JP2004214041A - ゲル電解質とこれを用いる非水電解質電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】電池に用いることができるゲル電解質と、そのようなゲル電解質を用いてなる非水電解質電池を提供する。
【解決手段】一般式(I)
(式中、Rはそれぞれ独立に炭素原子数3〜5のアルキレン基を示し、nは0〜3の整数である。)で表されるポリアミンと多官能ポリイソシアネートと(必要に応じて、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリレート及びグリシジル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステル誘導体をモノマー成分とする反応性コポリマーと)から形成される架橋ポリマーをポリマーマトリックスとし、このポリマーマトリックス中に電解質塩とこの電解質塩のための溶媒(即ち、電解液)を保持させてなるゲル電解質が提供される。更に、上記ゲル電解質に多孔質基材を有せしめてなる基材を備えたゲル電解質と、そのような基材を備えたゲル電解質を用いてなる非水電解質電池。
【選択図】なし
【解決手段】一般式(I)
(式中、Rはそれぞれ独立に炭素原子数3〜5のアルキレン基を示し、nは0〜3の整数である。)で表されるポリアミンと多官能ポリイソシアネートと(必要に応じて、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリレート及びグリシジル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステル誘導体をモノマー成分とする反応性コポリマーと)から形成される架橋ポリマーをポリマーマトリックスとし、このポリマーマトリックス中に電解質塩とこの電解質塩のための溶媒(即ち、電解液)を保持させてなるゲル電解質が提供される。更に、上記ゲル電解質に多孔質基材を有せしめてなる基材を備えたゲル電解質と、そのような基材を備えたゲル電解質を用いてなる非水電解質電池。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゲル電解質とこれを用いた非水電解質電池に関し、詳しくは、電解質塩とこの電解質塩のための溶媒(即ち、電解液)を特に選択されたある種のポリアミンと多官能ポリイソシアネートとから形成される架橋ポリマーからなるマトリックス中に保持させてなるゲル電解質とこれを用いた非水電解質電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体電解質とは、固体状態でイオン伝導性の高い物質をいい、なかでも、高分子物質を固体として用いる高分子固体電解質は、近年、次世代リチウム二次電池用電解質として、特に、注目されており、世界的に研究が推進されている。
【0003】
このような高分子固体電解質は、従来の電解質溶液に比べて、液漏れのおそれがなく、また、薄膜にすることができる等、その形状も、自由度が大きい。しかしながら、従来、知られている非水系の高分子固体電解質は、電解質溶液に比べて、電導度が著しく低いという問題がある。例えば、従来、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等の鎖状ポリマーやポリフォスファゼン等の櫛型ポリマー等のポリマー材料を電解質塩と複合化してなる非水系高分子固体電解質が知られているが、従来、電導度が室温で10−3S/cmを上回るものは見出されていない。
【0004】
そこで、近年、種々の非水系ゲル状電解質の実用化が研究されており、これによれば、室温において、10−3S/cm以上の電導度を有し、電解質溶液に近いものが提案されている。このようなゲル状電解質は、ポリマーと非水有機溶媒とによって形成されるゲル中に電解質塩を溶解させたものであり、ポリマー又はその前駆体を電解質塩と共に有機溶媒に溶解させた後、固体化(ゲル化)することによって得ることができる。
【0005】
しかしながら、従来より知られているこのようなゲル電解質、例えば、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等のポリエーテル系ポリマーを基材ポリマーとするゲル電解質は、リチウム二次電池等の非水電解質電池への適用においては、電解質塩として用いられているへキサフルオロリン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム等の種々のリチウム塩から発生するフッ化水素等の酸性不純物によって、ゲル状骨格が崩壊し、その形状が維持できなくなって、電池がサイクル特性等に劣るという問題がある。他方、このような酸性不純物の発生が少ない塩を電解質塩として用いるときは、高い伝導度を得ることができないという問題がある。
【0006】
そこで、非水電解液中の上記酸性不純物を除去する方法も、従来、種々提案されている。例えば、酸性不純物を吸着し得る無機粒子を電解液に添加する方法(例えば、特許文献1及び2参照)、アンモニウム塩や水素化リチウム等の塩基性化合物を用いる方法(例えば、特許文献3及び4参照)等が提案されている。しかし、これらの方法に従って、例えば、電解液に無機粒子を配合して電解液を調製することは煩雑であり、また、添加物によっては、電解液をゲル化させることができず、ゲル状電解質が形成させることができない場合もある。
【0007】
他方、ポリエチレンイミン等のポリアミンは、高いイオン伝導性を有するのみならず、電解質として上述したヘキサフルオロリン酸リチウムやテトラフルオロホウ酸リチウム等を用いたときに発生する酸性不純物に対して高い耐性を有するが、しかし、三次元的な架橋ポリマーを形成させる際に、例えば、多官能ポリイソシアネートを用いるときは、イソシアネート基に対するアミノ基の高い反応性のために、多官能ポリイソシアネートと接触すれば直ちに反応して、不均一な架橋構造を形成するので、均一なゲル状組成物を得ることが困難であった。
【0008】
【特許文献1】特開平4−284372号公報
【特許文献2】特開平7−211349号公報
【特許文献3】特開平3−119667号公報
【特許文献4】特開平4−282563号公報
【0009】
【発明が解決しようとする問題点】
本発明者らは、従来の固体電解質における上述したような問題を解決するために鋭意研究した結果、ポリアミンとして、特に選択されたある種のものを用い、これを電解液の存在下に多官能ポリイソシアネートと反応させることによって、従来、知られているポリエチレンイミンのようなポリアミンと相違して、均一なゲル電解質を形成し、しかも、このゲル電解質を用いることによって特性のすぐれた非水ゲル電解質電池を得ることができることを見出して、本発明に至ったものである。従って、本発明は、ポリアミンを一成分とする架橋ポリマーをポリマーマトリックスとし、電池に好適に用いることができるゲル電解質と、これを用いてなる非水電解質電池を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、一般式(I)
【0011】
【化3】
【0012】
(式中、Rはそれぞれ独立に炭素原子数3〜5のアルキレン基を示し、nは0〜3の整数である。)
で表されるポリアミンと多官能ポリイソシアネートとから形成される架橋ポリマーをポリマーマトリックスとし、このポリマーマトリックス中に電解質塩とこの電解質塩のための溶媒を保持させてなることを特徴とするゲル電解質が提供される。
【0013】
また、本発明によれば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリレート及びグリシジル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステル誘導体をモノマー成分とする反応性コポリマーと一般式(I)
【0014】
【化4】
【0015】
(式中、Rはそれぞれ独立に炭素原子数3〜5のアルキレン基を示し、nは0〜3の整数である。)
で表されるポリアミンと多官能ポリイソシアネートとから形成される架橋ポリマーをポリマーマトリックスとし、このポリマーマトリックス中に電解質塩とこの電解質塩のための溶媒を保持させてなることを特徴とするゲル電解質が提供される。
【0016】
更に、本発明によれば、上記ゲル電解質に多孔質基材を有せしめてなる基材を備えたゲル電解質が提供され、また、そのようなゲル基材を備えた電解質を用いてなる非水電解質電池が提供される。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明によるゲル電解質は、上記一般式(I)で表されるポリアミンと多官能ポリイソシアネートとから形成される架橋ポリマーをポリマーマトリックスとし、このポリマーマトリックス中に電解質塩とこの電解質塩のための溶媒(即ち、電解液)を保持させてなるものである。
【0018】
本発明において、上記アルキレン基は、主鎖が炭素原子を3つ以上有すれば、直鎖状でも分岐鎖状でもよいが、好ましくは、ポリメチレン基であり、例えば、トリメチレン基、テトラメチレン基又はペンタメチレン基のような直鎖状のものである。また、nは、好ましくは、1〜3の整数である。
【0019】
従って、本発明によれば、上記ポリアミンの具体例としては、例えば、スペルミジン、ホモスペルミジン、アミノブチルカタベリン、スペルミン等のように、分子中に第1級アミノ基と第2級アミノ基とを有すると共に、隣接するアミノ基の間に炭素原子数3〜5のポリアルキレン基、好ましくは、ポリメチレン基が介在しているものを挙げることができる。
【0020】
また、本発明において、上記多官能ポリイソシアネートは、芳香族、脂肪族又は芳香脂肪族ポリイソシアネートのいずれでもよく、具体例として、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等のジイソシアネート、これらジイソシアネートの多価アルコール付加体、例えば、トリメチロールプロパン付加体や、イソシアヌレートのような三官能イソシアネートを挙げることができる。
【0021】
更に、本発明によれば、ポリマーマトリックスは、上記ポリアミンと多官能ポリイソシアネートとに加えて、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリレート及びグリシジル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステル誘導体をモノマー成分とする反応性コポリマーとから形成される架橋ポリマーからなるものでもよい。
【0022】
上記(メタ)アクリル酸エステル誘導体のうち、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等を挙げることができ、アミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレート等を挙げることができ、また、グリシジル(メタ)アクリレートとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。しかし、本発明によれば、これらのなかでも、特に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。ここに、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はメタクリレートを意味するものとする。
【0023】
本発明によれば、上記反応性コポリマーは、好ましくは、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリレート及びグリシジル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステル誘導体からなるモノマーを(メタ)アクリル酸アルキルエステルとN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドから選ばれる少なくとも1種のモノマーと共重合させて得られるコポリマーである。
【0024】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸へキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等を挙げることができる。
【0025】
また、上記(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−エチルヘキシル)(メタ)アクリルアミド、N−イソオクチル(メタ)アクリルアミド、N−イソノニル(メタ)アクリルアミド、N−デシル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メタ)アクリロイルピロリドン、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−(メタ)アクリロイルピペラジン、N−(メタ)アクリロイル−4−ピペリドン等を挙げることができる。ここに、(メタ)アクリルアミドはアクリルアミド又はメタクリルアミドを意味し、また、(メタ)アクリロイルはアクリロイル又はメタクリロイルを意味するものとする。
【0026】
本発明によれば、ゲル電解質は、上述したようなポリアミンと多官能ポリイソシアネート(と上記反応性コポリマー)とから形成される架橋ポリマーをポリマーマトリックスとし、このポリマーマトリックス中に電解質塩とこの電解質塩のための溶媒(即ち、電解液)が保持されている。
【0027】
この電解質塩としては、特に限定されるものではないが、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム等の過塩素酸アルカリ金属、テトラフルオロホウ酸リチウム、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、テトラフルオロホウ酸カリウム等のテトラフルオロホウ酸アルカリ金属、ヘキサフルオロリン酸リチウム、ヘキサフルオロリン酸カリウム等のへキサフルオロリン酸アルカリ金属、トリフルオロ酢酸リチウム等のトリフルオロ酢酸アルカリ金属、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム等のトリフルオロメタンスルホン酸アルカリ金属等を挙げることができる。
【0028】
本発明において、上記電解質塩のための非水有機溶媒としては、用いる電解質塩を溶解するものであれば、特に制約を受けることなく、適宜に選ばれるが、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン等の環状エステル類、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状エステル類等を挙げることができる。これらは、単独で、又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0029】
本発明によるゲル電解質において、前記ポリマーマトリックスの割合は、用いる電解質塩や溶媒に応じて、これらの混合物がゲル電解質を形成するように、適宜に決定されるが、通常、得られるゲル電解質の0.1〜50重量%の範囲であり、好ましくは、1〜20重量%の範囲である。
【0030】
他方、電解質塩の割合は、それ自体のみならず、用いるポリマーマトリックスや溶媒に応じて、適宜に決定されるが、通常、得られるゲル電解質の1〜20重量%の範囲である。
【0031】
本発明によるゲル電解質は、例えば、前記ポリアミンと多官能ポリイソシアネート(と前記反応性コポリマー)(以下、これを反応性成分という。)を電解液に溶解させ、得られた溶液(以下、これをドープ液という。)を加熱することによって得ることができる。その理由は、必ずしも明確ではないが、本発明において用いる前記ポリアミンのアミノ基は、ポリエチレンイミンにおけるアミノ基のように、イソシアネート基に対して高い反応性を有しておらず、従って、上記ドープ液を加熱すれば、緩慢に反応して、反応終了後に均一なゲル電解質を与える。
【0032】
また、本発明によるゲル電解質は、例えば、上記ドープ液をガラス等のような適宜の基材上にキャスティングした後、加熱することによって、それ自体からなるフィルム状ゲル電解質を得ることができる。
【0033】
同様に、本発明によるゲル電解質は、これに不織布、多孔質膜、割布、メッシュ等の基材を有せしめて、基材を備えた膜状ゲル電解質とすることができる。特に、本発明による基材を備えたゲル電解質は、電池やコンデンサにおける固体電解質として用いる場合に、電極間の短絡を防ぐために、上記基材をセパレータとする膜状ゲル電解質として好適に用いることができる。上記基材としては、電極間のイオンの移動を阻害しないように、多孔質膜を用いることが好ましい。このような多孔質膜としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン樹脂からなる多孔質膜が好ましく用いられる。
【0034】
このような基材を備えたゲル電解質は、種々の方法によって得ることができる。例えば、上記ドープ液適宜の基材に含浸させた後、加熱して、前記反応性成分を反応させ、架橋ポリマーを生成させ、この架橋ポリマーからなるマトリックス中に上記電解液を保持したゲルを形成させることによって、基材を備えた膜状ゲル電解質を得ることができる。
【0035】
このような基材を備えた膜状ゲル電解質は、例えば、電池やコンデンサの製造に好適に用いることができる。例えば、第一の方法として、電極と基材多孔質膜とを積層し、又は捲回して、電気化学素子とし、これを電池の電極板を兼ねる電池缶に装入する。次に、前記ドープ液を上記電池缶中に注入し、上記基材多孔質膜に含浸させた後、加熱して、電解液の存在下に前記反応性成分を反応させ、架橋ポリマーを生成させて、これをポリマーマトリックスとする均一なゲル電解質を形成させれば、膜状ゲル電解質を含む電池を得ることができる。
【0036】
第二の方法としては、基材多孔質膜に予め反応性成分を担持させ、これを電極と積層し、又は捲回して、電気化学素子とし、これを電池の電極板を兼ねる電池缶に装入する。次に、電解液を上記電池缶中に注入し、この電解液を上記多孔質膜に含浸させて、基材多孔質膜に担持させた上記反応性成分をこの電解液に溶解させた後、加熱して、電解液の存在下にこれらを反応させ、架橋ポリマーを生成させて、これをポリマーマトリックスとする均一なゲル電解質を形成させれば、膜状ゲル電解質を含む電池を得ることができる。
【0037】
第三の方法として、基材多孔質膜に予め前記反応性成分の一部、例えば、ポリアミン(又は多官能ポリイソシアネート)と(必要に応じて、前記反応性コポリマー)を担持させ、これを電極と積層し、又は捲回して、電気化学素子とし、これを電池の電極板を兼ねる電池缶に装入する。次に、前記反応性成分の残余、例えば、多官能ポリイソシアネート(又は前記ポリアミン)と(必要に応じて、前記反応性コポリマー)を溶解させた電解液を上記電池缶中に注入し、この電解液を上記多孔質膜に含浸させて、基材多孔質膜に担持させた前記ポリアミン(又は多官能ポリイソシアネート)と(必要に応じて、前記反応性コポリマー)をこの電解液に溶解させた後、加熱して、これらを電解液の存在下に反応させ、架橋ポリマーを生成させて、これをポリマーマトリックスとする均一なゲル電解質を形成させれば、膜状ゲル電解質を含む電池を得ることができる。
【0038】
上述した第二又は第三の方法において、前記反応性成分の全部又は一部を基材多孔質膜に担持させるには、例えば、反応性成分の全部又は所要のその一部を適宜の溶剤に溶解させ、基材多孔質膜に含浸させた後、担持させた成分の間に反応性がある場合には、そのような反応が起こらないように、必要に応じて、加熱して、溶剤を揮散させればよい。
【0039】
更に、別の方法として、上記ドープ液を基材多孔質膜に含浸させると共に、電解液を電極(正極及び負極)に含浸させた後、これらを電池缶に装入して、電池缶内にて、例えば、負極/基材多孔質膜/正極からなる積層体を形成して、電池仕掛品を作製する。次に、これを加熱して、電解液の存在下に上記基材多孔質膜に含浸させた前記反応性成分を反応させ、架橋ポリマーを生成させて、これをポリマーマトリックスとする均一なゲル電解質を形成させれば、膜状ゲル電解質を含む電池を得ることができる。上述した方法によって、コンデンサも同様にして得ることができる。
【0040】
図1は、このような基材を備えた膜状ゲル電解質を用いるコイン型リチウム二次電池の縦断面図である。このリチウム二次電池においては、正極端子を兼ねる正極缶1は、例えば、ニッケルめっきを施したステンレス鋼板からなり、絶縁体2を介して、この正極缶と絶縁された負極端子を兼ねる負極缶3と組合わされて、電池缶(容器)を構成している。負極缶も、例えば、ニッケルめっきを施したステンレス鋼板からなる。
【0041】
このようにして形成される電池缶の内部には、正極4が正極集電体5を介して正極缶に接触して配設されている。正極4は、例えば、リチウムコバルト複合酸化物やリチウムマンガン複合酸化物のような正極活物質と黒鉛のような導電性物質をポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンのような結着樹脂と混合し、これを加圧成形して得ることができる。同様に、負極6が負極集電体7を介して負極缶に接触して配設されている。負極は、例えば、リチウム板からなる。これら正極と負極との間に、本発明による基材を備えた膜状ゲル電解質8が配設されて、電池を構成している。かくして、このような電池によれば、その正極缶と負極缶を端子として電気エネルギーを取り出すことができる。
【0042】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。以下において、「部」を重量部を示す。
【0043】
参考例1
(N,N−ジエチルアクリルアミド−2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体の合成)
シクロヘキサノン67部、N,N−ジエチルアクリルアミド30部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート3部及び2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.01部からなる混合物を四つ口フラスコに仕込み、窒素置換した後、100℃に加温して、溶液重合を開始させ、その後、同じ温度で3時間重合させた。反応終了後、得られたポリマー溶液をn−ヘキサン300mL中に投入して、ポリマーを沈殿させた。このようにして得られたポリマーをメタノール100mLに溶解させ、これをn−ヘキサン中で再沈殿させた。この操作を3回行った。得られたポリマーを70℃にて減圧乾燥して、重量平均分子量130000の固体状ポリマーを得た。
【0044】
実施例1
(ゲル電解質の調製)
エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート容量比1/2の混合溶媒にテトラフルオロリン酸リチウムを1.4モル/L濃度で溶解させて電解液を調製した。この電解液15g中にスペルミン0.28gとトルエンジイソシアネート0.47gを溶解させ、試料瓶中に溶液Aを調製した。この溶液を50℃で24時間加熱して、均一なゲル電解質を得た。
【0045】
(電池の組み立て)
活物質としてのコバルト酸リチウムと導電助剤としての黒鉛をポリフッ化ビニリデン樹脂からなるバインダーを用いて集電体アルミニウム箔上に塗布して正極を調製し、活物質としての黒鉛をポリフッ化ビニリデン樹脂からなるバインダーを用いて集電体銅箔上に塗布して負極を調製した。
【0046】
ポリエチレン樹脂製多孔質膜(厚み25μm、空孔平均孔径0.1μm、空孔率45%)と上記正極と負極にそれぞれ上記溶液Aを含浸させた後、これら負極、ポリエチレン樹脂製多孔質膜及び正極をこの順序で正負電極板を兼ねる電池缶(2016サイズのコイン電池用電池缶)に仕込み、負極/ポリエチレン樹脂製多孔質膜/正極からなる積層体を缶内で形成して、コイン電池の仕掛品を作製した。次いで、この電池の仕掛品を50℃の恒温器中に24時間投入し、電解液中のスペルミンとトルエンジイソシアネートを反応させ、架橋ポリマーを生成させて、ゲル電解質を形成させ、コイン型リチウムイオン二次電池を作製した。
【0047】
(電池の充放電試験)
この電池について、最初、0.2CmAにて充放電した後(このときの放電容量を初回放電容量という。)、0.2CmAで充放電を50サイクル行って、上記充放電を50サイクル行ったときの放電容量と上記初回放電容量との比から容量保持率を求めた。初回放電容量は2.10mAhであり、容量保持率は92%であった。尚、電池の充放電はすべて25℃の恒温器内で行った。以下においても同じである。
【0048】
実施例2
エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート容量比1/2の混合溶媒にテトラフルオロリン酸リチウムを1.4モル/L濃度で溶解させて電解液を調製した。この電解液15g中にスペルミン0.56gとヘキサメチレンジイソシアネート0.94gを溶解させ、試料瓶中に溶液Bを調製した。この溶液を50℃で24時間加熱して、均一なゲル電解質を得た。
【0049】
上記溶液Bを用いた以外は、実施例1と同様にして、コイン型リチウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同様にして試験した結果、初回放電容量は2.11mAhであり、容量保持率は91%であった。
【0050】
実施例3
エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート容量比1/2の混合溶媒にテトラフルオロリン酸リチウムを1.4モル/L濃度で溶解させて電解液を調製した。この電解液15g中にスペルミン0.28gとアクリルゴム(東亜ペイント(株)製PS220)0.62gと3官能脂肪族ポリイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製コロネートC/HL)0.10gを溶解させ、試料瓶中に溶液Cを調製した。この溶液を50℃で24時間加熱して、均一なゲル電解質を得た。
【0051】
上記溶液Cを用いた以外は、実施例1と同様にして、コイン型リチウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同様にして試験した結果、初回放電容量は2.08mAhであり、容量保持率は93%であった。
【0052】
実施例4
エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート容量比1/2の混合溶媒にテトラフルオロリン酸リチウムを1.4モル/L濃度で溶解させて電解液を調製した。この電解液15g中にスペルミン0.28gと参考例1で得たN,N’−ジエチルアクリルアミド−2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体0.62gと3官能脂肪族ポリイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製コロネートC/HL)0.10gを溶解させ、試料瓶中に溶液Dを調製した。この溶液を50℃で24時間加熱して、均一なゲル電解質を得た。
【0053】
上記溶液Dを用いた以外は、実施例1と同様にして、コイン型リチウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同様にして試験した結果、初回放電容量は2.10mAhであり、容量保持率は91%であった。
【0054】
比較例1
エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート容量比1/2の混合溶媒にテトラフルオロリン酸リチウムを1.4モル/L濃度で溶解させて電解液を調製した。この電解液15g中にポリエチレンイミン(和光純薬工業(株)製、分子量1000)0.50gを溶解させた後、トルエンジイソシアネート0.1gを加えたところ、添加と同時に直ちに混合物が不均一に硬化して、均一なゲル電解質を得ることができなかった。
【0055】
比較例2
エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート容量比1/2の混合溶媒にテトラフルオロリン酸リチウムを1.4モル/L濃度で溶解させて電解液を調製した。この電解液15g中にポリエチレンイミン(和光純薬工業(株)製、分子量1000)0.50gを溶解させた後、ヘキサメチレンジイソシアネート0.1gを加えたところ、添加と同時に直ちに混合物が不均一に硬化して、均一なゲル電解質を得ることができなかった。
【0056】
比較例3
エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート容量比1/2の混合溶媒にテトラフルオロリン酸リチウムを1.4モル/L濃度で溶解させて電解液Eを調製した。
【0057】
上記電解液EDを用いた以外は、実施例1と同様にして、コイン型リチウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同様にして試験した結果、初回放電容量は2.12mAhであり、容量保持率は87%であった。
【0058】
【発明の効果】
本発明によるゲル電解質は、前記ポリアミンと多官能ポリイソシアネートと、必要に応じて、反応性コポリマーとを電解液の存在下に加熱し、反応させて、架橋ポリマーを生成させ、このポリマー中に上記電解液を保持させてなるものである。
【0059】
このようなゲル電解質をリチウムイオン二次電池に用いることによって、電解質として用いられるへキサフルオロリン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム等の種々のリチウム塩から発生するフッ化水素等の酸性不純物に対して高い耐性を有するのみならず、すぐれた特性を有するリチウムイオン二次電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明によるゲル電解質を用いたコイン型二次電池を示す断面図である。
【符号の説明】
1…正極端子を兼ねる正極缶
2…絶縁体
3…負極端子を兼ねる負極缶
4…正極
5…正極集電体
6…負極
7…負極集電体
8…膜状ゲル電解質
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゲル電解質とこれを用いた非水電解質電池に関し、詳しくは、電解質塩とこの電解質塩のための溶媒(即ち、電解液)を特に選択されたある種のポリアミンと多官能ポリイソシアネートとから形成される架橋ポリマーからなるマトリックス中に保持させてなるゲル電解質とこれを用いた非水電解質電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体電解質とは、固体状態でイオン伝導性の高い物質をいい、なかでも、高分子物質を固体として用いる高分子固体電解質は、近年、次世代リチウム二次電池用電解質として、特に、注目されており、世界的に研究が推進されている。
【0003】
このような高分子固体電解質は、従来の電解質溶液に比べて、液漏れのおそれがなく、また、薄膜にすることができる等、その形状も、自由度が大きい。しかしながら、従来、知られている非水系の高分子固体電解質は、電解質溶液に比べて、電導度が著しく低いという問題がある。例えば、従来、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等の鎖状ポリマーやポリフォスファゼン等の櫛型ポリマー等のポリマー材料を電解質塩と複合化してなる非水系高分子固体電解質が知られているが、従来、電導度が室温で10−3S/cmを上回るものは見出されていない。
【0004】
そこで、近年、種々の非水系ゲル状電解質の実用化が研究されており、これによれば、室温において、10−3S/cm以上の電導度を有し、電解質溶液に近いものが提案されている。このようなゲル状電解質は、ポリマーと非水有機溶媒とによって形成されるゲル中に電解質塩を溶解させたものであり、ポリマー又はその前駆体を電解質塩と共に有機溶媒に溶解させた後、固体化(ゲル化)することによって得ることができる。
【0005】
しかしながら、従来より知られているこのようなゲル電解質、例えば、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等のポリエーテル系ポリマーを基材ポリマーとするゲル電解質は、リチウム二次電池等の非水電解質電池への適用においては、電解質塩として用いられているへキサフルオロリン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム等の種々のリチウム塩から発生するフッ化水素等の酸性不純物によって、ゲル状骨格が崩壊し、その形状が維持できなくなって、電池がサイクル特性等に劣るという問題がある。他方、このような酸性不純物の発生が少ない塩を電解質塩として用いるときは、高い伝導度を得ることができないという問題がある。
【0006】
そこで、非水電解液中の上記酸性不純物を除去する方法も、従来、種々提案されている。例えば、酸性不純物を吸着し得る無機粒子を電解液に添加する方法(例えば、特許文献1及び2参照)、アンモニウム塩や水素化リチウム等の塩基性化合物を用いる方法(例えば、特許文献3及び4参照)等が提案されている。しかし、これらの方法に従って、例えば、電解液に無機粒子を配合して電解液を調製することは煩雑であり、また、添加物によっては、電解液をゲル化させることができず、ゲル状電解質が形成させることができない場合もある。
【0007】
他方、ポリエチレンイミン等のポリアミンは、高いイオン伝導性を有するのみならず、電解質として上述したヘキサフルオロリン酸リチウムやテトラフルオロホウ酸リチウム等を用いたときに発生する酸性不純物に対して高い耐性を有するが、しかし、三次元的な架橋ポリマーを形成させる際に、例えば、多官能ポリイソシアネートを用いるときは、イソシアネート基に対するアミノ基の高い反応性のために、多官能ポリイソシアネートと接触すれば直ちに反応して、不均一な架橋構造を形成するので、均一なゲル状組成物を得ることが困難であった。
【0008】
【特許文献1】特開平4−284372号公報
【特許文献2】特開平7−211349号公報
【特許文献3】特開平3−119667号公報
【特許文献4】特開平4−282563号公報
【0009】
【発明が解決しようとする問題点】
本発明者らは、従来の固体電解質における上述したような問題を解決するために鋭意研究した結果、ポリアミンとして、特に選択されたある種のものを用い、これを電解液の存在下に多官能ポリイソシアネートと反応させることによって、従来、知られているポリエチレンイミンのようなポリアミンと相違して、均一なゲル電解質を形成し、しかも、このゲル電解質を用いることによって特性のすぐれた非水ゲル電解質電池を得ることができることを見出して、本発明に至ったものである。従って、本発明は、ポリアミンを一成分とする架橋ポリマーをポリマーマトリックスとし、電池に好適に用いることができるゲル電解質と、これを用いてなる非水電解質電池を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、一般式(I)
【0011】
【化3】
【0012】
(式中、Rはそれぞれ独立に炭素原子数3〜5のアルキレン基を示し、nは0〜3の整数である。)
で表されるポリアミンと多官能ポリイソシアネートとから形成される架橋ポリマーをポリマーマトリックスとし、このポリマーマトリックス中に電解質塩とこの電解質塩のための溶媒を保持させてなることを特徴とするゲル電解質が提供される。
【0013】
また、本発明によれば、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリレート及びグリシジル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステル誘導体をモノマー成分とする反応性コポリマーと一般式(I)
【0014】
【化4】
【0015】
(式中、Rはそれぞれ独立に炭素原子数3〜5のアルキレン基を示し、nは0〜3の整数である。)
で表されるポリアミンと多官能ポリイソシアネートとから形成される架橋ポリマーをポリマーマトリックスとし、このポリマーマトリックス中に電解質塩とこの電解質塩のための溶媒を保持させてなることを特徴とするゲル電解質が提供される。
【0016】
更に、本発明によれば、上記ゲル電解質に多孔質基材を有せしめてなる基材を備えたゲル電解質が提供され、また、そのようなゲル基材を備えた電解質を用いてなる非水電解質電池が提供される。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明によるゲル電解質は、上記一般式(I)で表されるポリアミンと多官能ポリイソシアネートとから形成される架橋ポリマーをポリマーマトリックスとし、このポリマーマトリックス中に電解質塩とこの電解質塩のための溶媒(即ち、電解液)を保持させてなるものである。
【0018】
本発明において、上記アルキレン基は、主鎖が炭素原子を3つ以上有すれば、直鎖状でも分岐鎖状でもよいが、好ましくは、ポリメチレン基であり、例えば、トリメチレン基、テトラメチレン基又はペンタメチレン基のような直鎖状のものである。また、nは、好ましくは、1〜3の整数である。
【0019】
従って、本発明によれば、上記ポリアミンの具体例としては、例えば、スペルミジン、ホモスペルミジン、アミノブチルカタベリン、スペルミン等のように、分子中に第1級アミノ基と第2級アミノ基とを有すると共に、隣接するアミノ基の間に炭素原子数3〜5のポリアルキレン基、好ましくは、ポリメチレン基が介在しているものを挙げることができる。
【0020】
また、本発明において、上記多官能ポリイソシアネートは、芳香族、脂肪族又は芳香脂肪族ポリイソシアネートのいずれでもよく、具体例として、例えば、フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ジフェニルエーテルジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート等のジイソシアネート、これらジイソシアネートの多価アルコール付加体、例えば、トリメチロールプロパン付加体や、イソシアヌレートのような三官能イソシアネートを挙げることができる。
【0021】
更に、本発明によれば、ポリマーマトリックスは、上記ポリアミンと多官能ポリイソシアネートとに加えて、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリレート及びグリシジル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステル誘導体をモノマー成分とする反応性コポリマーとから形成される架橋ポリマーからなるものでもよい。
【0022】
上記(メタ)アクリル酸エステル誘導体のうち、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等を挙げることができ、アミノアルキル(メタ)アクリレートとしては、例えば、2−アミノエチル(メタ)アクリレート、3−アミノプロピル(メタ)アクリレート等を挙げることができ、また、グリシジル(メタ)アクリレートとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート等を挙げることができる。しかし、本発明によれば、これらのなかでも、特に、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが好ましく用いられる。ここに、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はメタクリレートを意味するものとする。
【0023】
本発明によれば、上記反応性コポリマーは、好ましくは、上記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アミノアルキル(メタ)アクリレート及びグリシジル(メタ)アクリレートから選ばれる少なくとも1種の(メタ)アクリル酸エステル誘導体からなるモノマーを(メタ)アクリル酸アルキルエステルとN,N−ジアルキル(メタ)アクリルアミドから選ばれる少なくとも1種のモノマーと共重合させて得られるコポリマーである。
【0024】
上記(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸へキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ステアリル等を挙げることができる。
【0025】
また、上記(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−n−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−エチルヘキシル)(メタ)アクリルアミド、N−イソオクチル(メタ)アクリルアミド、N−イソノニル(メタ)アクリルアミド、N−デシル(メタ)アクリルアミド、N−(メタ)アクリロイルモルホリン、N−(メタ)アクリロイルピロリドン、N−(メタ)アクリロイルピペリジン、N−(メタ)アクリロイルピロリジン、N−(メタ)アクリロイルピペラジン、N−(メタ)アクリロイル−4−ピペリドン等を挙げることができる。ここに、(メタ)アクリルアミドはアクリルアミド又はメタクリルアミドを意味し、また、(メタ)アクリロイルはアクリロイル又はメタクリロイルを意味するものとする。
【0026】
本発明によれば、ゲル電解質は、上述したようなポリアミンと多官能ポリイソシアネート(と上記反応性コポリマー)とから形成される架橋ポリマーをポリマーマトリックスとし、このポリマーマトリックス中に電解質塩とこの電解質塩のための溶媒(即ち、電解液)が保持されている。
【0027】
この電解質塩としては、特に限定されるものではないが、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム等の過塩素酸アルカリ金属、テトラフルオロホウ酸リチウム、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、テトラフルオロホウ酸カリウム等のテトラフルオロホウ酸アルカリ金属、ヘキサフルオロリン酸リチウム、ヘキサフルオロリン酸カリウム等のへキサフルオロリン酸アルカリ金属、トリフルオロ酢酸リチウム等のトリフルオロ酢酸アルカリ金属、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム等のトリフルオロメタンスルホン酸アルカリ金属等を挙げることができる。
【0028】
本発明において、上記電解質塩のための非水有機溶媒としては、用いる電解質塩を溶解するものであれば、特に制約を受けることなく、適宜に選ばれるが、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン等の環状エステル類、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状エステル類等を挙げることができる。これらは、単独で、又は2種以上の混合物として用いることができる。
【0029】
本発明によるゲル電解質において、前記ポリマーマトリックスの割合は、用いる電解質塩や溶媒に応じて、これらの混合物がゲル電解質を形成するように、適宜に決定されるが、通常、得られるゲル電解質の0.1〜50重量%の範囲であり、好ましくは、1〜20重量%の範囲である。
【0030】
他方、電解質塩の割合は、それ自体のみならず、用いるポリマーマトリックスや溶媒に応じて、適宜に決定されるが、通常、得られるゲル電解質の1〜20重量%の範囲である。
【0031】
本発明によるゲル電解質は、例えば、前記ポリアミンと多官能ポリイソシアネート(と前記反応性コポリマー)(以下、これを反応性成分という。)を電解液に溶解させ、得られた溶液(以下、これをドープ液という。)を加熱することによって得ることができる。その理由は、必ずしも明確ではないが、本発明において用いる前記ポリアミンのアミノ基は、ポリエチレンイミンにおけるアミノ基のように、イソシアネート基に対して高い反応性を有しておらず、従って、上記ドープ液を加熱すれば、緩慢に反応して、反応終了後に均一なゲル電解質を与える。
【0032】
また、本発明によるゲル電解質は、例えば、上記ドープ液をガラス等のような適宜の基材上にキャスティングした後、加熱することによって、それ自体からなるフィルム状ゲル電解質を得ることができる。
【0033】
同様に、本発明によるゲル電解質は、これに不織布、多孔質膜、割布、メッシュ等の基材を有せしめて、基材を備えた膜状ゲル電解質とすることができる。特に、本発明による基材を備えたゲル電解質は、電池やコンデンサにおける固体電解質として用いる場合に、電極間の短絡を防ぐために、上記基材をセパレータとする膜状ゲル電解質として好適に用いることができる。上記基材としては、電極間のイオンの移動を阻害しないように、多孔質膜を用いることが好ましい。このような多孔質膜としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン樹脂からなる多孔質膜が好ましく用いられる。
【0034】
このような基材を備えたゲル電解質は、種々の方法によって得ることができる。例えば、上記ドープ液適宜の基材に含浸させた後、加熱して、前記反応性成分を反応させ、架橋ポリマーを生成させ、この架橋ポリマーからなるマトリックス中に上記電解液を保持したゲルを形成させることによって、基材を備えた膜状ゲル電解質を得ることができる。
【0035】
このような基材を備えた膜状ゲル電解質は、例えば、電池やコンデンサの製造に好適に用いることができる。例えば、第一の方法として、電極と基材多孔質膜とを積層し、又は捲回して、電気化学素子とし、これを電池の電極板を兼ねる電池缶に装入する。次に、前記ドープ液を上記電池缶中に注入し、上記基材多孔質膜に含浸させた後、加熱して、電解液の存在下に前記反応性成分を反応させ、架橋ポリマーを生成させて、これをポリマーマトリックスとする均一なゲル電解質を形成させれば、膜状ゲル電解質を含む電池を得ることができる。
【0036】
第二の方法としては、基材多孔質膜に予め反応性成分を担持させ、これを電極と積層し、又は捲回して、電気化学素子とし、これを電池の電極板を兼ねる電池缶に装入する。次に、電解液を上記電池缶中に注入し、この電解液を上記多孔質膜に含浸させて、基材多孔質膜に担持させた上記反応性成分をこの電解液に溶解させた後、加熱して、電解液の存在下にこれらを反応させ、架橋ポリマーを生成させて、これをポリマーマトリックスとする均一なゲル電解質を形成させれば、膜状ゲル電解質を含む電池を得ることができる。
【0037】
第三の方法として、基材多孔質膜に予め前記反応性成分の一部、例えば、ポリアミン(又は多官能ポリイソシアネート)と(必要に応じて、前記反応性コポリマー)を担持させ、これを電極と積層し、又は捲回して、電気化学素子とし、これを電池の電極板を兼ねる電池缶に装入する。次に、前記反応性成分の残余、例えば、多官能ポリイソシアネート(又は前記ポリアミン)と(必要に応じて、前記反応性コポリマー)を溶解させた電解液を上記電池缶中に注入し、この電解液を上記多孔質膜に含浸させて、基材多孔質膜に担持させた前記ポリアミン(又は多官能ポリイソシアネート)と(必要に応じて、前記反応性コポリマー)をこの電解液に溶解させた後、加熱して、これらを電解液の存在下に反応させ、架橋ポリマーを生成させて、これをポリマーマトリックスとする均一なゲル電解質を形成させれば、膜状ゲル電解質を含む電池を得ることができる。
【0038】
上述した第二又は第三の方法において、前記反応性成分の全部又は一部を基材多孔質膜に担持させるには、例えば、反応性成分の全部又は所要のその一部を適宜の溶剤に溶解させ、基材多孔質膜に含浸させた後、担持させた成分の間に反応性がある場合には、そのような反応が起こらないように、必要に応じて、加熱して、溶剤を揮散させればよい。
【0039】
更に、別の方法として、上記ドープ液を基材多孔質膜に含浸させると共に、電解液を電極(正極及び負極)に含浸させた後、これらを電池缶に装入して、電池缶内にて、例えば、負極/基材多孔質膜/正極からなる積層体を形成して、電池仕掛品を作製する。次に、これを加熱して、電解液の存在下に上記基材多孔質膜に含浸させた前記反応性成分を反応させ、架橋ポリマーを生成させて、これをポリマーマトリックスとする均一なゲル電解質を形成させれば、膜状ゲル電解質を含む電池を得ることができる。上述した方法によって、コンデンサも同様にして得ることができる。
【0040】
図1は、このような基材を備えた膜状ゲル電解質を用いるコイン型リチウム二次電池の縦断面図である。このリチウム二次電池においては、正極端子を兼ねる正極缶1は、例えば、ニッケルめっきを施したステンレス鋼板からなり、絶縁体2を介して、この正極缶と絶縁された負極端子を兼ねる負極缶3と組合わされて、電池缶(容器)を構成している。負極缶も、例えば、ニッケルめっきを施したステンレス鋼板からなる。
【0041】
このようにして形成される電池缶の内部には、正極4が正極集電体5を介して正極缶に接触して配設されている。正極4は、例えば、リチウムコバルト複合酸化物やリチウムマンガン複合酸化物のような正極活物質と黒鉛のような導電性物質をポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデンのような結着樹脂と混合し、これを加圧成形して得ることができる。同様に、負極6が負極集電体7を介して負極缶に接触して配設されている。負極は、例えば、リチウム板からなる。これら正極と負極との間に、本発明による基材を備えた膜状ゲル電解質8が配設されて、電池を構成している。かくして、このような電池によれば、その正極缶と負極缶を端子として電気エネルギーを取り出すことができる。
【0042】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。以下において、「部」を重量部を示す。
【0043】
参考例1
(N,N−ジエチルアクリルアミド−2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体の合成)
シクロヘキサノン67部、N,N−ジエチルアクリルアミド30部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート3部及び2,2−アゾビスイソブチロニトリル0.01部からなる混合物を四つ口フラスコに仕込み、窒素置換した後、100℃に加温して、溶液重合を開始させ、その後、同じ温度で3時間重合させた。反応終了後、得られたポリマー溶液をn−ヘキサン300mL中に投入して、ポリマーを沈殿させた。このようにして得られたポリマーをメタノール100mLに溶解させ、これをn−ヘキサン中で再沈殿させた。この操作を3回行った。得られたポリマーを70℃にて減圧乾燥して、重量平均分子量130000の固体状ポリマーを得た。
【0044】
実施例1
(ゲル電解質の調製)
エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート容量比1/2の混合溶媒にテトラフルオロリン酸リチウムを1.4モル/L濃度で溶解させて電解液を調製した。この電解液15g中にスペルミン0.28gとトルエンジイソシアネート0.47gを溶解させ、試料瓶中に溶液Aを調製した。この溶液を50℃で24時間加熱して、均一なゲル電解質を得た。
【0045】
(電池の組み立て)
活物質としてのコバルト酸リチウムと導電助剤としての黒鉛をポリフッ化ビニリデン樹脂からなるバインダーを用いて集電体アルミニウム箔上に塗布して正極を調製し、活物質としての黒鉛をポリフッ化ビニリデン樹脂からなるバインダーを用いて集電体銅箔上に塗布して負極を調製した。
【0046】
ポリエチレン樹脂製多孔質膜(厚み25μm、空孔平均孔径0.1μm、空孔率45%)と上記正極と負極にそれぞれ上記溶液Aを含浸させた後、これら負極、ポリエチレン樹脂製多孔質膜及び正極をこの順序で正負電極板を兼ねる電池缶(2016サイズのコイン電池用電池缶)に仕込み、負極/ポリエチレン樹脂製多孔質膜/正極からなる積層体を缶内で形成して、コイン電池の仕掛品を作製した。次いで、この電池の仕掛品を50℃の恒温器中に24時間投入し、電解液中のスペルミンとトルエンジイソシアネートを反応させ、架橋ポリマーを生成させて、ゲル電解質を形成させ、コイン型リチウムイオン二次電池を作製した。
【0047】
(電池の充放電試験)
この電池について、最初、0.2CmAにて充放電した後(このときの放電容量を初回放電容量という。)、0.2CmAで充放電を50サイクル行って、上記充放電を50サイクル行ったときの放電容量と上記初回放電容量との比から容量保持率を求めた。初回放電容量は2.10mAhであり、容量保持率は92%であった。尚、電池の充放電はすべて25℃の恒温器内で行った。以下においても同じである。
【0048】
実施例2
エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート容量比1/2の混合溶媒にテトラフルオロリン酸リチウムを1.4モル/L濃度で溶解させて電解液を調製した。この電解液15g中にスペルミン0.56gとヘキサメチレンジイソシアネート0.94gを溶解させ、試料瓶中に溶液Bを調製した。この溶液を50℃で24時間加熱して、均一なゲル電解質を得た。
【0049】
上記溶液Bを用いた以外は、実施例1と同様にして、コイン型リチウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同様にして試験した結果、初回放電容量は2.11mAhであり、容量保持率は91%であった。
【0050】
実施例3
エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート容量比1/2の混合溶媒にテトラフルオロリン酸リチウムを1.4モル/L濃度で溶解させて電解液を調製した。この電解液15g中にスペルミン0.28gとアクリルゴム(東亜ペイント(株)製PS220)0.62gと3官能脂肪族ポリイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製コロネートC/HL)0.10gを溶解させ、試料瓶中に溶液Cを調製した。この溶液を50℃で24時間加熱して、均一なゲル電解質を得た。
【0051】
上記溶液Cを用いた以外は、実施例1と同様にして、コイン型リチウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同様にして試験した結果、初回放電容量は2.08mAhであり、容量保持率は93%であった。
【0052】
実施例4
エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート容量比1/2の混合溶媒にテトラフルオロリン酸リチウムを1.4モル/L濃度で溶解させて電解液を調製した。この電解液15g中にスペルミン0.28gと参考例1で得たN,N’−ジエチルアクリルアミド−2−ヒドロキシエチルメタクリレート共重合体0.62gと3官能脂肪族ポリイソシアネート(日本ポリウレタン工業(株)製コロネートC/HL)0.10gを溶解させ、試料瓶中に溶液Dを調製した。この溶液を50℃で24時間加熱して、均一なゲル電解質を得た。
【0053】
上記溶液Dを用いた以外は、実施例1と同様にして、コイン型リチウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同様にして試験した結果、初回放電容量は2.10mAhであり、容量保持率は91%であった。
【0054】
比較例1
エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート容量比1/2の混合溶媒にテトラフルオロリン酸リチウムを1.4モル/L濃度で溶解させて電解液を調製した。この電解液15g中にポリエチレンイミン(和光純薬工業(株)製、分子量1000)0.50gを溶解させた後、トルエンジイソシアネート0.1gを加えたところ、添加と同時に直ちに混合物が不均一に硬化して、均一なゲル電解質を得ることができなかった。
【0055】
比較例2
エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート容量比1/2の混合溶媒にテトラフルオロリン酸リチウムを1.4モル/L濃度で溶解させて電解液を調製した。この電解液15g中にポリエチレンイミン(和光純薬工業(株)製、分子量1000)0.50gを溶解させた後、ヘキサメチレンジイソシアネート0.1gを加えたところ、添加と同時に直ちに混合物が不均一に硬化して、均一なゲル電解質を得ることができなかった。
【0056】
比較例3
エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート容量比1/2の混合溶媒にテトラフルオロリン酸リチウムを1.4モル/L濃度で溶解させて電解液Eを調製した。
【0057】
上記電解液EDを用いた以外は、実施例1と同様にして、コイン型リチウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同様にして試験した結果、初回放電容量は2.12mAhであり、容量保持率は87%であった。
【0058】
【発明の効果】
本発明によるゲル電解質は、前記ポリアミンと多官能ポリイソシアネートと、必要に応じて、反応性コポリマーとを電解液の存在下に加熱し、反応させて、架橋ポリマーを生成させ、このポリマー中に上記電解液を保持させてなるものである。
【0059】
このようなゲル電解質をリチウムイオン二次電池に用いることによって、電解質として用いられるへキサフルオロリン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム等の種々のリチウム塩から発生するフッ化水素等の酸性不純物に対して高い耐性を有するのみならず、すぐれた特性を有するリチウムイオン二次電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】は、本発明によるゲル電解質を用いたコイン型二次電池を示す断面図である。
【符号の説明】
1…正極端子を兼ねる正極缶
2…絶縁体
3…負極端子を兼ねる負極缶
4…正極
5…正極集電体
6…負極
7…負極集電体
8…膜状ゲル電解質
Claims (4)
- 多孔質基材を有する請求項1又は2に記載のゲル電解質。
- 請求項1から3のいずれかに記載のゲル電解質を用いてなる非水電解質電池。
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2003
- 2003-01-06 JP JP2003000059A patent/JP2004214041A/ja active Pending
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