JP6436696B2 - 塗料組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、塗料組成物に関する。
一般に、塗料組成物は、コンクリート、木材、サイディング板、押出成型板等の被塗装物に対して、密着性を向上させるためにカルボキシ基、耐水性を向上さえるウレタン結合を付与するための水酸基、耐候性及び耐汚染性を向上させるために有機シロキサン樹脂であるアクリルシリコン樹脂を含有させることがある。また、耐候性を向上させるために含フッ素樹脂を含有させることがある。
例えば、特許文献1には耐候性及び耐汚染性を向上させるためにアクリルシリコン樹脂を含有した塗料組成物が記載されている。また、特許文献2にはアクリルシリコン樹脂及び水酸基等を含有する塗料組成物が記載されている。
引用文献3には、耐候性を向上させるために含フッ素樹脂を含有した塗料組成物が記載されている。
特開2006−036985号公報 国際公開WO96/35755号 特開2012−183495号公報
しかしながら、含フッ素樹脂を含有する塗料組成物は、塗膜の耐候性を向上させることができるが、表面自由エネルギーが高く、塵、ホコリ又は油などの有機汚れが一旦塗膜に付着するとその付着が強固であり、自然の力では良好に除去することができなく、塗膜の耐汚染性が劣る恐れがあるという問題があった。
これに対し、耐汚染性を向上させるために、有機シロキサン樹脂を塗料組成物に含有させる方法があるが、塗料組成物中の酸基又はアミン基と反応し、塗料組成物の粘度が上昇して塗料安定性が劣る恐れがあるという問題があった。
そこで、本発明の目的とするところは、含フッ素樹脂と有機シロキサン樹脂とを含有する塗料組成物であっても、カルボン酸の含有量を一定範囲内に調整することにより、塗膜の耐候性及び耐汚染性に優れ、塗料組成物の塗料安定性に優れた塗料組成物を提供することにある。
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の発明の塗料組成物は、(A)カルボン酸を0.01〜0.2mol/kg含有するアクリル樹脂、(B)有機シロキサン樹脂及び(C)含フッ素樹脂からなる塗料組成物であって、(A)が45〜70質量部、(B)が30〜50質量部、(C)が0.5〜5質量部(但し、(A)、(B)及び(C)の合計は100質量部)であることを特徴とする。
本発明によれば、次のような効果を発揮することができる。
本発明の塗料組成物によれば、塗料組成物が増粘しない塗料安定性に優れた塗料組成物を提供することができる。
また、硬化剤がイソシアネートであって、チオールを含有することによって、可使時間が長い塗料混合物を提供することができる。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本発明は、(A)カルボン酸を0.01〜0.2mol/kg含有するアクリル樹脂、(B)有機シロキサン樹脂及び(C)含フッ素樹脂からなる塗料組成物であって、(A)が45〜70質量部、(B)が30〜50質量部、(C)が0.5〜5質量部(但し、(A)、(B)及び(C)の合計は100質量部)であるものである。塗料組成物に混合する硬化剤が、チオールを含有するイソシアネートである。なお、(A)、(B)及び(C)は不揮発分換算である。
前記した(A)カルボン酸を0.01〜0.2mol/kg含有するアクリル樹脂、(B)有機シロキサン樹脂及び(C)含フッ素樹脂は、各々、個別に重合した高分子からなる樹脂であり、これらを混ぜ合わせることによって前記塗料組成物とするものである。
塗料組成物とは、本明細書において被塗装物の表面に塗って被膜を作り被塗装物を保護等する流動性を有する物質を組成するものをいう。一般に、塗料組成物に流動性を付与するために、塗料組成物は溶媒を含有し、溶媒の種類により、塗料組成物は、水性塗料組成物と有機溶剤塗料組成物とに大別することができる。
硬化剤とは、前記塗料組成物に混合し硬化を促進させる物質をいう。
塗料混合物とは、被塗装物に塗装する直前のものをいい、硬化剤を必要としない塗料組成物にあっては塗料組成物及び希釈材であるシンナー又は水との混合物であり、硬化剤を必要とする塗料組成物にあっては塗料組成物、硬化剤及び希釈材であるシンナー又は水との混合物をいう。
(A)カルボン酸を0.01〜0.2mol/kg含有するアクリル樹脂とは、アクリルである主鎖を形成する単量体の構造単位と、密着性、耐水性、耐候性又は耐汚染性といった機能を付与する官能基を有する単量体の構造単位を有する重合体であって、官能基としてカルボン酸を0.01〜0.2mol/kg含有するものである。カルボン酸が0.01mol/kgを下回るとアクリル樹脂の重合安定性が劣るおそれがある。一方、0.1mol/kgを上回ると(B)有機シロキサン樹脂により塗料組成物の安定性が劣るおそれがある。より好ましくは0.03〜0.1mol/kgであり、最も好ましくは0.04〜0.07mol/kgである。
アクリルである主鎖を形成する単量体の構造単位としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等のα,β−不飽和カルボン酸エステル単量体などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。なお、(メタ)アクリルは、アクリルとメタクリルの総称である。また、本発明の効果を発揮する範囲内であれば、スチレン、α−メチルスチレンおよびビニルトルエン等の芳香環含有不飽和単量体を含んでも構わない。
官能基を有する単量体の構造単位としては以下に記載するものがある。
水酸基を有するものとして、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピルなどを用いることができるが、これらに限定されるものではない。これらは、塗料組成物に別途添加する硬化剤としてのイソシアネートと反応することによってウレタン結合を生じることができる。
カルボン酸含有単量体として、(メタ)アクリル酸、ジ(メタ)アクリル酸などを用いることができるが、これらに限定されるものではない。これらも、塗料組成物に被塗装物への密着性を向上することができる。
アミノ基を有するものとして、(メタ)アクリル酸2−アミノエチル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリルなどを用いることができるが、これらに限定されるものではない。これらは、塗料組成物に被塗装物への密着性を向上することができる。
重合の方法は、特に制限されるものではなく、公知の重合方法を使用することができる。一例をあげると、重合反応が進行する反応器に媒体として有機溶媒(芳香族系溶媒及び/又は脂肪族系溶媒)を入れて、該反応器に、前記単量体成分と重合開始剤溶液を滴下して行うことができる。
重合反応中の反応器媒体は、共重合体の凝集物が発生しないようにミキサーなどで常に撹拌し、重合反応が効率良く進行するように重合反応温度を100〜150℃に調整することが好ましい。
前記単量体成分と重合開始剤溶液は、120〜240分かけて反応器中の媒体に滴下し重合させることが好ましい。なお、滴下重合後に120分程反応器中の温度を80〜90℃に保ち後重合することが好ましい。反応器中に残った単量体を減らすことができるためである。
なお、単量体の配列としては、特に制限されるものではなく、グラフト状、ブロック状、ランダム状の何れであってもよい。
重合開始剤とは、単量体の重合を開始させるためのラジカルを発生するために加えられる化合物である。
重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩などの無機系重合開始剤、クメンハイドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイドなどのハイドロパーオキサイド類、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどのパーオキサイド類、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ化合物類などの有機系重合開始剤を使用することができるが、これらに限定されるものではない。これらの中でも、前記有機溶媒に可溶な有機系重合開始剤が好んで使用することができる。重合開始剤の使用量は、単量体成分100質量部に対し、好ましくは0.1〜1.5質量部の使用である。0.1を下回ると重合が不十分となるおそれがある。一方、1.5質量部を上回ると塗料から形成される塗膜の耐水性が劣る恐れがある。より好ましくは0.2〜1.0質量部であり、最も好ましくは0.3〜0.5質量部である。
(B)有機シロキサン樹脂とは、上記のアクリルである主鎖を形成する単量体中におけるアクリル鎖の側鎖または片末端、もしくは両末端部位がシリコーン変成している単量体の共重合体をいう。
シリコーン変成している単量体として、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、β−シアノエチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、γ−アシノプロピルトリエトキシシラン、4−アシノブチルトリエトキシシラン、p−アミノフェニルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノメチルフェネチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリクロロシラン、(p−クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン、4−クロロフェニルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。シリコーン変成している単量体は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、アクリルである主鎖を形成する単量体との併用であっても良い。
重合の方法は、特に制限されるものではなく、上記同様に公知の重合方法を使用することができる。
また、既製品として、東亜合成社製「サイマック」(登録商標)シリーズ、出光興産社製「AG」シリーズ、カネカ社製「ゼムラック」(登録商標)シリーズ、信越シリコーン社製シリコーンレジン「KR」シリーズ等を使用することができるが、これらに限定されるものではない。
含フッ素樹脂とは、上記のアクリルである主鎖を形成する単量体を有する含フッ素単量体の重合物である。
含フッ素単量体として、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロブテン−1、パーフルオロヘキセン−1、パーフルオロノネン−1、クロロトリフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニリデンなどのフルオロオレフィン類;パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)、パーフルオロ(ヘプチルビニルエーテル)などのパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)類;(パーフルオロメチル)エチレン、(パーフルオロブチル)エチレンなどの(パーフルオロアルキル)エチレン類等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。含フッ素単量体は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、アクリルである主鎖を形成する単量体との併用であっても良い。該含フッ素単量体としては、炭素数2〜3のフルオロオレフィン類が好ましく、特にテトラフルオロエチレン、クロロトリフルオロエチレン、フッ化ビニリデンなどのフルオロエチレン類が好ましい。
重合の方法は、特に制限されるものではなく、上記同様に公知の重合方法を使用することができる。
含フッ素樹脂として、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレン・エチレン共重合体(ETFE)、ポリビニリデンフルオライド(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)、テトラフルオロエチレン・パーフルオロ[2−(フルオロサルフォニルエトキシ)プロピルビニルエーテル]共重合体等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
既製品として、旭硝子社製「ルミフロン」(登録商標)シリーズ、大日本インキ化学工業社製「フルオネート」(登録商標)シリーズ、セントラル硝子社製「セフラルコート」(登録商標)シリーズ、東亜合成社製「ザフロン」(登録商標)シリーズ、ダイキン工業社製「ゼッフル」(登録商標)シリーズ等を使用することができるが、これらに限定されるものではない。
塗料組成物中の、(A)カルボン酸を0.01〜0.1mol/kg含有するアクリル樹脂、(B)有機シロキサン樹脂及び(C)含フッ素樹脂の含有量は、(A)が45〜70質量部、(B)が30〜50質量部、(C)が0.5〜5質量部(但し、(A)、(B)及び(C)の合計は100質量部)であることが好ましい。
(A)の含有量は、好ましくは45〜70質量部である。45を下回ると塗料組成物中の官能基の量が少なくなり被塗装物への密着性が不十分となるおそれがある。一方、70質量部を上回ると塗料組成物の粘度が上昇して塗料安定性が劣る恐れがある。より好ましくは55〜68質量部であり、最も好ましくは60〜65質量部である。
(B)の含有量は、好ましくは30〜50質量部である。30を下回ると塗料から製膜した塗膜の耐汚染性が不十分となるおそれがある。一方、50質量部を上回ると塗料組成物の粘度が上昇して塗料安定性が劣る恐れがある。より好ましくは33〜45質量部であり、最も好ましくは35〜40質量部である。
(C)の含有量は、好ましくは0.5〜5質量部である。0.5を下回ると塗料から製膜した塗膜の耐候性向上効果が不十分となるおそれがある。一方、5質量部を上回ると塗料から製膜した塗膜の耐汚染性が劣る恐れがある。より好ましくは0.8〜3質量部であり、最も好ましくは1〜2質量部である。
硬化剤とは、本発明の塗料組成物に加えることによって硬化を促進するものである。具体的には、イソシアネートを含有するものであり、必要に応じて有機溶媒(芳香族系溶媒及び/又は脂肪族系溶媒)、チオール、防腐剤、消泡剤などを添加することができる。
イソシアネートとは、イソシアネート基を持つ化合物である。イソシアネートのイソシアネート基と前記(A)、(B)又は(C)の水酸基とはウレタン結合を形成する。ウレタン結合を形成することにより塗料組成物から生じる塗膜の耐水性を向上させることができる。
イソシアネートは、分子中に有するイソシアネート基の数によって、1官能型、2官能型及び3官能型がある。これらの中でも、塗膜中の重合体を立体網目構造とすることができ、塗膜の耐水性に勝る3官能型のイソシアネートが好ましい。3官能型のイソシアネートには、イソシアヌレート、ビウレット及びアダクトがある。これらの中でもより塗膜の耐水性に勝るイソシアヌレートがより好ましい。
チオールとは、水素化された硫黄を末端に持つ有機化合物であり、アルキルチオール、メルカプタンとも呼ばれる。
硬化剤がチオールを含有していることにより、塗料組成物と硬化剤とを混合した塗料混合物の増粘する速度を抑え塗料混合物の可使時間を長くすることができるためである。
チオールにおいて、アルキル基又はアルキレン基の硫黄と結合する炭素原子は、第2級炭素原子(該炭素原子に結合している炭素原子が2つであるもの。)又は第1級炭素原子(該炭素原子に結合している炭素原子が1つであるもの。)であることが好ましく、第1級炭素原子であることがより好ましい。アルキルチオールの水素原子が水素イオン(H)となりやすく、該水素イオンがウレタン結合を形成する速度を抑え塗料の可使時間を長くすることができると考えられるからである。
アルキルチオールの分子量は500〜50であることが好ましい。分子量が500を上回ると、アルキルチオールは流動性が無くなったり固体になったり、塗料組成物製造の際に取り扱いが困難になるおそれがある。一方、50を下回ると、アルキルチオールは悪臭を有するものであり、揮発しやすくなることによって、塗料組成物の製造及び使用の際に取扱いが困難となるおそれがある。より好ましくは分子量が300〜100であり、最も好ましくは分子量が250〜150である。
(A)、(B)及び(C)の樹脂を混合することによって本発明の塗料組成物を得ることができる。本発明の塗料組成物には、必要に応じて防腐剤、消泡剤などを添加することができる。
本発明の塗料組成物は、硬化剤と必要により希釈材を加えることによって塗料混合物となる。塗料組成物と硬化剤とを塗装直前に混合し、被塗装物に塗装し、塗料混合物が硬化することによって塗料被膜を得ることができる。
次に、上記のように構成された塗料組成物の作用について説明する。
塗料組成物は、(C)含フッ素樹脂を含有することによって、塗膜の耐候性を向上させることができる。塗料組成物は、(B)有機シロキサン樹脂を含有することによって、塗膜の耐汚染性を向上させることができる。塗料組成物は、(A)アクリル樹脂のカルボン酸の含有量が0.01〜0.2mol/kgであることによって、塗料組成物の塗料安定性を向上させることができる。
以下に、実験例を挙げて、前記実施形態をさらに具体的に説明する。なお、実験例1〜5、7、9〜18及び20〜28は実施例であり、実験例6、8及び19は比較例である。
(A)カルボン酸を0.01〜0.2mol/kg含有するアクリル樹脂は、表1に記載の配合量で作成した。
Figure 0006436696
単量体は以下のものを用い、表中では単量体の略称を用いた。以下に単量体の名称及び略称並びにTgを記載する。アクリルである主鎖を形成する単量体の構造単位であるα,β−不飽和カルボン酸エステル単量体として、メタクリル酸メチル(MMA 105℃)、アクリル酸ブチル(BA −55℃)、アクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA −70℃)及びメタクリル酸シクロヘキシル(CHMA 83℃)。芳香環を含有する主鎖を形成する単量体の構造単位として、スチレン(St 100℃)及びα−メチルスチレン(MSt 175℃)。官能基を有する単量体として、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル(HPMA 76℃)、アクリル酸2−ヒドロキシエチル(2HEA −15℃)及びアクリルアミド(アクリルアミド 165℃)。カルボン酸を有する単量体として、アクリル酸(AA 106℃)、メタクリル酸(MAA 227℃)及びジメタクリル酸(DMAA 227℃)。
開始剤としてt-ブチルパーオクトエート、脂肪族系溶媒としてターペンを用い、以下の手順で重合体組成物を作成した。
反応器媒体が125℃になるように反応器をヒーターで加熱した。単量体成分と重合開始剤は、180分かけて反応器水性媒体に連続滴下して、反応器の中で単量体成分を重合した。滴下中は凝集物の発生を抑制するためミキサーで常に撹拌した。単量体成分と重合開始剤の連続添加終了後120分間90℃で後重合した。反応器中で重合した重合体から凝集物等の不純物をろ過により取り除き、重合体組成物とした。
塗料組成物及び硬化剤は、実験例の表2〜表6に記載の配合量で混合した。
(B)有機シロキサン樹脂には以下のものを使用した。B−1:東亜合成社製サイマックUS−120、B−2:信越シリコーン社製シリコーンレジンKR−5230、B−3:旭化成ワッカーシリコン社製WACKERSILICATETENS40WN。
(C)含フッ素樹脂には以下のものを使用した。C−1:大日本インキ社製フルオネートK−700、C−2:東亜合成社製ザフロンSZ−10、C−3:ダイキン工業社製ゼッフルGK−580。
塗料組成物と硬化剤とを混合し、塗料混合物とし、試験体や被塗装物にスプレー等で塗装、乾燥することによって、塗膜である塗装物を得た。得られた塗料組成物又は塗料混合物について、塗料組成物の性能として、重合安定性及び塗料安定性、並びに、塗料混合物又は塗膜の性能として、密着性、耐汚染性、耐候性及びポットライフを下記の方法に従って測定した。
密着性の試験体は、JIS K 5600−5−6(1999)付着性(クロスカット法)の試験体に従い、JIS K 5600−1−4(2004)試験用標準試験板5.8繊維強化セメント板に塗料を乾燥膜厚でおよそ80μmとなるように塗装し乾燥させ試験体とした。
耐汚染性及び耐候性の試験体は、IS A 6909(20)、7.18.1 耐候性試験A法の試験体に従い、150×50mmの厚さ4mmのフレキシブル板(繊維強化セメント板)に塗料を乾燥膜厚でおよそ80μmとなるように塗装し乾燥させ試験体とした。
重合安定性:樹脂の重合の際に発生した凝集物を重量割合で確認した。そして、0.1重量%未満を◎、0.5重量%未満を○、1.0重量%未満を△、1.0重量%を超える場合を×として評価した。
塗料安定性:JIS K 5600−2−7(1999)、7.加温安定性で評価した。試料を容器に入れて密封し、温度35℃で3か月間保存した後、室温に戻し容器の中の状態を確認した。そして、粘度測定値が試験開始前と比較して±20%以内であり、樹脂の沈降がない場合を◎、粘度測定値が試験開始前と比較して±20%を超えるが樹脂の沈降がない場合を○、樹脂の沈降があり撹拌することにより一様になる場合を△、樹脂の沈降があり撹拌しても一様にならない場合を×として評価した。
密着性:JIS K 5658(2010)建築用耐候性上塗り塗料7.11付着性(クロスカット法)で評価した。試験体は、同JISに従い、150×70mmの厚さ4mmのフレキシブル板に塗料を乾燥膜厚でおよそ80μmとなるように塗装し乾燥させ試験体とした。そして、試験結果は、JIS K 5600−5−6(1999)付着性(クロスカット法)の分類にて、分類0又は1を◎、分類2を○、分類3を△、分類4又は5を×として評価した。
耐汚染性:JIS K 5658(2010)建築用耐候性上塗り塗料7.17屋外曝露耐候性に従い、岐阜県各務原市で12か月間屋外曝露耐候性試験を行い、試験を行わない控え板との色差をJIS K 5600−4−6(1999)、3.2CIELAB色差式を用いる色差(ΔE ab)で評価した。試験体は、JIS K 5658(2010)付属書Aに従い、300×150mmの厚さ4mmのフレキシブル板に塗料を乾燥膜厚でおよそ80μmとなるように塗装し乾燥させ試験体とした。そして、ΔE abが、3未満を◎、5未満を○、10未満を△、10を超える場合を×として評価した。
耐候性:JIS K 5658(2010)建築用耐候性上塗り塗料7.16促進耐候性に従い、評価した。試験体は、同JISに従い、150×70mmの厚さ4mmのフレキシブル板に塗料を乾燥膜厚でおよそ80μmとなるように塗装し乾燥させ試験体とした。そして、同試験の判定が、1級を◎、2級を○、3級を△、3級に満たない場合を×として評価した。
ポットライフ:JIS K 5658(2010)建築用耐候性上塗り塗料7.7ポットライフに従い、可使時間を評価した。塗料を同JISに従い、容器に入れてふたをして保持装置に入れ養生し、可使時間を測定した。そして、可使時間が、5時間以上を◎、3時間以上を○、0.5時間以上を△、0.5時間に満たない場合を×として評価した。
(実験例1〜8)
実験例1〜8は、表2に示すように表1に記載の(A)アクリル樹脂を代えたものである。密着性、耐汚染性及び耐候性に優れる結果が得られたが、カルボン酸含有単量体の含有量の多いアクリル樹脂(A−7)を用いた実験例6では塗料安定性が劣る結果になった。また、アクリルアミドを含有するアクリル樹脂(A−9)を用いた実験例7は塗料安定性が劣る結果になった。
なお、実験例3が最良の実験例である。
Figure 0006436696
(実験例9〜12)
実験例9〜12は、表3に示すように(B)有機シロキサン樹脂及び(C)含フッ素樹脂を代えたものである。塗料安定性、密着性、耐汚染性及び耐候性に優れる結果が得られた。
Figure 0006436696
(実験例13〜18)
実験例13〜18は、表4に示すように(A)アクリル樹脂及び(B)有機シロキサン樹脂の配合量を代えたものである。
(A)アクリル樹脂の配合量が少ない実験例13では、塗料組成物中のカルボン酸の量が少なくなり被塗装物への密着性がやや悪くなった。一方、実験例18では、塗料組成物中のカルボン酸の量が多くなり塗料組成物の粘度がやや上昇した。
(B)有機シロキサン樹脂の配合量が少ない実験例18では、塗料組成物中の有機シロキサン樹脂の量が少なくなり耐汚染性がやや悪くなった。一方、実験例13では、塗料組成物中の有機シロキサン樹脂の量が多くなり塗料組成物の粘度がやや上昇した。
Figure 0006436696
(実験例19〜25)
実験例19〜25は、表5に示すように(C)含フッ素樹脂の配合量を代えたものである。
(C)含フッ素樹脂の配合量がない実験例19では、耐候性向上効果が不十分であった。一方、実験例25では、塗料組成物中の含フッ素樹脂の量が多くなり塗膜の耐汚染性がやや悪化した。
Figure 0006436696
(実験例26〜28)
実験例26〜28は、表6に示すように硬化剤のメルカプタンを配合量を代えたものである。
硬化剤にメルカプタンが含まれていない実験例26では、塗料の可使時間が短かった。
Figure 0006436696

Claims (1)

  1. (A)カルボン酸を0.01〜0.2mol/kg含有するアクリル樹脂、(B)有機シロキサン樹脂及び(C)含フッ素樹脂からなる塗料組成物であって、(A)が45〜70質量部、(B)が30〜50質量部、(C)が0.5〜5質量部(但し、(A)、(B)及び(C)の合計は100質量部)であることを特徴とする塗料組成物。
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