JP7306273B2 - 液晶硬化フィルム、偏光板及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法 - Google Patents

液晶硬化フィルム、偏光板及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、液晶硬化フィルム、偏光板及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法に関する。
光学フィルムの一つとして、液晶硬化フィルムが知られている。液晶硬化フィルムは、一般に、液晶性化合物を含む液晶組成物を配向させ、その配向状態を維持したままで硬化させた硬化物で形成された液晶硬化層を備える。このような液晶硬化フィルムとして、特許文献1~3に記載のものが提案されている。
特許第5363022号公報 国際公開第2016/031853号 特開2017-037193号公報
液晶硬化フィルムが備える液晶硬化層には、通常、液晶性化合物が含まれる。この液晶性化合物の分子は、液晶硬化層の層平面に対して傾斜することがある。このように分子が傾斜した液晶性化合物を含む液晶硬化層は、一般に、当該液晶性化合物の分子の傾斜角の大きさに応じて厚み方向の複屈折を有する。そして、厚み方向の複屈折が適切に調整された液晶硬化層を含む液晶硬化フィルムは、有機エレクトロルミネッセンス表示装置(以下、適宜「有機EL表示装置」ということがある。)等の画像表示装置に設けることにより、視野角の改善等の多様な利点を得ることができる。
ある層に含まれる液晶性化合物の分子の傾斜角は、実質最大傾斜角によって評価できる。この「実質最大傾斜角」とは、その層の一方の面での分子の傾斜角が0°であり、且つ分子の傾斜角が厚み方向において一定比率で変化していると仮定した場合の、液晶性化合物の分子の傾斜角の最大値をいう。液晶性化合物を含む層において、液晶性化合物の分子の傾斜角は、厚み方向において、層の一側に近いほど小さく、前記一側から遠いほど大きいことがある。実質最大傾斜角は、このような厚み方向における傾斜角の変化の比率(即ち、一側に近いほど減少し、一側から遠いほど増加するという変化の比率)が一定であると仮定して計算される、傾斜角の最大値を表す。
液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角の調整は、通常、液晶組成物の組成を調整することによって行うことができる。しかし、実質最大傾斜角を変更しようとする都度、組成の異なる液晶組成物を用意することは、煩雑である。そこで、液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を簡単に調整できる技術の開発が望まれる。
本発明は、前記の課題に鑑みて創案されたもので、液晶硬化層を備える液晶硬化フィルムの製造方法であって、前記液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を容易に調整できる製造方法;前記の液晶硬化フィルムの製造方法を用いた偏光板の製造方法;並びに、前記の液晶硬化フィルムの製造方法を用いた有機EL表示装置の製造方法;を提供することを目的とする。
前記の課題を解決するべく、本発明者は鋭意検討を行った。その結果、本発明者は、第一液晶組成物によって第一硬化層を形成すること、この第一硬化層上に直接に液晶性化合物を含む第二液晶組成物の層を形成すること、及び、前記第二液晶組成物の層に含まれる液晶性化合物を配向させることを行った後に、時間の経過により、第二液晶組成物の層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が大きくなることを見い出した。そして、この知見に基づき、本発明者は、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記のものを含む。
〔1〕 液晶性化合物を含む液晶組成物の硬化物で形成され第一硬化層及び第二硬化層を含む液晶硬化層を備えた液晶硬化フィルムの製造方法であって、
前記液晶硬化層に含まれる前記液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が、5°以上85°以下であり、
前記製造方法が、
前記液晶性化合物を含む第一液晶組成物の層を形成する工程(I)と、
前記第一液晶組成物の層に含まれる前記液晶性化合物を配向させる工程(II)と、
前記第一液晶組成物の層を硬化させて、前記第一硬化層を形成する工程(III)と、
前記第一硬化層上に、直接に、前記第一液晶組成物に含まれる前記液晶性化合物と同一又は異なる前記液晶性化合物を含む第二液晶組成物の層を形成する工程(IV)と、
前記第二液晶組成物の層に含まれる前記液晶性化合物を配向させる工程(V)と、
前記第二液晶組成物の層に含まれる前記液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が、時間の経過により大きくなる工程(VI)と、
前記第二液晶組成物の層を硬化させて、前記第二硬化層を形成する工程(VII)と、をこの順に含む、液晶硬化フィルムの製造方法。
〔2〕 前記工程(VI)を、60秒以上の時間をかけて行う、〔1〕に記載の液晶硬化フィルムの製造方法。
〔3〕 前記工程(VI)を、120秒以上600秒以下の時間をかけて行う、〔1〕又は〔2〕に記載の液晶硬化フィルムの製造方法。
〔4〕 前記工程(VI)を、前記第二液晶組成物に含まれる前記液晶性化合物の液晶相-固相転移温度未満の温度条件で行う、〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載の液晶硬化フィルムの製造方法。
〔5〕 前記液晶性化合物が、逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物である、〔1〕~〔4〕のいずれか一項に記載の液晶硬化フィルムの製造方法。
〔6〕 前記液晶硬化層に含まれる前記液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が、40°以上85°以下である、〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載の液晶硬化フィルムの製造方法。
〔7〕 前記第二硬化層に含まれる前記液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が、第一硬化層に含まれる前記液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角よりも大きい、〔1〕~〔6〕のいずれか一項に記載の液晶硬化フィルムの製造方法。
〔8〕 前記液晶硬化層が、1/4波長板として機能できる、〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の液晶硬化フィルムの製造方法。
〔9〕 液晶硬化フィルムを備える偏光板の製造方法であって、
前記液晶硬化フィルムを、〔1〕~〔8〕のいずれか一項に記載の製造方法で製造することを含む、偏光板の製造方法。
〔10〕 偏光板を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法であって、
前記偏光板を、〔9〕記載の製造方法で製造することを含む、有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。
本発明によれば、液晶硬化層を備える液晶硬化フィルムの製造方法であって、液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を容易に調整できる製造方法;前記の液晶硬化フィルムの製造方法を用いた偏光板の製造方法;並びに、前記の液晶硬化フィルムの製造方法を用いた有機EL表示装置の製造方法;を提供できる。
図1は、本発明の一実施形態としての製造方法で製造される液晶硬化フィルムを模式的に示す断面図である。 図2は、ある例に係る第一硬化層のレターデーション比R(θ)/R(0°)を、入射角θに対してプロットしたグラフである。 図3は、傾斜方向から液晶硬化層のレターデーションを測定する際の測定方向を説明するための斜視図である。
以下、例示物及び実施形態を示して本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は以下に示す例示物及び実施形態に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、ある層の「面内方向」とは、別に断らない限り、層平面に平行な方向を表す。
以下の説明において、ある層の「厚み方向」とは、別に断らない限り、層平面に垂直な方向を表す。よって、別に断らない限り、ある層の面内方向と厚み方向とは、垂直である。
以下の説明において、ある面の「正面方向」とは、別に断らない限り、その面の法線方向を表し、具体的には前記面の極角0°の方向を指す。
以下の説明において、ある面の「傾斜方向」とは、別に断らない限り、その面に平行でも垂直でもない方向を表し、具体的には前記面の極角が5°以上85°以下の範囲の方向を指す。
以下の説明において、逆波長分散性の複屈折とは、別に断らない限り、波長450nmにおける複屈折Δn(450)及び波長550nmにおける複屈折Δn(550)が、下記式(N1)を満たす複屈折をいう。このような逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物は、通常、測定波長が長いほど、大きい複屈折を発現できる。
Δn(450)<Δn(550) (N1)
以下の説明において、順波長分散性の複屈折とは、別に断らない限り、波長450nmにおける複屈折Δn(450)及び波長550nmにおける複屈折Δn(550)が、下記式(N2)を満たす複屈折をいう。このような順波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物は、通常、測定波長が長いほど、小さい複屈折を発現できる。
Δn(450)>Δn(550) (N2)
以下の説明において、ある層の面内レターデーションReは、別に断らない限り、Re=(nx-ny)×dで表される値である。ここで、nxは、層の厚み方向に垂直な方向(面内方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表す。nyは、層の前記面内方向であってnxの方向に直交する方向の屈折率を表す。dは、層の厚みを表す。レターデーションの測定波長は、別に断らない限り、590nmである。面内レターデーションReは、位相差計(Axometrics社製「AxoScan」)を用いて測定できる。
以下の説明において、固有複屈折値が正の樹脂とは、延伸方向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率よりも大きくなる樹脂を意味する。また、固有複屈折値が負の樹脂とは、延伸方向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率よりも小さくなる樹脂を意味する。固有複屈折値は、誘電率分布から計算しうる。
以下の説明において、ある層の遅相軸の方向とは、別に断らない限り、面内方向の遅相軸の方向をいう。
以下の説明において、要素の方向が「平行」及び「垂直」とは、別に断らない限り、本発明の効果を損ねない範囲内、例えば±4°、好ましくは±3°、より好ましくは±1°の範囲内での誤差を含んでいてもよい。
以下の説明において、別に断らない限り、ある層に含まれる液晶性化合物の分子の「傾斜角」とは、その液晶性化合物の分子が層平面に対してなす角度を表し、「チルト角」とも呼ばれることがある。この傾斜角は、液晶性化合物の分子の屈折率楕円体において最大の屈折率の方向が層平面となす角度のうち、最大の角度に相当する。また、以下の説明においては、別に断らない限り、「傾斜角」とは、液晶性化合物の分子の、当該液晶性化合物が含まれる層の層平面に対する傾斜角を表す。層平面に対する傾斜角は、その層平面に平行な「面内方向に対する傾斜角」ということがある。
[1.液晶硬化フィルムの製造方法の概要]
図1は、本発明の一実施形態としての製造方法で製造される液晶硬化フィルム100を模式的に示す断面図である。
図1に示すように、本発明の一実施形態としての液晶硬化フィルム100の製造方法は、液晶性化合物を含む液晶組成物の硬化物で形成された液晶硬化層110を備えた液晶硬化フィルム100の製造方法である。この製造方法で製造される液晶硬化フィルム100の液晶硬化層110は、液晶性化合物を含む液晶組成物の硬化物で形成された第一硬化層111及び第二硬化層112を含む。
液晶組成物の硬化物で形成されているので、液晶硬化層110は、液晶性化合物の分子(図示省略)を含む。液晶硬化層110に含まれる液晶性化合物の分子は、配向状態を固定されていてもよい。用語「配向状態を固定された液晶性化合物」には、液晶性化合物の重合体が包含される。通常、重合によって液晶性化合物の液晶性は失われるが、本願においては、そのように重合した液晶性化合物も、用語「液晶硬化層に含まれる液晶性化合物」に含める。
前記の液晶硬化層110に含まれる液晶性化合物の少なくとも一部の分子は、当該液晶硬化層110の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜している。ある液晶性化合物の分子が層平面に対して(即ち面内方向に対して)「傾斜している」とは、その分子の層平面に対する(即ち面内方向に対する)傾斜角が5°以上85°以下の範囲にあることを表す。このように傾斜した液晶性化合物の分子は、通常、層平面に対して(即ち面内方向に対して)平行でも垂直でもない状態となっている。
液晶硬化層110に含まれる液晶性化合物の少なくとも一部の分子が当該液晶硬化層110の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜しているので、液晶硬化層110に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角は、通常5°以上85°以下である。この実質最大傾斜角は、液晶硬化層110に含まれる液晶性化合物の分子の傾斜角の大きさを示す指標である。通常、実質最大傾斜角が大きい液晶硬化層110ほど、その液晶硬化層110に含まれる液晶性化合物の分子の全体として見た傾斜角が大きい傾向がある。よって、液晶硬化層110に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を調整できれば、その液晶硬化層110に含まれる液晶性化合物の分子の傾斜角を全体として調整することができる。そして、実質最大傾斜角を適切に調整された液晶硬化層110を備える液晶硬化フィルム100は、厚み方向における複屈折の調整を適切に行うことができるので、優れた視野角特性を発揮できる。
このような液晶硬化フィルム100の製造方法は、
液晶性化合物を含む第一液晶組成物の層を形成する工程(I)と、
第一液晶組成物の層に含まれる液晶性化合物を配向させる工程(II)と、
第一液晶組成物の層を硬化させて、第一硬化層111を形成する工程(III)と、
第一硬化層111上に、直接に、第一液晶組成物に含まれる液晶性化合物と同一又は異なる液晶性化合物を含む第二液晶組成物の層を形成する工程(IV)と、
第二液晶組成物の層に含まれる液晶性化合物を配向させる工程(V)と、
第二液晶組成物の層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が、時間の経過により大きくなる工程(VI)と、
第二液晶組成物の層を硬化させて、第二硬化層112を形成する工程(VII)と、
を、この順に含む。
[2.工程(I):第一液晶組成物の層の形成]
工程(I)では、第一硬化層を形成するための液晶組成物としての第一液晶組成物の層を形成する。
第一液晶組成物は、第一硬化層を形成するための液晶性化合物を含む。液晶性化合物は、液晶性を有する化合物であり、通常、当該液晶性化合物を配向させた場合に、液晶相を呈することができる化合物である。液晶性化合物としては、逆分散液晶性化合物を用いてもよく、順分散液晶性化合物を用いてもよく、逆分散液晶性化合物と順分散液晶性化合物との組み合わせを用いてもよい。
逆分散液晶性化合物とは、逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物である。また、逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物とは、当該液晶性化合物の層を形成し、その層において液晶性化合物を配向させた際に、逆波長分散性の複屈折を発現する液晶性化合物をいう。
順分散液晶性化合物とは、順波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物である。また、順波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物とは、当該液晶性化合物の層を形成し、その層において液晶性化合物を配向させた際に、順波長分散性の複屈折を発現する液晶性化合物をいう。
通常は、液晶性化合物をホモジニアス配向させた場合に、液晶性化合物の層が示す複屈折の波長分散性を調べることで、その液晶性化合物が示す複屈折の波長分散性を確認できる。ここで、液晶性化合物をホモジニアス配向させる、とは、当該液晶性化合物を含む層を形成し、その層における液晶性化合物の分子の屈折率楕円体において最大の屈折率の方向を、前記層の面に平行なある一の方向に配向させることをいう。また、前記の層の複屈折は、「(層の面内レターデーション)÷(層の厚み)」から求められる。
特に、第一液晶組成物が含む液晶性化合物としては、第二液晶組成物が逆分散液晶性化合物を含む場合、逆分散液晶性化合物が好ましい。逆分散液晶性化合物を用いることにより、工程(VI)において、第二液晶組成物の層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を、時間の経過により効果的に大きくできる。よって、工程(VI)における液晶性化合物の分子の傾斜角の調整を、効果的に行うことができる。さらに、逆分散液晶性化合物を用いることにより、通常は、第一硬化層が、第二硬化層に含まれる逆分散液晶性化合物の分子の傾斜角を大きくする傾斜配向膜として機能できる。よって、第二液晶組成物が逆分散液晶性化合物を含む場合に、液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を、広い範囲で調整することができる。
逆波長分散性を示す液晶性化合物の屈折率異方性は、当該液晶性化合物の分子の屈折率楕円体において、最大の屈折率を示す方向の屈折率と、この方向に交差する別の方向の屈折率との差として発現する。また、液晶性化合物の分子構造に応じて、前記の各方向の屈折率の波長分散性は、異なりうる。よって、例えば、屈折率が相対的に大きいある方向では、長波長で測定した屈折率は、短波長で測定した屈折率よりも小さくなるが、それらの差は小さい。他方、屈折率が相対的に小さい別の方向では、長波長で測定した屈折率は、短波長で測定した屈折率よりも小さくなり、且つ、それらの差は大きい。このような例における前記方向間での屈折率差は、測定波長が短いと小さく、測定波長が長いと大きくなる。その結果、逆波長分散性の複屈折を発現できる。
液晶性化合物は、重合性を有することが好ましい。よって、液晶性化合物は、その分子が、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びエポキシ基等の重合性基を含むことが好ましい。重合性を有する液晶性化合物は、液晶相を呈した状態で重合し、液晶相における分子の配向状態を維持したまま重合体となることができる。よって、第一硬化層において液晶性化合物の配向状態を固定したり、液晶性化合物の重合度を高めて第一硬化層の機械的強度を高めたりすることが可能である。
液晶性化合物の分子量は、好ましくは300以上、より好ましくは500以上、特に好ましくは800以上であり、好ましくは2000以下、より好ましくは1700以下、特に好ましくは1500以下である。このような範囲の分子量を有する液晶性化合物を用いることにより、第一液晶組成物の塗工性を特に良好にできる。
測定波長550nmにおける液晶性化合物の複屈折Δnは、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.03以上であり、好ましくは0.15以下、より好ましくは0.10以下である。このような範囲の複屈折Δnを有する液晶性化合物を用いることにより、液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が大きい第一硬化層を容易に得ることができる。さらに、通常は、このような範囲の複屈折Δnを有する液晶性化合物を用いることにより、配向欠陥の少ない第一硬化層を得やすい。
液晶性化合物の複屈折は、例えば、下記の方法により測定できる。
液晶性化合物の層を作製し、その層に含まれる液晶性化合物をホモジニアス配向させる。その後、その層の面内レターデーションを測定する。そして、「(層の面内レターデーション)÷(層の厚み)」から、液晶性化合物の複屈折を求めることができる。この際、面内レターデーション及び厚みの測定を容易にするために、ホモジニアス配向させた液晶性化合物の層は、硬化させてもよい。
液晶性化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
具体的な液晶性化合物の種類に制限は無い。例えば、逆分散液晶性化合物の例としては、下記式(I)で表されるものが挙げられる。
Figure 0007306273000001
式(I)において、Arは、下記式(II-1)~式(II-7)のいずれかで表される基を示す。式(II-1)~式(II-7)において、*は、Z又はZとの結合位置を表す。
Figure 0007306273000002
前記の式(II-1)~式(II-7)において、E及びEは、それぞれ独立して、-CR1112-、-S-、-NR11-、-CO-及び-O-からなる群より選ばれる基を表す。また、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、又は、炭素原子数1~4のアルキル基を表す。中でも、E及びEは、それぞれ独立して、-S-であることが好ましい。
前記の式(II-1)~式(II-7)において、D~Dは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素環基、または、置換基を有していてもよい芳香族複素環基を表す。D~Dが表す基の炭素原子数(置換基の炭素原子数を含む。)は、それぞれ独立して、通常、2~100である。
~Dにおける芳香族炭化水素環基の炭素原子数は、6~30が好ましい。D~Dにおける炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。中でも、芳香族炭化水素環基としては、フェニル基がより好ましい。
~Dにおける芳香族炭化水素環基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1~6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の、炭素原子数2~6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の、炭素原子数1~6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数1~12のN,N-ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1~6のアルコキシ基;ニトロ基;-OCF;-C(=O)-R;-O-C(=O)-R;-C(=O)-O-R;-SO;等が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
は、炭素原子数1~6のアルキル基;並びに、炭素原子数1~6のアルキル基若しくは炭素原子数1~6のアルコキシ基を置換基として有していてもよい、炭素原子数6~20の芳香族炭化水素環基;からなる群より選ばれる基を表す。
は、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20のアルキル基;置換基を有していてもよい炭素原子数2~20のアルケニル基;置換基を有していてもよい炭素原子数3~12のシクロアルキル基;及び、置換基を有していてもよい炭素原子数6~12の芳香族炭化水素環基;からなる群より選ばれる基を表す。
における炭素原子数1~20のアルキル基の炭素原子数は、好ましくは1~12、より好ましくは4~10である。Rにおける炭素原子数1~20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、1-メチルペンチル基、1-エチルペンチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n-へキシル基、イソヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-トリデシル基、n-テトラデシル基、n-ペンタデシル基、n-ヘキサデシル基、n-ヘプタデシル基、n-オクタデシル基、n-ノナデシル基、およびn-イコシル基等が挙げられる。
における炭素原子数1~20のアルキル基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の、炭素原子数1~20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素原子数1~12のアルコキシ基で置換された炭素原子数1~12のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6~20の芳香族炭化水素環基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チエニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾール-2-イルチオ基等の、炭素原子数2~20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の、炭素原子数3~8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の、炭素原子数3~8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の、炭素原子数2~12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の、炭素原子数6~14のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、-CHCF等の、1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1~12のフルオロアルキル基;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;及び、ベンゾジオキサニル基;等が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数2~20のアルケニル基の炭素原子数は、好ましくは2~12である。Rにおける炭素原子数2~20のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、およびイコセニル基等が挙げられる。
における炭素原子数2~20のアルケニル基が有しうる置換基としては、例えば、Rにおける炭素原子数1~20のアルキル基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数3~12のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。中でも、シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基が好ましい。
における炭素原子数3~12のシクロアルキル基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1~6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1~6のアルコキシ基;ニトロ基;および、フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6~20の芳香族炭化水素環基;等が挙げられる。中でも、シクロアルキル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1~6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1~6のアルコキシ基;ニトロ基;および、フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6~20の芳香族炭化水素環基;が好ましい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数6~12の芳香族炭化水素環基としては、例えば、フェニル基、1-ナフチル基、2-ナフチル基等が挙げられる。中でも、芳香族炭化水素環基としては、フェニル基が好ましい。
における炭素原子数6~12の芳香族炭化水素環基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の、炭素原子数1~20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素原子数1~12のアルコキシ基で置換された炭素原子数1~12のアルコキシ基;ニトロ基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基等の、炭素原子数2~20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の、炭素原子数3~8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の、炭素原子数3~8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の、炭素原子数2~12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の、炭素原子数6~14のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、-CHCF等の、1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1~12のフルオロアルキル基;-OCF;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;ベンゾジオキサニル基;等が挙げられる。中でも、芳香族炭化水素環基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の、炭素原子数1~20のアルコキシ基;ニトロ基;フラニル基、チオフェニル基等の、炭素原子数2~20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の、炭素原子数3~8のシクロアルキル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、-CHCF等の、1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1~12のフルオロアルキル基;-OCF;が好ましい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
~Dにおける芳香族複素環基の炭素原子数は、2~30が好ましい。D~Dにおける炭素原子数2~30の芳香族複素環基としては、例えば、1-ベンゾフラニル基、2-ベンゾフラニル基、イミダゾリル基、インドリニル基、フラザニル基、オキサゾリル基、キノリル基、チアジアゾリル基、チアゾリル基、チアゾロピラジニル基、チアゾロピリジル基、チアゾロピリダジニル基、チアゾロピリミジニル基、チエニル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、ナフチリジニル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、フタラジニル基、フラニル基、ベンゾ[c]チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾトリアジニル基、ベンゾトリアゾリル基、およびベンゾピラゾリル基等が挙げられる。中でも、芳香族複素環基としては、フラニル基、ピラニル基、チエニル基、オキサゾリル基、フラザニル基、チアゾリル基、及びチアジアゾリル基等の、単環の芳香族複素環基;並びに、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キノリル基、1-ベンゾフラニル基、2-ベンゾフラニル基、フタルイミド基、ベンゾ[c]チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、チアゾロピリジル基、チアゾロピラジニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、及びベンゾチアジアゾリル基等の、縮合環の芳香族複素環基;がより好ましい。
~Dにおける芳香族複素環基が有しうる置換基としては、例えば、D~Dにおける芳香族炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
前記の式(II-1)~式(II-7)において、D~Dは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい非環状基を表す。D及びDは、一緒になって環を形成していてもよい。D~Dが表す基の炭素原子数(置換基の炭素原子数を含む。)は、それぞれ独立して、通常、1~100である。
~Dにおける非環状基の炭素原子数は、1~13が好ましい。D~Dにおける非環状基としては、例えば、炭素原子数1~6のアルキル基;シアノ基;カルボキシル基;炭素原子数1~6のフルオロアルキル基;炭素原子数1~6のアルコキシ基;-C(=O)-CH;-C(=O)NHPh;-C(=O)-OR;が挙げられる。中でも、非環状基としては、シアノ基、カルボキシル基、-C(=O)-CH、-C(=O)NHPh、-C(=O)-OC、-C(=O)-OC、-C(=O)-OCH(CH、-C(=O)-OCHCHCH(CH)-OCH、-C(=O)-OCHCHC(CH-OH、及び-C(=O)-OCHCH(CHCH)-C、が好ましい。前記のPhは、フェニル基を表す。また、前記のRは、炭素原子数1~12の有機基を表す。Rの具体例としては、炭素原子数1~12のアルコキシ基、または、水酸基で置換されていてもよい炭素原子数1~12のアルキル基が挙げられる。
~Dにおける非環状基が有しうる置換基としては、例えば、D~Dにおける芳香族炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
及びDが一緒になって環を形成している場合、前記のD及びDによって環を含む有機基が形成される。この有機基としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。下記式において、*は、各有機基が、D及びDが結合する炭素と結合する位置を表す。
Figure 0007306273000003
は、炭素原子数1~3のアルキル基を表す。
**は、炭素原子数1~3のアルキル基、及び、置換基を有していてもよいフェニル基からなる群より選ばれる基を表す。
***は、炭素原子数1~3のアルキル基、及び、置換基を有していてもよいフェニル基からなる群より選ばれる基を表す。
****は、水素原子、炭素原子数1~3のアルキル基、水酸基、及び、-COOR13からなる群より選ばれる基を表す。R13は、炭素原子数1~3のアルキル基を表す。
フェニル基が有しうる置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、シアノ基及びアミノ基が挙げられる。中でも、置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基及びアルコキシ基が好ましい。フェニル基が有する置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
前記の式(II-1)~式(II-7)において、Dは、-C(R)=N-N(R)R、-C(R)=N-N=C(R)R、及び、-C(R)=N-N=Rからなる群より選ばれる基を表す。Dが表す基の炭素原子数(置換基の炭素原子数を含む。)は、通常、3~100である。
は、水素原子;並びに、メチル基、エチル基、プロピル基、及びイソプロピル基等の、炭素原子数1~6のアルキル基;からなる群より選ばれる基を表す。
は、水素原子;並びに、置換基を有していてもよい炭素原子数1~30の有機基;からなる群より選ばれる基を表す。
における置換基を有していてもよい炭素原子数1~30の有機基としては、例えば、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20のアルキル基;炭素原子数1~20のアルキル基に含まれる-CH-の少なくとも一つが、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、又は、-C(=O)-に置換された基(ただし、-O-または-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く);置換基を有していてもよい炭素原子数2~20のアルケニル基;置換基を有していてもよい炭素原子数2~20のアルキニル基;置換基を有していてもよい炭素原子数3~12のシクロアルキル基;置換基を有していてもよい炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環基;置換基を有していてもよい炭素原子数2~30の芳香族複素環基;-SO;-C(=O)-R;-CS-NH-R;が挙げられる。R及びRの意味は、上述した通りである。
における炭素原子数1~20のアルキル基の好ましい炭素原子数の範囲及び例示物は、Rにおける炭素原子数1~20のアルキル基と同じである。
における炭素原子数1~20のアルキル基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の、炭素原子数1~20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素原子数1~12のアルコキシ基で置換された炭素原子数1~12のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6~20の芳香族炭化水素環基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基等の、炭素原子数2~20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の、炭素原子数3~8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の、炭素原子数3~8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の、炭素原子数2~12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の、炭素原子数6~14のアリールオキシ基;1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1~12のフルオロアキル基;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;ベンゾジオキサニル基;-SO;-SR;-SRで置換された炭素原子数1~12のアルコキシ基;水酸基;等が挙げられる。R及びRの意味は、上述した通りである。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数2~20のアルケニル基の好ましい炭素原子数の範囲及び例示物は、Rにおける炭素原子数2~20のアルケニル基と同じである。
における炭素原子数2~20のアルケニル基が有しうる置換基としては、例えば、Rにおける炭素原子数1~20のアルキル基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数2~20のアルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基、2-プロピニル基(プロパルギル基)、ブチニル基、2-ブチニル基、3-ブチニル基、ペンチニル基、2-ペンチニル基、ヘキシニル基、5-ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、2-オクチニル基、ノナニル基、デカニル基、7-デカニル基等が挙げられる。
における炭素原子数2~20のアルキニル基が有しうる置換基としては、例えば、Rにおける炭素原子数1~20のアルキル基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数3~12のシクロアルキル基としては、例えば、Rにおける炭素原子数3~12のシクロアルキル基と同じ例が挙げられる。
における炭素原子数3~12のシクロアルキル基が有しうる置換基としては、例えば、Rにおける炭素原子数1~20のアルキル基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環基としては、例えば、D~Dにおける炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環基と同じ例が挙げられる。
における炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環基が有しうる置換基としては、例えば、D~Dにおける芳香族炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数2~30の芳香族複素環基としては、例えば、D~Dにおける炭素原子数2~30の芳香族複素環基と同じ例が挙げられる。
における炭素原子数2~30の芳香族複素環基が有しうる置換基としては、例えば、D~Dにおける芳香族炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
上述したものの中でも、Rとしては、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20のアルキル基;炭素原子数1~20のアルキル基に含まれる-CH-の少なくとも一つが、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、または、-C(=O)-に置換された基(ただし、-O-または-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く);置換基を有していてもよい炭素原子数3~12のシクロアルキル基;置換基を有していてもよい炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環基;並びに、置換基を有していてもよい炭素原子数2~30の芳香族複素環基;が好ましい。その中でも、Rとしては、置換基を有していてもよい炭素原子数1~20のアルキル基;並びに、炭素原子数1~20のアルキル基に含まれる-CH-の少なくとも一つが、-O-、-S-、-O-C(=O)-、-C(=O)-O-、または、-C(=O)-に置換された基(ただし、-O-または-S-がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く);が特に好ましい。
は、炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2~30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、有機基を表す。
の好ましい例としては、(1)1以上の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環を有する、炭素原子数6~40の炭化水素環基、が挙げられる。この芳香族炭化水素環を有する炭化水素環基を、以下、適宜「(1)炭化水素環基」ということがある。(1)炭化水素環基の具体例としては、下記の基が挙げられる。
Figure 0007306273000004
(1)炭化水素環基は、置換基を有していてもよい。(1)炭化水素環基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1~6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の、炭素原子数2~6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の、炭素原子数1~6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1~6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6~20の芳香族炭化水素環基;-OCF;-C(=O)-R;-O-C(=O)-R;-C(=O)-O-R;-SO;等が挙げられる。R及びRの意味は、上述した通りである。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1~6のアルキル基、および、炭素原子数1~6のアルコキシ基、が好ましい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
の別の好ましい例としては、(2)炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2~30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、炭素原子数2~40の複素環基が挙げられる。この芳香環を有する複素環基を、以下、適宜「(2)複素環基」ということがある。(2)複素環基の具体例としては、下記の基が挙げられる。Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1~6のアルキル基を表す。
Figure 0007306273000005
Figure 0007306273000006
Figure 0007306273000007
Figure 0007306273000008
Figure 0007306273000009
Figure 0007306273000010
Figure 0007306273000011
Figure 0007306273000012
(2)複素環基は、置換基を有していてもよい。(2)複素環基が有しうる置換基としては、例えば、(1)炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
の更に別の好ましい例としては、(3)炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環基及び炭素原子数2~30の芳香族複素環基からなる群より選ばれる1以上の基で置換された、炭素原子数1~12のアルキル基が挙げられる。この置換されたアルキル基を、以下、適宜「(3)置換アルキル基」ということがある。
(3)置換アルキル基における「炭素原子数1~12のアルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などが挙げられる。
(3)置換アルキル基における「炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環基」としては、例えば、D~Dにおける炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環基と同じ例が挙げられる。
(3)置換アルキル基における「炭素原子数2~30の芳香族複素環基」としては、例えば、D~Dにおける炭素原子数2~30の芳香族複素環基と同じ例が挙げられる。
(3)置換アルキル基は、更に置換基を有していてもよい。(3)置換アルキル基が有しうる置換基としては、例えば、(1)炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
の更に別の好ましい例としては、(4)炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環基及び炭素原子数2~30の芳香族複素環基からなる群より選ばれる1以上の基で置換された、炭素原子数2~12のアルケニル基が挙げられる。この置換されたアルケニル基を、以下、適宜「(4)置換アルケニル基」ということがある。
(4)置換アルケニル基における「炭素原子数2~12のアルケニル基」としては、例えば、ビニル基、アリル基などが挙げられる。
(4)置換アルケニル基における「炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環基」としては、例えば、D~Dにおける炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環基と同じ例が挙げられる。
(4)置換アルケニル基における「炭素原子数2~30の芳香族複素環基」としては、例えば、D~Dにおける炭素原子数2~30の芳香族複素環基と同じ例が挙げられる。
(4)置換アルケニル基は、更に置換基を有していてもよい。(4)置換アルケニル基が有しうる置換基としては、例えば、(1)炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
の更に別の好ましい例としては、(5)炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環基及び炭素原子数2~30の芳香族複素環基からなる群より選ばれる1以上の基で置換された、炭素原子数2~12のアルキニル基が挙げられる。この置換されたアルキニル基を、以下、適宜「(5)置換アルキニル基」ということがある。
(5)置換アルキニル基における「炭素原子数2~12のアルキニル基」としては、例えば、エチニル基、プロピニル基などが挙げられる。
(5)置換アルキニル基における「炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環基」としては、例えば、D~Dにおける炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環基と同じ例が挙げられる。
(5)置換アルキニル基における「炭素原子数2~30の芳香族複素環基」としては、例えば、D~Dにおける炭素原子数2~30の芳香族複素環基と同じ例が挙げられる。
(5)置換アルキニル基は、更に置換基を有していてもよい。(5)置換アルキニル基が有しうる置換基としては、例えば、(1)炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
の好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。
Figure 0007306273000013
の更に好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。
Figure 0007306273000014
の特に好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。
Figure 0007306273000015
上述したRの具体例は、更に置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1~6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の、炭素原子数2~6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の、炭素原子数1~6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1~6のアルコキシ基;ニトロ基;-OCF;-C(=O)-R;-O-C(=O)-R;-C(=O)-O-R;-SO;等が挙げられる。R及びRの意味は、上述した通りである。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1~6のアルキル基、および、炭素原子数1~6のアルコキシ基が好ましい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
は、炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2~30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、有機基を表す。
の好ましい例としては、1以上の炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環を有する、炭素原子数6~40の炭化水素環基が挙げられる。
また、Rの別の好ましい例としては、炭素原子数6~30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2~30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、炭素原子数2~40の複素環基が挙げられる。
の特に好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。Rの意味は、上述した通りである。
Figure 0007306273000016
式(II-1)~式(II-7)のいずれかで表される基は、D~D以外に更に置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~6のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1~6のN-アルキルアミノ基、炭素原子数2~12のN,N-ジアルキルアミノ基、炭素原子数1~6のアルコキシ基、炭素原子数1~6のアルキルスルフィニル基、カルボキシル基、炭素原子数1~6のチオアルキル基、炭素原子数1~6のN-アルキルスルファモイル基、炭素原子数2~12のN,N-ジアルキルスルファモイル基が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(I)におけるArの好ましい例としては、下記の式(III-1)~式(III-10)で表される基が挙げられる。また、式(III-1)~式(III-10)で表される基は、置換基として炭素原子数1~6のアルキル基を有していてもよい。下記式中、*は、結合位置を表す。
Figure 0007306273000017
式(III-1)及び式(III-4)の特に好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。下記式中、*は、結合位置を表す。
Figure 0007306273000018
Figure 0007306273000019
Figure 0007306273000020
Figure 0007306273000021
Figure 0007306273000022
式(I)において、Z及びZは、それぞれ独立して、単結合、-O-、-O-CH-、-CH-O-、-O-CH-CH-、-CH-CH-O-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-C(=O)-S-、-S-C(=O)-、-NR21-C(=O)-、-C(=O)-NR21-、-CF-O-、-O-CF-、-CH-CH-、-CF-CF-、-O-CH-CH-O-、-CH=CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH=CH-、-CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH-、-CH-O-C(=O)-、-C(=O)-O-CH-、-CH-CH-C(=O)-O-、-O-C(=O)-CH-CH-、-CH-CH-O-C(=O)-、-C(=O)-O-CH-CH-、-CH=CH-、-N=CH-、-CH=N-、-N=C(CH)-、-C(CH)=N-、-N=N-、及び、-C≡C-、からなる群より選ばれるいずれかを表す。R21は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~6のアルキル基を表す。
式(I)において、A、A、B及びBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、及び、置換基を有していてもよい芳香族基、からなる群より選ばれる基を表す。A、A、B及びBが表す基の炭素原子数(置換基の炭素原子数を含む。)は、それぞれ独立して、通常、3~100である。中でも、A、A、B及びBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素原子数5~20の環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい炭素原子数2~20の芳香族基が好ましい。
、A、B及びBにおける環状脂肪族基としては、例えば、シクロペンタン-1,3-ジイル基、シクロヘキサン-1,4-ジイル基、1,4-シクロヘプタン-1,4-ジイル基、シクロオクタン-1,5-ジイル基等の、炭素原子数5~20のシクロアルカンジイル基;デカヒドロナフタレン-1,5-ジイル基、デカヒドロナフタレン-2,6-ジイル基等の、炭素原子数5~20のビシクロアルカンジイル基;等が挙げられる。中でも、置換されていてもよい炭素原子数5~20のシクロアルカンジイル基が好ましく、シクロヘキサンジイル基がより好ましく、シクロヘキサン-1,4-ジイル基が特に好ましい。環状脂肪族基は、トランス体であってもよく、シス体であってもよく、シス体とトランス体との混合物であってもよい。中でも、トランス体がより好ましい。
、A、B及びBにおける環状脂肪族基が有しうる置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素原子数1~6のアルキル基、炭素原子数1~5のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
、A、B及びBにおける芳香族基としては、例えば、1,2-フェニレン基、1,3-フェニレン基、1,4-フェニレン基、1,4-ナフチレン基、1,5-ナフチレン基、2,6-ナフチレン基、4,4’-ビフェニレン基等の、炭素原子数6~20の芳香族炭化水素環基;フラン-2,5-ジイル基、チオフェン-2,5-ジイル基、ピリジン-2,5-ジイル基、ピラジン-2,5-ジイル基等の、炭素原子数2~20の芳香族複素環基;等が挙げられる。中でも、炭素原子数6~20の芳香族炭化水素環基が好ましく、フェニレン基がさらに好ましく、1,4-フェニレン基が特に好ましい。
、A、B及びBにおける芳香族基が有しうる置換基としては、例えば、A、A、B及びBにおける環状脂肪族基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(I)において、Y~Yは、それぞれ独立して、単結合、-O-、-C(=O)-、-C(=O)-O-、-O-C(=O)-、-NR22-C(=O)-、-C(=O)-NR22-、-O-C(=O)-O-、-NR22-C(=O)-O-、-O-C(=O)-NR22-、及び、-NR22-C(=O)-NR23-、からなる群より選ばれるいずれかを表す。R22及びR23は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~6のアルキル基を表す。
式(I)において、G及びGは、それぞれ独立して、炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基;並びに、炭素原子数3~20の脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基(-CH-)の1以上が-O-又は-C(=O)-に置換された基;からなる群より選ばれる有機基を表す。G及びGの前記有機基に含まれる水素原子は、炭素原子数1~5のアルキル基、炭素原子数1~5のアルコキシ基、または、ハロゲン原子に置換されていてもよい。ただし、G及びGの両末端のメチレン基(-CH-)が-O-又は-C(=O)-に置換されることはない。
及びGにおける炭素原子数1~20の脂肪族炭化水素基の具体例としては、炭素原子数1~20のアルキレン基が挙げられる。
及びGにおける炭素原子数3~20の脂肪族炭化水素基の具体例としては、炭素原子数3~20のアルキレン基が挙げられる。
式(I)において、P及びPは、それぞれ独立して、重合性基を表す。P及びPにおける重合性基としては、例えば、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等の、CH=CR31-C(=O)-O-で表される基;ビニル基;ビニルエーテル基;p-スチルベン基;アクリロイル基;メタクリロイル基;カルボキシル基;メチルカルボニル基;水酸基;アミド基;炭素原子数1~4のアルキルアミノ基;アミノ基;エポキシ基;オキセタニル基;アルデヒド基;イソシアネート基;チオイソシアネート基;等が挙げられる。R31は、水素原子、メチル基、又は塩素原子を表す。中でも、CH=CR31-C(=O)-O-で表される基が好ましく、CH=CH-C(=O)-O-(アクリロイルオキシ基)、CH=C(CH)-C(=O)-O-(メタクリロイルオキシ基)がより好ましく、アクリロイルオキシ基が特に好ましい。
式(I)において、p及びqは、それぞれ独立して、0又は1を表す。
式(I)で表される逆分散液晶性化合物は、例えば、国際公開第2012/147904号に記載される、ヒドラジン化合物とカルボニル化合物との反応により製造しうる。
第一液晶組成物は、必要に応じて、液晶性化合物に組み合わせて更に任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組合わせて用いてもよい。
通常、第一液晶組成物は重合によって硬化できるので、第一液晶組成物は、任意の成分として重合開始剤を含む。重合開始剤の種類は、第一液晶組成物に含まれる重合性の化合物の種類に応じて選択しうる。例えば、重合性の化合物がラジカル重合性であれば、ラジカル重合開始剤を使用しうる。また、重合性の化合物がアニオン重合性であれば、アニオン重合開始剤を使用しうる。さらに、重合性の化合物がカチオン重合性であれば、カチオン重合開始剤を使用しうる。重合開始剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
重合開始剤の量は、液晶性化合物100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上であり、好ましくは30重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。重合開始剤の量が前記範囲に収まることにより、重合を効率的に進行させることができる。
第一液晶組成物は、任意の成分として、界面活性剤を含んでいてもよい。特に、所望の液晶硬化層を安定して得る観点から、界面活性剤としては、分子中にフッ素原子を含む界面活性剤が好ましい。
界面活性剤はノニオン系界面活性剤であることが好ましい。界面活性剤がイオン性基を含まないノニオン系界面活性剤である場合に、液晶硬化層の面状態及び配向性を、特に良好にすることができる。
界面活性剤は、重合性を有さなくてもよく、重合性を有していてもよい。重合性を有する界面活性剤は、第一液晶組成物の層を硬化させる工程で重合できるので、通常は、液晶硬化層においては重合体の分子の一部に含まれる。
界面活性剤としては、例えば、AGCセイミケミカル社製のサーフロンシリーズ(S420など)、ネオス社製のフタージェントシリーズ(251、FTX-212M、FTX-215M、FTX-209など)、DIC社製のメガファックシリーズ(F-444など)等が挙げられる。また、界面活性剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤の量は、液晶性化合物100重量部に対して、好ましくは0.03重量部以上、より好ましくは0.05重量部以上であり、好ましくは0.50重量部以下、より好ましくは0.30重量部以下である。界面活性剤の量が前記の範囲にあることにより、液晶硬化層における液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を効果的に大きくできる。
第一液晶組成物は、任意の成分として、溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、液晶性化合物を溶解できるものが好ましい。このような溶媒としては、通常、有機溶媒を用いる。有機溶媒の例としては、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;酢酸ブチル、酢酸アミル等の酢酸エステル溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素溶媒;1,4-ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3-ジオキソラン、1,2-ジメトキシエタン等のエーテル溶媒;及びトルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶媒;が挙げられる。また、溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
溶媒の沸点は、取り扱い性に優れる観点から、好ましくは60℃~250℃、より好ましくは60℃~150℃である。
溶媒の量は、液晶性化合物100重量部に対して、好ましくは200重量部以上、より好ましくは250重量部以上、特に好ましくは300重量部以上であり、好ましくは650重量部以下、より好ましくは550重量部以下、特に好ましくは450重量部以下である。溶媒の量を、前記範囲の下限値以上にすることにより異物発生の抑制ができ、前記範囲の上限値以下にすることにより乾燥負荷の低減ができる。
また、第一液晶組成物は、第一硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の傾斜角をより大きくするために、任意の成分として、液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくする作用を発揮できる傾斜作用成分を含んでいてもよい。傾斜作用成分の種類及び量としては、例えば、特開2018-162379号公報(又は特願2017-060154号の明細書)、国際公開第2018/173778号(又は特願2017-060122号の明細書)、特開2018-163218号公報(又は特願2017-059327号の明細書)に記載されたものを採用しうる。ただし、液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくすることは、第一硬化層を製造する過程において操作又は条件を調整することによっても可能であるので、傾斜作用成分は必ずしも用いなくても構わない。
第一液晶組成物が含みうる任意のその他の成分としては、例えば、金属;金属錯体;酸化チタン等の金属酸化物;染料、顔料等の着色剤;蛍光材料、燐光材料等の発光材料;レベリング剤;チキソ剤;ゲル化剤;多糖類;紫外線吸収剤;赤外線吸収剤;抗酸化剤;イオン交換樹脂;等が挙げられる。これらの成分の量は、液晶性化合物の合計100重量部に対して、各々0.1重量部~20重量部としうる。
工程(I)では、通常、適切な支持面に、第一液晶組成物の層を形成する。支持面としては、第一液晶組成物の層を支持できる任意の面を用いうる。この支持面としては、液晶硬化層の面状態を良好にする観点から、凹部及び凸部の無い平坦面を用いることが好ましい。また、液晶硬化層の生産性を高める観点から、前記の支持面としては、長尺の基材の表面を用いることが好ましい。ここで「長尺」とは、幅に対して、5倍以上の長さを有する形状をいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するフィルムの形状をいう。
基材としては、通常、樹脂フィルム又はガラス板を用いる。特に、高い温度で配向処理を行う場合、その温度に耐えうる基材を選択するのが好ましい。樹脂としては、通常、熱可塑性樹脂を用いる。中でも、配向規制力の高さ、機械的強度の高さ、及びコストの低さといった観点から、樹脂としては、正の固有複屈折値を有する樹脂が好ましい。更には、透明性、低吸湿性、寸法安定性及び軽量性に優れることから、ノルボルネン系樹脂等の、脂環式構造含有重合体を含む樹脂を用いることが好ましい。基材に含まれる樹脂の好適な例を商品名で挙げると、ノルボルネン系樹脂として、日本ゼオン社製「ゼオノア」を挙げうる。
支持面を形成する材料のガラス転移温度は、好ましくは90℃以上、より好ましくは100℃以上、特に好ましくは120℃以上である。工程(II)及び工程(V)は、第一液晶組成物の層の温度及び第二液晶組成物の層の温度を配向に適した温度に調整するために、高温環境において行われることがある。支持面を形成する材料のガラス転移温度が前記のように高いことで、高温環境において支持面が熱によって変形することを抑制できる。支持面を形成する材料のガラス転移温度の上限は、特段の制限は無く、例えば、250℃以下でありうる。
支持面としての基材の表面には、第一液晶組成物の層における液晶性化合物の配向を促進するため、配向規制力を付与するための処理が施されていることが好ましい。配向規制力とは、液晶組成物に含まれる液晶性化合物を配向させることができる、支持面の性質をいう。支持面に配向規制力を付与するため処理としては、例えば、光配向処理、ラビング処理、イオンビーム配向処理、延伸処理などが挙げられる。
第一液晶組成物の層を形成する工程(I)において、第一液晶組成物は、通常、流体状で用意される。そのため、通常は、支持面に第一液晶組成物を塗工して、第一液晶組成物の層を形成する。第一液晶組成物を塗工する方法としては、例えば、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、ギャップコーティング法、及びディッピング法が挙げられる。
[3.工程(II):第一液晶組成物の層の配向処理]
工程(I)で第一液晶組成物の層を形成した後で、その第一液晶組成物の層に含まれる液晶性化合物を配向させる工程(II)を行う。配向を行う際には、通常、第一液晶組成物の層を、所定の温度条件に所定の時間だけ保持する。これにより、第一液晶組成物の層において、液晶性化合物を配向させることができる。
具体的には、面内方向においては、通常、液晶性化合物を、支持面の配向規制力に応じた方向に配向させる。
他方、厚み方向においては、液晶性化合物は、少なくとも一部が層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜するように配向させることが好ましい。これにより、第一硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくすることができる。そして、それにより、工程(VI)における液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角の調整を、効果的に行うことができる。
第一液晶組成物の層に含まれる液晶性化合物を、その少なくとも一部が層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜するように配向させるための方法は、任意である。中でも、液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が大きい第一硬化層が得られるように、液晶性化合物を配向させる方法を選択することが好ましい。
例えば、工程(II)は、第一液晶組成物の層の温度条件が所定の要件を満たすように行うことが好ましい。具体的には、工程(II)における第一液晶組成物の層の温度条件が、試験組成物の残留分粘度が通常800cP以下となる温度条件と同一になるように、行うことが好ましい。前記の試験組成物とは、第一液晶組成物から重合開始剤を除いた組成を有する組成物である。また、試験組成物の残留分粘度とは、工程(II)の第一液晶組成物の層と同一温度条件における、試験組成物の残留成分の粘度である。また、試験組成物の残留成分とは、試験組成物に含まれる成分のうち、工程(II)の第一液晶組成物の層と同一温度条件において気化せずに残留した成分である。このような要件を満たすように工程(II)を行うことで、第一硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくすることが可能である。
更に詳しく説明する。液晶性化合物を配向させる工程(II)を、前記の要件を満たすように行う場合、当該工程(II)は、試験組成物の残留分粘度が所定範囲に収まる温度条件と同一温度条件に、第一液晶組成物の層を調整して、行う。前記残留分粘度の具体的範囲は、通常800cP(センチポアズ)以下、好ましくは600cP以下、より好ましくは400cP以下、さらに好ましくは200cP以下である。このように試験組成物の残留分粘度が低くなる温度条件と同一温度条件で第一液晶組成物の層中の液晶性化合物を配向させることにより、第一硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくすることができる。前記残留分粘度の下限は、所望の厚みの第一硬化層を得る観点から、好ましくは5cP以上、より好ましくは10cP以上である。
工程(II)の第一液晶組成物の層と同一温度条件における試験組成物の残留分粘度は、下記の方法によって測定できる。
第一液晶組成物から重合開始剤を除いた試験組成物を用意する。この試験組成物をロータリーエバポレーターで減圧濃縮して溶媒を除去し、残留成分を得る。この残留成分について、予め、測定温度を変化させながら粘度を測定し、測定温度とその測定温度での粘度との情報を得る。この情報を、以下、適宜「温度-粘度情報」という。この「温度-粘度情報」から、工程(II)での第一液晶組成物の層の温度における粘度を、残留分粘度として読み取る。
工程(II)の第一液晶組成物の層と同一温度条件において試験組成物の残留分粘度を上述した範囲に収める方法としては、例えば、下記(A)及び(B)の方法が挙げられる。
(A)液晶性化合物を配向させる工程(II)における第一液晶組成物の層の温度を、適切に調整する。この方法では、通常、第一液晶組成物の層の温度を十分に高温にすることで、この温度と同一温度条件での試験組成物の残留分粘度を低くして、上述した範囲となるように調整する。
(B)第一液晶組成物の組成を、適切に調整する。この方法では、通常、第一液晶組成物に含まれる成分として、液晶性化合物に適切な種類及び量の添加剤を組み合わせることで、当該添加剤を含む試験組成物の残留分粘度を低くして、上述した範囲となるように調整する。
工程(II)における第一液晶組成物の層の温度条件の調整については、国際公開第2018/173773号(又は特願2017-060159号の明細書)の記載を参照してよい。
また、例えば、傾斜作用成分を含む第一液晶組成物を用いる方法、層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜する性質を有する液晶性化合物を用いる方法、によっても、液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が大きい第一硬化層を得ることができる。
配向処理時の具体的な温度は、液晶性化合物の液晶相-固相転移温度以上の範囲で適切に設定され、中でも、基材に含まれる樹脂のガラス転移温度未満の温度であることが好ましい。これにより、配向処理による基材の歪みの発生を抑制できる。
液晶性化合物を配向させる工程(II)は、通常、オーブン内において行われる。この際、オーブンの設定温度と、そのオーブン内に置かれた第一液晶組成物の層の温度とは、異なる場合がありえる。この場合、予め、多数のオーブン設定温度において、その設定温度のオーブン内に置かれた第一液晶組成物の層の温度を測定し、記録しておくことが好ましい。この記録されたオーブンの設定温度とその設定温度のオーブン内に置かれた第一液晶組成物の層の温度との情報を、以下、適宜「設定温度-層温度情報」という。この「設定温度-層温度情報」を用いれば、オーブン設定温度から、オーブン内に置かれた第一液晶組成物の層の温度を容易に知ることができる。
液晶性化合物を配向させる工程(II)において、第一液晶組成物の層の温度を前記の温度に保持する時間は、所望の第一硬化層が得られる範囲で任意に設定でき、例えば30秒間~5分間でありうる。
[4.工程(III):第一液晶組成物の層の硬化]
工程(II)で第一液晶組成物の層に含まれる液晶性化合物を配向させた後で、第一液晶組成物の層を硬化させる工程(III)を行う。
工程(III)では、通常、第一液晶組成物に含まれる重合性の化合物の重合により、第一液晶組成物の層を硬化させる。よって、例えば、液晶性化合物が重合性を有する場合、液晶性化合物は、通常、その分子の配向を維持したままで重合する。前記の重合により、重合前の第一液晶組成物に含まれる液晶性化合物の配向状態は固定される。
重合方法としては、第一液晶組成物に含まれる成分の性質に適合した方法を選択しうる。重合方法としては、例えば、活性エネルギー線を照射する方法、及び、熱重合法が挙げられる。中でも、加熱が不要であり、室温で重合反応を進行させられるので、活性エネルギー線を照射する方法が好ましい。ここで、照射される活性エネルギー線には、可視光線、紫外線、及び赤外線等の光、並びに電子線等の任意のエネルギー線が含まれうる。
なかでも、操作が簡便なことから、紫外線等の光を照射する方法が好ましい。紫外線照射時の温度は、基材のガラス転移温度以下とすることが好ましく、好ましくは150℃以下、より好ましくは100℃以下、特に好ましくは80℃以下である。紫外線照射時の温度の下限は、15℃以上としうる。紫外線の照射強度は、好ましくは0.1mW/cm以上、より好ましくは0.5mW/cm以上であり、好ましくは10000mW/cm以下、より好ましくは5000mW/cm以下である。紫外線の照射量は、好ましくは0.1mJ/cm以上、より好ましくは0.5mJ/cm以上であり、好ましくは10000mJ/cm以下、より好ましくは5000mJ/cm以下である。
前記の工程(III)により、第一液晶組成物の硬化物で形成された第一硬化層が得られる。この第一硬化層は、上述した第一液晶組成物を硬化した硬化物の層である。前記の第一液晶組成物の硬化は、上述のように、通常、当該第一液晶組成物が含む重合性の化合物の重合によって達成される。よって、第一硬化層は、通常、第一液晶組成物が含んでいた成分の一部又は全部の重合体を含む。したがって、液晶性化合物が重合性を有する場合、その液晶性化合物が重合するので、第一硬化層は、重合前の配向状態を維持したまま重合した液晶性化合物の重合体を含む層でありうる。この重合した液晶性化合物は、用語「第一硬化層に含まれる液晶性化合物」に含まれる。
第一液晶組成物の硬化物においては、硬化前の流動性が失われるので、通常、第一硬化層では、液晶性化合物の配向状態は、硬化前の配向状態のまま、固定されている。そして、第一硬化層に含まれる液晶性化合物の少なくとも一部の分子は、当該第一硬化層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜していることが好ましい。これにより、工程(VI)における液晶性化合物の分子の傾斜角の調整を、効果的に行うことができる。
第一硬化層において、液晶性化合物の分子のうち、一部が第一硬化層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜していてもよく、全部が第一硬化層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜していてもよい。通常、第一硬化層において、液晶性化合物の分子の傾斜角は、厚み方向において、支持面に近いほど小さく、支持面から遠いほど大きい。よって、第一硬化層の支持面側の面の近傍部分では、液晶性化合物の分子が層平面に対して(即ち面内方向に対して)平行でありえる。また、第一硬化層の支持面とは反対側の面の近傍部分では、液晶性化合物の分子が層平面に対して(即ち面内方向に対して)垂直でありえる。しかし、このように第一硬化層の表面近傍部分で液晶性化合物の分子が層平面に対して(面内方向に対して)平行又は垂直である場合であっても、第一硬化層の表面近傍部分を除いた部分では、液晶性化合物の分子は層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜していることが好ましい。
第一硬化層に含まれる液晶性化合物の少なくとも一部の分子が当該第一硬化層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜していることは、十分な分解能を有する偏光顕微鏡で第一硬化層の断面を観察することによって、確認できる。この観察は、液晶性化合物の分子の傾斜を視認し易くするために、必要に応じて、観察サンプルと偏光顕微鏡の対物レンズとの間に検板として波長板を挿入して実施してもよい。
または、第一硬化層に含まれる液晶性化合物の少なくとも一部の分子が当該第一硬化層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜していることは、下記のようにして確認できる。第一硬化層の面内の進相軸方向に対して垂直な測定方向で、入射角θにおける第一硬化層のレターデーションR(θ)を測定する。そして、入射角θでの第一硬化層のレターデーションR(θ)を入射角0°での第一硬化層のレターデーションR(0°)で割ったレターデーション比R(θ)/R(0°)を求める。こうして求めたレターデーション比R(θ)/R(0°)を縦軸、入射角θを横軸としたグラフを描いた場合に、得られたグラフがθ=0°に対して非対称であれば、第一硬化層に含まれる液晶性化合物の少なくとも一部の分子が当該第一硬化層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜していることが確認できる。
以下、例を挙げてより具体的に説明する。図2は、ある例に係る第一硬化層のレターデーション比R(θ)/R(0°)を、入射角θに対してプロットしたグラフである。第一硬化層に含まれる液晶性化合物の全ての分子の傾斜角が0°又は90°であると、レターデーション比R(θ)/R(0°)は、図2で破線で示す例のように、θ=0°の直線(図2では、θ=0°を通る縦軸)に対して線対称となる。これに対して、第一硬化層に含まれる液晶性化合物の少なくとも一部の分子が第一硬化層の層平面に対して(面内方向に対して)傾斜していると、レターデーション比R(θ)/R(0°)は、図2に実線で示す例のように、通常はθ=0°の直線に対して非対称となる。よって、レターデーション比R(θ)/R(0°)がθ=0°に対して非対称である場合には、第一硬化層に含まれる液晶性化合物の少なくとも一部の分子が当該第一硬化層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜している、と判定できる。
第一硬化層が、当該第一硬化層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜した液晶性化合物の分子を含む場合、その第一硬化層の実質最大傾斜角は、第一硬化層の支持面側の面での分子の傾斜角が0°であり、且つ、分子の傾斜角が厚み方向において一定比率で変化していると仮定した場合の、液晶性化合物の分子の傾斜角の最大値を表す。この実質最大傾斜角は、第一硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の傾斜角の大きさを示す指標である。通常、実質最大傾斜角が大きい第一硬化層ほど、その第一硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の全体として見た傾斜角が大きい傾向がある。
通常、第一硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が大きいほど、第二硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくできる。よって、工程(VI)において調整可能な実質最大傾斜角の範囲の最大値を大きくできるので、最終的に得られる液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角の調整可能な範囲を広くできる。
第一硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角の範囲は、液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を適切な範囲に調整できるように、設定することが望ましい。第一硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角の具体的な範囲は、好ましくは15°以上、より好ましくは20°以上、特に好ましくは30°以上であり、好ましくは60°以下である。第一硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が前記の範囲にあることにより、工程(VI)における液晶性化合物の分子の傾斜角の調整を、効果的に行うことができる。さらに、通常は、特に優れた視野角特性を有する液晶硬化フィルムを製造し易い。
第一硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角は、後述する実施例に記載の測定方法で測定できる。
第一硬化層の面内方向においては、液晶性化合物の分子の配向方向は、通常、均一である。よって、第一硬化層は、通常、第一硬化層を厚み方向から見た液晶性化合物の分子の配向方向に平行な面内遅相軸を有する。
通常、第一硬化層の表面(図1の面111U参照)は、当該表面に形成される第二硬化層に含まれる液晶性化合物の分子を配向させる配向規制力を有する。この配向規制力は、面内方向においては、第二硬化層に含まれる液晶性化合物の分子を、第一硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の配向方向と同じ方向に配向させようとする。
また、第一硬化層の表面の配向規制力は、厚み方向において、第二硬化層に含まれる液晶性化合物の分子を、当該分子の傾斜角が大きくなるように配向させることが望ましい。この場合、第一硬化層は、第二硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の傾斜角を大きくする傾斜配向膜として機能できる。前記の傾斜配向膜としての機能は、例えば、第一液晶組成物及び第二液晶組成物の両方が逆分散液晶性化合物を含む場合に、顕著に発揮される。
ある所定の厚み範囲においては、第一硬化層が薄いほど、第一硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくできる。そこで、当該第一硬化層を含む液晶硬化層における液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくできるようにして、液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の傾斜角を広い範囲で調整できるようにする観点では、第一硬化層の厚みは、好ましくは0.1μm以上、より好ましくは0.2μm以上、特に好ましくは0.3μm以上であり、好ましくは5.0μm以下、より好ましくは4.0μm以下、特に好ましくは3.0μm以下である。
[5.工程(IV):第二液晶組成物の層の形成]
工程(III)で第一硬化層を得た後で、その第一硬化層上に、直接に、第二硬化層を形成するための液晶組成物としての第二液晶組成物の層を形成する工程(IV)を行う。ここで、ある層上に別の層を形成する態様が「直接に」とは、これら2層の間に他の層が無いことをいう。
第二液晶組成物は、第二硬化層を形成するための液晶性化合物を含む。第二液晶組成物に含まれる液晶性化合物としては、第一液晶組成物に含まれる液晶性化合物として説明した範囲から任意の液晶性化合物を選択して用いることができる。これにより、第一液晶組成物及び第一硬化層において得られたのと同じ利点を、第二液晶組成物及び第二硬化層においても得ることができる。特に、第一液晶組成物及び第二液晶組成物の両方が逆分散液晶性化合物を含む場合には、工程(V)において第二液晶組成物の層に含まれる液晶性化合物の分子の傾斜角を大きくしたり、工程(VI)における液晶性化合物の分子の傾斜角の調整を効果的に行ったりできる。第二液晶組成物に含まれる液晶性化合物は、第一液晶組成物に含まれる液晶性化合物と、同一でもよく、異なっていてもよい。第二硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を効果的に調整するためには、第一液晶組成物に含まれる液晶性化合物と第二液晶組成物に含まれる液晶性化合物とは、同一又は類似した構造を有することが好ましい。さらに、第二液晶組成物に含まれる液晶性化合物としては、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
さらに、第二液晶組成物は、必要に応じて、液晶性化合物に組み合わせて更に任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。任意の成分としては、例えば、第一液晶組成物が含みうる液晶性化合物以外の成分を、第一液晶組成物における前記成分の量の範囲で、用いることができる。これにより、第一液晶組成物及び第一硬化層において得られたのと同じ利点を、第二液晶組成物及び第二硬化層においても得ることができる。
第二液晶組成物は、第一液晶組成物と異なっていてもよいし、同一であってもよい。
第二液晶組成物の層を形成する工程(IV)において、第二液晶組成物は、通常、流体状で用意される。そのため、通常は、第一硬化層の表面に第二液晶組成物を塗工して、第二液晶組成物の層を形成する。第二液晶組成物を塗工する方法としては、例えば、第一液晶組成物を塗工する方法として説明した方法と同じ例が挙げられる。第一硬化層が液晶性化合物を含む硬化物で形成されているので、第一硬化層は、通常、液晶性化合物を含む第二液晶組成物に対して高い親和性を有する。よって、通常は、第一硬化層の表面に対して第二液晶組成物のなじみが良い。したがって、第二液晶組成物の層の面状態を良好にでき、ひいては第二硬化層の面状態を良好にできる。
[6.工程(V):第二液晶組成物の層の配向処理]
工程(IV)で第二液晶組成物の層を形成した後で、その第二液晶組成物の層に含まれる液晶性化合物を配向させる工程(V)を行う。これにより、第二液晶組成物の層において、液晶性化合物を配向させることができる。
具体的には、面内方向においては、通常、第二液晶組成物の層に含まれる液晶性化合物を、第一硬化層の表面の配向規制力により、第一硬化層に含まれる液晶性化合物の配向方向と同じ方向に配向させる。
他方、厚み方向においては、通常、第二液晶組成物の層に含まれる液晶性化合物を、少なくとも一部が層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜するように配向させる。第二液晶組成物の層に含まれる液晶性化合物を、その少なくとも一部が層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜するように配向させるための方法は、任意である。例えば、第一液晶組成物及び第二液晶組成物の両方に逆分散液晶性化合物を含ませる方法によれば、第一硬化層の傾斜配向膜としての作用を大きく発揮させることができるので、第二液晶組成物の層に含まれる液晶性化合物の分子を、層平面に対して(即ち面内方向に対して)大きく傾斜するように配向させることができる。よって、第二液晶組成物の層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を、特に大きくできる。第一硬化層を傾斜配向膜として作用させた場合には、通常、第一硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角よりも大きい実質最大傾斜角を有する液晶性化合物の分子を含む第二硬化層を得ることができる。
第二液晶組成物の層に含まれる液晶性化合物を配向させる工程(V)における具体的な操作は、第一液晶組成物の層に含まれる液晶性化合物を配向させる工程(II)と同じにできる。これにより、第一液晶組成物及び第一硬化層において得られたのと同じ利点を、第二液晶組成物及び第二硬化層においても得ることができる。特に、工程(V)では、工程(II)と同じく、工程(V)における第二液晶組成物の層の温度条件が、当該第二液晶組成物に対応する試験組成物の残留分粘度が通常800cP以下となる温度条件と同一になるように、行うことが好ましい。
また、前記のように、第一硬化層は、第二液晶組成物に対して高い親和性を有する。よって、第二液晶組成物は第一硬化層になじみ、分子の配向が乱され難い。また、通常、第一硬化層では、配向欠陥の発生が抑制されているので、第一硬化層の配向欠陥に起因した第二液晶組成物の層での配向欠陥の発生も抑制される。よって、第二液晶組成物の層では配向状態を面内方向において均一にできるので、配向欠陥の発生が抑制される。
[7.工程(VI):実質最大傾斜角の調整]
工程(V)で第二液晶組成物の層に含まれる液晶性化合物を配向させた後で、その第二液晶組成物の層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を調整するために、工程(VI)を行う。工程(VI)では、時間の経過により、第二液晶組成物の層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を、大きくする。
具体的には、工程(VI)では、工程(V)において液晶性化合物を配向させてから、工程(VII)において第二液晶組成物の層を硬化させるまでの間に、時間を空ける。この空いた時間で、第二液晶組成物の層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角は、大きくなる。時間の経過によって実質最大傾斜角が大きくなるので、通常、工程(V)から工程(VII)までの間に空ける時間が長いほど、第二液晶組成物の層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角は、より大きくなる。したがって、工程(V)から工程(VII)までの間に空ける時間を調整することによって、第二硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を調整できるので、その結果、第一硬化層及び第二硬化層を含む液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を調整できる。
工程(VI)における第二液晶組成物の層の温度条件は、特段の制限は無い。通常、工程(V)が第二液晶組成物の層の温度を調整するためにオーブン等の温度調整装置の内で行われるのに対し、工程(VI)は前記温度調整装置の外で行われる。よって、工程(VI)における第二液晶組成物の層の温度条件は、工程(V)における温度条件とは異なることが多い。具体的な温度条件は、特段の制限は無いが、基材に含まれる樹脂のガラス転移温度未満の温度であることが好ましい。中でも、加熱のためのエネルギーを省いて製造コストを下げる観点では、第二液晶組成物に含まれる液晶性化合物の液晶相-固相転移温度未満の温度条件が好ましく、20℃~30℃の常温が特に好ましい。
工程(VI)にかける時間は、液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の目的とする実質最大傾斜角に応じて、適切に設定することが望ましい。ここで、工程(VI)にかける時間とは、工程(V)において液晶性化合物を配向させてから、工程(VII)において第二液晶組成物の層を硬化させるまでの間の時間をいう。工程(VI)にかける具体的な時間は、好ましくは60秒以上、より好ましくは120秒以上であり、好ましくは600秒以下である。工程(VI)にかける時間が前記範囲の下限値以上であることにより、第二液晶組成物の層に含まれる液晶性化合物の実質最大傾斜角を大幅に大きくできるので、工程(VI)による作用を有効に活用できる。また、工程(VI)にかける時間が前記範囲の上限値以下であることにより、液晶硬化フィルムの製造に要する時間を短くできる。
第二液晶組成物の層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が工程(VI)によって変化する大きさは、好ましくは1°以上、より好ましくは5°以上、さらに好ましくは15°以上、特に好ましくは20°以上であり、好ましくは45°以下、より好ましくは40°以下である。
[8.工程(VII):第二液晶組成物の層の硬化]
工程(VI)で第二液晶組成物の層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を調整した後で、第二液晶組成物の層を硬化させて、第二硬化層を得る工程(VII)を行う。これにより、第一硬化層及び第二硬化層を含む液晶硬化層を備えた液晶硬化フィルムを得ることができる。第二液晶組成物の層を硬化させる工程(VII)における具体的な操作は、第一液晶組成物の層を硬化させる工程(III)と同じにできる。これにより、第一液晶組成物及び第一硬化層において得られたのと同じ利点を、第二液晶組成物及び第二硬化層においても得ることができる。
第二硬化層は、液晶性化合物を含む第二組成物の硬化物で形成された層である。第二液晶組成物の硬化は、第一液晶組成物の硬化と同じく、通常、当該第二液晶組成物が含む重合性の化合物の重合によって達成される。よって、第二硬化層は、通常、第二液晶組成物が含んでいた成分の一部又は全部の重合体を含む。例えば、液晶性化合物が重合性を有する場合、その液晶性化合物が重合するので、第二硬化層は、重合前の配向状態を維持したまま重合した液晶性化合物の重合体を含む層でありうる。この重合した液晶性化合物は、用語「第二硬化層に含まれる液晶性化合物」に含まれる。
第二液晶組成物の硬化物においては、硬化前の流動性が失われるので、通常、液晶性化合物の配向状態は、硬化前の配向状態のまま、固定されている。この第二硬化層に含まれる液晶性化合物の少なくとも一部は、当該第二硬化層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜している。そして、第二硬化層に含まれる液晶性化合物の傾斜角は、工程(VI)での調整に応じた大きさに調整されている。よって、第二硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角の大きさは、適切に調整されている。第二硬化層において、この実質最大傾斜角は、第一硬化層側の面での分子の傾斜角が0°であり、且つ、分子の傾斜角が厚み方向において一定比率で変化していると仮定した場合の、液晶性化合物の分子の傾斜角の最大値を表す。この実質最大傾斜角は、第二硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の傾斜角の大きさを示す指標である。通常は、実質最大傾斜角が大きい第二硬化層ほど、その第二硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の全体として見た傾斜角が大きい傾向がある。
第二硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角は、液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が所望の範囲に収まるように、設定されることが望ましい。このとき、第二硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角は、第一硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角よりも大きいことが好ましい。これにより、液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角に対する、第二硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角の相関性を大きくできる。よって、工程(VI)での実質最大傾斜角の調整により、液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を広い範囲で調整することが可能となる。第二硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を、第一硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角よりも大きくする方法としては、例えば、第一液晶組成物及び第二液晶組成物の両方に逆分散液晶性化合物を含ませる方法が挙げられる。
前記の場合、第一硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角と、第二硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角との差は、好ましくは5°以上、より好ましくは8°以上、特に好ましくは10°以上であり、好ましくは70°以下、より好ましくは65°以下、特に好ましくは55°以下である。
第二硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角は、視野角特性に優れた液晶硬化フィルムを得る観点では、好ましくは40°以上、より好ましくは45°以上、更に好ましくは50°以上、特に好ましくは57°以上であり、好ましくは85°以下である。
第二硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角は、後述する実施例に記載の測定方法で測定できる。
通常、第二硬化層の面内方向における液晶性化合物の分子の配向方向は、第一硬化層の面内方向における液晶性化合物の分子の配向方向と同じである。
また、第一硬化層において配向欠陥が抑制されているので、その第一硬化層上に形成される第二硬化層においても、配向欠陥の発生を抑制できる。
さらに、第二硬化層は、通常、面状態が良好である。
第二硬化層の厚みは、特段の制限は無いが、第一硬化層よりも厚いことが好ましい。これにより、液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角に対する、第二硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角の相関性を大きくできる。よって、工程(VI)での実質最大傾斜角の調整により、液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を広い範囲で調整することが可能となる。第二硬化層の具体的な厚みは、好ましくは0.3μm以上、より好ましくは0.5μm以上であり、また、好ましくは10.0μm以下、より好ましくは7.5μm以下、更に好ましくは5.0μm以下、特に好ましくは3.0μm以下である。
[9.任意の工程]
液晶硬化フィルムの製造方法は、上述した工程に組み合わせて、更に任意の工程を含んでいてもよい。
例えば、基材を用いた場合には、前記の製造方法により、基材の支持面上に形成された液晶硬化層を備える液晶硬化フィルムが得られる。そこで、前記の液晶硬化フィルムの製造方法は、支持面から液晶硬化層を剥離する工程を含んでいてもよい。
また、液晶硬化フィルムの製造方法は、例えば、第二硬化層上に、液晶性化合物の硬化物によって更に層を形成する工程を含んでいてもよい。
さらに、液晶硬化フィルムの製造方法は、例えば、液晶硬化層に組み合わせて、更に任意の層を形成する工程を含んでいてもよい。
また、液晶硬化フィルムの製造方法は、例えば、基材上に形成された液晶硬化層を、任意のフィルム層に転写する工程を含んでいてもよい。よって、例えば、液晶硬化フィルムの製造方法は、基材上に形成された液晶硬化層と任意のフィルム層とを貼り合わせた後で、必要に応じて基材を剥離して、液晶硬化層及び任意のフィルム層を含む液晶硬化フィルムを得る工程を含んでいてもよい。この際、貼り合わせには、適切な粘着剤又は接着剤を用いてもよい。
さらに、例えば、第一硬化層の表面に第二液晶組成物の層を形成する前に、第一硬化層の表面には、ラビング処理等の配向規制力を付与するための処理を施してもよい。しかし、第一硬化層の表面は、特段の処理を施さなくても、通常は、当該表面上に形成される第二液晶組成物の層に含まれる液晶性化合物を適切に配向させる配向規制力を有する。よって、工程数を減らして液晶硬化フィルムの製造を効率的に進める観点では、工程(IV)は、第一硬化層の表面にラビング処理を施さないで、第一硬化層の表面に第二液晶組成物の層を形成することを含むことが好ましい。
[10.液晶硬化フィルムの製造方法の主な利点]
上述したように、本発明の一実施形態に係る液晶硬化フィルムの製造方法によれば、第一硬化層及び第二硬化層を含む液晶硬化層を備えた液晶硬化フィルムを製造できる。この製造方法では、工程(VI)にかける時間を調整することにより、第二硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を調整できる。よって、液晶組成物の組成を変更しなくても、液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を調整することが可能である。したがって、液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角の調整を、容易に行うことができる。
また、前記の製造方法によれば、長尺の基材を用いて、長尺の液晶硬化フィルムを得ることができる。このような長尺の液晶硬化フィルムは、連続的な製造が可能であり、生産性に優れる。また、他のフィルムとの貼り合わせを、ロールトゥロールによって行うことができるので、この点でも、生産性に優れる。通常、長尺の液晶硬化フィルムは、巻き取られてロールの状態で保存及び運搬がなされる。
[11.得られる液晶硬化フィルム]
上述した実施形態に係る製造方法で製造される液晶硬化フィルムは、第一硬化層と、この第一硬化層の表面に直接に接した第二硬化層とを含む液晶硬化層を備える。ある層の面に別の層が「直接に」接するとは、これら2層の間に他の層が無いことをいう。
液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の少なくとも一部の分子は、当該液晶硬化層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜している。液晶硬化層において、液晶性化合物の分子のうち、一部が液晶硬化層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜していてもよく、全部が液晶硬化層の層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜していてもよい。液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の少なくとも一部の分子が層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜していることは、第一硬化層の項において説明した方法と同じ方法によって、確認できる。そして、このように層平面に対して(即ち面内方向に対して)傾斜した液晶性化合物の分子を含むことにより、液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角は、通常、5°以上85°以下となっている。
液晶硬化層において、実質最大傾斜角は、第一硬化層側の面での分子の傾斜角が0°であり、且つ、分子の傾斜角が厚み方向において一定比率で変化していると仮定した場合の、液晶性化合物の分子の傾斜角の最大値を表す。この実質最大傾斜角は、液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の傾斜角の大きさを示す指標である。通常は、実質最大傾斜角が大きい液晶硬化層ほど、その液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の全体として見た傾斜角が大きい傾向がある。よって、液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を大きくできることにより、厚み方向における液晶硬化層の複屈折を大きくできる。したがって、液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を調整することにより、液晶硬化層の複屈折を適切に調整できるので、液晶硬化フィルムを反射抑制フィルムとしての偏光板に設けた場合に、表示面の傾斜方向において反射を効果的に抑制できるという優れた視野角特性を得ることができる。
液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角は、液晶硬化フィルムの用途に応じて任意に設定しうる。例えば、優れた視野角特性を達成する観点では、液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角は、好ましくは40°以上、より好ましくは46°以上、特に好ましくは56°以上であり、好ましくは85°以下、より好ましくは83°以下、更に好ましくは80°以下である。
液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角は、後述する実施例に記載の測定方法で測定できる。
面内方向においては、液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子は、全体として、第一硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の配向方向と同じ面内方向に配向する。よって、液晶硬化層の面内遅相軸は、通常、第一硬化層の面内遅相軸と平行である。
液晶硬化層の面内レターデーションの範囲は、液晶硬化フィルムの用途に応じて任意に設定できる。特に、液晶硬化フィルムと直線偏光子とを組み合わせて、有機EL表示パネル用の反射抑制フィルムとしての偏光板を得るためには、液晶硬化層は、1/4波長板として機能できる面内レターデーションを有することが望ましい。ここで、1/4波長板として機能できる面内レターデーションとは、具体的には、測定波長590nmにおいて、好ましくは80nm以上、より好ましくは100nm以上、さらに好ましくは110nm以上、特に好ましくは120nm以上であり、好ましくは190nm以下、より好ましくは180nm以下、さらに好ましく170nm以下、特に好ましくは160nm以下である。
液晶硬化層の面内レターデーションは、逆波長分散性を示すことが好ましい。よって、測定波長450nm及び550nmにおける液晶硬化層の面内レターデーションRe(450)及びRe(550)は、下記式(N3)を満たすことが好ましく、下記式(N4)を満たすことがより好ましい。
Re(450)/Re(550)<1.00 (N3)
Re(450)/Re(550)<0.90 (N4)
このように逆波長分散性を示す面内レターデーションを有する液晶硬化層は、1/4波長板又は1/2波長板等の光学用途において、広い波長帯域において均一に機能を発現できる。よって、この液晶硬化層を含む液晶硬化フィルムを反射抑制フィルムとしての偏光板に用いた場合に、広い波長範囲において反射を抑制することが可能である。
優れた視野角特性を実現する観点から、液晶硬化層の平均レターデーション比R(±50°)/R(0°)は、好ましくは0.91より大きく、より好ましくは0.93以上、特に好ましくは0.95以上であり、また、好ましくは1.10以下、より好ましくは1.08以下、特に好ましくは1.05以下である。ここで、R(±50°)とは、液晶硬化層の面内の進相軸方向に対して垂直な測定方向で測定した、入射角θが-50°及び+50°での液晶硬化層のレターデーションR(-50°)及びR(+50°)の平均値を表す。また、R(0°)は、入射角0°での液晶硬化層のレターデーションを表す。
一般に、画像表示装置の表示面に入射角「+φ」で入射する外光は、出射角「-φ」で反射する。よって、表示面に設けられる反射抑制フィルムが液晶硬化フィルムを含む場合、表示面の傾斜方向において外光は入射角「+φ」での往路と出射角「-φ」での復路とを含む経路で液晶硬化層を通過する。この経路を通る光の反射を効果的に抑制する観点から、液晶硬化層のレターデーション比R(±50°)/R(0°)は、1.00に近いことが好ましい。液晶硬化層のレターデーション比R(±50°)/R(0°)が1.00に近い前記の範囲にあることにより、その液晶硬化層を含む偏光板によって、傾斜方向における外光の反射を効果的に抑制できる。具体的には、外光が液晶硬化層を入射時及び反射時の2回通る間に、その偏光状態を適切に変換して、偏光板の直線偏光子による効果的な遮断を実現することが可能となる。よって、このような液晶硬化層を含む液晶硬化フィルムは、直線偏光子と組み合わせて偏光板を得た場合に、その偏光板による反射抑制能力を広い入射角範囲において発揮できるので、特に優れた視野角特性を得ることができる。
上述したように、第一硬化層及び第二硬化層では、通常、配向欠陥の発生が抑制されている。よって、第一硬化層及び第二硬化層を含む液晶硬化層の全体としても、配向欠陥の発生を抑制することができる。
上述したように、第一硬化層及び第二硬化層では、通常、面状態が良好である。よって、第一硬化層及び第二硬化層を含む液晶硬化層の全体としても、面状態が良好である。したがって、液晶硬化層は、通常、その厚みのムラが小さく、したがって面内レターデーションのムラが小さい。
液晶硬化層の厚みは、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上であり、好ましくは15.0μm以下、より好ましくは11.5μm未満、更に好ましくは8.0μm以下、特に好ましくは6.0μm以下である。液晶硬化層の厚みが前記の範囲にあることにより、面内レターデーション等の特性を所望の範囲に容易に調整することができる。また、このような厚みの液晶硬化層は、有機EL表示パネルの反射抑制フィルムに用いられてきた従来の位相差フィルムよりも薄いので、有機EL表示パネルの薄型化に貢献できる。
液晶硬化層において、第一硬化層と第二硬化層とは、通常、下記の方法によって区別できる。
液晶硬化層を、エポキシ樹脂で包埋して、試料片を得る。この試料片を、ミクロトームを用いて、液晶硬化層の厚み方向に平行にスライスして、観察サンプルを得る。この際、スライスは、液晶硬化層の面内遅相軸方向と断面とが平行となるように行う。その後、スライスにより現れた断面を、偏光顕微鏡を用いて観察する。この観察は、観察サンプルと偏光顕微鏡の対物レンズとの間に検板として波長板を挿入して、観察サンプルのレターデーションに応じた色を呈した像が見られるように行う。このとき、色が異なる部分を、第一硬化層と第二硬化層との境目として、区別できる。
また、液晶硬化層は、第一硬化層及び第二硬化層のみを含む2層構造の層であってもよいが、3層以上の層を含んでいてもよい。
液晶硬化フィルムは、液晶硬化層のみを含むフィルムであってもよく、液晶硬化層に組み合わせて任意の層を含むフィルムであってもよい。任意の層としては、液晶硬化層の製造に用いる基材;位相差フィルム;他の部材と接着するための接着剤層;フィルムの滑り性を良くするマット層;耐衝撃性ポリメタクリレート樹脂層などのハードコート層;反射防止層;防汚層;等が挙げられる。
液晶硬化フィルムは、透明性に優れることが好ましい。具体的には、液晶硬化フィルムの全光線透過率は、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは84%以上である。また、液晶硬化フィルムのヘイズは、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。全光線透過率は、紫外・可視分光計を用いて、波長400nm~700nmの範囲で測定できる。また、ヘイズは、ヘイズメーターを用いて測定できる。
液晶硬化フィルムの厚みは、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上であり、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下である。
[12.偏光板]
前記の液晶硬化フィルムは、偏光板に適用できる。この偏光板は、上述した液晶硬化フィルムを備え、更に通常は直線偏光子を備える。偏光板は、円偏光板又は楕円偏光板として機能できることが好ましい。このような偏光板は、有機EL表示装置等の表示装置に設けることにより、その表示面の正面方向において外光の反射を抑制できる。
また、液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が適切に調整されているので、液晶硬化層は、面内方向だけでなく厚み方向においても適切に調整された複屈折を有する。よって、偏光板は、表示装置の表示面の正面方向だけでなく傾斜方向においても外光の反射を抑制できる。したがって、この偏光板を用いることにより、視野角の広い表示装置を実現することができる。
直線偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素又は二色性染料を吸着させた後、ホウ酸浴中で一軸延伸することによって得られるフィルム;ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素又は二色性染料を吸着させ延伸しさらに分子鎖中のポリビニルアルコール単位の一部をポリビニレン単位に変性することによって得られるフィルム;が挙げられる。また、直線偏光子の他の例としては、グリッド偏光子、多層偏光子などの、偏光を反射光と透過光に分離する機能を有する偏光子が挙げられる。これらのうち、直線偏光子としては、ポリビニルアルコールを含有する偏光子が好ましい。
直線偏光子に自然光を入射させると、一方の偏光だけが透過する。この直線偏光子の偏光度は特に限定されないが、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上である。
また、直線偏光子の厚みは、好ましくは5μm~80μmである。
偏光板を円偏光板として機能させたい場合、直線偏光子の偏光吸収軸に対して液晶硬化層の遅相軸がなす角度は、45°またはそれに近い角度であることが好ましい。前記の角度は、具体的には、好ましくは45°±5°(即ち40°~50°)、より好ましくは45°±4°(即ち41°~49°)、特に好ましくは45°±3°(即ち42°~48°)である。
偏光板は、直線偏光子及び液晶硬化フィルム以外に、更に任意の層を含んでいてもよい。任意の層としては、例えば、直線偏光子と液晶硬化フィルムとを貼り合わせるための接着層;直線偏光子を保護するための偏光子保護フィルム層;などが挙げられる。
前記の偏光板は、上述した実施形態に係る製造方法によって液晶硬化フィルムを製造することを含む製造方法によって製造できる。例えば、前記の偏光板は、上述した実施形態に係る製造方法によって液晶硬化フィルムを製造することと、製造された液晶硬化フィルムと直線偏光子とを貼り合わせることと、を含む製造方法によって、製造できる。貼り合わせには、必要に応じて、接着剤を用いてもよい。
[13.有機EL表示装置]
前記の偏光板は、有機EL表示装置に適用できる。この有機EL表示装置は、上述した偏光板を備え、更に通常は有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、適宜「有機EL素子」ということがある。)を備える。有機EL表示装置は、通常、有機EL素子の視認側に偏光板を備える。また、偏光板は、有機EL素子側から、液晶硬化フィルム及び直線偏光子をこの順に備える。このような構成において、偏光板は、反射抑制フィルムとして機能できる。
以下、偏光板が円偏光板として機能する場合を例に挙げて、反射抑制の仕組みを説明する。装置外部から入射した光は、その一部の直線偏光のみが直線偏光子を通過し、次にそれが液晶硬化フィルムを通過することにより、円偏光となる。円偏光は、有機EL素子内の光を反射する構成要素(有機EL素子の反射電極等)により反射され、再び液晶硬化フィルムを通過することにより、入射した直線偏光の振動方向と直交する振動方向を有する直線偏光となり、直線偏光子を通過しなくなる。ここで、直線偏光の振動方向とは、直線偏光の電場の振動方向を意味する。これにより、反射抑制の機能が達成される。このような反射抑制の原理は、特開平9-127885号公報を参照してよい。
有機EL素子は、通常、透明電極層、発光層及び電極層をこの順に備え、透明電極層及び電極層から電圧を印加されることにより発光層が光を生じうる。有機発光層を構成する材料の例としては、ポリパラフェニレンビニレン系、ポリフルオレン系、およびポリビニルカルバゾール系の材料を挙げることができる。また、発光層は、複数の発光色が異なる層の積層体、あるいはある色素の層に異なる色素がドーピングされた混合層を有していてもよい。さらに、有機EL素子は、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、等電位面形成層、電荷発生層等の機能層を備えていてもよい。
前記の有機EL表示装置は、上述した製造方法によって偏光板を製造することを含む製造方法によって製造できる。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではなく、本発明の請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り、重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温常圧大気中において行った。
また、以下に説明する実施例及び比較例で製造された液晶硬化フィルムに含まれる支持基材は、光学等方性を有するので、レターデーションの測定結果には影響を与えない。そこで、以下に説明する実施例及び比較例における液晶硬化層のレターデーションの測定は、試料として液晶硬化フィルムを用いて実施した。
[評価方法]
(液晶性化合物の液晶相-固相転移温度の測定方法)
液晶性化合物を10mg計量した。計量した液晶性化合物を、当該液晶性化合物が固体状態のまま、ラビング処理を施されたガラス基板2枚に挟んだ。この基板をホットプレート上に載せ、40℃から200℃まで昇温した後、40℃まで降温した。前記の昇温時及び降温時に、液晶性化合物の組織構造の変化を、偏光光学顕微鏡で観察した。
このようにして、温度40℃から200℃の範囲で、液晶性化合物の液晶相-固相転移温度の測定を行った。
(液晶硬化層及びそれに含まれる第一硬化層~第二硬化層での液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角の測定方法)
図3は、傾斜方向から液晶硬化層200のレターデーションを測定する際の測定方向を説明するための斜視図である。図3において、矢印A1は液晶硬化層200の面内の遅相軸方向を表し、矢印A2は液晶硬化層200の面内の進相軸方向を表し、矢印A3は液晶硬化層200の厚み方向を表す。
位相差計(Axometrics社製「AxoScan」)を用いて、図3に示すように、液晶硬化層200のレターデーションを、入射角θが-50°~50°の範囲で測定した。この際、測定方向A4は、液晶硬化層200の面内の進相軸方向A2に対して垂直に設定した。また、測定波長は590nmであった。
測定されたレターデーションから、前記の位相差計に付属の解析ソフトウェア(AxoMetrics社製の解析ソフトウェア「Multi-Layer Analysis」;解析条件は、解析波長590nm、層分割数20層)により、液晶硬化層200に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を解析した。
また、第一硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角は、下記の方法によって測定した。
第一硬化層を液晶硬化層の代わりに用いること以外は、前記の液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角の測定方法と同じ方法により、第一硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を測定した。この測定は、液晶硬化層の製造途中に、第一硬化層を得た後、その第一硬化層の表面に更に第二硬化層形成用の液晶組成物を塗工する前の時点で、行った。
さらに、第二硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角は、下記の方法によって測定した。
液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角と、第一硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角とを測定した。そして、測定したこれらの実質最大傾斜角と、第一硬化層及び第二硬化層の厚みとを用いて、第二硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を解析した。
(視野角特性の評価方法)
位相差計(Axometrics社製「AxoScan」)を用いて、図3に示すように、液晶硬化層200のレターデーションを、入射角θが-50°~50°の範囲で測定した。この際、測定方向A4は、液晶硬化層200の面内の進相軸方向A2に対して垂直に設定した。また、測定波長は590nmであった。
入射角θが-50°でのレターデーションR(-50°)及び入射角θが+50°でのレターデーションR(+50°)の平均値R(±50°)を計算した。そして、この平均値R(±50°)を、入射角θが0°の面内レターデーションR(0°)で割って、平均レターデーション比R(±50°)/R(0°)を求めた。この平均レターデーション比R(±50°)/R(0°)が1.00に近いほど、より優れた視野角特性を有機EL表示装置において実現できることを表す。そこで、前記の平均レターデーション比R(±50°)/R(0°)の値に基づいて、下記の基準で液晶硬化層の視野角特性を評価した。
「良」: R(±50°)/R(0°)>0.91
「不良」: R(±50°)/R(0°)≦0.91
また、第一硬化層の平均レターデーション比R(±50°)/R(0°)は、第一硬化層を液晶硬化層の代わりに用いること以外は、前記の液晶硬化層の平均レターデーション比R(±50°)/R(0°)と同じ方法により、求めた。
[液晶性化合物の説明]
下記の実施例で使用した逆分散液晶性化合物1(液晶相-固相転移温度=96℃)及び逆分散液晶性化合物2(液晶相-固相転移温度=125℃)の構造は、下記の通りである。
Figure 0007306273000023
Figure 0007306273000024
[実施例1~21]
(液晶組成物の用意)
表1に示す種類の液晶性化合物100重量部、界面活性剤(AGCセイミケミカル社製「S420」)0.15重量部、重合開始剤(BASF社製「Irgacure OXE04」)4.3重量部、並びに、溶媒としてシクロペンタノン148.5重量部及び1,3-ジオキソラン222.8重量部を混合して、液晶組成物を製造した。
(支持基材の用意)
支持基材として、熱可塑性のノルボルネン樹脂からなる樹脂フィルム(日本ゼオン社製「ゼオノアフィルム ZF16」;厚み100μm;樹脂のガラス転移温度160℃)を用意した。この支持基材の片面に、コロナ処理を施した。次いで、支持基材のコロナ処理面にラビング処理を施した。
(第一硬化層の形成)
支持基材のラビング処理面に、バーコーターを用いて液晶組成物を塗工して、液晶組成物の層を形成した(工程(I))。
次いで、この液晶組成物の層を、160℃に設定したオーブン内で2分加熱して、層内の液晶性化合物を配向させた(工程(II))。前記の加熱条件は、液晶性化合物1を用いた実施例では、使用した液晶組成物に対応する試験組成物の残留分粘度が140cPとなる温度条件であった。また、前記の加熱条件は、液晶性化合物2を用いた実施例では、使用した液晶組成物に対応する試験組成物の残留分粘度が209cPとなる温度条件であった。
その後、液晶組成物の層に、窒素雰囲気下で500mJ/cmの紫外線を照射して、液晶組成物の層を硬化させて、厚み約1μmの第一硬化層を形成した(工程(III))。
この第一硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角、及び、第一硬化層の平均レターデーション比R(±50°)/R(0°)を測定した。
(第二硬化層の形成)
第一硬化層の表面に、直接に、第一硬化層の形成に用いた残りの液晶組成物を、バーコーターを用いて塗工して、液晶組成物の層を形成した(工程(IV))。これにより、支持基材、第一硬化層及び液晶組成物の層をこの順に有する仕掛品を得た。
次いで、この仕掛品を、160℃に設定したオーブン内に入れ、2分加熱して、液晶組成物の層内の液晶性化合物を配向させた(工程(V))。その後、仕掛品を、オーブンから取り出した。
その後、表1に示す温度に表1に示す時間だけ仕掛品を静置した(工程(VI))。この際、23℃の温度での静置は、仕掛品をステンレス板上に置くことで、行った。また、それ以外の温度での静置は、仕掛品を温度調整されたホットプレート上に置くことで、行った。
その後、液晶組成物の層に、窒素雰囲気下で500mJ/cmの紫外線を照射して、液晶組成物の層を硬化させて、厚み約2μmの第二硬化層を形成した(工程(VII))。これにより、支持基材と、第一硬化層及び第二硬化層を含む液晶硬化層とを備える液晶硬化フィルムを得た。
こうして得た液晶硬化フィルムの液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角の測定、第二硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角の測定、及び、液晶硬化層の視野角特性の評価を行った。
[比較例1]
第二硬化層を形成するための液晶組成物の層内の液晶性化合物を配向させる工程(V)の後、仕掛品を静置する工程(VI)を行わないで、紫外線の照射により液晶組成物の層を硬化させる工程(VII)を行った。
以上の事項以外は、実施例1と同じ操作を行って、液晶硬化フィルムの製造及び評価を行った。
[実施例22]
第一硬化層を形成するための液晶組成物の層内の液晶性化合物を配向させる工程(II)の後、紫外線の照射により液晶組成物の層を硬化させる工程(III)の前に、液晶組成物の層を23℃の室温で240秒間静置する工程(VIII)を行った。この23℃の温度条件での静置は、支持基材及び液晶組成物の層を備える仕掛品をステンレス板上に置くことで、行った。
以上の事項以外は、実施例4と同じ操作を行って、液晶硬化フィルムの製造及び評価を行った。
[比較例2]
第二硬化層を形成するための液晶組成物の層内の液晶性化合物を配向させる工程(V)の後、仕掛品を静置する工程(VI)を行わないで、紫外線の照射により液晶組成物の層を硬化させる工程(VII)を行った。
以上の事項以外は、実施例22と同じ操作を行って、液晶硬化フィルムの製造及び評価を行った。
[結果]
前記の実施例及び比較例の結果を、下記の表1に示す。表1において、略称の意味は、下記の通りである。
Θ:実質最大傾斜角。
Re比:R(±50°)/R(0°)。
Figure 0007306273000025
[検討]
工程(VI)を行わなかった比較例に比べ、工程(VI)を行った実施例では、第二硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質傾斜角を大きくできており、その結果、第一硬化層及び第二硬化層を含む液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質傾斜角も大きくできている。また、実施例では、工程(VI)にかける時間が長いほど、実質最大傾斜角が大きくなる傾向が確認できる。よって、前記の実施例から、工程(VI)を含む製造方法によれば液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角を容易に調整できることが確認できる。さらには、液晶硬化層に含まれる液晶性化合物の分子の実質傾斜角が調整されることにより、その液晶硬化層の厚み方向の複屈折を適切に調整できるので、視野角特性の改善が達成できることが確認できる。
100 液晶硬化フィルム
110 液晶硬化層
111 第一硬化層
112 第二硬化層
200 液晶硬化層

Claims (11)

  1. 液晶性化合物を含む液晶組成物の硬化物で形成され第一硬化層及び第二硬化層を含む液晶硬化層を備えた液晶硬化フィルムの製造方法であって、
    前記液晶硬化層に含まれる前記液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が、5°以上85°以下であり、
    前記製造方法が、
    前記液晶性化合物を含む第一液晶組成物の層を形成する工程(I)と、
    前記第一液晶組成物の層に含まれる前記液晶性化合物を配向させる工程(II)と、
    前記第一液晶組成物の層を硬化させて、前記第一硬化層を形成する工程(III)と、
    前記第一硬化層上に、直接に、前記第一液晶組成物に含まれる前記液晶性化合物と同一又は異なる前記液晶性化合物を含む第二液晶組成物の層を形成する工程(IV)と、
    前記第二液晶組成物の層に含まれる前記液晶性化合物を配向させる工程(V)と、
    前記第二液晶組成物の層に含まれる前記液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が、時間の経過により大きくなる工程(VI)と、
    前記第二液晶組成物の層を硬化させて、前記第二硬化層を形成する工程(VII)と、をこの順に含み、
    前記工程(V)における前記第二液晶組成物の層の温度条件と、前記工程(VI)における前記第二液晶組成物の層の温度条件とが、異なる、液晶硬化フィルムの製造方法。
  2. 前記工程(VI)を、60秒以上の時間をかけて行う、請求項1に記載の液晶硬化フィルムの製造方法。
  3. 前記工程(VI)を、120秒以上600秒以下の時間をかけて行う、請求項1又は2に記載の液晶硬化フィルムの製造方法。
  4. 前記工程(VI)を、前記第二液晶組成物に含まれる前記液晶性化合物の液晶相-固相転移温度未満の温度条件で行う、請求項1~3のいずれか一項に記載の液晶硬化フィルムの製造方法。
  5. 前記工程(VI)を、20℃~30で行う、請求項1~4のいずれか一項に記載の液晶硬化フィルムの製造方法。
  6. 前記液晶性化合物が、逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶性化合物である、請求項1~5のいずれか一項に記載の液晶硬化フィルムの製造方法。
  7. 前記液晶硬化層に含まれる前記液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が、40°以上85°以下である、請求項1~6のいずれか一項に記載の液晶硬化フィルムの製造方法。
  8. 前記第二硬化層に含まれる前記液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角が、第一硬化層に含まれる前記液晶性化合物の分子の実質最大傾斜角よりも大きい、請求項1~7のいずれか一項に記載の液晶硬化フィルムの製造方法。
  9. 前記液晶硬化層が、1/4波長板として機能できる、請求項1~8のいずれか一項に記載の液晶硬化フィルムの製造方法。
  10. 液晶硬化フィルムを備える偏光板の製造方法であって、
    前記液晶硬化フィルムを、請求項1~9のいずれか一項に記載の製造方法で製造することを含む、偏光板の製造方法。
  11. 偏光板を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法であって、
    前記偏光板を、請求項10記載の製造方法で製造することを含む、有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。
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