JP2019062166A - ゲル電解コンデンサ及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】良好なコンデンサ特性を有するゲル電解コンデンサ及びその製造方法を提供する。【解決手段】陽極箔、陰極箔、及び陽極箔と陰極箔との間に配置されるゲル電解質を備え、ゲル電解質は、セルロースナノファイバーを含む。このゲル電解コンデンサは、モノマー、架橋剤、重合開始剤、電解液及びセルロースナノファイバーを含むゲル化剤含有電解液を、陽極箔の少なくとも一部に配置し重合反応及び架橋反応により前記陽極箔にゲル電解質を形成することで得られる。【選択図】なし
Description
本発明は、ゲル電解質を用いたコンデンサ及びその製造方法に関する。
電解コンデンサは、タンタルあるいはアルミニウム等のような弁作用金属を陽極箔及び陰極箔として備えている。陽極箔は、弁作用金属を焼結体あるいはエッチング箔等の形状にすることで拡面化され、拡面化された表面に誘電体酸化皮膜を有する。電解質として液状の電解液を用いた場合、陽極箔と陰極箔の間には電解液が介在する。電解液は、陽極箔が備える誘電体酸化皮膜の凹凸面に密接し、真の陰極として機能する。
電解液を用いた電解コンデンサは、使用中に液漏れする虞がある。そこで、ゲル電解質をコンデンサに使用することが検討されてきた。ゲル電解質は電解液と当該電解液を保持するゲルにより成る。ゲルは、ゲルネットワークの主鎖となるポリマーと、ポリマーを架橋する架橋剤とにより、架橋されたポリマーによる三次元網目構造を有する所謂ポリマーゲルである。このゲル電解コンデンサでは、ゲルの電解液保持力によって過電圧印加時等における電解液の液漏れが抑制される。
ゲルは電解液の保持に加え、陽極箔と陰極箔を隔ててショートを防止する役割も果たし得る。即ち、ゲル電解質はセパレータの役割をも果たし得る。そこで、ゲル電解コンデンサにおいては、陽極箔と陰極箔との間のセパレータレス化も提案されている。
セパレータレス化する前提として、陽極箔上にゲル電解質を密着させなくてはならない。即ち、陽極箔上でゲル電解質を作製しなくてはならない。その製造方法としては、モノマーと架橋剤と重合開始剤とを含有させた電解液(以下、ゲル化剤含有電解液という)を陽極箔上に塗布した上で、重合反応と架橋反応を開始させることになる。しかしながら、ゲル化剤含有電解液を陽極箔に塗布しても液ダレしてしまい、陽極箔と陰極箔とがショートしない所定の厚みをゲル電解質に与えることができなかった。
そのため、従来は、ゲル電解コンデンサのセパレータレス化は提案段階に止まっていた。即ち、従来は、別個にゲルを作製し、作製したゲルを陽極箔と陰極箔との間に挟みこんでから、積層或いは巻回することでコンデンサ素子を作製していた。
また、セパレータを用いてゲル電解コンデンサを作製した場合であっても、例えばコンデンサ素子にゲル化剤含有電解液を含浸後、封止し、重合反応および架橋反応を開始させると、コンデンサ素子の一部にゲル電解質が形成されない箇所が存在したり、ゲル電解質の形成が不均一であったりした。即ち、ゲル化剤含有電解液含浸直後はコンデンサ素子全面にゲル化剤含有電解液が十分に行き渡っていても、含浸工程から重合反応および架橋反応を開始するまでの間に、ゲル化剤含有電解液が重力により流動してしまい、ゲル電解質の形成に偏りが生じていた。
そこで、本出願人は、次のような作製方法によりセパレータの無いゲル電解コンデンサを提案している(例えば特許文献1参照)。まずモノマーを重合させ、ポリマーを架橋することで、ゲルを得る。得られたゲルを水中に投入して攪拌及び粉砕することにより、ゲル分散液を得る。またはモノマーと架橋剤を水中に投入してから重合及び架橋を開始させ、水中でゲルを作製し、ゲル分散液を得る。
このゲル分散液はゲルの塊を多量に含むため、面に塗布しても液ダレし難い。そこで、このゲル分散液を陽極箔に塗布して乾燥し、陽極箔にゲルシートの層を形成する。そして、このゲルシートを陽極箔と共に挟み込むように陰極箔を重ね、巻回又は積層してコンデンサ素子を作製し、このコンデンサ素子を電解液に漬けることで、ゲルシートに電解液を含浸させる。
しかしながら、攪拌及び粉砕したゲルによりなるゲルシートは、ゲルの塊の集合体であり、ゲルに疎密が生じている。そのゲルシートに電解液を含浸させると電解液が均一に含浸されない。そうすると、誘電体酸化皮膜と電解液との密着性が悪化したり、空隙が生じたりして、静電容量、ESR(等価直列抵抗)、耐電圧等のコンデンサの諸特性が悪化する。そのため、ゲルの攪拌及び粉砕処理では、ゲル分散液が液ダレせず、しかしながらゲルの塊をできるだけ均一な大きさで細かい粒子状にしなくてはならず、製造工程が煩雑化していた。この問題は、セパレータを備えるようにしても変わるところがない。
本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、良好なコンデンサ特性を有するゲル電解コンデンサ及びその製造方法を提供することにある。
上記課題を解決すべく、本発明に係るゲル電解コンデンサは、陽極箔、陰極箔、及び前記陽極箔と前記陰極箔との間に配置されるゲル電解質を備え、前記ゲル電解質は、セルロースナノファイバーを含むこと、を特徴とする。また、上記課題を解決すべく、本発明に係るゲル電解コンデンサの製造方法はモノマー、架橋剤、重合開始剤、電解液及びセルロースナノファイバーを含むゲル化剤含有電解液を、陽極箔の少なくとも一部に配置し、重合反応及び架橋反応により前記陽極箔にゲル電解質を形成すること、を特徴とする。
前記モノマーは、ヒドロキシエチルアクリルアミド、メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル、メタクリル酸2−(tert−ブチルアミノ)エチル、N−イソプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸であるようにしてもよい。
前記ゲル電解質に対して、0.25wt%以上5wt%以下の前記セルロースナノファイバーが含有されているようにしてもよい。この範囲のセルロースナノファイバーであれば、少量であっても液ダレさせることなくゲル電解質を形成することができ、しかもコンデンサの諸特性に影響を与え難いセルロースナノファイバーが、ゲル電解コンデンサな諸特性を更に阻害せず、良好にする。
本発明によれば、モノマーと架橋剤と重合開始剤と電解液とセルロースナノファイバーを添加した溶液を重合反応および架橋反応を開始させるとゲル電解質が均一に形成され、且つセパレータの役割を果たすために、所定の厚みを有するゲル電解質を容易に得ることができ、コンデンサ特性が良好なゲル電解コンデンサを簡便に作製できる。
(ゲル電解コンデンサ)
本発明の実施形態に係るゲル電解コンデンサは、静電容量により電荷の蓄電及び放電を行う受動素子である。ゲル電解コンデンサは、陽極箔と陰極箔との間にゲル電解質を備える。陽極箔は表面に多孔質構造を有する。必要に応じて陰極箔の表面にも多孔質構造を有してもよい。少なくとも陽極箔の多孔質構造部分には誘電体酸化皮膜が形成されている。
本発明の実施形態に係るゲル電解コンデンサは、静電容量により電荷の蓄電及び放電を行う受動素子である。ゲル電解コンデンサは、陽極箔と陰極箔との間にゲル電解質を備える。陽極箔は表面に多孔質構造を有する。必要に応じて陰極箔の表面にも多孔質構造を有してもよい。少なくとも陽極箔の多孔質構造部分には誘電体酸化皮膜が形成されている。
ゲル電解質は、電解液と当該電解液を保持するゲルにより成る。ゲルは、ゲルネットワークの主鎖となるポリマーと、ポリマーを架橋する架橋剤とにより、ポリマーが架橋されて三次元網目構造を採った所謂ポリマーゲルである。ゲル電解質は、陽極箔と陰極箔とを隔てるセパレータとなり、また誘電体酸化皮膜に密接して箔の電界を伝達する真の陰極となる。
(電極箔)
陽極箔及び陰極箔は、弁作用金属を材料とする長尺の箔体である。弁作用金属は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、酸化ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス及びアンチモン等である。純度は、陽極箔に関して99.9%程度以上が望ましく、陰極に関して99%程度以上が望ましいが、ケイ素、鉄、銅、マグネシウム、亜鉛等の不純物が含まれていても良い。
陽極箔及び陰極箔は、弁作用金属を材料とする長尺の箔体である。弁作用金属は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、酸化ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス及びアンチモン等である。純度は、陽極箔に関して99.9%程度以上が望ましく、陰極に関して99%程度以上が望ましいが、ケイ素、鉄、銅、マグネシウム、亜鉛等の不純物が含まれていても良い。
陽極箔及び陰極箔は、弁作用金属の粉体を焼結した焼結体、又は延伸された箔にエッチング処理を施したエッチング箔であり、即ち、多孔質構造は、トンネル状のピット、海綿状のピット、又は密集した粉体間の空隙により成る。多孔質構造は、典型的には、塩酸等のハロゲンイオンが存在する酸性水溶液中で直流又は交流を印加する直流エッチング又は交流エッチングにより形成され、若しくは芯部に金属粒子等を蒸着又は焼結することにより形成される。尚、陰極箔は、陽極箔と比べて電解コンデンサの静電容量に対する表面積の影響が少ないため、多孔質構造による表面粗さは小さくともよい。
誘電体酸化皮膜は、典型的には、陽極箔の表層に形成される酸化皮膜であり、陽極箔がアルミニウム製であれば多孔質構造領域を酸化させた酸化アルミニウム層である。また、陰極箔に誘電体酸化皮膜層を設けてもよい。この誘電体酸化皮膜層は、硼酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、アジピン酸アンモニウム等の酸あるいはこれらの酸の水溶液等のハロゲンイオン不在の溶液中で電圧印加する化成処理により形成される。
(セパレータ)
本発明は必要によりセパレータを用いてもよい。セパレータは、クラフト、マニラ麻、エスパルト、ヘンプ、レーヨン等のセルロースおよびこれらの混合紙、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタラート、それらの誘導体などのポリエステル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ビニロン系樹脂、脂肪族ポリアミド,半芳香族ポリアミド,全芳香族ポリアミド等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、トリメチルペンテン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等が挙げられ、これらの樹脂を単独で又は混合して用いることができる。セパレータを用いることにより、ショートの発生を抑制する効果が高まる。
本発明は必要によりセパレータを用いてもよい。セパレータは、クラフト、マニラ麻、エスパルト、ヘンプ、レーヨン等のセルロースおよびこれらの混合紙、ポリエチレンテレフタラート、ポリブチレンテレフタラート、ポリエチレンナフタラート、それらの誘導体などのポリエステル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ビニロン系樹脂、脂肪族ポリアミド,半芳香族ポリアミド,全芳香族ポリアミド等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、トリメチルペンテン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等が挙げられ、これらの樹脂を単独で又は混合して用いることができる。セパレータを用いることにより、ショートの発生を抑制する効果が高まる。
(ゲル電解質)
電解液は、溶媒に対して溶質を溶解し、または更に添加剤が添加された混合液である。溶媒はプロトン性の有機極性溶媒又は非プロトン性の有機極性溶媒であり、単独又は2種類以上が組み合わせられる。溶質は、有機酸若しくはその塩、無機酸若しくはその塩、又は有機酸と無機酸との複合化合物若しくはその塩であり、単独又は2種以上を組み合わせて用いられる。アニオンとなる酸及びカチオンとなる塩基を溶質成分として別々に電解液に添加してもよい。
電解液は、溶媒に対して溶質を溶解し、または更に添加剤が添加された混合液である。溶媒はプロトン性の有機極性溶媒又は非プロトン性の有機極性溶媒であり、単独又は2種類以上が組み合わせられる。溶質は、有機酸若しくはその塩、無機酸若しくはその塩、又は有機酸と無機酸との複合化合物若しくはその塩であり、単独又は2種以上を組み合わせて用いられる。アニオンとなる酸及びカチオンとなる塩基を溶質成分として別々に電解液に添加してもよい。
プロトン性の有機極性溶媒としては、一価アルコール類、多価アルコール類及びオキシアルコール化合物類などが挙げられる。一価アルコール類としては、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。多価アルコール類及びオキシアルコール化合物類としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メトキシプロピレングリコール、ジメトキシプロパノール等が挙げられる。
非プロトン性の有機極性溶媒としては、スルホン系、アミド系、ラクトン類、環状アミド系、ニトリル系、オキシド系などが代表として挙げられる。スルホン系としては、ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、スルホラン、3−メチルスルホラン、2,4−ジメチルスルホラン等が挙げられる。アミド系としては、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N‐ジエチルホルムアミド、N‐メチルアセトアミド、N,N‐ジメチルアセトアミド、N‐エチルアセトアミド、N,N‐ジエチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックアミド等が挙げられる。ラクトン類、環状アミド系としては、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、N‐メチル‐2‐ピロリドン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、イソブチレンカーボネート、イソブチレンカーボネート等が挙げられる。ニトリル系としては、アセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、グルタロニトリル等が挙げられる。オキシド系としてはジメチルスルホキシド等が挙げられる。
有機酸としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、アジピン酸、安息香酸、トルイル酸、エナント酸、マロン酸、1,6−デカンジカルボン酸、1,7−オクタンジカルボン酸、アゼライン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、トリデカン二酸等のカルボン酸、フェノール類、スルホン酸が挙げられる。また、無機酸としては、ホウ酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、炭酸、ケイ酸等が挙げられる。有機酸と無機酸の複合化合物としては、ボロジサリチル酸、ボロジ蓚酸、ボロジグリコール酸等が挙げられる。
これら有機酸の塩、無機酸の塩、ならびに有機酸と無機酸の複合化合物の少なくとも1種の塩としては、アンモニウム塩、四級アンモニウム塩、四級化アミジニウム塩、アミン塩、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。四級アンモニウム塩の四級アンモニウムイオンとしては、テトラメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等が挙げられる。四級化アミジニウムとしては、エチルジメチルイミダゾリニウム、テトラメチルイミダゾリニウムなどが挙げられる。アミン塩のアミンとしては、一級アミン、二級アミン、三級アミンが挙げられる。一級アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミンなど、二級アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、エチルメチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミンなど、三級アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、トリプロピルアミン、エチルジメチルアミン、エチルジイソプロピルアミン等が挙げられる。
さらに、添加剤としては、種々の目的によりポリエチレングリコール、ホウ酸と多糖類(マンニット、ソルビットなど)との錯化合物、ホウ酸と多価アルコールとの錯化合物、ホウ酸エステル、ニトロ化合物(o−ニトロ安息香酸、m−ニトロ安息香酸、p−ニトロ安息香酸、o−ニトロフェノール、m−ニトロフェノール、p−ニトロフェノール、パラニトロベンジルアルコールなど)、リン酸エステルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。上記添加剤の中でも、耐電圧向上を目的としてポリエチレングリコールやホウ酸と多糖類との錯化合物を用いたり、コンデンサ中のガス吸収を目的としてニトロ化合物を用いることが好ましい。
ポリマーの構成単位であるモノマーは、例えば、ヒドロキシエチルアクリルアミド、メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル、メタクリル酸2−(tert−ブチルアミノ)エチル、N−イソプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸など、種々のモノマーを用いることができる。
このモノマーは、二重結合が反応して直鎖状に重合する。即ち、ポリマーの主鎖は長尺の紐形状を有する。そして、複数のポリマーは架橋剤により架橋され、ポリマーは三次元網目構造を有するゲル状となる。
架橋剤としては2官能アクリレート、2官能メタクリレート、2官能アクリルアミドもしくは多官能基アクリレート、多官能基メタクリレート、多官能アクリルアミドを用いる。2官能アクリレート、2官能メタクリレート、2官能アクリルアミドとしては2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、9,9−ビス[4−(2−アクリロイルオキシエトキシ)フェニル]フルオレン、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、1,10−デカンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,9−ノナンジオールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、トリシクロデカンジメタノールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、1,9−ノナンジオールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、N,N’−メチレンビスアクリルアミド、N,N’−メチレンビスメタクリルアミド、N,N’−エチレンビスアクリルアミド、N,N'−(1,2−ジヒドロキシエチレン)ビスアクリルアミド等が挙げられる。多官能基アクリレート、多官能基メタクリレート、多官能アクリルアミドとしては、2,2−ビス[(アクリロイルオキシ)メチル]プロパン−1,3−ジイル=ジアクリラート、2−[(アクリロイルオキシ)メチル]−2−(ヒドロキシメチル)プロパン−1,3−ジイル=ジアクリラート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールポリアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、オキシビスメチレンビス(メタンテトライル)ヘキサキス(メタノール)ヘキサアクリラート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、N−[トリス(3−アクリルアミドプロポキシメチル)メチル]アクリルアミド等が挙げられる。
(ゲル電解コンデンサ製造方法)
ゲル電解質の形成方法としては、陽極箔上にゲル化剤含有電解液を塗布してゲル電解質を形成する方法や、コンデンサ素子にゲル化剤含有電解液を含浸させてゲル電解質を形成する方法がある。モノマー、架橋剤、重合開始剤、電解液及びセルロースナノファイバーを混合して作製したゲル化剤含有電解液を、陽極箔の誘電体酸化皮膜上に配置する。配置する方法は特に限定されず、例えば塗工してもよく、吹き付けてもよく、又は形成したコンデンサ素子にゲル化剤含有電解液を含浸させてもよい。そして、陽極箔に配置したゲル化剤含有電解液に対し、加熱又は光照射を施し、ゲル電解質が作製される。ゲル電解質は陽極箔上の酸化皮膜の少なくとも一部に形成されていればよく、陽極箔の酸化皮膜に均一に形成されているとより好ましい。熱重合する場合、例えば125℃の温度雰囲気下に10分程度晒すと良い。また、光重合する場合、例えば水銀ランプを用いて10分程度照射すると良く、光源たるランプとしては高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ、LEDランプ等が挙げられる。ゲル電解質の厚みは特に限定されないが、10μm以上であるとよい。
ゲル電解質の形成方法としては、陽極箔上にゲル化剤含有電解液を塗布してゲル電解質を形成する方法や、コンデンサ素子にゲル化剤含有電解液を含浸させてゲル電解質を形成する方法がある。モノマー、架橋剤、重合開始剤、電解液及びセルロースナノファイバーを混合して作製したゲル化剤含有電解液を、陽極箔の誘電体酸化皮膜上に配置する。配置する方法は特に限定されず、例えば塗工してもよく、吹き付けてもよく、又は形成したコンデンサ素子にゲル化剤含有電解液を含浸させてもよい。そして、陽極箔に配置したゲル化剤含有電解液に対し、加熱又は光照射を施し、ゲル電解質が作製される。ゲル電解質は陽極箔上の酸化皮膜の少なくとも一部に形成されていればよく、陽極箔の酸化皮膜に均一に形成されているとより好ましい。熱重合する場合、例えば125℃の温度雰囲気下に10分程度晒すと良い。また、光重合する場合、例えば水銀ランプを用いて10分程度照射すると良く、光源たるランプとしては高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ハイパワーメタルハライドランプ、LEDランプ等が挙げられる。ゲル電解質の厚みは特に限定されないが、10μm以上であるとよい。
増粘剤としては、セルロースナノファイバーを用いる。セルロースナノファイバーとは、木材繊維(パルプ)をナノオーダーにまで高度に微細化したものを指す。セルロースナノファイバーであると、増粘効果が高いために少量の添加で所望の粘度が得られるとともに、電解液のみの電解コンデンサと遜色のない、静電容量(Cap)、等価直列抵抗(ESR)及び誘電正接tanδが得られるとの知見が得られた。
セルロースナノファイバーを添加する方法として特に限定されないが、例えば、電解液にセルロースナノファイバーを添加して超音波処理により分散させた後、モノマー、重合開始剤及び架橋剤を添加する。また、超音波処理後にセルロースナノファイバーを含んだ電解液が熱を有するため、放置工程や冷却工程後にモノマー、重合開始剤及び架橋剤を添加することが好ましい。
セルロースナノファイバーの分散手法は特に限定されないが、超音波処理が好ましい。超音波処理にて分散を行うことにより、電解液に気泡が混入せず、その後のゲル電解質形成工程においてもゲル電解質中に気泡が混入しないため好ましい。
重合開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリル、4,4’−アゾビス(4-シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオン酸)ジメチル、2,2'-アゾビス(N-ブチルー2-メチルプロピオンアミド)、2、2´−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロパンアミド]、2,2‘−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]、2,2'-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒロドキシ-1-{4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピオニル)-ベンジル]フェニル}-2-メチル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド、ベンゾイルぎ酸メチル、1,2−オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)]、エタノン、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(0-アセチルオキシム)、ジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドが挙げられる。
陽極箔上にゲル電解質層を形成した場合、この陽極箔と共にゲル電解質を挟むように陰極箔と対向させる。そして、陽極箔とゲル電解質と陰極箔を巻回することで、巻回形のコンデンサ素子が作製される。或いは、この陽極箔と陰極箔とをゲル電解質を介在させつつ交互に積み重ねることで、積層形のコンデンサ素子が作製される。
コンデンサ素子は、金属製の外装ケースに収容され、封口体で封止される。外装ケースの材質は、アルミニウム、アルミニウムやマンガンを含有するアルミニウム合金、又はステンレスが挙げられる。封口体はゴムや硬質基板が挙げられる。コンデンサ素子の陽極箔及び陰極箔には、ステッチ、コールドウェルド、超音波溶接、レーザー溶接などによって、引出端子が接続され、封口体から引き出される。この後、再化成工程を経て、ゲル電解コンデンサの作製が完了する。
以下、実施例に基づいて本発明をさらに詳細に説明する。なお、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
実施例1乃至4並びに比較例1乃至6のコンデンサを作製した。実施例1乃至4並びに比較例1乃至4は、増粘剤を添加したゲル電解コンデンサである。比較例5及び6は、電解液のみの電解コンデンサである。実施例1乃至4並びに比較例1乃至4においては、電解液の液種と増粘剤の種類と増粘剤の添加量が異なる。また、これら実施例1乃至4並びに比較例1乃至6のコンデンサは、次の3種の電解液の何れかを用いた。
まず、第1の電解液は、γ‐ブチロラクトンを溶媒とし、ニトロ化合物を未添加とし、即ち、表1に示すように、溶媒としてγ‐ブチロラクトンが添加され、溶質のアニオン成分として1,7−オクタンジカルボン酸が添加され、溶質のカチオン成分としてジエチルアミンが添加され、その他の添加剤としてホウ酸とマンニトールを添加した。
第2の電解液は、γ‐ブチロラクトンを溶媒とし、ニトロ化合物を添加して成り、即ち、表2に示すように、溶媒としてγ‐ブチロラクトンが添加され、溶質のアニオン成分として1,7−オクタンジカルボン酸が添加され、溶質のカチオン成分としてジエチルアミンが添加され、その他の添加剤としてホウ酸、マンニトール及びパラニトロベンジルアルコールを添加した。
第3の電解液は、エチレングリコールを溶媒とし、ニトロ化合物を添加して成り、即ち、表3に示すように、溶媒としてエチレングリコールが添加され、溶質のアニオン成分として1,7−オクタンジカルボン酸が添加され、溶質のカチオン成分としてジエチルアミンが添加され、その他の添加剤としてホウ酸とマンニトールとポリエチレングリコールを添加した。
そして、実施例1乃至4及び比較例1乃至6のコンデンサは、陽極箔と陰極箔を重ね合わせ、巻回して作製した。定格電圧は450V、定格容量は12μFである。アルミニウム箔をエッチング処理により拡面化し、次いで化成処理により誘電体酸化皮膜が形成された陽極箔及び陰極箔を用いた。
実施例1乃至4及び比較例1乃至4のゲル電解コンデンサに関しては、第1乃至第3の何れかの電解液に対して、モノマーとしてメタクリル酸2−ヒドロキシエチル、架橋剤としてポリエチレングリコールジメタクリラート、及び重合開始剤として2,2´−アゾビス[N−(2−ヒドロキシエチル)−2−メチルプロパンアミド]を添加した。また、実施例及び比較例に応じて増粘剤を添加している。増粘剤としては、実施例1乃至4のゲル電解コンデンサではセルロースナノファイバーを用いた。比較例1乃至4のゲル電解コンデンサでは、増粘剤として酢酸セルロースを用いた。
詳細には、まず第1乃至第3の電解液に対し、実施例及び比較例に応じて増粘剤を添加した。その後、超音波処理を行い、冷却後、モノマー、架橋剤及び重合開始剤を添加した。モノマーはゲル化剤含有電解液全体に対し20wt%、架橋剤は下記式(1)で表される架橋度が8%になるように添加した。
陽極箔と陰極箔とをセパレータを介して巻回したコンデンサ素子に、作製したゲル化剤含有電解液を含浸させ、125℃の温度環境下で10分間放置し、重合反応と架橋反応を開始させ、各実施例及び各比較例のゲル電解コンデンサを作製した。
実施例1のゲル電解コンデンサには、第1の電解液が用いられ、増粘剤としてセルロースナノファイバーが用いられ、増粘剤の添加量はゲル化剤含有電解液全体に対して0.5wt%とした。セパレータはマニラ紙を用いた。
実施例2のゲル電解コンデンサには、第2の電解液が用いられ、増粘剤としてセルロースナノファイバーが用いられ、増粘剤の添加量はゲル化剤含有電解液全体に対して0.5wt%とした。セパレータはマニラ紙を用いた。
実施例3のゲル電解コンデンサには、第3の電解液が用いられ、増粘剤としてセルロースナノファイバーが用いられ、増粘剤の添加量はゲル化剤含有電解液全体に対して0.5wt%とした。セパレータはマニラ紙を用いた。
実施例4のゲル電解コンデンサには、第1の電解液が用いられ、増粘剤としてセルロースナノファイバーが用いられ、増粘剤の添加量はゲル化剤含有電解液全体に対して0.75wt%とした。セパレータはマニラ紙を用いた。
比較例1のゲル電解コンデンサには、第1の電解液が用いられ、増粘剤として酢酸セルロースが用いられ、増粘剤の添加量はゲル化剤含有電解液全体に対して7.5wt%とした。尚、比較例1乃至4において増粘剤の添加量を7.5wt%とした理由は、実施例1乃至3と同等程度の粘度とするためである。セパレータはマニラ紙を用いた。
比較例2のゲル電解コンデンサには、第2の電解液が用いられ、増粘剤として酢酸セルロースが用いられ、増粘剤の添加量はゲル化剤含有電解液全体に対して7.5wt%とした。セパレータはマニラ紙を用いた。
比較例3のゲル電解コンデンサには、第3の電解液が用いられ、増粘剤として酢酸セルロースが用いられ、増粘剤の添加量はゲル化剤含有電解液全体に対して8.5wt%とした。セパレータはマニラ紙を用いた。
比較例4のゲル電解コンデンサには、第1の電解液が用いられ、増粘剤として酢酸セルロースが用いられ、増粘剤の添加量はゲル化剤含有電解液全体に対して8.5wt%とした。セパレータはマニラ紙を用いた。
一方、比較例5の電解コンデンサには、第1の電解液を用い、セパレータとしてレーヨン紙を用いた。比較例6の電解コンデンサには第3の電解液を用い、セパレータとしてクラフト紙を用いた。
以上の実施例1乃至4並びに比較例1乃至6のコンデンサについて、静電容量(Cap)、等価直列抵抗(ESR)及び誘電正接(tanδ)を測定した。また、実施例1乃至4並びに比較例1乃至4のゲル電解コンデンサについては、ゲル化剤含有電解液の粘度を測定した。粘度は、音叉型振動式粘度計(株式会社エーアンドデイ社製SVシリーズ)を用い、室温(25℃)にて測定した。これら測定結果を以下表4に示す。表4において、「1」で示される電解液種は、γ‐ブチロラクトンを溶媒としニトロ化合物が未添加の第1の電解液であり、「2」で示される電解液種は、γ‐ブチロラクトンを溶媒としニトロ化合物が添加の第2の電解液であり、「3」で示される電解液種は、エチレングリコールを溶媒とする第3の電解液である。
表4に示すように、増粘剤としてセルロースナノファイバーを添加した実施例1乃至4のゲル電解コンデンサは全て、セルロースナノファイバーをゲル化剤含有電解液に対して0.5wt%又は0.75wt%添加することで、液ダレが生じることなくゲル化し、陽極箔上でセパレータとしての厚みを有するゲル電解質が作製された。
増粘剤として酢酸セルロースを用いた比較例1及び4のゲル化剤含有電解液の粘度は、実施例1及び4の粘度と同等になるように増粘剤の添加量を調整したものである。その結果、比較例1及び4は、実施例1及び4と比較し、ESR及びtanδが上昇した。即ち、増粘剤として用いたセルロースナノファイバーや酢酸セルロースは絶縁体であり、コンデンサの抵抗要素となるが、セルロースナノファイバーであれば少量で十分に粘度が上昇し、抵抗要素が少ないため、コンデンサ特性の悪化が小さい。
比較例2のゲル電解コンデンサは、加熱処理を施してもゲル化しなかった。理由は不明であるが、酢酸セルロースを使用する場合に、電解液がニトロ化合物を含むとゲル化しないと考えられる。一方、実施例2のゲル電解コンデンサでは、酢酸セルロースではなく、セルロースナノファイバーを添加することで、比較例2と同じくニトロ化合物が添加されていてもゲル化することが確認された。また、比較例3のゲル化剤含有電解液に酢酸セルロースを添加しても溶解せず、ゲル電解コンデンサを作製することができなかった。
比較例5及び6は、液状(非ゲル)の電解質を用いたコンデンサである。同じ電解液種を用いた実施例1及び2に対して比較例5を比べ、実施例3に対して比較例6を比べてみると、ゲル電解コンデンサとしても大きな特性変化は見られず、コンデンサとして十分に機能することが確認された。
次に、実施例5及び比較例7のゲル電解コンデンサを作製した。実施例5及び比較例7のゲル電解コンデンサは、セパレータを有しないセパレータレスである。
実施例5は、電解液として表3の第3の電解液を用い、モノマーとしてヒドロキシエチルアクリルアミド、架橋剤としてポリエチレングリコールジメタクリラート、重合開始剤としてジフェニル(2,4,6−トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシドを添加し、さらに増粘剤としてセルロースナノファイバーを0.5wt%添加した。
アルミニウム箔をエッチング処理により拡面化し、次いで化成処理により誘電体酸化皮膜が形成された陽極箔及び陰極箔を用いた。
作製したゲル化剤含有電解液を陽極箔に塗布し、水銀ランプを用いて10分間、光照射を行い、重合反応と架橋反応を開始させ、陽極箔上にゲル電解質を形成した。このゲル電解質が形成された陽極箔の上に、ゲル電解質を挟み込むように陰極箔を重ね合わせることで実施例5のゲル電解コンデンサ(定格容量12μF、定格電圧450V)を作製した。
比較例7は、増粘剤を添加しなかったこと以外は実施例5と同様にゲル電解コンデンサを作製した。
そして、これら実施例5及び比較例7のセパレータレスのゲル電解コンデンサについて、静電容量(Cap)、等価直列抵抗(ESR)、誘電正接(tanδ)及び粘度を測定した。その測定結果を以下表5に示す。
表5より、増粘剤を添加しなかった比較例7はショートしてしまい、コンデンサ特性が測定できなかった。これは、ゲル化剤含有電解液が液ダレしてしまい、陽極箔と陰極箔とが接触してしまったことが原因と考えられる。これに対し実施例5はセパレータレスの電解コンデンサが簡便に作製でき、さらには、セパレータを用いた実施例3と比較すると、ESRおよびtanδが大幅に改善された。
以上より、増粘剤としてセルロースナノファイバーを用いることで、コンデンサ諸特性が良好なゲル電解コンデンサを作製することができた。さらにはセパレータレス化によりコンデンサ特性が大幅に改善されたゲル電解コンデンサを作製することができた。しかも、ゲルを攪拌及び粉砕して均一及び細やかなゲル粒子を含有したゲル分散液を作製する工程が省かれ、簡便にセパレータレスのゲル電解コンデンサが作製された。
Claims (4)
- 陽極箔、陰極箔、及び前記陽極箔と前記陰極箔との間に配置されるゲル電解質を備え、
前記ゲル電解質は、セルロースナノファイバーを含むこと、
を特徴とするゲル電解コンデンサ。 - 前記モノマーは、ヒドロキシエチルアクリルアミド、メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル、メタクリル酸2−(tert−ブチルアミノ)エチル、N−イソプロピルアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、N−tert−ブチルアクリルアミド、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸であること、
を特徴とする請求項1記載のゲル電解コンデンサ。 - 前記ゲル電解質に対して、0.25wt%以上5wt%以下の前記セルロースナノファイバーが含有されていること、
を特徴とする請求項1又は2記載のゲル電解コンデンサ。 - モノマー、架橋剤、重合開始剤、電解液及びセルロースナノファイバーを含むゲル化剤含有電解液を、陽極箔の少なくとも一部に配置し、
重合反応及び架橋反応により前記陽極箔にゲル電解質を形成すること、
を特徴とするゲル電解コンデンサの製造方法。
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WO2021149751A1 (ja) * | 2020-01-24 | 2021-07-29 | パナソニックIpマネジメント株式会社 | 電解コンデンサおよびその製造方法、ならびに電解コンデンサモジュール |
CN114614070A (zh) * | 2022-02-28 | 2022-06-10 | 南京林业大学 | 一种用于硫化聚丙烯腈电池体系的纤维素凝胶电解质膜及其制备方法 |
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2017
- 2017-09-28 JP JP2017187912A patent/JP2019062166A/ja active Pending
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