JP2006286734A - 固体電解コンデンサ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 弁金属からなる陰極箔と、表面に酸化皮膜を形成した弁金属からなる陽極箔とを、セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、重合性モノマーと酸化剤とを含浸して導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成した固体電解コンデンサにおいて、固体電解質層を形成したコンデンサ素子を、所定量の水分を保持させたシリカゲルB型と共に外装ケースに封入する。
Description
なお、このように樹脂封止を行うと、酸化皮膜層が損傷して漏れ電流特性が低下するため、樹脂封止後に、コンデンサ定格電圧に応じた電圧を印加して高温のエージングを行うことにより酸化皮膜層を修復し、特性の向上を図っている。
なお、このような問題点は、重合性モノマーとしてEDTを用いた場合に限らず、他のチオフェン誘導体、ピロール、アニリン等を用いた場合にも同様に生じていた。
本発明で用いるシリカゲルB型粉末は、二酸化ケイ素の微粒子が緩やかに集まったもので、1g当たり約450m2の表面積を有するものである。そして、この微粒子間の間隙への毛細管現象による物理的吸着力によって、水を吸着する効果を発揮するものであり、また、高温状態では、保持した水分を放出する効果を発揮するものである。
所定量の水分を保持させたシリカゲルB型粉末を、外装ケースとコンデンサ素子の隙間部分に充填する。なお、シリカゲルB型粉末に吸湿させておく水分量としては、5wt%〜50wt%が好ましく、10wt%程度がより好ましい。
上記のシリカゲルB型粉末と共に外装ケースに収納するコンデンサ素子は、以下のようにして形成する。
表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔に電極引き出し手段を接続し、両電極箔をセパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成する。そして、このコンデンサ素子を修復化成溶液に浸漬して、修復化成を行う。一方、所定の容器内で重合性モノマーと酸化剤溶液を混合し、コンデンサ素子を上記混合液に浸漬してコンデンサ素子に重合性モノマーと酸化剤を含浸する。そして、このコンデンサ素子を120℃の恒温槽内に1時間放置して、コンデンサ素子内で重合性モノマーの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成する。
重合性モノマーとしてEDTを用いた場合、コンデンサ素子に含浸するEDTとしては、EDTモノマーを用いることができるが、EDTと揮発性溶媒とを1:0〜1:3の体積比で混合したモノマー溶液を用いることもできる。
前記揮発性溶媒としては、ペンタン、ヘキサン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジプロピルエーテル等のエーテル類、ギ酸エチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、アセトニトリル等の窒素化合物等を用いることができるが、なかでも、メタノール、エタノール、アセトン等が好ましい。
酸化剤としては、ブタノールに溶解したパラトルエンスルホン酸第二鉄、過ヨウ素酸もしくはヨウ素酸の水溶液を用いることができ、酸化剤の溶媒に対する濃度は40〜65wt%が好ましく、45〜57wt%がより好ましい。酸化剤の溶媒に対する濃度が高い程、ESRは低減する。
修復化成の化成液としては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のリン酸系の化成液、ホウ酸アンモニウム等のホウ酸系の化成液、アジピン酸アンモニウム等のアジピン酸系の化成液を用いることができるが、なかでも、リン酸二水素アンモニウムを用いることが望ましい。また、コンデンサ素子を化成液に浸漬し、電圧印加して修復化成する時間は、5〜120分が望ましい。
本発明に用いられる重合性モノマーとしては、上記EDTの他に、EDT以外のチオフェン誘導体、アニリン、ピロール、フラン、アセチレンまたはそれらの誘導体であって、所定の酸化剤により酸化重合され、導電性ポリマーを形成するものであれば適用することができる。なお、チオフェン誘導体としては、下記の構造式のものを用いることができる。
上述したように、シリカゲルB型は水分を保持する性質を有し、高温状態で水分を放出する。エージングは一般的にコンデンサの使用温度よりも高い温度環境下で行われるため、エージング時にはシリカゲルB型に保持された水分がコンデンサ内部に放出される。この水分により、酸化皮膜の絶縁欠陥部が修復(再酸化)され、絶縁を回復する。エージングが終了し、コンデンサの使用温度範囲内で使用される場合には、コンデンサ内部の水分はシリカゲルに吸湿されて、コンデンサ内部は乾燥状態となる。このように、本発明によれば、コンデンサ素子内の水分量の管理がより簡便なものとなる。
表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔とを、セパレータを介して巻回して、素子形状が5φ×3Lのコンデンサ素子を形成した。そして、このコンデンサ素子にEDTモノマーを含浸し、さらに酸化剤溶液として50%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のブタノール溶液を含浸して、60℃、1時間、その後150℃、1時間加熱して、PEDTからなる固体電解質層を形成した。
そして、このコンデンサ素子を恒温槽に入れて、100℃、20分乾燥させた。その後、アルミニウムからなる有底筒状の外装ケース(ケースサイズは、6.3φ×6L)に、1mgの水分を吸湿させたシリカゲルB型10mgと共に収納し、コンデンサの封口を行った。このシリカゲルB型には10wt%の水分が吸湿されている。
さらに120℃で10Vを10分印加した後、35Vを100分印加した。その後、160℃で35Vを180分印加してエージングを行った。なお、この固体電解コンデンサの定格電圧は25WV、定格容量は15μFである。
表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔とを、セパレータを介して巻回して、素子形状が5φ×3Lのコンデンサ素子を形成した。そして、このコンデンサ素子にEDTモノマーを含浸し、さらに酸化剤溶液として50%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のブタノール溶液を含浸して、60℃、1時間、その後150℃、1時間加熱して、PEDTからなる固体電解質層を形成した。
続いて、このコンデンサ素子を、湿度50%、30℃の恒温恒湿槽に60分間放置し、水分を付着させた。なお、この際の水分付着量は2.0mgであった。そして、このコンデンサ素子を、アルミニウムからなる有底筒状の外装ケース(ケースサイズは、6.3φ×6L)に収納し、外装ケースとコンデンサ素子との間に酸無水物系エポキシ樹脂を充填して、コンデンサ素子の外周面にエポキシ樹脂層を形成し、仮硬化中に、120℃で10Vを10分印加した後、35Vを100分印加した。その後、本硬化中に、160℃で35Vを180分印加した。なお、この固体電解コンデンサの定格電圧は25WV、定格容量は15μFである。
比較例1と同様にしてPEDTからなる固体電解質層を形成した。続いて、このコンデンサ素子を100℃で、0.5時間乾燥した。その後、水分付与工程を経ずに、アルミニウムからなる有底筒状の外装ケース(ケースサイズは、6.3φ×6L)に収納し、外装ケースとコンデンサ素子との間に酸無水物系エポキシ樹脂を充填して、コンデンサ素子の外周面にエポキシ樹脂層を形成し、仮硬化中に、120℃で10Vを10分印加した後、35Vを100分印加した。その後、本硬化中に、160℃で35Vを180分印加した。なお、この固体電解コンデンサの定格電圧は25WV、定格容量は15μFである。
表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔とを、セパレータを介して巻回して、素子形状が5φ×3Lのコンデンサ素子を形成した。そして、このコンデンサ素子にEDTモノマーを含浸し、さらに酸化剤溶液として50%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のブタノール溶液を含浸して、60℃、1時間、その後150℃、1時間加熱して、PEDTからなる固体電解質層を形成した。
そして、このコンデンサ素子を恒温槽に入れて、100℃、20分乾燥させた後、水分を10wt%添加したアセトニトリル水溶液に2分浸漬した。その後、コンデンサ素子を引き上げ、60℃で9分放置して、アセトニトリルを蒸発させた。その後、アルミニウムからなる有底筒状の外装ケース(ケースサイズは、6.3φ×6L)に収納し、外装ケースとコンデンサ素子との間に酸無水物系エポキシ樹脂を充填して、コンデンサ素子の外周面にエポキシ樹脂層を形成し、仮硬化中に、120℃で10Vを10分印加した後、35Vを100分印加した。その後、本硬化中に、160℃で35Vを180分印加した。なお、この固体電解コンデンサの定格電圧は25WV、定格容量は15μFである。
上記の方法により得られた実施例、比較例1〜比較例3の固体電解コンデンサの初期特性、及び105℃で定格電圧を1000時間印加する寿命試験後の特性を測定したところ、表1、表2に示したような結果が得られた。なお、LCが10μA以上のものを“LC大”と判定した。
Claims (4)
- 弁金属からなる陰極箔と、表面に酸化皮膜を形成した弁金属からなる陽極箔とを、セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、重合性モノマーと酸化剤とを含浸して導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成した固体電解コンデンサにおいて、
前記固体電解質層を形成したコンデンサ素子を、所定量の水分を保持させたシリカゲルB型と共に外装ケースに封入したことを特徴とする固体電解コンデンサ。 - 前記シリカゲルB型に保持させる水分量が、5wt%〜50wt%であることを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
- 前記重合性モノマーが、チオフェン誘導体であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の固体電解コンデンサ。
- 前記チオフェン誘導体が、3,4−エチレンジオキシチオフェンであることを特徴とする請求項3に記載の固体電解コンデンサ。
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