JP3416637B2 - 固体電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサおよびその製造方法

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JP3416637B2 JP2000324523A JP2000324523A JP3416637B2 JP 3416637 B2 JP3416637 B2 JP 3416637B2 JP 2000324523 A JP2000324523 A JP 2000324523A JP 2000324523 A JP2000324523 A JP 2000324523A JP 3416637 B2 JP3416637 B2 JP 3416637B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルミニウム、タ
ンタル、ニオブなどの弁作用金属を陽極として用い、導
電性高分子、二酸化マンガンなどの固体電解質を電解質
として用いる固体電解コンデンサおよびその製造方法に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】陽極として弁作用金属を用いた固体電解
コンデンサは、一般に、以下の方法で作製される。ま
ず、表面を粗面化したアルミニウム、または粉末焼結し
たタンタル、ニオブなどの弁作用金属多孔体を陽極と
し、この弁作用金属多孔体の全表面に誘電体酸化皮膜を
形成する。次いで、誘電体酸化皮膜の表面上に固体電解
質層としてポリピロールなどの導電性高分子または二酸
化マンガンなどを形成する。続いて、カーボン層、銀層
などからなる陰極層を固体電解質層上に形成する。その
後、陽極リード部に陽極引き出し端子を溶接などによ
り、陰極層に陰極引き出し端子を導電性接着剤などを用
いてそれぞれ取り付ける。最後に、陰極引き出し端子お
よび陽極引き出し端子の一部が外部に露出するように、
素子全体を外装樹脂で被覆する。陰極層を形成せず、固
体電解質層から陰極引き出し端子に直接電気的接続をと
る方法が採用されることもある。
【0003】外装樹脂は、外部との気密性を保つ役割を
担うため、リード、箔、端子などの電極引き出し部材と
の間の密着強度を確保する必要がある。特に固体電解質
に導電性高分子を用いた場合には、気密性が十分でない
と劣化が激しく、長期間の電気特性の維持が困難とな
る。従って、気密性を確保するために、外装樹脂は、一
般に、エポキシ系の熱硬化性樹脂を使用して、モールド
成型(チップタイプ)またはディップ成型(リード線タ
イプ)により、形成される。
【0004】外装樹脂に代えて、ケースを用いた固体電
解コンデンサも知られている。このコンデンサは、陰極
引き出し端子および陽極引き出し端子の一部を外部に引
き出した状態で、ケース内に素子全体を挿入し、ケース
の開口部を樹脂などを用いて封止して作製される。ケー
スとしては、樹脂やセラミックスの絶縁体、または端子
部との接合箇所を絶縁化した金属が用いられる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】一般に、電解質として
電解液を用いた電解コンデンサは、製造時に誘電体酸化
皮膜に生じた欠陥を修復する能力を備えている。このた
め、漏れ電流は大きく増加しない。しかし、電解質とし
て固体電解質を用いた固体電解コンデンサには、電解質
が固体であるために、誘電体酸化皮膜を修復する能力が
欠けている。このため、誘電体酸化皮膜に欠陥が発生す
ると、この欠陥を自己修復することができない。したが
って、製造時の機械的ストレスや熱的ストレスによって
誘電体酸化皮膜が劣化した場合に、漏れ電流が大きくな
る傾向がある。
【0006】そこで、従来は、固体電解コンデンサの漏
れ電流を低減するために、エージングが施されていた。
このエージング処理は、外装形成前または外装形成後
に、陽極、陰極端子間に所定の直流電圧を印加して行わ
れる。この処理は、雰囲気中から吸収した水を電解液と
して皮膜修復を行うものである。しかし、素子の吸湿に
依存する修復であるために、従来のエージング処理で
は、安定した漏れ電流特性を得るために長時間を必要と
していた。
【0007】特開平5−243096号公報には、固体
電解質として導電性高分子を用いる場合に、耐圧低下部
に電流を集中させ、ジュール熱で導電性高分子を絶縁化
するという手法が提案されている。しかし、欠陥部が大
きい場合は絶縁化が不十分となり、漏れ電流が低減でき
ない場合があった。
【0008】また、酸化皮膜は、固体電解質層の形成に
よっても劣化する。このため、固体電解コンデンサの製
造工程では再化成による皮膜修復が行われる。再化成
は、固体電解質を形成したコンデンサ素子を電解液中に
浸漬し、電解槽を陰極としてコンデンサ素子の陽極との
間に直流電圧を印加することにより行われる。再化成
は、エージングとともに、漏れ電流を抑制するための有
効な手段である。しかし、再化成などを行うと、コンデ
ンサの静電容量が低下する現象が観察されることがあっ
た。また、エージング処理においても、コンデンサの静
電容量が低下する現象が観察されることがあった。
【0009】そこで、本発明は、吸湿に頼るエージング
よりも効率的に漏れ電流を低減できる固体電解コンデン
サとその製造方法を提供することを目的とする。また、
本発明の別の目的は、静電容量の低下を抑制しながら漏
れ電流を低減できる固体電解コンデンサとその製造方法
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の第1の固体電解コンデンサは、弁作用金
属、この弁作用金属の表面に形成された酸化皮膜層、お
よびこの酸化皮膜層上に形成された固体電解質層を含む
コンデンサ素子を外装体の内部に有し、コンデンサ素子
が、150℃以上の沸点および150℃以下の融点を有
する有機化合物を含有する。この固体電解コンデンサの
一形態では、有機化合物が、アルコール、エステル、エ
ーテルおよびケトンから選ばれる少なくとも1種であ
り、別の一形態では、アミンである。また別の一形態で
は、コンデンサ素子が、150℃以上の沸点および15
0℃以下の融点を有する有機化合物とともに、水素発生
電位以上の還元電位を有する物質を含有する。
【0011】また、本発明の第1の固体電解コンデンサ
の製造方法は、上記コンデンサの製造方法であって、1
50℃以上の沸点および150℃以下の融点を有する有
機化合物をコンデンサ素子の内部に含浸させ、上記有機
化合物を含んだ状態でコンデンサ素子を外装体の内部に
配置する。この製造方法の一形態では、上記有機化合物
として、アルコール、エステル、エーテルおよびケトン
から選ばれる少なくとも1種を含浸させ、別の一形態で
はアミンを含浸させる。上記製造方法の別の一形態で
は、上記有機化合物を加熱して液化させてコンデンサ素
子に含浸させ、また別の一形態では、上記有機化合物を
加熱して粘度を低下させてコンデンサ素子に含浸させ、
さらに別の一形態では、固体電解質層を形成するための
溶液に上記有機化合物を添加することにより、この有機
化合物をコンデンサ素子に含浸させる。上記製造方法の
別の一形態では、上記有機化合物をコンデンサ素子に含
浸させる工程と、上記有機化合物を含んだ状態でコンデ
ンサ素子を外装体の内部に配置する工程とに加え、直流
電圧を印加することにより、上記有機化合物の液体が接
触する酸化皮膜層の欠陥を修復する工程が実施される。
上記製造方法のまた別の一形態では、上記有機化合物に
加え、水素発生電位以上の還元電位を有する物質をコン
デンサ素子に含浸させる。
【0012】上記第1のコンデンサおよびその製造方法
によれば、有機化合物の存在により、従来よりも効率的
に固体電解コンデンサをエージングすることができ、容
易に漏れ電流が小さい固体電解コンデンサを得ることが
できる。
【0013】上記目的を達成するために、本発明の第2
の固体電解コンデンサは、弁作用金属、この弁作用金属
の表面に形成された酸化皮膜層、およびこの酸化皮膜層
上に形成された固体電解質層を含むコンデンサ素子を外
装体の内部に有し、コンデンサ素子が、水素発生電位以
上の還元電位を有する物質を含有する。この固体電解コ
ンデンサの一形態では、固体電解質が導電性高分子であ
り、コンデンサ素子が、水素発生電位以上の還元電位を
有し、かつ上記導電性高分子を酸化分解しない物質を含
有する。また別の一形態では、コンデンサ素子が、水素
発生電位以上の還元電位を有する物質として、過塩素酸
およびその塩、過マンガン酸およびその塩、クロム酸お
よびその塩、ペルオキソ二硫酸およびその塩、ならびに
ニトロ基含有化合物から選ばれる少なくとも1種を含有
する。さらに別の一形態では、コンデンサ素子が、水素
発生電位以上の還元電位を有する物質を固体電解質層に
50ppm以上10重量%以下の範囲で含有する。
【0014】また、本発明の第2の固体電解コンデンサ
の製造方法は、弁作用金属、この弁作用金属の表面に形
成された酸化皮膜層、およびこの酸化皮膜層上に形成さ
れた固体電解質層を含むコンデンサ素子を外装体の内部
に有し、コンデンサ素子を外装体の内部に配置する前
に、水素発生電位以上の還元電位を有する物質を固体電
解質層に含有させる方法である。この製造方法の一形態
では、水素発生電位以上の還元電位を有する物質を添加
した溶液を固体電解質層または固体電解質層の一部とな
る固体電解質に接触させることにより、この物質を前記
固体電解質層に含有させる。また、別の一形態では、水
素発生電位以上の還元電位を有する物質を固体電解質層
に50ppm以上10重量%以下の範囲で含有させる。
さらに別の一形態では、水素発生電位以上の還元電位を
有する物質を固体電解質層または固体電解質層の一部と
なる固体電解質に含有させ、この固体電解質層または固
体電解質に溶媒を接触させた状態で直流電圧を印加する
ことにより、酸化皮膜層の欠陥を修復する。
【0015】上記第2のコンデンサおよびその製造方法
によれば、水素発生電位以上の還元電位を有する物質の
存在により、静電容量の低下を抑制しながら漏れ電流を
低減できる。上記物質の添加は、エージング時のみなら
ず、特に再化成において効果を発揮する。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい形態につ
いて説明する。
【0017】コンデンサ素子に含まれる有機化合物は、
150℃以上の高い沸点を有するため、固体電解コンデ
ンサの製造工程などにおける熱処理を経ても気化しにく
い。固体電解コンデンサの製造工程において、コンデン
サ素子の引き出し端子への固定や陰極層の形成に伴う熱
処理は、少なくとも150℃程度の加熱を伴うことが多
い。したがって、沸点が150℃未満の有機化合物を用
いると、含浸させても保持されないばかりか、気化して
陰極層などの形成不良や引き出し端子への接合不良を引
き起こし、コンデンサの電気特性を低下させることがあ
る。
【0018】有機化合物の沸点は、200℃以上がさら
に好ましい。外装体として、樹脂をトランスファーモー
ルド成型、ディップ成型により形成する場合、樹脂の硬
化のためにコンデンサ素子が150〜200℃程度の加
熱にさらされるからである。
【0019】有機化合物の沸点は、250℃以上が特に
好ましい。いわゆるチップタイプの固体電解コンデンサ
を基板にはんだ実装する場合、コンデンサが230〜2
50℃程度の加熱にさらされるからである。もっとも、
実装方法や加熱時間などの条件によっては、有機化合物
の沸点が250℃未満であっても急激に気化することな
く使用に耐え得るから、はんだ実装するコンデンサに使
用する有機化合物の沸点が250℃以上に制限されるわ
けではない。
【0020】有機化合物は、150℃以下の融点を有
し、液体として存在するか、または固体であっても電圧
印加時の酸化皮膜欠陥部での漏れ電流によるジュール熱
で局部的には迅速に液化し得る。この液体を溶媒(有機
溶媒)として、固体電解質層からイオンが溶出して電解
液が形成される。こうして、コンデンサ素子に自己修復
能力が付与される。自己修復能力が付与されると、製造
工程で発生した酸化皮膜欠陥部がエージング電圧で容易
に修復でき、製品実装や使用時に酸化皮膜に欠陥が発生
しても、使用時の電圧の印加による自己修復が可能とな
る。
【0021】有機化合物は、常温(25℃)では固体で
あることが好ましい。このような有機化合物は、外装体
からしみ出しにくく、保持性に優れている。有機化合物
の融点は、常温で固体状態とするために25℃より高い
ことが好ましいが、40℃よりも高いことがさらに好ま
しい。固体電解コンデンサを含む電気製品の通常の使用
温度域(40℃以下)で固体として存在できるからであ
る。特に外装体として樹脂を用いている場合には、通常
の使用温度域においてコンデンサ素子内部から有機化合
物が樹脂へと浸透して樹脂を侵さないことが望まれる。
さらに高い使用温度域が想定される場合には、60℃を
超える融点を有する有機化合物を用いるとよい。
【0022】有機溶媒がイオン過多となると、電圧印加
時に、酸化皮膜の欠陥部に急激な電流が流れ、逆に皮膜
を破損させるおそれがある。したがって、有機溶媒は、
実質的にイオン解離しない、または解離定数が低い物質
が好適である。
【0023】このような有機溶媒を提供できる有機化合
物としては、特に制限されないが、アルコール、フェノ
ール、エステル、エーテルおよびケトンから選ばれる少
なくとも1種が挙げられる。ここで、アルコールからケ
トンまでの各用語は、広義の意味で用いており、例えば
フェノールには、ベンゼン環の水素が水酸基により置換
された、各種のフェノール誘導体が含まれる。これらの
化合物は、概して、固体電解質からのイオンの溶出によ
り適度な導電性を有する電解液となる有機溶媒を提供す
る。
【0024】解離定数が過度に高くなければ、有機化合
物として、有機酸を用いることもできる。このような有
機酸としては、脂肪酸が好適である。有機酸は、25℃
のpKaにより表示して4.5以上の解離定数を有する
ことが好ましい。適度な解離により、修復に適した導電
性が得られるからである。
【0025】好適な有機化合物の別の例は、アミンであ
る。ここでも、アミンは、脂肪族アミン、芳香族アミン
を含み、第一級〜第三級アミンをいずれも含む広義の用
語である。アミンは、有機溶媒中の水素イオンに配位し
て、水素イオン濃度を低下させる作用を有する。この作
用により、強酸による酸化皮膜の損傷を抑制できる。ま
た、特に弁作用金属としてアルミニウムを用いた場合に
は、水素イオン濃度が上昇すると酸化皮膜のダメージが
過大となるが、アミンを用いれば、このダメージを抑制
することができる。
【0026】酸化皮膜の修復時には、通常、対となる反
応で水素イオンが還元して水素ガスが発生する。水素ガ
スの発生を積極的に抑制するためには、コンデンサ素子
に、水素発生電位以上の還元電位を有する物質、換言す
れば水素よりも還元されやすい酸化剤、をさらに含有さ
せることが好ましい。かかる物質は、水素よりも優先的
に還元されて水素ガスの発生を抑制するからである。
【0027】水素発生電位以上の還元電位を有する物質
としては、過塩素酸およびその塩、過マンガン酸および
その塩、クロム酸およびその塩、ペルオキソ二硫酸およ
びその塩、ならびにニトロ基含有化合物を挙げることが
できる。ただし、固体電解質として導電性高分子を使用
する場合には、その導電性高分子を酸化分解しない物質
を選択することが好ましい。このような物質としては、
ニトロ基含有化合物が最適である。また、この物質は、
上記と同様の理由から、150℃以上の沸点を有するこ
とが好ましい。
【0028】水素ガスの発生は、コンデンサの内圧を押
し上げる。特に固体電解質層と誘電体酸化皮膜との間で
ガス圧が上昇するため、内圧の上昇が過度に至ると、固
体電解質層が誘電体酸化皮膜から剥離することもある。
固体電解質層の剥離は、コンデンサの静電容量の低下と
いう新たな問題を引き起こす。吸湿した水により酸化皮
膜を修復する従来のエージングでは、水素イオンの還元
による水素ガスの発生は避けがたいものであった。しか
し、本発明の上記好ましい形態によれば、水素ガスの発
生を抑制しながら、酸化皮膜を修復できる。
【0029】水素ガス発生を抑制できる上記物質は、固
体電解コンデンサの再化成工程における静電容量の維持
にも有効である。再化成は、水、アルコールなどの溶媒
中で行われる。このため、上記と同様、水素イオンの還
元による水素ガスの発生が問題となる。安定した漏れ電
流特性を得るためには、複数回に分けて行われる固体電
解層の形成ごとに再化成を適用することが望ましい。複
数回の再化成は、静電容量の低下を招きやすいが、固体
電解質に水素発生電位以上の還元電位を有する物質を含
有させれば、固体電解質層の剥離を抑制できる。
【0030】すなわち、本発明の製造方法の好ましい一
形態では、コンデンサ素子を外装体の内部に配置する前
に、水素発生電位以上の還元電位を有する物質を含有す
る固体電解質層または固体電解質層の一部となる固体電
解質に溶媒を接触させた状態で直流電圧を印加すること
により、酸化皮膜層の欠陥を修復する工程がさらに行わ
れる。電解液となる溶媒としては、水、アルコールなど
の有機溶媒、これらの混合溶媒を用いることができる。
固体電解質層は、固体電解質層の一部を形成する工程
と、酸化皮膜層の欠陥を修復する上記工程とを交互に繰
り返しながら形成してもよい。
【0031】酸化皮膜の修復に伴う水素ガス発生につい
て、図5を参照して説明する。
【0032】酸化皮膜102の欠損部110を修復する
ために電圧を印加すると、欠損部110の弁作用金属1
01側(陽極側)において下記反応(1)が進行すると
ともに、欠損部110の固体電解質層103側(陰極
側)において下記反応(2)が進行する(図5(A))。
その結果、反応(1)により酸化皮膜の修復部112が
生成するが、反応(2)によって発生する水素ガスの圧
力により、固体電解質層の剥離111が発生することが
あった(図5(B))。なお、下記反応式は、弁作用金属
としてタンタルを用いた場合について例示したものであ
るが、他の弁作用金属を用いた場合にも、同様の反応が
進行する。
【0033】 2Ta+10OH-→Ta25+5H2O+10e- (1) 10H++10e-→5H2↑ (2)
【0034】固体電解質層の剥離を抑制するために、有
機化合物とともに、あるいは単独で添加される上記物質
は、反応(2)を抑制しつつ、還元されても気体を放出
しない(ガス化しない)物質であることがさらに好まし
い。
【0035】また、有機化合物として、それ自体が、水
素発生電位以上の還元電位を有する物質を用いてもよ
い。このような物質としては、例えば、ニトロ基含有化
合物である3−ニトロアニソール(融点:54℃、沸点
260℃)が挙げられる。
【0036】有機化合物によって固体電解コンデンサに
自己修復能力を付与するためには、コンデンサ素子の内
部に、有機化合物を含有させるだけではなく、この有機
化合物が製造工程において失われないように配慮する必
要がある。従来から、固体電解質層に導電性高分子を用
いる場合には、重合促進剤などとして各種の有機化合物
が添加されていた。しかし、導電性高分子層は形成後に
洗浄されるため、添加された有機化合物は、導電性高分
子の重合後に残存していたとしても、洗い流されてい
た。したがって、有機化合物は、固体電解質層の洗浄工
程後に含浸させるか、洗浄工程前に含浸させたとしても
有機化合物が洗い流されにくいように、有機化合物が溶
解しにくい洗浄液を選択することが好ましい。こうし
て、有機化合物を含有した状態で、コンデンサ素子をケ
ース内に収容、または外装樹脂により被覆することがで
きる。
【0037】また、効果的な修復を行うためには、有機
化合物をコンデンサ素子の細孔の深部にまで含浸させる
ことが望まれる。特に、常温で固体の有機化合物を深く
含浸させるためには、以下に示す方法が適している。
【0038】上記方法の一例は、有機化合物を溶媒に溶
解させた溶液をコンデンサ素子に含浸させる工程と、加
熱して上記溶媒を蒸発させる工程とを含む方法である。
溶媒としては、沸点が100℃以下の有機溶媒が好まし
く、例えばエタノールやイソプロピルアルコールといっ
た低級アルコールなどを用いることができる。
【0039】上記方法の別の一例は、有機化合物を加熱
して発生させた蒸気をコンデンサ素子に含浸させる方法
である。
【0040】上記方法のまた別の一例は、加熱して液化
させた有機化合物をコンデンサ素子に含浸させる方法で
ある。
【0041】上記方法のさらに別の一例は、加熱して粘
度を低下させた有機化合物をコンデンサ素子に含浸させ
る方法である。
【0042】上記各方法は、固体電解質層を形成した後
であって、外装体内部へのコンデンサ素子の配置前であ
れば、いずれの段階で行ってもよい。
【0043】上記方法のまた別の一例は、固体電解質層
を形成するための溶液に有機化合物を添加することによ
り、この有機化合物をコンデンサ素子に含有させる方法
である。
【0044】上記に例示した各方法は、有機化合物の種
類などに応じて適宜選択すればよい。ただし、細孔深部
への到達度という観点からは、溶解溶液を含浸の後、溶
媒を蒸発除去する方法、および固体電解質層形成時に含
有させる方法が有利であり、含浸濃度を上げて効果を上
げるという観点からは、蒸気法、液化法などによる方法
が有利である。
【0045】こうして含浸させた有機化合物を利用し
て、酸化皮膜の欠陥の修復が行われる。すなわち、上記
で説明したように、直流電圧を印加することにより、有
機化合物の液体が接触する酸化皮膜層の欠陥を修復する
工程がさらに実施される。このエージング処理時に有機
化合物が固体であれば、直流電圧の印加に伴って欠陥部
への電流集中により発生する熱で有機化合物を液化する
とともに、上記直流電圧の印加により酸化皮膜層の欠陥
を修復するとよい。
【0046】再化成は、固体電解質層を形成する工程で
行うことができるため、洗浄による影響は考慮しなくて
もよい。水素発生電位以上の還元電位を有する物質は、
例えば、固体電解質層を形成するための溶液に添加する
ことにより、固体電解質層に含有させることができる。
また例えば、この物質を添加した溶液を固体電解質層ま
たは固体電解質層の一部となる固体電解質と接触させる
ことにより、固体電解質層に含有させることができる。
【0047】水素発生電位以上の還元電位を有する物質
は、固体電解質層に50ppm以上10重量%以下の範
囲で含有させることが好ましい。濃度が低すぎると静電
容量低下抑制の効果が十分得られない場合がある。一
方、濃度が高すぎると導電性高分子の電導度の低下など
を引き起こす場合がある。なお、再化成後の固体電解質
層の洗浄により、上記濃度は、最終製品としての固体電
解コンデンサでは、再化成の際の値よりも低い数値とし
て測定されることがある。
【0048】以下、図面を参照しながら、本発明の固体
電解コンデンサとその製造方法の例について説明する。
【0049】図2に示す固体電解コンデンサでは、コン
デンサ素子が外装体9により被覆されている。この固体
電解コンデンサでは、コンデンサ素子は、弁作用金属か
らなる陽極1、弁作用金属の表面に形成された誘電体酸
化皮膜2、誘電体酸化皮膜上に形成された固体電解質層
3、固体電解質層上に形成された陰極層4から構成され
ている。
【0050】コンデンサ素子は、その全体が外装体9に
より覆われている。ただし、導通を確保するために、コ
ンデンサ素子からは、陰極引き出し端子7および陽極引
き出し端子8が外装体9を貫通して外部に引き出されて
いる。陽極引き出し端子8は、陽極リード5を介して陽
極1に接続している。一方、陰極引き出し端子7は、導
電性接着剤6などを介して陰極層4に接続している。
【0051】本発明を適用できる固体電解コンデンサ
は、図2に示した形態に限定されず、例えば、図3に示
すように、陽極引き出し端子を設けず、外装体9の表面
に露出させた陽極リード5と、陰極引き出し端子7とに
それぞれ接続する一対の外部端子10を配置してもよ
い。また、図4に示すように、陰極引き出し端子も省略
して、陰極層4に導電性接着剤6などで貼り付けた陰極
箔11を外装体9の表面に露出させ、この陰極箔11と
陽極リード5とに一対の外部端子10をそれぞれ接続さ
せてもよい。これらの構造において、陰極層4および導
電性接着剤6の形成を省略することは可能である。ま
た、図示しないが、従来の電解液タイプの電解コンデン
サのように、陽極箔、陰極箔、セパレータの積層体を捲
回したものに、電解液に代えて固体電解質を充填した構
造を採用してもよい。この場合は、陽極箔、陰極箔に取
りつけた各々のリードが外装体から引き出されて端子と
なる。
【0052】以下、各部材についてさらに説明する。
【0053】陽極1は、弁作用金属からなる。弁作用金
属としては、好ましくは、アルミニウム、タンタルまた
はニオブを使用できる。図示を省略するが、陽極は、外
面に連通する多数の微細な空孔ないし細孔を有する多孔
体となっている。
【0054】陽極としてアルミニウムを用いる場合は、
アルミニウム箔にエッチング処理などの粗面化処理を施
して多数の小孔を形成した多孔体を用いればよい。タン
タルやニオブを用いる場合は、弁作用金属粉末をプレス
成形した後に焼結した多孔体を用いればよい。弁作用金
属粉末をシート状に塗布した後に焼結して多孔体として
もよい。これらの多孔体箔は、捲回または積層して用い
ても構わない。
【0055】誘電体酸化皮膜層2は、弁作用金属多孔体
の表面を陽極酸化して形成される。ここでも図示を省略
するが、誘電体酸化皮膜層は、通常、陽極引き出し端子
に接合するための陽極リード5の一部を残して弁作用金
属の全ての表面に形成され、多孔体の微細な空孔の表面
にも形成される。
【0056】固体電解質層3は、二酸化マンガンや導電
性高分子材料から形成される。ここでも図示を省略する
が、この層は、多孔体の微細な空孔内にも形成される。
固体電解質は、特に限定されないが、ポリピロール、ポ
リアニリン、ポリチオフェンなどの導電性高分子が好適
である。
【0057】陰極層4は、カーボン層、銀層などから構
成され、固体電解質層によって引き出される容量を集電
するために形成される。陰極層は、陽極の弁作用金属多
孔体が箔状の場合には箔表面に形成される。しかし、多
孔体として箔の捲回体または積層体を用いる場合には、
多孔体全体の外表面に形成してもよい。多孔体が粉末焼
結体である場合には、その外表面に形成される。陰極層
は、必須ではなく、構造および材料によっては固体電解
質層3と陰極引き出し端子7とを直接接合してもよい。
【0058】陰極引き出し端子7は、通常、銀接着剤な
どの導電性接着剤層6により、陰極層4と接合される。
ただし、陰極引き出し端子7を固体電解層3に直接接合
する場合には、導電性接着剤層6も必要とされない場合
がある。
【0059】陽極引き出し端子8は、陽極に挿入された
陽極リード5に溶接などにより接合される。
【0060】外装体9は、陰極引き出し端子7および陽
極引き出し端子8の貫通部分を除いて、素子全体を覆う
ように形成されている。外装体としては、セラミック
製、樹脂製または金属製のケースを用いてもよいが、図
示した形態では、外装樹脂を用いている。外装樹脂は、
モールド成型またはディップ成型により形成されたもの
が好ましい。樹脂としては、例えば、エポキシ系の樹脂
を用いることができる。
【0061】図1は、本発明の固体電解コンデンサを製
造する方法の例を示す工程図である。
【0062】まず、弁作用金属箔のエッチングまたは弁
作用金属粉末の焼結体の形成により、陽極を形成する。
次いで、陽極の表面に誘電体酸化皮膜を形成し、この酸
化皮膜上に、固体電解質層を形成する。その後、必要に
応じて陰極層を形成する。ここまでの工程は、従来から
行われてきた方法により実施すればよい。
【0063】図1に示した工程では、陰極層を形成した
後、上記に例示した方法により、コンデンサ素子に有機
化合物を含浸させる。ただし、有機化合物の含浸は、固
体電解質層形成後、外装形成または外装封止前であれ
ば、いずれの段階で実施しても構わない。また、固体電
解質層の形成溶液に有機化合物を添加することにより、
有機化合物を含浸させてもよい。この形成溶液には、上
記のように、水素発生電位以上の還元電位を有する物質
を同時に添加してもよい。
【0064】水素発生電位以上の還元電位を有する物質
は、この物質を添加した溶液を固体電解質層または固体
電解質層の一部となる固体電解質と接触させることによ
り、固体電解質層に含有させてもよい。上記のように、
この物質は、再化成時やエージング時固体電解質層の
剥離を抑制する。
【0065】引き続き、組み立て工程において、陰極引
き出しリードおよび陽極引き出しリードとの接合が行わ
れる。最後に、外装ケースへの挿入および封止、または
外装樹脂の形成が行われて、コンデンサ素子が外装体内
に配置される。必要に応じ、外装で覆われていない両端
子部分は、所定の方向に折り曲げられる。
【0066】こうして得られた固体電解コンデンサは、
コンデンサ素子の内部に有機化合物を含有している。こ
の有機化合物、特に、固体電解質の内部および誘電体酸
化皮膜と固体電解質層との界面に存在する有機化合物が
液化した有機溶媒に、固体電解質中からイオンが溶出し
て、酸化皮膜の自己修復能力が与えられる。この自己修
復能力により、漏れ電流の小さな固体電解コンデンサを
効率的に提供できる。
【0067】有機化合物は、固体電解質の内部および誘
電体酸化皮膜と固体電解質層との界面から選ばれる少な
くとも一方に存在することが好ましい。この点は、水素
発生電位以上の還元電位を有する物質についても、同様
である。
【0068】有機化合物は、その全体が液化する必要は
なく、漏れ電流が流れる部分において、漏れ電流により
発生するジュール熱により局部的に液化して溶媒として
作用すればよい。
【0069】なお、固体電解質として導電性高分子を用
いる場合には、固体電解質層に有機化合物を含浸させる
と、電圧印加時に、誘電体酸化皮膜の欠陥が発生してい
る部分において導電性高分子中のドーパントが抜けやす
く(脱ドープしやすく)なる。脱ドープすると導電性高
分子の抵抗値は高くなる。このような副次的な効果によ
り、漏れ電流を低減することもできる。
【0070】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳細に説
明するが、本発明は以下の実施例に制限されるものでは
ない。
【0071】[実施例A:所定の融点および沸点を有す
る有機化合物の含浸]まず、有機化合物の含浸によるエ
ージングの効果の相違を確認した実施例および比較例に
ついて説明する。
【0072】(比較例A)まず、比較のために、有機化
合物を含浸させずに固体電解コンデンサを作製した。タ
ンタル粉末をリードとともに成形し、焼成して、1.4
mm×3.0mm×3.8mmの弁作用金属多孔体を形
成した。次いで、リード先端を除き細孔表面を含む多孔
体の全表面に、リン酸水溶液中における化成電圧20V
の陽極酸化処理を施して、誘電体酸化皮膜層を形成し
た。その後、細孔内を含む誘電体酸化皮膜層の表面上
に、ピロールモノマーの化学酸化重合により、ポリピロ
ールからなる固体電解質層を形成した。
【0073】引き続き、カーボン層および銀層を、多孔
体の外側表面の固体電解質層上に積層して陰極層とし
た。その後、陰極層に、銀接着剤(導電性接着剤)を用
いて陰極引き出し端子を接着した。一方、陽極となる弁
作用金属多孔体のリード部には、陽極引き出し端子を溶
接で接合した。さらに、エポキシ系樹脂のトランスファ
ーモールド成型によって、外装体を形成した。陰極引き
出し端子および陽極引き出し端子の露出部分を折り曲げ
て、図2と同様の断面を有する固体電解コンデンサを得
た。
【0074】(実施例A1)陰極層まで形成したコンデ
ンサ素子にアルコールを含浸させた点を除いては、比較
例Aと同様にして固体電解コンデンサを得た。アルコー
ルとしては、融点17℃、沸点290℃のグリセリンを
用いた。含浸方法としては、グリセリンをイソプロピル
アルコールに20重量%溶解させた溶液に、コンデンサ
素子を浸漬し、その後引き上げた素子を120℃に加熱
してイソプロピルアルコールを蒸発させる方法を採用し
た。
【0075】(実施例A2)陰極層まで形成したコンデ
ンサ素子にアルコールを含浸させた点を除いては、比較
例Aと同様にして固体電解コンデンサを得た。アルコー
ルとしては、融点17℃、沸点290℃のグリセリンを
用いた。含浸方法としては、密閉した容器中に、コンデ
ンサ素子とグリセリンとをそれぞれ入れた2つの小容器
を配置し、グリセリンを100℃に加熱して蒸気を発生
させ、その蒸気にコンデンサ素子をさらす方法を採用し
た。
【0076】(実施例A3)陰極層まで形成したコンデ
ンサ素子にアルコールを含浸させた点を除いては、比較
例Aと同様にして固体電解コンデンサを得た。アルコー
ルとしては、融点59℃、沸点210℃のステアリルア
ルコールを用いた。含浸方法としては、ステアリルアル
コールをエタノールに3重量%溶解させた溶液に、コン
デンサ素子を浸漬し、その後引き上げた素子を100℃
に加熱してエタノールを蒸発させる方法を採用した。
【0077】(実施例A4)導電性高分子層まで形成し
たコンデンサ素子にアルコールを含浸させた点を除いて
は、比較例Aと同様にして固体電解コンデンサを得た。
アルコールとしては、融点59℃、沸点210℃のステ
アリルアルコールを用いた。含浸方法としては、ステア
リルアルコールをエタノールに3重量%溶解させた溶液
に、コンデンサ素子を浸漬し、その後引き上げた素子を
100℃に加熱してエタノールを蒸発させる方法を採用
した。
【0078】(実施例A5)陰極層まで形成したコンデ
ンサ素子にフェノール(誘導体)を含浸させた点を除い
ては、比較例Aと同様にして固体電解コンデンサを得
た。フェノールとしては、融点73℃、沸点218℃の
2,3−キシレノールを用いた。含浸方法としては、キ
シレノールをエタノールに10重量%溶解させた溶液
に、コンデンサ素子を浸漬し、その後引き上げた素子を
100℃に加熱してエタノールを蒸発させる方法を採用
した。
【0079】(実施例A6)導電性高分子層を形成する
工程において、フェノール(誘導体)を含浸させた点を
除いては、比較例Aと同様にして固体電解コンデンサを
得た。フェノールとしては、融点73℃、沸点218℃
の2,3−キシレノールを用いた。含浸方法としては、
キシレノールを溶解させた溶液を用いて化学酸化重合法
を行う方法を採用した。具体的には、キシレノールをピ
ロールモノマー溶液(ピロールを混合溶解した水/エタ
ノール混合液)中に10重量%溶解させた溶液と、酸化
剤溶液(硫酸鉄(III)を溶解した水/エタノール混合
液)に同じくキシレノールを10wt%溶解させた溶液
とを準備し、この二液への交互浸漬による化学酸化重合
法によって導電性高分子を形成した。ただし、導電性高
分子層形成後の洗浄工程では、洗浄液として、キシレノ
ールの溶解度が低い水を用いた。これにより、導電性高
分子層形成と同時にコンデンサ素子中にキシレノールを
含有させた。
【0080】(実施例A7)陰極層まで形成したコンデ
ンサ素子にエステルを含浸させた点を除いては、比較例
Aと同様にして固体電解コンデンサを得た。エステルと
しては、融点−22℃、沸点250℃の安息香酸ブチル
を用いた。含浸方法としては、安息香酸ブチルを100
℃に加熱して低粘度化した溶液に、コンデンサ素子を浸
漬する方法を採用した。
【0081】(実施例A8)固体電解質層まで形成した
コンデンサ素子にエーテルを含浸させた点を除いては、
比較例Aと同様にして固体電解コンデンサを得た。エー
テルとしては、融点28℃、沸点259℃のジフェニル
エーテルを用いた。含浸方法としては、ジフェニルエー
テルをエタノールに5重量%溶解させた溶液にコンデン
サ素子を浸漬し、その後引き上げた素子を100℃に加
熱してエタノールを蒸発させる方法を採用した。
【0082】(実施例A9)固体電解質層まで形成した
コンデンサ素子にケトンを含浸させた点を除いては、比
較例Aと同様にして固体電解コンデンサを得た。ケトン
としては、融点28℃、沸点199℃のホロンを用い
た。含浸方法としては、ホロンをエタノールに5重量%
溶解させた溶液にコンデンサ素子を浸漬し、その後引き
上げた素子を100℃に加熱してエタノールを蒸発させ
る方法を採用した。
【0083】(実施例A10)陰極層まで形成したコン
デンサ素子に脂肪酸を含浸させた点を除いては、比較例
Aと同様にして固体電解コンデンサを得た。脂肪酸とし
ては、融点71℃、沸点360℃のステアリン酸(pK
a>4.6)を用いた。含浸方法としては、ステアリン
酸を100℃に加熱して得た溶融液に、コンデンサ素子
を浸漬する方法を採用した。
【0084】(実施例A11)陰極層まで形成したコン
デンサ素子にアミンを含浸させた点を除いては、比較例
Aと同様にして固体電解コンデンサを得た。アミンとし
ては、融点21℃、沸点360℃のトリエタノールアミ
ンを用いた。含浸方法としては、トリエタノールアミン
をエタノールに5重量%溶解させた溶液に、コンデンサ
素子を浸漬し、その後引き上げた素子を100℃に加熱
してエタノールを蒸発させる方法を採用した。
【0085】(実施例A12)陰極層まで形成したコン
デンサ素子にアミンを含浸させた点を除いては、比較例
Aと同様にして固体電解コンデンサを得た。アミンとし
ては、融点53℃、沸点310℃のジフェニルアミンを
用いた。含浸方法としては、ジフェニルアミンを100
℃に加熱して得た溶融液に、コンデンサ素子を浸漬する
方法を採用した。
【0086】(実施例A13)固体電解質層まで形成し
たコンデンサ素子にニトロ基含有化合物を含有させた点
を除いては、実施例A1と同様とした固体電解コンデン
サを得た。ニトロ基含有化合物としては、融点165℃
の4−ニトロフタル酸を用いた。このコンデンサ素子
は、グリセリンとニトロフタル酸とを含有することにな
る。ニトロフタル酸の含浸方法としては、2重量%の4
−ニトロフタル酸を含む水/エタノール混合溶液に、コ
ンデンサ素子を浸漬し、その後引き上げた素子を100
℃に加熱して水/エタノールを蒸発させる方法を採用し
た。
【0087】(実施例A14)導電性高分子層を形成す
る工程でニトロ基含有化合物を含有させた点を除いて
は、実施例A1と同様にして固体電解コンデンサを得
た。ニトロ基含有化合物としては、融点54℃、沸点2
60℃の3−ニトロアニソールを用いた。このコンデン
サ素子は、グリセリンとニトロアニソールとを含有する
ことになる。ニトロアニソールの含浸方法としては、ニ
トロアニソールを溶解させた溶液を用いて化学酸化重合
法を行う方法を採用した。具体的には、ピロールモノマ
ーの化学酸化重合によりポリピロールからなる導電性高
分子層を形成する際に、モノマー溶液および酸化剤(硫
酸鉄(III))溶液として、それぞれ1重量%の3−ニ
トロアニソールを溶解させた水/エタノール混合溶液を
準備し、この二液に交互浸漬することにより、ニトロア
ニソールを含有する導電性高分子層を形成した。ただ
し、導電性高分子層形成後の洗浄工程では、洗浄液とし
て、ニトロアニソールの溶解度が低い水を用いた。
【0088】(実施例A15)固体電解質層まで形成し
たコンデンサ素子にニトロ基含有化合物を含浸させた点
を除いては、比較例Aと同様にして固体電解コンデンサ
を得た。ニトロ基含有化合物としては、融点54℃、沸
点260℃の3−ニトロアニソールを用いた。含浸方法
としては、3−ニトロアニソールをエタノールに3重量
%溶解させた溶液にコンデンサ素子を浸漬し、その後引
き上げた素子を100℃に加熱してエタノールを蒸発さ
せる方法を採用した。
【0089】以上の比較例A、実施例A1〜A15から
は、いずれも、定格6.3V、規格値150μFの固体
電解コンデンサが得られた。
【0090】これらの固体電解コンデンサについて、常
温で10Vの電圧を印加することにより1時間のエージ
ング処理を施した。各実施例、比較例について、各10
0個のコンデンサを処理した。
【0091】その結果、比較例Aのコンデンサでは、漏
れ電流が20〜100μAと依然として大きく、実用範
囲内にまで低下させることはできなかった。これに対
し、上記各実施例のコンデンサでは、いずれも数分間の
処理で漏れ電流が全て5μA以下となり、実用上問題が
ない程度にまで漏れ電流を抑制できた。
【0092】比較例Aのコンデンサの漏れ電流を実用範
囲とするためには、温度85℃、相対湿度85%での吸
湿と、その後直ちに実施する上記温度での10V電圧印
加によるエージング処理を必要とした。これにより、漏
れ電流を全て5μA以下とすることができたが、エージ
ング処理に要した時間は、吸湿時間を合わせると10数
時間に及んだ。また、このコンデンサは多くの水を含ん
でいるため、はんだ実装時の加熱により水が急激に気化
して外装にクラックが生じた。これを防止するために
は、エージング処理後に乾燥工程を必要とした。このた
め、トータルとしてのエージング処理はさらに長期化す
ることとなった。120℃で40時間の乾燥を行ったと
ころ、漏れ電流は平均約10μAとなった。乾燥処理前
と比較して漏れ電流の増加が認められたが、これは乾燥
時に熱ストレスが加わり、再度、酸化皮膜が損傷したた
めと考えられる。
【0093】さらに、エージング処理後のコンデンサ
(比較例Aについては吸湿後エージング処理し再乾燥し
たコンデンサ)を各々100個準備し、基板にはんだ実
装した。その後、加速信頼試験として、120℃の環境
下で500時間、定格の1.2倍の電圧を印加した。試
験後に各コンデンサの漏れ電流を評価したところ、比較
例Aのコンデンサでは、7個の漏れ電流が30μA以上
となった。一方、上記各実施例のコンデンサでは、漏れ
電流が10μA以上に増加したものはなかった。
【0094】また、各実施例のコンデンサにおいて、エ
ージング処理後の静電容量を測定したところ、135μ
F〜165μFとなり、いずれも規格値(150μF)
と大きな相違はなかった。実施例A1〜A12のコンデ
ンサでは、135μF〜155μFに静電容量が分布し
ており、若干低めの値となった。一方、ニトロ基含有化
合物を同時に添加した実施例A13,A14のコンデン
サおよびニトロ基含有化合物を有機化合物として含有し
た実施例A15のコンデンサでは、150μF〜165
μFの高い静電容量が維持されていた。
【0095】以上のように、上記各実施例のコンデンサ
では、漏れ電流を効率よく低下できることが確認でき
た。さらに、ニトロ基含有化合物のように、水素発生電
位以上の還元電位を有する化合物を含有させると、漏れ
電流を低下させるエージング処理に伴う静電容量の低下
が抑制されたコンデンサを得ることができる。
【0096】なお、本実施例ではモールド成型品につい
て述べたが、ディップ成型品についても同様の効果が得
られる。モールド成型品やディップ成型品においては、
特に外装形成時の樹脂硬化時の応力により漏れ電流が増
加する傾向にある。したがって、本発明の適用が好まし
い。
【0097】もっとも、外装体としてケースを用いたケ
ース挿入品についても、漏れ電流低減効果は有効に作用
する。特に、セラミックス製、樹脂製、金属製などのケ
ースにコンデンサ素子を完全に密閉した場合には、吸湿
させて修復作用を付与することが困難となる。このよう
なコンデンサには、本発明の適用が好ましい。
【0098】本実施例ではタンタル固体電解コンデンサ
を示したが、陽極にニオブやアルミニウムを用いたコン
デンサについても同様の効果が得られる。特にアルミニ
ウム電解コンデンサにアミンを含有させると、その他の
有機化合物を含有させた場合よりも漏れ電流の小さなコ
ンデンサが得られた。例えば、同じ条件で作製したアル
ミニウム電解コンデンサについて、グリセリンを含浸さ
せた場合とトリエタノールアミンを含浸させた場合とを
比較すると、前者における漏れ電流が平均10μAであ
ったのに対し、後者における漏れ電流はすべて5μA以
下となった。
【0099】[実施例B:水素発生電位以上の還元電位
を有する物質の含浸]次に、水素発生電位以上の還元電
位を有する物質の添加による再化成時の静電容量への影
響を確認した実施例および比較例について説明する。
【0100】(比較例B)まず、比較のために、上記物
質を含浸させずに固体電解コンデンサを作製した。タン
タル粉末をリードとともに成形し、焼成して、1.4m
m×3.0mm×3.8mmの弁作用金属多孔体を形成
した。次いで、次いで、リード先端を除き多孔体の全表
面に、リン酸水溶液中における化成電圧20Vの陽極酸
化処理を施して、誘電体酸化皮膜層を形成した。さら
に、細孔内を含む誘電体酸化皮膜層の表面上に、ピロー
ルモノマーの化学酸化重合により、ポリピロールからな
る固体電解質層を形成した。固体電解質層は、酸化剤溶
液とピロール溶液とを交互に浸漬して形成した。
【0101】固体電解質層の形成後、この素子を30℃
の酢酸水エタノール混合溶液中に浸漬させ、15Vの直
流電圧を10分間印加して酸化皮膜を再化成した。この
化学酸化重合と再化成処理とを各8回繰り返した。
【0102】引き続き、カーボン層および銀層を、多孔
体の外側表面の固体電解質層上に積層して陰極層とし
た。その後、陰極層に、銀接着剤(導電性接着剤)を用
いて陰極引き出し端子を接着した。一方、陽極となる弁
作用金属多孔体のリード部には、陽極引き出し端子を溶
接で接合した。さらに、エポキシ系樹脂のトランスファ
ーモールド成型によって、外装体を形成した。陰極引き
出し端子および陽極引き出し端子の露出部分を折り曲げ
て、図2と同様の断面を有する固体電解コンデンサを得
た。
【0103】この固体電解コンデンサを、温度80℃、
相対湿度70%の条件で吸湿させた後、定格電圧(6.
3V)を30分間印加してエージングを行った。その
後、120℃で乾燥を行った。こうして得られた固体電
解コンデンサ20個の漏れ電流および静電容量(120
Hz)は、平均値でそれぞれ8.8μA、141μFで
あった。
【0104】(実施例B1〜B7)固体電解質層の形成
に用いたピロール溶液に所定濃度の4−ニトロフタル酸
(融点:165℃)を添加した点を除いては、比較例B
と同様にして固体電解コンデンサを得た。
【0105】こうして得られた固体電解コンデンサ各2
0個の漏れ電流、静電容量(120Hz)および静電容
量比(100kHz/120Hz)の平均値を、比較例
Bの結果とともに、表1にまとめて示す。
【0106】 (表1) ―――――――――――――――――――――――――――――――――― サンプル ニトロフタル酸濃度 静電容量(120Hz) 静電容量比 漏れ電流 (μF) (100kHz/120Hz) (μA) ―――――――――――――――――――――――――――――――――― 比較例B − 141 0.45 8.8 実施例B1 10ppm 152 0.63 3.0 実施例B2 50ppm 161 0.64 1.0 実施例B3 1% 162 0.62 2.0 実施例B4 5% 162 0.64 1.0 実施例B5 10% 163 0.61 1.5 実施例B6 15% 162 0.53 2.0 実施例B7 20% 150 0.50 3.0 ――――――――――――――――――――――――――――――――――
【0107】なお、上記各実施例では、ピロール溶液
に、固体電解質層におけるピロール濃度が上記の値とな
るようにニトロフタル酸を添加した。例えば、実施例B
2のコンデンサの作製に用いたピロール溶液には50p
pmの4−ニトロフタル酸を添加した。
【0108】表1に示したように、ニトロフタル酸の濃
度を50ppm(重量基準)〜15%とすると、160
μF以上の静電容量が得られた。10%よりも高い濃度
により静電容量が低下したのは、固体電解質中に不純物
として多量のニトロフタル酸が存在し、酸化皮膜の固体
電解質による直接被覆面積が低下したことが原因と考え
られる。また、表1の静電容量比(100kHz/120Hz)の低下
は、固体電解質内部での剥離による高周波応答性低下レ
ベルを示す指標となるが、この観点からは、ニトロフタ
ル酸の濃度が10ppm〜10%の範囲で良好な結果が
得られた。また、各実施例において比較例よりも漏れ電
流が低下しているのは、ニトロフタル酸が細孔深部まで
存在し、ニトロフタル酸が再化成時の電解液に適度な電
導度を与えるため、酸化皮膜欠陥の修復がより速やかに
行われたためである。
【0109】さらに、以下のようにして固体電解コンデ
ンサを作製した。 (比較例C)エージングを省略した点を除いては、比較
例Bと同様にして固体電解コンデンサを得た。
【0110】(実施例C1)エージングを省略した点を
除いては、実施例B2と同様にして固体電解コンデンサ
を得た。
【0111】(実施例C2)エージングを省略し、再化
成に用いる電解液を酢酸水エタノール溶液から水に変更
した点を除いては、実施例B2と同様にして固体電解コ
ンデンサを得た。
【0112】(実施例C3)エージングを省略し、再化
成に用いる電解液を酢酸水エタノール溶液からエタノー
ルに変更した点を除いては、実施例B2と同様にして固
体電解コンデンサを得た。
【0113】(実施例C4)添加する物質を4−ニトロ
フタル酸に代えて3−ニトロアニソールとした点を除い
ては、実施例B2と同様にして固体電解コンデンサを得
た。
【0114】比較例Cおよび実施例C1〜C4から得ら
れた固体電解コンデンサ20個の漏れ電流および静電容
量(120Hz)を、比較例B、実施例B2の結果とと
もに、表2にまとめて示す。
【0115】 (表2) ――――――――――――――――――――――――――――――――― サンプル 再 化 成 エーシ゛ンク゛ 静電容量 漏れ電流 還元物質 電解液 (μF) (μA) ――――――――――――――――――――――――――――――――― 比較例B − 酢酸/EtOH ○ 141 8.8 実施例B2 NP 酢酸/EtOH ○ 161 1.0 実施例C4 NA 酢酸/EtOH ○ 159 1.5 ――――――――――――――――――――――――――――――――― 比較例C − 酢酸/EtOH × 144 75 実施例C1 NP 酢酸/EtOH × 159 11 実施例C2 NP 水 × 156 13 実施例C3 NP EtOH × 158 8.9 ―――――――――――――――――――――――――――――――――
【0116】・NPは4−ニトロフタル酸、NAは3−
ニトロアニソール、EtOHはエタノール、○はエージング
適用、×はエージング不適用を示す。
【0117】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
有機化合物の存在により、吸湿に頼るエージングよりも
効率的に固体電解コンデンサをエージングして漏れ電流
を低減できる固体電解コンデンサとその製造方法を提供
できる。また、本発明によれば、水素発生電位以上の還
元電位を有する物質により、静電容量の低下を抑制しな
がら漏れ電流を低減できる固体電解コンデンサとその製
造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の固体電解コンデンサの製造方法の一
例を示す工程図である。
【図2】 本発明の固体電解コンデンサの一例を示す断
面図である。
【図3】 本発明の固体電解コンデンサの別の一例を示
す断面図である。
【図4】 本発明の固体電解コンデンサのまた別の一例
を示す断面図である。
【図5】 酸化皮膜の修復に伴って発生することがあっ
た固体電解質膜の剥離現象を説明するための断面図であ
る。
【符号の説明】
1 陽極 2 誘電体酸化皮膜層 3 固体電解質層 4 陰極層 5 陽極リード 6 導電性接着剤層 7 陰極引き出し端子 8 陽極引き出し端子 9 外装体 10 外部端子 11 陰極箔
フロントページの続き (72)発明者 加藤 寿孝 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (72)発明者 棚橋 正和 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平8−293436(JP,A) 特開 平4−315413(JP,A) 特表 平1−503425(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01G 9/00 H01G 9/028 H01G 9/032 H01G 9/04 307

Claims (26)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弁作用金属、前記弁作用金属の表面に形
    成された酸化皮膜層、および前記酸化皮膜層上に形成さ
    れた固体電解質層を含むコンデンサ素子を外装体の内部
    に有する固体電解コンデンサであって、前記コンデンサ
    素子が、150℃以上の沸点および150℃以下の融点
    を有する有機化合物を含有し、前記有機化合物が、アル
    コール、エステル、エーテルおよびケトンから選ばれる
    少なくとも1種であることを特徴とする固体電解コンデ
    ンサ。
  2. 【請求項2】 弁作用金属、前記弁作用金属の表面に形
    成された酸化皮膜層、および前記酸化皮膜層上に形成さ
    れた固体電解質層を含むコンデンサ素子を外装体の内部
    に有する固体電解コンデンサであって、前記コンデンサ
    素子が、150℃以上の沸点および150℃以下の融点
    を有する有機化合物を含有し、前記有機化合物が、アミ
    ンであることを特徴とする固体電解コンデンサ。
  3. 【請求項3】 弁作用金属、前記弁作用金属の表面に形
    成された酸化皮膜層、および前記酸化皮膜層上に形成さ
    れた固体電解質層を含むコンデンサ素子を外装体の内部
    に有する固体電解コンデンサであって、前記コンデンサ
    素子が、150℃以上の沸点および150℃以下の融点
    を有する有機化合物と、水素発生電位以上の還元電位を
    有する物質とを含有することを特徴とする固体電解コン
    デンサ。
  4. 【請求項4】 有機化合物の融点が、25℃よりも高い
    請求項1〜3のいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
  5. 【請求項5】 有機化合物の沸点が、200℃以上であ
    る請求項1〜3のいずれかに記載の固体電解コンデン
    サ。
  6. 【請求項6】 有機化合物が、固体電解質の内部および
    誘電体酸化皮膜と固体電解質層との界面から選ばれる少
    なくとも一方に存在する請求項1〜3のいずれかに記載
    の固体電解コンデンサ。
  7. 【請求項7】 弁作用金属、前記弁作用金属の表面に形
    成された酸化皮膜層、および前記酸化皮膜層上に形成さ
    れた固体電解質層を含むコンデンサ素子を外装体の内部
    に有する固体電解コンデンサであって、前記固体電解質
    が導電性高分子であり、前記コンデンサ素子が、水素発
    生電位以上の還元電位を有し、かつ前記導電性高分子を
    酸化分解しない物質を含有することを特徴とする固体電
    解コンデンサ。
  8. 【請求項8】 弁作用金属、前記弁作用金属の表面に形
    成された酸化皮膜層、および前記酸化皮膜層上に形成さ
    れた固体電解質層を含むコンデンサ素子を外装体の内部
    に有する固体電解コンデンサであって、前記コンデンサ
    素子が、水素発生電位以上の還元電位を有する物質とし
    て、過塩素酸およびその塩、過マンガン酸およびその
    塩、クロム酸およびその塩、ペルオキソ二硫酸およびそ
    の塩、ならびにニトロ基含有化合物から選ばれる少なく
    とも1種を含有することを特徴とする固体電解コンデン
    サ。
  9. 【請求項9】 弁作用金属、前記弁作用金属の表面に形
    成された酸化皮膜層、および前記酸化皮膜層上に形成さ
    れた固体電解質層を含むコンデンサ素子を外装体の内部
    に有する固体電解コンデンサであって、前記コンデンサ
    素子が、水素発生電位以上の還元電位を有する物質を
    記固体電解質層に50ppm以上10重量%以下の範囲
    含有することを特徴とする固体電解コンデンサ。
  10. 【請求項10】 水素発生電位以上の還元電位を有する
    物質が、固体電解質の内部および誘電体酸化皮膜と固体
    電解質層との界面から選ばれる少なくとも一方に存在す
    る請求項3、7または8に記載の固体電解コンデンサ。
  11. 【請求項11】 水素発生電位以上の還元電位を有する
    物質が、還元により気体を放出しない物質である請求項
    3および7〜9から選ばれるいずれかに記載の固体電解
    コンデンサ。
  12. 【請求項12】 水素発生電位以上の還元電位を有する
    物質が、ニトロ基含有化合物である請求項3および7〜
    9から選ばれるいずれかに記載の固体電解コンデンサ。
  13. 【請求項13】 固体電解質が、導電性高分子である請
    求項1〜3および8〜9から選ばれるいずれかに記載の
    固体電解コンデンサ。
  14. 【請求項14】 外装体が、モールド成型またはディッ
    プ成型により形成された樹脂である請求項1〜3および
    7〜9から選ばれるいずれかに記載の固体電解コンデン
    サ。
  15. 【請求項15】 弁作用金属、前記弁作用金属の表面に
    形成された酸化皮膜層、および前記酸化皮膜層上に形成
    された固体電解質層を含むコンデンサ素子を外装体の内
    部に有する固体電解コンデンサの製造方法であって、1
    50℃以上の沸点および150℃以下の融点を有する有
    機化合物として、アルコール、エステル、エーテルおよ
    びケトンから選ばれる少なくとも1種を前記コンデンサ
    素子に含浸させ、前記有機化合物を含んだ状態で前記コ
    ンデンサ素子を前記外装体の内部に配置することを特徴
    とする固体電解コンデンサの製造方法。
  16. 【請求項16】 弁作用金属、前記弁作用金属の表面に
    形成された酸化皮膜層、および前記酸化皮膜層上に形成
    された固体電解質層を含むコンデンサ素子を外装体の内
    部に有する固体電解コンデンサの製造方法であって、1
    50℃以上の沸点および150℃以下の融点を有する有
    機化合物として、アミンを前記コンデンサ素子に含浸さ
    、前記有機化合物を含んだ状態で前記コンデンサ素子
    を前記外装体の内部に配置することを特徴とする固体電
    解コンデンサの製造方法。
  17. 【請求項17】 弁作用金属、前記弁作用金属の表面に
    形成された酸化皮膜層、および前記酸化皮膜層上に形成
    された固体電解質層を含むコンデンサ素子を外装体の内
    部に有する固体電解コンデンサの製造方法であって、1
    50℃以上の沸点および150℃以下の融点を有する有
    機化合物を加熱して液化させて前記コンデンサ素子に
    浸させ、前記有機化合物を含んだ状態で前記コンデンサ
    素子を前記外装体の内部に配置することを特徴とする固
    体電解コンデンサの製造方法。
  18. 【請求項18】 弁作用金属、前記弁作用金属の表面に
    形成された酸化皮膜層、および前記酸化皮膜層上に形成
    された固体電解質層を含むコンデンサ素子を外装体の内
    部に有する固体電解コンデンサの製造方法であって、1
    50℃以上の沸点および150℃以下の融点を有する有
    機化合物を加熱して粘度を低下させて前記コンデンサ素
    子に含浸させ、前記有機化合物を含んだ状態で前記コン
    デンサ素子を前記外装体の内部に配置することを特徴と
    する固体電解コンデンサの製造方法。
  19. 【請求項19】 弁作用金属、前記弁作用金属の表面に
    形成された酸化皮膜層、および前記酸化皮膜層上に形成
    された固体電解質層を含むコンデンサ素子を外装体の内
    部に有する固体電解コンデンサの製造方法であって、
    記固体電解質層を形成するための溶液に150℃以上の
    沸点および150℃以下の融点を有する有機化合物を
    加することにより、前記有機化合物を前記コンデンサ素
    子に含浸 させ、前記有機化合物を含んだ状態で前記コン
    デンサ素子を前記外装体の内部に配置することを特徴と
    する固体電解コンデンサの製造方法。
  20. 【請求項20】 弁作用金属、前記弁作用金属の表面に
    形成された酸化皮膜層、および前記酸化皮膜層上に形成
    された固体電解質層を含むコンデンサ素子を外装体の内
    部に有する固体電解コンデンサの製造方法であって、1
    50℃以上の沸点および150℃以下の融点を有する有
    機化合物を前記コンデンサ素子に含浸させる工程と、前
    記有機化合物を含んだ状態で前記コンデンサ素子を前記
    外装体の内部に配置する工程と、直流電圧を印加するこ
    とにより、前記有機化合物の液体が接触する前記酸化皮
    膜層の欠陥を修復する工程と、を含むことを特徴とする
    固体電解コンデンサの製造方法。
  21. 【請求項21】 直流電圧の印加に伴って発生する熱に
    より有機化合物を液化するとともに、前記直流電圧の印
    加により酸化皮膜層の欠陥を修復する請求項20に記載
    の固体電解コンデンサの製造方法。
  22. 【請求項22】 弁作用金属、前記弁作用金属の表面に
    形成された酸化皮膜層、および前記酸化皮膜層上に形成
    された固体電解質層を含むコンデンサ素子を外装体の内
    部に有する固体電解コンデンサの製造方法であって、1
    50℃以上の沸点および150℃以下の融点を有する有
    機化合物と、水素発生電位以上の還元電位を有する物質
    を前記コンデンサ素子に含浸させ、前記有機化合物を含
    んだ状態で前記コンデンサ素子を前記外装体の内部に配
    置することを特徴とする固体電解コンデンサの製造方
    法。
  23. 【請求項23】 弁作用金属、前記弁作用金属の表面に
    形成された酸化皮膜層、および前記酸化皮膜層上に形成
    された固体電解質層を含むコンデンサ素子を外装体の内
    部に有する固体電解コンデンサの製造方法であって、前
    記コンデンサ素子を前記外装体の内部に配置する前に、
    水素発生電位以上の還元電位を有する物質を添加した溶
    液を前記固体電解質層または前記固体電解質層の一部と
    なる固体電解質に接触させることにより、前記物質を
    記固体電解質層に含有させることを特徴とする固体電解
    コンデンサの製造方法。
  24. 【請求項24】 弁作用金属、前記弁作用金属の表面に
    形成された酸化皮膜層、および前記酸化皮膜層上に形成
    された固体電解質層を含むコンデンサ素子を外装体の内
    部に有する固体電解コンデンサの製造方法であって、前
    記コンデンサ素子を前記外装体の内部に配置する前に、
    水素発生電位以上の還元電位を有する物質を前記固体電
    解質層に50ppm以上10重量%以下の範囲で含有さ
    せることを特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  25. 【請求項25】 弁作用金属、前記弁作用金属の表面に
    形成された酸化皮膜層、および前記酸化皮膜層上に形成
    された固体電解質層を含むコンデンサ素子を外装体の内
    部に有する固体電解コンデンサの製造方法であって、前
    記コンデンサ素子を前記外装体の内部に配置する前に、
    水素発生電位以上の還元電位を有する物質を前記固体電
    解質層または前記固体電解質層の一部となる固体電解質
    に含有させ、この固体電解質層または固体電解質に溶媒
    を接触させた状態で直流電圧を印加することにより、前
    記酸化皮膜層の欠陥を修復することを特徴とする固体電
    解コンデンサの製造方法。
  26. 【請求項26】 固体電解質層の一部を形成する工程
    と、酸化皮膜層の欠陥を修復する工程とを交互に繰り返
    して固体電解質層を形成する請求項25に記載の固体電
    解コンデンサの製造方法。
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