JP4379966B2 - リチウム電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はリチウム電池に関するもので、さらに詳しくは、リチウム電池に用いるゲル電解質の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話、PHS、小型パーソナルコンピュータなどの携帯機器類は、エレクトロニクス技術の進展に伴って小型化、軽量化が著しく、これらの機器類に用いられる電源としての電池においても小型化、軽量化が求められるようになってきている。
【0003】
このような用途に期待できる電池の1つとしてリチウム電池があるが、既に実用化されているリチウム一次電池に加えて、リチウム二次電池の実用化、高容量化、長寿命化のための研究が進められている。
【0004】
上記した種々のリチウム電池はいずれも円筒形あるいは角形が中心である。一方、リチウム一次電池においては固体電解質を用い、プリント技術を応用した製法により、薄形形状のものも実用化されている。このような技術を応用し、リチウム二次電池やリチウムイオン二次電池においても、固体またはゲル状電解質を用いた薄形形状の電池の実用化のために、従来より各種の研究開発がなされている。
【0005】
円筒形あるいは角形リチウム二次電池の場合、正極、負極、およびセパレータからなる極群を円筒形あるいは角形の電槽に挿入した後、液体状の電解液を注液するという工程を経て作製される。これに対し、固体電解質リチウム二次電池においては、正極と負極を固体あるいはゲル状の電解質を介して対向させた後、パッキングする方法で作製される。しかし、このような固体電解質電池は、円筒形あるいは角形電池に比較して、ハイレート充放電性能やサイクル寿命が短いという欠点があった。
【0006】
この原因として、以下のような要因が挙げられる。すなわち、円筒形あるいは角形電池の場合、液体状の電解液を注液するため、電極およびセパレータ中のリチウムイオン伝導度が、一般に電池作動に必要なレベルと言われる1×10-3S/cmオーダーの確保が容易であり、リチウムイオンの拡散速度も速い。これに対し、固体電解質電池の場合、電解質が固体のため、リチウムイオン伝導度が液系に比較して低くならざるを得ず、多量の有機溶媒を加えてゲル状にし、イオン伝導度を向上させたゲル電解質であっても、1×10-3S/cmオーダーのイオン伝導度は確保できるが、リチウムイオンの拡散速度は遅いという欠点があった。
【0007】
リチウムイオン伝導度を向上させたゲル電解質の実例として、ポリエチレンオキサイドをポリマー骨格に用い、これにリチウム塩および有機溶媒からなる電解液を加えたゲル電解質が挙げられる。固体でありながらリチウムイオン伝導性を有するポリエチレンオキサイドをポリマー骨格に用い、リチウム塩や有機溶媒との混合比を規定することにより、現在までに液系電解質に匹敵する1×10-3S/cmオーダーのリチウムイオン伝導度を実現しており、このゲル電解質を用いたリチウム電池は、ほぼ実用化レベルに至っている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記したようなポリエチレンオキサイドに代表されるゲル電解質を用いたリチウム電池は、ローレート放電時には充分な電池性能を示すが、ハイレート放電時には、今なおリチウムイオンの拡散速度が遅いため、リチウムイオンがスムーズに移動できず、電池性能を充分なレベルに保持することが困難であるという問題点があった。
【0009】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、特殊な製造工程などを必要としなくてもセパレータ中のゲル電解質のイオン伝導度を1×10-3S/cmオーダーに保持し、ゲル電解質中のリチウムイオンのスムーズな移動を実現することにより、ハイレート放電時にも電池性能を充分なレベルに保持し、長寿命で安定した電池性能を得ることができるリチウム電池を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明の第1は、電極活物質と、エチレンオキサイド構造を有するポリマーとリチウム塩と有機溶媒からなるゲル電解質とを少なくとも含む、正極および負極を、エチレンオキサイド構造及びプロピレンオキサイド構造を有するポリマーとリチウム塩と有機溶媒からなるゲル電解質を含むセパレータを介して対向させたリチウム電池において、前記セパレータ中のゲル電解質に用いる前記ポリマーは、前記正極および負極のゲル電解質に用いる前記ポリマーに比べて、電解液との親和性が高いエチレンオキサイド構造及びプロピレンオキサイド構造の比率が高く、且つ、前記セパレータ、正極および負極に含まれるポリマー濃度が、以下の範囲内であることを特徴とするリチウム電池である。
【0011】
7≦(Cs+Cp+Cn)/3≦20
ただし、Cs=セパレータ中のゲル電解質に含まれるポリマーの重量パーセント
Cp=正極中のゲル電解質に含まれるポリマーの重量パーセント
Cn=負極中のゲル電解質に含まれるポリマーの重量パーセント
本発明の第2は、前記セパレータ中に含まれるポリマーの架橋密度が、前記正極および負極の内の少なくとも一方に含まれるポリマーの架橋密度よりも低いことを特徴するリチウム電池である。
【0013】
【作用】
本発明により、以下のような作用が期待できる。一般に、ゲル電解質中のポリマー濃度が低いほどゲル電解質の性能は、ポリマーの性能よりも液体状の電解液の性能に支配される割合が高くなるため、ゲル電解質中のイオン伝導度は高くなり、リチウムイオンの拡散速度も速くなる。従って、電池に使用する場合、ポリマー濃度が低いゲル電解質を使用するほど充放電中のリチウムイオンが移動しやすく、充放電性能に優れた電池が得られることは容易に予想される。一方、電極中のポリマーには、ポリマーのネットワークにより活物質粒子を結着し、充放電反応による膨張収縮を抑制するバインダーとしての機能も期待される。そのため、電極中のポリマー濃度はある一定以上の濃度が必要となる。そこで、電池として必要なイオン伝導度やリチウムイオンの拡散速度を保持するための1つの手段として、電極中のポリマー濃度がある一定以上高い場合、セパレータ中のポリマー濃度を低くすることにより、電池としての充放電性能を維持することが可能となる。また、第2の方法として、電極中のポリマー骨格に電解液との親和性の低いものを用いることにより、電極中のゲル電解質のイオン伝導度やリチウムイオンの拡散速度を高め、電池としての充放電性能を維持することが可能となる。
【0014】
従って、第1に、セパレータ中のゲル電解質組成と、正極および負極のうちの少なくとも一方のゲル電解質組成とが異なるものであって、前記セパレータ、正極および負極に含まれるポリマー濃度を本発明に示す範囲内に規定することにより、電池系内の電解質中のリチウムイオンの移動がスムーズに行われ、充放電中の電極への充分なリチウムイオンの供給を実現することができる。このときのゲル電解質組成とは、ポリマー骨格の種類、ポリマーの架橋密度、ポリマーとそれ以外の電解質成分との混合比のいずれかを意味する。
【0015】
なお、本発明において、セパレータ、正極および負極に含まれるポリマー濃度を本発明に示す範囲内に規定するにあたり、セパレータ、正極および負極に含まれるポリマー濃度を、各々個別に規定するものではないが、電池としての充放電性能を維持する上では、5〜25重量パーセントの範囲内とすることにより、ハイレート放電時にも電池性能を充分なレベルに保持し、長寿命で安定した電池性能を得ることができる。特に、ポリマー濃度は低い方が電池としての充放電性能を維持する上では望ましいが、5重量パーセント以下になると、漏液などの問題が発生し、望ましくない。
【0016】
また第2に、セパレータ中に含まれるポリマーの架橋密度を、正極および負極のうちの少なくとも一方に含まれるポリマーの架橋密度よりも低くすることにより、上記効果をより効果的に得ることができる。
【0017】
さらに第3に、セパレータ中に含まれるゲル電解質が、リチウム塩と、有機溶媒と、リチウム塩を有機溶媒に溶解してなる電解液に対して親和性が高い構造を主に有するポリマーとからなるものとすることにより、セパレータ中のポリマー濃度を低くした場合や、電極中のポリマー骨格に電解液との親和性の低いものを用いた場合にも、セパレータ中のポリマー骨格が電解液と容易にゲル化し、かつ、電池反応の進行に充分な電解液を保持することができる上、電池としての充放電性能を維持することができる。その結果、安定した電池性能が得られるだけでなく、漏液などの危険性もない。
【0018】
従って、本発明は、以上の作用が相乗的に得られるため、信頼性に優れ、かつ、初期容量やハイレート充放電性能、サイクル寿命などに優れたリチウム電池を容易に提供することができるものである。
【0019】
【実施例】
以下に本発明の詳細について、実施例に基づき説明する。
【0020】
図1に本発明のリチウム電池の断面図を示す。
【0021】
図1において、1は正極活物質であるコバルト酸リチウムを主成分とした正極合剤であり、アルミ箔からなる正極集電体3上に塗布されてなる。また、2は負極活物質であるカーボンを主成分とした負極合剤であり、銅箔からなる負極集電体4上に塗布されてなる。また、前記正極合剤1と負極合剤2は、ゲル電解質からなるセパレータ5を介して積層されている。さらに、このようにして積層した極群をアルミラミネートフィルム6で覆い、四方を熱溶着により封止し、リチウム電池としたものである。
【0022】
次に、上記構成のリチウム電池の製造方法を説明する。はじめに、正極合剤1は以下のようにして得た。まず、正極活物質であるコバルト酸リチウムと、導電剤であるアセチレンブラックを混合し、さらに結着剤としてポリフッ化ビニリデンのN−メチル−2−ピロリドン溶液を混合したものを正極集電体3であるアルミ箔上に塗布した後、乾燥し、合剤厚みが0.1mmとなるようにプレスすることにより、正極活物質シートを得た。次に、γ−ブチロラクトン1リットルに2モルのLiBF4 を溶解した電解液に化1で示される構造を持つアクリレートモノマーを混合した電解質溶液を作製した。このとき、電解液とアクリレートモノマーの混合比は、電解液が95重量パーセント、アクリレートモノマーが5重量パーセントとした。これに前記正極活物質シートを浸漬し、電解質溶液を含浸した。続いて、電解質溶液から正極活物質シートを取り出し、電子線照射によりモノマーを重合させてポリマーを形成させた。以上の工程により正極合剤1を得た。従って、本発明電池A1における正極中ゲル電解質に含まれるポリマーの重量パーセントは、Cp=5である。また、負極合剤2は負極活物質であるカーボンを用い、負極集電体4に銅箔を用いる以外は前記正極合剤1と同様の方法により得た。従って、本発明電池A1における負極中ゲル電解質に含まれるポリマーの重量パーセントは、Cn=5である。
【0023】
【化1】
【0024】
一方、セパレータ5は以下のようにして得た。まず、有機溶媒としてのγ−ブチロラクトン1リットルに2モルのリチウム塩であるLiBF4 を溶解した電解液に、化2で示される構造を持つ3官能アクリレートモノマーを混合した電解質溶液を作製した。このとき、電解液とアクリレートモノマーの混合比は、電解液が75重量パーセント、アクリレートモノマーが25重量パーセントとした。これを正極合剤1上に塗布した後、電子線照射によりモノマーを重合させてポリマーを形成させ、ゲル状の電解質とした。以上の工程によりセパレータ5を得た。従って、本発明電池A1におけるセパレータ中ゲル電解質に含まれるポリマーの重量パーセントは、Cs=25である。
【0025】
【化2】
【0026】
以上のような原料および製法により作製した容量10mAhのリチウム電池を、本発明電池A1とした。なお、本発明電池A1におけるゲル電解質の(Cs+Cp+Cn)/3値は、11.7である。
【0027】
また、正極合剤1および負極合剤2に用いる電解質とセパレータ5に用いる電解質に表1に示すものを用い、その他の条件は本発明電池A1と同一の原料および製法により、容量10mAhのリチウム電池を作製し、本発明電池A2〜A6および比較電池B1〜B4とした。
【0028】
【表1】
【0029】
なお、本発明電池A1〜A6および比較電池B1〜B4に用いた、セパレータおよび正、負極のゲル電解質のリチウムイオン伝導度は、少なくとも20℃付近では全て1×10-3S/cmオーダーを保持しており、また、低温下でもそれほど大きな温度依存性は示さないことから、これらの電解質を用いた本発明電池A1〜A6および比較電池B1〜B4のいずれも、少なくとも常温低レート充放電時の初期容量は、設計容量近くの性能が得られると予想される。
【0030】
そこでまず、これらの本発明電池A1〜A6および比較電池B1〜B4について、各種電流値で放電を行い、その結果得られた放電電流と放電容量の関係を図2に示す。なお、試験条件は、20℃の温度下で1mA(0.1CmA相当)の電流で終止電圧4.2Vまで充電した後、各種電流で終止電圧2.7Vまで放電したものであり、放電容量は1mAの電流で放電したときに得られた容量を100としたときのパーセントで示している。なお、本発明電池A1〜A6および比較電池B1〜B4のいずれも、放電電流1mAでの放電容量は、設計容量のほぼ100%が得られた。
【0031】
図2から、放電電流10mAでは、比較電池B1〜B4は放電電流1mAでの放電容量の30〜60%程度の放電容量しか得られないのに対し、本発明電池A1〜A6では放電電流10mAでも設計容量の85〜95%の放電容量が得られることが分かった。
【0032】
この原因として、以下の要因が考えられる。まず、本発明電池A1〜A6では、セパレータ中のゲル電解質中のポリマー骨格と正極および負極中のゲル電解質中のポリマー骨格が異なり、かつ、セパレータおよび電極中のゲル電解質の平均ポリマー濃度が、10〜20重量パーセントの範囲内にある。従って、本発明電池A1〜A6では、ゲル電解質中のリチウムイオンのスムーズな移動を実現することができており、ハイレート放電時にも正極側のリチウムイオンが十分供給されるため、放電容量が十分得られると考えられる。
【0033】
しかし、比較電池B1〜B4では、本発明電池A1〜A4同様セパレータ中のゲル電解質中のポリマー骨格と正極および負極中のゲル電解質中のポリマー骨格が異なるにもかかわらず、期待されるような性能改善は見られない。これは、セパレータ中もしくは電極中ゲル電解質のいずれかに含まれるポリマー濃度が、高すぎるもしくは低すぎることにより、セパレータおよび電極中のゲル電解質の(Cs+Cp+Cn)/3値が、7〜20の範囲内にないことに起因するものと思われる。ポリマー濃度が高すぎると、イオン伝導度が低くなることから、リチウムイオンの移動が困難となり、充分な電池性能が得られない原因となる。また逆に、ポリマー濃度が低すぎると、リチウムイオンの移動は容易だが、ゲル電解質の電解液保持力が不足し、電池内で電解液が遊離してしまい、結果的に極群内の電解液が不足して充分な電池性能が得られない原因となる。
【0034】
以上の結果より、セパレータ中のゲル電解質中のポリマー骨格と正極および負極中のゲル電解質中のポリマー骨格を異なるものとした上で、セパレータおよび電極中のゲル電解質の(Cs+Cp+Cn)/3値を7〜20の範囲内に規定することにより、ゲル電解質中のリチウムイオンのスムーズな移動を実現することができることが分かった。特に、セパレータおよび電極中に含まれるゲル電解質のポリマー濃度を、5〜25重量パーセントとすることにより、リチウムイオンのスムーズな移動を最適に実現できることが分かった。
【0035】
さらに、これらの本発明電池の内A5、A6、および比較電池B1、B2について、充放電サイクル試験を行い、その結果得られたサイクル数と放電容量の関係を図3に示す。なお、試験条件は、20℃の温度下で2mAの電流で終止電圧4.2Vまで充電した後、2mAの電流で終止電圧2.7Vまで放電したものであり、放電容量は正極の設計容量を100としたときのパーセントで示している。
【0036】
図3から、本発明電池A5、A6および比較電池B1、B2のいずれも、充放電初期は設計容量の90%以上が得られており、いずれの電解質の組み合わせを用いても充放電初期においては良好に作動することが分かる。しかし、比較電池B1、B2はサイクルを経過すると徐々に容量が低下し、比較電池B2は150サイクル目には50%を、比較電池B1は300サイクル目には設計容量の50%を下回る。これに対し、本発明電池A5、A6は充放電初期より設計容量のほぼ100%が得られるだけでなく、さらに300サイクル経過後も若干の容量低下が見られるが、設計容量の80%以上の容量が保持されることが分かった。
【0037】
この原因として、以下の要因が考えられる。まず、電極中のゲル電解質が化1で示される構造を持つ2官能アクリレートモノマーを重合させたポリマーを用いており、エチレンオキサイド構造の他に比較的電解液との親和性の低いポリマー骨格を有するのに対し、セパレータ中のゲル電解質が、化2で示される構造を持つ3官能アクリレートモノマーを重合させたポリマーを用いたものである。すなわち、ポリマー骨格が電解液との親和性が高いエチレンオキサイド構造およびプロピレンオキサイド構造を高い比率で有し、3次元網目構造を持っているため、電解液と容易にゲル化し、かつ、電池反応の進行に充分な電解液を保持することができる上、機械的強度に優れたゲル電解質である。そのため、充放電時にリチウムイオンおよび電解液の移動が繰り返し起こっても、セパレータ中に十分なリチウムイオンおよび電解液が保持され、安定した電池性能が得られるだけでなく、漏液などの危険性もない。その上、電極中のゲル電解質に用いている化1で示される構造を持つ2官能アクリレートモノマーを重合させたポリマーに比較して、化2で示される構造を持つ3官能アクリレートモノマーを重合させたポリマーは重合基間の距離が大きく、ポリマーの架橋密度は低いものとなっている。従って、ポリマーと溶媒および支持塩との相互作用が強いと一般に考えられるエチレンオキサイド構造およびプロピレンオキサイド構造を有しているにも関わらず、セパレータ部分の抵抗上昇は抑制され、安定した電池性能が得られる。
【0038】
一方、電極中においては、電解液の保持能力よりもイオンの動きやすさが優先されるため、電解液との親和性が高いポリマーを用いるとイオンが拘束され、移動が制限される。
【0039】
これに加えて、本発明電池A5、A6では、上記と同じく、セパレータおよび電極中のゲル電解質の(Cs+Cp+Cn)/3値が、7〜20の範囲内となっているため、ゲル電解質中のリチウムイオンの移動がスムーズに実現できていると考えられる。そのため、本発明電池A5、A6では、充放電サイクル進行後もセパレータ中に十分なリチウムイオンおよび電解液が保持され、サイクル進行による容量の低下が抑制されるものと考えられる。
【0040】
【発明の効果】
上記したとおりであるから、本発明によれば、特殊な製造工程などを必要としなくても初期容量およびハイレート充放電性能、サイクル寿命に優れたリチウム電池を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリチウム電池の断面図である。
【図2】本発明電池A1〜A6、比較電池B1〜B4について、各種電流値で放電を行ったときの放電電流と放電容量の関係を示した図である。
【図3】本発明電池A5、A6、比較電池B1、B2について、充放電サイクル試験を行ったときのサイクル数と放電容量の関係を示した図である。
【符号の説明】
1 正極合剤
2 負極合剤
5 セパレータ
Claims (2)
- 電極活物質と、エチレンオキサイド構造を有するポリマーとリチウム塩と有機溶媒からなるゲル電解質とを少なくとも含む、正極および負極を、エチレンオキサイド構造及びプロピレンオキサイド構造を有するポリマーとリチウム塩と有機溶媒からなるゲル電解質を含むセパレータを介して対向させたリチウム電池において、前記セパレータ中のゲル電解質に用いる前記ポリマーは、前記正極および負極のゲル電解質に用いる前記ポリマーに比べて、電解液との親和性が高いエチレンオキサイド構造及びプロピレンオキサイド構造の比率が高く、且つ、前記セパレータ、正極および負極に含まれるポリマー濃度が、以下の範囲内であることを特徴とするリチウム電池。
7≦(Cs+Cp+Cn)/3≦20
ただし、Cs=セパレータ中のゲル電解質に含まれるポリマーの重量パーセント
Cp=正極中のゲル電解質に含まれるポリマーの重量パーセント
Cn=負極中のゲル電解質に含まれるポリマーの重量パーセント - 前記セパレータ中に含まれるポリマーの架橋密度が、前記正極および負極のうちの少なくとも一方に含まれるポリマーの架橋密度よりも低いことを特徴とする請求項1記載のリチウム電池。
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