JP2013143921A - サイリウムゲル含浸菓子及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】多孔質食材にゲルを含浸させたゲル含浸菓子であって、半生感と粘弾性とを併せた今までにない全く新しい食感と、瑞々しさとを有し、噛み心地が良いゲル含浸菓子を提供する。
【解決手段】多孔質食材にゲルを含浸させたゲル含浸菓子において、前記ゲルは、サイリウムシードガムおよび糖質を含み、前記ゲルの固形分重量が前記ゲル含浸菓子の全固形分重量の30〜90%であり、且つ、ゲル含浸部分の水分値が7〜20重量%の範囲にあるサイリウムゲル含浸菓子。
【選択図】 なし
【解決手段】多孔質食材にゲルを含浸させたゲル含浸菓子において、前記ゲルは、サイリウムシードガムおよび糖質を含み、前記ゲルの固形分重量が前記ゲル含浸菓子の全固形分重量の30〜90%であり、且つ、ゲル含浸部分の水分値が7〜20重量%の範囲にあるサイリウムゲル含浸菓子。
【選択図】 なし
Description
本発明は、サイリウムゲル含浸菓子及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、本発明は、焼き菓子等の多孔質食材にサイリウムシードガムを含有するゲルを含浸することにより得られる、今までにない食感と瑞々しさとを有する、サイリウムゲル含浸菓子に関する。
グミキャンディやゼリー菓子は、その瑞々しさと弾力から、非常に人気のある商品である。それにも関わらず、グミキャンディやゼリー菓子と焼き菓子とを組み合わせた、瑞々しさと弾力とが付与された焼き菓子は流通していない。その理由は、弾力のあるグミキャンディやゼリー菓子は、焼き菓子と組み合わせて食すると、口中でバラバラになり、一体感のない食感となるからである。尚、ペクチンゼリーやジャムを焼き菓子の表面や内部に入れた商品は存在するが、いずれも弾力はなく、場合によってはひどく歯付のする食感になっているのが実情である。
上記問題を解決する方法として、グミキャンディやゼリー菓子を焼き菓子に含浸させて一体化させる方法が考えられる。ゼリーを含浸させた食品としては、多孔質食材に寒天又はゼラチンを含有するゼリーを含浸させた食品が提案されている(特許文献1)。この食品は、ゼリー特有の瑞々しさや弾力を付与することに成功しているが、日持ちのしないものであった。また、多孔質食材として焼き菓子を用いた場合には、経時的な水分移行により焼き菓子の食感が損なわれてしまうものであった。
そのため、水分値の低い高糖度のゲルを焼き菓子に含浸させる必要があり、その中で、多孔質表面を有する焼き菓子に、グミキャンディ生地を含浸させた菓子が提案されている(特許文献2)。しかし、高い粘度を有するグミキャンディ生地は、焼菓子の細い孔に浸透し難く且つ作業中に製品同士が付着しやすく、また、温度低下によってゼラチンが粘度上昇やゲル化を引き起こすため、高温下での作業が必要である等、浸透性や作業性に課題があった。また、特許文献1、2のようなゼラチンゲルに対して、加熱乾燥によって製品の水分値を下げて日持ちや弾力性を向上させようとすると、ゼラチンの熱劣化によって、褐変や不快臭が発生し、外観や風味を著しく損ねてしまう。
一方、ゼラチンを使用しない高糖度ゲルとして、寒天やカラギーナン、ペクチン等のゲル化剤によるゲルが知られているが、いずれのゲルもサクくてもろい食感であり、ゼラチンのような弾力とコシのある食感のゲルとならない。その中で、サイリウムシードガムをゲル化剤として含む糖液を固化させたグミ状ゼリーが提案されている(特許文献3)。しかし、当該実施例によれば、サイリウムシードガムによって保形性のあるゲルを得るには、高温もしくは長時間の加熱が必要であり、生産性に乏しく、得られるゲルも粘り気の少ない、噛み応えの物足りないものであった。また、以上に示したゲル化剤によるゲルは、いずれも甘ったるい味や水っぽい印象を与えるものであった。
上記事象に加え、ゲル化剤は糖液に膨潤してゾルを形成すると、粘度が急激に上昇するため、多孔質食材に対する浸透力は著しく低下する。しかし、粘度が上昇しない程度までゲル化剤の添加量を減らすと、ゲル化は不十分になってしまう。そのため、多孔質食材に弾力のあるゲルを含浸させることは、これまで不可能であった。
パンや焼き菓子の内部に、糖液や油脂性原料を含浸させた食品や含浸方法は、これまで数多く提案されている。例えば、所定の粘度や組成を有する油脂性原料をパン、菓子等の生地表面に含浸させた食品(特許文献4)、減圧下で固形原料を液状原料に埋没させた後、常圧下で液状原料から固形原料を取り出し、この固形原料を減圧下に保持し、次いで常圧に戻すことにより、固形原料に液状原料を含浸させる方法(特許文献5)、固形原料と液状原料とを接触させた状態で、5G以上の加速度を与えて、液状原料を固形原料に含浸させる方法(特許文献6)などが挙げられる。
特許文献4では、液状原料として、カカオマスやココアパウダーを含有する油脂性原料を使用している。特許文献5、6では、含浸させる液状原料については特に限定していないものの、油脂性原料、調味液、飲料、クリーム、水飴等が例示されている。しかし、これらの方法でも、液状原料としてゼラチン又はゲル化剤の膨潤した糖液を用いた場合には、その粘性によってパンや焼き菓子内部への糖液の含浸は不可能であった。
一方、ゲル化剤を焼き菓子の生地自体に含有させる方法がある。例えば、サイリウムシードガムは機能性素材としても期待されるゲル化剤であり、パン等への添加が試みられており、サイリウムシードガムと分子量20,000以上且つ2重量%水溶液の粘度が9.0cp以下である多糖類とを含有する食品(特許文献7)や、プロテアーゼによる低粘度サイリウム溶液の製造方法(特許文献8)等が提案されている。当該発明は、高い粘性を示し食品への添加が困難であったサイリウムシードガムの、各種食品への加工適性を改善したものであり、菓子類やパン類への添加も可能にしている。また、サイリウムシードガムは、製菓・製パン用品質改良剤(特許文献9)としても知られている。しかし、それらのように焼き菓子等の生地中にゲル化剤を添加した場合は、ゲル化剤や糖質は生地中に均質に分散されるため、焼き菓子の組織の空隙中にゲルが含浸した本発明のものとは構造が明らかに異なる。
本発明は、焼き菓子等の多孔質食材にサイリウムシードガムを含有するゲルを含浸させたゲル含浸菓子であって、従来にはない新規な食感と瑞々しさとを有するサイリウムゲル含浸菓子を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、多孔質食材にサイリウムシードガムを含有する糖液を含浸させてゲル化させたところ、驚くべきことに、半生感と粘弾性とを併せた今までにない全く新しい食感を有し、且つ、瑞々しさを有しながら低い水分活性を持ち、長期保存及び常温流通が可能なゲル含浸菓子を得ることに成功した。このゲル含浸菓子は、サイリウムシードガムによるゲルが多孔質食材の多孔質組織の内部に入り込むことにより、それぞれの食感を部分的に維持しつつも、そのどちらの食感とも異なる全く新しい食感を発現させる。
さらに本発明者らは、ペクチン、カラギーナン、寒天、ジェランガム、ゼラチンなどのゲル化剤を含む糖液を多孔質食材に含浸させた場合には、加熱しても十分な弾力を有するゲルが多孔質食材中に形成されず、サイリウムシードガムをゲル化剤として含む糖液を多孔質食材に含浸させた場合のみに、比較的短時間の加熱により、十分な弾力を有するゲルが多孔質食材中及び/又はその表面に形成されることを見出した。本発明者らは、上記した各知見に基づき、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、下記(1)及び(2)のサイリウムゲル含浸菓子、並びに下記(3)のサイリウムゲル含浸菓子の製造方法に関する。
(1)多孔質食材にゲルを含浸させたゲル含浸菓子であって、前記ゲルは、サイリウムシードガムおよび糖質を含み、前記ゲルの固形分重量が前記ゲル含浸菓子の全固形分重量の30〜90%であり、且つ、ゲル含浸部分の水分値が7〜20重量%の範囲にあるサイリウムゲル含浸菓子。
(2)水分活性が0.7以下である上記(1)のサイリウムゲル含浸菓子。
(2)水分活性が0.7以下である上記(1)のサイリウムゲル含浸菓子。
(3)上記(1)又は(2)のサイリウムゲル含浸菓子の製造方法であって、サイリウムシードガムを含有し、固形分濃度50重量%以上及び液温50℃以下の糖液に多孔質食材を浸漬した後、前記糖液から分離した前記多孔質食材を50℃以上で加熱する工程を含むことを特徴とするサイリウムゲル含浸菓子の製造方法。
本発明に係るサイリウムゲル含浸菓子は、半生感と粘弾性とを併せた今までにない全く新しい食感と、瑞々しさとを有する菓子である。また、前記菓子は、比較的低い水分値を有しているので、長期保存及び常温流通が可能である。さらに、前記菓子は、サイリウムシードガムによる整腸作用、血糖値上昇抑制作用、血中コレステロール低下作用等の生理作用が期待できる健康菓子である。また、前記菓子は、難消化性及び低カロリーであり、小腹満たしや食事代替にも利用でき、ダイエット食品にもなる。また、多孔質食材を基材とするために該食材の外観や原形を保っており、これまでのゼリー菓子にない新しい視覚的印象を与える菓子である。
本発明のサイリウムゲル含浸菓子(以下単に「ゲル含浸菓子」とする)は、多孔質食材の主に内部に、十分な弾力性を有するゲルが含浸されている。多孔質食材に含浸されたゲルは、サイリウムシードガム及び糖質を主体として含むことを特徴とする。ゲルとは、高分子が三次元網目構造を形成し、流動性を失って力学的に固体に近い性質を示す状態をいう。多孔質食材に含浸されたゲルは、サイリウムシードガム分子が部分的に結合し合い、糖液を取り込んで膨潤して固化した状態をとっている。
さらに、多孔質食材に含浸されたゲルは、その固形分重量がゲル含浸菓子の全固形分重量の30〜90%であるという特徴を有している。また、本発明のゲル含浸菓子のゲル含浸部分は、水分値が7〜20重量%であるという特徴を有している。
以下、本発明のゲル含浸菓子について、さらに詳しく説明する。
以下、本発明のゲル含浸菓子について、さらに詳しく説明する。
本発明のゲル含浸菓子に使用される多孔質食材は、内部に空隙を持ち、その空隙の少なくとも一部が表面に露出した食品を指す。多孔質食材の原料は、水に溶解しにくく且つ加熱融解しにくいものであればよく、例えば、小麦、米、とうもろこし等に含まれる澱粉質や、小麦、乳、卵等に含まれるタンパク質等を主原料として使用したものである。このような主原料は、1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。
主原料の少なくとも1種に水を加えて練り上げた生地を、焼成する等の方法で多孔質構造の組織が形成される。そのメカニズムとしては、攪拌や泡立て、膨張剤や発酵によるガスの発生等によって生地内部にできた無数の小さな気泡が、加熱等による温度上昇及び気泡内部への水分の蒸散によって膨張したり、又は、急激な昇温及び減圧等による水分子の気化によって気泡が発生及び膨張したりすることにより、最終的に、部分的に破裂した状態の連続した連結気泡構造を形成する。
多孔質食材の具体例としては、(1)パンやスポンジケーキ類、(2)ラスク、クルトン、ビスケット、クッキー、パイ等の焼き菓子、(3)おかき、せんべい等の米菓、(4)コーンパフ等の膨化菓子等が挙げられる。これらをさらに切断すると、内部にあった空隙が切断表面に現れるため、ゲルを含浸させるためのより好適な食材となる。この観点からは、例えば、パンをスライスして焼き上げたラスク、パンをサイコロ状に角切りして焼き上げたクルトン等が好ましい。また、多孔質食材は水分をある程度含んだものも好ましく使用できる。この観点からは、例えば、フランスパンをスライスしたもの等が好ましい。尚、綿菓子やマシュマロ、錠菓等の糖菓製品や、含気チョコレート等の油脂製品は、水や加熱によって溶けてしまうため、本発明の多孔質食材としては不適である。
多孔質食材は、所望により、糖質、タンパク質、ゼラチン、コラーゲン、油脂類、果汁、野菜汁、豆乳、乳製品、茶類、コーヒー、チョコレート類、アルコール類、グリセリン、酸味料、香料、着色料、食物繊維、ビタミン類、塩類、アミノ酸、乳化剤、安定剤、膨張剤、イースト、増粘多糖類、高甘味度甘味料などの任意成分を含有していてもよい。任意成分は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。また、任意成分は、本発明のゲル含浸菓子の嗜好性や物理的安定性に悪影響を与えない範囲で使用すればよい。
多孔質食材に含浸されたゲルは、サイリウムシードガム、糖質及び必要に応じて任意成分を含んでいる。ゲルは、さらに水を含んでいる。
サイリウムシードガムは、オオバコ科の植物(Plantago ovata Forskal)の種子の外皮から得られる天然植物ガムであり、従来からゲル化剤として用いられている。サイリウムシードガムは、サイリウムハスク(Psyllium Husk)あるいはイサゴール(Isapgol、Isabgol)とも呼ばれている。サイリウムシードガム中の成分のほとんどは非セルロース多糖類であり、キシランを主鎖として高度に分岐した構造を持ち、側鎖は、アラビノース、キシロース、ガラクツロン酸、ラムノースから成り立っている。また、サイリウムシードガムは、整腸作用、血糖値上昇抑制作用、血中コレステロール低下作用等の生理機能が知られており、難消化性且つ低カロリーで満腹感が持続する、ダイエット効果の期待できる食物繊維素材である。
多孔質食材に含浸されたゲルにおけるサイリウムシードガムの固形分重量は、前記ゲルの全固形分重量に対して好ましくは1〜12重量%であり、より好ましくは2〜6重量%である。1重量%未満では、ゲルの弾力が乏しくなる傾向があり、12重量%を超えると、製造工程中での粘度上昇やゲル化により、多孔質食材の糖液への浸漬や糖液の取扱いが困難になる傾向がある。含浸されたゲルの固形分重量における上記サイリウムシードガムの固形分重量は、多孔質食材に含浸させた糖液の全固形分重量に対するサイリウムシードガムの固形分重量の百分率と等しくなる。
糖質としては特に限定はなく、例えば、砂糖、水飴、ブドウ糖、果糖、異性化糖、オリゴ糖、デキストリン、還元水飴、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、トレハロース、還元パラチノース、マルチトール等が挙げられる。糖質は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。多孔質食材に含浸されたゲルにおける糖質の固形分重量は、前記ゲルの全固形分重量に対して好ましくは50〜99重量%であり、より好ましくは70〜98重量%である。
任意成分としては、特に限定はなく、タンパク質、ゼラチン、コラーゲン、油脂類、果汁、野菜汁、豆乳、乳製品、茶類、コーヒー、チョコレート類、アルコール類、グリセリン、酸味料、香料、着色料、食物繊維、ビタミン類、塩類、アミノ酸、乳化剤、安定剤、増粘多糖類、高甘味度甘味料等が挙げられる。任意成分は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて使用できる。また、任意成分は、本発明のゲル含浸菓子の嗜好性や物理的安定性に悪影響を与えない範囲で使用すればよい。任意成分は、目的や成分の種類に応じて、多孔質食材及び/又はゲルに含有させることで、嗜好性の幅を広げることができる。
本発明のゲル含浸菓子において、ゲルの多孔質食材への含浸率は、30〜90%であり、好ましくは50〜80%である。なお、ゲルの多孔質食材への含浸率とは、ゲル含浸菓子の全固形分重量に対する、多孔質食材に含浸されたゲルの固形分重量の割合(百分率)である。含浸率が30%未満では、ゲル含浸菓子の食感がほとんど多孔質食材の食感に近くなり、弾力に乏しい。含浸率が90%を超えると、ゲルの割合が多くなりすぎて、ゲル含浸菓子の製造が困難になる。
なお、含浸率は次のようにして求められる。まず、多孔質食材の水分値を測定する。水分値は、減圧乾燥法により、減圧乾燥前後での重量差を測定することによって算出される。
次に、多孔質食材に糖液を含浸させる工程の前後で、糖液含浸前の多孔質食材の重量及び糖液が含浸された多孔質食材(加熱乾燥前)の重量をそれぞれ測定する。多孔質食材の水分値と重量とから、多孔質食材の固形分重量Aが求められる。それと共に、多孔質食材の重量と糖液が含浸された多孔質食材(加熱乾燥前)の重量とから、多孔質食材に含浸された糖液の重量が求められる。糖液は所定の固形分濃度を有しているので、糖液の重量と固形分濃度とから、含浸された糖液中の固形分重量B(加熱乾燥後の多孔質食材に含浸されたゲルの固形分重量に等しい)が求められる。したがって、含浸率(%)=[B/(A+B)]×100となる。
次に、多孔質食材に糖液を含浸させる工程の前後で、糖液含浸前の多孔質食材の重量及び糖液が含浸された多孔質食材(加熱乾燥前)の重量をそれぞれ測定する。多孔質食材の水分値と重量とから、多孔質食材の固形分重量Aが求められる。それと共に、多孔質食材の重量と糖液が含浸された多孔質食材(加熱乾燥前)の重量とから、多孔質食材に含浸された糖液の重量が求められる。糖液は所定の固形分濃度を有しているので、糖液の重量と固形分濃度とから、含浸された糖液中の固形分重量B(加熱乾燥後の多孔質食材に含浸されたゲルの固形分重量に等しい)が求められる。したがって、含浸率(%)=[B/(A+B)]×100となる。
本発明において多孔質食材にゲルが含浸した状態としては、多孔質食材の表面から内部にゲルがほぼ全て含浸し、ゲルが表面上にほとんど出ていない状態であってもよいし、ゲルが多孔質食材の内部に含浸しながら、多孔質食材表面の一部又は全体を覆ってゲル層を形成している状態でもよい。ゲル含浸菓子の表面に露出したゲル層が厚すぎるとゲル含浸菓子の食感が損なわれるため、ゲル層の厚みは好ましくは3mm以下、より好ましくは2mm以下となるようにするのが望ましい。
本発明のゲル含浸菓子におけるゲル含浸部分の水分値は、7〜20重量%であり、好ましくは10〜17重量%である。7重量%未満では、味の出も悪く、食感も硬すぎて嗜好性に欠けるものとなってしまい、20重量%を超えると、水っぽく弾力も弱いものとなってしまう。尚、ゲル含浸部分とは、ゲル含浸菓子からゲルの含浸していない多孔質食材部分を除去した部分である。また、水分値は、減圧乾燥法により、減圧乾燥前後での重量差を測定することによって算出される。
本発明のゲル含浸菓子は、長期常温保存を可能にする観点から、水分活性は好ましくは0.7以下であり、より好ましくは0.65以下であり、さらに好ましくは0.6以下である。尚、水分活性は、水分活性恒温測定装置(商品名:LabMaster−aw、Novasina社製)にて測定した。
本発明のゲル含浸菓子は、たとえば、サイリウムシードガムを含有し、固形分濃度50重量%以上及び液温50℃以下の糖液に多孔質食材を浸漬した後、糖液から分離した多孔質食材を50℃以上で加熱する工程を含む製造方法により製造できる。前記製造方法によれば、サイリウムシードガムを含む糖液を、5分〜5時間程度のごく短い時間でゲル化できるという利点が得られる。
糖液は、固形成分として、サイリウムシードガム、及び糖質を含み、必要に応じて上記した任意成分を含み、さらに水などの溶媒を含有する。糖液は、たとえば、サイリウムシードガム、糖質及び任意成分を水などの溶媒に溶解させることにより調製できる。
糖液は、固形分濃度50重量%以上であり、好ましくは60重量%以上である。固形分濃度50重量%未満では、サイリウムシードガムが50℃以下でも膨潤してしまい、浸漬工程中に糖液の粘度が上昇し、糖液の多孔質食材への含浸が困難になる。また、水分値が高くなるために長時間の乾燥工程が必要になる。尚、固形分濃度は、全重量に対する固形分重量の割合を示す。
浸漬工程での糖液の液温は50℃以下であり、好ましくは室温程度であり、より好ましくは20〜30℃程度である。液温が50℃を超えると、サイリウムシードガムが膨潤しやすくなり、浸漬工程中に糖液の粘度が上昇してしまい、糖液の多孔質食材への含浸が困難になる。
多孔質食材の糖液への浸漬方法は特に限定されないが、一般的には、糖液中に多孔質食材を埋没させる方法や、多孔質食材の上方から糖液を注ぐ方法がとられ、さらには必要に応じて物理的圧力や、減圧処理、加圧処理等により含浸させる。
その後、糖液を含浸させた多孔質食材を糖液から取り出し、必要に応じてエアブロー等で多孔質食材表面の余分な糖液を除去し、50℃以上、好ましくは80℃以上で加熱する。加熱温度が50℃未満では、糖液のゲル化が不十分となり、所定の弾力を有するゲルが得られなくなる。その後、さらに必要に応じて所望の温度帯で乾燥させる。
浸漬時間及び加熱時間は特に限定されないが、所望の含浸率、水分値、糖液の固形分濃度、糖液の液温、加熱温度等に合わせて設定すればよい。例えば、固形分濃度60〜80重量%の糖液を用いる場合は、浸漬は糖液の液温を室温から40℃程度に保持して行なわれ、1分間〜3時間程度で終了し、加熱は80〜90℃程度の温度下に行なわれ、3〜5時間程度で終了する。また、加熱の後に、60℃以下の温度下で乾燥を行なってもよい。
以上のようにして得られたサイリウムゲル含浸菓子は、サイリウムシードガムを含むゲルが多孔質食材の多孔質構造中に含浸していることにより、サイリウムシードガムのゲルにも多孔質食材にもない独特な食感を有し、今までにない瑞々しさと心地よい弾力のある食感を楽しむことができる菓子である。この食感は、サイリウムシードガムのゲルと多孔質食材とを張り合わせただけの組み合わせ菓子と比べて、顕著に相違した食感である。
次に、実施例によって本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。本実施例において、「部」及び「%」は重量基準である。
[ゲル化剤を含有する糖液の物性試験]
(試験例1〜7)
果糖ブドウ糖液糖(固形分濃度75%、日本コーンスターチ株式会社製、以下同じ)100部に対して、下記表1に示すゲル化剤4部、クエン酸1部を混合し、ゲル化剤を含有する糖液を調製した。試験例6については、さらに乳酸カルシウムを0.4部添加混合した。
(試験例1〜7)
果糖ブドウ糖液糖(固形分濃度75%、日本コーンスターチ株式会社製、以下同じ)100部に対して、下記表1に示すゲル化剤4部、クエン酸1部を混合し、ゲル化剤を含有する糖液を調製した。試験例6については、さらに乳酸カルシウムを0.4部添加混合した。
(試験例8〜10)
試験例4〜6の糖液は非常に高粘度を有していたため、ゲル化剤の添加量をそれぞれ4部から0.4部に減らし、その他は試験例4〜6と同様にして、試験例8〜10の糖液を調製した。試験例10については、試験例6と同様に、さらに乳酸カルシウムを0.4部添加混合した。
試験例4〜6の糖液は非常に高粘度を有していたため、ゲル化剤の添加量をそれぞれ4部から0.4部に減らし、その他は試験例4〜6と同様にして、試験例8〜10の糖液を調製した。試験例10については、試験例6と同様に、さらに乳酸カルシウムを0.4部添加混合した。
<粘度測定>
試験例1〜10の各糖液100gを、直径4cmの円柱状の容器に入れ、30分静置させた後、B型粘度計(VISCOMETER TVB−10H、東機産業株式会社製)にて粘度を計測した。測定条件としては、H6ロータを使用し、回転速度100rpm、液温25℃にて、30秒後の数値を計測した。結果を表1に示す。
試験例1〜10の各糖液100gを、直径4cmの円柱状の容器に入れ、30分静置させた後、B型粘度計(VISCOMETER TVB−10H、東機産業株式会社製)にて粘度を計測した。測定条件としては、H6ロータを使用し、回転速度100rpm、液温25℃にて、30秒後の数値を計測した。結果を表1に示す。
<加熱試験>
試験例1〜10の各糖液20gを、直径5cmの半球状の容器に入れ、90℃の恒温槽で1時間加熱した。結果を表1に示す。試験例1は弾力のあるゲルを形成した。試験例4,5,6は流動性がなく固化はしているものの、弾力のないペースト状のゲルであった。その他の試験例は、流動性があり、容器を傾けると流れ出るものであった。
試験例1〜10の各糖液20gを、直径5cmの半球状の容器に入れ、90℃の恒温槽で1時間加熱した。結果を表1に示す。試験例1は弾力のあるゲルを形成した。試験例4,5,6は流動性がなく固化はしているものの、弾力のないペースト状のゲルであった。その他の試験例は、流動性があり、容器を傾けると流れ出るものであった。
以上の結果より、多孔質食材への含浸時に粘度が低く、その後の加熱によってゲル化する、という本発明の目的において、サイリウムシードガムは最適なゲル化剤であり、この物理的性質は他のゲル化剤に比べて非常に特異であることがわかる。
(実施例1)
(1)多孔質食材の作製
小麦粉100部(強力粉50部+薄力粉50部)、ドライイースト1部、食塩2部及び水70部を混合し、一次発酵、成形、二次発酵及び焼成の各工程を経て、1本当り長さ300mmの棒状のフランスパンを作製した。これをスライスし、直径約40mm、厚さ9mmの略円柱形のスライス状パンを作製した。このスライス状パンは、1枚当り、重量が約2.4g、水分値が26%であった。
(1)多孔質食材の作製
小麦粉100部(強力粉50部+薄力粉50部)、ドライイースト1部、食塩2部及び水70部を混合し、一次発酵、成形、二次発酵及び焼成の各工程を経て、1本当り長さ300mmの棒状のフランスパンを作製した。これをスライスし、直径約40mm、厚さ9mmの略円柱形のスライス状パンを作製した。このスライス状パンは、1枚当り、重量が約2.4g、水分値が26%であった。
(2)糖液の調製
果糖ブドウ糖液糖(固形分濃度75%)80部、濃縮オレンジ果汁(固形分濃度65%)20部、サイリウムシードガム4部及びクエン酸1部を混合し、固形分濃度74%の糖液を調製した。
果糖ブドウ糖液糖(固形分濃度75%)80部、濃縮オレンジ果汁(固形分濃度65%)20部、サイリウムシードガム4部及びクエン酸1部を混合し、固形分濃度74%の糖液を調製した。
(3)糖液の多孔質食材への含浸
スライス状パン100部を、液温35℃に保持した糖液に30分間浸漬し、その後糖液が含浸したスライス状パンを引き上げ、スライス状パンの表面に付着した糖液をエアブローにて除去した。その後、このスライス状パンを90℃で1時間加熱し、続いて40℃で36時間乾燥させてゲル含浸菓子を得た。ゲル含浸部分の水分値は16%であった。その水分活性は0.59と低い値を示した。
スライス状パン100部を、液温35℃に保持した糖液に30分間浸漬し、その後糖液が含浸したスライス状パンを引き上げ、スライス状パンの表面に付着した糖液をエアブローにて除去した。その後、このスライス状パンを90℃で1時間加熱し、続いて40℃で36時間乾燥させてゲル含浸菓子を得た。ゲル含浸部分の水分値は16%であった。その水分活性は0.59と低い値を示した。
(4)ゲルの多孔質食材への含浸率の算出
浸漬前のスライス状パン(水分値26%)100部から、糖液が含浸されたスライス状パン400部(表面の糖液の除去後、加熱乾燥前)が得られたため、スライス状パンの固形分重量A=100×(1−0.26)=74、スライス状パンに含浸されたゲルの固形分重量B=(400−100)×0.74(固形分濃度)=222であり、含浸されたゲルの固形分重量は、ゲル含浸菓子の全固形分重量に対して{222/(74+222)}×100=75%であった。
浸漬前のスライス状パン(水分値26%)100部から、糖液が含浸されたスライス状パン400部(表面の糖液の除去後、加熱乾燥前)が得られたため、スライス状パンの固形分重量A=100×(1−0.26)=74、スライス状パンに含浸されたゲルの固形分重量B=(400−100)×0.74(固形分濃度)=222であり、含浸されたゲルの固形分重量は、ゲル含浸菓子の全固形分重量に対して{222/(74+222)}×100=75%であった。
このゲル含浸菓子は、瑞々しさ(半生感)と弾力(粘弾性)とを併せた今までにない全く新しい食感を有し、噛み心地が良く、さらにスライス状パンの外観や形状を保っており、これまでのゼリー菓子にない新しい視覚的印象を与える菓子であった。
(実施例2)
(1)多孔質食材の作製
実施例1と同様にして、水分値26%のスライス状パンを作製した。
(1)多孔質食材の作製
実施例1と同様にして、水分値26%のスライス状パンを作製した。
(2)糖液の調製
実施例1と同様にして、固形分濃度74%の糖液を調製した。
実施例1と同様にして、固形分濃度74%の糖液を調製した。
(3)糖液の多孔質食材への含浸
スライス状パン100部の上方から、液温が室温である糖液150部を注ぎ、糖液を含浸させたスライス状パンを得た。このスライス状パンを150℃で15分間加熱乾燥し、ゲル含浸菓子を得た。ゲル含浸部分の水分値は13%であった。また、その水分活性は0.43と低い値を示した。
スライス状パン100部の上方から、液温が室温である糖液150部を注ぎ、糖液を含浸させたスライス状パンを得た。このスライス状パンを150℃で15分間加熱乾燥し、ゲル含浸菓子を得た。ゲル含浸部分の水分値は13%であった。また、その水分活性は0.43と低い値を示した。
(4)ゲルの多孔質食材への含浸率の算出
糖液を注ぐ前のスライス状パン(水分値26%)100部から、糖液が含浸されたスライス状パン250部(加熱乾燥前)が得られたため、スライス状パンの固形分重量A=100×(1−0.26)=74、スライス状パンに含浸されたゲルの固形分重量B=(250−100)×0.74(固形分濃度)=111であり、含浸されたゲルの固形分重量は、ゲル含浸菓子の全固形分重量に対して{111÷/(74+111)}×100=60%であった。
糖液を注ぐ前のスライス状パン(水分値26%)100部から、糖液が含浸されたスライス状パン250部(加熱乾燥前)が得られたため、スライス状パンの固形分重量A=100×(1−0.26)=74、スライス状パンに含浸されたゲルの固形分重量B=(250−100)×0.74(固形分濃度)=111であり、含浸されたゲルの固形分重量は、ゲル含浸菓子の全固形分重量に対して{111÷/(74+111)}×100=60%であった。
このゲル含浸菓子は、瑞々しさ(半生感)と弾力(粘弾性)とを併せた今までにない全く新しい食感を有し、噛み心地が良く、さらにスライス状パンの外観や形状を保っており、これまでのゼリー菓子にない新しい視覚的印象を与える菓子であった。
(実施例3)
(1)多孔質食材の作製
実施例1と同様にして、水分値26%のスライス状パンを作製した。
(1)多孔質食材の作製
実施例1と同様にして、水分値26%のスライス状パンを作製した。
(2)糖液の調製
果糖ブドウ糖液糖(固形分濃度75%)80部、濃縮ストロベリー果汁(固形分濃度64%)5部、水15部、サイリウムシードガム2部、クエン酸1部、及びストロベリー香料(長岡香料株式会社製)0.15部を混合し、固形分濃度64%の糖液を調製した。
果糖ブドウ糖液糖(固形分濃度75%)80部、濃縮ストロベリー果汁(固形分濃度64%)5部、水15部、サイリウムシードガム2部、クエン酸1部、及びストロベリー香料(長岡香料株式会社製)0.15部を混合し、固形分濃度64%の糖液を調製した。
(3)糖液の多孔質食材への含浸
スライス状パン100部を、液温を室温に保持した糖液に4分間浸漬し、その後糖液が含浸したスライス状パンを引き上げ、スライス状パンの表面に付着した糖液をエアブローにて除去した。その後、このスライス状パンを80℃で3時間加熱乾燥してゲル含浸菓子を得た。ゲル含浸部分の水分値は8%であった。その水分活性は0.43と低い値を示した。
スライス状パン100部を、液温を室温に保持した糖液に4分間浸漬し、その後糖液が含浸したスライス状パンを引き上げ、スライス状パンの表面に付着した糖液をエアブローにて除去した。その後、このスライス状パンを80℃で3時間加熱乾燥してゲル含浸菓子を得た。ゲル含浸部分の水分値は8%であった。その水分活性は0.43と低い値を示した。
(4)ゲルの多孔質食材への含浸率の算出
浸漬前のスライス状パン(水分値26%)100部から、糖液が含浸されたスライス状パン330部(表面の糖液の除去後、加熱乾燥前)が得られたため、スライス状パンの固形分重量A=100×(1−0.26)=74、スライス状パンに含浸されたゲルの固形分重量B=(330−100)×0.64(固形分濃度)=147.2であり、含浸されたゲルの固形分重量は、ゲル含浸菓子の全固形分重量に対して、{147.2÷(74+147.2)}×100=67%であった。
浸漬前のスライス状パン(水分値26%)100部から、糖液が含浸されたスライス状パン330部(表面の糖液の除去後、加熱乾燥前)が得られたため、スライス状パンの固形分重量A=100×(1−0.26)=74、スライス状パンに含浸されたゲルの固形分重量B=(330−100)×0.64(固形分濃度)=147.2であり、含浸されたゲルの固形分重量は、ゲル含浸菓子の全固形分重量に対して、{147.2÷(74+147.2)}×100=67%であった。
このゲル含浸菓子は、瑞々しさ(半生感)と弾力(粘弾性)とを併せた今までにない全く新しい食感を有し、噛み心地が良く、さらにスライス状パンの外観や形状を保っており、これまでのゼリー菓子にない新しい視覚的印象を与える菓子であった。
(実施例4)
(1)多孔質食材の作製
実施例1と同様にして作製されたスライス状パンを80℃で1時間乾燥させ、水分値3%のラスクを作製した。
(1)多孔質食材の作製
実施例1と同様にして作製されたスライス状パンを80℃で1時間乾燥させ、水分値3%のラスクを作製した。
(2)糖液の調製
実施例3と同様にして、固形分濃度64%の糖液を調製した。
実施例3と同様にして、固形分濃度64%の糖液を調製した。
(3)糖液の多孔質食材への含浸
ラスク100部を、液温を室温に保持した糖液に埋没させた状態で、真空密閉容器内で10kPaまで減圧処理し、1分後に常圧に戻した。その後、糖液が含浸したラスクを引き上げ、ラスク表面に付着した糖液をエアブローにて除去した。その後、このラスクを90℃で3時間加熱乾燥してゲル含浸菓子を得た。ゲル含浸部分の水分値は13%であった。その水分活性は0.43と低い値を示した。
ラスク100部を、液温を室温に保持した糖液に埋没させた状態で、真空密閉容器内で10kPaまで減圧処理し、1分後に常圧に戻した。その後、糖液が含浸したラスクを引き上げ、ラスク表面に付着した糖液をエアブローにて除去した。その後、このラスクを90℃で3時間加熱乾燥してゲル含浸菓子を得た。ゲル含浸部分の水分値は13%であった。その水分活性は0.43と低い値を示した。
(4)ゲルの多孔質食材への含浸率の算出
浸漬前のラスク100部(水分値3%)から、糖液が含浸されたラスク580部(表面の糖液の除去後、加熱乾燥前)が得られたため、ラスクの固形分重量A=100×(1−0.97)=97、ラスクに含浸されたゲルの固形分重量B=(580−100)×0.64(固形分濃度)=307.2であり、含浸されたゲルの固形分重量は、ゲル含浸菓子の全固形分重量に対して、{307.2÷(97+307.2)}×100=76%であった。
浸漬前のラスク100部(水分値3%)から、糖液が含浸されたラスク580部(表面の糖液の除去後、加熱乾燥前)が得られたため、ラスクの固形分重量A=100×(1−0.97)=97、ラスクに含浸されたゲルの固形分重量B=(580−100)×0.64(固形分濃度)=307.2であり、含浸されたゲルの固形分重量は、ゲル含浸菓子の全固形分重量に対して、{307.2÷(97+307.2)}×100=76%であった。
このゲル含浸菓子は、瑞々しさ(半生感)と弾力(粘弾性)とを併せた今までにない全く新しい食感を有し、噛み心地が良く、さらにラスクの外観や形状を保っており、これまでのゼリー菓子にない新しい視覚的印象を与える菓子であった。
(実施例5)
(1)多孔質食材の作製
市販のバニラサンドウエハース(中新製菓株式会社製、1枚当り約4g、水分値5%)を用意した。
(1)多孔質食材の作製
市販のバニラサンドウエハース(中新製菓株式会社製、1枚当り約4g、水分値5%)を用意した。
(2)糖液の調製
実施例3と同様にして、固形分濃度64%の糖液を調製した。
実施例3と同様にして、固形分濃度64%の糖液を調製した。
(3)糖液の多孔質食材への含浸
バニラサンドウエハース100部を、液温を室温に保持した糖液に1時間浸漬し、その後糖液が含浸したウエハースを引き上げ、ウエハース表面に付着した糖液をエアブローにて除去した。その後、このウエハースを80℃で5時間加熱乾燥してゲル含浸菓子を得た。ゲル含浸部分の水分値は10%であった。その水分活性は0.42と低い値を示した。
バニラサンドウエハース100部を、液温を室温に保持した糖液に1時間浸漬し、その後糖液が含浸したウエハースを引き上げ、ウエハース表面に付着した糖液をエアブローにて除去した。その後、このウエハースを80℃で5時間加熱乾燥してゲル含浸菓子を得た。ゲル含浸部分の水分値は10%であった。その水分活性は0.42と低い値を示した。
(4)ゲルの多孔質食材への含浸率の算出
浸漬前のウエハース100部(水分値5%)から、糖液が含浸されたウエハース370部(表面の糖液の除去後、加熱乾燥前)が得られたため、ウエハースの固形分重量A=100×(1−0.05)=95、ウエハースに含浸されたゲルの固形分重量B=(370−100)×0.64(固形分濃度)=172.8であり、含浸されたゲルの固形分重量は、ゲル含浸菓子の全固形分重量に対して、{172.8÷(95+172.8)}×100=65%であった。
浸漬前のウエハース100部(水分値5%)から、糖液が含浸されたウエハース370部(表面の糖液の除去後、加熱乾燥前)が得られたため、ウエハースの固形分重量A=100×(1−0.05)=95、ウエハースに含浸されたゲルの固形分重量B=(370−100)×0.64(固形分濃度)=172.8であり、含浸されたゲルの固形分重量は、ゲル含浸菓子の全固形分重量に対して、{172.8÷(95+172.8)}×100=65%であった。
このゲル含浸菓子は、瑞々しさ(半生感)と弾力(粘弾性)とを併せた今までにない全く新しい食感を有し、噛み心地が良く、さらにウエハースの外観や形状を保っており、これまでのゼリー菓子にない新しい視覚的印象を与える菓子であった。
(比較例1〜5)
サイリウムシードガムに代えて表2に示すゲル化剤を用いる以外は、実施例1と同様にして、含浸菓子を作製した。得られた含浸菓子の官能評価を表2に示す。比較例1及び2では、ゲル化が起こらず水飴が含浸したようなべたついたものとなった。比較例3及び4では、弾力のないもろいゲルが形成され、比較例5では、ゲル化が不十分で弾力が弱く、ゼラチン臭を感じるものであった。また、上記のいずれの場合もゲル化剤が完全に溶解せず、粉残りのする食感であった。
サイリウムシードガムに代えて表2に示すゲル化剤を用いる以外は、実施例1と同様にして、含浸菓子を作製した。得られた含浸菓子の官能評価を表2に示す。比較例1及び2では、ゲル化が起こらず水飴が含浸したようなべたついたものとなった。比較例3及び4では、弾力のないもろいゲルが形成され、比較例5では、ゲル化が不十分で弾力が弱く、ゼラチン臭を感じるものであった。また、上記のいずれの場合もゲル化剤が完全に溶解せず、粉残りのする食感であった。
(比較例6)
加熱乾燥時間を3時間から1.5時間に変更する以外は、実施例3と同様にして、ゲル含浸菓子を作製した。得られたゲル含浸菓子のゲル含浸部分は水分値22%であり、ゲルが弱く極端に弾力の乏しいものであった。
加熱乾燥時間を3時間から1.5時間に変更する以外は、実施例3と同様にして、ゲル含浸菓子を作製した。得られたゲル含浸菓子のゲル含浸部分は水分値22%であり、ゲルが弱く極端に弾力の乏しいものであった。
(比較例7)
加熱乾燥時間を3時間から6時間に変更する以外は、実施例3と同様にして、ゲル含浸菓子を作製した。得られたゲル含浸菓子のゲル含浸部分は水分値5%であり、弾力はなく非常に硬い食感で嗜好性に乏しいものであった。
加熱乾燥時間を3時間から6時間に変更する以外は、実施例3と同様にして、ゲル含浸菓子を作製した。得られたゲル含浸菓子のゲル含浸部分は水分値5%であり、弾力はなく非常に硬い食感で嗜好性に乏しいものであった。
Claims (3)
- 多孔質食材にゲルを含浸させたゲル含浸菓子であって、
前記ゲルは、サイリウムシードガムおよび糖質を含み、前記ゲルの固形分重量が前記ゲル含浸菓子の全固形分重量の30〜90%であり、且つ、ゲル含浸部分の水分値が7〜20重量%の範囲にあるサイリウムゲル含浸菓子。 - 水分活性が0.7以下である請求項1に記載のサイリウムゲル含浸菓子。
- 請求項1又は2に記載のサイリウムゲル含浸菓子の製造方法であって、
サイリウムシードガムを含有し、固形分濃度50重量%以上及び液温50℃以下の糖液に多孔質食材を浸漬した後、前記糖液から分離した前記多孔質食材を50℃以上で加熱する工程を含むことを特徴とするサイリウムゲル含浸菓子の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2012005970A JP2013143921A (ja) | 2012-01-16 | 2012-01-16 | サイリウムゲル含浸菓子及びその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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