JPWO2019078300A1 - 硬化性樹脂組成物、ワニス、プリプレグ、硬化物、及び、積層板または銅張積層板 - Google Patents

硬化性樹脂組成物、ワニス、プリプレグ、硬化物、及び、積層板または銅張積層板 Download PDF

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Abstract

溶剤溶解性に優れ、耐熱性、熱分解特性、誘電特性、吸水特性、耐薬品性に優れ、電子機器用プリント配線板や航空宇宙分野で使用される繊維強化複合材料に適した硬化物が得られる硬化性樹脂組成物を提供する。マレイミド樹脂(A)、及び下記式(1)で表されるベンゾオキサジン樹脂(B)を含有する硬化性樹脂組成物。【化1】(式(1)中、nは繰り返し数の平均値であり、1〜10の実数を表す。R1〜R8はそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基又はアリール基のいずれかを表す。R3〜R7がそれぞれ複数存在する場合、それぞれのR3〜R7は互いに同一であっても異なっていてもよい。R9、R10はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、アリル基又はアルコキシ基のいずれかを表す。R9、R10がそれぞれ複数存在する場合、それぞれのR9、R10は互いに同一であっても異なっていてもよい。点線はベンゼン環が形成されていてもよいことを表す。)

Description

本発明はマレイミド樹脂とベンゾオキサジン樹脂を含有する硬化性樹脂組成物、ワニス、プリプレグ、硬化物、及び、積層板または銅張積層板に関する。詳しくは、電気電子部品用絶縁材料、半導体封止材料用途、積層板(プリント配線板、ビルドアップ基板など)、CFRPを始めとする各種複合材料、接着剤、塗料等において有用なマレイミド樹脂とベンゾオキサジン樹脂を含有する硬化性樹脂組成物及びそれらの硬化物に関する。
熱硬化性樹脂であるエポキシ樹脂は種々の硬化剤で硬化させることにより、一般的に機械的性質、耐水性、耐薬品性、耐熱性、電気的性質などに優れた硬化物となり、接着剤、塗料、積層板、成形材料、注型材料、封止材料などの幅広い分野に利用されている。近年、電気・電子部品を搭載する積層板はその利用分野の拡大により、要求特性が広範かつ高度化している。
近年、特にパワー半導体の高機能化に伴い、次世代デバイスとしてSiC(炭化珪素)やGaN(窒化ガリウム)などのワイドバンドギャップデバイスが注目されている。SiCやGaNパワー半導体デバイスを用いると小型化による省スペース化や、大幅な損失低減が可能となるため、SiCやGaNデバイスの早期普及が望まれている。しかしながら、その特性を引き出すための駆動温度は200℃以上(250℃付近)と高いため、周辺材料の耐久性が十分でなく、この駆動条件に耐えうる樹脂材料の開発が求められている(特許文献1)。そのため、このような用途においては200℃以上の耐熱性(ガラス転移温度)だけでなく、熱安定性も重要視され、200℃付近から熱分解が始まるエポキシ樹脂の使用は困難とされている。
更に、近年特に注目されているのはこれら電子デバイスにおける高速通信化である。高周波基板はもとより、スマートフォンやタブレットの情報通信量が非常に多くなり、いかに早く多くの情報を伝えるかということが重要となってきている。高速通信化はパッケージ基板に対して重要なファクターとなることから誘電特性、特に誘電正接が重要視される。一般のエポキシ樹脂硬化物(樹脂のみ)の誘電正接は0.02〜0.04(1GHzでの測定)であるのに対し、要求されている誘電正接は0.009以下であり、誘電正接の特性も満たす材料の開発が急務となっている。
そこで、耐熱性の高いマレイミド樹脂と強靭性の高いベンゾオキサジン樹脂を配合する検討が行われている。特許文献2ではビスフェノールF骨格のベンゾオキサジン樹脂とマレイミド樹脂の混合物を用いて、耐熱性を向上させることについて記載されている。
また、パッケージの製造に用いられるプリント配線板において、異なる層の導体パターン同士の導通を行うために、ドリル加工やレーザ加工による穴あけが行われているが、この穴あけの際に穴の内部に樹脂スミアが発生する。そのため、このような樹脂スミアを除去するためのデスミア処理が必須である。デスミア処理は、例えば、過マンガン酸カリウム等の過マンガン酸塩を用いて行われている。
日本国特開2017−128782号公報 日本国特開2012−97207号公報
しかしながら、特許文献2に記載の技術では、誘電正接の特性について充分に満足の得られるものではない。
また、デスミア処理で除去される樹脂スミアの量(デスミアエッチング量)が多いと穴の変形や銅箔のはがれなどが発生し、導通信頼性低下の原因となるため、デスミアエッチング量を少なくするために、耐薬品性(耐酸、耐アルカリ性及びデスミア液耐性)が必要となる。
本発明は、この様な状況に鑑みてなされたものであり、溶剤溶解性に優れ、その硬化物が耐熱性、熱分解特性、吸水特性、誘電特性、耐薬品性に優れた、マレイミド樹脂とベンゾオキサジン樹脂を含有する硬化性樹脂組成物、ワニス、プリプレグ、硬化物、及び、積層板または銅張積層板を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討した結果、マレイミド樹脂と特定構造のベンゾオキサジン樹脂を含有する硬化性樹脂組成物が、溶剤溶解性に優れ、その硬化物が耐熱性、熱分解特性、吸水特性、誘電特性、耐薬品性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
[1]マレイミド樹脂(A)、及び下記式(1)で表されるベンゾオキサジン樹脂(B)を含有する硬化性樹脂組成物、
Figure 2019078300
(式(1)中、nは繰り返し数の平均値であり、1〜10の実数を表す。R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基又はアリール基のいずれかを表す。R〜Rがそれぞれ複数存在する場合、それぞれのR〜Rは互いに同一であっても異なっていてもよい。R、R10はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、アリル基又はアルコキシ基のいずれかを表す。R、R10がそれぞれ複数存在する場合、それぞれのR、R10は互いに同一であっても異なっていてもよい。点線はベンゼン環が形成されていてもよいことを表す。)
[2]前記式(1)におけるR〜Rが水素原子である前項[1]に記載の硬化性樹脂組成物、
[3]前記マレイミド樹脂(A)として芳香族マレイミド樹脂及び脂肪族マレイミド樹脂から選ばれる1種以上の樹脂を含有する前項[1]又は[2]に記載の硬化性樹脂組成物、
[4]さらにシアネートエステル樹脂を含有する前項[1]乃至[3]のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物、
[5]前項[1]乃至[4]のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物、
[6]前項[1]乃至[4]のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を溶媒に溶かしたワニス、
[7]前項[6]に記載のワニスを基材に含浸させてなるプリプレグ、
[8]前項[7]に記載のプリプレグを硬化してなる硬化物、
[9]前項[7]に記載のプリプレグを使用して得られる積層板または銅張積層板、
に関するものである。
本発明の硬化性樹脂組成物は溶剤溶解性に優れ、その硬化物が耐熱性、熱分解特性、吸水特性、誘電特性、耐薬品性に優れるため電気電子部品用絶縁材料、半導体封止材料用途、積層板(プリント配線板、ビルドアップ基板など)、CFRPを始めとする各種複合材料、接着剤、塗料等に有用である。
合成例2で得られたベンゾオキサジン樹脂のH−NMR分析の結果を示す。 合成例3で得られたベンゾオキサジン樹脂のH−NMR分析の結果を示す。 実施例10、比較例4及び5の樹脂組成物のMDSC測定結果を示す。
本発明の硬化性樹脂組成物はマレイミド樹脂(A)を含有する。
本発明で用いられるマレイミド樹脂(A)は、マレイミド基を分子中に1個以上含有する化合物であり、公知のものを使用することができる。例えば、脂肪族/脂環族マレイミド樹脂、芳香族マレイミド樹脂等が挙げられる。
本発明に用いられるマレイミド樹脂(A)の具体例としては、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−ヘキシルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、マレイミドカルボン酸、N−フェニルマレイミド、N−メチルフェニルマレイミド、3,4,4’−トリアミノジフェニルメタン、トリアミノフェノールなどと無水マレイン酸との反応で得られる多官能マレイミド化合物、トリス−(4−アミノフェニル)−ホスフェート、トリス(4−アミノフェニル)−ホスフェート、トリス(4−アミノフェニル)−チオホスフェートと無水マレイン酸との反応で得られるマレイミド化合物、トリス(4−マレイミドフェニル)メタン等のトリスマレイミド化合物、ビス(3,4−ジマレイミドフェニル)メタン、テトラマレイミドベンゾフェノン、テトラマレイミドナフタレン、トリエチレンテトラミンと無水マレイン酸との反応で得られるマレイミド等のテトラマレイミド化合物、フェノールノボラック型マレイミド樹脂、イソプロピリデンビス(フェノキシフェニルマレイミド)フェニルマレイミドアラルキル樹脂、式(2)で表されるビフェニレン型フェニルマレイミドアラルキル樹脂、式(3)又は式(4)で表されるポリマレイミドで表されるポリマレイミド、ベンゼンジアルデヒドとアニリンとの縮合により得られるポリアニリンのポリマレイミド等である。また、これらのポリマレイミドに芳香族のジアミンを付加させたポリアミノポリマレイミド樹脂を用いることもできる。更にノボラック型のマレイミド樹脂は分子量分布を有するためワニス安定性が高く、ベンゾオキサジン樹脂との混練に適している。これらは市販のものを使用してもよく、公知の方法も用いて製造することもできる。
Figure 2019078300
(式(2)中、複数存在するR21はそれぞれ独立して存在し、炭素数1〜10のアルキル基もしくは芳香族基を表す。aは0〜4を表し、bは0〜3を表す。naは繰り返し数の平均値であり、1〜5の実数を表す。)
Figure 2019078300
(式(3)中、Aは炭素数1〜5のアルキレン基若しくはアルキリデン基、エーテル基、スルフィド基、スルホニル基、ケトン基、単結合を表し、R22はそれぞれ独立して存在し、水素原子、炭素数1〜5の脂肪族炭化水素基又はハロゲン原子を表す。)
Figure 2019078300
(式(4)中、複数存在するR23はそれぞれ独立して存在し、炭素数1〜10のアルキル基もしくは芳香族基を表す。aは0〜4を表し、bは0〜3を表す。nは繰り返し数の平均値であり、0.01〜8の実数を表す。Zは1〜8の炭素原子を有する有機基を表す。)
なお、式(2)のna及び式(4)のnの値はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定により求められた重量平均分子量の値から算出することが出来る。具体的には下記計算式により算出する。
a=[(重量平均分子量)−(na=1体の分子量)]÷[(na=2体の分子量)−(na=1体の分子量)]+1
=[(重量平均分子量)−(n=0体の分子量)]÷[(n=1体の分子量)−(n=0体の分子量)]+1
なお、本発明におけるGPC測定は下記条件にて行った。
カラム:Shodex KF−603、KF−602.5、KF−602、KF−601x2
連結溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.5ml/min.
カラム温度:40℃
検出:RI(示差屈折検出器)
本発明に用いられるマレイミド樹脂としては、耐熱性、熱分解特性の観点から、芳香族マレイミド化合物が好ましく、更に好ましくは上記式(2)〜(4)で示されるポリマレイミド、ベンゼンジアルデヒドとアニリンとの縮合により得られるポリアニリンのポリマレイミドである。また、これらのポリマレイミドに芳香族ジアミンを付加させたポリアミノポリマレイミド樹脂を用いることもできる。
これらのマレイミド樹脂は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用して用いてもよい。芳香族マレイミド樹脂と脂肪族マレイミド樹脂を併用して用いてもよい。
本発明においては特に耐熱性(ガラス転移点)および/または弾性率の面から芳香族マレイミド樹脂が好ましく、官能基を一分子中に2つ以上有するマレイミド樹脂との組み合わせが好ましい。
本発明において用いられるマレイミド樹脂は融点または軟化点を有するものを用いることができる。融点を有する場合は200℃以下が好ましく、また軟化点を有する場合は150℃以下であることが好ましい。融点や軟化点が高温すぎる場合、混合の際にゲル化の可能性が高くなるため好ましくない。
本発明の硬化性樹脂組成物は下記式(1)で表されるベンゾオキサジン樹脂(B)を含有する。
Figure 2019078300
式(1)中、nは繰り返し数の平均値であり、1〜10の実数を表す。R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基又はアリール基のいずれかを表す。R〜Rがそれぞれ複数存在する場合、それぞれのR〜Rは互いに同一であっても異なっていてもよい。R、R10はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、アリル基又はアルコキシ基のいずれかを表す。R、R10がそれぞれ複数存在する場合、それぞれのR、R10は互いに同一であっても異なっていてもよい。点線はベンゼン環が形成されていてもよいことを表す。
式(1)のR〜R、及びR、R10が表す炭素数1〜8のアルキル基とは、直鎖、分岐鎖又は環状のアルキル基の何れにも限定されず、その具体例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、tert−ブチル基、sec−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、シクロペンチル基及びシクロヘキシル基等が挙げられるが、炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であることが好ましく、炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルキル基であることがより好ましい。
式(1)のR〜R、及びR、R10が表すアリール基とは、芳香族炭化水素から水素原子を一つ除いた残基であり、その具体例としてはフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基及びベンゾピレニル基等が挙げられる。
式(1)のR、R10が表すアルコキシ基とは、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、iso−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、n−ペントキシ基、n−ヘキシルオキシ基、n−ヘプチルオキシ基、シクロペントキシ基及びシクロヘキシルオキシ基等が挙げられるが、炭素数1〜8の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基であることが好ましく、炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルコキシ基であることがより好ましい。
式(1)のR〜Rとしては、それぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基であることが好ましく、それぞれ独立に水素原子、臭素原子又は炭素数1〜4の直鎖のアルキル基であることがより好ましく、水素原子であることが更に好ましい。
式(1)のR、R10としては、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルキル基、フェニル基、アリル基、炭素数1〜4の直鎖若しくは分岐鎖のアルコキシ基であることが好ましく、水素原子、メチル基、フェニル基、アリル基、メトキシ基であることがより好ましく、水素原子であることが更に好ましい。
式(1)のnは繰り返し数の平均値を表し、通常1〜10の実数であり、好ましくは1〜5の実数である。nの値はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)の測定により求められた重量平均分子量の値から算出することが出来る。具体的には下記計算式により算出する。
n=[(重量平均分子量)−(n=1体の分子量)]÷[(n=2体の分子量)−(n=1体の分子量)]+1
なお、本発明におけるGPC測定は下記条件にて行った。
カラム:Shodex KF−603、KF−602.5、KF−602、KF−601x2
連結溶離液:テトラヒドロフラン
流速:0.5ml/min.
カラム温度:40℃
検出:RI(示差屈折検出器)
また、式(1)で表されるベンゾオキサジン樹脂としては、式(1)中のビフェニル構造に結合する二つのメチレン基の結合位置が4,4’であるもの、即ち下記式(5)で表されるベンゾオキサジン樹脂がより好ましい。
Figure 2019078300
式(5)におけるn及びR〜R10は前記式(1)におけるn及びR〜R10と同じ意味を表す。点線はベンゼン環が形成されていてもよいことを表す。
本発明の式(1)で表されるベンゾオキサジン樹脂は、例えば、式(6)で表されるアニリン化合物、式(7)で表されるフェノール化合物、及びアルデヒド化合物を原料に用いて、以下の反応式で表される公知の方法で合成することができる。尚、反応式中にはアルデヒド化合物の一例としてホルムアルデヒドを記載したが、パラホルムアルデヒドやベンズアルデヒド等を用いてもよい。
Figure 2019078300
式(6)におけるn及びR〜Rは前記式(1)におけるn及びR〜Rと同じ意味を表し、好ましい範囲も同じである。
Figure 2019078300
式(7)におけるR、R10は前記式(1)におけるR、R10と同じ意味を表し、好ましい範囲も同じである。点線はベンゼン環が形成されていてもよいことを表す。
Figure 2019078300
フェノール化合物の仕込み比率は、アニリン化合物のアミノ基1モルに対して0.5〜1.2モルであることが好ましく、0.75〜1.1モルであることがより好ましい。また、アルデヒド化合物の仕込み比率は、フェノール化合物1モルに対して1.7〜4.3モルであることが好ましく、1.8〜4.2モルであることがより好ましい。
反応は溶媒中で行っても無溶媒で行ってもよい。反応に用い得る溶媒は原料化合物を溶解し得るものであれば特に限定されず、例えばメチルエチルケトン、トルエン、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1,4−ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル及びエチレングリコールモノブチルエーテル等が挙げられる。これらの溶剤は一種で用いてもよく、混合して用いてもよい。
反応温度は60℃以上が好ましい。反応時間は特に限定されず、反応に用いた原料の残存量を確認することで反応の進行状況を見極めながら選択すればよい。
溶媒を用いた場合は、合成時に発生した縮合水、残存原料及び溶媒等を合成終了後に減圧下で除去することによりベンゾオキサジン樹脂を得ることができるが、自己重合性を有するため160℃以下での減圧蒸留が好ましい。
本発明において用いられるベンゾオキサジン樹脂(B)は融点または軟化点を有するものを用いることができる。融点を有する場合は200℃以下が好ましく、また軟化点を有する場合は150℃以下であることが好ましい。融点や軟化点が高温すぎる場合、混合の際にゲル化の可能性が高くなるため好ましくない。
以下に本発明の式(1)で表されるベンゾオキサジン樹脂の具体例を記載するが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。尚、具体例の構造式中のnは式(1)におけるnと同じ意味を表す。
Figure 2019078300
Figure 2019078300
Figure 2019078300
Figure 2019078300
本発明の硬化性樹脂組成物に含まれるベンゾオキサジン樹脂は、自己硬化性(硬化剤や重合触媒等の他の成分なしに開環重合(硬化)し得ることを意味する)を有する。即ち、硬化させる際に硬化触媒等が必要ないことに加え、重合過程において副生成物が発生しないので、ボイドのない寸法安定性の高い重合物(硬化物)を得ることができる。自己硬化の条件は、好ましくは200℃以上で数十分〜数時間程度である。
一般的にC−O結合と比較してC−N結合は結合エネルギーが小さいため、C−N結合のほうが熱分解しやすいことが知られている。そこでNに隣接した分子骨格が高分子量であると遊離を防ぐと考えられる。したがって分子量の大きいフェノール化合物と分子量の小さいアニリン化合物から合成したベンゾオキサジン樹脂と比較して分子量の大きいアニリン樹脂と分子量の小さいフェノール化合物から合成したベンゾオキサジン樹脂の方がアニリンの遊離を防ぐ構造になるため、熱分解特性の向上が期待できる。
本発明の硬化性樹脂組成物における、ベンゾオキサジン樹脂とマレイミド樹脂の配合量比については、特に限定されないが、ベンゾオキサジン樹脂10質量部に対し、マレイミド樹脂が0.1〜100質量部であることが好ましく、更に好ましくは1〜75質量部、特に好ましくは5〜50質量部である。
本発明の硬化性樹脂組成物は、必要に応じて硬化触媒、難燃剤、フィラー、添加剤等を配合することができる。
硬化触媒としては特に限定されるものではなく、公知のものを用いることができる。具体的には、金属錯体触媒、ホスフィン化合物、ホスホニウム塩を有する化合物、芳香族アミン化合物、無機酸、無機塩基、有機酸及び有機塩基等が挙げられる。
金属錯体触媒としては、一般に公知のものが使用できる。例えばコバルト、亜鉛、クロム、銅、鉄、マンガン、ニッケル、チタンなどの金属ナフテン酸塩、アセチルアセトナート、又その誘導体の塩、各種カルボン酸塩アルコキシド等の有機酸塩があり、これらを単独でも混合して使用しても良い。有機酸塩、塩化物、燐酸塩、亜燐酸塩、次亜燐酸塩、硝酸塩などの単独、または、それらの混合物等も金属錯体触媒の一例として挙げられる。
ホスフィン化合物としては、エチルホスフィン、プロピルホスフィン等のアルキルホスフィン、フェニルホスフィン等の1級ホスフィン;ジメチルホスフィン、ジエチルホスフィン等のジアルキルホスフィン、ジフェニルホスフィン、メチルフェニルホスフィン、エチルフェニルホスフィン等の2級ホスフィン;トリメチルホスフィン、トリエチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリオクチルホスフィン等のトリアルキルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン、トリフェニルホスフィン、アルキルジフェニルホスフィン、ジアルキルフェニルホスフィン、トリベンジルホスフィン、トリトリルホスフィン、トリ−p−スチリルホスフィン、トリス(2,6−ジメトキシフェニル)ホスフィン、トリ−4−メチルフェニルホスフィン、トリ−4−メトキシフェニルホスフィン、トリ−2−シアノエチルホスフィン等の3級ホスフィン等が挙げられる。
ホスホニウム塩を有する化合物としては、テトラフェニルホスホニウム塩、アルキルトリフェニルホスホニウム塩等を有する化合物が挙げられ、具体的には、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムテトラ−p−メチルフェニルボレート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が挙げられる。
芳香族アミン化合物としては、3級アミンやイミダゾール類が挙げられ、具体的には、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2,4−ジメチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、1−ビニル−2−メチルイミダゾール、1−プロピル−2−メチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、1−シアノメチル−2−メチル−イミダゾール、1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾール、1−シアノエチル−2−フェニルイミダゾール、ジアザビシクロウンデセン、ヒスチジン等が挙げられる。
無機酸、無機塩基、有機酸及び有機塩基等としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、ギ酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、p−トルエンスルホン酸、安息香酸、フェノール、アリルフェノール、メタリルフェノール、チオフェノール、ピリジン、トリアルキルアミン、ジアザビシクロウンデセン、ヒスチジン及びイミダゾール類等が挙げられ、塩酸、p−トルエンスルホン酸、安息香酸、フェノール、チオフェノールが好ましく、p−トルエンスルホン酸及び2−エチル−4−メチルイミダゾールがより好ましい。これらの添加剤は一種のみを用いても、二種以上を併用してもよい。
これら硬化触媒の配合量は、その種類や効果によって適正選択すればよいが、硬化性樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.001質量部以上10質量部以下であり、さらに好ましくは0.01質量部以上5質量部以下、特に好ましくは0.05質量部以上3質量部以下である。
難燃剤の具体例としては、臭素化合物、リン化合物、塩素化合物、金属水酸化物、アンチモン化合物等が挙げられる。
フィラーの具体例としては、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ、ケイソウ土、酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛、ろう石クレー、カオリンクレー、焼成クレー、カーボンブラック、ポリアミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリテトラフロロエチレン、ポリブタジエン及びこの変性物、アクリロニトリル共重合体の変性物、ポリフェニレンエーテル、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリイミド、フッ素樹脂等の各種形状の有機または無機の充填剤が挙げられる。これらの充填剤は一種のみを用いても、二種以上を併用してもよい。
添加剤の具体例としては、表面処理剤、反応遅延剤、色材、帯電防止剤、老化防止剤、酸化防止剤等が挙げられる。
表面処理剤の具体例としては、シランカップリング剤等が挙げられる。
反応遅延剤の具体例としては、アルコール系等の化合物が挙げられ、老化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系等の化合物が挙げられる。また、酸化防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)等が挙げられる。
色材の具体例としては、酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩等の無機顔料;アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、キナクリドンキノン顔料、ジオキサジン顔料、アントラピリミジン顔料、アンサンスロン顔料、インダンスロン顔料、フラバンスロン顔料、ペリレン顔料、ペリノン顔料、ジケトピロロピロール顔料、キノナフタロン顔料、アントラキノン顔料、チオインジゴ顔料、ベンズイミダゾロン顔料、イソインドリン顔料、カーボンブラック等の有機顔料等が挙げられる。
帯電防止剤としては、一般的に、第四級アンモニウム塩;ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体等の親水性化合物等が挙げられる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、さらにシアネートエステル樹脂を含有することが好ましい。本発明の硬化性樹脂組成物は、さらにシアネートエステル樹脂を含有することにより、上記の硬化触媒を使用しなくても、より低温での硬化が可能となる。
一般的に触媒は高価であるため、触媒を添加することなく、硬化性樹脂組成物を硬化させることがコストの面からは好ましい。また、触媒を多く入れ過ぎると、得られる硬化物の耐熱性や力学強度等の信頼性に影響を及ぼす。特にベンゾオキサジン樹脂、シアネートエステル樹脂、マレイミド樹脂に使用されることの多い金属錯体触媒は金属イオン成分を混入させるため、電子材料用途では、腐食の原因になり得る。
本発明の硬化性樹脂組成物に使用できるシアネートエステル樹脂としては、公知のシアネートエステル樹脂であれば特に限定されず、例えば、ノボラック型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールA型シアネートエステル樹脂、ビスフェノールE型シアネートエステル樹脂、テトラメチルビスフェノールF型シアネートエステル樹脂などのビスフェノール型シアネートエステル樹脂;ナフトールアラルキル型フェノール樹脂と、ハロゲン化シアンとの反応で得られるナフトールアラルキル型シアネートエステル樹脂;ジシクロペンタジエン型シアネートエステル樹脂;ビフェニルアルキル型シアネートエステル樹脂やフェノール類と各種アルデヒドとの重縮合物、フェノール類と各種ジエン化合物との重合物、フェノール類とケトン類との重縮合物及びビスフェノール類と各種アルデヒドの重縮合物などをハロゲン化シアンと反応させることにより得られるシアネートエステル樹脂が挙げられる。
上記フェノール類としては、フェノール、アルキル置換フェノール、芳香族置換フェノール、ナフトール、アルキル置換ナフトール、ジヒドロキシベンゼン、アルキル置換ジヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン等が挙げられる。
上記各種アルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アルキルアルデヒド、ベンズアルデヒド、アルキル置換ベンズアルデヒド、ヒドロキシベンズアルデヒド、ナフトアルデヒド、グルタルアルデヒド、フタルアルデヒド、クロトンアルデヒド、シンナムアルデヒド等が挙げられる。
上記各種ジエン化合物としては、ジシクロペンタジエン、テルペン類、ビニルシクロヘキセン、ノルボルナジエン、ビニルノルボルネン、テトラヒドロインデン、ジビニルベンゼン、ジビニルビフェニル、ジイソプロペニルビフェニル、ブタジエン、イソプレン等が挙げられる。
上記ケトン類としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノン等が挙げられる。
これらの中でもノボラック型シアネートエステル樹脂、ナフトールアラルキル型シアネートエステル樹脂が好ましく、ノボラック型シアネートエステル樹脂がより好ましい。ノボラック型シアネートエステル樹脂を用いることにより、得られる硬化物の架橋密度が増加し、耐熱性が向上するだけでなく、ベンゼン濃度の向上により、優れた熱分解特性や難燃性が期待できる。これらは単独で用いてもよく2種類以上を用いてもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物においてシアネートエステル樹脂を使用する場合、耐熱性の観点から、配合量の下限値はベンゾオキサジン樹脂10質量部に対し、0.1質量部が好ましく、更に好ましくは1質量部、特に好ましくは3質量部である。
また、ハンドリングの観点から、配合量の上限値はベンゾオキサジン樹脂10質量部に対し、100質量部が好ましく、更に好ましくは50質量部、特に好ましくは30質量部である。ベンゾオキサジン樹脂の配合量が多すぎると、ベンゾオキサジンと相分離をすることがある。
本発明の硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂等の共重合成分を含んでいてもよい。これらの共重合成分は一種のみを用いても、二種以上を併用してもよい。
これらの共重合成分の中でも、加熱により樹脂組成物中に生じるフェノール性水酸基との反応性を有するエポキシ樹脂、フェノール樹脂、を配合することが好ましく、エポキシ樹脂を配合することが特に好ましい。
配合し得るエポキシ樹脂としては、少なくとも1つのエポキシ基を有する化合物であれば特に限定されず、例えば、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ヘキサヒドロビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールA、ピロカテコール、レゾルシノール、クレゾールノボラック、フェノールノボラック、テトラブロモビスフェノールA、トリヒドロキシビフェニル、ビスレゾルシノール、ビスフェノールヘキサフルオロアセトン、テトラメチルビスフェノールF、ビキシレノール、ジヒドロキシナフタレン等の多価フェノールとエピクロルヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエーテル型;グリセリン、ネオペンチルグリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等の脂肪族多価アルコールとエピクロルヒドリンとの反応によって得られるポリグリシジルエーテル型;p−オキシ安息香酸、β−オキシナフトエ酸等のヒドロキシカルボン酸とエピクロルヒドリンとの反応によって得られるグリシジルエーテルエステル型;フタル酸、メチルフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラハイドロフタル酸、ヘキサハイドロフタル酸、エンドメチレンテトラハイドロフタル酸、エンドメチレンヘキサハイドロフタル酸、トリメリット酸、重合脂肪酸等のポリカルボン酸から誘導されるポリグリシジルエステル型;アミノフェノール、アミノアルキルフェノール等から誘導されるグリシジルアミノグリシジルエーテル型;アミノ安息香酸から誘導されるグリシジルアミノグリシジルエステル型;アニリン、トルイジン、トリブロムアニリン、キシリレンジアミン、ジアミノシクロヘキサン、ビスアミノメチルシクロヘキサン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン等から誘導されるグリシジルアミン型;さらにエポキシ化ポリオレフィン、グリシジルヒダントイン、グリシジルアルキルヒダントイン、トリグリシジルシアヌレート等が挙げられる。耐熱性向上の観点からノボラック型のエポキシやグリシジルアミン型のエポキシ樹脂が好ましい。
本発明の硬化性樹脂組成物は溶媒に溶解したワニスとして用いることもできる。ワニスとすることは、硬化性樹脂組成物の取り扱い(ハンドリング)が容易になるという意味では好ましい態様である。
本発明のワニスに用い得る溶媒としては、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、ジオキサン、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、1,4−ジオキサン、エチレングリコールエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等が挙げられるが、本発明の硬化性樹脂組成物を溶解し得る溶媒であれば特に制限なく用いることができる。
本発明のワニスには、必要に応じて前述の添加物や任意成分を配合してもよい。
本発明の硬化性樹脂組成物を含むワニスを各種の基板に塗布し、例えば150℃以下の温度で溶媒を除去(乾燥)した後、200℃以上の高温で処理することにより、重合物(硬化物)とすることができる。
また、本発明のワニスをガラス不織布等の基材に含浸させた後に溶媒を除去して得たプリプレグを用いて、積層板、銅張積層板等の繊維強化材料とすることもできる。
次に本発明を実施例により更に具体的に説明する。なお、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。合成例中の軟化点及び溶融粘度は下記の方法で測定した。
・軟化点:JIS K−7234に準じた方法で測定
・ICI溶融粘度:JIS K 7117−2(ISO 3219)に準じた方法で測定
(合成例1)
温度計、冷却管、ディーンスターク共沸蒸留トラップ、撹拌機を取り付けたフラスコにアニリン559質量部とトルエン500質量部を仕込み、室温で35%塩酸167質量部を1時間で滴下した。滴下終了後加熱して共沸してくる水とトルエンを冷却・分液した後、有機層であるトルエンだけを系内に戻して脱水を行った。次いで4,4’−ビス(クロロメチル)ビフェニル251質量部を60〜70℃に保ちながら1時間かけて添加し、更に同温度で2時間反応を行った。反応終了後、昇温をしながらトルエンを留去して系内を190〜200℃とし、この温度で15時間反応をした。その後冷却しながら30%水酸化ナトリウム水溶液500質量部を系内が激しく還流しないようにゆっくりと滴下し、80℃以下で留去したトルエンを系内に戻し、70℃〜80℃で静置した。分離した下層の水層を除去し、反応液の水洗を洗浄液が中性になるまで繰り返した。次いで油層から加熱減圧下において過剰のアニリンとトルエンを留去することにより下記式(8)で表されるアニリン樹脂335質量部(軟化点57℃、溶融粘度0.035Pa・s、アミン当量196g/eq)を得た。また、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定した結果、式(8)におけるnは1.6(平均値)であった。
Figure 2019078300
(合成例2)
撹拌機、還流冷却管、撹拌装置を備えたフラスコに、合成例1で得たアニリン樹脂59質量部、フェノール28質量部、トルエン90質量部を加え、60℃に昇温した。次いでホルムアルデヒド水溶液49質量部を60分かけて添加した。その後、80℃に昇温し、8時間反応を行った。
反応終了後、トルエン90質量部を加え、水洗を繰り返したのち、ロータリーエバポレーターにて加熱減圧下、トルエンを留去することで、ベンゾオキサジン樹脂90質量部を得た。得られたベンゾオキサジン樹脂の軟化点は102℃、溶融粘度は2.76Pa・s(150℃)であった。
H−NMR分析により、得られたベンゾオキサジン樹脂は下記式(9)で表されることを確認した。H−NMR分析の結果を図1に示す。
Figure 2019078300
(合成例3)
フェノール28質量部をアリルフェノール34質量部に変えた以外は、合成例1と同様にして、ベンゾオキサジン樹脂98質量部を得た。得られたベンゾオキサジン樹脂の軟化点は91℃、溶融粘度は0.5Pa・s(150℃)であった。
H−NMR分析により、得られたベンゾオキサジン樹脂は下記式(10)で表されることを確認した。H−NMRの結果を図2に示す。
Figure 2019078300
(合成例4)
温度計、冷却管、ディーンスターク共沸蒸留トラップ、撹拌機を取り付けたフラスコにアニリン372質量部とトルエン200質量部を仕込み、室温で35%塩酸146質量部を1時間で滴下した。滴下終了後加熱して共沸してくる水とトルエンを冷却・分液した後、有機層であるトルエンだけを系内に戻して脱水を行った。次いで4,4’−ビス(クロロメチル)ビフェニル125質量部を60〜70℃に保ちながら1時間かけて添加し、更に同温度で2時間反応を行った。反応終了後、昇温をしながらトルエンを留去して系内を195〜200℃とし、この温度で15時間反応をした。その後冷却しながら30%水酸化ナトリウム水溶液330質量部を系内が激しく還流しないようにゆっくりと滴下し、80℃以下で昇温時に留去したトルエンを系内に戻し、70℃〜80℃で静置した。分離した下層の水層を除去し、反応液の水洗を洗浄液が中性になるまで繰り返した。次いでロータリーエバポレーターで油層から加熱減圧下(200℃、0.6KPa)において過剰のアニリンとトルエンを留去することにより芳香族アニリン樹脂173質量部を得た。芳香族アニリン樹脂(a1)中のジフェニルアミンは2.0%であった。
得られた樹脂を、再びロータリーエバポレーターで加熱減圧下(200℃、4KPa)において水蒸気吹き込みの代わりに水を少量ずつ滴下した。その結果、芳香族アニリン樹脂(a1)166質量部を得た。得られた芳香族アニリン樹脂(a1)の軟化点は56℃、溶融粘度は0.035Pa・s(150℃)、ジフェニルアミンは0.1%以下であった。
(合成例5)
温度計、冷却管、ディーンスターク共沸蒸留トラップ、撹拌機を取り付けたフラスコに無水マレイン酸147質量部とトルエン300質量部を仕込み、加熱して共沸してくる水とトルエンを冷却・分液した後、有機層であるトルエンだけを系内に戻して脱水を行った。次に、合成例4で得られた芳香族アニリン樹脂(a1)195質量部をN−メチル−2−ピロリドン195質量部に溶解した樹脂溶液を、系内を80〜85℃に保ちながら1時間かけて滴下した。滴下終了後、同温度で2時間反応を行い、p−トルエンスルホン酸3質量部を加えて、還流条件で共沸してくる縮合水とトルエンを冷却・分液した後、有機層であるトルエンだけを系内に戻して脱水を行いながら20時間反応を行った。反応終了後、トルエンを120質量部追加し、水洗を繰り返してp−トルエンスルホン酸及び過剰の無水マレイン酸を除去し、加熱して共沸により水を系内から除いた。次いで反応溶液を濃縮して、固形のマレイミド樹脂(A1)を281質量部得た。得られたマレイミド樹脂の軟化点は108℃であった。
(実施例1)
合成例2で得られたベンゾオキサジン樹脂を45質量部、マレイミド樹脂(ケイ・アイ化成(株)製、製品名:BMI)を54質量部配合し、150℃で混練した後、硬化触媒である18%オクトープZn(ホープ製薬(株)製)を1質量部添加し200℃×2時間の硬化条件で硬化させ、本発明の硬化物を得た。硬化物の物性の測定結果を表1に示す。
(実施例2)
マレイミド樹脂(ケイ・アイ化成(株)製、製品名:BMI)を合成例5で得られたマレイミド樹脂に変えた以外は実施例1と同様にして、本発明の硬化物を得た。硬化物の物性の測定結果を表1に示す。
(実施例3)
合成例2で得られたベンゾオキサジン樹脂を合成例3で得られたベンゾオキサジン樹脂に変えた以外は実施例1と同様にして、本発明の硬化物を得た。硬化物の物性の測定結果を表1に示す。
(実施例4)
合成例2で得られたベンゾオキサジン樹脂を55質量部、マレイミド樹脂(ケイ・アイ化成(株)製、製品名:BMI)を44質量部配合し、150℃で混練した後、硬化触媒である18%オクトープZn(ホープ製薬(株)製)を1質量部添加し200℃×2時間の硬化条件で硬化させ、本発明の硬化物を得た。硬化物の物性の測定結果を表1に示す。
(実施例5)
硬化触媒を18%オクトープZn(ホープ製薬(株)製)から2−エチル4−メチルイミダゾール(四国化成(株)製)に変えた以外は実施例4と同様にして、本発明の硬化物を得た。硬化物の物性の測定結果を表1に示す。
(実施例6)
合成例2で得られたベンゾオキサジン樹脂を55質量部、マレイミド樹脂(ケイ・アイ化成(株)製、製品名:BMI)を45質量部配合し、150℃で混練した後、200℃×2時間+230℃×2時間の硬化条件で硬化させ、本発明の硬化物を得た。硬化物の物性の測定結果を表1に示す。
(実施例7)
合成例2で得られたベンゾオキサジン樹脂を55質量部、ビス−3−エチル―5−メチル−4−マレイミドフェニルメタン(ケイ・アイ化成(株)製、製品名:BMI−70)を45質量部配合し、150℃で混練した後、200℃×2時間+230℃×2時間の硬化条件で硬化させ、本発明の硬化物を得た。硬化物の物性の測定結果を表1に示す。
(実施例8)
合成例2で得られたベンゾオキサジン樹脂を55質量部、2,2’−ビス−[4−(4−マレイミドフェノキシ)フェニル]プロパン(ケイ・アイ化成(株)製、製品名:BMI−80)を45質量部配合し、150℃で混練した後、200℃×2時間+230℃×2時間の硬化条件で硬化させ、本発明の硬化物を得た。硬化物の物性の測定結果を表1に示す。
(実施例9)
合成例2で得られたベンゾオキサジン樹脂を50質量部、合成例5で得られたマレイミド樹脂を50質量部、18%オクトープZn(ホープ製薬(株)製)を0.5質量部、MEK100質量部を添加し、30℃で還流攪拌し、本発明のワニスを作成した。得られたワニスをガラスクロス(製品名:1031 NT−105、(株)有沢製作所製)に含浸し、80℃のオーブンで乾燥後、150℃で追加乾燥し、本発明のプリプレグを得た。得られたプリプレグを、4枚積層させ銅箔(製品名:CF−T9FZ−HTE−18,福田金属箔分工業(株)製)で挟み、200℃×2時間+230℃×2時間の減圧プレスの硬化条件で硬化させ、本発明の銅張り積層板を得た。得られた銅張り積層板を濃度25%の塩化鉄(III)溶液に付け、銅張り積層板を溶解させた積層板を得た。得られた積層板について耐酸性試験、耐アルカリ性試験及びデスミア液に対するエッチンググレード試験を行った。それらの結果を表2に示す。
(実施例10)
合成例2で得られたベンゾオキサジン樹脂を10質量部、合成例5で得られたマレイミド樹脂を30質量部、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(東京化成工業(株)製)を60質量部添加し、120℃で加熱溶融しながら混合し、ベンゾオキサジン−マレイミド−シアネートエステル樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の硬化挙動を確認するためMDSC測定を行った。MDSC測定の結果を図3に示す。
更に得られた樹脂組成物を200℃、成形圧力50kg/cmの条件でトランスファー成形し、成形体を220℃でポストキュアし、本発明の硬化物を得た。硬化物の物性の測定結果を表3に示す。
(比較例1)
合成例2で得られたベンゾオキサジン樹脂をビスフェノールF型ベンゾオキサジン樹脂(四国化成(株)製)に変えた以外は実施例4と同様にして、硬化物を得た。硬化物の物性の測定結果を表1に示す。
(比較例2)
ビスフェノールA型エポキシ樹脂(製品名:JER−828、三菱化学(株)製)を65質量部、フェノールノボラック(製品名:H−1、明和化成(株)製)を50質量部、2−エチル−4−メチルイミダゾール(四国化成(株)製)を0.5質量部、MEK70質量部、メチルセルソルブ30質量部を添加し、30℃で還流攪拌し、ワニスを作成した。ワニスをガラスクロス(製品名:1031 NT−105、(株)有沢製作所製)に含浸し、80℃のオーブンで乾燥後、150℃で追加乾燥し、プリプレグを得た。得られたプリプレグを、4枚積層させ銅箔(製品名:CF−T9FZ−HTE−18,福田金属箔分工業(株)製)で挟み、200℃×2時間+230℃×2時間の減圧プレスの硬化条件で硬化させ、銅張り積層板を得た。得られた銅張り積層板を濃度25%の塩化鉄(III)溶液に付け、銅張り積層板を溶解させた積層板を得た。得られた積層板について耐酸性試験、耐アルカリ性試験及びデスミア液に対するエッチンググレード測定を行った。それらの結果を表2に示す。
(比較例3)
ビスフェノールF型ベンゾオキサジン樹脂(四国化成(株)製)を50質量部、合成例5で得られたマレイミド樹脂を50質量部、MEK100質量部を添加し、30℃で還流攪拌したが、溶解しなかった。
(比較例4)
合成例5で得られたマレイミド樹脂を33質量部、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(東京化成工業(株)製)を67質量部添加し、120℃で加熱溶融しながら混合し、混合樹脂を得た。得られた混合樹脂の硬化挙動を確認するためMDSC測定を行った。MDSC測定の結果を図3に示す。
更に得られた混合樹脂を200℃、成形圧力50kg/cmの条件でトランスファー成形し、成形体を220℃でポストキュアし、硬化物を得た。得られた硬化物の物性を評価した。結果を表3に示す。
(比較例5)
2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン(東京化成工業(株)製)のMDSC測定を行い、硬化挙動を確認した。MDSC測定の結果を図3に示す。
得られた硬化物は下記条件にて測定を実施した。
<耐熱性>
・DMA測定にてTg(tanδ最大時の温度)の測定を行った。
測定装置:動的粘弾性測定器TA−instruments製、Q−800
測定温度:30〜350℃
昇温速度:2℃/min
サンプルサイズ:幅5mm×長さ50mm×厚み0.8mm
<誘電率及び誘電正接>
・空洞共振器を用いて空洞共振器摂動法にて測定を行った。
測定装置:空洞共振器 Agilent Technologies社製
測定方法:JIS K6991に準拠して1GHzにおいて測定
測定モード:空洞共振器摂動法
測定温度:25℃
サンプルサイズ:幅1.7mm×長さ100mm×厚さ1.7mm
<耐熱分解性>
・TG−DTAを用いて重量が1%及び5%減少したときの温度を測定した。
測定装置:TG−DTA6220 SII社製
測定温度:30〜580℃
昇温速度:10℃/min
Td1:1%重量減少温度
Td5:5%重量減少温度
<吸水率>
・試験片を100℃の水中で24時間煮沸させた後の重量増加率(%)
サンプルサイズ:直径5cm×厚み4mmの円盤状
得られた積層板は下記条件にて測定した。
<耐酸性試験>
・JIS K 8576に規定の塩酸を、濃度3±0.2wt%、温度40±2℃の水溶液に調整し、試料を24時間浸漬させた後に取り出し、速やかに流水中で20±10分間洗い、乾燥した清浄な試料の膨れや変色の有無を確認する。
<耐アルカリ性試験>
・JIS K 8576に規定の水酸化ナトリウムを、濃度3±0.2wt%、温度40±2℃の水溶液に調整し、試料を24時間浸漬させた後に取り出し、速やかに流水中で20±10分間洗い、乾燥した清浄な試料に膨れや変色の有無を確認する。
<デスミア液に対するエッチンググレード試験>
・乾燥後の10cm×10cmにカットした試験片を初期質量測定後に奥野製薬(株)製「OPC−1080コンディショナー」及び「無電解銅R−N」に60℃で5分間膨潤させた後、奥野製薬(株)製「OPC−1200エボエッチ」及び「OPC−1540MN」にて80℃で6分間マイクロエッチング処理した。次に、奥野製薬(株)製「OPC−1300ニュートライザー」で5分間中和した後、100℃で24時間乾燥させた後、デシケータ内で1日空冷してからデスミア処理後の質量を測定した。耐デスミア液耐性は(重量変化/試料の表面積)から算出した。
<トランスファー成形体の歩留まり>
・下記のトランスファー成形条件で硬化樹脂成形体を作製した。
歩留りは、(クラックがないサンプル数)/(サンプル数)で評価した。
加熱温度:200℃
成形圧力:50kg/cm
サンプル形状:幅1.7mm×長さ100mm×厚さ1.7mm
実施例10、比較例4、5で得られた樹脂組成物の硬化挙動は下記条件にて測定を行った。
<硬化挙動>
・MDSC測定にて硬化発熱の観察を行った。
測定装置:Q−2000 TAインスツルメンツ社製
測定温度:25〜330℃
昇温速度:3℃/min
測定モード:MDSC測定
Figure 2019078300
Figure 2019078300
Figure 2019078300
Tg 1st:1回目の測定結果
Tg 2nd:1回目の測定終了後、350℃まで加温したサンプルを室温まで冷却して再測定した結果
ΔTg:(Tg 2nd)−(Tg 1st)
表1の結果より、比較例1は耐熱性が良好であったが、その他の特性において不具合を生じた。これに対して、本発明の硬化性樹脂組成物(実施例1〜8)は、耐熱性、熱分解特性、誘電特性、及び吸水特性の全ての特性において優れた結果を示した。
比較例3は基板分野で一般に使用されているMEKに溶解しなかったのに対し、実施例9はMEKへの溶解性が良好であり、積層板への加工性に優れる。
表2の結果より、実施例9は耐薬品性に優れ、一般的なエポキシ積層板である比較例2よりも耐デスミア液耐性に優れた結果を示した。
図3の結果より、比較例4、5は重合温度が高温であるが、実施例10は本発明のベンゾオキサジン樹脂を添加することで、触媒を添加していないにもかかわらず、シアネートエステル樹脂及びマレイミド樹脂の重合を促進する結果となった。
さらに、表3の結果より、本発明のベンゾオキサジン−マレイミド−シアネートエステル樹脂組成物はΔTgの変化が殆どなく、220℃の条件で硬化することが確認できた。
また、その硬化物は耐熱性に優れ、低誘電材料として知られるBTレジンの組成と比較して優れた結果を示した。
実施例10は触媒なしで硬化して、耐熱性、低誘電性に優れることから、産業上の利用可能性が高い。
本発明を特定の態様を参照して詳細に説明したが、本発明の精神と範囲を離れることなく様々な変更および修正が可能であることは、当業者にとって明らかである。
なお、本出願は、2017年10月20日付で出願された日本国特許出願(特願2017−203286)に基づいており、その全体が引用により援用される。また、ここに引用されるすべての参照は全体として取り込まれる。
本発明の硬化性樹脂組成物は、溶剤溶解性に優れ、耐熱性、熱分解特性、誘電特性、吸水特性、耐薬品性に優れた硬化物が得られるため、電気電子部品用絶縁材料、半導体封止材料用途、積層板(プリント配線板、ビルドアップ基板など)、CFRPを始めとする各種複合材料、接着剤、塗料等に有用である。

Claims (9)

  1. マレイミド樹脂(A)、及び下記式(1)で表されるベンゾオキサジン樹脂(B)を含有する硬化性樹脂組成物。
    Figure 2019078300
    (式(1)中、nは繰り返し数の平均値であり、1〜10の実数を表す。R〜Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基又はアリール基のいずれかを表す。R〜Rがそれぞれ複数存在する場合、それぞれのR〜Rは互いに同一であっても異なっていてもよい。R、R10はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、アリル基又はアルコキシ基のいずれかを表す。R、R10がそれぞれ複数存在する場合、それぞれのR、R10は互いに同一であっても異なっていてもよい。点線はベンゼン環が形成されていてもよいことを表す。)
  2. 前記式(1)におけるR〜Rが水素原子である請求項1に記載の硬化性樹脂組成物。
  3. 前記マレイミド樹脂(A)として芳香族マレイミド樹脂及び脂肪族マレイミド樹脂から選ばれる1種以上の樹脂を含有する請求項1又は2に記載の硬化性樹脂組成物。
  4. さらにシアネートエステル樹脂を含有する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物。
  5. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を硬化してなる硬化物。
  6. 請求項1乃至4のいずれか一項に記載の硬化性樹脂組成物を溶媒に溶かしたワニス。
  7. 請求項6に記載のワニスを基材に含浸させてなるプリプレグ。
  8. 請求項7に記載のプリプレグを硬化してなる硬化物。
  9. 請求項7に記載のプリプレグを使用して得られる積層板または銅張積層板。
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