JP4156420B2 - ゲル電解質とその製造方法とその利用 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゲル電解質とその製造方法に関し、詳しくは、例えば、電池やコンデンサにおいて好適に用いることができるゲル電解質とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体電解質とは、固体状態でイオン伝導性の高い物質をいい、なかでも、高分子物質を固体として用いる高分子固体電解質は、近年、次世代リチウム二次電池用電解質として、特に注目されており、世界的に研究が推進されている。
【0003】
このような高分子固体電解質は、従来の電解質溶液に比べて、液漏れのおそれがなく、また、薄膜にすることができる等、その形状も、自由度が大きい。しかしながら、従来、知られている高分子固体電解質は、液状電解質、即ち、電解液に比べて、電導度が著しく低いという問題点がある。例えば、従来、ポリエチレングリコールやポリプロピレングリコール等の鎖状ポリマーやポリフォスファゼン等の櫛型ポリマー等のポリマー材料を電解質塩と複合化してなる非水系高分子固体電解質が知られているが、従来、電導度が室温で10-3S/cmを上回るものは見出されていない。
【0004】
そこで、近年、種々の非水系ゲル電解質の実用化が研究されており、これによれば、室温において、10-3S/cm以上の電導度を有し、電解液に近いものが提案されている。このようなゲル状電解質は、ポリマー材料と非水系有機溶媒とによって形成されるゲル中に電解質塩を溶解させたものであり、例えば、ポリマーマトリックス中に電解液を保持させることによって得ることができる。
【0005】
このようなゲル電解質の一例として、例えば、ポリビニリデンフロライドやビニリデンフロライド/ヘキサフルオロプロピレン共重合体からなる多孔質フッ素ポリマーの有する空孔中に電解液を担持させてなるものが知られている(特許文献1及び2参照)。
【0006】
しかし、このようなゲル電解質においては、多孔質フッ素ポリマーへの電解液の担持量は、それ程高くできないので、例えば、そのようなゲル電解質を電池に用いた場合、十分な電池特性を得ることができず、更に、電解液は、多孔質ポリマーの空孔中に液状で保持されているので、液漏れを起こすおそれがある。
【0007】
そこで、ポリエチレンオキシドやそれに類するポリエーテルポリマーをポリマーマトリックスとするゲル電解質が提案されており(特許文献3参照)、また、ポリエチレンオキシドやポリプロピレンオキシドのようなポリエーテルポリマーをポリマーマトリックスとし、有機溶媒としてγ−ブチロラクトンを用いてなるゲル電解質も提案されている。更に、四官能末端アクリロイル変性アルキレンオキシド重合体を用いたゲル電解質が提案されている(特許文献4参照)。
【0008】
これらのポリエーテル系ポリマーは、電解液との相溶性が高く、均一で電導度の高いゲル電解質を与えるが、しかし、リチウムイオン電池において一般に用いられている六フッ化リン酸リチウムを電解質塩として用いた場合、上記ポリマーの分解が起こるので、耐久性に問題がある。
【0009】
【特許文献1】
特表平8−509100号公報
【特許文献2】
特表平9−500485号公報
【特許文献3】
特開平8−298126号公報
【特許文献4】
特開平11−176452号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来のゲル電解質における上述したような問題を解決するためになされたものであって、均一で耐久性の高いゲル電解質とその利用、特に、そのようなゲル電解質を用いてなる電池とコンデンサを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、電解質塩とこの電解質塩のための溶媒とポリマーマトリックスからなるゲル状組成物において、上記ポリマーマトリックスが一般式(I)
【0012】
【化6】
【0013】
(式中、Rは2価の有機基を示し、R1 は水素原子又はメチル基を示す。)
で表される二官能性(メタ)アクリレートを重合させてなる架橋ポリマーからなることを特徴とするゲル電解質が提供される。
【0014】
更に、本発明によれば、電解質塩とこの電解質塩のための溶媒と一般式(I)
【0015】
【化7】
【0016】
(式中、Rは2価の有機基を示し、R1 は水素原子又はメチル基を示す。)
で表される二官能性(メタ)アクリレートを含む溶液に加熱又は活性放射線の照射を施し、上記二官能性(メタ)アクリレートを重合させて、架橋ポリマーを生成させ、この架橋ポリマーからなるマトリックス中に上記電解質塩と溶媒とを保持させたゲルを形成させることを特徴とするゲル電解質の製造方法が提供される。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明によるゲル電解質は、ポリマーマトリックスが上記一般式(I)で表される二官能性(メタ)アクリレートを重合させてなる架橋ポリマーからなる。
【0018】
本発明において、(メタ)アクリレートは、アクリレート又はメタクリレートを意味するものとし、また、(メタ)アクリロイルは、アクリロイル又はメタクリロイルを意味するものとする。
【0019】
このような二官能性(メタ)アクリレートは、一般式(III)
【0020】
【化8】
【0021】
(式中、Rは2価の有機基を示す。)
で表されるジオールを反応溶剤中、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルイソシアネートと反応させることによって得ることができる。従って、上記二官能性(メタ)アクリレートにおいて、2価の有機基Rは、その製造のための原料として用いたジオールの残基(即ち、ジオールから2つの水酸基を除いた基)である。
【0022】
従って、本発明によれば、上記2価の有機基又はジオール残基は、特に限定されるものではないが、好ましい具体例として、例えば、
(a)アルキレン基、
(b)キシリレン基、又は
(c)式(II)
【0023】
【化9】
【0024】
で表される2価基等を挙げることができる。
【0025】
このような有機基のうち、上記アルキレン基(a)は、好ましくは、炭素原子数2〜40の直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基であり、例えば、エチレン基、プロピレン基、ヘキサメチレン基、デカメチレン基、ドデカメチレン基、2,2−ジメチルプロピレン基、2,2−エチルブチルプロピレン基等を挙げることができる。キシリレン基としては、o−、m−又はp−キシリレン基を挙げることができるが、特に、p−キシリレン基が好ましい。
【0026】
本発明によるゲル電解質は、例えば、電解質塩とこの電解質塩のための溶媒からなる電解液に上記二官能性(メタ)アクリレートを、好ましくは、重合開始剤と共に溶解させ、この溶液を加熱して、上記二官能性(メタ)アクリレートを重合(熱重合)させて、架橋ポリマーをポリマーマトリックスとして生成させることによって得ることができる。即ち、本発明によれば、上記二官能性(メタ)アクリレートをゲル化剤として用いるのである。
【0027】
このような二官能性(メタ)アクリレートを重合させるための上記重合開始剤としては、特に、限定されるものではないが、例えば、過酸化ベンゾイルや2,2’−アゾビスイソブチロニトリル等を挙げることができる。しかし、二官能性(メタ)アクリレートの重合方法は、上記熱重合に限られず、例えば、紫外線や電子線のような活性放射線を照射して、上記二官能性(メタ)アクリレートを光重合させてもよい。
【0028】
本発明によるゲル電解質において、上記二官能性(メタ)アクリレートを重合させてなる架橋ポリマーの割合は、用いる電解質塩や溶媒に応じて、これらがその架橋ポリマーをマトリックスとしてゲル電解質を形成するように、適宜に決定されるが、しかし、通常、ゲル電解質の0.1〜50重量%の範囲である。特に、本発明によるゲル電解質を電池やコンデンサにおけるゲル電解質として用いる場合には、ゲル電解質におけるポリマーマトリックスの割合が大きいときは、それらの電気特性が低下するので、通常、0.1〜25重量%の範囲が好ましく、更に、0.1〜10重量%の範囲が一層好ましい。
【0029】
また、本発明によるゲル電解質における電解質塩の割合も、それ自体のみならず、用いる溶媒に応じて、適宜に決定されるが、通常、得られるゲル電解質中、1〜50重量%の範囲である。
【0030】
本発明において用いる電解質塩としては、水素、リチウム、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属、カルシウム、ストロンチウム等のアルカリ土類金属、第三級又は第四級アンモニウム塩等をカチオン成分とし、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、ホウフッ化水素酸、フッ化水素酸、六フッ化リン酸、過塩素酸等の無機酸や有機カルボン酸,有機スルホン酸、フッ素置換有機スルホン酸等の有機酸をアニオン成分とする塩を用いることができる。これらのなかでは、特に、アルカリ金属イオンをカチオン成分とする電解質塩が好ましく用いられる。
【0031】
このようなアルカリ金属イオンをカチオン成分とする電解質塩の具体例としては、例えば、過塩素酸リチウム、過塩素酸ナトリウム、過塩素酸カリウム等の過塩素酸アルカリ金属、テトラフルオロホウ酸リチウム、テトラフルオロホウ酸ナトリウム、テトラフルオロホウ酸カリウム等のテトラフルオロホウ酸アルカリ金属、ヘキサフルオロリン酸リチウム、ヘキサフルオロリン酸カリウム等のヘキサフルオロリン酸アルカリ金属、トリフルオロ酢酸リチウム等のトリフルオロ酢酸アルカリ金属、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム等のトリフルオロメタンスルホン酸アルカリ金属をあげることができる。
【0032】
更に、本発明において用いる上記電解質塩のための溶媒としては、その電解質塩を溶解するものであれば、どのようなものでも用いることができるが、非水溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチルラクトン等の環状エステル類、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等の環状又は鎖状エーテル類、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート等の鎖状エステル類を挙げることができる。これらの溶媒は、単独で、又は2種以上の混合物として用いられる。
【0033】
本発明によるゲル電解質は、これを電池やコンデンサに用いる場合に、電極間の短絡を防ぐために、適宜のシート状基材に担持させて、膜状ゲル電解質として用いることができる。このように、基材を用いるときは、電極間のイオンの移動を阻害しないように、上記シート状基材としては、多孔質膜を用いることが好ましい。
【0034】
即ち、本発明によれば、基材多孔質膜中において、電解質塩とこの電解質塩のための溶媒と前記一般式(I)で表される二官能性(メタ)アクリレートを含む溶液に加熱又は活性放射線の照射を施し、上記二官能性(メタ)アクリレートを重合させて、架橋ポリマーを生成させ、この架橋ポリマーからなるマトリックス中に上記電解質塩と溶媒とを保持したゲルを形成させることによって、膜状ゲル電解質を得ることができる。
【0035】
このような膜状ゲル電解質は、例えば、電池やコンデンサの製造に好適に用いることができる。例えば、第一の方法としては、電極と基材多孔質膜とを積層し、又は捲回して、電気化学素子とし、これを電池の電極板を兼ねる電池缶に装入する。次に、電解質塩とこの電解質塩のための溶媒と共に前記二官能性(メタ)アクリレートと、好ましくは、重合開始剤とを溶解させてなる溶液を上記電池缶中に注入し、上記基材多孔質膜に上記溶液を含浸させた後、加熱して、前記二官能性(メタ)アクリレートを重合させ、架橋ポリマーを生成させて、これをポリマーマトリックスとする均一なゲル電解質を形成させれば、膜状ゲル電解質を含む電池を得ることができる。
【0036】
第二の方法としては、基材多孔質膜に予め前記二官能性(メタ)アクリレートを担持させ、これを電極と積層し、又は捲回して、電気化学素子とし、これを電池の電極板を兼ねる電池缶に装入する。次に、電解質塩とこの電解質塩のための溶媒と、好ましくは、重合開始剤とからなる電解液を上記電池缶中に注入し、この電解液を上記多孔質膜に含浸させて、基材多孔質膜に担持させた二官能性(メタ)アクリレートをこの電解液に溶解させた後、加熱して、上記二官能性(メタ)アクリレートを重合させ、架橋ポリマーを生成させて、これをポリマーマトリックスとする均一なゲル電解質を形成させれば、膜状ゲル電解質を含む電池を得ることができる。
【0037】
第三の方法として、基材多孔質膜に予め前記二官能性(メタ)アクリレートと重合開始剤とを担持させ、これを電極と積層し、又は捲回して、電気化学素子とし、これを電池の電極板を兼ねる電池缶に装入する。次に、電解質塩とこの電解質塩のための溶媒とからなる電解液を上記電池缶中に注入し、この電解液を上記多孔質膜に含浸させて、基材多孔質膜に担持させた二官能性(メタ)アクリレートと重合開始剤をこの電解液に溶解させた後、加熱して、上記二官能性(メタ)アクリレートを重合させ、架橋ポリマーを生成させて、これをポリマーマトリックスとする均一なゲル電解質を形成させれば、膜状ゲル電解質を含む電池を得ることができる。
【0038】
更に、別の方法として、予め、電解質塩とこの電解質塩のための溶媒とからなる電解液に前記二官能性(メタ)アクリレートと重合開始剤を溶解させて溶液を調製し、これを基材多孔質膜に含浸させると共に、上記電解液を電極(正極及び負極)に含浸させた後、これらを電池缶に装入して、電池缶内にて、例えば、負極/基材多孔質膜/正極からなる積層体を形成して、電池仕掛品を作製する。次に、これを加熱して、上記基材多孔質膜に含浸させた二官能性(メタ)アクリレートを重合させ、架橋ポリマーを生成させて、これをポリマーマトリックスとする均一なゲル電解質を形成させれば、膜状ゲル電解質を含む電池を得ることができる。上述した方法によって、コンデンサも同様にして得ることができることは容易に理解される。
【0039】
図1は、このような膜状ゲル電解質を用いるコイン型リチウム二次電池の縦断面図である。このリチウム二次電池においては、正極端子を兼ねる正極缶1は、例えば、ニッケルめっきを施したステンレス鋼板からなり、絶縁体2を介して、この正極缶と絶縁された負極端子を兼ねる負極缶3と組合わされて、電池缶(容器)を構成している。負極缶も、例えば、ニッケルめっきを施したステンレス鋼板からなる。
【0040】
このようにして形成される電池缶の内部には、正極4が正極集電体5を介して正極缶に接触して配設されている。正極4は、例えば、リチウムマンガン複合酸化物のような正極活物質と黒鉛のような導電性物質をポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレンのような結着樹脂と混合し、これを加圧成形して得ることができる。同様に、負極6が負極集電体7を介して負極缶に接触して配設されている。負極は、例えば、リチウム板からなる。これら正極と負極との間に、本発明による膜状ゲル電解質8が配設されて、電池を構成している。かくして、このような電池によれば、その正極缶と負極缶を端子として電気エネルギーを取り出すことができる。
【0041】
【実施例】
以下に参考例と比較例と共に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0042】
参考例1
1,10−デカンジオール15.7gをトルエン500mLに加え、加熱、溶解させ、共沸させて、水分を除去した。70℃まで冷却した後、これに攪拌下に2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート29.1g、ジ−n−ブチルスズジラウレート20mg及びトルエン100mLからなる混合物を10分かけて滴下した。この後、80℃で4時間攪拌下に反応を行った。反応終了後、反応混合物を室温まで冷却して、反応生成物を析出させ、これを濾過し、得られた反応生成物をトルエンから晶析させて、次式(1)で表される二官能性メタクリレートを得た。
質量分析による分子量(ESI法):(M+H)+ =485
プロトンNMRスペクトル(400MHz、溶媒重クロロホルム、δ(ppm)):
【0043】
【化10】
【0044】
【表1】
【0045】
13C−NMRスペクトル(100MHz、溶媒重クロロホルム、δ(ppm)):
【0046】
【化11】
【0047】
【表2】
【0048】
参考例2
p−キシレン−α,α’−ジオール5.2gをトルエン500mLに加え、加熱、溶解させ、共沸させて、水分を除去した。70℃まで冷却した後、これに攪拌下に2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート12.1g、ジ−n−ブチルスズジラウレート8mg及びトルエン100mLからなる混合物を10分かけて滴下した。この後、80℃で4時間攪拌下に反応を行った。反応終了後、反応混合物を室温まで冷却して、反応生成物を析出させ、これを濾過し、得られた反応生成物をトルエンから晶析させて、次式(2)で表される二官能性メタクリレートを得た。
質量分析による分子量(ESI法):(M+H)+ =449
プロトンNMRスペクトル(400MHz、溶媒重クロロホルム、δ(ppm)):
【0049】
【化12】
【0050】
【表3】
【0051】
13C−NMRスペクトル(100MHz、溶媒重クロロホルム、δ(ppm)):
【0052】
【化13】
【0053】
【表4】
【0054】
参考例3
スピログリコール29.5gをトルエン500mLに加え、加熱、溶解させ、共沸させて、水分を除去した。70℃まで冷却した後、これに攪拌下に2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート31.6g、ジ−n−ブチルスズジラウレート30mg及びトルエン100mLからなる混合物を10分かけて滴下した。この後、80℃で4時間攪拌下に反応を行った。反応終了後、反応混合物を室温まで冷却して、反応生成物を析出させ、これを濾過し、得られた反応生成物をメタノールとトルエンとの混合溶媒から晶析させて、次式(3)で表される二官能性メタクリレートを得た。
質量分析による分子量(ESI法):(M+H)+ =615
プロトンNMRスペクトル(400MHz、溶媒重クロロホルム、δ(ppm)):
【0055】
【化14】
【0056】
【表5】
【0057】
13C−NMRスペクトル(100MHz、溶媒重クロロホルム、δ(ppm)):
【0058】
【化15】
【0059】
【表6】
【0060】
実施例1
アルゴン置換したグローブボックス中、エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート混合溶媒(容量比1/2)に1.4モル/L濃度となるように電解質塩六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を溶解させて、電解液を調製した。この電解液97.0gに参考例1で調製した二官能性メタクリレート3.0gを加え、室温で攪拌して溶解させ、この後、更に、過酸化ベンゾイル0.06gを加え、室温で攪拌、溶解させて、溶液Aを調製した。
【0061】
(ゲル化試験とゲルの耐熱性試験)
試験のために、この溶液Aをアルゴン置換したグローブボックス中、ガラス瓶中に入れ、密封した後、80℃の恒温器中に1時間投入して、上記二官能性メタクリレートを重合させ、架橋ポリマーを形成させて、自立性のゲル電解質を得た。このゲル電解質は、これを密封状態のまま、80℃の恒温器内に20時間放置したが、液状物の分離はみられず、ゲル状態を保っていた。
【0062】
(電池の作製と電解質の放電負荷特性)
ポリエチレン樹脂製多孔質膜(厚さ25μm、空孔率50%、平均孔径0.1μm)、コバルト酸リチウムを活物質とする正極及び天然黒鉛を活物質とする負極にそれぞれ上記溶液Aを含浸させた後、これら負極、ポリエチレン樹脂製多孔質膜及び正極をこの順序で正負電極板を兼ねる電池缶(2016サイズのコイン電池用電池缶)に仕込み、負極/ポリエチレン樹脂製多孔質膜/正極からなる積層体を缶内で形成して、コイン電池の仕掛品を作製した。次いで、この電池の仕掛品を80℃の恒温器中に1時間投入し、上記二官能性メタクリレートを重合させ、架橋ポリマーを形成させて、ゲル電解質を形成させ、コイン型リチウムイオン二次電池を作製した。
【0063】
この電池について、0.2CmAのレートにて5回充放電を行った後に、0.2CmAのレートで充電し、更に、その後、2.0CmAのレートで放電を行って、2.0CmA/0.2CmA放電容量比で電解質の放電負荷特性を評価したところ、75%であった。
【0064】
実施例2
実施例1の溶液Aの調製において、参考例1で調製した二官能性メタクリレートに代えて、参考例2で調製した二官能性メタクリレートを用いた以外は、溶液Aの調製と同様にして、溶液Bを調製した。
【0065】
(ゲル化試験とゲルの耐熱性試験)
この溶液Bを用いて、実施例1と同様にして、自立性のゲル電解質を得た。このゲル電解質は、実施例1と同じ耐熱性試験において液状物の分離はみられず、ゲル状態を保っていた。
【0066】
(電池の作製と電解質の放電負荷特性)
上記溶液Bを用いて、実施例1と同様にして、コイン型電池を作製し、実施例1と同じ条件下で評価した電解質の放電負荷特性は80%であった。
【0067】
実施例3
実施例1の溶液Aの調製において、参考例1で調製した二官能性メタクリレートに代えて、参考例3で調製した二官能性メタクリレートを用いた以外は、溶液Aの調製と同様にして、溶液Cを調製した。
【0068】
(ゲル化試験とゲルの耐熱性試験)
この溶液Cを用いて、実施例1と同様にして、自立性のゲル電解質を得た。このゲル電解質は、実施例1と同じ耐熱性試験において液状物の分離はみられず、ゲル状態を保っていた。
【0069】
(電池の作製と電解質の放電負荷特性)
上記溶液Cを用いて、実施例1と同様にして、コイン型電池を作製し、実施例1と同じ条件下で評価した電解質の放電負荷特性は84%であった。
【0070】
比較例1
アルゴン置換したグローブボックス中、エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート混合溶媒(容量比1/2)に1.4モル/L濃度となるように電解質塩六フッ化リン酸リチウム(LiPF6) を溶解させて、電解液を調製した。この電解液97.0gにノナエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業(株)製NKエステル9G)3.0gを加え、室温で攪拌、溶解させ、更に、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.03gを加えて、溶液Pを調製した。
【0071】
(ゲル化試験とゲルの耐熱性試験)
この溶液Pをアルゴン置換したグローブボックス中、ガラス瓶中に入れ、密封した後、80℃の恒温器中に1時間投入したが、溶液のままであった。
【0072】
比較例2
アルゴン置換したグローブボックス中、エチレンカーボネート/ジエチルカーボネート混合溶媒(容量比1/2)に1.4モル/L濃度となるように電解質塩六フッ化リン酸リチウム(LiPF6) を溶解させて、電解液を調製した。この電解液95.0gにノナエチレングリコールジメタクリレート(新中村化学工業(株)製NKエステル9G)5.0gを加え、室温で攪拌、溶解させ、更に、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.05gを加えて、溶液Qを調製した。
【0073】
(ゲル化試験とゲルの耐熱性試験)
この溶液Pをアルゴン置換したグローブボックス中、ガラス瓶中に入れ、密封した後、80℃の恒温器中に1時間投入し、自立性のゲル電解質を得た。このゲル電解質は、これを密封状態のまま、80℃の恒温器内に20時間放置したが、液状物の分離はみられず、ゲル状態を保っていた。
【0074】
(電池の作製と電解質の放電負荷特性)
ポリエチレン樹脂製多孔質膜(厚さ25μm、空孔率50%、平均孔径0.1μm)、コバルト酸リチウムを活物質とする正極及び天然黒鉛を活物質とする負極にそれぞれ上記溶液Qを含浸させた後、これら負極、ポリエチレン樹脂製多孔質膜及び正極をこの順序で正負電極板を兼ねる電池缶(2016サイズのコイン電池用電池缶)に仕込み、負極/ポリエチレン樹脂製多孔質膜/正極からなる積層体を缶内で形成して、コイン電池の仕掛品を作製した。次いで、この電池の仕掛品を80℃の恒温器中に1時間投入し、ノナエチレングリコールジメタクリレートを重合させ、架橋ポリマーを形成させて、ゲル電解質を形成させ、コイン型リチウムイオン二次電池を作製した。
【0075】
この電池について、0.2CmAのレートにて5回充放電を行った後に、0.2CmAのレートで充電し、更に、その後、2.0CmAのレートで放電を行って、2.0CmA/0.2CmA放電容量比で電解質の放電負荷特性を評価したところ、58%であった。
【0076】
【発明の効果】
以上のように、本発明によるゲル電解質は、前記一般式で表される二官能性(メタ)アクリレートをゲル化剤として、これを重合させてなる架橋ポリマーをマトリックスとするものであって、すぐれた電解質特性を有する。しかも、本発明によれば、上記ゲル化剤の少量の使用によって、均一で耐久性にすぐれるゲル電解質を得ることができる。
【0077】
このようなゲル電解質を用いることによって、液漏れのおそれがなく、高い性能と耐久性を有する電池やコンデンサを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるゲル電解質を用いたコイン型二次電池を示す断面図である。
【符号の説明】
1…正極端子を兼ねる正極缶
2…絶縁体
3…負極端子を兼ねる負極缶
4…正極
5…正極集電体
6…負極
7…負極集電体
8…膜状ゲル電解質
Claims (6)
- 基材多孔質膜に請求項1に記載のゲル電解質を担持させてなる膜状ゲル電解質。
- 請求項1又は2に記載のゲル電解質を電解質として含む非水電解質電池。
- 請求項1又は2に記載のゲル電解質を電解質として含む非水電解質コンデンサ。
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