JP2021004994A - 液晶組成物、液晶硬化フィルム及びその製造方法、偏光板並びに有機エレクトロルミネッセンス表示装置 - Google Patents

液晶組成物、液晶硬化フィルム及びその製造方法、偏光板並びに有機エレクトロルミネッセンス表示装置 Download PDF

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Natsumi Fujiwara
菜津美 藤原
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Abstract

【課題】層平面に対して大きな傾斜角で傾斜した液晶化合物の分子を含み、面状態が良好で且つ配向欠陥を抑制された液晶硬化層を形成できる、逆分散液晶化合物を含む液晶組成物を提供する。【解決手段】(a)逆波長分散性の複屈折を発現できる重合性液晶化合物と、(b)特定の構造を有する液晶化合物と、を含有する液晶組成物。【選択図】図1

Description

本発明は、液晶組成物、液晶硬化フィルム及びその製造方法、偏光板並びに有機エレクトロルミネッセンス表示装置に関する。
従来から、液晶化合物を含む液晶組成物を用いてフィルムを製造する方法が知られている(特許文献1〜8)。この方法では、一般に、基材上に液晶組成物を塗工し、塗工された液晶組成物を硬化させて、液晶組成物の硬化物で形成された液晶硬化層を備えるフィルムを得る。
国際公開第2016/204020号 特許第6308407号公報 特開2015−161714号公報 特許第5363022号公報 国際公開第2017/170443号 特開2017−126082号公報 国際公開第2018/173778号 特開2018−162379号公報
液晶硬化層には、通常、液晶化合物の分子が含まれる。この液晶化合物の分子は、液晶硬化層の層平面に対して傾斜することがある。このように分子が傾斜した液晶化合物を含む液晶硬化層を備えた液晶硬化フィルムは、画像表示装置に設けられることがある。分子が傾斜した液晶化合物を含む液晶硬化層は、その面内方向だけでなく、厚み方向においても複屈折を適切に調整できるので、視野角特性等の表示特性を改善することが期待できる。
液晶化合物としては、従来、順波長分散性の複屈折を発現できる液晶化合物(以下、適宜「順分散液晶化合物」ということがある。)が一般的であった。しかし、広い波長範囲において液晶硬化層にその光学的機能を発揮させる観点から、逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶化合物(以下、適宜「逆分散液晶化合物」ということがある。)を用いた液晶硬化層が望まれる。そこで、本発明者は、逆分散液晶化合物を用いて、層平面に対して傾斜した液晶化合物の分子を含む液晶硬化層について開発を試みた。
ところが、逆分散液晶化合物は、通常、鎖長が長い分子構造を有し、傾斜しにくい傾向がある。また、本発明者の検討によれば、逆分散液晶化合物は、液晶硬化層の層平面に対する傾斜角度を、十分な視野角特性を得るのに求められる程度に大きくしようとすると、液晶硬化層の面状態が不良となったり、配向欠陥が生じ易かったりすることが判明した。
本発明は、前記の課題に鑑みて創案されたもので、層平面に対して大きな傾斜角で傾斜した液晶化合物の分子を含み、面状態が良好で且つ配向欠陥を抑制された液晶硬化層を製造できる、逆分散液晶化合物を含む液晶組成物;前記液晶組成物の硬化物で形成された液晶硬化層を含む液晶硬化フィルム及びその製造方法;前記液晶硬化フィルムを備える偏光板;並びに、前記偏光板を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置;を提供することを目的とする。
本発明者は、前記の課題を解決するべく鋭意検討した。その結果、本発明者は、逆波長分散性の複屈折を発現できる重合性液晶化合物と、特定の分子構造を有する別の液晶化合物とを組み合わせて用いることにより、前記の課題を解決できることを見い出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記のものを含む。
〔1〕 (a)逆波長分散性の複屈折を発現できる重合性液晶化合物と、
(b)下記式(1)で表される液晶化合物と、
を含有する液晶組成物。
−Sp−Ar−X−Ar−B (1)
[式(1)において、
Ar及びArは、それぞれ独立に、シアノ基以外の置換基を有していてもよいフェニレン基、及び、シアノ基以外の置換基を有していてもよい2価の脂環式炭化水素基を表し、
は、−H、−Ra1、−ORa2、−COORa3、−CORa4、−OCORa5又は、−CH=CHを表し、
a1は、1価の飽和脂肪族炭化水素基を表し、
a2、Ra3、Ra4及びRa5は、それぞれ独立に、1価の脂肪族炭化水素基を表し、
Spは、単結合、又は、炭素原子数1〜18のアルキレン基(ただし、該アルキレン基中の−CH−は、−O−、−COO−、−OCO−、及び、−OCO−O−からなる群より選ばれる1以上の連結基によって置換されていてもよい。)を表し、
は、−H、−OH、−Rb1、−ORb2、−COOH、−COORb3、−CORb4、−OCORb5、−F、−CF、又は、−OCFを表し、
b1、Rb2、Rb3、Rb4及びRb5は、それぞれ独立に、1価の脂肪族炭化水素基を表し、
Xは、単結合、−COO−、−OCO−、−N=N−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH=N−、又は−C−を表す。]
〔2〕 前記式(1)におけるXが、−COO−である、〔1〕に記載の液晶組成物。
〔3〕 前記式(1)におけるBが、非重合性基である、〔1〕又は〔2〕に記載の液晶組成物。
〔4〕 前記(a)重合性液晶化合物が、式(I)で表される、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の液晶組成物。
Figure 2021004994
(式(I)において、
Arは、下記式(II−1)〜式(II−7)のいずれかで表される基を示す。ただし、式(II−1)〜式(II−7)のいずれかで表される基は、D〜D以外に置換基を有していてもよい。
Figure 2021004994
[上記式(II−1)〜式(II−7)において、
*は、Z又はZとの結合位置を表す。
及びEは、それぞれ独立して、−CR1112−、−S−、−NR11−、−CO−及び−O−からなる群より選ばれる基を表す。R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、又は、炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。
〜Dは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は、置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
〜Dは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい非環状基を表す。D及びDは、一緒になって環を形成していてもよい。
は、−C(R)=N−N(R)R、−C(R)=N−N=C(R)R、及び、−C(R)=N−N=Rからなる群より選ばれる基を表す。Rは、水素原子、及び炭素原子数1〜6のアルキル基からなる群より選ばれる基を表す。Rは、水素原子、及び置換基を有していてもよい炭素原子数1〜30の有機基からなる群より選ばれる基を表す。Rは、炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、有機基を表す。Rは、炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、有機基を表す。)
及びZは、それぞれ独立して、単結合、−O−、−O−CH−、−CH−O−、−O−CH−CH−、−CH−CH−O−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−S−、−S−C(=O)−、−NR21−C(=O)−、−C(=O)−NR21−、−CF−O−、−O−CF−、−CH−CH−、−CF−CF−、−O−CH−CH−O−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−、−CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH−、−CH−O−C(=O)−、−C(=O)−O−CH−、−CH−CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH−CH−、−CH−CH−O−C(=O)−、−C(=O)−O−CH−CH−、−CH=CH−、−N=CH−、−CH=N−、−N=C(CH)−、−C(CH)=N−、−N=N−、及び、−C≡C−、からなる群より選ばれるいずれかを表す。R21は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。
、A、B及びBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、及び、置換基を有していてもよい芳香族基、からなる群より選ばれる基を表す。
〜Yは、それぞれ独立して、単結合、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−NR22−C(=O)−、−C(=O)−NR22−、−O−C(=O)−O−、−NR22−C(=O)−O−、−O−C(=O)−NR22−、及び、−NR22−C(=O)−NR23−、からなる群より選ばれるいずれかを表す。R22及びR23は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。
及びGは、それぞれ独立して、炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基;並びに、炭素原子数3〜20の脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基の1以上が−O−又は−C(=O)−に置換された基;からなる群より選ばれる有機基を表す。G及びGの前記有機基に含まれる水素原子は、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、又は、ハロゲン原子に置換されていてもよい。ただし、G及びGの両末端のメチレン基が−O−又は−C(=O)−に置換されることはない。
及びPは、それぞれ独立して、重合性基を表す。
p及びqは、それぞれ独立して、0又は1を表す。
tは、1又は2を表す。]
〔5〕 〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の液晶組成物の硬化物で形成された液晶硬化層を含む、液晶硬化フィルム。
〔6〕 前記液晶硬化層に含まれる前記(a)重合性液晶化合物及び前記(b)液晶化合物の少なくとも一部の分子が、前記液晶硬化層の層平面に対して傾斜している、〔5〕に記載の液晶硬化フィルム。
〔7〕 〔5〕又は〔6〕に記載の液晶硬化フィルムと、直線偏光子とを備える、偏光板。
〔8〕 〔7〕に記載の偏光板を備える、有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
〔9〕 〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の液晶組成物の層を形成する工程と、
前記液晶組成物の層に含まれる(a)重合性液晶化合物を配向させる工程と、
前記液晶組成物の層を硬化させる工程と、
を含む、液晶硬化フィルムの製造方法。
本発明によれば、層平面に対して大きな傾斜角で傾斜した液晶化合物の分子を含み、面状態が良好で且つ配向欠陥を抑制された液晶硬化層を製造できる、逆分散液晶化合物を含む液晶組成物;前記液晶組成物の硬化物で形成された液晶硬化層を含む液晶硬化フィルム及びその製造方法;前記液晶硬化フィルムを備える偏光板;並びに、前記偏光板を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置;を提供できる。
図1は、第一の液晶硬化層及び第二の液晶硬化層を備える一例に係る液晶硬化フィルムの断面を模式的に示す断面図である。 図2は、第一の液晶硬化層及び第二の液晶硬化層を備える一例に係る液晶硬化フィルムの断面を、それらの液晶硬化層に含まれる液晶化合物の分子とともに模式的に示す断面図である。 図3は、液晶硬化層のレターデーションを測定する際の測定方向を説明するための模式的な斜視図である。
以下、本発明について実施形態及び例示物を示して詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものでは無く、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、ある層の「面内方向」とは、別に断らない限り、層平面に平行な方向を表す。
以下の説明において、ある層の「厚み方向」とは、別に断らない限り、層平面に垂直な方向を表す。よって、別に断らない限り、ある層の面内方向と厚み方向とは、垂直である。
以下の説明において、ある層の「傾斜方向」とは、別に断らない限り、その層の層平面に平行でも垂直でもない方向を表し、具体的には前記層平面の極角が5°以上85°以下の範囲の方向を指す。
以下の説明において、ある面の「傾斜方向」とは、別に断らない限り、その面に平行でも垂直でもない方向を表し、具体的には前記面の極角が5°以上85°以下の範囲の方向を指す。
以下の説明において、ある要素が層平面に対して「傾斜している」とは、その要素が前記層平面に対して平行でも垂直でもないことを表す。前記の要素が前記層平面に対してなす角度は、通常、5°以上85°以下の範囲にある。
以下の説明において、複屈折の逆波長分散性とは、別に断らない限り、波長450nmにおける複屈折Δn(450)及び波長550nmにおける複屈折Δn(550)が、下記式(N1)を満たすことをいう。このような逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶化合物は、通常、測定波長が長いほど、大きい複屈折を発現できる。
Δn(450)<Δn(550) (N1)
以下の説明において、複屈折の順波長分散性とは、別に断らない限り、波長450nmにおける複屈折Δn(450)及び波長550nmにおける複屈折Δn(550)が、下記式(N2)を満たすことをいう。このような順波長分散性の複屈折を発現できる液晶化合物は、通常、測定波長が長いほど、小さい複屈折を発現できる。
Δn(450)>Δn(550) (N2)
以下の説明において、ある層の面内レターデーションReは、別に断らない限り、Re=(nx−ny)×dで表される値である。ここで、nxは、層の厚み方向に垂直な方向(面内方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表す。nyは、層の前記面内方向であってnxの方向に直交する方向の屈折率を表す。dは、層の厚みを表す。レターデーションの測定波長は、別に断らない限り、590nmである。面内レターデーションReは、位相差計(Axometrics社製「AxoScan」)を用いて測定できる。
以下の説明において、ある層の遅相軸とは、別に断らない限り、面内方向の遅相軸をいう。
以下の説明において、固有複屈折値が正の樹脂とは、延伸方向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率よりも大きくなる樹脂を意味する。また、固有複屈折値が負の樹脂とは、延伸方向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率よりも小さくなる樹脂を意味する。固有複屈折値は、誘電率分布から計算しうる。
以下の説明において、要素の方向が「平行」及び「垂直」とは、別に断らない限り、本発明の効果を損ねない範囲内、例えば±4°、好ましくは±3°、より好ましくは±1°の範囲内での誤差を含んでいてもよい。
以下の説明において、別に断らない限り、ある層に含まれる液晶化合物の分子の「傾斜角」とは、その液晶化合物の分子が当該層の層平面に対してなす角度を表し、「チルト角」とも呼ばれることがある。この傾斜角は、液晶化合物の分子の屈折率楕円体において最大の屈折率の方向が層平面となす角度のうち、最大の角度に相当する。また、以下の説明においては、別に断らない限り、「傾斜角」とは、液晶化合物の分子の、当該液晶化合物が含まれる層の層平面に対する傾斜角を表す。
以下の説明において、置換基を有する基の炭素原子数には、別に断らない限り、前記置換基の炭素原子数を含めない。よって、例えば「置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基」との記載は、置換基の炭素原子数を含まないアルキル基自体の炭素原子数が1〜20であることを表す。
以下の説明において、「偏光板」及び「波長板」は、別に断らない限り、樹脂フィルム等の可撓性を有するフィルム及びシートを含む用語として用いる。
[1.液晶組成物の概要]
本発明の一実施形態に係る液晶組成物は、(a)逆波長分散性の複屈折を発現できる重合性液晶化合物と、(b)後述する式(1)で表される特定の液晶化合物とを含有する。以下の説明では、「(a)逆波長分散性の複屈折を発現できる重合性液晶化合物」を、適宜「(a)逆分散液晶化合物」と呼ぶことがある。また、「(b)式(1)で表される液晶化合物」を、適宜「(b)特定液晶化合物」と呼ぶことがある。
前記の(a)逆分散液晶化合物と(b)特定液晶化合物とを組み合わせて含む液晶組成物を用いることにより、層平面に対して大きな傾斜角で傾斜した液晶化合物の分子を含む液晶硬化層を得ることができる。さらに、こうして得られる液晶硬化層の面状態を良好にでき、且つ、その液晶硬化層における配向欠陥の発生を抑制することができる。
[2.(a)逆分散液晶化合物]
(a)逆分散液晶化合物は、液晶性を有するので、通常、当該(a)逆分散液晶化合物を配向させた場合に、液晶相を呈することができる。
また、(a)逆分散液晶化合物は、重合性を有するので、液晶相を呈した状態で重合し、液晶相における分子の配向状態を維持したまま重合体となることができる。よって、液晶硬化層において(a)逆分散液晶化合物の配向状態を固定したり、(a)逆分散液晶化合物の重合度を高めて液晶硬化層の機械的強度を高めたりすることが可能である。このように重合性を有する(a)逆分散液晶化合物の分子は、通常、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びエポキシ基等の重合性基を含む。(a)逆分散液晶化合物の分子1つ当たりの重合性基の数は、1個でもよいが、2個以上が好ましい。
さらに、(a)逆分散液晶化合物は、前記の通り、逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶化合物である。逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶化合物とは、当該液晶化合物の層を形成し、その層において液晶化合物を配向させた際に、逆波長分散性の複屈折を発現する液晶化合物をいう。
通常は、液晶化合物をホモジニアス配向させた場合に、液晶化合物の層が示す複屈折の波長分散性を調べることで、その液晶化合物が示す複屈折の波長分散性を確認できる。ここで、液晶化合物をホモジニアス配向させる、とは、当該液晶化合物を含む層を形成し、その層における液晶化合物の分子の屈折率楕円体において最大の屈折率の方向を、前記層の面に平行なある一の方向に配向させることをいう。また、前記の層の複屈折は、「(層の面内レターデーション)÷(層の厚み)」から求められる。
(a)逆分散液晶化合物の複屈折は、当該(a)逆分散液晶化合物の分子の屈折率楕円体において、最大の屈折率を示す方向の屈折率と、この方向に交差する別の方向の屈折率との差として発現しうる。また、(a)逆分散液晶化合物の分子構造に応じて、前記の各方向の屈折率の波長分散性は、異なりうる。例えば、ある(a)逆分散液晶化合物は、屈折率が相対的に大きいある方向では、長波長で測定した屈折率は、短波長で測定した屈折率よりも小さくなるが、それらの差は小さい。他方、屈折率が相対的に小さい別の方向では、長波長で測定した屈折率は、短波長で測定した屈折率よりも小さくなり、且つ、それらの差は大きい。このような例における前記方向間での屈折率差は、測定波長が短いと小さく、測定波長が長いと大きくなる。その結果、この(a)逆分散液晶化合物は、逆波長分散性の複屈折を発現できる。
(a)逆分散液晶化合物の分子量は、好ましくは300以上、より好ましくは500以上、特に好ましくは800以上であり、好ましくは2000以下、より好ましくは1700以下、特に好ましくは1500以下である。このような範囲の分子量を有する(a)逆分散液晶化合物を用いる場合に、液晶組成物の塗工性を特に良好にできる。
測定波長590nmにおける(a)逆分散液晶化合物の複屈折Δnは、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.03以上であり、好ましくは0.15以下、より好ましくは0.10以下である。このような範囲の複屈折Δnを有する(a)逆分散液晶化合物を用いる場合に、配向欠陥の少ない液晶硬化層を得やすい。
液晶化合物の複屈折は、例えば、下記の方法により測定できる。
液晶化合物の層を作製し、その層に含まれる液晶化合物をホモジニアス配向させる。その後、その層の面内レターデーションを測定する。そして、「(層の面内レターデーション)÷(層の厚み)」から、液晶化合物の複屈折を求めることができる。この際、面内レターデーション及び厚みの測定を容易にするために、ホモジニアス配向させた液晶化合物の層は、硬化させてもよい。
(a)逆分散液晶化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
(a)逆分散液晶化合物は、本発明の効果を顕著に高める観点から、当該(a)逆分散液晶化合物の分子中に、一以上のベンゾチアゾール環を有することが好ましい。
(a)逆分散液晶化合物の具体例としては、下記式(I)で表されるものが挙げられる。
Figure 2021004994
式(I)において、Arは、下記式(II−1)〜式(II−7)のいずれかで表される基を示す。式(II−1)〜式(II−7)において、*は、Z又はZとの結合位置を表す。
Figure 2021004994
前記の式(II−1)〜式(II−7)において、E及びEは、それぞれ独立して、−CR1112−、−S−、−NR11−、−CO−及び−O−からなる群より選ばれる基を表す。また、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、又は、炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。中でも、E及びEは、それぞれ独立して、−S−であることが好ましい。
前記の式(II−1)〜式(II−7)において、D〜Dは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、または、置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。D〜Dが表す基の炭素原子数(置換基の炭素原子数を含む。)は、それぞれ独立して、通常、2〜100である。
〜Dにおける芳香族炭化水素基の炭素原子数は、6〜30が好ましい。D〜Dにおける炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。中でも、芳香族炭化水素基としては、フェニル基がより好ましい。
〜Dにおける芳香族炭化水素基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の、炭素原子数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の、炭素原子数1〜6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;−OCF;−C(=O)−R;−O−C(=O)−R;−C(=O)−O−R;−SO;等が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
は、炭素原子数1〜6のアルキル基;並びに、炭素原子数1〜6のアルキル基若しくは炭素原子数1〜6のアルコキシ基を置換基として有していてもよい、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基;からなる群より選ばれる基を表す。
は、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基;置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のアルケニル基;置換基を有していてもよい炭素原子数3〜12のシクロアルキル基;及び、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜12の芳香族炭化水素基;からなる群より選ばれる基を表す。
における炭素原子数1〜20のアルキル基の炭素原子数は、好ましくは1〜12、より好ましくは4〜10である。Rにおける炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、1−メチルペンチル基、1−エチルペンチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、およびn−イコシル基等が挙げられる。
における炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の、炭素原子数1〜20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素原子数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素原子数1〜12のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チエニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾール−2−イルチオ基等の、炭素原子数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の、炭素原子数2〜12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の、炭素原子数6〜14のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CHCF等の、1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1〜12のフルオロアルキル基;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;及び、ベンゾジオキサニル基;等が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数2〜20のアルケニル基の炭素原子数は、好ましくは2〜12である。Rにおける炭素原子数2〜20のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、およびイコセニル基等が挙げられる。
における炭素原子数2〜20のアルケニル基が有しうる置換基としては、例えば、Rにおける炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数3〜12のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。中でも、シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基が好ましい。
における炭素原子数3〜12のシクロアルキル基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;および、フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基;等が挙げられる。中でも、シクロアルキル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;および、フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基;が好ましい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数6〜12の芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。中でも、芳香族炭化水素基としては、フェニル基が好ましい。
における炭素原子数6〜12の芳香族炭化水素基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の、炭素原子数1〜20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素原子数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素原子数1〜12のアルコキシ基;ニトロ基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基等の、炭素原子数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の、炭素原子数2〜12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の、炭素原子数6〜14のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CHCF等の、1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1〜12のフルオロアルキル基;−OCF;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;ベンゾジオキサニル基;等が挙げられる。中でも、芳香族炭化水素基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の、炭素原子数1〜20のアルコキシ基;ニトロ基;フラニル基、チオフェニル基等の、炭素原子数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CHCF等の、1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1〜12のフルオロアルキル基;−OCF;が好ましい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
〜Dにおける芳香族複素環基の炭素原子数は、2〜30が好ましい。D〜Dにおける炭素原子数2〜30の芳香族複素環基としては、例えば、1−ベンゾフラニル基、2−ベンゾフラニル基、イミダゾリル基、インドリニル基、フラザニル基、オキサゾリル基、キノリル基、チアジアゾリル基、チアゾリル基、チアゾロピラジニル基、チアゾロピリジル基、チアゾロピリダジニル基、チアゾロピリミジニル基、チエニル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、ナフチリジニル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、フタラジニル基、フラニル基、フタルイミド基、ベンゾ[c]チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾトリアジニル基、ベンゾトリアゾリル基、およびベンゾピラゾリル基等が挙げられる。中でも、芳香族複素環基としては、フラニル基、ピラニル基、チエニル基、オキサゾリル基、フラザニル基、チアゾリル基、及びチアジアゾリル基等の、単環の芳香族複素環基;並びに、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キノリル基、1−ベンゾフラニル基、2−ベンゾフラニル基、フタルイミド基、ベンゾ[c]チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、チアゾロピリジル基、チアゾロピラジニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、及びベンゾチアジアゾリル基等の、縮合環の芳香族複素環基;がより好ましい。
〜Dにおける芳香族複素環基が有しうる置換基としては、例えば、D〜Dにおける芳香族炭化水素基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
前記の式(II−1)〜式(II−7)において、D〜Dは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい非環状基を表す。D及びDは、一緒になって環を形成していてもよい。D〜Dが表す基の炭素原子数(置換基の炭素原子数を含む。)は、それぞれ独立して、通常、1〜100である。
〜Dにおける非環状基の炭素原子数は、1〜13が好ましい。D〜Dにおける非環状基としては、例えば、炭素原子数1〜6のアルキル基;シアノ基;カルボキシル基;炭素原子数1〜6のフルオロアルキル基;炭素原子数1〜6のアルコキシ基;−C(=O)−CH;−C(=O)NHPh;−C(=O)−OR;が挙げられる。中でも、非環状基としては、シアノ基、カルボキシル基、−C(=O)−CH、−C(=O)NHPh、−C(=O)−OC、−C(=O)−OC、−C(=O)−OCH(CH、−C(=O)−OCHCHCH(CH)−OCH、−C(=O)−OCHCHC(CH−OH、及び−C(=O)−OCHCH(CHCH)−C、が好ましい。前記のPhは、フェニル基を表す。また、前記のRは、炭素原子数1〜12の有機基を表す。Rの具体例としては、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、または、水酸基で置換されていてもよい炭素原子数1〜12のアルキル基が挙げられる。
〜Dにおける非環状基が有しうる置換基としては、例えば、D〜Dにおける芳香族炭化水素基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
及びDが一緒になって環を形成している場合、前記のD及びDによって環を含む有機基が形成される。この有機基としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。下記式において、*は、D及びDが結合する炭素の位置を表す。
Figure 2021004994
は、炭素原子数1〜3のアルキル基を表す。
**は、炭素原子数1〜3のアルキル基、及び、置換基を有していてもよいフェニル基からなる群より選ばれる基を表す。
***は、炭素原子数1〜3のアルキル基、及び、置換基を有していてもよいフェニル基からなる群より選ばれる基を表す。
****は、水素原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、水酸基、及び、−COOR13からなる群より選ばれる基を表す。R13は、炭素原子数1〜3のアルキル基を表す。
フェニル基が有しうる置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、シアノ基及びアミノ基が挙げられる。中でも、置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基及びアルコキシ基が好ましい。フェニル基が有する置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
前記の式(II−5)〜式(II−7)において、Dは、−C(R)=N−N(R)R、−C(R)=N−N=C(R)R、及び、−C(R)=N−N=Rからなる群より選ばれる基を表す。Dが表す基の炭素原子数(置換基の炭素原子数を含む。)は、通常、3〜100である。
は、水素原子;並びに、メチル基、エチル基、プロピル基、及びイソプロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;からなる群より選ばれる基を表す。
は、水素原子;並びに、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜30の有機基;からなる群より選ばれる基を表す。
における置換基を有していてもよい炭素原子数1〜30の有機基としては、例えば、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基;炭素原子数1〜20のアルキル基に含まれる−CH−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、又は、−C(=O)−に置換された基(ただし、−O−または−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く);置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のアルケニル基;置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のアルキニル基;置換基を有していてもよい炭素原子数3〜12のシクロアルキル基;置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素基;置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30の芳香族複素環基;−SO;−C(=O)−R;−CS−NH−R;が挙げられる。R及びRの意味は、上述した通りである。
における炭素原子数1〜20のアルキル基の好ましい炭素原子数の範囲及び例示物は、Rにおける炭素原子数1〜20のアルキル基と同じである。
における炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の、炭素原子数1〜20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素原子数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素原子数1〜12のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基等の、炭素原子数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の、炭素原子数2〜12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の、炭素原子数6〜14のアリールオキシ基;1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1〜12のフルオロアルキル基;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;ベンゾジオキサニル基;−SO;−SR;−SRで置換された炭素原子数1〜12のアルコキシ基;水酸基;等が挙げられる。R及びRの意味は、上述した通りである。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数2〜20のアルケニル基の好ましい炭素原子数の範囲及び例示物は、Rにおける炭素原子数2〜20のアルケニル基と同じである。
における炭素原子数2〜20のアルケニル基が有しうる置換基としては、例えば、Rにおける炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数2〜20のアルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基、2−プロピニル基(プロパルギル基)、ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、ペンチニル基、2−ペンチニル基、ヘキシニル基、5−ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、2−オクチニル基、ノナニル基、デカニル基、7−デカニル基等が挙げられる。
における炭素原子数2〜20のアルキニル基が有しうる置換基としては、例えば、Rにおける炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数3〜12のシクロアルキル基としては、例えば、Rにおける炭素原子数3〜12のシクロアルキル基と同じ例が挙げられる。
における炭素原子数3〜12のシクロアルキル基が有しうる置換基としては、例えば、Rにおける炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素基としては、例えば、D〜Dにおける炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素基と同じ例が挙げられる。
における炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素基が有しうる置換基としては、例えば、D〜Dにおける芳香族炭化水素基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数2〜30の芳香族複素環基としては、例えば、D〜Dにおける炭素原子数2〜30の芳香族複素環基と同じ例が挙げられる。
における炭素原子数2〜30の芳香族複素環基が有しうる置換基としては、例えば、D〜Dにおける芳香族炭化水素基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
上述したものの中でも、Rとしては、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基;炭素原子数1〜20のアルキル基に含まれる−CH−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、または、−C(=O)−に置換された基(ただし、−O−または−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く);置換基を有していてもよい炭素原子数3〜12のシクロアルキル基;置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素基;並びに、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30の芳香族複素環基;が好ましい。その中でも、Rとしては、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基;並びに、炭素原子数1〜20のアルキル基に含まれる−CH−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、または、−C(=O)−に置換された基(ただし、−O−または−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く);が特に好ましい。
は、炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、有機基を表す。
の好ましい例としては、(1)1以上の炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環を有する、炭素原子数6〜40の炭化水素基、が挙げられる。この芳香族炭化水素環を有する炭化水素基を、以下、適宜「(1)炭化水素基」ということがある。(1)炭化水素基の具体例としては、下記の基が挙げられる。
Figure 2021004994
(1)炭化水素基は、置換基を有していてもよい。(1)炭化水素基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の、炭素原子数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の、炭素原子数1〜6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基;−OCF;−C(=O)−R;−O−C(=O)−R;−C(=O)−O−R;−SO;等が挙げられる。R及びRの意味は、上述した通りである。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、および、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、が好ましい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
の別の好ましい例としては、(2)炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、炭素原子数2〜40の複素環基が挙げられる。この芳香環を有する複素環基を、以下、適宜「(2)複素環基」ということがある。(2)複素環基の具体例としては、下記の基が挙げられる。Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。
Figure 2021004994
Figure 2021004994
Figure 2021004994
Figure 2021004994
Figure 2021004994
Figure 2021004994
Figure 2021004994
Figure 2021004994
(2)複素環基は、置換基を有していてもよい。(2)複素環基が有しうる置換基としては、例えば、(1)炭化水素基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
の更に別の好ましい例としては、(3)炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素基及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環基からなる群より選ばれる1以上の基で置換された、炭素原子数1〜12のアルキル基が挙げられる。この置換されたアルキル基を、以下、適宜「(3)置換アルキル基」ということがある。
(3)置換アルキル基における「炭素原子数1〜12のアルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などが挙げられる。
(3)置換アルキル基における「炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素基」としては、例えば、D〜Dにおける炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素基と同じ例が挙げられる。
(3)置換アルキル基における「炭素原子数2〜30の芳香族複素環基」としては、例えば、D〜Dにおける炭素原子数2〜30の芳香族複素環基と同じ例が挙げられる。
(3)置換アルキル基は、更に置換基を有していてもよい。(3)置換アルキル基が有しうる置換基としては、例えば、(1)炭化水素基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
の更に別の好ましい例としては、(4)炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素基及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環基からなる群より選ばれる1以上の基で置換された、炭素原子数2〜12のアルケニル基が挙げられる。この置換されたアルケニル基を、以下、適宜「(4)置換アルケニル基」ということがある。
(4)置換アルケニル基における「炭素原子数2〜12のアルケニル基」としては、例えば、ビニル基、アリル基などが挙げられる。
(4)置換アルケニル基における「炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素基」としては、例えば、D〜Dにおける炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素基と同じ例が挙げられる。
(4)置換アルケニル基における「炭素原子数2〜30の芳香族複素環基」としては、例えば、D〜Dにおける炭素原子数2〜30の芳香族複素環基と同じ例が挙げられる。
(4)置換アルケニル基は、更に置換基を有していてもよい。(4)置換アルケニル基が有しうる置換基としては、例えば、(1)炭化水素基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
の更に別の好ましい例としては、(5)炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素基及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環基からなる群より選ばれる1以上の基で置換された、炭素原子数2〜12のアルキニル基が挙げられる。この置換されたアルキニル基を、以下、適宜「(5)置換アルキニル基」ということがある。
(5)置換アルキニル基における「炭素原子数2〜12のアルキニル基」としては、例えば、エチニル基、プロピニル基などが挙げられる。
(5)置換アルキニル基における「炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素基」としては、例えば、D〜Dにおける炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素基と同じ例が挙げられる。
(5)置換アルキニル基における「炭素原子数2〜30の芳香族複素環基」としては、例えば、D〜Dにおける炭素原子数2〜30の芳香族複素環基と同じ例が挙げられる。
(5)置換アルキニル基は、更に置換基を有していてもよい。(5)置換アルキニル基が有しうる置換基としては、例えば、(1)炭化水素基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
の好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。
Figure 2021004994
の更に好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。
Figure 2021004994
の特に好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。
Figure 2021004994
上述したRの具体例は、更に置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の、炭素原子数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の、炭素原子数1〜6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;−OCF;−C(=O)−R;−O−C(=O)−R;−C(=O)−O−R;−SO;等が挙げられる。R及びRの意味は、上述した通りである。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、および、炭素原子数1〜6のアルコキシ基が好ましい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
は、炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、有機基を表す。
の好ましい例としては、1以上の炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環を有する、炭素原子数6〜40の炭化水素基が挙げられる。
また、Rの別の好ましい例としては、炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、炭素原子数2〜40の複素環基が挙げられる。
の特に好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。Rの意味は、上述した通りである。
Figure 2021004994
式(II−1)〜式(II−7)のいずれかで表される基は、D〜D以外に更に置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数1〜6のアルキルスルフィニル基、カルボキシル基、炭素原子数1〜6のチオアルキル基、炭素原子数1〜6のN−アルキルスルファモイル基、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(I)におけるArの好ましい例としては、下記の式(III−1)〜式(III−10)で表される基が挙げられる。また、式(III−1)〜式(III−10)で表される基は、置換基として炭素原子数1〜6のアルキル基を有していてもよい。下記式中、*は、結合位置を表す。
Figure 2021004994
式(III−1)及び式(III−4)の特に好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。下記式中、*は、結合位置を表す。
Figure 2021004994
Figure 2021004994
Figure 2021004994
Figure 2021004994
Figure 2021004994
式(I)において、Z及びZは、それぞれ独立して、単結合、−O−、−O−CH−、−CH−O−、−O−CH−CH−、−CH−CH−O−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−S−、−S−C(=O)−、−NR21−C(=O)−、−C(=O)−NR21−、−CF−O−、−O−CF−、−CH−CH−、−CF−CF−、−O−CH−CH−O−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−、−CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH−、−CH−O−C(=O)−、−C(=O)−O−CH−、−CH−CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH−CH−、−CH−CH−O−C(=O)−、−C(=O)−O−CH−CH−、−CH=CH−、−N=CH−、−CH=N−、−N=C(CH)−、−C(CH)=N−、−N=N−、及び、−C≡C−、からなる群より選ばれるいずれかを表す。R21は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。
式(I)において、A、A、B及びBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、及び、置換基を有していてもよい芳香族基、からなる群より選ばれる基を表す。A、A、B及びBが表す基の炭素原子数(置換基の炭素原子数を含む。)は、それぞれ独立して、通常、3〜100である。中でも、A、A、B及びBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜20の環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20の芳香族基が好ましい。
、A、B及びBにおける環状脂肪族基としては、例えば、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、シクロヘプタン−1,4−ジイル基、シクロオクタン−1,5−ジイル基等の、炭素原子数5〜20のシクロアルカンジイル基;デカヒドロナフタレン−1,5−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基等の、炭素原子数5〜20のビシクロアルカンジイル基;等が挙げられる。中でも、置換されていてもよい炭素原子数5〜20のシクロアルカンジイル基が好ましく、シクロヘキサンジイル基がより好ましく、シクロヘキサン−1,4−ジイル基が特に好ましい。環状脂肪族基は、トランス体であってもよく、シス体であってもよく、シス体とトランス体との混合物であってもよい。中でも、トランス体がより好ましい。
、A、B及びBにおける環状脂肪族基が有しうる置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
、A、B及びBにおける芳香族基としては、例えば、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、4,4’−ビフェニレン基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基;フラン−2,5−ジイル基、チオフェン−2,5−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピラジン−2,5−ジイル基等の、炭素原子数2〜20の芳香族複素環基;等が挙げられる。中でも、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素基が好ましく、フェニレン基がさらに好ましく、1,4−フェニレン基が特に好ましい。
、A、B及びBにおける芳香族基が有しうる置換基としては、例えば、A、A、B及びBにおける環状脂肪族基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(I)において、Y〜Yは、それぞれ独立して、単結合、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−NR22−C(=O)−、−C(=O)−NR22−、−O−C(=O)−O−、−NR22−C(=O)−O−、−O−C(=O)−NR22−、及び、−NR22−C(=O)−NR23−、からなる群より選ばれるいずれかを表す。R22及びR23は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。
式(I)において、G及びGは、それぞれ独立して、炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基;並びに、炭素原子数3〜20の脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基(−CH−)の1以上が−O−又は−C(=O)−に置換された基;からなる群より選ばれる有機基を表す。G及びGの前記有機基に含まれる水素原子は、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、または、ハロゲン原子に置換されていてもよい。ただし、G及びGの両末端のメチレン基(−CH−)が−O−又は−C(=O)−に置換されることはない。
及びGにおける炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基の具体例としては、炭素原子数1〜20のアルキレン基が挙げられる。
及びGにおける炭素原子数3〜20の脂肪族炭化水素基の具体例としては、炭素原子数3〜20のアルキレン基が挙げられる。
式(I)において、P及びPは、それぞれ独立して、重合性基を表す。P及びPにおける重合性基としては、例えば、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等の、CH=CR31−C(=O)−O−で表される基;ビニル基;ビニルエーテル基;p−スチルベン基;アクリロイル基;メタクリロイル基;カルボキシル基;メチルカルボニル基;水酸基;アミド基;炭素原子数1〜4のアルキルアミノ基;アミノ基;エポキシ基;オキセタニル基;アルデヒド基;イソシアネート基;チオイソシアネート基;等が挙げられる。R31は、水素原子、メチル基、又は塩素原子を表す。中でも、CH=CR31−C(=O)−O−で表される基が好ましく、CH=CH−C(=O)−O−(アクリロイルオキシ基)、CH=C(CH)−C(=O)−O−(メタクリロイルオキシ基)がより好ましく、アクリロイルオキシ基が特に好ましい。
式(I)において、p及びqは、それぞれ独立して、0又は1を表す。
また、式(I)において、tは、1又は2を表す。
式(I)で表される逆分散液晶化合物は、例えば、国際公開第2012/147904号に記載される、ヒドラジン化合物とカルボニル化合物との反応により製造しうる。
式(I)で表される液晶化合物としては、具体的には、例えば、下記の式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2021004994
[3.(b)特定液晶化合物]
(b)特定液晶化合物は、下記の式(1)で表される。
−Sp−Ar−X−Ar−B (1)
式(1)において、Ar及びArは、それぞれ独立に、シアノ基以外の置換基を有していてもよいフェニレン基、及び、シアノ基以外の置換基を有していてもよい2価の脂環式炭化水素基を表す。
2価の脂環式炭化水素基の炭素原子数は、好ましくは3以上、より好ましくは5以上であり、好ましくは8以下、より好ましくは6以下である。2価の脂環式炭化水素基の炭素原子数が前記範囲にある場合、液晶硬化層に含まれる液晶化合物の分子の傾斜角を効果的に大きくしたり、液晶硬化層の面状態を特に良好にしたり、液晶硬化層の配向欠陥を効果的に抑制したりできる。
2価の脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基等のシクロアルキレン基;シクロペンテニレン基、シクロヘキセニレン基等のシクロアルケニレン基;シクロペンチニレン基、シクロヘキシニレン基等のシクロアルキニレン基;などが挙げられる。ここで、シクロアルキレン基とは、シクロアルカンから水素原子を2個除いた構造を有する基を表す。よって、例えばシクロヘキシレン基は、シクロヘキサンから水素原子を2個除いた構造を有する基を表す。また、シクロアルケニレン基とは、シクロアルケンから水素原子を2個除いた構造を有する基を表す。よって、例えばシクロヘキセニレン基とは、シクロヘキセンから水素原子を2個除いた構造を有する基を表す。さらに、シクロアルキニレン基とは、シクロアルキンから水素原子を2個除いた構造を有する基を表す。よって、例えばシクロヘキシニレン基とは、シクロヘキシンから水素原子を2個除いた構造を有する基を表す。
フェニレン基及び2価の脂環式炭化水素基に置換しうる置換基としては、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;トリフルオロメチル基等のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等のアルコキシ基;ニトロ基;等が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。置換基を含めたArの炭素原子数、及び、置換基を含めたArの炭素原子数は、それぞれ独立に、好ましくは18以下、より好ましくは14以下、特に好ましくは12以下である。
上述した中でも、Ar及びArは、置換基を有さないフェニレン基及び置換基を有さない2価の脂環式炭化水素基が好ましく、フェニレン基及びシクロアルキレン基がより好ましく、フェニレン基及びシクロヘキシレン基が更に好ましく、フェニレン基が特に好ましい。
式(1)において、Bは、−H、−Ra1、−ORa2、−COORa3、−CORa4、−OCORa5又は、−CH=CHを表す。
前記のRa1は、1価の飽和脂肪族炭化水素基を表す。1価の飽和脂肪族炭化水素基は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。Ra1の炭素原子数は、好ましくは1以上、より好ましくは2以上、特に好ましくは3以上であり、好ましくは12以下、より好ましくは10以下、特に好ましくは8以下である。Ra1の炭素原子数が前記範囲にある場合、液晶硬化層に含まれる液晶化合物の分子の傾斜角を効果的に大きくしたり、液晶硬化層の面状態を特に良好にしたり、液晶硬化層の配向欠陥を効果的に抑制したりできる。Ra1の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、等のアルキル基が挙げられる。
前記のRa2、Ra3、Ra4及びRa5は、それぞれ独立に、1価の脂肪族炭化水素基を表す。1価の脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。また、1価の脂肪族炭化水素基は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。中でも、Ra2、Ra3、Ra4及びRa5は、1価の飽和脂肪族炭化水素基が好ましい。Ra2の炭素原子数、Ra3の炭素原子数、Ra4の炭素原子数、及び、Ra5の炭素原子数は、それぞれ独立に、好ましくは1以上であり、好ましくは12以下、より好ましくは10以下、特に好ましくは8以下である。Ra2、Ra3、Ra4及びRa5の炭素原子数が前記範囲にある場合、液晶硬化層に含まれる液晶化合物の分子の傾斜角を効果的に大きくしたり、液晶硬化層の面状態を特に良好にしたり、液晶硬化層の配向欠陥を効果的に抑制したりできる。Ra2、Ra3、Ra4及びRa5の具体例としては、Ra1の例として説明したアルキル基の他、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
上述した中でも、Bとしては、非重合性基が好ましい。具体的には、Bとしては、−H、−Ra1、−ORa2(ただし、Ra2は、1価の飽和脂肪族炭化水素基を表す。)及び−COORa3(ただし、Ra3は、1価の飽和脂肪族炭化水素基を表す。)が好ましい。Bが非重合性である場合、液晶硬化層に含まれる液晶化合物の分子の傾斜角を効果的に大きくしたり、液晶硬化層の面状態を特に良好にしたり、液晶硬化層の配向欠陥を効果的に抑制したりできる。
特に好ましいBの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基;ビニル基;が挙げられる。中でも、アルコキシ基及びビニル基が好ましく、アルコキシ基が特に好ましい。
式(1)において、Spは、単結合、又は、炭素原子数1〜18のアルキレン基(ただし、該アルキレン基中の−CH−は、−O−、−COO−、−OCO−、及び、−OCO−O−からなる群より選ばれる1以上の連結基によって置換されていてもよい。)を表す。
Spとしてのアルキレン基の炭素原子数は、通常1以上、好ましくは2以上であり、通常18以下、好ましくは12以下、特に好ましくは8以下である。Spとしてのアルキレン基の炭素原子数が前記範囲にある場合、液晶硬化層に含まれる液晶化合物の分子の傾斜角を効果的に大きくしたり、液晶硬化層の面状態を特に良好にしたり、液晶硬化層の配向欠陥を効果的に抑制したりできる。また、Spとしてのアルキレン基は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。
一般に、アルキレン基は、1又は2以上の−CH−を含みうる。このようにアルキレン基が−CH−を含む場合、前記のように、−CH−は、−O−、−COO−、−OCO−、及び、−OCO−O−からなる群より選ばれる1以上の連結基によって置換されていてもよい。置換される−CH−の数は、1でもよく、2以上でもよい。アルキレン基が含む全ての−CH−が連結基で置換されていてもよいが、アルキレン基が含む一部の−CH−が連結基で置換されていることが好ましい。アルキレン基中の−CH−が連結基によって置換された構造を有するSpとしては、例えば、アルキレン−オキシ基、アルキレン−オキシ−アルキレン基、アルキレン−オキシ−カルボニル基、アルキレン−カルボニル−オキシ基、アルキレン−オキシ−カルボニル−アルキレン基、アルキレン−カルボニル−オキシ−アルキレン基、アルキレン−オキシ−カルボニル−オキシ基、アルキレン−オキシ−カルボニル−オキシ−アルキレン基、などが挙げられる。
上述した中でも、Spは、単結合、アルキレン基、及び、アルキレン−オキシ基が好ましい。更には、Spは、単結合;及び、メチレンオキシ基、エチレンオキシ基、プロピレンオキシ基等の、アルキレン−オキシ基;が更に好ましい。
式(1)において、Bは、−H、−OH、−Rb1、−ORb2、−COOH、−COORb3、−CORb4、−OCORb5、−F、−CF又は、−OCFを表す。
前記のRb1、Rb2、Rb3、Rb4及びRb5は、それぞれ独立に、1価の脂肪族炭化水素基を表す。1価の脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。また、1価の脂肪族炭化水素基は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。中でも、Rb1、Rb2、Rb3、Rb4及びRb5は、1価の飽和脂肪族炭化水素基が好ましい。Rb1の炭素原子数、Rb2の炭素原子数、Rb3の炭素原子数、Rb4の炭素原子数、及び、Rb5の炭素原子数は、それぞれ独立に、好ましくは1以上であり、好ましくは12以下、より好ましくは10以下、特に好ましくは8以下である。Rb1、Rb2、Rb3、Rb4及びRb5の炭素原子数が前記範囲にある場合、液晶硬化層に含まれる液晶化合物の分子の傾斜角を効果的に大きくしたり、液晶硬化層の面状態を特に良好にしたり、液晶硬化層の配向欠陥を効果的に抑制したりできる。Rb1、Rb2、Rb3、Rb4及びRb5の具体例としては、Ra1の例として説明したアルキル基の他、アルケニル基、アルキニル基が挙げられる。
上述した中でも、Bとしては、−Rb1、−ORb2及び−OCFが好ましく、−Rb1及び−ORb2がより好ましい。特に好ましいBの具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヘキシル基、ペンチル基、ヘプチル基等のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基等のアルコキシ基;が挙げられる。
式(1)において、Xは、単結合、−COO−、−OCO−、−N=N−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH=N−、又は−C−を表す。中でも、Xとしては、単結合、−COO−及び−OCO−が好ましく、−COO−及び−OCO−が更に好ましく、−COO−が特に好ましい。
さらには、(b)特定液晶化合物が含む重合性基の数は、1以下であることが好ましい。すなわち、(b)特定液晶化合物は、重合性基を含まないか、重合性基を1個含むことが好ましい。(b)特定液晶化合物が含む重合性基の数が1以下である場合、液晶硬化層に含まれる液晶化合物の分子の傾斜角を効果的に大きくしたり、液晶硬化層の面状態を特に良好にしたり、液晶硬化層の配向欠陥を効果的に抑制したりできる。
式(1)で表される(b)特定液晶化合物の例としては、下記のものが挙げられる。
Figure 2021004994
(b)特定液晶化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
(b)特定液晶化合物の分子量は、(a)逆分散液晶化合物の分子量よりも小さいことが好ましい。(b)特定液晶化合物の具体的な分子量の範囲は、好ましくは200以上、より好ましくは230以上、特に好ましくは250以上であり、好ましくは1000以下、より好ましくは700以下、特に好ましくは500以下である。(b)特定液晶化合物の分子量が前記範囲にある場合、(a)逆分散液晶化合物の分子同士の間に(b)特定液晶化合物の分子が進入し、この進入した(b)特定液晶化合物の分子が(a)逆分散液晶化合物の分子の配向状態に効果的に作用できるので、液晶硬化層に含まれる液晶化合物の分子の傾斜角を効果的に大きくしたり、液晶硬化層の面状態を特に良好にしたり、液晶硬化層の配向欠陥を効果的に抑制したりできる。
(b)特定液晶化合物が示す波長分散性は、任意である。(b)特定液晶化合物は、逆分散液晶化合物であってもよいが、多くの場合、順分散液晶化合物である。また、逆分散液晶化合物としての(b)特定液晶化合物と、順分散液晶化合物としての(b)特定液晶化合物とを組み合わせて用いてもよい。ただし、(a)逆分散液晶化合物に該当する化合物は、(b)特定液晶化合物に含めないで、(a)逆分散液晶化合物に分類する。
液晶組成物に含まれる(b)特定液晶化合物の量は、(a)逆分散液晶化合物100重量部に対して、好ましくは5重量部以上、より好ましくは7重量部以上、特に好ましくは10重量部以上であり、好ましくは40重量部以下、より好ましくは35重量部以下、特に好ましくは30重量部以下である。(b)特定液晶化合物の量が前記範囲にある場合、液晶硬化層に含まれる液晶化合物の分子の傾斜角を効果的に大きくしたり、液晶硬化層の面状態を特に良好にしたり、液晶硬化層の配向欠陥を効果的に抑制したりできる。
[4.任意の成分]
液晶組成物は、上述した(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物に組み合わせて、更に任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
任意の成分としては、例えば、重合開始剤が挙げられる。中でも、光重合開始剤が好ましい。重合開始剤の種類は、液晶組成物に含まれる重合性の化合物の種類に応じて選択しうる。例えば、重合性の化合物がラジカル重合性であれば、ラジカル重合開始剤を使用しうる。また、例えば、重合性の化合物がアニオン重合性であれば、アニオン重合開始剤を使用しうる。さらに、例えば、重合性の化合物がカチオン重合性であれば、カチオン重合開始剤を使用しうる。重合開始剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
重合開始剤の量は、(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物の合計100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上であり、好ましくは30重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。重合開始剤の量が前記範囲に収まる場合、重合を効率的に進行させることができる。
別の任意の成分としては、例えば、界面活性剤が挙げられる。界面活性剤の中でも、液晶組成物の塗工性を良好にする観点、並びに、配向性に優れた液晶硬化層を安定して得る観点から、分子中にフッ素原子を含む界面活性剤が好ましい。以下の説明において、分子中にフッ素原子を含む界面活性剤を、適宜「フッ素系界面活性剤」ということがある。
界面活性剤はノニオン系界面活性剤であることが好ましい。界面活性剤がイオン性基を含まないノニオン系界面活性剤である場合に、液晶硬化層の面状態及び配向性を、特に良好にすることができる。
界面活性剤としては、例えば、AGCセイミケミカル社製のサーフロンシリーズ(S420など)、ネオス社製のフタージェントシリーズ(251、FTX−212M、FTX−215M、FTX−209など)、DIC社製のメガファックシリーズ(F−444など)などのフッ素系界面活性剤が挙げられる。また、界面活性剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤の量は、(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物の合計100重量部に対して、好ましくは0.03重量部以上、より好ましくは0.05重量部以上であり、好ましくは0.50重量部以下、より好ましくは0.40重量部以下、更に好ましくは0.30重量部以下である。界面活性剤の量が前記の範囲にある場合、所望の液晶硬化層を安定して得ることができる。
更に別の任意の成分としては、例えば、溶媒が挙げられる。溶媒としては、(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物を溶解できるものが好ましい。このような溶媒としては、通常、有機溶媒を用いる。有機溶媒の例としては、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;酢酸ブチル、酢酸アミル等の酢酸エステル溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素溶媒;1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル溶媒;及びトルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶媒;が挙げられる。また、溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
溶媒の沸点は、取り扱い性に優れる観点から、好ましくは60℃〜250℃、より好ましくは60℃〜150℃である。
溶媒の量は、(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物の合計100重量部に対して、好ましくは200重量部以上、より好ましくは250重量部以上、特に好ましくは300重量部以上であり、好ましくは650重量部以下、より好ましくは550重量部以下、特に好ましくは450重量部以下である。溶媒の量が、前記範囲の下限値以上である場合、異物発生の抑制ができ、前記範囲の上限値以下である場合、乾燥負荷の低減ができる。
更に別の任意の成分としては、例えば、液晶化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくする作用を発揮できる傾斜作用成分が挙げられる。傾斜作用成分を用いた場合、(a)逆分散液晶化合物等の液晶化合物の分子の傾斜を促進して、液晶化合物の分子の傾斜角が特に大きい液晶硬化層を容易に得ることができる。このような傾斜作用成分としては、例えば、特開2018−163218号公報、特開2018−162379号公報、国際公開第2018/173778号の明細書などに記載の成分を用いうる。
液晶組成物が含みうる任意の成分としては、例えば、金属;金属錯体;酸化チタン等の金属酸化物;染料、顔料等の着色剤;蛍光材料、燐光材料等の発光材料;酸化防止剤;レベリング剤;チキソ剤;ゲル化剤;多糖類;紫外線吸収剤;赤外線吸収剤;抗酸化剤;イオン交換樹脂;等が挙げられる。これらの成分の量は、液晶化合物の合計100重量部に対して、各々0.1重量部〜20重量部でありうる。
[5.液晶組成物の状態]
液晶組成物は、流体状であってもよく、固体状であってもよい。液晶組成物の状態は、液晶組成物の使用態様に応じて調整しうる。例えば、液晶組成物を支持面に塗工して液晶組成物の層を形成する際には、液晶組成物は流体状であることが好ましい。また、例えば、液晶組成物の層に含まれる液晶化合物を配向させる際には、液晶組成物は流体状であることが好ましい。
[6.液晶硬化フィルムの構造及び特性]
本発明の一実施形態に係る液晶硬化フィルムは、上述した液晶組成物の硬化物で形成された液晶硬化層を含む。液晶組成物の硬化物で形成されているので、液晶硬化層は、通常、(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物等の液晶化合物の分子を含む。
液晶組成物の硬化は、通常、当該液晶組成物が含む重合性の化合物の重合によって達成される。よって、液晶硬化層は、通常、液晶組成物が含んでいた成分の一部又は全部の重合体を含む。したがって、液晶硬化層は、重合前の配向状態を維持したまま重合した(a)逆分散液晶化合物の重合体を含みうる。また、(b)特定液晶化合物が重合性を有する場合には、液晶硬化層は、重合前の配向状態を維持したまま重合した(b)特定液晶化合物の重合体を含みうる。通常、重合によって(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物の液晶性は失われるが、本願においては、そのように重合した(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物も、用語「液晶硬化層に含まれる(a)逆分散液晶化合物」及び「液晶硬化層に含まれる(b)特定液晶化合物」に含める。
液晶組成物の硬化物においては、硬化前の液晶組成物の流動性が失われる。よって、液晶硬化層において、(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物は、通常、その配向状態を固定されうる。用語「配向状態を固定された(a)逆分散液晶化合物」には、前記の(a)逆分散液晶化合物の重合体が包含される。また、用語「配向状態を固定された(b)特定液晶化合物」には、前記の(b)特定液晶化合物の重合体が包含される。液晶硬化層は、配向状態を固定された(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物の分子に組み合わせて配向状態を固定されていない(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物の分子を含んでいてもよいが、液晶硬化層に含まれる(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物の分子の全てが配向状態を固定されていることが好ましい。
液晶硬化層の厚み方向においては、(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物の分子の配向方向は、任意である。例えば、液晶硬化層の厚み方向において、(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物の分子の配向方向は、液晶硬化層の層平面に平行でもよく、非平行でもよい。また、液晶硬化層の厚み方向において、(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物の分子の配向方向は、均一でもよく、不均一でもよい。具体例を挙げると、(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物の分子は、液晶硬化層の層平面に平行なある一の方向に配向していてもよい(ホモジニアス配向)。さらに、(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物の分子は、液晶硬化層の層平面に垂直な方向に配向していてもよい(垂直配向)。また、(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物の分子は、液晶硬化層の層平面に平行でも垂直でもないある一の方向に配向していてもよい(傾斜配向)。さらに、(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物の分子は、液晶硬化層の一側に近いほど傾斜角が小さく、前記一側から遠いほど傾斜角が大きい態様で、配向していてもよい(ハイブリッド配向)。
中でも、液晶硬化層に含まれる液晶化合物の分子の傾斜角を大きくできるという利点を有効に活用する観点から、液晶硬化層に含まれる(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物の少なくとも一部の分子は、液晶硬化層の層平面に対して傾斜していることが好ましい。
液晶硬化層に含まれる(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物の分子のうち、一部が液晶硬化層の層平面に対して傾斜していてもよく、全部が液晶硬化層の層平面に対して傾斜していてもよい。例えば、液晶硬化層において、(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物の分子の傾斜角が、厚み方向において、一方の面に近いほど大きく、一方の面から遠いほど小さいことがありえる。この例の場合、液晶硬化層の一方の面の近傍部分では、(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物の分子が層平面に対して垂直でありえる。また、液晶硬化層の他方の面の近傍部分では、(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物の分子が層平面に対して平行でありえる。しかし、このように液晶硬化層の表面近傍部分で(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物の分子が層平面に対して平行又は垂直である場合であっても、通常は、液晶硬化層の表面近傍部分を除いた部分では、(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物の分子は層平面に対して傾斜している。
液晶硬化層に含まれる(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物の分子の少なくとも一部が液晶硬化層の層平面に対して傾斜した方向に配向していることは、当該液晶硬化層に含まれる液晶化合物の分子の実質最大傾斜角によって確認できる。通常は、液晶硬化層に含まれる液晶化合物の分子の実質最大傾斜角が5°以上85°以下である場合、液晶硬化層に含まれる(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物等の液晶化合物の分子の少なくとも一部が液晶硬化層の層平面に対して傾斜した方向に配向している。
ある層に含まれる液晶化合物の分子の「実質最大傾斜角」とは、その層の一方の面での分子の傾斜角が0°であり、且つ分子の傾斜角が厚み方向において一定比率で変化していると仮定した場合の、液晶化合物の分子の傾斜角の最大値をいう。具体的には、液晶硬化層の厚み方向において、液晶化合物の分子の傾斜角が、当該液晶硬化層の一側に近いほど小さく前記一側から遠いほど大きい場合を考える。実質最大傾斜角は、このような厚み方向における傾斜角の変化の比率(即ち、一側に近いほど減少し、一側から遠いほど増加するという変化の比率)が一定であると仮定して計算される、傾斜角の最大値を表す。具体例を挙げると、支持面上に形成された液晶組成物の層を硬化させて得られる液晶硬化層においては、実質最大傾斜角は、通常、液晶硬化層の支持面側の面での分子の傾斜角が0°であり、且つ、分子の傾斜角が厚み方向において一定比率で変化していると仮定した場合の、液晶化合物の分子の傾斜角の最大値を表す。
このように、前記の実質最大傾斜角は、液晶硬化層に含まれる(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物等の液晶化合物の分子の傾斜角の大きさを示す指標でありうる。よって、実質最大傾斜角によって、液晶硬化層に含まれる(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物の分子の少なくとも一部が、当該液晶硬化層の層平面に対して傾斜していることを確認できる。通常、実質最大傾斜角が大きい液晶硬化層ほど、その液晶硬化層に含まれる(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物の分子の全体として見た傾斜角が大きい傾向がある。
本実施形態に係る液晶硬化層は、当該液晶硬化層に含まれる(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物を含む液晶化合物の分子の傾斜角を大きくできる。よって、液晶硬化層に含まれる液晶化合物の分子の実質最大傾斜角を、大きくすることが可能である。実質最大傾斜角の具体的な範囲は、好ましくは40°以上、より好ましくは50°以上である。このように実質最大傾斜角が大きい液晶硬化層は、当該液晶硬化層に含まれる(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物の分子の傾斜角が全体として大きいので、その液晶硬化層を備える液晶硬化フィルムを反射抑制フィルムとしての偏光板に設けた場合に、厚み方向における複屈折の調整を適切に行うことができる。よって、この液晶硬化フィルムによれば、表示面の傾斜方向において反射を効果的に抑制することができるので、視野角特性の改善が可能である。実質最大傾斜角の上限に制限はないが、視野角特性の効果的な改善の観点からは、好ましくは85°以下、より好ましくは83°以下、特に好ましくは80°以下である。
液晶硬化層に含まれる液晶化合物の分子の実質最大傾斜角は、後述する実施例に記載の測定方法で測定できる。
本実施形態に係る液晶硬化層は、良好な面状態を有することができる。すなわち、液晶硬化層の表面を均一にすることができる。よって、通常は、液晶硬化層のレターデーションを、当該液晶硬化層の厚み方向に垂直な面内方向において均一にできる。
液晶硬化層の面状態は、下記の面状態の評価試験によって評価できる。ここで、面状態の評価試験では、ライトテーブル上に、一対の直線偏光子(偏光子及び検光子)をパラニコルとなるように重ねて設置する。ここでパラニコルとは、直線偏光子の偏光透過軸が平行となる態様を表す。そして、偏光子と検光子との間に液晶硬化層を置き、液晶硬化層の遅相軸と偏光子の吸収軸とを厚み方向から見て略45°の角度をなすように調整する。この状態で、ライトテーブルを点灯し、偏光子、液晶硬化層及び検光子を透過した光を観察する。この面状態の評価試験を行った場合、観察される像のムラが小さいほど、面状態が良好と判断できる。
本実施形態に係る液晶硬化層は、配向欠陥を抑制することができる。すなわち、液晶硬化層に含まれる(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物の配向方向の乱れを小さくできるので、配向欠陥の発生を抑制できる。
液晶硬化層の配向欠陥は、下記の配向欠陥の評価試験によって評価できる。ここで、配向欠陥の評価試験では、偏光顕微鏡を用いて、クロスニコル下において液晶硬化層を透過観察する。この配向欠陥の評価試験を行った場合、液晶硬化層の面積1mm当たりで観察される配向欠陥の数を、好ましくは10本未満、より好ましくは1本未満にできる。
このように、上述した液晶組成物の硬化物で形成された本実施形態に係る液晶硬化層では、当該液晶硬化層に含まれる(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物等の液晶化合物の傾斜角を大きくでき、面状態を良好にでき、且つ配向欠陥を抑制できる。このような効果が得られる仕組みを、本発明者は、下記のように推察する。ただし、本発明の技術的範囲は、下記の仕組みによって制限されない。
(b)特定液晶化合物は、分子量が小さく分子長が短い傾向があるので、その分子は大きい傾斜角で傾斜しやすい。さらに、(b)特定液晶化合物の分子は、分子量が小さいので、(a)逆分散液晶化合物の大きい分子同士の間に進入し、その(a)逆分散液晶化合物の分子の配向を整える作用を発揮できる。例えば、(a)逆分散液晶化合物の分子は、逆方向に傾斜して分子同士の衝突を生じ、配向が乱れたり、傾斜角が小さくなったりすることがありえる。これに対し、(a)逆分散液晶化合物の分子同士の間に進入した(b)特定液晶化合物の分子によれば、前記の(a)逆分散液晶化合物の分子同士の衝突を緩和して、配向を整えることができる。そして、これらの作用により、前記の効果が得られるものと本発明者は推察する。
液晶硬化層は、(a)逆分散液晶化合物を含むので、通常、逆波長分散性のレターデーションを発現できる。具体的には、測定波長450nm及び550nmにおける液晶硬化層の面内レターデーションRe(450)及びRe(550)は、通常、下記式(N3)を満たすことができる。このように逆波長分散性の面内レターデーションを有する液晶硬化層は、1/4波長板又は1/2波長板等の光学用途において、広い波長帯域において均一に機能を発現できる。
Re(450)/Re(550)<1.00 (N3)
液晶硬化層の面内方向においては、(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物の分子の配向方向は、通常、均一である。よって、液晶硬化層は、通常、液晶硬化層を厚み方向から見た(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物の分子の配向方向に平行な面内遅相軸を有する。そして、このように面内方向において(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物が一定の配向方向に配向するので、液晶硬化層は、通常、所望の大きさの面内レターデーションを有しうる。
液晶硬化層の具体的な面内レターデーションの範囲は、この液晶硬化層の用途に応じて任意に設定しうる。面内レターデーションの範囲を適切に設定することにより、液晶硬化層は、1/8波長板、1/4波長板及び1/2波長板等の光学異方性層としての光学的機能を発揮することができる。
例えば、液晶硬化層を1/8波長板として機能させたい場合、液晶硬化層の面内レターデーションは、測定波長590nmにおいて、好ましくは50nm以上、より好ましくは55nm以上、特に好ましくは60nm以上であり、好ましくは100nm以下、より好ましく90nm以下、特に好ましくは80nm以下である。
例えば、液晶硬化層を1/4波長板として機能させたい場合、液晶硬化層の面内レターデーションは、測定波長590nmにおいて、好ましくは100nm以上、より好ましくは110nm以上、特に好ましくは120nm以上であり、好ましくは180nm以下、より好ましく170nm以下、特に好ましくは160nm以下である。
例えば、液晶硬化層を1/2波長板として機能させたい場合、液晶硬化層のレターデーションは、測定波長590nmにおいて、好ましくは245nm以上、より好ましくは265nm以上、特に好ましくは270nm以上であり、好ましくは320nm以下、より好ましくは300nm以下、特に好ましくは295nm以下である。
液晶硬化層の厚みは、レターデーション等の特性を所望の範囲にできるように、適切に設定しうる。具体的には、液晶硬化層の厚みは、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上であり、好ましくは10.0μm以下、より好ましくは7.0μm以下、特に好ましくは5.0μm以下である。
液晶硬化フィルムが有する液晶硬化層の数は、1でもよく、2以上でもよい。例えば、1/8波長板として機能できる液晶硬化層を適切に2層備える液晶硬化フィルムは、全体として、1/4波長板として機能することができる。
図1は、第一の液晶硬化層110及び第二の液晶硬化層120を備える一例に係る液晶硬化フィルム100の断面を模式的に示す断面図である。図1に示す例のように、1/8波長板として機能できる2つの液晶硬化層110及び120を、必要に応じて粘着層又は接着層(図示せず。)で貼り合わせることにより、全体として1/4波長板として機能できる液晶硬化フィルム100を得ることができる。この際、第一の液晶硬化層110の面内遅相軸と、第二の液晶硬化層120の面内遅相軸とは、厚み方向から見て平行にすることが望ましい。
更には、第一の液晶硬化層110に含まれる(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物の少なくとも一部の分子が層平面100Uに対して傾斜し、且つ、第二の液晶硬化層120に含まれる(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物の少なくとも一部の分子が層平面100Uに対して傾斜している場合、第一の液晶硬化層110の断面遅相軸110Aと、第二の液晶硬化層120の断面遅相軸120Aとが、交差することが好ましい。ここで、第一の液晶硬化層110の断面遅相軸110Aとは、特定断面に平行な方向のうち、第一の液晶硬化層110の屈折率が最大の方向を表す。また、第二の液晶硬化層120の断面遅相軸120Aとは、特定断面に平行な方向のうち、第二の液晶硬化層120の屈折率が最大の方向を表す。さらに、特定断面とは、第一の液晶硬化層110の厚み方向及び面内遅相軸の両方に平行な平面で液晶硬化フィルムを切った断面を表す。この場合、第一の液晶硬化層110の傾斜方向のレターデーションの方位依存性と、第二の液晶硬化層120の傾斜方向のレターデーションの方位依存性とを、相殺することができる。よって、液晶硬化フィルム100の全体としては、傾斜方向のレターデーションの方位依存性を抑制できる。ここで、レターデーションの方位依存性とは、レターデーションが方位によって異なる性質をいう。また、ある層の傾斜方向の「方位」とは、別に断らない限り、その傾斜方向の、層平面100Uに平行な成分を表す。
特には、前記の例に係る液晶硬化フィルム100の特定断面では、第一の液晶硬化層110の断面遅相軸110Aと第二の液晶硬化層120の断面遅相軸120Aとが、層平面100Uに平行な対称軸に対して線対称となっていることが望ましい。この場合、第一の液晶硬化層110の傾斜方向のレターデーションの方位依存性と、第二の液晶硬化層120の傾斜方向のレターデーションの方位依存性とを、特に効果的に相殺できる。
第一の液晶硬化層110の断面遅相軸110Aと第二の液晶硬化層120の断面遅相軸120Aとが正確に線対称となっている場合、断面遅相軸110Aが層平面100Uに対してなす角度θ110と、断面遅相軸120Aが層平面100Uに対してなす角度θ120との和θ110+θ120が、断面遅相軸110Aと断面遅相軸120Aとがなす交差角θ100に一致し、それらの差θ110−θ120は0(ゼロ)になりうる。しかし、第一の液晶硬化層110の断面遅相軸110Aと第二の液晶硬化層120の断面遅相軸120Aとは、液晶硬化フィルム100の特定断面において実質的に線対称であれば、前記の方位依存性の相殺が可能である。よって、角度θ110と角度θ120との差θ110−θ120は、必ずしも正確に0でなくてもよく、誤差が許容される。角度θ110と角度θ120との差θ110−θ120は、例えば、−20°〜20°の範囲、−15°〜15°の範囲、−10°〜10°の範囲、でありうる。
図2は、第一の液晶硬化層110及び第二の液晶硬化層120を備える一例に係る液晶硬化フィルム100の断面を、それらの液晶硬化層110及び120に含まれる液晶化合物の分子130及び140とともに模式的に示す断面図である。図2に示すように、第一の液晶硬化層110に含まれる液晶化合物の分子130がハイブリッド配向をしている場合、第一の液晶硬化層110は、通常、オモテ面及びウラ面の一方として低傾斜面110Dを有し、オモテ面及びウラ面の他方として高傾斜面110Uを有する。また、第二の液晶硬化層120に含まれる液晶化合物の分子140がハイブリッド配向をしている場合、第二の液晶硬化層120は、通常、オモテ面及びウラ面の一方として低傾斜面120Dを有し、オモテ面及びウラ面の他方として高傾斜面120Uを有する。ここで、低傾斜面110D及び120Dとは、層平面100Uに対する液晶性化合物の分子130及び140の傾斜角が相対的に小さい面をいう。また、高傾斜面110U及び120Uとは、層平面100Uに対する液晶性化合物の分子130及び140の傾斜角が相対的に大きい面をいう。
第一の液晶硬化層110及び第二の液晶硬化層120等の液晶硬化層は、通常、基材上に形成された液晶組成物の層を硬化させて製造される。液晶組成物の層の基材側界面では、液晶性化合物の分子が基材表面に沿って配向する傾向がある。よって、この基材側界面に相当する液晶硬化層の面では、液晶性化合物の分子の傾斜角は相対的に小さいことがありうる。他方、液晶組成物の層の基材とは反対側の空気界面では、液晶性化合物の分子が層平面に対して大きな角度をなして配向する傾向がある。よって、この空気側界面に相当する液晶硬化層の面では、液晶性化合物の分子の傾斜角は相対的に大きいことがありうる。したがって、液晶硬化層のオモテ面及びウラ面における液晶性化合物の分子の傾斜角は異なりうるので、液晶硬化層は、低傾斜面及び高傾斜面を有しうる。
液晶硬化層の表面における液晶性化合物の分子の傾斜角は、液晶硬化層の断面を偏光顕微鏡で観察し、消光位から測定できる。この観察の際には、液晶硬化層の遅相軸に平行でかつ層平面に垂直な断面を観察しうる。
図2に示す例のように、低傾斜面110D及び高傾斜面110Uを有する第一の液晶硬化層110と、低傾斜面120D及び高傾斜面120Uを有する第二の液晶硬化層120とを備える液晶硬化フィルム100は、第一の液晶硬化層110の高傾斜面110Uと第二の液晶硬化層120の高傾斜層120Uとが向き合うように設けられることが好ましい。このような液晶硬化フィルム100は、通常、空気側界面に相当する液晶硬化層の面(図2に示す例では、高傾斜面110U及び120U)を貼り合わせて製造できるので、少ない工程数での製造が可能である。
好適な具体例を挙げると、1/8波長板として機能できる液晶硬化層を切り分けて、同一の光学特性を有する第一の液晶硬化層110と第二の液晶硬化層120とを用意する。そして、それらの第一の液晶硬化層110及び第二の液晶硬化層120を上述した条件を満たすように貼合することにより、傾斜方向のレターデーションの方位依存性が効果的に抑制された1/4波長板としての液晶硬化フィルム100を得ることができる。また、別の具体例としては、1/8波長板として機能できる液晶硬化層を折り畳んで、上述した条件を満たす第一の液晶硬化層110及び第二の液晶硬化層120を含む液晶硬化フィルム100を得てもよい。
液晶硬化フィルムは、液晶硬化層のみを含むフィルムであってもよく、液晶硬化層に組み合わせて任意の層を含むフィルムであってもよい。任意の層としては、液晶硬化層の製造に用いる基材;位相差フィルム;他の部材と接着するための接着剤層;フィルムの滑り性を良くするマット層;耐衝撃性ポリメタクリレート樹脂層などのハードコート層;反射防止層;防汚層;等が挙げられる。
液晶硬化フィルムは、透明性に優れることが好ましい。具体的には、液晶硬化フィルムの全光線透過率は、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは84%以上である。また、液晶硬化フィルムのヘイズは、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。全光線透過率は、紫外・可視分光計を用いて、波長400nm〜700nmの範囲で測定できる。また、ヘイズは、ヘイズメーターを用いて測定できる。
液晶硬化フィルムの厚みは、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上であり、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下である。
[7.液晶硬化フィルムの製造方法]
液晶硬化フィルムの製造方法は、所望の液晶硬化フィルムが得られる限り、任意である。一実施形態において、液晶硬化フィルムは、
(i)液晶組成物の層を形成する工程と;
(ii)液晶組成物の層に含まれる(a)逆分散液晶化合物を配向させる工程と;
(iii)液晶組成物の層を硬化させて、液晶硬化層を得る工程と;
を含む製造方法により、製造できる。
工程(i)では、通常、適切な支持面に、液晶組成物の層を形成する。支持面としては、液晶組成物の層を支持できる任意の面を用いうる。この支持面としては、液晶硬化層の面状態を良好にする観点から、凹部及び凸部の無い平坦面を用いることが好ましい。また、液晶硬化層の生産性を高める観点から、前記の支持面としては、長尺の基材の表面を用いることが好ましい。ここで「長尺」とは、幅に対して、5倍以上の長さを有する形状をいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するフィルムの形状をいう。長さの上限は、特に制限は無く、例えば、幅に対して1万倍以下でありうる。
基材としては、通常、樹脂フィルム又はガラス板を用いる。特に、高い温度で配向処理を行う場合、その温度に耐えられる基材を選択するのが好ましい。樹脂としては、通常、熱可塑性樹脂を用いる。中でも、配向規制力の高さ、機械的強度の高さ、及びコストの低さといった観点から、樹脂としては、正の固有複屈折値を有する樹脂が好ましい。更には、透明性、低吸湿性、寸法安定性及び軽量性に優れることから、ノルボルネン系樹脂等の、脂環式構造含有重合体を含む樹脂を用いることが好ましい。基材に含まれる樹脂の好適な例を商品名で挙げると、ノルボルネン系樹脂として、日本ゼオン社製「ゼオノア」を挙げられる。
支持面としての基材の表面には、液晶組成物の層における液晶化合物の配向を促進するため、配向規制力を付与するための処理が施されていることが好ましい。配向規制力とは、液晶組成物に含まれる液晶化合物を配向させることができる、面の性質をいう。支持面に配向規制力を付与するため処理としては、例えば、配向膜形成処理、光配向処理、ラビング処理、イオンビーム配向処理、延伸処理などが挙げられる。
液晶組成物の層を形成する工程(i)において、液晶組成物は、通常、流体状で用意される。そのため、通常は、支持面に液晶組成物を塗工して、液晶組成物の層を形成する。液晶組成物を塗工する方法としては、例えば、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、ギャップコーティング法、及びディッピング法が挙げられる。
液晶組成物の層を形成する工程(i)の後で、液晶組成物の層に含まれる(a)逆分散液晶化合物を配向させる工程(ii)を行う。この工程(ii)では、(a)逆分散液晶化合物だけでなく、(b)特定液晶化合物も配向しうる。配向を行う際には、通常、液晶組成物の層を、特定の温度条件に特定の時間だけ保持する配向処理を行う。これにより、液晶組成物の層において、(a)逆分散液晶化合物等の液晶化合物が配向する。
配向処理の温度条件としての配向温度は、液晶組成物の液晶化温度以上の温度としうる。この際、配向温度は、基材に含まれる樹脂のガラス転移温度未満の温度であることが好ましい。これにより、配向処理による基材の歪みの発生を抑制できる。
通常、面内方向においては、液晶化合物は、基材の表面の配向規制力に応じた方向に配向しうる。また、厚み方向において、液晶化合物は、その一部又は全部が層平面に対して傾斜するように配向しうる。この場合、液晶化合物の分子の層平面に対する傾斜角を大きくするために、前記の配向処理を適切な条件において行ってもよい。液晶化合物の分子の層平面に対する傾斜角を大きくする方法としては、例えば、特許第5363022号公報、国際公開第2018/173778号、特開2018−163218号公報、特開2018−162379号公報、国際公開第2018/173773号に記載の方法を用いうる。
配向処理の際、液晶組成物の層の温度を特定の配向温度に保持する時間は、所望の液晶硬化フィルムが得られる範囲で任意に設定でき、例えば30秒間〜5分間でありうる。
(a)逆分散液晶化合物を配向させる工程(ii)の後で、液晶組成物の層を硬化させて、液晶硬化層を得る工程(iii)を行う。この工程(iii)では、通常、液晶組成物に含まれる重合性の化合物の重合により、液晶組成物の層を硬化させる。よって、(a)逆分散液晶化合物は、通常、その分子の配向を維持したままで重合する。硬化によって、硬化前の流動性が失われるので、得られる液晶硬化層では、(a)逆分散液晶化合物及び(b)特定液晶化合物の配向状態は、硬化前の配向状態のまま、固定されることができる。
重合方法としては、液晶組成物に含まれる成分の性質に適合した方法を選択しうる。重合方法としては、例えば、活性エネルギー線を照射する方法、及び、熱重合法が挙げられる。中でも、加熱が不要であり、室温で重合反応を進行させられるので、活性エネルギー線を照射する方法が好ましい。ここで、照射される活性エネルギー線には、可視光線、紫外線、及び赤外線等の光、並びに電子線等の任意のエネルギー線が含まれうる。
なかでも、操作が簡便なことから、紫外線を照射する方法が好ましい。紫外線照射時の温度は、基材のガラス転移温度以下が好ましく、好ましくは150℃以下、より好ましくは100℃以下、特に好ましくは80℃以下である。紫外線照射時の温度の下限は、15℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましい。紫外線の照射強度は、好ましくは0.1mW/cm以上、より好ましくは0.5mW/cm以上であり、好ましくは10000mW/cm以下、より好ましくは5000mW/cm以下である。紫外線の照射量は、好ましくは0.1mJ/cm以上、より好ましくは0.5mJ/cm以上であり、好ましくは10000mJ/cm以下、より好ましくは5000mJ/cm以下である。
上述した実施形態に係る製造方法では、通常、基材と、この基材の支持面上に形成された液晶硬化層とを含む液晶硬化フィルムが得られる。
上述した実施形態に係る液晶硬化フィルムの製造方法は、上述した工程(i)〜工程(iii)に組み合わせて、更に任意の工程を含んでいてもよい。
液晶硬化フィルムの製造方法は、例えば、支持面から液晶硬化層を剥離する工程を含んでいてもよい。
また、液晶硬化フィルムの製造方法は、例えば、液晶硬化層上に、更に任意の層を形成する工程を含んでいてもよい。
さらに、液晶硬化フィルムの製造方法は、例えば、基材上に形成された液晶硬化層を、任意のフィルム層に転写する工程を含んでいてもよい。よって、例えば、液晶硬化フィルムの製造方法は、基材上に形成された液晶硬化層と任意のフィルム層とを貼り合わせた後で、必要に応じて基材を剥離して、液晶硬化層及び任意のフィルム層を含む液晶硬化フィルムを得る工程を含んでいてもよい。この際、貼り合わせには、適切な粘着剤又は接着剤を用いてもよい。
また、液晶硬化フィルムの製造方法は、例えば、液晶組成物の層を硬化させる工程(iii)の前に、液晶組成物の層を乾燥させる工程を含んでいてもよい。かかる乾燥は、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥等の乾燥方法で達成しうる。かかる乾燥により、液晶組成物の層から、溶媒を除去することができる。
さらに、液晶硬化フィルムの製造方法は、例えば、液晶硬化層を貼り合わせる工程を含んでいてもよい。この際、例えば、別々に用意した2層の液晶硬化層を貼り合わせてもよく、1層の液晶硬化層を折り畳んで貼り合わせてもよい。これにより、図1又は図2に示した例のように複数の液晶硬化層を備える液晶硬化フィルムを得ることができる。
前記のような製造方法によれば、長尺の基材を用いて、長尺の液晶硬化フィルムを得ることができる。このような長尺の液晶硬化フィルムは、連続的な製造が可能であり、生産性に優れる。また、長尺の液晶硬化フィルムは、他のフィルムとの貼り合わせを、ロールトゥロールによって行うことができるので、この点でも、生産性に優れる。通常、長尺の液晶硬化フィルムは、巻き取られてロールの状態で保存及び運搬がなされる。
[8.偏光板]
本発明の一実施形態に係る偏光板は、上述した液晶硬化フィルムと、直線偏光子とを備える。この偏光板は、円偏光板又は楕円偏光板として機能できることが好ましい。このような偏光板は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置(以下、適宜「有機EL表示装置」ということがある。)に設けることにより、有機EL表示装置の表示面において外光の反射を抑制できる。このとき、液晶硬化層が(a)逆分散液晶化合物を含むので、広い波長範囲において外光の反射抑制が可能である。
また、上述した液晶組成物の硬化物で形成された液晶硬化層を備える液晶硬化フィルムは、当該液晶硬化層に含まれる液晶化合物の分子が層全体として大きな傾斜角を有することができるので、厚み方向の複屈折を適切に調整できる。このような液晶硬化フィルムを備える偏光板によれば、表示面の傾斜方向において反射を効果的に抑制できるという優れた視野角特性を得ることができる。
直線偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素又は二色性染料を吸着させた後、ホウ酸浴中で一軸延伸することによって得られるフィルム;ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素又は二色性染料を吸着させ延伸しさらに分子鎖中のポリビニルアルコール単位の一部をポリビニレン単位に変性することによって得られるフィルム;が挙げられる。また、直線偏光子の他の例としては、グリッド偏光子、多層偏光子などの、偏光を反射光と透過光に分離する機能を有する偏光子が挙げられる。これらのうち、直線偏光子としては、ポリビニルアルコールを含有する偏光子が好ましい。
直線偏光子に自然光を入射させると、一方の偏光だけが透過する。この直線偏光子の偏光度は特に限定されないが、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上である。
また、直線偏光子の厚みは、好ましくは5μm〜80μmである。
偏光板を円偏光板として機能させたい場合、直線偏光子の偏光吸収軸に対して液晶硬化層の面内遅相軸がなす角度は、45°またはそれに近い角度であることが好ましい。前記の角度は、具体的には、好ましくは40°〜50°、より好ましくは41°〜49°、特に好ましくは42°〜48°である。また、偏光板を円偏光板として機能させたい場合、液晶硬化層は、1/4波長板として機能できる面内レターデーションを有することが好ましい。
偏光板は、直線偏光子及び液晶硬化層に組み合わせて、更に任意の層を含んでいてもよい。任意の層としては、例えば、直線偏光子と液晶硬化層とを貼り合わせるための接着層;直線偏光子を保護するための偏光子保護フィルム層;などが挙げられる。
前記の偏光板は、例えば、液晶硬化フィルムと直線偏光子とを貼合して偏光板を得る工程を含む製造方法により、製造できる。
[9.有機EL表示装置]
本発明の一実施形態に係る有機EL表示装置は、上述した偏光板を備える。有機EL表示装置は、通常、表示素子として有機EL素子を含み、この有機EL素子の視認側に、偏光板が設けられる。また、偏光板は、有機EL素子側から、液晶硬化フィルム及び直線偏光子をこの順に含みうる。そして、このような構成において、前記の偏光板が反射抑制フィルムとして機能できる。
以下、実施例を示して、本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施してもよい。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り、重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温及び常圧の条件において行った。
[液晶化合物の説明]
以下に、実施例及び比較例で使用した液晶化合物の構造を示す。以下に示す液晶化合物のうち、逆分散液晶化合物E1及びE2が、(a)逆分散液晶化合物に相当する。また、順分散液晶化合物L1〜L10が、(b)特定液晶化合物に相当する。さらに、下記に示す液晶化合物のうち、順分散液晶化合物L1〜L19は、いずれも、東京化成工業社製である。
Figure 2021004994
Figure 2021004994
Figure 2021004994
[実施例1〜14及び比較例1〜11]
(液晶組成物の調製)
表1に示す種類及び量の逆分散液晶化合物と、表1に示す種類及び量の順分散液晶化合物と、界面活性剤(AGCセイミケミカル社製「サーフロンS420」)0.15重量部と、重合開始剤(ADEKA社製「NCI−730」)3重量部と、酸化防止剤(東京化成社製「BHT」)0.1重量部と、溶剤としてのシクロペンタノン148.5重量部及び1,3−ジオキソラン222.8重量部と、を混合して、液状の液晶組成物を得た。
(基材フィルムの用意)
基材フィルムとして、熱可塑性のノルボルネン樹脂からなる樹脂フィルム(日本ゼオン社製「ゼオノアフィルム」;厚み100μm)を用意した。この基材フィルムは、光学的に等方性のフィルムであったので、後述する液晶硬化層のレターデーションの測定結果に影響を及ぼすものでは無い。この基材フィルムの表面にコロナ処理を施した。次いで、コロナ処理面に、ラビング処理を施した。
(液晶硬化層の形成)
基材フィルムのラビング処理面に、#5バーを使用したバーコートにより、液晶組成物の層を形成した。
その後、液晶組成物の層を、145℃に設定したオーブンで4分間加熱して、配向処理及び乾燥処理を行った。この処理により、液晶組成物の層に含まれる液晶化合物が配向した。
その後、液晶組成物の層に、窒素雰囲気下で、300mJ/cmの紫外線を照射して、液晶組成物の層を硬化させて、厚み約1.7μmの液晶硬化層を形成した。これにより、液晶硬化層/基材フィルムの層構成を有する複層構造の液晶硬化フィルムを得た。
(液晶硬化層の面内レターデーションの波長分散性の評価)
位相差計(Axometrics社製「AxoScan」)を用いて、液晶硬化層の面内レターデーション(即ち、液晶硬化層の入射角0°でのレターデーション)を、測定波長450nm及び550nmで測定した。
測定された測定波長450nm及び550nmでの面内レターデーションRe(450)及びRe(550)の値から、液晶硬化層の逆波長分散性を、以下の基準で評価した。
「良」:Re(450)/Re(550)<1.0
「不良」:Re(450)/Re(550)≧1.0
(液晶硬化層に含まれる液晶化合物の分子の実質最大傾斜角の測定)
図3は、液晶硬化層200のレターデーションを測定する際の測定方向を説明するための模式的な斜視図である。図3において、矢印A1は液晶硬化層200の面内の遅相軸を表し、矢印A2は液晶硬化層200の面内の進相軸を表し、矢印A3は液晶硬化層200の厚み方向を表す。
図3に示すように、位相差計(Axometrics社製「AxoScan」)を用いて、液晶硬化層200のレターデーションを、測定波長590nmで測定した。この測定は、液晶硬化層200に対する入射角θを−50°〜50°の範囲で変えて、複数回行った。この際、いずれの測定でも、測定方向A4は、液晶硬化層200の進相軸A2に垂直に設定した。
測定されたレターデーションから、前記の位相差計に付属の解析ソフトウェア(AxoMetrics社製の解析ソフトウェア「Multi−Layer Analysis」;解析条件は、解析波長590nm、層分割数20層)により、液晶硬化層200に含まれる液晶化合物の分子の実質最大傾斜角を解析した。
「良」:実質最大傾斜角が50°以上
「可」:実質最大傾斜角が40°以上50°未満
「不良」:実質最大傾斜角が40°未満
(液晶硬化層の面状態の評価)
ライトテーブル上に一対の直線偏光子(偏光子及び検光子)を、パラニコルとなるように重ねた。
実施例又は比較例で製造した液晶硬化フィルムを、16cm角サイズに裁断し、測定用のフィルム片を得た。このフィルム片を、前記のようにライトテーブル上に設置した直線偏光子の間に置いた。この際、フィルム片の遅相軸は、厚み方向から見て直線偏光子の吸収軸に対して略45°の角度をなすように設定した。その後、目視にて観察した。
観察された像での均一性(レターデーションの均一性)に応じて、下記の基準によって液晶硬化層の面状態を評価した。
「良」:観察された像に、ムラがない。
「不良」:観察された像に、ムラが見られる。
(液晶硬化層の配向欠陥の評価)
偏光顕微鏡を用いて、クロスニコル下において液晶硬化層を透過観察した。この観察の際、対物レンズは20倍に設定した。観察の結果から、下記の基準によって液晶硬化層の配向欠陥を評価した。
「良」:配向欠陥の数が、1本/mm未満。
「可」:配向欠陥の数が、1本/mm以上、10本/mm未満。
「不良」:配向欠陥の数が、10本/mm以上。
[結果]
前記の実施例及び比較例の結果を、下記の表1に示す。ここに示す実施例のうち、実施例14で得た液晶硬化層は、液晶化合物の分子の実質最大傾斜角65°、Re(450)/Re(550)=0.87、測定波長590nmにおける面内レターデーションが70nmであった。実施例14で得た液晶硬化層は、図1及び図2に示す例のように貼合又は折り畳みを行うことで、1/4波長板としての液晶硬化フィルムを得ることが可能である。
Figure 2021004994
100 液晶硬化フィルム
100U 層平面
110 第一の液晶硬化層
120 第二の液晶硬化層
200 液晶硬化層

Claims (9)

  1. (a)逆波長分散性の複屈折を発現できる重合性液晶化合物と、
    (b)下記式(1)で表される液晶化合物と、
    を含有する液晶組成物。
    −Sp−Ar−X−Ar−B (1)
    [式(1)において、
    Ar及びArは、それぞれ独立に、シアノ基以外の置換基を有していてもよいフェニレン基、及び、シアノ基以外の置換基を有していてもよい2価の脂環式炭化水素基を表し、
    は、−H、−Ra1、−ORa2、−COORa3、−CORa4、−OCORa5又は、−CH=CHを表し、
    a1は、1価の飽和脂肪族炭化水素基を表し、
    a2、Ra3、Ra4及びRa5は、それぞれ独立に、1価の脂肪族炭化水素基を表し、
    Spは、単結合、又は、炭素原子数1〜18のアルキレン基(ただし、該アルキレン基中の−CH−は、−O−、−COO−、−OCO−、及び、−OCO−O−からなる群より選ばれる1以上の連結基によって置換されていてもよい。)を表し、
    は、−H、−OH、−Rb1、−ORb2、−COOH、−COORb3、−CORb4、−OCORb5、−F、−CF、又は、−OCFを表し、
    b1、Rb2、Rb3、Rb4及びRb5は、それぞれ独立に、1価の脂肪族炭化水素基を表し、
    Xは、単結合、−COO−、−OCO−、−N=N−、−CH=CH−、−C≡C−、−CH=N−、又は−C−を表す。]
  2. 前記式(1)におけるXが、−COO−である、請求項1に記載の液晶組成物。
  3. 前記式(1)におけるBが、非重合性基である、請求項1又は2に記載の液晶組成物。
  4. 前記(a)重合性液晶化合物が、式(I)で表される、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶組成物。
    Figure 2021004994
    (式(I)において、
    Arは、下記式(II−1)〜式(II−7)のいずれかで表される基を示す。ただし、式(II−1)〜式(II−7)のいずれかで表される基は、D〜D以外に置換基を有していてもよい。
    Figure 2021004994
    [上記式(II−1)〜式(II−7)において、
    *は、Z又はZとの結合位置を表す。
    及びEは、それぞれ独立して、−CR1112−、−S−、−NR11−、−CO−及び−O−からなる群より選ばれる基を表す。R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、又は、炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。
    〜Dは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基、又は、置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。
    〜Dは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい非環状基を表す。D及びDは、一緒になって環を形成していてもよい。
    は、−C(R)=N−N(R)R、−C(R)=N−N=C(R)R、及び、−C(R)=N−N=Rからなる群より選ばれる基を表す。Rは、水素原子、及び炭素原子数1〜6のアルキル基からなる群より選ばれる基を表す。Rは、水素原子、及び置換基を有していてもよい炭素原子数1〜30の有機基からなる群より選ばれる基を表す。Rは、炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、有機基を表す。Rは、炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、有機基を表す。)
    及びZは、それぞれ独立して、単結合、−O−、−O−CH−、−CH−O−、−O−CH−CH−、−CH−CH−O−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−S−、−S−C(=O)−、−NR21−C(=O)−、−C(=O)−NR21−、−CF−O−、−O−CF−、−CH−CH−、−CF−CF−、−O−CH−CH−O−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−、−CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH−、−CH−O−C(=O)−、−C(=O)−O−CH−、−CH−CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH−CH−、−CH−CH−O−C(=O)−、−C(=O)−O−CH−CH−、−CH=CH−、−N=CH−、−CH=N−、−N=C(CH)−、−C(CH)=N−、−N=N−、及び、−C≡C−、からなる群より選ばれるいずれかを表す。R21は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。
    、A、B及びBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、及び、置換基を有していてもよい芳香族基、からなる群より選ばれる基を表す。
    〜Yは、それぞれ独立して、単結合、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−NR22−C(=O)−、−C(=O)−NR22−、−O−C(=O)−O−、−NR22−C(=O)−O−、−O−C(=O)−NR22−、及び、−NR22−C(=O)−NR23−、からなる群より選ばれるいずれかを表す。R22及びR23は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。
    及びGは、それぞれ独立して、炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基;並びに、炭素原子数3〜20の脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基の1以上が−O−又は−C(=O)−に置換された基;からなる群より選ばれる有機基を表す。G及びGの前記有機基に含まれる水素原子は、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、又は、ハロゲン原子に置換されていてもよい。ただし、G及びGの両末端のメチレン基が−O−又は−C(=O)−に置換されることはない。
    及びPは、それぞれ独立して、重合性基を表す。
    p及びqは、それぞれ独立して、0又は1を表す。
    tは、1又は2を表す。]
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶組成物の硬化物で形成された液晶硬化層を含む、液晶硬化フィルム。
  6. 前記液晶硬化層に含まれる前記(a)重合性液晶化合物及び前記(b)液晶化合物の少なくとも一部の分子が、前記液晶硬化層の層平面に対して傾斜している、請求項5に記載の液晶硬化フィルム。
  7. 請求項5又は6に記載の液晶硬化フィルムと、直線偏光子とを備える、偏光板。
  8. 請求項7に記載の偏光板を備える、有機エレクトロルミネッセンス表示装置。
  9. 請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶組成物の層を形成する工程と、
    前記液晶組成物の層に含まれる(a)重合性液晶化合物を配向させる工程と、
    前記液晶組成物の層を硬化させる工程と、
    を含む、液晶硬化フィルムの製造方法。
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