JP2024047748A - 液体吐出ヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】アクチュエーターからの力が伝わりやすい振動板を備えた液体吐出ヘッドを提供する。【解決手段】実施形態の液体吐出ヘッドは、圧力室、振動板、アクチュエーター、及び支柱を備える。圧力室は、液体を吐出するノズルと連通する。振動板は、前記圧力室の隔壁の一部を形成する。アクチュエーターは、前記振動板に力を与える。支柱は、前記アクチュエーターに隣接して配置し、前記振動板を支持して変形の基準位置とする。前記アクチュエーターが力を与える前記振動板の表面に一様な凹凸を形状している。前記凹凸のピッチは、前記アクチュエーターと前記支柱の間隔よりも狭い。【選択図】図4
Description
本発明の実施形態は、液体吐出ヘッドに関する。
所定量の液体を所定の位置に供給する液体吐出ヘッドが知られている。液体吐出ヘッドは、例えばインクジェットプリンタ、3Dプリンタ、分注装置などに搭載する。インクジェットプリンタは、インクの液滴をインクジェットヘッドから吐出して、記録媒体の表面に画像等を形成する。3Dプリンタは、造形材の液滴を造形材吐出ヘッドから吐出し、硬化させて、三次元造形物を形成する。分注装置は、試料の液滴を吐出して複数の容器等へ所定量供給する。
液体吐出ヘッドは、液体を吐出するチャネルを複数有している。各チャネルは、液体を吐出するノズル、ノズルに連通する圧力室、圧力室の隔壁の一部を構成する振動板、及び振動板に力を与えて圧力室の容積を変えるアクチュエーターを備える。液体吐出ヘッドは、複数のチャネルの中から液体を吐出するチャネルを選択し、アクチュエーターに駆動信号を与えて駆動させる。アクチュエーターで振動板に力を加えると、液体で満たされている圧力室の容積が変わり、ノズルから液体が吐出する。しかしながら、振動板は、撓みやすい素材で形成するためアクチュエーターからの力が伝わり難い。
本発明が解決しようとする課題は、アクチュエーターからの力が伝わりやすい振動板を備えた液体吐出ヘッドを提供することにある。
本発明の実施形態の液体吐出ヘッドは、圧力室、振動板、アクチュエーター、及び支柱を備える。圧力室は、液体を吐出するノズルと連通する。振動板は、前記圧力室の隔壁の一部を形成する。アクチュエーターは、前記振動板に力を与える。支柱は、前記アクチュエーターに隣接して配置し、前記振動板を支持して変形の基準位置とする。前記アクチュエーターが力を与える前記振動板の表面に一様な凹凸を形状している。前記凹凸のピッチは、前記アクチュエーターと前記支柱の間隔よりも狭い。
以下、実施形態に従う液体吐出ヘッドについて、添付図面を参照しながら詳述する。なお、各図において、同一構成は同一の符号を付している。
実施形態の液体吐出ヘッドを搭載した画像形成装置の一例として、記録媒体に画像を印刷するインクジェットプリンタ10を説明する。図1は、インクジェットプリンタ10の概略構成を示す。インクジェットプリンタ10は、筐体11の内部に、記録媒体の一例であるシートSを収納するカセット12、シートSの上流搬送路13、カセット12内から取り出したシートSを搬送する搬送ベルト14、搬送ベルト14上のシートSに向けてインクの液滴を吐出する複数のインクジェットヘッド100~103、シートSの下流搬送路15、排出トレイ16、及び制御基板17を配置する。ユーザーインターフェイスである操作部18は、筐体11の上部側に配置する。
シートSに印刷する画像データは、例えば外部接続機器であるコンピュータ200で生成する。コンピュータ200で生成した画像データは、ケーブル201、コネクタ202,203を通してインクジェットプリンタ10の制御基板17に送る。
ピックアップローラ204は、カセット12からシートSを一枚ずつ上流搬送路13へ供給する。上流搬送路13は、送りローラ対131、132と、シート案内板133、134で構成する。シートSは、上流搬送路13を経由して、搬送ベルト14の上面に送る。図中の矢印104は、カセット12から搬送ベルト14へのシートSの搬送経路を示す。
搬送ベルト14は、表面に多数の貫通孔を形成した網状の無端ベルトである。駆動ローラ141、従動ローラ142,143の3本のローラは、搬送ベルト14を回転自在に支持する。モータ205は、駆動ローラ141を回転することによって搬送ベルト14を回転させる。モータ205は、駆動装置の一例である。図中105は、搬送ベルト14の回転方向を示す。搬送ベルト14の裏面側に、負圧容器206を配置する。負圧容器206は、減圧用のファン207と連結する。ファン207は、形成する気流によって負圧容器206内を負圧にし、搬送ベルト14の上面にシートSを吸着保持させる。図中106は、気流の流れを示す。
液体吐出ヘッドの一例であるインクジェットヘッド100~103は、搬送ベルト14上に吸着保持したシートSに対して、例えば1mmの僅かな隙間を介して対向するように配置する。インクジェットヘッド100~103は、シートSに向けてインクの液滴を夫々吐出する。インクジェットヘッド100~103は、下方をシートSが通過する際に画像を印刷する。各インクジェットヘッド100~103は、吐出するインクの色が異なることを除けば、同じ構造である。インクの色は、例えば、シアン,マゼンタ,イエロー,ブラックである。
インクジェットヘッド100~103は、夫々、インク流路311~314を介してインクタンク315~318及びインク供給圧力調整装置321~324と連結する。各インクタンク315~318は、各インクジェットヘッド100~103の上方に配置する。待機時に、インクジェットヘッド100~103のノズル24(図2参照)からインクが漏れ出ないように、各インク供給圧力調整装置321~324は、各インクジェットヘッド100~103内を大気圧に対して負圧、例えば-1.2kPaに調整している。画像形成時、各インクタンク315~318のインクは、インク供給圧力調整装置321~324によって各インクジェットヘッド100~103に供給する。
画像形成後、搬送ベルト14から下流搬送路15へシートSを送る。下流搬送路15は、送りローラ対151,152,153,154と、シートSの搬送経路を規定するシート案内板155,156で構成する。シートSは、下流搬送路15を経由し、排出口157から排出トレイ16へ送る。図中矢印107は、シートSの搬送経路を示す。
続いて、インクジェットヘッド100~103の構成について説明する。以下は、図2~図10を参照しながら、インクジェットヘッド100について説明しているが、インクジェットヘッド101~103もインクジェットヘッド100と同じ構造である。
図2に示すように、インクジェットヘッド100は、液体吐出部の一例であるヘッド部2を備える。ヘッド部2は、フィルム配線基板の一例であるフレキシブルプリント配線板21と接続する。フレキシブルプリント配線板21は、中継基板の一例であるプリント基板22と接続する。ヘッド部2は、ノズル部の一例であるノズルプレート23を備える。ヘッド部2は、インク流路311を介して図1のインク供給圧力調整装置321と接続する。
インクを吐出する各チャネルのノズル24は、ノズルプレート23の第1の方向の例えばX方向に沿って配列する。ノズル密度は、例えば150~1200dpiの範囲内に設定する。ノズル24は、一列に限らず、複数列であってもよい。ヘッド部2の詳しい構成は、後述する。
フレキシブルプリント配線板21は、例えばポリイミドなどの合成樹脂フィルムを用いたフレキシブルなプリント配線基板である。フレキシブルプリント配線板21は、ドライバチップである駆動用のIC(Integrated Circuit)3を搭載している(以下、駆動ICと称す)。プリント基板22は、ガラス繊維入りのエポキシ樹脂層と銅配線層を多重に積層した硬質のスルーホール基板である。制御部としての駆動IC3は、インクジェットプリンタ10の制御基板17からプリント基板22を介して送られてくるプリントデータを一時的に格納し、所定のタイミングでインクを吐出するよう各チャネルに駆動信号を与える。
図3~図5は、ヘッド部2の部分断面図である。ノズルプレート23は、圧力室基板4の一面に接合する。ノズルプレート23は、例えばポリイミドなどの樹脂又はステンレスなどの金属で形成した矩形状のプレートである。振動板5は、ノズルプレート23とは反対側の圧力室基板4の一面に接合する。振動板5は、外力を加えたときに変形する可撓性を有する。振動板5は、例えばニッケルやステンレスなどの金属で形成した薄板状のプレートである。振動板5の材質は、ポリイミドフィルムなど、金属以外でもよい。
圧力室42は、圧力室基板4に形成する。複数の圧力室42は、各ノズル24の位置に配列して、ノズル24とそれぞれ連通させている。圧力室基板4は、例えばステンレスなどの金属で形成する。圧力室42は、一例として、第2の方向の例えばZ方向に貫通する矩形状の開口を圧力室基板4に形成し、両側の開口をノズルプレート23と振動板5でそれぞれ塞ぐことによって形成する。すなわち、振動板5は、複数の圧力室42が共用し、複数の圧力室42のそれぞれの隔壁の一部を構成している(図4参照)。
圧力室42は、狭窄部を有するガイド流路43と連通し、さらに振動板5を貫通する開口穴であるインク供給口44を介してインク供給マニホールド45に連通する。ガイド流路43は、圧力室42ごとに、圧力室基板4の振動板5側の一面に第3の方向の例えばY方向に溝状に形成する。インク供給マニホールド45は、振動板5の一面に接合したフレーム46内に形成する。インク供給マニホールド45は、X方向に延び、各チャネルのインク供給口44及びガイド流路43を介して、各チャネルの圧力室42とそれぞれ連通する。共通インク室としてのインク供給マニホールド45は、インク流路311と連通する(図1,図2参照)。
振動板5は、圧力室42とは反対側の表面に、一様な凹凸を形成している。凹凸は、好ましい一例を図6に示すように、複数の円柱状の凸部51を立設することによって形成している。凸部51同士の間の空間が凹部52である。振動板5の厚みは、一例として、凹部52の厚みT1が4μm、凸部51の厚みT2がT1の2倍の8μmである。円柱状の部分は、一例として、直径が4μm、高さが4μmである。
凸部51同士の間隔L1は、例えば4μmである。この場合、凹凸のピッチ(凸部51のピッチP、凹部52のピッチ)は、それぞれ8μmである。凹凸のピッチの値は、変更可能であるが、図4に示すアクチュエーター6と支柱60のX方向の間隔L2よりも狭くする。好ましい一例として、アクチュエーター6と支柱60の間の空間(溝69)に、アクチュエーター6と支柱60の配列方向(X方向)に2以上の凹部52が並ぶようにする。
図3~図6は、好ましい一例として、振動板5の表面に円柱状の凸部51を規則配列した構成を示している。凸部51の配列は、整列配置が好ましいが、千鳥配列であってもよい。或いはランダム配列であってもよい。また、凸部51は、必ずしも円柱状でなくともよいが、高さが揃っていることが好ましい。また、アクチュエーター6と接する凸部51の面が平坦であることが好ましい。詳しくは後述するアクチュエーター6からの力が、複数の凸部51で分散して均一に伝わるからである。凸部51の他の形状は、例えば、円錐台状、楕円柱状、角柱状、角錐台状などである。このような凹凸形状は、電鋳やエッチングなどによって形成することができる。例えば振動板5の材質がニッケルの場合、ニッケル電鋳によって凹凸を形成する。このように凹凸を振動板5に一体形成すれば、例えば凸部51を別部材で形成して接合するよりも撓み変形に強く、製造もし易い。
なお、振動板5の凹凸は、特に図5に示すようにアクチュエーター6及び支柱60を配列する領域全体に一様に広く形成しておくことが望ましい。組み立て時にアクチュエーター6の接合が容易になるからである。つまり凹凸を各アクチュエーター6と接する領域のみに形成した場合に比べて、組み立て時に要求されるアクチュエーター6の位置合わせ精度が緩和されるからである。但し、振動板5の全面に亘って形成しなくともよい。例えば図5に示すように、フレーム46との接合面やインク供給マニホールド45内のインクと接液する領域は、凹凸を形成せず平面としてよい。
各チャネルのアクチュエーター6は、振動板5を挟んで圧力室42およびガイド流路43と対向する位置に配列している。アクチュエーター6と振動板5は、凹部52に充填した接着剤によって接合する。接着剤は、例えば熱硬化性エポキシ樹脂である。すなわち、アクチュエーター6と接する領域の凹部52には、接着作用を有するバインダー53を充填している。一方、アクチュエーター6と支柱60の間の空間にある凹部52には、振動板5の撓み変形を妨げないようバインダー53を充填しない。但し、アクチュエーター6と振動板5を接合する過程で周囲にはみ出した分は除く。各アクチュエーター6は、Z方向における振動板5とは反対側の一面を支持部材47にそれぞれ接合することによって固定している。なお、フレーム46も例えば熱硬化性エポキシ樹脂などの接着剤で振動板5と接合する。
アクチュエーター6は、例えばピエゾ素子などの圧電体61、第1の内部電極62、及び第2の内部電極63を交互に層状に積層して形成した積層型圧電アクチュエーターである(特に図3参照)。各圧電体61は、分極方向が例えばZ方向において互いに逆向きに配置し、d33モードで変形させる。第1の内部電極62と第2の内部電極63は、圧電体61の主面にそれぞれ形成した導電膜である。第1の内部電極62は、それぞれY方向におけるアクチュエーター6の一方の端面まで形成し、この端面に形成した第1の外部電極64に接続する。第2の内部電極63は、それぞれY方向におけるアクチュエーター6の他方の端面まで形成し、この端面に形成した第2の外部電極65に接続する。ダミー層68は、圧電体61と同材料である。但し、ダミー層68は、内部電極を設けず、電界が印加されないので変形しない。ダミー層68は、アクチュエーター6を支持部材47に固定するベースとなり(特に図4参照)、あるいは組立中や組立後の精度を出すために研磨する研磨代となる。
複数の圧電体61を積層したアクチュエーター6は、一例として、薄板状に加工した各圧電体61の主面に第1の内部電極62と第2の内部電極63をそれぞれ成膜する。そして圧電体61同士を積層し焼成して一体にする。その後、第1の外部電極64と第2の外部電極65を成膜する。その後、圧電体61を着分極する。圧電体61は、チタン酸ジルコン酸鉛 (PZT)などの鉛含有圧電材料、或いはニオブ酸ナトリウムカリウムなどの鉛非含有圧電材料で形成する。第1の内部電極62と第2の内部電極63は、銀パラジウムなどの焼成可能な導電性材料で成膜する。第1の外部電極64と第2の外部電極65は、メッキ法やスパッタ法など既知の方法で、Ni、Cr、Auなどで成膜する。
各アクチュエーター6の第1の外部電極64は、フレキシブルプリント配線板21の個別配線66にそれぞれ接続する(図3参照)。フレキシブルプリント配線板21は、基材26,個別配線66,接着層27,絶縁層28を有する。フレキシブルプリント配線板21は、ハンダメッキ層29を形成した領域が第1の外部電極64と対向するように配置し、ハンダを溶融させることによって各チャネルの第1の外部電極64と個別配線66を電気的及び機械的に接続する。一方、各チャネルの第2の外部電極65は、共通配線(不図示)に接続し、例えばフレキシブルプリント配線板21を介して共通電位に接続する。
支柱60は、各チャネルのアクチュエーター6の間に溝69を介して配置する。支柱60はアクチュエーター6に隣接配置するが、既述したように、その間隔L2は、凹凸のピッチよりも広い。例えば凹凸のピッチが8μmに対し、アクチュエーター6と支柱60の間隔は20μmと広くする。この場合、溝69の幅方向(X方向)に2個の凹部52が並ぶ。駆動用のアクチュエーター6および支柱60とするダミーのアクチュエーターは、共通の圧電体61、第1の内部電極62、及び第2の内部電極63を用いて一括で形成し、溝69を形成することで個々のアクチュエーター6と支柱60に分ける。支柱60は、隣接する圧力室42間の隔壁40にあたる位置に配置する(図4参照)。これにより振動板5は、支柱60と隔壁40に挟持され、その位置が固定される。すなわち支柱60によって振動板5が基準位置に固定される。この基準位置は、アクチュエーター6が伸長又は収縮する際の基準位置であり、変形する振動板5の変位の基準位置でもある。なお、支柱60は、アクチュエーター6と同様に圧電体61等で形成するのに代えて、別の部材で形成してもよい。例えば支持部材47と一体的に支柱を形成してもよい。
上述のヘッド部2を組み立てる手順について説明する。一例を図7に示すように、ノズルプレート23、圧力室42を形成した圧力室基板4、及び凹凸を形成した振動板5を互いに接合して第一の構造体とする。振動板5の凹凸のピッチは隣接する圧力室42間のピッチよりも細かいので、振動板5を接合する際の位置合わせに際しては圧力室42間のピッチを気にしなくてもよい。また、薄い振動板5は壊れやすく取り扱いが難しいが、図3及び図4に示すように振動板5の可動部以外の場所を振動板部分を取り囲むように厚くしているので、組み立て前の単体の振動板5を取り扱い易いという利点もある。一方、アクチュエーター6及び支柱60と支持部材47を互いに接合して第二の構造体とする。そしてアクチュエーター6及び支柱60の振動板5と対向する一面に未硬化の接着剤をそれぞれ塗布してから、アクチュエーター6の位置が圧力室42の中心と一致するように第一の構造体と第二の構造体を位置合わせして接合する。これによりアクチュエーター6及び支柱60の一面に塗布した接着剤が振動板5の凹部52に充填され、アンカー効果によって接着強度が確保できる。特にアクチュエーター5は、インク吐出時に伸長して振動板5を押すだけでなく収縮して引くこともあるので接着強度が確保できると有利である。接着剤が熱硬化性樹脂の場合、さらに加熱して硬化させる。この様にして凹部52内に接着作用を有するバインダー53が充填される。
図8は、インクジェットヘッド100の制御系の回路図である。図8に示すように、アクチュエーター6は、第1の外部電極64を個別配線66に接続し、個別配線66を介して駆動IC3の出力端子に接続する。第1の外部電極64と個別配線66の接続点がアクチュエーター6の個別端子である。第2の外部電極65は、共通配線67に接続し、共通配線67を介して共通電位に接続する。第2の外部電極65と共通配線67の接続点がアクチュエーター6のコモン端子である。
各アクチュエーター6の個別端子からの個別配線66は、駆動IC3の各チャネルの駆動ドライバD(すなわち、駆動回路)の出力端子にそれぞれ接続する。駆動IC3は、アクチュエーター6に与える駆動電圧V1の電源7及び駆動電圧V2の電源70を接続する。電源7及び電源70は、正極を駆動IC3に接続し、負極をグランド(GND)に接続する。駆動IC3は、インクジェットプリンタ10の制御部である制御基板17(図1参照)から送られてくるプリントデータの信号線と接続する。プリントデータは、制御信号の一例である。各アクチュエーター6のコモン端子からの共通配線67は、グランド(GND)に接続する。
続いて、図9及び図10を参照しながらインク吐出動作について説明する。駆動IC3の各駆動ドライバDは、駆動電圧V1,V2及びグランド(GND)を使って、各アクチュエーター6の個別端子に駆動波形を与える。電圧V1は例えば20Vである。電圧V2は例えば10Vである。グランド(GND)は例えば0Vである。どのアクチュエーター6を駆動させるかは、例えばプリントデータに基づく。図9は、アクチュエーター6に与える駆動波形の一例である。
図9に示すように、コモン端子にクランド電位を与えているアクチュエーター6を駆動させる場合、個別端子に電圧V2を与えて待機状態とする。電圧V2を与えると、圧電体61の分極軸の向きに電界が印加され、図10(a)に示すように、アクチュエーター6が積層方向(Z方向)に伸長して圧力室42の容積が縮小した状態になる。これはインク吐出のタイミングに先立って行っておく。その後、インクの吐出タイミング(図9の時刻t1)で最初に個別端子の電位をグランド(GND)に下げることで、図10(b)に示すように、伸長していたアクチュエーター6が元に戻り、すなわち相対的に収縮し、圧力室42の容積が相対的に拡張する。圧力室42の容積が拡張した分、ガイド流路43を介して圧力室42内にインクが流れ込む。そして例えばヘッド部2の圧力振動周期の1/2の時間経過後、図9の時刻t2において個別端子に電圧V2を与えると、図10(c)に示すように、アクチュエーター6が積層方向(Z方向)に伸長して相対的に圧力室42の容積が縮小することでノズル24からインクの液滴Rが吐出する。そして例えばヘッド部2の圧力振動周期の1/2の時間経過後、図9の時刻t3において個別端子に電圧V1を与え、所定時間後の時刻t4で電圧V2に戻す。その際のアクチュエーター6の伸長(図10(d))と復帰(図10(a))によって圧力室42の容積を縮小、復帰させ、この動作によって残留振動を減衰させる。このようにアクチュエーター6の積層方向の縦振動に合わせて圧力室42の容積が変わり、インクを吐出することができる。
図10(a)~(d)に模式的に示したように、アクチュエーター6が積層方向(Z方向)に収縮すると、振動板5は、特に溝69に対応する部位が変形する。例えばノズル密度が300dpiの場合、圧力室42のピッチは169μmである。圧力室42の幅は約80μm、アクチュエーター6の幅は約40μm、溝69の幅は20μmである。凹凸を形成した振動板5は、厚みの薄い部分(凹部52)を一様に有するので、アクチュエーター6から支柱60までの空間(溝69)の部位の撓み変形を妨げにくい。その後、インクを吐出するためにアクチュエーター6が積層方向(Z方向)に伸長すると、振動板5はアクチュエーター6に押されるが、凹凸を形成した振動板5は、凸部51を一様に有するので、厚み方向に硬く、アクチュエーター6から受ける力が伝わりやすい。加えて、一様に形成した複数の凸部51が一つのアクチュエーター6に押されるので力が均一に伝わる。残留振動を減衰させるためにアクチュエーター6を伸長させたときも同様である。
以上説明したように、上述の実施形態によれば、アクチュエーター6からの力を均一に伝えることのできる振動板5を備えたインクジェットヘッド100を提供することが可能である。上述の構成の積層型圧電アクチュエーターは、Z方向の変形量が大きいので、この実施形態による効果は大きい。
なお、アクチュエーター6は、複数の圧電体61を積層した積層型に限らない。圧電体61が単一層のアクチュエーターであってもよい。また、駆動電圧を印加したときのアクチュエーターの動作は、縦振動に限らない。さらに、ドロップオンデマンド・ピエゾ方式に限らず、コンティニアス方式に適用してもよい。
上述の実施形態では、インクジェットプリンタ10のインクジェットヘッド100を液体吐出装置の一例として説明したが、液体吐出装置は、3Dプリンタの造形材吐出ヘッド、分注装置の試料吐出ヘッドであってもよい。
本発明の実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
10 インクジェットプリンタ
100~103 インクジェットヘッド
2 ヘッド部
24 ノズル
3 駆動IC
5 振動板
51 凸部
52 凹部
53 バインダー
6 アクチュエーター
60 支柱
D 駆動ドライバ(駆動回路)
100~103 インクジェットヘッド
2 ヘッド部
24 ノズル
3 駆動IC
5 振動板
51 凸部
52 凹部
53 バインダー
6 アクチュエーター
60 支柱
D 駆動ドライバ(駆動回路)
Claims (5)
- 液体を吐出するノズルと連通する圧力室と、
前記圧力室の隔壁の一部を形成する振動板と、
前記振動板に力を与えるアクチュエーターと、
前記アクチュエーターに隣接して配置し、前記振動板を支持して変形の基準位置とする支柱と、を備え、
前記アクチュエーターが力を与える前記振動板の表面に一様な凹凸を形成し、さらに前記凹凸のピッチは前記アクチュエーターと前記支柱の間隔よりも狭いことを特徴とする液体吐出ヘッド。 - 前記凹凸を形成した前記振動板の表面は、前記アクチュエーターと接する領域の凹部には接着作用を有する樹脂を充填し、前記アクチュエーターから前記支柱に跨る領域の凹部には前記樹脂を充填しないことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記凹凸を形成する複数の凹部は、前記アクチュエーターと前記支柱の間の空間に、前記アクチュエーターと前記支柱の配列方向に2以上並んでいることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記凹凸を形成する複数の凸部は、少なくとも前記アクチュエーターと前記支柱の配列方向に規則配列していることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記凹凸を形成する複数の凸部は、高さが揃っていることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出ヘッド。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2022153411A JP2024047748A (ja) | 2022-09-27 | 2022-09-27 | 液体吐出ヘッド |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2022153411A JP2024047748A (ja) | 2022-09-27 | 2022-09-27 | 液体吐出ヘッド |
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Publication Number | Publication Date |
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JP2024047748A true JP2024047748A (ja) | 2024-04-08 |
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ID=90606382
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Country | Link |
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2022
- 2022-09-27 JP JP2022153411A patent/JP2024047748A/ja active Pending
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