JPWO2019009415A1 - 水性塗料および塗膜付き基材 - Google Patents

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Abstract

塗膜の耐水性および塗膜の非粘着性に優れると共に貯蔵安定性にも優れる水性塗料と、耐水性および塗膜に優れた塗膜付き基材との提供を課題とする。フルオロオレフィンに基づく単位およびアルキル基を有する単量体に基づく単位を含む含フッ素重合体の粒子とシリコーン変性された変性(メタ)アクリル重合体の粒子と水とを含む水性塗料であって前記水性塗料中のケイ素原子に対するフッ素原子のモル比が10〜700である水性塗料、ならびに、基材と前記基材の表面上に配置された含フッ素重合体とシリコーン変性された変性(メタ)アクリル重合体とを含む塗膜を有する塗膜付き基材であって前記塗膜中の前記塗膜の全質量に対するケイ素原子の含有量が0.01〜10質量%であり前記塗膜表面におけるケイ素原子に対するフッ素原子のモル比が10〜300である塗膜付き基材。

Description

本発明は、耐水性と非粘着性とに優れる塗膜を形成できると共に、貯蔵安定性にも優れる水性塗料および塗膜付き基材に関する。
塗料分野において、環境保護の観点から、耐候性に優れる含フッ素重合体を含み、水を主媒体として含む水性塗料が急速に普及している。
含フッ素重合体を含む水性塗料を普及させるべく、その塗料物性をさらに向上させる提案もされている。特許文献1には、基材付着性を向上させるべく、含フッ素重合体と、脂環式基および光安定性基を有する(メタ)アクリル重合体とを含む水性塗料が提案されている。
日本特開平9−059560号公報
近年では、含フッ素重合体を含む水性塗料から形成されてなる塗膜の耐水性の一層の向上が要求されている。さらに、上記塗膜の非粘着性の一層の向上、つまり上記塗膜付き基材の加工性の一層の向上が要求されている。本発明者らは、含フッ素重合体を含む従来の水性塗料について、その塗膜の耐水性と非粘着性とを検討した結果、昨今要求されるレベルを満たさないことを確認した。また、水性塗料には、これらの物性に優れるだけでなく、貯蔵安定性にも優れることが求められる。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたのであって、耐水性と非粘着性とに優れる塗膜を形成できると共に、貯蔵安定性にも優れる、含フッ素重合体を含む水性塗料の提供を目的とする。また、本発明は、耐水性と非粘着性とに優れる塗膜付き基材の提供を目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、特定の含フッ素重合体の粒子と、特定の変性(メタ)アクリル重合体とを含む水性塗料により、所望の効果が得られることを見出して、本発明を完成した。
かくして、本発明は、以下の態様を有するものである。
[1]フルオロオレフィンに基づく単位およびアルキル基を有する単量体に基づく単位を含む含フッ素重合体の粒子と、シリコーン変性された変性(メタ)アクリル重合体の粒子と、水とを含む水性塗料であって、前記水性塗料中のケイ素原子に対するフッ素原子のモル比が10〜700であることを特徴とする、水性塗料。
[2]前記含フッ素重合体が、前記含フッ素重合体が含む全単位に対して、前記アルキル基を有する単量体に基づく単位を、20〜80モル%含む、[1]の水性塗料。
[3]前記アルキル基が、炭素数1〜12のアルキル基である、[1]または[2]の水性塗料。
[4]前記含フッ素重合体が、さらに、ヒドロキシ基またはカルボキシ基を有する単量体に基づく単位を含む、[1]〜[3]のいずれかの水性塗料。
[5]前記変性(メタ)アクリル重合体が、アルコキシシランで変性された変性(メタ)アクリル重合体である、[1]〜[4]のいずれか水性塗料。
[6]前記変性(メタ)アクリル重合体が、ジアルキルジアルコキシシランで変性された変性(メタ)アクリル重合体である、[1]〜[4]のいずれかの水性塗料。
[7]前記変性(メタ)アクリル重合体が、アルコキシシリル基を有する単量体に基づく単位を含む(メタ)アクリル重合体がシリコーン変性された変性(メタ)アクリル重合体である、[1]〜[6]のいずれかの水性塗料。
[8]前記変性(メタ)アクリル重合体が、ジアルキルジアルコキシシランとモノアルキルトリアルコキシシランとでシリコーン変性された変性(メタ)アクリル重合体である、[1]〜[7]のいずれかの水性塗料。
[9]前記変性(メタ)アクリル重合体が、シロキサン結合およびジアルキルシリレン基を側鎖に有する変性(メタ)アクリル重合体である、[1]〜[8]のいずれかの水性塗料。
[10]前記変性(メタ)アクリル重合体の粒子の平均粒子径が、前記含フッ素重合体の粒子の平均粒子径より小さい、[1]〜[9]のいずれかの水性塗料。
[11]窯業建材の塗装に用いられる、[1]〜[10]のいずれかの水性塗料。
[12]基材の表面に、[1]〜[10]のいずれかの水性塗料を塗布して塗布層を形成し、前記塗布層を乾燥させて塗膜を形成する、塗膜付き基材の製造方法。
[13]基材と、前記基材の表面上に配置された、含フッ素重合体とシリコーン変性された変性(メタ)アクリル重合体とを含む塗膜を有する塗膜付き基材であって、前記塗膜中の、前記塗膜の全質量に対するケイ素原子の含有量が0.01〜10質量%であり、前記塗膜表面におけるケイ素原子に対するフッ素原子のモル比が10〜700である、塗膜付き基材。
[14]前記塗膜の、JIS K 5600−5−4(2009)に従って計測される鉛筆硬度が4B〜Hである、[13]に記載の塗膜付き基材。
[15]前記塗膜が、[1]〜[10]のいずれかの水性塗料から形成されてなる塗膜である、[13]または[14]に記載の塗膜付き基材。
本発明によれば、耐水性と非粘着性とに優れる塗膜を形成できると共に、貯蔵安定性にも優れる水性塗料を提供できる。また、本発明によれば、耐水性と非粘着性とに優れる塗膜付き基材の提供をできる。
以下の用語の定義は、明細書および特許請求の範囲にわたって適用される。
「単位」とは、単量体の重合により直接形成された、上記単量体1分子に基づく原子団と、上記原子団の一部を化学変換して得られる原子団との総称である。重合体が含む全単位に対する、それぞれの単位の含有量(モル%)は、含フッ素重合体の製造に際して使用する成分の仕込み量から決定できる。
「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸」と「メタクリル酸」の総称であり、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート」と「メタクリレート」の総称である。
「(メタ)アクリル重合体」とは、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリレートのいずれか一方、または両方に基づく単位を含む重合体であり、フルオロオレフィンに基づく単位を含まない、本発明における含フッ素重合体とは異なる重合体である。
「酸価」および「水酸基価」は、それぞれ、JIS K 0070−3(1992)の方法に準じて測定される値である。
「平均粒子径」は、動的光散乱法により求められるD50の値である。なお、D50は、動的光散乱法により求めた粒子の粒度分布(本発明では、ELS−8000(大塚電子社製)を使用)において、小さな粒子側から起算した体積累計50体積%の粒子直径を表す。
塗料の「固形分」の質量とは、塗料が溶媒を含む場合に、塗料から溶媒を除去した質量である。なお、溶媒以外の塗料の固形分を構成する成分に関して、その性状が液体状であっても、固形分とみなす。塗料の固形分の質量は、塗料を130℃で20分間加熱した後に残存する質量として求められる。
塗膜の厚みは、渦電流式膜厚計(商品名「EDY−5000」、サンコウ電子社製)を用いて測定される値である。
本発明の水性塗料は、フルオロオレフィンに基づく単位(以下、単位Fともいう。)およびアルキル基を有する単量体に基づく単位(以下、単位Rともいう。)を含む含フッ素重合体の粒子と、シリコーン変性された変性(メタ)アクリル重合体の粒子と、水とを含む。本発明の水性塗料において、含フッ素重合体の粒子および変性(メタ)アクリル重合体の粒子は、水中に溶解または分散している。
また、本発明の水性塗料中のケイ素原子に対するフッ素原子の比(以下、F/Si比ともいう。)は、10〜700であり、より好ましくは10〜400であり、さらに好ましくは10〜300であり、特に好ましくは100〜300である。なお、水性塗料中のF/Si比は、水性塗料中に含まれるケイ素原子を有する化合物のケイ素原子の総モル量に対する、水性塗料中に含まれる含フッ素重合体が有するフッ素原子の総モル量の比である。
本発明の水性塗料から形成される塗膜(以下、本塗膜ともいう。)は、耐水性と非粘着性とに優れる。また、本発明の水性塗料は、貯蔵安定性にも優れている。
単位Rを含む含フッ素重合体の粒子から形成される塗膜は、耐水性に優れる一方で非粘着性に劣るため、上記塗膜を有する基材は加工性が低い。特に、上記含フッ素重合体が含む単位Rの含有量が高い場合に、この傾向は顕著である。
そこで、本発明者らは、上記含フッ素重合体の粒子を含む水性塗料にシリコーン変性された変性(メタ)アクリル重合体の粒子を含め、さらに水性塗料中のケイ素原子に対するフッ素原子の比を特定の範囲に調整することにより、耐水性と非粘着性に優れる塗膜を形成でき、貯蔵安定性も優れる水性塗料を得られることを知見した。
上記した優れる水性塗料を得られる理由は必ずしも明確ではないが、以下のように考えられる。単位Rを含む含フッ素重合体と(メタ)アクリル重合体とは、親和性が低く、両者がそれぞれ粒子状に分散している水性分散液とも言え、両者を含む水性塗料の均一分散性は低い。そのため、上記水性塗料から形成される塗膜においては、含フッ素重合体と(メタ)アクリル重合体が、相溶することなく極度に偏在してしまう。その結果として、層分離した塗膜や、塗膜中にブツが存在する塗膜等が形成され、その塗膜の物性も充分でなくなる。
一方、本発明の水性塗料は、(メタ)アクリル重合体として変性(メタ)アクリル重合体を含み、かつ、水性塗料中のF/Si比が特定の範囲に調製されるため、単位Rを含む含フッ素重合体と変性(メタ)アクリル重合体の親和性がバランスし、その均一分散性が向上すると考えられる。そのため、本発明の水性塗料から塗膜を形成した際には、含フッ素重合体と変性(メタ)アクリル重合体が適度に偏在し、具体的には、非粘着性に優れた変性(メタ)アクリル重合体が含フッ素重合体の粒子表面に均一に付着していると考えられる。その結果、本塗膜は、耐水性と非粘着性とに優れる。また、均一分散性に優れるため、本発明の水性塗料は、貯蔵安定性に優れる。なお、これらの効果は、本発明の好適な態様において、より顕著に発現する。
本発明における含フッ素重合体が含む単位Fは、フルオロオレフィンに基づく単位である。フルオロオレフィンは、水素原子の1個以上がフッ素原子で置換されたオレフィンである。フルオロオレフィンは、フッ素原子で置換されていない水素原子の1個以上が塩素原子で置換されていてもよい。
フルオロオレフィンの具体例としては、CF=CF、CF=CFCF、CF=CFCl、CH=CF、CF−CH=CHF、CF−CF=CHが挙げられる。フルオロオレフィンは、本塗料におけるF/Si比を好適にする点から、CF=CFCl、CH=CF、CF−CH=CHFおよびCF−CF=CHからなる群から選択される少なくとも一種が好ましく、CF=CFClおよびCH=CFの一方または両方が好ましく、CF=CFClが特に好ましい。フルオロオレフィンは、2種以上を併用してもよい。
単位Fの含有量は、本塗膜の耐候性の観点から、含フッ素重合体が含む全単位に対して、20〜75モル%が好ましく、40〜60モル%がより好ましい。
本発明における含フッ素重合体が含む単位Rは、アルキル基を有する単量体に基づく単位である。単位Rは、フッ素原子を含まない。
アルキル基を有する単量体としては、フルオロオレフィンとの共重合性の観点から、アルキルビニルエーテル、アルキルアリルエーテル、アルキルビニルエステルおよびアルキルアリルエステルからなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。本塗膜の耐候性の観点から、アルキルビニルエーテルおよびアルキルビニルエステルの一方または両方が特に好ましい。
アルキル基を有する単量体のアルキル基の炭素数は、変性(メタ)アクリル重合体との親和性の観点から、1〜12がより好ましく、1〜8が特に好ましい。
アルキル基を有する単量体のアルキル基は、直鎖状でも、分岐鎖状であってもよい。なお、ここにおいて、アルキル基は、環構造を含まない基を意味する。
アルキル基を有する単量体のアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、2−エチルヘキシル基、ネオノニル基またはネオデカニル基が好ましく、メチル基、エチル基または2−エチルヘキシル基が特に好ましい。
アルキル基を有する単量体の具体例としては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、tert−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル、酢酸ビニル、ピバル酸ビニルエステル、ネオノナン酸ビニルエステル(HEXION社商品名「ベオバ9」)、ネオデカン酸ビニルエステル(HEXION社商品名「ベオバ10」)が挙げられる。アルキル基を有する単量体は、2種以上を併用してもよい。
単位Rの含有量は、変性(メタ)アクリル重合体との均一分散性の点から、含フッ素重合体が含む全単位に対して、20〜80モル%が好ましく、25〜80モル%がより好ましく、25〜50モル%がより好ましくい。
含フッ素重合体は、架橋点を有することにより本塗膜の耐水性が向上する観点から、ヒドロキシ基またはカルボキシ基を有する単位(以下、単位Cともいう。)を含むのが好ましく、本発明の水性塗料の貯蔵安定性の点からは、ヒドロキシ基を有する単位を含むのが好ましい。単位Cは、フッ素原子を含まない。
つまり、含フッ素重合体がヒドロキシ基を有する単位を含む場合、硬化剤としてイソシアネート系を水性塗料に含ませることにより、本塗膜の耐水性がさらに向上する。
また、含フッ素重合体が架橋性基としてカルボキシ基を有する単量体に基づく単位を含む場合、硬化剤としてカルボジイミド系、アミン系、オキサゾリン系またはエポキシ系を水性塗料に含ませれば、本塗膜の耐水性がさらに向上する。
単位Cは、ヒドロキシ基またはカルボキシ基を有する単量体に基づく単位であってもよく、単位Cを含む含フッ素重合体の反応性基を、ヒドロキシ基またはカルボキシ基に変換させて得られる単位であってもよい。このような単位としては、ヒドロキシ基を有する単位を含む含フッ素重合体に、ポリカルボン酸やその酸無水物等を反応させて、ヒドロキシ基の一部または全部をカルボキシ基に変換させて得られる単位が挙げられる。
ヒドロキシ基を有する単量体の具体例としては、アリルアルコールや、ヒドロキシ基を有する、ビニルエーテル、ビニルエステル、アリルエーテル、アリルエステル、(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。ヒドロキシ基を有する単量体としては、アリルアルコールまたは式X−Zで表される単量体が好ましい。
は、CH=CHC(O)O−、CH=C(CH)C(O)O−、CH=CHOC(O)−、CH=CHCHOC(O)−、CH=CHO−またはCH=CHCHO−であり、CH=CHO−またはCH=CHCHO−であることが好ましい。
は、ヒドロキシ基を有する炭素数2〜42の1価の有機基である。上記有機基は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。また、上記有機基は、環構造からなっていてもよく、環構造を含んでいてもよい。
上記有機基としては、水酸基を有する炭素数2〜6のアルキル基、水酸基を有する炭素数6〜8のシクロアルキレン基を含むアルキル基、または水酸基を有するポリオキシアルキレン基が好ましい。
ヒドロキシ基を有する単量体の具体例としては、CH=CHCHOH、CH=CHOCH−cycloC10−CHOH、CH=CHCHOCH−cycloC10−CHOH、CH=CHOCHCHOH、CH=CHCHOCHCHOH、CH=CHOCHCHCHCHOH、CH=CHCHOCHCHCHCHOH、CH=CHOCH−cycloC10−CHO(CHCHO)10H、CH=CHOCH−cycloC10−CHO(CHCHO)15Hが挙げられる。なお、「−cycloC10−」はシクロへキシレン基を表し、「−cycloC10−」の結合部位は、通常1,4−である。ヒドロキシ基を有する単量体は、2種以上を併用してもよい。
ヒドロキシ基を有する単量体の2種以上を併用する場合、少なくとも1種は、含フッ素重合体と変性(メタ)アクリル重合体との親和性の観点から、ヒドロキシ基を有するポリオキシアルキレン基を有する単量体であることが好ましい。つまり、この場合において、単位Cは、ヒドロキシ基を有するポリオキシアルキレン基を有する単量体に基づく単位を含むのが好ましい。単位Cに対する、ヒドロキシ基を有するポリオキシアルキレン基を有する単量体に基づく単位の比(ヒドロキシ基を有するポリオキシアルキレン基を有する単量体に基づく単位/単位C)は、モル比で0.01〜1.0が好ましく、0.03〜0.50がより好ましい。
カルボキシ基を有する単量体としては、不飽和カルボン酸、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。カルボキシ基を有する単量体は、式X−Zで表される単量体が好ましい。
は、CH=CH−、CH(CH)=CH−またはCH=C(CH)−であり、CH=CH−またはCH(CH)=CH−であることが好ましい。
は、カルボキシ基またはカルボキシ基を有する炭素数1〜12の1価の飽和炭化水素基であり、カルボキシ基または炭素数1〜10のカルボキシアルキル基であることが好ましい。
カルボキシ基を有する単量体の具体例としては、CH=CHCOOH、CH(CH)=CHCOOH、CH=C(CH)COOH、式CH=CH(CHn21COOHで表される化合物(n21は1〜10の整数である。中でも、CH=CHCHCOOH、CH=CH(CHCOOHが好ましい。)が挙げられる。カルボキシ基を有する単量体は、2種以上を併用してもよい。
ヒドロキシ基またはカルボキシ基を有する単量体は、ヒドロキシ基を有する単量体およびカルボキシ基を有する単量体の一方のみを用いてもよく、両方を用いてもよい。つまり、単位Cは、ヒドロキシ基およびカルボキシ基の一方または両方を有すればよい。
含フッ素重合体が単位Cを含む場合、その含有量は、含フッ素重合体が含む全単位に対して、1〜20モル%が好ましく、2〜10モル%が特に好ましい。
含フッ素重合体が単位Cを含む場合、含フッ素重合体の水酸基価または酸価は、それぞれ、0.1〜150mgKOH/gが好ましく、1〜100mgKOH/gがより好ましく、3〜50mgKOH/gが特に好ましい。含フッ素重合体は、水酸基価および酸価の一方のみを有していてもよく、両方を有していてもよい。本発明の水性塗料の貯蔵安定性の点からは、含フッ素重合体は水酸基価を有することが好ましい。
含フッ素重合体は、フルオロオレフィンおよびアルキル基を有する単量体以外の単量体(以下、他の単量体ともいう。)に基づく単位を含んでいてもよい。他の単量体の具体例としては、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリレート、環構造を有する、ビニルエーテル、ビニルエステル、アリルエーテル、アリルエステルが挙げられる。他の単量体の具体例としては、シクロアルキルビニルエーテル(シクロペンチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等。)、安息香酸ビニルエステルが挙げられる。
また、含フッ素重合体は、ヒドロキシ基およびカルボキシ基以外の、架橋性基を有する単量体に基づく単位を含んでいてもよい。具体例としては、加水分解性シリル基、アミノ基、イソシアネート基、エポキシ基またはオキセタニル基を有する単量体に基づく単位が挙げられる。
含フッ素重合体は、本塗膜の造膜性の観点から、単位Fの含有量、単位Rの含有量、ヒドロキシ基またはカルボキシ基を有する単量体に基づく単位の含有量が、含フッ素重合体が含む全単位に対して、この順に、20〜75モル%、25〜80モル%、0〜20モル%であるのが好ましい。
含フッ素重合体のTgは、変性(メタ)アクリル重合体との均一分散性の点から、10〜60℃が好ましく、10〜40℃が特に好ましい。
含フッ素重合体の製造方法としては、水と重合開始剤の存在下、フルオロオレフィンと単量体Rを重合させる方法が挙げられる。含フッ素重合体の製造方法における重合法の具体例としては、乳化重合法が挙げられる。乳化重合法により、水中に含フッ素重合体が粒子状に分散している水性分散液が直接得られる。
上記重合開始剤の具体例としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルハイドロパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−アゾビスイソブチロニトリル、2,2−アゾビス(2−ジアミノプロパン)ハイドロクロライド、2,2−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)が挙げられる。
含フッ素重合体を製造する際には、必要に応じて、界面活性剤、分子量調整剤(ドデシルメルカプタン、ブチルメルカプタン等)、光安定剤、pH調整剤等を添加してもよい。特に、含フッ素重合体の水中安定性の観点から、界面活性剤を含むのが好ましい。界面活性剤としては、本塗膜の耐水性の観点から、アニオン系界面活性剤が好ましい。
アニオン系界面活性剤の具体例としては、ラウリル硫酸ナトリウム等の脂肪酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等のアルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレン多環フェニルエーテル硫酸塩、ポリオキシノニルフェニルエーテルスルホン酸塩、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレングリコールエーテル硫酸塩が挙げられる。
本発明における変性(メタ)アクリル重合体は、シリカゾルまたはオルガノアルコキシシランでシリコーン変性された変性(メタ)アクリル重合体であり、換言すれば、シロキサン結合を重合体の主鎖末端または重合体の側鎖に有する(メタ)アクリル重合体とも言える。変性(メタ)アクリル重合体は、シロキサン結合を重合体の主鎖末端に有するのが好ましい。
変性(メタ)アクリル重合体は、ジアルキルジアルコキシシランでシリコーン変性された変性(メタ)アクリル重合体(シロキサン結合とジアルキルシリレン基とを重合体の主鎖末端または重合体の側鎖に有する変性(メタ)アクリル重合体とも言える。)が好ましい。なお、上記変性(メタ)アクリル重合体中のシロキサン結合とジアルキルシリレン基から形成される結合鎖は、重合体の29Si−NMR分析における、29Si−NMRのケミカルシフト値が0〜−40ppmであるピークとして検出できる。
変性(メタ)アクリル重合体は、アルキル基を有するシリコーン鎖(式−Si(RR1−O−で表される鎖。ただし、2個のRR1は、同一または異なるアルキル基を示す。以下同様である。)を有しており、単位Rのアルキル基を有する含フッ素重合体と親和性が特に高い。つまり、上記変性(メタ)アクリル重合体であれば、本発明の水性塗料中の含フッ素重合体の粒子と変性(メタ)アクリル重合体の粒子との均一分散性が一層向上する。そのため、本発明の水性塗料の貯蔵安定性と、本塗膜の耐水性および非粘着性とが、特に優れる。
変性(メタ)アクリル重合体を得るのに用いられる(メタ)アクリル重合体は、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリレートに基づく単位を含む、シリカゾルまたはオルガノアルコキシシランと反応し得る基を有する重合体である。
(メタ)アクリル重合体は、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリレートに基づく単位を含み、アルキルアルコキシシリル基(式−Si(ORR2(RR33−nで表される基。RR2およびRR3はそれぞれ独立にアルキル基であり、nは1〜3の整数である。以下同様である。)を有する(メタ)アクリル重合体が好ましく、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリレートに基づく単位とアルキルアルコキシシリル基を有する単量体に基づく単位とを含む(メタ)アクリル重合体がより好ましい。
なかでも、変性(メタ)アクリル重合体は、(メタ)アクリル酸、アルキル(メタ)アクリレート、シクロアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートおよびポリオキシアルキレン(メタ)アクリレートからなる群から選ばれる少なくとも1種の単量体に基づく単位とアルコキシシリル基を有する単量体に基づく単位とを含む(メタ)アクリル重合体が特に好ましく、アルキル(メタ)アクリレートに基づく単位とシクロアルキル(メタ)アクリレートに基づく単位とアルコキシシリル基を有する(メタ)アクリレートに基づく単位とを含む(メタ)アクリル重合体が更に好ましい。
アルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレートが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートは、2種以上を併用してもよい。(メタ)アクリル重合体は、アルキル(メタ)アクリレートに基づく単位を、(メタ)アクリル重合体が含む全単位に対して、10〜95モル%含むのが好ましく、50〜90モル%含むのが特に好ましい。
シクロアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレートが挙げられる。シクロアルキル(メタ)アクリレートは、2種以上を併用してもよい。(メタ)アクリル重合体は、シクロアルキル(メタ)アクリレートに基づく単位を、(メタ)アクリル重合体が含む全単位に対して、1〜80モル%含むのが好ましく、10〜40モル%含むのが特に好ましい。
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートの具体例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートは、2種以上を併用してもよい。(メタ)アクリル重合体は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートに基づく単位を、(メタ)アクリル重合体が含む全単位に対して、0〜5モル%含むのが好ましい。
ポリオキシアルキレン(メタ)アクリレートの具体例としては、ポリオキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレングリコール(メタ)アクリレートが挙げられる。ポリオキシアルキレン(メタ)アクリレートは、2種以上を併用してもよい。(メタ)アクリル重合体は、ポリオキシアルキレン(メタ)アクリレートに基づく単位を、(メタ)アクリル重合体が含む全単位に対して、0〜5モル%含むのが好ましい。
アルコキシシリル基を有する単量体の具体例としては、ビニルシラン(ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン、ビニルメチルジメトキシシラン等。)、アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリレート(γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ-アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン等。)が挙げられ、アルコキシシリル基を有する(メタ)アクリレートが好ましく、γ-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが特に好ましい。アルコキシシリル基を有する単量体は、2種以上を併用してもよい。(メタ)アクリル重合体は、アルコキシシリル基を有する単量体に基づく単位を、(メタ)アクリル重合体が含む全単位に対して、0.1〜10モル%含むのが好ましく、0.5〜5モル%含むのが特に好ましい。
シリコーン変性に使用する、シリカゾルまたはオルガノアルコキシシランは、上述したとおり、ジアルキルジアルコキシシランが好ましい。
ジアルキルジアルコキシシランは、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシランまたはジエチルジエトキシランが好ましく、(メタ)アクリル重合体中に、含フッ素重合体の単位Rのアルキル基と親和性が高いシリコーン鎖を形成できる観点から、ジメチルジメトキシシランまたはジメチルジエトキシシランが特に好ましい。ジアルキルジアルコキシシランは、2種以上を併用してもよい。
シリコーン変性におけるシリカゾルまたはオルガノアルコキシシランの使用量は、(メタ)アクリル重合体の全質量に対して、0.1〜30質量%が好ましく、1〜20質量%が特に好ましい。
シリコーン変性する際は、シリカゾルまたはオルガノアルコキシシランの2種以上を使用してもよい。
シリコーン変性する際は、ジアルキルジアルコキシシランと、ジアルキルジアルコキシシラン以外の他のアルキルアルコキシシランとを併用するのが好ましい。上記他のアルキルアルコキシシランとしては、テトラアルコキシシラン(テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン等。)、モノアルキルトリアルコキシシラン(メチルトリメトシキシシラン、メチルトリエトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン等。)、トリメチルモノアルコキシシラン(トリメチルメトキシシラン等。)が挙げられる。本塗膜の非粘着性を制御し、本発明の水性塗料の保存安定性をさらに向上させる観点から、シリコーン変性には、ジアルキルジアルコキシシランとモノアルキルトリアルコキシシランとを使用するのが好ましい。
他のアルキルアルコキシシランを使用する際の、その使用量は、(メタ)アクリル重合体の全質量に対して、0.1〜30質量%が好ましく、1〜20質量%が特に好ましい。
変性(メタ)アクリル重合体は、含フッ素重合体との親和性の点から、変性(メタ)アクリル重合体が含む全単位に対して、アルキル(メタ)アクリレートに基づく単位、シクロアルキル(メタ)アクリレートに基づく単位、およびジアルキルジアルコキシシランによって形成されるジアルキルシロキサン単位を、それぞれこの順に、10〜95モル%、1〜80モル%、および0.1〜10モル%含むことが好ましい。
なお、ジアルキルシロキサン単位とは、式−Si(RR4)(RR5)−O−で表される単位(RR4およびRR5はそれぞれ独立にアルキル基である。)である。
変性(メタ)アクリル重合体のTgは、含フッ素重合体との均一分散性および本塗膜の非粘着性の点から、30〜120℃が好ましく、60〜100℃が好ましく、70〜90℃が特に好ましい。
本発明における変性(メタ)アクリル重合体の製造方法は、特に限定されず、通常の乳化重合法を採用できる。乳化重合法により、水中に変性(メタ)アクリル重合体が粒子状に分散している水性分散液が効率よく得られる。
具体的には、水、アニオン界面活性剤および重合開始剤を含む反応器中にて、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリレートとアルコキシシリル基を有する単量体とを重合させ、重合中または重合前後に、オルガノアルコキシシランを反応器に添加する方法が挙げられる。
この際、反応器中の溶液のpHは、通常は4以下に保持され、反応器中の温度は通常は60〜90℃に保持される。それぞれの成分の投入は、一回または複数回に分けてもよい。
得られた変性(メタ)アクリル重合体の粒子を含む水性分散液は、pH調整剤によりpH調整してもよい。
上記アニオン界面活性剤および上記重合開始剤の具体例としては、含フッ素重合体の製造方法における例示化合物と同様の化合物を使用できる。
本発明の水性塗料は、上述した製造方法で得られる、含フッ素重合体の粒子および水を含む水性分散液と、変性(メタ)アクリル重合体の粒子および水を含む水性分散液とを混合して製造できる。
本発明の水性塗料において、含フッ素重合体の100質量部に対して変性(メタ)アクリル重合体の5〜100質量部を含むのが好ましい。
本発明の水性塗料の全質量に対する、含フッ素重合体と変性(メタ)アクリル重合体との含有量は、10〜90質量%が好ましく、40〜80質量%がより好ましい。
本発明の水性塗料において、含フッ素重合体と変性(メタ)アクリル重合体とは、それぞれ粒子状に分散しているのが好ましい。
変性(メタ)アクリル重合体の粒子の平均粒子径は、含フッ素重合体の粒子の平均粒子径より小さいのが好ましく、含フッ素重合体の粒子の平均粒子径との差が50nm以上であるのがより好ましい。この場合、変性(メタ)アクリル重合体の粒子表面に配置されるシロキサン結合と、含フッ素重合体が含む単位Rのアルキル基との親和性が向上して、両者の粒子が密にパッキングしながら塗膜を形成するため、本塗膜の耐水性と非粘着性がさらに向上しやすい。また、粒子間の親和性が向上して水中分散安定性が向上し、本発明の水性塗料の貯蔵安定性がさらに向上しやすい。なお、これらの効果は、変性(メタ)アクリル重合体が、ジアルキルジアルコキシシランでシリコーン変性された(メタ)アクリル重合体である場合に、より顕著となる。
含フッ素重合体の粒子の平均粒子径は、50〜200nmが好ましい。変性(メタ)クリル重合体の粒子の平均粒子径は、25〜150nmが好ましい。
本発明の水性塗料において、含フッ素重合体と変性(メタ)アクリル重合体の均一分散性および本塗膜の非粘着性の点から、変性(メタ)アクリル重合体のTgは、含フッ素重合体のTgよりも大きいことが好ましい。
本発明の水性塗料における水は、含フッ素重合体を水性塗料中に分散させる分散媒である。なお、分散媒は、水のみからなるか、水と水溶性有機溶媒とからなる混合溶媒からなる。後者の場合、水溶性有機溶媒の含有量は、水の全質量に対して、5質量%以下が好ましく、1質量%以下がより好ましく、0.5質量%以下が特に好ましい。水溶性有機溶媒の具体例としては、メタノール、エタノール、ブタノール、アセトン、メチルエチルケトンが挙げられる。
本発明の水性塗料は、含フッ素重合体、変性(メタ)アクリル重合体、および水以外の成分(以下、添加剤ともいう。)を含んでいてもよい。添加剤の具体例としては、含フッ素重合体および変性(メタ)アクリル重合体以外の樹脂(ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等。)、界面活性剤、硬化剤、顔料、分散剤、消泡剤、造膜助剤、レベリング剤、増粘剤、硬化助剤、光安定剤、紫外線吸収剤、表面調整剤、低汚染化剤が挙げられる。ただし、本発明の水性塗料のF/Si比および後述する本塗膜表面のF/Si比を好適にする観点からは、含フッ素重合体および変性(メタ)アクリル重合体以外の化合物に由来するフッ素原子またはケイ素原子を含まないことが好ましい。
特に、本発明における含フッ素重合体が、ヒドロキシ基またはカルボキシ基を有する単量体に基づく単位を含む場合、本発明の水性塗料は、硬化剤(ヒドロキシ基またはカルボキシ基と架橋し得る基を1分子中に2以上有する化合物)を含むのが好ましい。
本発明の水性塗料は、上述したとおり、耐水性および非粘着性に優れた塗膜を形成できる水性塗料であり、降雨に耐えうる長期耐水性および加工性が要求される窯業建材の塗装に用いられる塗料として有用である。
本発明の水性塗料は、基材の表面に直接塗布してもよく、表面処理(下地処理等)された基材の表面に塗布してもよい。本塗膜の厚みは、本塗膜の耐久性の観点から、25〜100μmが好ましく、30〜80μmがより好ましい。
基材の材質の具体例としては、非金属材料(樹脂、ゴム、木材等の有機質材料、コンクリート、ガラス、セラミックス、石材等の無機質材料等)、金属材料(鉄、鉄合金、アルミニウム、アルミニウム合金等)が挙げられる。
本発明の水性塗料の、塗布方法の具体例としては、刷毛、ローラー、ディッピング、スプレー、ロールコーター、ダイコーター、アプリケーター、スピンコーター等の塗布装置を使用する方法が挙げられる。
本塗膜は、本発明の水性塗料を塗布して形成される塗膜を、乾燥させて形成するのが好ましい。塗布後の乾燥温度は、25℃〜200℃が好ましい。
つまり、本発明によれば、基材の表面に、本発明の水性塗料を塗布して塗布層を形成し、該塗布層を乾燥させて塗膜を形成する、塗膜付き基材の製造方法が提供される。得られた塗膜付き基材は、基材と、上記基材の表面上に配置された本発明の水性塗料から形成されてなる塗膜とを有する。上記基材は、耐水性および非粘着性に優れており、降雨に耐えうる長期耐水性および加工性が要求される窯業建材用の基材として、有用である。
本発明によれば、基材と、前記基材の表面上に配置された、含フッ素重合体とシリコーン変性された変性(メタ)アクリル重合体とを含む塗膜とを有する塗膜付き基材であって、上記塗膜中の、上記塗膜の全質量に対するケイ素原子の含有量が0.01〜10質量%であり、前記塗膜表面におけるケイ素原子に対するフッ素原子のモル比が10〜700である、塗膜付き基材が提供される。
なお、塗膜中のケイ素原子の含有量は、塗膜の全質量に対するケイ素原子の含有量(質量%)であり、塗膜を形成する塗料の固形分の質量に対する、塗料が含むケイ素原子の含有量(質量%)として求めてもよい。塗膜中のケイ素原子の含有量は、塗膜または塗料に含ませる変性(メタ)アクリル重合体の種類および質量等によって調節できる。
また、塗膜表面における、ケイ素原子に対するフッ素原子の比とは、走査電子顕微鏡による用いたエネルギー分散型X線分光法にて塗膜表面を分析して求められる、ケイ素原子に由来するX線強度に対するフッ素原子に由来するX線強度の比(F/Si。以下、「F/Si比」ともいう。)である。塗膜表面におけるF/Si比は、塗膜中に含ませる、本発明における含フッ素重合体および変性(メタ)アクリル重合体の種類および質量等によって調節できる。
本塗膜中のケイ素原子の含有量は、本塗膜の非粘着性が向上する観点から、0.01〜10質量%が好ましく、0.05〜1質量%がより好ましく、0.10〜0.30が特に好ましい。
本塗膜の塗膜表面におけるF/Si比は、10〜700であり、より好ましくは10〜400であり、さらに好ましくは10〜300であり、特に好ましくは100〜300である。本塗膜の塗膜表面におけるF/Si比と、本発明の水性塗料のF/Si比との差の絶対値が小さいほど、含フッ素重合体と変性(メタ)アクリル重合体とが均一に分散している。上記差の絶対値は、通常0以上であり、好ましくは5以下である。
本塗膜の、JIS K 5600−5−4(2009)に従って計測される鉛筆硬度は、本塗膜付き基材の加工性の観点から、4B〜Hであり、3B〜Hが好ましく、2B〜Bがより好ましい。本塗膜は、F/Si比が好適であるため、非粘着性に優れ、塗膜の鉛筆硬度も上記範囲内となる。
本発明の塗膜付き基材は、含フッ素重合体とシリコーン変性された変性(メタ)アクリル重合体とを含む塗膜を有しており、上記塗膜に含まれるケイ素原子の量と、上記塗膜表面のフッ素原子とケイ素原子の量とが所定の範囲に調製されているため、ケイ素原子が適度に露出した構成を有し、耐水性および非粘着性に優れる。
本発明の塗膜付き基材は、本発明の水性塗料から形成されてなる塗膜であるのが好ましい。また、本発明の塗膜付き基材は、上述した塗膜付き基材の製造方法により製造するのが好ましい。
以下、例を挙げて本発明を詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例に限定されない。例1〜4、6および7は実施例であり、例5は比較例である。
含フッ素重合体の製造に使用した単量体と、その略号は、以下の通りである。
〔フルオロオレフィン〕
CTFE:クロロトリフルオロエチレン
〔単量体1〕
EVE:エチルビニルエーテル、 2−EHVE:2−エチルヘキシルビニルエーテル
〔ヒドロキシ基を有する単量体〕
CM−15EOVE:CH=CHOCH−cycloC10−CHO(CHCHO)15H、平均分子量570)
〔他の単量体〕
CHVE:シクロヘキシルビニルエーテル
CHMVE:シクロヘキシルメチルビニルエーテル
変性(メタ)アクリル重合体の製造に使用した単量体と、その略号は以下の通りである。
・(メタ)アクリル系単量体
MMA:メチルメタクリレート
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート、CHA:シクロヘキシルアクリレート
EHA:2−エチルヘキシルアクリレート、BMA:n−ブチルメタクリレート
BA:n−ブチルアクリレート AA:アクリル酸
MA:メタクリル酸
・シリコーン系単量体
γSiMA:γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン
DMDMS:ジメチルジメトキシシラン、 MMTMS:メチルトリメトキシシラン
[含フッ素重合体1の製造例]
真空脱気したオートクレーブ内に、CTFE(532g)、EVE(249g)、2−EHVE(143g)、CHMVE(31g)、CM−15EOVE(19g)、イオン交換水(975g)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル(ノニオン系界面活性剤)(52g)、およびラウリル硫酸ナトリウム(アニオン系界面活性剤)(1.1g)を撹拌下で導入して昇温し、50℃に保持した。続いて、オートクレーブ内に、過硫酸アンモニウム(0.12g)、を導入して、24時間重合した後、オートクレーブ内の溶液をろ過し、平均粒子径が150nmである含フッ素重合体1の粒子を濃度50質量%含む水性分散液F1を得た。
含フッ素重合体1が含む全単位に対する、CTFEに基づく単位、EVEに基づく単位、2−EHVEに基づく単位、CHMVEに基づく単位、CM−EOVEに基づく単位の含有量は、この順に50モル%、37.75モル%、10モル%、2モル%、0.25モル%であった。含フッ素重合体1のTgは25℃であった。
[含フッ素重合体2の製造例]
含フッ素重合体1の製造例で用いた単量体の種類と量を、CTFE(467g)、EVE(58g)、2−EHVE(125g)、CHVE(281g)、CHMVE(27g)、CM−15EOVE(17g)に変更した以外は同様にして、平均粒子径が160nmである含フッ素重合体2の粒子を濃度50質量%含む水性分散液F2を得た。
含フッ素重合体2が含む全単位に対する、CTFEに基づく単位、EVEに基づく単位、2−EHVEに基づく単位、CHVEに基づく単位、CHMVEに基づく単位、CM−EOVEに基づく単位の含有量は、この順に50モル%、10モル%、10モル%、27.75モル%、2モル%、0.25モル%であった。含フッ素重合体2のTgは30℃であった。
[変性(メタ)アクリル重合体1の製造例]
反応器に、イオン交換水(478.3g)およびニューコール707SF(アニオン系界面活性剤、日本乳化剤社商品名)(10g)を投入し、反応器の内温を80℃に保持しながら、過硫酸アンモニウムの2質量%溶液(15g)を添加し、5分後に、(メタ)アクリル系単量体(MMA(380g)、CHMA(200g)、BMA(100g)、BA(300g)およびMA(20g))、水(504.3g)、ニューコール707SF(66.7g)および過硫酸アンモニウムの2質量%溶液(50g)の混合液、ならびにシリコーン系単量体(γSiMA(5g)、MMTMS(80g)およびDMDMS(60g))の混合液を、それぞれ別々に、反応器に240分かけて滴下した。
上記滴下中、内温を80℃に保持し、滴下終了後の内温を90分保持した後に冷却して、MMTMSおよびDMDMSでシリコーン変性された、シロキサン結合およびジメチルシリレン基を側鎖または主鎖末端に有する変性(メタ)アクリル重合体1の水性分散液を得た。得られた水性分散液にアンモニア水を加えてpH調整し、さらに溶媒を留去して、水性分散液中のメタノール量を2.0質量%に調整した。さらにアンモニア水と水を加えた後、超音波破砕機にて5分間超音波処理し、平均粒子径が50nmである変性(メタ)アクリル重合体1の粒子を濃度50質量%含む水性分散液M1(pH9.0)を得た。
[変性(メタ)アクリル重合体2の製造例]
変性(メタ)アクリル重合体1の製造例において、超音波処理をしない以外は同様にして、平均粒子径140nmである変性(メタ)アクリル重合体2の粒子を濃度50質量%で含む水性分散液M2(pH9.0)を得た。
[変性(メタ)アクリル重合体3の製造例]
変性(メタ)アクリル重合体1の製造例において、シリコーン系単量体における、MMTMSの量を148gに変更し、DMDMSを使用しない以外は同様にして、平均粒子径50nmである変性(メタ)アクリル重合体3の粒子を濃度50質量%含む水性分散液M3(pH9.0)を得た。
[変性(メタ)アクリル重合体4の製造例]
変性(メタ)アクリル重合体1の製造例において、(メタ)アクリル系単量体およびシリコーン系単量体の種類と量を変更する以外は同様にして、平均粒子径50nmである変性(メタ)アクリル重合体4の粒子を濃度50質量%含む水性分散液M4(pH9.0、Tg75℃)を得た。
変性(メタ)アクリル重合体4が含む全単位に対する、MMAに基づく単位、BMAに基づく単位、CHAに基づく単位、DMDMSから形成されてなるジメチルシロキサン単位の含有量は、この順に、64モル%、16モル%、17モル%、3モル%であった。
[変性(メタ)アクリル重合体5の製造例]
変性(メタ)アクリル重合体1の製造例において、(メタ)アクリル系単量体およびシリコーン系単量体の種類と量を変更する以外は同様にして、平均粒子径50nmである変性(メタ)アクリル重合体5の粒子を濃度50質量%含む水性分散液M5(pH9.0、Tg34℃)を得た。
変性(メタ)アクリル重合体5が含む全単位に対する、MMAに基づく単位、BMAに基づく単位、CHMAに基づく単位、DMDMSから形成されてなるジメチルシロキサン単位の含有量は、この順に、36モル%、38モル%、24モル%、2モル%であった。
[水性塗料の製造例]
水性分散液F1(80g)、変性(メタ)アクリル重合体1の製造例で得た水性分散液M1(20g)、造膜助剤(日本乳化剤社商品名EHG)(6g)、増粘剤(ポリアクリル酸系増粘剤、TT−615(ローム&ハース社商品名プライマル)(0.4g)、消泡剤(BASF社商品名デヒドラン1620)(0.6g)およびイオン交換水(13g)を混合して、水性塗料1を得た。水性塗料1における、水性塗料中のF/Si比は、含フッ素重合体1および変性(メタ)アクリル重合体1が含むそれぞれの単位の含有量から算出すると、58であった。
上記水性塗料1の製造において、水性分散液の種類を表1に示す通りに変更する以外は同様に実施して、水性塗料2〜7をそれぞれ得た。
Figure 2019009415
[塗膜の製造例]
スレート板(縦120mm、横60mm、板厚15mm)の表面に、下塗り塗料(大日本塗料社商品名:Vセラン#700)を、エアスプレーにて乾燥膜厚が20μmになるように塗布し、100℃で210秒間、乾燥させて下塗り膜を形成した。
次いで、下塗り膜の上に水性塗料1をエアスプレーにて乾燥膜厚が40μmになるように塗布し、100℃で210秒間乾燥させて塗膜を形成して、水性塗料1から形成されてなる基材1を得て、試験板1とした。
上記水性塗料1の代わりに、水性塗料2〜7のそれぞれを使用した他は上記と同様に実施して、それぞれ、塗膜付き基材2〜7、および試験板2〜7を得た。
(例1〜7)
上記で製造したそれぞれの水性塗料1〜7および試験板1〜7を、以下の評価法に供して、それらの塗膜性能を評価した。結果を表2にまとめて示す。
(塗膜の耐水性評価)
試験板を60℃の温水に18時間浸漬後、5℃の冷水に15時間浸漬し、その後5℃で乾燥した後の塗膜外観について、以下の基準に従い評価した。
SS:白化やふくれの発生が認められない塗膜面の面積が95%以上であった。
S:白化やふくれの発生が認められない塗膜面の面積が90%以上95%未満であった。
A:白化やふくれの発生が認められない塗膜面の面積が80%以上90%未満であった。
B:白化やふくれの発生が認められない塗膜面の面積が50%以上80%未満であった。
C:白化やふくれの発生が認められない塗膜面の面積が50%未満であった。
(塗膜の非粘着性評価)
2枚の試験板の塗装面を重ね合わせて、2kgの重りをのせて1時間放置した後に、試験板を剥がして、一方の塗膜が剥がれ、他方の塗膜に付着しているかどうかを、以下の基準に従い評価した。
A:塗膜面に剥がれが認められなかった。
B:塗膜面の20%未満に剥がれが認められた。
C:塗膜面の20%以上に剥がれが認められた。
(外観評価)
それぞれの水性塗料をガラス板の表面に塗装して得られる塗膜付ガラス基板(膜厚25μm)のヘイズを、ヘイズメーター(日本電色社商品名「NDH−5000W」)を用いて、JIS K7136に準拠して測定した。
A:ヘイズ値が0.1〜1
B:ヘイズ値が1超3未満
C:ヘイズ値が3以上
(水性塗料の貯蔵安定性評価)
それぞれの水性塗料を50℃2週間保管し、沈降量を確認した。
A:沈降量が0.5ml以下、B:沈降量が0.5ml超1ml未満、
C:沈降量が1ml以上
(塗膜の硬度)
JIS K 5600−5−4(2009)に従って、試験板の塗膜の鉛筆硬度を評価した。
(塗膜表面のFx/Six比]
試験片の塗膜表面を、走査電子顕微鏡を用いたエネルギー分散型X線分光法にて、以下の測定条件に従って定量分析し、ケイ素原子に由来するX線強度に対する、フッ素原子に由来するX線強度の比を求め、塗膜表面におけるケイ素原子に対するフッ素原子のモル比(Fx/Six比)に換算した。得られたFx/Six比を、水性塗料中のF/Si比と比較したところ、例1〜4および6〜7における水性塗料中のF/Siとの差の絶対値は5以下であった。ここから、例1〜4および6〜7において、塗膜中で含フッ素重合体と変性(メタ)アクリル重合体とが均一に分散していると考えられる。
<測定条件>
試験機:日本電子社製「JSM−5900LV」、
加速電圧:20kV、 倍率:1000倍
測定前処理:JEOL社製オートファインコーター「JFC−1300」による、20mA、45秒の白金コート。
Figure 2019009415
なお、2017年7月7日に出願された日本特許出願2017−133757号の明細書、特許請求の範囲及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。

Claims (15)

  1. フルオロオレフィンに基づく単位およびアルキル基を有する単量体に基づく単位を含む含フッ素重合体の粒子と、シリコーン変性された変性(メタ)アクリル重合体の粒子と、水とを含む水性塗料であって、前記水性塗料中のケイ素原子に対するフッ素原子のモル比が10〜700であることを特徴とする、水性塗料。
  2. 前記含フッ素重合体が、前記含フッ素重合体が含む全単位に対して、前記アルキル基を有する単量体に基づく単位を20〜80モル%含む、請求項1に記載の水性塗料。
  3. 前記アルキル基が、炭素数1〜12のアルキル基である、請求項1または2に記載の水性塗料。
  4. 前記含フッ素重合体が、さらに、ヒドロキシ基またはカルボキシ基を有する単位を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載の水性塗料。
  5. 前記変性(メタ)アクリル重合体が、アルコキシシランで変性された変性(メタ)アクリル重合体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性塗料。
  6. 前記変性(メタ)アクリル重合体が、ジアルキルジアルコキシシランで変性された変性(メタ)アクリル重合体である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の水性塗料。
  7. 前記変性(メタ)アクリル重合体が、アルコキシシリル基を有する単量体に基づく単位を含む(メタ)アクリル重合体がシリコーン変性された変性(メタ)アクリル重合体である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の水性塗料。
  8. 前記変性(メタ)アクリル重合体が、ジアルキルジアルコキシシランとモノアルキルトリアルコキシシランとでシリコーン変性された変性(メタ)アクリル重合体である、請求項1〜7のいずれか1項に記載の水性塗料。
  9. 前記変性(メタ)アクリル重合体が、シロキサン結合およびジアルキルシリレン基を側鎖に有する変性(メタ)アクリル重合体である、請求項1〜8のいずれか1項に記載の水性塗料。
  10. 前記変性(メタ)アクリル重合体の粒子の平均粒子径が、前記含フッ素重合体の粒子の平均粒子径より小さい、請求項1〜9のいずれか1項に記載の水性塗料。
  11. 窯業建材の塗装に用いられる、請求項1〜10のいずれか1項に記載の水性塗料。
  12. 基材の表面に、請求項1〜10のいずれか1項に記載の水性塗料を塗布して塗布層を形成し、前記塗布層を乾燥させて塗膜を形成する、塗膜付き基材の製造方法。
  13. 基材と、前記基材の表面上に配置された、含フッ素重合体とシリコーン変性された変性(メタ)アクリル重合体とを含む塗膜を有する塗膜付き基材であって、前記塗膜中の、前記塗膜の全質量に対するケイ素原子の含有量が0.01〜10質量%であり、前記塗膜におけるケイ素原子に対するフッ素原子のモル比が10〜700である、塗膜付き基材。
  14. 前記塗膜の、JIS K 5600−5−4(2009)に従って計測される鉛筆硬度が4B〜Hである、請求項13に記載の塗膜付き基材。
  15. 前記塗膜が、請求項1〜10のいずれか1項に記載の水性塗料から形成される塗膜である、請求項13または14に記載の塗膜付き基材。
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