JP2020034879A - 液晶硬化フィルム、偏光板及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法 - Google Patents

液晶硬化フィルム、偏光板及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2020034879A
JP2020034879A JP2018163805A JP2018163805A JP2020034879A JP 2020034879 A JP2020034879 A JP 2020034879A JP 2018163805 A JP2018163805 A JP 2018163805A JP 2018163805 A JP2018163805 A JP 2018163805A JP 2020034879 A JP2020034879 A JP 2020034879A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
liquid crystal
group
layer
cured
semi
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2018163805A
Other languages
English (en)
Inventor
原口 学
Manabu Haraguchi
学 原口
菜津美 藤原
Natsumi Fujiwara
菜津美 藤原
俊平 中島
Shumpei Nakajima
俊平 中島
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Zeon Corp
Original Assignee
Nippon Zeon Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Zeon Co Ltd filed Critical Nippon Zeon Co Ltd
Priority to JP2018163805A priority Critical patent/JP2020034879A/ja
Publication of JP2020034879A publication Critical patent/JP2020034879A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Landscapes

  • Polarising Elements (AREA)
  • Electroluminescent Light Sources (AREA)

Abstract

【課題】高温環境に置かれた場合の液晶硬化層のレターデーションの変化を抑制できる液晶硬化フィルムの製造方法を提供する。【解決手段】重合性液晶化合物を含む液晶組成物の層を形成する工程と、前記液晶組成物の層を一次硬化して、前記液晶組成物の一次硬化物で形成された半硬化層を得る工程と、前記半硬化層を、前記一次硬化物のガラス転移温度より高い温度に加熱する工程と、前記半硬化層を二次硬化して液晶硬化層を得る工程と、を含む、液晶硬化フィルムの製造方法。【選択図】図1

Description

本発明は、液晶硬化フィルム、偏光板及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法に関する。
光学フィルムの一つとして、重合性液晶化合物を用いて製造される液晶硬化フィルムが知られている。このフィルムは、一般に、重合性液晶化合物を含む液晶組成物の硬化物で形成された液晶硬化層を備える。液晶硬化層は、通常、レターデーションを有するので、そのレターデーションを活用して、位相差フィルムとして用いることができる。このような液晶硬化フィルムとして、特許文献1〜3に記載のものが提案されている。
また、特許文献4のような技術も知られている。
特開2007−57607号公報 特許第4717282号公報 特開2003−207642号公報 特開2006−3883号公報
ところが、従来は、常温よりも高い高温環境に置かれた場合、液晶硬化層のレターデーションが変化することがあった。
本発明は、前記の課題に鑑みて創案されたものであって、高温環境に置かれた場合の液晶硬化層のレターデーションの変化を抑制できる液晶硬化フィルムの製造方法;並びに、前記液晶硬化フィルムを備える偏光板及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法;を提供することを目的とする。
本発明者は、前記の課題を解決するべく鋭意検討した。その結果、本発明者は、重合性液晶化合物を含む液晶組成物の層を形成する工程と、液晶組成物の層を一次硬化して半硬化層を得る工程と、半硬化層を加熱する工程と、半硬化層を二次硬化して液晶硬化層を得る工程と、を含む製造方法により、前記の課題が解決できることを見い出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、下記のものを含む。
〔1〕 重合性液晶化合物を含む液晶組成物の層を形成する工程と、
前記液晶組成物の層を一次硬化して、前記液晶組成物の一次硬化物で形成された半硬化層を得る工程と、
前記半硬化層を加熱する工程と、
前記半硬化層を二次硬化して液晶硬化層を得る工程と、を含む、液晶硬化フィルムの製造方法。
〔2〕 前記重合性液晶化合物が、逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶化合物である、〔1〕に記載の液晶硬化フィルムの製造方法。
〔3〕 前記液晶硬化層が、遅相軸及び進相軸を有し、
前記進相軸方向に振動方向を有する直線偏光の吸光度が、前記遅相軸方向に振動方向を有する直線偏光の吸光度を上回る帯域を、前記液晶硬化層が、波長300nm〜400nmの波長範囲に有する、〔1〕又は〔2〕に記載の液晶硬化フィルムの製造方法。
〔4〕 前記半硬化層を加熱する工程において、前記半硬化層を前記一次硬化物のガラス転移温度よりも高い温度に加熱する、〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の液晶硬化フィルムの製造方法。
〔5〕 前記半硬化層を加熱する工程における加熱温度T(℃)及び加熱時間t(時間)、並びに、前記一次硬化物の示差走査熱量分析によって測定したガラス転移温度Tg(℃)が、
0.05<(T−Tg)×t<100 (1)
を満たす、〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の液晶硬化フィルムの製造方法。
〔6〕 前記液晶組成物が、光重合開始剤を含む、〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の液晶硬化フィルムの製造方法。
〔7〕 前記液晶組成物の層を一次硬化する工程が、前記液晶組成物の層に光を照射することを含み、
前記半硬化層を二次硬化する工程が、前記半硬化層に光を照射することを含む、〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の液晶硬化フィルムの製造方法。
〔8〕 前記液晶組成物の層を一次硬化する工程で照射される光の積算光量I1、及び、前記半硬化層を二次硬化する工程で照射される光の積算光量I2が、
0.05<I1/I2<10 (2)
を満たす、〔7〕に記載の液晶硬化フィルムの製造方法。
〔9〕 前記半硬化層を加熱する工程において、前記半硬化層に含まれる未重合の重合性液晶化合物の量が、5重量%以上30重量%以下である、〔1〕〜〔8〕のいずれか一項に記載の液晶硬化フィルムの製造方法。
〔10〕 前記液晶組成物の層を形成する工程が、基材上に前記液晶組成物の層を形成することを含み、
前記液晶組成物の層を一次硬化する工程が、搬送される前記基材上に前記液晶組成物の層がある状態で行われ、
前記半硬化層を二次硬化する工程が、搬送される前記基材上に前記半硬化層がある状態で行われ、
前記液晶組成物の層を一次硬化する工程の開始時点における前記基材の搬送方向と前記液晶組成物の層を一次硬化する工程の終了時点における前記基材の搬送方向とがなす角θ1、並びに、前記半硬化層を二次硬化する工程の開始時点における前記基材の搬送方向と前記半硬化層を二次硬化する工程の終了時点における前記基材の搬送方向とがなす角θ2が、
0<θ1/θ2<10 (3)
を満たす、〔1〕〜〔9〕のいずれか一項に記載の液晶硬化フィルムの製造方法。
〔11〕 〔1〕〜〔10〕のいずれか一項に記載の製造方法で液晶硬化フィルムを製造する工程と、
前記液晶硬化フィルムと直線偏光子とを貼合する工程と、を含む、偏光板の製造方法。
〔12〕 〔11〕に記載の製造方法で偏光板を製造することを含む、有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。
本発明によれば、高温環境に置かれた場合の液晶硬化層のレターデーションの変化を抑制できる液晶硬化フィルムの製造方法;並びに、前記液晶硬化フィルムを備える偏光板及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法;を提供できる。
図1は、本発明の一実施形態に係る液晶組成物の製造方法に用いられる製造装置を模式的に示す模式図である。 図2は、一例としての液晶組成物の層に含まれる重合性液晶化合物の分子を模式的に示す概要図である。 図3は、一例としての液晶組成物の層を一次硬化して得られた半硬化層に含まれる重合性液晶化合物の分子を模式的に示す概要図である。 図4は、半硬化層を加熱する工程を行った後の一例としての半硬化層に含まれる重合性液晶化合物の分子を模式的に示す概要図である。
以下、本発明について実施形態及び例示物を示して詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に示す実施形態及び例示物に限定されるものでは無く、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、ある層の「面内方向」とは、別に断らない限り、層平面に平行な方向を表す。
以下の説明において、ある層の「厚み方向」とは、別に断らない限り、層平面に垂直な方向を表す。よって、別に断らない限り、ある層の面内方向と厚み方向とは、垂直である。
以下の説明において、逆波長分散性の複屈折とは、別に断らない限り、波長450nmにおける複屈折Δn(450)及び波長550nmにおける複屈折Δn(550)が、下記式(N1)を満たす複屈折をいう。このような逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶化合物は、通常、測定波長が長いほど、大きい複屈折を発現できる。
Δn(450)<Δn(550) (N1)
以下の説明において、順波長分散性の複屈折とは、別に断らない限り、波長450nmにおける複屈折Δn(450)及び波長550nmにおける複屈折Δn(550)が、下記式(N2)を満たす複屈折をいう。このような順波長分散性の複屈折を発現できる液晶化合物は、通常、測定波長が長いほど、小さい複屈折を発現できる。
Δn(450)>Δn(550) (N2)
以下の説明において、ある層の面内レターデーションReは、別に断らない限り、Re=(nx−ny)×dで表される値である。ここで、nxは、層の厚み方向に垂直な方向(面内方向)であって最大の屈折率を与える方向の屈折率を表す。nyは、層の前記面内方向であってnxの方向に直交する方向の屈折率を表す。dは、層の厚みを表す。レターデーションの測定波長は、別に断らない限り、590nmである。面内レターデーションReは、位相差計(Axometrics社製「AxoScan」)を用いて測定できる。
以下の説明において、固有複屈折値が正の樹脂とは、延伸方向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率よりも大きくなる樹脂を意味する。また、固有複屈折値が負の樹脂とは、延伸方向の屈折率がそれに直交する方向の屈折率よりも小さくなる樹脂を意味する。固有複屈折値は、誘電率分布から計算しうる。
以下の説明において、ある層の遅相軸とは、別に断らない限り、面内方向の遅相軸をいう。
以下の説明において、要素の方向が「平行」及び「垂直」とは、別に断らない限り、本発明の効果を損ねない範囲内、例えば±4°、好ましくは±3°、より好ましくは±1°の範囲内での誤差を含んでいてもよい。
以下の説明において、置換基を有する基の炭素原子数には、別に断らない限り、前記置換基の炭素原子数を含めない。よって、例えば「置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基」との記載は、置換基の炭素原子数を含まないアルキル基自体の炭素原子数が1〜20であることを表す。
以下の説明において、「偏光板」及び「波長板」は、別に断らない限り、樹脂フィルム等の可撓性を有するフィルム及びシートを含む用語として用いる。
[1.液晶硬化フィルムの製造方法の概要]
本発明の一実施形態に係る液晶硬化フィルムの製造方法は、
(i)重合性液晶化合物を含む液晶組成物の層を形成する工程と、
(ii)液晶組成物の層を一次硬化して半硬化層を得る工程と、
(iii)半硬化層を加熱する工程と、
(iv)半硬化層を二次硬化して液晶硬化層を得る工程と、を含む。
前記の製造方法によれば、液晶硬化層を備えるフィルムとしての液晶硬化フィルムを得ることができる。このようにして得られた液晶硬化フィルムの液晶硬化層は、高温環境に置かれた場合のレターデーションの変化を抑制できる。また、この液晶硬化層は、通常、経時的なレターデーションの変化を抑制することが可能である。
[2.液晶組成物]
液晶組成物は、重合性液晶化合物を含む組成物である。この液晶組成物は、2種類以上の成分を含む材料だけでなく、1種類の重合性液晶化合物のみを含む材料を包含する。
重合性液晶化合物は、液晶性を有するので、通常、当該重合性液晶化合物を配向させた場合に、液晶相を呈することができる。
また、重合性液晶化合物は、重合性を有するので、液晶相を呈した状態で重合し、液晶相における分子の屈折率楕円体において最大の屈折率を示す方向を変化させないように重合体となることができる。よって、液晶硬化層において重合性液晶化合物の配向状態を固定したり、重合性液晶化合物の重合度を高めて液晶硬化層の機械的強度を高めたりすることが可能である。このように重合性を有する重合性液晶化合物の分子は、通常、アクリロイル基、メタクリロイル基、及びエポキシ基等の重合性基を含む。重合性液晶化合物の分子1つ当たりの重合性基の数は、1個でもよいが、2個以上が好ましい。
重合性液晶化合物の分子量は、好ましくは300以上、より好ましくは500以上、特に好ましくは800以上であり、好ましくは2000以下、より好ましくは1700以下、特に好ましくは1500以下である。このような範囲の分子量を有する重合性液晶化合物を用いる場合に、液晶組成物の塗工性を特に良好にできる。
重合性液晶化合物としては、逆分散液晶化合物を用いてもよく、順分散液晶化合物を用いてもよく、逆分散液晶化合物と順分散液晶化合物との組み合わせを用いてもよい。
逆分散液晶化合物とは、逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶化合物である。また、逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶化合物とは、当該液晶化合物の層を形成し、その層において液晶化合物を配向させた際に、逆波長分散性の複屈折を発現する液晶化合物をいう。
順分散液晶化合物とは、順波長分散性の複屈折を発現できる液晶化合物である。また、順波長分散性の複屈折を発現できる液晶化合物とは、当該液晶化合物の層を形成し、その層において液晶化合物を配向させた際に、順波長分散性の複屈折を発現する液晶化合物をいう。
通常は、液晶化合物をホモジニアス配向させた場合に、液晶化合物の層が示す複屈折の波長分散性を調べることで、その液晶化合物が示す複屈折の波長分散性を確認できる。液晶化合物をホモジニアス配向させる、とは、当該液晶化合物を含む層を形成し、その層における液晶化合物の分子の屈折率楕円体において最大の屈折率の方向を、前記層の面に平行なある一の方向に配向させることをいう。また、前記の層の複屈折は、「(層の面内レターデーション)÷(層の厚み)」から求められる。
上述の通り、逆分散液晶化合物を用いると、通常、測定波長が長いほど、大きい複屈折を発現できる。よって、広い波長範囲において、レターデーションを設計の理想値に近くできる。そのため、逆分散液晶化合物を用いると、高温環境に置く前においても、置いた後に置いても、レターデーションの理想値からのずれを少なくでき、好ましい。
測定波長590nmにおける重合性液晶化合物の複屈折Δnは、好ましくは0.01以上、より好ましくは0.03以上であり、好ましくは0.15以下、より好ましくは0.10以下である。このような範囲の複屈折Δnを有する重合性液晶化合物を用いる場合に、配向欠陥の少ない液晶硬化層を得やすい。
液晶化合物の複屈折は、例えば、下記の方法により測定できる。
液晶化合物の層を作製し、その層に含まれる液晶化合物をホモジニアス配向させる。その後、その層の面内レターデーションを測定する。そして、「(層の面内レターデーション)÷(層の厚み)」から、液晶化合物の複屈折を求めることができる。この際、面内レターデーション及び厚みの測定を容易にするために、ホモジニアス配向させた液晶化合物の層は、硬化させてもよい。
重合性液晶化合物は、芳香環構造を有する側鎖を有することが好ましい。芳香環構造を有する側鎖を構造に導入することによって、複屈折特性の設計が容易になり、重合性液晶化合物に高い複屈折を与えることができる。それによって液晶硬化層の厚みを薄くすることができ、硬化ムラなどによるレターデーション変化量の増加を抑えることができる。
重合性液晶化合物は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
重合性液晶化合物の例としては、下記式(I)で表される液晶化合物が挙げられる。式(I)で表される液晶化合物は、通常、逆波長分散性の複屈折を発現できる。
Figure 2020034879
式(I)において、Arは、芳香族複素環、複素環、および芳香族炭化水素環の少なくとも1つを有し、置換されていてもよい、炭素原子数6〜67の2価の有機基を表す。芳香族複素環としては、例えば、1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン環、1−ベンゾフラン環、2−ベンゾフラン環、アクリジン環、イソキノリン環、イミダゾール環、インドール環、オキサジアゾール環、オキサゾール環、オキサゾロピラジン環、オキサゾロピリジン環、オキサゾロピリダジル環、オキサゾロピリミジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、キノリン環、シンノリン環、チアジアゾール環、チアゾール環、チアゾロピラジン環、チアゾロピリジン環、チアゾロピリダジン環、チアゾロピリミジン環、チオフェン環、トリアジン環、トリアゾール環、ナフチリジン環、ピラジン環、ピラゾール環、ピラノン環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピロール環、フェナントリジン環、フタラジン環、フラン環、ベンゾ[c]チオフェン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサジアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾトリアジン環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾピラゾール環、ペンゾピラノン環等が挙げられる。複素環としては、例えば、1,3−ジチオラン環、ピロリジン、ピペラジン等が挙げられる。芳香族炭化水素環としては、例えば、フェニル環、ナフタレン環等が挙げられる。
Arの好ましい例としては、例えば、下記式(II−1)〜式(II−4)のいずれかで表される基が挙げられる。式(II−1)〜式(II−4)において、*は、Z又はZとの結合位置を表す。また、Arは、ベンゾチアゾール環を有することが好ましい。
Figure 2020034879
前記の式(II−1)〜式(II−4)において、E及びEは、それぞれ独立して、−CR1112−、−S−、−NR11−、−CO−及び−O−からなる群より選ばれる基を表す。また、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子、又は、炭素原子数1〜4のアルキル基を表す。中でも、E及びEは、それぞれ独立して、−S−であることが好ましい。
前記の式(II−1)〜式(II−4)において、D〜Dは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい非環状基を表す。D及びDは、一緒になって環を形成していてもよい。D〜Dが表す基の炭素原子数(置換基の炭素原子数を含む。)は、それぞれ独立して、通常、1〜100である。
〜Dにおける非環状基の炭素原子数は、1〜13が好ましい。D〜Dにおける非環状基としては、例えば、炭素原子数1〜6のアルキル基;シアノ基;カルボキシル基;炭素原子数1〜6のフルオロアルキル基;炭素原子数1〜6のアルコキシ基;−C(=O)−CH;−C(=O)NHPh;−C(=O)−OR;が挙げられる。中でも、非環状基としては、シアノ基、カルボキシル基、−C(=O)−CH、−C(=O)NHPh、−C(=O)−OC、−C(=O)−OC、−C(=O)−OCH(CH、−C(=O)−OCHCHCH(CH)−OCH、−C(=O)−OCHCHC(CH−OH、及び−C(=O)−OCHCH(CHCH)−C、が好ましい。前記のPhは、フェニル基を表す。また、前記のRは、炭素原子数1〜12の有機基を表す。Rの具体例としては、炭素原子数1〜12のアルコキシ基、または、水酸基で置換されていてもよい炭素原子数1〜12のアルキル基が挙げられる。
〜Dにおける非環状基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の、炭素原子数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の、炭素原子数1〜6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数1〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;−OCF;−C(=O)−R;−O−C(=O)−R;−C(=O)−O−R;−SO;等が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
は、炭素原子数1〜6のアルキル基;並びに、炭素原子数1〜6のアルキル基若しくは炭素原子数1〜6のアルコキシ基を置換基として有していてもよい、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;からなる群より選ばれる基を表す。
は、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基;置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のアルケニル基;置換基を有していてもよい炭素原子数3〜12のシクロアルキル基;及び、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜12の芳香族炭化水素環基;からなる群より選ばれる基を表す。
における炭素原子数1〜20のアルキル基の炭素原子数は、好ましくは1〜12、より好ましくは4〜10である。Rにおける炭素原子数1〜20のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、1−メチルペンチル基、1−エチルペンチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−へキシル基、イソヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、およびn−イコシル基等が挙げられる。
における炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の、炭素原子数1〜20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素原子数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素原子数1〜12のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チエニル基、チアゾリル基、ベンゾチアゾール−2−イルチオ基等の、炭素原子数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の、炭素原子数2〜12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の、炭素原子数6〜14のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CHCF等の、1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1〜12のフルオロアルキル基;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;及び、ベンゾジオキサニル基;等が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数2〜20のアルケニル基の炭素原子数は、好ましくは2〜12である。Rにおける炭素原子数2〜20のアルケニル基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基、イソブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、ヘプタデセニル基、オクタデセニル基、ノナデセニル基、およびイコセニル基等が挙げられる。
における炭素原子数2〜20のアルケニル基が有しうる置換基としては、例えば、Rにおける炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数3〜12のシクロアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、及びシクロオクチル基等が挙げられる。中でも、シクロアルキル基としては、シクロペンチル基、及びシクロヘキシル基が好ましい。
における炭素原子数3〜12のシクロアルキル基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;および、フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;等が挙げられる。中でも、シクロアルキル基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;および、フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;が好ましい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数6〜12の芳香族炭化水素環基としては、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられる。中でも、芳香族炭化水素環基としては、フェニル基が好ましい。
における炭素原子数6〜12の芳香族炭化水素環基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の、炭素原子数1〜20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素原子数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素原子数1〜12のアルコキシ基;ニトロ基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基等の、炭素原子数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の、炭素原子数2〜12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の、炭素原子数6〜14のアリールオキシ基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CHCF等の、1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1〜12のフルオロアルキル基;−OCF;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;ベンゾジオキサニル基;等が挙げられる。中でも、芳香族炭化水素環基の置換基としては、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の、炭素原子数1〜20のアルコキシ基;ニトロ基;フラニル基、チオフェニル基等の、炭素原子数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基、−CHCF等の、1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1〜12のフルオロアルキル基;−OCF;が好ましい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
及びDが一緒になって環を形成している場合、前記のD及びDによって環を含む有機基が形成される。この有機基としては、例えば、下記式で表される基が挙げられる。下記式において、*は、各有機基が、D及びDが結合する炭素と結合する位置を表す。
Figure 2020034879
は、炭素原子数1〜3のアルキル基を表す。
**は、炭素原子数1〜3のアルキル基、及び、置換基を有していてもよいフェニル基からなる群より選ばれる基を表す。
***は、炭素原子数1〜3のアルキル基、及び、置換基を有していてもよいフェニル基からなる群より選ばれる基を表す。
****は、水素原子、炭素原子数1〜3のアルキル基、水酸基、及び、−COOR13からなる群より選ばれる基を表す。R13は、炭素原子数1〜3のアルキル基を表す。
フェニル基が有しうる置換基としては、例えば、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヘテロ環基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、シアノ基及びアミノ基が挙げられる。中でも、置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、シアノ基及びアルコキシ基が好ましい。フェニル基が有する置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
前記の式(II−1)〜式(II−4)において、Dは、−C(R)=N−N(R)R、−C(R)=N−N=C(R)R、及び、−C(R)=N−N=Rからなる群より選ばれる基を表す。Dが表す基の炭素原子数(置換基の炭素原子数を含む。)は、通常、3〜100である。
は、水素原子;並びに、メチル基、エチル基、プロピル基、及びイソプロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;からなる群より選ばれる基を表す。
は、水素原子;並びに、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜30の有機基;からなる群より選ばれる基を表す。
における置換基を有していてもよい炭素原子数1〜30の有機基としては、例えば、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基;炭素原子数1〜20のアルキル基に含まれる−CH−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、又は、−C(=O)−に置換された基(ただし、−O−または−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く);置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のアルケニル基;置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20のアルキニル基;置換基を有していてもよい炭素原子数3〜12のシクロアルキル基;置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基;置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30の芳香族複素環基;−G−Y−F;−SO;−C(=O)−R;−CS−NH−R;が挙げられる。R及びRの意味は、上述した通りである。
における炭素原子数1〜20のアルキル基の好ましい炭素原子数の範囲及び例示物は、Rにおける炭素原子数1〜20のアルキル基と同じである。
における炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等の、炭素原子数1〜20のアルコキシ基;メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等の、炭素原子数1〜12のアルコキシ基で置換された炭素原子数1〜12のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;トリアゾリル基、ピロリル基、フラニル基、チオフェニル基等の、炭素原子数2〜20の芳香族複素環基;シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキル基;シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基等の、炭素原子数3〜8のシクロアルキルオキシ基;テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロピラニル基、ジオキソラニル基、ジオキサニル基等の、炭素原子数2〜12の環状エーテル基;フェノキシ基、ナフトキシ基等の、炭素原子数6〜14のアリールオキシ基;1個以上の水素原子がフッ素原子で置換された炭素原子数1〜12のフルオロアキル基;ベンゾフリル基;ベンゾピラニル基;ベンゾジオキソリル基;ベンゾジオキサニル基;−SO;−SR;−SRで置換された炭素原子数1〜12のアルコキシ基;水酸基;等が挙げられる。R及びRの意味は、上述した通りである。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数2〜20のアルケニル基の好ましい炭素原子数の範囲及び例示物は、Rにおける炭素原子数2〜20のアルケニル基と同じである。
における炭素原子数2〜20のアルケニル基が有しうる置換基としては、例えば、Rにおける炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数2〜20のアルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基、2−プロピニル基(プロパルギル基)、ブチニル基、2−ブチニル基、3−ブチニル基、ペンチニル基、2−ペンチニル基、ヘキシニル基、5−ヘキシニル基、ヘプチニル基、オクチニル基、2−オクチニル基、ノナニル基、デカニル基、7−デカニル基等が挙げられる。
における炭素原子数2〜20のアルキニル基が有しうる置換基としては、例えば、Rにおける炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数3〜12のシクロアルキル基としては、例えば、Rにおける炭素原子数3〜12のシクロアルキル基と同じ例が挙げられる。
における炭素原子数3〜12のシクロアルキル基が有しうる置換基としては、例えば、Rにおける炭素原子数1〜20のアルキル基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基としては、例えば、例えば、フェニル基、ナフチル基等が挙げられる。中でも、芳香族炭化水素環基としては、フェニル基がより好ましい。
における炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基が有しうる置換基としては、例えば、D〜Dにおける非環状基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における炭素原子数2〜30の芳香族複素環基としては、例えば、1−ベンゾフラニル基、2−ベンゾフラニル基、イミダゾリル基、インドリニル基、フラザニル基、オキサゾリル基、キノリル基、チアジアゾリル基、チアゾリル基、チアゾロピラジニル基、チアゾロピリジル基、チアゾロピリダジニル基、チアゾロピリミジニル基、チエニル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、ナフチリジニル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、フタラジニル基、フラニル基、ベンゾ[c]チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾトリアジニル基、ベンゾトリアゾリル基、およびベンゾピラゾリル基等が挙げられる。中でも、芳香族複素環基としては、フラニル基、ピラニル基、チエニル基、オキサゾリル基、フラザニル基、チアゾリル基、及びチアジアゾリル基等の、単環の芳香族複素環基;並びに、ベンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、キノリル基、1−ベンゾフラニル基、2−ベンゾフラニル基、フタルイミド基、ベンゾ[c]チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、チアゾロピリジル基、チアゾロピラジニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、及びベンゾチアジアゾリル基等の、縮合環の芳香族複素環基;がより好ましい。
における炭素原子数2〜30の芳香族複素環基が有しうる置換基としては、例えば、D〜Dにおける非環状基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
は、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜30の2価の脂肪族炭化水素基;並びに、置換基を有していてもよい炭素原子数3〜30の2価の脂肪族炭化水素基に含まれる−CH−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−O−、−NR14−C(=O)−、−C(=O)−NR14−、−NR14−、または、−C(=O)−に置換された基(ただし、−O−または−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く);からなる群より選ばれる有機基を表す。R14は、水素原子、又は、炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。前記「2価の脂肪族炭化水素基」は、2価の鎖状の脂肪族炭化水素基であることが好ましく、アルキレン基であることがより好ましい。
は、−O−、−C(=O)−、−S−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−S−、−S−C(=O)−、−NR15−C(=O)−、−C(=O)−NR15−、−O−C(=O)−NR15−、−NR15−C(=O)−O−、−N=N−、及び、−C≡C−、からなる群より選ばれる基を表す。R15は、水素原子、又は、炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。中でも、Yとしては、−O−、−O−C(=O)−O−及び−C(=O)−O−が好ましい。
は、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の少なくとも一方を有する有機基を表す。この有機基の炭素原子数は、好ましくは2以上、より好ましくは7以上、更に好ましくは8以上、特に好ましくは10以上であり、好ましくは30以下である。前記の有機基の炭素原子数には、置換基の炭素原子を含まない。
における芳香族炭化水素環としては、例えば、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環、ピレン環、フルオレン環等の、炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環が挙げられる。Fが、複数の芳香族炭化水素環を有する場合、複数の芳香族炭化水素環は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
における芳香族炭化水素環は、置換基を有していてもよい。Fにおける芳香族炭化水素環が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の、炭素原子数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基等の、炭素原子数1〜6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;−OCF;−C(=O)−R;−C(=O)−O−R;−O−C(=O)−R;等が挙げられる。Rの意味は、上述した通りである。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
における芳香族複素環としては、例えば、1H−イソインドール−1,3(2H)−ジオン環、1−ベンゾフラン環、2−ベンゾフラン環、アクリジン環、イソキノリン環、イミダゾール環、インドール環、オキサジアゾール環、オキサゾール環、オキサゾロピラジン環、オキサゾロピリジン環、オキサゾロピリダジル環、オキサゾロピリミジン環、キナゾリン環、キノキサリン環、キノリン環、シンノリン環、チアジアゾール環、チアゾール環、チアゾロピラジン環、チアゾロピリジン環、チアゾロピリダジン環、チアゾロピリミジン環、チオフェン環、トリアジン環、トリアゾール環、ナフチリジン環、ピラジン環、ピラゾール環、ピラノン環、ピラン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピロール環、フェナントリジン環、フタラジン環、フラン環、ベンゾ[c]チオフェン環、ベンゾイソオキサゾール環、ベンゾイソチアゾール環、ベンゾイミダゾール環、ベンゾオキサジアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアジアゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチオフェン環、ベンゾトリアジン環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾピラゾール環、ペンゾピラノン環等の、炭素原子数2〜30の芳香族複素環が挙げられる。Fが、複数の芳香族複素環を有する場合、複数の芳香族複素環は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
における芳香族複素環は、置換基を有していてもよい。Fにおける芳香族複素環が有しうる置換基としては、例えば、Fにおける芳香族炭化水素環が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
の好ましい例としては、「芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の少なくとも一方を有する、置換基を有していてもよい、炭素原子数2〜20の環状基」が挙げられる。以下、この環状基を、適宜「環状基(a)」ということがある。
環状基(a)が有しうる置換基としては、例えば、Fにおける芳香族炭化水素環が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
環状基(a)の好ましい例としては、少なくとも一つの炭素原子数6〜18の芳香族炭化水素環を有する、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜20の炭化水素環基が挙げられる。この炭化水素環基を、以下、適宜「炭化水素環基(a1)」ということがある。
炭化水素環基(a1)としては、例えば、フェニル基(炭素原子数6)、ナフチル基(炭素原子数10)、アントラセニル基(炭素原子数14)、フェナントレニル基(炭素原子数14)、ピレニル基(炭素原子数16)、フルオレニル基(炭素原子数13)、インダニル基(炭素原子数9)、1,2,3,4−テトラヒドロナフチル基(炭素原子数10)、1,4−ジヒドロナフチル基(炭素原子数10)等の、炭素原子数6〜18の芳香族炭化水素環基が挙げられる。
前記の炭化水素環基(a1)の具体例としては、下記式(1−1)〜(1−21)で表される基が挙げられる。また、これらの基は、置換基を有していてもよい。下記式中、「−」は、環の任意の位置からのびる、Yとの結合手を表す。
Figure 2020034879
環状基(a)の別の好ましい例としては、炭素原子数6〜18の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2〜18の芳香族複素環からなる群から選ばれる1以上の芳香環を有する、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20の複素環基が挙げられる。この複素環基を、以下、適宜「複素環基(a2)」ということがある。
複素環基(a2)としては、例えば、フタルイミド基、1−ベンゾフラニル基、2−ベンゾフラニル基、アクリジニル基、イソキノリニル基、イミダゾリル基、インドリニル基、フラザニル基、オキサゾリル基、オキサゾロピラジニル基、オキサゾロピリジニル基、オキサゾロピリダジニル基、オキサゾロピリミジニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、キノリル基、シンノリニル基、チアジアゾリル基、チアゾリル基、チアゾロピラジニル基、チアゾロピリジニル基、チアゾロピリダジニル基、チアゾロピリミジニル基、チエニル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、ナフチリジニル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、ピラノンニル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、フェナントリジニル基、フタラジニル基、フラニル基、ベンゾ[c]チエニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチオフェニル基、ベンゾトリアジニル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンゾピラゾリル基、ペンゾピラノンニル基等の、炭素原子数2〜18の芳香族複素環基;キサンテニル基;2,3−ジヒドロインドーリル基;9,10−ジヒドロアクリジニル基;1,2,3,4−テトラヒドロキノリル基;ジヒドロピラニル基;テトラヒドロピラニル基;ジヒドロフラニル基;およびテトラヒドロフラニル基;が挙げられる。
前記の複素環基(a2)の具体例としては、下記式(2−1)〜(2−51)で表される基が挙げられる。また、これらの基は、置換基を有していてもよい。下記式中、「−」は、環の任意の位置からのびる、Yとの結合手を表す。下記式中、Xは、−CH−、−NR−、酸素原子、硫黄原子、−SO−または−SO−を表す。YおよびZは、それぞれ独立して、−NR−、酸素原子、硫黄原子、−SO−または−SO−を表す。Eは、−NR−、酸素原子または硫黄原子を表す。ここで、Rは、水素原子;または、メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。(但し、各式中において酸素原子、硫黄原子、−SO−、−SO−は、それぞれ隣接しないものとする。)。
Figure 2020034879
の好ましい別の例としては、「芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の少なくとも一方を有する、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20の環状基で、少なくとも一つの水素原子が置換され、且つ、前記環状基以外の置換基を有していてもよい、炭素原子数1〜18のアルキル基」が挙げられる。この置換されたアルキル基を、以下、適宜「置換アルキル基(b)」ということがある。
置換アルキル基(b)における炭素原子数1〜18のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などが挙げられる。
置換アルキル基(b)において、「芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の少なくとも一方を有する、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20の環状基」としては、例えば、環状基(a)として説明した範囲の基が挙げられる。
置換アルキル基(b)において、「芳香族炭化水素環および芳香族複素環の少なくとも一方」は、炭素原子数1〜18のアルキル基の炭素原子に、直接に結合していてもよく、連結基を介して結合していてもよい。連結基としては、例えば、−S−、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−S−、−S−C(=O)−、−NR15−C(=O)−、−C(=O)−NR15などが挙げられる。R15の意味は、上述した通りである。よって、置換アルキル基(b)における「芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の少なくとも一方を有する、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20の環状基」には、フルオレニル基、ベンゾチアゾリル基等の、芳香族炭化水素環及び芳香族複素環の少なくとも一方を有する基;置換されていてもよい芳香族炭化水素環基;置換されていてもよい芳香族複素環基;連結基を有する置換されていてもよい芳香族炭化水素環よりなる基;連結基を有する置換されていてもよい芳香族複素環よりなる基;が含まれる。
置換アルキル基(b)における芳香族炭化水素環基の好ましい例としては、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントレニル基、ピレニル基、およびフルオレニル基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基が挙げられる。
置換アルキル基(b)における芳香族炭化水素環基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、Fにおける芳香族炭化水素環が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
置換アルキル基(b)における芳香族複素環基の好ましい例としては、フタルイミド基、1−ベンゾフラニル基、2−ベンゾフラニル基、アクリジニル基、イソキノリニル基、イミダゾリル基、インドリニル基、フラザニル基、オキサゾリル基、オキサゾロピラジニル基、オキサゾロピリジニル基、オキサゾロピリダジニル基、オキサゾロピリミジニル基、キナゾリニル基、キノキサリニル基、キノリル基、シンノリニル基、チアジアゾリル基、チアゾリル基、チアゾロピラジニル基、チアゾロピリジル基、チアゾロピリダジニル基、チアゾロピリミジニル基、チエニル基、トリアジニル基、トリアゾリル基、ナフチリジニル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、ピラノンニル基、ピラニル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピロリル基、フェナントリジニル基、フタラジニル基、フラニル基、ベンゾ[c]チエニル基、ベンゾイソオキサゾリル基、ベンゾイソチアゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾオキサジアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾチアジアゾリル基、ベンゾチアゾリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾトリアジニル基、ベンゾトリアゾリル基、ベンゾピラゾリル基、ペンゾピラノンニル基等の、炭素原子数2〜20の芳香複素環基が挙げられる。
置換アルキル基(b)における芳香族複素環基は、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、Fにおける芳香族炭化水素環が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
置換アルキル基(b)における「連結基を有する芳香族炭化水素環よりなる基」及び「連結基を有する芳香族複素環よりなる基」としては、例えば、フェニルチオ基、ナフチルチオ基、アントラセニルチオ基、フェナントレニルチオ基、ピレニルチオ基、フルオレニルチオ基、フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、アントラセニルオキシ基、フェナントレニルオキシ基、ピレニルオキシ基、フルオレニルオキシ基、ベンゾイソオキサゾリルチオ基、ベンゾイソチアゾリルチオ基、ベンゾオキサジアゾリルチオ基、ベンゾオキサゾリルチオ基、ベンゾチアジアゾリルチオ基、ベンゾチアゾリルチオ基、ベンゾチエニルチオ基、ベンゾイソオキサゾリルオキシ基、ベンゾイソチアゾリルオキシ基、ベンゾオキサジアゾリルオキシ基、ベンゾオキサゾリルオキシ基、ベンゾチアジアゾリルオキシ基、ベンゾチアゾリルオキシ基、ベンゾチエニルオキシ基、等が挙げられる。
置換アルキル基(b)における「連結基を有する芳香族炭化水素環よりなる基」及び「連結基を有する芳香族複素環よりなる基」は、それぞれ、置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、Fにおける芳香族炭化水素環が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
置換アルキル基(b)が有しうる環状基以外の置換基としては、例えば、Fにおける芳香族炭化水素環が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
置換アルキル基(b)の具体例としては、下記式(3−1)〜(3−11)で表される基が挙げられる。また、これらの基は、置換基を有していてもよい。下記式中、「−」は、環の任意の位置からのびる、Yとの結合手を表す。また、下記式中、*は、結合位置を表す。
Figure 2020034879
特に、Arが式(II−2)で表される場合、Fは、下記式(i−1)〜(i−9)のいずれかで表される基であることが好ましい。また、特に、Arが式(II−3)又は式(II−4)で表される場合、Fは、下記式(i−1)〜(i−13)のいずれかで表される基であることが好ましい。下記式(i−1)〜(i−13)で表される基は、置換基を有していてもよい。また、下記式中、*は、結合位置を表す。
Figure 2020034879
更には、Arが式(II−2)で表される場合、Fは、下記式(ii−1)〜(ii−18)のいずれかで表される基であることが特に好ましい。また、Arが式(II−3)又は式(II−4)で表される場合、Fは、下記式(ii−1)〜(ii−24)のいずれかで表される基であることが特に好ましい。下記式(ii−1)〜(ii−24)で表される基は、置換基を有していてもよい。下記の式において、Yの意味は、上述した通りである。また、下記式中、*は、結合位置を表す。
Figure 2020034879
Figure 2020034879
Arが式(II−2)で表される場合、F中の環構造に含まれるπ電子の総数は、8以上であることが好ましく、10以上であることがより好ましく、20以下であることが好ましく、18以下であることがより好ましい。また、Arが式(II−3)又は式(II−4)で表される場合、F中の環構造に含まれるπ電子の総数は、4以上であることが好ましく、6以上であることがより好ましく、20以下であることが好ましく、18以下であることがより好ましい。
上述したものの中でも、Rとしては、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基;炭素原子数1〜20のアルキル基に含まれる−CH−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、または、−C(=O)−に置換された基(ただし、−O−または−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く);置換基を有していてもよい炭素原子数3〜12のシクロアルキル基;置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基;置換基を有していてもよい炭素原子数2〜30の芳香族複素環基;並びに、−G−Y−F;が好ましい。その中でも、Rとしては、置換基を有していてもよい炭素原子数1〜20のアルキル基;炭素原子数1〜20のアルキル基に含まれる−CH−の少なくとも一つが、−O−、−S−、−O−C(=O)−、−C(=O)−O−、または、−C(=O)−に置換された基(ただし、−O−または−S−がそれぞれ2以上隣接して介在する場合を除く);置換基を有していてもよい炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基;並びに、−G−Y−F;が特に好ましい。
は、炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、有機基を表す。
の好ましい例としては、(1)一以上の炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環を有する、炭素原子数6〜40の炭化水素環基、が挙げられる。この芳香族炭化水素環を有する炭化水素環基を、以下、適宜「(1)炭化水素環基」ということがある。(1)炭化水素環基の具体例としては、下記の基が挙げられる。
Figure 2020034879
(1)炭化水素環基は、置換基を有していてもよい。(1)炭化水素環基が有しうる置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の、炭素原子数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の、炭素原子数1〜6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;フェニル基、ナフチル基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;−OCF;−C(=O)−R;−O−C(=O)−R;−C(=O)−O−R;−SO;等が挙げられる。R及びRの意味は、上述した通りである。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、および、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、が好ましい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
の別の好ましい例としては、(2)炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、炭素原子数2〜40の複素環基が挙げられる。この芳香環を有する複素環基を、以下、適宜「(2)複素環基」ということがある。(2)複素環基の具体例としては、下記の基が挙げられる。Rは、それぞれ独立に、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。
Figure 2020034879
Figure 2020034879
Figure 2020034879
Figure 2020034879
Figure 2020034879
Figure 2020034879
Figure 2020034879
Figure 2020034879
(2)複素環基は、置換基を有していてもよい。(2)複素環基が有しうる置換基としては、例えば、(1)炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
の更に別の好ましい例としては、(3)炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環基からなる群より選ばれる1以上の基で置換された、炭素原子数1〜12のアルキル基が挙げられる。この置換されたアルキル基を、以下、適宜「(3)置換アルキル基」ということがある。
(3)置換アルキル基における「炭素原子数1〜12のアルキル基」としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基などが挙げられる。
(3)置換アルキル基における「炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基」としては、例えば、Rにおける炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基と同じ例が挙げられる。
(3)置換アルキル基における「炭素原子数2〜30の芳香族複素環基」としては、例えば、Rにおける炭素原子数2〜30の芳香族複素環基と同じ例が挙げられる。
(3)置換アルキル基は、更に置換基を有していてもよい。(3)置換アルキル基が有しうる置換基としては、例えば、(1)炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
の更に別の好ましい例としては、(4)炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環基からなる群より選ばれる1以上の基で置換された、炭素原子数2〜12のアルケニル基が挙げられる。この置換されたアルケニル基を、以下、適宜「(4)置換アルケニル基」ということがある。
(4)置換アルケニル基における「炭素原子数2〜12のアルケニル基」としては、例えば、ビニル基、アリル基などが挙げられる。
(4)置換アルケニル基における「炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基」としては、例えば、Rにおける炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基と同じ例が挙げられる。
(4)置換アルケニル基における「炭素原子数2〜30の芳香族複素環基」としては、例えば、Rにおける炭素原子数2〜30の芳香族複素環基と同じ例が挙げられる。
(4)置換アルケニル基は、更に置換基を有していてもよい。(4)置換アルケニル基が有しうる置換基としては、例えば、(1)炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
の更に別の好ましい例としては、(5)炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環基からなる群より選ばれる1以上の基で置換された、炭素原子数2〜12のアルキニル基が挙げられる。この置換されたアルキニル基を、以下、適宜「(5)置換アルキニル基」ということがある。
(5)置換アルキニル基における「炭素原子数2〜12のアルキニル基」としては、例えば、エチニル基、プロピニル基などが挙げられる。
(5)置換アルキニル基における「炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基」としては、例えば、Rにおける炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環基と同じ例が挙げられる。
(5)置換アルキニル基における「炭素原子数2〜30の芳香族複素環基」としては、例えば、Rにおける炭素原子数2〜30の芳香族複素環基と同じ例が挙げられる。
(5)置換アルキニル基は、更に置換基を有していてもよい。(5)置換アルキニル基が有しうる置換基としては、例えば、(1)炭化水素環基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
の好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。
Figure 2020034879
の更に好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。
Figure 2020034879
の特に好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。
Figure 2020034879
上述したRの具体例は、更に置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子等の、ハロゲン原子;シアノ基;メチル基、エチル基、プロピル基等の、炭素原子数1〜6のアルキル基;ビニル基、アリル基等の、炭素原子数2〜6のアルケニル基;トリフルオロメチル基等の、炭素原子数1〜6のハロゲン化アルキル基;ジメチルアミノ基等の、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基;メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基等の、炭素原子数1〜6のアルコキシ基;ニトロ基;−OCF;−C(=O)−R;−O−C(=O)−R;−C(=O)−O−R;−SO;等が挙げられる。R及びRの意味は、上述した通りである。これらの中でも、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、および、炭素原子数1〜6のアルコキシ基が好ましい。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
は、炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、有機基を表す。
の好ましい例としては、一以上の炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環を有する、炭素原子数6〜40の炭化水素環基が挙げられる。
また、Rの別の好ましい例としては、炭素原子数6〜30の芳香族炭化水素環及び炭素原子数2〜30の芳香族複素環からなる群より選ばれる1以上の芳香環を有する、炭素原子数2〜40の複素環基が挙げられる。
の特に好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。Rの意味は、上述した通りである。
Figure 2020034879
式(II−1)〜式(II−4)のいずれかで表される基は、D〜D以外に更に置換基を有していてもよい。この置換基としては、例えば、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜6のハロゲン化アルキル基、炭素原子数1〜6のN−アルキルアミノ基、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルアミノ基、炭素原子数1〜6のアルコキシ基、炭素原子数1〜6のアルキルスルフィニル基、カルボキシル基、炭素原子数1〜6のチオアルキル基、炭素原子数1〜6のN−アルキルスルファモイル基、炭素原子数2〜12のN,N−ジアルキルスルファモイル基が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(I)におけるArの好ましい例としては、下記の式(III−1)〜式(III−7)で表される基が挙げられる。また、式(III−1)〜式(III−7)で表される基は、置換基として炭素原子数1〜6のアルキル基を有していてもよい。下記式中、*は、結合位置を表す。
Figure 2020034879
式(III−1)の特に好ましい具体例としては、下記の基が挙げられる。下記式中、*は、結合位置を表す。
Figure 2020034879
Figure 2020034879
式(I)において、Z及びZは、それぞれ独立して、単結合、−O−、−O−CH−、−CH−O−、−O−CH−CH−、−CH−CH−O−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−C(=O)−S−、−S−C(=O)−、−NR21−C(=O)−、−C(=O)−NR21−、−CF−O−、−O−CF−、−CH−CH−、−CF−CF−、−O−CH−CH−O−、−CH=CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH=CH−、−CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH−、−CH−O−C(=O)−、−C(=O)−O−CH−、−CH−CH−C(=O)−O−、−O−C(=O)−CH−CH−、−CH−CH−O−C(=O)−、−C(=O)−O−CH−CH−、−CH=CH−、−N=CH−、−CH=N−、−N=C(CH)−、−C(CH)=N−、−N=N−、及び、−C≡C−、からなる群より選ばれるいずれかを表す。R21は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。
式(I)において、A、A、B及びBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい環状脂肪族基、及び、置換基を有していてもよい芳香族基、からなる群より選ばれる基を表す。A、A、B及びBが表す基の炭素原子数(置換基の炭素原子数を含む。)は、それぞれ独立して、通常、3〜100である。中でも、A、A、B及びBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい炭素原子数5〜20の環状脂肪族基、または、置換基を有していてもよい炭素原子数2〜20の芳香族基が好ましい。
、A、B及びBにおける環状脂肪族基としては、例えば、シクロペンタン−1,3−ジイル基、シクロヘキサン−1,4−ジイル基、1,4−シクロヘプタン−1,4−ジイル基、シクロオクタン−1,5−ジイル基等の、炭素原子数5〜20のシクロアルカンジイル基;デカヒドロナフタレン−1,5−ジイル基、デカヒドロナフタレン−2,6−ジイル基等の、炭素原子数5〜20のビシクロアルカンジイル基;等が挙げられる。中でも、置換されていてもよい炭素原子数5〜20のシクロアルカンジイル基が好ましく、シクロヘキサンジイル基がより好ましく、シクロヘキサン−1,4−ジイル基が特に好ましい。環状脂肪族基は、トランス体であってもよく、シス体であってもよく、シス体とトランス体との混合物であってもよい。中でも、トランス体がより好ましい。
、A、B及びBにおける環状脂肪族基が有しうる置換基としては、例えば、ハロゲン原子、炭素原子数1〜6のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、ニトロ基、シアノ基等が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
、A、B及びBにおける芳香族基としては、例えば、1,2−フェニレン基、1,3−フェニレン基、1,4−フェニレン基、1,4−ナフチレン基、1,5−ナフチレン基、2,6−ナフチレン基、4,4’−ビフェニレン基等の、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基;フラン−2,5−ジイル基、チオフェン−2,5−ジイル基、ピリジン−2,5−ジイル基、ピラジン−2,5−ジイル基等の、炭素原子数2〜20の芳香族複素環基;等が挙げられる。中でも、炭素原子数6〜20の芳香族炭化水素環基が好ましく、フェニレン基がさらに好ましく、1,4−フェニレン基が特に好ましい。
、A、B及びBにおける芳香族基が有しうる置換基としては、例えば、A、A、B及びBにおける環状脂肪族基が有しうる置換基と同じ例が挙げられる。置換基の数は、一つでもよく、複数でもよい。また、複数の置換基は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。
式(I)において、Y〜Yは、それぞれ独立して、単結合、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、−O−C(=O)−、−NR22−C(=O)−、−C(=O)−NR22−、−O−C(=O)−O−、−NR22−C(=O)−O−、−O−C(=O)−NR22−、及び、−NR22−C(=O)−NR23−、からなる群より選ばれるいずれかを表す。R22及びR23は、それぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1〜6のアルキル基を表す。
式(I)において、G及びGは、それぞれ独立して、炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基;並びに、炭素原子数3〜20の脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基(−CH−)の1以上が−O−又は−C(=O)−に置換された基;からなる群より選ばれる有機基を表す。G及びGの前記有機基に含まれる水素原子は、炭素原子数1〜5のアルキル基、炭素原子数1〜5のアルコキシ基、または、ハロゲン原子に置換されていてもよい。ただし、G及びGの両末端のメチレン基(−CH−)が−O−又は−C(=O)−に置換されることはない。
及びGにおける炭素原子数1〜20の脂肪族炭化水素基の具体例としては、炭素原子数1〜20のアルキレン基が挙げられる。
及びGにおける炭素原子数3〜20の脂肪族炭化水素基の具体例としては、炭素原子数3〜20のアルキレン基が挙げられる。
式(I)において、P及びPは、それぞれ独立して、重合性基を表す。P及びPにおける重合性基としては、例えば、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等の、CH=CR31−C(=O)−O−で表される基;ビニル基;ビニルエーテル基;p−スチルベン基;アクリロイル基;メタクリロイル基;カルボキシル基;メチルカルボニル基;水酸基;アミド基;炭素原子数1〜4のアルキルアミノ基;アミノ基;エポキシ基;オキセタニル基;アルデヒド基;イソシアネート基;チオイソシアネート基;等が挙げられる。R31は、水素原子、メチル基、又は塩素原子を表す。中でも、CH=CR31−C(=O)−O−で表される基が好ましく、CH=CH−C(=O)−O−(アクリロイルオキシ基)、CH=C(CH)−C(=O)−O−(メタクリロイルオキシ基)がより好ましく、アクリロイルオキシ基が特に好ましい。
式(I)において、p及びqは、それぞれ独立して、0又は1を表す。
式(I)で表される液晶化合物は、例えば、国際公開第2012/147904号に記載される、ヒドラジン化合物とカルボニル化合物との反応により製造しうる。
式(I)で表される液晶化合物としては、具体的には、例えば、下記の式で表される化合物が挙げられる。
Figure 2020034879
液晶組成物は、必要に応じて、重合性液晶化合物に組み合わせて、更に任意の成分を含んでいてもよい。任意の成分は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組合わせて用いてもよい。
例えば、重合性液晶化合物の重合を促進するため、液晶組成物は、任意の成分として重合開始剤を含んでいてもよい。重合開始剤としては、熱重合開始剤及び光重合開始剤のいずれを用いてもよい。中でも、本発明の所望の効果を顕著に得る観点では、光重合開始剤を用いることが好ましい。
また、重合開始剤の種類は、液晶組成物に含まれる重合性の化合物の種類に応じて選択しうる。例えば、重合性の化合物がラジカル重合性であれば、ラジカル重合開始剤を使用しうる。また、重合性の化合物がアニオン重合性であれば、アニオン重合開始剤を使用しうる。さらに、重合性の化合物がカチオン重合性であれば、カチオン重合開始剤を使用しうる。重合開始剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
重合開始剤の量は、重合性液晶化合物100重量部に対して、好ましくは0.1重量部以上、より好ましくは0.5重量部以上であり、好ましくは30重量部以下、より好ましくは10重量部以下である。重合開始剤の量が前記範囲に収まる場合、重合を効率的に進行させることができる。
例えば、液晶組成物は、任意の成分として、界面活性剤を含んでいてもよい。特に、配向性に優れた液晶硬化層を安定して得る観点から、界面活性剤としては、分子中にフッ素原子を含む界面活性剤が好ましい。以下の説明において、分子中にフッ素原子を含む界面活性剤を、適宜「フッ素系界面活性剤」ということがある。
界面活性剤はノニオン系界面活性剤であることが好ましい。界面活性剤がイオン性基を含まないノニオン系界面活性剤である場合に、液晶硬化層の面状態及び配向性を、特に良好にすることができる。
界面活性剤としては、例えば、AGCセイミケミカル社製のサーフロンシリーズ(S242、S386、S420など)、DIC社製のメガファックシリーズ(F251、F554、F556、F562、RS−75、RS−76−Eなど)、ネオス社製のフタージェントシリーズ(FTX601AD、FTX602A、FTX601ADH2、FTX650A、209Fなど)等が挙げられる。また、界面活性剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
界面活性剤の量は、重合性液晶化合物100重量部に対して、好ましくは0.005重量部以上、より好ましくは0.010重量部以上であり、好ましくは1.00重量部以下、より好ましくは0.50重量部以下である。界面活性剤の量が前記の範囲にある場合、液晶硬化層の面状態を良好にしたり、液晶硬化層の配向欠陥の発生を抑制したりできる。
例えば、液晶組成物は、任意の成分として、酸化防止剤を含んでいてもよい。酸化防止剤を用いることにより、液晶組成物のゲル化を抑制できるので、液晶組成物のポットライフを長くできる。酸化防止剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類状を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
酸化防止剤の量は、重合性液晶化合物100重量部に対して、好ましくは0.001重量部以上、より好ましくは0.005重量部以上、特に好ましくは0.010重量部以上であり、好ましくは5重量部以下、より好ましくは2重量部以下、特に好ましくは1重量部以下である。酸化防止剤の量が、前記範囲にある場合に、液晶組成物のポットライフを効果的に長くできる。
液晶組成物は、任意の成分として、溶媒を含んでいてもよい。溶媒としては、重合性液晶化合物を溶解できるものが好ましい。このような溶媒としては、通常、有機溶媒を用いる。有機溶媒の例としては、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒;酢酸ブチル、酢酸アミル等の酢酸エステル溶媒;クロロホルム、ジクロロメタン、ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素溶媒;1,4−ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル溶媒;及びトルエン、キシレン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶媒;が挙げられる。また、溶媒は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。
溶媒の沸点は、取り扱い性に優れる観点から、好ましくは60℃〜250℃、より好ましくは60℃〜150℃である。
溶媒の量は、重合性液晶化合物100重量部に対して、好ましくは200重量部以上、より好ましくは250重量部以上、特に好ましくは300重量部以上であり、好ましくは650重量部以下、より好ましくは600重量部以下、特に好ましくは500重量部以下である。溶媒の量が前記範囲の下限値以上である場合に、異物発生の抑制ができる。また、溶媒の量が前記範囲の上限値以下である場合に、乾燥負荷の低減ができる。
液晶組成物が含みうる任意のその他の成分としては、例えば、金属;金属錯体;酸化チタン等の金属酸化物;染料、顔料等の着色剤;蛍光材料、燐光材料等の発光材料;レベリング剤;チキソ剤;ゲル化剤;多糖類;紫外線吸収剤;赤外線吸収剤;抗酸化剤;イオン交換樹脂;等が挙げられる。これらの成分の量は、重合性液晶化合物の合計100重量部に対して、各々0.1重量部〜20重量部としうる。
[3.液晶組成物の層の形成工程(i)]
液晶組成物の層を形成する工程(i)では、通常、適切な支持面に、液晶組成物の層を形成する。支持面としては、液晶組成物の層を支持できる任意の面を用いうる。この支持面としては、液晶硬化層の面状態を良好にする観点から、凹部及び凸部の無い平坦面を用いることが好ましい。また、液晶硬化層の生産性を高める観点から、前記の支持面としては、長尺の基材の表面を用いることが好ましい。ここで「長尺」とは、幅に対して、5倍以上の長さを有する形状をいい、好ましくは10倍若しくはそれ以上の長さを有し、具体的にはロール状に巻き取られて保管又は運搬される程度の長さを有するフィルムの形状をいう。長さの上限は、特に制限は無く、例えば、幅に対して1万倍以下としうる。
基材としては、通常、樹脂フィルム又はガラス板を用いる。特に、高い温度で配向処理を行う場合、その温度に耐えられる基材を選択するのが好ましい。樹脂としては、通常、熱可塑性樹脂を用いる。中でも、配向規制力の高さ、機械的強度の高さ、及びコストの低さといった観点から、樹脂としては、正の固有複屈折値を有する樹脂が好ましい。更には、透明性、低吸湿性、寸法安定性及び軽量性に優れることから、ノルボルネン系樹脂等の、脂環式構造含有重合体を含む樹脂を用いることが好ましい。基材に含まれる樹脂の好適な例を商品名で挙げると、ノルボルネン系樹脂として、日本ゼオン社製「ゼオノア」を挙げられる。
支持面としての基材の表面には、液晶組成物の層における重合性液晶化合物の配向を促進するため、配向規制力を付与するための処理が施されていることが好ましい。配向規制力とは、液晶組成物に含まれる重合性液晶化合物等の液晶化合物を配向させることができる、面の性質をいう。支持面に配向規制力を付与するため処理としては、例えば、配向膜形成処理、光配向処理、ラビング処理、イオンビーム配向処理、延伸処理などが挙げられる。
液晶組成物の層を形成する工程(i)において、液晶組成物は、通常、流体状で用意される。そのため、通常は、支持面に液晶組成物を塗工して、液晶組成物の層を形成する。液晶組成物を塗工する方法としては、例えば、カーテンコーティング法、押し出しコーティング法、ロールコーティング法、スピンコーティング法、ディップコーティング法、バーコーティング法、スプレーコーティング法、スライドコーティング法、印刷コーティング法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、ギャップコーティング法、及びディッピング法が挙げられる。
[4.配向工程(v)]
通常は、液晶組成物の層を形成する工程(i)の後で、液晶組成物の層に含まれる重合性液晶化合物を配向させる工程(v)を行う。配向を行う際には、通常、液晶組成物の層を、所定の温度条件に所定の時間だけ保持する。これにより、液晶組成物の層において、重合性液晶化合物等の液晶化合物が配向する。この配向処理の条件は、使用する液晶組成物の性質に応じて適切に設定しうる。配向処理の条件の具体例を挙げると、50℃〜160℃の温度条件において、30秒間〜5分間処理する条件としうる。
ただし、特段の処理を行わなくても液晶組成物の層に含まれる重合性液晶化合物の配向は進行することがあり得る。よって、その場合、前記の配向処理は省略してもよい。
[5.一次硬化工程(ii)]
工程(i)で液晶組成物の層を形成し、必要に応じて工程(v)で重合性液晶化合物を配向させた後で、液晶組成物の層を一次硬化する工程(ii)を行う。液晶組成物の層を一次硬化することにより、液晶組成物の一次硬化物で形成された半硬化層が得られる。「一次硬化」及び「一次硬化物」において用語「一次」とは、用語の区別のために付した用語である。具体的には、「一次硬化」とは、工程(ii)で行われる硬化を工程(iv)で行われる硬化から区別して表す用語である。また、「一次硬化物」とは、工程(ii)で得られる液晶組成物の硬化物を、工程(iv)で得られる液晶組成物の硬化物から区別して表す用語である。
この工程(ii)では、通常、液晶組成物に含まれる重合性の化合物の重合により、液晶組成物の層を一次硬化させる。よって、重合性液晶化合物は、通常、工程(ii)において重合する。通常、一次硬化によって、硬化前の流動性が失われる。そして、得られる半硬化層では、重合した重合性液晶化合物の配向状態は、通常、固定される。
ただし、前記の一次硬化では、重合性液晶化合物の重合反応を完全には進行させない。通常は、一次硬化では、未重合の重合性液晶化合物を含む半硬化層が得られるように、液晶組成物の層に含まれる重合性液晶化合物の一部を重合させる。このように、重合性液晶化合物の重合反応を完全には進行させないようにすることで、一次硬化物のガラス転移温度を低くできるので、工程(iii)における加熱温度Tを低くできる。さらに、所望の液晶硬化層を得るために求められる工程(iii)での加熱時間tを短くできる。
重合方法としては、液晶組成物に含まれる成分の性質に適合した方法を選択しうる。重合方法としては、例えば、活性エネルギー線を照射する方法、及び、熱重合法が挙げられる。中でも、加熱が不要であり、室温で重合反応を進行させられるので、活性エネルギー線を照射する方法が好ましい。ここで、照射される活性エネルギー線には、可視光線、紫外線、及び赤外線等の光、並びに電子線等の任意のエネルギー線が含まれうる。なかでも、操作が簡便なことから、光を照射する方法が好ましい。よって、液晶組成物の層を一次硬化する工程(ii)は、液晶組成物の層に光を照射することを含むことが好ましい。
液晶組成物の層を一次硬化する工程(ii)で照射する光の積算光量は、所望の半硬化層が得られる範囲で任意である。具体的には、好ましくは0.1mJ/cm以上、より好ましくは0.5mJ/cm以上で、且つ、好ましくは10000mJ/cm以下、より好ましくは5000mJ/cm以下の範囲において、所望の半硬化層が得られる積算光量を適切に設定しうる。
光照射時の温度は、基材のガラス転移温度以下とすることが好ましく、好ましくは150℃以下、より好ましくは100℃以下、特に好ましくは80℃以下である。光照射時の温度の下限は、15℃以上としうる。
[6.加熱工程(iii)]
工程(ii)で半硬化層を得た後で、半硬化層を加熱する工程(iii)を行う。この工程(iii)で半硬化層の加熱を行うことにより、この半硬化層から得られる液晶硬化層のレターデーションの安定性を向上させることができるので、高温環境に置かれた場合における液晶硬化層のレターデーションの変化を抑制できる。
半硬化層の加熱温度Tは、液晶硬化層のレターデーションの安定性を向上させられる範囲で任意に設定しうるが、中でも、当該半硬化層に含まれる液晶組成物の一次硬化物のガラス転移温度Tgより高い温度が好ましい。このような条件で半硬化層の加熱を行うことにより、液晶硬化層のレターデーションの安定性を効果的に向上させることができる。
一次硬化物のガラス転移温度Tgは、別に断らない限り、示差走査熱量分析によって測定される値を採用する。このガラス転移温度Tgは、工程(iii)の前に半硬化層からサンプルを採取して測定できる。測定の際には、サンプルを昇温速度5℃/minで130℃まで加熱し、冷却速度−5℃/minで−50℃まで冷却する。その後、サンプルを、昇温速度5℃/minで150℃まで昇温しながら、吸熱曲線を測定する。そして、この吸熱曲線から、ガラス転移温度Tgを計測できる。
工程(iii)において加熱される半硬化層は、上述したように、未重合の重合性液晶化合物を含みうる。よって、その半硬化層を形成する液晶組成物の一次硬化物のガラス転移温度Tgは、重合性液晶化合物が完全に重合した液晶組成物の硬化物のガラス転移温度に比べて、低い。したがって、工程(iii)においては、加熱温度Tを一次硬化物のガラス転移温度Tgより高い温度に設定した場合でも、重合性液晶化合物が完全に重合した液晶硬化層を加熱する方法での加熱温度に比べて、半硬化層の加熱温度Tを低くできる。さらに、未重合の重合性液晶化合物を含む半硬化層を加熱することにより、重合性液晶化合物が完全に重合した液晶組成物の硬化物の層を加熱する場合に比べて、加熱時間tを短くできる。
工程(iii)において加熱される半硬化層に含まれる未重合の重合性液晶化合物の具体的な量は、所望の液晶硬化フィルムが得られる範囲で任意である。中でも、半硬化層に含まれる未重合の重合性液晶化合物の量は、半硬化層全体の重量100重量%に対し、好ましくは5重量%以上、より好ましくは7重量%以上、特に好ましくは9重量%以上であり、好ましくは30重量%以下、より好ましくは25重量%以下、特に好ましくは20重量%以下である。半硬化層に含まれる未重合の重合性液晶化合物の量が前記範囲の下限値以上である場合、加熱温度Tを特に低くしたり、加熱時間tを特に短くしたりできる。また、半硬化層に含まれる未重合の重合性液晶化合物の量が前記範囲の上限値以下である場合、高温環境に置かれた場合における液晶硬化層のレターデーションの変化を効果的に抑制できる。
半硬化層に含まれる未重合の重合性液晶化合物の量は、半硬化層から未重合の重合性液晶化合物を抽出して抽出溶液を得て、当該抽出溶液中の未重合の重合性液晶化合物の量を定量することにより、測定できる。抽出溶液中の未重合の重合性液晶化合物の定量は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により行うことができる。
工程(iii)における加熱は、半硬化層の硬化が進行しない範囲に設定することが望ましい。よって、工程(iii)における加熱温度Tの上限は、半硬化層に含まれる一次硬化物の硬化温度未満が好ましい。例えば、熱重合開始剤を用いる場合は、加熱工程中に重合反応が進まないように、熱重合開始剤の反応開始温度以下に加熱温度Tを設定するのが好ましい。
より好ましくは、工程(iii)における加熱は、加熱温度T(℃)と、加熱時間t(時間)と、半硬化層に含まれる液晶組成物の一次硬化物のガラス転移温度Tg(℃)とが、前記式(1)を満たすように行う。
0.05<(T−Tg)×t<100 (1)
より詳細には、「(T−Tg)×t」は、通常0.05より大きく、好ましくは0.1より大きく、特に好ましくは0.5より大きく、また、通常100未満、好ましくは90未満、特に好ましくは80未満である。「(T−Tg)×t」が前記の範囲に収まる条件で半硬化層の加熱を行うことにより、高温環境に置かれた場合におけるレターデーションの変化を効果的に抑制できる液晶硬化層を得ることができる。また、通常は、「(T−Tg)×t」が前記範囲の上限値より小さいことにより、加熱による膨張及びその後の冷却による収縮によって半硬化層及び基材に生じる応力を抑制できるので、前記応力による液晶硬化層の変形(シワ等)を抑制できる。さらに、上限値より小さいことによれば、波長分散の程度を変化させるほどの光学特性の劣化を抑制することができる。
工程(iii)における加熱温度Tと前記ガラス転移温度Tgとの差T−Tgは、好ましくは1℃以上、より好ましくは10℃以上、特に好ましくは20℃以上であり、好ましくは100℃以下、より好ましくは90℃以下、特に好ましくは80℃以下である。温度差T−Tgが前記の範囲にある場合に、高温環境に置かれた場合における液晶硬化層のレターデーションの変化を効果的に抑制できる。また、温度差T−Tgが前記の範囲の下限値以上である場合、加熱時間tを短くできるので、液晶硬化フィルムの生産効率を高めることができる。さらに、温度差T−Tgが前記範囲の上限値以下である場合、加熱温度Tを低くできるので、高い耐熱性の無い基材を用いることが可能となり、基材の選択の自由度を高めることができる。
工程(iii)における加熱時間tは、好ましくは0.01時間以上、より好ましくは0.02時間以上、特に好ましくは0.05時間以上であり、好ましくは5時間未満、より好ましくは3時間未満、特に好ましくは1時間未満である。加熱時間tが前記の範囲にある場合に、高温環境に置かれた場合における液晶硬化層のレターデーションの変化を効果的に抑制できる。特に、加熱時間tが前記範囲の上限値未満である場合、液晶硬化フィルムの生産効率を高めることができる。
工程(iii)における加熱は、通常、半硬化層の表面が空気に触れている状態で行う。よって、例えば、基材上に形成された半硬化層を加熱する場合には、通常は、基材とは反対側の半硬化層の面が空気に触れている状態で、加熱を行う。
[7.二次硬化工程(iv)]
工程(iii)で半硬化層を加熱した後で、半硬化層を二次硬化する工程(iv)を行う。半硬化層を二次硬化することにより、液晶組成物の二次硬化物で形成された液晶硬化層が得られるので、この液晶硬化層を備えた液晶硬化フィルムを得ることができる。「二次硬化」及び「二次硬化物」において用語「二次」とは、用語の区別のために付した用語である。具体的には、「二次硬化」とは、工程(iv)で行われる硬化を工程(ii)で行われる硬化から区別して表す用語である。また、「二次硬化物」とは、工程(iv)で得られる液晶組成物の硬化物を、工程(ii)で得られる液晶組成物の硬化物から区別して表す用語である。
この工程(iv)では、通常、液晶組成物の一次硬化物に含まれる重合性の化合物の重合により、半硬化層を二次硬化させる。よって、半硬化層に含まれる未重合の重合性液晶化合物は、通常、工程(iv)において重合する。したがって、通常は、一次硬化と同じく、重合した重合性液晶化合物の配向状態が固定される。
二次硬化では、一次硬化によって得られた液晶組成物の一次硬化物が更に硬化され、重合反応が更に進行するので、液晶硬化層に含まれる未重合の重合性液晶化合物の量は、半硬化層における量よりも更に少なくなる。そして、このように未重合の重合性液晶化合物の量が少なくなることにより、配向状態が固定されてない成分が減るので、液晶硬化層のレターデーションの安定性を向上させることができる。
半硬化層を二次硬化する工程(iv)における重合方法は、液晶組成物の層を一次硬化する工程(ii)における重合方法と同じ方法を採用できる。特に、工程(ii)における一次硬化及び工程(iv)における二次硬化は、その少なくとも一方が光の照射によって行われることが好ましく、その両方が光の照射によって行われることがより好ましい。よって、工程(iv)における重合方法としては、活性エネルギー線を照射する方法が好ましく、光を照射する方法が特に好ましい。したがって、半硬化層を二次硬化する工程(iv)は、半硬化層に光を照射することを含むことが好ましい。
半硬化層を二次硬化する工程(iv)における光の照射条件は、液晶組成物の層を一次硬化する工程(ii)における光の照射条件として説明した範囲から、任意に採用できる。中でも、積算光量I1及びI2は、下記の式(2)を満たすように設定することが好ましい。式(2)において、I1は、工程(ii)において液晶組成物の層に照射される光の積算光量を表し、I2は、工程(iv)において半硬化層に照射される光の積算光量を表す。
0.05<I1/I2<10 (2)
より詳細には、「I1/I2」は、好ましくは0.05より大きく、より好ましくは0.1より大きく、特に好ましくは0.2より大きく、好ましくは10未満、より好ましくは8未満、特に好ましくは5未満である。「I1/I2」が前記範囲の下限値より大きい場合、高温環境に置かれた場合における液晶硬化層のレターデーションの変化を効果的に抑制できる。また、「I1/I2」が前記範囲の上限値未満である場合、工程(ii)での一次硬化における重合反応の過度の進行を抑制できる。よって、工程(iii)における加熱温度Tを特に低くしたり、加熱時間tを特に短くしたりし易い。
[8.任意の工程]
上述した実施形態に係る製造方法により、高温環境に置かれた場合におけるレターデーションの変化が抑制された液晶硬化層を含む液晶硬化フィルムを製造できる。この製造方法では、通常、基材と、この基材の支持面上に形成された液晶硬化層とを含む液晶硬化フィルムが得られる。
上述した実施形態に係る液晶硬化フィルムの製造方法は、上述した工程(i)〜工程(v)に組み合わせて、更に任意の工程を含んでいてもよい。
液晶硬化フィルムの製造方法は、例えば、支持面から液晶硬化層を剥離する工程を含んでいてもよい。
また、液晶硬化フィルムの製造方法は、例えば、液晶硬化層上に、更に任意の層を形成する工程を含んでいてもよい。
さらに、液晶硬化フィルムの製造方法は、例えば、基材上に形成された液晶硬化層を、任意のフィルム層に転写する工程を含んでいてもよい。よって、例えば、液晶硬化フィルムの製造方法は、基材上に形成された液晶硬化層と任意のフィルム層とを貼り合わせた後で、必要に応じて基材を剥離して、液晶硬化層及び任意のフィルム層を含む液晶硬化フィルムを得る工程を含んでいてもよい。この際、貼り合わせには、適切な粘着剤又は接着剤を用いてもよい。
また、液晶硬化フィルムの製造方法は、例えば、液晶組成物の層を一次硬化する工程(ii)の前に、液晶組成物の層を乾燥させる工程を含んでいてもよい。かかる乾燥は、自然乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥、減圧加熱乾燥等の乾燥方法で達成しうる。かかる乾燥により、液晶組成物の層から、溶媒を除去することができる。
[9.具体的態様の例]
前記の液晶硬化フィルムの製造方法は、通常、上述したように基材を用いて行われる。この場合、製造方法の各工程は、製造ライン上で基材を搬送しながら行うことが好ましい。例えば、長尺の基材を用いる場合、当該基材の長手方向に基材を搬送しながら、各工程を行うことが好ましい。さらに、このように基材を搬送しながら各工程を行う場合、照射される光の積算光量及び温度等の条件の正確な制御を容易に行う観点から、工程(ii)及び工程(iv)は、支持ロールによって基材を支持しながら行うことが好ましい。以下、この場合の製造方法の具体的態様の例を、図面を示して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る液晶組成物の製造方法に用いられる製造装置を模式的に示す模式図である。
ここで示す例では、液晶組成物の層を形成する工程(i)が、基材上に液晶組成物の層を形成することを含む。この場合、工程(i)において基材上に液晶組成物の層が形成されると、基材及び液晶組成物の層を備える複層フィルムが得られる。図1に示すように、複層フィルム11は、必要に応じて液晶組成物の層に含まれる重合性液晶化合物を配向させる工程(v)を行われた後で、第一の支持ロール111へと送られる。
第一の支持ロール111は、周方向に回転しながらその周面によって複層フィルム11の基材(図示せず。)を支持できるように設けられている。よって、送られてきた複層フィルム11は、第一の支持ロール111によって基材を支持されながら搬送される。第一の支持ロール111によって基材を支持されている期間、その複層フィルム11の液晶組成物の層(図示せず。)は他の部材に接触しない解放状態となっている。そして、このように搬送される基材上に液晶組成物の層がある状態において、液晶組成物の層を一次硬化する工程(ii)が行われる。
具体的には、第一の支持ロール111に対向して設けられた光源112から、複層フィルム11の液晶組成物の層へと、光L112の照射が行われる。光L112の照射により、液晶組成物の層が一次硬化して半硬化層(図示せず。)へと変化するので、基材及び半硬化層を備える第一中間フィルム12が得られる。第一の支持ロール111によって基材を支持されている期間には、搬送は安定である。また、第一の支持ロール111の温度を制御することにより、その第一の支持ロール111に支持された複層フィルム11の温度を制御できるので、一次硬化時の液晶組成物の層の温度を制御できる。よって、工程(ii)における重合性液晶化合物の重合の条件を精密に制御できる。
第一中間フィルム12は、オーブン等の加熱装置120へと送られる。加熱装置120では、第一中間フィルム12に含まれる半硬化層を加熱する工程(iii)が行われ、基材及び加熱された半硬化層を備える第二中間フィルム13が得られる。この第二中間フィルム13は、第二の支持ロール131へと送られる。
第二の支持ロール131は、周方向に回転しながらその周面によって第二中間フィルム13の基材を支持できるように設けられている。よって、送られてきた第二中間フィルム13は、第二の支持ロール131によって基材を支持されながら搬送される。第二の支持ロール131によって基材を支持されている期間、その第二中間フィルム13の半硬化層は他の部材に接触しない解放状態となっている。そして、このように搬送される基材上に半硬化層がある状態において、半硬化層を二次硬化する工程(iv)が行われる。
具体的には、第二の支持ロール131に対向して設けられた光源132から、第二中間フィルム13の半硬化層へと、光L132の照射が行われる。光L132の照射により、半硬化層が二次硬化して液晶硬化層(図示せず。)へと変化するので、基材及び液晶硬化層を備える液晶硬化フィルム14が得られる。このように第二の支持ロール131で基材を支持しながら行われる工程(iv)では、第一の支持ロール111で基材を支持しながら行われる工程(ii)と同じく、重合性液晶化合物の重合の条件を精密に制御できる。
ここで、液晶組成物の層を一次硬化する工程(ii)の開始時点における基材の搬送方向A111Sと、液晶組成物の層を一次硬化する工程(ii)の終了時点における基材の搬送方向A111Eとがなす角を、角θ1で表す。また、半硬化層を二次硬化する工程(iv)の開始時点における基材の搬送方向A131Sと、半硬化層を二次硬化する工程(iv)の終了時点における基材の搬送方向A131Eとがなす角を、角θ2で表す。この場合、角θ1及び角θ2は、下記式(3)を満たすことが好ましい。
0<θ1/θ2<10 (3)
より詳細には、前記の角度比θ1/θ2は、好ましくは0より大きく、より好ましくは0.1より大きく、特に好ましくは0.2より大きく、また、好ましくは10未満、より好ましくは8未満、特に好ましくは5未満である。一次硬化及び二次硬化を必要な程度進行させようとした場合、通常は、光源112及び132と基材とを十分近接させて照射する。そのため、基材の不要な過熱を避ける観点から、第一の支持ロール111及び第二の支持ロール131で基材を支持しながら照射を行う。第一の支持ロール111及び第二の支持ロール131として選択できるロールの制限があり、また、光源112及び132についても同様に制限があるため、一般には、おおよそ同じ径のロール、おおよそ同じ出力の光源が使用されることになる。よって、角θ1が大きいほど、工程(ii)の期間が長くなり、一次硬化が大きく進行する傾向がある。また、角θ2が大きいほど、工程(iv)の期間が長くなり、二次硬化が大きく進行する傾向がある。したがって、通常は、角度比θ1/θ2により、一次硬化と二次硬化との進行程度の比率を表すことができる。角度比θ1/θ2が前記範囲の下限値より大きい場合、高温環境に置かれた場合における液晶硬化層のレターデーションの変化を効果的に抑制できる。また、角度比θ1/θ2が前記範囲の上限値未満である場合、工程(ii)における重合反応の過度の進行を抑制できる。よって、工程(iii)における加熱温度Tを特に低くしたり、加熱時間tを特に短くしたりし易い。
前記のように長尺の基材を用いた製造方法によれば、長尺の液晶硬化フィルムを得ることができる。このような長尺の液晶硬化フィルムは、連続的な製造が可能であり、生産性に優れる。また、長尺の液晶硬化フィルムは、他のフィルムとの貼り合わせを、ロールトゥロールによって行うことができるので、この点でも、生産性に優れる。通常、長尺の液晶硬化フィルムは、巻き取られてロールの状態で保存及び運搬がなされる。
[10.液晶硬化フィルム]
本発明の一実施形態に係る液晶硬化フィルムは、上述した液晶組成物の二次硬化物で形成された液晶硬化層を含む。液晶組成物の二次硬化物で形成されているので、液晶硬化層は、重合性液晶化合物の分子を含む。
液晶組成物の一次硬化及び二次硬化といった硬化は、通常、当該液晶成物が含む重合性の化合物の重合によって達成される。よって、液晶硬化層は、通常、液晶組成物が含んでいた成分の一部又は全部の重合体を含む。したがって、液晶硬化層は、重合性液晶化合物の重合体を含む層でありうる。通常、重合によって重合性液晶化合物の液晶性は失われるが、本願においては、そのように重合した重合性液晶化合物も、用語「液晶硬化層に含まれる重合性液晶化合物」に含める。
液晶硬化層において、重合性液晶化合物は、通常、その配向状態を固定されうる。用語「配向状態を固定された重合性液晶化合物」には、前記の重合性液晶化合物の重合体が包含される。液晶硬化層は、配向状態を固定された重合性液晶化合物の分子に組み合わせて配向状態を固定されていない重合性液晶化合物の分子を含んでいてもよいが、液晶硬化層に含まれる重合性液晶化合物の分子の全てが配向状態を固定されていることが好ましい。
上述した製造方法で製造された液晶硬化フィルムの液晶硬化層は、高温環境に置かれた場合におけるレターデーションの変化が抑制されている。このような効果が得られる仕組みは下記の通りであると、本発明者は推察する。ただし、本発明の技術的範囲は、下記にて説明する仕組みによって制限されない。
図2は、一例としての液晶組成物の層に含まれる重合性液晶化合物の分子200を模式的に示す概要図である。図2に示すように、重合性液晶化合物の分子200は、通常、当該重合性液晶化合物の分子200の屈折率楕円体において最大の屈折率を示す方向に長軸を有する主鎖骨格210に組み合わせて、この主鎖骨格210の長軸の方向に交差する方向に長軸を有する側鎖骨格220を含みうる。ただし、重合性液晶化合物の分子200は、これら主鎖骨格210及び側鎖骨格220に組み合わせて任意の分子骨格を含みうるが、図2及び後述する図3〜図4では任意の分子骨格の図示を省略する。前記の主鎖骨格210及び側鎖骨格220は重合性液晶化合物のメソゲンに含まれうるので、重合性液晶化合物の分子の複屈折は、主鎖骨格210及び側鎖骨格220の構造及び配向方向に依存しうる。
硬化が進行していない状態では、配向した液晶組成物の層に含まれる重合性液晶化合物の分子200は、安定な状態となるように配向する。このように配向した状態においては、例えば、主鎖骨格210の長軸方向は一定の方向に配向し、側鎖骨格220の長軸方向は主鎖骨格210の長軸方向に対して垂直な方向に配向する。この液晶組成物の層には、主鎖骨格210の長軸方向とそれに対して垂直な方向との間で屈折率の差が生じ、その差に応じたレターデーションが発現する。
図3は、一例としての液晶組成物の層を一次硬化して得られた半硬化層に含まれる重合性液晶化合物の分子200を模式的に示す概要図である。通常、半硬化層及び液晶硬化層においては、重合性液晶化合物は重合して結合しているが、図3及び後述する図4では、説明のため、その分子200の結合を省略して示す。液晶組成物の層を一次硬化する工程(ii)を行うと、重合性液晶化合物の重合反応が進行し、その分子200同士が結合する。この硬化の際、硬化収縮が生じるが、主鎖骨格210の配向方向は、通常、変化しない。しかし、側鎖骨格220の配向方向は、硬化収縮によって変化しうる。よって、主鎖骨格210の長軸方向とそれに対して垂直な方向との間での屈折率の差の大きさが、硬化前に比べて変化する。そして、この変化した屈折率の差の大きさに応じたレターデーションを、半硬化層は発現する。
従来の液晶硬化フィルムでは、このような半硬化層の硬化を更に進行させて、液晶硬化層を得ていた。この従来の液晶硬化層が高温環境に置かれると、熱エネルギーによって側鎖骨格220の再配置が進行する。この再配置では、重合性液晶化合物の分子200は、安定な状態になるように配向しようとする。よって、ここで示す例において、高温環境に置かれた後では、側鎖骨格220の長軸方向が、主鎖骨格210の長軸方向に対して垂直な方向に近づくように配向する。よって、主鎖骨格210の長軸方向とそれに対して垂直な方向との間での屈折率の差の大きさは、高温環境に置かれる前に比べて変化する。そして、この変化した屈折率の差の大きさに応じたレターデーションの変化が、液晶硬化層に生じる。この現象が、従来の液晶硬化層におけるレターデーションの変化の原因と考えられる。
このように、高温環境に置かれた場合の従来の液晶硬化層のレターデーションの変化は、側鎖骨格220の再配置によって生じていた。特に、逆分散液晶化合物は、側鎖骨格220の屈折率が一般に大きい傾向があるので、前記の再配置によるレターデーションへの影響は、特に逆分散液晶化合物を用いた液晶硬化層において顕著であった。
これに対し、上述した実施形態に係る製造方法では、液晶組成物の層を一次硬化させて半硬化層を得る工程(ii)の後で、半硬化層を加熱する工程(iii)を行っている。半硬化層を加熱する工程(iii)を行った後の一例としての半硬化層に含まれる重合性液晶化合物の分子200を、図4に模式的に示す。この図4に示すように、工程(iii)での加熱によれば、硬化収縮によって生じた側鎖骨格220の配向方向の変化を解消するように、逆分散液晶化合物の分子200の配向状態が変化する。よって、重合性液晶化合物の分子200の配向状態は、一次硬化前の液晶組成物の層における配向状態のような、安定な状態へと近づく。具体的には、ここに示す例では、工程(iii)の後には、側鎖骨格220の長軸方向は、主鎖骨格210の長軸方向に対して垂直な方向又は垂直に近い方向に、安定して配向する。
その後、半硬化層を二次硬化する工程(iv)が行われ、液晶硬化層が得られる。工程(iv)における二次硬化では、工程(ii)における一次硬化において重合しなかった一部の重合性液晶化合物の重合反応しか進行しないので、側鎖骨格220の配向方向を大きく変化させるほどの硬化収縮は生じない。よって、ここに示す例では、側鎖骨格220の長軸方向は、主鎖骨格210の長軸方向に対して垂直又は垂直に近い安定な配向方向に維持される。
そして、このような安定した側鎖骨格220の配向方向は、液晶硬化層が高温環境に置かれた場合であっても、変化を生じ難い。また、変化を生じた場合でも、その変化量が小さい。したがって、本実施形態に係る製造方法で得られる液晶硬化フィルムでは、液晶硬化層が高温環境に置かれた場合の液晶硬化層のレターデーションの変化を抑制できる。
さらに、前記の安定した側鎖骨格220の配向方向は、常温環境に長期間置かれた場合であっても、変化を生じ難く、また、変化量が小さい。よって、本実施形態に係る製造方法で得られる液晶硬化フィルムでは、通常、常温環境に長期間置かれた場合の液晶硬化層のレターデーションの変化を抑制できる。
仮に、液晶組成物の層の一次硬化及び二次硬化の両方を行った後に加熱を行った場合であっても、硬化収縮によって生じた側鎖骨格220の配向方向の変化を加熱によって解消することは、可能である。しかし、その場合には、二次硬化後には重合性液晶化合物の重合が大きく進行しているので、側鎖骨格220の配向方向の変化に要する熱エネルギーが大きくなり、その結果、加熱温度を高くすることが求められる。また、重合性液晶化合物の重合が大きく進行した後での加熱によって側鎖骨格220の配向方向の変化を解消するためには、加熱時間を長くすることが求められる。よって、加熱のための熱エネルギー及び時間が大きくなるので、液晶硬化フィルムの製造効率が低下する。これに対し、液晶組成物の層の一次硬化と二次硬化との間に加熱を行う前記の実施形態の製造方法では、加熱のための熱エネルギー及び時間を小さくできるので、液晶硬化フィルムの効率的な製造が可能である。
以上、効果が得られる仕組みについて図面及び例を示して説明したが、ここで示した図面及び例は、本発明の技術的範囲を制限するものではない。例えば、上述した説明においては、安定した配向状態において側鎖骨格120の長軸方向が主鎖骨格110の長軸方向に対して垂直な方向に配向する例を図示して説明したが、安定した配向状態において側鎖骨格120の長軸方向が主鎖骨格110の長軸方向に対して垂直でない方向に配向する場合にも、上述した効果を得ることが可能である。
液晶硬化層の面内方向においては、重合性液晶化合物の分子の配向方向は、通常、均一である。そして、このように面内方向において重合性液晶化合物が一定の配向方向に配向するので、液晶硬化層は、通常、所定の大きさの面内レターデーションを有する。液晶硬化層の測定波長590nmにおける面内レターデーションは、通常10nm以上である。
液晶硬化層の具体的な面内レターデーションの範囲は、この液晶硬化層の用途に応じて任意に設定しうる。
例えば、液晶硬化層を1/4波長板として機能させたい場合、液晶硬化層の面内レターデーションは、測定波長590nmにおいて、好ましくは100nm以上、より好ましくは110nm以上、特に好ましくは120nm以上であり、好ましくは180nm以下、より好ましく170nm以下、特に好ましくは160nm以下である。
また、例えば、液晶硬化層を1/2波長板として機能させたい場合、液晶硬化層のレターデーションは、測定波長590nmにおいて、好ましくは245nm以上、より好ましくは265nm以上、特に好ましくは270nm以上であり、好ましくは320nm以下、より好ましくは300nm以下、特に好ましくは295nm以下である。
液晶硬化層は、逆波長分散性のレターデーションを有することが好ましい。具体的には、測定波長450nm及び550nmにおける液晶硬化層の面内レターデーションRe(450)及びRe(550)は、好ましくは下記式(N3)を満たし、より好ましくは下記式(N4)を満たす。
Re(450)/Re(550)<1.00 (N3)
Re(450)/Re(550)<0.90 (N4)
このように逆波長分散性の面内レターデーションを有する液晶硬化層は、1/4波長板又は1/2波長板等の光学用途において、広い波長帯域において均一に機能を発現できる。逆波長分散性の面内レターデーションを有する液晶硬化層は、重合性液晶化合物として逆分散液晶化合物を用いることにより、実現できる。
また、液晶硬化層に含まれる重合性液晶化合物の分子の全てが厚み方向に配向している場合、面内レターデーション(即ち、液晶硬化層の入射角0°でのレターデーション)が0nmとなり、面内レターデーションによる波長分散性の評価が難しいことがありうる。しかし、このような液晶硬化層でも、厚み方向のレターデーションを有することがありえる。この場合、液晶硬化層を傾けて0°でない入射角でのレターデーションRexを測定することにより、波長分散性を評価できる。具体的には、測定波長450nm及び550nmで液晶硬化層のレターデーションRex(450)及びRex(550)を測定する。そして、その比Rex(450)/Rex(550)が1.00より小さければ、当該液晶硬化層が逆波長分散性のレターデーションを発現できると判定できる。
液晶硬化層の厚み方向においては、重合性液晶化合物の分子の配向方向は、任意である。例えば、液晶硬化層の厚み方向において、重合性液晶化合物の分子の配向方向は、液晶硬化層の面に平行でもよく、非平行でもよい。また、液晶硬化層の厚み方向において、重合性液晶化合物の分子の配向方向は、均一でもよく、不均一でもよい。具体例を挙げると、重合性液晶化合物の分子は、液晶硬化層の面に平行なある一の方向に配向していてもよい(ホモジニアス配向)。さらに、逆分散液晶化合物の分子は、液晶硬化層の面に垂直な方向に配向していてもよい(垂直配向)。また、重合性液晶化合物の分子は、液晶硬化層の面に平行でも垂直でもないある一の方向に配向していてもよい(傾斜配向)。さらに、重合性液晶化合物の分子は、当該重合性液晶化合物の分子が液晶硬化層の層平面に対してなす傾斜角が、液晶硬化層の一側に近いほど小さく、前記一側から遠いほど大きい態様で配向していてもよい(ハイブリッド配向)。
液晶硬化層は、通常、面内方向に遅相軸及び進相軸を有する。一般的には、液晶硬化層の遅相軸は、液晶硬化層を厚み方向から見た重合性液晶化合物の分子の配向方向に平行であり、液晶硬化層の進相軸は、液晶硬化層を厚み方向から見た重合性液晶化合物の分子の配向方向に垂直である。
液晶硬化層は、波長300nm〜400nmの波長範囲に、下記の特定帯域を有することが好ましい。特定帯域とは、進相軸偏光の吸光度が、遅相軸偏光の吸光度を上回る帯域を表す。また、進相軸偏光とは、液晶硬化層の進相軸方向に振動方向を有する直線偏光を表す。さらに、遅相軸偏光とは、液晶硬化層の遅相軸方向に振動方向を有する直線偏光を表す。また、直線偏光の振動方向とは、直線偏光の電場の振動方向を表す。波長300nm〜400nmの波長範囲に前記の特定帯域を有する液晶硬化層は、可視域に近い紫外域において、進相軸方向に振動方向を有する直線偏光に対してシャープで強い吸収を有する。このような液晶硬化層は、通常、逆波長分散性のレターデーションを有するように形成できるので、広い波長範囲においてレターデーションを設計の理想値に近くできる。そのため、高温環境に置く前においても、置いた後に置いても、レターデーションの理想値からのずれが少ない液晶硬化フィルムを得ることができる。
液晶硬化層の厚みは、レターデーション等の特性を所望の範囲にできるように、適切に設定しうる。具体的には、液晶硬化層の厚みは、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上であり、好ましくは10μm以下、より好ましくは7μm以下である。
液晶硬化フィルムは、液晶硬化層のみを含むフィルムであってもよく、液晶硬化層に組み合わせて任意の層を含むフィルムであってもよい。任意の層としては、液晶硬化層の製造に用いる基材;位相差フィルム;他の部材と接着するための接着層;フィルムの滑り性を良くするマット層;耐衝撃性ポリメタクリレート樹脂層などのハードコート層;反射防止層;防汚層;等が挙げられる。
液晶硬化フィルムは、透明性に優れることが好ましい。具体的には、液晶硬化フィルムの全光線透過率は、好ましくは75%以上、より好ましくは80%以上、特に好ましくは84%以上である。また、液晶硬化フィルムのヘイズは、好ましくは5%以下、より好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。全光線透過率は、紫外・可視分光計を用いて、波長400nm〜700nmの範囲で測定できる。また、ヘイズは、ヘイズメーターを用いて測定できる。
液晶硬化フィルムの厚みは、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0μm以上であり、好ましくは300μm以下、より好ましくは200μm以下である。
[11.偏光板]
上述した液晶硬化フィルムを用いることにより、偏光板を製造できる。この偏光板は、通常、上述した製造方法で液晶硬化フィルムを製造する工程と、この液晶硬化フィルムと直線偏光子とを貼合する工程と、を含む製造方法により、製造できる。
こうして得られた偏光板は、液晶硬化フィルムと直線偏光子とを含む。この偏光板は、円偏光板又は楕円偏光板として機能できることが好ましい。このような偏光板は、有機エレクトロルミネッセンス表示装置(以下、適宜「有機EL表示装置」ということがある。)に設けることにより、有機EL表示装置の表示面において外光の反射を抑制できる。特に、液晶硬化層が逆波長分散性の面内レターデーションを有する場合、広い波長範囲において外光の反射抑制が可能である。
直線偏光子としては、例えば、ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素又は二色性染料を吸着させた後、ホウ酸浴中で一軸延伸することによって得られるフィルム;ポリビニルアルコールフィルムにヨウ素又は二色性染料を吸着させ延伸しさらに分子鎖中のポリビニルアルコール単位の一部をポリビニレン単位に変性することによって得られるフィルム;が挙げられる。また、直線偏光子の他の例としては、グリッド偏光子、多層偏光子などの、偏光を反射光と透過光に分離する機能を有する偏光子が挙げられる。これらのうち、直線偏光子としては、ポリビニルアルコールを含有する偏光子が好ましい。
直線偏光子に自然光を入射させると、一方の偏光だけが透過する。この直線偏光子の偏光度は特に限定されないが、好ましくは98%以上、より好ましくは99%以上である。
また、直線偏光子の厚みは、好ましくは5μm〜80μmである。
偏光板を円偏光板として機能させたい場合、直線偏光子の偏光吸収軸に対して液晶硬化層の面内遅相軸がなす角度は、45°またはそれに近い角度であることが好ましい。前記の角度は、具体的には、好ましくは45°±5°、より好ましくは45°±4°、特に好ましくは45°±3°である。
偏光板は、直線偏光子及び液晶硬化層に組み合わせて、更に任意の層を含んでいてもよい。任意の層としては、例えば、直線偏光子と液晶硬化層とを貼り合わせるための接着層;直線偏光子を保護するための偏光子保護フィルム層;などが挙げられる。
[12.有機EL表示装置]
上述した偏光板を用いることにより、有機EL表示装置を製造できる。この有機EL表示装置は、通常、上述した製造方法で偏光板を製造することを含む製造方法により、製造できる。
この有機EL表示装置は、上述した偏光板を含む。有機EL表示装置は、通常、表示素子として有機EL素子を含み、この有機EL素子の視認側に、偏光板が設けられる。また、偏光板は、有機EL素子側から、液晶硬化フィルム及び直線偏光子をこの順に含む。そして、このような構成において、前記の偏光板が反射抑制フィルムとして機能できる。
以下、偏光板が円偏光板として機能する場合を例に挙げて、反射抑制の仕組みを説明する。装置外部から入射した光は、その一部の直線偏光のみが直線偏光子を通過し、次にそれが液晶硬化層を通過することにより、円偏光となる。円偏光は、表示装置内の光を反射する構成要素(有機EL素子の反射電極等)により反射され、再び液晶硬化層を通過することにより、入射した直線偏光の振動方向と直交する振動方向を有する直線偏光となり、直線偏光子を通過しなくなる。これにより、反射抑制の機能が達成される。このような反射抑制の原理は、特開平9−127885号公報を参照してよい。
有機EL素子は、通常、透明電極層、発光層及び電極層をこの順に備え、透明電極層及び電極層から電圧を印加されることにより発光層が光を生じうる。有機発光層を構成する材料の例としては、ポリパラフェニレンビニレン系、ポリフルオレン系、およびポリビニルカルバゾール系の材料を挙げることができる。また、発光層は、複数の発光色が異なる層の積層体、あるいはある色素の層に異なる色素がドーピングされた混合層を有していてもよい。さらに、有機EL素子は、正孔注入層、正孔輸送層、電子注入層、電子輸送層、等電位面形成層、電荷発生層等の機能層を備えていてもよい。
以下、実施例を示して本発明について具体的に説明する。ただし、本発明は以下に示す実施例に限定されるものではなく、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
以下の説明において、量を表す「%」及び「部」は、別に断らない限り、重量基準である。また、以下に説明する操作は、別に断らない限り、常温常圧大気中において行った。
[評価方法]
(厚みの測定方法)
層の厚みは、膜厚計(フィルメトリクス社製「F20−EXR」)を用いて測定した。
(液晶組成物の硬化物のガラス転移温度Tgの測定方法)
第一中間フィルム又は液晶硬化フィルムから支持基材を剥がして、半硬化層又は液晶硬化層に含まれる液晶組成物の硬化物(一次硬化物又は二次硬化物)のサンプルを採取した。このサンプルのガラス転移温度Tg(℃)を、示差走査熱量計を用いて測定した。測定条件は、下記の通りであった。
・装置:日立ハイテクサイエンス社製「X−DSC7000」
・測定条件:サンプルを昇温速度5℃/minで130℃まで加熱し、冷却速度−5℃/minで−50℃まで冷却した。その後、サンプルを、昇温速度5℃/minで150℃まで昇温し、その時の吸熱曲線からガラス転移温度Tg(℃)を計測した。
・サンプル質量:5mg
(未重合の重合性液晶化合物の量の測定方法)
液晶組成物の調製に用いた重合性液晶化合物を、溶媒である1,3−ジオキソランに溶解し、様々な濃度の検量線作成用の溶液を得た。これらの溶液を汎用HPLC(島津製作所社製「Prominence」)で分析し、検量線を作成した。
第一中間フィルム又は液晶硬化フィルムから半硬化層又は液晶硬化層のみを20mg程度収集し、1.5gの1,3−ジオキソラン中に投入し、8時間整置して、残留モノマーである未重合の重合性液晶化合物を抽出した。得られた抽出液を、孔径0.45μmのディスクフィルターで濾過した後、前記の汎用HPLCで分析した。分析結果を前記の検量線と対照することにより、抽出液中の未重合の重合性液晶化合物の濃度を求めて、未重合の重合性液晶化合物の量を計算した。
HPLCの分析条件は、下記のとおりとした。
溶媒:アセトニトリル
流速:1mL/min
使用カラム: Eclipse XDB−C18(Agilent社製)
[実施例1〜10]
(液晶組成物の調製)
下記式(A−1)で表される重合性液晶化合物100重量部、光重合開始剤(BASF社製「IrgacureOXE04」)3.0重量部、フッ素系界面活性剤(DIC社製「F562」)0.30重量部、酸化防止剤(東京化成社製「BHT」)0.10重量部、溶媒としてのシクロペンタノン148.5重量部、及び、溶媒としての1,3−ジオキソラン222.8重量部を混合して、液晶組成物を得た。式(A−1)で表される重合性液晶化合物は、逆分散液晶化合物である。
Figure 2020034879
(支持基材の用意)
支持基材として、片面にマスキングフィルムが貼り合わせられた熱可塑性のノルボルネン樹脂からなる樹脂フィルム(日本ゼオン社製「ゼオノアフィルムZF16];厚み100μm)を用意した。この支持基材からマスキングフィルムを剥離し、マスキング剥離面にラビング処理を施した。
(液晶組成物の層の形成工程)
支持基材のラビング処理面に、ワイヤーバーを使用して、液晶組成物を塗工して、液晶組成物の層を形成した。液晶組成物の塗工厚みは、最終的に得られる液晶硬化層の測定波長590nmにおける面内レターデーションが140nm〜150nmの範囲に収まるように調整した。これにより、支持基材及び液晶組成物の層を備える複層フィルムを得た。
(配向工程)
前記の複層フィルムを、110℃に設定されたオーブンに4分間入れた。これにより、液晶組成物の層に含まれる溶媒及び酸化防止剤等の揮発成分を除去する乾燥工程と、液晶組成物の層に含まれる重合性液晶化合物を配向させる配向工程とが行われた。その後、複層フィルムをオーブンから取り出した。
(一次硬化工程)
窒素雰囲気下において、光照射開始時点でのフィルム温度40℃の条件で、液晶組成物の層に表1に示す積算光量の紫外線を照射して、液晶組成物の層を一次硬化させて、半硬化層を形成した。これにより、支持基材及び半硬化層を備える第一中間フィルムを得た。第一中間フィルムの一部を採り、半硬化層に含まれる一次硬化物のガラス転移温度Tgを測定した。また、第一中間フィルムの別の一部を採り、半硬化層に含まれる未重合の重合性液晶化合物の量を測定した。
(加熱工程)
第一中間フィルムを、表1に示す加熱温度T(℃)に設定されたオーブンに、表1に示す加熱時間t(時間)だけ入れて加熱する加熱処理を行った。これにより、支持基材及び加熱処理後の半硬化層を備える第二中間フィルムを得た。得られた第二中間フィルムをオーブンから取り出した。
(二次硬化工程)
第二中間フィルムの半硬化層に、窒素雰囲気下において、表1に示す積算光量の紫外線を照射して、半硬化層を二次硬化させて、液晶硬化層を形成した。これにより、支持基材及び液晶硬化層を備える液晶硬化フィルムを得た。得られた液晶硬化フィルムの液晶硬化層の厚みは、いずれの実施例でも、2.2μm〜2.5μmの範囲に収まっていた。
(耐熱試験前の面内レターデーションRe0の測定)
粘着材(日東電工社製「CS9621T」)を貼合したガラス板に、液晶硬化フィルムの液晶硬化層側の面を貼合した。その後、支持基材を剥離した。これにより、液晶硬化層/粘着層/ガラス板の層構成を有する評価サンプルを得た。この評価サンプルの液晶硬化層の面内レターデーション(即ち、液晶硬化層の入射角0°でのレターデーション)Re0を、位相差計(Axometrics社製「AxoScan」)を用いて、測定波長590nmで測定した。前記の評価サンプルにおいて、粘着層及びガラス板は光学等方性を有するので、評価サンプルを用いて測定された面内レターデーションは、液晶硬化層自体の面内レターデーションを表す。
(耐熱試験)
その後、評価サンプルを、85℃に設定されたオーブンに100時間だけ入れて加熱する耐熱試験(劣化促進試験)を行った。耐熱試験後、評価サンプルをオーブンから取り出した。
(耐熱試験後の面内レターデーションRe1の測定)
耐熱試験の後で、評価サンプルの液晶硬化層の面内レターデーションRe1を、位相差計(Axometrics社製「AxoScan」)を用いて、測定波長590nmで測定した。
耐熱試験による液晶硬化層の面内レターデーションの変化率(Re変化率)を、下記の式によって計算した。
Re変化率(%)={(Re1−Re0)/Re0}×100
前記のRe変化率が0%に近いほど、耐熱試験によるレターデーションの変化を効果的に抑制できていることを表す。そこで、得られたRe変化率を、下記の基準で評価した。
×:5%<Re変化率。
○:4%<Re変化率≦5%。
◎:Re変化率≦4%。
[比較例1]
加熱工程及び二次硬化工程を行わなかったこと以外は実施例3と同じ操作により、第一中間フィルムを製造した。
この第一中間フィルム及びそれに含まれる半硬化層を、それぞれ、液晶硬化フィルム及び液晶硬化層の代わりに用いたこと以外は実施例1〜10と同じ方法により、耐熱試験による半硬化層の面内レターデーションの変化率の評価を行った。
[比較例2]
二次硬化工程を行わなかったこと以外は実施例3と同じ操作により、第二中間フィルムを製造した。
この第二中間フィルム及びそれに含まれる半硬化層を、それぞれ、液晶硬化フィルム及び液晶硬化層の代わりに用いたこと以外は実施例1〜10と同じ方法により、耐熱試験による半硬化層の面内レターデーションの変化率の評価を行った。
[比較例3]
加熱工程及び二次硬化工程を行わなかったこと以外は実施例4と同じ操作により、第一中間フィルムを製造した。
第一中間フィルムを、表1に示す加熱温度T(℃)に設定されたオーブンに、表1に示す加熱時間t(時間)だけ入れて加熱する加熱処理を行った。これにより、支持基材及び加熱処理後の半硬化層を備える第二中間フィルムを得た。得られた第二中間フィルムをオーブンから取り出した。
この第二中間フィルム及びそれに含まれる半硬化層を、それぞれ、液晶硬化フィルム及び液晶硬化層の代わりに用いたこと以外は実施例1〜10と同じ方法により、耐熱試験による半硬化層の面内レターデーションの変化率の評価を行った。
[比較例4]
加熱工程を行わなかったこと以外は実施例3と同じ操作により、液晶硬化フィルムの製造及び評価を行った。
[結果]
実施例及び比較例の結果を、下記の表1に示す。下記の表1において、略称の意味は、下記の通りである。
残留モノマー量:半硬化層に含まれる未重合の重合性液晶化合物の割合。
Tg:半硬化層に含まれる液晶組成物の一次硬化物のガラス転移温度。
T:加熱工程における加熱温度。
t:加熱工程における加熱時間。
Re変化率:耐熱試験による液晶硬化層の面内レターデーションの変化率。
Figure 2020034879
[波長分散に係る検討]
実施例7及び8で製造した耐熱試験前の評価サンプル(液晶硬化層/粘着層/ガラス板の層構成を有する評価サンプル)を用いて、液晶硬化層の測定波長450nm及び550nmにおける面内レターデーションRe(450)及びRe(550)を位相差計(Axometrics社製「AxoScan」)を用いて測定し、その比Re(450)/Re(550)を計算した。その結果、実施例7で得られた液晶硬化層に比べ、実施例8で得られた液晶硬化層の方が、面内レターデーションの比Re(450)/Re(550)が大きかった。実施例7と実施例8とは、加熱工程での加熱条件以外は同じ条件で実施されている。よって、前記の結果から、実施例8では、加熱工程中に半硬化層の劣化が進行したことが分かった。
さらに、実施例3及び9で製造した耐熱試験前の評価サンプル(液晶硬化層/粘着層/ガラス板の層構成を有する評価サンプル)を用いて、液晶硬化層の測定波長450nm及び550nmにおける面内レターデーションRe(450)及びRe(550)を位相差計(Axometrics社製「AxoScan」)を用いて測定し、その比Re(450)/Re(550)を計算した。その結果、実施例3で得られた液晶硬化層に比べ、実施例9で得られた液晶硬化層の方が、面内レターデーションの比Re(450)/Re(550)が大きかった。実施例3と実施例9とは、二次硬化工程での紫外線の積算光量以外は同じ条件で実施されている。よって、前記の結果から、実施例9では、二次硬化工程中に半硬化層の劣化が進行したことが分かった。
[実施例11]
粘着材(日東電工社製「CS9621T」)を貼合したガラス板に、実施例1で製造した液晶硬化フィルムの液晶硬化層側の面を貼合した。その後、支持基材を剥離した。これにより、液晶硬化層/粘着層/ガラス板の層構成を有する評価サンプルを得た。
この評価サンプルを用いて、液晶硬化層の進相軸方向に振動方向を有する直線偏光の吸光度を、300nm〜400nmの波長範囲で測定した。また、この評価サンプルを用いて、液晶硬化層の遅相軸方向に振動方向を有する直線偏光の吸光度を、300nm〜400nmの波長範囲で測定した。
測定の結果、進相軸方向に振動方向を有する直線偏光の吸光度が、遅相軸方向に振動方向を有する直線偏光の吸光度を上回る帯域が、波長300nm〜400nmの波長範囲にあることが確認された。
11 複層フィルム
12 第一中間フィルム
13 第二中間フィルム
14 液晶硬化フィルム
111 第一の支持ロール
112 光源
120 加熱装置
131 第二の支持ロール
132 光源

Claims (12)

  1. 重合性液晶化合物を含む液晶組成物の層を形成する工程と、
    前記液晶組成物の層を一次硬化して、前記液晶組成物の一次硬化物で形成された半硬化層を得る工程と、
    前記半硬化層を加熱する工程と、
    前記半硬化層を二次硬化して液晶硬化層を得る工程と、を含む、液晶硬化フィルムの製造方法。
  2. 前記重合性液晶化合物が、逆波長分散性の複屈折を発現できる液晶化合物である、請求項1に記載の液晶硬化フィルムの製造方法。
  3. 前記液晶硬化層が、遅相軸及び進相軸を有し、
    前記進相軸方向に振動方向を有する直線偏光の吸光度が、前記遅相軸方向に振動方向を有する直線偏光の吸光度を上回る帯域を、前記液晶硬化層が、波長300nm〜400nmの波長範囲に有する、請求項1又は2に記載の液晶硬化フィルムの製造方法。
  4. 前記半硬化層を加熱する工程において、前記半硬化層を前記一次硬化物のガラス転移温度よりも高い温度に加熱する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液晶硬化フィルムの製造方法。
  5. 前記半硬化層を加熱する工程における加熱温度T(℃)及び加熱時間t(時間)、並びに、前記一次硬化物の示差走査熱量分析によって測定したガラス転移温度Tg(℃)が、
    0.05<(T−Tg)×t<100 (1)
    を満たす、請求項1〜4のいずれか一項に記載の液晶硬化フィルムの製造方法。
  6. 前記液晶組成物が、光重合開始剤を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の液晶硬化フィルムの製造方法。
  7. 前記液晶組成物の層を一次硬化する工程が、前記液晶組成物の層に光を照射することを含み、
    前記半硬化層を二次硬化する工程が、前記半硬化層に光を照射することを含む、請求項1〜6のいずれか一項に記載の液晶硬化フィルムの製造方法。
  8. 前記液晶組成物の層を一次硬化する工程で照射される光の積算光量I1、及び、前記半硬化層を二次硬化する工程で照射される光の積算光量I2が、
    0.05<I1/I2<10 (2)
    を満たす、請求項7に記載の液晶硬化フィルムの製造方法。
  9. 前記半硬化層を加熱する工程において、前記半硬化層に含まれる未重合の重合性液晶化合物の量が、5重量%以上30重量%以下である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の液晶硬化フィルムの製造方法。
  10. 前記液晶組成物の層を形成する工程が、基材上に前記液晶組成物の層を形成することを含み、
    前記液晶組成物の層を一次硬化する工程が、搬送される前記基材上に前記液晶組成物の層がある状態で行われ、
    前記半硬化層を二次硬化する工程が、搬送される前記基材上に前記半硬化層がある状態で行われ、
    前記液晶組成物の層を一次硬化する工程の開始時点における前記基材の搬送方向と前記液晶組成物の層を一次硬化する工程の終了時点における前記基材の搬送方向とがなす角θ1、並びに、前記半硬化層を二次硬化する工程の開始時点における前記基材の搬送方向と前記半硬化層を二次硬化する工程の終了時点における前記基材の搬送方向とがなす角θ2が、
    0<θ1/θ2<10 (3)
    を満たす、請求項1〜9のいずれか一項に記載の液晶硬化フィルムの製造方法。
  11. 請求項1〜10のいずれか一項に記載の製造方法で液晶硬化フィルムを製造する工程と、
    前記液晶硬化フィルムと直線偏光子とを貼合する工程と、を含む、偏光板の製造方法。
  12. 請求項11に記載の製造方法で偏光板を製造することを含む、有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法。
JP2018163805A 2018-08-31 2018-08-31 液晶硬化フィルム、偏光板及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法 Pending JP2020034879A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018163805A JP2020034879A (ja) 2018-08-31 2018-08-31 液晶硬化フィルム、偏光板及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2018163805A JP2020034879A (ja) 2018-08-31 2018-08-31 液晶硬化フィルム、偏光板及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2020034879A true JP2020034879A (ja) 2020-03-05

Family

ID=69668060

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2018163805A Pending JP2020034879A (ja) 2018-08-31 2018-08-31 液晶硬化フィルム、偏光板及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2020034879A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6860012B2 (ja) 光学異方性積層体、偏光板及び、画像表示装置
US20180370184A1 (en) Optical anisotropic layer and manufacturing method therefor, optical anisotropic laminate, and circularly polarizing plate
WO2020137529A1 (ja) 位相差フィルム及びその製造方法、並びに偏光板
JP7276144B2 (ja) 液晶硬化フィルムおよびその製造方法、偏光板、並びに有機エレクトロルミネッセンス表示装置
JP7222235B2 (ja) 長尺の円偏光板及びその製造方法
JP2019132895A (ja) 有機発光表示装置
CN111684325B (zh) 液晶固化层及其制造方法、光学膜、偏振片、以及显示装置
JP2020034879A (ja) 液晶硬化フィルム、偏光板及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法
JP2020038242A (ja) 液晶硬化フィルム、偏光板及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法
JP7205498B2 (ja) 組成物、位相差フィルム、及び位相差フィルムの製造方法
JP2020034871A (ja) 液晶硬化フィルム及びその製造方法、偏光板並びに有機エレクトロルミネッセンス表示装置
WO2020045094A1 (ja) 液晶組成物、液晶硬化フィルム、偏光板、有機エレクトロルミネッセンス表示装置、及び、液晶硬化フィルムの製造方法
JP7342579B2 (ja) 積層体及びその製造方法
JP7310513B2 (ja) 積層体及びその製造方法、並びに光学フィルム
JP7306273B2 (ja) 液晶硬化フィルム、偏光板及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法
JP2019117222A (ja) 液晶組成物、液晶硬化層及び光学フィルム
JP2020106714A (ja) 液晶硬化フィルムの製造方法、偏光板の製造方法及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置の製造方法
JP7279645B2 (ja) 有機発光表示装置
WO2020116466A1 (ja) 液晶硬化フィルム及びその製造方法
WO2019142839A1 (ja) 光学異方体及びその製造方法
WO2019116990A1 (ja) 液晶配向層及びその製造方法、光学フィルム及びその製造方法、1/4波長板、偏光板並びに有機エレクトロルミネッセンス表示パネル
WO2019142831A1 (ja) 光学異方体及びその製造方法
JP2020160278A (ja) 液晶組成物、液晶硬化フィルム及びその製造方法、並びに偏光板
WO2021065377A1 (ja) 光学異方性複層物及び製造方法