JP4165043B2 - 液滴吐出ヘッド - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液滴吐出ヘッドに関し、特に液体を加圧し、液滴を吐出する液滴吐出ヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、液滴吐出ヘッドの実用例であるインクジェット記録ヘッドを用いたインクジェット記録装置は、高画質印刷が可能であることから、パーソナルコンピュータの普及に伴いその画像の出力装置として広く使われるようになってきた。このようなインクジェット記録装置は、より一層の高速化、小型化及び低コスト化が要望されている。
【0003】
一般的に、インクジェット記録ヘッドは、インクを吐出するノズルと、そのノズルと連通し、インクを加圧する圧力室と、圧力室とインク供給口を通して連通するインクプールとを有している。圧力室の一面は、圧電素子が接合された振動板で構成されている。
【0004】
圧電素子を用いたインクジェット記録ヘッドを図55、図56に示す。図55は、従来のインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。図56は、従来のインクジェット記録ヘッドのインク滴の吐出動作を示す断面図である。
【0005】
図55に示されるように、従来のインクジェット記録ヘッド100は、ノズルプレート109と、プレート108と、振動板106と、接着層107と、圧電素子105とを備えている。
【0006】
ノズルプレート109上には、プレート108が設けられている。プレート108上には、振動板106が設けられている。プレート108とノズルプレート109と振動板106は、インクを収容するための圧力室102を形成し、圧力室102にはインク111が充填されている。また、プレート108とノズルプレート109と振動板106は、インクを収容するためのインクプール104を形成し、インクプール104にはインク113が充填されている。
【0007】
プレート108には、インクプール104と圧力室102とに連通し、インクプール104に収容されたインク113を圧力室102にインク111として補給/供給するための供給口103が形成されている。ノズルプレート109には、圧力室102に連通し、インク111をインク滴として吐出するためのノズル101が形成されている。
【0008】
圧電素子105は、分極処理により予めに分極されている。この予めに分極された圧電素子105は、印加される電圧に基づいて変形する。
【0009】
ここで、圧電素子を構成する圧電材料は、通常、初期状態(バージン材)では圧電性を示さない。予めにある値以上の電界を外部から加えると(分極処理)、圧電素子は、外部からの微小電界に応じて圧電効果を示すようになる。このように、予めにある値以上の電界を外部から加える処理のことを分極処理という。
【0010】
振動板106上には、接着層107が設けられている。接着層107上には、圧電素子105が接合されている。圧電素子105は、下面全面に渡って接着層107により振動板106と接合されている。
【0011】
このような構成の従来例において、圧電素子105をその厚さ方向に分極し、圧電素子105にその分極方向と同一方向に電圧を印加すると、図56に示されるように、圧電素子105は電圧の印加方向とは垂直方向(図56の矢印c、d方向)に縮もうとし振動板106の圧電素子105接合面を面内方向に圧縮する。その結果、圧電素子105と振動板106は撓み変形を起こす。
【0012】
図56に示されるように、従来のインクジェット記録ヘッド100では、圧電素子105が電圧の印加に応じて運動/駆動したとき(撓んだとき)、圧電素子105と振動板106は、接着層107に接合されているため、同じ曲率を有するように撓む。圧力室102は、圧電素子105の運動(振動板106の撓み)に基づいて内部の圧力が変化し(体積変位し)、インク滴112は、圧力室102の圧力の変化に基づいてノズル101から吐出される。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
一般的に、インクジェット記録ヘッドは、圧力室が複数である場合、小型化のために、圧力室の配置の高密度化が必要である。
【0014】
高密度化のためには、圧力室の占有面積を小さくする必要があるが、一般的に圧力室の占有面積を小さくすると、インク吐出時の圧電素子の駆動による圧力室の体積変位も小さくなってしまうため、十分な圧力が加えられない。インクジェット記録ヘッド100では、圧力室102の配置における高密度化のためには、圧力室102ができるだけ小さな占有面積で、所要の体積変位ができるだけ大きくなるようなヘッド構成にする必要がある。
【0015】
このため、圧力室102の占有面積を大きくすることなく、インク111を加圧するために圧力室102の体積変位を大幅に向上することにより、圧力室102の配置における高密度化を可能とすることが望まれる。
【0016】
また、図56に示されるように、インクジェット記録ヘッド100では、圧電素子105が下面全面に渡って接着層107により振動板106と接合されているため、インク吐出時(駆動時)に、圧電素子105は電圧の印加に応じて振動板106と同じ曲率を有するように撓み変形を起こす。従って、電圧の印加に応じて圧電素子105に発生するエネルギーは、振動板106を撓ませることに費やされるのみならず、圧電素子105自身を撓ませることにも消費され、入力電圧に対する体積変位効率が悪いものになってしまっている。
【0017】
また、インクジェット記録ヘッド100では、印加する電圧を上げて振動板106の体積変位を大きくすることもある程度可能であるが、高電圧化に伴う安全性やコストアップの問題もある。また圧電素子105の発生する歪もあるところで飽和するため、やたらと電圧を高くしても体積変位はあまり上がらない。
【0018】
このため、圧電素子105に発生するエネルギーを高くすることなく、低い電圧で圧電素子105を駆動させ、インク111を加圧するために圧力室102の体積変位を大幅に向上することにより、ヘッドの低消費電力化、低電圧化を可能とすることが望まれる。
【0019】
また、インク以外の液体にも適用できることが望まれる。
【0020】
本発明の目的は、低電圧で液滴を吐出することができる液滴吐出ヘッドを提供することにある。
【0021】
本発明の他の目的は、液体を加圧するための圧力室の体積変位を大幅に向上する液滴吐出ヘッドを提供することにある。
【0022】
本発明の更に他の目的は、圧力室の配置における高密度化、小型化を可能とする液滴吐出ヘッドを提供することにある。
【0023】
本発明の更に他の目的は、ヘッドの低消費電力化、低電圧化を可能とする液滴吐出ヘッドを提供することにある。
【0024】
【課題を解決するための手段】
以下に、[発明の実施の形態]で使用する番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明の実施の形態]の記載との対応関係を明らかにするために付加されたものであるが、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0025】
本発明の液滴吐出ヘッドは、液体(11)を加圧する圧力室(2)と、圧力室(2)には、液体(11)を液滴(12)として吐出する開口部(1a)が設けられ、圧力室(2)上に設けられた振動板(6、26、36、46、56、66)と、振動板(6、26、36、46、56、66)上に設けられた変位発生素子(5、25、35、45、55、56)とを備えている。変位発生素子(5、25、35、45、55、65)と振動板(6、26、36、46、56、66)とは、部分的に接合されている。圧力室(2)は、変位発生素子(5、25、35、45、55、65)の発生する変位に基づいて生じる振動板(6、26、36、46、56、66)の撓み変形により、内部の圧力が変化する。液滴(12)は、圧力室(2)の圧力の変化に基づいて開口部(1a)から吐出される。
【0026】
本発明の液滴吐出ヘッドは、更に、変位発生素子(5、25、35、55)と振動板(6、26、36、56)とを部分的に接合する接着部(7、27、37、57)を備えている。
【0027】
変位発生素子(5)の形状は円である。接着部(7)は、円の円周に沿うように設けられる。
【0028】
変位発生素子(5)の形状は正方形又は長方形である。接着部(7)は、正方形又は長方形の4辺のうちの少なくとも2辺に沿うように設けられる。
【0029】
振動板(26)の表面には、溝(26a)が形成されている。接着部(27)は、溝(26a)に設けられる。接着部(27)と振動板(26)との上には、変位発生素子(25)が設けられる。
【0030】
変位発生素子(25)の形状は円である。接着部(27)と溝(26a)は、円の円周に沿うように設けられる。
【0031】
変位発生素子(25)の形状は正方形又は長方形である。接着部(27)と溝(26a)は、正方形又は長方形の4辺のうちの少なくとも2辺に沿うように設けられる。
【0032】
振動板(36)の表面には、突起部(36a)が形成されている。接着部(37)は、突起部(36a)上に設けられる。接着部(37)上には、変位発生素子(35)が設けられる。
【0033】
変位発生素子(55)には、突起部(55e)が形成されている。接着部(57)上には、突起部(55e)が設けられる。
【0034】
変位発生素子(35、55)の形状は円である。接着部(37、57)と突起部(36a、55e)は、円の円周に沿うように設けられる。
【0035】
変位発生素子(35、55)の形状は正方形又は長方形である。接着部(37、57)と突起部(36a、55e)は、正方形又は長方形の4辺のうちの少なくとも2辺に沿うように設けられる。
【0036】
振動板(46)の表面には、突起部(46a)が形成されている。本発明の液滴吐出ヘッドは、更に、変位発生素子(45)と突起部(46a)とを接合する接着部(47)を備えている。
【0037】
変位発生素子(65)には、突起部(65e)が形成されている。本発明の液滴吐出ヘッドは、更に、突起部(65e)と振動板(66)とを接合する接着部(67)を備えている。
【0038】
変位発生素子(45、65)の形状は円である。突起部(46a、65e)は、円の円周に沿うように設けられる。
【0039】
変位発生素子(45、65)の形状は正方形又は長方形である。突起部(46a、65e)は、正方形又は長方形の4辺のうちの少なくとも2辺に沿うように設けられる。
【0040】
圧力室(2)の形状は、四角錐台である。四角錐台の第1面(2a)には開口部が設けられる。四角錐台の第1面(2a)より大きい第2面(2b)は、振動板(6、26、36、46、56、66)によって形成されている。変位発生素子(5、25、35、45、55、65)は、変位発生素子(5、25、35、45、55、65)の発生する変位が第2面(2b)に伝わるように圧力室(2)の上方に設けられる。
【0041】
圧力室(2)の形状は、円錐台である。円錐台の第1面(2a)には開口部(1a)が設けられる。円錐台の第1面(2a)より大きい第2面(2b)は、振動板(6、26、36、46、56、66)によって形成されている。変位発生素子(5、25、35、45、55、65)は、変位発生素子(5、25、35、45、55、65)の発生する変位が第2面(2b)に伝わるように圧力室(2)の上方に設けられる。
【0042】
本発明の液滴吐出ヘッドは、更に、液体(13)を収容するプール(4)と、プール(4)と圧力室(2)とに連通し、プール(4)に収容された液体(13)を圧力室(2)に供給するための供給口(3)とを備えている。
【0043】
本発明の液滴吐出ヘッドは、インクジェット記録装置で使われる。また、本発明の液滴吐出ヘッドは、有機ELディスプレイ製膜装置で使われる。また、本発明の液滴吐出ヘッドは、液滴吐出ヘッドは、半田バンプ形成装置で使われる。
【0044】
【発明の実施の形態】
本発明による液滴吐出ヘッドは、インクジェット記録装置、有機ELディスプレイ製膜装置、半田バンプ形成装置等で使われる。添付図面を参照して、本発明による液滴吐出ヘッドの実施の形態として、インクジェット記録装置で使われるインクジェット記録ヘッドを例にして説明する。本実施の形態に係るインクジェット記録ヘッドは、インクを収容した圧力室を圧電素子で押圧することによってインク滴を記録用紙上に吐出させる方式を採用している。
【0045】
(実施の形態1)
本実施の形態1に係るインクジェット記録ヘッド10について図1を参照しながら説明する。図1は、本実施の形態1に係るインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。
【0046】
図1に示されるように、インクジェット記録ヘッド10は、ノズルプレート9と、プレート8と、ノズルプレート9に平行に延びる振動板6と、接着層7、7’と、圧電素子5とを備えている。
【0047】
尚、ノズルプレート9の辺9aをX1方向、X1方向と逆向き(X1方向を角度0とした場合、角度180になる方向)のノズルプレート9の辺9aをX2方向、辺9aに対して垂直上方方向(X1方向を角度0とした場合、角度θに傾く方向)をY1方向、辺9aに対して垂直下方方向(X1方向を角度0とした場合、角度θに傾く方向)をY2方向とする。また、X1方向を角度0とした場合、X1方向に対してY1方向へ角度θに傾く方向をY3方向とし、角度θに傾く方向をY4方向とし、角度θに傾く方向をY5方向とし、角度θに傾く方向をY6方向とする。ここで、θ=90°、θ=270°、(180°−θ)=θ、(180°−θ)=θ、0°<θ<θ<θ<θ<θ<θ<360°である。
【0048】
ノズルプレート9上には、プレート8が設けられ、接続されている。プレート8上には、振動板6が設けられ、接続されている。
【0049】
ノズルプレート9とプレート8と振動板6は、ニッケル、ステンレスで例示される金属材料により形成されている。尚、ノズルプレート9とプレート8と振動板6は、金属材料に限らず、ポリイミドで例示される樹脂でもよく、また、シリコンを用いてもよい。この場合、ノズルプレート9とプレート8と振動板6とに用いられる材料の組合せは、上記の例において、自由でもよいし、同じにしてもよい。ヘッドを設計する上での必要条件に応じて適宜最適な組合せが選択される。
【0050】
プレート8とノズルプレート9と振動板6は、インクを収容し、加圧するための圧力室2を形成し、圧力室2にはインク11が充填されている。圧力室2は、底面部2aと上面部2bと側面部2c、2dとを有する。ここで、圧力室2の形状が四角錐台であることが好ましい(図2参照)。この場合、側面部2cと側面部2dは互いに離れて形成される。また、圧力室2は、側面部2cと側面部2dとを接続する図示せぬ側面部を更に有することが好ましい。
【0051】
図1に示されるように、底面部2aは、ノズルプレート9に接する面である。上面部2bは、振動板6に接する面である。側面部2cは、底面部2aからY4方向に上面部2bまで延び、プレート8を示す第1プレート8aに接する面である。側面部2dは、底面部2aからY3方向に上面部2bまで延び、プレート8を示す第2プレート8bに接する面である。上面部2bのX1方向の長さは、底面部2aのX1方向の長さよりも長い。
【0052】
また、プレート8とノズルプレート9と振動板6は、インクを収容し、圧力室2に補給/供給するためのインクプール4を形成し、インクプール4にはインク13が充填されている。インクプール4は、底面部4aと上面部4bと側面部4c、4dとを有する。ここで、インクプール4の形状が四角錐台であることが好ましい(図2参照)。この場合、側面部4cと側面部4dは互いに離れて形成される。また、インクプール4は、側面部4cと側面部4dとを接続する図示せぬ側面部を更に有することが好ましい。
【0053】
図1に示されるように、底面部4aは、ノズルプレート9に接する面である。上面部4bは、振動板6に接する面である。側面部4cは、底面部4aからY3方向に上面部4bまで延び、プレート8を示す第2プレート8bに接する面である。側面部4dは、底面部4aからY4方向に上面部4bまで延び、プレート8を示す第3プレート8cに接する面である。上面部4bのX1方向の長さは、底面部4aのX1方向の長さよりも短い。
【0054】
プレート8を示す第2プレート8bには、インクプール4と圧力室2とに連通し、インクプール4に収容されたインク13を圧力室2にインク11として補給/供給するための供給口3が形成されている。供給口3は、インクプール4の側面部4cから圧力室2の側面部2dまで第2プレート8bをX2方向に貫通する穴であり、入口3aと出口3bと上面部3cと底面部3dとを有する。入口3aは、インクプール4の側面部4cに貫通された穴の入口に対応する。出口3bは、圧力室2の側面部2dに貫通された穴の出口に対応する。上面部3cは、入口3aから出口3bまで延び、振動板6に接する面である。底面部3dは、入口3aから出口3bまで延び、第2プレート8bに接する面である。
【0055】
ノズルプレート9には、圧力室2に連通し、インク11をインク滴として吐出するためのノズル1が形成されている。ノズル1は、圧力室2における底面部2aと上面部2bとの中央部の軸線Lに沿って、圧力室2の底面部2aの中央部からノズルプレート9(の辺9a)までノズルプレート9をY2方向に貫通する開口部であり、入口1aと出口1bと側面部1c、1dとを有する。入口1aは、圧力室2の底面部2aの中央部に貫通された開口部の入口に対応する。出口1bは、ノズルプレート9(の辺9a)に貫通された開口部の出口に対応し、インク11をインク滴として吐出する。側面部1cは、出口1bからY4方向に入口1aまで延び、ノズルプレート9に接する面である。側面部1dは、出口1bからY3方向に入口1aまで延び、ノズルプレート9に接する面である。入口1aのX1方向の長さは、出口1bのX1方向の長さよりも長い。ここで、ノズル1の形状が円錐台であることが好ましい(図2参照)。この場合、側面部1cと側面部1dは一体で形成される。
【0056】
圧電素子5は、上面部5aと底面部5bと側面部5c、5dとを有する。上面部5a、底面部5bのX1方向の長さWは、圧力室2の上面部2bのX1方向の長さと同じである。また、上面部5aには正電極が薄く形成され、底面部5bには負電極が薄く形成され、圧電素子5は分極処理により予めに分極されている。この予めに分極された圧電素子5は、上面部5aと底面部5bとの間に印加される電圧に基づいて変形する。
【0057】
圧電素子5を構成する圧電材料は、通常、初期状態(バージン材)では圧電性を示さない。予めにある値以上の電界を外部から加えると(分極処理)、圧電素子5は、外部からの微小電界に応じて圧電効果を示すようになる。予めに、分極処理として、正電極である上面部5aに設定値以上の正電圧、負電極である底面部5bに負電圧(通常は接地)を印加することにより、圧電素子5は、上面部5aに正電圧、底面部5bに負電圧(通常は接地)が印加されたときに面内方向に縮むように駆動される。
【0058】
振動板6上には、圧電素子5と振動板6とを部分的に接合させる接着層7、7’が設けられている。接着層7と接着層7’は、振動板6上に設けられている。接着層7は、軸線Lに対して垂直方向であるX1方向に、軸線Lから距離s1だけ離れて設けられ、軸線Lに対してX1方向の長さt1を有する。接着層7’は、軸線Lに対して垂直方向であるX2方向に、軸線Lから距離s2だけ離れて設けられ、軸線Lに対してX2方向の長さt2を有する。
【0059】
ここで、距離s1は距離s2と同じであり、接着層7の軸線Lに対するX1方向の長さt1は、接着層7’の軸線Lに対するX2方向の長さt2と同じであることが好ましい。また、長さW、距離s1、s2、長さt1、t2の単位を統一(例えば、メートル)した場合、(W/2)≧(s1+t1)、s1≧t1、(W/2)≧(s2+t2)、s2≧t2とする。
【0060】
また、接着層7、7’は、導電性に優れた接着性材料である。接着性材料としてはエポキシ系接着剤が例示される。
【0061】
接着層7、7’上には、圧電素子5が設けられている。圧電素子5の底面部5bは、接着層7、7’により、振動板6と部分的に接合される。
【0062】
ここで、図2に示されるように、圧電素子5が円形状である場合、圧電素子5は、軸線Lを中心とする半径(W×(1/2))の円である。この場合、(接着層7と接着層7’とを含む)接着層は、圧電素子5の円の円周に沿うように設けられる。更には、(接着層7と接着層7’とを含む)接着層は、軸線Lを中心とする半径(s1+t1)の円から、軸線Lを中心とする半径s1の円を除いた部分(領域)に形成される形状であることが好ましい。また、上述の接着層7と接着層7’は一体で形成されることが好ましい。
【0063】
図1に示されるように、圧電素子5が上面部5aと底面部5bとの間に印加される電圧に応じて面内方向に運動/駆動したとき(縮んだとき)、圧電素子5と振動板6は、接着層7、7’により部分的に接合されているため、振動板6の圧電素子5接着面は面内方向に圧縮される。その結果、振動板6には曲げモーメントMが作用することとなり、振動板6はY2方向に撓み変形を起こす。この際に、圧電素子5と振動板6は、接着層7、7’でのみ接合されているため、振動板6は、圧電素子5の曲げ剛性に影響されることなく、それ自身の曲げ剛性に従い振動板6に作用する曲げモーメントMに応じて撓み変形を起こす。これにより、インクジェット記録ヘッド10は、圧力室2の体積変位を大幅に向上することにより、低電圧でインク11を加圧することができる。
【0064】
圧力室2は、圧電素子5の運動/駆動(振動板6の撓み)に基づいて内部の圧力が変化する(体積変位する)。上述のインク滴は、圧力室2の圧力の変化に基づいてノズル1から吐出される。圧電素子5は、振動板6を介して圧力室2を押圧することによってノズル1からインク11をインク滴として吐出させる。このように、インクジェット記録ヘッド10は、圧力室2の体積変位を大幅に向上することにより、圧力室2の配置における高密度化、小型化を可能とし、低電圧でインク11を加圧することにより、ヘッドの低消費電力化、低電圧化を可能とする。
【0065】
次に、インクジェット記録ヘッド10のインク滴の吐出動作について図3を参照しながら説明する。図3は、本実施の形態1に係るインクジェット記録ヘッドのインク滴の吐出動作を示す断面図である。
【0066】
図3に示されるように、インクジェット記録ヘッド10は、外部電源80と接続される。圧電素子5の正電極である上面部5aには、外部電源80の正極が接続され、振動板6には、外部電源80の負極が接続される。圧電素子5の負電極である底面部5bと、振動板6とが導電性の接着層7、7’に接合されているため、振動板6は負電極であり、通常、外部電源80により接地されている。
【0067】
圧電素子5の上面部5a(正電極)と振動板6(負電極)との間には、外部電源80により電圧が印加される。外部電源80により印加する電圧は、40(V)未満が好ましく、例えば30(V)が好ましい。
【0068】
ここで、図1に示されたインクジェット記録ヘッド10は、外部電源80により電圧が印加されていない状態であり、この状態を静止状態と称す。また、図3に示されたインクジェット記録ヘッド10は、外部電源80により電圧が印加される状態であり、この状態を動作状態と称す。
【0069】
まず、静止状態において、圧電素子5への電圧の印加として、圧電素子5の上面部5a(正電極)と振動板6(負電極)との間に外部電源80により電圧を印加したとき、圧電素子5は矢印a、bの向きに収縮して(収縮動作)、接着層7、7’を介して、振動板6の圧電素子5接着面を面内方向に圧縮する。その結果、振動板6には曲げモーメントMが作用することとなり、振動板6はY2方向に撓み変形を起こす(撓み変形動作)。これにより、インクジェット記録ヘッド10は、動作状態に移行する。
【0070】
圧電素子5の収縮動作では、圧電素子5が、圧電素子5の両端のうちの一方から軸線Lに向かってX2方向に平行な矢印aの向きに収縮し、圧電素子5の両端のうちの他方から軸線Lに向かってX1方向に平行な矢印bの向きに収縮する。
【0071】
次に、動作状態において、圧力室2では、振動板6の撓み変形動作(圧力室2の上面部2bがY2方向に撓むこと)による体積変位でもって圧力室2の中のインク11が圧縮される。これにより、インクジェット記録ヘッド10は、圧力室2に連通したノズル1からインク11をインク滴12として吐出することができる。
【0072】
次いで、動作状態において、外部電源80により、圧電素子5の上面部5a(正電極)と振動板6(負電極)との間に印加されている電圧を0(V)にすると(圧電素子5への印加電圧を元に戻すと)、インクジェット記録ヘッド10は、静止状態に移行し、圧電素子5及び振動板6は図1に示された元の状態に戻る(撓み終了動作)。圧力室2では、ノズル1に形成されるインクのメニスカスの復元力(毛細管力)によって、圧力室2の中に、インクプール4の中のインク13が供給口3を通って補給/供給される。
【0073】
このように、インクジェット記録ヘッド10では、圧電素子5と振動板6は、接着層7、7’により部分的に接合されているため、圧電素子5と振動板6は、異なった曲率を有することができ、圧電素子5自体はあまり撓むことなく振動板6を大きく撓ますことが可能となる。
【0074】
例えば、圧電素子5は直径0.4mm、厚さ30μm、振動板6は圧力室2の部位直径0.5mm、厚さ10μm、接着層7、7’の厚さ5μmとした場合、本発明の実施形態の方が従来例よりも約2倍の体積変位を得ることができる。したがって、本発明の実施形態を用いれば、圧力室2の占有面積を従来例(圧力室102)の約1/2にすることができ、約2倍の高密度化が達成できる。
【0075】
以上の説明により、実施の形態1に係るインクジェット記録ヘッド10によれば、圧力室2の占有面積を大きくすることなく、インク11を加圧するために圧力室2の体積変位を大幅に向上することにより、圧力室2の配置における高密度化を可能とする。
【0076】
また、実施の形態1に係るインクジェット記録ヘッド10によれば、圧電素子5に発生するエネルギーを高くすることなく、低電圧で圧電素子5を駆動させ、インク11を加圧するために圧力室2の体積変位を大幅に向上することにより、液滴を吐出することができ、ヘッドの低消費電力化、低電圧化を可能とする。
【0077】
また、実施の形態1に係るインクジェット記録ヘッド10によれば、圧力室2の配置における高密度化を可能とすることにより、ヘッドを大型化することなく多ノズル化ができ高速化が達成できる。
【0078】
尚、実施の形態1に係るインクジェット記録ヘッド10は、上述の説明に限定されるものではない。(接着層7と接着層7’とを含む)接着層は、図2に示された形状に限定されず、図4に示されるように、圧電素子5の円の円周に沿って所定の位置に設けられることが好ましい。更には、(接着層7と接着層7’とを含む)接着層は、軸線Lを中心とする半径(s1+t1×(1/2))の円周上に、所定の距離、例えば軸線Lを中心に45度の間隔に部分的に形成される形状であることが好ましい。この場合、上述の接着層7と接着層7’は互いに離れて形成されることが好ましい。
【0079】
また、図4に示された圧電素子5は、円形状であることに限定されず、図5に示されるように、正方形状であってもよい。この場合、正方形状である圧電素子5は、4辺のそれぞれの長さWを有し、2本の対角線の交点が軸線Lに対応するように設けられ、4辺のうちの2辺がX1方向(又はX2方向)に平行に設けられることが好ましい。また、(接着層7と接着層7’とを含む)接着層は、圧電素子5の正方形の4辺のうちの少なくとも2辺に沿うように設けられる。更には、(接着層7と接着層7’とを含む)接着層は、4辺のそれぞれの長さ(s1+t1+s2+t2)を有し、2本の対角線の交点が軸線Lに対応するように設けられ、4辺のうちの2辺がX1方向(又はX2方向)に平行に設けられた正方形から、4辺のそれぞれの長さ(s1+s2)を有し、2本の対角線の交点が軸線Lに対応するように設けられ、4辺のうちの2辺がX1方向(又はX2方向)に平行に設けられた正方形を除いた部分(領域)に形成される形状であることが好ましい。また、上述の接着層7と接着層7’は一体で形成されることが好ましい。
【0080】
また、図5に示された圧電素子5が正方形状である場合、(接着層7と接着層7’とを含む)接着層は、圧電素子5の正方形の4辺のうちの少なくとも2辺に沿って所定の位置に設けられることが好ましい。更には、(接着層7と接着層7’とを含む)接着層は、図5に示された形状に限定されず、図6に示されるように、所定の距離、例えば軸線Lを中心に45度の間隔に部分的に形成される形状であることが好ましい。この場合、上述の接着層7と接着層7’は互いに離れて形成されることが好ましい。
【0081】
また、図5に示された圧電素子5は、正方形状であることに限定されず、図7に示されるように、長方形状であってもよい。この場合、長方形状である圧電素子5は、4辺のうちの2辺が長さWを有する2辺より長く、4辺のうちの長さWを有する2辺がX1方向(又はX2方向)に平行に設けられることが好ましい。また、(接着層7と接着層7’とを含む)接着層は、圧電素子5の長方形の4辺のうちの長さWを有する2辺より長い2辺に沿うように設けられることが好ましい。更には、上述の接着層7と接着層7’はX1方向の同一平面上の垂直方向に延びるように形成されることが好ましい。この場合、上述の接着層7と接着層7’は互いに離れて形成されることが好ましい。
【0082】
また、図2に示された圧力室2、インクプール4の形状は、図8に示されるように、四角錐台に限定されず、円錐台でもよい。この場合、側面部2cと側面部2dは一体で形成され、側面部4cと側面部4dは一体で形成されることが好ましい。また、圧電素子5は、軸線Lを中心とする半径(W×(1/2))の円であることが好ましい。また、(接着層7と接着層7’とを含む)接着層は、圧電素子5の円の円周に沿うように設けられることが好ましい。更には、(接着層7と接着層7’とを含む)接着層は、軸線Lを中心とする半径(s1+t1)の円から、軸線Lを中心とする半径s1の円を除いた部分(領域)に形成される形状であることが好ましい。また、上述の接着層7と接着層7’は一体で形成されることが好ましい。
【0083】
また、図8に示された圧力室2、インクプール4の形状が円錐台である場合、(接着層7と接着層7’とを含む)接着層は、図8に示された形状に限定されず、図9に示されるように、圧電素子5の円の円周に沿って所定の位置に設けられることが好ましい。更には、(接着層7と接着層7’とを含む)接着層は、軸線Lを中心とする半径(s1+t1×(1/2))の円周上に、所定の距離、例えば軸線Lを中心に45度の間隔に部分的に形成される形状であることが好ましい。この場合、上述の接着層7と接着層7’は互いに離れて形成されることが好ましい。
【0084】
また、実施の形態1に係るインクジェット記録ヘッド10では、振動板6を介して圧力室2を押圧する素子であれば、圧電素子5に限定しない。振動板6を介して圧力室2を押圧する素子としては、電歪素子、磁歪素子、形状記憶合金が例示される。この場合、圧電素子5に代えて、電歪素子、磁歪素子、形状記憶合金のいずれかがa、b方向に運動/駆動したとき、電歪素子、磁歪素子、形状記憶合金のいずれかは、振動板6を介して圧力室2を押圧することによって、圧力室2の内部の圧力を変化させ、ノズル1からインク11をインク滴12として吐出させることが好ましい。
【0085】
(実施の形態2)
本実施の形態2に係るインクジェット記録ヘッド20について図10を参照しながら説明する。図10は、本実施の形態2に係るインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。
【0086】
図10に示されるように、インクジェット記録ヘッド20は、ノズルプレート9と、プレート8と、ノズルプレート9に平行に延びる振動板26と、接着層27、27’と、圧電素子25とを備えている。ここで、実施の形態2では、実施の形態1と重複する説明は省略する。
【0087】
プレート8上には、振動板6に代えて、振動板26が設けられ、接続されている。
【0088】
振動板26は、ニッケル、ステンレスで例示される金属材料により形成されている。尚、振動板26は、金属材料に限らず、ポリイミドで例示される樹脂でもよく、また、シリコンを用いてもよい。この場合、ノズルプレート9とプレート8と振動板26とに用いられる材料の組合せは、上記の例において、自由でもよいし、同じにしてもよい。ヘッドを設計する上での必要条件に応じて適宜最適な組合せが選択される。
【0089】
プレート8とノズルプレート9と振動板26は、インクを収容し、加圧するための圧力室2を形成し、圧力室2にはインク11が充填されている。圧力室2の上面部2bは、振動板26に接する面である。ここで、圧力室2の形状が四角錐台であることが好ましい(図11参照)。この場合、側面部2cと側面部2dは互いに離れて形成される。また、圧力室2は、側面部2cと側面部2dとを接続する図示せぬ側面部を更に有することが好ましい。
【0090】
また、プレート8とノズルプレート9と振動板26は、インクを収容し、圧力室2に補給/供給するためのインクプール4を形成し、インクプール4にはインク13が充填されている。インクプール4の上面部4bは、振動板26に接する面である。ここで、インクプール4の形状が四角錐台であることが好ましい(図11参照)。この場合、側面部4cと側面部4dは互いに離れて形成される。また、インクプール4は、側面部4cと側面部4dとを接続する図示せぬ側面部を更に有することが好ましい。
【0091】
プレート8を示す第2プレート8bには、インクプール4と圧力室2とに連通し、インクプール4に収容されたインク13を圧力室2にインク11として補給/供給するための供給口3が形成されている。ここで、供給口3の上面部3cは、振動板26に接する面である。
【0092】
ノズルプレート9には、圧力室2に連通し、インク11をインク滴として吐出するためのノズル1が形成されている。ここで、ノズル1の形状が円錐台であることが好ましい(図11参照)。この場合、側面部1cと側面部1dは一体で形成される。
【0093】
圧電素子25は、上面部25aと底面部25bと側面部25c、25dとを有する。圧電素子25の上面部25a、底面部25bのX1方向の長さWは、圧力室2の上面部2bのX1方向の長さと同じである。また、上面部25aには正電極が薄く形成され、底面部25bには負電極が薄く形成され、圧電素子25は分極処理により予めに分極されている。この予めに分極された圧電素子25は、上面部25aと底面部25bとの間に印加される電圧に基づいて変形する。
【0094】
また、実施の形態1と同様に、予めに、分極処理として、正電極である上面部25aに設定値以上の正電圧、負電極である底面部25bに負電圧(通常は接地)を印加することにより、圧電素子25は、上面部25aに正電圧、底面部25bに負電圧(通常は接地)が印加されたときに矢印a、b方向に縮むように駆動される。
【0095】
振動板26には、振動板26の表面に設けられた溝26a、26bが形成されている。溝26aには、圧電素子25と振動板26とを部分的に接合させる接着層27が設けられ、溝26bには、圧電素子25と振動板26とを部分的に接合させる接着層27’が設けられている。溝26aは、軸線Lに対して垂直方向であるX1方向に、軸線Lから距離s1だけ離れて設けられ、軸線Lに対してX1方向の長さt1を有する。溝26bは、軸線Lに対して垂直方向であるX2方向に、軸線Lから距離s2だけ離れて設けられ、軸線Lに対してX2方向の長さt2を有する。接着層27は、X1方向に、軸線Lから距離s1だけ離れて溝26aに設けられ、軸線Lに対してX1方向の長さt1を有する。接着層7’は、X2方向に、軸線Lから距離s2だけ離れて溝26bに設けられ、軸線Lに対してX2方向の長さt2を有する。
【0096】
ここで、距離s1は距離s2と同じであり、接着層27の軸線Lに対するX1方向の長さt1は、接着層27’の軸線Lに対するX2方向の長さt2と同じであることが好ましい。また、長さW、距離s1、s2、長さt1、t2の単位を統一(例えば、メートル)した場合、(W/2)≧(s1+t1)、s1≧t1、(W/2)≧(s2+t2)、s2≧t2とする。
【0097】
また、接着層27、27’は、導電性に優れた接着性材料である。接着性材料としてはエポキシ系接着剤が例示される。
【0098】
振動板26と接着層27、27’との上には圧電素子25が設けられている。圧電素子25の底面部25bは、接着層27、27’により、振動板26と部分的に接合される。
【0099】
ここで、図11示されるように、圧電素子25が円形状である場合、圧電素子25は、軸線Lを中心とする半径(W×(1/2))の円である。この場合、(接着層27と接着層27’とを含む)接着層、(溝26aと溝26bとを含む)溝は、圧電素子25の円の円周に沿うように設けられる。更には、(接着層27と接着層27’とを含む)接着層、(溝26aと溝26bとを含む)溝は、軸線Lを中心とする半径(s1+t1)の円から、軸線Lを中心とする半径s1の円を除いた部分(領域)に形成される形状であることが好ましい。上述の接着層27と接着層27’は一体で形成されることが好ましい。上述の溝26aと溝26bは一体で形成されることが好ましい。
【0100】
図10に示されるように、圧電素子25が上面部25aと底面部25bとの間に印加される電圧に応じて面内方向に運動/駆動したとき(縮んだとき)、圧電素子25と振動板26は、接着層27、27’により部分的に接合されているため、振動板26の圧電素子25接着面は面内方向に圧縮される。その結果、振動板26には曲げモーメントMが作用することとなり、振動板26はY2方向に撓み変形を起こす。この際に、圧電素子25と振動板26は、接着層27、27’でのみ接合されているため、振動板26は、圧電素子25の曲げ剛性に影響されることなく、それ自身の曲げ剛性に従い振動板26に作用する曲げモーメントMに応じて撓み変形を起こす。これにより、インクジェット記録ヘッド20は、圧力室2の体積変位を大幅に向上することにより、低電圧でインク11を加圧することができる。
【0101】
圧力室2は、圧電素子25の運動/駆動(振動板26の撓み)に基づいて内部の圧力が変化する(体積変位する)。上述のインク滴は、圧力室2の圧力の変化に基づいてノズル1から吐出される。圧電素子25は、振動板26を介して圧力室2を押圧することによってノズル1からインク11をインク滴として吐出させる。このように、インクジェット記録ヘッド20は、圧力室2の体積変位を大幅に向上することにより、圧力室2の配置における高密度化、小型化を可能とし、低電圧でインク11を加圧することにより、ヘッドの低消費電力化、低電圧化を可能とする。
【0102】
次に、インクジェット記録ヘッド20のインク滴の吐出動作について図12を参照しながら説明する。図12は、本実施の形態2に係るインクジェット記録ヘッドのインク滴の吐出動作を示す断面図である。
【0103】
図12に示されるように、インクジェット記録ヘッド20は、外部電源80と接続される。圧電素子25の正電極である上面部25aには、外部電源80の正極が接続され、振動板26には、外部電源80の負極が接続される。圧電素子25の負電極である底面部25bと、振動板26とが導電性の接着層27、27’に接合されているため、振動板26は負電極であり、通常、外部電源80により接地されている。
【0104】
圧電素子25の上面部25a(正電極)と振動板26(負電極)との間には、外部電源80により電圧が印加される。外部電源80により印加する電圧は、実施の形態1と同様に、40(V)未満が好ましく、例えば30(V)が好ましい。
【0105】
ここで、図10に示されたインクジェット記録ヘッド20は、外部電源80により電圧が印加されていない状態であり、この状態を静止状態と称す。また、図12に示されたインクジェット記録ヘッド20は、外部電源80により電圧が印加される状態であり、この状態を動作状態と称す。
【0106】
まず、静止状態において、圧電素子25への電圧の印加として、圧電素子25の上面部25a(正電極)と振動板26(負電極)との間に外部電源80により電圧を印加したとき、圧電素子25は矢印a、bの向きに収縮して(収縮動作)、接着層27、27’を介して、振動板26の圧電素子25接着面を面内方向に圧縮する。その結果、振動板26には曲げモーメントMが作用することとなり、振動板26はY2方向に撓み変形を起こす(撓み変形動作)。これにより、インクジェット記録ヘッド20は、動作状態に移行する。
【0107】
圧電素子25の収縮動作では、圧電素子25が、圧電素子25の両端のうちの一方から軸線Lに向かってX2方向に平行な矢印aの向きに収縮し、圧電素子25の両端のうちの他方から軸線Lに向かってX1方向に平行な矢印bの向きに収縮する。
【0108】
次に、動作状態において、圧力室2では、振動板26の撓み変形動作(圧力室2の上面部2bがY2方向に撓むこと)による体積変位でもって圧力室2の中のインク11が圧縮される。これにより、インクジェット記録ヘッド20は、圧力室2に連通したノズル1からインク11をインク滴12として吐出することができる。
【0109】
次いで、動作状態において、外部電源80により、圧電素子25の上面部25a(正電極)と振動板26(負電極)との間に印加されている電圧を0(V)にすると(圧電素子25への印加電圧を元に戻すと)、インクジェット記録ヘッド20は、静止状態に移行し、圧電素子25及び振動板26は図10に示された元の状態に戻る(撓み終了動作)。圧力室2では、ノズル1に形成されるインクのメニスカスの復元力(毛細管力)によって、圧力室2の中に、インクプール4の中のインク13が供給口3を通って補給/供給される。
【0110】
このように、インクジェット記録ヘッド20では、圧電素子25と振動板26は、接着層27、27’により部分的に接合されているため、圧電素子25と振動板26は、異なった曲率を有することができ、圧電素子25自体はあまり撓むことなく振動板26を大きく撓ますことが可能となる。
【0111】
以上の説明により、実施の形態2に係るインクジェット記録ヘッド20によれば、実施の形態1と同様な効果が得られる。
【0112】
尚、実施の形態2に係るインクジェット記録ヘッド20は、上述の説明に限定されるものではない。(接着層27と接着層27’とを含む)接着層、(溝26aと溝26bとを含む)溝は、図11に示された形状に限定されず、図13に示されるように、圧電素子25の円の円周に沿って所定の位置に設けられることが好ましい。更には、(接着層27と接着層27’とを含む)接着層、(溝26aと溝26bとを含む)溝は、軸線Lを中心とする半径(s1+t1×(1/2))の円周上に、所定の距離、例えば軸線Lを中心に45度の間隔に部分的に形成される形状であることが好ましい。この場合、上述の接着層27と接着層27’は互いに離れて形成されることが好ましい。上述の溝26aと溝26bは互いに離れて形成されることが好ましい。
【0113】
また、図13に示された圧電素子25は、円形状であることに限定されず、図14に示されるように、正方形状であってもよい。この場合、正方形状である圧電素子25は、4辺のそれぞれの長さWを有し、2本の対角線の交点が軸線Lに対応するように設けられ、4辺のうちの2辺がX1方向(又はX2方向)に平行に設けられることが好ましい。また、(接着層27と接着層27’とを含む)接着層、(溝26aと溝26bとを含む)溝は、圧電素子25の正方形の4辺のうちの少なくとも2辺に沿うように設けられる。更には、(接着層27と接着層27’とを含む)接着層、(溝26aと溝26bとを含む)溝は、4辺のそれぞれの長さ(s1+t1+s2+t2)を有し、2本の対角線の交点が軸線Lに対応するように設けられ、4辺のうちの2辺がX1方向(又はX2方向)に平行に設けられた正方形から、4辺のそれぞれの長さ(s1+s2)を有し、2本の対角線の交点が軸線Lに対応するように設けられ、4辺のうちの2辺がX1方向(又はX2方向)に平行に設けられた正方形を除いた部分(領域)に形成される形状であることが好ましい。また、上述の接着層27と接着層27’は一体で形成されることが好ましい。上述の溝26aと溝26bは一体で形成されることが好ましい。
【0114】
また、図14に示された圧電素子25が正方形状である場合、(接着層27と接着層27’とを含む)接着層、(溝26aと溝26bとを含む)溝は、圧電素子25の正方形の4辺のうちの少なくとも2辺に沿って所定の位置に設けられることが好ましい。更には、(接着層27と接着層27’とを含む)接着層、(溝26aと溝26bとを含む)溝は、図14に示された形状に限定されず、図15に示されるように、所定の距離、例えば軸線Lを中心に45度の間隔に部分的に形成される形状であることが好ましい。この場合、上述の接着層27と接着層27’は互いに離れて形成されることが好ましい。上述の溝26aと溝26bは互いに離れて形成されることが好ましい。
【0115】
また、図14に示された圧電素子25は、正方形状であることに限定されず、図16に示されるように、長方形状であってもよい。この場合、長方形状である圧電素子25は、4辺のうちの2辺が長さWを有する2辺より長く、4辺のうちの長さWを有する2辺がX1方向(又はX2方向)に平行に設けられることが好ましい。また、(接着層27と接着層27’とを含む)接着層、(溝26aと溝26bとを含む)溝は、圧電素子25の長方形の4辺のうちの長さWを有する2辺より長い2辺に沿うように設けられることが好ましい。更には、上述の接着層27と接着層27’、上述の溝26aと溝26bは、X1方向の同一平面上の垂直方向に延びるように形成されることが好ましい。この場合、上述の接着層27と接着層27’は互いに離れて形成されることが好ましい。上述の溝26aと溝26bは互いに離れて形成されることが好ましい。
【0116】
また、図11に示された圧力室2、インクプール4の形状は、図17に示されるように、四角錐台に限定されず、円錐台でもよい。この場合、側面部2cと側面部2dは一体で形成され、側面部4cと側面部4dは一体で形成されることが好ましい。また、圧電素子25は、軸線Lを中心とする半径(W×(1/2))の円であることが好ましい。また、(接着層27と接着層27’とを含む)接着層、(溝26aと溝26bとを含む)溝は、圧電素子25の円の円周に沿うように設けられることが好ましい。更には、(接着層27と接着層27’とを含む)接着層、(溝26aと溝26bとを含む)溝は、軸線Lを中心とする半径(s1+t1)の円から、軸線Lを中心とする半径s1の円を除いた部分(領域)に形成される形状であることが好ましい。また、上述の接着層7と接着層7’は一体で形成されることが好ましい。上述の溝26aと溝26bは一体で形成されることが好ましい。
【0117】
また、図17に示された圧力室2、インクプール4の形状が円錐台である場合、(接着層27と接着層27’とを含む)接着層、(溝26aと溝26bとを含む)溝は、図17に示された形状に限定されず、図18に示されるように、圧電素子25の円の円周に沿って所定の位置に設けられることが好ましい。更には、(接着層27と接着層27’とを含む)接着層、(溝26aと溝26bとを含む)溝は、軸線Lを中心とする半径(s1+t1×(1/2))の円周上に、所定の距離、例えば軸線Lを中心に45度の間隔に部分的に形成される形状であってもよい。この場合、上述の接着層27と接着層27’は互いに離れて形成されることが好ましい。上述の溝26aと溝26bは互いに離れて形成されることが好ましい。
【0118】
また、実施の形態2に係るインクジェット記録ヘッド20では、振動板26を介して圧力室2を押圧する素子であれば、圧電素子25に限定しない。振動板26を介して圧力室2を押圧する素子としては、電歪素子、磁歪素子、形状記憶合金が例示される。この場合、圧電素子25に代えて、電歪素子、磁歪素子、形状記憶合金のいずれかがa、b方向に運動/駆動したとき、電歪素子、磁歪素子、形状記憶合金のいずれかは、振動板26を介して圧力室2を押圧することによって、圧力室2の内部の圧力を変化させ、ノズル1からインク11をインク滴として吐出させることが好ましい。
【0119】
(実施の形態3)
本実施の形態3に係るインクジェット記録ヘッド30について図19を参照しながら説明する。図19は、本実施の形態3に係るインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。
【0120】
図19に示されるように、インクジェット記録ヘッド30は、ノズルプレート9と、プレート8と、ノズルプレート9に平行に延びる振動板36と、接着層37、37’と、圧電素子35とを備えている。ここで、実施の形態3では、実施の形態1と重複する説明は省略する。
【0121】
プレート8上には、振動板6に代えて、振動板36が設けられ、接続されている。
【0122】
振動板36は、ニッケル、ステンレスで例示される金属材料により形成されている。尚、振動板36は、金属材料に限らず、ポリイミドで例示される樹脂でもよく、また、シリコンを用いてもよい。この場合、ノズルプレート9と第1プレート8aと第2プレート8bと第3プレート8cと振動板36とに用いられる材料の組合せは、上記の例において、自由でもよいし、同じにしてもよい。ヘッドを設計する上での必要条件に応じて適宜最適な組合せが選択される。
【0123】
プレート8とノズルプレート9と振動板36は、インクを収容し、加圧するための圧力室2を形成し、圧力室2にはインク11が充填されている。圧力室2の上面部2bは、振動板36に接する面である。ここで、圧力室2の形状が四角錐台であることが好ましい(図20参照)。この場合、側面部2cと側面部2dは互いに離れて形成される。また、圧力室2は、側面部2cと側面部2dとを接続する図示せぬ側面部を更に有することが好ましい。
【0124】
また、プレート8とノズルプレート9と振動板36は、インクを収容し、圧力室2に補給/供給するためのインクプール4を形成し、インクプール4にはインク13が充填されている。インクプール4の上面部4bは、振動板36に接する面である。ここで、インクプール4の形状が四角錐台であることが好ましい(図20参照)。この場合、側面部4cと側面部4dは互いに離れて形成される。また、インクプール4は、側面部4cと側面部4dとを接続する図示せぬ側面部を更に有することが好ましい。
【0125】
プレート8を示す第2プレート8bには、インクプール4と圧力室2とに連通し、インクプール4に収容されたインク13を圧力室2にインク11として補給/供給するための供給口3が形成されている。ここで、供給口3の上面部3cは、振動板36に接する面である。
【0126】
ノズルプレート9には、圧力室2に連通し、インク11をインク滴として吐出するためのノズル1が形成されている。ここで、ノズル1の形状が円錐台であることが好ましい(図20参照)。この場合、側面部1cと側面部1dは一体で形成される。
【0127】
圧電素子35は、上面部35aと底面部35bと側面部35c、35dとを有する。圧電素子35の上面部35a、底面部35bのX1方向の長さWは、圧力室2の上面部2bのX1方向の長さと同じである。また、上面部35aには正電極が薄く形成され、底面部35bには負電極が薄く形成され、圧電素子35は分極処理により予めに分極されている。この予めに分極された圧電素子35は、上面部35aと底面部35bとの間に印加される電圧に基づいて変形する。
【0128】
また、実施の形態1と同様に、予めに、分極処理として、正電極である上面部35aに設定値以上の正電圧、負電極である底面部35bに負電圧(通常は接地)を印加することにより、圧電素子35は、上面部35aに正電圧、底面部35bに負電圧(通常は接地)が印加されたときに矢印a、b方向に縮むように駆動される。
【0129】
振動板36には、振動板36の表面上に設けられた突起部36a、36bが形成されている。突起部36a上には、圧電素子35と振動板36とを部分的に接合させる接着層37が設けられ、突起部36b上には、圧電素子35と振動板36とを部分的に接合させる接着層37’が設けられている。突起部36aは、軸線Lに対して垂直方向であるX1方向に、軸線Lから距離s1だけ離れて設けられ、軸線Lに対してX1方向の長さt1を有する。突起部36bは、軸線Lに対して垂直方向であるX2方向に、軸線Lから距離s2だけ離れて設けられ、軸線Lに対してX2方向の長さt2を有する。接着層37は、X1方向に、軸線Lから距離s1だけ離れて突起部36aに設けられ、軸線Lに対してX1方向の長さt1を有する。接着層37’は、X2方向に、軸線Lから距離s2だけ離れて突起部36bに設けられ、軸線Lに対してX2方向の長さt2を有する。
【0130】
ここで、距離s1は距離s2と同じであり、接着層37の軸線Lに対するX1方向の長さ(突起部36aの軸線Lに対するX1方向の長さ)t1は、接着層37’の軸線Lに対するX2方向の長さ(突起部36bの軸線Lに対するX2方向の長さ)t2と同じであることが好ましい。また、長さW、距離s1、s2、長さt1、t2の単位を統一(例えば、メートル)した場合、(W/2)≧(s1+t1)、s1≧t1、(W/2)≧(s2+t2)、s2≧t2とする。
【0131】
また、接着層37、37’は、導電性に優れた接着性材料である。接着性材料としてはエポキシ系接着剤が例示される。
【0132】
接着層37、37’上には、圧電素子35が設けられている。圧電素子35の底面部35bは、接着層37、37’により、振動板36と部分的に接合される。
【0133】
ここで、図20に示されるように、圧電素子35が円形状である場合、圧電素子35は、軸線Lを中心とする半径(W×(1/2))の円である。この場合、(接着層37と接着層37’とを含む)接着層、(突起部36aと突起部36bとを含む)突起部は、圧電素子35の円の円周に沿うように設けられる。更には、(接着層37と接着層37’とを含む)接着層、(突起部36aと突起部36bとを含む)突起部は、軸線Lを中心とする半径(s1+t1)の円から、軸線Lを中心とする半径s1の円を除いた部分(領域)に形成される形状であることが好ましい。上述の接着層37と接着層37’は一体で形成されることが好ましい。上述の突起部36aと突起部36bは一体で形成されることが好ましい。
【0134】
図19に示されるように、圧電素子35が上面部35aと底面部35bとの間に印加される電圧に応じて面内方向に運動/駆動したとき(縮んだとき)、圧電素子35と振動板36は、突起部36a、36bを介して接着層37、37’により部分的に接合されているため、振動板36の圧電素子35接着面は面内方向に圧縮される。その結果、振動板36には曲げモーメントMが作用することとなり、振動板36はY2方向に撓み変形を起こす。この際に、圧電素子35と振動板36は、接着層37、37’でのみ接合されているため、振動板36は、圧電素子35の曲げ剛性に影響されることなく、それ自身の曲げ剛性に従い振動板36に作用する曲げモーメントMに応じて撓み変形を起こす。これにより、インクジェット記録ヘッド30は、圧力室2の体積変位を大幅に向上することにより、低電圧でインク11を加圧することができる。
【0135】
圧力室2は、圧電素子35の運動/駆動(振動板36の撓み)に基づいて内部の圧力が変化する(体積変位する)。上述のインク滴は、圧力室2の圧力の変化に基づいてノズル1から吐出される。圧電素子35は、振動板36を介して圧力室2を押圧することによってノズル1からインク11をインク滴として吐出させる。このように、インクジェット記録ヘッド30は、圧力室2の体積変位を大幅に向上することにより、圧力室2の配置における高密度化、小型化を可能とし、低電圧でインク11を加圧することにより、ヘッドの低消費電力化、低電圧化を可能とする。
【0136】
次に、インクジェット記録ヘッド30のインク滴の吐出動作について図21を参照しながら説明する。図21は、本実施の形態3に係るインクジェット記録ヘッドのインク滴の吐出動作を示す断面図である。
【0137】
図21に示されるように、インクジェット記録ヘッド30は、外部電源80と接続される。圧電素子35の正電極である上面部35aには、外部電源80の正極が接続され、振動板36には、外部電源80の負極が接続される。圧電素子35の負電極である底面部35bと、振動板36(の突起部36a、突起部36b)とが導電性の接着層37、37’に接合されているため、振動板36は負電極であり、通常、外部電源80により接地されている。
【0138】
圧電素子35の上面部35a(正電極)と振動板36(負電極)との間には、外部電源80により電圧が印加される。外部電源80により印加する電圧は、実施の形態1と同様に、40(V)未満が好ましく、例えば30(V)が好ましい。
【0139】
ここで、図19に示されたインクジェット記録ヘッド30は、外部電源80により電圧が印加されていない状態であり、この状態を静止状態と称す。また、図21に示されたインクジェット記録ヘッド30は、外部電源80により電圧が印加される状態であり、この状態を動作状態と称す。
【0140】
まず、静止状態において、圧電素子35への電圧の印加として、圧電素子35の上面部35a(正電極)と振動板36(負電極)との間に外部電源80により電圧を印加したとき、圧電素子35は矢印a、bの向きに収縮して(収縮動作)、接着層37、37’と突起部36a、36bとを介して、振動板36の圧電素子35接着面を面内方向に圧縮する。その結果、振動板36には曲げモーメントMが作用することとなり、振動板36はY2方向に撓み変形を起こす(撓み変形動作)。これにより、インクジェット記録ヘッド30は、動作状態に移行する。
【0141】
圧電素子35の収縮動作では、圧電素子35が、圧電素子35の両端のうちの一方から軸線Lに向かってX2方向に平行な矢印aの向きに収縮し、圧電素子35の両端のうちの他方から軸線Lに向かってX1方向に平行な矢印bの向きに収縮する。
【0142】
次に、動作状態において、圧力室2では、振動板36の撓み変形動作(圧力室2の上面部2bがY2方向に撓むこと)による体積変位でもって圧力室2の中のインク11が圧縮される。これにより、インクジェット記録ヘッド30は、圧力室2に連通したノズル1からインク11をインク滴12として吐出することができる。
【0143】
次いで、動作状態において、外部電源80により、圧電素子35の上面部35a(正電極)と振動板36(負電極)との間に印加されている電圧を0(V)にすると(圧電素子35への印加電圧を元に戻すと)、インクジェット記録ヘッド30は、静止状態に移行し、圧電素子35及び振動板36は図19に示された元の状態に戻る(撓み終了動作)。圧力室2では、ノズル1に形成されるインクのメニスカスの復元力(毛細管力)によって、圧力室2の中に、インクプール4の中のインク13が供給口3を通って補給/供給される。
【0144】
このように、インクジェット記録ヘッド30では、圧電素子35と振動板36は、接着層37、37’により部分的に接合されているため、圧電素子35と振動板36は、異なった曲率を有することができ、圧電素子35自体はあまり撓むことなく振動板36を大きく撓ますことが可能となる。
【0145】
以上の説明により、実施の形態3に係るインクジェット記録ヘッド30によれば、実施の形態1と同様な効果が得られる。
【0146】
尚、実施の形態3に係るインクジェット記録ヘッド30は、上述の説明に限定されるものではない。(接着層37と接着層37’とを含む)接着層、(突起部36aと突起部36bとを含む)突起部は、図20に示された形状に限定されず、図22に示されるように、圧電素子35の円の円周に沿って所定の位置に設けられることが好ましい。更には、(接着層37と接着層37’とを含む)接着層、(突起部36aと突起部36bとを含む)突起部は、軸線Lを中心とする半径(s1+t1×(1/2))の円周上に、所定の距離、例えば軸線Lを中心に45度の間隔に部分的に形成される形状であることが好ましい。。この場合、上述の接着層37と接着層37’は互いに離れて形成されることが好ましい。上述の突起部36aと突起部36bは互いに離れて形成されることが好ましい。
【0147】
また、図22に示された圧電素子35は、円形状であることに限定されず、図23に示されるように、正方形状であってもよい。この場合、正方形状である圧電素子35は、4辺のそれぞれの長さWを有し、2本の対角線の交点が軸線Lに対応するように設けられ、4辺のうちの2辺がX1方向(又はX2方向)に平行に設けられることが好ましい。また、(接着層37と接着層37’とを含む)接着層、(突起部36aと突起部36bとを含む)突起部は、圧電素子35の正方形の4辺のうちの少なくとも2辺に沿うように設けられることが好ましい。更には、(接着層37と接着層37’とを含む)接着層、(突起部36aと突起部36bとを含む)突起部は、4辺のそれぞれの長さ(s1+t1+s2+t2)を有し、2本の対角線の交点が軸線Lに対応するように設けられ、4辺のうちの2辺がX1方向(又はX2方向)に平行に設けらた正方形から、4辺のそれぞれの長さ(s1+s2)を有し、2本の対角線の交点が軸線Lに対応するように設けられ、4辺のうちの2辺がX1方向(又はX2方向)に平行に設けらた正方形を除いた部分(領域)に形成される形状であることが好ましい。また、上述の接着層37と接着層37’は一体で形成されることが好ましい。上述の突起部36aと突起部36bは一体で形成されることが好ましい。
【0148】
また、図23に示された圧電素子35が正方形状である場合、(接着層37と接着層37’とを含む)接着層、(突起部36aと突起部36bとを含む)突起部は、圧電素子35の正方形の4辺のうちの少なくとも2辺に沿って所定の位置に設けられることが好ましい。更には、(接着層37と接着層37’とを含む)接着層、(突起部36aと突起部36bとを含む)突起部は、図23に示された形状に限定されず、図24に示されるように、所定の距離、例えば軸線Lを中心に45度の間隔に部分的に形成される形状であることが好ましい。この場合、上述の接着層37と接着層37’は互いに離れて形成されることが好ましい。上述の突起部36aと突起部36bは互いに離れて形成されることが好ましい。
【0149】
また、図23に示された圧電素子35は、正方形状であることに限定されず、図25に示されるように、長方形状であってもよい。この場合、長方形状である圧電素子35は、4辺のうちの2辺が長さWを有する2辺より長く、4辺のうちの長さWを有する2辺がX1方向(又はX2方向)に平行に設けられることが好ましい。また、(接着層37と接着層37’とを含む)接着層、(突起部36aと突起部36bとを含む)突起部は、圧電素子35の長方形の4辺のうちの長さWを有する2辺より長い2辺に沿うように設けられることが好ましい。更には、上述の接着層37と接着層37’、上述の突起部36aと突起部36bは、X1方向の同一平面上の垂直方向に延びるように形成されることが好ましい。この場合、上述の接着層37と接着層37’は互いに離れて形成されることが好ましい。上述の突起部36aと突起部36bは互いに離れて形成されることが好ましい。
【0150】
また、図20に示された圧力室2、インクプール4の形状は、図26に示されるように、四角錐台に限定されず、円錐台でもよい。この場合、側面部2cと側面部2dは一体で形成され、側面部4cと側面部4dは一体で形成されることが好ましい。また、圧電素子35は、軸線Lを中心とする半径(W×(1/2))の円である。また、(接着層37と接着層37’とを含む)接着層、(突起部36aと突起部36bとを含む)突起部は、圧電素子35の円の円周に沿うように設けられる。更には、(接着層37と接着層37’とを含む)接着層、(突起部36aと突起部36bとを含む)突起部は、軸線Lを中心とする半径(s1+t1)の円から、軸線Lを中心とする半径s1の円を除いた部分(領域)に形成される形状であることが好ましい。また、上述の接着層37と接着層37’は一体で形成されることが好ましい。上述の突起部36aと突起部36bは一体で形成されることが好ましい。
【0151】
また、図26に示された圧力室2、インクプール4の形状が円錐台である場合、(接着層37と接着層37’とを含む)接着層、(突起部36aと突起部36bとを含む)突起部は、図26に示された形状に限定されず、図27に示されるように、圧電素子35の円の円周に沿って所定の位置に設けられることが好ましい。更には、(接着層37と接着層37’とを含む)接着層、(突起部36aと突起部36bとを含む)突起部は、軸線Lを中心とする半径(s1+t1×(1/2))の円周上に、所定の距離、例えば軸線Lを中心に45度の間隔に部分的に形成される形状であることが好ましい。この場合、上述の接着層37と接着層37’は互いに離れて形成されることが好ましい。上述の突起部36aと突起部36bは互いに離れて形成されることが好ましい。
【0152】
また、実施の形態3に係るインクジェット記録ヘッド30では、振動板36を介して圧力室2を押圧する素子であれば、圧電素子35に限定しない。振動板36を介して圧力室2を押圧する素子としては、電歪素子、磁歪素子、形状記憶合金が例示される。この場合、圧電素子35に代えて、電歪素子、磁歪素子、形状記憶合金のいずれかがa、b方向に運動/駆動したとき、電歪素子、磁歪素子、形状記憶合金のいずれかは、振動板36を介して圧力室2を押圧することによって、圧力室2の内部の圧力を変化させ、ノズル1からインク11をインク滴として吐出させることが好ましい。
【0153】
(実施の形態4)
本実施の形態4に係るインクジェット記録ヘッド40について図28を参照しながら説明する。図28は、本実施の形態4に係るインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。
【0154】
図28に示されるように、インクジェット記録ヘッド40は、ノズルプレート9と、プレート8と、ノズルプレート9に平行に延びる振動板46と、接着層47と、圧電素子45とを備えている。ここで、実施の形態4では、実施の形態1と重複する説明は省略する。
【0155】
プレート8上には、振動板6に代えて、振動板46が設けられ、接続されている。
【0156】
振動板46は、ニッケル、ステンレスで例示される金属材料により形成されている。尚、振動板46は、金属材料に限らず、ポリイミドで例示される樹脂でもよく、また、シリコンを用いてもよい。この場合、ノズルプレート9と第1プレート8aと第2プレート8bと第3プレート8cと振動板46とに用いられる材料の組合せは、上記の例において、自由でもよいし、同じにしてもよい。ヘッドを設計する上での必要条件に応じて適宜最適な組合せが選択される。
【0157】
プレート8とノズルプレート9と振動板46は、インクを収容し、加圧するための圧力室2を形成し、圧力室2にはインク11が充填されている。圧力室2の上面部2bは、振動板46に接する面である。ここで、圧力室2の形状が四角錐台であることが好ましい(図29参照)。この場合、側面部2cと側面部2dは互いに離れて形成される。また、圧力室2は、側面部2cと側面部2dとを接続する図示せぬ側面部を更に有することが好ましい。
【0158】
また、プレート8とノズルプレート9と振動板46は、インクを収容し、圧力室2に補給/供給するためのインクプール4を形成し、インクプール4にはインク13が充填されている。インクプール4の上面部4bは、振動板46に接する面である。ここで、インクプール4の形状が四角錐台であることが好ましい(図29参照)。この場合、側面部4cと側面部4dは互いに離れて形成される。また、インクプール4は、側面部4cと側面部4dとを接続する図示せぬ側面部を更に有することが好ましい。
【0159】
プレート8を示す第2プレート8bには、インクプール4と圧力室2とに連通し、インクプール4に収容されたインク13を圧力室2にインク11として補給/供給するための供給口3が形成されている。ここで、供給口3の上面部3cは、振動板46に接する面である。
【0160】
ノズルプレート9には、圧力室2に連通し、インク11をインク滴として吐出するためのノズル1が形成されている。ここで、ノズル1の形状が円錐台であることが好ましい(図29参照)。この場合、側面部1cと側面部1dは一体で形成される。
【0161】
圧電素子45は、上面部45aと底面部45bと側面部45c、45dとを有する。圧電素子45の上面部45a、底面部45bのX1方向の長さWは、圧力室2の上面部2bのX1方向の長さと同じである。また、上面部45aには正電極が薄く形成され、底面部45bには負電極が薄く形成され、圧電素子45は分極処理により予めに分極されている。この予めに分極された圧電素子45は、上面部45aと底面部45bとの間に印加される電圧に基づいて変形する。
【0162】
また、実施の形態1と同様に、予めに、分極処理として、正電極である上面部45aに設定値以上の正電圧、負電極である底面部45bに負電圧(通常は接地)を印加することにより、圧電素子45は、上面部45aに正電圧、底面部45bに負電圧(通常は接地)が印加されたときに矢印a、b方向に縮むように駆動される。
【0163】
振動板46には、表面上に設けられた突起部46a、46bが形成されている。突起部46a、46b上には、圧電素子45と振動板46とを部分的に接合させる接着層47が設けられている。突起部46aは、軸線Lに対して垂直方向であるX1方向に、軸線Lから距離s1だけ離れて設けられ、軸線Lに対してX1方向の長さt1を有する。突起部46bは、軸線Lに対して垂直方向であるX2方向に、軸線Lから距離s2だけ離れて設けられ、軸線Lに対してX2方向の長さt2を有する。
【0164】
ここで、距離s1は距離s2と同じであり、突起部46aの軸線Lに対するX1方向の長さt1は、突起部46bの軸線Lに対するX2方向の長さt2と同じであることが好ましい。また、長さW、距離s1、s2、長さt1、t2の単位を統一(例えば、メートル)した場合、(W/2)≧(s1+t1)、s1≧t1、(W/2)≧(s2+t2)、s2≧t2とする。また、接着層47のX1方向の長さ(接着層47における軸線Lに対するX1方向の長さと、軸線Lに対するX2方向の長さとの合計)は、(s1+t1+s2+t2)以上であり、W以下であることが好ましい。
【0165】
また、接着層47は、導電性に優れた接着性材料である。接着性材料としてはエポキシ系接着剤が例示される。
【0166】
接着層47上には、圧電素子45が設けられている。圧電素子45の底面部45bは、接着層47により、振動板46と部分的に接合される。
【0167】
ここで、図29に示されるように、圧電素子45が円形状である場合、圧電素子45と接着層47は、軸線Lを中心とする半径(W×(1/2))の円である。この場合、(突起部46aと突起部46bとを含む)突起部は、圧電素子45の円の円周に沿うように設けられる。更には、(突起部46aと突起部46bとを含む)突起部は、軸線Lを中心とする半径(s1+t1)の円から、軸線Lを中心とする半径s1の円を除いた部分(領域)に形成される形状であることが好ましい。上述の突起部46aと突起部46bは一体で形成されることが好ましい。
【0168】
図28に示されるように、圧電素子45が上面部45aと底面部45bとの間に印加される電圧に応じて面内方向に運動/駆動したとき(縮んだとき)、圧電素子45と振動板46は、突起部46a、46bを介して接着層47により部分的に接合されているため、振動板46の圧電素子45接着面は面内方向に圧縮される。その結果、振動板46には曲げモーメントMが作用することとなり、振動板46はY2方向に撓み変形を起こす。この際に、圧電素子45と振動板46は、突起部46a、46bを介して接着層47でのみ接合されているため、振動板6は、圧電素子5の曲げ剛性に影響されることなく、それ自身の曲げ剛性に従い振動板6に作用する曲げモーメントMに応じて撓み変形を起こす。これにより、インクジェット記録ヘッド40は、圧力室2の体積変位を大幅に向上することにより、低電圧でインク11を加圧することができる。
【0169】
圧力室2は、圧電素子45の運動/駆動(振動板46の撓み)に基づいて内部の圧力が変化する(体積変位する)。上述のインク滴は、圧力室2の圧力の変化に基づいてノズル1から吐出される。圧電素子45は、振動板46を介して圧力室2を押圧することによってノズル1からインク11をインク滴として吐出させる。このように、インクジェット記録ヘッド40は、圧力室2の体積変位を大幅に向上することにより、圧力室2の配置における高密度化、小型化を可能とし、低電圧でインク11を加圧することにより、ヘッドの低消費電力化、低電圧化を可能とする。
【0170】
以上の説明により、実施の形態4に係るインクジェット記録ヘッド40によれば、実施の形態1と同様な効果が得られる。
【0171】
次に、インクジェット記録ヘッド40のインク滴の吐出動作について図30をっ参照しながら説明する。図30は、本実施の形態4に係るインクジェット記録ヘッドのインク滴の吐出動作を示す断面図である。
【0172】
図30に示されるように、インクジェット記録ヘッド40は、外部電源80と接続される。圧電素子45の正電極である上面部45aには、外部電源80の正極が接続され、振動板46には、外部電源80の負極が接続される。圧電素子45の負電極である底面部45bと、振動板46(突起部46a、突起部46b)とが導電性の接着層47に接合されているため、振動板46は負電極であり、通常、外部電源80により接地されている。
【0173】
圧電素子45の上面部45a(正電極)と振動板46(負電極)との間には、外部電源80により電圧が印加される。外部電源80により印加する電圧は、実施の形態1と同様に、40(V)未満が好ましく、例えば30(V)が好ましい。
【0174】
ここで、図28に示されたインクジェット記録ヘッド40は、外部電源80により電圧が印加されていない状態であり、この状態を静止状態と称す。また、図30に示されたインクジェット記録ヘッド40は、外部電源80により電圧が印加される状態であり、この状態を動作状態と称す。
【0175】
まず、静止状態において、圧電素子45への電圧の印加として、圧電素子45の上面部45a(正電極)と振動板46(負電極)との間に外部電源80により電圧を印加したとき、圧電素子45は矢印a、bの向きに収縮して(収縮動作)、接着層47から突起部46a、46bを介して、振動板46の圧電素子45接着面を面内方向に圧縮する。その結果、振動板46には曲げモーメントMが作用することとなり、振動板46はY2方向に撓み変形を起こす(撓み変形動作)。これにより、インクジェット記録ヘッド40は、動作状態に移行する。
【0176】
圧電素子45の収縮動作では、圧電素子45が、圧電素子45の両端のうちの一方から軸線Lに向かってX2方向に平行な矢印aの向きに収縮し、圧電素子45の両端のうちの他方から軸線Lに向かってX1方向に平行な矢印bの向きに収縮する。
【0177】
次に、動作状態において、圧力室2では、振動板46の撓み変形動作(圧力室2の上面部2bがY2方向に撓むこと)による体積変位でもって圧力室2の中のインク11が圧縮される。これにより、インクジェット記録ヘッド40は、圧力室2に連通したノズル1からインク11をインク滴12として吐出することができる。
【0178】
次いで、動作状態において、外部電源80により、圧電素子45の上面部45a(正電極)と振動板46(負電極)との間に印加されている電圧を0(V)にすると(圧電素子45への印加電圧を元に戻すと)、インクジェット記録ヘッド40は、静止状態に移行し、圧電素子45及び振動板46は図28に示された元の状態に戻る(撓み終了動作)。圧力室2では、ノズル1に形成されるインクのメニスカスの復元力(毛細管力)によって、圧力室2の中に、インクプール4の中のインク13が供給口3を通って補給/供給される。
【0179】
このように、インクジェット記録ヘッド40では、圧電素子45と振動板46は、接着層47により部分的に接合されているため、圧電素子45と振動板46は、異なった曲率を有することができ、圧電素子45自体はあまり撓むことなく振動板46を大きく撓ますことが可能となる。
【0180】
尚、実施の形態4に係るインクジェット記録ヘッド40は、上述の説明に限定されるものではない。(突起部46aと突起部46bとを含む)突起部は、図29に示された形状に限定されず、図31に示されるように、圧電素子45の円の円周に沿って所定の位置に設けられることが好ましい。更には、(突起部46aと突起部46bとを含む)突起部は、軸線Lを中心とする半径(s1+t1×(1/2))の円周上に、所定の距離、例えば軸線Lを中心に45度の間隔に部分的に形成される形状であることが好ましい。。この場合、上述の突起部46aと突起部46bは互いに離れて形成されることが好ましい。
【0181】
また、図31に示された圧電素子45と接着層47は、円形状であることに限定されず、図32に示されるように、正方形状であってもよい。この場合、正方形状である圧電素子45、接着層47は、4辺のそれぞれの長さWを有し、2本の対角線の交点が軸線Lに対応するように設けられ、4辺のうちの2辺がX1方向(又はX2方向)に平行に設けられることが好ましい。また、(突起部46aと突起部46bとを含む)突起部は、圧電素子45の正方形の4辺のうちの少なくとも2辺に沿うように設けられることが好ましい。更には、(突起部46aと突起部46bとを含む)突起部は、4辺のそれぞれの長さ(s1+t1+s2+t2)を有し、2本の対角線の交点が軸線Lに対応するように設けられ、4辺のうちの2辺がX1方向(又はX2方向)に平行に設けらた正方形から、4辺のそれぞれの長さ(s1+s2)を有し、2本の対角線の交点が軸線Lに対応するように設けられ、4辺のうちの2辺がX1方向(又はX2方向)に平行に設けらた正方形を除いた部分(領域)に形成される形状であることが好ましい。また、上述の突起部46aと突起部46bは一体で形成されることが好ましい。
【0182】
また、図32に示された圧電素子45と接着層47とが正方形状である場合、(突起部46aと突起部46bとを含む)突起部は、圧電素子45の正方形の4辺のうちの少なくとも2辺に沿って所定の位置に設けられることが好ましい。更には、(突起部46aと突起部46bとを含む)突起部は、図32に示された形状に限定されず、図33に示されるように、所定の距離、例えば軸線Lを中心に45度の間隔に部分的に形成される形状であることが好ましい。この場合、上述の突起部46aと突起部46bは互いに離れて形成されることが好ましい。
【0183】
また、図32に示された圧電素子45と接着層47は、正方形状であることに限定されず、図34に示されるように、長方形状であってもよい。この場合、長方形状である圧電素子45、接着層47は、4辺のうちの2辺が長さWを有する2辺より長く、4辺のうちの長さWを有する2辺がX1方向(又はX2方向)に平行に設けられることが好ましい。また、(突起部46aと突起部46bとを含む)突起部は、圧電素子45の長方形の4辺のうちの長さWを有する2辺より長い2辺に沿うように設けられることが好ましい。更には、上述の突起部46aと突起部46bは、X1方向の同一平面上の垂直方向に延びるように形成されることが好ましい。この場合、上述の突起部46aと突起部46bは互いに離れて形成されることが好ましい。
【0184】
また、図29に示された圧力室2、インクプール4の形状は、図35に示されるように、四角錐台に限定されず、円錐台でもよい。この場合、側面部2cと側面部2dは一体で形成され、側面部4cと側面部4dは一体で形成されることが好ましい。また、圧電素子45と接着層47は、軸線Lを中心とする半径(W×(1/2))の円であることが好ましい。また、(突起部46aと突起部46bとを含む)突起部は、圧電素子45の円の円周に沿うように設けられることが好ましい。更には、(突起部46aと突起部46bとを含む)突起部は、軸線Lを中心とする半径(s1+t1)の円から、軸線Lを中心とする半径s1の円を除いた部分(領域)に形成される形状であることが好ましい。また、上述の突起部46aと突起部46bは一体で形成されることが好ましい。
【0185】
また、図35に示された圧力室2、インクプール4の形状が円錐台である場合、(突起部46aと突起部46bとを含む)突起部は、図35に示された形状に限定されず、図36に示されるように、圧電素子45の円の円周に沿って所定の位置に設けられることが好ましい。更には、(突起部46aと突起部46bとを含む)突起部は、軸線Lを中心とする半径(s1+t1×(1/2))の円周上に、所定の距離、例えば軸線Lを中心に45度の間隔に部分的に形成される形状であることが好ましい。この場合、上述の突起部46aと突起部46bは互いに離れて形成されることが好ましい。
【0186】
また、実施の形態4に係るインクジェット記録ヘッド40では、振動板46を介して圧力室2を押圧する素子であれば、圧電素子45に限定しない。振動板46を介して圧力室2を押圧する素子としては、電歪素子、磁歪素子、形状記憶合金が例示される。この場合、圧電素子45に代えて、電歪素子、磁歪素子、形状記憶合金のいずれかがa、b方向に運動/駆動したとき、電歪素子、磁歪素子、形状記憶合金のいずれかは、振動板46を介して圧力室2を押圧することによって、圧力室2の内部の圧力を変化させ、ノズル1からインク11をインク滴として吐出させることが好ましい。
【0187】
(実施の形態5)
本実施の形態5に係るインクジェット記録ヘッド50について図37を参照しながら説明する。図37は、本実施の形態5に係るインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。
【0188】
図37に示されるように、インクジェット記録ヘッド50は、ノズルプレート9と、プレート8と、ノズルプレート9に平行に延びる振動板56と、接着層57、57’と、圧電素子55とを備えている。ここで、実施の形態5では、実施の形態1と重複する説明は省略する。
【0189】
プレート8上には、振動板6に代えて、振動板56が設けられ、接続されている。
【0190】
振動板56は、ニッケル、ステンレスで例示される金属材料により形成されている。尚、振動板56は、金属材料に限らず、ポリイミドで例示される樹脂でもよく、また、シリコンを用いてもよい。この場合、ノズルプレート9と第1プレート8aと第2プレート8bと第3プレート8cと振動板56とに用いられる材料の組合せは、上記の例において、自由でもよいし、同じにしてもよい。ヘッドを設計する上での必要条件に応じて適宜最適な組合せが選択される。
【0191】
プレート8とノズルプレート9と振動板56は、インクを収容し、加圧するための圧力室2を形成し、圧力室2にはインク11が充填されている。圧力室2の上面部2bは、振動板56に接する面である。ここで、圧力室2の形状が四角錐台であることが好ましい(図38参照)。この場合、側面部2cと側面部2dは互いに離れて形成される。また、圧力室2は、側面部2cと側面部2dとを接続する図示せぬ側面部を更に有することが好ましい。
【0192】
また、プレート8とノズルプレート9と振動板56は、インクを収容し、圧力室2に補給/供給するためのインクプール4を形成し、インクプール4にはインク13が充填されている。インクプール4の上面部4bは、振動板56に接する面である。ここで、インクプール4の形状が四角錐台であることが好ましい(図38参照)。この場合、側面部4cと側面部4dは互いに離れて形成される。また、インクプール4は、側面部4cと側面部4dとを接続する図示せぬ側面部を更に有することが好ましい。
【0193】
プレート8を示す第2プレート8bには、インクプール4と圧力室2とに連通し、インクプール4に収容されたインク13を圧力室2にインク11として補給/供給するための供給口3が形成されている。ここで、供給口3の上面部3cは、振動板56に接する面である。
【0194】
ノズルプレート9には、圧力室2に連通し、インク11をインク滴として吐出するためのノズル1が形成されている。ここで、ノズル1の形状が円錐台であることが好ましい(図38参照)。この場合、側面部1cと側面部1dは一体で形成される。
【0195】
圧電素子55は、上面部55aと底面部55bと側面部55c、55dと突起部55eと突起部55fとを有する。圧電素子55の上面部55a、底面部55bのX1方向の長さWは、圧力室2の上面部2bのX1方向の長さと同じである。また、上面部55aには正電極が薄く形成され、底面部55bには負電極が薄く形成され、圧電素子55は分極処理により予めに分極されている。この予めに分極された圧電素子55は、上面部55aと底面部55bとの間に印加される電圧に基づいて変形する。
【0196】
また、実施の形態1と同様に、予めに、分極処理として、正電極である上面部55aに設定値以上の正電圧、負電極である底面部55bに負電圧(通常は接地)を印加することにより、圧電素子55は、上面部55aに正電圧、底面部55bに負電圧(通常は接地)が印加されたときに矢印a、b方向に縮むように駆動される。
【0197】
振動板56上には、圧電素子55と振動板56とを部分的に接合させる接着層57、57’が設けられている。接着層57は、軸線Lに対して垂直方向であるX1方向に、軸線Lから距離s1だけ離れて設けられ、軸線Lに対してX1方向の長さt1を有する。接着層57’は、軸線Lに対して垂直方向であるX2方向に、軸線Lから距離s2だけ離れて設けられ、軸線Lに対してX2方向の長さt2を有する。
【0198】
ここで、距離s1は距離s2と同じであり、接着層57の軸線Lに対するX1方向の長さt1は、接着層57’の軸線Lに対するX2方向の長さt2と同じであることが好ましい。また、長さW、距離s1、s2、長さt1、t2の単位を統一(例えば、メートル)した場合、(W/2)≧(s1+t1)、s1≧t1、(W/2)≧(s2+t2)、s2≧t2とする。
【0199】
また、接着層57、57’は、導電性に優れた接着性材料である。接着性材料としてはエポキシ系接着剤が例示される。
【0200】
接着層57、57’上には、圧電素子55が設けられている。圧電素子55の底面部55bには、底面部55b上に設けられた突起部55eと突起部55fとが形成されている。突起部55eと突起部55fは、底面部55bと同様に負電極として働く。突起部55eは接着層57上に接合され、突起部55fは接着層57’上に接合されている。圧電素子55の底面部55bは、接着層57、57’により、振動板56と部分的に接合される。突起部55eは、軸線Lに対して垂直方向であるX1方向に、軸線Lから距離s1だけ離れて設けられ、軸線Lに対してX1方向の長さt1を有する。突起部55fは、軸線Lに対して垂直方向であるX2方向に、軸線Lから距離s2だけ離れて設けられ、軸線Lに対してX2方向の長さt2を有する。
【0201】
ここで、図38に示されるように、圧電素子55が円形状である場合、圧電素子55は、軸線Lを中心とする半径(W×(1/2))の円である。この場合、(接着層57と接着層57’とを含む)接着層、(突起部55eと突起部55fとを含む)突起部は、圧電素子55の円の円周に沿うように設けられる。更には、(接着層57と接着層57’とを含む)接着層、(突起部55eと突起部55fとを含む)突起部は、軸線Lを中心とする半径(s1+t1)の円から、軸線Lを中心とする半径s1の円を除いた部分(領域)に形成される形状であることが好ましい。上述の接着層57と接着層57’は一体で形成されることが好ましい。上述の突起部55eと突起部55fは一体で形成されることが好ましい。
【0202】
図37に示されるように、圧電素子55が上面部55aと底面部55bとの間に印加される電圧に応じて面内方向に運動/駆動したとき(縮んだとき)、圧電素子55と振動板56は、突起部55e、55fを介して接着層57、57’により部分的に接合されているため、振動板56の圧電素子55接着面は面内方向に圧縮される。その結果、振動板56には曲げモーメントMが作用することとなり、振動板56はY2方向に撓み変形を起こす。この際に、圧電素子55と振動板56は、突起部55e、55fを介して接着層57、57’でのみ接合されているため、振動板56は、圧電素子55の曲げ剛性に影響されることなく、それ自身の曲げ剛性に従い振動板56に作用する曲げモーメントMに応じて撓み変形を起こす。これにより、インクジェット記録ヘッド50は、圧力室2の体積変位を大幅に向上することにより、低電圧でインク11を加圧することができる。
【0203】
圧力室2は、圧電素子55の運動/駆動(振動板56の撓み)に基づいて内部の圧力が変化する(体積変位する)。上述のインク滴は、圧力室2の圧力の変化に基づいてノズル1から吐出される。圧電素子55は、振動板56を介して圧力室2を押圧することによってノズル1からインク11をインク滴として吐出させる。このように、インクジェット記録ヘッド50は、圧力室2の体積変位を大幅に向上することにより、圧力室2の配置における高密度化、小型化を可能とし、低電圧でインク11を加圧することにより、ヘッドの低消費電力化、低電圧化を可能とする。
【0204】
次に、インクジェット記録ヘッド50のインク滴の吐出動作について図39をっ参照しながら説明する。図39は、本実施の形態5に係るインクジェット記録ヘッドのインク滴の吐出動作を示す断面図である。
【0205】
図39に示されるように、インクジェット記録ヘッド50は、外部電源80と接続される。圧電素子55の正電極である上面部55aには、外部電源80の正極が接続され、振動板56には、外部電源80の負極が接続される。圧電素子55の負電極である底面部55b(の突起部55e、突起部55f)と、振動板56とが導電性の接着層57、57’に接合されているため、振動板56は負電極であり、通常、外部電源80により接地されている。
【0206】
圧電素子55の上面部55a(正電極)と振動板56(負電極)との間には、外部電源80により電圧が印加される。外部電源80により印加する電圧は、実施の形態1と同様に、40(V)未満が好ましく、例えば30(V)が好ましい。
【0207】
ここで、図37に示されたインクジェット記録ヘッド50は、外部電源80により電圧が印加されていない状態であり、この状態を静止状態と称す。また、図39に示されたインクジェット記録ヘッド50は、外部電源80により電圧が印加される状態であり、この状態を動作状態と称す。
【0208】
まず、静止状態において、圧電素子55への電圧の印加として、圧電素子55の上面部55a(正電極)と振動板56(負電極)との間に外部電源80により電圧を印加したとき、圧電素子55は矢印a、bの向きに収縮して(収縮動作)、突起部55e、55fと接着層57、57’とを介して、振動板56の圧電素子55接着面を面内方向に圧縮する。その結果、振動板56には曲げモーメントMが作用することとなり、振動板56はY2方向に撓み変形を起こす(撓み変形動作)。これにより、インクジェット記録ヘッド50は、動作状態に移行する。
【0209】
圧電素子55の収縮動作では、圧電素子55が、圧電素子55の両端のうちの一方から軸線Lに向かってX2方向に平行な矢印aの向きに収縮し、圧電素子55の両端のうちの他方から軸線Lに向かってX1方向に平行な矢印bの向きに収縮する。
【0210】
次に、動作状態において、圧力室2では、振動板56の撓み変形動作(圧力室2の上面部2bがY2方向に撓むこと)による体積変位でもって圧力室2の中のインク11が圧縮される。これにより、インクジェット記録ヘッド50は、圧力室2に連通したノズル1からインク11をインク滴12として吐出することができる。
【0211】
次いで、動作状態において、外部電源80により、圧電素子55の上面部55a(正電極)と振動板56(負電極)との間に印加されている電圧を0(V)にすると(圧電素子55への印加電圧を元に戻すと)、インクジェット記録ヘッド50は、静止状態に移行し、圧電素子55及び振動板56は図37に示された元の状態に戻る(撓み終了動作)。圧力室2では、ノズル1に形成されるインクのメニスカスの復元力(毛細管力)によって、圧力室2の中に、インクプール4の中のインク13が供給口3を通って補給/供給される。
【0212】
このように、インクジェット記録ヘッド50では、圧電素子55と振動板56は、接着層57、57’により部分的に接合されているため、圧電素子55と振動板56は、異なった曲率を有することができ、圧電素子55自体はあまり撓むことなく振動板56を大きく撓ますことが可能となる。
【0213】
以上の説明により、実施の形態5に係るインクジェット記録ヘッド50によれば、実施の形態1と同様な効果が得られる。
【0214】
尚、実施の形態5に係るインクジェット記録ヘッド50は、上述の説明に限定されるものではない。(接着層57と接着層57’とを含む)接着層、(突起部55eと突起部55fとを含む)突起部は、図38に示された形状に限定されず、図40に示されるように、圧電素子55の円の円周に沿って所定の位置に設けられることが好ましい。更には、(接着層57と接着層57’とを含む)接着層、(突起部55eと突起部55fとを含む)突起部は、軸線Lを中心とする半径(s1+t1×(1/2))の円周上に、所定の距離、例えば軸線Lを中心に45度の間隔に部分的に形成される形状であることが好ましい。この場合、上述の接着層57と接着層57’は互いに離れて形成されることが好ましい。上述の突起部55eと突起部55fは互いに離れて形成されることが好ましい。
【0215】
また、図40に示された圧電素子55は、円形状であることに限定されず、図41に示されるように、正方形状であってもよい。この場合、正方形状である圧電素子55は、4辺のそれぞれの長さWを有し、2本の対角線の交点が軸線Lに対応するように設けられ、4辺のうちの2辺がX1方向(又はX2方向)に平行に設けられることが好ましい。また、(接着層57と接着層57’とを含む)接着層、(突起部55eと突起部55fとを含む)突起部は、圧電素子55の正方形の4辺のうちの少なくとも2辺に沿うように設けられることが好ましい。更には、(接着層57と接着層57’とを含む)接着層、(突起部55eと突起部55fとを含む)突起部は、4辺のそれぞれの長さ(s1+t1+s2+t2)を有し、2本の対角線の交点が軸線Lに対応するように設けられ、4辺のうちの2辺がX1方向(又はX2方向)に平行に設けらた正方形から、4辺のそれぞれの長さ(s1+s2)を有し、2本の対角線の交点が軸線Lに対応するように設けられ、4辺のうちの2辺がX1方向(又はX2方向)に平行に設けらた正方形を除いた部分(領域)に形成される形状であることが好ましい。また、上述の接着層57と接着層57’は一体で形成されることが好ましい。上述の突起部55eと突起部55fは一体で形成されることが好ましい。
【0216】
また、図41に示された圧電素子55が正方形状である場合、(接着層57と接着層57’とを含む)接着層、(突起部55eと突起部55fとを含む)突起部は、圧電素子55の正方形の4辺のうちの少なくとも2辺に沿って所定の位置に設けられることが好ましい。更には、(接着層57と接着層57’とを含む)接着層、(突起部55eと突起部55fとを含む)突起部は、図41に示された形状に限定されず、図42に示されるように、所定の距離、例えば軸線Lを中心に45度の間隔に部分的に形成される形状であることが好ましい。この場合、上述の接着層57と接着層57’は互いに離れて形成されることが好ましい。上述の突起部55eと突起部55fは互いに離れて形成されることが好ましい。
【0217】
また、図41に示された圧電素子55は、正方形状であることに限定されず、図43に示されるように、長方形状であってもよい。この場合、長方形状である圧電素子55は、4辺のうちの2辺が長さWを有する2辺より長く、4辺のうちの長さWを有する2辺がX1方向(又はX2方向)に平行に設けられることが好ましい。また、(接着層57と接着層57’とを含む)接着層、(突起部55eと突起部55fとを含む)突起部は、圧電素子55の長方形の4辺のうちの長さWを有する2辺より長い2辺に沿うように設けられることが好ましい。更には、上述の接着層57と接着層57’、上述の突起部55eと突起部55fは、X1方向の同一平面上の垂直方向に延びるように形成されることが好ましい。この場合、上述の接着層57と接着層57’は互いに離れて形成されることが好ましい。上述の突起部55eと突起部55fは互いに離れて形成されることが好ましい。
【0218】
また、図38に示された圧力室2、インクプール4の形状は、図44に示されるように、四角錐台に限定されず、円錐台でもよい。この場合、側面部2cと側面部2dは一体で形成され、側面部4cと側面部4dは一体で形成されることが好ましい。また、圧電素子55は、軸線Lを中心とする半径(W×(1/2))の円である。また、(接着層57と接着層57’とを含む)接着層、(突起部55eと突起部55fとを含む)突起部は、圧電素子55の円の円周に沿うように設けられる。更には、(接着層57と接着層57’とを含む)接着層、(突起部55eと突起部55fとを含む)突起部は、軸線Lを中心とする半径(s1+t1)の円から、軸線Lを中心とする半径s1の円を除いた部分(領域)に形成される形状であることが好ましい。また、上述の接着層57と接着層57’は一体で形成されることが好ましい。上述の突起部55eと突起部55fは一体で形成されることが好ましい。
【0219】
また、図44に示された圧力室2、インクプール4の形状が円錐台である場合、(接着層57と接着層57’とを含む)接着層、(突起部55eと突起部55fとを含む)突起部は、図44に示された形状に限定されず、図45に示されるように、圧電素子55の円の円周に沿って所定の位置に設けられることが好ましい。更には、(接着層57と接着層57’とを含む)接着層、(突起部55eと突起部55fとを含む)突起部は、軸線Lを中心とする半径(s1+t1×(1/2))の円周上に、所定の距離、例えば軸線Lを中心に45度の間隔に部分的に形成される形状であってもよい。この場合、上述の接着層57と接着層57’は互いに離れて形成されることが好ましい。上述の突起部55eと突起部55fは互いに離れて形成されることが好ましい。
【0220】
また、実施の形態5に係るインクジェット記録ヘッド50では、振動板56を介して圧力室2を押圧する素子であれば、圧電素子55に限定しない。振動板56を介して圧力室2を押圧する素子としては、電歪素子、磁歪素子、形状記憶合金が例示される。この場合、圧電素子55に代えて、電歪素子、磁歪素子、形状記憶合金のいずれかがa、b方向に運動/駆動したとき、電歪素子、磁歪素子、形状記憶合金のいずれかは、振動板56を介して圧力室2を押圧することによって、圧力室2の内部の圧力を変化させ、ノズル1からインク11をインク滴として吐出させることが好ましい。
【0221】
(実施の形態6)
本実施の形態6に係るインクジェット記録ヘッド60について図46を参照しながら説明する。図46は、本実施の形態6に係るインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。
【0222】
図46に示されるように、インクジェット記録ヘッド60は、ノズルプレート9と、プレート8と、ノズルプレート9に平行に延びる振動板66と、接着層67と、圧電素子65とを備えている。ここで、実施の形態6では、実施の形態1と重複する説明は省略する。
【0223】
プレート8上には、振動板6に代えて、振動板66が設けられ、接続されている。
【0224】
振動板66は、ニッケル、ステンレスで例示される金属材料により形成されている。尚、振動板66は、金属材料に限らず、ポリイミドで例示される樹脂でもよく、また、シリコンを用いてもよい。この場合、ノズルプレート9と第1プレート8aと第2プレート8bと第3プレート8cと振動板66とに用いられる材料の組合せは、上記の例において、自由でもよいし、同じにしてもよい。ヘッドを設計する上での必要条件に応じて適宜最適な組合せが選択される。
【0225】
プレート8とノズルプレート9と振動板66は、インクを収容し、加圧するための圧力室2を形成し、圧力室2にはインク11が充填されている。圧力室2の上面部2bは、振動板66に接する面である。ここで、圧力室2の形状が四角錐台であることが好ましい(図47参照)。この場合、側面部2cと側面部2dは互いに離れて形成される。また、圧力室2は、側面部2cと側面部2dとを接続する図示せぬ側面部を更に有することが好ましい。
【0226】
また、プレート8とノズルプレート9と振動板66は、インクを収容し、圧力室2に補給/供給するためのインクプール4を形成し、インクプール4にはインク13が充填されている。インクプール4の上面部4bは、振動板66に接する面である。ここで、インクプール4の形状が四角錐台であることが好ましい(図47参照)。この場合、側面部4cと側面部4dは互いに離れて形成される。また、インクプール4は、側面部4cと側面部4dとを接続する図示せぬ側面部を更に有することが好ましい。
【0227】
プレート8を示す第2プレート8bには、インクプール4と圧力室2とに連通し、インクプール4に収容されたインク13を圧力室2にインク11として補給/供給するための供給口3が形成されている。ここで、供給口3の上面部3cは、振動板66に接する面である。
【0228】
ノズルプレート9には、圧力室2に連通し、インク11をインク滴として吐出するためのノズル1が形成されている。ここで、ノズル1の形状が円錐台であることが好ましい(図47参照)。この場合、側面部1cと側面部1dは一体で形成される。
【0229】
圧電素子65は、上面部65aと底面部65bと側面部65c、65dと突起部65e、65fとを有する。圧電素子65の上面部65a、底面部65bのX1方向の長さWは、圧力室2の上面部2bのX1方向の長さと同じである。また、上面部65aには正電極が薄く形成され、底面部65bには負電極が薄く形成され、圧電素子65は分極処理により予めに分極されている。この予めに分極された圧電素子65は、上面部65aと底面部65bとの間に印加される電圧に基づいて変形する。
【0230】
また、実施の形態1と同様に、予めに、分極処理として、正電極である上面部65aに設定値以上の正電圧、負電極である底面部65bに負電圧(通常は接地)を印加することにより、圧電素子65は、上面部65aに正電圧、底面部65bに負電圧(通常は接地)が印加されたときに矢印a、b方向に縮むように駆動される。
【0231】
振動板66上には、圧電素子65と振動板66とを部分的に接合させる接着層67が設けられている。
【0232】
接着層67上には、圧電素子65が設けられている。圧電素子65の底面部65bには、底面部65b上に設けられた突起部65e、65fとが形成されている。突起部65eと突起部65fは、底面部65bと同様に負電極として働く。突起部65e、65fは接着層67上に接合されている。圧電素子65の底面部65bは、接着層67により、振動板66と部分的に接合される。突起部65eは、軸線Lに対して垂直方向であるX1方向に、軸線Lから距離s1だけ離れて設けられ、軸線Lに対してX1方向の長さt1を有する。突起部65fは、軸線Lに対して垂直方向であるX2方向に、軸線Lから距離s2だけ離れて設けられ、軸線Lに対してX2方向の長さt2を有する。
【0233】
ここで、距離s1は距離s2と同じであり、突起部65eの軸線Lに対するX1方向の長さt1は、突起部65fの軸線Lに対するX2方向の長さt2と同じであることが好ましい。また、長さW、距離s1、s2、長さt1、t2の単位を統一(例えば、メートル)した場合、(W/2)≧(s1+t1)、s1≧t1、(W/2)≧(s2+t2)、s2≧t2とする。また、接着層67のX1方向の長さ(接着層67における軸線Lに対するX1方向の長さと、軸線Lに対するX2方向の長さとの合計)は、(s1+t1+s2+t2)以上であり、W以下であることが好ましい。
【0234】
また、接着層67は、導電性に優れた接着性材料である。接着性材料としてはエポキシ系接着剤が例示される。
【0235】
ここで、図47に示されるように、圧電素子65が円形状である場合、圧電素子65と接着層67は、軸線Lを中心とする半径(W×(1/2))の円である。この場合、(突起部65eと突起部65fとを含む)突起部は、圧電素子65の円の円周に沿うように設けられる。更には、(突起部65eと突起部65fとを含む)突起部は、軸線Lを中心とする半径(s1+t1)の円から、軸線Lを中心とする半径s1の円を除いた部分(領域)に形成される形状であることが好ましい。上述の突起部65eと突起部65fは一体で形成されることが好ましい。
【0236】
圧電素子65が上面部65aと底面部65bとの間に印加される電圧に応じてY2方向に運動/駆動したとき(撓んだとき)、圧電素子65と振動板66は、接着層67により部分的に接合されているため、曲率を有するように、突起部65eと突起部65fとを軸にして撓む。これにより、インクジェット記録ヘッド60は、圧力室2の体積変位を大幅に向上することにより、低電圧でインク11を加圧することができる。
【0237】
図46に示されるように、圧電素子65が上面部65aと底面部65bとの間に印加される電圧に応じて面内方向に運動/駆動したとき(縮んだとき)、圧電素子65と振動板66は、突起部65e、65fを介して接着層67により部分的に接合されているため、振動板66の圧電素子65接着面は面内方向に圧縮される。その結果、振動板66には曲げモーメントMが作用することとなり、振動板56はY2方向に撓み変形を起こす。この際に、圧電素子65と振動板66は、突起部65e、65fを介して接着層67でのみ接合されているため、振動板66は、圧電素子65の曲げ剛性に影響されることなく、それ自身の曲げ剛性に従い振動板66に作用する曲げモーメントMに応じて撓み変形を起こす。これにより、インクジェット記録ヘッド60は、圧力室2の体積変位を大幅に向上することにより、低電圧でインク11を加圧することができる。
【0238】
圧力室2は、圧電素子65の運動/駆動(振動板66の撓み)に基づいて内部の圧力が変化する(体積変位する)。上述のインク滴は、圧力室2の圧力の変化に基づいてノズル1から吐出される。圧電素子65は、振動板66を介して圧力室2を押圧することによってノズル1からインク11をインク滴として吐出させる。このように、インクジェット記録ヘッド60は、圧力室2の体積変位を大幅に向上することにより、圧力室2の配置における高密度化、小型化を可能とし、低電圧でインク11を加圧することにより、ヘッドの低消費電力化、低電圧化を可能とする。
【0239】
次に、インクジェット記録ヘッド60のインク滴の吐出動作について図48をっ参照しながら説明する。図48は、本実施の形態6に係るインクジェット記録ヘッドのインク滴の吐出動作を示す断面図である。
【0240】
図48に示されるように、インクジェット記録ヘッド60は、外部電源80と接続される。圧電素子65の正電極である上面部65aには、外部電源80の正極が接続され、振動板66には、外部電源80の負極が接続される。圧電素子65の負電極である底面部65b(の突起部65e、突起部65f)と、振動板66とが導電性の接着層67に接合されているため、振動板66は負電極であり、通常、外部電源80により接地されている。
【0241】
圧電素子65の上面部65a(正電極)と振動板66(負電極)との間には、外部電源80により電圧が印加される。外部電源80により印加する電圧は、実施の形態1と同様に、40(V)未満が好ましく、例えば30(V)が好ましい。
【0242】
ここで、図46に示されたインクジェット記録ヘッド60は、外部電源80により電圧が印加されていない状態であり、この状態を静止状態と称す。また、図48に示されたインクジェット記録ヘッド60は、外部電源80により電圧が印加される状態であり、この状態を動作状態と称す。
【0243】
まず、静止状態において、圧電素子65への電圧の印加として、圧電素子65の上面部65a(正電極)と振動板66(負電極)との間に外部電源80により電圧を印加したとき、圧電素子65は矢印a、bの向きに収縮して(収縮動作)、突起部65e、65fを介して接着層67と共に、振動板66の圧電素子65接着面を面内方向に圧縮する。その結果、振動板66には曲げモーメントMが作用することとなり、振動板66はY2方向に撓み変形を起こす(撓み変形動作)。これにより、インクジェット記録ヘッド60は、動作状態に移行する。
【0244】
圧電素子65の収縮動作では、圧電素子65が、圧電素子65の両端のうちの一方から軸線Lに向かってX2方向に平行な矢印aの向きに収縮し、圧電素子65の両端のうちの他方から軸線Lに向かってX1方向に平行な矢印bの向きに収縮する。
【0245】
次に、動作状態において、圧力室2では、振動板66の撓み変形動作(圧力室2の上面部2bがY2方向に撓むこと)による体積変位でもって圧力室2の中のインク11が圧縮される。これにより、インクジェット記録ヘッド60は、圧力室2に連通したノズル1からインク11をインク滴12として吐出することができる。
【0246】
次いで、動作状態において、外部電源80により、圧電素子65の上面部65a(正電極)と振動板66(負電極)との間に印加されている電圧を0(V)にすると(圧電素子65への印加電圧を元に戻すと)、インクジェット記録ヘッド60は、静止状態に移行し、圧電素子65及び振動板66は図46に示された元の状態に戻る(撓み終了動作)。圧力室2では、ノズル1に形成されるインクのメニスカスの復元力(毛細管力)によって、圧力室2の中に、インクプール4の中のインク13が供給口3を通って補給/供給される。
【0247】
このように、インクジェット記録ヘッド60では、圧電素子65と振動板66は、接着層67により部分的に接合されているため、圧電素子65と振動板66は、異なった曲率を有することができ、圧電素子65自体はあまり撓むことなく振動板66を大きく撓ますことが可能となる。
【0248】
以上の説明により、実施の形態6に係るインクジェット記録ヘッド60によれば、実施の形態1と同様な効果が得られる。
【0249】
尚、実施の形態6に係るインクジェット記録ヘッド60は、上述の説明に限定されるものではない。(突起部65eと突起部65fとを含む)突起部は、図47に示された形状に限定されず、図49に示されるように、圧電素子65の円の円周に沿って所定の位置に設けられることが好ましい。更には、(突起部65eと突起部65fとを含む)突起部は、軸線Lを中心とする半径(s1+t1×(1/2))の円周上に、所定の距離、例えば軸線Lを中心に45度の間隔に部分的に形成される形状であることが好ましい。この場合、上述の突起部65eと突起部65fは互いに離れて形成されることが好ましい。
【0250】
また、図49に示された圧電素子65と接着層67は、円形状であることに限定されず、図51に示されるように、正方形状であってもよい。この場合、正方形状である圧電素子65、接着層67は、4辺のそれぞれの長さWを有し、2本の対角線の交点が軸線Lに対応するように設けられ、4辺のうちの2辺がX1方向(又はX2方向)に平行に設けられることが好ましい。また、(突起部65eと突起部65fとを含む)突起部は、圧電素子65の正方形の4辺のうちの少なくとも2辺に沿うように設けられることが好ましい。更には、(突起部65eと突起部65fとを含む)突起部は、4辺のそれぞれの長さ(s1+t1+s2+t2)を有し、2本の対角線の交点が軸線Lに対応するように設けられ、4辺のうちの2辺がX1方向(又はX2方向)に平行に設けらた正方形から、4辺のそれぞれの長さ(s1+s2)を有し、2本の対角線の交点が軸線Lに対応するように設けられ、4辺のうちの2辺がX1方向(又はX2方向)に平行に設けらた正方形を除いた部分(領域)に形成される形状であることが好ましい。また、上述の突起部65eと突起部65fは一体で形成されることが好ましい。
【0251】
また、図50に示された圧電素子65と接着層67とが正方形状である場合、(突起部65eと突起部65fとを含む)突起部は、圧電素子65の正方形の4辺のうちの少なくとも2辺に沿って所定の位置に設けられることが好ましい。更には、(突起部65eと突起部65fとを含む)突起部は、図50に示された形状に限定されず、図51に示されるように、所定の距離、例えば軸線Lを中心に45度の間隔に部分的に形成される形状であることが好ましい。この場合、上述の突起部65eと突起部65fは互いに離れて形成されることが好ましい。
【0252】
また、図50に示された圧電素子65と接着層67は、正方形状であることに限定されず、図52に示されるように、長方形状であってもよい。この場合、長方形状である圧電素子65、接着層67は、4辺のうちの2辺が長さWを有する2辺より長く、4辺のうちの長さWを有する2辺がX1方向(又はX2方向)に平行に設けられることが好ましい。また、(突起部65eと突起部65fとを含む)突起部は、圧電素子65の長方形の4辺のうちの長さWを有する2辺より長い2辺に沿うように設けられることが好ましい。更には、上述の突起部65eと突起部65fは、X1方向の同一平面上の垂直方向に延びるように形成されることが好ましい。この場合、上述の突起部65eと突起部65fは互いに離れて形成されることが好ましい。
【0253】
また、図47に示された圧力室2、インクプール4の形状は、図53に示されるように、四角錐台に限定されず、円錐台でもよい。この場合、側面部2cと側面部2dは一体で形成され、側面部4cと側面部4dは一体で形成されることが好ましい。また、圧電素子65と接着層67は、軸線Lを中心とする半径(W×(1/2))の円である。また、(突起部65eと突起部65fとを含む)突起部は、圧電素子65の円の円周に沿うように設けられる。更には、(突起部65eと突起部65fとを含む)突起部は、軸線Lを中心とする半径(s1+t1)の円から、軸線Lを中心とする半径s1の円を除いた部分(領域)に形成される形状であることが好ましい。また、上述の突起部65eと突起部65fは一体で形成されることが好ましい。
【0254】
また、図53に示された圧力室2、インクプール4の形状が円錐台である場合、(突起部65eと突起部65fとを含む)突起部は、図53に示された形状に限定されず、図54に示されるように、圧電素子65の円の円周に沿って所定の位置に設けられることが好ましい。更には、(突起部65eと突起部65fとを含む)突起部は、軸線Lを中心とする半径(s1+t1×(1/2))の円周上に、所定の距離、例えば軸線Lを中心に45度の間隔に部分的に形成される形状であることが好ましい。この場合、上述の突起部65eと突起部65fは互いに離れて形成されることが好ましい。
【0255】
また、実施の形態6に係るインクジェット記録ヘッド60では、振動板66を介して圧力室2を押圧する素子であれば、圧電素子65に限定しない。振動板66を介して圧力室2を押圧する素子としては、電歪素子、磁歪素子、形状記憶合金が例示される。この場合、圧電素子65に代えて、電歪素子、磁歪素子、形状記憶合金のいずれかがa、b方向に運動/駆動したとき、電歪素子、磁歪素子、形状記憶合金のいずれかは、振動板66を介して圧力室2を押圧することによって、圧力室2の内部の圧力を変化させ、ノズル1からインク11をインク滴として吐出させることが好ましい。
【0256】
実施の形態1〜6において、インクジェット記録ヘッド10、20、30、40、50、60では、ノズル1は、ノズルプレート9に形成され、圧力室2に直接連通しているが、これに限定されず、図示せぬ管を介して圧力室2に連通してもよい。
【0257】
また、本発明による液滴吐出ヘッドとして、実施の形態1〜6において、インク滴12を記録用紙面上に吐出するインクジェット記録ヘッド10、20、30、40、50、60の場合について説明したが、これに限定されるものではない。粘性の高い液体を吐出するためには、高い圧力が必要とされるが、本発明の場合、体積変位効率が高いため、容易に高い圧力が得られる。例えば、水溶性の有機材料を所定のパターンに従って基板上に付着させる有機ELディスプレイ製膜装置にも好適に用いられる。また、溶融半田を基板上に吐出させてバンプを形成する半田バンプ形成装置にも好適に用いられる。
【0258】
【発明の効果】
本発明の液滴吐出ヘッドは、低電圧で液滴を吐出することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本実施の形態1に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す断面図である。
【図2】図2(a)は、本実施の形態1に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図2(b)は、図1に対応し、図2(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図3】図3は、本実施の形態1に係るインクジェット記録ヘッドのインク滴の吐出動作を示す断面図である。
【図4】図4(a)は、本実施の形態1に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図4(b)は、図1に対応し、図4(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図5】図5(a)は、本実施の形態1に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図5(b)は、図1に対応し、図5(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図6】図6(a)は、本実施の形態1に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図6(b)は、図1に対応し、図6(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図7】図7(a)は、本実施の形態1に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図7(b)は、図1に対応し、図7(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図8】図8(a)は、本実施の形態1に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図8(b)は、図1に対応し、図8(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図9】図9(a)は、本実施の形態1に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図9(b)は、図1に対応し、図9(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図10】図10は、本実施の形態2に係るインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。
【図11】図11(a)は、本実施の形態2に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図11(b)は、図10に対応し、図11(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図12】図12は、本実施の形態2に係るインクジェット記録ヘッドのインク滴の吐出動作を示す断面図である。
【図13】図13(a)は、本実施の形態2に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図13(b)は、図10に対応し、図13(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図14】図14(a)は、本実施の形態2に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図14(b)は、図10に対応し、図14(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図15】図15(a)は、本実施の形態2に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図15(b)は、図10に対応し、図15(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図16】図16(a)は、本実施の形態2に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図16(b)は、図10に対応し、図16(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図17】図17(a)は、本実施の形態2に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図17(b)は、図10に対応し、図17(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図18】図18(a)は、本実施の形態2に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図18(b)は、図10に対応し、図18(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図19】図19は、本実施の形態3に係るインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。
【図20】図20(a)は、本実施の形態3に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図20(b)は、図19に対応し、図20(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図21】図21は、本実施の形態3に係るインクジェット記録ヘッドのインク滴の吐出動作を示す断面図である。
【図22】図22(a)は、本実施の形態3に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図22(b)は、図19に対応し、図22(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図23】図23(a)は、本実施の形態3に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図23(b)は、図19に対応し、図23(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図24】図24(a)は、本実施の形態3に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図24(b)は、図19に対応し、図24(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図25】図25(a)は、本実施の形態3に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図25(b)は、図19に対応し、図25(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図26】図26(a)は、本実施の形態3に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図26(b)は、図19に対応し、図26(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図27】図27(a)は、本実施の形態3に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図27(b)は、図19に対応し、図27(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図28】図28は、本実施の形態4に係るインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。
【図29】図29(a)は、本実施の形態4に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図29(b)は、図28に対応し、図29(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図30】図30は、本実施の形態4に係るインクジェット記録ヘッドのインク滴の吐出動作を示す断面図である。
【図31】図31(a)は、本実施の形態4に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図31(b)は、図28に対応し、図31(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図32】図32(a)は、本実施の形態4に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図32(b)は、図28に対応し、図32(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図33】図33(a)は、本実施の形態4に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図33(b)は、図28に対応し、図33(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図34】図34(a)は、本実施の形態4に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図34(b)は、図28に対応し、図34(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図35】図35(a)は、本実施の形態4に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図35(b)は、図28に対応し、図35(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図36】図36(a)は、本実施の形態4に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図36(b)は、図28に対応し、図36(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図37】図37は、本実施の形態5に係るインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。
【図38】図38(a)は、本実施の形態5に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図38(b)は、図37に対応し、図38(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図39】図39は、本実施の形態5に係るインクジェット記録ヘッドのインク滴の吐出動作を示す断面図である。
【図40】図40(a)は、本実施の形態5に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図40(b)は、図37に対応し、図40(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図41】図41(a)は、本実施の形態5に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図41(b)は、図37に対応し、図41(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図42】図42(a)は、本実施の形態5に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図42(b)は、図37に対応し、図42(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図43】図43(a)は、本実施の形態5に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図43(b)は、図37に対応し、図43(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図44】図44(a)は、本実施の形態5に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図44(b)は、図37に対応し、図44(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図45】図45(a)は、本実施の形態5に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図45(b)は、図37に対応し、図45(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図46】図46は、本実施の形態6に係るインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。
【図47】図47(a)は、本実施の形態6に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図47(b)は、図46に対応し、図47(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図48】図48は、本実施の形態6に係るインクジェット記録ヘッドのインク滴の吐出動作を示す断面図である。
【図49】図49(a)は、本実施の形態6に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図49(b)は、図46に対応し、図49(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図50】図50(a)は、本実施の形態6に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図50(b)は、図46に対応し、図50(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図51】図51(a)は、本実施の形態6に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図51(b)は、図46に対応し、図51(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図52】図52(a)は、本実施の形態6に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図52(b)は、図46に対応し、図52(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図53】図53(a)は、本実施の形態6に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図53(b)は、図46に対応し、図53(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図54】図54(a)は、本実施の形態6に係るインクジェット記録ヘッドの構造を示す平面図、図54(b)は、図46に対応し、図54(a)のインクジェット記録ヘッドの構造のX−X’断面を示す図である。
【図55】図55は、従来のインクジェット記録ヘッドを示す断面図である。
【図56】図56は、従来のインクジェット記録ヘッドのインク滴の吐出動作を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ノズル
1a 入口
1b 出口
1c、1d 側面部
2 圧力室
2a 底面部
2b 上面部
2c、2d 側面部
3 供給口
3a 入口
3b 出口
3c 上面部
3d 底面部
4 インクプール
4a 底面部
4b 上面部
4c、4d 側面部
5 圧電素子
5a 上面部
5b 底面部
5c、5d 側面部
6 振動板
7、7’ 接着層
8a 第1プレート
8b 第2プレート
8c 第3プレート
9 ノズルプレート
9a 辺
10 インクジェット記録ヘッド
11 インク
12 インク滴
13 インク
20 インクジェット記録ヘッド
25 圧電素子
25a 上面部
25b 底面部
25c、25d 側面部
26 振動板
26a、26b 溝
27、27’ 接着層
30 インクジェット記録ヘッド
35 圧電素子
35a 上面部
35b 底面部
35c、35d 側面部
36 振動板
36a、36b 突起部
37、37’ 接着層
40 インクジェット記録ヘッド
45 圧電素子
45a 上面部
45b 底面部
45c、45d 側面部
46 振動板
46a、46b 突起部
47 接着層
50 インクジェット記録ヘッド
55 圧電素子
55a 上面部
55b 底面部
55c、55d 側面部
55e、55f 突起部
56 振動板
57、57’ 接着層
60 インクジェット記録ヘッド
65 圧電素子
65a 上面部
65b 底面部
65c、65d 側面部
65e、65f 突起部
66 振動板
67 接着層
80 外部電源
100 インクジェット記録ヘッド
101 ノズル
102 圧力室
103 供給口
104 インクプール
105 圧電素子
106 振動板
107 接着層
108a 第1プレート
108b 第2プレート
108c 第3プレート
109 ノズルプレート
111 インク
112 インク滴
113 インク

Claims (21)

  1. 液体を加圧する圧力室と、前記圧力室の底面側に設けられたノズルプレートと、前記ノズルプレートには、前記液体を液滴として吐出する開口部が設けられ、前記圧力室上に設けられた振動板と、前記振動板上に設けられた円形状の変位発生素子と、前記変位発生素子と前記振動板とを部分的に接合し前記円形状の変位発生素子の円周に沿うように設けられた接着部とを備え、
    前記ノズルプレートを貫通する方向と一致し前記開口部の中央を通過する直線を軸線としたとき、前記円形状の変位発生素子が前記軸線が該円の中心を通過する位置に設けられ
    前記圧力室は、前記変位発生素子の発生する変位に基づいて生じる前記振動板の撓み変形により、内部の圧力が変化し、前記液滴は、前記圧力室の前記圧力の変化に基づいて前記開口部から吐出され、且つ、下式(2)および下式(3)から選択される少なくとも一方の式を満たすことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
    ・式(2) s1≧t1
    ・式(3) s2≧t2
    〔式(2)中、s1は、前記軸線に対して垂直な方向において、前記軸線から前記軸線の一方の側に位置する前記接着部までの距離を表し、t1は、前記軸線に対して垂直な方向において、前記軸線の一方の側に位置する前記接着部の長さを表し、式(3)中、s2は、前記軸線に対して垂直な方向において、前記軸線から前記軸線の他方の側に位置する前記接着部までの距離を表し、t2は、前記軸線に対して垂直な方向において、前記軸線の他方の側に位置する前記接着部の長さを表す。〕
  2. 液体を加圧する圧力室と、前記圧力室の底面側に設けられたノズルプレートと、前記ノズルプレートには、前記液体を液滴として吐出する開口部が設けられ、前記圧力室上に設けられた振動板と、前記振動板上に設けられた正方形状又は長方形状の変位発生素子と、前記変位発生素子と前記振動板とを部分的に接合し前記正方形状又は長方形状の変位発生素子の4辺のうちの少なくとも2辺に沿うように設けられた接着部とを備え、
    前記ノズルプレートを貫通する方向と一致し前記開口部の中央を通過する直線を軸線としたとき、前記正方形状又は長方形状の変位発生素子が前記軸線が該正方形又は長方形の2本の対角線の交点を通過する位置に設けられ
    前記圧力室は、前記変位発生素子の発生する変位に基づいて生じる前記振動板の撓み変形により、内部の圧力が変化し、前記液滴は、前記圧力室の前記圧力の変化に基づいて前記開口部から吐出され、且つ、下式(2)および下式(3)から選択される少なくとも一方の式を満たすことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
    ・式(2) s1≧t1
    ・式(3) s2≧t2
    〔式(2)中、s1は、前記軸線に対して垂直な方向において、前記軸線から前記軸線の一方の側に位置する前記接着部までの距離を表し、t1は、前記軸線に対して垂直な方向において、前記軸線の一方の側に位置する前記接着部の長さを表し、式(3)中、s2は、前記軸線に対して垂直な方向において、前記軸線から前記軸線の他方の側に位置する前記接着部までの距離を表し、t2は、前記軸線に対して垂直な方向において、前記軸線の他方の側に位置する前記接着部の長さを表す。〕
  3. 請求項1又は2に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記振動板の表面には、溝が形成され、前記接着部は、前記溝に設けられ、前記接着部と前記振動板との上には、前記変位発生素子が設けられた液滴吐出ヘッド。
  4. 請求項3に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記変位発生素子の形状は円であり、前記接着部と前記溝は、前記円の円周に沿うように設けられる液滴吐出ヘッド。
  5. 請求項3に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記変位発生素子の形状は正方形又は長方形であり、前記接着部と前記溝は、前記正方形又は長方形の4辺のうちの少なくとも2辺に沿うように設けられる液滴吐出ヘッド。
  6. 請求項1又は2に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記振動板の表面には、突起部が形成され、前記接着部は、前記突起部上に設けられ、前記接着部上には、前記変位発生素子が設けられた液滴吐出ヘッド。
  7. 請求項1又は2に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記変位発生素子には、突起部が形成され、前記接着部上には、前記突起部が設けられた液滴吐出ヘッド。
  8. 請求項6又は7に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記変位発生素子の形状は円であり、前記接着部と前記突起部は、前記円の円周に沿うように設けられる液滴吐出ヘッド。
  9. 請求項6又は7に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記変位発生素子の形状は正方形又は長方形であり、前記接着部と前記突起部は、前記正方形又は長方形の4辺のうちの少なくとも2辺に沿うように設けられる液滴吐出ヘッド。
  10. 請求項1又は2に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記振動板の表面には、突起部が形成され、更に、前記変位発生素子と前記突起部とを接合する接着部を備えた液滴吐出ヘッド。
  11. 請求項1又は2に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記変位発生素子には、突起部が形成され、更に、前記突起部と前記振動板とを接合する接着部を備えた液滴吐出ヘッド。
  12. 請求項10又は11に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記変位発生素子の形状は円であり、前記突起部は、前記円の円周に沿うように設けられる液滴吐出ヘッド。
  13. 請求項10又は11に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記変位発生素子の形状は正方形又は長方形であり、前記突起部は、前記正方形又は長方形の4辺のうちの少なくとも2辺に沿うように設けられる液滴吐出ヘッド。
  14. 請求項1、2、4、5、8、9、12、13のいずれか一項に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記圧力室の形状は、四角錐台であり、前記四角錐台の第1面には前記開口部が設けられ、前記四角錐台の前記第1面より大きい第2面は、前記振動板によって形成され、前記変位発生素子は、前記変位発生素子の発生する変位が前記第2面に伝わるように前記圧力室の上方に設けられる液滴吐出ヘッド。
  15. 請求項1、4、8、12のいずれか一項に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記圧力室の形状は、円錐台であり、前記円錐台の第1面には前記開口部が設けられ、前記円錐台の前記第1面より大きい第2面は、前記振動板によって形成され、前記変位発生素子は、前記変位発生素子の発生する変位が前記第2面に伝わるように前記圧力室の上方に設けられる液滴吐出ヘッド。
  16. 請求項1〜15のいずれか一項に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、更に、前記液体を収容するプールと、前記プールと前記圧力室とに連通し、前記プールに収容された前記液体を前記圧力室に供給するための供給口とを備えた液滴吐出ヘッド。
  17. 請求項1〜15のいずれか一項に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、動作状態で、前記変位発生素子と前記振動板は、異なった曲率を有する液滴吐出ヘッド。
  18. 請求項1〜9、14、15のいずれか一項に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、下式(4)および下式(5)を満たす液滴吐出ヘッド
    ・式(4) s1=s2
    ・式(5) t1=t2
    式(4)中、s1は、前記式(2)におけるs1を意味し、s2は、前記式(3)におけるs2を意味し、式(5)中、t1は、前記式(2)におけるt1を意味し、t2は、前記式(3)におけるt2を意味する。
  19. 請求項1〜18のいずれか一項に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記液滴吐出ヘッドは、インクジェット記録装置で使われる液滴吐出ヘッド。
  20. 請求項1〜18のいずれか一項に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記液滴吐出ヘッドは、有機ELディスプレイ製膜装置で使われる液滴吐出ヘッド。
  21. 請求項1〜18のいずれか一項に記載の液滴吐出ヘッドにおいて、前記 液滴吐出ヘッドは、半田バンプ形成装置で使われる液滴吐出ヘッド。
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