JP2023043014A - 液体吐出ヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】振動板と圧電素子との絶縁性を確保しながら、位置精度を確保することができる液体吐出ヘッドを提供する。
【解決手段】
一実施形態に係る液体吐出ヘッドは、複数の圧電素子と、構造体と、振動板と、複数の第1凸部と、第2凸部と、複数の圧力室と、を備える。複数の圧電素子は、圧電材料で構成される。構造体は、前記複数の圧電素子に並んで設けられる。振動板はプレート部を有する。複数の第1凸部は、前記プレート部の一方側において前記圧電素子に対向する位置に形成され有機高分子材料で構成される。第2凸部は前記プレート部の一方側において前記構造体に対向する位置に形成され有機高分子材料で構成される。複数の圧力室は前記プレート部の他方側に形成され、液体を吐出する複数のノズルに連通する。
【選択図】図1
【解決手段】
一実施形態に係る液体吐出ヘッドは、複数の圧電素子と、構造体と、振動板と、複数の第1凸部と、第2凸部と、複数の圧力室と、を備える。複数の圧電素子は、圧電材料で構成される。構造体は、前記複数の圧電素子に並んで設けられる。振動板はプレート部を有する。複数の第1凸部は、前記プレート部の一方側において前記圧電素子に対向する位置に形成され有機高分子材料で構成される。第2凸部は前記プレート部の一方側において前記構造体に対向する位置に形成され有機高分子材料で構成される。複数の圧力室は前記プレート部の他方側に形成され、液体を吐出する複数のノズルに連通する。
【選択図】図1
Description
本発明の実施形態は、液体吐出ヘッドに関する。
インクジェットヘッドなどの液体吐出ヘッドにおいて、PZT等の圧電体を用いて振動板を変形させることで振動板に面する圧力室を変形させて圧力室に連通するノズルからインクを吐出させる方式が用いられている。このようなインクジェットヘッドにおいて電極が振動板に直交する面に形成されていることがあり、圧電柱を直接振動板に接触させると、振動板が導電性の場合にショートしてしまう場合がある。このため、振動板に、電極間より狭い凸部を設けることで、圧電体と振動板が電気接続によりショートすることを防ぐ技術が提供されている。しかしながら、振動板に、圧電柱に対向する部位に微細な突起が設けられている場合、振動板に接合される周辺部材との位置精度を確保することが困難となる。
このような液体吐出ヘッドにおいて、振動板と圧電素子との絶縁性を確保しながら、位置精度を確保することが求められている。
本発明が解決しようとする課題は、振動板と圧電素子との絶縁性を確保しながら、位置精度を確保できる液体吐出ヘッドを提供することである。
一実施形態に係る液体吐出ヘッドは、複数の圧電素子と、構造体と、振動板と、複数の第1凸部と、第2凸部と、複数の圧力室と、を備える。複数の圧電素子は、圧電材料で構成される。構造体は、前記複数の圧電素子に並んで設けられる。振動板はプレート部を有する。複数の第1凸部は、前記プレート部の一方側において前記圧電素子に対向する位置に形成され有機高分子材料で構成される。第2凸部は前記プレート部の一方側において前記構造体に対向する位置に形成され有機高分子材料で構成される。複数の圧力室は前記プレート部の他方側に形成され、液体を吐出する複数のノズルに連通する。
以下に、第1実施形態に係る液体吐出ヘッドであるインクジェットヘッド1及び液体吐出装置であるインクジェット記録装置100について、図1乃至図4を参照して説明する。図1は、インクジェットヘッド1の概略構成を示す断面図であり、図2はインクジェットヘッド1の一部の概略構成を示す斜視図である。図3はインクジェットヘッドの一部の構成を示す断面図である。図4はインクジェット記録装置100の概略構成を示す説明図である。図中矢印X,Y,Zは互いに直交する3方向をそれぞれ示す。各図において説明のため、適宜構成を拡大、縮小または省略して示す。
図1乃至図3に示すように、インクジェットヘッド1は、ベース10と、圧電部材20と、振動板30と、マニホールド40と、複数のノズル51を有するノズルプレート50と、構造部としてのフレーム部材60と、FPC70と、を備える。
圧電部材20は、複数の圧電素子としての駆動圧電素子23及び補助圧電素子24を交互に備える。圧電部材20は、複数の溝22によって一方側が複数に分割される。すなわち、圧電部材20は、一端側が例えばダイシング加工などで溝22が形成されることにより複数に分割され、他端側が連結し、図中Xで示す第3方向に沿って駆動圧電素子23と補助圧電素子24とが溝22を挟んで交互に並列配置される。圧電部材20は、例えばベース10の第1方向の一方側の端部に配置され、ベース10に接合される。複数の圧電部材は厚さ方向が第1方向に沿って積層され、互いに接着層を介して接着されている。なお、圧電部材20は製造過程において分極されている。
図3に示すように、駆動圧電素子23及び補助圧電素子24は、例えば積層圧電体であり、図中Z方向で示す第1方向に沿って積層される複数枚の圧電体層211と、ダミー層212と、各圧電体層の主面に形成される内部電極221,222と、外部電極223,224と、を備える。なお、一例として、駆動圧電素子23と補助圧電素子24は同じ構成とする。
圧電体層211は、例えばPZT(チタン酸ジルコン酸鉛)系、または無鉛のKNN(ニオブ酸ナトリウムカリウム)系等の圧電材料から薄板状に構成される。複数の圧電体層211は厚さ方向が積層方向に沿って積層され、互いに接着層を介して接着されている。
内部電極221、222は銀パラジウムなどの焼成可能な導電性材料で所定形状に構成される導電膜である。内部電極221、222は各圧電体層211の主面の所定領域に形成される。内部電極221,222は、互いに異なる極である。例えば一方の内部電極221は図中Y方向で示す第2方向において圧電体層211の一方の端部に至り、他方の端部には至らない領域に形成される。第2方向は積層方向である第1方向に直交する方向である。他方の内部電極222は、図中Y方向で示す第2方向において圧電体層211の一方の端部には至らず、他方の端部に至る領域に形成される。内部電極221,222は圧電素子23,24の側面に形成される外部電極223,224にそれぞれ接続される。
外部電極223,224は、圧電素子23,24の表面に形成され、内部電極221,222の端部を集めて構成される。例えば外部電極223,224は、積層方向と直交する第2方向における一方の端面と他方の端面とに、それぞれ形成される。外部電極223,224はメッキ法やスパッタ法など既知の方法で、Ni、Cr、Auなどにより成膜されている。外部電極223と外部電極224とは例えば異なる極であり、外部電極223と外部電極224とが異なる側面部にそれぞれ配置されている。あるいは、外部電極223と224が同じ側面部の異なる領域に取り回されていてもよい。
本実施形態において一例として外部電極223を個別電極、外部電極224を共通電極とする。複数の圧電素子23,24の個別電極となる外部電極223は、電極層が溝によって分割され、互いに独立して配置される。共通電極となる外部電極224は、電極層が溝よりもベース側の領域で互いに連結され、例えば接地される。
個別電極となる外部電極223は例えばFPC70に接続され、各種配線を介して、駆動IC等の実装部品に接続される。
例えば、個々の外部電極223、224は、配線により駆動ICを介して、駆動部としての制御部116の駆動回路1161に接続され、CPU(Central Processing Unit)による制御によって駆動制御可能に構成される。
ダミー層212は、圧電体層211と同材料である。ダミー層212は電極を片側にしか有さず、電界がかからないので変形しない。すなわち、ダミー層212は圧電体としては機能せず、圧電部材20をベース10に固定するベースとなり、あるいは組立中や組立後の精度を出すために研磨する研磨代となる。
一例として、各圧電素子23,24は、圧電体層211の積層数を50層以下、各層の厚さを10μm~40μm、厚さと総積層数の積を1000μm未満とする。
圧電素子23,24は、外部電極223,224を介して内部電極221,222に電圧が印加されることで、圧電体層211の積層方向に沿って縦振動する。ここで言う縦振動とは、例えば「圧電定数d33で定義される厚み方向の振動」である。なお本実施形態においては一例として図1に示すように、1つおきに配される複数の駆動圧電素子23が振動板30を挟んで圧力室31に対応して配置され、残りの補助圧電素子24は振動板30を挟んで隔壁部42に対向する位置に配置される。ここで、振動部を構成する圧電素子23,24と、圧電部材20の外周に配された非振動部となるフレーム部材60の、振動板30側の対向面である端面231、241、601は、面一であり、高さ方向となるZ方向において、同一の平面上に配される。
振動板30は、複数の圧電素子23,24の積層方向の一方側、すなわちノズルプレート50側の面に接合される。振動板30は例えば変形可能に構成されたプレート部301と、圧電部材20の駆動圧電素子23及び補助圧電素子24に接合される第1凸部302と、フレーム60に接合される第2凸部303と、を備える。
プレート部301は、例えば厚さ方向が積層方向である第1方向に沿って配された平板状であり、第1方向と直交する面方向に延出する。プレート部301は例えば金属板であり、各圧力室31に対向するとともに個別に変位可能な複数の振動部位を有し、複数の振動部位が一体に連なって形成される。例えばプレート部301は1枚の平板状に構成され、各圧電素子23,24に接合された領域がそれぞれ個別に変位する振動部位を構成する。プレート部301は例えばSUS板で構成され、Z方向に沿う厚さ寸法は5μm~15μm程度に構成される。なお、プレート部301は、複数の振動部位が、変位しやすいように、振動部位と隣接する部位あるいは互いに隣接する振動部位間に、折り目や段差が形成されていてもよい。
第1凸部302及び第2凸部303はプレート部301の他方側の主面に形成される。凸部302,303は、絶縁性を有する有機高分子材料で構成され、例えば感光性のポリイミドで構成される。第1凸部302は、圧電素子23,24の端面231,241に対向配置される。すなわち第1凸部302は、複数の圧電素子23,24の端面231,241に対向する領域に形成され、端面231,241と同形状で所定の厚さを有する、絶縁層である。第2凸部303は、フレーム60の端面601に対向配置される。すなわち第2凸部303は、プレート部301の他方側の主面において、フレーム60の端面601に対向する領域に形成され、端面601と同形状で所定の厚さを有する、絶縁層である。第1凸部302及び第2凸部303は、プレート部301の他方側の面に、同じ厚さに形成される。すなわち複数の第1凸部302及び第2凸部303の端面は同じ高さ位置に並んで配置される。第1凸部302及び第2凸部303はプレート部301よりも厚さ寸法が小さく構成される。例えば凸部302、303は、プレート部301の、圧力室31側の面とは反対側の他方側の主面に、均一な膜厚で成膜され、露光処理及び現像処理により、圧電素子23,24の端面231,241、及びフレーム60の端面601と、同形状に成形される。凸部302、303の厚さは5μm以下に構成される。
例えば圧力室31に対向配置される第1凸部302は、圧電素子23の端面231よりも第1方向に沿う幅寸法が小さく構成されている。なお、圧力室31に対向する第1凸部302やフレーム60に対向配置される第2凸部303は、対向する端面241,601と同寸法であってもよく、あるいは小さく構成されていてもよい。一例として本実施形態においては、第1凸部302の端面が、対向配置される端面231,241よりも第1方向の寸法が小さく構成されるとともに、第2凸部303は端面601と同じ大きさに形成される。
振動板30は、駆動圧電素子23の伸長と圧縮によって、当該圧電素子23に対向配置された部位が変位することで、変形する。
振動板30は、圧電素子23,24の一方側の端面231,241及びフレーム部材60の端面601に、接合される。一例として、本実施形態において、振動板30の第1方向一方側の主面において第2方向の両端の領域はマニホールド40に接合される。インクジェットヘッド1の第2方向における中央部において、振動板30のマニホールド40との間にはインクが収容可能な圧力室31及びガイド流路34が形成される。振動板30の、第1方向の他方側の主面の一端側の領域が第1凸部302を介して圧電素子23,24に接合され、第2方向における他端側の所定の領域が第2凸部303を介してフレーム60の端面601に接合される。例えば第1凸部302、第2凸部303は、圧電素子23,24の端面231,241及びフレーム60の端面601に、接着される。なお、圧電素子23,24の端面231,241及びフレーム60の端面601は、振動板30の接合前に、同一面となるように研磨処理が施されていてもよい。
本実施形態において、振動板30のプレート部301の第1方向他方側の面における一部と、フレーム60との間には、インクが収容可能な共通室32が形成される。すなわち、振動板30は一方側が圧電素子23,24、フレーム60及び共通室32にそれぞれ面しているとともに、他方側が圧力室31、隔壁部42、及びガイド流路34に、それぞれ面している。
振動板30は、厚さ方向に貫通するとともに圧力室31と共通室32とを連通させる開口部33を有する。振動板30の第1方向における一方側に圧力室31が形成され、振動板30の第1方向における他方側に、共通室32が形成される。共通室32は第3方向に延出するとともに、第3方向に並ぶ複数の圧力室31に連通する。振動板30は、圧電素子23,24の変形に伴って変形することにより、圧力室31の容積を変化させる。
マニホールド40は、振動板30の一方側に接合される。マニホールド40は、ノズルプレート50と振動板30との間に配され、隔壁部42によって隔てられる複数の圧力室31と、複数の圧力室31から開口部33に向けて第2方向に延びるとともに隔壁部42によって隔てられるガイド流路34と、を有する所定のインク流路35が形成される。マニホールド40は、振動板30の外縁部に接合される枠状部41と、複数のインク流路35を隔てる複数の隔壁部42と、ガイド流路34を形成するガイド壁43と、を備える。
また、第3方向に並列する複数の圧力室31は、隔壁部42によって隔てられる。すなわち、圧力室31の第3方向の両側は隔壁部42によって構成される。複数の圧力室31は、振動板30のプレート部301の一方側に形成される。各圧力室31は、第1方向一方側に配されるノズルプレート50に形成されたノズル51に連通する。また、圧力室31は、ノズルプレート50の反対側が振動板30によって塞がれる。
複数の圧力室31は、ガイド流路34及び開口部33を介して共通室32に連通する。圧力室31は共通室32からガイド流路34を経て供給される液体を保有し、圧力室31の一部を形成する振動板30の振動によって変形することで、ノズル51から液体を吐出する。
隔壁部42は、第3方向に並ぶ複数の圧力室31間を隔てるとともに、第3方向に並ぶ複数のガイド流路34間を隔て、圧力室31及びガイド流路34の両側部を構成する壁部材である。隔壁部42は振動板30を介して、補助圧電素子24に対向配置され、補助圧電素子24によって支持される。
ノズルプレート50は、例えばSUS・Niなどの金属やポリイミドなどの樹脂材料からなる厚さ10μm~100μm程度の方形の板状に構成される。ノズルプレート50は圧力室31の一方側の開口を覆うように、マニホールド40の一方側に配置されている。ノズルプレート50には、厚さ方向に貫通する複数のノズル51が形成される。ノズル51は第3方向に沿って並び、ノズル列が形成される。各ノズル51は、複数の圧力室31に対応する位置にそれぞれ設けられている。
フレーム部材60は振動板30の第1方向における他方側に配置される。フレーム部材60は圧電素子23,24とともに振動板30に接合される構造体である。フレーム部材60は圧電素子23,24の、振動板30の振動方向に直交する方向に設けられ、例えば本実施形態においては圧電部材20の周りに配置される。フレーム部材60は、インクジェットヘッド1の外郭を構成する。またフレーム部材60は、内部に液体の流路を形成していてもよい。本実施形態において、フレーム部材60は、振動板30の他方側に接合されるとともに、振動板30との間に共通室32を形成する。
共通室32は、フレーム部材60の内側に形成され、振動板30に設けられた開口部33及びガイド流路34を通じて圧力室31に連通する。
FPC70は、個別電極に接続される。FPC70は、例えば圧電素子23,24の外部電極223に電気的及び機械的に接続される。
以上のように構成されたインクジェットヘッド1において、ノズルプレート50とフレーム部材60と、マニホールド40と、振動板30とによって、ノズル51に連通する複数の圧力室31と、複数のガイド流路34と、複数の圧力室31に連通する共通室32と、を有するインク流路35が形成される。例えば共通室32はカートリッジに連通し、インクが共通室32を通じて各圧力室31へ供給される。全ての圧電素子23,24は配線により電圧が印加可能に接続されている。インクジェットヘッド1において、制御部116が、駆動IC1161により電極221,222に駆動電圧を印加すると、駆動対象の駆動圧電素子23が積層方向、すなわち各圧電体層211の厚さ方向に振動する。つまり、駆動圧電素子23は縦振動する。
具体的には、制御部116は、駆動対象の駆動圧電素子23の内部電極221,222に駆動電圧を印加して、駆動対象の駆動圧電素子23を選択的に駆動する。そして、駆動対象の駆動圧電素子23による、引張方向の変形と圧縮方向の変形を組み合わせて、振動板30を変形させ、圧力室31の容積を変化させることで、共通室32から液体を導き、ノズル51から吐出させる。
以下、インクジェットヘッド1を備えるインクジェット記録装置100の一例について、図4を参照して説明する。インクジェット記録装置100は、筐体111と、媒体供給部112と、画像形成部113と、媒体排出部114と、搬送装置115と、制御部116と、を備える。
インクジェット記録装置100は、媒体供給部112から画像形成部113を通って媒体排出部114に至る所定の搬送路Aに沿って、吐出対象物である印刷媒体として例えば用紙Pを搬送しながらインク等の液体を吐出することで、用紙Pに画像形成処理を行う液体吐出装置である。
筐体111は、インクジェット記録装置100の外郭を構成する。筐体111の所定箇所に、用紙Pを外部に排出する排出口を備える。
媒体供給部112は複数の給紙カセットを備え、各種サイズの用紙Pを複数枚積層して保持可能に構成される。
媒体排出部114は、排出口から排出される用紙Pを保持可能に構成された排紙トレイを備える。
画像形成部113は、用紙Pを支持する支持部117と、支持部117の上方に対向配置された複数のヘッドユニット130と、を備える。
支持部117は、画像形成を行う所定領域にループ状に備えられる搬送ベルト118と、搬送ベルト118を裏側から支持する支持プレート119と、搬送ベルト118の裏側に備えられた複数のベルトローラ120と、を備える。
支持部117は、画像形成の際に、搬送ベルト118の上面である保持面に用紙Pを支持するとともに、ベルトローラ120の回転によって所定のタイミングで搬送ベルト118を送ることにより、用紙Pを下流側へ搬送する。
ヘッドユニット130は、複数(4色)のインクジェットヘッド1と、各インクジェットヘッド1上にそれぞれ搭載された液体タンクとしてのインクタンク132と、インクジェットヘッド1とインクタンク132とを接続する接続流路133と、供給ポンプ134と、を備える。
本実施形態において、シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの4色のインクジェットヘッド1と、これらの各色のインクをそれぞれ収容するインクタンク132を備える。インクタンク132は接続流路133によってインクジェットヘッド1に接続される。
また、インクタンク132には、図示しないポンプなどの負圧制御装置が連結される。そして、インクジェットヘッド1とインクタンク132との水頭値に対応して、負圧制御装置によりインクタンク132内を負圧制御することで、インクジェットヘッド1の各吐出ノズル28に供給されたインクを所定形状のメニスカスに形成させている。
供給ポンプ134は、例えば圧電ポンプで構成される送液ポンプである。供給ポンプ134は、供給流路に設けられている。供給ポンプ134は、配線により制御部116の駆動回路1161に接続され、CPU(Central Processing Unit)による制御によって制御可能に構成される。供給ポンプ134は、インクジェットヘッド1に液体を供給する。
搬送装置115は、媒体供給部112から画像形成部113を通って媒体排出部114に至る搬送路Aに沿って、用紙Pを搬送する。搬送装置115は、搬送路Aに沿って配置される複数のガイドプレート対121と、複数の搬送用ローラ122と、を備えている。
複数のガイドプレート対121は、それぞれ、搬送される用紙Pを挟んで対向配置される一対のプレート部材を備え、用紙Pを搬送路Aに沿って案内する。
搬送用ローラ122は、制御部116の制御によって駆動されて回転することで、用紙Pを搬送路Aに沿って下流側に送る。なお、搬送路Aには用紙の搬送状況を検出するセンサが各所に配置される。
制御部116は、コントローラであるCPU等の制御回路と、各種のプログラムなどを記憶するROM(Read Only Memory)と、各種の可変データや画像データなどを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)と、外部からのデータの入力及び外部へのデータの出力をするインターフェイス部と、を備える。
以上のように構成されたインクジェット記録装置100において、制御部116は、例えばインターフェイスにおいてユーザが操作入力部の操作による印刷指示を検出すると、搬送装置115を駆動して用紙Pを搬送するとともに、所定のタイミングでヘッドユニット130に対して印字信号を出力することで、インクジェットヘッド1を駆動する。インクジェットヘッド1は吐出動作として、画像データに応じた画像信号により、駆動ICに駆動信号を送り、内部電極221,222に駆動電圧を印加して吐出対象の駆動圧電素子23を選択的に駆動して積層方向に縦振動させ、圧力室31の容積を変化させることでノズル51からインクを吐出し、搬送ベルト118上に保持された用紙Pに画像を形成する。また、液体吐出動作として、制御部116は、供給ポンプ134を駆動することで、インクタンク132からインクジェットヘッド1の共通室32にインクを供給する。
ここで、インクジェットヘッド1を駆動する駆動動作について、説明する。本実施形態に係るインクジェットヘッド1は、圧力室31に対向配置される駆動圧電素子23を備え、これらの駆動圧電素子23は配線により電圧が印加可能に接続されている。制御部116は、画像データに応じた画像信号により、駆動ICに駆動信号を送り、駆動対象の駆動圧電素子23の内部電極221,222に駆動電圧を印加して、駆動対象の駆動圧電素子23を選択的に変形させる。そして、振動板30の引張方向の変形と圧縮方向の変形を組み合わせて、圧力室31の容積を変化させることで、液体を吐出させる。
例えば制御部116は、引っ張り動作と、圧縮動作とを交互に行う。インクジェットヘッド1において、対象の圧力室31の内容積を増加させる引張時には、駆動対象の駆動圧電素子23を収縮し、駆動対象外の駆動圧電素子は変形させない。また、インクジェットヘッド1において対象の圧力室31の内容積を減少させる圧縮時には、駆動対象の駆動圧電素子23を伸長し、駆動対象外の駆動圧電素子は変形させない。
上述した実施形態に係るインクジェットヘッド1及びインクジェット記録装置100によれば、振動板30と圧電素子23,24との絶縁性を確保しながら、位置精度を確保することができる。すなわち、振動板30が、圧電素子23,24及びフレーム部材60に接合される部位に絶縁性の凸部302,303を有することにより、振動板30と圧電素子23,24との絶縁性を確保でき、複数の部材の接合面の位置精度を向上できる。また、凸部302,303は、プレート部301の接合面側に、レジストプロセスを用いることで、電鋳法などの特殊な製法を用いる必要がないため、安価に成形することができる。また、圧電素子23,24毎に対応する凸部302,303を設ける構造としたため、振動板30を圧力室31毎に変形させやすく、圧電素子23の振動を、圧力室31ごとに独立させて正確に伝達させることができる。
また、上記実施形態において、電鋳膜より強度のあるポリイミドを用いて凸部302,303を形成したことにより、振動板30を薄くしながら強度を保つことができ、圧力室31と圧電素子23,24とを近づけることにより、効率よく駆動部の振動を液室へと伝達することができる。上記実施形態において、プレート部301より柔らかい感光性樹脂材料で構成される凸部302,303を、プレート部301よりも薄くすることで、剛性を保つことができる。したがって、圧電素子23の振動を圧力室31へと伝達することができ、かつ、絶縁特性を持った振動板30を実現することができる。
また、上記実施形態において、電鋳膜より強度のあるポリイミドを用いて凸部302,303を形成したことにより、振動板30を薄くしながら強度を保つことができ、圧力室31と圧電素子23,24とを近づけることにより、効率よく駆動部の振動を液室へと伝達することができる。上記実施形態において、プレート部301より柔らかい感光性樹脂材料で構成される凸部302,303を、プレート部301よりも薄くすることで、剛性を保つことができる。したがって、圧電素子23の振動を圧力室31へと伝達することができ、かつ、絶縁特性を持った振動板30を実現することができる。
また、例えば圧電素子に対向する部位のみに樹脂層を形成する場合には、周辺の部材との高さ精度を確保することが困難となり、接着不良の原因となる。しかし、上記実施形態に係るインクジェットヘッド1においては、圧電素子23,24に対向する部位に加え、圧電素子23,24とは別体の構造体であるフレーム部材60に対向する部位に、同厚さの凸部302、303を形成する。これにより、複数の凸部302,303を同一高さの平面に形成しやすく、接着の精度も向上できる。また、上記実施形態によれば、凸部302,303を絶縁性とすることにより、例えば金属膜で構成する場合に比べて、圧電素子23,24と振動板30との間の絶縁性を確保しやすい。例えば金属製の場合には圧電素子の端部に形成された電極に至らないように、圧電素子の端面よりも狭い部位に凸部を形成する必要があり、微細な加工が必要であったが、凸部302,303を絶縁性とすることにより、要求される加工精度を緩和できる。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
例えば上記実施形態において、構造体としてフレーム部材60を説明したが、これに限られるものではない。例えば構造体は、圧電素子23,24とともに振動板30に接合される、他の部材であってもよい。
例えば、上記実施形態においては、複数層の圧電部材を積層し、積層方向の縦振動(d33)を用いて圧電素子23を駆動する構成としたが、これに限られるものではない。例えば圧電素子が単層の圧電部材で構成される形態にも適用可能であるし、横振動(d31)により駆動する形態にも適用可能である。
また、圧電素子23,24の具体的な構成や、流路の形状、マニホールド40、ノズルプレート50、フレーム部材60を含む各種部品の構成や位置関係は上述した例に限られるものではなく、適宜変更可能である。また、ノズル51や圧力室31の配列も上記に限られるものではない。たとえばノズル51を2列以上配列してもよい。また複数の圧力室31の間に、ダミー室を形成してもよい。また、圧電素子23,24が積層方向の両端にダミー層212を有する例を示したがこれに限られるものではなく、圧電素子23,24の一方側のみにダミー層212を有していてもよく、あるいは圧電素子23,24がダミー層212を備えない構成であってもよい。
また、吐出する液体は印字用のインクに限られるものではなく、例えばプリント配線基板の配線パターンを形成するための導電性粒子を含む液体を吐出する装置等であっても良い。
また、上記実施形態において、インクジェットヘッド1は、インクジェット記録装置等の液体吐出装置に用いられる例を示したが、これに限られるものではなく、例えば3Dプリンタ、産業用の製造機械、医療用途にも用いることが可能であり、小型軽量化及び低コスト化が可能である。
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、振動板と圧電素子との絶縁性を確保しながら、位置精度を確保することができる液体吐出ヘッドを提供できる。
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
1…インクジェットヘッド、10…ベース、20…圧電部材、22…溝、23…駆動圧電素子、24…補助圧電素子、30…振動板、31…圧力室、32…共通室、33…開口部、34…ガイド流路、35…インク流路、40…マニホールド、41…枠状部、42…隔壁部、43…ガイド壁、50…ノズルプレート、51…ノズル、60…フレーム部材、70…配線基板、71…ベース層、73…ハンダメッキ層、74…接着層、75…絶縁カバー層、100…インクジェット記録装置、111…筐体、112…媒体供給部、113…画像形成部、114…媒体排出部、115…搬送装置、116…制御部、117…支持部、118…搬送ベルト、119…支持プレート、120…ベルトローラ、121…ガイドプレート対、122…搬送用ローラ、130…ヘッドユニット、132…インクタンク、133…接続流路、134…供給ポンプ、201…積層圧電体、221,222…内部電極、223,224…外部電極、301…プレート部、302…第1凸部、303…第2凸部。
Claims (5)
- 圧電材料で構成される複数の圧電素子と、
前記複数の圧電素子に並んで設けられる構造体と、
プレート部を有する振動板と、
前記プレート部の一方側において前記圧電素子に対向する位置に形成され有機高分子材料で構成される複数の第1凸部と、
前記プレート部の一方側において前記構造体に対向する位置に形成され有機高分子材料で構成される第2凸部と、
前記プレート部の他方側に形成され、液体を吐出する複数のノズルに連通する、複数の圧力室と、
を備える、液体吐出ヘッド。 - 前記圧電素子の表面に電極が形成され、
複数の前記ノズルは第1方向において並んで配置され、
複数の前記圧力室及び圧電素子が前記第1方向に並んで配置され、
前記圧電素子は積層圧電体である、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。 - 前記第1凸部及び前記第2凸部は、感光性樹脂材料で構成され露光により成形される絶縁層である請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記第1凸部及び前記第2凸部の厚さ寸法は、前記プレート部の厚さ寸法より小さい、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
- 前記構造体は前記複数の圧電素子の周りに設けられるフレーム部材であり、
前記第1凸部と前記第2凸部の、前記振動板に対向する対向面は面一であり、前記有機高分子材料はポリイミドであり、前記第1凸部及び前記第2凸部の厚みが5μm以下である、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
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