JPWO2018235884A1 - ゲル電解コンデンサ - Google Patents

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淳一 川上
香 秋山
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Abstract

コンデンサの諸特性を良好に維持しつつ、耐電圧を更に向上させることができるゲル電解コンデンサを提供する。ゲル電解コンデンサは、陽極箔、陰極箔、及び陽極箔と陰極箔との間に配置されるゲル電解質を備える。ゲル電解質は、三次元網目構造を有するポリマーと当該ポリマーに保持された電解液とにより成る。このゲルは、メタクリル基又はアクリル基を有し、主鎖骨格内に窒素原子を含有するモノマーが重合したポリマーを含む。

Description

本発明は、ゲル電解質を用いたコンデンサに関する。
電解コンデンサは、タンタルあるいはアルミニウム等のような弁作用金属を陽極箔及び陰極箔として備えている。陽極箔は、弁作用金属を焼結体あるいはエッチング箔等の形状にすることで拡面化され、拡面化された表面に誘電体酸化皮膜を有する。電解質として液状の電解液を用いた場合、陽極箔と陰極箔の間には電解液が介在する。電解液は、陽極箔の凹凸面に密接し、真の陰極として機能する。
電解液は、陽極箔の誘電体酸化皮膜層と陰極箔との間に介在し、陽極箔と陰極箔との間でイオン伝導を行う。そのため、電解液の伝導度及び温度特性等は、インピーダンス、誘電損失(tanδ)及び等価直列抵抗(ESR)等の電解コンデンサの電気的特性に大きな影響を及ぼす。また、電解液は、陽極箔に形成された誘電体酸化皮膜の劣化や損傷等の劣化部を修復する化成性を有し、電解コンデンサの漏れ電流(LC)や寿命特性への影響を及ぼす。
従って、電解コンデンサには少なくとも高伝導度の電解液が適当であるが、電解液の伝導度を高めると火花電圧が低下する傾向があり、電解コンデンサの耐電圧特性が損なわれる虞がある。安全性の観点から、電解コンデンサに定格電圧を超える異常電圧が印加されるような過酷な条件下であっても、ショートや発火を起こさぬよう高い耐電圧を有することが望ましい。
また、電解液を用いた電解コンデンサは液漏れの虞がある。電解コンデンサから電解液が漏れてしまうと、最悪の場合、周辺の電子機器を破損してしまう。従って、電解コンデンサの液漏れを阻止しなければならない。
そこで、ゲル電解質をコンデンサに使用することが検討されてきた。例えば、特許文献1には、ポリビニルアルコールを添加することで電解液をゲル化(高粘度化)させ、流動性を低下させた電解コンデンサが記載されている。また、特許文献2には、重合性成分であるモノマーと架橋剤とを用い、ポリマーが架橋された三次元網目構造に電解液を保持させた、所謂ゲル電解質が記載されている。
特開平4−73922号公報 特開2003−229332号公報
しかしながら、ポリビニルアルコールを用いたゲル電解コンデンサの耐電圧は、未だ満足し得る値を示すものではなく、更に耐電圧が向上したゲル電解コンデンサが要請されている。しかも、ポリビニルアルコールを用いたゲル電解コンデンサは、電解液のみにより成る電解コンデンサと比べて、静電容量(Cap)、誘電損失(tanδ)及び等価直列抵抗(ESR)といったコンデンサの諸特性が悪化してしまう。
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、コンデンサの諸特性を良好に維持しつつ、耐電圧を更に向上させることができるゲル電解コンデンサを提供することにある。
上記課題を解決すべく、本発明に係るゲル電解コンデンサは、陽極箔、陰極箔、及び前記陽極箔と前記陰極箔との間に配置されるゲル電解質を備え、前記ゲル電解質は、三次元網目構造を有するポリマーと、当該ポリマーに保持された電解液とから成り、前記三次元網目構造を有するポリマーは、メタクリル基又はアクリル基を有し、主鎖骨格内に窒素原子を含有するモノマーが重合されて成ること、を特徴とする。
前記モノマーは、後述する化学式(2)、(3)及び(7)で表されるメタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル、メタクリル酸2−(tert−ブチルアミノ)エチル、及びN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミドから選択される1種以上であり、前記三次元網目構造を有するポリマーは、更に後述する化学式(8)で表されるメタクリル酸2−ヒドロキシエチルが重合されて成るようにしてもよい。
前記モノマーが重合されたポリマーは、前記ゲル電解質全体に対して2.5wt%以上含むようにしてもよい。
前記陽極箔、陰極箔及び前記ゲル電解質により成る素子を封入する外装ケースを備え、前記外装ケース内には、0.05wt%以上の水分を含有するようにしてもよい。
前記モノマーが重合されたポリマーは、前記ゲル電解質全体に対して2.5wt%以上50wt%以下の量を占めるようにしてもよい。
前記ポリマーは、架橋剤を含み、前記架橋剤は、後述する数式(1)から算出される前記ポリマーの架橋度が50%以下となるように前記ゲル電解質に含有されているようにしてもよい。
前記電解液は、溶媒としてアルコール類を含み、更に溶質としてカルボン酸、カルボン酸の塩又はこれらの両方を含むようにしてもよい。
本発明によれば、高い耐電圧を得られ、また静電容量(Cap)、誘電損失(tanδ)及び等価直列抵抗(ESR)も良好となる。
(ゲル電解コンデンサ)
本発明の実施形態に係るゲル電解コンデンサは、静電容量により電荷の蓄電及び放電を行う受動素子である。ゲル電解コンデンサは、陽極箔と陰極箔との間にゲル電解質を備える。陽極箔と陰極箔は表面に多孔質構造を有し、即ち拡面化されている。少なくとも陽極箔の多孔質構造部分には誘電体酸化皮膜が形成されている。
ゲル電解質は、電解液と当該電解液を保持する三次元網目構造のポリマーにより成る。ゲル化剤として、ゲルネットワークの主鎖となるモノマーと、当該モノマーを重合するための重合開始剤と、当該ポリマーを架橋する架橋剤とを用い、当該モノマーが重合されて成るポリマーが架橋され、三次元網目構造を採る。このゲル電解質は、陽極箔と陰極箔の間に介在し、誘電体酸化皮膜に密接し、箔の電界を伝達する真の陰極となる。
陽極箔と陰極箔との間にはセパレータを介在させてもよいし、セパレータを排除してもよい。セパレータは、陽極箔と陰極箔のショートを防止し、またゲル電解質の形状保持を支援する。従って、陽極箔と陰極箔を隔てることのできる厚みのゲル電解質が崩壊することなく形状を保持する限り、セパレータは排除できる。セパレータを備える場合であっても、薄厚のセパレータであれば小型化又は高容量化に寄与し、高密度のセパレータであれば耐電圧向上効果を奏し、低密度のセパレータであれば低ESR(等価直列抵抗)を実現でき、望ましい。
(電極箔)
陽極箔及び陰極箔は、弁作用金属を材料とする長尺の箔体である。弁作用金属は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、酸化ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス及びアンチモン等である。純度は、陽極箔に関して99.9%程度以上が望ましく、陰極に関して99%程度以上が望ましいが、ケイ素、鉄、銅、マグネシウム、亜鉛等の不純物が含まれていても良い。
陽極箔及び陰極箔は、弁作用金属の粉体を焼結した焼結体、又は延伸された箔にエッチング処理を施したエッチング箔であり、即ち、多孔質構造は、トンネル状のピット、海綿状のピット、又は密集した粉体間の空隙により成る。多孔質構造は、典型的には、塩酸等のハロゲンイオンが存在する酸性水溶液中で直流又は交流を印加する直流エッチング又は交流エッチングにより形成され、若しくは芯部に金属粒子等を蒸着又は焼結することにより形成される。尚、陰極箔は、陽極箔と比べて電解コンデンサの静電容量に対する表面積の影響が少ないため、多孔質構造による表面粗さは小さくともよい。
誘電体酸化皮膜は、典型的には、陽極箔の表層に形成される酸化皮膜であり、陽極箔がアルミニウム製であれば多孔質構造領域を酸化させた酸化アルミニウム層である。また、陰極箔に誘電体酸化皮膜層を設けてもよい。この誘電体酸化皮膜層は、ホウ酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、アジピン酸アンモニウム等の酸あるいはこれらの酸の水溶液等のハロゲンイオン不在の溶液中で電圧印加する化成処理により形成される。
(セパレータ)
セパレータは、クラフト、マニラ麻、エスパルト、ヘンプ、レーヨン等のセルロースおよびこれらの混合紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、それらの誘導体などのポリエステル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ビニロン系樹脂、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミド等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、トリメチルペンテン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等が挙げられ、これらの樹脂を単独で又は混合して用いることができる。
(ゲル電解質)
電解液は、溶媒に対して溶質を溶解し、または更に添加剤が添加された混合液である。溶媒はプロトン性の有機極性溶媒又は非プロトン性の有機極性溶媒であり、単独又は2種類以上が組み合わせられる。溶質は、アニオン及びカチオンの成分が含まれる。溶質は、典型的には、有機酸の塩、無機酸の塩、又は有機酸と無機酸との複合化合物の塩であり、単独又は2種以上を組み合わせて用いられる。アニオンとなる酸及びカチオンとなる塩基を溶質成分として別々に電解液に添加してもよい。
プロトン性の有機極性溶媒としては、一価アルコール類、多価アルコール類及びオキシアルコール化合物類などが挙げられる。一価アルコール類としては、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。多価アルコール類及びオキシアルコール化合物類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メトキシプロピレングリコール、ジメトキシプロパノール等が挙げられる。
非プロトン性の有機極性溶媒としては、スルホン系、アミド系、ラクトン類、環状アミド系、ニトリル系、オキシド系などが代表として挙げられる。
スルホン系としては、ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン等が挙げられる。アミド系としては、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックアミド等が挙げられる。ラクトン類、環状アミド系としては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、イソブチレンカーボネート等が挙げられる。ニトリル系としては、アセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、グルタロニトリル等が挙げられる。オキシド系としてはジメチルスルホキシド等が挙げられる。
有機酸としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、アジピン酸、安息香酸、トルイル酸、エナント酸、マロン酸、1,6−デカンジカルボン酸、1,7−オクタンジカルボン酸、アゼライン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸等のカルボン酸、フェノール類、スルホン酸が挙げられる。また、無機酸としては、ホウ酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、炭酸、ケイ酸等が挙げられる。有機酸と無機酸の複合化合物としては、ボロジサリチル酸、ボロジ蓚酸、ボロジグリコール酸等が挙げられる。
これら有機酸の塩、無機酸の塩、ならびに有機酸と無機酸の複合化合物の少なくとも1種の塩としては、アンモニウム塩、四級アンモニウム塩、四級化アミジニウム塩、アミン塩、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。四級アンモニウム塩の四級アンモニウムイオンとしては、テトラメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等が挙げられる。四級化アミジニウムとしては、エチルジメチルイミダゾリニウム、テトラメチルイミダゾリニウムなどが挙げられる。アミン塩のアミンとしては、一級アミン、二級アミン、三級アミンが挙げられる。一級アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミンなど、二級アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、エチルメチルアミン、ジブチルアミンなど、三級アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、エチルジメチルアミン、エチルジイソプロピルアミン等が挙げられる。電解液中には、これら有機酸、無機酸、有機酸と無機酸の複合化合物であるアニオンとなる成分と、これら塩基であるカチオンとなる成分とを有するイオン解離性の塩を添加すればよい。
さらに、添加剤としては、ポリエチレングリコール、ホウ酸と多糖類(マンニット、ソルビット等)との錯化合物、ホウ酸と多価アルコールとの錯化合物、ホウ酸エステル、ニトロ化合物(o−ニトロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、o−ニトロフェノール、m−ニトロフェノール、p−ニトロフェノール、パラニトロベンジルアルコール等)、リン酸エステル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記添加剤の中でも、耐電圧向上を目的としてポリエチレングリコールやホウ酸と多価アルコールとの錯化合物を添加したり、コンデンサ中のガス吸収を目的としてニトロ化合物を添加することが好ましい。
ポリマーの構成単位であるモノマーは、末端に二重結合を有するメタクリル基又はアクリル基を有し、更に主鎖骨格内に窒素原子を含有することが望ましい。主鎖骨格は、ポリマーの主鎖を構成する。換言すると、モノマーは主鎖骨格内にアミノ基を有する第二級アミン又は第三級アミンであり、メタクリル基又はアクリル基を有する。メタクリル基はメタアクリロイル基とも言い、また、アクリル基はアクリロイル基とも言う。
メタクリル基又はアクリル基を有し、主鎖骨格内に窒素原子を含有するモノマーとしては、ヒドロキシエチルアクリルアミド、メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル、メタクリル酸2−(tert−ブチルアミノ)エチル、N−イソプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、又はN−ビニルアセトアミドが挙げられる。上記モノマーの中でも下記化学式(1)〜(7)で示されるヒドロキシエチルアクリルアミド、メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル、メタクリル酸2−(tert−ブチルアミノ)エチル、N−イソプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、又はN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミドが好ましい。
Figure 2018235884
Figure 2018235884
Figure 2018235884
Figure 2018235884
Figure 2018235884
Figure 2018235884
Figure 2018235884
このモノマーは、末端のメタクリル基又はアクリル基の二重結合がラジカル重合して、直鎖状に重合する。即ち、ポリマー鎖は長尺の紐形状を有する。そして、複数のポリマーは架橋剤により架橋され、ポリマーは三次元網目構造を採る。尚、モノマーは1種又は2種以上を併用でき、共重合体又は各々の単独重合体が架橋剤によって架橋されて三次元網目構造を採る。
このモノマーによりゲル電解質が作製されると、電解液のみにより成る電解コンデンサ、及び他の材料によってゲル化された電解液を含むゲル電解コンデンサと比べて耐電圧が向上する傾向にある。但し、ゲル電解質中において、ポリマーの量はゲル電解質に対して2.5wt%以上50wt%以下が望ましい。ポリマーの量とは、ゲル電解質中のポリマーのうち、架橋剤および電解液中の添加剤として用いたポリマーを除いた量である。言い換えれば、ゲル電解質中のゲルネットワークの主鎖となるモノマーが重合されたポリマーの量である。ポリマーの量が2.5wt%未満であるとゲル化せず、50wt%超であると、電解コンデンサの静電容量(Cap)が小さくなるため好ましくない。
また、窒素原子を主鎖骨格内に有するモノマーは、重合して電解液の保持体として機能するのみならず、高温でアンモニウム塩よりも高塩基性度のカチオンとして働く。そのため、電解液にカルボン酸とアルコール類が含有されていると、カルボン酸の解離が促進され、カルボン酸とアルコールとのエステル化が抑制される。そして、エステル化の抑制により、イオン伝導するためのイオンとして働くカルボン酸アニオンの消費が抑制される。従って、カルボン酸とアルコール類の電解液を含有するゲル電解質内のイオン伝導度が低下することなく維持され、このゲル電解コンデンサのESR(等価直列抵抗)の変化が抑制される。尚、カルボン酸としては、前述した有機酸のなかのカルボン酸が挙げられる。
ここで、三次元網目構造を有するポリマーは、上記化学式(1)〜(7)で表されるモノマーに加えて、他のモノマーを併用し、重合により生成してもよい。他のモノマーとしては、下記化学式(8)で表されるメタクリル酸2−ヒドロキシエチルが挙げられる。
Figure 2018235884
但し、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルを併用する場合、上記化学式(2)、(3)及び(7)で表されるメタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル、メタクリル酸2−(tert−ブチルアミノ)エチル、及びN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミドのうち1種類以上をモノマーとして選択することが好ましい。即ち、三次元網目構造のポリマーは、メタクリル酸2−(tert−ブチルアミノ)エチル、メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル、及びN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミドのうちの1種以上とメタクリル酸2−ヒドロキシエチルとの共重合体が架橋剤によって架橋されて三次元網目構造を採る。
メタクリル酸2−ヒドロキシエチルは、エステル化を促進する触媒として作用し、電解液中のカルボン酸とアルコール類とのエステル化が促進され、ゲル電解コンデンサの経時的なESR変化率が大きくなる傾向にある。そのため、カルボン酸の解離を進行させてメタクリル酸2−ヒドロキシエチルの触媒作用を抑制するアミン、第四級環状アミジニウム又はこれらの塩を電解液に含有させることが考えられる。アンモニウム塩又はアンモニウムイオンを電解液に含有させると、電解液中のカルボン酸とアルコール類のエステル化が促進されるため好ましくない。
しかしながら、上記化学式(2)、(3)及び(7)で表されるメタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル、メタクリル酸2−(tert−ブチルアミノ)エチル、及びN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミドのうち1種類以上をモノマーとして選択し、そしてメタクリル酸2−ヒドロキシエチルと併用し、重合させて三次元網目構造のポリマーとすると、ESRの上昇が抑制される。即ち、カルボン酸の解離を進行させてメタクリル酸2−ヒドロキシエチルの触媒作用を抑制すると考えられるアミン、第四級環状アミジニウム又はこれらの塩に限定せずとも、ESRの上昇が抑制される。
但し、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルを併用する場合には、ポリマーのうち、メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル、メタクリル酸2−(tert−ブチルアミノ)エチル、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミド、又はこれらの2種以上の合計の量は、ゲル電解質全体に対して2.5wt%以上とすることが好ましい。当該2.5wt%を下回ると、ESRの上昇を抑制する効果が大きく低下する。
架橋剤としては2官能アクリレート、2官能メタクリレート、2官能アクリルアミドもしくは多官能基アクリレート、多官能基メタクリレート、多官能基アクリルアミドを用いる。2官能アクリレート、2官能メタクリレート、2官能アクリルアミドとしては2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−エチレンビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスメタクリルアミド、N,N'−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド等が挙げられる。多官能基アクリレート、多官能基メタクリレート、多官能アクリルアミドとしては、2,2−ビス[(アクリロイルオキシ)メチル]プロパン−1,3−ジイル=ジアクリラート、2−[(アクリロイルオキシ)メチル]−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−1,3−ジイル=ジアクリラート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールポリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、オキシビスメチレンビス(メタンテトライル)ヘキサキス(メタノール)ヘキサアクリラート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、N−[トリス(3−アクリルアミドプロポキシメチル)メチル]アクリルアミド等が挙げられる。
これらのうちの1種又は2種以上の混合である架橋剤は、ゲル電解質中のゲルネットワークの主鎖となるポリマーを構成するモノマーに対して50%以下添加されることが望ましい。即ち、下記数式(1)に規定される架橋度が50%以下であることが望ましい。1molのモノマーに対して0.5mol超の架橋剤が添加されると、ゲル電解コンデンサのESRが高くなる。
Figure 2018235884
(ゲル電解コンデンサ製造方法)
ゲル電解質は、モノマー、架橋剤及び重合開始剤の混合により成るゲル化剤を電解液に添加し、ゲル化剤含有電解液に熱又は光を照射することで作製できる。熱により重合を開始させる場合、例えば125℃の温度雰囲気下に1時間程度晒すと良い。
重合開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロパンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル-プロピオニル)−ベンジル]フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン、2−メチル−1−(4−メチルチオフェニル)−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−(ジメチルアミノ)−2−[(4−メチルフェニル)メチル]−1−[4−(4−モルホリニル)フェニル]−1−ブタノン、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、ベンゾイルぎ酸メチル、1,2−オクタンジオン,1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−,1−(O−アセチルオキシム)、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサンテン−9−オン、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、2−ヒドロキシ−4’−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−メチルプロピオフェノン等が挙げられる。熱により重合を開始させる場合は、溶媒であるエチレングリコールに対する溶解性が高く、さらに耐電圧低下も引き起こさない、2,2’−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロパンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]が特に好ましい。
このようなゲル電解質の形成方法では、モノマーを電解液に溶解させる必要がある。電解液中にホウ酸を含有させる場合、モノマーとしてはヒドロキシエチルアクリルアミド、メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル及びメタクリル酸2−(tert−ブチルアミノ)エチルを用いることが好ましい。該モノマーはホウ酸に対する溶解性が高いためである。
セパレータを排除したゲル電解コンデンサを作製する場合、ゲル化剤含有電解液を陽極箔の誘電体酸化皮膜上に液ダレしないように、且つセパレータとして機能するように厚みを持たせて塗布する。液ダレを抑制して所定の厚みを持たせるべく、セルロースナノファイバー、ポリビニルピロリドン、酢酸セルロース、エチルセルロース等の増粘剤を添加しても良い。そして、ゲル化剤含有電解液が塗工された陽極箔に加熱処理又は光照射処理を施す。これにより、陽極箔上でゲル電解質が作製される。
光照射に用いるランプとしては高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ、LEDランプ等が挙げられ、重合することが可能であれば特に限定されない。
ゲル電解質の層が誘電体酸化皮膜上に密着した陽極箔が得られると、この陽極箔と共にゲル電解質を挟むように陰極箔と対向させ、陽極箔とゲル電解質と陰極箔の層を巻回することで、巻回形のコンデンサ素子が作製される。または、この陽極箔と陰極箔とをゲル電解質を介在させつつ交互に積み重ねることで、積層形のコンデンサ素子が作製される。
コンデンサ素子は、金属製の外装ケースに収容され、封口体で封止される。外装ケースの材質は、アルミニウム、アルミニウムやマンガンを含有するアルミニウム合金、又はステンレスが挙げられる。封口体はゴムやゴムと硬質基板との積層体などが挙げられる。コンデンサ素子の陽極箔及び陰極箔には、ステッチ、コールドウェルド、超音波溶接、レーザー溶接などによって、引出端子が接続され、封口体から引き出される。この後、再化成工程を経て、ゲル電解コンデンサの作製が完了する。
一方、セパレータ付きのゲル電解コンデンサでは、まず陽極箔と陰極箔とをセパレータを介在させて巻回又は積層してコンデンサ素子を形成する。コンデンサ素子を外装ケースに収容した後、ゲル化剤含有電解液を外装ケースに吐出し、コンデンサ素子にゲル化剤含有電解液を含浸させる。又はコンデンサ素子にゲル化剤含有電解液を含浸し、外装ケースに収容する。そして、加熱又は光照射によりゲル電解質を形成する。
加熱処理の場合は、ゲル化剤含有電解液を含浸させたコンデンサ素子や陽極箔に処理を施してもよく、外装ケースに収容し、封止後に処理を行ってもよい。光照射処理の場合は、ゲル化剤含有電解液を含浸させたコンデンサ素子や陽極箔に処理を施し、その後封止する。
以上のゲル電解コンデンサにおいて、外装ケース内の水分率は、0.05wt%以上60wt%以下となることが望ましく、必要に応じて乾燥工程を含めても良い。更に望ましくは、外装ケース内の水分率は5wt%超である。外装ケース内に存在する水分は、電解液に添加される水分及びゲル電解コンデンサの作製工程で混入する水分の総計である。水分率が0.05wt%未満では、再化成工程における誘電体酸化皮膜の修復効率が悪化してしまう。水分率が5wt%超では初期ESRも良好となる。但し、水分率が60wt%を超えると高温放置中に陽極箔及び陰極箔の水和劣化が生じてしまう。水和劣化が生じると、陽極箔の酸化皮膜の損傷による漏れ電流特性の劣化や、水素ガスの発生による安全弁の開弁を招いてしまう。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
本発明の実施形態に係るゲル電解コンデンサの実施例1として、定格電圧が450V及び定格容量が12μFの巻回型のゲル電解コンデンサを作製した。この実施例1のゲル電解コンデンサにおいては、まず、アルミニウム箔をエッチング処理により拡面化し、次いで化成処理により誘電体酸化皮膜が形成されたアルミニウム製の陽極箔を作製した。また、アルミニウム箔をエッチング処理により拡面化し、アルミニウム製の陰極箔を作製した。作製した陽極箔および陰極箔に引出端子を接続し、マニラ紙をセパレータとして介在させて巻回することで、コンデンサ素子を作製した。
また、エチレングリコール、溶質のアニオン成分として1,7−オクタンジカルボン酸、添加剤としてホウ酸、マンニトール及びパラニトロベンジルアルコール、並びにポリエチレングリコールを混合し、溶質のカチオン成分としてアンモニアガスを電解液に吹き込み、電解液を調製した。混合比は、エチレングリコール100重量部に対し、1,7−オクタンジカルボン酸が3重量部、アンモニアガスが微量、ホウ酸が4重量部、マンニトールが4重量部、パラニトロベンジルアルコールが1重量部、及びポリエチレングリコールが5重量部である。
更に、この電解液に、ゲル化剤含有電解液全体に対して2.5wt%の上記化学式(1)で表されるヒドロキシエチルアクリルアミドをモノマーとして添加し、ポリエチレングリコールジメタクリラートを架橋剤として30%の架橋度となるように添加し、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドを重合開始剤として添加した。このゲル化剤含有電解液をコンデンサ素子に含浸させた後、水銀ランプで光を照射し、モノマーの重合反応と架橋反応を開始させ、電解液を三次元網目構造を有するポリマーで保持してなるゲル電解質を形成し、ゲル電解コンデンサを作製した。
その後、ゲル電解コンデンサを有底筒状の外装ケースに収納し、封口体から引出端子を引き出しつつ、封口体で外装ケースを封止した。作製したゲル電解コンデンサを1時間所定の電圧を印加し、125℃でエージングを行った。
(実施例2)
実施例1の電解コンデンサと同一材料、同一方法及び同一条件にて実施例2のゲル電解コンデンサを作製した。但し、ヒドロキシエチルアクリルアミドは、ゲル電解質全体に対して5wt%となるように添加した。
(実施例3)
実施例1の電解コンデンサと同一材料、同一方法及び同一条件にて実施例3のゲル電解コンデンサを作製した。但し、ヒドロキシエチルアクリルアミドは、ゲル電解質全体に対して10wt%となるように添加した。
(実施例4)
実施例1の電解コンデンサと同一材料、同一方法及び同一条件にて実施例4のゲル電解コンデンサを作製した。但し、ヒドロキシエチルアクリルアミドは、ゲル電解質全体に対して20wt%となるように添加した。
(実施例5)
実施例1の電解コンデンサと同一材料、同一方法及び同一条件にて実施例5のゲル電解コンデンサを作製した。但し、ヒドロキシエチルアクリルアミドは、ゲル電解質全体に対して30wt%となるように添加した。
(実施例6)
実施例1の電解コンデンサと同一材料、同一方法及び同一条件にて実施例6のゲル電解コンデンサを作製した。但し、ヒドロキシエチルアクリルアミドは、ゲル電解質全体に対して40wt%となるように添加した。
(実施例7)
実施例1の電解コンデンサと同一材料、同一方法及び同一条件にて実施例7のゲル電解コンデンサを作製した。但し、ヒドロキシエチルアクリルアミドは、ゲル電解質全体に対して50wt%となるように添加した。
(実施例8)
実施例1の電解コンデンサと同一材料、同一方法及び同一条件にて実施例8のゲル電解コンデンサを作製した。但し、ヒドロキシエチルアクリルアミドは、ゲル電解質全体に対して55wt%となるように添加した。
(実施例9)
実施例9のゲル電解コンデンサは、実施例1と比べて添加したモノマーが異なる。実施例9では、ゲル化剤含有電解液全体に対して16.1wt%の上記化学式(2)で表されるメタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチルを添加した。架橋剤、重合開始剤及び電解液の組成並びにゲル電解質の作製条件は実施例1と同じである。また、その他についても実施例1の電解コンデンサと同一材料、同一方法及び同一条件で実施例9のゲル電解コンデンサは作製された。
(実施例10)
実施例10のゲル電解コンデンサは、実施例1と比べて添加したモノマーが異なる。実施例10では、ゲル化剤含有電解液全体に対して16.1wt%の上記化学式(3)で表されるメタクリル酸2−(tert−ブチルアミノ)エチルを添加した。架橋剤、重合開始剤及び電解液の組成並びにゲル電解質の作製条件は実施例1と同じである。また、その他についても実施例1の電解コンデンサと同一材料、同一方法及び同一条件で実施例10のゲル電解コンデンサは作製された。
(実施例11)
実施例11のゲル電解コンデンサは、実施例1と比べて添加したモノマーが異なる。実施例11では、ゲル化剤含有電解液全体に対して9.8wt%の上記化学式(4)で表されるN−イソプロピルアクリルアミドを添加した。架橋剤、重合開始剤及び電解液の組成並びにゲル電解質の作製条件は実施例1と同じである。また、その他についても実施例1の電解コンデンサと同一材料、同一方法及び同一条件で実施例11のゲル電解コンデンサは作製された。
(実施例12)
実施例12のゲル電解コンデンサは、実施例1と比べて添加したモノマーが異なる。実施例12では、ゲル化剤含有電解液全体に対して14.7wt%の上記化学式(5)で表されるジアセトンアクリルアミドを添加した。架橋剤、重合開始剤及び電解液の組成並びにゲル電解質の作製条件は実施例1と同じである。また、その他についても実施例1の電解コンデンサと同一材料、同一方法及び同一条件で実施例12のゲル電解コンデンサは作製された。
(実施例13)
実施例13のゲル電解コンデンサは、実施例1と比べて添加したモノマーが異なる。実施例13では、ゲル化剤含有電解液全体に対して5wt%の上記化学式(6)で表されるN−tert−ブチルアクリルアミドを添加した。架橋剤、重合開始剤及び電解液の組成並びにゲル電解質の作製条件は実施例1と同じである。また、その他についても実施例1の電解コンデンサと同一材料、同一方法及び同一条件で実施例13のゲル電解コンデンサは作製された。
(実施例37)
実施例37のゲル電解コンデンサは、実施例1と比べて添加したモノマーが異なる。実施例37では、ゲル化剤含有電解液全体に対して14.8wt%の上記化学式(7)で表されるN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミドを添加した。架橋剤、重合開始剤及び電解液の組成並びにゲル電解質の作製条件は実施例1と同じである。また、その他についても実施例1の電解コンデンサと同一材料、同一方法及び同一条件で実施例37のゲル電解コンデンサは作製された。
(比較例1)
比較例1に係るコンデンサは電解質として電解液を用いた電解コンデンサであり、モノマー、重合開始剤及び架橋剤は未添加である。また、実施例1と比べて、モノマーを重合させるための水銀ランプによる光照射過程が省かれた。その他の陽極箔、陰極箔、セパレータ、電解液の材料、組成比及び製造方法を実施例1と同一条件にして、比較例1の電解コンデンサを作製した。
(比較例2)
比較例2に係るコンデンサについては、ポリマーとしてポリビニルアルコール(PVA)を用いた。用いられたポリビニルアルコールは、重合度が1500、及びケン化度が99.5mol%である。電解液全体に対して2.5wt%のポリビニルアルコール(以下、PVAという)を添加した。但し、形成されたゲル電解質は、本発明のゲル電解質のような三次元網目構造は有していない。その他の陽極箔、陰極箔、セパレータ、電解液といった材料、組成比及び製造方法を比較例1と同一条件にして、比較例2に係る電解コンデンサを作製した。
(比較例3)
比較例3に係るコンデンサはゲル電解コンデンサであり、ゲル電解質全体に対して10wt%のPVAを添加した。用いられたPVAは比較例2で使用したものと同じものである。これにより、陽極箔と陰極箔との間にはゲル電解質が形成された。但し、形成されたゲル電解質は、本発明のゲル電解質のような三次元網目構造を有していない。その他の陽極箔、陰極箔、セパレータ、電解液といった材料、組成比及び製造方法を比較例1と同一条件にして、比較例3に係る電解コンデンサを作製した。
(比較例4)
比較例4では、比較例2で使用したPVAを電解液に添加した。PVAの添加量は、電解液全量に対して50wt%とした。その結果、PVA添加量が多すぎたためにPVAが電解液に溶解しなかった。即ち、比較例4のコンデンサは作製できなかった。
(ポリマー量別諸特性の評価)
実施例1乃至13及び37並びに比較例1乃至4のコンデンサのCap、tanδ、ESR及び耐電圧を測定した。本明細書における耐電圧試験は、25℃で、5mAの定電流を印加し、電圧−時間の上昇カーブを調べることで行い、電圧の上昇カーブではじめにスパイクあるいはシンチレーションが観測された電圧(V)を耐電圧とした。その結果を表1に示す。
(表1)
Figure 2018235884
表1に示されるように、主鎖骨格内に窒素原子を含有するモノマーを重合させてゲル電解質を形成した実施例1乃至13及び37のゲル電解コンデンサは、比較例1乃至4のコンデンサよりも耐電圧が大きく向上していることが確認された。比較例3については、10wt%のPVAを用いたゲル電解コンデンサであり、この最適化された条件であれば、電解コンデンサである比較例1と比べて耐電圧が向上している。もっとも、主鎖骨格内に窒素原子を含有するモノマーを重合させてゲル電解質を形成した実施例1乃至13及び37のゲル電解コンデンサは、全てのポリマー量において、この比較例3と比べても飛躍的に耐電圧が向上している。
比較例3のゲル電解コンデンサは、耐電圧が若干向上したが、Cap、tanδ及びESRが電解液を用いた比較例1の電解コンデンサよりも悪化してしまった。一方、主鎖骨格内に窒素原子を含有するモノマーを重合させてゲル電解質を形成した実施例1乃至13及び37のゲル電解コンデンサは、比較例3のゲル電解コンデンサと比べて、Cap、tanδ及びESRも良好であった。
尚、ゲル電解質中のポリマー量を2.0wt%とした場合にはゲル化しなかった。また、表1に示されるように、ポリマー量が50wt%を超えると、Capの急激な減少が見られるため、耐電圧に加えてCapも高品質に保つ場合には、ポリマー量が50wt%以下であることが望ましいことが確認された。
(実施例14)
実施例14のゲル電解コンデンサは、実施例9と比べて電解液の組成、ポリマー量、開始剤および重合方法が異なる。その他は、同一材料にて実施例14のゲル電解コンデンサを作製した。
実施例14のゲル電解コンデンサでは、溶媒としてγ−ブチロラクトン、溶質のアニオン成分として1,7−オクタンジカルボン酸、添加剤としてホウ酸、マンニトール及びパラニトロベンジルアルコールを混合し、溶質のカチオン成分としてトリエチルアミンを電解液に吹き込み、電解液を調製した。混合比は、γ−ブチロラクトン100重量部に対し、1,7−オクタンジカルボン酸が3重量部、トリエチルアミンを微量、ホウ酸が4重量部、マンニトールが4重量部、パラニトロベンジルアルコールが1重量部である。即ち、実施例1乃至13のゲル電解コンデンサの電解液の溶媒がエチレングリコールであるのに対し、実施例14のゲル電解コンデンサの電解液の溶媒がγ−ブチロラクトンである点で異なる。
更に、この電解液に、ゲル化剤含有電解液全体に対して2.5wt%の上記化学式(2)で表されるメタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチルをモノマーとして添加し、30%の架橋度となるようにポリエチレングリコールジメタクリラートを架橋剤として添加し、2,2’−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロパンアミド]を重合開始剤として添加した。
このゲル化剤含有電解液をコンデンサ素子に含浸させた後、有底筒状の外装ケースに収納し、封口体から引出端子を引き出しつつ、封口体で外装ケースを封止した。そして、125℃の温度環境下に1時間静置し、熱処理によってモノマーの重合反応と架橋反応を開始させ、電解液をゲルで保持してなるゲル電解質を生成し、ゲル電解コンデンサを作製した。その後、作製したゲル電解コンデンサを1時間所定の電圧を印加し、125℃でエージングを行った。
(実施例15)
実施例14のゲル電解コンデンサと同一材料、同一方法及び同一条件にて実施例15のゲル電解コンデンサを作製した。但し、メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチルは、ゲル電解質全体に対して10wt%となるように添加した。
(実施例16)
実施例14のゲル電解コンデンサと同一材料、同一方法及び同一条件にて実施例16のゲル電解コンデンサを作製した。但し、メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチルは、ゲル電解質全体に対して20wt%となるように添加した。
(実施例17)
実施例14のゲル電解コンデンサと同一材料、同一方法及び同一条件にて実施例17のゲル電解コンデンサを作製した。但し、メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチルは、ゲル電解質全体に対して30wt%となるように添加した。
(実施例18)
実施例14のゲル電解コンデンサと同一材料、同一方法及び同一条件にて実施例18のゲル電解コンデンサを作製した。但し、メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチルは、ゲル電解質全体に対して40wt%となるように添加した。
(実施例19)
実施例14のゲル電解コンデンサと同一材料、同一方法及び同一条件にて実施例19のゲル電解コンデンサを作製した。但し、メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチルは、ゲル電解質全体に対して50wt%となるように添加した。
(実施例20)
実施例20のゲル電解コンデンサは、実施例14と比べて添加したモノマーと添加量が異なる。その他は、実施例14と同一材料、同一方法及び同一条件にて実施例20のゲル電解コンデンサを作製した。実施例20では、ゲル化剤含有電解液全体に対して10.0wt%の上記化学式(3)で表されるメタクリル酸2−(tert−ブチルアミノ)エチルを添加した。架橋剤、重合開始剤及び電解液の組成並びにゲル電解質の作製条件は実施例14と同じである。
(実施例21)
実施例21のゲル電解コンデンサは、実施例14と比べて添加したモノマーと添加量が異なる。その他は、実施例14と同一材料、同一方法及び同一条件にて実施例21のゲル電解コンデンサを作製した。実施例21では、ゲル化剤含有電解液全体に対して9.8wt%の上記化学式(4)で表されるN−イソプロピルアクリルアミドを添加した。架橋剤、重合開始剤及び電解液の組成並びにゲル電解質の作製条件は実施例14と同じである。
(実施例22)
実施例22のゲル電解コンデンサは、実施例14と比べて添加したモノマーと添加量が異なる。その他は、実施例14と同一材料、同一方法及び同一条件にて実施例22のゲル電解コンデンサを作製した。実施例22では、ゲル化剤含有電解液全体に対して9.1wt%の上記化学式(5)で表されるジアセトンアクリルアミドを添加した。架橋剤、重合開始剤及び電解液の組成並びにゲル電解質の作製条件は実施例14と同じである。
(実施例23)
実施例23のゲル電解コンデンサは、実施例14と比べて添加したモノマーと添加量が異なる。その他は、実施例14と同一材料、同一方法及び同一条件にて実施例23のゲル電解コンデンサを作製した。実施例23では、ゲル化剤含有電解液全体に対して5wt%の上記化学式(6)で表されるN−tert−ブチルアクリルアミドを添加した。架橋剤、重合開始剤及び電解液の組成並びにゲル電解質の作製条件は実施例14と同じである。
(実施例38)
実施例38のゲル電解コンデンサは、実施例14と比べて添加したモノマーと添加量が異なる。その他は、実施例14と同一材料、同一方法及び同一条件にて実施例38のゲル電解コンデンサを作製した。実施例38では、ゲル化剤含有電解液全体に対して9.2wt%の上記化学式(7)で表されるN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミドを添加した。架橋剤、重合開始剤及び電解液の組成並びにゲル電解質の作製条件は実施例14と同じである。
(比較例5)
比較例5に係るコンデンサは電解コンデンサである。実施例14と比べて、モノマー、重合開始剤及び架橋剤は未添加である。また、実施例14と比べて、モノマーを重合させるための125℃及び1時間の静置過程が省かれた。その他の陽極箔、陰極箔、セパレータ、電解液の材料、組成比及び製造方法を実施例14と同一条件にして、比較例5の電解コンデンサを作製した。
(比較例6)
比較例6に係るコンデンサについては、実施例14と比べて、ポリマーとしてPVAを用いた。ゲル電解質全体に対して5wt%のPVAが添加された。PVAは、重合度が1500、及びケン化度が99.5mol%のポリマーである。しかしながら、PVAは、γ−ブチロラクトンを溶媒とする電解液に溶解せず、比較例6のコンデンサは作製できなかった。
(比較例7)
比較例7に係るコンデンサはゲル電解コンデンサである。実施例14と比べて、ポリマーをゲル電解質全体に対して15wt%の酢酸セルロースとした。酢酸セルロースは重量平均分子量が約50000であった。その他の陽極箔、陰極箔、セパレータ、電解液といった材料、組成比及び製造方法を比較例5と同一条件にして、比較例7に係る電解コンデンサを作製した。
(ポリマー量別諸特性の評価)
実施例14乃至23及び38並びに比較例5乃至7のコンデンサのCap、tanδ、ESR及び耐電圧を測定した。その結果を表2に示す。
(表2)
Figure 2018235884
表2に示されるように、主鎖骨格内に窒素原子を含有するモノマーを重合させてゲル電解質を形成した実施例14乃至23及び38のゲル電解コンデンサは、比較例5乃至7のコンデンサよりも耐電圧が大きく向上していることが確認された。特に、比較例7については、15wt%の酢酸セルロースにより成るゲル電解コンデンサであり、この最適化された条件であれば、電解コンデンサである比較例5及び6と比べれば耐電圧は向上している。もっとも、主鎖骨格内に窒素原子を含有するモノマーを重合させてゲル電解質を形成した実施例14乃至23及び38のゲル電解コンデンサは、全てのポリマー量において、この比較例7と比べても飛躍的に耐電圧が向上している。
また、主鎖骨格内に窒素原子を含有するモノマーを重合させてゲル電解質を形成した実施例14乃至23及び38のゲル電解コンデンサは、比較例7のゲル電解コンデンサと比べて、Cap、tanδ及びESRも良好である。
また、ゲル電解質中のポリマー量が50wt%を超えるとCapの急激な減少が見られるため、耐電圧に加えてCapも高品質に保つ場合には、ポリマー量が50wt%以下であることが望ましいことが確認された。尚、ゲル電解質中のポリマー量を2.0wt%とした場合には、電解液はゲル化しなかった。
(実施例24)
実施例24に係るゲル電解コンデンサとして、定格電圧が450V及び定格容量が12μFの巻回型のゲル電解コンデンサを作製した。実施例1のゲル電解コンデンサが有するゲルは、上記化学式(1)で表されるヒドロキシエチルアクリルアミドを構成単位とするポリマーを、ポリエチレングリコールジメタクリラートの架橋剤で架橋して成る。電解液には、エチレングリコールと1,6−デカンジカルボン酸が含有されている。
この実施例24のゲル電解コンデンサにおいては、まず、アルミニウム箔をエッチング処理により拡面化し、次いで化成処理により誘電体酸化皮膜が形成されたアルミニウム製の陽極箔を作製した。また、アルミニウム箔をエッチング処理により拡面化し、アルミニウム製の陰極箔を作製した。作製した陽極箔および陰極箔に引出端子を接続し、マニラ紙をセパレータとして介在させて巻回することで、コンデンサ素子を作製した。
また、エチレングリコール100重量部、1,6−デカンジカルボン酸10重量部、パラニトロベンジルアルコール1重量部を混合し、アンモニアガスを吹き込み、電解液を調製した。
更に、この電解液に、ゲル化剤含有電解液全体に対して8.8wt%のヒドロキシエチルアクリルアミドをモノマーとして添加し、8%の架橋度となるようにポリエチレングリコールジメタクリラートを架橋剤として添加し、2,2’−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロパンアミド]を重合開始剤として添加した。
このゲル化剤含有電解液をコンデンサ素子に含浸させた後、有底筒状の外装ケースに収納し、封口体から引出端子を引き出しつつ、封口体で外装ケースを封止した。そして、125℃の温度環境下に1時間静置し、熱処理によってモノマーの重合反応と架橋反応を開始させ、電解液をゲルで保持してなるゲル電解質を生成し、ゲル電解コンデンサを作製した。その後、作製したゲル電解コンデンサを1時間所定の電圧を印加し、125℃でエージングを行った。
(実施例39)
実施例39に係るゲル電解コンデンサは、実施例24と比べ、モノマーの種類と含有量が異なる。陽極箔、陰極箔、セパレータ、電解液、架橋剤及び重合開始剤といった材料及び製造方法に関しては、実施例24と同一条件にて実施例39に係るゲル電解コンデンサを作製した。即ち、実施例39では、ゲル化剤含有電解液全体に対して13.1wt%のN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミドとして用いた。
(比較例8)
比較例8に係るゲル電解コンデンサは、実施例24と比べ、モノマーの種類と含有量が異なる。陽極箔、陰極箔、セパレータ、電解液、架橋剤及び重合開始剤といった材料及び製造方法に関しては、実施例24と同一条件にて比較例8に係るゲル電解コンデンサを作製した。即ち、比較例8では、ゲル化剤含有電解液全体に対して10.0wt%のメタクリル酸2−ヒドロキシエチルをモノマーとして用いた。メタクリル酸2−ヒドロキシエチルは、重合に関与するメタクリル基を有するが、主鎖骨格内に窒素原子を持たない。
(比較例9)
比較例9に係るコンデンサは電解コンデンサであり、ゲル化していない電解液をコンデンサ素子に含浸して得た。陽極箔、陰極箔、電解液といった材料及び製造方法に関しては、モノマーを重合させるための125℃及び1時間の静置過程が省かれた他は、実施例24と同一条件により比較例9に係る電解コンデンサを作製した。
但し、セパレータはクラフト紙を使用した。比較例9のみセパレータ種を変更した理由は、電解液を用いたコンデンサに実施例24及び39や比較例8で用いたマニラ紙を適応すると、マニラ紙が低密度のために定格電圧まで耐電圧が立ち上がらなかったためである。実施例24及び39並びに比較例8の試験条件に近付けるため、セパレータを変更した。
(エステル化抑制効果の評価1)
実施例24及び39並びに比較例8及び9のゲル電解コンデンサのCap、tanδ、初期ESR、及び150℃の温度環境下で300時間の間、無負荷で静置した後、初期のESRと比べたESR変化率(%)を測定した。その結果を表3に示す。
(表3)
Figure 2018235884
表3に示すように、高温環境下に晒された後のESR変化率に関しては、比較例8が334%に達してしまったのに対し、比較例9は179%に止まり、実施例24及び39についてはほとんど変化が見られない119%及び127%であった。尚、比較例9のみセパレータ種が異なるが、ESR変化率には影響しないと考えられる。即ち、実施例24及び39は、ESR上昇抑制効果に加え、このポリマーの主鎖骨格に窒素原子が存在する故のESR上昇抑制効果とゲル電解コンデンサであるが故の初期の低ESR効果が相俟って、高温環境下に晒されても非常に良好なESR特性を奏していることが確認された。
ここで、ゲル電解コンデンサである比較例8は、電解液を用いた比較例9よりもESR変化率が大きくなった。これは、モノマーとしてメタクリル酸2−ヒドロキシエチルを用いたことにより、溶質である1,6−デカンジカルボン酸とエチレングリコールとのエステル化が促進されたためと考えられる。モノマーとしてメタクリル酸2−ヒドロキシエチルを用いると、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルの水酸基からプロトンが脱離し、そのプロトンが1,6−デカンジカルボン酸のカルボニル基の酸素原子にアタックすることにより、エステル化が促進されたと考えられる。
一方、実施例24及び39で用いたモノマーは水酸基を有しているが、ESR変化率は小さい。この結果より、本発明のようにメタクリル基又はアクリル基を有し、主鎖骨格内に窒素原子を有するモノマーを用いることにより、当該モノマーに水酸基が存在しているにも関わらず、溶質とのエステル化を促進せず、寧ろエステル化を抑制すると考えられる。
(実施例40)
陽極箔、陰極箔、セパレータ、電解液、架橋剤及び重合開始剤といった材料及び製造方法については、実施例24に係るゲル電解コンデンサと同一条件にて、実施例40に係るゲル電解コンデンサを作成した。但し、電解液に、ゲル化剤含有電解液全体に対して上記化学式(3)で表されるメタクリル酸2−(tert−ブチルアミノ)エチルを1wt%添加し、また上記化学式(8)で表されるメタクリル酸2−ヒドロキシエチルを19.3wt%添加して重合反応を開始させた点が異なる。尚、電解液中のカチオン成分としては、実施例24と同様に、アンモニアガスを吹き込んでいる。
(実施例41)
実施例40の電解コンデンサと同一材料、同一方法及び同一条件にて実施例41のゲル電解コンデンサを作製した。但し、メタクリル酸2−(tert−ブチルアミノ)エチルを2.5wt%添加し、またメタクリル酸2−ヒドロキシエチルを18.3wt%添加した。これらモノマーの総モル数は、実施例40と同等である。
(実施例42)
実施例40の電解コンデンサと同一材料、同一方法及び同一条件にて実施例42のゲル電解コンデンサを作製した。但し、メタクリル酸2−(tert−ブチルアミノ)エチルを5wt%添加し、またメタクリル酸2−ヒドロキシエチルを16.5wt%添加した。これらモノマーの総モル数は、実施例40と同等である。
(実施例43)
実施例43のゲル電解コンデンサは、実施例40と比べて添加したモノマーが異なる。実施例43では、ゲル化剤含有電解液全体に対して1wt%の上記化学式(2)で表されるメタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチルを添加した。メタクリル酸2−ヒドロキシエチルについては、ゲル化剤含有電解液全体に対して19.3wt%添加した。これらモノマーの総モル数は、実施例40と同等である。
(実施例44)
実施例43の電解コンデンサと同一材料、同一方法及び同一条件にて実施例44のゲル電解コンデンサを作製した。但し、メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチルを2.5wt%添加し、またメタクリル酸2−ヒドロキシエチルを18.2wt%添加した。これらモノマーの総モル数は、実施例40と同等である。
(実施例45)
実施例43の電解コンデンサと同一材料、同一方法及び同一条件にて実施例45のゲル電解コンデンサを作製した。但し、メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチルを5wt%添加し、またメタクリル酸2−ヒドロキシエチルを16.5wt%添加した。これらモノマーの総モル数は、実施例40と同等である。
(実施例46)
実施例46のゲル電解コンデンサは、実施例40と比べて添加したモノマーが異なる。実施例46では、ゲル化剤含有電解液全体に対して1wt%の上記化学式(7)で表されるN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミドを添加した。メタクリル酸2−ヒドロキシエチルについては、ゲル化剤含有電解液に対して19.2wt%添加した。これらモノマーの総モル数は、実施例40と同等である。
(実施例47)
実施例46の電解コンデンサと同一材料、同一方法及び同一条件にて実施例47のゲル電解コンデンサを作製した。但し、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミドを2.5wt%添加し、またメタクリル酸2−ヒドロキシエチルを18.1wt%添加した。これらモノマーの総モル数は、実施例40と同等である。
(実施例48)
実施例46の電解コンデンサと同一材料、同一方法及び同一条件にて実施例48のゲル電解コンデンサを作製した。但し、N−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミドを5wt%添加し、またメタクリル酸2−ヒドロキシエチルを16.2wt%添加した。これらモノマーの総モル数は、実施例40と同等である。
(実施例49)
実施例40の電解コンデンサと同一材料、同一方法及び同一条件にて実施例49のゲル電解コンデンサを作製した。但し、メタクリル酸2−(tert−ブチルアミノ)エチルを10wt%添加し、またメタクリル酸2−ヒドロキシエチルを13.0wt%添加した。これらモノマーの総モル数は、実施例40と同等である。
(比較例13)
比較例8の電解コンデンサと同一材料、同一方法及び同一条件にて比較例13のゲル電解コンデンサを作製した。但し、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルを20.0wt%添加した。モノマーの総モル数は、実施例40と同等である。
(エステル化抑制効果の評価2)
実施例40乃至49及び比較例13のゲル電解コンデンサのCap、tanδ、初期ESR、及び150℃の温度環境下で300時間の間、無負荷で静置した後、初期のESRと比べたESR変化率(%)を測定した。その結果を表4に示す。
(表4)
Figure 2018235884
表4に示すように、比較例13は、モノマーがメタクリル酸2−ヒドロキシエチル単独であったため、溶質である1,6−デカンジカルボン酸とエチレングリコールとのエステル化が促進されてしまい、高温環境下に晒された後のESR変化率が347%に達してしまった。また、メタクリル酸2−(tert−ブチルアミノ)エチル、メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル、又はN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミドを1wt%添加した実施例40、43及び46は、Cap、tanδ及び初期のESRは良好であったが、ESR変化率は比較例13と同等まで悪化してしまった。
一方、実施例41、42及び49、実施例44及び45、並びに実施例47及び48では、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルを含有しているものの、メタクリル酸2−(tert−ブチルアミノ)エチル、メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル、及びN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミドが2.5wt%以上であると、ESR変化率が119%以上181%以下の範囲に収まった。
これにより、エステル化を促進してしまうメタクリル酸2−ヒドロキシエチルを含有していても、メタクリル酸2−(tert−ブチルアミノ)エチル、メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル、及びN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミドを2.5wt%以上含有していれば、これらモノマーのESR上昇抑制効果が優位に働き、高温環境下に晒されたとしてもESR変化率を低く抑えられることが確認された。しかも、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルの添加量が13.0以上19.3wt%以下の範囲であるのに対し、これらモノマーの添加量が2.5wt%、5wt%又は10wt%のように少量であっても、ESR上昇抑制効果は大きい。
また、実施例41、42及び49、実施例44及び45、並びに実施例47及び48では、メタクリル酸2−ヒドロキシエチルを用い、電解液のカチオン成分としてアンモニアガスを吹き込んでいる。この組み合わせであっても、メタクリル酸2−(tert−ブチルアミノ)エチル、メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル、又はN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミドが含有されていれば、ESR変化率を低く抑えられることが確認された。
(実施例25)
実施例25に係るゲル電解コンデンサは実施例24と比べて電解液が異なるが、アルコール類を溶媒とし、アニオン成分としてジカルボン酸を含有する点は同じであり、その他は実施例24の電解コンデンサと同一材料、同一方法及び同一条件にて実施例25のゲル電解コンデンサを作製した。また、外装ケース内の水分率が5wt%となるように調整した。
実施例25では、エチレングリコール、溶質のアニオン成分としてアゼライン酸、添加剤としてパラニトロベンジルアルコール及びポリエチレングリコールを混合し、アンモニアガスを溶質のカチオン成分として電解液に吹き込み、電解液を調製した。混合比は、エチレングリコール100重量部に対し、アゼライン酸が5重量部、パラニトロベンジルアルコールが1重量部、及びポリエチレングリコールが10重量部である。
(実施例26)
実施例25の電解コンデンサと同一材料、同一方法及び同一条件にて実施例26のゲル電解コンデンサを作製した。但し、外装ケース内の水分率が40wt%となるように調整した。
(実施例27)
実施例25の電解コンデンサと同一材料、同一方法及び同一条件にて実施例27のゲル電解コンデンサを作製した。但し、外装ケース内の水分率が50wt%となるように調整した。
(実施例28)
実施例25の電解コンデンサと同一材料、同一方法及び同一条件にて実施例28のゲル電解コンデンサを作製した。但し、外装ケース内の水分率が60wt%となるように調整した。
(実施例29)
実施例25の電解コンデンサと同一材料、同一方法及び同一条件にて実施例29のゲル電解コンデンサを作製した。但し、外装ケース内の水分率が70wt%となるように調整した。
(比較例10)
比較例10に係るコンデンサは電解コンデンサであり、ゲル化していない電解液をコンデンサ素子に含浸して得た。陽極箔、陰極箔、電解液といった材料及び製造方法に関しては、モノマーを重合させるための125℃及び1時間の静置過程が省かれた他は、実施例25と同一条件により作製した。但し、セパレータはクラフト紙を用いた。外装ケース内の水分率が5wt%となるように調整した。
(比較例11)
比較例11に係るコンデンサは電解コンデンサであり、ゲル化していない電解液をコンデンサ素子に含浸して得た。陽極箔、陰極箔、電解液といった材料及び製造方法に関しては、モノマーを重合させるための125℃及び1時間の静置過程が省かれた他は、実施例25と同一条件により作製した。但し、セパレータはクラフト紙を用いた。外装ケース内の水分率が40wt%となるように調整した。
(水分率別コンデンサ膨れの評価)
実施例25乃至29のゲル電解コンデンサ、並びに比較例10及び11のゲル化されていない電解コンデンサのCap、tanδ、及び初期ESRを測定し、また一定時間放置後の外観を目視にて確認した。放置条件は、115℃の温度環境下で1000時間の間、無負荷で静置した。その結果を表5に示す。
(表5)
Figure 2018235884
表5に示すように、Cap及びtanδに関しては実施例25乃至29並びに比較例10及び11に大きな差は見られなかった。初期のESRに関しては、実施例25及び比較例10が他の実施例と比して大きくなっているが、これは水分率が低いためと考えられる。高温環境下に長時間晒された後の外観に関しては、実施例25乃至28が変化しなかったのに対し、実施例29は封口体の安全弁の膨れが見られた。
外装ケース中に水が存在する場合、水が電極箔の酸化皮膜層を通ってアルミニウムに達すると、アルミニウムが溶解して水酸化物を生成し、この反応と同時に水素ガスが発生する。外装ケース中に水が多量に存在すると、それに伴い発生する水素ガス量が増加し、高温環境下に晒されると安全弁の膨れが生じやすくなる。実施例29のゲル電解コンデンサは水分率が70wt%である。そのため、外装ケース内に多量の水素ガスが発生したものと考えられる。即ち、水分率は外装ケースに変化が見られなかった60wt%以下が望ましいことが確認された。更に、電解液のみを用いた比較例11では、40wt%の水分率で弁膨れが見られた。即ち、本発明のゲル電解コンデンサを用いることにより、水分率を60wt%まで高めることができ、ESR低減効果が顕著になることも確認された。
(実施例30)
実施例30に係るゲル電解コンデンサは、実施例1と比べて電解液及びポリマーの架橋度が異なるが、アルコール類を溶媒とし、アニオン成分としてジカルボン酸を含有する点は同じであり、その他は実施例1の電解コンデンサと同一材料、同一方法及び同一条件にて実施例30のゲル電解コンデンサを作製した。
実施例30では、ヒドロキシエチルアクリルアミドをモノマーとし、0.5%の架橋度となるようにポリエチレングリコールジメタクリラートを架橋剤として添加し、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドを重合開始剤として添加した。ヒドロキシエチルアクリルアミドは、ゲル電解質全体に対して20wt%となるように添加した。
実施例30では、エチレングリコール、溶質のアニオン成分として1,7−オクタンジカルボン酸、並びに添加剤としてパラニトロベンジルアルコール、ポリエチレングリコール、ホウ酸及びマンニトールを添加し、溶質のカチオン成分としてトリエチルアミンを溶かし込み、電解液を調製した。混合比は、エチレングリコール100重量部に対し、1,7−オクタンジカルボン酸が3重量部、パラニトロベンジルアルコールが1重量部、ポリエチレングリコールが5重量部、ホウ酸が4重量部、及びマンニトールが4重量部である。
(実施例31)
実施例30の電解コンデンサと同一材料、同一方法及び同一条件にて実施例31のゲル電解コンデンサを作製した。但し、架橋剤による架橋度が8%になるように、ポリエチレングリコールジメタクリラートを添加した。
(実施例32)
実施例30の電解コンデンサと同一材料、同一方法及び同一条件にて実施例32のゲル電解コンデンサを作製した。但し、架橋剤による架橋度が20%になるように、ポリエチレングリコールジメタクリラートを添加した。また、ヒドロキシエチルアクリルアミドは、ゲル電解質全体に対して10wt%となるように添加した。
(実施例33)
実施例30の電解コンデンサと同一材料、同一方法及び同一条件にて実施例33のゲル電解コンデンサを作製した。但し、架橋剤による架橋度が35%になるように、ポリエチレングリコールジメタクリラートを添加した。また、ヒドロキシエチルアクリルアミドは、ゲル電解質全体に対して7.5wt%となるように添加した。
(実施例34)
実施例30の電解コンデンサと同一材料、同一方法及び同一条件にて実施例34のゲル電解コンデンサを作製した。但し、架橋剤による架橋度が45%になるように、ポリエチレングリコールジメタクリラートを添加した。また、ヒドロキシエチルアクリルアミドは、ゲル電解質全体に対して10wt%となるように添加した。
(実施例35)
実施例30の電解コンデンサと同一材料、同一方法及び同一条件にて実施例35のゲル電解コンデンサを作製した。但し、架橋剤による架橋度が50%になるように、ポリエチレングリコールジメタクリラートを添加した。また、ヒドロキシエチルアクリルアミドは、ゲル電解質全体に対して10wt%となるように添加した。
(実施例36)
実施例30の電解コンデンサと同一材料、同一方法及び同一条件にて実施例36のゲル電解コンデンサを作製した。但し、架橋剤による架橋度が75%になるように、ポリエチレングリコールジメタクリラートを添加した。また、ヒドロキシエチルアクリルアミドは、ゲル電解質全体に対して10wt%となるように添加した。
(比較例12)
比較例12に係るコンデンサは液状の電解質を用いた電解コンデンサであり、ゲル化していない電解液をコンデンサ素子に含浸して得た。陽極箔、陰極箔、電解液といった材料及び製造方法に関しては、モノマーを重合させるための水銀ランプの照射工程が省かれた他は、実施例30と同一条件により比較例12に係る電解コンデンサを作製した。尚、セパレータにはクラフト紙を使用した。
(架橋度別ESRの評価)
実施例30乃至36のゲル電解コンデンサ及び比較例12の電解コンデンサのCap、tanδ、ESR及び耐電圧を測定した。その結果を表6に示す。
(表6)
Figure 2018235884
表6に示すように、実施例30乃至36のゲル電解コンデンサは、比較例12の電解コンデンサと比べて高い耐電圧を示した。しかしながら、実施例36のゲル電解コンデンサは、ESRが比較例12の電解コンデンサと比べて悪化していた。これは、次の二点が理由として考えられる。まず一つ目に、架橋剤の添加量の増加により界面抵抗が上昇したと考えられる。実施例36は、コンデンサ素子にゲル化剤含有電解液を含浸後、ゲル電解質を形成している。そのため、陽極箔のエッチングピット内部にもゲル電解質が形成されており、架橋度の増加により、ピット内部における三次元構造を有するポリマーが占める割合が増加し、界面抵抗を上昇させたと考えられる。二つ目に、架橋度が高くなったためにゲル電解質中のイオンが動きにくくなったためと考えられる。従って、耐電圧に加え、高品質のESRをも目的とするならば、更に架橋度が50%以下であることが望ましい。

Claims (7)

  1. 陽極箔、陰極箔、及び前記陽極箔と前記陰極箔との間に配置されるゲル電解質を備え、
    前記ゲル電解質は、三次元網目構造を有するポリマーと、当該ポリマーに保持された電解液とから成り、
    前記三次元網目構造を有するポリマーは、メタクリル基又はアクリル基を有し、主鎖骨格内に窒素原子を含有するモノマーが重合されて成ること、
    を特徴とするゲル電解コンデンサ。
  2. 前記モノマーは、下記化学式(1)、(2)及び(3)で表されるメタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル、メタクリル酸2−(tert−ブチルアミノ)エチル、及びN−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]メタクリルアミドから選択される1種以上であり、
    前記三次元網目構造を有するポリマーは、更に下記化学式(4)で表されるメタクリル酸2−ヒドロキシエチルが重合されて成ること、
    を特徴とする請求項1記載のゲル電解コンデンサ。
    Figure 2018235884
    Figure 2018235884
    Figure 2018235884
    Figure 2018235884
  3. 前記モノマーが重合されたポリマーは、前記ゲル電解質全体に対して2.5wt%以上含むこと、
    を特徴とする請求項2記載のゲル電解コンデンサ。
  4. 前記陽極箔、前記陰極箔及び前記ゲル電解質により成る素子を封入する外装ケースを備え、
    前記外装ケース内には、0.05wt%以上の水分を含有すること、
    を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のゲル電解コンデンサ。
  5. 前記モノマーが重合されたポリマーは、前記ゲル電解質全体に対して2.5wt%以上50wt%以下の量を占めること、
    を特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のゲル電解コンデンサ。
  6. 前記ポリマーは、架橋剤を含み、
    前記架橋剤は、下記数式(1)から算出される前記ポリマーの架橋度が50%以下となるように前記ゲル電解質に含有されていること、
    を特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のゲル電解コンデンサ。
    Figure 2018235884
  7. 前記電解液は、溶媒としてアルコール類を含み、更に溶質としてカルボン酸、カルボン酸の塩又はこれらの両方を含むこと、
    を特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載にゲル電解コンデンサ。
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