JP2016197627A - 固体電解コンデンサ - Google Patents

固体電解コンデンサ Download PDF

Info

Publication number
JP2016197627A
JP2016197627A JP2015075989A JP2015075989A JP2016197627A JP 2016197627 A JP2016197627 A JP 2016197627A JP 2015075989 A JP2015075989 A JP 2015075989A JP 2015075989 A JP2015075989 A JP 2015075989A JP 2016197627 A JP2016197627 A JP 2016197627A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
gel
layer
conductive polymer
electrolytic capacitor
solid electrolytic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2015075989A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6842821B2 (ja
Inventor
康久 菅原
Yasuhisa Sugawara
康久 菅原
祐司 村山
Yuji Murayama
祐司 村山
寛之 出水
Hiroyuki Izumi
寛之 出水
佐藤 弘樹
Hiroki Sato
弘樹 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Tokin Corp
Original Assignee
NEC Tokin Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NEC Tokin Corp filed Critical NEC Tokin Corp
Priority to JP2015075989A priority Critical patent/JP6842821B2/ja
Priority to CN201610186708.XA priority patent/CN106057470B/zh
Priority to US15/085,791 priority patent/US10418184B2/en
Publication of JP2016197627A publication Critical patent/JP2016197627A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6842821B2 publication Critical patent/JP6842821B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Classifications

    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES, LIGHT-SENSITIVE OR TEMPERATURE-SENSITIVE DEVICES OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G9/00Electrolytic capacitors, rectifiers, detectors, switching devices, light-sensitive or temperature-sensitive devices; Processes of their manufacture
    • H01G9/004Details
    • H01G9/022Electrolytes; Absorbents
    • H01G9/025Solid electrolytes
    • H01G9/028Organic semiconducting electrolytes, e.g. TCNQ
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES, LIGHT-SENSITIVE OR TEMPERATURE-SENSITIVE DEVICES OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G9/00Electrolytic capacitors, rectifiers, detectors, switching devices, light-sensitive or temperature-sensitive devices; Processes of their manufacture
    • H01G9/0029Processes of manufacture
    • H01G9/0036Formation of the solid electrolyte layer
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES, LIGHT-SENSITIVE OR TEMPERATURE-SENSITIVE DEVICES OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G9/00Electrolytic capacitors, rectifiers, detectors, switching devices, light-sensitive or temperature-sensitive devices; Processes of their manufacture
    • H01G9/004Details
    • H01G9/04Electrodes or formation of dielectric layers thereon
    • H01G9/048Electrodes or formation of dielectric layers thereon characterised by their structure
    • H01G9/052Sintered electrodes
    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES, LIGHT-SENSITIVE OR TEMPERATURE-SENSITIVE DEVICES OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G9/00Electrolytic capacitors, rectifiers, detectors, switching devices, light-sensitive or temperature-sensitive devices; Processes of their manufacture
    • H01G9/15Solid electrolytic capacitors

Landscapes

  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Power Engineering (AREA)
  • Microelectronics & Electronic Packaging (AREA)
  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Electrochemistry (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Electric Double-Layer Capacitors Or The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

【課題】漏れ電流が小さく、長期間の高温使用下でもその酸化皮膜の修復効果が持続する固体電解コンデンサを提供する。
【解決手段】本発明の固体電解コンデンサは、弁金属、該弁金属の表面に形成された酸化皮膜層、該酸化皮膜層の上に形成された固体電解質層を備える固体電解コンデンサであって、固体電解質層は、導電性高分子と、化学ゲル化剤を用いて有機溶媒を固体化したゲルを含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、導電性高分子材料を固体電解質に用いた固体電解コンデンサに関する。詳しくは、漏れ電流が小さく、長期間の高温使用下でもその効果の持続性に優れた固体電解コンデンサに関する。
一般に、電解質として電解液を用いた電解コンデンサは、製造時に誘電体酸化皮膜に生じた欠陥を修復する能力を備えている。このため、漏れ電流は大きく増加しない。しかし、電解質として固体電解質を用いた固体電解コンデンサには、電解質が固体であるために、誘電体酸化皮膜を修復する能力が欠けている。このため、誘電体酸化皮膜に欠陥が発生すると、この欠陥を自己修復することができない。したがって、製造時の機械的ストレスや熱的ストレスによって誘電体酸化皮膜が劣化した場合に、漏れ電流が大きくなる傾向がある。固体電解質の漏れ電流を低減するため、従来はエージング処理が施されていたが、この処理は雰囲気中から吸収した水分を用いて皮膜修復するものであり、素子の吸湿性に依存していた。
この問題に対して、特許文献1では、弁金属、この弁金属の表面に形成された酸化皮膜層、およびこの酸化皮膜層上に形成された固体電解質層を含むコンデンサ素子を外装体の内部に有し、コンデンサ素子が、150℃以上の沸点および150℃以下の融点を有する有機化合物を含有することを特徴とする固体電解コンデンサが提案されている。特許文献1では、有機化合物の沸点は200℃以上がさらに好ましく、250℃以上が特に好ましいとされている。
また、特許文献2には、固体電解質層と、水分を保持したゲル化層からなる酸化皮膜修復層を備える固体電解コンデンサが提案されている。酸化皮膜修復層は誘電体層の欠損部に漏れ電流(LC)が流れた場合に、LCが酸化皮膜修復層に達して酸化皮膜修復層に保持される水を電気分解し、酸素を発生させ、この酸素が欠損部の弁金属に供給され、安定な酸化被膜を形成することが出来る。
特開2001−196271号公報 特開2014−045115号公報
しかしながら、特許文献1の構成では、漏れ電流が依然として大きく、また高温で長期間使用した場合に、如何に高沸点の有機化合物を使用したとしても、揮発を完全に抑えることは困難であり、有機化合物の減少に伴い酸化皮膜修復効果が低下し、LCの上昇を抑制できないという問題があった。
特許文献2においても、水を保持したゲル化層からなる酸化皮膜修復層は、ゲルで固体化していても高温下で徐々に水が揮発してしまい、酸化皮膜修復能が低下してしまう問題があり、高温耐久性に改善の余地がある。また、酸化皮膜と固体電解質層との間に酸化皮膜修復層を設けているため、ESRが高くなり易い。
本発明は、上記問題を解決し、漏れ電流(LC)が小さく、長期間の高温使用下でもその酸化皮膜の修復効果が持続する固体電解コンデンサを提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の一形態は、弁金属、前記弁金属の表面に形成された酸化皮膜層、前記酸化皮膜層の上に形成された固体電解質層を備える固体電解コンデンサであって、前記固体電解質層は、導電性高分子と、化学ゲル化剤を用いて有機溶媒を固体化したゲルを含有することを特徴とする固体電解コンデンサである。
前記ゲルの融点が160℃以上であることが好ましく、180℃以上であることが更に好ましい。260℃以上であることが特には好ましい。
前記固体電解質層は、酸化皮膜層の上に導電性高分子層を形成した後に、前記導電性高分子層に化学ゲル化剤を含んだ有機溶媒を含浸させゲル化した、前記導電性高分子と、前記有機溶媒のゲルを含有する固体電解質層、あるいは導電性高分子、化学ゲル化剤、有機溶媒を含んだ導電性高分子液をゲル化した固体電解質層であることが好ましい。
また、前記ゲルは、前記有機溶媒と、さらに電解質を含有した電解液を固体化したゲル電解質であることが好ましい。該ゲル電解質を含む固体電解質層は、酸化皮膜層の上に導電性高分子層を形成した後に、前記導電性高分子層に化学ゲル化剤を含んだ前記電解液を含浸させ、ゲル化した固体電解質層、あるいは、導電性高分子、化学ゲル化剤、有機溶媒及び電解質を含む導電性高分子液をゲル化した固体電解質層であることが好ましい。
加えて、前記弁金属はアルミニウム、タンタル、ニオブ、タングステン、チタン、ジルコニウムから選択される少なくとも1種、またはこれら弁金属同士の合金の少なくとも1種から選択されることが好ましい。
本発明の一形態によれば、有機溶媒が固体化したゲルとして保持されるため、高温で長期間使用した場合でも有機溶媒の揮発が抑制され、酸化皮膜の修復効果を長期間に亘り維持することが可能となる。
本発明の一実施形態に係る固体電解コンデンサの概要を示す模式的断面図である。
以下、本発明の一実施形態に係る固体電解コンデンサについて、詳細に説明する。
本実施形態に係る固体電解コンデンサは、弁金属、前記弁金属の表面に形成された酸化皮膜層、前記酸化皮膜層の上に形成された固体電解質層を構成要素とする固体電解コンデンサであって、前記固体電解質層は、導電性高分子と、化学ゲル化剤を用いて有機溶媒を固体化したゲルの両方を含有することを特徴とする。
(ゲルおよびゲル電解質)
本発明に係るゲルは、有機溶媒を、化学ゲル化剤を用いて固体化したものであり、ゲル電解質は、有機溶媒に電解質を溶解させた電解液を、化学ゲル化剤を用いて固体化したものである。特に断りがない限り、ゲルおよびゲル電解質をまとめて「ゲル」と称す。固体化することによって、揮発性が低くなり、長期間の高温使用可でも酸化皮膜の修復能が持続する。
化学ゲル化剤を用いて作成されるゲルは、固体電解コンデンサの素子内部の細孔部に液体のまま行き渡った後に固体化できる。酸化皮膜の修復のためには酸化皮膜の近傍にゲルが存在する必要があるため、液体の状態で含浸させることで酸化皮膜の修復に高い効果を発揮することができる。
また、化学ゲル化剤を用いて作成されるゲルは、ゲル骨格を構成する物質のネットワーク構造が共有結合で構成された化学ゲルであるため、熱を加えてもそのネットワーク構造が壊れにくい。そのため、ネットワーク構造が分子間力などの弱い相互作用で形成された物理ゲルに比べて高い融点を付与することができる。
ゲルの融点は、160℃以上であることが好ましい。車載用途など高耐熱性が求められる領域では150℃の耐熱性が求められてきており、該融点が160℃未満であるとその環境下で長期間に使用すると徐々に溶媒が揮発していき、酸化皮膜の修復能が低下しやすい。ゲルの融点は、示差走査熱量分析(DSC)などにより測定することができる。
ゲルの融点は、180℃以上であることが更には好ましい。固体電解コンデンサの外装樹脂形成時にコンデンサ素子は一時的に180℃程度の高温に曝される。180℃未満の融点をもつゲルでは、溶媒の揮発抑制が十分でなく、この工程時に固体電解コンデンサが膨れて製品不良になる場合がある。
さらに、ゲルの融点は、260℃以上であることが特に好ましい。固体電解コンデンサ実装時のリフローはんだ工程でコンデンサ素子は一時的に260℃程度の高温に曝される。260℃未満の融点をもつゲルでは、溶媒の揮発抑制が十分でなく、この工程時に固体電解コンデンサが膨れて製品不良になる場合がある。また、昨今は鉛フリーはんだの使用が求められてきており、リフローはんだ工程でコンデンサ素子は従来よりも高温に曝されるようになってきている。
[有機溶媒]
本発明に用いられる有機溶媒は、プロトン性極性溶媒や非プロトン性極性溶媒の中から選択されることが好ましい。特に限定されないが、例えば、以下のものが挙げられる。
エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン等のアルコール溶媒;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ポリエチレングリコール等のエーテル溶媒;
N−メチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等のアミド溶媒;
γ−ブチロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等のラクトン溶媒;
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のカーボネート溶媒;
アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ベンゾニトリル、3−メトキシプロピオニトリル等のニトリル溶媒;
N−メチル−2−オキサゾリドン等のカーバメート溶媒;
N,N’−ジメチルイミダゾリジノン等のユレア溶媒;
スルホラン、3−メチルスルホラン、ジメチルスルホン等のスルホン溶媒。
上記有機溶媒の中で、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ポリエチレングリコール、N−メチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ベンゾニトリル、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、スルホラン、ジメチルスルホンは沸点が180℃より高く、化学ゲル化剤を用いて固体化した場合においても揮発性がより低くなるため好ましい。
上記有機溶媒の中で、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、プロピレンカーボネート、ベンゾニトリルは氷点下においても液体であるため特に好ましい。グリセリンの融点は大気圧下17.8℃とされているが、種結晶が入っていない場合や−75℃程度に冷却したのち徐々に温度を上げるなどの工程を経ない限り、17.8℃以下、例えば、氷点下にしても固化することはない。
有機溶媒は1種類でも良く、互いに相溶性のある2種類以上を混ぜ合わした混和溶媒でも良い。電解液とする場合、酸化皮膜の修復能を高めるため有機溶媒と水とが混和した溶媒を電解液溶媒としてもよい。この場合、形成されるゲル中の水の含有量は5質量%以下であることが、高温環境下での溶媒の揮発抑制の観点から好ましい。有機溶媒と同伴される水は、ゲル化前あるいはゲル化の過程である程度除去することができる。
[電解質]
有機溶媒に加えて電解液とするための電解質としては、無機酸及び有機酸のアンモニウム塩、アミン塩、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩等を使用することができる。
ここで、無機酸としては、ホウ酸、炭酸、ケイ酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、チオシアン酸、シアン酸、ホウフッ化水素酸、リンフッ化水素酸、ヒ素フッ化水素酸、アンチモンフッ化水素酸、過塩素酸等が挙げられる。また、有機酸としては、蟻酸、酢酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ジメチルマロン酸、ジエチルマロン酸、ジプロピルマロン酸、3,3−ジメチルグルタル酸、3−メチルアジピン酸、1,6−デカンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、マレイン酸、シトラコン酸、安息香酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、サリチル酸、γ−レゾルシン酸、p−ニトロ安息香酸、フェノール、ピクリン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフロロメタンスルホン酸等が挙げられる。無機酸や有機酸は一部がエステル化されていてもよい。
また、アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、エチルメチルアミン、ジフェニルアミン、ジエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)−ウンデセン−7、トリエタノールアミン等が挙げられる。また、四級アンモニウムとしては、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、エタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、シクロヘキシルアンモニウム、ピペリジニウム、1,5−ジアザビシクロ(4.3.0)ノネニウム−5、1,8−ジアザビシクロ(5.4.0)ウンデセニウム−7、テトラメチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム、トリメチルエチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、N,N−ジメチルピロリジニウム、N−メチル−N−エチルピロリジニウム、N,N−ジメチルピペリジニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、N−エチルピリジニウム、N,N’−ジメチルイミダゾリウム等が挙げられる。また、四級ホスホニウムとしては、テトラメチルホスホニウム、メチルトリエチルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム、テトラプロピルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム等が挙げられる。
電解質は1種類でも良く、2種類以上組み合わせても良い。難燃性を付与できるため、ホウ酸またはホウ酸エステルが含まれていることがより好ましい。
有機溶媒に電解質を溶解させた電解液を、化学ゲル化剤を用いてゲル電解質にした場合、化学ゲル化剤を用いて有機溶媒を固体化したゲルに比べて酸化皮膜の修復能が高いのでLCをより小さくすることができる。
[化学ゲル化剤]
本発明に使用される化学ゲル化剤は、重合可能な官能基を1分子あたり1個以上有するモノマーまたはオリゴマーと重合開始剤との組み合わせや、架橋の起点となる官能基を2個以上有するポリマーと架橋剤との組み合わせなどが挙げられる。これらは架橋度を調整することで、本発明におけるゲルの融点を適宜調整することができる。
(モノマーまたはオリゴマー)
重合可能な官能基を一分子あたり1個有するモノマーとしては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、アクリル酸、スチレン、p−アセトキシスチレン、m−t−ブトキシスチレン、p−t−ブトキシスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−シアノスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−メチルスチレン、p−ビニルフェノール、2−メトキシ−4−ビニルフェノール、p−スチレンスルホン酸、2,4,6−トリメチルスチレン、p−ビニルアニリン、2−ビニルアントラセン、9−ビニルアントラセン、p−ビニル安息香酸、2−ビニルナフタレン、p−ビニルフェニルホウ酸、p−(t−ブチルジメチルシロキシ)スチレン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)スチレン、o−フルオロスチレン、p−フルオロスチレン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(4−ビニルフェニル)−プロパン−2−オール、スチリルエチルトリメトキシシラン、m−(トリフルオロメチル)スチレン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン、2−フェノキシエチルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、イソデシルアクリレート、2−n−ブトキシエチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ドデシルアクリレート、n−オククルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、ベンジルアクリレート、β−カルボキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、イソ−デシルメタクリレート、ブチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−(t−ブチルアミノ)エチルメタクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルモノメタアクリレート、2−ナフタレンアクリレート、グリセロールモノメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、フェニルアクリレート、n−プロピルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルメタアクリレート、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、2−ジエチルアミノエチルメタクリレート、エチルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、エチルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メタクリル酸、メチルアクリレート、ステアリルアクリレート、トリデシルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ステアリルメタクリレート等が挙げられる。
重合可能な官能基を1分子あたり2個以上有するモノマーまたはオリゴマーとしては、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、プロピレンジアクリレート、プロピレンジメタクリレート、ジプロピレンジアクリレート、ジプロピレンジメタクリレート、トリプロピレンジアクリレート、トリプロピレンジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメアリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート等の2官能アクリレートまたはメタクリレート;
トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート等の3官能アクリレートまたはメタクリレート;
ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレートなどの4官能アクリレートまたはメタクリレート等が挙げられる。
これらの他に、ウレタンメタクリレートなどのモノマー、これらの共重合体オリゴマーやアクリロニトリルとの共重合体オリゴマーが挙げられる。上記の例は一部であり、重合可能な官能基を1つ以上持っていれば特には制限されない。
1官能のアクリレートやメタクリレートと、2官能以上のアクリレートやメタクリレートの混合比率を変えることで出来上がるゲル骨格の架橋度を調整することができる。1官能のアクリレートやメタクリレートを用いず、2官能以上のアクリレートやメタクリレートだけ、又は2官能以上のアクリレートやメタクリレート同士の組み合わせを用いても良い。
有機溶剤との相溶性を高めるため、ゲル化剤用のモノマーまたはオリゴマーの分子内にヒドロキシル基やカルボキシル基、エーテル基、スルホ基、アミノ基などの極性基を持つことが好ましい。用いる有機溶媒または電解液によって、この極性基の数を適宜変更することが好ましい。
ゲル化剤用のモノマーまたはオリゴマーがポリエーテル変性されていると酸化皮膜と、導電性高分子と、有機溶媒または電解液との相性が良くなるため、本発明で求める効果が十分得られるので特に好ましい。
また、分子内に極性基を持つことによって、ゲル化剤用のモノマーまたはオリゴマーから作成される分子骨格と、有機溶媒および電解液と結合力が高まるため、ゲルおよびゲル電解質は一体に結合した構造となる。ゲル電解質は一体に結合した構造となることで、酸化皮膜の修復時にゲル電解質から電解質のイオンが急激に供給されることがなくなり、ゲル電解質中のイオン濃度が高くても酸化皮膜の損傷を起こすことなく、酸化皮膜の修復能力のみを高めることができる。
(重合開始剤)
重合開始剤としては、上記のゲル化剤用のモノマーまたはオリゴマーを重合架橋して所望のゲルまたはゲル電解質が形成できるものであれば、特に制限はない。例えば、以下のものを挙げることができる。
2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジサルフェートジハイドレート、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)ジヒドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−メチルプロピオンアミジン]n−ハイドレート、2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−(2−プロピル)−2−メチルプロピオンアミド]、2,2’−アゾビス[N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド]、ジメチル2,2’−アゾビス(イソブチレート)、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)等のアゾ化合物;
ビス−3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ジラウロイルパーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペロキシイソプロピル)ベンゼン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルペロキシ)ヘキシン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルペロキシシクロヘキシ)プロパン、1,1−ジ−t−ブチルペロキシシクロヘキサン、2,2−ジ−t−ブチルペロキシブタン、1,1,3,3−テトラメチルブチルペロキシネオデカノエート、α−クミルペロキシネオデカノエート、t−ブチルペロキシネオデカノエート、t−ブチルペロキシネオヘプタエート、t−ブチルペロキシピバレート、1,1,3,3−テトラメチルブチルペロキシ−2−エチルヘキサノエート、t−アミルペロキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペロキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−t−ブチルペロキシヘキサヒドロテレフタレート、t−アミルペロキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペロキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルペロキシアセテート、t−ブチルペロキシベンゾエート、ジ−2−エチルヘキシルペロキシジカーボネート、ジイソプロピルペロキシジカーボネート、t−ブチルペロキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルペロキシ−2−エチルヘキシルカーボネート、1,6−ビス(t−ブチルペロキシカルボニルオキシ)ヘキサン等の有機過酸化物等。
アゾ化合物は重合反応に伴って窒素ガスを発生させるため、重合開始剤は有機過酸化物であることが好ましい。
重合開始剤として酸を用いても良い。アゾ化合物や有機過酸化物に比べて、酸を用いた場合、ゲル化反応がゆっくりと進むため、導電性高分子を損傷することがない。そのため、導電性高分子の導電性を損なわず、固体電解コンデンサのESRの上昇を抑えることができる。反応がよりゆっくり進むため、カルボン酸やリン酸、亜リン酸、フェノールなどの弱酸を用いることが特には好ましい。
また、ゲル化剤用のモノマーまたはオリゴマーがエーテル鎖も有する場合、強酸を用いてしまうとエーテル鎖が開裂して分解してしまうことがあるため、この観点からも弱酸を用いることが好ましい。
(架橋の起点となる官能基を2個以上有するポリマー)
架橋の起点となる官能基を2個以上有するポリマーとしては、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリエステルスルホン酸、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリルアミド等が挙げられる。ポリビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド等とポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸、ポリエステルスルホン酸、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリルアミド等との共重合ポリマーでも良い。ポリビニル、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド等のポリマー主鎖に架橋の起点となる官能基を2個以上付加した構造でもよい。
架橋の起点となる官能基としては、ヒドロキシル基やカルボキシル基、スルホ基、アミノ基などの極性基であることが好ましい。極性基を持つことによって、これらポリマーから作成される分子骨格と、有機溶媒および電解液と結合力が高まるため、ゲルおよびゲル電解質は一体に結合した構造となる。ゲル電解質は一体に結合した構造となることで、酸化皮膜の修復時にゲル電解質から電解質のイオンが急激に供給されることがなくなるので、ゲル電解質のイオン濃度が高くても酸化皮膜の損傷を起こすことなく、酸化皮膜の修復能力のみを高めることができる。
(架橋剤)
架橋剤としては、上記ポリマーに含有される架橋の起点となる官能基と反応して架橋構造をとることができれば特に限定されないが、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、レソルシノールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリブタジエンジグリシジルエーテル、ジグリシジルo−フタレート、ハイドロキノンジグリシジルエーテル、ジグリシジルテレフタレート、ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。
〔固体電解コンデンサ〕
本発明の固体電解コンデンサは、導電性高分子と、化学ゲル化剤を用いて有機溶媒を固体化したゲル、または、化学ゲル化剤を用いて有機溶媒からなる電解液を固体化したゲル電解質を含有する固体電解質層とした以外は、基本的には従来の固体電解コンデンサの構成とほぼ同様である。即ち、形状、材質等も公知のものが採用でき、特に制限はない。
図1に、本発明に係る固体電解コンデンサの一例の模式的断面図を示す。該固体電解コンデンサでは、弁金属1上に、誘電体酸化皮膜層2、固体電解質層3、グラファイト層4及び銀層5がこの順に形成されている。弁金属1は弁金属リード8を有し、弁金属リード8は電極7に溶接により接続されている。また、銀層5は導電接着剤6を介してもう一方の電極7に接続されている。該固体電解コンデンサは、2つの電極7の一部を外部に露出した状態で外装樹脂9により覆われている。電極7の代わりに配線を具した基板に銀層5まで形成したコンデンサ素子を導電接着剤や溶接などで接続した後、外装樹脂で覆う基板構造としても良い。
(弁金属)
弁金属1は、例えば弁金属の板、箔または線;弁金属の微粒子を含む焼結体;エッチングによって拡面処理された多孔質体金属などによって形成される。弁金属としては、アルミニウム、タンタル、ニオブ、タングステン、チタン、ジルコニウムから選択される少なくとも1種、またはこれら弁金属同士の合金であることが好ましい。
(誘電体酸化皮膜層)
誘電体酸化皮膜層2は、弁金属体1の表面を電解酸化することで形成することができる。陽極導体1が焼結体や多孔質体金属の場合には、焼結体や多孔質体金属の空孔部にも誘電体酸化皮膜層2は形成される。誘電体酸化皮膜層2の厚みは、電解酸化の電圧によって適宜調整できる。
(固体電解質層)
固体電解質層3は導電性高分子と、化学ゲル化剤を用いて有機溶媒を固体化したゲルまたは化学ゲル化剤を用いて電解質を含む有機溶媒からなる電解液を固体化したゲル電解質とを含んでなる。導電性高分子は単層構造でもよく、多層構造でもよい。固体電解質層3の形成方法の例としては、例えば誘電体酸化皮膜層2上に導電性高分子を与えるモノマーの化学酸化重合を複数回行うことにより導電性高分子からなる導電性高分子層を形成した後に、前記導電性高分子層に化学ゲル化剤を含んだ有機溶媒または化学ゲル化剤を含んだ電解液を含浸させ、その後にゲル化を行う。ゲル化は加熱などにより起こすことができる。このような工程を経ることによって固体電解質層3は導電性高分子と、ゲルまたはゲル電解質の両方を含有する構造となる。化学酸化重合によって得られた導電性高分子層は内部にスポンジ状の空孔を具する構造をしているため、導電性高分子層を形成後にゲル化前の有機溶媒または電解液を含浸させることで酸化皮膜の近傍全体にまで行き渡らせることが容易にできる。
導電性高分子層形成後、グラファイト層や銀層をさらに形成した後に、導電性高分子層にゲル化前の化学ゲル化剤を含んだ有機溶媒または化学ゲル化剤を含んだ電解液を含浸させ、その後にゲル化を行って固体電解質層を形成しても問題ない。
固体電解質層3の形成方法のもう一つの例としては、導電性高分子、化学ゲル化剤、有機溶媒または電解質を含む有機溶媒からなる電解液を含んだ導電性高分子液をゲル化して、導電性高分子と、有機溶媒を固体化したゲルまたは電解液を固体化したゲル電解質の両方を含有する固体電解質層を形成する方法がある。ゲル化は加熱などにより起こすことができる。なお本発明でいう導電性高分子液は、溶液状態でも良いし、分散液状態でも良い。上記の導電性高分子液には導電性高分子を調製する際に同伴される水が含まれることがあるが、ゲル化の際に水を極力除くことが好ましい。
また、固体電解質層3の形成方法は、導電性高分子を含んだ導電性高分子水溶液を用い、導電性高分子水溶液から水の除去を行い、導電性高分子層を形成した後に、ゲル化前の化学ゲル化剤を含んだ有機溶媒または化学ゲル化剤を含んだ電解液を含浸させ、その後にゲル化を行ってももちろんよい。
導電性高分子と、前記ゲルまたはゲル電解質の両方を含有する固体電解質層3の上に、導電性高分子を与えるモノマーの化学酸化重合や電解重合、または導電性高分子液を塗布又は含浸しその後溶媒を除去する方法により、ゲルまたはゲル電解質を含まない導電性高分子層をさらに形成しても良い。酸化皮膜の修復のためには酸化皮膜の近傍にゲルまたはゲル電解質が存在すれば、固体電解質層全体にゲルまたはゲル電解質がなくても効果は十分に得ることができる。
前記の導電性高分子を与えるモノマーとしては、ピロール、チオフェン、アニリンおよびそれらの誘導体からなる群から選択される少なくとも1種を用いることができる。該モノマーを化学酸化重合または電解重合して導電性高分子を得る際に使用するドーパントとしては、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、フェノールスルホン酸、スチレンスルホン酸およびその誘導体等のスルホン酸系化合物が好ましい。ドーパントの分子量は特に限定されず、適宜選択することができる。溶媒としては、水、水と水に可溶な有機溶媒とを含む混和溶媒などを用いることができる。
導電性高分子液の塗布又は含浸の方法としては特に制限されない。しかしながら、十分に多孔質細孔内部へ導電性高分子液を充填させるために、導電性高分子液を塗布又は含浸した後に数分〜数10分放置することが好ましい。また、導電性高分子液の浸漬を繰り返したり、減圧方式又は加圧方式を採用したりすることが好ましい。
導電性高分子液からの溶媒の除去は、乾燥により行うことができる。乾燥温度は、除くべき溶媒の除去が可能な温度範囲であれば特に限定されないが、ゲルからの溶媒の揮発低減の観点からゲルの融点未満であることが好ましい。乾燥時間は、乾燥温度によって適宜選択されるが、導電性高分子の導電性及び、ゲルが損なわれない範囲であれば特に制限されない。
(グラファイト層)
グラファイト層4は、グラファイト(黒鉛)の粉末をバインダとともに所定の溶媒(希釈剤)に分散したグラファイトペーストを用いて形成することができる。グラファイトの粒径や量は、適宜所望の導電性が付与できるように適宜調整することができる。
グラファイトペーストは、市販品を用いることができる。又、グラファイト層の代わりに、カーボンブラックなどの炭素材料を添加した導電層を形成してもよい。
グラファイト層4の形成方法としては、例えば導電性高分子層3上に前述のグラファイトペーストを塗布又は含浸し、溶媒を除去する方法が挙げられる。グラファイトペーストからの溶媒の除去は、乾燥により行うことができる。乾燥温度は、溶媒除去が可能な温度範囲であれば特に限定されないが、ゲル及びゲル電解質からの溶媒の揮発低減の観点からゲルの融点未満であることが好ましい。乾燥時間は、乾燥温度によって適宜選択されるが、導電性高分子の導電性及び、ゲル及びゲル電解質が損なわれない範囲であれば特に制限されない。
(銀層)
銀層5は、銀の微粒子をバインダとともに所定の溶媒(希釈剤)に分散した銀ペーストを用いて形成することができる。銀微粒子の粒径や量は、適宜所望の導電性が付与できるように適宜調整することができる。銀ペーストも市販品が容易に入手可能である。
銀層5の形成方法としては、例えばグラファイト層4上に前述の銀ペーストを塗布または含浸し、溶媒を除去する方法が挙げられる。銀ペーストからの溶媒の除去は、乾燥により行うことができる。乾燥温度は、溶媒除去が可能な温度範囲であれば特に限定されないが、ゲル及びゲル電解質からの溶媒の揮発低減の観点からゲルの融点未満であることが好ましい。乾燥時間は、乾燥温度によって適宜選択されるが、導電性高分子の導電性及び、ゲル及びゲル電解質が損なわれない範囲であれば特に制限されない。
(電極)
電極7は、溶接や導電性接着剤6により接続される。導電性接着剤6の形成方法としては、銀層5上に公知の導電性接着剤ペーストを塗布し、その上から電極7を重ねた状態で、溶媒を除去する方法が挙げられる。導電性接着剤ペーストからの溶媒の除去は、乾燥により行うことができる。乾燥温度は、溶媒除去が可能な温度範囲であれば特に限定されないが、ゲル及びゲル電解質からの溶媒の揮発低減の観点からゲルの融点未満であることが好ましい。乾燥時間は、乾燥温度によって適宜選択されるが、導電性高分子の導電性及び、ゲル及びゲル電解質が損なわれない範囲であれば特に制限されない。
(外装樹脂)
外装樹脂9に使用する樹脂は制限されないが、一般的に熱硬化性エポキシ樹脂が用いられる。樹脂をトランスファーモールド成型する際にコンデンサ素子は一時的に180℃程度の熱に曝される。
以上のように、固体電解コンデンサの製造過程には様々な熱処理が含まれている。このため、ゲル化の工程は、導電性高分子層3の形成中や形成直後以外に、グラファイト層4の形成中や形成後でもよく、銀層5の形成中や形成後でもよく、導電性接着剤6の乾燥中や形成後でもよく、外装樹脂の成型中や形成後でもよい。
ゲル化の工程は、グラファイト層4の形成中以降に行うことで、導電性の低いゲル骨格が、導電性高分子層とグラファイト層の導電経路を妨げることが無くなるため、固体電解コンデンサのESR上昇を防ぐことができる点で特に好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
<実施例1>
本実施例では、図1に示す固体電解コンデンサを下記の方法で製造した。
弁金属1としてのタンタル微粉末の焼結体を、リン酸水溶液中、10Vで電解酸化し、タンタル微粉末の焼結体の表面全体が誘電体酸化皮膜層2で被覆されたペレットを得た。
次に、酸化剤兼ドーパントであるp−トルエンスルホン酸第二鉄の30質量%メタノール溶液にこの誘電体酸化皮膜層で被覆されたペレットを10分間浸漬し、次いで室温で30分乾燥させた後、導電性高分子を与えるモノマーであるチオフェン誘導体の3,4−エチレンジオキシチオフェンに10分間浸漬して室温で30分間保持して3,4−エチレンジオキシチオフェンの重合を行った。この後、エタノールに浸漬して未反応物および酸化剤残渣の洗浄を行った。これら酸化剤の充填、3,4−エチレンジオキシチオフェンの充填及び洗浄を行う一連の重合操作を5回繰り返して、ポリエチレンジオキシチオフェン層からなる導電性高分子層を形成したコンデンサ素子を得た。
導電性高分子層を形成したコンデンサ素子を、70℃に加温した化学ゲル化剤を含んだグリセリンに10分間浸漬し、誘電体酸化皮膜層近傍に至るまで導電性高分子層に含浸させた。内部への浸透性を高めるため、化学ゲル化剤を含んだグリセリンはイソプロピルアルコールにて希釈(化学ゲル化剤を含んだグリセリン50質量%)して用いた。また、このとき化学ゲル化剤は、重合可能な官能基を1分子あたり1個有するモノマーとしてアクリル酸、重合可能な官能基を1分子あたり2個以上有するモノマーとしてペンタエリスリトールトリアクリレートを用い、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイドを用いた。化学ゲル化剤はグリセリン100質量部に対して、アクリル酸10質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート5質量部を加えた。含浸後、コンデンサ素子を110℃で1時間加熱し、イソプロピルアルコールの除去およびグリセリンのゲル化を行った。この工程を経ることによって導電性高分子と、グリセリンを含むゲルの両方を含有した固体電解質層3が得られた。この条件で作成したゲルの融点は271℃であった。
固体電解質層3の形成後、グラファイトペーストにペレットを浸漬・引き上げた後、120℃で1時間乾燥を行い、グラファイト層4を形成した。グラファイト層4の形成後、銀ペーストにペレットを浸漬・引き上げた後、120℃で1時間乾燥を行い、銀層5を形成した。続いて、導電接着剤6および外部電極7、外装樹脂9を順番に形成し、固体電解コンデンサを製造した。
製造した固体電解コンデンサに対して評価基板にリフローはんだ工程を行い実装した後、LCの評価を行った。LC評価は、実装後および150℃の耐熱試験を500時間経過した後の2回行った。結果を表1に示す。また、固体電解コンデンサ製造工程および実装工程の外装膨れによる不良率を併せて表1に示す。
<実施例2>
有機溶媒をグリセリンに代えてγ−ブチルラクトンを使用した以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを製造した。実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
<実施例3>
有機溶媒をグリセリンに代えてエチレングリコールモノエチルエーテルを使用した以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを製造した。実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
<実施例4>
化学ゲル化剤の量をグリセリン100質量部に対して、アクリル酸10質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート1質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを製造した。実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
<実施例5>
化学ゲル化剤の量をグリセリン100質量部に対して、アクリル酸10質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート0.4質量部に変更した以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを製造した。実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
<実施例6>
化学ゲル化剤をポリエチレングリコールジアクリレート(商品名「ファンクリルFA−240A」、日立化成(株)製、以下「FA240A」)とEO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(商品名「ファンクリルFA−137A」、日立化成(株)製、以下「FA137A」)に変更し、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを製造した。化学ゲル化剤の量は、グリセリン100質量部に対して、FA240Aを7質量部、FA137Aを2質量部とした。FA240Aは重合可能な官能基(アクリロイル基)を1分子あたり2個有し、分子内にポリエーテル鎖を持つ。また、FA137Aは重合可能な官能基(アクリロイル基)を1分子あたり3個有し、分子内に分子内にポリエーテル鎖を持つ。
製造した固体電解コンデンサは実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
<実施例7>
グリセリン100質量部に、リン酸0.3質量部とホウ酸10質量部、アンモニア1質量部を添加し、150℃で30分加熱して、グリセリンを含む電解液とした。また、化学ゲル化剤の量を電解液100質量部に対して、アクリル酸10質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート5質量部を加えた以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを製造した。実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
<実施例8>
グリセリンをエチレングリコールに変更した以外は、実施例7と同様にして固体電解コンデンサを製造した。実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
<実施例9>
グリセリンをγ−ブチルラクトンに変更した以外は、実施例7と同様にして固体電解コンデンサを製造した。実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
<実施例10>
化学ゲル化剤の量を電解液100質量部に対して、アクリル酸10質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート1質量部を加えた以外は、実施例7と同様にして固体電解コンデンサを製造した。実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
<実施例11>
化学ゲル化剤の量を電解液100質量部に対して、アクリル酸10質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート0.4質量部を加えた以外は、実施例7と同様にして固体電解コンデンサを製造した。実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
<実施例12>
グリセリン100質量部に、フタル酸10質量部、アンモニア1質量部を添加して電解液を調製した以外は、実施例7と同様にして固体電解コンデンサを製造した。実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
<実施例13>
化学ゲル化剤として、架橋の起点となる官能基を2個以上有するポリマーのヒドロキシプロピルメチルセルロース(商品名「METLOSE 60SH−03」、信越化学工業(株)製)を用い、架橋剤としてポリグリセリンポリグリシジルエーテル(商品名「SR−4GL」、阪本薬品工業(株)製)を用いた。化学ゲル化剤はグリセリン100質量部に対して、ヒドロキシプロピルセルロース10質量部、ポリグリセリンポリグリシジルエーテル4質量部を加えた。それ以外は、実施例7と同様にして固体電解コンデンサを製造した。実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
<実施例14>
化学ゲル化剤をFA240AとFA137Aに、重合開始剤を酸である安息香酸に変更し、実施例7と同様にして固体電解コンデンサを製造した。化学ゲル化剤の量は、グリセリン100質量部に対して、FA240Aを7質量部、FA137Aを2質量部とした。
製造した固体電解コンデンサは実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
<実施例15>
グリセリンをジグセリンに、化学ゲル化剤を「ファンクリルFA−220A」(商品名、日立化成(株)製、以下「FA220A」)とFA137Aに、重合開始剤を酸である安息香酸に変更し、実施例7と同様にして固体電解コンデンサを製造した。化学ゲル化剤の量は、ジグリセリン100質量部に対して、FA220Aを10質量部、FA137Aを3質量部とした。
製造した固体電解コンデンサは実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
<実施例16>
弁金属としてアルミニウムのエッチング箔を用いた以外は、実施例7と同様にして固体電解コンデンサを製造した。実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
<実施例17>
弁金属としてチタンとジルコニウムの合金からなる微粉末の焼結体を用いた以外は、実施例7と同様にして固体電解コンデンサを製造した。チタンとジルコニウム比率が原子比1:1の合金を今回用いた。実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
<実施例18>
固体電解質層を、導電性高分子、化学ゲル化剤、有機溶媒からなる電解液を含んだ導電性高分子液を用いて形成した以外は、実施例7と同様にして固体電解コンデンサを製造した。
固体電解質層の形成方法の詳細を示す。導電性高分子液は、ポリジオキシチオフェンとポリスチレンスルホン酸からなる導電性高分子と、グリセリン100質量部にリン酸0.3質量部とホウ酸10質量部、アンモニア1質量部を添加した電解液と、アクリル酸、ペンタエリスリトールトリアクリレート、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイドの組み合わせの化学ゲル化剤を含有している。導電性高分子液100質量部中、導電性高分子4質量部、グリセリンからなる電解液10質量部、アクリル酸1質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート0.5質量部が含有されている。誘電体酸化皮膜層2で被覆されたペレットを、前記導電性高分子液に5分間浸漬し、その後130℃で液中に含まれる水の除去および電解液のゲル化を行った。この工程を8回繰り返し、導電性高分子とゲル電解質の両方を含有する固体電解質を形成した。
実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
<比較例1>
化学ゲル化剤を含まないグリセリンを用いた以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを製造した。実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
<比較例2>
化学ゲル化剤を使用しない以外は、実施例7と同様にして固体電解コンデンサを製造した。
実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
<比較例3>
化学ゲル化剤を含んだグリセリンの含浸及びゲル化処理を行わなかった以外は、実施例1と同様にして固体電解コンデンサを製造した。実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
なお、各実施例におけるゲル融点、各実施例及び各比較例のLC、外装膨れによる不良率は、以下の方法で測定した。
・ゲル融点:ゲル融点は、各実施例のゲル化剤を含む有機溶媒あるいはゲル化剤を含む電解液をそれぞれの固体電解コンデンサの熱処理条件で別途ゲル化したゲルまたはゲル電解液から示差走査熱量分析(SIIナノテクノロジー社製、DSC6220)にて測定した。導電性高分子、ゲル化剤、有機溶媒または電解液を含む導電性高分子液から調製したゲルは、導電性高分子を含む状態で測定した。
・LC:JIS C5101−1に準拠し、実装後エージングなし、温度25℃で、また、定格電圧を印加した状態で150℃で500時間保持後、25℃に降温し、漏れ電流(LC)を測定した。それぞれ、規定容量(C)、定格電圧(V)に達して5分後の漏れ電流(μA)を2回測定し、その平均値を示す。
・外装膨れによる不良率:各例において、100個のサンプルを作製し、外装樹脂形成時及び実装時の外装膨れを目視により判断し、不良率を算出した。
Figure 2016197627
<実施例19>
ゲル化をグラファイト層形成中に行った以外は、実施例7と同様にして固体電解コンデンサを製造した。
導電性高分子層を形成したコンデンサ素子を、下記の化学ゲル化剤を添加した実施例7で調製した電解液に10分間浸漬し、誘電体酸化皮膜層近傍に至るまで導電性高分子層に電解液を含浸させた。導電性高分子層内部への浸透性を高めるため、電解液はイソプロピルアルコールにて希釈(電解液50質量%)して用いた。化学ゲル化剤は、重合可能な官能基を1分子あたり1個有するモノマーとしてアクリル酸、重合可能な官能基を1分子あたり2個以上有するモノマーとしてペンタエリスリトールトリアクリレートを用い、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイドを用いた。化学ゲル化剤はグリセリン100質量部に対して、アクリル酸10質量部、ペンタエリスリトールトリアクリレート5質量部を加えた。含浸後、コンデンサ素子を60℃で1時間加熱し、イソプロピルアルコールの除去を行った。
電解液の含浸後、グラファイトペーストにペレットを浸漬・引き上げた後、120℃で1時間乾燥を行い、電解液のゲル化およびグラファイト層4の形成を行った。この工程を経ることによって、導電性高分子と、グリセリンを含むゲル電解質の両方を含有した固体電解質層3が得られた。この条件で作成したゲル電解質の融点は280℃であった。グラファイト層4の形成後、銀ペーストにペレットを浸漬・引き上げた後、120℃で1時間乾燥を行い、銀層5を形成した。続いて、導電接着剤6および外部電極7、外装樹脂9を順番に形成し、固体電解コンデンサを製造した。
得られた固体電解コンデンサのESR(等価直列抵抗)を、LCRメーターを用いて測定した。具体的には、ESRは、周波数100kHzにてDCバイアス1.5Vで、実効値0.5Vの正弦波を重畳して測定した。実施例7、比較例3の結果とともにESRの結果を表2に示す。
Figure 2016197627
1:弁金属
2:誘電体酸化皮膜層
3:固体電解質層
4:グラファイト層
5:銀層
6:導電接着剤
7:電極
8:弁金属リード
9:外装樹脂

Claims (10)

  1. 弁金属、前記弁金属の表面に形成された酸化皮膜層、前記酸化皮膜層の上に形成された固体電解質層を備える固体電解コンデンサであって、前記固体電解質層は、導電性高分子と、化学ゲル化剤を用いて有機溶媒を固体化したゲルを含有することを特徴とする固体電解コンデンサ。
  2. 前記ゲルの融点が160℃以上であることを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  3. 前記ゲルの融点が180℃以上であることを特徴とする請求項2に記載の固体電解コンデンサ。
  4. 前記ゲルの融点が260℃以上であることを特徴とする請求項3に記載の固体電解コンデンサ。
  5. 前記固体電解質層は、酸化皮膜層の上に導電性高分子層を形成した後に、前記導電性高分子層に化学ゲル化剤を含んだ有機溶媒を含浸させゲル化した、前記導電性高分子と、前記有機溶媒のゲルを含有する固体電解質層であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
  6. 前記固体電解質層は、導電性高分子、化学ゲル化剤、有機溶媒を含む導電性高分子液をゲル化した固体電解質層であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
  7. 前記ゲルは、前記有機溶媒と、さらに電解質を含有した電解液を固体化したゲル電解質であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
  8. 前記ゲル電解質を含む固体電解質層は、酸化皮膜層の上に導電性高分子層を形成した後に、前記導電性高分子層に化学ゲル化剤を含んだ前記電解液を含浸させ、ゲル化した固体電解質層であることを特徴とする請求項7に記載の固体電解コンデンサ。
  9. 前記ゲル電解質を含む固体電解質層は、導電性高分子、化学ゲル化剤、有機溶媒及び電解質を含む導電性高分子液をゲル化した固体電解質層であることを特徴とする請求項7に記載の固体電解コンデンサ。
  10. 前記弁金属はアルミニウム、タンタル、ニオブ、タングステン、チタン、ジルコニウムから選択される少なくとも1種、またはこれら弁金属同士の合金の少なくとも1種から選択されることを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の固体電解コンデンサ。
JP2015075989A 2015-04-02 2015-04-02 固体電解コンデンサ Active JP6842821B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015075989A JP6842821B2 (ja) 2015-04-02 2015-04-02 固体電解コンデンサ
CN201610186708.XA CN106057470B (zh) 2015-04-02 2016-03-29 固体电解电容器
US15/085,791 US10418184B2 (en) 2015-04-02 2016-03-30 Solid electrolytic capacitor

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015075989A JP6842821B2 (ja) 2015-04-02 2015-04-02 固体電解コンデンサ

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2016197627A true JP2016197627A (ja) 2016-11-24
JP6842821B2 JP6842821B2 (ja) 2021-03-17

Family

ID=57017722

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2015075989A Active JP6842821B2 (ja) 2015-04-02 2015-04-02 固体電解コンデンサ

Country Status (3)

Country Link
US (1) US10418184B2 (ja)
JP (1) JP6842821B2 (ja)
CN (1) CN106057470B (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018235884A1 (ja) * 2017-06-20 2018-12-27 日本ケミコン株式会社 ゲル電解コンデンサ
WO2019065661A1 (ja) * 2017-09-28 2019-04-04 日本ケミコン株式会社 ゲル電解コンデンサ

Families Citing this family (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108878152A (zh) * 2018-06-21 2018-11-23 益阳市万京源电子有限公司 一种具备自我修复功能的固态铝电解电容器及其制备方法
CN109300696B (zh) * 2018-09-14 2020-06-19 丰宾电子(深圳)有限公司 用于固态电容耐压提升的处理液及固态电容器的制备方法
CN111504521B (zh) * 2020-05-07 2021-09-03 腾讯科技(深圳)有限公司 柔性电容阵列及其制备方法、和电容阵列检测系统
CN112582175B (zh) * 2020-10-26 2022-06-10 湖南艾华集团股份有限公司 一种固态铝电解电容器及其制备方法

Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04179111A (ja) * 1990-11-09 1992-06-25 Ricoh Co Ltd 固体電解コンデンサ
JPH11162514A (ja) * 1997-12-02 1999-06-18 Sekisui Chem Co Ltd ゲル電解質及び電池
CN1884858A (zh) * 2005-06-20 2006-12-27 索尼株式会社 制造吸盘的方法、吸盘和车内设备
JP2010036123A (ja) * 2008-08-06 2010-02-18 Nippon Oil Corp 二酸化炭素濃縮膜および二酸化炭素濃縮方法
JP2014045115A (ja) * 2012-08-28 2014-03-13 Nec Tokin Corp 固体電解コンデンサ
CN104277731A (zh) * 2014-09-25 2015-01-14 苏州长盛机电有限公司 一种耐高温固体胶及其制备方法

Family Cites Families (12)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05152169A (ja) * 1991-11-26 1993-06-18 Marcon Electron Co Ltd 固体電解コンデンサの製造方法
JP3416637B2 (ja) 1999-10-28 2003-06-16 松下電器産業株式会社 固体電解コンデンサおよびその製造方法
US20040003341A1 (en) * 2002-06-20 2004-01-01 Koninklijke Philips Electronics N.V. Method and apparatus for processing electronic forms for use with resource constrained devices
US7060169B2 (en) * 2002-08-14 2006-06-13 Mst Technology Gmbh Electrochemical cell for gas sensor
US7250461B2 (en) * 2004-03-17 2007-07-31 E. I. Du Pont De Nemours And Company Organic formulations of conductive polymers made with polymeric acid colloids for electronics applications, and methods for making such formulations
KR100906251B1 (ko) * 2006-09-25 2009-07-07 주식회사 엘지화학 디아크릴 아마이드계 중합성 물질을 포함하고 있는 젤폴리머 전해액 및 이를 포함하는 전기화학 소자
WO2008098137A2 (en) * 2007-02-07 2008-08-14 Zettacore, Inc. Liquid composite compositions using non-volatile liquids and nanoparticles and uses thereof
KR101757178B1 (ko) * 2010-01-15 2017-07-12 주식회사 쿠라레 고분자 전해질 겔 조성물
EP2633578A1 (en) * 2010-10-26 2013-09-04 Dyesol Industries Pty Ltd An electrolyte formulation for use in photoelectrochemical devices
US8451588B2 (en) * 2011-03-11 2013-05-28 Avx Corporation Solid electrolytic capacitor containing a conductive coating formed from a colloidal dispersion
US20140182680A1 (en) * 2011-05-31 2014-07-03 Merck Patent Gmbh Electrolyte formulations
JP2013171956A (ja) * 2012-02-21 2013-09-02 Nec Tokin Corp 固体電解コンデンサ及びその製造方法、並びに導電性高分子組成物

Patent Citations (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH04179111A (ja) * 1990-11-09 1992-06-25 Ricoh Co Ltd 固体電解コンデンサ
JPH11162514A (ja) * 1997-12-02 1999-06-18 Sekisui Chem Co Ltd ゲル電解質及び電池
CN1884858A (zh) * 2005-06-20 2006-12-27 索尼株式会社 制造吸盘的方法、吸盘和车内设备
JP2010036123A (ja) * 2008-08-06 2010-02-18 Nippon Oil Corp 二酸化炭素濃縮膜および二酸化炭素濃縮方法
JP2014045115A (ja) * 2012-08-28 2014-03-13 Nec Tokin Corp 固体電解コンデンサ
CN104277731A (zh) * 2014-09-25 2015-01-14 苏州长盛机电有限公司 一种耐高温固体胶及其制备方法

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2018235884A1 (ja) * 2017-06-20 2018-12-27 日本ケミコン株式会社 ゲル電解コンデンサ
JPWO2018235884A1 (ja) * 2017-06-20 2020-04-23 日本ケミコン株式会社 ゲル電解コンデンサ
WO2019065661A1 (ja) * 2017-09-28 2019-04-04 日本ケミコン株式会社 ゲル電解コンデンサ
JP2019062169A (ja) * 2017-09-28 2019-04-18 日本ケミコン株式会社 ゲル電解コンデンサ
US11139116B2 (en) 2017-09-28 2021-10-05 Nippon Chemi-Con Corporation Gel electrolytic capacitor

Also Published As

Publication number Publication date
CN106057470B (zh) 2019-03-15
US10418184B2 (en) 2019-09-17
JP6842821B2 (ja) 2021-03-17
US20160293337A1 (en) 2016-10-06
CN106057470A (zh) 2016-10-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6842821B2 (ja) 固体電解コンデンサ
JP6935438B2 (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
KR102134497B1 (ko) 전해 콘덴서 및 그 제조 방법
US6430032B2 (en) Solid electrolytic capacitor and method for producing the same
WO2008001630A1 (en) Solid electrolytic capacitor
JP2009111174A (ja) 電解コンデンサの製造方法及び電解コンデンサ
JP2009016770A (ja) 電解コンデンサの製造方法及び電解コンデンサ
WO2016088300A1 (ja) 電解コンデンサおよびその製造方法
JP2009246288A (ja) 固体電解コンデンサ
JP2017081871A (ja) チオフェン化合物、導電性高分子溶液、導電性高分子材料ならびに電解コンデンサおよびその製造方法
WO2016002176A1 (ja) 電解コンデンサの製造方法
JP2017017188A (ja) ゲル電解質用組成物ならびにそれを用いたゲル電解質および電解コンデンサ
JP6911910B2 (ja) 電解コンデンサ及びその製造方法
JP2006286734A (ja) 固体電解コンデンサ
JP2012146867A (ja) 固体電解コンデンサおよびその製造方法
JP4779277B2 (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
JP2021170656A (ja) 電解コンデンサ及びその製造方法
JP5656127B2 (ja) 電解質材料配合物、それから形成される電解質材料組成物、及びその使用
JP5029937B2 (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
JP2012114128A (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
JP2007305685A (ja) 固体電解コンデンサ
JP2008042009A (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JP2007048947A (ja) 固体電解コンデンサ及びその製造方法
JP5541756B2 (ja) 固体電解コンデンサの製造方法
JP2003289019A (ja) 固体電解コンデンサの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20180302

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20181213

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190115

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20190318

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20190515

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20191015

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200115

C60 Trial request (containing other claim documents, opposition documents)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60

Effective date: 20200115

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20200122

C21 Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C21

Effective date: 20200128

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20200319

C211 Notice of termination of reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C211

Effective date: 20200324

C22 Notice of designation (change) of administrative judge

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C22

Effective date: 20200630

C13 Notice of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C13

Effective date: 20200825

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201023

C23 Notice of termination of proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C23

Effective date: 20210105

C03 Trial/appeal decision taken

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C03

Effective date: 20210209

C30A Notification sent

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C3012

Effective date: 20210209

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210222

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6842821

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250