100として用いた例を示したが、例えば、光学異方性層100としての液晶硬化層は、第一領域110及び第二領域120に組み合わせて、任意の領域を含んでいてもよい。光学異方性層100としての液晶硬化層が含みうる任意の領域としては、例えば、液晶性化合物の分子が厚み方向に配向した領域が挙げられる。
また、第一実施形態及び第二実施形態では、第一領域110及び第二領域120の組みを1組のみ備えた光学異方性層100及び200の例を示したが、例えば、一つの光学異方性層100及び200が、2組以上の第一領域110及び第二領域120を含んでいてもよい。
さらに、光学異方体10及び20は、光学異方性層100及び200に組み合わせて、更に任意の層を含んでいてもよい。任意の層としては、例えば、光学異方性層100及び200の製造に用いる基材;位相差フィルム;フィルムの滑り性を良くするマット層;耐衝撃性ポリメタクリレート樹脂層などのハードコート層;反射防止層;防汚層;等が挙げられる。
[4.液晶組成物]
液晶組成物は、液晶性化合物を含む材料である。この液晶組成物は、2種類以上の成分を含む材料だけでなく、1種類の液晶性化合物のみを含む材料を包含する。光学異方性層の第一領域及び第二領域は、この液晶組成物の硬化物によって形成される。第一領域の形成に用いられる液晶組成物と第二領域の形成に用いられる液晶組成物は、同じでもよく、異なっていてもよい。よって、第一領域に含まれる液晶性化合物等の成分と、第二領域に含まれる液晶性化合物等の成分とは、同じでもよく、異なっていてもよい。さらに、第一領域及び第二領域が、それぞれ第一の単位硬化層及び第二の単位硬化層のような複数の層によって形成される場合、これら複数の層の形成に用いられる液晶組成物は、同じでもよく、異なっていてもよい。よって、これら複数の層に含まれる液晶性化合物等の成分は、同じでもよく、異なっていてもよい。
液晶性化合物は、液晶性を有する化合物であり、通常、当該液晶性化合物を配向させた場合に、液晶相を呈することができる。液晶性化合物は、重合性を有することが好ましい。よって、液晶性化合物は、その分子が、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びエポキシ基等の重合性基を含むことが好ましい。重合性を有する液晶性化合物は、液晶相を呈した状態で重合し、液晶相における分子の配向状態を維持したまま重合体となることができる。よって、液晶組成物の硬化物において液晶性化合物の配向状態を固定したり、液晶性化合物の重合度を高めて光学異方性層の機械的強度を高めたりすることが可能である。
液晶性化合物の分子量は、好ましくは300以上、より好ましくは500以上、特に好ましくは800以上であり、好ましくは2000以下、より好ましくは1700以下、特に好ましくは1500以下である。このような範囲の分子量を有する液晶性化合物を用いることにより、液晶組成物の塗工性を特に良好にできる。
測定波長550nmにおける液晶性化合物の複屈折Δnは、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.03以上であり、好ましくは0.15以下、より好ましくは0.10以下である。このような範囲の複屈折Δnを有する液晶性化合物を用いることにより、通常は、配向欠陥の少ない光学異方性層を得やすい。
液晶性化合物の複屈折は、例えば、下記の方法により測定できる。
液晶性化合物の層を作製し、その層に含まれる液晶性化合物をホモジニアス配向させる。その後、その層の面内レターデーションを測定する。そして、「(層の面内レターデーション)÷(層の厚み)」から、液晶性化合物の複屈折を求めることができる。この際、面内レターデーション及び厚みの測定を容易にするために、ホモジニアス配向させた液晶性化合物の層は、硬化させてもよい。
液晶性化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。また、液晶性化合物としては、逆波長分散性の複屈折を発現できる逆分散液晶性化合物を用いてもよく、順波長分散性の複屈折を発現できる順分散液晶性化合物を用いてもよく、逆分散液晶性化合物と順分散液晶性化合物との組み合わせを用いてもよい。逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物とは、当該液晶性化合物の層を形成し、その層において液晶性化合物を配向させた際に、逆波長分散性の複屈折を発現する液晶性化合物をいう。また、順波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物とは、当該液晶性化合物の層を形成し、その層において液晶性化合物を配向させた際に、順波長分散性の複屈折を発現する液晶性化合物をいう。通常は、液晶性化合物をホモジニアス配向させた場合に、液晶性化合物の層が逆波長分散性及び順波長分散性のいずれの複屈折を示すかを調べることで、その液晶性化合物が逆波長分散性及び順波長分散性のいずれの複屈折を発現するかを確認できる。液晶性化合物をホモジニアス配向させる、とは、当該液晶性化合物を含む層を形成し、その層における液晶性化合物の分子の屈折率楕円体において最大の屈折率の方向を、前記層の層平面に平行なある一の方向に配向させることをいう。
中でも、広い波長範囲において反射抑制能力を発揮できる偏光板を実現する観点から、液晶性化合物としては、逆分散液晶性化合物が好ましい。逆分散液晶性化合物の複屈折は、当該逆分散液晶性化合物の分子の屈折率楕円体において、最大の屈折率を示す方向の屈折率と、この方向に交差する別の方向の屈折率との差として発現する。また、逆分散液晶性化合物の分子構造に応じて、前記の各方向の屈折率の波長分散性は、異なりうる。よって、例えば、屈折率が相対的に大きいある方向では、長波長で測定した屈折率は、短波長で測定した屈折率よりも小さくなるが、それらの差は小さい。他方、屈折率が相対的に小さい別の方向では、長波長で測定した屈折率は、短波長で測定した屈折率よりも小さくなり、且つ、それらの差は大きい。このような例における前記方向間での屈折率差は、測定波長が短いと小さく、測定波長が長いと大きくなる。その結果、逆波長分散性の複屈折を発現できる。
逆分散液晶性化合物の例としては、下記式(I)で表されるものが挙げられる。
Figure 2019142839
式(I)において、Arは、下記式(II−1)〜式(II−7)のいずれかで表される基を示す。式(II−1)〜式(II−7)において、*は、Z又はZとの結合位置を表す。
Figure 2019142839
前記の式(II−1)〜式(II−7)において、E及びEは、それぞれ独立して、−CR1112−、−S−、−NR11−、−CO−及び−O−からなる群より選ばれる基を表す。また、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、又は、炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。中でも、E及びEは、それぞれ独立して、−S−であることが好ましい。
前記の式(II−1)〜式(II−7)において、D〜Dは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、または、置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。D〜Dが表す基の炭素原子数(置換基の炭素原子数を含む。)は、それぞれ独立して、通常、2〜100である。
〜Dにおける芳香族炭化水素環基の炭素原子数は、6〜30が好ましい。D〜Dにおける炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。中でも、芳香族炭化水素環基としては、フェニル基がより好ましい。
〜Dにおける芳香族炭化水素環基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の、炭素原子数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の、炭素原子数1〜6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数1〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;−OCF;−C(=O)−R;−O−C(=O)−R;−C(=O)−O−R;−SO;等が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
は、炭素原子数1〜6のアルキル基;並びに、炭素原子数1〜6のアルキル基若しくは炭素原子数1〜6のアルコキシ基を置換基として有していてもよい、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;からなる群より選ばれる基を表す。
は、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基;置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のアルケニル基;置換基を有していてもよい炭素原子数3〜12のシクロアルキル基;及び、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜12の芳香族炭化水素環基;からなる群より選ばれる基を表す。
における炭素原子数1〜20のアルキル基の炭素原子数は、好ましくは1〜12、より好ましくは4〜10である。Rにおける炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、1−メチルペンチル基、1−エチルペンチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、およびn−イコシル基等が挙げられる。
における炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の、炭素原子数1〜20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素原子数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素原子数1〜12のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チエニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾール−2−イルチオ基等の、炭素原子数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の、炭素原子数2〜12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の、炭素原子数6〜14のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CHCF等の、1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1〜12のフルオロアルキル基;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;及び、ベンゾジオキサニル基;等が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数2〜20のアルケニル基の炭素原子数は、好ましくは2〜12である。Rにおける炭素原子数2〜20のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、およびイコセニル基等が挙げられる。
における炭素原子数2〜20のアルケニル基が有しうる置換基としては、例えば、Rにおける炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数3〜12のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。中でも、シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基が好ましい。
における炭素原子数3〜12のシクロアルキル基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;および、フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;等が挙げられる。中でも、シクロアルキル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;および、フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;が好ましい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数6〜12の芳香族炭化水素環基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。中でも、芳香族炭化水素環基としては、フェニル基が好ましい。
における炭素原子数6〜12の芳香族炭化水素環基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の、炭素原子数1〜20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素原子数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素原子数1〜12のアルコキシ基;ニトロ基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基等の、炭素原子数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の、炭素原子数2〜12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の、炭素原子数6〜14のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CHCF等の、1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1〜12のフルオロアルキル基;−OCF;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;ベンゾジオキサニル基;等が挙げられる。中でも、芳香族炭化水素環基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の、炭素原子数1〜20のアルコキシ基;ニトロ基;フラニル基、チオフェニル基等の、炭素原子数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CHCF等の、1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1〜12のフルオロアルキル基;−OCF;が好ましい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
〜Dにおける芳香族複素環基の炭素原子数は、2〜30が好ましい。D〜Dにおける炭素原子数2〜30の芳香族複素環基としては、例えば、1−ベンゾフラニル基、2−ベンゾフラニル基、イミダゾリル基、インドリニル基、フラザニル基、オキサゾリル基、キノリル基、チアジアゾリル基、チアゾリル基、チアゾロピラジニル基、チアゾロピリジル基、チアゾロピリダジニル基、チアゾロピリミジニル基、チエニル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、ナフチリジニル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、フタラジニル基、フラニル基、ベンゾ[c]チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾトリアジニル基、ベンゾトリアゾリル基、およびベンゾピラゾリル基等が挙げられる。中でも、芳香族複素環基としては、フラニル基、ピラニル基、チエニル基、オキサゾリル基、フラザニル基、チアゾリル基、及びチアジアゾリル基等の、単環の芳香族複素環基;並びに、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キノリル基、1−ベンゾフラニル基、2−ベンゾフラニル基、フタルイミド基、ベンゾ[c]チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、チアゾロピリジル基、チアゾロピラジニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、及びベンゾチアジアゾリル基等の、縮合環の芳香族複素環基;がより好ましい。
〜Dにおける芳香族複素環基が有しうる置換基としては、例えば、D〜Dにおける芳香族炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
前記の式(II−1)〜式(II−7)において、D〜Dは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい非環状基を表す。D及びDは、一緒になって環を形成していてもよい。D〜Dが表す基の炭素原子数(置換基の炭素原子数を含む。)は、それぞれ独立して、通常、1〜100である。
〜Dにおける非環状基の炭素原子数は、1〜13が好ましい。D〜Dにおける非環状基としては、例えば、炭素原子数1〜6のアルキル基;シアノ基;カルボキシル基;炭素原子数1〜6のフルオロアルキル基;炭素原子数1〜6のアルコキシ基;−C(=O)−CH;−C(=O)NHPh;−C(=O)−OR;が挙げられる。中でも、非環状基としては、シアノ基、カルボキシル基、−C(=O)−CH、−C(=O)NHPh、−C(=O)−OC、−C(=O)−OC、−C(=O)−OCH(CH、−C(=O)−OCHCHCH(CH)−OCH、−C(=O)−OCHCHC(CH−OH、及び−C(=O)−OCHCH(CHCH)−C、が好ましい。前記のPhは、フェニル基を表す。また、前記のRは、炭素原子数1〜12の有機基を表す。Rの具体例としては、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、または、水酸基で置換されていてもよい炭素原子数1〜12のアルキル基が挙げられる。
〜Dにおける非環状基が有しうる置換基としては、例えば、D〜Dにおける芳香族炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
及びDが一緒になって環を形成している場合、前記のD及びDによって環を含む有機基が形成される。この有機基としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。下記式において、*は、各有機基が、D及びDが結合する炭素と結合する位置を表す。
Figure 2019142839
は、炭素原子数1〜3のアルキル基を表す。
**は、炭素原子数1〜3のアルキル基、及び、置換基を有していてもよいフェニル基からなる群より選ばれる基を表す。
***は、炭素原子数1〜3のアルキル基、及び、置換基を有していてもよいフェニル基からなる群より選ばれる基を表す。
****は、水素原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、水酸基、及び、−COOR13からなる群より選ばれる基を表す。R13は、炭素原子数1〜3のアルキル基を表す。
フェニル基が有しうる置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、シアノ基及びアミノ基が挙げられる。中でも、置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基及びアルコキシ基が好ましい。フェニル基が有する置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
前記の式(II−1)〜式(II−7)において、Dは、−C(R)=N−N(R)R、−C(R)=N−N=C(R)R、及び、−C(R)=N−N=Rからなる群より選ばれる基を表す。Dが表す基の炭素原子数(置換基の炭素原子数を含む。)は、通常、3〜100である。
は、水素原子;並びに、メチル基、エチル基、プロピル基、及びイソプロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;からなる群より選ばれる基を表す。
は、水素原子;並びに、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜30の有機基;からなる群より選ばれる基を表す。
における置換基を有していてもよい炭素原子数1〜30の有機基としては、例えば、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基;炭素原子数1〜20のアルキル基に含まれる−CH−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、又は、−C(=O)−に置換された基(ただし、−O−または−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く);置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のアルケニル基;置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のアルキニル基;置換基を有していてもよい炭素原子数3〜12のシクロアルキル基;置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基;置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30の芳香族複素環基;−SO;−C(=O)−R;−CS−NH−R;が挙げられる。R及びRの意味は、上述した通りである。
における炭素原子数1〜20のアルキル基の好ましい炭素原子数の範囲及び例示物は、Rにおける炭素原子数1〜20のアルキル基と同じである。
における炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の、炭素原子数1〜20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素原子数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素原子数1〜12のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基等の、炭素原子数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の、炭素原子数2〜12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の、炭素原子数6〜14のアリールオキシ基;1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1〜12のフルオロアキル基;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;ベンゾジオキサニル基;−SO;−SR;−SRで置換された炭素原子数1〜12のアルコキシ基;水酸基;等が挙げられる。R及びRの意味は、上述した通りである。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数2〜20のアルケニル基の好ましい炭素原子数の範囲及び例示物は、Rにおける炭素原子数2〜20のアルケニル基と同じである。
における炭素原子数2〜20のアルケニル基が有しうる置換基としては、例えば、Rにおける炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数2〜20のアルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基、2−プロピニル基(プロパルギル基)、ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、ペンチニル基、2−ペンチニル基、ヘキシニル基、5−ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、2−オクチニル基、ノナニル基、デカニル基、7−デカニル基等が挙げられる。
における炭素原子数2〜20のアルキニル基が有しうる置換基としては、例えば、Rにおける炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数3〜12のシクロアルキル基としては、例えば、Rにおける炭素原子数3〜12のシクロアルキル基と同じ例が挙げられる。
における炭素原子数3〜12のシクロアルキル基が有しうる置換基としては、例えば、Rにおける炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基としては、例えば、D〜Dにおける炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基と同じ例が挙げられる。
における炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基が有しうる置換基としては、例えば、D〜Dにおける芳香族炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数2〜30の芳香族複素環基としては、例えば、D〜Dにおける炭素原子数2〜30の芳香族複素環基と同じ例が挙げられる。
における炭素原子数2〜30の芳香族複素環基が有しうる置換基としては、例えば、D〜Dにおける芳香族炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
上述したものの中でも、Rとしては、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基;炭素原子数1〜20のアルキル基に含まれる−CH−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、または、−C(=O)−に置換された基(ただし、−O−または−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く);置換基を有していてもよい炭素原子数3〜12のシクロアルキル基;置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基;並びに、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30の芳香族複素環基;が好ましい。その中でも、Rとしては、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基;並びに、炭素原子数1〜20のアルキル基に含まれる−CH−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、または、−C(=O)−に置換された基(ただし、−O−または−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く);が特に好ましい。
は、炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、有機基を表す。
の好ましい例としては、(1)1以上の炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環を有する、炭素原子数6〜40の炭化水素環基、が挙げられる。この芳香族炭化水素環を有する炭化水素環基を、以下、適宜「(1)炭化水素環基」ということがある。(1)炭化水素環基の具体例としては、下記の基が挙げられる。
Figure 2019142839
(1)炭化水素環基は、置換基を有していてもよい。(1)炭化水素環基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の、炭素原子数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の、炭素原子数1〜6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;−OCF;−C(=O)−R;−O−C(=O)−R;−C(=O)−O−R;−SO;等が挙げられる。R及びRの意味は、上述した通りである。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、および、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、が好ましい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
の別の好ましい例としては、(2)炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、炭素原子数2〜40の複素環基が挙げられる。この芳香環を有する複素環基を、以下、適宜「(2)複素環基」ということがある。(2)複素環基の具体例としては、下記の基が挙げられる。Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。
Figure 2019142839
Figure 2019142839
Figure 2019142839
Figure 2019142839
Figure 2019142839
Figure 2019142839
Figure 2019142839
Figure 2019142839
(2)複素環基は、置換基を有していてもよい。(2)複素環基が有しうる置換基としては、例えば、(1)炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
の更に別の好ましい例としては、(3)炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環基からなる群より選ばれる1以上の基で置換された、炭素原子数1〜12のアルキル基が挙げられる。この置換されたアルキル基を、以下、適宜「(3)置換アルキル基」ということがある。
(3)置換アルキル基における「炭素原子数1〜12のアルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などが挙げられる。
(3)置換アルキル基における「炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基」としては、例えば、D〜Dにおける炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基と同じ例が挙げられる。
(3)置換アルキル基における「炭素原子数2〜30の芳香族複素環基」としては、例えば、D〜Dにおける炭素原子数2〜30の芳香族複素環基と同じ例が挙げられる。
(3)置換アルキル基は、更に置換基を有していてもよい。(3)置換アルキル基が有しうる置換基としては、例えば、(1)炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
の更に別の好ましい例としては、(4)炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環基からなる群より選ばれる1以上の基で置換された、炭素原子数2〜12のアルケニル基が挙げられる。この置換されたアルケニル基を、以下、適宜「(4)置換アルケニル基」ということがある。
(4)置換アルケニル基における「炭素原子数2〜12のアルケニル基」としては、例えば、ビニル基、アリル基などが挙げられる。
(4)置換アルケニル基における「炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基」としては、例えば、D〜Dにおける炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基と同じ例が挙げられる。
(4)置換アルケニル基における「炭素原子数2〜30の芳香族複素環基」としては、例えば、D〜Dにおける炭素原子数2〜30の芳香族複素環基と同じ例が挙げられる。
(4)置換アルケニル基は、更に置換基を有していてもよい。(4)置換アルケニル基が有しうる置換基としては、例えば、(1)炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
の更に別の好ましい例としては、(5)炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環基からなる群より選ばれる1以上の基で置換された、炭素原子数2〜12のアルキニル基が挙げられる。この置換されたアルキニル基を、以下、適宜「(5)置換アルキニル基」ということがある。
(5)置換アルキニル基における「炭素原子数2〜12のアルキニル基」としては、例えば、エチニル基、プロピニル基などが挙げられる。
(5)置換アルキニル基における「炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基」としては、例えば、D〜Dにおける炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基と同じ例が挙げられる。
(5)置換アルキニル基における「炭素原子数2〜30の芳香族複素環基」としては、例えば、D〜Dにおける炭素原子数2〜30の芳香族複素環基と同じ例が挙げられる。
(5)置換アルキニル基は、更に置換基を有していてもよい。(5)置換アルキニル基が有しうる置換基としては、例えば、(1)炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
の好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。
Figure 2019142839
の更に好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。
Figure 2019142839
の特に好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。
Figure 2019142839
上述したRの具体例は、更に置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の、炭素原子数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の、炭素原子数1〜6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;−OCF;−C(=O)−R;−O−C(=O)−R;−C(=O)−O−R;−SO;等が挙げられる。R及びRの意味は、上述した通りである。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、および、炭素原子数1〜6のアルコキシ基が好ましい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
は、炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、有機基を表す。
の好ましい例としては、1以上の炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環を有する、炭素原子数6〜40の炭化水素環基が挙げられる。
また、Rの別の好ましい例としては、炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、炭素原子数2〜40の複素環基が挙げられる。
の特に好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。Rの意味は、上述した通りである。
Figure 2019142839
式(II−1)〜式(II−7)のいずれかで表される基は、D〜D以外に更に置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数1〜6のアルキルスルフィニル基、カルボキシル基、炭素原子数1〜6のチオアルキル基、炭素原子数1〜6のN−アルキルスルファモイル基、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(I)におけるArの好ましい例としては、下記の式(III−1)〜式(III−10)で表される基が挙げられる。また、式(III−1)〜式(III−10)で表される基は、置換基として炭素原子数1〜6のアルキル基を有していてもよい。下記式中、*は、結合位置を表す。
Figure 2019142839
式(III−1)及び式(III−4)の特に好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。下記式中、*は、結合位置を表す。
Figure 2019142839
Figure 2019142839
Figure 2019142839
Figure 2019142839
Figure 2019142839
式(I)において、Z及びZは、それぞれ独立して、単結合、−O−、−O−CH−、−CH−O−、−O−CH−CH−、−CH−CH−O−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−S−、−S−C(=O)−、−NR21−C(=O)−、−C(=O)−NR21−、−CF−O−、−O−CF−、−CH−CH−、−CF−CF−、−O−CH−CH−O−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−、−CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH−、−CH−O−C(=O)−、−C(=O)−O−CH−、−CH−CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH−CH−、−CH−CH−O−C(=O)−、−C(=O)−O−CH−CH−、−CH=CH−、−N=CH−、−CH=N−、−N=C(CH)−、−C(CH)=N−、−N=N−、及び、−C≡C−、からなる群より選ばれるいずれかを表す。R21は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。
式(I)において、A、A、B及びBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、及び、置換基を有していてもよい芳香族基、からなる群より選ばれる基を表す。A、A、B及びBが表す基の炭素原子数(置換基の炭素原子数を含む。)は、それぞれ独立して、通常、3〜100である。中でも、A、A、B及びBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜20の環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20の芳香族基が好ましい。
、A、B及びBにおける環状脂肪族基としては、例えば、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、1,4−シクロヘプタン−1,4−ジイル基、シクロオクタン−1,5−ジイル基等の、炭素原子数5〜20のシクロアルカンジイル基;デカヒドロナフタレン−1,5−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基等の、炭素原子数5〜20のビシクロアルカンジイル基;等が挙げられる。中でも、置換されていてもよい炭素原子数5〜20のシクロアルカンジイル基が好ましく、シクロヘキサンジイル基がより好ましく、シクロヘキサン−1,4−ジイル基が特に好ましい。環状脂肪族基は、トランス体であってもよく、シス体であってもよく、シス体とトランス体との混合物であってもよい。中でも、トランス体がより好ましい。
、A、B及びBにおける環状脂肪族基が有しうる置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
、A、B及びBにおける芳香族基としては、例えば、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、4,4’−ビフェニレン基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;フラン−2,5−ジイル基、チオフェン−2,5−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピラジン−2,5−ジイル基等の、炭素原子数2〜20の芳香族複素環基;等が挙げられる。中でも、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基が好ましく、フェニレン基がさらに好ましく、1,4−フェニレン基が特に好ましい。
、A、B及びBにおける芳香族基が有しうる置換基としては、例えば、A、A、B及びBにおける環状脂肪族基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(I)において、Y〜Yは、それぞれ独立して、単結合、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−NR22−C(=O)−、−C(=O)−NR22−、−O−C(=O)−O−、−NR22−C(=O)−O−、−O−C(=O)−NR22−、及び、−NR22−C(=O)−NR23−、からなる群より選ばれるいずれかを表す。R22及びR23は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。
式(I)において、G及びGは、それぞれ独立して、炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基;並びに、炭素原子数3〜20の脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基(−CH−)の1以上が−O−又は−C(=O)−に置換された基;からなる群より選ばれる有機基を表す。G及びGの前記有機基に含まれる水素原子は、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、または、ハロゲン原子に置換されていてもよい。ただし、G及びGの両末端のメチレン基(−CH−)が−O−又は−C(=O)−に置換されることはない。
及びGにおける炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基の具体例としては、炭素原子数1〜20のアルキレン基が挙げられる。
及びGにおける炭素原子数3〜20の脂肪族炭化水素基の具体例としては、炭素原子数3〜20のアルキレン基が挙げられる。
式(I)において、P及びPは、それぞれ独立して、重合性基を表す。P及びPにおける重合性基としては、例えば、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等の、CH=CR31−C(=O)−O−で表される基;ビニル基;ビニルエーテル基;p−スチルベン基;アクリロイル基;メタクリロイル基;カルボキシル基;メチルカルボニル基;水酸基;アミド基;炭素原子数1〜4のアルキルアミノ基;アミノ基;エポキシ基;オキセタニル基;アルデヒド基;イソシアネート基;チオイソシアネート基;等が挙げられる。R31は、水素原子、メチル基、又は塩素原子を表す。中でも、CH=CR31−C(=O)−O−で表される基が好ましく、CH=CH−C(=O)−O−(アクリロイルオキシ基)、CH=C(CH)−C(=O)−O−(メタクリロイルオキシ基)がより好ましく、アクリロイルオキシ基が特に好ましい。
式(I)において、p及びqは、それぞれ独立して、0又は1を表す。
式(I)で表される逆分散液晶性化合物は、例えば、国際公開第2012/147904号に記載される、ヒドラジン化合物とカルボニル化合物との反応により製造しうる。
液晶組成物は、任意の成分として、界面活性剤を含んでいてもよい。特に、配向性に優れた液晶硬化層を安定して得る観点から、界面活性剤としては、分子中にフッ素原子を含む界面活性剤が好ましい。以下の説明において、分子中にフッ素原子を含む界面活性剤を、適宜「フッ素系界面活性剤」ということがある。
界面活性剤はノニオン系界面活性剤であることが好ましい。界面活性剤がイオン性基を含まないノニオン系界面活性剤である場合に、液晶硬化層の面状態及び配向性を、特に良好にすることができる。
界面活性剤は、重合性を有さなくてもよく、重合性を有していてもよい。重合性を有する界面活性剤は、液晶組成物層を硬化させる工程で重合できるので、通常は、液晶組成物の硬化物においては重合体の分子の一部に含まれる。
界面活性剤としては、例えば、AGCセイミケミカル社製のサーフロンシリーズ(S420など)、ネオス社製のフタージェントシリーズ(251、FTX−212M、FTX−215M、FTX−209など)、DIC社製のメガファックシリーズ(F−444、F−562など)等のフッ素系界面活性剤が挙げられる。また、界面活性剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤の量は、液晶性化合物100重量部に対して、好ましくは0.03重量部以上、より好ましくは0.05重量部以上であり、好ましくは0.50重量部以下、より好ましくは0.30重量部以下である。界面活性剤の量が前記の範囲にあることにより、配向性に優れた液晶硬化層を得ることができる。
液晶組成物は、任意の成分として、重合開始剤を含んでいてもよい。重合開始剤の種類は、液晶組成物に含まれる重合性の化合物の種類に応じて選択しうる。例えば、重合性の化合物がラジカル重合性であれば、ラジカル重合開始剤を使用しうる。また、重合性の化合物がアニオン重合性であれば、アニオン重合開始剤を使用しうる。さらに、重合性の化合物がカチオン重合性であれば、カチオン重合開始剤を使用しうる。重合開始剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
重合開始剤の量は、液晶性化合物100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上であり、好ましくは30重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。重合開始剤の量が前記範囲に収まることにより、重合を効率的に進行させることができる。
液晶組成物は、任意の成分として、溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、液晶性化合物を溶解できるものが好ましい。このような溶媒としては、通常、有機溶媒を用いる。有機溶媒の例としては、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;酢酸ブチル、酢酸アミル等の酢酸エステル溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素溶媒;1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル溶媒;及びトルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶媒;が挙げられる。また、溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
溶媒の沸点は、取り扱い性に優れる観点から、好ましくは60℃〜250℃、より好ましくは60℃〜150℃である。
溶媒の量は、液晶性化合物100重量部に対して、好ましくは200重量部以上、より好ましくは250重量部以上、特に好ましくは300重量部以上であり、好ましくは650重量部以下、より好ましくは550重量部以下、特に好ましくは450重量部以下である。溶媒の量を、前記範囲の下限値以上にすることにより異物発生の抑制ができ、前記範囲の上限値以下にすることにより乾燥負荷の低減ができる。
液晶組成物が含みうるその他の任意の成分としては、例えば、金属;金属錯体;酸化チタン等の金属酸化物;染料、顔料等の着色剤;蛍光材料、燐光材料等の発光材料;レベリング剤;チキソ剤;ゲル化剤;多糖類;紫外線吸収剤;赤外線吸収剤;抗酸化剤;イオン交換樹脂;等が挙げられる。これらの成分の量は、液晶性化合物の合計100重量部に対して、各々0.1重量部〜20重量部としうる。
[5.偏光板]
上述した光学異方体を用いることにより、偏光板を得ることができる。この偏光板は、通常、光学異方体及び直線偏光子を備える。偏光板は、円偏光板又は楕円偏光板として機能できることが好ましい。このような偏光板は、有機EL表示パネルに設けることにより、有機EL表示パネルの表示面の正面方向において外光の反射を抑制できる。
また、光学異方体の光学異方性層は、特定断面において面内方向に対して(即ち、層平面に対して)傾斜した第一遅相軸及び第二遅相軸を有する第一領域及び第二領域を含むことから分かるように、その面内方向だけでなく厚み方向においても複屈折を適切に調整されることができる。よって、偏光板は、有機EL表示パネルの表示面の正面方向だけでなく傾斜方向においても外光の反射を抑制できる。
さらに、上述した光学異方体は、第一領域及び第二領域を含む光学異方性層の全体として、レターデーションの方位依存性を抑制できる。よって、偏光板は、傾斜方向における反射抑制能力の方位依存性を抑制できる。
したがって、光学異方体を備えた偏光板によれば、広い範囲の方位において優れた視野角を有する有機EL表示パネルを実現することができる。
直線偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素又は二色性染料を吸着させた後、ホウ酸浴中で一軸延伸することによって得られるフィルム;ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素又は二色性染料を吸着させ延伸しさらに分子鎖中のポリビニルアルコール単位の一部をポリビニレン単位に変性することによって得られるフィルム;が挙げられる。また、直線偏光子の他の例としては、グリッド偏光子、多層偏光子などの、偏光を反射光と透過光に分離する機能を有する偏光子が挙げられる。これらのうち、直線偏光子としては、ポリビニルアルコールを含有する偏光子が好ましい。
直線偏光子に自然光を入射させると、一方の偏光だけが透過する。この直線偏光子の偏光度は特に限定されないが、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上である。
また、直線偏光子の厚みは、好ましくは5μm〜80μmである。
偏光板を円偏光板として機能させたい場合、厚み方向から見て直線偏光子の偏光吸収軸に対して光学異方性層の面内遅相軸がなす角度は、45°またはそれに近い角度であることが好ましい。前記の角度は、具体的には、好ましくは45°±5°(即ち40°〜50°)、より好ましくは45°±4°(即ち41°〜49°)、特に好ましくは45°±3°(即ち42°〜48°)である。
偏光板は、直線偏光子、光学異方体以外に、更に任意の層を含んでいてもよい。任意の層としては、例えば、直線偏光子と光学異方体とを貼り合わせるための接着層;直線偏光子を保護するための偏光子保護フィルム層;などが挙げられる。
[6.有機EL表示パネル]
上述した偏光板は、反射抑制フィルムとして、有機EL表示パネルに設けてもよい。このような有機EL表示パネルは、通常、表示素子として有機EL素子を含み、この有機EL素子の視認側に、偏光板が設けられる。また、偏光板は、有機EL素子と直線偏光子との間に光学異方体が設けられるように、配置される。
以下、偏光板が円偏光板として機能する場合を例に挙げて、反射抑制の仕組みを説明する。装置外部から入射した光は、その一部の直線偏光のみが直線偏光子を通過し、次にそれが光学異方体の光学異方性層を通過することにより、円偏光となる。円偏光は、有機EL表示パネル内の光を反射する構成要素(有機EL素子の反射電極等)により反射され、再び光学異方体の光学異方性層を通過することにより、入射した直線偏光の振動方向と直交する振動方向を有する直線偏光となり、直線偏光子を通過しなくなる。ここで、直線偏光の振動方向とは、直線偏光の電場の振動方向を意味する。これにより、反射抑制の機能が達成される。このような反射抑制の原理は、特開平9−127885号公報を参照してよい。
有機EL素子は、通常、透明電極層、発光層及び電極層をこの順に備え、透明電極層及び電極層から電圧を印加されることにより発光層が光を生じうる。有機発光層を構成する材料の例としては、ポリパラフェニレンビニレン系、ポリフルオレン系、およびポリビニルカルバゾール系の材料を挙げることができる。また、発光層は、複数の発光色が異なる層の積層体、あるいはある色素の層に異なる色素がドーピングされた混合層を有していてもよい。さらに、有機EL素子は、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、等電位面形成層、電荷発生層等の機能層を備えていてもよい。
また、有機EL表示パネルにおいて、光学異方体は、反射抑制フィルム以外の用途で設けられていてもよい。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り、重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温常圧大気中において行った。
以下の説明において、レターデーションの測定波長は、別に断らない限り、550nmであった。また、以下の実施例及び比較例で用いた粘着剤及び光学等方性の樹脂フィルムは、光学等方性を有するので、レターデーションの測定結果に影響を与えない。
後述する実施例1〜17において、液晶組成物層に含まれる液晶性化合物を配向させる際の加熱条件は、いずれも、使用した液晶組成物に対応する試験組成物の残留分粘度が800cP以下となる温度条件であった。
[特定断面において遅相軸が面内方向に対して(即ち、層平面に対して)なす角度の測定方法]
液晶硬化層を、当該液晶硬化層の面内遅相軸及び厚み方向の両方に平行な特定断面が現れるように切った。現れた特定断面を含む切片を、偏光顕微鏡を用いてクロスニコルにて偏光観察した。この偏光観察は、前記特定断面に垂直な軸を中心にして液晶硬化層を回転させながら行った。この偏光観察により、消光位を特定した。特定された消光位から、前記特定断面における液晶硬化層の遅相軸を測定した。その後、この遅相軸が液晶硬化層の面内方向に対して(即ち、層平面に対して)なす角度を求めた。
また、特に実施例13では、液晶硬化層の全体の遅相軸を測定するのではなく、液晶硬化層の第一領域の第一遅相軸が液晶硬化層の面内方向に対して(即ち、層平面に対して)なす角度θ1と、第二領域の第二遅相軸が液晶硬化層の面内方向に対して(即ち、層平面に対して)なす角度θ2とを、それぞれ測定した。
[面内レターデーションReの測定方法]
液晶硬化層の面内レターデーションは、位相差計(Axometrics社製「AxoScan」)を用いて測定した。
[波長分散性の測定方法]
測定波長450nm及び550nmにおける液晶硬化層の面内レターデーションRe(450)及びRe(550)を測定した。測定結果から、下記の基準により、波長分散性を判定した。
「逆波長分散性」:Re(450)<Re(550)
「順波長分散性」:Re(450)>Re(550)
[視野角特性の評価方法]
(視野角F)
光学異方体のレターデーションを、位相差計(Axometrics社製「AxoScan」)を用いて、入射角が−50°〜+50°の範囲で測定した。この測定は、測定方向が光学異方性層の面内遅相軸に対して垂直になるように、光学異方体を、光学異方性層の面内遅相軸に平行な回転軸を中心に回転させて行った。
入射角が−50°、0°及び+50°のレターデーションR(−50°)、R(0°)及びR(+50°)から、下記の式(X1)により、視野角評価用のF値を求めた。
F値=[{R(−50°)/2}+{R(+50°)/2}]/R(0°) (X1)
得られたF値に対し、下記の基準により、評価点を与えた。
1点:F<0.90
2点:0.90≦F<0.95
3点:0.95≦F≦1.05
2点:1.05<F≦1.10
1点:1.10<F
(視野角S)
光学異方体のレターデーションを、位相差計(Axometrics社製「AxoScan」)を用いて、入射角が−50°〜+50°の範囲で測定した。この測定は、測定方向が光学異方体の面内進相軸に対して垂直になるように、光学異方体を、当該光学異方体の面内進相軸に平行な回転軸を中心に回転させて行った。
入射角が−50°、0°及び+50°のレターデーションR(−50°)、R(0°)及びR(+50°)から、下記の式(X2)により、視野角評価用のS値を求めた。
S値=[{R(−50°)/2}+{R(+50°)/2}]/R(0°) (X2)
得られたS値に対し、下記の基準により、評価点を与えた。
1点:S<0.90
2点:0.90≦S<0.95
3点:0.95≦S≦1.05
2点:1.05<S≦1.10
1点:1.10<S
(視野角の総合評価)
前記のF値に対する評価点とS値に対する評価点とを合計した。そして、得られた評価点の合計に基づき、下記の基準によって視野角の総合評価を行った。
「A」:評価点の合計が6点以上。
「B」:F値の評価点及びS値の評価点の一方が3点以上、かつ、評価点の合計が4点以上6点未満。
「C」:F値の評価点及びS値の評価点の両方が3点未満、かつ、評価点の合計が4点以上6点未満。
「D」:評価点の合計が4点未満。
[レターデーションの方位角方向における最大値と最小値の差の評価方法]
前記の光学異方体の、面内遅相軸に対して垂直な測定方向で測定したレターデーションR(−50°)及びR(+50°)、並びに、面内進相軸に対して垂直な測定方向で測定したレターデーションR(−50°)及びR(+50°)を、入射角50°でのレターデーションR(50°)として求めた。そして、これらのレターデーションR(50°)を、入射角0°でのレターデーションR(0°)でそれぞれ割って、光学異方性層100のレターデーション比R(50°)/R(0°)を求めた。求められたレターデーション比R(50°)/R(0°)のうち、最大値と最小値との差を計算して、光学異方性層のレターデーション比R(50°)/R(0°)の方位角方向における最大値と最小値の差ΔR(50°)/R(0°)を得た。この最大値と最小値の差ΔR(50°)/R(0°)が小さいほど、光学異方性層の傾斜方向におけるレターデーションの方位角方向における最大値と最小値の差が効果的に抑制されているので、すなわち、光学異方性層の傾斜方向におけるレターデーションの方位依存性が抑制されていることを表す。
[実施例1]
(液晶組成物の製造)
下記式で表される重合性を有する逆分散液晶性化合物Aを100重量部、フッ素系界面活性剤(AGCセイミケミカル社製「S420」)0.15重量部、光重合開始剤(BASF社製「IrgacureOXE04」)4.3重量部、並びに、溶媒としてシクロペンタノン162.3重量部及び1,3−ジオキソラン243.5重量部を混合して、液晶組成物を製造した。
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(液晶硬化層を含む中間フィルムの製造)
支持基材として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡社製「A4100」、厚み100μm;以下、適宜「PETフィルム」ということがある。)を用意した。このPETフィルムは、片面に易滑処理が施されたフィルムである。
このPETフィルムの非易滑処理面に、ラビング処理を施した。その後、PETフィルムのラビング処理面に、ワイヤーバーを使用して、前記の液晶組成物を塗工して、液晶組成物層を形成した。
前記の液晶組成物層を、135℃で4分間加熱して、層内の液晶性化合物を配向させた。
その後、液晶組成物層に窒素雰囲気下で500mJ/cmの紫外線を照射して、液晶組成物層を硬化させて、厚さ0.4μmの第一の単位硬化層を形成した。
この第一の単位硬化層の表面に、ラビング処理を施した。そして、第一の単位硬化層のラビング処理面に、ワイヤーバーを使用して、前記第一の単位硬化層の形成に用いた残りの液晶組成物を塗工して、液晶組成物層を形成した。
前記の液晶組成物層を、135℃で4分間加熱して、層内の液晶性化合物を配向させた。
その後、液晶組成物層に窒素雰囲気下で500mJ/cmの紫外線を照射して、液晶組成物層を硬化させて、第二の単位硬化層を形成した。
これにより、PETフィルムと、第一の単位硬化層及び第二の単位硬化層を含む液晶硬化層と、を備えた中間フィルムを得た。この液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子は、当該液晶硬化層の面内方向に対して(即ち、層平面に対して)傾斜しているが、そのチルト角は不均一である。具体的には、液晶硬化層のPETフィルム側の面において液晶性化合物の分子のチルト角が相対的に小さく、液晶硬化層の空気側の面において液晶性化合物の分子のチルト角が相対的に大きい。得られた中間フィルムを用いて、上述した方法により、液晶硬化層の評価を行った。
(光学異方体の製造)
前記の中間フィルムから、第一フィルム片及び第二フィルム片という2枚のフィルム片を切り取った。第一フィルム片の液晶硬化層と第二フィルム片の液晶硬化層とを、粘着剤(日東電工社製「CS9621T」)によって貼り合わせた。以下の説明において、第一フィルム片の液晶硬化層を「第一液晶硬化層」、第二フィルム片の液晶硬化層を「第二液晶硬化層」ということがある。また、前記の貼り合わせは、下記の条件(X3)及び(X4)を満たすように行った。
(X3)第一液晶硬化層の面内遅相軸と、第二液晶硬化層の面内遅相軸とが、平行になる。
(X4)得られる光学異方体の光学異方性層を、光学異方性層の面内遅相軸及び厚み方向の両方に平行な平面で切った特定断面において、第一液晶硬化層の遅相軸と、第二液晶硬化層の遅相軸とが、表1に示す交差角度Δθをなす。
その後、第一フィルム片のPETフィルムを剥がした。PETフィルムを剥がしたことで現れた第一液晶硬化層の面と、光学等方性の樹脂フィルム(日本ゼオン社製のノルボルネン樹脂フィルム「ゼオノアフィルム」)とを、前記の粘着剤によって貼り合わせた。そして、第二フィルム片のPETフィルムを剥がして、「樹脂フィルム/粘着剤層/第一液晶硬化層/粘着剤層/第二液晶硬化層」の層構成を有する光学異方体を得た。この光学異方体において、「第一液晶硬化層/粘着剤層/第二液晶硬化層」の部分が、光学異方性層に相当し、第一液晶硬化層が第一領域に相当し、第二液晶硬化層が第二領域に相当する。よって、実施例1で得られた光学異方性層においては、第一領域のチルト角が大きい側の面と、第二領域のチルト角が大きい側の面とが、対向している(図6参照)。
得られた光学異方体を、上述した方法で評価した。
[実施例2]
実施例2は、第一領域に相当する第一液晶硬化層と第二領域に相当する第二液晶硬化層との貼り合わせの向きを実施例1から変更した実施例である。この実施例2の具体的操作は、下記の通りである。
実施例1で製造した中間フィルムから、第一フィルム片及び第二フィルム片という2枚のフィルム片を切り取った。第二フィルム片の第二液晶硬化層と、光学等方性の樹脂フィルムとを、前記の粘着剤によって貼り合わせた。その後、PETフィルムを剥がして、樹脂フィルム/粘着剤層/第二液晶硬化層の層構成を有する複層フィルムを得た。
その後、この複層フィルムの第二液晶硬化層と、第一フィルム片の第一液晶硬化層とを、前記の粘着剤によって貼り合わせた。この貼り合わせは、実施例1で説明した条件(X3)及び(X4)を満たすように行った。次いで、第一フィルム片のPETフィルムを剥がして、「第一液晶硬化層/粘着剤層/第二液晶硬化層/粘着層/樹脂フィルム」の層構成を有する光学異方体を得た。この光学異方体において、「第一液晶硬化層/粘着剤層/第二液晶硬化層」の部分が、光学異方性層に相当し、第一液晶硬化層が第一領域に相当し、第二液晶硬化層が第二領域に相当する。よって、実施例2で得られた液晶硬化層においては、第一領域のチルト角が大きい側の面と、第二領域のチルト角が小さい側の面とが、対向している(図7参照)。
得られた光学異方体を、上述した方法で評価した。
[実施例3]
実施例3は、第一領域に相当する第一液晶硬化層と第二領域に相当する第二液晶硬化層との貼り合わせの向きを実施例1から変更した実施例である。この実施例3の具体的操作は、下記の通りである。
実施例1で製造した中間フィルムから、第一フィルム片及び第二フィルム片という2枚のフィルム片を切り取った。
第一フィルム片の第一液晶硬化層を、光学等方性の樹脂フィルムに、前記の粘着剤によって貼り合わせた。その後、PETフィルムを剥がして、「樹脂フィルム/粘着剤層/第一液晶硬化層」の層構成を有する複層フィルムを得た。
また、同様に、第二フィルム片の第二液晶硬化層を、光学等方性の樹脂フィルムに、前記の粘着剤によって貼り合わせた。その後、PETフィルムを剥がして、「樹脂フィルム/粘着剤層/第二液晶硬化層」の層構成を有する複層フィルムを得た。
その後、これらの複層フィルムの第一液晶硬化層と第二液晶硬化層とを、前記の粘着剤によって貼り合わせた。この貼り合わせは、実施例1で説明した条件(X3)及び(X4)を満たすように行った。これにより、樹脂フィルム/粘着剤層/第一液晶硬化層/粘着剤層/第二液晶硬化層/粘着剤層/樹脂フィルムの層構成を有する光学異方体を得た。この光学異方体において、「第一液晶硬化層/粘着剤層/第二液晶硬化層」の部分が、光学異方性層に相当し、第一液晶硬化層が第一領域に相当し、第二液晶硬化層が第二領域に相当する。よって、実施例3で得られた液晶硬化層においては、第一領域のチルト角が小さい側の面と、第二領域のチルト角が小さい側の面とが、対向している(図5参照)。
得られた光学異方体を、上述した方法で評価した。
[実施例4]
実施例4は、第一領域の第一遅相軸が面内方向に対して(即ち、層平面に対して)なす角度θ1及び第二領域の第二遅相軸が面内方向に対して(即ち、層平面に対して)なす角度θ2を実施例1から変更した実施例である。この実施例4の具体的操作は、下記の通りである。
液晶組成物の塗工厚みを変更して第一の単位硬化層及び第二の単位硬化層の厚みを変更し、さらに配向時の温度を120℃に変更することにより、液晶硬化層の特定断面において液晶硬化層の遅相軸が液晶硬化層の面内方向に対して(即ち、層平面に対して)なす角度を、20°に変更した。以上の事項以外は、実施例1と同じ操作を行って、光学異方体の製造及び評価を行った。
[実施例5]
実施例5は、第一領域の第一遅相軸が面内方向に対して(即ち、層平面に対して)なす角度θ1及び第二領域の第二遅相軸が面内方向に対して(即ち、層平面に対して)なす角度θ2を実施例1から変更した実施例である。この実施例5の具体的操作は、下記の通りである。
液晶組成物の塗工厚みを変更して第一の単位硬化層及び第二の単位硬化層の厚みを変更し、さらに配向時の温度を130℃に変更することにより、液晶硬化層の特定断面において液晶硬化層の遅相軸が液晶硬化層の面内方向に対して(即ち、層平面に対して)なす角度を、25°に変更した。以上の事項以外は、実施例1と同じ操作を行って、光学異方体の製造及び評価を行った。
[実施例6]
実施例6は、使用する液晶性化合物の種類を実施例1から変更し、第一領域の第一遅相軸が面内方向に対して(即ち、層平面に対して)なす角度θ1及び第二領域の第二遅相軸が面内方向に対して(即ち、層平面に対して)なす角度θ2を実施例1から変更した実施例である。この実施例6の具体的操作は、下記の通りである。
液晶性化合物の種類を、逆分散液晶性化合物Aから、下記式で表される重合性を有する順分散液晶性化合物Bに変更した。さらに、液晶組成物の塗工厚みを変更して、第一の単位硬化層及び第二の単位硬化層の厚みを変更することにより、液晶硬化層の特定断面において液晶硬化層の遅相軸が液晶硬化層の面内方向に対して(即ち、層平面に対して)なす角度を、35°に変更した。以上の事項以外は、実施例1と同じ操作を行って、光学異方体の製造及び評価を行った。
Figure 2019142839
[実施例7]
実施例7は、使用する液晶性化合物の種類を実施例1から一部変更し、更に、第一領域の第一遅相軸が面内方向に対して(即ち、層平面に対して)なす角度θ1及び第二領域の第二遅相軸が面内方向に対して(即ち、層平面に対して)なす角度θ2を実施例1から変更した実施例である。この実施例7の具体的操作は、以下の通りである。
液晶組成物の塗工厚みを変更して第一の単位硬化層及び第二の単位硬化層の厚みを変更し、さらに配向時の温度を130℃に変更することにより、液晶硬化層の特定断面において液晶硬化層の遅相軸が液晶硬化層の面内方向に対して(即ち、層平面に対して)なす角度を、25°に変更した。以上の事項以外は、実施例1の工程(液晶組成物の製造)及び工程(液晶硬化層を含む中間フィルムの製造)と同じ操作を行って、第一中間フィルムを得た。こうして得られた第一中間フィルムから、第一フィルム片を切り取った。
他方、液晶性化合物の種類を、逆分散液晶性化合物Aから、順分散液晶性化合物Bに変更した。さらに、液晶組成物の塗工厚みを変更して、第一の単位硬化層及び第二の単位硬化層の厚みを変更することにより、液晶硬化層の特定断面において液晶硬化層の遅相軸が液晶硬化層の面内方向に対して(即ち、層平面に対して)なす角度を、35°に変更した。以上の事項以外は、実施例1の工程(液晶組成物の製造)及び工程(液晶硬化層を含む中間フィルムの製造)と同じ操作を行って、第二中間フィルムを得た。こうして得られた第二中間フィルムから、第二フィルム片を切り出した。
実施例1で用意した第一フィルム片及び第二フィルム片の代わりに、本実施例で用意した第一フィルム片及び第二フィルム片を用いたこと以外は、実施例1の工程(光学異方体の製造)と同じ操作を行って、光学異方体の製造及び評価を行った。
[実施例8]
実施例8は、使用する液晶性化合物の種類を実施例1から一部変更し、更に、第一領域の第一遅相軸が面内方向に対して(即ち、層平面に対して)なす角度θ1及び第二領域の第二遅相軸が面内方向に対して(即ち、層平面に対して)なす角度θ2を実施例1から変更した実施例である。この実施例8の具体的操作は、以下の通りである。
液晶性化合物の種類を、逆分散液晶性化合物Aから、順分散液晶性化合物Bに変更した。さらに、液晶組成物の塗工厚みを変更して、第一の単位硬化層及び第二の単位硬化層の厚みを変更することにより、液晶硬化層の特定断面において液晶硬化層の遅相軸が液晶硬化層の面内方向に対して(即ち、層平面に対して)なす角度を、35°に変更した。以上の事項以外は、実施例1の工程(液晶組成物の製造)及び工程(液晶硬化層を含む中間フィルムの製造)と同じ操作を行って、第一中間フィルムを得た。こうして得られた第一中間フィルムから、第一フィルム片を切り取った。
他方、液晶組成物の塗工厚みを変更して第一の単位硬化層及び第二の単位硬化層の厚みを変更し、さらに配向時の温度を130℃に変更することにより、液晶硬化層の特定断面において液晶硬化層の遅相軸が液晶硬化層の面内方向に対して(即ち、層平面に対して)なす角度を、25°に変更した。以上の事項以外は、実施例1の工程(液晶組成物の製造)及び工程(液晶硬化層を含む中間フィルムの製造)と同じ操作を行って、第二中間フィルムを得た。こうして得られた第二中間フィルムから、第二フィルム片を切り出した。
実施例1で用意した第一フィルム片及び第二フィルム片の代わりに、本実施例で用意した第一フィルム片及び第二フィルム片を用いたこと以外は、実施例1の工程(光学異方体の製造)と同じ操作を行って、光学異方体の製造及び評価を行った。
[実施例9]
実施例9は、第一領域に相当する液晶硬化層の面内レターデーション及び第二領域に相当する液晶硬化層の面内レターデーションを実施例1から変更した実施例である。この実施例9の具体的操作は、以下の通りである。
液晶組成物の塗工厚みを変更して、第一の単位硬化層及び第二の単位硬化層の厚みを変更することにより、液晶硬化層の面内レターデーションを91nmに変更した。以上の事項以外は、実施例1の工程(液晶組成物の製造)及び工程(液晶硬化層を含む中間フィルムの製造)と同じ操作を行って、第一中間フィルムを得た。こうして得られた第一中間フィルムから、第一フィルム片を切り取った。
他方、液晶組成物の塗工厚みを変更して、第一の単位硬化層及び第二の単位硬化層の厚みを変更することにより、液晶硬化層の面内レターデーションを53nmに変更した。以上の事項以外は、実施例1の工程(液晶組成物の製造)及び工程(液晶硬化層を含む中間フィルムの製造)と同じ操作を行って、第二中間フィルムを得た。こうして得られた第二中間フィルムから、第二フィルム片を切り出した。
実施例1で用意した第一フィルム片及び第二フィルム片の代わりに、本実施例で用意した第一フィルム片及び第二フィルム片を用いたこと以外は、実施例1の工程(光学異方体の製造)と同じ操作を行って、光学異方体の製造及び評価を行った。
[実施例10]
実施例10は、第一領域に相当する液晶硬化層の面内レターデーション及び第二領域に相当する液晶硬化層の面内レターデーションを実施例1から変更した実施例である。この実施例10の具体的操作は、以下の通りである。
液晶組成物の塗工厚みを変更して、第一の単位硬化層及び第二の単位硬化層の厚みを変更することにより、液晶硬化層の面内レターデーションを53nmに変更した。以上の事項以外は、実施例1の工程(液晶組成物の製造)及び工程(液晶硬化層を含む中間フィルムの製造)と同じ操作を行って、第一中間フィルムを得た。こうして得られた第一中間フィルムから、第一フィルム片を切り取った。
他方、液晶組成物の塗工厚みを変更して、第一の単位硬化層及び第二の単位硬化層の厚みを変更することにより、液晶硬化層の面内レターデーションを91nmに変更した。以上の事項以外は、実施例1の工程(液晶組成物の製造)及び工程(液晶硬化層を含む中間フィルムの製造)と同じ操作を行って、第二中間フィルムを得た。こうして得られた第二中間フィルムから、第二フィルム片を切り出した。
実施例1で用意した第一フィルム片及び第二フィルム片の代わりに、本実施例で用意した第一フィルム片及び第二フィルム片を用いたこと以外は、実施例1の工程(光学異方体の製造)と同じ操作を行って、光学異方体の製造及び評価を行った。
[実施例11]
実施例11は、第一領域に相当する液晶硬化層の面内レターデーション及び第二領域に相当する液晶硬化層の面内レターデーションを実施例1から変更した実施例である。この実施例11の具体的操作は、以下の通りである。
液晶組成物の塗工厚みを変更して、第一の単位硬化層及び第二の単位硬化層の厚みを変更することにより、液晶硬化層の面内レターデーションを108nmに変更した。以上の事項以外は、実施例1の工程(液晶組成物の製造)及び工程(液晶硬化層を含む中間フィルムの製造)と同じ操作を行って、第一中間フィルムを得た。こうして得られた第一中間フィルムから、第一フィルム片を切り取った。
他方、液晶組成物の塗工厚みを変更して、第一の単位硬化層及び第二の単位硬化層の厚みを変更することにより、液晶硬化層の面内レターデーションを38nmに変更した。以上の事項以外は、実施例1の工程(液晶組成物の製造)及び工程(液晶硬化層を含む中間フィルムの製造)と同じ操作を行って、第二中間フィルムを得た。こうして得られた第二中間フィルムから、第二フィルム片を切り出した。
実施例1で用意した第一フィルム片及び第二フィルム片の代わりに、本実施例で用意した第一フィルム片及び第二フィルム片を用いたこと以外は、実施例1の工程(光学異方体の製造)と同じ操作を行って、光学異方体の製造及び評価を行った。
[実施例12]
実施例12は、第一領域に相当する液晶硬化層の面内レターデーション及び第二領域に相当する液晶硬化層の面内レターデーションを実施例1から変更した実施例である。この実施例12の具体的操作は、以下の通りである。
液晶組成物の塗工厚みを変更して、第一の単位硬化層及び第二の単位硬化層の厚みを変更することにより、液晶硬化層の面内レターデーションを38nmに変更した。以上の事項以外は、実施例1の工程(液晶組成物の製造)及び工程(液晶硬化層を含む中間フィルムの製造)と同じ操作を行って、第一中間フィルムを得た。こうして得られた第一中間フィルムから、第一フィルム片を切り取った。
他方、液晶組成物の塗工厚みを変更して、第一の単位硬化層及び第二の単位硬化層の厚みを変更することにより、液晶硬化層の面内レターデーションを108nmに変更した。以上の事項以外は、実施例1の工程(液晶組成物の製造)及び工程(液晶硬化層を含む中間フィルムの製造)と同じ操作を行って、第二中間フィルムを得た。こうして得られた第二中間フィルムから、第二フィルム片を切り出した。
実施例1で用意した第一フィルム片及び第二フィルム片の代わりに、本実施例で用意した第一フィルム片及び第二フィルム片を用いたこと以外は、実施例1の工程(光学異方体の製造)と同じ操作を行って、光学異方体の製造及び評価を行った。
[実施例13]
実施例13は、粘着剤層を含まない、液晶硬化層のみを含む光学異方性層を製造した実施例である。この実施例13の具体的操作は、下記の通りである。
実施例1と同じく、支持基材としてのPETフィルムの非易滑処理面に、ラビング処理を施した。その後、PETフィルムのラビング処理面に、ワイヤーバーを使用して、実施例1で製造した液晶組成物を塗工して、液晶組成物層を形成した。前記の液晶組成物層を、135℃で4分間加熱して、層内の液晶性化合物を配向させた。その後、液晶組成物層に窒素雰囲気下で500mJ/cmの紫外線を照射して、液晶組成物層を硬化させて、第一の単位硬化層を形成した。この第一の単位硬化層の表面に、ラビング処理を施した。そして、第一の単位硬化層のラビング処理面に、ワイヤーバーを使用して、前記第一の単位硬化層の形成に用いた残りの液晶組成物を塗工して、液晶組成物層を形成した。前記の液晶組成物層を、135℃で4分間加熱して、層内の液晶性化合物を配向させた。これにより、「PETフィルム/第一の単位硬化層/液晶組成物層」の層構成を有する中間フィルムが得られた。
その後、中間フィルムを半分に折り返した。この折り返しにより、折り目の一側にある液晶組成物層と、折り目の他側にある液晶組成物層とが、直接に貼り合わせられた。以下の説明では、折り目の一側にある中間フィルムの部分を「第一の部分」、折り目の他側にある中間フィルムの部分を「第二の部分」ということがある。前記の折り返しは、第一の部分の第一の単位硬化層及び液晶組成物層の面内遅相軸と、第二の部分の第一の単位硬化層及び液晶組成物層の面内遅相軸とが平行となるように行った。
その後、液晶組成物層に窒素雰囲気下で500mJ/cmの紫外線を照射して、液晶組成物層を硬化させて、光学異方性層としての液晶硬化層を得た。この液晶硬化層は、「第一の部分の第一の単位硬化層/第一の部分の液晶組成物層が硬化して得られた第二の単位硬化層/第二の部分の液晶組成物層が硬化して得られた第二の単位硬化層/第二の部分の第一の単位硬化層」の層構成を有していた。このうち、「第一の部分の第一の単位硬化層/第一の部分の液晶組成物層が硬化して得られた第二の単位硬化層」の部分が、第一領域に相当する。また、「第二の部分の液晶組成物層が硬化して得られた第二の単位硬化層/第二の部分の第一の単位硬化層」の部分が、第二領域に相当する。
その後、液晶硬化層の第一領域に接していた範囲のPETフィルムを剥がした。PETフィルムを剥がしたことで現れた液晶硬化層の第一領域の表面と、光学等方性の樹脂フィルムとを、前記の粘着剤によって貼り合わせた。そして、PETフィルムの残りの範囲を剥がして、「樹脂フィルム/粘着剤層/光学異方性層」の層構成を有する光学異方体を得た。
得られた光学異方体を、上述した方法で評価した。また、光学異方体が含む液晶硬化層の評価も、行った。
[実施例14]
実施例14は、使用する液晶性化合物の種類を実施例1から一部変更した実施例である。この実施例14の具体的操作は、以下の通りである。
液晶性化合物の種類を、逆分散液晶性化合物Aから、下記式で表される重合性を有する逆分散液晶性化合物Cに変更した。以上の事項以外は、実施例1の工程(液晶組成物の製造)及び工程(液晶硬化層を含む中間フィルムの製造)と同じ操作を行って、第一中間フィルムを得た。こうして得られた第一中間フィルムから、第一フィルム片を切り取った。
Figure 2019142839
実施例1で用意した第一フィルム片の代わりに、本実施例で用意した第一フィルム片を用いたこと以外は、実施例1の工程(光学異方体の製造)と同じ操作を行って、光学異方体の製造及び評価を行った。
[実施例15]
実施例15は、使用する液晶性化合物の種類を実施例1から一部変更した実施例である。この実施例15の具体的操作は、以下の通りである。
液晶性化合物の種類を、逆分散液晶性化合物Aから、逆分散液晶性化合物Cに変更した。以上の事項以外は、実施例1の工程(液晶組成物の製造)及び工程(液晶硬化層を含む中間フィルムの製造)と同じ操作を行って、第二中間フィルムを得た。こうして得られた第二中間フィルムから、第二フィルム片を切り取った。
実施例1で用意した第二フィルム片の代わりに、本実施例で用意した第二フィルム片を用いたこと以外は、実施例1の工程(光学異方体の製造)と同じ操作を行って、光学異方体の製造及び評価を行った。
[実施例16]
実施例16は、使用する液晶性化合物の種類を実施例1から変更した実施例である。この実施例16の具体的操作は、以下の通りである。
液晶性化合物の種類を、逆分散液晶性化合物Aから、逆分散液晶性化合物Cに変更したこと以外は、実施例1と同じ操作を行って、光学異方体の製造及び評価を行った。
[実施例17]
実施例17は、光学異方性層全体の面内レターデーションを実施例1から変更した実施例である。この実施例17の具体的操作は、以下の通りである。
液晶組成物の塗工厚みを変更して、第一の単位硬化層及び第二の単位硬化層の厚みを変更することにより、液晶硬化層の面内レターデーションを139nmに変更した。以上の事項以外は、実施例1と同じ操作を行って、光学異方体の製造及び評価を行った。
[比較例1]
フッ素系界面活性剤(AGCセイミケミカル社製「S420」)0.15重量部の代わりに、フッ素系界面活性剤(DIC社製「F562」)0.30重量部を用いた。以上の事項以外は、実施例1の工程(液晶組成物の製造)と同じ操作を行って、液晶組成物を得た。
実施例1と同じく、支持基材としてのPETフィルムの非易滑処理面に、ラビング処理を施した。その後、PETフィルムのラビング処理面に、ワイヤーバーを使用して、本比較例で用意した液晶組成物を塗工して、液晶組成物層を形成した。
前記の液晶組成物層を、110℃で4分間加熱して、層内の液晶性化合物を配向させた。前記の加熱条件は、使用した液晶組成物に対応する試験組成物の残留分粘度が800cPより大きくなる温度条件であった。
その後、液晶組成物層に窒素雰囲気下で500mJ/cmの紫外線を照射して、液晶組成物層を硬化させて、厚さ1.0μmの液晶硬化層を形成した。
これにより、PETフィルムと液晶硬化層とを備えた中間フィルムを得た。得られた中間フィルムを用いて、上述した方法により、液晶硬化層の評価を行った。
実施例1で用意した中間フィルムの代わりに、本比較例で用意した中間フィルムを用いたこと以外は、実施例1の工程(光学異方体の製造)と同じ操作を行って、光学異方体の製造及び評価を行った。
[結果]
前記の実施例及び比較例の結果を、下記の表1及び表2に示す。下記の表において、略称の意味は、下記の通りである。
空/空:第一領域に相当する液晶硬化層の空気側の面と、第二領域に相当する液晶硬化層の空気側の面とを貼り合わせたもの。
基/空:第一領域に相当する液晶硬化層の空気側の面と、第二領域に相当する液晶硬化層のPETフィルム側の面とを貼り合わせたもの。
基/基:第一領域に相当する液晶硬化層のPETフィルム側の面と、第二領域に相当する液晶硬化層のPETフィルム側の面とを貼り合わせたもの。
液晶「A」:逆分散液晶性化合物A。
液晶「B」:順分散液晶性化合物B。
液晶「C]:逆分散液晶性化合物C。
θ1:光学異方性層の特定断面において、光学異方性層の第一領域の遅相軸が当該光学異方性層の面内方向に対して(即ち、層平面に対して)なす角度。
T1:光学異方性層の第一領域の厚み。
Re1:光学異方性層の第一領域の面内レターデーション。
波長分散性「逆」:逆波長分散性。
波長分散性「順」:順波長分散性。
θ2:光学異方性層の特定断面において、光学異方性層の第二領域の遅相軸が当該光学異方性層の面内方向に対して(即ち、層平面に対して)なす角度。
T2:光学異方性層の第二領域の厚み。
Re2:光学異方性層の第二領域の面内レターデーション。
Δθ:光学異方性層の特定断面において、第一領域の遅相軸と第二領域の遅相軸とがなす角度。
Figure 2019142839
Figure 2019142839
[検討]
表1から分かるように、特定断面における第一領域の第一遅相軸と第二領域の第二遅相軸との交差角度Δθが所定の範囲にある場合には、光学異方性層の傾斜方向におけるレターデーションの方位依存性を抑制できる。したがって、面内遅相軸に垂直な方位及び面内進相軸に垂直な方位のいずれにおいても、優れた反射抑制能力を実現できる。よって、実施例の結果から、本発明の光学異方体によれば、傾斜方向における反射抑制能力の方位依存性を抑制できる偏光板を実現可能なことが確認された。
10 光学異方体
20 光学異方体
100 光学異方性層
100E 評価用断面
100S 特定断面
110 第一領域
111 液晶性化合物の分子
120 第二領域
121 液晶性化合物の分子
200 光学異方性層
200S 特定断面
230 非液晶領域
A1 面内遅相軸
A2 面内進相軸
A3 厚み方向
A4 傾斜方向
A5 方位
A6 面内方向
A110 第一遅相軸
A120 第二遅相軸
A130 遅相軸
A140 遅相軸
φ1 極角
φ2 方位角

Claims (11)

  1. 液晶性化合物を含む液晶組成物の硬化物で形成され下記要件(1)〜(3)を満たす第一領域及び第二領域、を含む光学異方性層を備える、光学異方体。
    (1)前記光学異方性層の面内遅相軸及び厚み方向の両方に平行な前記光学異方性層の断面において、前記第一領域が、前記光学異方性層の面内方向に対して傾斜した第一遅相軸を有する。
    (2)前記断面において、前記第二領域が、前記光学異方性層の面内方向に対して傾斜した第二遅相軸を有する。
    (3)前記断面において、前記第一遅相軸と前記第二遅相軸とがなす角度Δθが、40°〜80°である。
  2. 前記第一領域の面内遅相軸と前記第二領域の面内遅相軸とがなす角度が、0°〜5°である、請求項1記載の光学異方体。
  3. 前記光学異方性層の前記断面において、前記第一領域の第一遅相軸が前記光学異方性層の面内方向に対してなす角度θ1が、20°〜40°であり、
    前記光学異方性層の前記断面において、前記第二領域の第二遅相軸が前記光学異方性層の面内方向に対してなす角度θ2が、20°〜40°である、請求項1又は2に記載の光学異方体。
  4. 測定波長550nmでの前記光学異方性層の面内レターデーションが、100nm以上180nm以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学異方体。
  5. 測定波長550nmでの前記光学異方性層の面内レターデーションが、240nm以上320nm以下である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学異方体。
  6. 測定波長550nmでの前記第一領域の面内レターデーション及び前記第二領域の面内レターデーションの両方が、30nm以上である、請求項4記載の光学異方体。
  7. 測定波長550nmでの前記第一領域の面内レターデーション及び前記第二領域の面内レターデーションの両方が、60nm以上である、請求項5記載の光学異方体。
  8. 位相差フィルムである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の光学異方体。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の光学異方体の製造方法であって、
    液晶性化合物を含む液晶組成物の硬化物で形成された層を用意する工程と、
    前記層を貼り合わせる工程と、を含む、光学異方体の製造方法。
  10. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の光学異方体の製造方法であって、
    液晶性化合物を含む液晶組成物で形成された層を用意する工程と、
    前記層を貼り合わせる工程と、
    貼り合わせられた前記層を硬化させる工程と、を含む光学異方体の製造方法。
  11. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の光学異方体及び直線偏光子を備える、偏光板。
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