JPWO2018225718A1 - 皮膚トラブル抑制剤及び皮膚トラブル抑制用組成物 - Google Patents

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Abstract

イノシトールに糖が結合したイノシトール誘導体を有効成分として含有する、微小粒子状物質に起因する皮膚トラブル抑制剤。また、前記皮膚トラブル抑制剤及び薬学的に許容される担体を含有する、微小粒子状物質に起因する皮膚トラブル抑制用組成物。

Description

本発明は、皮膚トラブル抑制剤及び皮膚トラブル抑制用組成物に関する。
本願は、2017年6月5日に、日本に出願された特願2017−111078号に基づき優先権を主張し、その内容をここに援用する。
近年、微小粒子状物質の大気汚染が深刻であり、呼吸器疾患や心血管疾患だけではなく、皮膚に対しても悪影響を及ぼすことが知られている。そのため、これらの微小粒子状物質による皮膚へのダメージを軽減する皮膚外用剤が検討されている。
特許文献1には、大気汚染物質、酸性液体、及び紫外線から肌を保護するための組成物が記載されており、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムと紫外線防御剤とを含有することを特徴としている。
特許文献2には、皮膚の重金属汚染を防止し、また重金属汚染された皮膚を洗浄するための皮膚外用剤が記載されており、粉砕したゼオライト等の無機粉末を含むことを特徴としている。
特許文献3には、大気汚染物質が皮膚に浸透することを防止する汚染物質防止剤が記載されており、αゲル構造体を含有することを特徴としている。
特許文献1〜3に記載の皮膚外用剤は、大気汚染物質などの刺激物質から肌を保護することを意図しており、皮膚を物理的に保護するものである。
一方、特許文献4には、大気エアロゾル粒子に起因する皮膚炎症抑制剤が記載されており、グミ科ヒッポファエ属の抽出物を有効成分とすることを特徴としている。また、非特許文献1には、イノシトールが、表皮細胞を界面活性剤処理した際に起こる細胞毒性を軽減することが記載されている。
国際公開第2014/136993号 特開2013−107830号公報 特開2016−88866号公報 特開2016−216366号公報
油脂、Vol.65、No.8、p.48-54、2012.
特許文献1〜3に記載の皮膚外用剤は、皮膚を物理的に保護するものであり、微小粒子状物質に接触してダメージを受けた皮膚の皮膚トラブルを抑制するものではない。また、特許文献4に記載の皮膚炎症抑制剤は、炎症誘発物質の産生抑制効果を示しているが、その抑制効果は十分とはいえない。非特許文献1に記載のイノシトールは、界面活性剤による細胞毒性テストを行っているが、炎症誘発物質の産生抑制効果は示されていない。
また、これらの従来の皮膚外用剤は、微小粒子状物質に起因するダメージから皮膚を回復させて、皮膚トラブルを抑制するものではなかった。
そこで、本発明は、炎症誘発物質の産生抑制と細胞賦活効果により、微小粒子状物質に起因する皮膚トラブルを効果的に抑制する、皮膚トラブル抑制剤及び皮膚トラブル抑制用組成物を提供することを目的とする。
本発明は以下の態様を含む。
(1)イノシトールに糖が結合したイノシトール誘導体を有効成分として含有する、微小粒子状物質に起因する皮膚トラブル抑制剤。
(2)前記糖が単糖又はオリゴ糖である、(1)に記載の皮膚トラブル抑制剤。
(3)前記単糖がグルコースである、(2)に記載の皮膚トラブル抑制剤。
(4)前記オリゴ糖がグルコースを構成単位として含むオリゴ糖である、(2)に記載の皮膚トラブル抑制剤。
(5)前記イノシトールがmyo−イノシトールである、(1)〜(4)のいずれか一項に記載の皮膚トラブル抑制剤。
(6)炎症誘発物質の産生を抑制する、(1)〜(5)のいずれか一項に記載の皮膚トラブル抑制剤。
(7)細胞賦活を促進する、(1)〜(6)のいずれか一項に記載の皮膚トラブル抑制剤。
(8)(1)〜(7)のいずれか一項に記載の皮膚トラブル抑制剤及び薬学的に許容される担体を含有する、微小粒子状物質に起因する皮膚トラブル抑制用組成物。
(9)前記イノシトール誘導体の含有量が0.01〜50質量%である、(8)に記載の皮膚トラブル抑制用組成物。
(10)皮膚外用剤である、(8)又は(9)に記載の皮膚トラブル抑制用組成物。
(11)化粧料である、(8)〜(10)のいずれか一項に記載の皮膚トラブル抑制用組成物。
本発明により、微小粒子状物質に起因する皮膚トラブルを効果的に抑制する、皮膚トラブル抑制剤及び皮膚トラブル抑制用組成物を提供することができる。
[微小粒子状物質に起因する皮膚トラブル抑制剤]
一実施形態において、本発明は、イノシトールに糖が結合したイノシトール誘導体を有効成分として含有する、微小粒子状物質に起因する皮膚トラブル抑制剤を提供する。
微小粒子状物質とは、大気中に浮遊している2.5μm以下の粒子のことをいい、PM2.5とも呼ばれる。より具体的には、大気中に浮遊する粒子状物質であって、粒径が2.5μmの粒子を50%の割合で分離できる分粒装置を用いて、より粒径の大きい粒子を除去した後に採取される粒子をいう。
本明細書において、「微小粒子状物質に起因する皮膚トラブル」とは、皮膚が微小粒子状物質に接触することによって誘発される皮膚障害を意味する。微小粒子状物質に起因する皮膚トラブルとしては、主に炎症が挙げられるが、これに限定されない。
実施例において後述するように、本実施形態の皮膚トラブル抑制剤は、微小粒子状物質によるダメージを受けて細胞増殖活性が低下したヒト表皮角化細胞の細胞増殖活性を回復させる作用を有する。また、本実施形態の皮膚トラブル抑制剤は、微小粒子状物質によって誘発される炎症誘発物質の産生を抑制する作用を有する。これらの作用により、本実施形態の皮膚トラブル抑制剤は、微小粒子状物質に起因する皮膚トラブルを効果的に抑制することができる。
また、本実施形態の皮膚トラブル抑制剤は、上記のような作用を有することから、微小粒子状物質により細胞増殖活性が低下した皮膚細胞の細胞賦活を促進するものであるということができる。あるいは、本実施形態の皮膚トラブル抑制剤は、微小粒子状物質により細胞増殖活性が低下した皮膚細胞の細胞賦活剤であるということもできる。また、本実施形態の皮膚トラブル抑制剤は、微小粒子状物質に起因する、皮膚細胞における炎症誘発物質の産生を抑制するものであるということもできる。あるいは、本実施形態の皮膚トラブル抑制剤は、微小粒子状物質に起因する、皮膚細胞における炎症誘発物質の産生抑制剤であるということもできる。また、本実施形態の皮膚トラブル抑制剤は、微小粒子状物質により誘発される炎症に対する抗炎症剤であるということもできる。
本明細書において、「細胞賦活」とは、細胞の細胞増殖活性が向上することを意味する。すなわち、細胞賦活剤とは、細胞の細胞増殖活性を向上させる薬剤である。本実施形態の皮膚トラブル抑制剤は、微小粒子状物質によるダメージを受けた皮膚細胞の細胞賦活を効果的に促進する。そのような細胞賦活には、微小粒子状物質によるダメージを受けて細胞増殖活性が低下した皮膚細胞において、細胞増殖活性を回復させることが含まれる。また、前記細胞賦活には、微小粒子状物質に起因する細胞増殖活性の低下を抑制することも含まれる。
本明細書において、「炎症誘発物質」とは、炎症反応を誘発する内因性の物質を意味する。炎症誘発物質は、生体内で産生され、炎症反応を誘発する物質であれば特に限定されないが、例えば、プロスタグランジン、ヒスタミン、キニン、ロイコトリエン、TNF−α等を挙げることができる。本実施形態の皮膚トラブル抑制剤は、特に、微小粒子状物質によるダメージを受けて皮膚細胞が産生する炎症誘発物質の産生を効果的に抑制することができる。そのような炎症誘発物質の例としては、プロスタグランジンを挙げることができ、より具体的にはプロスタグランジンE2を挙げることができる。
(イノシトール誘導体)
本実施形態の皮膚トラブル抑制剤は、イノシトールに糖が結合したイノシトール誘導体を有効成分とする。
イノシトールとは、C(OH)で表される環状六価アルコールである。イノシトールには、cis−イノシトール、epi−イノシトール、allo−イノシトール、myo−イノシトール、muco−イノシトール、neo−イノシトール、chiro−イノシトール(D体及びL体が存在する。)、scyllo−イノシトールの、9つの立体異性体が存在する。
本実施形態の皮膚トラブル抑制剤において、イノシトール誘導体を構成するイノシトールは、上記の異性体のうち、唯一生理活性を有するmyo−イノシトールであることが好ましい。イノシトールは、米糠から抽出する方法、化学合成法、及び発酵法等により合成することができる。
本実施形態の皮膚トラブル抑制剤において、イノシトール誘導体は、イノシトールの水酸基に糖が結合した化合物である。糖は、イノシトール分子内に6つ存在する水酸基のいずれか1つに結合していてもよく、いずれか2つ以上に結合していてもよい。
イノシトールに結合する糖は、単糖であってもよく、オリゴ糖であってもよい。例えば、1分子のイノシトールに1又は複数の単糖が結合していてもよく、1分子のイノシトールに1又は複数のオリゴ糖が結合していてもよく、1分子のイノシトールに1又は複数の単糖及び1又は複数のオリゴ糖が結合していてもよい。イノシトール誘導体において、1分子のイノシトールに結合した単糖又はオリゴ糖の合計は、単糖単位に換算して1以上であり、例えば2以上であってもよく、例えば3以上であってもよく、例えば4以上であってもよい。
本明細書において、単糖とは、それ以上加水分解されない糖類を意味し、多糖を形成する際の構成要素となる化合物を意味する。単糖は、糖類の最小構成単位であるということもできる。また、本明細書において、「単糖単位」とは、単糖に相当する化学構造を意味する。「単糖単位」は、単糖に由来する化学構造であるということもできる。例えば二糖を単糖単位に換算すると2であり、三糖を単糖単位に換算すると3である。より具体的には、例えば、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、グルコース、果糖、キシロース等を単糖単位に換算すると1である。
また、マルチトール、ショ糖、乳糖、マルトース、トレハロース等を単糖単位に換算すると2である。また、例えば、α−シクロデキストリンを単糖単位に換算すると6であり、β−シクロデキストリンを単糖単位に換算すると7であり、γ−シクロデキストリンを単糖単位に換算すると8である。
また、イノシトール誘導体は、単糖単位に換算して異なる数の糖が結合したイノシトール誘導体の混合物であってもよい。例えば、イノシトール誘導体は、イノシトール1分子あたり、1の単糖単位の糖が結合したものと、2の単糖単位の糖が結合したものと、3の単糖単位の糖が結合したものと、4の単糖単位の糖が結合したものと、5以上の単糖単位の糖が結合したものと、の混合物であってもよい。例えば、イノシトール誘導体は、イノシトール1分子あたり2以上の単糖単位の糖が結合したものを、イノシトール誘導体全質量(100%)に対して、10〜100質量%含むものであってもよい。イノシトール誘導体全質量(100%)に対する、イノシトール1分子あたり2以上の単糖単位の糖が結合したものの割合としては、例えば、20質量%以上、30質量%以上、40質量%以上、50質量%以上、60質量%以上、70質量%以上、又は80質量%以上とすることができる。
イノシトール誘導体を構成する糖としては、特に制限はなく、例えば、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、ペンタエリスリトール、グルコース、ショ糖、果糖、乳糖、マルトース、キシロース、トレハロース、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン等が挙げられる。
イノシトール誘導体を構成する糖は、グルコースであってもよく、グルコースを構成単位として含むオリゴ糖であってもよい。上記のオリゴ糖は、グルコースのみを構成単位として含んでいてもよい。あるいは、上記のオリゴ糖は、少なくとも1分子のグルコースと、グルコース以外の糖を構成単位として含んでいてもよい。上記のオリゴ糖の分子量は、例えば、300〜3000程度であってもよい。より具体的なオリゴ糖としては、スクロース、ラクトース、マルトース、トレハロース、セロビオース等の二糖類、ラフィノース、メレジトース、マルトトリオース等の三糖類、スタキオース等の四糖類等が挙げられる。
イノシトール誘導体は、糖が単糖であるイノシトール誘導体と、糖がオリゴ糖であるイノシトール誘導体の混合物であってもよい。また、イノシトール誘導体は、異なる種類の糖が結合したイノシトール誘導体の混合物であってもよい。
高い精製度のイノシトール誘導体を得やすくなる観点から、イノシトール誘導体の原料として、工業的に安価で安定供給可能なβ−シクロデキストリンを用いることが好ましい。この場合、イノシトール誘導体を構成する糖はグルコースを構成単位として含むことになる。一方、イノシトール誘導体の原料として、より安価なデンプン等を使うと、イノシトール誘導体の合成時に様々な糖が様々な場所に転移されるため、得られるイノシトール誘導体の精製度が安定しない傾向がある。
また、イノシトール誘導体は、薬学的に許容可能な塩の形態であってもよい。本明細書において、「薬学的に許容可能な塩」とは、イノシトール誘導体の微小粒子状物質に起因する皮膚トラブル抑制効果を阻害しない塩の形態を意味する。イノシトール誘導体の薬学的に許容可能な塩としては、特に制限されず、例えば、アルカリ金属(ナトリウム、カリウムなど)との塩;アルカリ土類金属(マグネシウム、カルシウムなど)との塩;有機塩基(ピリジン、トリエチルアミンなど)との塩、アミンとの塩、有機酸(酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、シュウ酸、安息香酸、メタンスルホン酸など)との塩、及び無機酸(塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸など)との塩等が挙げられる。
また、イノシトール誘導体は、溶媒和物の形態であってもよい。さらに、イノシトール誘導体は、イノシトール誘導体の塩の溶媒和物の形態であってもよい。溶媒和物としては、特に制限されず、例えば、水和物、エタノール溶媒和物等を挙げることができる。
(イノシトール誘導体の合成方法)
イノシトール誘導体の合成方法としては、特に制限はなく、従来知られている方法で適宜合成することができる。例えば、イノシトール及びオリゴ糖の1種であるシクロデキストリンを、シクロデキストリングルカノトランスフェラーゼの存在下で反応させて、イノシトール誘導体を合成してもよい(例えば、特開昭63−196596号公報を参照)。あるいは、グルコシル亜リン酸エステルを糖供与体として用い、グルコシル体を得る方法により、イノシトール誘導体を合成してもよい(例えば、特開平6−298783号公報を参照)。
本実施形態の皮膚トラブル抑制剤は、イノシトール誘導体として、上述したイノシトール誘導体、イノシトール誘導体の塩、及びそれらの溶媒和物からなる群より選択される化合物の1種を単独で含有してもよく、2種以上を組み合わせて含有してもよい。
本実施形態の皮膚トラブル抑制剤は、微小粒子状物質に起因する皮膚トラブルを抑制する目的で、それ自体を患者に投与して使用することができる。また、本実施形態の皮膚トラブル抑制剤は、微小粒子状物質に起因する皮膚トラブルを抑制する機能を付与する目的で、医薬品や化粧料に配合して使用することもできる。また、後述する皮膚トラブル抑制用組成物に配合して使用してもよい。
本実施形態の皮膚トラブル抑制剤は、皮膚が微小粒子状物質と接触する前に患者に投与し、微小粒子状物質に起因する炎症等の皮膚トラブルを予防するために使用してもよい。
また、本実施形態の皮膚トラブル抑制剤は、皮膚が微小粒子状物質と接触して皮膚トラブルを発症した患者に投与し、微小粒子状物質に起因する炎症等の皮膚トラブルを治療するために使用してもよい。
本実施形態の皮膚トラブル抑制剤は、後述する皮膚トラブル抑制用組成物と同様の方法で患者に投与することができ、経皮的に投与することが好ましい。
[微小粒子状物質に起因する皮膚トラブル抑制用組成物]
一実施形態において、本発明は、上述した皮膚トラブル抑制剤及び薬学的に許容される担体を含有する、微小粒子状物質に起因する皮膚トラブル抑制用組成物を提供する。
本実施形態の皮膚トラブル抑制用組成物は、常法(例えば、日本薬局方記載の方法)に従って、上述した皮膚トラブル抑制剤、薬学的に許容される担体、及び場合により他の成分を混合して製剤化することにより製造することができる。
本明細書において、「薬学的に許容される担体」とは、有効成分の生理活性を阻害せず、且つ、その投与対象に対して実質的な毒性を示さない担体を意味する。なお、「実質的な毒性を示さない」とは、その成分が通常使用される投与量において、投与対象に対して毒性を示さないことを意味する。薬学的に許容される担体としては、特に制限されず、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、乳化剤、安定剤、希釈剤、注射剤用溶剤、油性基剤、保湿剤、感触向上剤、界面活性剤、高分子、増粘・ゲル化剤、溶剤、噴射剤、酸化防止剤、還元剤、酸化剤、キレート剤、酸、アルカリ、粉体、無機塩、水、金属含有化合物、不飽和単量体、多価アルコール、高分子添加剤、補助剤、湿潤剤、増粘剤、粘着付与物質、油性原料、液状マトリックス、脂溶性物質、高分子カルボン酸塩等を挙げることができる。
これらの成分の具体例としては、例えば、国際公開公報第2016/076310号に記載のもの等が挙げられる。薬学的に許容される担体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、他の成分としては、特に制限されず、防腐剤、抗菌剤、紫外線吸収剤、美白剤、ビタミン類及びその誘導体類、消炎剤、抗炎症剤、育毛用薬剤、血行促進剤、刺激剤、ホルモン類、抗しわ剤、抗老化剤、ひきしめ剤、冷感剤、温感剤、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、植物・動物・微生物エキス、鎮痒剤、角質剥離・溶解剤、制汗剤、清涼剤、収れん剤、酵素、核酸、香料、色素、着色剤、染料、顔料、消炎鎮痛剤、抗真菌剤、抗ヒスタミン剤、催眠鎮静剤、精神安定剤、抗高血圧剤、降圧利尿剤、抗生物質、麻酔剤、抗菌性物質、抗てんかん剤、冠血管拡張剤、生薬、止痒剤、角質軟化剥離剤、紫外線遮断剤、防腐殺菌剤、抗酸化物質、pH調整剤、添加剤、金属セッケン等を挙げることができる。これらの成分の具体例としては、例えば、国際公開公報第2016/076310号に記載のもの等が挙げられる。他の成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の皮膚トラブル抑制用組成物は、医薬組成物であってもよく、化粧料であってもよい。
(医薬組成物)
一実施形態において、本発明は、上述した皮膚トラブル抑制剤及び薬学的に許容される担体を含有する、微小粒子状物質に起因する皮膚トラブルを予防又は治療するための医薬組成物を提供する。
本実施形態の医薬組成物において、薬学的に許容される担体としては、特に制限されず、上記に挙げたもののほか医薬品に一般的に使用される担体を使用することができる。例えば、日本薬局方、日本薬局方外医薬品規格、医薬品添加物規格2013(薬事日報社、2013年)、医薬品添加物辞典2016(日本医薬品添加剤協会編、薬事日報社、2016年)、Handbook of Pharmaceutical Excipients,7th edition(Pharmaceutical Press、2012年)等に記載されている一般的な原料を使用することができる。薬学的に許容される担体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の医薬組成物は、皮膚トラブル抑制剤及び薬学的に許容される担体に加えて、他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、特に制限されず、一般的な医薬品添加物を使用することができる。また、他の成分として、上述した皮膚トラブル抑制剤以外の活性成分を使用することもできる。他の成分としての医薬品添加物及び活性成分としては、上記に挙げたもののほか、例えば、日本薬局方、日本薬局方外医薬品規格、医薬品添加物規格2013(薬事日報社、2013年)、医薬品添加物辞典2016(日本医薬品添加剤協会編、薬事日報社、2016年)、Handbook of Pharmaceutical Excipients,7th edition(Pharmaceutical Press、2012年)等に記載されている一般的な原料を使用することができる。他の成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の医薬組成物の剤型としては、特に制限されず、医薬品製剤として一般的に用いられる剤型とすることができる。例えば、錠剤、被覆錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤、乳剤等の経口的に投与する剤型;及び注射剤、坐剤、皮膚外用剤等の非経口的に投与する剤型等が挙げられる。これらの剤型の医薬組成物は、定法(例えば、日本薬局方記載の方法)に従って、製剤化することができる。
本実施形態の医薬組成物としては、皮膚外用剤が好ましい。皮膚外用剤としては、より具体的には、クリーム剤、ローション剤、パック剤、フォーム剤、皮膚洗浄剤、エキス剤、硬膏剤、軟膏剤、酒精剤、懸濁剤、チンキ剤、テープ剤、パップ剤、リニメント剤、外用エアゾール剤、スプレー剤、ゲル剤等の剤型が挙げられる。
本実施形態の医薬組成物は、上記の皮膚トラブル抑制剤を治療的有効量含有することができる。「治療的有効量」とは、患者の疾患の治療又は予防のために有効な薬剤の量を意味する。治療的有効量は、投与対象の疾患の状態、年齢、性別、及び体重等によって変動し得る。本実施形態の医薬組成物において、上記の皮膚トラブル抑制剤の治療的有効量は、イノシトール誘導体が微小粒子状物質に起因する皮膚トラブル(例えば、炎症等)を抑制し得る量であり得る。例えば、本実施形態の医薬組成物における上記の皮膚トラブル抑制剤の治療的有効量は、イノシトール誘導体の医薬組成物中の含有量として、0.01〜50質量%を挙げることができ、例えば0.01〜30質量%であってもよく、例えば0.01〜20質量%であってもよく、例えば0.1〜10質量%であってもよく、例えば0.1〜5質量%であってもよく、例えば0.1〜3質量%であってもよく、例えば0.3〜2質量%であってもよく、例えば0.6〜1.5質量%であってもよい。
なお、上記のイノシトール誘導体の医薬組成物中の含有量は、1種のイノシトール誘導体を単独で使用する場合にはその化合物の含有量を意味し、イノシトール誘導体を2種以上組み合わせて用いる場合には、これらの化合物の合計の含有量を意味する。
本実施形態の医薬組成物の投与方法は、特に制限されず、医薬品の投与方法として一般的に用いられる方法で投与することができる。例えば、錠剤、被覆錠剤、丸剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、液剤、懸濁剤、乳剤等として経口投与してもよく、注射剤、輸液製剤等として、単独で、又はブドウ糖液、リンゲル液等の一般的な輸液と混合して、静脈内、動脈内、筋肉内、皮内、皮下、腹腔内等に投与してもよく、坐剤として直腸内投与してもよく、皮膚外用剤として皮膚に投与してもよい。好ましい態様において、本実施形態の医薬組成物は、皮膚外用剤として、患部に塗布、貼付又はスプレーされる。
本実施形態の医薬組成物の投与量は、治療的有効量とすることができる。治療的有効量は、患者の症状、体重、年齢、及び性別等、並びに医薬組成物の剤型、及び投与方法等によって適宜決定すればよい。例えば、本実施形態の医薬組成物の投与量は、経口投与の場合には、イノシトール誘導体として投与単位形態あたり0.01〜500mg、注射剤の場合には、イノシトール誘導体として投与単位形態あたり0.02〜250mg、坐剤の場合には、イノシトール誘導体として投与単位形態あたり0.01〜500mg等を例示することができる。また、皮膚外用剤の場合には、例えば、イノシトール誘導体として投与単位形態あたり0.15〜500mgを例示することができ、例えば0.15〜300mgであってもよく、例えば0.15〜200mgであってもよく、例えば0.2〜100mgであってもよい。
本実施形態の医薬組成物の投与間隔は、患者の症状、体重、年齢、及び性別等、並びに医薬組成物の剤型、及び投与方法等によって適宜決定すればよい。例えば、1日1回又は2〜3回程度等とすることができる。
本実施形態の医薬組成物は、例えば、皮膚が微小粒子状物質に接触して炎症等の皮膚トラブルを発症した患者に投与して、当該皮膚トラブルを治療するために用いることができる。また、本実施形態の医薬組成物は、微小粒子状物質により細胞増殖活性が低下した皮膚細胞の細胞賦活を促進するために用いることもできる。また、本実施形態の医薬組成物は、微小粒子状物質に起因して増加した炎症誘発物質(プロスタグランジン等)の産生を抑制するために用いることもできる。好ましい態様において、本実施形態の医薬組成物は、皮膚外用剤として、当該皮膚トラブルを発症した患部に塗布される。
あるいは、本実施形態の医薬組成物は、高濃度の微小粒子状物質の発生が予測される場合に、予防的に患者に投与して、微小粒子状物質に起因する炎症等の皮膚トラブルを予防するために用いることもできる。また、本実施形態の医薬組成物は、微小粒子状物質による細胞増殖活性の低下を予防するために用いることもできる。また、本実施形態の医薬組成物は、微小粒子状物質に起因する炎症誘発物質(プロスタグランジン等)の産生増加を予防するために用いることもできる。好ましい態様において、本実施形態の医薬組成物は、皮膚外用剤として、微小粒子状物質との接触が予想される皮膚に塗布される。
(化粧料)
一実施形態において、本発明は、上述した皮膚トラブル抑制剤及び薬学的に許容される担体を含有する、微小粒子状物質に起因する皮膚トラブルを抑制するための化粧料を提供する。
本実施形態の化粧料において、薬学的に許容される担体としては、特に制限されず、上記に挙げたもののほか化粧料に一般的に使用される担体を使用することができる。例えば、化粧品原料基準第二版注解(日本公定書協会編、薬事日報社、1984年)、化粧品原料基準外成分規格(厚生省薬務局審査課監修、薬事日報社、1993年)、化粧品原料基準外成分規格追補(厚生省薬務局審査課監修、薬事日報社、1993年)、化粧品種別許可基準(厚生省薬務局審査課監修、薬事日報社、1993年)、化粧品原料辞典(日光ケミカルズ社、平成3年)、International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook 2002 Ninth Edition Vol.1〜4,by CTFA等に記載されている一般的な原料を使用することができる。薬学的に許容される担体は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の化粧料は、皮膚トラブル抑制剤及び薬学的に許容される担体に加えて、他の成分を含有していてもよい。他の成分としては、特に制限されず、一般的な化粧品添加物を使用することができる。また、他の成分として、上述した皮膚トラブル抑制剤以外の活性成分を使用することもできる。他の成分としての化粧品添加物及び活性成分としては、上記に挙げたもののほか、例えば、化粧品原料基準第二版注解(日本公定書協会編、薬事日報社、1984年)、化粧品原料基準外成分規格(厚生省薬務局審査課監修、薬事日報社、1993年)、化粧品原料基準外成分規格追補(厚生省薬務局審査課監修、薬事日報社、1993年)、化粧品種別許可基準(厚生省薬務局審査課監修、薬事日報社、1993年)、化粧品原料辞典(日光ケミカルズ社、平成3年)、International Cosmetic Ingredient Dictionary and Handbook 2002 Ninth Edition Vol.1〜4,by CTFA等に記載されている一般的な原料を使用することができる。他の成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本実施形態の化粧料の形態としては、特に制限されず、化粧料として一般的に用いられる形態とすることができる。例えば、シャンプー、リンス、整髪剤などの毛髪用化粧料;洗顔料、クレンジング剤、化粧水、乳液、ローション、クリーム、ジェル、サンスクリーン剤、パック、マスク、美容液などの基礎化粧料;ファンデーション類、化粧下地、口紅類、リップグロス、頬紅類などのメーキャップ化粧料;ボディ洗浄料、ボディーパウダー、防臭化粧料などのボディ化粧料等が挙げられる。これらの化粧料は、定法に従って製造することができる。これらの中でも、本実施形態の化粧料は、皮膚外用剤として、皮膚に塗布又は貼付等する形態の化粧料であることが好ましい。例えば、化粧水、乳液、ローション、クリーム、ジェル、サンスクリーン剤、パック、マスク、美容液、ファンデーション類、化粧下地等が好適な例として挙げられる。
本実施形態の化粧料の剤型としては、特に制限されず、例えば、水中油(O/W)型、油中水(W/O)型、W/O/W型、O/W/O型等の乳化型、乳化高分子型、油性、固形、液状、練状、スティック状、揮発性油型、粉状、ゼリー状、ジェル状、ペースト状、クリーム状、シート状、フィルム状、ミスト状、スプレー型、多層状、泡状、フレーク状等が挙げられる。
本実施形態の化粧料において、上記の皮膚トラブル抑制剤の含有量は特に制限されないが、微小粒子状物質に起因する皮膚トラブルを抑制するために有効な量とすることができる。例えば、本実施形態の化粧料における上記の皮膚トラブル抑制剤の割合は、イノシトール誘導体の化粧料中の含有量として、0.01〜50質量%を挙げることができ、例えば0.01〜30質量%であってもよく、例えば0.01〜20質量%であってもよく、例えば0.1〜10質量%であってもよく、例えば0.1〜5質量%であってもよく、例えば0.1〜3質量%であってもよく、例えば0.3〜2質量%であってもよく、例えば0.6〜1.5質量%であってもよい。
なお、上記のイノシトール誘導体の化粧料中の含有量は、1種のイノシトール誘導体を単独で使用する場合にはその化合物の含有量を意味し、イノシトール誘導体を2種以上組み合わせて用いる場合には、これらの化合物の合計の含有量を意味する。
本実施形態の化粧料の使用量は、特に制限されないが、微小粒子状物質に起因する皮膚トラブルを抑制するために有効な量とすることができる。例えば、本実施形態の化粧料の使用量は、イノシトール誘導体の量として1回の使用あたり0.15〜500mgを例示することができ、例えば0.15〜300mgであってもよく、例えば0.15〜200mgであってもよく、例えば0.2〜100mgであってもよい。
本実施形態の化粧料の使用間隔は、特に制限されないが、例えば、1日1回又は2〜3回程度等とすることができる。
本実施形態の化粧料は、高濃度の微小粒子状物質の発生が予測される場合に、衣服などから露出する皮膚(顔、手足など)に塗布して、微小粒子状物質に起因する炎症等の皮膚トラブルを抑制するために用いることができる。また、微小粒子状物質の分布濃度が高い地域又は季節において、日常的なスキンケアやメーキャップに本実施形態の化粧料を使用することにより、微小粒子状物質に起因する炎症等の皮膚トラブルを抑制することができる。あるいは、本実施形態の化粧料は、皮膚が微小粒子状物質と接触した後に、当該皮膚に本実施形態の化粧料を塗布又は貼付等して、微小粒子状物質に起因する炎症等の皮膚トラブルを軽減するために用いることができる。
また、本実施形態の化粧料は、微小粒子状物質による細胞増殖活性の低下を抑制するために用いることもできる。また、本実施形態の化粧料は、微小粒子状物質に起因する炎症誘発物質(プロスタグランジン等)の産生増加を抑制するために用いることもできる。
[その他の実施形態]
一実施形態において、本発明は、イノシトールに糖(単糖、オリゴ糖)が結合したイノシトール誘導体を哺乳動物に投与する工程を含む、微小粒子状物質に起因する皮膚トラブル(例、炎症等)の予防又は治療方法を提供する。
一実施形態において、本発明は、イノシトールに糖(単糖、オリゴ糖)が結合したイノシトール誘導体を哺乳動物に投与する工程を含む、微小粒子状物質に起因する細胞増殖活性の低下を抑制する方法を提供する。
一実施形態において、本発明は、イノシトールに糖(単糖、オリゴ糖)が結合したイノシトール誘導体を哺乳動物に投与する工程を含む、微小粒子状物質に接触した皮膚細胞の細胞賦活を促進する方法を提供する。
一実施形態において、本発明は、イノシトールに糖(単糖、オリゴ糖)が結合したイノシトール誘導体を哺乳動物に投与する工程を含む、微小粒子状物質に起因する炎症誘発物質(例、プロスタグランジン等)の産生を抑制する方法を提供する。
一実施形態において、本発明は、微小粒子状物質に起因する皮膚トラブル(例、炎症等)の予防又は治療のための、イノシトールに糖(単糖又はオリゴ糖)が結合したイノシトール誘導体を提供する。
一実施形態において、本発明は、微小粒子状物質に起因する細胞増殖活性の低下を抑制するための、イノシトールに糖(単糖又はオリゴ糖)が結合したイノシトール誘導体を提供する。
一実施形態において、本発明は、微小粒子状物質に接触した皮膚細胞の細胞賦活を促進するための、イノシトールに糖(単糖又はオリゴ糖)が結合したイノシトール誘導体を提供する。
一実施形態において、本発明は、微小粒子状物質に起因する炎症誘発物質(例、プロスタグランジン等)の産生を抑制するための、イノシトールに糖(単糖又はオリゴ糖)が結合したイノシトール誘導体を提供する。
一実施形態において、本発明は、微小粒子状物質に起因する皮膚トラブル(例、炎症等)抑制剤を製造するための、イノシトールに糖(単糖又はオリゴ糖)が結合したイノシトール誘導体の使用を提供する。
一実施形態において、本発明は、微小粒子状物質に起因する細胞増殖活性の低下抑制剤を製造するための、イノシトールに糖(単糖又はオリゴ糖)が結合したイノシトール誘導体の使用を提供する。
一実施形態において、本発明は、微小粒子状物質に接触した皮膚細胞の細胞賦活促進剤を製造するための、イノシトールに糖(単糖又はオリゴ糖)が結合したイノシトール誘導体の使用を提供する。
一実施形態において、本発明は、微小粒子状物質に起因する炎症誘発物質(例、プロスタグランジン等)の産生抑制剤を製造するための、イノシトールに糖(単糖又はオリゴ糖)が結合したイノシトール誘導体の使用を提供する。
一実施形態において、本発明は、微小粒子状物質に起因する皮膚トラブル(例、炎症等)抑制用組成物を製造するための、イノシトールに糖(単糖又はオリゴ糖)が結合したイノシトール誘導体の使用を提供する。
一実施形態において、本発明は、微小粒子状物質に起因する細胞増殖活性の低下抑制用組成物を製造するための、イノシトールに糖(単糖又はオリゴ糖)が結合したイノシトール誘導体の使用を提供する。
一実施形態において、本発明は、微小粒子状物質に接触した皮膚細胞の細胞賦活促進用組成物を製造するための、イノシトールに糖(単糖又はオリゴ糖)が結合したイノシトール誘導体の使用を提供する。
一実施形態において、本発明は、微小粒子状物質に起因する炎症誘発物質(例、プロスタグランジン等)の産生抑制用組成物を製造するための、イノシトールに糖(単糖又はオリゴ糖)が結合したイノシトール誘導体の使用を提供する。
以下、実験例により本発明を説明するが、本発明は以下の実験例に限定されるものではない。
[実験例1]
(イノシトール誘導体の作製)
myo−イノシトールとβ−シクロデキストリンをシクロデキストリングルカノトランスフェラーゼの存在下で反応させ、myo−イノシトールにグルコース又はグルコースを単糖単位とするオリゴ糖が結合したイノシトール誘導体を作製した。作製したイノシトール誘導体を液体クロマトグラフィー質量分析法(LC−MS)で分析した結果、myo−イノシトールに結合したグルコース鎖のグルコース数が1個である分子の割合は12質量%、2個である分子の割合は30質量%、3個である分子の割合は9質量%、4個である分子の割合は12質量%、5個である分子の割合は2質量%であった。
[実験例2]
(培地の調製及び細胞の培養)
微小粒子状物質(PM2.5)は、National Institute of Standards & Technologyより購入した Standard Reference Material(米国登録商標)2783(Air particulate on Filter Media)を使用した。フィルタ1枚(約500μgの微小粒子状物質)を1mLのジメチルスルホキシド(DMSO)に浸漬し、一晩ゆっくり振とうして、微小粒子状物質を抽出した。
上記のように抽出した微小粒子状物質を、培養面積あたり2.5μg/cmとなるように培地(Humedia-KG2、クラボウ)に添加し、さらに、実験例1で作製したイノシトール誘導体を精製水に溶解して終濃度10−5〜10−3w/v%となるように添加して、培地を調製した(実施例1〜3)。また、比較例として、イノシトール誘導体に替えて、myo−イノシトールを添加した培地も調製した(比較例1〜3)。さらに、対照例として、微小粒子状物質を添加又は非添加の培地に、イノシトール誘導体に替えて、精製水を添加した培地を調製した(対照例1、2)。これらの培地で、正常ヒト表皮角化細胞(NHEK細胞、クラボウ)を37℃、5%CO雰囲気下で24時間培養した。
[実験例3]
(細胞賦活効果)
微小粒子状物質によって皮膚の細胞にダメージが生じ、細胞増殖活性が低下することが知られている。そこで、ヒト皮膚由来表皮細胞を用いて、実験例1で作製したイノシトール誘導体による細胞賦活効果を検討した。
実験例2に記載のように細胞を培養し、培養開始から24時間後、細胞を回収してリン酸緩衝生理食塩水で洗浄した後、細胞増殖活性を測定した。細胞増殖活性の測定は、水溶性ホルマザンを生成するテトラゾリウム塩であるWST−8(生細胞数測定試薬SF、ナカライテスク)を用いた方法で行った。その後、ニュートラルレッド法で細胞数を測定し、細胞増殖活性を示す値を、細胞数を示す値で割り返して、細胞賦活活性を算出した。
結果を表1に示す。表1中、細胞賦活活性は、微小粒子状物質非添加・精製水添加の対照例(対照例1)の細胞賦活活性を1.00としたときの相対値で示した。精製水を添加した対照例において、微小粒子状物質添加群(対照例2)では、非添加群(対照例1)と比較して、細胞賦活活性が低下した。これに対し、微小粒子状物質とイノシトール誘導体を同時に添加した群(実施例1〜3)では、いずれの添加濃度においても、細胞賦活活性は低下せず、逆に向上した。一方、myo−イノシトールを同時に添加した群(比較例1〜3)では、細胞賦活活性は、微小粒子状物質非添加・精製水添加の対照例(対照例1)と同程度であった。この結果から、イノシトール誘導体は、微小粒子状物質による皮膚細胞へのダメージを軽減して細胞増殖活性を向上させることが明らかとなった。
Figure 2018225718
[実験例4]
(炎症誘発物質の産生抑制)
実験例2に記載のように細胞を培養し、培養開始から24時間後に培地を回収し、炎症誘発物質(プロスタグランジンE2)の濃度を、酵素免疫測定法(ELISA法)により測定した。測定には、市販のプロスタグランジンE2測定キット(Prostaglandin E2, EIA Monoclonal Kit、フナコシ)を使用し、使用方法は添付の取り扱い説明書に従った。
結果を表2に示す。表2中、プロスタグランジンE2(PGE2)濃度は、微小粒子状物質非添加・精製水添加の対照例(対照例1)のPGE2濃度を1.00としたときの相対値で示した。精製水を添加した対照例において、微小粒子状物質添加群(対照例2)では、非添加群(対照例1)と比較して、PGE2濃度が上昇した。これに対し、微小粒子状物質とイノシトール誘導体を同時に添加した群(実施例1〜3)では、いずれの添加濃度においても、PGE2濃度は上昇せず、明らかに減少した。一方、myo−イノシトールを同時に添加した群(比較例1〜3)では、PGE2濃度は、微小粒子状物質非添加・精製水添加の対照例(対照例1)と同等又は減少傾向であった。この結果から、イノシトール誘導体は、微小粒子状物質による炎症誘発物質の産生を抑制することが明らかとなった。
Figure 2018225718
本発明により、炎症誘発物質の産生抑制と細胞賦活効果により、微小粒子状物質に起因する皮膚トラブルを抑制する、皮膚トラブル抑制剤及び皮膚トラブル抑制用組成物を提供することができる。

Claims (11)

  1. イノシトールに糖が結合したイノシトール誘導体を有効成分として含有する、微小粒子状物質に起因する皮膚トラブル抑制剤。
  2. 前記糖が単糖又はオリゴ糖である、請求項1に記載の皮膚トラブル抑制剤。
  3. 前記単糖がグルコースである、請求項2に記載の皮膚トラブル抑制剤。
  4. 前記オリゴ糖がグルコースを構成単位として含むオリゴ糖である、請求項2に記載の皮膚トラブル抑制剤。
  5. 前記イノシトールがmyo−イノシトールである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の皮膚トラブル抑制剤。
  6. 炎症誘発物質の産生を抑制する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の皮膚トラブル抑制剤。
  7. 細胞賦活を促進する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の皮膚トラブル抑制剤。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の皮膚トラブル抑制剤及び薬学的に許容される担体を含有する、微小粒子状物質に起因する皮膚トラブル抑制用組成物。
  9. 前記イノシトール誘導体の含有量が0.01〜50質量%である、請求項8に記載の皮膚トラブル抑制用組成物。
  10. 皮膚外用剤である、請求項8又は9に記載の皮膚トラブル抑制用組成物。
  11. 化粧料である、請求項8〜10のいずれか一項に記載の皮膚トラブル抑制用組成物。
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