JP2007084484A - 皮膚外用剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】 本発明は、優れた細胞賦活作用に加え、紫外線暴露による細胞傷害の緩和作用を併せ持つイノシトール配糖体を有効成分として含有する皮膚外用剤およびイノシトール配糖体の製造方法に関する。
【解決手段】 下記一般式(1)
【化1】
Figure 2007084484

(式中、Xは単糖残基乃至オリゴ糖残基であり、または糖残基の水酸基の水素原子はアシル基で置換されていてもよい。)で表されるイノシトール配糖体を少なくとも一種含有することを特徴とする皮膚外用剤により上記課題を達成できる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、優れた細胞賦活作用に加え、紫外線暴露による細胞傷害の緩和作用を併せ持つイノシトール配糖体を有効成分として含有する皮膚外用剤およびイノシトール配糖体の製造方法に関するものである。
加齢に伴う肌の柔軟性や弾力性が低下する等の肌機能の変化は、老化と呼ばれ様々な因子によって引き起こされる。老化に関わる因子としては、外的要因によることが多く、とりわけ太陽光に含まれる紫外線の影響が大きいことが知られている。そのため、日常の生活において紫外線から肌を守るために、紫外線散乱剤や紫外線吸収剤を配合した皮膚外用剤が開発されている。このような紫外線の遮蔽・吸収による皮膚外用剤の他にも、紫外線の暴露により皮膚内面で発生する活性酸素を消去する作用や、細胞を活性化することで細胞損傷を軽減させる薬剤を含む皮膚外用剤も開発されている。
細胞活性を促進する薬剤としては、アマニン抽出物(例えば、非特許文献1参照。)、アミノ酸誘導体(例えば、非特許文献2参照。)、クロレラ水抽出物(例えば、特許文献1参照。)、ウチワサボテン属植物抽出物(例えば、特許文献2参照。)等がある。
一方、イノシトール配糖体の一つであるガラクチノールは、myo−イノシトールとガラクトースがグリコシド結合した化合物で植物中に存在し、ガラクトオリゴ糖の前駆体となることや浸透圧調節物質となることが知られているが、その他の機能はほとんど知られていない(例えば、非特許文献3参照。)。また、2−O−β−L−アラビノピラノシル−myo−イノシトールは茶葉に含まれることが知られており、非う蝕(虫歯)性、低カロリー糖類としての用途が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。これらイノシトールの水酸基に糖を結合した配糖体に関して、その細胞賦活作用や紫外線障害予防作用等については、全く言及されていない。
さらにイノシトールの水酸基に特異的に糖を結合させる有機化学的方法は知られていない。一方、微生物を用いた酵素化学的方法によりmyo−イノシトールの水酸基に単糖を結合させる方法が知られている(例えば、非特許文献4参照。)。
第45回SCCJ討論会要旨集(1999年) Biochim.Biophys.Acta、1473巻、(1999年)、400頁 特開平9−40523号公報 特開2002−68933号公報 Carbohydrate Research、67巻(2000年)、第241−248頁 特開平1−163194号公報 Canadian Journal of Chemistry.(1965年)、第2259−2264頁
従来の細胞賦活剤や紫外線照射に対する保護作用を有する薬剤は、化粧品や医薬品の有効成分として、それらの効果を発揮させるためには不十分であり、さらに効果の高いものが望まれている。したがって、本発明の課題は高い細胞賦活作用と紫外線照射に対する保護作用を有する薬剤を配合する皮膚外用剤を提供することにある。また、イノシトール配糖体の製造に関しては、非特許文献4に報告されているが、用いられた微生物による酵素化学的方法によるmyo−イノシトールの配糖化方法は、その酵素活性が非常に弱く、精製収率も低いため、工業用製造法としては解決すべき問題点が残されており、工業化可能なプロセスによる新規な製法の開発が望まれていた。
そこで、本発明者らは、イノシトールの水酸基と糖を反応させた特定のイノシトール配糖体について、細胞賦活作用や紫外線障害防止効果を評価した結果、優れた細胞賦活作用並びに紫外線障害防止効果を示すことを見出し、また、微生物を用いたイノシトール配糖体の合成において、新たな生物的合成方法開発を目的として鋭意検討を重ねた結果、スポロボロミセス シングラリス(Sporobolomyces singularis)NBRC 10594株を利用することによりイノシトールを効率よく、また、高い精製収率で配糖化できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、
(1)下記一般式(1)
Figure 2007084484
(式中、Xは単糖残基乃至オリゴ糖残基であり、または糖残基の水酸基の水素原子はアシル基で置換されていてもよい。)で表されるイノシトール配糖体を少なくとも一種含有することを特徴とする皮膚外用剤、
(2)一般式(1)で表されるイノシトール配糖体の配合量が合計0.0001〜10重量%であることを特徴とする(1)記載の皮膚外用剤、
(3)一般式(1)におけるXで表される単糖残基がβ−D−ガラクトピラノシル基であることを特徴とする(1)または(2)に記載の皮膚外用剤、
(4)一般式(1)におけるXで表される単糖残基がα−D−ガラクトピラノシル基であることを特徴とする(1)または(2)に記載の皮膚外用剤、
(5)微生物菌体および/またはその処理物をイノシトールとラクトースに作用させてイノシトール配糖体を製造するにあたり、前記微生物がスポロボロミセス(Sporobolomyces)属に属する菌であることを特徴とするイノシトール配糖体の製造方法、
(6)前記微生物がスポロボロミセス シングラリス(Sporobolomyces singularis)であることを特徴とする(5)記載のイノシトール配糖体の製造方法、に関する。
本発明の化合物は、細胞賦活作用並びに紫外線曝露に対する細胞回復作用を有しているため、少量配合することにより皮膚細胞の抗老化、紫外線による皮膚傷害の予防、緩和、改善に効果を発揮する皮膚外用剤を得ることができる。また、水溶解性及び安定性の面でも優れていることから、様々な形態の皮膚外用剤を調製することができる。さらに本発明の微生物を用いる方法では、微生物や反応溶液などの調製に手間がかからず、極めて容易かつ効率的にmyo−イノシトール配糖体の合成が可能になった。
以下、本発明の実施の形態につき詳細に説明する。
本発明における有効成分である下記一般式(1)
Figure 2007084484
で表される化合物において、Xで示される水酸基の水素原子がアシル基で置換されていてもよい単糖残基としては、例えば、グルコース残基、フラクトース残基、ガラクトース残基、マンノース残基、タロース残基、イドース残基、アルトロース残基、アロース残基、グロース残基、キシロース残基、リボース残基、アラビノース残基、ラムノース残基、フコース残基等が挙げられ、水酸基の水素原子がアシル基で置換されていてもよいオリゴ糖残基としては、2〜10の単糖からなる直鎖状或いは分枝状のオリゴ糖残基であり、構成単糖としてグルコース、フラクトース、ガラクトース、マンノース、タロース、イドース、アルトロース、アロース、グロース、キシロース、リボース、アラビノース、ラムノース、フコース等が挙げられ、これらの構成単糖は同一であってもよく、また、異なっていてもよい。
好ましくは、Xが単糖残基である場合は、グルコース残基、フラクトース残基、マンノース残基、ガラクトース残基等の6炭糖が挙げられ、Xがオリゴ糖残基の場合は、グルコース、フラクトース、マンオース、ガラクトースなどの6炭糖を構成糖とする2〜4糖が挙げられる。
さらに単糖残基およびオリゴ糖残基の水酸基の一部又は全部の水素原子はホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基、ベンジルオキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基等のアシル基で置換されていてもよい。
イノシトールの水酸基の水素はアシル基で置換されていてもよく、また、イノシトールの立体構造は特に制限されるものではなく、myo−イノシトール、scyllo−イノシトール、D−chiro−イノシトール、epi−イノシトール、L−chiro−イノシトール、muco−イノシトール、neo−イノシトール、allo−イノシトール、cis−イノシトールが挙げられ、好ましくはmyo−イノシトール、scyllo−イノシトール、neo−イノシトール、D−chiro−イノシトール、L−chiro−イノシトールが挙げられる。また、単糖乃至オリゴ糖残基と結合するイノシトールの水酸基の位置はいずれでもよく、α−結合若しくはβ−結合のいずれでもよい。
具体的には、Xが単糖残基の場合、1−O−α−D−グルコピラノシル−myo−イノシトール、2−O−α−D−グルコピラノシル−myo−イノシトール、4−O−α−D−グルコピラノシル−myo−イノシトール、5−O−α−D−グルコピラノシル−myo−イノシトール、1−O−β−D−グルコピラノシル−myo−イノシトール、2−O−β−D−グルコピラノシル−myo−イノシトール、4−O−β−D−グルコピラノシル−myo−イノシトール、5−O−β−D−グルコピラノシル−myo−イノシトール、1−O−α−D−ガラクトピラノシル−myo−イノシトール、2−O−α−D−ガラクトピラノシル−myo−イノシトール、4−O−α−D−ガラクトピラノシル−myo−イノシトール、5−O−α−D−ガラクトピラノシル−myo−イノシトール、1−O−β−D−ガラクトピラノシル−myo−イノシトール、2−O−β−D−ガラクトピラノシル−myo−イノシトール、4−O−β−D−ガラクトピラノシル−myo−イノシトール、5−O−β−D−ガラクトピラノシル−myo−イノシトール、1−O−α−D−マンノピラノシル−myo−イノシトール、2−O−α−D−マンノピラノシル−myo−イノシトール、4−O−α−D−マンノピラノシル−myo−イノシトール、5−O−α−D−マンノピラノシル−myo−イノシトール、1−O−β−D−マンノピラノシル−myo−イノシトール、2−O−β−D−マンノピラノシル−myo−イノシトール、4−O−β−D−マンノピラノシル−myo−イノシトール、5−O−β−D−マンノピラノシル−myo−イノシトール、2−O−β−L−アラビノピラノシル−myo−イノシトール、また、上記のmyo−イノシトールが、scyllo−イノシトール、D−chiro−イノシトール、epi−イノシトール、L−chiro−イノシトール、muco−イノシトール、neo−イノシトール、allo−イノシトールあるいはcis−イノシトールに対応した化合物等が例示される。
好ましくは、1−O−α−D−グルコピラノシル−myo−イノシトール、2−O−β−D−グルコピラノシル−myo−イノシトール、5−O−β−D−グルコピラノシル−myo−イノシトール、2−O−β−L−アラビノピラノシル−myo−イノシトールが例示される。
Xがオリゴ糖残基の場合、1−O−(4−O−α−D−グルコピラノシル)−α−D−グルコピラノシル−myo−イノシトール、2−O−(4−O−α−D−グルコピラノシル)−α−D−グルコピラノシル−myo−イノシトール、4−O−(4−O−α−D−グルコピラノシル)−α−D−グルコピラノシル−myo−イノシトール、5−O−(4−O−α−D−グルコピラノシル)−α−D−グルコピラノシル−myo−イノシトール、1−O−(4−O−α−D−グルコピラノシル)−β−D−グルコピラノシル−myo−イノシトール、2−O−(4−O−α−D−グルコピラノシル)−β−D−グルコピラノシル−myo−イノシトール、4−O−(4−O−α−D−グルコピラノシル)−β−D−グルコピラノシル−myo−イノシトール、5−O−(4−O−α−D−グルコピラノシル)−β−D−グルコピラノシル−myo−イノシトール、2−O−[4−O−(β−D−ガラクトピラノシル)−α−D−グルコピラノシル]−α−D−グルコピラノシル−myo−イノシトール、2−O−[4−O−(β−D−ガラクトピラノシル)−α−D−グルコピラノシル]−β−D−グルコピラノシル−myo−イノシトール、2−O−[4−O−(α−D−グルコピラノシル)−α−D−グルコピラノシル]−α−D−グルコピラノシル−myo−イノシトール、2−O−[4−O−(α−D−グルコピラノシル)−α−D−グルコピラノシル]−β−D−グルコピラノシル−myo−イノシトール、また、上記のmyo−イノシトールが、scyllo−イノシトール、D−chiro−イノシトール、epi−イノシトール、L−chiro−イノシトール、muco−イノシトール、neo−イノシトール、allo−イノシトールあるいはcis−イノシトールに対応した化合物などが例示される。
好ましくは、2−O−(4−O−α−D−グルコピラノシル)−α−D−グルコピラノシル−myo−イノシトール、5−O−(4−O−α−D−グルコピラノシル)−α−D−グルコピラノシル−myo−イノシトール、2−O−(4−O−α−D−グルコピラノシル)−β−D−グルコピラノシル−myo−イノシトール、5−O−(4−O−α−D−グルコピラノシル)−β−D−グルコピラノシル−myo−イノシトールが例示される。
これらは一種又は二種以上を組み合わせて用いることができる。
また、本発明におけるイノシトールおよび糖残基の水酸基はアシル基で置換されていてもよく、上記具体的化合物をアシル化したものが対応する化合物である。
一般式(1)
Figure 2007084484
(式中、Xは単糖残基乃至オリゴ糖残基であり、イノシトールまたは糖残基の水酸基の水素原子はアシル基で置換されていてもよい。)で示される配糖体は、1−O−α−D−ガラクトピラノシル−myo−イノシトール、5−O−β−D−ガラクトピラノシル−myo−イノシトールおよび2−O−β−L−アラビノピラノシル−myo−イノシトールが公知であるが、他の単糖乃至オリゴ糖配糖体については自体公知の方法で合成することができる。
さらに本発明は、イノシトールの水酸基にガラクトースを結合させる活性を持つスポロボロミセス属に属する微生物菌体および/またはその処理物をイノシトールに作用させてイノシトール配糖体を製造することを特徴とする方法である。NBRC番号の付された微生物は独立行政法人製品評価技術基盤機構のインターネットカタログ(http://www.nbrc.nite.go.jp/)に記載されており、製品評価技術基盤機構から入手することができる。
本発明中のイノシトール誘導体の合成方法は、酵母の菌体またはその処理物を含有する溶液中で、イノシトールとラクトースを反応させることにより行う。具体的には、前述の微生物の培養液、あるいは培養して得られた菌体、菌体を有機溶媒処理したもの、凍結乾燥処理したもの、菌体を物理的または酵素的に破砕したもの等の処理物を用いることができる。また、これらの菌体または処理物から、配糖化する能力を有する酵素画分を粗精製物、あるいは精製物として取り出して用いることも可能であり、更には精製された酵素をもとにして特定化された単一あるいは複数の遺伝子をベクターに組み込んで得られる組み換え体DNAを保有する形質転換体を用いることもできる。
さらにはこのようにして得られた菌体、処理物、酵素画分、形質転換体等をポリアクリルアミドゲル、カラギーナンゲル等の担体に固定化したもの等を用いることも可能である。そこで、本明細書において「菌体および/またはその処理物」の用語は上述の菌体、処理物、酵素画分、形質転換体、およびそれらの固定化物すべてを含有するものである。本発明の製造方法において、反応に必要な菌体を得るためには通常、培養して用いられるが、この培養については定法通り行うことができる。培養に使用する培地は主として液体培地を用い、炭素源としてはラクトース、グルコース、マルトース、フルクトース、シュクロース、グリセリン等を単独または混合して用いる。
窒素源としては酵母エキス、ポリペプトン、ペプトン、カザミノ酸、肉エキス、コーンスチープリカー、などの有機窒素源や硫酸アンモニウム、硝酸ナトリウム等の無機窒素源を単独または混合して用いる。また、これらの成分以外にも本微生物の生育を助けイノシトール配糖体の生産を促進する有機物および無機塩を必要に応じて添加することができる。培養は、培地のpHを2〜9の範囲に調整し,温度20〜45℃で1〜10日間の範囲で活性が最大になるまで行うことが好ましい。
この培養液に最初あるいは途中からイノシトールを添加し、反応生成物としてイノシトール配糖体を得る。また、反応に際して反応液にガラクトース等の炭素源を添加し、収量が向上する場合は、それらの炭素源を適宜添加することも可能である。その他溶液には目的の配糖体の生産を促進する界面活性剤、有機物および無機塩等を必要により添加することができる。
本発明の製造方法は微生物培養の振とう操作、通気撹拌操作などに付して好気条件下で行うことが適しており、pHは2〜9、温度は20〜40℃で1日〜1週間撹拌振とうすることで反応を行う。生成物を後記のHPLC等で確認して反応時間を決めることも可能である。
これらの反応により製造されたイノシトール配糖体を単離するには、糖類の一般的な方法に準じて行えばよい。例えば、反応終了後、遠心分離等にて菌体および/またはその処理物を除去した後、反応液を活性炭等により脱色し、濃縮する。これをイオン交換カラムクロマトグラフィー等の公知の方法を利用して目的のイノシトール配糖体を単離することができる。また、精製途中に原料イノシトールをアルコール等の貧溶媒により除くこともできる。
一般式(1)で表される化合物は、細胞賦活作用及び紫外線曝露に対する細胞回復作用を有しており、皮膚外用剤に配合することにより皮膚細胞の抗老化、紫外線曝露による細胞傷害の緩和、皮膚の色素沈着防止及び皮膚ガンの予防、改善に優れた効果を発揮することができる。
一般式(1)で表される化合物の皮膚外用剤への配合量としては、一般的には0.0001〜20重量%であり、好ましくは0.001〜10重量%、より好ましくは0.01〜5重量%である。
一般式(1)で表される化合物を配合する皮膚外用剤の剤型は特に限定されるものではなく、例えば、乳液、クリーム、化粧水、ジェル、石鹸、洗顔フォーム、パック、ファンデーションなどが挙げられる。
また、本発明の効果を損なわない範囲で、精製水、油分、界面活性剤、増粘剤、アルコール類、pH調整剤、安定化剤、紫外線吸収剤、防腐剤、色素、顔料、保湿剤、香料等の一般的に化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる種々の成分を組み合わせて配合することができる。
次に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらによって何ら制限されるものではない。
[合成例1](化合物Aの合成)
ラクトース10.0%、myo−イノシトール5%、酵母エキス0.75%、pH3.7の無菌液体培地50mLの入った500mL容三角フラスコにスポロボロミセス シングラリスNBRC10594株を1白金耳接種し、25℃で114時間振とう培養を行った。培養終了後、培養液を遠心分離して生成物の確認をHPLCで行った。HPLCの条件は以下の通りである。
カラム:CK−08E (三菱化学社製、8.0×300mm、70℃)
溶離液:H20
検出:RI
新規なピークとして、イノシトールに単糖が転移した配糖体に相当するピークを検出し、その濃度を測定したところ、25g/Lであった。
この反応液を活性炭処理し、エバポレーターで60℃にて1/10に濃縮した。濃縮液にメタノールを3倍量添加し、5℃で一晩放置することにより未反応のmyo−イノシトールを晶析により除去した。得られた糖濃縮溶液をイオン交換カラム(UBP−535Ca型)にかけ、myo−イノシトール配糖体を分離精製した。
上記の操作により取得したmyo−イノシトール配糖体の構造決定は、MS測定およびNMR測定により行った。MSおよびNMRの結果、配糖体は糖とmyo−イノシトール各1分子からなる配糖体であり、糖成分はガラクトースで結合様式はβであった。イノシトールの結合位置は、2位(46%)、5位(30%)、4(6)位(17%)、3(1)位(7%)であった。
MS測定は以下の条件で測定した。
装置:Micromass type−ZMD
イオン化法:エレクトロスプレーイオン化法(+,−)
質量走査条件:50〜1500 m/e、2.0 sec/scan
印加電圧:2.0kV
コーン電圧:80V
NMR測定は以下の条件で測定した。
試料を重水0.6mLに溶かし外径5mmのNMR試料管に移した。装置はBruker製Avance DRX500分光計を用い、25℃でH−NMRと各種二次元スペクトルを測定した。また、Varian製Inova 500分光計を用い、25℃で13C−NMRを測定した。
[試験例1]
表皮細胞賦活作用の評価
正常ヒト表皮細胞を細胞密度が3.0X10個/wellになるようにKG−2培地で96穴マイクロプレートに播種し、播種24時間後に所定の濃度の化合物Aを含有したKG−2培地に交換した。さらに24時間培養後ハンクス緩衝液に交換し、再びKG−2培地で24時間培養した。次いで、ニュートラルレッドを20μg/mL添加したKG−2に交換して2時間培養した。生細胞が取り込んだニュートラルレッドの量を30%エタノール含有0.1M−HCl溶液を用いて溶解した細胞溶液を550nmの吸光度を測定することで求めた。測定値の差により表皮細胞賦活作用を評価した。その結果を化合物Aが無添加の場合の細胞生存率を100とした相対値として表1に示す。
Figure 2007084484
表1から明らかなように、10.00mg/mL以上の濃度で明らかな表皮細胞賦活作用が認められた(5%有意)。
[試験例2]
光老化防止効果の評価
正常ヒト表皮細胞を細胞密度が3.0X10個/wellになるようにKG−2培地で96穴マイクロプレートに播種し、播種24時間後に所定の濃度の化合物Aを含有したKG−2培地に交換した。さらに24時間培養後ハンクス緩衝液に交換し、東芝FL−SEランプを用いてUVBを7.5mJ/cm照射した。照射後KG−2培地で24時間培養した。次いで、ニュートラルレッドを20μg/mL添加したKG−2に交換して2時間培養した。生細胞が取り込んだニュートラルレッドの量を30%エタノール含有0.1M−HCl溶液を用いて溶解した細胞溶液を550nmの吸光度を測定することで求めた。対照はUVB未照射として、即ち、化合物Aの測定結果とした。試験例1の化合物Aが無添加の場合の吸光度を100としたとき、各化合物A添加濃度に対する細胞の生存率を(A)、対照の細胞の生存率を(B)としたとき、UVBの傷害に対する緩和作用を以下の計算式で算出した。
UVBの傷害に対する緩和作用=(A)/(B)
Figure 2007084484
表2から明らかなように、10.00mg/mL以上の濃度で明らかなUVBの傷害に対する緩和作用が認められた(1%有意)。
[実施例1]
以下の(1)〜(5)、(10)および(12)を溶解し80℃に加熱した。これに(6)〜(9)の成分を80℃で加熱溶解したものを撹拌しながら加える。冷却しながら(11)を加えてクリームを調製した。
(クリームの処方) (重量%)
(1)化合物A 0.1
(2)アロエエキス 0.20
(3)カンゾウエキス 0.50
(4)濃グリセリン 10.00
(5)1,3−ブチレングリコール 8.00
(6)セタノール 5.00
(7)白色ワセリン 12.00
(8)パルミチン酸イソプロピル 8.00
(9)親油型モノステアリン酸グリセリン 4.00
(10)防腐剤 適量
(11)香料 適量
(12)精製水 残分
[実施例2]
以下の(6)〜(8)を混合溶解した。これに(1)〜(5)および(9)の成分を混合溶解したものを撹拌しながら加え均一にして化粧水を調製した。
(化粧水の処方) (重量%)
(1)化合物A 0.1
(2)アロエエキス 0.20
(3)ゲンチアナエキス 1.50
(4)濃グリセリン 3.00
(5)1,3−ブチレングリコール 8.00
(6)エチルアルコール 8.00
(7)防腐剤 適量
(8)香料 適量
(9)精製水 残分

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)
    Figure 2007084484
    (式中、Xは単糖残基乃至オリゴ糖残基であり、または糖残基の水酸基の水素原子はアシル基で置換されていてもよい。)で表されるイノシトール配糖体を少なくとも一種含有することを特徴とする皮膚外用剤。
  2. 一般式(1)で表されるイノシトール配糖体の配合量が合計0.0001〜10重量%であることを特徴とする請求項1記載の皮膚外用剤。
  3. 一般式(1)におけるXで表される単糖残基がβ−D−ガラクトピラノシル基であることを特徴とする請求項1または2に記載の皮膚外用剤。
  4. 一般式(1)におけるXで表される単糖残基がα−D−ガラクトピラノシル基であることを特徴とする請求項1または2に記載の皮膚外用剤。
  5. 微生物菌体および/またはその処理物をイノシトールとラクトースに作用させてイノシトール配糖体を製造するにあたり、前記微生物がスポロボロミセス(Sporobolomyces)属に属する菌であることを特徴とするイノシトール配糖体の製造方法。
  6. 前記微生物がスポロボロミセス シングラリス(Sporobolomyces singularis)であることを特徴とする請求項5記載のイノシトール配糖体の製造方法。
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