JPWO2019058444A1 - インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置 - Google Patents

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Abstract

より効率良くインクを吐出することができるインクジェットヘッド及びインクジェット記録装置を提供する。インクジェットヘッドは、インクを貯留するインク貯留部(21)と、インク貯留部(21)から供給されたインクを吐出するノズル(N)と、インク貯留部(21)の内壁面の一部をなす振動板(30)と、振動板(30)の内壁面の一部をなす面とは反対側の振動板面に接着剤(63)を介して固着されている平板状の圧電素子(60)と、を備え、圧電素子(60)は、当該圧電素子(60)に対して印加される電圧に応じて振動板面に沿って伸縮することで振動板(30)とともに撓み、接着剤(63)は、固着面(30a)のうち、圧電素子(60)が固着されている固着範囲(30R)の外側を含む範囲に付着している。

Description

本発明は、インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置に関する。
従来、インクジェットヘッドに設けられたノズルからインクを吐出させて所望の位置に着弾させることで画像や微小構造などを形成するインクジェット記録装置がある。インクジェット記録装置のインクジェットヘッドは、ノズルに連通するインク貯留部(圧力室)を有し、このインク貯留部内のインクの圧力を変動させることによりノズルからインクを吐出させる。
このようなインクジェットヘッドとしては、振動板を撓ませることによりインク貯留部の容積を変化させてインク貯留部内のインクの圧力を変動させるものが知られている。振動板を撓ませる機構の代表的な一つとして、振動板上に接着剤を介して固着された平板状の圧電素子に対して電圧を印加することで、圧電素子を振動板の板面に沿って伸縮させ、当該伸縮により振動板を撓ませるものがある(例えば、特許文献1)。このような機構を有するインクジェットヘッドでは、圧電素子への印加電圧に対するインクの吐出量や吐出速度(インクの吐出効率)は、インク貯留部、振動板及び圧電素子といったインクジェットヘッドの各構成要素の形状や材質などによって定まる。
特開2015−74228号公報
しかしながら、インクジェットヘッドでは、電力消費を低減させたいという要求がある。これに対し、近年ではノズル数の増大や記録速度の向上といった電力消費を増大させる要因もあるため、当該要因に抗してインクジェットヘッドの電力消費量を効果的に低減させるためには、インクの吐出効率を現状の効率より高める必要があるという課題がある。
この発明の目的は、より効率良くインクを吐出することができるインクジェットヘッド及びインクジェット記録装置を提供することにある。
上記目的を達成するため、請求項1に記載のインクジェットヘッドの発明は、
インクを貯留するインク貯留部と、
前記インク貯留部から供給されたインクを吐出するノズルと、
前記インク貯留部の内壁面の一部をなす振動板と、
前記振動板の前記内壁面の前記一部をなす面とは反対側の面に接着剤を介して固着されている平板状の圧電素子と、
を備え、
前記圧電素子は、当該圧電素子に対して印加される電圧に応じて、前記振動板の前記圧電素子が固着されている固着面に沿った方向に伸縮することで前記振動板とともに撓み、
前記接着剤は、前記固着面のうち、前記圧電素子が固着されている固着範囲の外側を含む範囲に付着している。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記圧電素子は、前記固着面に垂直な垂直方向から見て前記振動板がなす内壁面の前記一部と部分的に重なる範囲に設けられており、
前記接着剤は、前記固着面のうち、前記垂直方向から見て前記振動板がなす内壁面の前記一部と重なる部分を少なくとも含む範囲に付着している。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記圧電素子の前記振動板に固着された面とは反対側の面には電極が設けられ、
前記接着剤は、前記電極に接触しない範囲に設けられている。
請求項4に記載の発明は、請求項1から3のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記圧電素子は、前記固着面に垂直な垂直方向から見て、前記振動板がなす内壁面の前記一部に重なる第1領域から、当該内壁面の前記一部に隣接する前記内壁面の他の一部をなす基材に重なる第2領域にかけて設けられており、
前記第1領域における前記固着範囲の外周の長さに対する当該外周の外側に付着している接着剤の体積の比が、前記第2領域における前記比より大きい。
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記接着剤のヤング率は、0.01GPa以上30GPa以下である。
請求項6に記載の発明は、請求項1から5のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記圧電素子は、前記固着面に垂直な垂直方向から見て、前記振動板に固着された面の外周のうち少なくとも前記接着剤の付着範囲の内側にある部分が前記振動板に固着された面とは反対側の面の外周の内側に含まれる形状を有する。
請求項7に記載の発明は、請求項1から6のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記固着範囲は長方形であり、
前記接着剤は、前記長方形の短辺を内部に包含する範囲に付着している。
請求項8に記載の発明は、請求項1から7のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドにおいて、
前記接着剤は、前記固着範囲の全体を内部に包含する範囲に付着している。
また、上記目的を達成するため、請求項9に記載のインクジェット記録装置の発明は、
請求項1から8のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドと、
前記圧電素子に印加する前記電圧を出力する電圧印加回路と、
を備える。
本発明に従うと、より効率良くインクを吐出することができるという効果がある。
インクジェット記録装置の概略構成を示す図である。 インクジェットヘッドを側面側から見た断面図である。 ヘッドチップにおける一つのノズルに対応する部分のより詳細な断面図である。 圧電素子を振動板の固着面に垂直な方向から見た平面図である。 圧電素子及び接着剤を振動板の固着面に垂直な方向から見た平面図である。 接着剤のはみ出し位置の他の例を示す平面図である。 接着剤のはみ出し位置の他の例を示す平面図である。 圧電素子の動作時における接着剤の作用を説明する図である。 ヘッドチップの製造方法を説明する断面図である。 実験に用いた実施例及び比較例のインクジェットヘッドの構成及び実験結果を示す図である。 平面形状が長方形である圧電素子の例を示す平面図である。
以下、本発明のインクジェットヘッド及びインクジェット記録装置に係る実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施形態であるインクジェット記録装置100の概略構成を示す図である。
インクジェット記録装置100は、搬送ベルト101、搬送ローラー102、ヘッドユニット103及び制御部104などを備える。
搬送ローラー102は、図示しない搬送モーターの駆動によって、図1のX方向に平行な回転軸を中心に回転する。搬送ベルト101は、一対の搬送ローラー102により内側が支持された輪状のベルトであり、搬送ローラー102が回転動作するのに従って周回移動する。インクジェット記録装置100は、搬送ベルト101上に記録媒体Mが載置された状態で、搬送ローラー102の回転速度に応じた速度で搬送ベルト101が周回移動することで記録媒体Mを搬送ベルト101の移動方向(図1のY方向)に搬送する搬送動作を行う。
ヘッドユニット103は、搬送ベルト101により搬送される記録媒体Mに対して画像データに基づいてノズルからインクを吐出して記録媒体M上に画像を記録する。本実施形態のインクジェット記録装置100では、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクにそれぞれ対応する4つのヘッドユニット103が記録媒体Mの搬送方向上流側から順に所定の間隔で並ぶように配列されている。
各ヘッドユニット103は、平板状の基部103aと、当該基部103aを貫通する孔部に篏合した状態で基部103aに固定された複数の(ここでは7つの)インクジェットヘッド1とを有する。
インクジェットヘッド1では、インクを吐出する複数のノズルが記録媒体Mの搬送方向と交差する方向(本実施形態では搬送方向と直交する幅方向、すなわちX方向)に配列されている。また、各インクジェットヘッド1では、X方向に一次元配列されたノズルからなるノズル列が複数(例えば4列)設けられており、当該複数のノズル列は、ノズルの位置が互いにX方向にずれる位置関係で設けられている。
各ヘッドユニット103における7つのインクジェットヘッド1は、ノズルのX方向についての配置範囲が、搬送ベルト101上の記録媒体Mのうち画像が記録可能な領域のX方向についての幅をカバーするように千鳥格子状に配置されている。このようにインクジェットヘッド1が配置されることで、インクジェット記録装置100では、ヘッドユニット103を固定した状態でインクジェットヘッド1から画像データに応じた適切なタイミングでインクを吐出することで、搬送される記録媒体M上に画像を記録することができる。すなわち、インクジェット記録装置100は、シングルパス方式で画像を記録する。
制御部104は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)などを備え、ROMに記憶された各種制御プログラムを読み出して実行することでインクジェット記録装置100の各部の動作を統括制御する。
図2は、インクジェットヘッド1を側面側(−X方向側)から見た断面図であり、4つのノズル列に含まれる4つのノズルNを含む面における断面図である。
インクジェットヘッド1は、ヘッドチップ2と、共通インク室70と、保持基板80と、配線部材3と、駆動部4(電圧印加回路)などを備える。
ヘッドチップ2は、ノズルNからインクを吐出させるための構成であり、複数、ここでは、4枚の板状の基板が積層形成されている。ヘッドチップ2における最下方の基板は、ノズル基板10である。ノズル基板10には複数のノズルNが設けられて、当該ノズルNのインク吐出口からノズル基板10の露出面(インク吐出面)に対して略垂直にインクが吐出可能とされる。ノズル基板10のインク吐出面とは反対側には、上方(図2のZ方向)に向かって順番に圧力室基板20(チャンバープレート)、スペーサー基板40及び配線基板50が接着されて積層されている。以下では、これらノズル基板10、圧力室基板20、スペーサー基板40及び配線基板50の各基板を各々又はまとめて積層基板10、20、40、50などとも記す。
これらの積層基板10、20、40、50には、ノズルNに連通するインク流路が設けられており、配線基板50の露出される側(+Z方向側)の面で開口されている。この配線基板50の露出面上には、全ての開口を覆うように共通インク室70が設けられている。共通インク室70のインク室形成部材70a内に貯留されるインクは、配線基板50の開口から各ノズルNへ供給される。
インク流路の途中には、圧力室21(インク貯留部)が設けられている。圧力室21は、圧力室基板20を上下方向に貫通して設けられており、圧力室21の上面は、圧力室基板20とスペーサー基板40との間に設けられた振動板30により構成されている。圧力室21内のインクには、振動板30を介して圧力室21と隣り合って設けられている格納部42内の圧電素子60の変位(変形)によって振動板30(圧力室21)が変形することで、圧力変化が付与される。圧力室21内のインクに適切な圧力変化が付与されることで、圧力室21に連通するノズルNからインク流路内のインクが液滴として吐出される。
保持基板80は、ヘッドチップ2の上面に接合されており、共通インク室70のインク室形成部材70aを保持している。保持基板80には、インク室形成部材70aの下面の開口とほぼ同じ大きさ及び形状の開口が設けられており、共通インク室70内のインクは、インク室形成部材70aの下面の開口、及び保持基板80の開口を通ってヘッドチップ2の上面に供給される。
配線部材3は、例えば、FPC(Flexible Printed Circuits)などであり、配線基板50の配線57(図3参照)に接続されている。この配線57を介して格納部42内の配線52及び接続部90に伝えられる駆動信号により圧電素子60が変位動作する。配線部材3は、保持基板80を貫通して引き出されて駆動部4に接続される。
駆動部4は、インクジェット記録装置の制御部からの制御信号や、電力供給部からの電力供給などを受けて、各ノズルNからのインク吐出動作や非吐出動作に応じて、圧電素子60に印加する適切な駆動信号を配線部材3に出力する。駆動部4は、IC(Integrated
Circuit)などで構成されている。
図3は、ヘッドチップ2における一つのノズルNに対応する部分のより詳細な断面図である。
上述のように、ヘッドチップ2は、複数のノズルNが設けられたノズル基板10、各ノズルNに連通する複数の圧力室21が設けられた圧力室基板20、スペーサー基板40及び配線基板50が積層されて形成されている。これらのうち、ノズル基板10及び圧力室基板20は、例えば、それぞれシリコン(Si)基板を用いて形成され、スペーサー基板40は、例えば、鉄合金(42アロイなど)やガラスによって形成される。配線基板50については後述する。
圧力室基板20には、両面(すなわち、ノズル基板10側の面とスペーサー基板40側の面)間を貫通して設けられている圧力室21のうち、スペーサー基板40の側を覆うように可撓性を有する振動板30が設けられている。すなわち、圧力室21の内壁面の一部は、振動板30により構成されている。
振動板30には、インク流路の一部をなす開口部31が設けられている。振動板30は、例えば、シリコン製の薄板である。振動板30は、圧力室基板20と当接する部分、すなわち、圧力室21及び開口部31以外の部分で当該圧力室基板20に接着(接合)されている。このように、振動板30は、圧力室21の内壁面のうち振動板30がなす一部(上面)に隣接する内壁面の他の一部(ここでは、側壁)をなす基材22と一体的に設けられている。
振動板30の圧力室21とは反対側、すなわち振動板30の内壁面の一部をなす面とは反対側の面には、第2電極62が全面に設けられているとともに、当該第2電極62上に、接着剤63を介して平板状の圧電素子60が固着されている。また、圧電素子60の振動板30とは反対側の面には、全面に第1電極61が設けられている。
以下では、圧電素子60の振動板30に固着されている面(接着剤63に当接している面)を下面60aと記し、下面60aとは反対側の面(第1電極61が設けられている面)を上面60bと記す。また、振動板30において圧電素子60が固着されている面を固着面30aと記し、固着面30aのうち圧電素子60の下面60aが固着されている範囲を固着範囲30Rと記す。したがって、固着範囲30Rの外周は、撓みの生じていない振動板30の固着面30aに垂直な垂直方向(以下では、単に「固着面30aに垂直な方向」とも記す)、すなわち図3のZ方向から見て、下面60aの外周に一致する。
スペーサー基板40は、両面(すなわち、振動板30の側の面と配線基板50の側の面)を貫通して設けられた空間であるインク導通路41及び格納部42(格納空間)を有している。インク導通路41は、共通インク室70とノズルNとをつなぐインク流路の一部をなし、振動板30の開口部31と位置を合わせて設けられる。
格納部42内には、振動板30の固着面30a上に設けられた圧電素子60が格納される。格納部42は、圧電素子60の各々に対応して個別に設けられていても良いし、複数の圧電素子60をまとめて格納可能に設けられていても良い。
圧電素子60及び第1電極61は、格納部42内において、固着面30aに垂直な方向から見て圧力室21の内壁面のうち振動板30がなす部分に重なる第1領域R1から、上述の基材22に重なる第2領域R2にかけて設けられている。
圧電素子60は、第1電極61及び第2電極62によって挟まれたアクチュエーターである。圧電素子60は、当該圧電素子60に対して印加される電圧に応じて、固着面30aに沿った方向に伸縮することで振動板30とともに撓む。そして、この振動板30の撓みにより、圧力室21内のインクに圧力変化が付与されてノズルNからインクが吐出される。このように、圧電素子60が固着面30aに沿って収縮して振動板30とともに撓むことで圧力室21内のインクに圧力変化を付与する方式は、ベントモードと呼ばれる。
圧電素子60としては、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)が好適であるが、圧電特性を有する他の材料、例えば水晶、ニオブ酸リチウム、チタン酸バリウム、チタン酸鉛、メタニオブ酸鉛、ポリフッ化ビニリデンなどが用いられても良い。
第1電極61の上面は、第2領域R2内において接続部90が当接することで固定されている。接続部90は、配線基板50に形成されたバンプ91と、バンプ91に塗布された導電性材料92とを有する。バンプ91は、配線52上(下方側の面)に設けられ、格納部42の内部へ突出する。バンプ91は、例えば、金を材料としたワイヤーボンディングにより形成される。導電性材料92は、例えば、導電性を有する金属粉末(銀粉など)が混入されて導電性を有する導電性接着剤である。この導電性材料92が格納部42内で第1電極61とバンプ91とを電気的に接続して、配線52を介して送られた駆動信号を第1電極61に伝える。
また、第2電極62は、図示略の配線を介して配線部材3の共通電位(コモン電位)に係る配線に接続される。
このような、接続部90と基材22との間で第1電極61、圧電素子60及び第2電極62を挟んで固定する構造により、接続部90を介した第1電極61への信号伝達経路が安定的に確保される。第2領域R2内の圧電素子60は、接続部90及び基材22によって固定されているためほとんど振動せず、圧力室21内のインクの圧力変化にはほとんど寄与しない。
図4は、圧電素子60を固着面30aに垂直な方向から見た平面図である。図4における線分A−Aの位置での断面が、図3の断面図に相当する。なお、図4では、見難くなるのを避けるため接着剤63の記載が省略されている。
図4に示されるように、本実施形態の圧電素子60は、第1領域R1において圧力室21の内壁面と重なる範囲に形成されている略円形の主要部601と、第2領域R2において基材22と重なる範囲に形成されている略半円形状の凸部602とからなる。圧力室21は、主要部601と同心の略円形状をなしており、主要部601は、圧力室21(圧力室21の内壁面のうち振動板30がなす一部)に部分的に重なる大きさで設けられている。すなわち、主要部601がなす円の半径は、圧力室21がなす円の半径よりも小さくなっている。このような構成とすることにより、圧電素子60の略円形の主要部601が伸縮して振動板30が撓むことで、圧力室21内のインクの圧力を効果的に変動させることができるようになっている。
圧電素子60の大きさは、圧力室21の大きさに応じて定められるが、例えば、主要部601の直径は、10μm〜1000μm程度とされる。また、圧電素子60の厚さは、主要部601の直径の大きさに応じて設定され、例えば1μm〜100μm程度とされる。
また、図3に示されるように、圧電素子60は、側面60cが全周に亘って逆テーパー形状をなすように形成されている。すなわち、圧電素子60の厚さ方向に、下面60aから上面60bに向かって、振動板30の固着面30aに平行な断面の断面積が漸増するように形成されている。換言すれば、固着面30aに垂直な任意の断面(例えば図3)において、圧電素子60の下面60aの長さが、上面60bの長さよりも小さく、かつ固着面30aに沿う方向について下面60aの全体が上面60bの範囲と重複する形状で形成されている。したがって、圧電素子60は、固着面30aに垂直な方向から見て、下面60aの外周の全体が上面60bの外周の内側に含まれる形状を有している。本実施形態では、側面60cと、振動板30の固着面30aに垂直な方向とがなす角度は、約30度とされている。
また、本実施形態では、接着剤63は、振動板30の固着面30a上において、固着範囲30Rの外側にはみ出して延在しており、当該はみ出した接着剤63は、圧電素子60の側面60cに当接している。接着剤63の詳細な構成及び作用については、後述する。
配線基板50には、圧電素子60を駆動して変位動作させるための電気回路(配線)が設けられており、インターポーザー53と、絶縁層54、55、58、59と、配線52、57などを有する。インターポーザー53は、例えば、シリコン製の基板であり、両面が絶縁層54及び絶縁層55によりそれぞれ被覆されている。絶縁層54のインターポーザー53とは反対側には配線57が設けられ、絶縁層55のインターポーザー53とは反対側には配線52が設けられている。これらの配線57、52は、更にそれぞれ絶縁層58、59により被覆されている。
インターポーザー53及び絶縁層54、55には、両面間を貫通して配線52、57の間を接続する貫通電極56が設けられている。また、配線基板50には、両面間(スペーサー基板40の側の面と共通インク室70の側の面)を貫通するインク導通路51が設けられている。インク導通路51は、インク流路の一部をなし、スペーサー基板40のインク導通路41と位置を合わせて設けられている。
次に、接着剤63の構成について詳しく説明する。
図3に示されるように、本実施形態の接着剤63は、振動板30上の第2電極62と圧電素子60との間に設けられて第2電極62と圧電素子60とを接着する。第2電極62と圧電素子60との間における接着剤63の厚さは、第1電極61と第2電極62との間における圧電素子60に対する必要な駆動電圧の印加を妨げない範囲の最大値以下とされる。
さらに、接着剤63は、固着面30aにおいて、固着範囲30Rの全体を内部に包含する範囲に付着している。すなわち、接着剤63は、固着面30aに垂直な方向から見て固着範囲30Rの外周の全体から外側にはみ出して(延在して)いる。固着範囲30Rの外周から外側にはみ出している接着剤63(以下では、接着剤63のはみ出し部と記す)は、固着面30aに沿って延在するとともに、圧電素子60の側面60cに沿って上方にも回り込んでいる。この結果、接着剤63のはみ出し部は、固着面30a及び側面60cの間の空間を埋めるように設けられている。ただし、接着剤63のはみ出し部の延在範囲は、第1電極61に接触しない範囲内に留められている。
図5は、圧電素子60及び接着剤63を固着面30aに垂直な方向から見た平面図である。図5は、図4の平面図において接着剤63の記載を追加したものに相当する。図5では、接着剤63のはみ出し部の配置範囲をドットを付して示している。
図5に示されるように、接着剤63は、第1領域R1では、圧力室21(圧力室21の内壁面のうち振動板30がなす一部)と重なる範囲に付着している。すなわち、接着剤63は、固着範囲30Rのうち圧電素子60の主要部601に対応する部分の外周の外側に、圧力室21と重なる範囲の全体に亘ってはみ出して設けられている。以下では、第1領域R1における接着剤63のはみ出し部の延在範囲の幅(したがって、固着範囲30Rの外周と圧力室21の外周との間隔)をW1とする。
また、接着剤63は、第2領域R2においても、固着範囲30Rの外周から外側にはみ出して設けられている。ここで、第2領域R2における接着剤63のはみ出し部の延在範囲の幅W2は、第1領域R1における幅W1より小さくなっている。よって、第1領域R1では、第2領域R2よりも接着剤63のはみ出し量が多くなっている。より詳しくは、第1領域R1における固着範囲30Rの外周の長さに対する当該外周の外側に付着している接着剤63の体積の比が、第2領域R2における比より大きくなっている。
接着剤63としては、例えばエポキシ系接着剤が好ましく用いられるが、特にこれに限定されない。また、接着剤63としては、常温で硬化させる常温硬化型接着剤、加熱によって重合を促進させて硬化させる熱硬化型接着剤、紫外線等の活性エネルギー線の照射によって重合を促進させて硬化させる活性エネルギー線硬化型接着剤等、各種の硬化方法で硬化するものを用いることができ、中でも、熱硬化型接着剤が好ましく用いられる。また、接着剤63としては、硬化後のヤング率が0.01GPa以上30GPa以下となるものを用いるのが好ましい。
なお、接着剤63は、固着面30a上で、固着範囲30Rの外周より外側の部分を少なくとも含む範囲に付着していれば良く、固着面30aに垂直な方向から見て固着範囲30Rの外周の一部のみから外側にはみ出すように設けられていても良い。例えば、接着剤63は、図6Aに示されるように固着範囲30Rの外周の半分(半周)から外側にはみ出すように設けられていても良い。また、接着剤63は、図6Bに示されるように固着範囲30Rの外周の互いに異なる複数個所(ここでは4個所)から外側にはみ出すように設けられていても良い。
また、これらの場合、圧電素子60の側面60cは、少なくとも接着剤63が外側にはみ出している部分において逆テーパー形状となっていることが好ましい。すなわち、圧電素子60は、固着面30aに垂直な方向から見て、下面60aの外周のうち少なくとも接着剤63の付着範囲の内側にある部分が上面60bの外周の内側に含まれる形状を有していることが好ましい。
次に、本実施形態の接着剤63の作用について説明する。
図7は、圧電素子60の動作時における接着剤63の作用を説明する図である。
図7のAは、圧電素子60に電圧が印加されていない状態を示す図である。
図7のBは、圧電素子60に対して所定の極性の電圧が印加されて圧電素子60が固着面30aに沿う方向に伸長し、圧電素子60及び振動板30が上に凸となる形状に撓んでいる状態を示す図である。
図7のCは、圧電素子60に対して図7のBとは逆極性の電圧が印加されて圧電素子60が固着面30aに沿う方向に収縮し、圧電素子60及び振動板30が下に凸となる形状に撓んでいる状態を示す図である。
本実施形態のインクジェットヘッド1では、図7のAの状態から図7のBの状態に遷移させることで圧力室21内のインクの圧力を低減させた後、図7のCの状態に遷移させて圧力室21内のインクの圧力を増大させることで、ノズルNからインクが吐出される。
ここで、図7のBのように圧電素子60及び振動板30が上に凸となる形状に撓んでいるときには、接着剤63のはみ出し部は、圧電素子60の側面60cから固着面30aに沿う方向の力を受けて当該方向に沿って収縮する方向に弾性変形し、弾性エネルギーが大きくなる。
他方で、圧電素子60が図7のBの状態から図7のCの状態に遷移するとき、接着剤63のはみ出し部は、圧電素子60の側面60cに対して弾性力を及ぼしながら(押圧しながら)伸長(弾性変形)する。すなわち、接着剤63のはみ出し部は、圧電素子60の収縮変形動作を補助する役割を果たす。これにより、圧電素子60及び振動板30は、接着剤63のはみ出し部がなかった場合と比較して大きく下方に撓むため、ノズルNからのインクの射出速度や射出量が大きくなる。この結果、インクの吐出効率(圧電素子60への印加電圧に対するインクの吐出量や吐出速度の大きさ)が高くなる。
次に、本実施形態のインクジェットヘッド1におけるヘッドチップ2の製造方法について説明する。
図8は、ヘッドチップ2の製造方法を説明する断面図である。
この製造方法では、まず、ガラス等の基板S上に圧電素子60の材料からなる圧電プレート60Aを接着し、フォトリソグラフィー技術により、圧電素子60を形成する位置にレジストパターン64を形成する(図8のステップS1)。
次に、レジストパターン64をマスクとして圧電プレート60Aに対してサンドブラスト加工を行って、テーパー形状の側面を有する圧電素子60を形成し、レジストパターン64を除去する(図8のステップS2)。
次に、圧電素子60上に、接着剤63を塗布する(図8のステップS3)。ここでは、次に行われる圧電素子60と振動板30との接着工程において固着範囲30Rから外側に所望の量の接着剤63がはみ出すように、接着剤63の塗布量が調整される。接着剤63の塗布方法としては、例えばフレキソ印刷法、グラビア印刷法、ワイヤーバー印刷法など、圧電素子60上に所望の量の接着剤63を塗布可能な各種の方法を用いることができる。
次に、予め製造されたノズル基板10、圧力室基板20及び振動板30からなる積層体上に、基板Sを上下逆にして当接させて押圧することで、圧電素子60を振動板30上に接着剤63を介して接着する(図8のステップS4)。このとき、基板Sを所定の圧力で押圧することにより、固着範囲30Rから外側に所定量の接着剤63がはみ出して側面60cに当接した状態となる。その後、所定の硬化方法で接着剤63を硬化させる。
次に、圧電素子60から基板Sを剥離した後に(図8のステップS5)、振動板30上にスペーサー基板40を介して配線基板50を積層させることで、ヘッドチップ2が完成する(図8のステップS6)。
なお、ヘッドチップ2の製造方法は、上記に限られない。
例えば、基板Sによる押圧で接着剤63を固着範囲30Rの外側にはみ出させる態様に代えて、予め圧電素子60の側面60cにかかる範囲に接着剤63を塗布してから振動板30上に接着しても良い。
また、接着剤63を振動板30側に塗布した上で圧電素子60を接着しても良い。
また、サンドブラスト加工に代えて、圧電素子60の外周がテーパー形状となるようにダイシングしても良い。
(実施例)
次に、上記実施形態の効果を確認するために行った実験について説明する。
まず、接着剤63の固着範囲30Rから外側へのはみ出し量やはみ出し位置、接着剤63の材質、及び圧電素子60の形状のうち少なくとも一部が互いに異なる11水準のインクジェットヘッド1を製造し、それぞれ実施例1〜10及び比較例とした。
図9は、実験に用いた実施例1〜10及び比較例のインクジェットヘッド1の構成及び実験結果を示す図である。
図9における「接着剤はみ出し量」では、接着剤63の固着範囲30Rから外側へのはみ出し量が示されている。このうち「高さ」では、接着剤63のはみ出し部の固着面30aからの最大高さが「◎」、「○」及び「×」で示されている。ここで、「◎」は「○」よりも接着剤63のはみ出し部の最大高さが大きいことを示し、「×」は接着剤63が固着範囲30Rの外部にはみ出していないことを示す。また、「幅」では、接着剤63のはみ出し部の固着範囲30Rからのはみ出し幅(図3の幅W1)が「◎」、「○」及び「×)」で示されている。ここで、「◎」は「○」よりも接着剤63のはみ出し幅が大きいことを示し、「×」は接着剤63が固着範囲30Rの外部にはみ出していないことを示す。
「接着剤のはみ出し位置」では、接着剤63が、図5のように固着範囲30Rの外周の全部からはみ出しているか、図6Aのように固着範囲30Rの外周の半周からはみ出しているか、図6Bのように固着範囲30Rの外周の4個所からはみ出しているかが示されている。
「接着剤のヤング率」では、各水準のインクジェットヘッド1に用いられた接着剤63の硬化後のヤング率が示されている。
「圧電素子面積」では、圧電素子60の下面60aの面積が上面60bの面積より小さい場合(すなわち、側面60cの少なくとも一部が逆テーパー形状となっている場合)を「○」で示し、下面60a及び上面60bの面積が等しい場合(すなわち、側面60cがテーパー形状を有していない場合)を「−」で示している。
「電圧効率」は、本実験の実験結果を「◎◎」、「◎」、「○」、「×」の4段階で示している。具体的には、「電圧効率」は、各水準のインクジェットヘッド1において所望の速度でノズルNからインクの液滴を吐出するために必要であった圧電素子60への印加電圧の大きさを示す。具体的には、23V未満で所望の速度が得られた場合を「◎◎」で示し、23V以上25V未満で所望の速度が得られた場合を「◎」で示し、25V以上27V未満で所望の速度が得られた場合を「◎」で示し、所望の速度を得るのに27V以上の電圧が必要であった場合を「×」で示している。
図9に示すように、実施例1では、固着範囲30Rの外周の全部から外側に接着剤63がはみ出し、接着剤63のヤング率が3GPaであり、下面60aの面積が上面60bの面積より小さいインクジェットヘッド1を用いた。この実施例1では、電圧効率の結果が「◎」となった。
また、実施例1から接着剤63のはみ出し部の高さを大きくした実施例2では、電圧効率が実施例1よりも高く、「◎◎」となった。
また、実施例1から接着剤63のはみ出し部の幅を大きくした実施例3では、電圧効率が実施例1とほぼ同等であり、「◎」となった。
また、圧電素子60の側面60cがテーパー形状を有していない点においてのみ実施例1と異なる実施例4では、電圧効率が「○」となった。
また、実施例1から接着剤63をヤング率が30GPaであるものに変えた実施例5、及び接着剤63をヤング率が0.01GPaであるものに変えた実施例6では、電圧効率が実施例1とほぼ同等であり、「◎」となった。
また、実施例1から接着剤63をヤング率が31GPaであるものに変えた実施例7、及び実施例1から接着剤63をヤング率が0.001GPaであるものに変えた実施例8では、電圧効率が「○」となった。
また、接着剤63を固着範囲30Rの外周の半周のみから外側にはみ出させた点においてのみ実施例1と異なる実施例9、及び接着剤63を固着範囲30Rの外周の4個所のみから外側にはみ出させた点においてのみ実施例1と異なる実施例10では、電圧効率が「○」となった。
また、接着剤63を固着範囲30Rから外部にはみ出させない比較例においては、電圧効率は「×」となった。
このように、接着剤63を固着範囲30Rの外周から外側にはみ出させることでインク吐出の電圧効率が高まることが確認された。また、特に接着剤63のはみ出し部の高さを大きくすることで効果的に電圧効率を高められることが確認された。また、圧電素子60の側面60cを逆テーパー形状とすることで、電圧効率をより高められることが確認された。また、接着剤63のヤング率を0.01GPa以上30GPa以下の範囲内とすることで、より効果的に電圧効率を高められることが確認された。また、接着剤63を固着範囲30Rの外周の一部のみからはみ出させても電圧効率を高められることが確認された。
(変形例)
次に、圧電素子60に係る構造についての変形例について説明する。
圧電素子60の平面形状(固着面30aに垂直な方向から見た形状)は、図3に示されるような形状に限られず、各種の多角形など、圧力室21の形状に応じて種々の形状とすることができる。
図10は、平面形状が長方形である圧電素子60の例を示す平面図である。
このような圧電素子60を用いた場合には、振動板30の固着面30aにおける圧電素子60の固着範囲30Rも長方形となる。本変形例では、圧電素子60の下面60a及び固着範囲30Rがなす長方形の外周のうち短辺Saに対応する部分を包含する範囲に接着剤63が付着している。すなわち、固着範囲30Rの外周のうち短辺Saから外側に接着剤63がはみ出して設けられている。図10のような長方形の圧電素子60では、電圧が印加された場合に、短辺Saに平行な方向の伸縮量よりも、長辺Sbに平行な伸縮量の方が大きくなる。したがって、電圧印加に応じて当該圧電素子60が伸縮するときの各辺の移動量は、長辺Sbよりも短辺Saの方が大きくなる。このため、図10のように短辺Saに沿う領域に接着剤63のはみ出し部を設けることで、圧電素子60の伸長変形に応じた接着剤63のはみ出し部の弾性変形量(収縮量)が大きくなるため、より効果的に接着剤63から圧電素子60に力を及ぼして圧電素子60の収縮変形動作を補助することができる。
また、この圧電素子60では、接着剤63が固着範囲30Rの外周のうち短辺Saのみから外側にはみ出しているため、圧電素子60は、短辺Saに沿う側面60cのみが逆テーパー形状をなしていれば良い。なお、上記実施形態と同様に圧電素子60の全周に亘って側面60cが逆テーパー形状を有する構成としても良い。
以上のように、本実施形態に係るインクジェットヘッド1は、インクを貯留する圧力室21と、圧力室21から供給されたインクを吐出するノズルNと、圧力室21の内壁面の一部をなす振動板30と、振動板30の内壁面の一部をなす面とは反対側の固着面30aに接着剤63を介して固着されている平板状の圧電素子60と、を備え、圧電素子60は、当該圧電素子60に対して印加される電圧に応じて固着面30aに沿った方向に伸縮することで振動板30とともに撓み、接着剤63は、固着面30aのうち、圧電素子60が固着されている固着範囲30Rの外側を含む範囲に付着している。
このような構成によれば、電圧印加に応じて圧電素子60が固着面30aに沿った方向に伸長したときに当該圧電素子60の伸長に応じて接着剤63のはみ出し部が収縮する方向に弾性変形し、この状態から圧電素子60が電圧印加に応じて収縮したときに、接着剤63のはみ出し部が圧電素子60に対して弾性力を及ぼしながら(押圧しながら)伸長するため、接着剤63のはみ出し部が圧電素子60の収縮変形動作を補助する役割を果たす。これにより、圧電素子60の収縮に応じた振動板30及び圧電素子60の撓み量をより大きくすることができるため、ノズルNからのインクの射出速度や射出量を大きくすることができる。よって、インクの吐出効率(所定の印加電圧で圧電素子60を駆動したときのインクの吐出量や吐出速度の大きさ)を高くすることができる。これにより、所望の吐出速度や吐出量を実現するために必要な印加電圧をより小さくすることが可能となり、インクジェットヘッド1及びインクジェット記録装置100の電力消費を低減させることができる。
また、圧電素子60は、振動板30に垂直な方向から見て振動板30がなす内壁面の一部と部分的に重なる範囲に設けられており、接着剤63は、固着面30aのうち、上記方向から見て振動板21がなす上記内壁面の一部と重なる部分を少なくとも含む範囲に付着している。これにより、収縮変形する圧電素子60からの力を接着剤63のはみ出し部を介して圧力室21の壁面(振動板30)全体に及ぼすことができ、当該壁面の全体を効率良く撓ませることができる。よって、より効果的にインクの吐出効率を高めることができる。
また、圧電素子60の上面60bには第1電極61が設けられ、接着剤63は、第1電極61に接触しない範囲に設けられている。これにより、第1電極61と第2電極との間で接着剤63が電気抵抗となって圧電素子60の駆動効率を低下させたり、発熱を生じさせたりする不具合の発生を抑制することができる。
また、圧電素子60は、振動板30に垂直な方向から見て、振動板30がなす上記内壁面の一部に重なる第1領域R1から、当該内壁面の一部に隣接する内壁面の他の一部をなす基材22に重なる第2領域R2にかけて設けられており、第1領域R1における固着範囲30Rの外周の長さに対する当該外周の外側に付着している接着剤63の体積の比が、第2領域R2における比より大きい。これにより、圧電素子60のうち、振動板30の振動に主に寄与する第1領域R1内の部分(主要部601)の変形動作を接着剤63のはみ出し部により効果的に補助して、インクの吐出効率を高めることができる。また、圧電素子60のうちほとんど振動板30の振動に寄与しない第2領域R2内の部分(凸部602)の周囲にはみ出させる接着剤63の量を抑えることで、接着剤63のはみ出し部のために必要なスペースを削減してヘッドチップ2の設計自由度を高めることができる。また、第2領域R2内で接着剤63が第1電極61に接触して駆動効率の低下や発熱を招く不具合の発生を抑制することができる。
また、接着剤63のヤング率を、0.01GPa以上30GPa以下とすることで、接着剤63が固過ぎて圧電素子60の変形動作を妨げたり、接着剤63が柔らか過ぎて圧電素子60の変形動作を補助する十分な効果が得られなくなったりする不具合を生じにくくすることができる。この結果、接着剤63のはみ出し部により効果的に圧電素子60の変形動作を補助してインクの吐出効率を高めることができる。
また、圧電素子60は、振動板30に垂直な方向から見て、下面60aの外周のうち少なくとも接着剤63の付着範囲の内側にある部分が上面60bの外周の内側に含まれる形状を有する。このような構成の圧電素子60は、側面60cのうち接着剤63がはみ出している部分が逆テーパー形状(又はこれに近い形状)を有するため、固着範囲30Rの外周から外部にはみ出した接着剤63が側面60cに沿って伝いやすくなる。よって、接着剤63のはみ出し部をより確実に側面60cに当接させ、また側面60cのより広い範囲に当接させることができる。この結果、接着剤63が圧電素子60の側面60cを押圧して圧電素子60の変形動作を補助する効果を高めることができ、より効果的にインクの吐出効率を高めることができる。
また、上記変形例では、固着範囲30Rは長方形であり、接着剤63は、当該長方形の短辺Saを内部に包含する範囲に付着している。このように、圧電素子60のうち伸縮量が大きい短辺Saに沿う部分に接着剤63をはみ出させることで、当該接着剤63のはみ出し部の弾性変形量が大きくなるため、より効果的に接着剤63から圧電素子60に力を及ぼして圧電素子60の変形動作を補助することができる。
また、接着剤63を、固着範囲30Rの全体を内部に包含する範囲に付着させた構成とすることで、接着剤63のはみ出し部により効果的に圧電素子60の変形動作を補助してインクの吐出効率を高めることができる。
また、本実施形態のインクジェット記録装置100は、上記インクジェットヘッド1と、圧電素子60に印加する電圧を出力する駆動部4と、を備える。これにより、インクジェット記録装置100におけるインク吐出の電圧効率を高めて電力消費を低減させることができる。
なお、本発明は、上記実施形態及び変形例に限られるものではなく、様々な変更が可能である。
例えば、第2電極62を圧電素子60の下面60aに形成し、当該第2電極62と振動板30とを接着剤63により接着しても良い。
また、振動板30が金属などの導電性材料からなる場合には、第2電極62を省略し、振動板30を一方の電極(第2電極)として用いても良い。この場合には、振動板30の固着面30a上に直接(接着剤63を介して)圧電素子60が固着される。
これらのように、圧電素子60が振動板30に対して少なくとも接着剤63を介して固着されている種々の構成に対して本発明を適用することができる。
また、上記実施形態及び変形例では、図5のように、固着面30aに垂直な方向から見て固着範囲30Rの外周と圧力室21の壁面の外周との間の全体に重なる範囲に接着剤63がはみ出して付着している構成を例に挙げて説明したが、これに限定されず、固着範囲30Rの外周と圧力室21の壁面の外周との間の領域のうち一部のみに重なる範囲に接着剤63がはみ出して付着している構成としても良い。
また、上記実施形態及び変形例では、固着面30aに垂直な方向から見て圧電素子60が圧力室21の一部と重なる構成を例に挙げて説明したが、これに限定されず、圧電素子60が圧力室21の全体と重なる構成であっても良い。
また、上記実施形態及び変形例では、圧電素子60の側面60cが逆テーパー形状となっている例を用いて説明したが、これに限られず、圧電素子60の側面60cが逆テーパー形状を有していない構成、例えば側面60cが固着面30aに垂直な構成であっても良い。
また、上記実施形態及び変形例では、シングルパス形式のインクジェット記録装置100を例に挙げて説明したが、インクジェットヘッド1を走査させながら画像の記録を行うインクジェット記録装置100に本発明を適用しても良い。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
本発明は、インクジェットヘッド及びインクジェット記録装置に利用することができる。
1 インクジェットヘッド
2 ヘッドチップ
3 配線部材
4 駆動部
10 ノズル基板
20 圧力室基板
21 圧力室
22 基材
30 振動板
30a 固着面
40 スペーサー基板
50 配線基板
60 圧電素子
60a 下面
60b 上面
60c 側面
601 主要部
602 凸部
60A 圧電プレート
61 第1電極
62 第2電極
63 接着剤
64 レジストパターン
70 共通インク室
80 保持基板
90 接続部
100 インクジェット記録装置
101 搬送ベルト
102 搬送ローラー
103 ヘッドユニット
104 制御部
M 記録媒体
N ノズル

Claims (9)

  1. インクを貯留するインク貯留部と、
    前記インク貯留部から供給されたインクを吐出するノズルと、
    前記インク貯留部の内壁面の一部をなす振動板と、
    前記振動板の前記内壁面の前記一部をなす面とは反対側の面に接着剤を介して固着されている平板状の圧電素子と、
    を備え、
    前記圧電素子は、当該圧電素子に対して印加される電圧に応じて、前記振動板の前記圧電素子が固着されている固着面に沿った方向に伸縮することで前記振動板とともに撓み、
    前記接着剤は、前記固着面のうち、前記圧電素子が固着されている固着範囲の外側を含む範囲に付着しているインクジェットヘッド。
  2. 前記圧電素子は、前記固着面に垂直な垂直方向から見て前記振動板がなす内壁面の前記一部と部分的に重なる範囲に設けられており、
    前記接着剤は、前記固着面のうち、前記垂直方向から見て前記振動板がなす内壁面の前記一部と重なる部分を少なくとも含む範囲に付着している請求項1に記載のインクジェットヘッド。
  3. 前記圧電素子の前記振動板に固着された面とは反対側の面には電極が設けられ、
    前記接着剤は、前記電極に接触しない範囲に設けられている請求項1又は2に記載のインクジェットヘッド。
  4. 前記圧電素子は、前記固着面に垂直な垂直方向から見て、前記振動板がなす内壁面の前記一部に重なる第1領域から、当該内壁面の前記一部に隣接する前記内壁面の他の一部をなす基材に重なる第2領域にかけて設けられており、
    前記第1領域における前記固着範囲の外周の長さに対する当該外周の外側に付着している接着剤の体積の比が、前記第2領域における前記比より大きい請求項1から3のいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
  5. 前記接着剤のヤング率は、0.01GPa以上30GPa以下である請求項1から4のいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
  6. 前記圧電素子は、前記固着面に垂直な垂直方向から見て、前記振動板に固着された面の外周のうち少なくとも前記接着剤の付着範囲の内側にある部分が前記振動板に固着された面とは反対側の面の外周の内側に含まれる形状を有する請求項1から5のいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
  7. 前記固着範囲は長方形であり、
    前記接着剤は、前記長方形の短辺を内部に包含する範囲に付着している請求項1から6のいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
  8. 前記接着剤は、前記固着範囲の全体を内部に包含する範囲に付着している請求項1から7のいずれか一項に記載のインクジェットヘッド。
  9. 請求項1から8のいずれか一項に記載のインクジェットヘッドと、
    前記圧電素子に印加する前記電圧を出力する電圧印加回路と、
    を備えるインクジェット記録装置。
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