JPWO2018229894A1 - ぶどう様食感を有する菓子 - Google Patents

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Abstract

ケル組成物の固化物と、それを被覆するコラーゲンケーシングとを含み、ゲル組成物の固化物が生のぶどう果肉の動的粘弾性パターンを有することにより、生の果皮付きぶどうに似た崩壊性の食感を有する菓子すなわちぶどう様食感を有する菓子を提供する。該動的粘弾性パターンとしては、例えば、角振動率63.1rad/Sでの損失正接値が、角振動数3.98rad/Sでの損失正接値に対して34〜83%減少する動的粘弾性パターンが挙げられる。

Description

本発明は、ぶどう様食感を有する菓子に関する。より詳しくは、本発明は、生の果皮付きぶどうに似た崩壊性の食感を有する菓子に関する。
グミキャンディやゼリーは、ゼラチンやその他のゲル化剤に由来する独特の弾力を有し、多様な風味付けが可能なことから、広く消費者に親しまれている。グミキャンディとしては、ピュレグミ(登録商標及び商品名、カンロ(株)製)、ゼロッシュ(登録商標及び商品名、味覚糖(株)製)などに代表される、ゼラチンとペクチンとを用いたものが一般的である。これらのグミキャンディは、果汁、香料などの配合による果実風味を有するとともに、果実様食感又は果肉様食感を有すると称呼されている。しかしながら、これらのグミキャンディでは、ゼラチン由来の弾力が強いため、生の果実の果汁感や、果実食感又は果肉食感を十分に再現するには至っていない。
また、ゼリーとしては、生の果実をゼリー中に封入したものがある。しかしながら、生の果実の使用により消費期限が1〜2週間程度に制限されるという問題や、果実の水分とゼリー中の糖液とが入れ替わる糖置換の発生により、果実の食感や果汁感が失われ易いという問題がある。以上のように、グミキャンディやゼリーの分野では、果実風味の人気が高く、その中でも特にぶどう風味の人気が高い。果実風味の付与は、前述のように、果汁や香料の配合によりある程度可能である。しかしながら、果汁感や、果実様食感又は果肉様食感の付与は、この分野での大きな課題の一つになっている。
従来の果実様食感又は果肉様食感を有する菓子として、例えば、ジェランガムを含むゲルを冷却固化させ、次いで冷凍方向を制御しつつ緩やかに凍結した後に解凍した、パイン様の組織および食感を有する食品(特許文献1)、ジェランガム、タマリンドシードガム、ローカストビーンガム、キサンタンガム、乳清タンパク、クエン酸3ナトリウムを含有するゲルを冷却固化させた、繊維質組織の外観や食感を有する果肉様ゼリー(特許文献2)、ペクチンなどの金属イオンと反応してゲル化する水溶性高分子とアラビアガムなどの金属イオンを含有する水溶性高分子とのゲル状混合物を固化させたゼリー状食品(特許文献3)などが挙げられる。しかしながら、特許文献1、2は、ぶどう様の食感を得るものではない。特許文献3のゼリー状食品は飲むタイプであり(段落0010)、実際の果肉の食感を再現したものではない。
一方、コラーゲンケーシングを用いた食品として、II型コラーゲン由来のゼラチンのみを含む低アレルゲン性ゼラチン、砂糖、水飴などを含むゾルをコラーゲンケーシング(以下「ケーシング」ともいう)に充填し、冷却および固化させたグミキャンディ(特許文献4)や、ゼラチンおよびジェランガムを含むゼリーと豚肉などの食肉加工用材料とを混合し、得られた混合物をケーシングに充填したソーセージなどの食肉加工品(特許文献5)などが挙げられる。特許文献4は特定の低アレルゲン性ゼラチンの利用を目的とし、特許文献5は食肉加工品の食感の改良を目的とし、ケーシングを用いて果実様食感又は果肉様食感を得ようとするものではない。また、前記グミキャンディや食肉加工品のケーシングの食感は、果皮様食感とは程遠いものである。
また、セルロース及びサイリウムシードガムなどの親水性増粘剤を含有するセルロース複合体と、果実及び/又は野菜と、を含む液状食品が提案されている(特許文献6)。特許文献6では、セルロース複合体の懸濁安定性の指標として、セルロース複合体の貯蔵弾性率を所定の範囲に規定している。しかし、特許文献6は、液状食品の提供を目的とすることから、果実様食感又は果肉様食感を再現しようとするものではない。
また、特許文献7には、ケーシングの一般的な厚みが30数μm以上であり、それより薄くすると、破れなどが生じ易いことが記載されている。また、特許文献8には、ゼラチン又はペクチン、水飴、砂糖、酸、香料、色素を水に加熱溶解したゲルを、厚さ5〜100μmのケーシングに充填した、ゼリーキャンディが記載されている。特許文献9、10には、水分含有量が20重量%以上でありかつ所定量の糖類、ゲル化剤や増粘多糖類などを含有するゲルをケーシングに充填したグミキャンディが記載されている。特許文献9、10に記載のグミキャンディは、コロロ(登録商標)という商品名で市販され、その果汁感、果実様食感、果肉様食感及び果皮様食感が生のぶどうの食感に近いことから、消費者の支持を集めている。
特許第2971036号公報 特開2000−116342号公報 特許第3405843号公報 特許第3586686号公報 特開2007−209283号公報 特許第5953024号公報 特開平5−184282号公報 実開昭60−68989号公報 特願第2013−18391号公報 国際公開第2016/021717号公報
発明が解決しようする課題
本発明者らは、所定の果実風味が付与されたゲル組成物をコラーゲンケーシングに充填したグミキャンディをプロトタイプとして、より正確な果実様食感、果肉様食感及び果皮様食感を付与するために鋭意検討を重ねた。その結果、本発明者らは、果皮付きの果実を連続的に咀嚼するときに、果肉組織および果皮が壊れていく食感(崩壊性)を付与することにより、ぶどうなどの、繊維質をあまり含まない生の果実を食しているときの食感(果実食感、果肉食感及び果皮食感)が得られるとの知見を得た。
また、本発明者らは、前記プロトタイプのグミキャンディを得る上でのゲル組成物の特性に関し、食感に影響する要素としてゲル組成物の高水分化やゲル化剤の含有量の調整、製造後に食感をさらに向上させつつ保存性を高める要素としてゲル組成物の固化物の水分移行性、該水分移行性とケーシングとの相関関係、生産効率を向上させる要素としてゲル化剤の溶解のために比較的高温に加熱したゲル組成物をケーシングに充填するときのケーシングの破れ防止、などについて検討を重ねた。例えば、ゲル組成物の固化物の水分移行性が高いと、最初に設計された食感が損なわれるとともに、水分がケーシングを通して表面に滲みだし、べた付きなどの不快な状態になり易い。また、ゲル組成物の水分移行性が低いと、ケーシングを果皮様食感にすることが難しくなるとともに、ゲル組成物の固化物表面とケーシングとの密着性が低下し、食したときの一体感が失われると考えられる。
上記した特許文献のうち、本発明に特に関連のあるものとして、特許文献1〜3、8〜10が挙げられる。しかし、特許文献1〜3には、ゲル化剤を含み、果実風味が付けられたゲル(ゲル組成物)が記載されるものの、ゲル組成物の上記各特性についての記載はない。
特許文献8では、ゲル化剤としてゼラチン又はペクチンが使用されるのみである。また、水分含有量について特段の記載がないことから、ケーシングに充填されるゼリーの水分含有量は出願当時の技術常識に基づいて10〜20重量%と考えられる。このような構成でゼリーをケーシングに充填しても、果汁感、果実様食感、果肉様食感、崩壊性、及び果皮様食感を総合した生の果皮付き果実の食感を再現することはできない。また、特許文献8には、ケーシングが皮のようになると記載されているが、生のぶどうの皮のような食感になるとは記載されていない。
特許文献9では、生の果皮付きぶどうに近い、果肉様食感及び果皮様食感を再現する指標として、特許文献9に記載のグミキャンディにプランジャーを貫通させたときのゲル強度の段階推移がぶどうと同等であるように構成した。このグミキャンディは今までにない生の皮付きぶどうに近い食感を有するものである。しかしながら、生の皮付きぶどうを連続して咀嚼したときの果汁感や崩壊性の再現の観点からは、改良の余地が残されている。特に、グミキャンディには、保形性、離水に対する耐久性などの観点から、十分量のゲル化剤の添加が避け得ないが、ゲル化剤由来の弾力は、咀嚼により果肉が壊れていく崩壊性とは全く異なるものであることから、崩壊性の再現が不十分になるものと考えられる。
また、特許文献10では、ゼラチンを主成分とするゲル化剤を添加した高水分含有グミキャンディをケーシングで被覆することで、離水、べた付き、塑性変形度を一層改善することに成功している。しかしながら、粘着性、ゲル強度が高く、崩壊性が十分に再現されていないため、生の果皮付きぶどうの食感を付与するという観点から、改良の余地が残されている。
本発明の目的は、生の果皮付きぶどうに似た崩壊性の食感を有する、ぶどう様食感を有する菓子を提供することである。
本発明は、好ましい実施形態として。下記(1)〜(4)の実施形態の離ぶどう様食感を有する菓子を提供する。
(1)ゲル組成物の固化物と、ゲル組成物の固化物を被覆するコラーゲンケーシングと、を含み、ゲル組成物の固化物が、生のぶどう果肉様の動的粘弾性パターンを有する、ぶどう様食感を有する菓子。
(2)ゲル組成物の固化物は、角振動率63.1rad/Sでの損失正接値が、角振動数3.98rad/Sでの損失正接値に対して34〜83%減少する、生のぶどう果肉様の動的粘弾性パターンを有する、上記(1)のぶどう様食感を有する菓子。
(3)ゲル状組成物の固化物は、pH2〜4、水分値20〜45重量%、水分活性値0.6〜0.86であり、かつ該固化物に含まれる水分がその表面に染み出す水分移行性を有し、37℃で1週間静置後の水分移行率が0.3〜0.6重量%、37℃で2週間静置後の水分移行率が0.6〜1.5重量%である、上記(1)又は(2)のぶどう様食感を有する菓子。
(4)コラーゲンケーシングの膜厚が5〜100μmであり、ゲル組成物の固化物を被覆し、常温で6時間乾燥し、前記ゲル組成物の固化物を取り除いた後の、コラーゲンケーシングの破断強度が2800〜9000g/cmである、上記(1)〜(3)のいずれかのぶどう様食感を有する菓子。
これらの実施形態において、ゲル組成物の固化物とは、ゲル組成物に含まれるゲル化剤及び増粘多糖類や他の成分を水に加熱溶解した液状ゲル組成物を例えば冷却により固化させたものである。加熱溶融時の加熱温度は、ゲル化剤及び増粘多糖類の種類に応じて、適宜選択できる。
本発明によれば、生の果皮付きぶどうに似た崩壊性の食感を有する、ぶどう様食感を有する菓子が提供される。
参考例、実施例及び比較例の動的粘弾性パターンを示すグラフである。横軸が角振動数(rad/S)であり、縦軸が損失正接値(tanδ)である。
本発明者らは、生の皮付きぶどうを連続して咀嚼するときの食感(崩壊性)を上記プロトタイプのグミキャンディに付与することにより、生の皮付きぶどうの食感をほぼ正確に再現できるとの上記知見に基づき、該食感(崩壊性)を付与する方法について検討を行なった。本発明者らが最初に着目したのは、特許文献9に記載の生の皮付きぶどうのゲル強度の再現であった。しかしながら、生の皮付きぶどうのゲル強度の段階推移を再現するだけでは、上記プロトタイプのグミキャンディは、ゲル化剤由来の弾力が勝った食感となり、咀嚼時の崩壊性を十分に付与することはできなかった。
本発明者は、さらに研究を重ねた結果、ケーシングに充填されるゲル組成物の動的粘弾性パターン(好ましくは所定角振動率での損失正接値tanδ)を生のぶどう果肉のそれに近似させることにより、ゲル組成物がゲル化剤を含んでいる場合でも、ゲル化剤由来の弾力が強くなり過ぎず、果皮付きぶどうを連続して咀嚼するときの崩壊性を付与できることを見出した。さらに、本発明者らは、ゲル組成物の水分移行率を調整することにより、上記プロトタイプのグミキャンディにおいて、果皮付きぶどうの食感をさらに正確に再現できることを見出した。
すなわち、本発明の好ましい実施形態では、上記プロトタイプのグミキャンディにおいて、そのゲル組成物の動的粘弾性パターンを生のぶどう果肉のそれに近似させることにより、生の皮付きぶどうの果汁感や食感(果実全体としての食感、果肉食感、崩壊性及び果皮食感)をほぼ正確に再現することができる。また、本発明のより好ましい実施形態では、該ゲル組成物の所定角振動率での損失正接値tanδを生のぶどう果肉のそれに近似させることにより、生の皮付きぶどうの果汁感や食感を一層正確に再現できる。また、本発明のさらに好ましい実施形態では、該ゲル組成物の動的粘弾性パターン(好ましくは所定角振動率での損失正接値tanδ)を生のぶどう果肉のそれに近似させつつ、かつ該ゲル組成物の水分移行率を調整することにより、生の皮付きぶどうの果汁感や食感をより一層正確に再現できる。
ゲル組成物が所定の動的粘弾性パターンおよび所定の水分移行率に設定された、好ましい本実施形態によれば、連続して咀嚼した際の皮付き生ぶどうの果汁感や崩壊性といった食感を有する菓子又はグミキャンディが提供される。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
本実施形態のぶどう様食感を有する菓子(以下「ぶどう様菓子」ともいう)は、ゲル組成物の固化物と、ゲル組成物の固化物を被覆するコラーゲンケーシングと、を含む。本実施形態では、固化物の外表面と、コラーゲンケーシングの内表面とが、ほぼ全面で密に接触した状態になっている。但し、ごく一部で固化物とコラーゲンケーシングとが非接触状態になっていることもある。本実施形態のぶどう様菓子は、生の皮付きぶどう様の果汁感および食感を有している。本実施形態のぶどう様菓子は、好ましくは生の果皮付きぶどうの果汁感および食感を有するグミキャンディ(以下「ぶどう様グミキャンディ」ともいう)である。
本発明者らが、生のぶどう果肉の動的粘弾性を角振動数及び損失正接値に基づいて調べたところ、角振動数の増加に伴って損失正接値が低下する動的粘弾性パターンになることがわかった。本発明者らは、生のぶどう果肉の損失正接値の減少が崩壊性の指標になると考え、ゲル組成物にこの動的粘弾性パターンを付与するために研究を重ねた。そして、本発明者らは、所定の2つの角振動数における損失正接値に基づいて動的粘弾性パターンを設定することにより、ゲル化剤由来の弾力の発現を抑制しつつ、該グミキャンディに生の皮付きぶどうを咀嚼するときの崩壊性を付与できることを見出した。本実施形態では、角振動数3.98rad/S及び63.1rad/Sにおける損失正接値に基づいて、ゲル組成物の動的粘弾性パターンを設定する。
より具体的には、第1形態のゲル組成物の固化物は、角振動数63.1rad/Sでの損失正接値(以下「tanδ63.1」ともいう)が、角振動数3.98rad/Sでの損失正接値(以下「tanδ3.98」ともいう)に対して34〜83%減少するという、動的粘弾性パターンを有する。言い換えれば、tanδ3.98に対するtanδ63.1の百分率である減少率([tanδ63.1/tanδ3.98]×100)が34〜83%である。生のぶどう果肉の動的粘弾性パターンは、tanδ3.98が0.175、tanδ63.1が0.0413、減少率が約76%である。したがって、本実施形態の動的粘弾性パターンは、生のぶどう果肉の動的粘弾性パターンにほぼ近似する。
減少率が34〜83%であると、ゲル化剤由来の弾力が必要以上に強く感じられず、咀嚼中にゲル組成物の固化物が複数の小塊に分割されることなく、徐々に崩れてなくなっていくような、崩壊性の食感を得ることができる。減少率が34%未満では、ゲル化剤由来の弾力が比較的強く感じられ、該固化物の崩壊が十分に進行せず、生の皮付きぶどうの崩壊性を感じられないおそれがある。一般的なグミキャンディを噛んでいるような食感に近づくこともある。また、減少率が83%を超えると、口内でゲル組成物の固化物が直ぐに溶けてなくなり、コラーゲンケーシングのみが残存する場合が多くなる。その結果、固化物およびコラーゲンケーシングが一体となった崩壊性が得られないおそれがある。
本明細書において、ゲル組成物又は生ぶどう果肉の動的粘弾性パターンは、次のようにして求めた。まず、レオメータ(商品名:Physico MCR 301、アントンパール社製)を用いて25℃の環境下で角振動数(rad/S)毎のサンプルの貯蔵弾性率(G’)および損失弾性率(G’’)を測定した。次に、得られた結果を解析ソフト(ソフト名:RHEOPLUS/32 ver.2.66)で解析し、角振動数毎の正接損失値(tanδ)を求めた。
動的粘弾性パターン測定用のサンプルは次のようにした作製した。動的粘弾性パターンに影響を及ぼさない鋭利な刃物(本実施形態ではカッターナイフ)を用い、果肉又はゲル組成物の固化物の中央部から厚さほぼ5mm、直径12mmの円盤体(厚みの薄い円柱体)を切り出し、動的粘弾性パターン測定用のサンプルとした。なお、サンプル作製時のばらつきを考慮して、1個体について5個の上記サンプルを作製してそれぞれ正接損失値を求め、算術平均値として示す。
また、好ましい第2形態のゲル組成物の固化物は、その中に含まれる水分がその表面に染み出す所定の水分移行性を有する。固化物の表面に染み出した水分は、コラーゲンケーシングに吸水され、及び/又は、固化物とコラーゲンケーシングとの境界面に存在するものと考えられる。その結果、本実施形態のぶどう様菓子を咀嚼したときの固化物とコラーゲンケーシンクとの一体感や果皮様食感、果汁感などがさらに向上し、生の果皮付きぶどうの食感をより正確に再現できる。以下、ゲル組成物の固化物の外表面に染み出す水を、固化物の離水液又は単に離水液ともいう。
この水分移行性は、より具体的には、37℃で1週間保存したときの水分移行率(以下「1週間後の水分移行率」ともいう)が0.3〜0.6重量%であり、さらに37℃で2週間保存したときの水分移行率(以下「2週間後の水分移行率」ともいう)が0.6〜1.5重量%である。
水分移行率(重量%)は、下記式から算出される。
水分移行率(重量%)=[(X0−X1)/X0]×100
〔式中、X0は保存開始直前のぶどう様菓子の重量を示す。X1は1週間又は2週間保存直後のぶどう様菓子の重量を示す。〕
1週間後の水分移行率が0.3〜0.6重量%、2週間後の水分移行率が0.6〜1.5重量%であることで、本実施形態のぶどう様菓子を手に取った際の不快なべた付きや、水分移行による食感の硬化がなく、生の皮付きぶどうのような果汁感のある舌触りを得ることが出来ると考えられる。
1週間後の水分移行率が0.3重量未満%では、コラーゲンケーシングの膨潤が不十分になり、果皮様食感を得る上での強度が得られないおそれがある。その結果、ソーセージのような硬い食感になり易い。また、0.6重量%以を超えると、水分移行過多となり、不快なべた付きや、ゲル組成物の固化物の水分値低下による食感の硬化が生じるおそれがある。また、2週間後の水分移行率が0.6重量%未満である場合又は1.5重量%を超える場合も、それぞれ、1週間後の水分移行率が0.3重量%未満である場合又は0.6重量%を超える場合と同様の問題が生じるおそれがある。
好ましい第3形態のゲル組成物およびその固化物は、pH、水分値及び水分活性値を所定の範囲としたものである。pHは、例えば、2〜4又は2〜3.5の範囲とすることができる。水分値(水分含有量)は、例えば20〜45重量%、23〜40重量%、25〜40重量%又は25〜38重量%の範囲とすることができる。水分活性値は、例えば、0.6〜0.86、0.6を超え0.86以下又は0.7〜0.86の範囲とすることができる。pH、水分値及び水分活性値はそれぞれ複数の範囲に設定できるが、適宜組み合わせが可能であり、全部で24通りの組み合わせがある。
pH、水分値及び水分活性値をそれぞれ上記範囲のいずれかとすることにより、カビ、酵母、細菌などの微生物の繁殖が顕著に抑制され、本実施形態のぶどう様菓子又はぶどう様グミキャンディの保存性を高めることができる。また、ゲル組成物および固化物が上記範囲のpH、水分値、及び水分活性値を有することにより、コラーゲンケーシングに吸水される水分及び固化物とコラーゲンケーシングとの間に僅かに溜まる水分が、上記範囲又はそれに近いpH、及び水分活性値を有するようになり易い。その結果、コラーゲンケーシングの保存性をも高めることができる。このため、本実施形態のぶどう様菓子又はぶどう様グミキャンディ全体としての保存性を高め、その賞味期限及び消費期限を長く設定することができる。
さらに、第3形態のゲル組成物の固化物のpH、水分値、及び水分活性値の少なくとも1つが上記範囲の上限値(pH=4、水分値=45重量%、水分活性値=0.86)を超える場合、微生物の増殖を抑制し難くなり、多くは1週間以内に微生物が増殖し、腐敗が生じるおそれがある。また、第3形態のゲル組成物の固化物のpH、水分値、及び水分活性値の少なくとも1つが上記範囲の下限値(pH=2、水分値=20重量%、水分活性値=0.6)を下回る場合、該固化物の水分移行性が低下するおそれがある。その結果、コラーゲンケーシングの膨潤が不十分になり、ソーセージのような硬い食感になり易い。また、水分値が20重量%未満では、従来から市販のグミキャンディと同様の水分値であり、ゲル化剤の弾力が強くなり、生の皮付きぶどう様の食感を有する本実施形態のぶどう様菓子又はぶどう様グミキャンディを得ることができない。
本明細書において、水分活性値は、水分活性恒温測定装置(商品名:LabMASTER−aw BASIC、novasina社製)を用いて25℃の温度下で測定した。また、pHはpH計((株)堀場製作所製)を用いて測定した。測定方法は、試料5gを80℃の湯100g(pH=7)に溶解した後、25℃に温度を下げて測定を行ない、得られた測定値から換算して試料のpH値を求めた。
上記した第1〜第3形態のゲル組成物は、得ようとするぶどう様菓子又はぶどう様グミキャンディの設計に応じて、それぞれ単独で、第1、第2形態を組み合わせて、第1、第3形態を組み合わせて、第2、第3形態を組み合わせて、又は第1〜第3の形態を組み合わせて、それぞれ実施できる。
第1〜第3形態のゲル組成物は、例えば、ゲル化剤及び増粘多糖類よりなる群から選ばれる少なくとも1種、糖類、グリセリン、酸味料、添加剤、水などの各成分を含む。各形態のゲル組成物は、さらに塩類などを含んでいてもよい。各成分の種類や含有量を適宜選択することにより、第1〜第3形態のゲル組成物を得ることができる。各成分の詳細は次の通りである。
ゲル化剤及び増粘多糖類は、例えば、ゲル組成物に所定の弾力を付与する。また、ゲル組成物の固形物の外表面とコラーゲンケーシングの内表面とが密な接触状態であることから、固化物中のゲル化剤及び増粘多糖類の少なくとも1種およびグリセリンが協働して、コラーゲンケーシングの食感を生の果実の果皮のような食感に変化させる一因になるものと考えられる。
ゲル化剤としては食品分野で常用されるものを使用でき、例えば、寒天、ゼラチンや、アラビアガム、ジェランガム、脱アシルジェランガム、ネイティブジェランガム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、サイリウムシードガム、グァーガム、タマリンドシードガム、タマリンドガム、タラガム、トラガントガムなどのガム類などが挙げられる。ゲル化剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。また、増粘多糖類としても食品分野で常用されるものを使用でき、例えば、ファーセレラン、カラギーナン、ペクチン、カードラン、大豆多糖類、アルギン酸、カルボキシメチルセルロース、グルコマンナン等が挙げられる。増粘多糖類は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。これらの中でも、生の皮付きぶどうの食感(崩壊性を含む)や果汁感を再現する観点から、ゲル化剤が好ましく、ゲル化剤の単独使用がより好ましい。
本実施形態のゲル組成物におけるゲル化剤及び/又は増粘多糖類の含有量は特に限定されず、その種類に応じて広い範囲から適宜選択できるが、例えばゲル組成物全量の0.5〜15重量%、1〜15重量%又は2〜15重量%の範囲である。範囲が狭まるほど、本発明の目的を達成する上で良好な結果が得られる場合が多い。ゲル化剤の好ましい形態としては、例えば、ゼラチンとガム類との併用形態、ガム類の単独使用形態などが挙げられる。これらの形態において、ガム類は2種以上を組み合わせて用いることが好ましい。
ゼラチンとガム類との併用形態、及びガム類の単独使用形態において、ゼラチンやガム類の含有量はそれぞれ上記した含有量範囲から適宜選択できるが、より具体的な範囲の一例として、併用形態では、ゼラチンをゲル組成物全量の0.1〜2.5重量%又は0.3〜2,2重量%の範囲から選択し、ガム類をゲル組成物全量の1.5〜5重量%又は2〜4.5重量%の範囲から選択できる。また、ガム類の単独使用形態では、ガム類の含有量をゲル組成物全量の1.8〜10重量%又は2〜6重量%の範囲から選択できる。
糖類としては従来からグミキャンディに用いられているものを特に限定なく使用でき、例えば、ぶどう糖、果糖等の単糖類、ショ糖、乳糖、トレハロース等の二糖類、マルチトール、ラクチトール、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、グリセリン、還元澱粉加水分解物(還元澱粉糖化物)、パラチニット(商標名)、パラチノース(商標名)、還元パラチノース(商標名)等の糖アルコール類、ラフィノース、スタキオース、還元キシロオリゴ糖、還元分岐オリゴ糖、フラクトオリゴ糖、イヌロオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、ラクトスクロース、キシロオリゴ糖、大豆オリゴ糖、パラチノースオリゴ糖等のオリゴ糖類、水飴、還元水飴、酵素水飴、果糖ブドウ糖液糖、ブドウ糖液糖等の液糖類、難消化性デキストリン、ポリデキストロース等の食物繊維類等が挙げられる。これらの糖類の中でも、単糖や二糖などの含有量を多くすることにより、本実施形態のぶどう様菓子又はぶどう様グミキャンディに果実様の良好な甘味を付与することもできる。糖類は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。ゲル組成物における糖類の含有量は特に限定されないが、生の皮付きふどうの食感や果汁感を再現する観点からは、例えば、ゲル組成物全量の30〜75重量%、40〜70重量%又は45〜65重量%の範囲から選択される。
グリセリンは、例えば、前述のようにコラーゲンケーシングの食感を果実の果皮のような食感に変化させるものと考えられる。グリセリンの含有量は、ゲル組成物全量の3〜15重量%、4〜12重量%又は6〜12重量%の範囲から選択される。グリセリンの含有量を例えば3〜15重量%に設定した場合には、本実施形態のぶどう様菓子又はぶどう様グミキャンディにおいて、その果実風味を損なうことなく、グリセリンとゲル化剤および/または増粘多糖類とを含むゲル組成物がコラーゲンケーシングに作用することにより、コラーゲンケーシングを果皮のような食感にすることができ、更に果皮と果肉とが一体となった果実様食感を得ることができる。前記した3つの数値範囲の中でも、生の皮付きぶどうの果汁感や食感(崩壊性を含む)をほぼ正確に再現する観点から、より狭い数値範囲の方が良い結果が得られることが比較的多い。
グリセリンの含有量が3重量%未満の場合には、コラーゲンケーシングに果皮のような食感を付与できないおそれがある。一方、グリセリンの含有量が15重量%を超えると、コラーゲンケーシングに果皮のような食感を付与できないと共に、グリセリン由来の風味が強くなり過ぎ、本実施形態のぶどう様菓子又はぶどう様グミキャンディの風味や食感を損なうおそれがある。
酸味料としては従来から食品分野で用いられているものを特に限定なく使用でき、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、乳酸、酢酸、フィチン酸等が挙げられる。また、前記酸味料を含有する果汁等を酸味料として用いてもよい。酸味料は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。ゲル組成物における酸味料の含有量は、ゲル組成物に設定されたpH値に応じて適宜選択できる。
添加剤としては従来からグミキャンディに用いられているものを特に限定なく使用でき、例えば、天然果汁、濃縮果汁、果汁の乾燥粉末などの果汁類や、澱粉、加工澱粉、天然素材、着色料、香料、食用色素等が挙げられる。これらの中でも、天然果汁、濃縮果汁、果汁の乾燥粉末などの果汁類が好ましい。添加剤は、例えば、ゲル組成物および本実施形態のぶどう様菓子又はぶどう様グミキャンディの食感、香り、外観等をより一層向上させるために用いられる。添加剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
また、ゲル組成物への塩類の添加は、例えば、ゲル組成物の水分活性を下げるための手段や、ゲル組成物を固化させる手段として、利用できる場合がある。塩類としては、食品の分野で常用される無機塩および有機塩を特に限定なく使用できる。塩類の具体例としては、例えば、亜硝酸塩類、アスコルビン酸塩類、アスパラギン酸塩類、アセスルファムカリウム、亜硫酸塩類、アルギニングルタミン酸塩類、安息香酸塩類、イノシン酸塩類、ウリジル酸塩類、エチレンジアミン四酢酸塩類、エルソルビン酸塩類、塩化塩類、オレイン酸塩類、グアニル酸塩類、クエン酸塩類、グリチリルチン酸塩類、グルコン酸塩類、グルタミン酸塩類、コハク酸塩類、コンドロイチン硫酸塩類、酢酸塩類、サッカリン塩類、酸化塩類、次亜硫酸塩類、システイン塩酸塩類、シチジル酸塩類、臭素酸塩類、酒石酸塩類、硝酸塩類、水酸化塩類、ステアリン酸塩類、ソルビン酸塩類、炭酸塩類、チアミン塩酸塩類、乳酸塩類、パントテン酸塩類、ヒスチジン塩酸塩類、リン酸塩、プロピオン酸塩類、硫酸塩類、リンゴ酸塩類などが挙げられる。塩類は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
第1〜第3形態のゲル状組成物の水分含有量(水分値)は、例えば、ゲル組成物全量の20〜45重量%又は23〜40重量%又は25〜40重量%又は25〜38重量%である。水分含有量を20〜45重量%の範囲とすることによって、ゲル組成物に生のぶどう果肉の食感を付与できと共に、ゲル組成物の水分活性値を0.6〜0.86の範囲に調整することが容易になり、本実施形態のぶどう様菓子又はぶどう様グミキャンディの常温流通性を高めることができる。
第1〜第3形態のゲル組成物の一例として、ゲル化剤および増粘多糖類よりなる群から選ばれる少なくとも1種(又はゲル化剤とゼラチンとガム類との併用又はゲル化剤とガム類との併用又はゼラチンとガム類との併用又はガム類の単独使用)を0.5〜15重量%(又は1〜15重量%又は2〜15重量%)、糖類を30〜75重量%(又は40〜70重量%又は45〜65重量%)、グリセリンを3〜15重量%(又は4〜12重量%又は6〜12重量%)、水20〜45重量%(又は23〜40重量%又は25〜40重量%又は25〜38重量%)、酸味料、添加剤(又は果汁類)を含み、さらに塩類を含み又は含まず、pHが2〜4(又は2〜3.5)、水分活性値が0.6〜0.86(又は0.6を超え0.86以下又は0.7〜0.86)である形態が挙げられる。なお、前記した各成分の含有量の数値範囲はゲル組成物全量に対する重量基準の百分率である。
ゲル組成物に含まれる各成分の含有量を適宜選択することにより、第1〜第3形態の所定の特徴を有するゲル組成物を調製することは、上述したとおりである。それ以外にも、第1形態のゲル組成物の特徴(生のぶどう果肉様の動的粘弾性パターン、特にtanδ63.1がtanδ3.98に対して34〜83%減少する動的粘弾性パターン)及び/又は第2形態のゲル組成物の特徴(1週間後の水分移行率0.3〜0.6重量%及び2週間後の水分移行率0.6〜1.5重量%)を得るための方法として、ゲル組成物中の金属イオンの含有量を調整する方法が挙げられる。
本実施形態において、ゲル組成物を構成する成分として特に天然物由来の成分を用いる場合や、有機塩及び無機塩の少なくとも1種を用いる場合は、それらが金属イオンを含んでいる場合がある。したがって、使用する各成分の金属イオン含有量を予め測定した上で、所定の含有量になるように各成分の配合比を調整してもよい。また、得られたゲル組成物について金属イオン含有量を測定し、その測定結果に応じて必要な種類及び/又は必要な量の金属イオンをさらに添加してもよい。また、予備実験で得られたゲル組成物の金属イオン含有量を測定し、その測定結果に応じて各成分の配合比を適宜調整してもよい。
金属イオンの含有量の調整方法としては、例えば、酸味料として上記した有機酸の金属塩を用いる方法、金属塩又は金属イオンを含む添加物を用いる方法、上記した無機塩及び有機塩よりなる群から選ばれる少なくとも1種を用いる方法などが挙げられる。ここで、金属塩又は金属イオンを含む添加物としては、天然物由来のものが好ましく、例えば、天然物由来のゲル化剤、果汁類などが挙げられる。天然物由来のものを用いる場合には、上述のように予め機器分析等により金属塩及び/又は金属イオンの含有量を測定した上で用いてもよい。これらの方法は、一の方法を単独で、又は二以上の方法を組み合わせて実施できる。
第1、第2形態の特徴を得る観点から、K、Naなどのアルカリ金属イオン、カルシウム、マグネシウムなどの第2族元素のイオンなどの含有量を所定の範囲に調整することがが好ましい。金属イオンの含有量を調整するより具体的な方法として、NaイオンとKイオンとの重量比率を、Kイオン:Naイオン=1.5〜4:1の範囲とする第1の方法、Kイオンの含有量を4〜20mmol/kgとした上で、NaイオンとKイオンとの重量比率を、Kイオン:Naイオン=1.5〜4:1の範囲とする第2の方法、CaイオンとMgイオンとの合計重量に対するKイオンの重量比率を、Kイオン:(Caイオン+Mgイオン)=2〜7;1とする第3の方法などが挙げられる。第1〜第3の方法、第1、第3の方法の組み合わせ、及び第2、第3の方法の組み合わせは、いずれも、第1、第2、第3形態の各ゲル組成物、第1、第2形態を組み合わせたゲル組成物、第1、第3形態を組み合わせたゲル組成物、第2、第3形態を組み合わせたゲル組成物、第1〜第3形態を組み合わせたゲル組成物のいずれにも適用できる。
ゲル組成物の固化物を被覆して内包するコラーゲンケーシングとしては、コラーゲン又はコラーゲンとセルロースとを含む市販品を特に限定なく使用できるが、ゲル組成物の固化物の外表面との密着性などを考慮すると、コラーゲンとセルロースとを含むコラーゲンケーシングが好ましい。該コラーゲンケーシングのコラーゲン含有量は、コラーゲンケーシング全量の20〜90重量%又は40〜80重量%である。さらに、ゲル組成物の固化物の外表面との密着性の観点とともに、溶解性が低くかつ口腔内で不快感を催さないといった観点から、コラーゲン含有量40〜80重量%でありかつセルロース含有量10重量%以下のコラーゲンケーシングがより好ましい。また、コラーゲンケーシングは、コラーゲン及びセルロースの他に、柔軟性、操作性(作業性)、安定性(破れ難さ等)等の観点から、例えば、パーム油、オリーブ油、ヤシ油、パーム核油等の植物油脂、グリセリン等の可塑化剤、安定剤等の1種又は2種以上を含んでいてもよい。
本実施形態のぶどう様菓子又はぶどう様グミキャンディでは、コラーゲンケーシングの膜厚および/または強度(或いは膜厚および強度)を調整することにより、これらの食感を生の皮付きぶどうの食感(特に果皮食感)に一層近づけることができる。膜厚は例えば5〜100μm又は25〜50μmの範囲から選択される。また、強度は例えば2800〜9000g/cm又は3000〜5000g/cmの範囲から選択される。ここで、強度は、ゲル組成物の固化物をコラーゲンケーシングで被覆し、常温(ここでは20〜25℃の室温とする)で6時間乾燥した後に、該固化物を除去したコラーゲンケーシングのみについて、後述する方法により測定された強度である。なお、コラーゲンケーシングとしては種々の膜厚を有するものが市販されているので、その中から、ゲル組成物の固化物を内部に充填したときに強度が前記範囲内になるものを選択して使用できる。また、ゲル組成物は、第1形態、第2形態、第3形態、第1、第2形態の組み合わせ、第1、第3形態の組み合わせ、第2、第3形態の組み合わせ、第1〜第3形態の組み合わせのいずれであってもよい。本明細書において、コラーゲンケーシングの膜厚は、マイクロメーター(商品名:MDC25MJ、(株)ミツトヨ製)を用いて10か所で測定し、算術平均値とした。
前記範囲の膜厚を有するコラーゲンケーシングにゲル組成物の固化物を内包させることにより、前記範囲の強度が得られるものと考えられる。すなわち、本実施形態のぶどう様菓子又はぶどう様グミキャンディにおいて、コラーゲンケーシングが、ゲル組成物の固化物からの離水液を吸水し、膨潤することにより、ゲル組成物の固化物を被覆していない時に比べて強度が低下し、良好な果皮食感を得ることが出来ると考えられる。コラーゲンケーシングは、その内部に空隙を有していることから、この空隙に離水液が入り込むことにより、膨潤するものと考えられる。
コラーゲンケーシングの膜厚が5μm未満では、本実施形態のぶどう様菓子又はぶどう様グミキャンディを咀嚼するときに、コラーゲンケーシングの強度が2800g/cmを下回り、連続して咀嚼することが難しく、果皮食感が得られないおそれがある。また、加熱された液状のゲル組成物をコラーゲンケーシングに充填するときに、コラーゲンケーシングが破裂するおそれがある。また、コラーゲンケーシングの膜厚が100μmを超えると、コラーゲンケーシングの強度が9000g/cmより高くなり、ゲル組成物の固化物からの離水液によるコラーゲンケーシングの膨潤が不十分になり、結果として良好な果皮様食感が得られないおそれがある。
本実施形態のぶどう様菓子又はぶどう様グミキャンディは、例えば、ゲル組成物を加熱してゲル化剤などの各成分を溶解し、得られた液状のゲル組成物をコラーゲンケーシングに充填し、所定の長さ寸法で両端を捻じった状態で冷却し、コラーゲンケーシング内部のゲル組成物を固化させ、捻じった箇所を切断することにより得ることができる。
こうして得られる本実施形態のぶどう様菓子又はぶどう様グミキャンディは、生のぶどうのような果皮食感、果肉食感、および果皮と果肉とが一体となったぶどう様食感を有し、さらに連続して咀嚼した際に、ぶどうのような瑞々しい食感と風味を有している。加えて、本実施形態のぶどう様菓子又はぶどう様グミキャンディは、生の果皮付きぶどうの食感を保持したまま、ぶどう風味を他の風味に変更することができる。他の風味としては、味や香りを付けることが可能なものであれば特に限定されず、例えば、いちご、キウイ、パイナップル、ブルーベリー、マンゴー、もも、りんご、さくらんぼう、柑橘類などのぶどう以外の果実、サイダー、コーラ、ラムネ、抹茶、ジャスミン、紅茶、緑茶、ウーロン茶、コーヒー、ミルクコーヒーなどの飲料、バラやそれ以外の花の香りを持つ食品、から揚げ、にんにく、チョコレートなどが挙げられる。
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下において、特に断らない限り、部および%は、それぞれ、重量部および重量%を示す。なお、各実施例のぶどう様菓子は、ぶどう様グミキャンディでもある。
(実施例1)
水30%、ネイティブジェランガムおよび脱アシル型ジェランガムを合計で1.6%、ローカストビーンガム1.4%、250ブルームのゼラチン0.8%、グリセリン6.0%、砂糖および水飴を合計で45%を混合し、95℃まで加熱撹拌した後、酸味料1.8%、6倍濃縮ぶどう果汁13.3%、香料0.1%を加えて撹拌し、ゲル組成物を調製した。このゲル組成物は、pH2.51、水分値30%、水分活性値0.785であった。これを充填機によって膜厚35μmのコラーゲンケーシングに充填した後、常温で6時間乾燥により自然冷却した。乾燥したものを光沢剤にかけ、ぶどう様菓子又はぶどう様グミキャンディを作製した。
なお。上記で得られたゲル組成物の金属イオン含有量をKイオンおよびNaイオンは原子吸光光度法、CaイオンおよびMgイオンはICP発光分析法により測定したところ、Kイオン9.3mmo/kg、Naイオン3.5mmol/kg、並びにCaイオン及びMgイオンを合計で3.6mmol/kg含んでおり、Kイオン:Naイオン=1.5〜4:1、及びKイオン:(Caイオン+Mgイオン)=2〜7;1の範囲を満たしていた。なお、Kイオンは主に酸味料(クエン酸カリウム、ポリリン酸カリウム)由来のものであり、Naイオンは主に酸味料(クエン酸ナトリウム)由来のものであり、Caイオン、Mgイオンは果汁由来のものであった。本実施例では、3種の酸味料を混合して用いた。
(実施例2)
水25%、ネイティブジェランガムおよび脱アシル型ジェランガムを合計で1.7%、ローカストビーンガム1.3%、サイリウムシードガム1.1%、グリセリン7.0%、砂糖および水飴を合計で47.7%を混合し、95℃まで加熱撹拌した後、酸味料1.9%、6倍濃縮ぶどう果汁14.3%、香料0.1%を加えて撹拌し、ゲル組成物を作製した。このゲル組成物は、pH2.34、水分値25%、水分活性値0.748であった。これを充填機によって膜厚35μmのコラーゲンケーシングに充填した後、常温で6時間乾燥により自然冷却した。乾燥したものを光沢剤にかけ、ぶどう様菓子又はぶどう様グミキャンディを作製した。
(実施例3)
水40%、ネイティブジェランガムおよび脱アシル型ジェランガムを合計で1.4%、ローカストビーンガムおよびキサンタンガムを合計で1.0%、グリセリン5.0%、砂糖および水飴を合計で43%を混合し、95℃まで加熱撹拌した後、酸味料1.7%、6倍濃縮ぶどう果汁7.8%、香料0.1%を加えて撹拌し、ゲル組成物を作製した。このゲル組成物は、pH2.41、水分値40%、水分活性値0.843であった。これを充填機によって膜厚35μmのコラーゲンケーシングに充填した後、常温で6時間乾燥により自然冷却した。乾燥したものを光沢剤にかけ、ぶどう様菓子又はぶどう様グミキャンディを作製した。
(実施例4)
水45%、ネイティブジェランガムおよび脱アシル型ジェランガムを合計で1.8%、ローカストビーンガムおよびキサンタンガムを合計で0.8%、250ブルームのゼラチンを0.5%、グリセリン4.3%、砂糖および水飴を合計で39%を混合し、95℃まで加熱撹拌した後、酸味料1.7%、6倍濃縮ぶどう果汁6.8%、香料0.1%を加えて撹拌し、ゲル組成物を作製した。このゲル組成物は、pH2.52、水分値45%、水分活性値0.853であった。これを充填機によって膜厚35μmのコラーゲンケーシングに充填した後、常温で6時間乾燥により自然冷却した。乾燥したものを光沢剤にかけ、ぶどう様菓子又はぶどう様グミキャンディを作製した。
実施例2〜4で得られたゲル組成物について、実施例1と同様にして金属イオンの分析を各5回実施したところ、Kイオン:Naイオン=1.5〜4:1、及びKイオン:(Caイオン+Mgイオン)=2〜7;1の範囲を満たしていた。実施例2〜4でも、実施例1と同様に、3種の酸味料を用いた。
(比較例1)
水30%、ネイティブジェランガムおよび脱アシル型ジェランガムを合計で1.6%、ローカストビーンガム0.8%、サイリウムシードガム0.6%、250ブルームのゼラチン2.6%、グリセリン7.0%、砂糖および水飴を合計で44%を混合し、95℃まで加熱撹拌した後、酸味料(クエン酸とポリリン酸の混合物)1.8%、6倍濃縮ぶどう果汁11.5%、香料0.1%を加えて撹拌し、ゲル組成物を作製した。このゲル組成物は、pH2.32、水分値30%、水分活性値0.714であった。これを充填機によって膜厚35μmのコラーゲンケーシングに充填した後、常温で6時間乾燥により自然冷却した。乾燥したものを光沢剤にかけ、ぶどう風味の菓子を作製した。
(比較例2)
水45%、ネイティブジェランガムおよび脱アシル型ジェランガムを合計で1.4%、ローカストビーンガム0.7%、グリセリン5.1%、砂糖および水飴を合計で38.5%を混合し、95℃まで加熱撹拌した後、酸味料(クエン酸とポリリン酸の混合物)1.7%、6倍濃縮ぶどう果汁7.5%、香料0.1%を加えて撹拌し、ゲル組成物を作製した。このゲル組成物は、pH2.75、水分値45%、水分活性値0.872であった。これを充填機によって膜厚35μmのコラーゲンケーシングに充填した後、常温で6時間乾燥により自然冷却した。乾燥したものを光沢剤にかけ、ぶどう風味の菓子を作製した。
(試験例1)
前述の動的粘弾性の測定方法に従って、市販の皮付き葡萄(種なし巨峰)A、B(参考例1、2)、実施例1〜4、及び比較例1〜2のぶどう様菓子について、各角振動数(rad/S)における損失正接値(tanδ)、及びtanδ3.98に対するtanδ63.1の減少率(%)を求め、動的粘弾性パターンを調べた。結果を表1および図1に示す。なお、参考例1、2の市販の皮付き葡萄(種なし巨峰)A、Bは、いずれも、店頭に出てから1週間以内のものであることを確認した。
Figure 2018229894
表1および図1の結果より、実施例1、3、4、参考例1、2は、tanδ3.98に対するtanδ63.1の減少率が34〜83%の範囲であり、この範囲でtanδの継続的な減少が見られ、実際に食した際にも同様の食感(崩壊性)を得ることが出来た。
実施例2、比較例1は15.8rad/Sの時点まで損失正接値の増加が見られ、参考例1、2とは違う挙動を示した。しかしながら、実施例2は、15.8rad/Sを超えてから損失正接値の急激な減少が見られ、最終的には参考例1、2と同程度の減少率になった。これは、コシの強い固化物を与えるゲル化剤、増粘多糖類を多く含む場合に起きる現象と考えられる。また、実施例2は、角振動を連続的に増加させると、損失正接値が顕著に低下することから、連続して咀嚼したときの生の皮付きぶどうの食感を有する条件を満たすと考えられる。実施例2のぶどう様菓子を食すと、生の皮付きぶどうの食感が再現されていた。
比較例1は、減少率が30%未満であり、実際に食した際に発生した複数の断片(小塊)が崩壊性を有しておらず、生の皮付きぶどうの食感としては不適格であった。また、比較例2は損失正接値の減少率が90%を超えており、減少率の数値を崩壊性の指標とする場合には、最も大きな崩壊性を有していると言うことができる。しかし、実際には口中に含んだだけで崩壊が始まり、1、2度の咀嚼でゲル組成物の固化物が溶けてなくなり、その後はコラーゲンケーシングのみを咀嚼し続ける状態となった。したがって、比較例2は生の皮付きぶどうとは程遠い食感であった。
(試験例2)
実施例1〜4のぶどう様菓子および比較例1〜2のぶどう風味の菓子について、ゲル組成物の固化物の水分移行率(%)を次のようにして測定した。密閉性のある包材にぶどう様菓子又はぶどう風味の菓子の一定重量を入れ、これをインキュベーター(商品名:DRX620TA、アドバンテック(株)製)に収容し、37℃で1週間又は2週間静置保存した。その後、ぶどう様菓子又はぶどう風味菓子を取り出して重量を測定し、水分移行率(%)を算出した。結果を表2に示す。なお、0週間とは製造直後の状態を示す。
Figure 2018229894
表2の結果より、実施例1〜4はコラーゲンケーシングが十分に膨潤し、かつ良好な果汁感を得ることが出来た。一方、比較例1はコラーゲンケーシングが十分に膨潤せず、コラーゲンケーシング独特のパリッとした食感となり、口内では果皮とは程遠いこりこりとした食感になっていた。また、比較例2はコラーゲンケーシングが膨潤しているものの、コラーゲンケーシングを透過する離水液が多く、また2週間目で腐敗が生じていた。
(実施例5)
実施例1と同様にしてゲル組成物を調製し、これを充填機によって膜厚100μmのコラーゲンケーシングに充填した後、常温で6時間乾燥により自然冷却した。これに光沢剤をかけ、ぶどう様菓子を作製した。
(実施例6)
コラーゲンケーシングの膜厚を100μmから5μmに変更する以外は、実施例5と同様にして、ぶどう様菓子を作製した。
(比較例3)
コラーゲンケーシングの膜厚を100μmから110μmに変更する以外は、実施例5と同様にして、ぶどう風味菓子を作製した。
(比較例4)
コラーゲンケーシングの膜厚を100μmから3μmに変更する以外は、実施例5と同様にして、ぶどう風味菓子を作製した。
(参考例3)
ゲル組成物を充填していない膜厚50μmのコラーゲンケーシングを用意した。
(試験例3)
以下の試験を実施した。結果を表3に示す。
[コラーゲンケーシングの破断重量、および破断強度]
実施例1、5、6のぶどう様菓子、比較例3、4のぶどう風味菓子から剥がしたコラーゲンケーシング、並びに参考例3のコラーゲンケーシングについて強度(破断強度)を測定した。すなわち、レオメータ(商品名:テクスチャ・アナライザ(Texture Analyzer TA.XT.plus)、Stable MicroSystems社製)および直径2mmの円柱形プランジャ(品名P2)を用い、20℃の温度下にて該プランジャをコラーゲンケーシングに押し付けて荷重をかけ、該円柱形プランジャがコラーゲンケーシングを貫通するために必要とした最大の荷重(破断重量、単位グラム)を求めた。また、前記破断強度をコラーゲンケーシングの面積で除した、単位面積当たりの破断重量(g/cm)をコラーゲンケーシングの破断強度とした。
[果皮食感]
実施例1、5、6のぶどう様菓子、及び比較例3、4で得られたぶどう風味菓子の果皮食感を下記の基準で評価した。
○:果皮様の食感を有していた
×:果皮様の食感を有していなかった
Figure 2018229894
表3の結果より、実施例1、5、6は膜厚5〜100μmのコラーゲンケーシングを使用した場合、良好な果皮食感が得られた。膜厚100μmを超えるコラーゲンケーシングを使用した場合、ゴワゴワとした果皮とは程遠い食感となり、口中から完全になくなることがなかった(比較例3)。膜厚5μm未満のコラーゲンケーシングはそれ自体の耐久性が非常に弱く、充填時に破裂が発生し、ぶどう様菓子を作製出来なかった(比較例4)。加えて、参考例3から、コラーゲンケーシングだけではぶどうの果皮食感は得られず、ゲル組成物からの離水液によってぶどうの果皮様食感が得られることが分かった。

Claims (4)

  1. ゲル組成物の固化物と、前記ゲル組成物の固化物を被覆するコラーゲンケーシングと、を含み、前記ゲル組成物の固化物が生のぶどう果肉様の動的粘弾性パターンを有することを特徴とする、ぶどう様食感を有する菓子。
  2. 前記ゲル組成物の固化物は、角振動率63.1rad/Sでの損失正接値が、角振動数3.98rad/Sでの損失正接値に対して34〜83%減少する、生のぶどう果肉様の動的粘弾性パターンを有することを特徴とする、請求項1に記載のぶどう様食感を有する菓子。
  3. 前記ゲル状組成物の固化物は、pH2〜4、水分値20〜45重量%、水分活性値0.6〜0.86であり、かつ該固化物に含まれる水分がその表面に染み出す水分移行性を有し、37℃で1週間静置後の水分移行率が0.3〜0.6重量%、37℃で2週間静置後の水分移行率が0.6〜1.5重量%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のぶどう様食感を有する菓子。
  4. 前記コラーゲンケーシングの膜厚が5〜100μmであり、前記ゲル組成物の固化物を被覆し、常温で6時間乾燥し、前記ゲル組成物の固化物を取り除いた後の、前記コラーゲンケーシングの破断強度が2800〜9000g/cmであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のぶどう様食感を有する菓子。
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