JP2017081871A - チオフェン化合物、導電性高分子溶液、導電性高分子材料ならびに電解コンデンサおよびその製造方法 - Google Patents

チオフェン化合物、導電性高分子溶液、導電性高分子材料ならびに電解コンデンサおよびその製造方法 Download PDF

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【課題】水への溶解性及び高い導電率を有する導電性高分子を提供する。また、前記導電性高分子を用いることにより、高い容量出現率を有し、漏れ電流の低い電解コンデンサを提供する。【解決手段】下記一般式(1)で表されるチオフェン化合物。(式中、Aは、炭素数1〜5のアルキレン基を示し、Xは、酸素原子または硫黄原子を示し、Rは、化学式量が134以下のアルキル鎖を示し、該アルキル鎖は、ヒドロキシル基、カルボキシル基及びエーテル結合からなる群より選択される官能基を2つ以上有するものとする。)【選択図】なし

Description

本発明は、チオフェン化合物、導電性高分子溶液、導電性高分子材料ならびに電解コンデンサおよびその製造方法に関する。
導電性高分子は、電解コンデンサをはじめ、リチウムイオン電池の電極や有機エレクトロルミネッセンス、有機トランジスタ等の幅広い分野で使用されている。
導電性高分子として、PEDOT(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン))やポリチオフェン等が知られている。PEDOTは、その原料モノマーである3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)の水溶性が乏しく、得られる導電性高分子の溶解性が低いことが知られている。そのため、特許文献1に開示されているように、水溶性のポリスチレンスルホン酸(PSS)等をドープすることにより、溶媒中に分散させて使用するものが主であった。
特許文献2では、PEDOTに、親水性に寄与し得る側鎖を立体選択的に導入した化合物を含む分散液が開示されている。PEDOTに親水性の側鎖を導入すると、側鎖を有さないものに比べ、水への溶解性は改善されるものの、十分とはいえない。また、側鎖の立体障害によって、導電性高分子鎖同士が接近しにくくなり、電子移動が阻害されて導電率が低下する場合がある。
このように、従来のPEDOTなどの導電性高分子は、その構成単位である導電性高分子前駆体が側鎖を有していないものであるか、または、側鎖を有していても分子量の大きな側鎖を有するように構成されていたため、溶媒に溶解せず分散液として得られる、または、溶解しても導電率が低いという課題があった。分散液中の導電性高分子は、小さくとも数nmの粒径を有する粒子であるため、nmサイズの細部や多孔質体への形成が難しい。
一方で、特許文献3には、水溶性の導電性高分子として、側鎖にスルホ基を有する自己ドープ型ポリチオフェン誘導体が開示されている。
特開平7−090060号公報 特表2004−525946号公報 特開2014−28759号公報
しかしながら、スルホ基を有するアルキル鎖が置換された導電性高分子材料は導電率が低く、帯電防止用途以外の用途においては、実用的ではなかった。また、スルホ基を有するアルキル鎖が置換した導電性高分子材料は、スルホ基の高い極性によって、形成後に水や極性有機溶媒に再溶解してしまうという課題があった。
さらに、従来、高い容量出現率の電解コンデンサを得るには、分散型の導電性高分子材料を使用することができなかったため、誘電体層上で導電性高分子のモノマーと酸化剤とを直接反応させる必要があった。そのため、酸化剤が絶縁体である誘電体層を傷つけることがあり、電解コンデンサの漏れ電流が大きくなるという課題があった。
本発明は、導電性高分子前駆体として、特定の親水性基を有し、かつ、特定の分子量である側鎖を導入したチオフェン化合物を用いることにより、得られる導電性高分子鎖間の立体障害を低減し、上記課題を解決して、水への溶解性及び高い導電率を有する導電性高分子を提供することを目的とする。また、本発明は、該導電性高分子を用いることにより、高い容量出現率を有し、漏れ電流の低い電解コンデンサを提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、以下の構成を有することを特徴とする。
1.下記一般式(1)で表されるチオフェン化合物。
Figure 2017081871
式中、Aは、炭素数1〜5のアルキレン基を示し、Xは、酸素原子または硫黄原子を示し、Rは、化学式量が134以下のアルキル鎖を示し、該アルキル鎖は、ヒドロキシル基、カルボキシル基及びエーテル結合からなる群より選択される官能基を2つ以上有するものとする。
2.前記チオフェン化合物が、下記一般式(2)で表されることを特徴とする、前記1に記載のチオフェン化合物。
Figure 2017081871
式中、Rは、−CH2−OR’で表される化学式量が134以下のアルキル鎖を示し、R’は、ヒドロキシル基、カルボキシル基及びエーテル結合からなる群より選択される官能基を1つ以上有するアルキル鎖を示す。
3.前記R’が、−CH2−(CH(OH))n−H、nは1または2、で表されるアルキル鎖である前記2に記載のチオフェン化合物。
4.前記1〜3のいずれかに記載のチオフェン化合物を用いて製造された高分子にポリ酸がドープしている導電性高分子と、水及び/又は極性有機溶媒を主体とする溶媒とを含有する導電性高分子溶液。
5.前記導電性高分子中の、前記チオフェン化合物を用いて製造された高分子と前記ポリ酸との割合が、単量体のモル換算で、ポリ酸/(チオフェン化合物を用いて製造された高分子)=1.3以上である、前記4に記載の導電性高分子溶液。
6.前記4又は5に記載の導電性高分子溶液を用いて作製された導電性高分子材料。
7.さらに、前記導電性高分子とは異なる有機高分子樹脂を含む前記6に記載の導電性高分子材料。
8.前記導電性高分子材料が、前記Rが有するヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基の一部又は全部と反応することができる官能基を有する化合物を含む、前記6又は7に記載の導電性高分子材料。
9.弁金属からなる陽極導体と、該陽極導体の表面に形成される誘電体層とを有し、該誘電体層上に前記6〜8のいずれかに記載の導電性高分子材料を含む電解質層が形成されている電解コンデンサ。
10.前記導電性高分子材料が電解液を含む、前記9に記載の電解コンデンサ。
11.前記電解液が、化学ゲル化剤によりゲル化した電解液である前記10に記載の電解コンデンサ。
12.弁金属からなる陽極導体の表面に誘電体層を形成する工程と、
該誘電体層上に、導電性高分子溶液を塗布または含浸し、その後、該導電性高分子溶液に含まれる溶媒の一部又は全部を除去することにより、前記6〜8のいずれかに記載の導電性高分子材料からなる導電性高分子層(A)を形成する工程と
を有する電解コンデンサの製造方法。
13.さらに、前記導電性高分子層(A)上に、前記導電性高分子とは異なる分散性の導電性高分子を含む導電性高分子懸濁液を塗布または含浸して、その後、該導電性高分子懸濁液に含まれる溶媒の一部又は全部を除去することにより、導電性高分子層(B)を形成する工程を有する前記12に記載の電解コンデンサの製造方法。
14.前記導電性高分子溶液が電解液を含む、前記12又は13に記載の電解コンデンサの製造方法。
15.前記導電性高分子溶液として、電解液及び化学ゲル化剤を含む導電性高分子溶液を使用し、該導電性高分子溶液に含まれる溶媒の一部又は全部を除去する間または除去した後に加熱し、前記電解液をゲル化する工程を経て、前記導電性高分子層(A)を形成する前記12又は13に記載の電解コンデンサの製造方法。
16.さらに、前記導電性高分子層(A)上に、電解液を塗布または含浸し、該導電性高分子層(A)中に前記電解液を含ませる工程を有する、前記12又は13に記載の電解コンデンサの製造方法。
17.さらに、前記導電性高分子層(A)上に、化学ゲル化剤を含む電解液を塗布または含浸し、該導電性高分子層(A)中に前記電解液を含ませる工程と、加熱により前記電解液をゲル化する工程と、を有する前記12又は13に記載の電解コンデンサの製造方法。
本発明のチオフェン化合物を用いることにより、水溶性かつ高導電率の導電性高分子を提供することができる。また、該導電性高分子を用いることにより、コンデンサ素子の細孔部まで容易に導電性高分子材料を形成することができるため、高い容量出現率のコンデンサを簡便に作製することができる。さらに、本発明によれば、コンデンサの誘電体上で化学重合を行うことなく、電解質層を形成することができるため、漏れ電流の低いコンデンサを得ることができる。
本発明の一実施形態に係る電解コンデンサの概略断面図である。
以下、本発明の実施形態を掲げて説明するが、本発明は、以下の実施形態のみに限定されるものではない。
<チオフェン化合物>
本発明に係るチオフェン化合物は、導電性高分子の前駆体となるものであり、下記一般式(1)で表されることを特徴とする。
Figure 2017081871
式中、Aは、炭素数1〜5のアルキレン基を示し、Xは、酸素原子または硫黄原子を示し、Rは、化学式量が134以下のアルキル鎖を示し、該アルキル鎖は、ヒドロキシル基、カルボキシル基及びエーテル結合からなる群より選択される官能基を2つ以上有するものとする。
前記一般式(1)において、Aは、メチレン基またはエチレン基であることが好ましく、エチレン基であることがより好ましい。
前記一般式(1)において、Rは、化学式量が134以下のアルキル鎖である。該アルキル鎖は、ヒドロキシル基、カルボキシル基及びエーテル結合からなる群より選択される官能基を2つ以上有する。なお、エーテル結合は、該アルキル鎖の直鎖の間に位置していてもよい。すなわち、該アルキル鎖中のメチレン(−CH2−)が酸素原子(−O−)に置換された構造となっていてもよい。Rは、本発明に係るチオフェン化合物の側鎖に相当する部分であり、以下、「側鎖R」とも称する。
側鎖Rは、化学式量が32〜134のアルキル鎖であることが好ましく、32〜106のアルキル鎖であることがより好ましい。なお、該化学式量は、アルキル鎖が有するヒドロキシル基、カルボキシル基及びエーテル結合を含むものとする。
側鎖Rは、直鎖構造でも分岐構造でもよい。側鎖Rにおける前記アルキル鎖は、ヒドロキシル基、カルボキシル基及びエーテル結合からなる群より選択される官能基を2つ以上有するものであるが、ヒドロキシル基及びエーテル結合の両方を有するアルキル鎖であることが好ましい。ヒドロキシル基やカルボキシル基は、他の物質との反応により、容易に水溶性を低下させることができるため、ヒドロキシル基やカルボキシル基を有するチオフェン化合物を使用することによって、導電性高分子材料の再溶解を防ぐことができる。しかし、カルボキシル基は、水及び/又は極性有機溶媒を主体とする溶媒中では電離し、負電荷を帯びるため、同様に負電荷を有するドーパントの接近を妨げ、導電性高分子とドーパントの構造を不安定化させることがある。そのため、側鎖Rは、ノニオン性のヒドロキシル基を1つ以上有していることが好ましい。また、エーテル結合を1つ以上有することにより、後述する電解液を導電性高分子材料中に安定的に含ませることができる。
前記一般式(1)で表されるチオフェン化合物は、下記一般式(2)で表されるチオフェン化合物であることが好ましい。
Figure 2017081871
式中、Rは、−CH2−OR’で表される化学式量が134以下のアルキル鎖を示し、R’は、ヒドロキシル基、カルボキシル基及びエーテル結合からなる群より選択される官能基を1つ以上有するアルキル鎖を示す。エーテル結合は、該アルキル鎖の直鎖の間に位置していてもよい。R’は、−CH2−(CH(OH))n−H、nは1または2、で表されるアルキル鎖であることが好ましい。
本発明のチオフェン化合物は、例えば、触媒存在下、ヒドロキシメチル基を有する3,4−エチレンジオキシチオフェン(EDOT)誘導体と、エポキシド誘導体等との反応により合成することができる。触媒としては、公知のものを使用することができる。なお、本発明のチオフェン化合物には、立体異性体が存在する場合があるが、その場合、いずれの絶対配置を有するものであってもよく、それらの混合物であってもよい。
本発明のチオフェン化合物は、側鎖Rにおけるアルキル鎖が、ヒドロキシル基、カルボキシル基、エーテル結合からなる群より選択される官能基を2つ以上有するため、本発明のチオフェン化合物を用いて製造された導電性高分子の、水溶媒への溶解性を向上させることができる。また、本発明のチオフェン化合物は、PEDOTに水溶性の側鎖Rを導入することによって水溶性を付与し、かつ、側鎖Rを、立体障害とならないよう特定の範囲の大きさとすることにより、導電性高分子鎖同士が近接できるようになり、導電性高分子鎖間の電子移動がしやすくなる。その結果、高い導電率を有する導電性高分子を得ることができる。
<導電性高分子>
本発明に係る導電性高分子は、前記一般式(1)で表されるチオフェン化合物(導電性高分子前駆体)を用いて製造された高分子に、ドーパントがドープしているものである。
導電性高分子前駆体として、前記側鎖Rを有するチオフェン化合物を用いることにより、本発明に係る導電性高分子は、水及び/又は極性有機溶媒を主体とする溶媒への溶解性が改善される。また、側鎖Rの化学式量が134以下であることにより、高い導電率を有する導電性高分子材料が得られる。すなわち、側鎖Rの化学式量が134以下であれば、立体障害によって、導電性高分子材料中で隣接する導電性高分子間の距離が遠くなることがない。そのため、導電性高分子間の電子移動が妨げられることがなく、導電性高分子材料の導電率の低下を抑制することができるものと考えている。側鎖Rにおけるアルキル鎖がヒドロキシル基、カルボキシル基及びエーテル結合からなる群より選択される官能基を2つ以上有することにより、導電性高分子に、安定した溶媒への溶解性を付与することができるが、溶媒への溶解性のさらなる安定化のために、側鎖Rは、ヒドロキシル基、カルボキシル基及びエーテル結合からなる群より選択される官能基を3つ以上有することが好ましい。
[ドーパント]
前記チオフェン化合物を含む高分子にドープするドーパントとしては、ハロゲン、無機酸またはその塩、低分子スルホン酸またはその塩、低分子カルボン酸またはその塩、スルホン酸やカルボン酸を含むポリ酸またはその塩などが使用できる。ドーパントは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。高い導電性と、導電性の高い安定性の観点から、低分子スルホン酸もしくはその塩、または、スルホン酸やカルボン酸を含むポリ酸もしくはその塩が好ましく、スルホン酸やカルボン酸を含むポリ酸が特に好ましい。導電性高分子にドーパントがドープされることにより、導電性が発現する。
低分子スルホン酸としては、特に限定されるものではないが、例えば、アルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸、カンファースルホン酸類、またはこれらの誘導体が使用できる。
ポリ酸としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリマレイン酸等のポリカルボン酸;ポリビニルスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸等のポリスルホン酸;およびこれらの構造単位を有する共重合体が挙げられる。これらの中でも、ポリスチレンスルホン酸が好ましい。なお、ポリ酸の重量平均分子量は、2,000〜500,000であることが好ましく、10,000〜200,000であることがより好ましい。
<導電性高分子溶液>
本発明に係る導電性高分子溶液は、前記チオフェン化合物を用いて製造された高分子にドーパントとしてポリ酸がドープしている導電性高分子と、水及び/又は極性有機溶媒を主体とする溶媒とを含有する。なお、本明細書において、「水及び/又は極性有機溶媒を主体とする溶媒」とは、溶媒全量に対する水及び/又は極性有機溶媒の割合が50質量%よりも多いことを意味する。ドーパントとしてポリ酸を用いることにより、水及び/又は極性有機溶媒を主体とする溶媒への溶解性を有する導電性高分子となる。ポリ酸以外のドーパントを用いた場合には、前記チオフェン化合物を用いて製造された高分子にドープした後、ドーパント自身の水及び/又は極性有機溶媒を主体とする溶媒への溶解性が低下するため、得られる導電性高分子は、水及び/又は極性有機溶媒を主体とする溶媒に溶解しない、あるいは溶解度が著しく低下することとなる。
[極性有機溶媒]
前記極性有機溶媒としては、特に限定されるものではないが、メタノール、エタノール、プロパノール、酢酸等のプロトン性極性溶媒、エチレングリコール、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、アセトニトリル、アセトン等の非プロトン性極性溶媒等が挙げられる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
導電性高分子溶液中に溶解している導電性高分子は、該導電性高分子中のチオフェン化合物を用いて製造された高分子とポリ酸との比が、各単量体のモル換算で、ポリ酸/(チオフェン化合物を用いて製造された高分子)=1.3以上であることが好ましい。前記高分子とポリ酸との比が1.3以上であることにより、導電性高分子の、水及び/又は極性有機溶媒を主体とする溶媒への溶解性が向上する。
本発明に係る導電性高分子溶液は、さらに、既知の水溶性多価アルコールやpH調整剤、有機高分子樹脂などを含んでいてもよい。
[水溶性多価アルコール]
水溶性多価アルコールとしては、特に限定されるものではないが、例えば、エチレングリコール、ブチレングリコール、プロピレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、ヘキシレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、イノシトール、キシロース、グルコース、マンニトール、トレハロース、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、ペンタエリトリトール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリビニルアルコールおよびこれらの誘導体等が挙げられる。これらの中でも、エリスリトールまたはペンタエリトリトールが好ましい。水溶性多価アルコールは、導電性高分子溶液中の導電性高分子粒子の近傍に存在する未ドープのポリ酸アニオン(抵抗成分)と相互作用することにより、導電性高分子粒子間の抵抗を低下させるとともに、導電性高分子の密度を高め、高導電率化を可能とする。
[pH調整剤]
pH調整剤としては、酸、アルカリ、またはpH緩衝剤が用いられる。
酸としては、特に限定されるものではないが、例えば、リン酸、ホウ酸、硫酸、硝酸、塩酸等の無機酸;酢酸、フタル酸、コハク酸等のカルボン酸;クエン酸等のヒドロキシ酸;アルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸、カンファースルホン酸等の低分子有機酸;ポリスチレンスルホン酸、ポリアクリル酸等のポリ酸;またはこれらの誘導体等が挙げられる。
アルカリとしては、特に限定されるものではないが、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等のアルカリ金属、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、メチルエチルアミン、トリエチルアミン等の脂肪族アミンもしくはその誘導体、アニリン、ベンジルアミン、ピロール、イミダゾール、ピリジン等の芳香族アミンもしくはその誘導体、または金属アルコキシド等が挙げられる。特に導電率を向上することができる点から、アルカリとしては、イミダゾール、ピリジン等の窒素含有芳香族環式化合物が好ましい。
pH緩衝剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、弱酸と強アルカリとの組み合わせ、強酸と弱アルカリとの組み合わせ等が挙げられる。また、pH緩衝剤としては、例えば、アミノエタンスルホン酸、アミノプロパンスルホン酸、トリス、トリシン、もしくはグリシン、または、それらの誘導体等が挙げられる。これらの中でも、金属を用いなくても緩衝能力を付与できる点から、強酸と弱アルカリとの組み合わせ、アミノエタンスルホン酸、アミノプロパンスルホン酸、トリス、トリシン、もしくはグリシン、またはそれらの誘導体が好ましい。さらに、酸を含まずに緩衝能力を奏することができることから、アミノエタンスルホン酸、アミノプロパンスルホン酸、トリス、トリシン、グリシン、またはそれらの誘導体がより好ましい。
[有機高分子樹脂]
有機高分子樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリメタクリル酸メチル、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエステル、ポリフタル酸エステル、ポリエーテル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレングリコールフタレート、ポリカーボネート、ポリフェニレンオキシド、ポリウレタン、ポリアセタール、ジアリルフタレート、ポリアクリレート、ポリメタアクリレート、ポリアクリロニトリル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリシロキサン、ポリカルボネート、セルロース、メチルセルロース、エチルセルロース、フッ素樹脂、尿素樹脂、ケイ素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、アルキド樹脂、ブチラール樹脂、シリコーン樹脂、ポリ乳酸等が挙げられる。有機高分子樹脂は、親水基により修飾され、水溶性または水分散性を有する誘導体であることがより好ましい。
[水溶性有機物]
また、本発明に係る導電性高分子溶液は、加熱や紫外線等により重合して、有機高分子樹脂となる水溶性有機物を含んでいてもよい。水溶性有機物が重合反応を経て有機高分子樹脂となることにより水溶性が低下し、水及び/又は極性有機溶媒を主体とする溶媒へ再溶解することを抑制することができる。
水溶性有機物は、特に限定されるものではないが、例えば、水溶性多価カルボン酸、水溶性多価エポキシ化合物、及びヒドロキシル基を2つ以上有するオキソ酸からなる群より選択される1種以上と、前述の水溶性多価アルコールとの両方を含むものが挙げられる。
水溶性多価カルボン酸としては、特に限定されるものではないが、例えば、シュウ酸、アセチレンジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、オキサロ酢酸、グルタル酸、オキソグルタル酸、アジピン酸、クエン酸、オキサロコハク酸、オルト−フタル酸、4−スルホフタル酸、5−スルホイソフタル酸、2−スルホテレフタル酸、ヘミメリト酸、トリメシン酸、メロファン酸、ベンゼンペンタカルボン酸、メリト酸、1,4−ナフタレンジカルボン酸、2,3−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、3−ヒドロキシ−2,7−ナフタレンジカルボン酸、4−クロロ−1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、4−スルホ−1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、ナフタレン−1,4,5,8−テトラカルボン酸、1,1’−ビス(4−ヒドロキシ−3,6−ナフタレンジカルボン酸)等が挙げられる。水溶液中の安定性と水溶性多価アルコールとの反応性の観点から、オルト−フタル酸が好ましい。水溶性多価アルコールとカルボキシル基を2つ以上有する水溶性有機物は、縮重合によりポリエステル樹脂となる。
水溶性多価エポキシ化合物としては、特に限定されるものではないが、例えば、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等が挙げられる。なお、「ポリグリシジルエーテル」とは、少なくとも2つのOH基(ヒドロキシル基)におけるH(水素原子)が、グリシジル基で置換されていることを意味し、グリシジル基で置換されている数の上限は、置換前の化合物が有するOH基の数である。水溶性多価アルコールと水溶性多価エポキシ化合物は、縮重合反応によりポリエーテル樹脂となる。
ヒドロキシル基を2つ以上有するオキソ酸としては、特に限定されるものではないが、例えば、ホウ酸、リン酸、硫酸、クロム酸およびそれらの誘導体または塩が挙げられる。これらの中でも、ホウ酸、ホウ酸の誘導体及びホウ酸塩からなる群から選択される少なくとも一種が好ましい。これは、ホウ素原子のp軌道の一つが空いており、水溶性多価アルコールの酸素原子が配位しやすいためである。ヒドロキシル基を2つ以上有するオキソ酸と水溶性多価アルコールは、縮重合反応により、オキソ酸エステル樹脂となる。
[分散性の導電性高分子]
本発明に係る導電性高分子溶液は、分散性の導電性高分子を含んでいてもよい。分散性の導電性高分子としては、PEDOT/PSS、ポリエステルスルホン酸等が挙げられる。PEDOT/PSSのように側鎖を有さない導電性高分子は、側鎖Rを有する本発明の導電性高分子に比べて立体障害の影響がない分、分子同士が接近することができるため、高導電率となる。したがって、本発明の導電性高分子と側鎖を有さない分散性の導電性高分子とを含む導電性高分子溶液から得られる導電性高分子材料は、本発明の導電性高分子のみから得られる導電性高分子材料に比べ、より高導電率となる。本発明の導電性高分子と側鎖を有さない分散性の導電性高分子の構成比は、特には制限されないが、分散性の導電性高分子が目詰まりすることによって、本発明の導電性高分子溶液がnmサイズの細部や多孔質体の深部に到達することが阻害されない程度の構成比であることが好ましい。
[導電性高分子溶液の調製]
本発明に係る導電性高分子溶液は、前記チオフェン化合物と、ドーパントとしてポリ酸とを、水及び/又は極性有機溶媒を主体とする溶媒に溶解した溶液に、酸化剤を添加して重合反応を経ることにより調製することができる。この際、ポリ酸とチオフェン化合物とを、モル換算で、(ポリ酸)/(チオフェン化合物)=1.3以上の割合で前記溶媒に溶解することが好ましい。チオフェン化合物とポリ酸、酸化剤の溶媒への投入順序は適宜変更しても問題ないが、反応が均一に進行するように、チオフェン化合物、ポリ酸及び酸化剤が、溶媒に溶解した状態で混合することが好ましい。
(酸化剤)
酸化剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、塩化鉄(III)六水和物、無水塩化鉄(III)、硝酸鉄(III)九水和物、無水硝酸第二鉄、硫酸鉄(III)n水和物(n=3〜12)、硫酸鉄(III)アンモニウム十二水和物、過塩素酸鉄(III)n水和物(n=4〜9)、テトラフルオロホウ酸鉄(III)等の無機酸の鉄(III)塩;塩化銅(II)、硫酸銅(II)、テトラフルオロホウ酸銅(II)等の無機酸の銅(II)塩;テトラフルオロホウ酸ニトロソニウム;過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩;過ヨウ素酸カリウム等の過ヨウ素酸塩;過酸化水素、オゾン、ヘキサシアノ鉄(III)酸カリウム、硫酸四アンモニウムセリウム(IV)二水和物、臭素、ヨウ素; p−トルエンスルホン酸鉄(III)等の有機酸の鉄(III)塩を用いることができる。これらの中でも、過硫酸塩が好ましく、過硫酸アンモニウムがより好ましい。酸化剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
酸化剤は、過剰量使用した場合であっても、重合反応終了後に除去することが可能であるため、使用量は特に限定されないが、より穏やかな酸化条件下で反応を行い、高導電率の重合体を得るため、チオフェン化合物1molに対して、0.5〜10molが好ましく、0.7〜3molがより好ましく、0.8〜2molが特に好ましい。
(重合反応)
導電性高分子溶液を得るための重合反応は、大気下で行ってもよいが、窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下で行うことにより、導電性高分子のドープ率が高くなり、導電性が向上するため、不活性ガス雰囲気下で行うことが好ましい。
重合反応が終了した後、導電性高分子溶液中に酸化剤が残留しないように、イオン交換樹脂や電気透析などにより、酸化剤を除去することが好ましい。酸化剤が導電性高分子溶液に残留した状態で導電性高分子材料を形成すると、導電性高分子材料の導電率の安定性が損なわれる場合がある。
重合反応の反応温度は、特に限定されないが、一般的には、使用する溶媒の還流温度付近であり、0〜100℃が好ましく、10〜50℃がより好ましい。反応温度が適正でない場合には、導電性が損なわれる可能性がある。化学酸化重合の反応時間は、酸化剤の種類および投入量、反応温度、攪拌条件などに依存するが、5〜100時間程度が好ましい。
<導電性高分子材料>
本発明に係る導電性高分子材料は、前記導電性高分子溶液を用いて作製される。具体的には、前記導電性高分子溶液から、該導電性高分子溶液に含まれる溶媒の一部又は全部を除去することによって得られる。溶媒の除去は、加熱や大気圧を下げることにより早めることができる。溶媒を除去するための乾燥温度は、導電性高分子の分解温度以下であれば特に制限されないが、300℃以下であることが好ましい。
本発明に係る導電性高分子材料は、本発明に係る導電性高分子とは異なる前述の有機高分子樹脂を含むことが好ましい。有機高分子樹脂が含まれることにより、材料の密着性や機械的強度が向上する。
また、前記チオフェン化合物の側鎖Rが有するヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基の一部又は全部と、それらと反応することができる官能基を有する化合物とが反応することによって、導電性高分子の水溶性が低下し、導電性高分子材料の再溶解を防ぐことができる。したがって、本発明に係る導電性高分子材料は、側鎖Rが有するヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基の一部又は全部と反応することができる官能基を有する化合物を含むことが好ましい。側鎖Rが有するヒドロキシル基と反応することができる官能基としては、カルボキシル基、エポキシ基、オキソ酸基等が挙げられる。また、側鎖Rが有するカルボキシル基と反応することができる官能基としては、ヒドロキシル基、エポキシ基、アミノ基等が挙げられる。側鎖Rが有するヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基と反応させる化合物は、前述の水溶性多価カルボン酸、水溶性多価エポキシ化合物、ヒドロキシル基を2つ以上有するオキソ酸でもよく、カルボキシル基、エポキシ基、オキソ酸基、ヒドロキシル基、アミノ基を分子内に1つ有する1価の化合物でもよい。
[電解液]
本発明に係る導電性高分子材料には、さらに電解液が含まれていることが好ましい。導電性高分子材料に電解液が含まれていることにより、機械的な衝撃によって損傷した誘電体層を修復することができ、電解コンデンサの漏れ電流を低下することができる。また、電解液は、化学ゲル化剤によりゲル化したものが好ましい。電解液が導電性高分子材料中でゲル化していることにより、電解液が固体状態で導電性高分子材料中に均一に存在することになるため、誘電体層の修復を全体的に行うことができ、電解コンデンサの漏れ電流を製品毎のバラつきなく安定的に低下することができる。
(有機溶媒)
電解液に用いる有機溶媒は、特に限定されないが、プロトン性極性溶媒や非プロトン性極性溶媒から選択されることが好ましい。有機溶媒としては、例えば、以下のものが挙げられる。
エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン等のアルコール溶媒;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、テトラヒドロフラン、3−メチルテトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ポリエチレングリコール等のエーテル溶媒;
N−メチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N,N−ジメチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン等のアミド溶媒;
γ−ブチロラクトン、β−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン等のラクトン溶媒;
エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のカーボネート溶媒;
アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、ベンゾニトリル、3−メトキシプロピオニトリル等のニトリル溶媒;
N−メチル−2−オキサゾリドン等のカーバメート溶媒;
N,N’−ジメチルイミダゾリジノン等のユレア溶媒;
スルホラン、3−メチルスルホラン、ジメチルスルホン等のスルホン溶媒。
前記有機溶媒の中でも、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、エチレングリコールモノフェニルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ポリエチレングリコール、N−メチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N−エチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、α−アセチル−γ−ブチロラクトン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ベンゾニトリル、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、スルホラン及びジメチルスルホンは、沸点が180℃より高く、化学ゲル化剤を用いて固体化した場合においても揮発性がより低くなるため好ましい。
さらに、これらの中でも、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、プロピレンカーボネート、ベンゾニトリルは、氷点下においても液体であるため特に好ましい。なお、グリセリンの融点は大気圧下17.8℃とされているが、種結晶が入っていない場合や、−75℃程度に冷却した後、徐々に温度を上げるなどの工程を経ない限り、17.8℃以下、例えば、氷点下にしても固化することはない。
前記有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく、互いに相溶性のある2種以上を混合した混和溶媒でもよい。電解液に使用する場合は、酸化皮膜の修復能を高めるために、有機溶媒と水とが混和した溶媒を電解液溶媒としてもよい。この場合、高温環境下における溶媒の揮発を抑制する観点から、形成されるゲル中の水の含有量が5質量%以下であることが好ましい。有機溶媒と同伴される水は、ゲル化前またはゲル化の過程において、ある程度除去することができる。
(電解質)
前記有機溶媒に加えて電解液とするための電解質としては、無機酸及び有機酸のアンモニウム塩、アミン塩、四級アンモニウム塩、四級ホスホニウム塩等を使用することができる。
無機酸としては、ホウ酸、炭酸、ケイ酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、硝酸、硫酸、亜硫酸、チオシアン酸、シアン酸、ホウフッ化水素酸、リンフッ化水素酸、ヒ素フッ化水素酸、アンチモンフッ化水素酸、過塩素酸等が挙げられる。また、有機酸としては、蟻酸、酢酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、ブラシル酸、テトラデカン二酸、ペンタデカン二酸、ジメチルマロン酸、ジエチルマロン酸、ジプロピルマロン酸、3,3−ジメチルグルタル酸、3−メチルアジピン酸、1,6−デカンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、マレイン酸、シトラコン酸、安息香酸、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、サリチル酸、γ−レゾルシン酸、p−ニトロ安息香酸、フェノール、ピクリン酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸等が挙げられる。無機酸及び有機酸は、一部がエステル化されていてもよい。
また、アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、エチルメチルアミン、ジフェニルアミン、ジエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7、トリエタノールアミン等が挙げられる。また、四級アンモニウムとしては、ジエチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、エタノールアンモニウム、ジエタノールアンモニウム、トリエタノールアンモニウム、シクロヘキシルアンモニウム、ピペリジニウム、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネニウム−5、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセニウム−7、テトラメチルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、ジメチルジエチルアンモニウム、トリメチルエチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、N,N−ジメチルピロリジニウム、N−メチル−N−エチルピロリジニウム、N,N−ジメチルピペリジニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、N−エチルピリジニウム、N,N’−ジメチルイミダゾリウム等が挙げられる。また、四級ホスホニウムとしては、テトラメチルホスホニウム、メチルトリエチルホスホニウム、テトラエチルホスホニウム、テトラプロピルホスホニウム、テトラブチルホスホニウム等が挙げられる。
これらの電解質は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。難燃性を付与する観点から、電解質には、ホウ酸またはホウ酸エステルが含まれていることが好ましい。
(化学ゲル化剤)
本発明に使用される化学ゲル化剤としては、重合可能な官能基を1分子あたり1つ以上有するモノマーまたはオリゴマーと重合開始剤との組み合わせや、架橋の起点となる官能基を2つ以上有するポリマーと架橋剤との組み合わせなどが挙げられる。これらは、架橋度を調整することにより、本発明におけるゲルの融点を適宜調整することができる。
重合可能な官能基を1分子あたり1つ有するモノマーとしては、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、ヘプテン、オクテン、ノネン、デセン、アクリル酸、スチレン、p−アセトキシスチレン、m−t−ブトキシスチレン、p−t−ブトキシスチレン、p−t−ブチルスチレン、p−シアノスチレン、2,4−ジメチルスチレン、2,5−ジメチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−メチルスチレン、p−ビニルフェノール、2−メトキシ−4−ビニルフェノール、p−スチレンスルホン酸、2,4,6−トリメチルスチレン、p−ビニルアニリン、2−ビニルアントラセン、9−ビニルアントラセン、p−ビニル安息香酸、2−ビニルナフタレン、p−ビニルフェニルホウ酸、p−(t−ブチルジメチルシロキシ)スチレン、3,5−ビス(トリフルオロメチル)スチレン、o−フルオロスチレン、p−フルオロスチレン、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−(4−ビニルフェニル)−プロパン−2−オール、スチリルエチルトリメトキシシラン、m−(トリフルオロメチル)スチレン、2,3,4,5,6−ペンタフルオロスチレン、2−フェノキシエチルメタクリレート、オクタデシルメタクリレート、イソデシルアクリレート、2−n−ブトキシエチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ドデシルアクリレート、n−オククルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、n−ヘキシルアクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルアクリレート、ヘキサデシルメタクリレート、ベンジルアクリレート、β−カルボキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、イソ−デシルメタクリレート、ブチルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、2−(t−ブチルアミノ)エチルメタクリレート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルモノメタアクリレート、2−ナフタレンアクリレート、グリセロールモノメタクリレート、2−メトキシエチルメタクリレート、2−(2−エトキシエトキシ)エチルアクリレート、フェニルアクリレート、n−プロピルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、イソブチルアクリレート、ブチルアクリレート、ベンジルメタアクリレート、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、2−ジエチルアミノエチルメタクリレート、エチルアクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、エチルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、2−(ジメチルアミノ)エチルメタクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メタクリル酸、メチルアクリレート、ステアリルアクリレート、トリデシルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ステアリルメタクリレート等が挙げられる。
重合可能な官能基を1分子あたり2つ以上有するモノマーまたはオリゴマーとしては、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、プロピレンジアクリレート、プロピレンジメタクリレート、ジプロピレンジアクリレート、ジプロピレンジメタクリレート、トリプロピレンジアクリレート、トリプロピレンジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメアリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、ポリテトラメチレングリコールジアクリレート、ポリテトラメチレングリコールジメタクリレート等の2官能アクリレートまたはメタクリレート;
トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート等の3官能アクリレートまたはメタクリレート;
ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレートなどの4官能アクリレートまたはメタクリレート等が挙げられる。
また、ウレタンメタクリレートなどのモノマー、これらの共重合体オリゴマーやアクリロニトリルとの共重合体オリゴマーを用いることもできる。なお、これらはモノマーまたはオリゴマーの例示であり、重合可能な官能基を1つ以上有するものであれば特に限定されない。
1官能のアクリレートやメタクリレートと、2官能以上のアクリレートやメタクリレートの混合比率を変えることにより、得られるゲル骨格の架橋度を調整することができる。1官能のアクリレートやメタクリレートを用いずに、2官能以上のアクリレートやメタクリレートを単独で、または2官能以上のアクリレートやメタクリレート同士を組み合わせて用いてもよい。
有機溶剤との相溶性を高めるため、ゲル化剤用のモノマーまたはオリゴマーは、分子内にヒドロキシル基やカルボキシル基、エーテル基、スルホ基、アミノ基などの極性基を有することが好ましい。また、使用する有機溶媒または電解液によって、該極性基の数を適宜変更することが好ましい。
ゲル化剤用のモノマーまたはオリゴマーがポリエーテル変性されている場合には、酸化皮膜と、導電性高分子と、有機溶媒または電解液との相性がよくなり、本発明が目的とする効果が十分得られるため特に好ましい。
また、分子内に極性基を有することによって、ゲル化剤用のモノマーまたはオリゴマーから得られる分子骨格と、有機溶媒および電解液との結合力が高まり、ゲルおよびゲル電解質が一体に結合した構造となる。ゲルおよびゲル電解質が一体に結合した構造となることにより、酸化皮膜の修復時にゲル電解質から電解質のイオンが急激に供給されることがなくなり、ゲル電解質中のイオン濃度が高い場合でも、酸化皮膜の損傷を起こすことなく、酸化皮膜の修復能力のみを高めることができる。
<電解コンデンサ>
本発明に係る電解コンデンサは、弁金属からなる陽極導体と、前記陽極導体の表面に形成される誘電体層とを有し、該誘電体層上に、本発明の導電性高分子材料を含む電解質層が形成されていることを特徴とする。図1に、本実施形態に係る固体電解コンデンサの構造の一例を示す模式的断面図を示す。図1に示す電解コンデンサは、陽極導体1上に、誘電体層2、固体電解質層3がこの順に形成された構造を有している。
[陽極導体]
陽極導体は、弁金属の板、箔または線;弁作用金属の微粒子からなる焼結体;エッチングによって拡面処理された多孔質体金属などによって形成される。前記弁金属は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、タングステン、チタン、およびジルコニウムからなる群より選択される少なくとも1種、またはこれら弁金属同士の合金であることが好ましい。これらの中でも、アルミニウム、タンタルおよびニオブからなる群より選択される少なくとも1種の弁金属であることが好ましい。
[誘電体層]
誘電体層は、上記弁金属の酸化物であることが好ましく、陽極導体の表面を電解酸化させることにより形成することができる。電解酸化による誘電体層は、焼結体や多孔質体などの空孔部にも形成される。誘電体層の厚みは、電解酸化の電圧によって適宜調整することができる。電解コンデンサは、誘電体層上に対向電極としての電解質層が存在することで、コンデンサの容量が出現する。逆に、誘電体層上に電解質層が存在しない部分がある場合には、その部分の面積分だけコンデンサの容量が低下する。
[電解質層]
本発明の導電性高分子溶液を用いて、誘電体層上に導電性高分子材料を含む固体電解質層を形成することにより、ナノスケールの微細な空孔を有する焼結体の陽極導体であっても、その誘電体層上に固体電解質層を形成できるため、高い容量出現率の電解コンデンサを簡便に製造することができる。また、本発明の導電性高分子材料は、導電率が十分に高いため、低ESRの電解コンデンサが得られる。
また、本発明の導電性高分子溶液を用いて電解コンデンサを製造する場合には、誘電体層上で導電性高分子前駆体と酸化剤とを直接反応させる必要がないため、酸化剤により誘電体層が損傷されることがなく、電解コンデンサの漏れ電流の悪化を抑制することができる。
[電解コンデンサ製造方法]
本発明に係る電解コンデンサの製造方法は、弁金属からなる陽極導体の表面に誘電体層を形成する工程と、該誘電体層上に、前記導電性高分子溶液を塗布または含浸し、その後、該導電性高分子溶液に含まれる溶媒の一部又は全部を除去することにより、前記導電性高分子材料からなる導電性高分子層(A)を形成する工程とを有することが好ましい。導電性高分子層(A)を形成するために、導電性高分子溶液を塗布または含浸し、その後溶媒を除去する工程を複数回繰り返し行ってもよい。
上述したように、本発明に係る導電性高分子溶液は、PEDOT/PSS等の分散性の導電性高分子を含んでいてもよい。その場合は、前記導電性高分子層(A)上に、さらに分散性の導電性高分子を含む導電性高分子懸濁液を塗布または含浸して、その後、該導電性高分子懸濁液に含まれる溶媒の一部又は全部を除去することにより、導電性高分子層(B)を形成する工程を実施することにより、電解コンデンサを製造することができる。導電性高分子層(B)を形成するために、導電性高分子溶液を塗布または含浸し、その後、溶媒を除去する工程は、複数回繰り返し行ってもよい。このように、導電性高分子層(A)の上に、導電性高分子懸濁液から得られる高い導電率の導電性高分子層(B)を形成することにより、低ESRの電解コンデンサを得ることができる。
導電性高分子層(A)の形成には、電解液を含む導電性高分子溶液を用いることが好ましく、電解液及び化学ゲル化剤を含む導電性高分子溶液を用いることがより好ましい。なお、化学ゲル化剤を含む場合には、導電性高分子溶液に含まれる溶媒の一部又は全部を除去する間または除去した後に加熱し、導電性高分子層に含まれる電解液をゲル化する工程を行う必要がある。
導電性高分子層(A)に電解液を含ませる他の方法としては、電解液を含まない導電性高分子溶液を用いて先に導電性高分子層(A)を形成した後、該導電性高分子層(A)上に、電解液を塗布または含浸し、導電性高分子層(A)中に電解液を含ませる方法が挙げられる。電解液には化学ゲル化剤が含まれていてもよく、その場合は、上記のとおり、導電性高分子層に含まれる電解液をゲル化する工程を行う必要がある。
ゲル化の反応温度は、導電性高分子の分解温度以下であれば特に制限されないが、300℃以下であることが好ましい。導電性高分子の導電性が損なわれないようにする観点から、200℃以下であることがより好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
[実施例1]
(チオフェン化合物の合成)
大気下、5℃において、下記式(3)で表されるヒドロキシメチルEDOTと、下記式(4)で表されるエチレンオキシドと、触媒として2−メチルイミダゾールとを、モル比1:1:0.01で混合し、容器を密封した後、10℃に設定した恒温槽中で60日間反応を行うことにより、下記式(5)で表されるチオフェン化合物を90%の収率で得た。
Figure 2017081871
Figure 2017081871
Figure 2017081871
(導電性高分子溶液の調製)
得られた前記式(5)で表されるチオフェン化合物とポリスチレンスルホン酸(Mw:50,000)とを、モル換算で、(ポリ酸)/(チオフェン化合物)=1.3の割合で水に溶解した。この溶液に、過硫酸アンモニウムを、モル換算で、(過硫酸アンモニウム)/(チオフェン化合物)=1の割合で加えた後、25℃の恒温槽中で攪拌しながら24時間反応を行った。反応前の溶液の色は透明な淡黄色を示していたが、反応後は透明な濃青色に変化した。反応が完了した後、イオン交換樹脂を用いて2−メチルイミダゾール及び酸化剤残渣イオンの除去を行い、導電性高分子溶液を調製した。
(導電性高分子材料の作製)
得られた導電性高分子溶液をガラス基板上に滴下し、120℃の恒温槽中で1時間乾燥させて、導電性高分子溶液から溶媒を除去することにより、導電性高分子材料を得た。
[実施例2]
(チオフェン化合物の合成)
大気下、25℃において、前記式(3)で表されるヒドロキシメチルEDOTと、下記式(6)で表されるグリシドールと、触媒として2−メチルイミダゾールとを、モル比1:1:0.01で混合し、容器を密封した後、40℃に設定した恒温槽中で7日間反応を行うことにより、下記式(7)で表されるチオフェン化合物を99%の収率で得た。
Figure 2017081871
Figure 2017081871
(導電性高分子溶液の調製)
得られた前記式(7)で表されるチオフェン化合物と、ポリスチレンスルホン酸(Mw:50,000)とを、モル換算で、(ポリ酸)/(チオフェン化合物)=1.3の割合で水に溶解した。この溶液に、過硫酸アンモニウムを、モル換算で、(過硫酸アンモニウム)/(チオフェン化合物)=1の割合で加えた後、25℃の恒温槽中で攪拌しながら24時間反応を行った。反応前の溶液は透明な淡黄色を示していたが、反応後は透明な濃青色に変化した。反応が完了した後、イオン交換樹脂を用いて2−メチルイミダゾールおよび酸化剤残渣イオンの除去を行い、導電性高分子溶液を調製した。
(導電性高分子材料の作製)
得られた導電性高分子溶液をガラス基板上に滴下し、120℃の恒温槽中で1時間乾燥させて、導電性高分子溶液から溶媒を除去することにより、導電性高分子材料を得た。
[実施例3]
(チオフェン化合物の合成)
大気下、25℃において、前記式(3)で表されるヒドロキシメチルEDOTと、下記式(8)で表される1−オキシラル−2−プロパノールと、触媒として2−メチルイミダゾールとを、モル比1:1:0.01で混合し、容器を密封した後、40℃に設定した恒温槽中で7日間反応を行うことにより、下記式(9)で表されるチオフェン化合物を99%の収率で得た。
Figure 2017081871
Figure 2017081871
(導電性高分子溶液の調製)
得られた式(9)で表されるチオフェン化合物と、ポリスチレンスルホン酸(Mw:50,000)とを、モル換算で、(ポリ酸)/(チオフェン化合物)=1.3の割合で水に溶解した。この溶液に、過硫酸アンモニウムを、モル換算で、(過硫酸アンモニウム)/(チオフェン化合物)=1の割合で加えた後、25℃の恒温槽中で攪拌しながら24時間反応を行った。反応前の溶液は透明な淡黄色を示していたが、反応後は透明な濃青色に変化した。反応が完了した後、イオン交換樹脂を用いて2−メチルイミダゾール及び酸化剤残渣イオンの除去を行い、導電性高分子溶液を調製した。
(導電性高分子材料の作製)
得られた導電性高分子溶液をガラス基板上に滴下し、120℃の恒温槽中で1時間乾燥させ、導電性高分子溶液から溶媒を除去することにより、導電性高分子材料を得た。
[実施例4]
(導電性高分子溶液の調製)
実施例2で得られた前記式(7)で表されるチオフェン化合物と、ポリスチレンスルホン酸(Mw:50,000)とを、モル換算で、(ポリ酸)/(チオフェン化合物)=1.3の割合で水に溶解した。この溶液に、過硫酸アンモニウムを、モル換算で、(過硫酸アンモニウム)/(チオフェン化合物)=3の割合で更に加えた後、25℃の恒温槽中で攪拌しながら100時間反応を行った。反応前の溶液は透明な淡黄色を示していたが、反応後は透明な濃青色に変化した。反応が完了した後、イオン交換樹脂を用いて2−メチルイミダゾール及び酸化剤残渣イオンの除去を行い、導電性高分子溶液を調製した。
(導電性高分子材料の作製)
得られた導電性高分子溶液をガラス基板上に滴下し、120℃の恒温槽中で1時間乾燥させて、導電性高分子溶液から溶媒を除去することにより、導電性高分子材料を得た。得られた導電性高分子材料をFT−IR(Spectrum One/AutoIMAGE、PerkinElmer製)を用いて分析したところ、導電性高分子の繰り返し単位中のヒドロキシル基が置換している炭素原子の1つが酸化され、カルボキシル基に変化していた。
[実施例5]
(導電性高分子溶液の調製)
実施例2で得られた導電性高分子溶液にジメチルスルホキシド(DMSO)を加えて、導電性高分子溶液を調製した。なお、DMSOの添加割合は、水95質量部に対して5質量部である。
(導電性高分子材料の作製)
得られた導電性高分子溶液をガラス基板上に滴下し、120℃の恒温槽中で1時間乾燥させ、導電性高分子溶液から溶媒を除去することにより、導電性高分子材料を得た。
[実施例6]
(導電性高分子溶液の調製)
実施例2で得られた導電性高分子溶液にカルボン酸変性ポリエステル(Mw:10,000)を加えて、導電性高分子溶液を調製した。カルボン酸変性ポリエステルの添加割合は、導電性高分子1質量部に対して1質量部である。
(導電性高分子材料の作製)
得られた導電性高分子溶液をガラス基板上に滴下し、120℃の恒温槽中で1時間乾燥させ、導電性高分子溶液から溶媒を除去することにより、導電性高分子材料を得た。得られた導電性高分子材料をFT−IRを用いて分析したところ、導電性高分子の繰り返し単位中のヒドロキシル基の一部が、カルボン酸変性ポリエステルのカルボン酸と反応してエステル基に変化していた。
[実施例7]
(導電性高分子溶液の調製)
実施例2で得られた前記式(7)で表されるチオフェン化合物と、ポリスチレンスルホン酸(Mw:50,000)とを、モル換算で、(ポリ酸)/(チオフェン化合物)=1.2の割合で水に溶解した。この溶液に、過硫酸アンモニウムを、モル換算で、(過硫酸アンモニウム)/(チオフェン化合物)=1の割合で加えた後、25℃の恒温槽中で攪拌しながら24時間反応を行った。反応前の溶液は透明な淡黄色を示していたが、反応後は透明な濃青色に変化した。反応が完了した後、イオン交換樹脂を用いて2−メチルイミダゾールおよび酸化剤残渣イオンの除去を行い、導電性高分子溶液を調製した。
(導電性高分子材料の作製)
得られた導電性高分子溶液をガラス基板上に滴下し、120℃の恒温槽中で1時間乾燥させて、導電性高分子溶液から溶媒を除去することにより、導電性高分子材料を得た。
[比較例1]
(導電性高分子溶液の調製)
チオフェン化合物として前記式(3)で表されるヒドロキシメチルEDOTと、ポリスチレンスルホン酸(Mw:50,000)とを、モル換算で、(ポリ酸)/(チオフェン化合物)=1.3の割合で水に溶解した。この溶液に過硫酸アンモニウムを、モル換算で、(過硫酸アンモニウム)/(チオフェン化合物)=1の割合で加えた後、25℃の恒温槽中で攪拌しながら24時間反応を行った。反応前の溶液の色は透明な淡黄色を示していたが、反応後は透明な濃青色に変化した。反応が完了した後、イオン交換樹脂を用いて2−メチルイミダゾール及び酸化剤残渣イオンの除去を行い、導電性高分子溶液を調製した。
(導電性高分子材料の作製)
得られた導電性高分子溶液をガラス基板上に滴下し、120℃の恒温槽中で1時間乾燥させ、導電性高分子溶液から溶媒を除去することにより、導電性高分子材料を得た。
[比較例2]
(チオフェン化合物の合成)
大気下、25℃において、前記式(3)で表されるヒドロキシメチルEDOTと、下記式(10)で表されるグリシジルプロピルエーテルと、触媒として2−メチルイミダゾールとをモル比1:1:0.01で混合し、容器を密封した後、40℃に設定した恒温槽中で7日間反応を行うことにより、下記式(11)で表されるチオフェン化合物を99%の収率で得た。
Figure 2017081871
Figure 2017081871
(導電性高分子溶液の調製)
得られた前記式(11)で表されるチオフェン化合物と、ポリスチレンスルホン酸(Mw:50,000)とを、モル換算で、(ポリ酸)/(チオフェン化合物)=1.3の割合で水に溶解した。この溶液に、過硫酸アンモニウムを、モル換算で、(過硫酸アンモニウム)/(チオフェン化合物)=1の割合で加えた後、25℃の恒温槽中で攪拌しながら24時間反応を行った。反応前の溶液は透明な淡黄色を示していたが、反応後は透明な濃青色に変化した。反応が完了した後、イオン交換樹脂を用いて2−メチルイミダゾール及び酸化剤残渣イオンの除去を行い、導電性高分子溶液を調製した。
(導電性高分子材料の作製)
得られた導電性高分子溶液をガラス基板上に滴下し、120℃の恒温槽中で1時間乾燥させて、導電性高分子溶液から溶媒を除去することにより、導電性高分子材料を得た。
[比較例3]
(導電性高分子溶液の調製)
実施例2で得られた前記式(7)で表されるチオフェン化合物と、ドーパントとしてp−トルエンスルホン酸とを、モル換算で、(p−トルエンスルホン酸)/(チオフェン化合物)=1.3の割合で水に溶解した。この溶液に、過硫酸アンモニウムを、モル換算で、(過硫酸アンモニウム)/(チオフェン化合物)=1の割合で加えた後、25℃の恒温槽中で攪拌しながら24時間反応を行った。反応前の溶液は透明な淡黄色を示していたが、反応後は透明な濃青色に変化した。反応が完了した後、イオン交換樹脂を用いて過剰のp−トルエンスルホン酸、2−メチルイミダゾール及び酸化剤残渣イオンの除去を行い、導電性高分子溶液を調製した。
(導電性高分子材料の作製)
得られた導電性高分子溶液をガラス基板上に滴下し、120℃の恒温槽中で1時間乾燥させて、導電性高分子溶液から溶媒を除去することにより、導電性高分子材料を得た。
実施例1〜7、及び比較例1〜3で得られた導電性高分子溶液について、ゼータ電位・粒径測定システムELSZ−2(大塚電子製)を用いて、粒子径の有無に基づき、導電性高分子の水溶媒への溶解度を測定した。また、各導電性高分子溶液から得られた導電性高分子材料の導電率を、抵抗率計(ロレスタGP MCP−T610型、三菱アナリテック製)を用いて測定した表面抵抗率と膜厚みから、下式によって算出した。結果を表1にまとめて示す。
導電率(S/cm)=1/{表面抵抗(Ω/□)×膜厚み(cm)}
Figure 2017081871
[実施例8]
(固体電解コンデンサの製造)
以下の方法により、図1に示す構造を有する固体電解コンデンサを製造した。
陽極導体1としてのタンタル微粉末の焼結体を、リン酸水溶液中、30Vで電解酸化し、タンタル微粉末の焼結体の表面全体が誘電体層2で被覆されたペレットを得た。次に、実施例6で調製した導電性高分子溶液に、このペレットを10分間浸漬し、120℃の恒温槽で1時間乾燥を行った。これら導電性高分子溶液への浸漬、乾燥を行う一連の操作を5回繰り返して、導電性高分子材料からなる固体電解質層3を形成したコンデンサ素子を得た。
固体電解質層3の形成後、グラファイトペーストにコンデンサ素子を浸漬・引き上げた後、120℃で1時間乾燥を行い、グラファイト層4を形成した。その後、銀ペーストにコンデンサ素子を浸漬・引き上げた後、120℃で1時間乾燥を行い、銀層5を形成した。続いて、導電接着剤6、外部電極7および外装樹脂9を順番に形成し、固体電解コンデンサを製造した。
得られた固体電解コンデンサに対して評価基板にリフローはんだ工程を行い、実装した後、容量出現率、ESR(等価直列抵抗)及びLC(漏れ電流)の評価を行った。結果を表2に示す。なお、容量出現率、ESR及びLCの測定方法は、以下に示すとおりである。
(容量出現率)
固体電解質を形成する前の誘電体層で被覆されたペレットの容量(C0)と、実装後の容量(C1)とを、周波数120HzにてDCバイアス1.5Vで、実効値0.5Vの正弦波を重畳してLCRメータ(プレシジョンLCRメータ E4980A、Agilent Technologies製)を用いて測定した。容量出現率(%)は、下式より算出される。
容量出現率=(C1/C0)×100
なお、C0は、希硫酸中にペレットを浸漬させ、金属リード8と希硫酸中に設けた対極に測定端子を接続して測定した。それぞれ2回測定を行い、その平均値を表に示す。
(ESR)
周波数100kHzにてDCバイアス1.5Vで、実効値0.5Vの正弦波を重畳してLCRメータを用いて、ESR(mΩ)を測定した。それぞれ2回測定を行い、その平均値を表に示す。
(LC)
実装後エージングなし、温度25℃の条件で、R8340 ULTRA HIGH RESISTANCE METER(ADVANTEST製)を用いて漏れ電流(LC)を測定した。それぞれ、規定容量(C)、定格電圧(V)に達して5分後における漏れ電流(μA/CV)を2回測定し、その平均値を表に示す。
[実施例9]
陽極導体1としてのタンタル微粉末の焼結体を、リン酸水溶液中、30Vで電解酸化し、タンタル微粉末の焼結体の表面全体が誘電体層2で被覆されたペレットを得た。次に、実施例6で調製した導電性高分子溶液に、このペレットを10分間浸漬し、120℃の恒温槽で1時間乾燥を行った。これら導電性高分子溶液への浸漬、乾燥を行う一連の操作を5回繰り返して、導電性高分子層3(A)を形成した。
続いて、PEDOT/PSSを含む導電性高分子縣濁液に、導電性高分子層3(A)を形成した後のペレットを10分間浸漬し、120℃の恒温槽で1時間乾燥を行った。これら導電性高分子縣濁液への浸漬、乾燥を行う一連の操作を3回繰り返して、導電性高分子層3(B)を形成し、導電性高分子層3(A)と導電性高分子層3(B)からなる固体電解質層3を形成したコンデンサ素子を得た。
固体電解質層の形成後は、実施例8と同様の操作を行うことにより、固体電解コンデンサを製造した。得られた固体電解コンデンサを実施例8と同様に評価した。結果を表2に示す。
[実施例10]
実施例6で調製した導電性高分子溶液(導電性高分子の濃度1質量%)に、グリセリン100質量部に対してフタル酸10質量部とアンモニア1質量部を添加して調製した電解液を混合した。導電性高分子溶液に混合した電解液の割合は、導電性高分子溶液99.8質量部に対して、0.2質量部であった。
続いて、陽極導体1としてのタンタル微粉末の焼結体を、リン酸水溶液中、30Vで電解酸化し、タンタル微粉末の焼結体の表面全体が誘電体層2で被覆されたペレットを得た。
次に、電解液を含んだ導電性高分子溶液にこのペレットを10分間浸漬し、120℃の恒温槽で1時間乾燥を行った。これら導電性高分子溶液への浸漬、乾燥を行う一連の操作を5回繰り返して、導電性高分子材料からなる固体電解質層3を形成したコンデンサ素子を得た。
固体電解質層の形成後は、実施例8と同様の操作を行うことにより、固体電解コンデンサを製造した。得られた固体電解コンデンサを実施例8と同様に評価した。結果を表2に示す。
[実施例11]
実施例6で調製した導電性高分子溶液(導電性高分子の濃度1質量%)に、グリセリン100質量部に対してフタル酸10質量部とアンモニア1質量部と、ゲル化剤としてポリエチレングリコールジアクリレート(商品名「ファンクリルFA−240A」、日立化成(株)製、以下「FA240A」)7質量部と、EO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(商品名「ファンクリルFA−137A」、日立化成(株)製、以下「FA137A」)2質量部とを添加して調製した電解液を混合した。導電性高分子溶液に混合した電解液の割合は、導電性高分子溶液99.8質量部に対して、0.2質量部であった。
続いて、陽極導体1としてのタンタル微粉末の焼結体を、リン酸水溶液中、30Vで電解酸化し、タンタル微粉末の焼結体の表面全体が誘電体層2で被覆されたペレットを得た。
次に、電解液を含んだ導電性高分子溶液に、前記ペレットを10分間浸漬し、120℃の恒温槽で1時間乾燥を行った。これら導電性高分子溶液への浸漬、乾燥を行う一連の操作を5回繰り返して、導電性高分子材料からなる固体電解質層3を形成したコンデンサ素子を得た。
固体電解質層3を形成した後、コンデンサ素子を150℃の恒温槽中で3時間加熱し、固体電解質層に含まれる電解液のゲル化工程を行った。その後は、実施例8の固体電解質層の形成後の操作と同様にして、固体電解コンデンサを製造した。得られた固体電解コンデンサを実施例8と同様に評価した。結果を表2に示す。
[実施例12]
陽極導体1としてのタンタル微粉末の焼結体を、リン酸水溶液中、30Vで電解酸化し、タンタル微粉末の焼結体の表面全体が誘電体層2で被覆されたペレットを得た。
次に、実施例6で調製した導電性高分子溶液(導電性高分子の濃度1質量%)に、前記ペレットを10分間浸漬し、120℃の恒温槽で1時間乾燥を行った。これら導電性高分子溶液への浸漬、乾燥を行う一連の操作を5回繰り返して、導電性高分子材料からなる固体電解質層3を形成したコンデンサ素子を得た。
固体電解質層の形成後、得られたコンデンサ素子を、グリセリン100質量部に対してフタル酸10質量部とアンモニア1質量部を添加して調製した電解液に浸漬した。浸漬の際、電解液がコンデンサ素子内部にまで十分に行き渡るよう、70℃に温めて粘度が下がった状態で実施した。電解液に浸漬後、固体電解質層の表面に付着している余分な電解液を除去するため、コンデンサ素子を40℃の温水に数回浸漬して洗浄を行った。以上の操作により、固体電解質中に電解液を含ませた。
その後は、実施例8の固体電解質層の形成後の操作と同様にして、固体電解コンデンサを製造した。得られた固体電解コンデンサを実施例8と同様に評価した。結果を表2に示す。
[実施例13]
陽極導体1としてのタンタル微粉末の焼結体を、リン酸水溶液中、30Vで電解酸化し、タンタル微粉末の焼結体の表面全体が誘電体層2で被覆されたペレットを得た。
次に、実施例6で調製した導電性高分子溶液(導電性高分子の濃度1質量%)に、前記ペレットを10分間浸漬し、120℃の恒温槽で1時間乾燥を行った。これら導電性高分子溶液への浸漬、乾燥を行う一連の操作を5回繰り返して、導電性高分子材料からなる固体電解質層3を形成したコンデンサ素子を得た。
固体電解質層の形成後、得られたコンデンサ素子を、グリセリン100質量部に対してフタル酸10質量部と、アンモニア1質量部と、「FA240A」7質量部と、「FA137A」2質量部とを添加して調製した電解液に浸漬した。浸漬の際、電解液がコンデンサ素子内部にまで十分に行き渡るよう、70℃に温めて粘度が下がった状態で実施した。電解液に浸漬後、固体電解質層の表面に付着している余分な電解液を除去するため、コンデンサ素子を40℃の温水に数回浸漬して洗浄を行った。以上の操作により、固体電解質中に電解液を含ませた。
続いて、コンデンサ素子を150℃の恒温槽中で3時間加熱し、固体電解質層に含まれる電解液のゲル化工程を行った。
その後は、実施例8の固体電解質層の形成後の操作と同様にして、固体電解コンデンサを製造した。
得られた固体電解コンデンサを実施例8と同様に評価した。結果を表2に示す。
[比較例4]
実施例6で調製した導電性高分子溶液の代わりに、PEDOT/PSSを1質量%含む導電性高分子懸濁溶液を用いたこと以外は、実施例8と同様にして固体電解コンデンサを製造した。また、得られた固体電解コンデンサを実施例8と同様に評価した。結果を表2に示す。
[比較例5]
実施例6で調製した導電性高分子溶液の代わりに、比較例2で調製した導電性高分子溶液を用いたこと以外は、実施例8と同様にして固体電解コンデンサを製造した。また、得られた固体電解コンデンサを実施例8と同様に評価した。結果を表2に示す。
Figure 2017081871
1:陽極導体(弁金属)
2:誘電体層
3:固体電解質層
3A:導電性高分子層(A)
3B:導電性高分子層(B)
4:グラファイト層
5:銀層
6:導電接着剤
7:電極
8:金属リード(弁金属)
9:外装樹脂

Claims (17)

  1. 下記一般式(1)で表されるチオフェン化合物。
    Figure 2017081871
    (式中、Aは、炭素数1〜5のアルキレン基を示し、Xは、酸素原子または硫黄原子を示し、Rは、化学式量が134以下のアルキル鎖を示し、該アルキル鎖は、ヒドロキシル基、カルボキシル基及びエーテル結合からなる群より選択される官能基を2つ以上有するものとする。)
  2. 前記チオフェン化合物が、下記一般式(2)で表されることを特徴とする、請求項1に記載のチオフェン化合物。
    Figure 2017081871
    (式中、Rは、−CH2−OR’で表される化学式量が134以下のアルキル鎖を示し、R’は、ヒドロキシル基、カルボキシル基及びエーテル結合からなる群より選択される官能基を1つ以上有するアルキル鎖を示す。)
  3. 前記R’が、−CH2−(CH(OH))n−H、nは1または2、で表されるアルキル鎖である請求項2に記載のチオフェン化合物。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のチオフェン化合物を用いて製造された高分子にポリ酸がドープしている導電性高分子と、水及び/又は極性有機溶媒を主体とする溶媒とを含有する導電性高分子溶液。
  5. 前記導電性高分子中の、前記チオフェン化合物を用いて製造された高分子と前記ポリ酸との割合が、単量体のモル換算で、ポリ酸/(チオフェン化合物を用いて製造された高分子)=1.3以上である、請求項4に記載の導電性高分子溶液。
  6. 請求項4又は5に記載の導電性高分子溶液を用いて作製された導電性高分子材料。
  7. さらに、前記導電性高分子とは異なる有機高分子樹脂を含む請求項6に記載の導電性高分子材料。
  8. 前記導電性高分子材料が、前記Rが有するヒドロキシル基及び/又はカルボキシル基の一部又は全部と反応することができる官能基を有する化合物を含む、請求項6又は7に記載の導電性高分子材料。
  9. 弁金属からなる陽極導体と、該陽極導体の表面に形成される誘電体層とを有し、該誘電体層上に請求項6〜8のいずれか一項に記載の導電性高分子材料を含む電解質層が形成されている電解コンデンサ。
  10. 前記導電性高分子材料が電解液を含む、請求項9に記載の電解コンデンサ。
  11. 前記電解液が、化学ゲル化剤によりゲル化した電解液である請求項10に記載の電解コンデンサ。
  12. 弁金属からなる陽極導体の表面に誘電体層を形成する工程と、
    該誘電体層上に、導電性高分子溶液を塗布または含浸し、その後、該導電性高分子溶液に含まれる溶媒の一部又は全部を除去することにより、請求項6〜8のいずれか一項に記載の導電性高分子材料からなる導電性高分子層(A)を形成する工程と
    を有する電解コンデンサの製造方法。
  13. さらに、前記導電性高分子層(A)上に、前記導電性高分子とは異なる分散性の導電性高分子を含む導電性高分子懸濁液を塗布または含浸して、その後、該導電性高分子懸濁液に含まれる溶媒の一部又は全部を除去することにより、導電性高分子層(B)を形成する工程を有する請求項12に記載の電解コンデンサの製造方法。
  14. 前記導電性高分子溶液が電解液を含む、請求項12又は13に記載の電解コンデンサの製造方法。
  15. 前記導電性高分子溶液として、電解液及び化学ゲル化剤を含む導電性高分子溶液を使用し、該導電性高分子溶液に含まれる溶媒の一部又は全部を除去する間または除去した後に加熱し、前記電解液をゲル化する工程を経て、前記導電性高分子層(A)を形成する請求項12又は13に記載の電解コンデンサの製造方法。
  16. さらに、前記導電性高分子層(A)上に、電解液を塗布または含浸し、該導電性高分子層(A)中に前記電解液を含ませる工程を有する、請求項12又は13に記載の電解コンデンサの製造方法。
  17. さらに、前記導電性高分子層(A)上に、化学ゲル化剤を含む電解液を塗布または含浸し、該導電性高分子層(A)中に前記電解液を含ませる工程と、加熱により前記電解液をゲル化する工程と、を有する請求項12又は13に記載の電解コンデンサの製造方法。
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