JP3975435B2 - 減衰能に優れる鋳包み部材 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、減衰能に優れる鋳包み部材及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
高速回転で使用される歯車には炭素鋼や合金鋼などの鋼材が使用され、特に振動や騒音を低減する必要のある歯車については、減衰能を向上する手段がいままで種々研究されてきている。
【0003】
例えば、実開昭60−73962号公報には、歯車の歯部を焼き入れ可能な強靱鋼で、また、歯車のボス部を鋳鉄で構成すると共に、歯部とボス部を鋳包みや圧入の手段で一体構造とする接合型歯車の開示がある。この実開昭60−73962号公報によれば、歯車自体の強度を歯部の強靱鋼で確保し、歯部で発生した振動をボス部の減衰特性の優れた鋳鉄で減衰し、歯車からシャフト部への振動伝播を低減できるとしている。
【0004】
また、本出願人も特開2001−124180号公報として、歯部を鋼材とし、また、ボス部を比較的減衰能を有する片状黒鉛鋳鉄、バーミキュラ鋳鉄または球状黒鉛鋳鉄として、歯部とボス部とを摩擦圧接することで、運転時の騒音を低下させ、自動車用のタイミングギヤなどに適用する複合歯車を開示している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
近年、歯車などでの振動や騒音を低減するため、更に減衰能に優れる鋳包み部材が求められている。しかしながら、前記実開昭60−73962号公報に記載されるような、強靱鋼の歯部を鋳鉄のボス部で単に鋳包み一体とした歯車では、鋳鉄からなるボス部がもつ減衰能を超えて更に減衰能を向上することはできない。また、前記特開2001−124180号公報に記載されるような、歯部を鋼材とし、ボス部を片状黒鉛鋳鉄、バーミキュラ鋳鉄または球状黒鉛鋳鉄として摩擦圧接した歯車でも、鋳鉄からなるボス部がもつ減衰能を超えて更に減衰能を向上することはできない。
【0006】
ところで、被鋳包み材を、鋳包み材で、両者の界面全体に空隙なく一体に接合するには、接合部の界面を化学的に反応させる、或いは相互の構成原子が拡散し合うような状態としなければならない。このためには、(社)鋳造工学会刊「鋳物」第64巻(1992)第4号第262頁に記載のように、例えば、被鋳包み材が鋼材で、鋳包み材が鋳鉄の場合には、被鋳包み材に対して体積比で16倍以上の鋳包み材となる鋳鉄溶湯を注入して、被鋳包み材と鋳包み材との温度差を減少させる必要がある。しかし、被鋳包み材に対して体積比16倍以上の鋳鉄溶湯が必要とするような鋳包み部材では、注入歩留が悪く製造コストを上昇させる。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたもので、一般に減衰能が良いとされる片状黒鉛鋳鉄や球状黒鉛鋳鉄などの鋳包み材がもつ減衰能を超えて更に減衰能を向上させ、これを歯車やスプロケットホイールなどに適用できる鋳包み部材及びその製造方法を得ることにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋳造により作製される鋳包み部材について、被鋳包み材と鋳包み材の界面と減衰能との関係について鋭意研究した。そして、両者の界面が連続しない空隙を有して接触していると、片状黒鉛鋳鉄や球状黒鉛鋳鉄などの鋳包み材がもつ減衰能を超えて更に減衰能が向上するとの知見を得、本発明に想到した。
【0009】
即ち、本発明の減衰能に優れる鋳包み部材は、鋳造により作製される鋳包み部材であって、被鋳包み材及び鋳包み材よりも優れた減衰能を有することを特徴とし、また、被鋳包み材と鋳包み材との界面で、減衰能が発生するように、前記界面を構成したことを特徴とする。また、被鋳包み材と鋳包み材の界面が、連続しない空隙を有して接触していることを特徴とする。なお、本発明においては、界面とは、空隙(部分)と接触(部分)とを含めて界面と言う。
【0010】
従来の、単に鋳造により鋳包み一体としたり、摩擦圧接などの方法で、2つの材料の接合部の界面を化学的に反応させる、或いは相互の構成原子が拡散し合うような状態とした場合、2つの材料の界面は全体に空隙なく一体に接合することとなる。この場合、作製される部材は、2つの材料のうち、減衰能の優れる何れか一方の材料の減衰能を超えて更に減衰能が向上することは期待できない。一方、本発明の鋳包み部材は、被鋳包み材と鋳包み材との界面を、連続しない空隙を有して接触した構成とすることで、界面に減衰能を発生させ、一般に減衰能が良いとされる片状黒鉛鋳鉄や球状黒鉛鋳鉄鋳鉄などがもつ減衰能を超えて更に減衰能が向上する。
【0011】
本発明で、被鋳包み材と鋳包み材の界面に減衰能が発生するのは、空隙部分と接触部分とを交互に形成することで、鋳包み部材の振動時に、両者の界面にクーロン摩擦を生じ、この摩擦により振動エネルギーが熱エネルギーに変換されて、振動減衰効果を発生しているものと考えられる。
【0012】
このように、本発明の減衰能に優れる鋳包み部材は、被鋳包み材と鋳包み材との界面で、減衰能が発生するように、前記界面を構成しているので、被鋳包み材及び鋳包み材のうち何れか一方よりも優れた減衰能を有する鋳包み部材が得られる。
【0013】
また、本発明の減衰能に優れる鋳包み部材は、前記空隙が、界面との直角方向の平均で5〜1000μmであることを特徴とする。空隙が平均で5μm未満であると、被鋳包み材を鋳包み材で単に鋳包み一体とした、即ち両者の界面全体に空隙なく一体に接合した鋳包み部材がもつ減衰能と同等である。一方、空隙が平均で1000μmを超えると、接触が少なくなって強度不足になるおそれがある。
【0014】
また、本発明の鋳包み部材は、前記被鋳包み材に突起部が形成され、該突起部が鋳包み材で鋳包まれていることを特徴とする。これにより、例えば凹凸や山谷などで互いに係合し、界面全体のうち、少なくとも突起部の界面は一体に接合した鋳包み部材となり、動力を発生したり、伝達する装置の部材に適用できる。
【0015】
また、本発明の鋳包み部材において、前記被鋳包み材が鋼材からなり、前記鋳包み材が鋳鉄または鋳鋼からなることを特徴とする。高強度を要求される部位を被鋳包み材として鋼材で構成し、減衰能を要求される部位を鋳包み材として鋳鉄または鋳鋼で構成することで高強度と高減衰能とを確保した鋳包み部材となる。
【0016】
また、本発明の鋳包み部材において、前記鋳包み材が球状黒鉛鋳鉄からなることを特徴とする。これにより、従来用いられていた片状黒鉛鋳鉄より鋳包み部材全体が高強度となる。
【0017】
また、本発明の鋳包み部材は、前記鋳包み部材が歯車またはスプロケットホイールであることを特徴とする。歯部を鋼材からなる被鋳包み材とし、また、ボス部を鋳鉄からなる鋳包み材として、両者の界面を連続しない空隙を有して接触するようにした歯車は、片状黒鉛鋳鉄、球状黒鉛鋳鉄鋳鉄などで単に鋳包み一体とした歯車がもつ減衰能を超えて更に減衰能が向上する。一方、スプロケット部を鋼材からなる被鋳包み材とし、また、ボス部を鋳鉄からなる鋳包み材として、上述の本発明の歯車と同様に構成したスプロケットホイールにおいても、単に鋳包み一体としたスプロケットホイールがもつ減衰能を超えて更に減衰能が向上する。そして、自動車、二輪車、電車などの産業機械の動力発生装置や動力伝達装置などの歯車(例えばアイドラーギア)またはスプロケットホイールに適用できる。
【0018】
次に、本発明の減衰能に優れる鋳包み部材の製造方法は、被鋳包み材の界面となる表面粗さを平均で0.3μmRa以上として、鋳型に配置し、鋳包み材で鋳包むことを特徴とする。
【0019】
被鋳包み材の表面のうち、鋳包み後に、少なくとも被鋳包み材と鋳包み材との界面となる表面に、例えばショットブラストやコイニング、化学処理などで表面処理を施して、表面粗さを平均で0.3μmRa以上とする。次に、被鋳包み材を鋳型に配置して、鋳包み材となる溶湯を注入して鋳包むと、被鋳包み材及び鋳包み材が冷却されるに従い、界面が連続しない空隙を有して接触する。なお、被鋳包み材の界面となる表面粗さが平均で0.3μmRa未満では、空隙なしで全面接触するので、片状黒鉛鋳鉄または球状黒鉛鋳鉄がもつ減衰能を超える減衰能は得られない。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(実施例)
図1は、本発明の実施例での歯車に適用する鋳包み部材であり、(a)は平面図、(b)はA−A断面図、(c)は両者の界面の部分拡大模式図を示す。図1(a)(b)で、鋳包み部材10は、機械構造用合金鋼(JIS)SCM415からなる被鋳包み部材11が、(JIS)FCD370相当の球状黒鉛鋳鉄からなる鋳包み材12で鋳包まれている。被鋳包み材11は、外径d11が130mm、内径e11が85mm、幅f11が25mmの環状部11aと、この環状部11aの内方に、幅g11が12mm、幅h11が5mm、厚さi11が6mm、突起量j11が14mmの突起部11bを略等配に4個形成されている。一方、鋳包み材12の内径k12は30mmとしている。また、後述するが、図1(c)に示すように、被鋳包み材11と鋳包み材12の界面13は、連続しない空隙13aを有して接触13bしている。
【0021】
図1の鋳包み部材10は、次のようにして数個作製した。先ず、被鋳包み材11にスチールショットによるブラスト処理を行い、鋳包み後に、被鋳包み材11と鋳包み材12との界面となる表面の表面粗さを平均で0.3μmRa以上となるようにした。次に、被鋳包み材11を鋳包み材12で鋳包むための鋳型を準備した。図2はその鋳型20であり、(a)は要部断面図、(b)は(a)のC−C断面を示す。鋳型20は、下型21、下中子22、上中子23、上型24、及び被鋳包み材11で構成し、以下に示す構造とした。下型21には溶湯通路M2、M6を形成した。また、下型21に収納する下中子22には溶湯通路M3、M4、M5、M7を形成し、被鋳包み材11を配置した。また、下中子22と型あわせする上中子23には、溶湯通路M8を設けると共に、被鋳包み材11と幅木23aとでキャビティ(12)を形成した。また、下型21、上中子23と型あわせする上型24には湯口24a、溶湯通路M1、吐かせ24bを形成した。
【0022】
そして、型あわせした鋳型20の湯口24aに、鋳包み材12となる(JIS)FCD370相当の球状黒鉛鋳鉄の溶湯を1360〜1500℃の範囲で注湯した。そして、湯口24aに注入した溶湯を、以下のように各溶湯通路を流し、吐かせ24bまで流出させた。先ず、湯口24aから注入した溶湯を、溶湯通路M1〜M2に、更に溶湯通路M3に上げ、そして溶湯通路M4を周遊させた。そして、周遊する間、被鋳包み材11の側面11e下部に当てた溶湯で、被鋳包み材11を加熱した。次に、溶湯を、溶湯通路M5で一旦集合させた後、下型21に降ろして、再度分配し、各溶湯通路M6を周遊させた。次に、溶湯通路M6からキャビティ(12)に連通する溶湯通路M7から、被鋳包み材11の各突起部11bに向けて溶湯を流入させ、突起部11bを加熱すると共にキャビティ(12)を充填させた。そして、充填した余分の溶湯を、溶湯通路M8から吐かせ24bまで流出させた。なお、注入した全溶湯は、鋳包み材11に対して約3倍であり、注入歩留は良かった。
【0023】
従来、鋳造で鋳包み部材を作製する場合、被鋳包み材と鋳包み材との界面に空隙の形成がなく界面全体を拡散接合することを狙って、鋳包み材となる溶湯を大量に注入していた。本発明によれば、被鋳包み材と鋳包み材との界面が連続しない空隙を有して接触していればよいので鋳包み材となる溶湯の必要量は少なくてすむ。くわえて、動力を発生したり、伝達する装置の部材に適用するため被鋳包み材に突起部を形成し、この突起部を鋳包み材と接合させる場合、本実施例の鋳型20によれば、溶湯を、溶湯通路M4を周遊させながら被鋳包み材11に直接接触させ被鋳包み材11全体を加熱した上で、溶湯通路M7から流入させて各突起部11bを加熱しているので、鋳包み材となる溶湯量を更に少なくできる。これにより、従来、例えば、被鋳包み材が鋼材で鋳包み材が鋳鉄では、鋳包み材となる鋳鉄溶湯は被鋳包み材に対して体積比で16倍以上必要だったのに対し、本発明によれば鋳鉄溶湯は約3倍で足り、約1/5以下と大幅に少なくてすみ、注入歩留が良く製造コストを低く抑えることができる。
【0024】
次に、鋳型20を型ばらしして凝固後の鋳包み部材となる素材を取り出し、砂落としや不要部の除去などの後処理を施し、図1の鋳包み部材10を作製した。次に、鋳包み部材10のなかの数個について、界面13を含めて切断、研磨して、調査試料を作製し、これを顕微鏡で調査した。その結果を、図3に、鋳包み部材10の界面13の顕微鏡組織写真として示す。図3に見るように、被鋳包み材11と鋳包み材12の界面13は、連続しない空隙13aを有して接触13bしていた。そして空隙13aの幅(図1(c)のBで示す)は、界面13と直角方向の平均で5〜1000μmであった。
【0025】
(実施例の振動波形測定)
次に、残りの鋳包み部材10について、振動波形を測定した。図4は振動波形の測定装置30の模式図である。図4で、鋳包み部材10の内径k12に軸31を挿通した後、支点32、32で支持した。そして、被鋳包み材11の外径d11から10mmほど内側(×印で示す)をインパルスハンマ33で叩き、ICP電源34を経由してFFTアナライザー37に伝達させ、打撃時のインパルス電圧値を指標とする加振力と加振開始時刻を記録した。一方、被鋳包み材11のインパルスハンマ33で打撃する部位と対向する部位となる鋳包み材12の部位に加速度ピックアップ35を取り付けて、伝播してきた振動を検知し、レシーバー用アンプ36で増幅した。そして、FFTアナライザー37で加振後の経過時間に対する電圧値を指標とする振動波形を測定した。図5に実施例である鋳包み部材10の振動波形を示す。
【0026】
(比較例の作製とその振動波形測定)
一方、比較のため、被鋳包み材と鋳包み材の界面に空隙の形成がなく、界面全体が拡散接合された鋳包み部材を作製し、これを比較例1の鋳包み部材とした。比較例1の鋳包み部材は、界面全体が一体に接合され空隙のない以外は、実施例と同一形状、同一寸法とし、同一材種((JIS)SCM415からなる被鋳包み材と(JIS)FCD370からなる鋳包み材)から構成した。そして、比較例1について、実施例と同様に振動波形を測定した。図6(a)に比較例1の振動波形を示す。
【0027】
更に、鋳包み部材ではなく(JIS)FC150(片状黒鉛鋳鉄)、FCD370(球状黒鉛鋳鉄)、及びSCM415(機械構造用合金鋼)からなる各単一素材を、実施例の鋳包み部材10と同じ外径d11、内径k12、幅f11に作製して、各々比較例2、3、4とした。そして、比較例2、3、4についても、実施例と同様に振動波形を測定した。その結果を図6(b)〜(d)に示す。
【0028】
図5で、本発明の実施例の鋳包み部材10は、約0.04秒で振動波形が収束している。一方、図6(a)の比較例1の界面に空隙のない鋳包み部材は、約0.1秒で振動波形が収束し、(b)比較例2の片状黒鉛鋳鉄であるFC150単一素材は、約0.06秒、(c)比較例3の球状黒鉛鋳鉄であるFCD370単一素材は、約0.08秒、(d)比較例4の機械構造用合金鋼であるSCM415単一素材では、約0.1秒以上で各々振動波形が収束している。これにより、実施例の界面が連続しない空隙を有して接触している鋳包み部材10は、比較例1の界面に空隙のない鋳包み部材や、一般に減衰能が良いとされる比較例2の片状黒鉛鋳鉄の素材がもつ減衰能を超えて更に減衰能が優れていることがわかった。この結果から、実施例の鋳包み部材10は、振動の減衰が早く、振動の抑制効果があり減衰能に優れていることが確認された。
【0029】
(対数減衰率の比較)
次に、本発明の実施例の鋳包み部材10、比較例1の鋳包み部材、比較例2、3、4の各単一素材の振動波形の測定結果から対数減衰率を求めた。その結果を図7に示す。図7から、実施例の鋳包み部材10は、対数減衰率が約26×10−3となっていた。一方、比較例1の鋳包み部材は、対数減衰率が約9×10−3となっていた。これにより、実施例の界面が連続しない空隙を有して接触している鋳包み部材10は、比較例1の界面に空隙のない鋳包み部材がもつ減衰能を超えて更に減衰能が優れていることがわかった。
【0030】
また、図7で、実施例の鋳包み部材10は、比較例3の球状黒鉛鋳鉄であるFCD370単体素材、及び比較例4の機械構造用合金鋼であるSCM415単一素材がもつ減衰能を超えて減衰能が優れていることがわかった。更に、比較例2の片状黒鉛鋳鉄であるFC150単一素材の対数減衰率は約19×10−3となっていた。これにより、一般に減衰能が良いとされる比較例2の片状黒鉛鋳鉄の素材がもつ減衰能をも超えて更に減衰能が優れていることがわかった。
【0031】
以上の、振動波形の測定、及び対数減衰率の比較の結果から、実施例の鋳包み部材10は、一般に減衰能が良いとされる片状黒鉛鋳鉄や球状黒鉛鋳鉄などの鋳包み材がもつ減衰能を超えて更に減衰能が優れていることが確認された。また、図7で、比較例1の界面に空隙のない鋳包み部材の対数減衰率は、比較例3のFCD370単一素材の対数減衰率と殆ど同じであった。従って、空隙のない鋳包み部材では、減衰能を向上させる効果が少ないことがわかった。
【0032】
(被鋳包み材の表面粗さと対数減衰率)
次に、被鋳包み材11の表面のうち、鋳包み後に、被鋳包み材と鋳包み材との界面となる表面粗さ(μmRa)と対数減衰率との関係について調査した。その結果を図8に示す。図8から、被鋳包み材11の表面粗さが0.3μmRa以上の鋳包み部材は、対数減衰率が約18×10−3以上となり、表面粗さの値が大きくなるに従い対数減衰率も大きくなっていた。このことから、片状黒鉛鋳鉄や球状黒鉛鋳鉄などの鋳包み材がもつ減衰能を超える減衰能を得るには、被鋳包み材11の表面粗さが0.3μmRa以上必要なことがわかる。
【0033】
(実施例の歯車及びスプロケット)
本発明の実施例の鋳包み部材10を旋削加工の後、環状部11aに歯11cを創成して歯車とした。そして歯車同士を噛み合わせ回転させたところ、振動や騒音が低減されていることがわかった。
【0034】
なお、実施例の鋳包み部材10は外径d11が比較的小さいが、これを必要に応じて大きくした鋳包み部材10として、大型の歯車やスプロケットホイールとすることも可能である。また、鋳包み材は鋳鉄に限らず、鋳鋼でも同様に減衰能に優れる鋳包み部材が得られた。
【0035】
(その他の鋳型の実施例)
以上、本発明を好適に適用できる実施例について説明したが、製造する鋳包み部材のサイズが小さい場合、本発明の鋳包み部材の製造方法としては、図2に示す鋳型20に替えて、その他の鋳型の実施例として図9に示す鋳型50を用いてもよい。図9で(a)は鋳型50の要部断面図、(b)は(a)のD−D断面を示す。そして、被鋳包み部材41を機械構造用合金鋼(JIS)SCM415とし、外径60mm、内径50mm、幅12mmの環状部41aと、この環状部41aの内方に突起部41bを略等配に4個形成した。一方、鋳包み材42は(JIS)FC150相当の片状黒鉛鋳鉄とし、内径15mmとした。鋳型50は、下型51、下中子52、上中子53、上型54、及び被鋳包み材41で構成し、以下に示す構造とした。下型51には溶湯通路M52、M53を形成した。また、下型51に収納する下中子52には、被鋳包み材41の突起部41bに合わせて4つの溶湯通路M54を形成した。そして、あらかじめスチールショットによるブラスト処理を行い、鋳包み後に、被鋳包み材41と鋳包み材42との界面となる表面の表面粗さを平均で5μmRa以上にした被鋳包み材41を下型51に配置した。また、下中子52と型あわせする上中子53には、被鋳包み材41の突起部41bに合わせて溶湯通路M55を設けると共に、被鋳包み材41と幅木53aでキャビティ(42)を形成した。また、下型51、上中子53と型あわせする上型54には湯口54a、吐かせ54bを形成した。
【0036】
そして、型あわせした鋳型50の湯口54aに、(JIS)FC150相当の片状黒鉛鋳鉄の溶湯を1360〜1500℃の範囲で注湯した。そして、湯口54aに注入した溶湯を、以下のように各溶湯通路を流し、吐かせ54bまで流出させた。先ず、湯口54aから注入した溶湯を、溶湯通路M51からM52へ、M52からM53へ、そして溶湯通路M54に分配し、被鋳包み材41の各突起部41bに向けて溶湯を流入させ、突起部41bを加熱すると共にキャビティ(42)を充填させた。そして、充填した余分の溶湯を、溶湯通路M55から吐かせ54bに流出させた。なお、注入した全溶湯は、鋳包み材41に対して約2倍であり、注入歩留は良かった。
【0037】
次に、鋳包み部材となる素材を、型ばらしして取り出し、後処理を施した。得られた鋳包み部材について、前述の実施例と同様に、界面を顕微鏡で調査した。この結果、被鋳包み材と鋳包み材の界面は連続しない空隙を有して接触しており、空隙の幅は界面と直角方向の平均で5〜1000μmであることが確認された。また、前述の実施例と同様に、振動波形の測定、及び対数減衰率の比較を行った結果、実施例の鋳包み部材10と同様、一般に減衰能が良いとされる片状黒鉛鋳鉄や球状黒鉛鋳鉄などの鋳包み材がもつ減衰能を超えて更に減衰能が優れていることが確認された。さらに、鋳型50により得られた鋳包み部材を旋削加工後、環状部に歯切りを施し歯車とした。そして歯車同士を噛み合わせ回転させたところ、振動や騒音が低減されていることがわかった。
【0038】
製造する鋳包み部材のサイズが小さい場合、他の鋳型の実施例である鋳型50により鋳包み部材を作製すれば、前述の図2に示す鋳型20のように、溶湯を周遊して、被鋳包み材に接触させるための溶湯通路M4が不要である。これにより、鋳包み材となる鋳鉄溶湯は、被鋳包み材に対して体積比で約2倍で足り、従来に較べて約1/8と少なくてすみ注入歩留が更に良くなる。また、周遊のための溶湯通路を形成する作製工数も低減できることから、製造コストを低減できる。
【0039】
以上、本発明の実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではなく、この発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能なものである。上記実施例においては、鋳包み部材の材種として、被鋳包み材が鋼材で、鋳包み材が鋳鉄の場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば、被鋳包み材を耐摩耗Cu合金、鋳包み材を減衰能が良いとされるMn−Cu系合金として鋳包み部材とし、工作機械等の歯車などに適用することもできる。
【0040】
また、上記実施例では、本発明の鋳包み部材の歯車やスプロケットホイールへの適用について説明したが、振動や騒音に対する減衰能を要求され、鋳包みが可能な部材であれば、例えば、プーリーや各種のローラーなどへの適用も可能である。
【0041】
また、上記実施例では、歯部やスプロケット部となる外周側を高強度の被鋳包み材とし、軸側となるボス部を減衰能の良い鋳包み材とする場合について説明したが、これに限定されるものではなく、軸側となるボス部に高強度が要求される場合などには、これを被鋳包み材とし、外周側を減衰能の良い鋳包み材としてもよい。この場合、被鋳包み材に形成する突起部は上記実施例とは異なり、被鋳包み材の外周から外方に向けて形成すればよい。
【0042】
また、上記実施例では、被鋳包み材に突起部を略等配に4個形成したものについて説明したが、突起部の数と配置は、これに限定されるものではなく、等配でなくてもよく、また、4個未満でもよい。さらに、被鋳包み材に突起部が形成され、該突起部が鋳包み材で鋳包まれている場合について説明したが、これに限定されるものではなく、被鋳包みに開孔部を設け、鋳造の際、この開孔部に鋳包み材となる溶湯を注入して、該開孔部が鋳包み材で鋳包まれるように構成することもできる。要は、鋳包み部材としての機能を満足するために必要な、被鋳包み材と鋳包み材との接合強度を確保できればよく、種々設計の変更が可能である。
【発明の効果】
以上、詳細の説明のとおり、本発明の鋳包み部材及びその製造方法によれば、一般に減衰能が良いとされる片状黒鉛鋳鉄や球状黒鉛鋳鉄などの鋳包み材がもつ減衰能を超えて更に減衰能を向上させ、これを歯車、スプロケットホイールなどに適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例での歯車に適用する鋳包み部材であり、(a)は平面図、(b)はA−A断面図、(c)は界面の部分拡大模式図を示す。
【図2】被鋳包み材を鋳包み材で鋳包むための鋳型であり、(a)は要部断面図、(b)は(a)のC−C断面を示す。
【図3】実施例での鋳包み部材の界面の顕微鏡組織写真(×10)である。
【図4】振動波形の測定装置の模式図である。
【図5】実施例での鋳包み部材の振動波形の記録である。
【図6】各比較例1、2、3、4の振動波形の記録である。
【図7】実施例、比較例1、2、3、4の振動波形から求めた対数減衰率の図である。
【図8】被鋳包み材の表面粗さ(μmRa)と対数減衰率との関係を示す図である。
【図9】その他の鋳型の実施例での被鋳包み材を鋳包み材で鋳包むための鋳型であり、(a)は要部断面図、(b)は(a)のD−D断面を示す。
【符号の説明】
10:鋳包み部材
11、41:被鋳包み材
11a、41a:環状部
11b、41b:突起部
11e:側面
12、42:鋳包み材
(12)、(42):キャビティ
13:界面
13a:連続しない空隙
13b:接触
20、50:鋳型
21、51:下型
22、52:下中子
23、53:上中子
23a、53a:幅木
24、54:上型
24a、54a:湯口
24b、54b:吐かせ
30:振動波形の測定装置
31:軸
32:支点
33:インパルスハンマ
34:ICP電源
35:加速度ピックアップ
36:レシーバー用アンプ
37:FFTアナライザー
d11:外径
e11、k12:内径
f11、g11、h11:幅
i11:厚さ
j11:突起量
M1〜M8、M51〜M55:溶湯通路

Claims (6)

  1. 鋳造により作製される鋳包み部材であって、被鋳包み材と鋳包み材との界面が、連続しない空隙を有して接触していることを特徴とする減衰能に優れる鋳包み部材。
  2. 前記空隙が、界面と直角方向の平均で5〜1000μmであることを特徴とする請求項1に記載の減衰能に優れる鋳包み部材。
  3. 前記被鋳包み材に突起部が形成され、該突起部が鋳包み材で鋳包まれていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の減衰能に優れる鋳包み部材。
  4. 前記被鋳包み材が鋼材からなり、前記鋳包み材が鋳鉄または鋳鋼からなることを特徴とする請求項1乃至請求項3何れかに記載の減衰能に優れる鋳包み部材。
  5. 前記鋳包み材が球状黒鉛鋳鉄からなることを特徴とする請求項4に記載の減衰能に優れる鋳包み部材。
  6. 前記鋳包み部材が歯車またはスプロケットホイールであることを特徴とする請求項1乃至請求項5何れかに記載の減衰能に優れる鋳包み部材。
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