JPWO2019087397A1 - 歯車 - Google Patents

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Abstract

金属製のボス部及び歯部を備え、制振性能が優れる歯車を提供することができる。金属材料で形成されるボス部と、ボス部の外周に配置され金属材料で形成される歯部とを有し、ボス部及び歯部のうち少なくとも一方は金属焼結材料で形成される、歯車である。

Description

本発明の一実施形態は、歯車に関する。
高強度で、高減衰能の金属製歯車は、高出力であるとともに、振動による騒音を低減することができる。このような歯車は、自動車用歯車に好ましく用いることができる。
鋳造品の鉄製歯車は、複雑な形状を高強度で提供することができるが、緻密体であるため、振動が伝達しやすく、減衰能が劣る問題がある。
特許文献1には、歯部を鋼材とし、ボス部を高減衰能材とし、歯部とボス部とを摩擦圧接して得られる複合歯車によって、高強度かつ高減衰能である複合歯車を提供することが提案されている。特許文献1の複合歯車は、緻密体であり、強度を高めることができる一方で、減衰能を十分に得ることができない。
原料粉末を金型内で圧縮成形して得られた圧粉体を焼結する、いわゆる粉末冶金法は、ニアネットシェイプに造形できるので、後の機械加工による削り代が少なく材料損失が小さいこと、また一度金型を作製すれば同じ形状の製品が多量に生産できること、通常の溶解して製造される合金で得ることができない特殊な合金を製造できること等の理由から経済性に優れているという特徴がある。このため自動車部品を始めとする機械部品に広く適用されている。
特許文献2及び特許文献3には、高い機械的強さが要求される機械部品に、鉄基材料が適用されるとともに、焼入れ処理等の熱処理が施され、金属組織を機械的強さの高い焼入れ組織、すなわちマルテンサイト単相もしくはマルテンサイトとベイナイトの混合相となる金属組織としたものが適用されることが提案されている。
特許文献4には、気孔率が20〜50%の鉄基合金焼結体の気孔内に樹脂硬化物が充填されている複合材料であり、気孔率が20%以上であることで樹脂硬化物の量を多くして制振性能を得る制振材料が提案されている。特許文献4の制振材料は、自動車エンジンシリンダヘッドのインクジェクタ取付部のガスケットとして用いられる。
特開2001−124180号公報 特開2014−185380号公報 特開2016−145418号公報 特開2000−9178号公報
鉄基焼結体の歯車を製造する場合では、焼結体を熱処理して高強度の金属組織を生成させて、全体の強度を高めることができる。特許文献2及び特許文献3では、十分な強度の鉄基焼結体を得ることができるが、単相の鉄基焼結体に空洞の気孔が含まれるだけでは、振動を十分に吸収することができずに、減衰能が劣る問題がある。
特許文献4では、ガスケット用の鉄基合金焼結体であるため、歯車用に適用するには、強度が十分ではない。また、特許文献4の鉄基合金焼結体は、樹脂硬化物を充填させるために高気孔率であり、強度が低下する問題がある。
本発明の一目的としては、金属製のボス部及び歯部を備え、制振性能が優れる歯車を提供することである。
上記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
[1]金属材料で形成されるボス部と、前記ボス部の外周に配置され金属材料で形成される歯部とを有し、前記ボス部及び前記歯部のうち少なくとも一方は金属焼結材料で形成される、歯車。
[2]前記ボス部及び前記歯部のうち少なくとも一方は対数減衰率が0.01以上である、[1]に記載の歯車。
[3]前記ボス部の対数減衰率と前記歯部の対数減衰率の差の絶対値は0.009以上である、[1]又は2に記載の歯車。
[4]前記ボス部の外周部及び前記歯部の内周部の一方に径方向に突出する突起部が形成され、前記ボス部の外周部及び前記歯部の内周部の他方に前記突起部を収容する凹部が形成される、[1]から[3]のいずれかに記載の歯車。
[5]前記ボス部は、径方向に突出する突起部が形成されない外周部を有し、前記歯部は、径方向に突出する突起部が形成されない内周部を有する、[1]から[3]のいずれかに記載の歯車。
[6]前記ボス部の外周面及び前記歯部の内周面の一方が径方向に突出する凸面であり、前記ボス部の外周面及び前記歯部の内周面の他方が前記凸面に対応する凹面である、[1]から[5]のいずれかに記載の歯車。
[7]前記ボス部が金属焼結材料で形成される、[1]から[6]のいずれかに記載の歯車。
[8]前記ボス部及び前記歯部が金属焼結材料で形成される、[1]から[7]のいずれかに記載の歯車。
[9]前記ボス部と前記歯部とは接合されている、[1]から[8]のいずれかに記載の歯車。
本発明の一実施形態によれば、金属製のボス部及び歯部を備え、制振性能が優れる歯車を提供することができる。
図1は、歯車の一形態の斜視図である。 図2は、一形態による突起部を有する歯車の正面図である。 図3は、一形態による突起部を備えない歯車の正面図である。 図4は、一形態による歯車のボス部と歯部の境界部の軸方向の部分断面図である。 図5は、減衰能の測定装置の模式図である。 図6は、引張強さ測定用の試験片の側面図である。 図7(a)は、駆動歯車の平面図であり、図7(b)は、従動歯車の平面図であり、図7(c)は、駆動歯車の断面図である。 図8(a)は、駆動歯車の平面図であり、図8(b)は、従動歯車の平面図であり、図8(c)は、駆動歯車の断面図である。 図9は、駆動歯車の音圧レベルを測定する装置の模式図である。
以下、本発明の一実施形態について説明するが、以下の例示によって本発明は限定されない。
一実施形態の歯車は、金属材料で形成されるボス部と、ボス部の外周に配置され金属材料で形成される歯部とを有し、ボス部及び歯部のうち少なくとも一方は金属焼結材料で形成される、ことを特徴とする。
歯車10の一形態は、図1に示す通り、ボス部10bと、ボス部の外周に配置される歯部10aとを有する。図1に示す歯車10は、模式図であり、歯車の軸方向厚さ、歯車の直径、ボス部及び歯部の径方向幅、歯部のピッチ等の寸法は、これに限定されない。
歯車は、歯部とボス部の両方が金属焼結材料によって形成されていてもよく、または、歯部及びボス部のいずれか一方が金属焼結材料によって形成されていてもよい。好ましくは、ボス部が金属焼結材料によって形成されている歯車である。歯部は、ボス部よりも高強度である高強度材料であることが好ましい。
他の形態として、歯部及びボス部とともに、歯部とボス部との間に中間層を備える歯車であってもよい。中間層は、1層又は2層以上であってもよく、金属焼結材料、その他の金属材料、樹脂やゴム等の弾性材料、又はその他の材料であってもよい。
ボス部及び歯部のうち少なくとも一方は対数減衰率が0.01以上であることが好ましい。これによって、歯車のボス部及び/又は歯部が振動を吸収して、制振性能をより改善することができる。
ボス部及び歯部の対数減衰率は、それぞれ独立的に、0.01以上が好ましく、0.05以上がより好ましく、0.1以上がさらに好ましい。
ボス部及び歯部の対数減衰率は、それぞれ独立的に、5以下が好ましい。
より好ましくは、ボス部の対数減衰率が0.01以上であることが好ましい。
ボス部の対数減衰率が0.01以上である場合、歯部の対数減衰率は、0.01未満であってよい。これによって、歯部を高強度としながら、歯部からの振動をボス部でより吸収することができる。
ボス部の対数減衰率と歯部の対数減衰率の差の絶対値は0.009以上であることが好ましい。ボス部と歯部の対数減衰率を異ならせることで、対数減衰率の低い部材から、対数減衰率の高い部材へと振動が吸収されて、制振性能をより改善することができる。
この差の絶対値は、0.009以上が好ましく、0.05以上がより好ましく、0.5以上がさらに好ましい。この差の絶対値が大きくなると、振動吸収の効果が損なわれることがあるため、この差の絶対値は、5以下が好ましい。
また、ボス部の対数減衰率が歯部の対数減衰率よりも高いことが好ましい。これによって、歯部を高強度材料としても、歯部からの振動をボス部で吸収することができる。
ここで、対数減衰率は、試料を板状の試験片に成形し、片端固定打撃加振法にしたがって、試験片の一方面に打撃を加え、反対側の面からの振動をレーザ変位計で読み取り、読み取った振動波から対数減衰率を計算して求めることができる。
ボス部の引張強さは、150MPa以上であってよく、好ましくは200MPa以上であり、より好ましくは250MPa以上である。
ボス部の引張強さは、1000MPa未満が好ましく、900MPa未満がより好ましく、800MPa以下がさらに好ましく、700MPa以下が一層好ましい。
この範囲で、ボス部の減衰能の低下を防止しながら、十分な材料強度を得ることができる。
ここで、引張強さは、試料を引張試験片の形状に成形し、JISZ2241「金属材料引張試験方法」に従って測定することができる。詳細については、後述する実施例の通りである。
ボス部の減衰能は、1.0以上であってよく、2.5以上が好ましく、4.0以上がより好ましく、6.0以上がさらに好ましい。
金属焼結材料の材料強度の観点から、ボス部の減衰能は、20以下が好ましく、15以下がより好ましい。
ここで、減衰能は、試料を板状の試験片に成形し、片端固定打撃加振法にしたがって、試験片の一方面に打撃を加え、反対側の面からの振動をレーザ変位計で読み取り、JISG0602「制振鋼板の振動減衰特性試験方法」に準拠し、ヒルベルト法を用いて、読み取った振動波から減衰能を計算して求めることができる。
歯部は、高強度材料であることが好ましく、引張強さが900MPa以上であることが好ましく、より好ましくは1000MPa以上である。歯部の引張強さは、これに限定されないが、2000MPa以下であってよい。
歯部は、高強度材料であることが好ましいため、その減衰能は特に制限されない。好ましくは、歯部の減衰能はボス部の減衰能よりも低く、ボス部の減衰能が歯部の減衰能の2.0倍以上である。これによって、歯車全体の制振性能をより高めることができる。
以下、金属焼結材料について説明する。
金属焼結材料は、粉末冶金法によって製造することができ、原料粉末に由来して気孔部が含まれていてもよい。金属焼結体は多孔質であるため、溶融工程を経て形成される金属材料と比べて、ある程度の剛性を有する。
金属焼結材料は、ボス部及び歯部のいずれか一方に用いてもよく、ボス部及び歯部の両方に用いてもよい。好ましくはボス部を金属焼結材料で形成することで、上記したボス部の物性をより好ましい範囲にすることができる。ボス部に金属焼結材料を用いる場合では、歯部は、ボス部と同じ金属焼結材料であってよく、異なる引張強さ、対数減衰率、減衰能、気孔率等の物性を有する金属焼結材料であってもよく、その他の金属材料であってもよい。
金属焼結材料としては、鉄基、チタン基、ニッケル基、アルミニウム基、銅基、マグネシウム基、アルミナ基等の焼結材料、又はこれらの混合材料を用いることができるが、鉄基焼結材料を好ましく用いることができる。
鉄基焼結材料は、気孔率が20vol%以下が好ましく、18vol%以下がより好ましく、15vol%以下がさらに好ましい。これによって、鉄基焼結材料の強度を全体的に高めることができる。
鉄基焼結材料は、気孔率が7vol%以上が好ましく、10vol%以上がより好ましい。これによって、鉄基焼結材料の対数減衰率を高め、制振性能をより改善することができる。
ここで、鉄基焼結材料の気孔率は、鉄基焼結材料の密度から、鉄の真密度を7.87g/cmとして計算して求めることができる。鉄基焼結材料の密度は、鉄基焼結材料の乾燥重量、油浸重量、水中重量を測定し、アルキメデス法に従って求めることができる。
鉄基焼結材料の密度の詳しい測定条件は、以下の通りである。
試験機:電子天秤(株式会社エーアンドデイ製「GR−202」)
温度:室温(25℃)
油浸重量の測定条件は、以下の通りである。
油:キレスピンドル油(比重:0.856)
圧力:60kPa(真空度)
減圧時間:30min(気泡が出なくなるまで)
減圧解放後:油中で5min保持
表面の油を拭き取り、電子天秤を用いて、小数点4桁まで重量を測定する。
鉄基焼結材料の一例には、基地硬さHVが250以上である第1の金属組織と、基地硬さHVが250未満である第2の金属組織とを有する材料がある。この材料は、低減衰能であるとともに、高強度の部材を形成することができ、歯車のボス部及び歯部、特にボス部に適する。
第1の金属組織は、基地硬さHVが250以上が好ましく、300以上がより好ましく、600以上がさらに好ましい。
第1の金属組織は、これに制限されないが、基地硬さHVが850以下が好ましい。
このような第1の金属組織としては、マルテンサイト、ベイナイト、パーライト、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
第2の金属組織は、基地硬さHVが250未満が好ましく、200以下がより好ましく、180以下がさらに好ましい。
第2の金属組織は、これに制限されないが、基地硬さHVが100以上が好ましい。
このような第2の金属組織としては、フェライト、オーステナイト、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
ここで、基地硬さHVは、鉄基焼結材料の気孔部を除く基地表面のビッカース硬さHVであり、詳しくは、高硬度の場合には100gの荷重を、低硬度の場合には10gの荷重を基地表面に負荷する場合のビッカース硬さである。
金属組織のビッカース硬さは、光学顕微鏡による目視判断によって同じ金属組織である領域を確認し、同じ金属組織である領域内の5箇所でビッカース硬さを測定し、その平均値とする。
金属組織の判定をするために、基地表面を5%ナイタール腐食液で腐食してから、基地硬さを測定することが好ましい。
第1の金属組織は、気孔部を除く基地面積に対して50〜90%が好ましい。例えば、マルテンサイト、ベイナイト、及びパーライトが占める領域は、気孔部を除く基地面積に対して50〜90%が好ましい。
第2の金属組織は、気孔部を除く基地面積に対して10〜50%が好ましい。例えば、フェライト、及びオーステナイトが占める領域は、気孔部を除く基地面積に対して10〜50%が好ましい。
鉄基焼結材料は、Ni、Mo、Cu、Mn、Cr、及びCからなる群から選択される1種以上を含み、残部Fe及び不可避不純物からなる組成を有することが好ましい。
例えば、鉄基焼結材料は、質量%で、Ni:0.1〜20%、Mo:0.1〜5%、Cu:0.1〜3%、Mn:0.1〜5%、及びCr:0.1〜25%からなる群から選択される1種以上、及びC:0.1〜4.0%を含み、残部Fe及び不可避不純物からなる組成を有することが好ましい。
以下、鉄基焼結材料の組成について説明する。
Ni:0.1〜20%
Niは、鉄基焼結材料の焼き入れ性を向上し、焼結及び冷却を経て、鉄基焼結材料に焼入れ組織を含ませる作用とオーステナイトとして残留する作用を有する。Niは0.1%以上、好ましくは0.5%以上、より好ましくは1.0%以上であることで、材料強度を高め、減衰能を改善することができる。Niは20%以下が好ましく、10%以下がより好ましい。Niは30.0%以下まで配合してよい。
Mo:0.1〜5%
Moは、鉄基焼結材料の焼き入れ性を向上し、焼結及び冷却を経て、鉄基焼結材料に焼入れ組織を含ませる作用を有する。Moは0.1%以上、好ましくは0.5%以上、より好ましくは1.0%以上であることで、材料強度を高め、減衰能を改善することができる。Moは5%以下が好ましいが、7%以下まで配合してもよい。
Cu:0.1〜3%
Cuは、Feに拡散して材料強度を高める作用を有する。Cuが0.1%以上、好ましくは0.5%以上、より好ましくは1%以上であることで、Feへの拡散を促進することができる。Cuは3%以下が好ましく、これによって、軟質なCu相の発生を抑制して、材料強度の低下を防止することができ、また、焼結時にCu液相の発生を抑制して、製品全体の寸法精度を高めることができる。Cuは3%以下が好ましいが、4.5%以下まで配合してもよい。
Mn:0.1〜5%
Mnは、鉄基焼結材料の焼き入れ性を向上し、焼結及び冷却を経て、鉄基焼結材料に焼入れ組織を含ませる作用を有する。Mnは0.1%以上、好ましくは0.5%以上、より好ましくは1.0%以上であることで、材料強度を高め、減衰能を改善することができる。Mnは5%以下が好ましいが、7%以下まで配合してもよい。
Cr:0.1〜25%
Crは、鉄基焼結材料の焼き入れ性を向上し、焼結及び冷却を経て、鉄基焼結材料に焼入れ組織を含ませる作用を有する。Crは0.1%以上、好ましくは0.5%以上、より好ましくは1.0%以上であることで、材料強度を高め、減衰能を改善することができる。Crは25%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましい。Crは25%以下が好ましいが、30.0%以下まで配合してよい。
C:0.1〜4.0%
Cは、その一部がFeに固溶して強度を向上し、他の一部が鉄基焼結材料の気孔部内に残留し、高減衰能に寄与する。Cは0.1%以上、好ましくは0.5%以上、より好ましくは1.0%以上であることで、基地硬さの高い金属組織を生成して、材料強度を高めることができ、また、気孔部内に遊離グラファイトを生成して、高減衰能に寄与することができる。Cは、4.0%以下であることで、基地硬さの高い金属組織が過剰に生成することを抑制して、減衰能の低下を防止することができる。
Cは、成形体の圧縮性を高めるために、黒鉛粉末の形態で付与することができる。
鉄基焼結材料は、B及びAlの一方又は両方をさらに含むことができ、質量%でB:0.01〜1.0%、Al:0.001〜1.0%で含むことが好ましい。
B:0.01〜1.0%
Bは、焼結中に黒鉛粉末を多い、黒鉛が基地中に拡散することを抑制して、焼結後の鉄基焼結材料の気孔部内に遊離グラファイトを生成させる作用を有する。Bが0.01%以上、好ましくは0.05%以上、より好ましくは0.1%以上であることで、鉄基焼結材料の内部に遊離グラファイトを生成させ、減衰能改善に寄与することができる。また、Bが1.0%以下、好ましくは0.5%以下であることで、Feに固溶するB量を制限して、強度の低下を防止することができる。
Bは、酸化ホウ素、窒化ホウ素等の形態で混合粉末に添加することができる。
Al:0.001〜1.0%
Alは、焼結中に黒鉛が基地中に拡散することを抑制して、焼結後の鉄基焼結材料の気孔部内に遊離グラファイトを生成させる作用を有する。Alが0.001%以上、好ましくは0.01%以上、より好ましくは0.02%以上であることで、鉄基焼結材料の内部に遊離グラファイトを生成させ、減衰能改善に寄与することができる。また、Alが1.0%以下、好ましくは0.5%以下、より好ましくは0.1%以下であることで、余剰のAlがFeに固溶することを制限して、強度の低下を防止することができる。
Alは、ステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、リシノール酸、ベヘン酸等の高級脂肪酸のアルミニウム塩の形態で混合粉末に添加することができる。
鉄基焼結材料は、残部Feであり、不可避不純物が含まれることがある。
鉄基焼結材料は、基地に拡散しない鉱物、酸化物、窒化物、及びホウ化物からなる群から選択される1種以上をさらに含んでもよい。これらの添加剤としては、例えば、MgO、SiO、TiN、CaAlSiO、CrB等、又はこれらの組み合わせが挙げられる。
以下、鉄基焼結材料の製造方法について説明する。
鉄基焼結材料は、目的とする組成となるように原料粉末を混合し、加圧して圧粉体を作製し、圧粉体を焼結することで得ることができる。
圧粉体は、非酸化性雰囲気中で、最高保持温度が900℃〜1250℃となるように焼結することが好ましい。
この最高保持温度は900℃以上が好ましく、1000℃以上がより好ましい。これによって、Ni、Mo、Cu、Mn、CrのFe中への拡散を促進して、基地硬さが高い金属組織を生成させ、鉄基焼結材料の引張強さをより高めることができる。
また、この最高保持温度は、1250℃以下が好ましく、1200℃以下がより好ましい。これによって、その他の元素がFeに過剰に拡散することを抑制し、材料強度の低下を防止することができる。
圧粉体は、最高保持温度で、10〜90分間、保持されることが好ましい。
焼結後、焼結体は、2℃/分〜400℃/分の冷却速度で冷却されることが好ましい。この冷却速度によって、最高保持温度から900〜200℃までの温度範囲を冷却することが好ましい。
この冷却速度は1℃/分以上であってよく、2℃/分以上がより好ましく、10℃/分以上がさらに好ましい。これによって、パーライト相、ベイナイト相、マルテンサイト相、又はこれらの組み合わせを基地組織に適量で含ませることができ、材料強度を高めることができる。
この冷却速度は500℃/分以下であってよく、400℃/分以下が好ましく、200℃/分以下がより好ましい。これによって、マルテンサイト相が過剰に基地組織に含まれることを抑制し、材料の減衰能を改善し、また、材料強度を高めることができる。
上記の製造方法により得られる鉄基焼結材料は、上記の金属組織となり、そのまま使用可能であるが、マルテンサイト相が焼入れ直後のものと同様の硬い敏感なものであるため、150〜300℃の温度に再加熱して炉冷する焼き戻し工程を追加することが好ましい。なお、焼き戻し工程は焼結後の冷却過程において、100℃以下まで冷却した後、150〜300℃の温度に加熱し保持する工程としてもよく、また、焼結炉内で冷却中に150℃以上300℃以下の温度で保持する工程としてもよい。なお、保持時間は、例えば10〜180分とすることができる。
鉄基焼結材料の気孔部内には、遊離グラファイト及び樹脂からなる群から選択される1種以上が含まれてもよい。鉄基焼結材料は、気孔部内に遊離グラファイト及び樹脂の一方又は両方を含んでもよく、樹脂を含む場合は複数種の樹脂を組み合わせて含んでいてもよい。
遊離グラファイトは、例えば、鉄基焼結材料の気孔部内に存在する黒鉛である。この気孔部内の黒鉛は、原料のCに由来して、Feに拡散しないで気孔部内に残留したものを含む。この遊離グラファイトは、原料のC量によって、その量を調整することができる。また、原料のCがFeに拡散することを抑制するB、Al等の成分を原料に添加しておくことで、遊離グラファイトの量を調整することができる。
樹脂は、特に限定されないが、硬化性樹脂を好ましく用いることができる。樹脂としては、例えば、ウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂等、又はこれらの組み合わせを挙げることができる。
硬化性樹脂の硬化前の粘度は、25℃で、11000mPa/s以下が好ましく、6000mPa/s以下がより好ましく、2000mPa/s以下がさらに好ましい。
また、硬化性樹脂の硬化前の粘度は、25℃で、4mPa/s以上が好ましく、20mPa/s以上がより好ましい。
硬化性樹脂の硬化後の硬さは、25℃で、ショアD硬度で90以下が好ましく、70以下がより好ましく、50以下がさらに好ましい。
また、硬化性樹脂の硬化後の硬さは、25℃で、ショアD硬度で、3以上が好ましく、15以上がより好ましい。
ここで、樹脂の粘度は、低粘度樹脂は東機産業(株)製のTV−22形粘度計、高粘度樹脂は東機産業(株)製のTV−33形粘度計を用い、コーンロータのサイズR14、角度3°、温度25℃、回転数5rpmの条件で測定することができる。
樹脂の硬化後のショアD硬度は、(有)今井精機製ショア式硬さ試験機D型を用い、JISZ2246に準じて試験を行った。
硬化性樹脂が、上記した硬化前の粘度範囲であることで、鉄基焼結材料の気孔部内への樹脂の含浸を促進させることができ、また、硬化後の減衰能を高めることができる。
硬化性樹脂が、上記した硬化後のショアD硬度範囲であることで、気孔部内に樹脂を含む鉄基焼結材料の減衰能を高めることができる。
鉄基焼結材料への樹脂の含浸は、未硬化状態の樹脂液に、好ましくは脱気及び減圧した状態で、鉄基焼結材料を浸漬させることで行うことができる。樹脂液の流動性を高めるために、有機溶剤をさらに添加してもよい。また、硬化を促進させるために、硬化剤、硬化促進剤等をさらに添加してもよい。
樹脂を含浸する工程は、真空度10−3MPa〜100MPaで、1分〜120分で行うことが好ましい。
樹脂液を含浸させた鉄基焼結材料は、さらに60〜120℃で加熱して、硬化を促進させることが好ましい。
鉄基焼結材料は、気孔部内に遊離グラファイト及び樹脂からなる群から選択される1種以上を含む状態で、開放気孔率が5.0vol%以下であることが好ましく、3vol%以下がより好ましく、1vol%以下がさらに好ましい。
また、この開放気孔率は、これに制限されないが、0vol%であってもよく、0.1vol%以上であってもよい。
ここで、鉄基焼結材料の開放気孔率は、JISZ2501に準じ測定でき、試料の乾燥重量、油浸重量、水中重量を測定し、計算式にしたがって求めることができる。詳しい測定条件は、上記密度と共通する。開放気孔率の計算式は以下の通りである。
開放気孔率=(完全含浸後の試験片質量−脱脂、乾燥後の試験片質量)/(含油に使った油の密度×試験片の体積)×100
気孔部全体の体積に対して、遊離グラファイト及び樹脂の合計が占める体積は、1vol%以上が好ましく、5vol%以上がより好ましい。
気孔部全体の体積に対して、遊離グラファイト及び樹脂の合計が占める体積は、100vol%であってよく、90vol%以下であってもよい。
以下、金属焼結材料以外のその他の金属材料について説明する。ボス部及び歯部の一方のみが金属焼結材料で形成される場合に、他方がその他の金属材料で形成される。
その他の金属材料は、例えば、金属焼結材料以外の炭素鋼、合金鋼、特殊鋼、ステンレス鋼等の鋼材;金属焼結材料以外のチタン(Ti)、ニッケル(Ni)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、マグネシウム(Mg)、亜鉛(Zn)等の金属材又はこれらの金属の1種又は2種以上を含む合金材;金属焼結材料以外のAl−Zn系合金、Mg−Zr系合金、NiTi系合金、Cu−Al−Ni系合金、Mn−Cu系合金等が挙げられる。
金属焼結材料以外のその他の金属材料としては、鋳造品、鍛造品、板材成形品等が挙げられる。
その他の金属材料としての鋼材は、マルテンサイト相、ベイナイト相、パーライト相、又はこれらの組み合わせを含む組成であることが好ましい。この鋼材は、マルテンサイト相、ベイナイト相、及びパーライト相が占める領域が、全体の面積に対して90〜100%であることが好ましい。
その他の金属としての鋼材は、Ni、Mo、Cu、Mn、及びCrからなる群から選択される1種以上を含み、残部Fe及び不可避不純物からなる組成を有することが好ましい。この鋼材は、さらにCを含んでもよいが、C量を制限して、Feに拡散しないCが遊離グラファイトとして析出しないように制御することが好ましい。
例えば、この鋼材は、Ni:0.1〜8%、Mo:0.1〜5%、Cu:0.1〜3%、Mn:0.1〜5%、及びCr:0.1〜6%からなる群から選択される1種以上、及びC:0.1〜1.0%を含み、残部Fe及び不可避不純物からなる組成を有することが好ましい。なかでも、Cr及びMoを含む組成がより好ましい。
ボス部が金属焼結材料で形成される場合は、歯部をその他の金属材料で形成することができる。歯部用のその他の金属には、材料強度を高める観点から、鋼材を用いることが好ましい。
歯部に用いるその他の金属は、材料強度の観点から緻密体であることが好ましく、気孔率は10vol%以下が好ましく、5vol%以下がより好ましく、気孔率が0vol%であってもよい。
歯部が金属焼結材料で形成される場合は、ボス部をその他の金属材料で形成することができる。ボス部用のその他の金属には、材料強度から鋼材を用いてもよく、または、歯部よりも減衰能が高い材料として、Mg−Zr系合金、Mg材、Mn−Cu系合金、Cu−Zn−Ni系合金、Al−Zn系合金、NiTi系合金等を用いてもよい。
以下、歯車について説明する。
一例として、ボス部及び歯部の両方が金属焼結材料で形成される歯車について説明する。この例では、ボス部は、粉末冶金法によってボス部形状に成形され、その後に焼成されて用意される。歯部も同様に、粉末冶金法によって歯部形状に成形され、その後に焼成されて用意される。次に、歯部の内周部にボス部を嵌め込み、歯部とボス部とを接合することができる。接合を強化するために、接合面にろう付又は溶接を行ってもよい。
また、ボス部と歯部との成形品を作製し、焼成前の状態で歯部の内周部にボス部を嵌め込み、ボス部と歯部とが接した状態で焼成することで、ボス部と歯部とを拡散接合してもよい。
他の例として、ボス部を金属焼結材料で形成する場合では、歯部を予め加工して作製しておき、歯部の内周部に金属焼結材料の原料である鉄粉末を充填し、ボス部形状に成形し、その後、歯部とともに焼成することで、ボス部と歯部を一体化することができる。この場合、歯部には、その他の金属材料を用いて鋳造、鍛造、プレス加工等によって加工される金属部材、または、金属焼結材料を用いて成形、焼結、加工される金属部材等を用いることができる。
他の例として、歯部を金属焼結材料で形成する場合では、ボス部を予め加工して作製しておき、金属焼結材料の原料である鉄粉末によって歯部の成形品を作製し、歯部の成形品の内周部にボス部の外周部が接触するようにして配置し、その後、ボス部とともに歯部を焼成することで、ボス部と歯部を一体化することができる。歯部を焼成する際に、焼き締め効果によって、歯部とボス部との接合強度をより高めることができる。この場合、ボス部には、上記と同様に、その他の金属部材、金属焼結材料等を用いることができる。
また、ボス部と歯部との境界部の一部又は全部に径方向に50μm以上の隙間を設け、この隙間に樹脂、ゴム等の弾性材料を配置してもよい。これによって、ボス部と歯部との間の振幅を抑えて、より制振性能を高めることができる。
ボス部と歯部とは、別々の状態で、又は接合後に、焼き入れ及び焼き戻しを行ってもよい。これによって、基地硬さの高い金属組織をさらに生成させて、歯車の強度をより高めることができる。
歯車は、ボス部の外周形状と、歯部の内周形状がほぼ一致して、歯部の内周部にボス部が嵌め込まれて構成されることが好ましい。ボス部の外周形状は、真円、楕円形を含む円形が好ましいが、三角形、四角形、五角形等の多角形であってもよい。
また、歯車は、ボス部の軸方向厚さに対して、歯車の軸方向厚さが80〜120%であることが好ましく、90〜110%がより好ましく、100%±1%であってもよい。歯車において、径方向と平行な平面において、ボス部と歯車部との軸方向の段差が1cm以内が好ましく、5mm以内がより好ましく、1mm以内がより好ましく、0.5mm以内がさらに好ましい。
歯車の一例としては、ボス部の外周部及び歯部の内周部の一方に径方向に突出する突起部が形成され、ボス部の外周部及び歯部の内周部の他方に前記突起部を収容する凹部が形成される。この突起部は、周方向に間隔を開けて複数個形成されてもよい。この場合、複数個の突起部を収容する複数個の凹部が形成される。
この形状は、歯車の回り止めとして作用し、歯車が回転するときに、ボス部と歯部との回転方向のずれを抑制することができる。さらに、この形状を設けることで、制振性能をより改善することができる。これは、ボス部と歯部との界面の接触面積を大きくすることで、低減衰能の材料から高減衰能の材料へと振動をより吸収するためと考えられる。
図2に突起部を有する歯車の一例を示す。
この図に示す歯車は、歯部の内周部から径方向内側に突出する突起部を4個有し、ボス部の外周部に、歯部の4個の突起部を収容する4個の凹部を有する。4個の突起部は、周方向に等間隔で配置される。
歯車は、ボス部の内周部から径方向外側に突出する突起部を有していてもよく、突起部の数や、突起部の周方向の配置間隔にも限定されない。突起部の周方向の最大幅は、歯車の回転軸を中心として1〜90度が好ましく、1〜45度が好ましく、1〜10度がより好ましい。突起部の形状は、径方向断面形状で、半円形、V字状、四角形等の多角形のいずれであってもよいが、半円形が好ましい。
歯車の他の例としては、ボス部は、径方向に突出する突起部が形成されない外周部を有し、歯部は、径方向に突出する突起部が形成されない内周部を有し、歯部の内周部にボス部が嵌め込まれる。この例では、ボス部の外周部は、真円及び楕円形を含む円形であることが好ましく、歯部の内周部は、ボス部の外周部とほぼ同じ円形であることが好ましい。ボス部の外周部及び歯部の内周部が全体的に多角形である場合は、多角形の一辺の線上に、径方向に突出する突起部が形成されていないことが好ましい。
この形状は、ボス部と歯部との間に回り止めがない構造であるが、ボス部及び歯部の少なくとも一方が金属焼結材料によってより精密な寸法で作製されることで、ボス部と歯部との接合強度をより高めることができ、回転時にボス部と歯部とのずれを防止することができる。
突起部を備えない歯車では、ボス部の外周部及び歯部の内周部には、径方向に窪む凹部が形成されないことが好ましい。これによって、ボス部と歯部との接触面積を大きくして、回転方向のずれをより防止することができる。ボス部の外周部及び歯部の内周部に、径方向に窪む凹部を形成してもよく、これによって歯車の軽量化ができる。また、凹部に弾性部材等の他の材料を充填してもよい。
図3に突起部を備えない歯車を示す。この図に示す歯車は、ボス部の外周部がほぼ真円の円形であり、歯部の内周部がボス部の外周部と嵌まり合う円形であり、突起部を備えていない。
歯車の他の例としては、ボス部の外周面及び歯部の内周面の一方が径方向に突出する凸面であり、ボス部の外周面及び歯部の内周面の他方が凸面に対応する凹面である。
これによって、ボス部と歯部との軸方向のズレを防止することができる。ボス部及び歯部の少なくとも一方が金属焼結材料で形成されるため、他方の部材の凸面又は凹面に合わせて、一方の部材を粉末冶金法によって一体的に成形することができる。
ボス部と歯部とを接合してもよい。これによって、ズレをより防止することができる。ボス部と歯部とは、境界部の全周にわたり接合してもよいし、部分的に接合してもよい。接合方法としては、摩擦圧接、溶接、ろう付け、拡散接合等を用いることができる。
図4にボス部と歯部の境界部の軸方向断面図を示す。この図では、ボス部の外周面が径方向外側に突出し凸面を形成し、歯部の内周面が凹面を形成している。ボス部の外周面が凹面で、歯部の内周面が凸面であってもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(評価方法)
実施例で用いた評価方法は、以下の通りである。
「密度、気孔率」
焼結後の鉄基焼結材料の密度は、試料の乾燥重量、油浸重量、水中重量を測定し、アルキメデス法にしたがって求めた。
測定条件は、以下の通りである。
試験機:電子天秤(株式会社エーアンドデイ製「GR−202」)
温度:室温(25℃)
油浸重量の測定条件は、以下の通りである。
油:キレスピンドル油(比重:0.856)
圧力:60kPa(真空度)
減圧時間:30min(気泡が出なくなるまで)
減圧解放後:油中で5min保持
表面の油を拭き取り、電子天秤を用いて、小数点4桁まで重量を測定した。
焼結後の鉄基焼結材料の気孔率は、上記して求めた密度から計算によって求めた。鉄の親密度を7.87g/cmとした。
樹脂を含浸した試料は、樹脂を含浸する前の鉄基焼結材料について、密度及び気孔率を測定した。
「金属組織」
焼結後の鉄基焼結材料を倍率500倍で撮影した画像を、目視で観察し、気孔部を除く基地部分に観察される金属組織を特定した。
「基地硬さ」
焼結後の鉄基焼結材料について、上記金属組織の評価結果から、同じ金属組織の領域内で、金属表面のビッカース硬さHVを5点測定し、その平均値を基地硬さとして求めた。測定条件は、以下の通りである。
試験機:株式会社ミツトヨ製「HM−200」
試験温度:室温(25℃)
試験荷重:100g、10g
試験片の前処理:試験片を5%ナイタール腐食液で腐食してから、ビッカース硬さを測定した。
試料内に観察された金属組織については、その基地硬さHVを表中に示す。また、試料内に観察されなかった金属組織については、表中に「−」を付す。
「焼結体の対数減衰率・減衰能」
焼結後の鉄基焼結材料の対数減衰率・減衰能は、片端固定打撃加振法によって測定した。減衰能の計算方法は、JISG0602に準拠して、ヒルベルト変換を用いた「減衰法」を用いた。
図5に対数減衰率・減衰能の測定システムの概略図を示す。図5において、1は試験片であり、2は高速・高精度レーザ変位計であり、3はハンマーである。板状の試験片の一方面にハンマーで打撃を与え、他方面からの振幅をレーザ変位計によって読み取り、振幅から対数減衰率・減衰能を求めた。
測定条件は、以下の通りである。
試験片形状:10mm×240mm×2.0mm(板材)
温度:室温(25℃)
打撃加振方法:ハンマー(土牛産業株式会社「伸縮式打音診断棒」を使用)
試験片固定方法:バイス
波形読み取り装置:株式会社キーエンス製 高速・高精度レーザ変位計(センサヘッド「LK−H008W」・コントローラ「LK−G5000Vセット」)
「焼結体の引張強さ」
焼結後の鉄基焼結材料について、引張試験片形状に機械加工して引張試験を行い、引張強さを測定した。
図6に引張試験片の形状を示す。図6は、引張試験片の側面図であり、図中に寸法(単位はmm)を示す。引張試験片は、全長が60mmであり、標点距離が23mmであり、標点距離部分の直径が5mm±0.01mmである。
測定条件は以下の通りである。
試験機:株式会社島津製作所製 精密万能試験機「AG−10TB」
試験温度:室温(25℃)
試験速度:0.5mm/分
読み取り:平行部破断(23mmの範囲内)に限る
「歯車の作製と音圧レベルの評価」
歯車を作製し、歯車の減衰能効果を評価するために、歯車を駆動する際の音圧レベルを評価した。
(例1、例2)
例1及び例2では、突起部がない駆動歯車を作製した。
図7(a)及び図7(b)に突起部がない駆動歯車10及び従動歯車11の平面模式図を示す。また、図7(c)に駆動歯車の断面図とその寸法(単位:mm)を示す。
駆動歯車及び従動歯車は、それぞれ歯先径が直径80mm±0.06mmであり、歯底径が直径68.75mmであり、内径が直径36mm±0.02である。ボス部10bの最大直径は62.5mmである。特に説明のない寸法公差は±0.1である。
例1では、駆動歯車の歯部10aを試料1とし、ボス部10bを試料2とした。
例2では、駆動歯車の歯部10a及びボス部10bをともに試料3(SCM435(調質材)で作製した。
従動歯車11は、SCM435(調質材)で作製した。
各試料の組成及び物性値を表1に示す。
例1の駆動歯車10の歯部10aは、表中に示す試料1の配合量になるように原料粉末を混合し、800MPaで成形し、1200℃、60分間で焼結し、焼結した後、加工して、上記した寸法の歯部10aを作製した。
例1の駆動歯車10のボス部10bでは、表中に示す試料2の配合量になるように原料粉末を混合し、混合粉末を550〜650MPaで成形した。成形体を、表中に示す熱処理温度で30分間、90%N+10%Hガス中で焼結し、表中に示す冷却速度で冷却した。その後、加工し、図7に示す寸法のボス部10bを得た。
歯部10aにボス部10bを接合した。歯部10aとボス部10bとの接合は、市販のろう材を用い、ろう付接合を行った。その後、歯部10aに高周波焼入れ焼戻しを行った。
歯部10aには、歯底より1.5mm部の硬化層深さが700HVを超える条件で、高周波焼入れを行い、180℃60分の焼戻し処理を施した。
焼成後、接合前のボス部10bの試料1及び試料3について対数減衰率・減衰能及び引張強さを測定した。
対数減衰率・減衰能測定用試験片として、15mm×250mmで厚さ4mmの成形体を作製した以外は、上記と同様にして焼結体を得た。
引張強さ測定用試験片として、10mm×60mmで厚さ10mmの成形体を作製した以外は、上記と同様にして焼結体を得た。
対数減衰率・減衰能及び引張強さを測定するための板材の場合には、中心部まで完全にマルテンサイト化する条件で、高周波焼入れを行い、180℃60分の焼戻し処理を施した。
焼成後、接合前の各試料について、密度、気孔率を測定した。
(例3、例4)
例3及び例4では、突起部を有する駆動歯車を作製した。
図8(a)及び図8(b)に突起部を有する駆動歯車10及び従動歯車11の平面模式図を示す。また、図8(c)に駆動歯車の断面図とその寸法(単位:mm)を示す。
駆動歯車及び従動歯車は、それぞれ歯先径が直径80mm±0.06mmであり、歯底径が直径68.75mmであり、内径が直径36mm±0.02である。ボス部10bの最大直径は62.5mmである。特に説明のない寸法公差は±0.1である。
歯部10aの内周部には、径方向内側に突起する突起部が周方向に等間隔に4個形成されている。
例3では、駆動歯車の歯部10aを試料1とし、ボス部10bを試料2とした。
例3の歯車は、突起部の形状以外、上記例1と同様の方法によって作製した。
例4では、駆動歯車の歯部10a及びボス部10bをともに試料3(SCM435(調質材))で作製した。
従動歯車11は、SCM435(調質材)で作製した。
(音圧レベルの評価)
上記した駆動歯車を用いて、音圧レベルを測定した。
音圧レベルの測定装置の模式図を図9に示す。
図9において、20は解析装置であり、21はモータ制御装置であり、22は騒音計であり、23は防音筐体であり、24は従動歯車であり、25は駆動歯車であり、26は集音管であり、27は加振モータである。不図示であるが、歯車が噛み合う部分にオイルを供給するオイル供給管を設けている。
解析装置によって、加振モータを駆動させ、駆動歯車の回転数及び振幅数を制御した。駆動歯車と従動歯車が噛み合う部分の上方に集音管を設け、騒音計によって音圧レベルを測定した。
回転数に対する音圧レベルのグラフを表2に示す。
測定条件は、以下の通りである。
試験機:UNICO JAPAN株式会社製 NV試験機「特注品」
検出器:株式会社小野測器製 遠隔対応型騒音計「LA−4350」
FFTアナライザ:株式会社小野測器製 「DS2000 Series」
温度:室温(25℃)
潤滑油:出光興産製「5W−30」
回転数:500〜6000rpm
加振:2次、振幅:30rpm
相手歯車:SCM435材(調質材)
バックラッシ:50μm
検出ソフト:小野測器株式会社製 スループットディスク機能「DS0250」
解析ソフト:小野測器株式会社製 FFT解析「DS0221」
時系列データ解析ツール「Oscope2」
突起なしの歯車では、例1の鉄基焼結材料製歯車は、例2のSCM435製歯車に対して、回転数の測定範囲全体で音圧レベルが低く、制振性能が優れることがわかる。回転数の測定範囲で平均して、例2の歯車の音圧レベルから例1の歯車の音圧レベルは、1.97db低かった。
突起ありの歯車では、例3の鉄基焼結材料製歯車は、例4のSCM435製歯車に対して、回転数の測定範囲全体で音圧レベルが低く、制振性能が優れることがわかる。回転数の測定範囲で平均して、例4の歯車の音圧レベルから例3の歯車の音圧レベルは、3.95db低かった。
突起ありの例3の鉄基焼結材料製歯車は、突起なしの例1の鉄基焼結材料製歯車に対して、より音圧レベルを低くすることができ、制振性能が優れることがわかる。

Claims (9)

  1. 金属材料で形成されるボス部と、前記ボス部の外周に配置され金属材料で形成される歯部とを有し、前記ボス部及び前記歯部のうち少なくとも一方は金属焼結材料で形成される、歯車。
  2. 前記ボス部及び前記歯部のうち少なくとも一方は対数減衰率が0.01以上である、請求項1に記載の歯車。
  3. 前記ボス部の対数減衰率と前記歯部の対数減衰率の差の絶対値は0.009以上である、請求項1又は2に記載の歯車。
  4. 前記ボス部の外周部及び前記歯部の内周部の一方に径方向に突出する突起部が形成され、前記ボス部の外周部及び前記歯部の内周部の他方に前記突起部を収容する凹部が形成される、請求項1から3のいずれか1項に記載の歯車。
  5. 前記ボス部は、径方向に突出する突起部が形成されない外周部を有し、前記歯部は、径方向に突出する突起部が形成されない内周部を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の歯車。
  6. 前記ボス部の外周面及び前記歯部の内周面の一方が径方向に突出する凸面であり、前記ボス部の外周面及び前記歯部の内周面の他方が前記凸面に対応する凹面である、請求項1から5のいずれか1項に記載の歯車。
  7. 前記ボス部が金属焼結材料で形成される、請求項1から6のいずれか1項に記載の歯車。
  8. 前記ボス部及び前記歯部が金属焼結材料で形成される、請求項1から7のいずれか1項に記載の歯車。
  9. 前記ボス部と前記歯部とは接合されている、請求項1から8のいずれか1項に記載の歯車。
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