JP2006286734A - 固体電解コンデンサ - Google Patents

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Abstract

【課題】 コンデンサ素子内の水分量の管理をより簡便なものとし、ショートの発生の防止を図った固体電解コンデンサを提供する。
【解決手段】 弁金属からなる陰極箔と、表面に酸化皮膜を形成した弁金属からなる陽極箔とを、セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、重合性モノマーと酸化剤とを含浸して導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成した固体電解コンデンサにおいて、固体電解質層を形成したコンデンサ素子を、所定量の水分を保持させたシリカゲルB型と共に外装ケースに封入する。

Description

本発明は、固体電解コンデンサに係り、特に、コンデンサ素子内の水分量の管理を簡便なものとし、ショートの発生の防止を図った固体電解コンデンサに関するものである。
タンタルあるいはアルミニウム等のような弁作用を有する金属を利用した電解コンデンサは、陽極側対向電極としての弁作用金属を焼結体あるいはエッチング箔等の形状にして誘電体を拡面化することにより、小型で大きな容量を得ることができることから、広く一般に用いられている。特に、電解質に固体電解質を用いた固体電解コンデンサは、小型、大容量、低等価直列抵抗であることに加えて、チップ化しやすく、表面実装に適している等の特質を備えていることから、電子機器の小型化、高機能化、低コスト化に欠かせないものとなっている。
この種の固体電解コンデンサにおいて、小型、大容量用途としては、一般に、アルミニウム等の弁作用金属からなる陽極箔と陰極箔をセパレータを介在させて巻回してコンデンサ素子を形成し、このコンデンサ素子に駆動用電解液を含浸し、アルミニウム等の金属製ケースや合成樹脂製のケースにコンデンサ素子を収納し、密閉した構造を有している。なお、陽極材料としては、アルミニウムを初めとしてタンタル、ニオブ、チタン等が使用され、陰極材料には、陽極材料と同種の金属が用いられる。
また、固体電解コンデンサに用いられる固体電解質としては、二酸化マンガンや7、7、8、8−テトラシアノキノジメタン(TCNQ)錯体が知られているが、近年、反応速度が緩やかで、かつ陽極電極の酸化皮膜層との密着性に優れたポリエチレンジオキシチオフェン(以下、PEDTと記す)等の導電性ポリマーに着目した技術(特許文献1参照)が存在している。
このような巻回型のコンデンサ素子にPEDT等の導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成するタイプの固体電解コンデンサは、以下のようにして作製される。まず、アルミニウム等の弁作用金属からなる陽極箔の表面を塩化物水溶液中での電気化学的なエッチング処理により粗面化して、多数のエッチングピットを形成した後、ホウ酸アンモニウム等の水溶液中で電圧を印加して誘電体となる酸化皮膜層を形成する(化成)。陽極箔と同様に、陰極箔もアルミニウム等の弁作用金属からなるが、その表面にはエッチング処理を施すのみである。
このようにして表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔とエッチングピットのみが形成された陰極箔とを、セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成する。続いて、修復化成を施したコンデンサ素子に、3,4−エチレンジオキシチオフェン(以下、EDTと記す)等の重合性モノマーと酸化剤溶液をそれぞれ吐出し、あるいは両者の混合液に浸漬して、コンデンサ素子内で重合反応を促進し、PEDT等の導電性ポリマーからなる固体電解質層を生成する。
その後、このコンデンサ素子を有底筒状の外装ケースに収納し、外装ケース内にエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂を付着して熱硬化させることによって、コンデンサ素子の外周に外装樹脂を被覆し(樹脂封止)、固体電解コンデンサを完成する。
なお、このように樹脂封止を行うと、酸化皮膜層が損傷して漏れ電流特性が低下するため、樹脂封止後に、コンデンサ定格電圧に応じた電圧を印加して高温のエージングを行うことにより酸化皮膜層を修復し、特性の向上を図っている。
ところで、耐電圧特性の向上を図るべく、上記のような従来の製造方法をさらに改良した方法として、コンデンサ素子に適量の水分を付与するために、固体電解質層を形成した後に、コンデンサ素子を耐湿槽等に所定時間放置することにより、コンデンサ素子の表面に所定量の水分を付与する方法が提案されている。
すなわち、この製造方法は、固体電解質層を形成した後に、水蒸気を満たした耐湿槽等にコンデンサ素子を放置し、コンデンサ素子の表面に水分を付着させた後、外装ケースに収納し、その後、コンデンサ素子の少なくとも外周面に樹脂層を形成するものである。なお、耐湿槽としては、例えば、湿度40〜95%、温度20〜85℃の恒温恒湿槽が用いられ、この恒温恒湿槽内にコンデンサ素子を10〜180分放置することにより、コンデンサ素子の表面に水分を付着させている。
しかしながら、上記のような水分付与工程では、コンデンサ素子に付与される水分量にばらつきが生じ、その結果、製品のLC値に大きなばらつきが発生していた。また、従来の水分付与工程では、コンデンサ素子に水分が充分に付与されるものの、酸化皮膜の修復に使用される水分量はわずかであるため、コンデンサ素子内に水分が残留してしまい、この過剰な水分が酸化皮膜と水和して、電極箔のESRが上昇してしまうという問題点があった。
さらに、PEDT中に水分が取り込まれることにより、固体状のPEDTがゲル化して電導率が低下してしまうという問題点もあった。また、コンデンサ素子内に残留した水分が、コンデンサ素子内の反応残留物(残留した酸化剤)を溶解し、アルミニウム箔を腐食する等の影響を及ぼし、その結果、全体として静電容量を低下させる原因となっていた。
そこで、本出願人は、コンデンサ素子内の水分量の管理を簡便なものとし、ショートの発生の防止を図ることを目的として、先に特許文献2に示された方法を提案した。
すなわち、特許文献2に示された方法は、再化成に必要な水分量について検討し、この水分量を従来の水分付与工程を経ずにコンデンサ素子に供給することができる方法として、固体電解質に作用しない揮発性のアセトニトリルの水溶液にコンデンサ素子を浸漬し、その後にアセトニトリルを除去するというものである。
特開平2−15611号公報 特開2001−284183号公報
しかしながら、特許文献2に示す方法を用いることによって、コンデンサ素子に付与された水分量を制御することができるものの、コンデンサ素子に付与された水分は、酸化皮膜の絶縁欠陥部が再酸化されて修復される過程で消費されるものであり、酸化皮膜に存在する絶縁欠陥部の量によって、その消費量も変化する。したがって、酸化皮膜の絶縁欠陥部が少ない場合には、消費する水分も少なくなり、コンデンサ内部に水分が残留してしまう場合がある。
このように、コンデンサ内部に水分が残留した場合には、コンデンサ素子内の反応残留物(残留した酸化剤)を溶解し、アルミニウム箔を腐食する等の影響を及ぼし、その結果、全体として静電容量を低下させる原因となっていた。
なお、このような問題点は、重合性モノマーとしてEDTを用いた場合に限らず、他のチオフェン誘導体、ピロール、アニリン等を用いた場合にも同様に生じていた。
本発明は、上述したような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、コンデンサ素子内の水分量の管理をより簡便なものとし、ショートの発生の防止を図った固体電解コンデンサを提供することにある。
本発明者は、固体電解コンデンサの耐湿特性を向上させるべく鋭意検討を重ねた結果、コンデンサ素子を収納する外装ケースの内部に、所定量の水分を保持させたシリカゲルB型粉末を充填することにより、コンデンサ素子の内部に浸透した水分を吸着させると共に、再化成時には、保持した水分を放出させることにより、良好な結果が得られることが判明したものである。
(シリカゲルB型粉末)
本発明で用いるシリカゲルB型粉末は、二酸化ケイ素の微粒子が緩やかに集まったもので、1g当たり約450m2の表面積を有するものである。そして、この微粒子間の間隙への毛細管現象による物理的吸着力によって、水を吸着する効果を発揮するものであり、また、高温状態では、保持した水分を放出する効果を発揮するものである。
(シリカゲルB型粉末の封入方法)
所定量の水分を保持させたシリカゲルB型粉末を、外装ケースとコンデンサ素子の隙間部分に充填する。なお、シリカゲルB型粉末に吸湿させておく水分量としては、5wt%〜50wt%が好ましく、10wt%程度がより好ましい。
(コンデンサ素子の形成法)
上記のシリカゲルB型粉末と共に外装ケースに収納するコンデンサ素子は、以下のようにして形成する。
表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔に電極引き出し手段を接続し、両電極箔をセパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成する。そして、このコンデンサ素子を修復化成溶液に浸漬して、修復化成を行う。一方、所定の容器内で重合性モノマーと酸化剤溶液を混合し、コンデンサ素子を上記混合液に浸漬してコンデンサ素子に重合性モノマーと酸化剤を含浸する。そして、このコンデンサ素子を120℃の恒温槽内に1時間放置して、コンデンサ素子内で重合性モノマーの重合反応を発生させ、固体電解質層を形成する。
(重合性モノマー)
重合性モノマーとしてEDTを用いた場合、コンデンサ素子に含浸するEDTとしては、EDTモノマーを用いることができるが、EDTと揮発性溶媒とを1:0〜1:3の体積比で混合したモノマー溶液を用いることもできる。
前記揮発性溶媒としては、ペンタン、ヘキサン等の炭化水素類、テトラヒドロフラン、ジプロピルエーテル等のエーテル類、ギ酸エチル、酢酸エチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、アセトニトリル等の窒素化合物等を用いることができるが、なかでも、メタノール、エタノール、アセトン等が好ましい。
(酸化剤)
酸化剤としては、ブタノールに溶解したパラトルエンスルホン酸第二鉄、過ヨウ素酸もしくはヨウ素酸の水溶液を用いることができ、酸化剤の溶媒に対する濃度は40〜65wt%が好ましく、45〜57wt%がより好ましい。酸化剤の溶媒に対する濃度が高い程、ESRは低減する。
(修復化成の化成液)
修復化成の化成液としては、リン酸二水素アンモニウム、リン酸水素二アンモニウム等のリン酸系の化成液、ホウ酸アンモニウム等のホウ酸系の化成液、アジピン酸アンモニウム等のアジピン酸系の化成液を用いることができるが、なかでも、リン酸二水素アンモニウムを用いることが望ましい。また、コンデンサ素子を化成液に浸漬し、電圧印加して修復化成する時間は、5〜120分が望ましい。
(他の重合性モノマー)
本発明に用いられる重合性モノマーとしては、上記EDTの他に、EDT以外のチオフェン誘導体、アニリン、ピロール、フラン、アセチレンまたはそれらの誘導体であって、所定の酸化剤により酸化重合され、導電性ポリマーを形成するものであれば適用することができる。なお、チオフェン誘導体としては、下記の構造式のものを用いることができる。
Figure 2006286734
(作用・効果)
上述したように、シリカゲルB型は水分を保持する性質を有し、高温状態で水分を放出する。エージングは一般的にコンデンサの使用温度よりも高い温度環境下で行われるため、エージング時にはシリカゲルB型に保持された水分がコンデンサ内部に放出される。この水分により、酸化皮膜の絶縁欠陥部が修復(再酸化)され、絶縁を回復する。エージングが終了し、コンデンサの使用温度範囲内で使用される場合には、コンデンサ内部の水分はシリカゲルに吸湿されて、コンデンサ内部は乾燥状態となる。このように、本発明によれば、コンデンサ素子内の水分量の管理がより簡便なものとなる。
本発明によれば、コンデンサ素子内の水分量の管理をより簡便なものとし、ショートの発生の防止を図った固体電解コンデンサを提供することができる。
続いて、以下のようにして製造した実施例及び比較例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明に係る固体電解コンデンサは、以下の実施例のように作成した。また、比較例1として、従来の水分付与工程によって水分を付与した固体電解コンデンサを用い、比較例2として、コンデンサ素子の乾燥後、水分付与工程を経ずに樹脂封止した固体電解コンデンサを用い、比較例3として、固体電解質に作用しない揮発性のアセトニトリルの水溶液にコンデンサ素子を浸漬し、その後にアセトニトリルを除去した固体電解コンデンサを用いた。
(実施例)
表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔とを、セパレータを介して巻回して、素子形状が5φ×3Lのコンデンサ素子を形成した。そして、このコンデンサ素子にEDTモノマーを含浸し、さらに酸化剤溶液として50%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のブタノール溶液を含浸して、60℃、1時間、その後150℃、1時間加熱して、PEDTからなる固体電解質層を形成した。
そして、このコンデンサ素子を恒温槽に入れて、100℃、20分乾燥させた。その後、アルミニウムからなる有底筒状の外装ケース(ケースサイズは、6.3φ×6L)に、1mgの水分を吸湿させたシリカゲルB型10mgと共に収納し、コンデンサの封口を行った。このシリカゲルB型には10wt%の水分が吸湿されている。
さらに120℃で10Vを10分印加した後、35Vを100分印加した。その後、160℃で35Vを180分印加してエージングを行った。なお、この固体電解コンデンサの定格電圧は25WV、定格容量は15μFである。
(比較例1)
表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔とを、セパレータを介して巻回して、素子形状が5φ×3Lのコンデンサ素子を形成した。そして、このコンデンサ素子にEDTモノマーを含浸し、さらに酸化剤溶液として50%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のブタノール溶液を含浸して、60℃、1時間、その後150℃、1時間加熱して、PEDTからなる固体電解質層を形成した。
続いて、このコンデンサ素子を、湿度50%、30℃の恒温恒湿槽に60分間放置し、水分を付着させた。なお、この際の水分付着量は2.0mgであった。そして、このコンデンサ素子を、アルミニウムからなる有底筒状の外装ケース(ケースサイズは、6.3φ×6L)に収納し、外装ケースとコンデンサ素子との間に酸無水物系エポキシ樹脂を充填して、コンデンサ素子の外周面にエポキシ樹脂層を形成し、仮硬化中に、120℃で10Vを10分印加した後、35Vを100分印加した。その後、本硬化中に、160℃で35Vを180分印加した。なお、この固体電解コンデンサの定格電圧は25WV、定格容量は15μFである。
(比較例2)
比較例1と同様にしてPEDTからなる固体電解質層を形成した。続いて、このコンデンサ素子を100℃で、0.5時間乾燥した。その後、水分付与工程を経ずに、アルミニウムからなる有底筒状の外装ケース(ケースサイズは、6.3φ×6L)に収納し、外装ケースとコンデンサ素子との間に酸無水物系エポキシ樹脂を充填して、コンデンサ素子の外周面にエポキシ樹脂層を形成し、仮硬化中に、120℃で10Vを10分印加した後、35Vを100分印加した。その後、本硬化中に、160℃で35Vを180分印加した。なお、この固体電解コンデンサの定格電圧は25WV、定格容量は15μFである。
(比較例3)
表面に酸化皮膜層が形成された陽極箔と陰極箔とを、セパレータを介して巻回して、素子形状が5φ×3Lのコンデンサ素子を形成した。そして、このコンデンサ素子にEDTモノマーを含浸し、さらに酸化剤溶液として50%のパラトルエンスルホン酸第二鉄のブタノール溶液を含浸して、60℃、1時間、その後150℃、1時間加熱して、PEDTからなる固体電解質層を形成した。
そして、このコンデンサ素子を恒温槽に入れて、100℃、20分乾燥させた後、水分を10wt%添加したアセトニトリル水溶液に2分浸漬した。その後、コンデンサ素子を引き上げ、60℃で9分放置して、アセトニトリルを蒸発させた。その後、アルミニウムからなる有底筒状の外装ケース(ケースサイズは、6.3φ×6L)に収納し、外装ケースとコンデンサ素子との間に酸無水物系エポキシ樹脂を充填して、コンデンサ素子の外周面にエポキシ樹脂層を形成し、仮硬化中に、120℃で10Vを10分印加した後、35Vを100分印加した。その後、本硬化中に、160℃で35Vを180分印加した。なお、この固体電解コンデンサの定格電圧は25WV、定格容量は15μFである。
[比較結果]
上記の方法により得られた実施例、比較例1〜比較例3の固体電解コンデンサの初期特性、及び105℃で定格電圧を1000時間印加する寿命試験後の特性を測定したところ、表1、表2に示したような結果が得られた。なお、LCが10μA以上のものを“LC大”と判定した。
Figure 2006286734
表1から明らかなように、初期特性において、水分を付与していない比較例2においては、漏れ電流(LC)は極めて大きくなった。これに対して、本発明の製造方法を適用した実施例においては、比較例2はもとより、従来の水分付与工程によって水分を付与した比較例1と比較して、さらに優れた電気的特性を得ることができた。また、アセトニトリルを用いた比較例3と比べても、より優れた電気的特性を得ることができた。
また、実施例のESRが“0.028”、比較例3のESRが“0.024”であるのに対し、比較例1のESRが“0.034”と大きい理由は以下の通りであると考えられる。すなわち、比較例1に適用された従来の水分付与工程では、コンデンサ素子に水分が充分に付与されるものの、酸化皮膜の修復に使用される水分量はわずかであるため、コンデンサ素子内に水分が残留してしまい、この過剰な水分が酸化皮膜と水和して、電極箔のESRが上昇したと考えられる。
また、PEDT中に水分が取り込まれることにより、固体状のPEDTがゲル化して電導率が低下したと考えられる。さらに、実施例の静電容量が“14.8”、比較例3の静電容量が“14.1”であるのに対し、比較例1の静電容量が“13.7”と小さい理由は以下の通りであると考えられる。すなわち、比較例1においては、コンデンサ素子内に残留した水分が、コンデンサ素子内の反応残留物(残留した酸化剤)を溶解し、アルミニウム箔を腐食する等の影響を及ぼした結果、全体として静電容量が低下したと考えられる。
これに対して、実施例においては、シリカゲルB型に保持された水分がエージング工程で放出され、その水分が陽極箔の誘電体酸化皮膜に吸収され、陽極酸化反応を促進させることができるため、損傷した酸化皮膜の修復の効率を大幅に向上させることができ、その結果、電気的特性を向上させることができたと考えられる。
さらに、“LC大”のものは、実施例及び比較例3では30個中皆無であったのに対し、比較例1では30個中5個発生した。また、実施例のLCの平均値は“0.98”であったのに対し、比較例1のLCの平均値は“6.28”と実施例の約6.4倍であった。また、実施例と比較例3とを比較しても、実施例の方が良好な結果が得られることが分かった。
Figure 2006286734
続いて、寿命試験後の特性を測定した表2から明らかなように、漏れ電流(LC)は、実施例においては“1.22”と初期特性の場合とほぼ同様の値であった。これに対して、比較例1〜比較例3では、いずれも漏れ電流(LC)は大幅に増大した。
また、“LC大”のものは、実施例では30個中皆無であったのに対し、比較例1では30個中10個発生し、初期特性では良好な結果が得られた比較例3でも30個中6個発生した。これらの結果からも、実施例は、寿命試験後の特性にも優れていることが示された。

Claims (4)

  1. 弁金属からなる陰極箔と、表面に酸化皮膜を形成した弁金属からなる陽極箔とを、セパレータを介して巻回してコンデンサ素子を形成し、重合性モノマーと酸化剤とを含浸して導電性ポリマーからなる固体電解質層を形成した固体電解コンデンサにおいて、
    前記固体電解質層を形成したコンデンサ素子を、所定量の水分を保持させたシリカゲルB型と共に外装ケースに封入したことを特徴とする固体電解コンデンサ。
  2. 前記シリカゲルB型に保持させる水分量が、5wt%〜50wt%であることを特徴とする請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  3. 前記重合性モノマーが、チオフェン誘導体であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の固体電解コンデンサ。
  4. 前記チオフェン誘導体が、3,4−エチレンジオキシチオフェンであることを特徴とする請求項3に記載の固体電解コンデンサ。
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