JP2009079075A - コーティング剤 - Google Patents

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JP2009079075A JP2007247331A JP2007247331A JP2009079075A JP 2009079075 A JP2009079075 A JP 2009079075A JP 2007247331 A JP2007247331 A JP 2007247331A JP 2007247331 A JP2007247331 A JP 2007247331A JP 2009079075 A JP2009079075 A JP 2009079075A
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貴子 持田
Yoshio Yoshida
良夫 吉田
Akiyuki Mori
昭如 森
Makoto Mori
誠 毛利
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Abstract

【課題】クロム化合物を含有することなく、鋼材への密着性及び耐水性に優れ、防錆剤として使用できるコーティング剤を提供する。
【解決手段】(A)アルコキシシリル基を含有し、エチレン性二重結合を有する単量体を含んで成る重合性単量体を乳化重合して得られるエマルジョンと、(B)ケイ酸塩を含み、(A)エマルジョンから形成される皮膜の吸水率が35%以下であるコーティング剤である。コーティング剤が、(C)アミノ基を有するシランカップリング剤を含む場合、基材密着性がより向上する。本発明のコーティング剤は、防錆剤に好適に使用することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、防錆性能を有するコーティング剤、特にクロム化合物を含有することなく、金属の腐食を防止できるコーティング剤に関する。
鋼材の防食を目的とする表面処理方法としては、亜鉛又は亜鉛系合金のメッキが一般的である。亜鉛又は亜鉛系合金のメッキは、亜鉛が鋼材よりもイオン化傾向が高いため、鋼材より先に亜鉛が酸化されて酸化亜鉛となることによって、鋼材の腐蝕を防ぐ、いわゆる犠牲防食法に基づくメッキである。このような犠牲防食法に基づくメッキは、メッキをした初期の亜鉛が十分にある状態では、高い防食性を発現するが、時間とともに亜鉛が酸化されて酸化亜鉛となることによって亜鉛が消費されるので、長期的には防食性が低下するという問題点がある。さらに、一般的にメッキによる処理方法は、鋼材とメッキ層の密着性が不十分なので、摩擦によってメッキ層が容易に欠落し、メッキが欠落した部分から腐蝕が進行するという問題点がある。最近は、高い防食性能が要求されるようになり、従来のメッキ法に変わる防食方法が用いられている。
特許文献1は、鋼材表面上に多孔質の鉄−亜鉛合金被膜を特定の割合で形成した後、水系クロメート処理を行う鋼材の表面処理方法を開示する。特許文献1記載の処理方法は、従来の亜鉛系メッキ法に比較し、高い防食性能を有することから、幅広く利用されてきた。しかし、特許文献1記載の水系クロメート処理液は、6価クロムを含有するので、環境への影響が懸念される。更に6価クロムは人体に有害であり、例えば肝臓不全、皮膚潰瘍、鼻炎及び喘息等の原因となり得る。そこで、クロム化合物の使用量を減ずる防錆方法が
検討された。
特許文献2は、6価クロムの使用量が少なく、被覆層から6価クロムがほとんど溶出しない防食被覆組成物を開示する。しかし、特許文献2に記載の防食被覆組成物を用いると、6価クロムを含有する処理液と比較して、防食性能が低いという問題がある。更に、特許文献2の防食被覆組成物は、少量であってもクロム化合物を含有するので、環境への悪影響が心配される。そこで、更にクロム化合物を含有する組成物(処理液等)を用いない鋼材の表面処理方法が検討されている。
特許文献3及び4は、(イ)フェノール性水酸基を有する化合物と、(ロ)シリケート類及びケイ酸塩類から選択される少なくとも一種のシロキサン結合を有する化合物及び/又はそれらの縮合物等を含む防食被覆組成物を開示する。引用文献3及び4の防食被覆組成物は、(イ)フェノール性水酸基を有する化合の水酸基は鉄と反応して鉄塩となり錯化合物を生成し、酸素透過を低減し酸化を抑制するが、その(イ)化合物は水によって溶出し易いので、(イ)化合物の溶出を防止する被膜を(ロ)シロキサン結合を有する化合物及び/又はそれらの縮合物が形成することによって高い防食性を発現する。引用文献3及び4の防食被覆組成物は、クロム化合物を含まないので環境衛生面では好ましいが、フェノール性水酸基含有化合物を含むので耐水性は十分ではない。
特許文献5は、SiO等の変性ケイ酸塩、アクリルエマルジョン及び耐熱顔料を含有する高温耐食用被覆剤を開示する。しかし、一般的にアクリルエマルジョンは、皮膜の耐水性が十分ではないために、この被覆剤から得られる皮膜の耐水性は充分ではなかった。
特開平8−296053号公報 特開2003−3271号公報 特開2003−328151号公報 特開2004−197151号公報 特開昭56−16560号公報
本発明は、これらの課題を解決するためになされたものであり、クロム化合物を含有することなく、鋼材への密着性及び耐水性に優れ、防錆剤として使用できるコーティング剤を提供することを目的とする。
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、特定の単量体を含んで成る重合性単量体を乳化重合して得られる特定のエマルジョンを含んで成るコーティング剤は、基材密着性及び耐水性の両方が向上し、その結果高い防錆性を発現することを見出し、本発明を完成させるに至った。
即ち、本発明は、一の要旨において、
(A)アルコキシシリル基を含有し、エチレン性二重結合を有する単量体を含んで成る重合性単量体を乳化重合して得られるエマルジョンと、
(B)ケイ酸塩を含有するコーティング剤であって、
(A)エマルジョンから形成される被膜の吸水率が、35%以下であるコーティング剤を提供する。
更に、本発明は、他の要旨において、
(A)アルコキシシリル基を含有し、エチレン性二重結合を有する単量体を含んで成る重合性単量体を乳化重合して得られるエマルジョンと、
(B)ケイ酸塩を含んで成るコーティング剤であって、
乳化重合は、重合性単量体100重量部に対して、乳化剤を0.1〜10重量部用いて行われるコーティング剤を提供する。
また、本発明は、好ましい要旨において、
(A)アルコキシシリル基を含有し、エチレン性二重結合を有する単量体を含んで成る重合性単量体を乳化重合して得られるエマルジョンと、
(B)ケイ酸塩を含んで成るコーティング剤であって、
(A)エマルジョンから形成される被膜の吸水率が、35%以下であり、
乳化重合は、重合性単量体100重量部に対して、乳化剤を0.1〜10重量部用いて行われるコーティング剤を提供する。
本発明の上述の要旨の一の態様として、防錆剤として使用される上述のコーティング剤を提供する。
本発明の上述の要旨の他の態様として、(C)アミノ基を有するシランカップリング剤を、更に含むコーティング剤を提供する。
本発明の上述の要旨の好ましい態様において、(B)ケイ酸塩は、下記式(1)で示される化合物であるコーティング剤を提供する。
MMO・nSiO (1)
(M及びMは、各々独立してアルカリ金属とアンモニウム類のいずれかであり、nは1以上の整数である。)
本発明の上述の要旨の更に好ましい一つの態様として、(A)エマルジョンの固形分100重量部に対し、(B)ケイ酸塩を1〜50重量部含むコーティング剤を提供する。
本発明の上述の要旨の更に好ましい別の態様として、(A)エマルジョンの固形分の100重量部に対し、(C)シランカップリング剤を1〜50重量部含むコーティング剤を提供する。
尚、本明細書において「エマルジョン」とは、ポリマー粒子が水性媒体中に存在する状態、好ましくは分散する状態を意味し、従って、ポリマー粒子と水性媒体の両方を含む。
また、本明細書において「エマルジョンの固形分」とは、エマルジョンから水性媒体を105℃で3時間蒸発させた残分を意味し、従って、水性媒体を含まない。
本発明のコーティング剤は、
(A)アルコキシシリル基を含有し、エチレン性二重結合を有する単量体を乳化重合して得られるエマルジョンと、
(B)ケイ酸塩を含有して成るコーティング剤であって、
(A)エマルジョンは、そのエマルジョンから形成される被膜の吸水率が35%以下であるコーティング剤なので、
基材密着性及び耐水性の双方に優れ、高い防錆性能を有するものとなる。
更に、本発明のコーティング剤は、
(A)アルコキシシリル基を含有し、エチレン性二重結合を有する単量体を含んで成る重合性単量体を乳化重合して得られるエマルジョンと、
(B)ケイ酸塩を含んで成るコーティング剤であって、
乳化重合は、重合性単量体100重量部に対して、乳化剤を0.1〜10重量部用いて行われるコーティング剤なので、
基材密着性及び耐水性の双方に優れ、高い防錆性能を有するものとなる。
また、本発明のコーティング剤は、
(A)アルコキシシリル基を含有し、エチレン性二重結合を有する単量体を含んで成る重合性単量体を乳化重合して得られるエマルジョンと、
(B)ケイ酸塩を含んで成るコーティング剤であって、
(A)エマルジョンから形成される被膜の吸水率が、35%以下であり、
乳化重合は、重合性単量体100重量部に対して、乳化剤を0.1〜10重量部用いて行われるコーティング剤なので、
基材密着性及び耐水性の双方により優れ、より高い防錆性能を有するものとなる。
従って、本発明のコーティング剤は防錆剤として使用され、鋼材の形状が複雑であっても、均一な被膜を形成して鋼材を完全に覆うことができるので、鋼材、即ち金属の耐食を高いレベルで防止することができる。
また、本発明のコーティング剤は、更に、(C)アミノ基を有するシランカップリング剤を含んで成る場合、鋼材との密着性がさらに向上し、防錆剤としてより優れた性能を示し得る。
本発明のコーティング剤は、(B)ケイ酸塩が下記式(1)で示される化合物を含んで成る場合、錯化合物を生成し、酸素の透過を低減し得るので、基材である金属の酸化を防止することができ、より優れた防錆剤となり得る。
MMO・nSiO (1)
(M及びMは、各々独立してアルカリ金属とアンモニウム類のいずれかであり、nは1以上の整数である。)
本発明のコーティング剤は、(A)エマルジョンの固形分100重量部に対し、(B)ケイ酸塩を1〜50重量部含む場合、錯化合物を生成し、酸素の透過を低減することができ、基材である金属の酸化を防止できる。
本発明のコーティング剤は、(A)エマルジョンの固形分100重量部に対し、(C)シランカップリング剤を1〜50重量部含む場合、基材密着性が高くなり、防錆剤として好ましいものとなる。
発明を実施するための形態
本明細書において、「(A)アルコキシシリル基を含有し、エチレン性二重結合を有する単量体を含んで成る重合性単量体を乳化重合して得られるエマルジョン」は、単独重合体であっても、共重合体であっても差し支えない。
即ち、(A)エマルジョンは、「(a1)アルコキシシリル基を含有し、エチレン性二重結合を有する単量体」(以下「(a1)単量体」ともいう)の単独重合体、若しくは、(a1)単量体と「(a2)その他のエチレン性二重結合を有する単量体」(以下「(a2)単量体」ともいう)との共重合体のいずれであってもよい。
更に、本発明の一の要旨においては、(A)エマルジョンから形成される皮膜が、23℃の水中に7日間浸漬されたときの吸水率が35%以下となるものである。吸水率が35%を超える場合、コーティング剤を基材に塗工しても、基材を水から保護することが困難となり得る。
また、本発明の他の要旨においては、(A)エマルジョンは、乳化重合が、重合性単量体100重量部に対して、乳化剤を0.1〜10重量部用いて行われるものである。乳化剤が0.1重量部未満の場合、機械的安定性及び重合安定性が悪く成り得、乳化剤が10重量部を超えると、耐水性が低下し得る。
更に、本発明の好ましい要旨においては、
(A)エマルジョンから形成される被膜の吸水率が、35%以下であり、
乳化重合は、重合性単量体100重量部に対して、乳化剤を0.1〜10重量部用いて行われるものである。
本明細書においては、エマルジョンから形成される被膜の吸水率とは、以下に記載の方法で測定される。
(A)エマルジョンを乾燥して皮膜を造り、この皮膜を所定の大きさに切り、23℃の蒸留水に7日間浸漬した。この浸漬前後の皮膜の重量を測定し、さらにこの皮膜を105℃で3時間乾燥させた。吸水率の算出は、式(1)を利用した。
吸水率(%)=(W1−W2)×100/W2
浸漬後の皮膜の重量:W1
浸漬後に乾燥させた皮膜の重量:W2
本明細書において「(a1)アルコキシシリル基を含有し、エチレン性二重結合を有する単量体」(以下「(a1)単量体」ともいう)とは、主に(A)エマルジョンの重合体内部又は(A)エマルジョンの重合体同士の間に架橋構造を形成し、本発明のコーティング剤から得られる皮膜の耐水性、基材密着性等の向上に寄与し得る化合物をいう。
「エチレン性二重結合」とは、重合反応(ラジカル重合)し得る炭素原子間の二重結合をいう。そのようなエチレン性二重結合を有する官能基として、例えば、ビニル基(CH=CH−)、(メタ)アリル基(CH=CH−CH−及びCH=C(CH)−CH−)、(メタ)アクリロイルオキシ基(CH=CH−COO−及びCH=C(CH)−COO−)、及び−COO−CH=CH−COO−等を例示できる。
尚、本明細書では、後に(a1)単量体、(a2)単量体を説明する際に用いる記載であるが、アクリル酸及びメタクリル酸を総称して「(メタ)アクリル酸」といい、アクリル酸エステルとメタクリル酸エステルを総称して「(メタ)アクリル酸エステル」又は「(メタ)アクリレート」という。アリル基及びアクリロイルオキシ基についても同様である。
「アルコキシシリル基」とは、加水分解することによってケイ素に結合するヒドロキシル基(Si−OH)を与えるケイ素含有の官能基、例えば、トリメトキシシリル基、トリエトキシシリル基、ジメトキシシリル基、ジエトキシシリル基、モノメトキシシリル基、モノエトキシシリル基、トリイソプロポキシシリル基、ジイソプロポキシシリル基及びモノイソプロポキシシリル基等のアルコキシシリル基を例示できる。
本発明では、(a1)アルコキシシリル基を含有し、エチレン性二重結合を有する単量体として、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、ビニルトリイソプロポキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン及びビニルトリス(メトキシエトキシ)シラン等を例示することができる。
これらの(a1)アルコキシシリル基を含有しエチレン性二重結合を有する単量体は、(A)エマルジョンの性質に応じて適宜選択することができ、単独で又は組み合わせて使用することができる。
(A)エマルジョンが単独重合体の場合、重合性単量体は、実質的に(a1)単量体であり、(A)エマルジョンが共重合体の場合、重合性単量体は、(a1)単量体及び(a2)単量体の混合物であり、各々乳化重合する。(a1)単量体は、重合性単量体(又は反応混合物)中に0.1〜20重量%含まれることが好ましく、0.5〜15重量%含まれることがより好ましく、0.5〜10重量%含まれることが特に好ましい。
本明細書において「(a2)その他のエチレン性二重結合を有する単量体」(以下「(a2)単量体」ともいう)とは、上述の(a1)以外のエチレン性二重結合を有する単量体であって、上述の(a1)と乳化重合できる単量体をいい、目的とする(A)エマルジョンの特性に応じて適宜使用することができる。「エチレン性二重結合」については、上述の通りである。
このような「(a2)その他のエチレン性二重結合を有する単量体」としては、
例えば、
(a2−1)メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、及びシクロヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル類((メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル類を含む);
(a2−2)(メタ)アクリル酸グリシジル等のエポキシ基を有する(メタ)アクリル酸エステル類;
(a2−3)アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸、マレイン酸の半エステル等のカルボキシル基及びエチレン性二重結合を有する化合物、並びにカルボン酸塩基及びエチレン性二重結合を有する化合物;
(a2−4)アクリルスルホン酸、メタクリルスルホン酸、2−アクリロイルアミノ−2−メチルプロパンスルホン酸、2−メタクリロイルアミノ−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸等のスルホン酸基及びエチレン性二重結合を有する化合物、並びにスルホン酸塩基及びエチレン性二重結合を有する化合物;
(a2−5)(メタ)アクリル酸オキシエチルアミドフォスフェート等のリン酸基及びエチレン性二重結合を有する化合物、並びにリン酸塩基及びエチレン性二重結合を有する化合物;
(a2−6)スチレン及びビニルトルエン等のスチレン及びスチレンの誘導体類;
(a2−7)エチレン等のアルケン類、並びにブタジエン、イソプレン等のジエン類;
(a2−8)酢酸ビニル及びプロピオン酸ビニル等のビニルエステル化合物類;
(a2−9)塩化ビニル及び塩化ビニレン等の塩素化されたビニル化合物類;
(a2−10)アクリロニトリル等のシアノ基を有するエチレン性炭素原子間二重結合を有する化合物類;
が例示される。
(A)エマルジョンは、(a1)単量体を含んで成る重合性単量体を乳化重合して得られる。重合性単量体が、(a2)を含んで成る場合、上述したように重合性単量体は、単量体の混合物であり、それを乳化重合することで、(A)エマルジョンを得ることができる。
本発明では、(A)エマルジョンは、(a1)単量体を0.1〜20重量部、(a2)単量体を80〜99.9重量部含んで成る重合性単量体を乳化重合して得ることが好ましく、(a1)単量体を0.5〜15重量部、(a2)単量体を85〜99.5重量部含んで成る重合性単量体を乳化重合して得ることがより好ましく、(a1)単量体を0.5〜10重量部、(a2)単量体を90〜99.5重量部含んで成る重合性単量体を乳化重合して得ることが特に好ましい。
更に、本発明では、(A)エマルジョンは、
(a1)単量体を0.1〜20重量部、(a2)単量体として(a2−1)(メタ)アクリル酸アルキルエステル類((メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル類を含む)(以下「(a2―1)単量体」ともいう)を70〜99.6重量部及び(a2−3)カルボキシル基及びエチレン性二重結合を有する化合物及び/又はカルボン酸塩基及びエチレン性二重結合を有する化合物(以下「(a2−3)単量体」ともいう)を0.3〜10重量部含んで成る重合性単量体を乳化重合して得ることが好ましく、
(a1)単量体を0.5〜15重量部、(a2−1)単量体を82〜99重量部及び(a2−3)単量体を0.5〜3重量部を含んで成る重合性単量体を乳化重合して得ることがより好ましく、
(a1)単量体を0.5〜10重量部、(a2−1)単量体を87〜99重量部及び(a2−3)単量体を0.5〜3重量部含んで成る重合性単量体を乳化重合して得ることが特に好ましい。
本発明では、(a1)単量体として、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン及びビニルトリイソプロポキシシランが特に好ましい。
(a2−1)単量体として、ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、メチルメタクリレート、ブチルアクリレート、エチルアクリレート及びメチルアクリレートが特に好ましい。
(a2−3)単量体として、アクリル酸及びメタクリル酸が特に好ましい。
本発明では、(A)エマルジョンを得るために、特に「(a1)アルコキシシリル基を含有しエチレン性二重結合を有する単量体」としてγ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランを0.5重量部、「(a2)その他のエチレン性二重結合を有する単量体」として、ブチルメタクリレートを20重量部、2−エチルヘキシルアクリレートを38重量部、シクロヘキシルメタクリレートを20重量部、メチルメタクリレートを19.5重量部、アクリル酸を2重量部、更に後述する反応性乳化剤のアクアロンKH−10(第一工業製薬(株)製)を2重量部用いることが好ましい。
(A)エマルジョンから得られる被膜のガラス転移温度(Tg)は、−50〜100℃であることが好ましく、耐水性、基材密着性のより高い(A)エマルジョンを得るには、特に(A)エマルジョンから得られる被膜のガラス転移温度が−30〜50℃であることが好ましい。
本発明では、被膜のガラス転移温度とは、示差操作熱量計(具体的には、エスアイアイナノテクノロジー(株)製のSIIナノテクノロジーDSC6220)を用いて、5〜10mgの試料のDSC曲線を、5℃/分の昇温速度で測定し、得られたDSC曲線の変曲点の温度をいう。
乳化重合は、通常の方法を使用して、水性媒体中で適宜触媒等を用いて行うことができる。ここで「水性媒体」とは、主に蒸留水、イオン交換水、及び純水等のいわゆる水をいうが、水溶性の有機溶剤、例えば、アセトン及び低級アルコール等を適宜含むことができる。
重合性単量体を乳化重合するために当業者に公知の乳化剤を使用できる。反応温度、反応時間、水性溶媒の種類、単量体混合物の種類及び濃度、攪拌速度、並びに重合開始剤の種類及び濃度等の重合反応の条件は、目的とするエマルジョンの特性等によって、適宜選択され得るものである。
「乳化剤」として、当業者に公知の界面活性剤を使用できる。
乳化剤はモノマー乳化力を有し、乳化重合の過程ではミセルを形成してモノマーに重合の場を提供し、重合中又は重合後はポリマー粒子の表面に固定化して粒子の分散安定性を図る。乳化剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性界面活性剤、高分子界面活性剤等を例示できる。
また、耐水性、耐アルカリ性、及び防水性の向上のために乳化剤の一分子内にエチレン性二重結合を有する「反応性界面活性剤」を使用することが好ましい。
アニオン系界面活性剤として、例えば、
ナトリウムドデシルサルフェート、カリウムドデシルサルフェート等のアルカリ金属アルキルサルフェート;
ナトリウムドデシルポリグリコールエーテルサルフェート;
アンモニウムドデシルサルフェート等のアンモニウムアルキルサルフェート;
ナトリウムスルホシノエート;
スルホン化パラフィンのアルカリ金属塩、スルホン化パラフィンのアンモニウム塩等のアルキルスルホネート;
ナトリウムラウレート、トリエタールアミンオレエート、トリエタールアミンアビエテート等の脂肪酸塩;
ナトリウムドデシルベンゼンスルホネート、アルカリフェノールヒドロキシエチレンのアルカリ金属サルフェート等のアルキルアリールスルホネート;
高アルキルナフタレンスルホン酸塩;
ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物;
ジアルキルスルホコハク酸塩;
ポリオキシエチレンアルキルサルフェート塩;
ポリオキシエチレンアルキルアリールサルフェート塩
等を例示できる。
本発明においては、アニオン系界面活性剤としては、ジアルキルスルホコハク酸塩(ナトリウム塩)であるペレックスOT-P(花王(株)社製)が好適である。
ノニオン系界面活性剤として、例えば、
ポリオキシエチレンアルキルエーテル;
ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル;
ソルビタン脂肪酸エステル;
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル;
グリセロールのモノラウレート等の脂肪酸モノグリセライド;
ポリオキシエチレンオキシプロピレン共重合体;
エチレンオキサイドと脂肪族アミン、アミド又は酸との縮合生成物
等を例示できる。
カチオン系界面活性剤として、例えば、
モノアルキルアンモニウム塩、ジアルキルアンモニウム塩、エチレンオキサイド付加型アルキルアンモニウム塩等を例示できる。
両性界面活性剤として、例えば、
アミドプロピルベタイン、アミノ酢酸ベタイン等を例示できる。
高分子界面活性剤として、例えば、
ポリ(メタ)アクリル酸ナトリウム、ポリ(メタ)アクリル酸カリウム、ポリ(メタ)アクリル酸アンモニウム;
ポリ(メタ)アクリレート等を例示できる。
更に、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、水溶性ポリウレタン樹脂、水溶性アクリル樹脂、ポリビニルピロリドン系樹脂、並びにポリビニルアルコール等を例示できる。
反応性界面活性剤として、例えば、ポリオキシエチレンアリルグリシジルノニルフェニルエーテルの硫酸エステル塩(アデカリアソープSEシリーズ、旭電化工業社製)、α−スルホ−ω−(1−(アルコキシ)メチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ)−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)のアンモニウム塩(アデカリアソープSRシリーズ、旭電化工業社製)、ポリオキシエチレン(又はアルキレン)アルキル(又はアルケニル)エーテル硫酸アンモニウム塩(PDシリーズ、花王社製)、スルホコハク酸型反応性活性剤(ラテムル180シリーズ、花王社製)、アルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム塩(エレミノールJS−2、三洋化成工業社製)、ポリオキシエチレンノニルプロペニルフェニルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(アクアロンHSシリーズ、第一工業製薬社製)、ポリオキシエチレン−1−(アリルオキシメチル)アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(アクアロンKHシリーズ、第一工業製薬社製)、ポリオキシエチレンアリルグリシジルノニルフェニルエーテル(アデカリアソープNEシリーズ、旭電化工業社製)、ポリオキシエチレンノニルプロペニルエーテル(アクアロンRNシリーズ、第一工業製薬社製)、α−ヒドロ−ω−(1−(アルコキシ)メチル−2−(プロペニルオキシ)エトキシ)−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)(アデカリアソープERシリーズ、旭電化工業社製)等を例示できる。
これらは単独で又は2種以上併せて用いられる。これらの中でも、アルキルアリルスルホコハク酸ナトリウム塩(エレミノールJS−2、三洋化成工業社製)、アルキルエーテル硫酸エステルアンモニウム塩(アクアロンKHシリーズ、第一工業製薬社製)が好ましい。
上述の重合性単量体の乳化重合は、重合性単量体100重量部に対して、乳化剤を0.1〜10重量部用いて行うことが好ましく、0.3〜10重量部用いて行うことがより好ましい。乳化剤が0.1重量部未満の場合、機械的安定性及び重合安定性が悪く成り得、10重量部を超えた場合、耐水性が低下し得る。
「重合開始剤」とは、少量の添加によって単量体の重合反応を起こさせることができる化合物をいい、水性媒体中で使用できるものが好ましい。そのような重合開始剤として、例えば、過酸化水素、水溶性無機過酸化物、並びに水溶性還元剤と水溶性無機過酸化物の組み合わせや水溶性還元剤と有機過酸化物の組み合わせを例示できる。
「水溶性無機過酸化物」として、例えば、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム及び過硫酸アンモニウムを例示できる。
「水溶性還元剤」として、例えば、通常、ラジカル酸化還元重合触媒として用いられる水に可溶性の還元剤を使用できる。そのような還元剤として、例えば、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、硫酸第一鉄、硫酸第一鉄アンモニウム、ピロリン酸第一鉄、スルフィン酸、L−アスコルビン酸とそのナトリウム塩、カリウム塩及びカルシウム塩、エチレンジアミン四酢酸とそのナトリウム塩及びカリウム塩、エチレンジアミン四酢酸もしくはその塩と鉄、銅、もしくはクロム等の重金属との錯化合物、並びに還元糖等を例示できる。
「水溶性有機過酸化物」として、例えば、クメンヒドロペルオキシド、p−サイメンヒドロペルオキシド、t−ブチルイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシド、p−メンタンヒドロペルオキシド、デカリンヒドロペルオキシド、t−アミルヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、イソプロピルヒドロペルオキシドなどのヒドロペルオキシド類を例示できる。
また、乳化重合に際しては、得られる重合体の分子量を調整するために必要に応じて「連鎖移動剤」を使用することができる。連鎖移動剤として、例えば、n−ドデシルメルカプタン、t−ドデシルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、2−エチルヘキシルチオグリコレート、2−メルカプトエタノール、トリクロロブロモメタン等を例示することができる。
本明細書において、(B)ケイ酸塩は、下記式(1)で示される。
MMO・nSiO (1)
ここでM及びMは、各々独立してアルカリ金属とアンモニウム類のいずれかであり、nは1以上の整数である。
具体例として、
ケイ酸リチウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム等のアルカリ金属塩;
メチルトリプロパノールアンモニウムシリケート、ジメチルジプロパノールアンモニウムシリケート等のケイ酸アミン類;
を例示できる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、本発明においては、(B)ケイ酸塩としては、珪酸ソーダ2号 JIS K−1408(セントラル硝子(株) 製)と称されるケイ酸ナトリウムを用いることが好ましい。
本発明では、(C)アミノ基を有するシランカップリング剤は、基材である金属との密着性を向上させるために、場合により、コーティング剤に添加される。
具体的には例えば、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリエトキシシラン、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、東レ・ダウコーニング(株)製Z−6026、同じくZ−6050、3−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業(株)製KBE−9103、KBM−575、KBM−6123が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよいが、本発明においては、(C)シランカップリング剤として、SILQUEST A−1100 SILANE(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)と称される3−アミノプロピルトリエトキシシランを用いることが特に好ましい。
本発明に係るコーティング剤は、(A)エマルジョンの固形分100重量部に対し、(B)ケイ酸塩を1〜50重量部含むことが好ましい。(B)ケイ酸塩が1重量部未満の場合、防錆性能が発揮されず、コーティング剤を金属に塗工しても錆が発生し得る。(B)ケイ酸塩が50重量部を超える場合、多く添加しただけの防錆効果が発揮されないこともある。
本発明に係るコーティング剤は、(A)エマルジョンの固形分100重量部に対し、(C)シランカップリング剤を1〜50重量部含むことが好ましい。(C)シランカップリング剤が1重量部未満の場合、コーティング剤は、複雑な形状の金属への基材密着性が不十分となり得る。C)シランカップリング剤が50重量部を超える場合、添加しただけの、基材密着効果が発揮されないこともある。
更に、本発明のコーティング剤には、本発明の特性を損なわない範囲において、他の添加剤を適量配合して良い。
他の添加剤としては、
硬化を早くする目的で添加される金属アルコキシド等の硬化触媒;
粘度を調整する目的で添加される水、アルコール類、ケトン類、グリコール類等の希釈溶剤;
ガラス、石英、水酸化アルミニウム、アルミナ、カオリン、タルク、炭酸カルシウム、珪酸カルシウム、水酸化マグネシウム等の無機充填剤;
アクリル樹脂粉、エポキシ樹脂粉、ポリエステル樹脂粉等の有機充填剤;
カーボンブラック、ベンガラ、フタロシアニンブルー、クロ−ムイエロー、二酸化チタン等の顔料または染料に代表される着色剤;
その他の金属粉、滑剤、離型剤、界面活性剤、カップリング剤等を例示できるが、これらに限定されるものではない。
本発明に係るコーティング剤は、種々の鋼材に用いることができ、例えば、鉄、亜鉛、アルミ、マグネシウム、銅、その他の遷移金属、およびそれらの合金に利用できる。さらに、予め鋼材表面を亜鉛やアルミ系金属でメッキ処理した鋼材や、リン酸などによる化成処理した鋼材、亜鉛粉末を鋼材に塗布した亜鉛ブラスト鋼材にも利用することができる。防錆効果が高く、鋼材との密着性が優れるといったことから亜鉛粉末を塗布した亜鉛ブラスト鋼材を用いることでより好適に防錆処理することができる。
本発明に係るコーティング剤は、耐水性と基材密着性に優れるため種々の形態の鋼材に用いることができ、例えば、板状鋼材やネジ、バネ等の複雑な形態に成型加工された鋼材に利用することができる。
本発明に係るコーティング剤の塗工方法は、浸漬塗装(ディッピング塗装)、スピンコート、エアスプレー、エアレススプレー、ロールコーター塗装、フローコーター塗装、ローラー塗装、ハケ塗り等を例示できる。ネジやバネ等の複雑な形態の鋼材に用いる場合には、スピンコート法が好適に利用できる。
本発明に係るコーティング剤は、水を代表とする水性溶媒を媒体とする流体の形態を有する。従って、塗装工程上に乾燥工程が必要である。乾燥温度は80℃から250℃で可能である。乾燥温度が80℃以下の場合には、乾燥に時間がかかるために生産性に問題があることとさらには、溶媒成分が塗装皮膜中に残存する可能性があるため好ましくない。また、250℃以上では、エマルジョン成分の熱分解が発生する可能性があるので好ましくない。
本発明に係るコーティング剤の塗装厚みが1μmより薄い場合は、皮膜にクラックや塗装が不均一になる可能性があるため好ましくない、また、20μm以上の厚みに塗装した場合には、乾燥工程で皮膜にクラックが発生する可能性があるため好ましくない。本発明に係るコーティング剤を効果的に使用するためには、1μm〜20μmの塗装厚みがより好ましい。さらに、ネジ等の複雑は形態に加工された鋼材に使用する場合には、鋼材の性能を阻害しない塗装厚みが好ましい。例えば、ネジに使用するためにはネジの凹凸形状を崩さないために、2μm〜10μmの塗装厚みが好ましい。
本発明に係るコーティング剤は、1回の塗装でも防錆効果が得られるが、塗装、乾燥後に再度塗装するような複数回の重ね塗りも可能である。ネジ等の複雑な形態の鋼材に利用するためには、2μ程度の塗装を複数回行い目的の塗装厚みにする方法がより好ましい。
本発明に係るコーティング剤は、単独でも使用できるが、コーティング剤の表面にさらに他のコーティング剤を塗装することも可能であり、例えば、着色、表面強度向上、摩擦力の調整等の目的から各種コーティング剤を塗装することも可能である。
本発明のコーティング剤は、従来のコーティング剤と比較し、耐水性及び基材密着性の少なくとも一つが優れているので、クロム化合物を用いなくても、金属の耐食を防止することが可能となり、防錆剤として優れたものとなる。
本発明の主な態様を以下に示す。
1.
(A)アルコキシシリル基を含有し、エチレン性二重結合を有する単量体を含んで成る重合性単量体を乳化重合して得られるエマルジョンと、
(B)ケイ酸塩を含んで成るコーティング剤であって、
(A)エマルジョンから形成される皮膜の吸水率が35%以下であるコーティング剤。
2.
(A)アルコキシシリル基を含有し、エチレン性二重結合を有する単量体を含んで成る重合性単量体を乳化重合して得られるエマルジョンと、
(B)ケイ酸塩を含んで成るコーティング剤であって、
乳化重合は、重合性単量体100重量部に対して、乳化剤を0.1〜10重量部用いて行われるコーティング剤。
3.
(A)アルコキシシリル基を含有し、エチレン性二重結合を有する単量体を含んで成る重合性単量体を乳化重合して得られるエマルジョンと、
(B)ケイ酸塩を含んで成るコーティング剤であって、
(A)エマルジョンから形成される被膜の吸水率が、35%以下であり、
乳化重合は、重合性単量体100重量部に対して、乳化剤を0.1〜10重量部用いて行われるコーティング剤。
4.
防錆剤として使用される上記1〜3のいずれかに記載のコーティング剤。
5.
(C)アミノ基を有するシランカップリング剤を更に含んで成る上記1〜4のいずれかに記載のコーティング剤。
6.
(B)ケイ酸塩は、下記式(1)で示される化合物である上記1〜5のいずれかに記載のコーティング剤。
MMO・nSiO (1)
(M及びMは、各々独立してアルカリ金属とアンモニウム類のいずれかであり、nは1以上の整数である。)
7.
(A)エマルジョンの固形分100重量部に対し、(B)ケイ酸塩を1〜50重量部含んで成る上記1〜6のいずれかに記載のコーティング剤。
8.
(A)エマルジョンの固形分100重量部に対し、(C)シランカップリング剤を1〜50重量部含んで成る上記1〜7のいずれかに記載のコーティング剤。
以下に本発明を実施例及び比較例を用いて更に詳細に説明するが、これらの例は、本発明を説明するためのものであり、本発明を何ら限定するものではない。
1.(A)エマルジョンの合成
(A−1)アクリル系エマルジョンの合成
「(a1)アルコキシシリル基を含有しエチレン性二重結合を有する単量体」としてγ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランを0.5重量部、「(a2)その他のエチレン性二重結合を有する単量体」として、ブチルメタクリレートを20重量部、2−エチルヘキシルアクリレートを38重量部、シクロヘキシルメタクリレートを20重量部、メチルメタクリレートを19.5重量部、アクリル酸を2重量部、乳化剤としてアクアロンKH−10(第一工業製薬(株)製)を2重量部用い、乳化重合によって(A−1)エマルジョンを得た。(A−1)エマルジョンのガラス転移温度は、0℃であった。
(A−2)アクリル系エマルジョンの合成
「(a1)アルコキシシリル基を含有しエチレン性二重結合を有する単量体」としてγ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランを0.5重量部、ビニルトリイソプロポキシシランを0.4重量部、「(a2)その他のエチレン性二重結合を有する単量体」として、スチレンを20重量部、メチルメタクリレートを25.4重量部、2−エチルヘキシルアクリレートを21.3重量部、グリシジルメタクリレートを1重量部、ジメチルアミノエチルメタクリレートを1.5重量部、ブチルメタクリレートを27重量部、ブチルアクリレートを3重量部、乳化剤としてアデカリアソープER−40(旭電化工業(株)製)を6.0重量部用い、乳化重合によって(A−2)エマルジョンを得た。(A−2)エマルジョンのガラス転移温度は、25℃であった。
(A’−3)アクリル系エマルジョンの合成
「(a1)アルコキシシリル基を含有しエチレン性二重結合を有する単量体」としてγ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシランを0.5重量部、「(a2)その他のエチレン性二重結合を有する単量体」として、ブチルメタクリレートを20重量部、2−エチルヘキシルアクリレートを38重量部、シクロヘキシルメタクリレートを20重量部、メチルメタクリレートを19.5重量部、アクリル酸を2重量部、乳化剤としてアクアロンKH−10(第一工業製薬(株)製)を2重量部、エマルゲンA−500(花王(株))を10重量部用い、乳化重合によって(A−3)エマルジョンを得た。(A−1)エマルジョンのガラス転移温度は、0℃であった。
2.(A)エマルジョンの耐水性評価
<吸水率測定>
(A−1)〜(A’−3)のエマルジョンおよびポリビニルアルコールJP−33(日本酢ビ・ポバール(株)社製)の耐水性を以下の方法で評価した。
試験皮膜の作成
(A−1)〜(A’−3)のエマルジョン、およびポリビニルアルコールJP−33(日本酢ビ・ポバール(株)社製)を適当な容器に乾燥膜厚が2mmとなるように入れ、50℃で1週間乾燥して試験皮膜を得た。これを2cm四方の大きさにカットし、23℃の蒸留水に1週間浸漬した。この浸漬前後の皮膜の重量を測定し、さらにこの皮膜を105℃で3時間乾燥させた。下記式より吸水率を算出した。
吸水率(%)=(W1−W2)×100/W2
浸漬後の皮膜の重量:W1
浸漬後に乾燥させた後の皮膜の重量:W2
吸水率が10%以下の場合は◎、11〜35%の場合は○、36%以上の場合は×とした。
結果は、下記表1に示した。
Figure 2009079075
3.コーティング剤の製造
表2〜3に記載の割合(固形分に換算した重量部により示した)で、下記(B)成分、(C)成分と(A)成分、及びポリビニルアルコールを混合し、実施例1〜9及び比較例1〜5のコーティング剤を作製した。
但し、使用した(B)ケイ酸塩、(C)アミノ基を含有するシランカップリング剤及びポリビニルアルコールは、下記の通りである。
(B)ケイ酸塩
(B-1)けい酸ナトリウム(和光純薬工業(株)製)
(B-2)珪酸ソーダ1号 JIS K−1408(セントラル硝子(株) 製)
(B-3)珪酸ソーダ2号 JIS K−1408(セントラル硝子(株) 製)
(B-4)珪酸ソーダ3号 JIS K−1408(セントラル硝子(株) 製)
(C)アミノ基を含有したシランカップリング剤
SILQUEST A−1100 SILANE(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製:3−アミノプロピルトリエトキシシラン)
ポリビニルアルコール
ポリビニルアルコールJP−33(日本酢ビ・ポバール(株)社製)
Figure 2009079075
Figure 2009079075
4.コーティング剤の評価
<耐食性の測定>
試験片として、アセトンにより脱脂した鋼板(JISG3141(SPCC−SB)、日本テストパネル(株) 製)を用い、表1のコーティング剤をバーコーターで鋼板に塗工した。加熱温度190℃で20分放置し、コーティング剤を硬化して3μmの乾燥膜を作製した。
上述の試験片にカッターナイフによりクロスカットをいれ、これを塩水噴霧・キャス試験機(型式CASS90、スガ試験機(株))に設置し塩水噴霧試験(JISZ2371)を行った。塩水噴霧試験開始から24時間後に上述試験片を取り出し、クロスカットからの錆びの広がり、およびその他の部分からの錆びの発生を観察した。
クロスカットからの錆びの広がり、およびその他の部分からの錆びの発生面積が全面積の5%以下の場合は◎、6〜10%の場合は○、11%以上の場合×とした。
<基材密着性の測定>
上記試験片を用い、基材密着性を評価した。JIS K−5400の8.5.2に記載の碁盤目テープ法と同様の方法で評価した。従って、基材として上述の鋼板を使用した。
皮膜の付着部の面積が90%以上の場合は◎、90〜70%の場合は○、70%以下は×とした。

Claims (2)

  1. (A)アルコキシシリル基を含有し、エチレン性二重結合を有する単量体を含んで成る重合性単量体を乳化重合して得られるエマルジョンと、
    (B)ケイ酸塩を含んで成るコーティング剤であって、
    (A)エマルジョンから形成される皮膜の吸水率が35%以下であるコーティング剤。
  2. 防錆剤として使用される請求項1に記載のコーティング剤。
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