JPWO2018220802A1 - 電気化学デバイス用電極及びその製造方法、並びに電気化学デバイス - Google Patents

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Abstract

集電体と、集電体の少なくとも一方の主面上に設けられた電極合剤層と、を備え、電極合剤層が、電極活物質と、下記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(2)で表される化合物、及び下記一般式(3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマに由来する構造単位を含むポリマと、溶融塩と、を含有する、電気化学デバイス用電極が開示される。
Figure 2018220802

[式(1)、(2)、及び(3)中、X 、X 、及びX は、対アニオンを示し、Rは、アルコキシ基で置換されていてもよいアルキル基を示す。]

Description

本発明は、電気化学デバイス用電極及びその製造方法、並びに電気化学デバイスに関する。
リチウムイオン二次電池は、高エネルギー密度を有するエネルギーデバイスであり、その特性を活かして、ノートパソコン、携帯電話等のポータブル機器、電気自動車の電源などに使用されている。
現在、主に用いられているリチウムイオン二次電池は、正極と負極との間にセパレータを挟み、セパレータには有機電解液が含浸されている。このようなリチウムイオン二次電池では、有機電解液が可燃性であるため、異常が発生し電池の温度が上昇した場合、発火する可能性がある。リチウムイオン二次電池において、高エネルギー密度化及び大型化に着手する上で、安全性を向上させることが重要であり、リチウムイオン二次電池の構成から発火等の事態を避けることが求められている。
このようなことから、発火等の原因となり得る有機電解液を用いない構成のリチウムイオン二次電池の開発が進められている。中でも、固体電解質の開発が盛んである。しかし、固体電解質を電解質層として用いる場合、固体電解質の流動性の低さから、固体電解質と電極合剤層に含まれる電極活物質との間で界面が形成され難い傾向にある。これを解消する手段の1つとして、電極合剤層のイオン導電性を向上させることが検討されている。
例えば、特許文献1には、リチウムイオン電池において、電極合剤層に無機固体電解質を加える方法が開示されている。また、特許文献2には、難燃性のイオン液体を電極合剤層等に浸漬した後、ゲル化剤でゲル化する方法が開示されている。
特開2013−191547号公報 特開2016−091634号公報
しかし、特許文献1に記載の方法で使用される無機固体電解質は、柔軟性に乏しく、正極及び負極における電極合剤層内部の空隙の形に合わせた形状変化が困難であるため、所望の電池特性が得られないことがある。また、界面形成性を向上させるために無機固体電解質の添加量を増加した場合には、相対的に電極内の電極活物質比率が低下するため、電池特性が低下する傾向にある。
また、特許文献2に記載のゲル化剤でゲル化する方法では、電極合剤層に液体成分が多量に含まれていることから、電池が高温になった場合、衝撃を与えられた場合等に液漏れする懸念がある。また、液絡の可能性があるため、集電体の両面に正極と負極とを有するバイポーラ構造の電池作製が困難である。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、固体電解質と組み合わせて電池を作製した場合であっても、液漏れを防ぐことができ、電池特性を高めることが可能な電気化学デバイス用電極を提供することを主な目的とする。
本発明の第1の態様は、集電体と、集電体の少なくとも一方の主面上に設けられた電極合剤層と、を備え、電極合剤層が、電極活物質と、下記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(2)で表される化合物、及び下記一般式(3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマ(以下、「特定モノマ」という場合がある。)に由来する構造単位を含むポリマと、溶融塩と、を含有する、電気化学デバイス用電極である。
Figure 2018220802
[式(1)、(2)、及び(3)中、X 、X 、及びX は、対アニオンを示し、Rは、アルコキシ基で置換されていてもよいアルキル基を示す。]
本発明の第1の態様の電気化学デバイス用電極によれば、イオン伝導に優れる溶融塩を、イオン液体である特定モノマとともに電極合剤層内に浸透後、特定モノマを重合し溶融塩を含んだ状態で固体化させるため、電極活物質、ポリマ、及び溶融塩との間で良好なイオン伝導界面が形成できる。これにより、固体電解質と組み合わせて電池を作製した場合であっても、電池特性を向上させることができる。また、ポリマによって電極合剤層内の溶融塩成分が保持されるため、溶融塩の液漏れを防ぐことができ、さらには、電極活物質が集電体から剥離することを抑制できる。
対アニオンは、BF 、PF 、N(FSO 、N(CFSO 、C(SOF) 、B(C 、BF(CF、BF(C、BF(C、BF(C、C(SOCF 、CFSO、CFCOO、及びR’COO(R’は、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基である。)からなる群より選ばれる少なくとも1種であってもよい。
電極合剤層は、リチウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、及びカルシウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の電解質塩をさらに含有していてもよい。電極合剤層が電解質塩を含有することによって、ポリマのイオン伝導度をより高めることが可能となる。電解質塩は、LiPF、LiBF、LiN(FSO、LiN(CFSO、LiB(C、及びLiClOからなる群より選ばれる少なくとも1種であってもよい。
溶融塩の含有量は、ポリマを100質量部としたとき、10〜150質量部であってもよい。溶融塩のアニオン成分は、N(FSO 又はN(CFSO を含んでいてもよい。
電極合剤層は、正極合剤層であり、電極活物質は、正極活物質であってもよい。すなわち、電気化学デバイス用電極は、正極であってもよい。
電極合剤層は、負極合剤層であり、電極活物質は、負極活物質であってもよい。すなわち、電気化学デバイス用電極は、負極であってもよい。
本発明の第2の態様は、上述の電気化学デバイス用電極を備える、電気化学デバイスである。電気化学デバイスは、二次電池であってもよい。
本発明の第3の態様は、集電体と、前記集電体の少なくとも一方の主面上に設けられた電極合剤層と、を備える電気化学デバイス用電極の製造方法であって、集電体の少なくとも一方の主面上に電極活物質を含む電極活物質層が設けられた電極前駆体を用意する工程と、電極活物質層に、下記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(2)で表される化合物、及び下記一般式(3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマ並びに溶融塩を加える工程と、電極活物質層に加えられたモノマを重合して、電極合剤層を形成する工程と、を備える、電気化学デバイス用電極の製造方法である。
Figure 2018220802
[式(1)、(2)、及び(3)中、X 、X 、及びX は、対アニオンを示し、Rは、アルコキシ基で置換されていてもよいアルキル基を示す。]
第3の態様の製造方法によれば、電極合剤層の電極活物質とポリマとの間で均一な界面を有する電気化学デバイス用電極を製造することができる。このような製造方法によって得られる電気化学デバイス用電極は、固体電解質と組み合わせて電池を作製したときに、電池特性の優れたものとなり得る。
本発明によれば、固体電解質と組み合わせて電池を作製した場合であっても、液漏れを防ぐことができ、電池特性を高めることが可能な電気化学デバイス用電極及びその製造方法が提供される。また、本発明によれば、このような電気化学デバイス用電極を備える電気化学デバイスが提供される。
第1実施形態に係る電気化学デバイスを示す斜視図である。 図1に示した電気化学デバイスの電極群を示す分解斜視図である。 (a)は一実施形態に係る電気化学デバイス用電極(正極)を説明するための図2のI−I線矢視断面図であり、(b)は他の実施形態に係る電気化学デバイス用電極(正極)を示す模式断面図である。 (a)は一実施形態に係る電気化学デバイス用電極(負極)を説明するための図2のII−II線矢視断面図であり、(b)は他の実施形態に係る電気化学デバイス用電極(負極)を示す模式断面図である。 第2実施形態に係る電気化学デバイスの電極群を示す分解斜視図である。 (a)は他の実施形態に係る電気化学デバイス用電極(バイポーラ電極)を説明するための図2のIII−III線矢視断面図であり、(b)は他の実施形態に係る電気化学デバイス用電極(バイポーラ電極)を示す模式断面図である。 実施例6及び比較例1で作製したポリマ二次電池の電池性能評価を示すグラフである。
以下、図面を適宜参照しながら、本発明の実施形態について説明する。ただし、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。各図における構成要素の大きさは概念的なものであり、構成要素間の大きさの相対的な関係は各図に示されたものに限定されない。
本明細書における数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書中、「電極」とは、正極又は負極を意味する。電極集電体、電極合剤層、電極活物質、電極活物質層、電極前駆体等の他の類似の表現においても同様である。
本明細書中、略称として以下を用いる場合がある。
[EMI]:1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン
[DEME]:N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウムカチオン
[Py12]:N−エチル−N−メチルピロリジニウムカチオン
[Py13]:N−メチル−N−プロピルピロリジニウムカチオン
[PP13]:N−メチル−N−プロピルピペリジニウムカチオン
[VEI]:ビニル(エチル)イミダゾリウムカチオン
[VEtOEI]:ビニル(エトキシエチル)イミダゾリウムカチオン
[VIpI]:ビニル(イソプロピル)イミダゾリウムカチオン
[DADMA]:ジアリルジメチルアンモニウムカチオン
[MC]:メタクロイルコリンカチオン
[FSI]:ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン
[TFSI]又は[NTf:ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン
[f3C]:トリス(フルオロスルホニル)カルボアニオン
[BOB]:ビスオキサレートボラートアニオン
[P(DADMA)][Cl]:ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム)クロライド
[P(DADMA)][TFSI]:ポリ(ジアリルジメチルアンモニウム)ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係る電気化学デバイスを示す斜視図である。電気化学デバイスは、例えば、二次電池であってもよい。以下、二次電池の態様について説明する。
図1に示すように、二次電池1は、電気化学デバイス用電極及び電解質層から構成される電極群2と、電極群2を収容する袋状の電池外装体3とを備えている。電気化学デバイス用電極は、正極であってもよく、負極であってもよい。電気化学デバイス用電極(正極及び負極)には、それぞれ正極集電タブ4及び負極集電タブ5が設けられている。正極集電タブ4及び負極集電タブ5は、それぞれ正極及び負極が二次電池1の外部と電気的に接続可能なように、電池外装体3の内部から外部へ突き出している。
電池外装体3は、例えば、ラミネートフィルムで形成されていてもよい。ラミネートフィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の樹脂フィルムと、アルミニウム、銅、ステンレス鋼等の金属箔と、ポリプロピレン等のシーラント層とがこの順で積層された積層フィルムであってもよい。
図2は、図1に示した二次電池1における電極群2の一実施形態を示す分解斜視図である。図2に示すように、電極群2Aは、正極6と、電解質層7と、負極8とをこの順に備えている。正極6は、正極集電体9と、正極集電体9の少なくとも一方の主面上に設けられた正極合剤層10とを備えている。正極集電体9には、正極集電タブ4が設けられている。負極8は、負極集電体11と、負極集電体11の少なくとも一方の主面上に設けられた負極合剤層12とを備えている。負極集電体11には、負極集電タブ5が設けられている。
図3(a)は、図2のI−I線矢印断面図である。正極6は、第1の電気化学デバイス用電極を構成する。すなわち、図3(a)に示すように、第1の電気化学デバイス用電極13Aは、正極集電体9と、正極集電体9の少なくとも一方の主面上に設けられた正極合剤層10と、を備える。
図3(b)は、他の実施形態に係る第1の電気化学デバイス用電極を示す模式断面図である。図3(b)に示すように、第1の電気化学デバイス用電極13Bは、正極集電体9と、正極合剤層10と、電解質層7と、をこの順に備えている。
<第1の電気化学デバイス用電極>
第1の電気化学デバイス用電極13Aは、正極集電体9を備える。正極集電体9は、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン等で形成されていてもよい。正極集電体9は、具体的には、孔径0.1〜10mmの孔を有するアルミニウム製穿孔箔、エキスパンドメタル、発泡金属板等であってもよい。正極集電体9は、上記以外にも、電池の使用中に溶解、酸化等の変化を生じないものであれば、任意の材料で形成されていてよく、また、その形状、製造方法等も制限されない。
正極集電体9の厚さは、1μm以上、5μm以上、又は10μm以上であってもよい。正極集電体9の厚さは、100μm以下、50μm以下、又は20μm以下であってもよい。
第1の電気化学デバイス用電極13Aは、正極合剤層10を備える。正極合剤層10は、一実施形態において、正極活物質と、特定モノマに由来する構成単位を含むポリマと、溶融塩と、を含有する。
[正極活物質]
正極合剤層10は、正極活物質を含有する。正極活物質は、例えば、リチウム遷移金属酸化物、リチウム遷移金属リン酸塩等のリチウム遷移金属化合物であってもよい。
リチウム遷移金属酸化物は、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム等であってもよい。リチウム遷移金属酸化物は、マンガン酸リチウム、ニッケル酸リチウム、コバルト酸リチウム等に含有されるMn、Ni、Co等の遷移金属の一部を、1種若しくは2種以上の他の遷移金属、又はMg、Al等の金属元素(典型元素)で置換したリチウム遷移金属酸化物であってもよい。すなわち、リチウム遷移金属酸化物は、LiM又はLiM(Mは少なくとも1種の遷移金属を含む)で表される化合物であってもよい。リチウム遷移金属酸化物は、具体的には、Li(Co1/3Ni1/3Mn1/3)O、LiNi1/2Mn1/2、LiNi1/2Mn3/2等であってもよい。
リチウム遷移金属酸化物は、エネルギー密度をさらに向上させる観点から、好ましくは下記式(A)で表される化合物である。
LiNiCo 2+e (A)
[式(A)中、Mは、Al、Mn、Mg、及びCaからなる群より選ばれる少なくとも1種であり、a、b、c、d、及びeは、それぞれ0.2≦a≦1.2、0.5≦b≦0.9、0.1≦c≦0.4、0≦d≦0.2、−0.2≦e≦0.2、かつb+c+d=1を満たす数である。]
リチウム遷移金属リン酸塩は、LiFePO、LiMnPO、LiMn 1−xPO(0.3≦x≦1、MはFe、Ni、Co、Ti、Cu、Zn、Mg、及びZrからなる群より選ばれる少なくとも1種の元素である)等であってもよい。
正極活物質の含有量は、正極合剤層全量を基準として、70質量%以上、80質量%以上、又は90質量%以上であってもよい。正極活物質の含有量は、正極合剤層全量を基準として、99質量%以下であってもよい。
[ポリマ]
正極合剤層10は、ポリマを含有する。ポリマは、下記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(2)で表される化合物、及び下記一般式(3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマ(特定モノマ)に由来する構造単位を含む。特定モノマは、いずれもイオン液体である。
Figure 2018220802
式(1)、(2)、及び(3)中、X 、X 、及びX は、対アニオンを示し、Rは、アルコキシ基で置換されていてもよいアルキル基を示す。
、X 、及びX としての対アニオンは、例えば、BF (テトラフルオロボラートアニオン)、PF (ヘキサフルオロホスファートアニオン)、N(FSO (ビス(フルオロスルホニル)イミドアニオン、[FSI])、N(CFSO (ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン、[TFSI])、C(SOF) (トリス(フルオロスルホニル)カルボアニオン、[f3C])、B(C (ビスオキサレートボラートアニオン、[BOB])、BF(CF、BF(C、BF(C、BF(C、C(SOCF 、CFSO、CFCOO、及びR’COO(R’は、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基である。)からなる群より選ばれる少なくとも1種であってもよい。これらの中でも、対アニオンは、好ましくはBF 、PF 、[FSI]、[TFSI]、及び[f3C]からなる群より選ばれる少なくとも1種、より好ましくは[TFSI]又は[FSI]である。
アルコキシ基で置換されていてもよいアルキル基は、アルキル基及び任意の水素原子がアルコキシ基に置換されたアルキル基を意味する。アルキル基は、例えば、炭素数1〜5のアルキル基であってもよい。アルコキシ基は、例えば、炭素数1〜5のアルキル基を有するアルコキシ基であってもよい。
Rとしてのアルコキシ基で置換されていてもよいアルキル基は、メチル基、エチル基、イソプロピル基、メトキシメチル基、エトキシエチル基、メトキシエトキシメチル基等であってもよい。これらのうち、好ましくはエチル基、イソプロピル基、又はエトキシエチル基である。
一般式(1)で表される化合物は、例えば、以下の方法によって得ることができる。まず、ビニルイミダゾールとR基を有するブロマイドとを反応させることによって、ビニルイミダゾリウムブロマイドを得る。その後、ビニルイミダゾリウムブロマイドを、X を有する塩(例えば、リチウム塩)で処理することによって、一般式(1)で表される化合物を得ることができる。
一般式(1)で表される化合物に由来する構成単位は、例えば、下記一般式(1−1)で表される構造単位であってもよい。
Figure 2018220802
[式(1−1)中、X 及びRは、上記と同義である。]
一般式(2)で表される化合物は、例えば、市販されているジアリルジメチルアンモニウムクロライドを、X を有する塩(例えば、リチウム塩)で処理することによって、得ることができる。
一般式(2)で表される化合物に由来する構成単位は、例えば、下記一般式(2−1)、(2−2)、(2−3)、及び(2−4)のいずれかで表される構造単位であってもよい。
Figure 2018220802
[式(2−1)、(2−2)、(2−3)、及び(2−4)中、X は、上記と同義である。]
一般式(3)で表される化合物は、例えば、市販されているメタクロイルコリンクロライドを、X を有する塩(例えば、リチウム塩)で処理することによって、得ることができる。
一般式(3)で表される化合物に由来する構成単位は、例えば、下記一般式(3−1)で表される構造単位であってもよい。
Figure 2018220802
[式(3−1)中、X は、上記と同義である。]
ポリマは、特定モノマに由来する構成単位以外の、その他のモノマに由来する構成単位を含んでいてもよい。その他のモノマとしては、例えば、アリル基、アクリロイル基、メタクリロイル基等の重合性不飽和結合を有するイオン液体等が挙げられる。
ポリマは、イオン伝導性をより向上させる観点から、1種類の特定モノマに由来する構成単位からなるホモポリマであることが好ましい。
ポリマの含有量は、正極活物質の種類又は正極合剤層の空隙率により適切な値が異なるため特に制限されないが、正極合剤層全量を基準として、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上である。ポリマの含有量は、正極合剤層全量を基準として、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。ポリマの含有量が1質量%以上であると、正極合剤層内に良好なイオン伝導パスを形成できる傾向にある。ポリマの含有量が30質量%以下であると、相対的に正極活物質の比率が大きくなり、電池容量の低下が少ない傾向にある。
正極合剤層10にポリマを含有させる方法としては、例えば、まず、正極活物質を含む正極活物質層が設けられた正極前駆体を用意し、次いで、(i)正極活物質層にモノマ(特定モノマ及びその他のモノマ)、重合開始剤等を加えて(浸透させて)、正極活物質層内でモノマを重合してポリマを作製する方法、(ii)モノマに、重合開始剤等を加えてポリマを予め作製し、得られたポリマを含む溶液を調製して、正極活物質層に当該溶液を加える方法、(iii)モノマに、重合開始剤等を加えてポリマを予め作製した後、得られたポリマを正極活物質層にプレスして押し込む方法等が挙げられる。これらのうち、分散媒を使用しないで良好な(均一な)界面の形成が可能であることから、正極合剤層10にポリマを含有させる方法は、(i)の方法であることが好ましい。
ポリマは、例えば、モノマ(特定モノマ及びその他のモノマ)をラジカル重合、光重合、放射線重合等の通常の方法で重合することによって、得ることができる。正極活物質層の正極活物質粒子間の狭い空隙までポリマを含有させることが可能であることから、ラジカル重合によって、ポリマを形成することが好ましい。
必要に応じて添加される重合開始剤は、特に制限されないが、アゾ化合物系重合開始剤、有機過酸化物系重合開始剤等であってもよい。
アゾ化合物系重合開始剤としては、例えば、2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、2,2’−アゾビス(N−ブチル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(N−シクロヘキシル−2−メチルプロピオンアミド)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)等が挙げられる。
有機過酸化物系重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド(BPO)、tert−ブチルパーオキシアセテート、2,2−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)ブタン、tert−ブチルパーオキシベンゾエート、n−ブチル−4,4−ジ−(tert−ブチルパーオキシ)バレレート、ジ−(2−tert−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、ジクミルパーオキサイド、ジ−tert−ヘキシルパーオキサイド、2,5,−ジメチル−2,5,−ジ(tert−ブチルパーオキシ)ヘキサン、tert−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−tert−ブチルパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、p−メンタンハイドロパーオキサイド、1,1,3,3,−テトラメチルブチルハイドロパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、tert−ブチルハイドロパーオキサイド、tert−ブチルトリメチルシリルパーオキサイド等が挙げられる。
モノマ(特定モノマ及びその他のモノマ)に対する重合開始剤の質量比(重合開始剤の質量/モノマの全質量)は、例えば、0.001〜0.1であってもよい。
重合反応の温度及び時間は、モノマ(特定モノマ及びその他のモノマ)及び重合開始剤の種類に応じて、適宜選択することができる。重合温度は、例えば、25〜120℃であってもよい。重合時間は、例えば、0.5〜48時間であってもよい。
正極合剤層10は、溶融塩を含有する。溶融塩は、カチオン成分とアニオン成分とから構成されるものである。溶融塩は、特に制限されずに、通常のイオン液体又は柔粘性結晶(プラスチッククリスタル)を使用することができる。なお、ここでいう「溶融塩」には、上述の特定モノマ及び重合性不飽和結合を有するイオン液体(その他のモノマ)は包含されない。
なお、本明細書において、「イオン液体」は、30℃で液体である溶融塩、すなわち、融点が30℃以下である溶融塩を意味し、「柔粘性結晶」は30℃で固体である溶融塩、すなわち、融点が30℃より高い溶融塩を意味する。
イオン液体は、30℃で液体である溶融塩であれば、特に制限されることなく、使用することができる。具体的には、カチオン成分として、[EMI]、[DEME]、[Py12]、[Py13]、又は[PP13]と、アニオン成分として、PF 、BF 、[FSI]、[TFSI]、又は[f3C]とを組み合わせたもので、30℃で液体のものが挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用していてもよい。また、後述の柔粘性結晶と組み合わせて使用してもよい。イオン液体は、アニオン成分として、[FSI]又は[TFSI]を含むことが好ましい。
イオン液体として、上述のリチウム塩(例えば、Li[TFSI]等)と下記式(B)で表されるグライムとの錯体を使用することができる。なお、本明細書中、これらの錯体を「グライム錯体」という場合がある。
O−(CHCHO)−R (B)
[式(B)中、R及びRは、それぞれ独立に、炭素数4以下のアルキル基を示し、mは1〜6の整数を示す。]
及びRとしてのアルキル基は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基等であってもよい。これらの中でも、アルキル基は、メチル基又はエチル基であることが好ましい。
グライムは、エチレングリコールジメチルエーテル(「モノグライム」ともいう。)、ジエチレングリコールジメチルエーテル(「ジグライム」ともいう。)、トリエチレングリコールジメチルエーテル(「トリグライム」ともいう。)、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(「テトラグライム」ともいう。)、ペンタエチレングリコールジメチルエーテル(「ペンタグライム」ともいう。)、ヘキサエチレングリコールジメチルエーテル(「ヘキサグライム」ともいう。)等であってもよい。これらの中でも、グライムは、好ましくはトリグライム又はテトラグライム、より好ましくはテトラグライムである。
グライム錯体は、例えば、上述のリチウム塩と、上述のグライムとを混合することによって得ることができる。グライム錯体は、例えば、グライムの沸点以下の温度で、リチウム塩とグライムとを混合することによって得ることができる。混合する時間、温度は適宜設定することができる。
柔粘性結晶は、30℃で固体である溶融塩であれば、特に制限されることなく、使用することができる。具体的には、カチオン成分として、[EMI]、[DEME]、[Py12]、[Py13]又は[PP13]と、アニオン成分として、PF 、BF 、[FSI]、[TFSI]又は[f3C]との組み合わせたもので、30℃で固体のものが挙げられる。より具体的には、[Py12][TFSI](融点:90℃)、[Py12][FSI](融点:205℃)、[DEME][f3C](融点:69℃)、[Py13][f3C](融点:177℃)、[PP13][f3C](融点:146℃)等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用していてもよい。また、前述のイオン液体と組み合わせて使用してもよい。柔粘性結晶は、アニオン成分として、[FSI]又は[TFSI]を含むことが好ましい。柔粘性結晶は、イオン伝導度の観点から、[Py12][TFSI](融点:90℃)又は[Py12][FSI](融点:205℃)であることが好ましい。
溶融塩の含有量は、例えば、正極合剤層全量を基準として、1〜15質量%であってもよい。また、溶融塩の含有量は、例えば、ポリマを100質量部としたとき、10〜150質量部であってもよい。
正極合剤層10は、電解質塩、導電剤、バインダ等をさらに含有していてもよい。
[電解質塩]
電解質塩は、リチウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、及びカルシウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種であってもよい。
電解質塩は、通常のイオン電池用の電解液の電解質塩として使用されるものを使用することができる。電解質塩のアニオンは、ハロゲン化物イオン(I、Cl、Br等)、SCN、BF 、BF(CF、BF(C、BF(C、BF(C、PF 、ClO 、SbF 、[FSI]、[TFSI]、N(CSO 、BPh 、B(C 、[f3C]、C(CFSO 、CFCOO、CFSO、CSO、[BOB]、R’COO(R’は、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基である。)等であってもよい。これらの中でも、電解質塩のアニオンは、好ましくはPF 、BF 、[FSI]、[TFSI]、[BOB]、及びClO からなる群より選ばれる少なくとも1種、より好ましくは[TFSI]又は[FSI]である。
リチウム塩は、LiPF、LiBF、Li[FSI]、Li[TFSI]、Li[f3C]、Li[BOB]、LiClO、LiBF(CF)、LiBF(C)、LiBF(C)、LiBF(C)、LiC(SOCF、LiCFSOO、LiCFCOO、LiR’COO(R’は、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基である。)等であってもよい。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用していてもよい。
ナトリウム塩は、NaPF、NaBF、Na[FSI]、Na[TFSI]、Na[f3C]、Na[BOB]、NaClO、NaBF(CF)、NaBF(C)、NaBF(C)、NaBF(C)、NaC(SOCF、NaCFSOO、NaCFCOO、NaR’COO(R’は、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基である。)等であってもよい。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用していてもよい。
マグネシウム塩は、Mg(PF、Mg(BF、Mg[FSI]、Mg[TFSI]、Mg[f3C]、Mg[BOB]、Mg(ClO、Mg[BF(CF、Mg[BF(C)]、Mg[BF(C)]、Mg[BF(C)]、Mg[C(SOCF、Mg(CFSOO)、Mg(CFCOO)、Mg(R’COO)(R’は、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基である。)等であってもよい。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用していてもよい。
カルシウム塩は、Ca(PF、Ca(BF、Ca[FSI]、Ca[TFSI]、Ca[f3C]、Ca[BOB]、Ca(ClO、Ca[BF(CF、Ca[BF(C)]、Ca[BF(C)]、Ca[BF(C)]、Ca[C(SOCF、Ca(CFSOO)、Ca(CFCOO)、Ca(R’COO)(R’は、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基である。)等であってもよい。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用していてもよい。
これらの中でも、解離性及び電気化学的安定性の観点から、好ましくはリチウム塩、より好ましくはLiPF、LiBF、Li[FSI]、Li[TFSI]、Li[f3C]、Li[BOB]、及びLiClOからなる群より選ばれる少なくとも1種、さらに好ましくはLi[TFSI]又はLi[FSI]である。
電解質塩の含有量は、例えば、正極合剤層全量を基準として、0.1〜5質量%であってもよい。
[導電剤]
導電剤は、カーボンブラック、黒鉛、炭素繊維、カーボンナノチューブ、アセチレンブラック等であってもよい。
導電剤の含有量は、例えば、正極合剤層全量を基準として、1〜15質量%であってもよい。
[バインダ]
バインダは、ポリフッ化ビニリデン、ポリアクリロニトリル、スチレン・ブタジエンゴム、カルボキシル・メチルセルロース、フッ素ゴム、エチレン・プロピレンゴム、ポリアクリル酸、ポリイミド、ポリアミド等の樹脂;これら樹脂を主骨格として有する共重合体の樹脂(例えば、ポリフッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等)などであってもよい。
バインダの含有量は、例えば、正極合剤層全量を基準として、1〜15質量%であってもよい。
正極合剤層10の厚さは、特に制限されないが、10μm以上、20μm以上、又は30μm以上であってもよい。正極合剤層10の厚さは、100μm以下、80μm以下、又は60μm以下であってもよい。
正極合剤層10の合剤密度は、例えば、1g/cm以上であってもよい。
電解質層7は、例えば、固体電解質と、電解質塩と、溶融塩と、を含有する電解質組成物から形成することができる。
固体電解質としては、例えば、ポリマ電解質、無機固体電解質等が挙げられる。ポリマ電解質及び無機固体電解質は、特に制限されず、通常のイオン電池用のポリマ電解質及び無機固体電解質として使用されるものを用いることができる。ポリマ電解質は、例えば、下記一般式(4)で表される構造単位を有するポリマ電解質等であってもよい。
Figure 2018220802
[式(4)中、X は、X 、X 、及びX と同義である。]
無機固体電解質は、例えば、LiLaZr12(LLZ)等であってもよい。
電解質塩及び溶融塩は、上述した正極合剤層に含有され得る電解質塩及び溶融塩と同様のものであってもよい。
電解質組成物は、必要に応じて、シリカ、アルミナ等の酸化物の粒子又ファイバー、ホウ酸エステル、アルミン酸エステル等のリチウム塩解離能を有する添加剤などをさらに含有していてもよい。
電解質層7の厚さは、強度を高め安全性を向上させる観点から、例えば、5〜200μmであってもよい。
図4(a)は、図2のII−II線矢印断面図である。負極8は、第2の電気化学デバイス用電極を構成する。すなわち、図4(a)に示すように、第2の電気化学デバイス用電極14Aは、負極集電体11と、負極集電体11の少なくとも一方の主面上に設けられた負極合剤層12と、を備える。
図4(b)は、他の実施形態に係る第2の電気化学デバイス用電極を示す模式断面図である。図4(b)に示すように、第2の電気化学デバイス用電極14Bは、負極集電体11と、負極合剤層12と、電解質層7と、をこの順に備えている。電解質層7は、上述した第1の電気化学デバイス用電極における電解質層7と同様であるので、以下では説明を省略する。
<第2の電気化学デバイス用電極>
第2の電気化学デバイス用電極14Aは、負極集電体11を備える。負極集電体11は、銅、ステンレス鋼、チタン、ニッケル等で形成されていてもよい。負極集電体11は、具体的には、圧延銅箔、孔径0.1〜10mmの孔を有する銅製穿孔箔、エキスパンドメタル、発泡金属板等であってもよい。負極集電体11は、上記以外の任意の材料で形成されていてもよく、また、その形状、製造方法等も制限されない。
負極集電体11の厚さは、1μm以上、5μm以上、又は10μm以上であってもよい。負極集電体11の厚さは、100μm以下、50μm以下、又は20μm以下であってもよい。
第2の電気化学デバイス用電極14Aは、負極合剤層12を備える。負極合剤層12は、一実施形態において、負極活物質と、特定モノマに由来する構成単位を含むポリマと、溶融塩と、を含有する。
[負極活物質]
負極合剤層12は、負極活物質を含有する。負極活物質は、二次電池等の通常のエネルギーデバイスの分野の負極活物質として使用されるものを使用することができる。負極活物質としては、例えば、金属リチウム、リチウム合金、金属化合物、炭素材料、金属錯体、有機高分子化合物等が挙げられる。これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用していてもよい。これらの中でも、負極活物質は、炭素材料であることが好ましい。炭素材料としては、例えば、天然黒鉛(鱗片状黒鉛等)、人工黒鉛等の黒鉛、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、チャンネルブラック、ファーネスブラック、ランプブラック、サーマルブラック等のカーボンブラック、非晶質炭素、炭素繊維などが挙げられる。
負極活物質の含有量は、負極合剤層全量を基準として、60質量%以上、65質量%以上、又は70質量%以上であってもよい。負極活物質の含有量は、負極合剤層全量を基準として、99質量%以下、95質量%以下、又は90質量%以下であってもよい。
[ポリマ]
負極合剤層12は、ポリマを含有する。ポリマは、上述した第1の電気化学デバイス用電極で用いられるポリマと同様であってもよい。
ポリマの含有量は、負極活物質の種類及び負極合剤層の空隙率により適切な値が異なるため特に制限されないが、負極合剤層全量を基準として、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上である。ポリマの含有量は、負極合剤層全量を基準として、好ましくは30質量%以下、より好ましくは25質量%以下、さらに好ましくは20質量%以下である。ポリマの含有量が1質量%以上であると、負極合剤層内に良好なイオン伝導パスを形成できる傾向にある。ポリマの含有量が30質量%以下であると、相対的に活物質の比率が大きくなり、電池容量の低下が少ない傾向にある。
負極合剤層12は、溶融塩を含有する。溶融塩及びその含有量は、上述した第1の電気化学デバイス用電極で用いられる溶融塩及びその含有量と同様であってもよい。
負極合剤層12は、上述した正極合剤層10に含有され得る電解質塩、導電剤、バインダ等をさらに含有していてもよい。これらの含有量は、正極合剤層10と同様である。
負極合剤層12の厚さは、特に制限されないが、10μm以上、15μm以上、又は20μm以上であってもよい。負極合剤層12の厚さは、50μm以下、45μm以下、又は40μm以下であってもよい。
負極合剤層12の合剤密度は、1g/cm以上であってもよい。
続いて、上述した二次電池1の製造方法について説明する。第1実施形態に係る二次電池1の製造方法は、正極6を得る第1の工程と、負極8を得る第2の工程と、正極6と負極8との間に電解質層7を設ける第3の工程と、を備える。
[第1の工程]
正極6の製造方法は、正極集電体の少なくとも一方の主面上に正極活物質を含む正極活物質層が設けられた正極前駆体を用意する工程と、正極活物質層に、特定モノマ及び溶融塩を加える工程と、正極活物質層に加えられた特定モノマを重合して、正極合剤層を形成する工程と、を備える。
正極前駆体における正極活物質層は、例えば、正極活物質、導電剤、バインダ等を含む材料を分散媒に分散させたスラリを作製し、当該スラリを正極集電体9に塗布乾燥することによって得ることができる。分散媒は、特に制限されないが、水、アルコールと水との混合溶媒等の水系溶剤、N−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤であってもよい。
次いで、特定モノマ及び溶融塩に、必要に応じて、上述のその他のモノマ、重合開始剤、電解質塩等を加えて、モノマ含有スラリ(混合液)を作製する。その後、当該モノマ含有スラリを滴下、塗布、印刷等を行うことによって、特定モノマ及び溶融塩が正極活物質層に加えられる。上記特定モノマはイオン液体であることから、分散媒を用いなくとも、正極活物質層全体に染み込ませることができる。
モノマ(特定モノマ及びその他のモノマ)に対する溶融塩の質量比(溶融塩の質量/モノマの全質量)は、好ましくは0.1〜1.0、より好ましくは0.3〜0.8、さらに好ましくは0.4〜0.7である。モノマに対する電解質塩の質量比が0.1以上であると、得られるポリマのイオン伝導度がより向上する傾向にある。モノマに対する電解質塩の質量比が1.0以下であると、溶融塩がより一層液漏れし難い傾向にある。
モノマ含有スラリに重合開始剤を加える場合、モノマ(特定モノマ及びその他のモノマ)に対する重合開始剤の質量比(重合開始剤の質量/モノマの全質量)は、好ましくは0.001〜0.08、より好ましくは0.002〜0.06、さらに好ましくは0.004〜0.04である。モノマに対する重合開始剤の質量比が0.001以上であると、ポリマの収率が上昇する傾向にある。モノマに対する重合開始剤の質量比が0.08以下であると、未反応の重合開始剤が残存し難い傾向にある。
モノマ含有スラリに電解質塩を加える場合、モノマ(特定モノマ及びその他のモノマ)に対する電解質塩の質量比(電解質塩の質量/モノマの全質量)は、好ましくは0.1〜1.5、より好ましくは0.15〜1.1、さらに好ましくは0.2〜0.7である。モノマに対する電解質塩の質量比が0.1以上であると、得られるポリマのイオン伝導度がより向上する傾向にある。モノマに対する電解質塩の質量比が1.5以下であると、モノマの重合が阻害され難い傾向にある。
次いで、正極活物質層に加えられたモノマ(特定モノマ及びその他のモノマ)を重合して、正極合剤層を形成する。モノマの重合方法としては、特に制限されないが、ラジカル重合、光重合、放射線重合等の重合方法を用いることができる。これらのうち、正極活物質層の正極活物質粒子間の狭い空隙まで均一に重合させることができるため、ラジカル重合を用いることがより好ましい。
重合反応の温度及び時間は、モノマ(特定モノマ及びその他のモノマ)及び重合開始剤の種類に応じて、適宜選択することができる。重合温度は、例えば、25〜120℃であってもよい。重合時間は、例えば、0.5〜48時間であってもよい。
[第2の工程]
負極8の製造方法は、上述した正極6と同様の製造方法によって得ることができる。すなわち、負極8の製造方法は、負極集電体の少なくとも一方の主面上に負極活物質を含む負極活物質層が設けられた負極前駆体を用意する工程と、負極活物質層に、特定モノマ及び溶融塩を加える工程と、負極活物質層に加えられた特定モノマを重合して、負極合剤層を形成する工程と、を備える。
[第3の工程]
電解質層7は、電解質層7に用いる材料を混練した後、ポリテトラフルオロエチレン等のシート状に形成された樹脂で挟み、ロールによりプレスすることによってシート状の電解質層として得ることができる。この場合、第3の工程では、第1の電気化学デバイス用電極13A(正極6)、電解質層7及び第2の電気化学デバイス用電極14A(負極8)を、例えばラミネートにより積層することで二次電池1を得ることができる。このとき、電解質層7が、第1の電気化学デバイス用電極13A(正極6)の正極合剤層10側かつ第2の電気化学デバイス用電極14A(負極8)の負極合剤層12側に位置するように、すなわち、正極集電体9、正極合剤層10、電解質層7、負極合剤層12、及び負極集電体11がこの順で配置されるように積層する。
第3の工程では、他の実施形態において、電解質層7は、正極6の正極合剤層10側及び負極8の負極合剤層12側の少なくともいずれか一方に塗布により形成され、好ましくは正極6の正極合剤層10側及び負極8の負極合剤層12側の両方に塗布により形成される。この場合、例えば、電解質層7が設けられた正極6(第1の電気化学デバイス用電極13B)と、電解質層7が設けられた負極8(第2の電気化学デバイス用電極14B)とを、電解質層7同士が接するように積層することで、二次電池1を得ることができる。
正極合剤層10上に電解質層7を形成する方法は、例えば、電解質層7に用いる材料を分散媒に分散させてスラリ状の電解質組成物を得た後、この電解質組成物を正極合剤層10上にアプリケータを用いて塗布する方法である。分散媒は、好ましくはN−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤である。電解質層7に溶融塩が含まれる場合、電解質塩を溶融塩に溶解させてから、他の材料とともに分散媒に分散させることができる。
負極合剤層12に電解質層7を形成する方法は、正極合剤層10に電解質層7を形成する方法と同様の方法であってもよい。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る二次電池について説明する。図5は、第2実施形態に係る二次電池の電極群を示す分解斜視図である。図5に示すように、第2実施形態における二次電池が第1実施形態における二次電池と異なる点は、電極群2Bが、バイポーラ電極15をさらに備えている点である。すなわち、電極群2Bは、正極6と、第1の電解質層7と、バイポーラ電極15と、第2の電解質層7と、負極8とをこの順に備えている。
バイポーラ電極15は、バイポーラ電極集電体16と、バイポーラ電極集電体16の負極8側の面に設けられた正極合剤層10と、バイポーラ電極集電体16の正極6側の面に設けられた負極合剤層12とを備えている。
図6(a)は、図5のIII−III線矢視断面図である。バイポーラ電極15は、第3の電気化学デバイス用電極を構成する。すなわち、図6(a)に示すように、第3の電気化学デバイス用電極17Aは、バイポーラ電極集電体16と、バイポーラ電極集電体16の一方の面上に設けられた正極合剤層10と、バイポーラ電極集電体16の他方の面上に設けられた負極合剤層12と、を備えるバイポーラ電極部材である。
図6(b)は、他の実施形態に係る第3の電気化学デバイス用電極(バイポーラ電極部材)を示す模式断面図である。図6(b)に示すように、第3の電気化学デバイス用電極17Bは、バイポーラ電極集電体16と、バイポーラ電極集電体16の一方の面上に設けられた正極合剤層10と、正極合剤層10のバイポーラ電極集電体16と反対側に設けられた第2の電解質層7と、バイポーラ電極集電体16の他方の面上に設けられた負極合剤層12と、負極合剤層12のバイポーラ電極集電体16と反対側に設けられた第1の電解質層7と、を備えている。
バイポーラ電極集電体16は、アルミニウム、ステンレス鋼、チタン等であってよく、アルミニウムと銅又はステンレス鋼と銅とを圧延接合してなるクラッド材等であってもよい。
第1の電解質層7と第2の電解質層7とは、互いに同種であっても異種であってもよい。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<ビニルイミダゾリウム塩の合成>
(製造例1−1)
ビニルイミダゾール(東京化成工業株式会社製)5.0質量部に、エチルブロマイド(関東化学株式会社製)11.5質量部を添加した後、40℃で16時間加熱撹拌した。酢酸エチルで3回洗浄した後、真空乾燥することによって、ビニル(エチル)イミダゾリウムブロマイド([VEI][Br])を得た。収率は96%であった。
次いで、ナスフラスコに、[VEI][Br]0.5質量部及び蒸留水10質量部を加えて、[VEI][Br]の水溶液を調製した。これに、Li[TFSI]2.5質量部を蒸留水10質量部に溶解させて調製したLi[TFSI]水溶液を滴下し、室温(25℃)で30分間撹拌した。蒸留水で洗浄後、真空乾燥を行い、[VEI][TFSI]の無色透明液体を得た。収率は81%であった。
(製造例1−2)
ビニルイミダゾール(東京化成工業株式会社製)5.0質量部に、エトキシエチルブロマイド(東京化成工業株式会社製)14.0質量部を添加した後、40℃で16時間加熱撹拌した。酢酸エチルで3回洗浄した後、真空乾燥することによって、ビニル(エトキシエチル)イミダゾリウムブロマイド([VEtOEI][Br])を得た。収率は46%であった。
次いで、ナスフラスコに、[VEtOEI][Br]1.0質量部及び蒸留水5.0質量部を加えて、[VEtOEI][Br]の水溶液を調製した。これに、Li[TFSI]2.0質量部を蒸留水5.0質量部に溶解させて調製したLi[TFSI]水溶液を滴下し、室温(25℃)で30分間撹拌した。ジクロロメタンを加えて、ジクロロメタン/蒸留水にて分液を行ない、[VEtOEI][TFSI]の無色透明液体を得た。収率は85%であった。
(製造例1−3)
ビニルイミダゾール(東京化成工業株式会社製)1.9質量部に、イソプロピルブロマイド(東京化成工業株式会社製)4.9質量部を添加した後、40℃で16時間加熱撹拌した。酢酸エチルで3回洗浄した後、真空乾燥することによって、ビニル(イソプロピル)イミダゾリウムブロマイド([VIpI][Br])を得た。収率は82%であった。
次いで、ナスフラスコに、[VIpI][Br]1.0質量部及び蒸留水10質量部を加えて、[VIpI][Br]の水溶液を調製した。これに、Li[TFSI]6.0質量部を蒸留水10質量部に溶解させて調製したLi[TFSI]水溶液を滴下し、室温(25℃)で30分間撹拌した。蒸留水で洗浄し、真空乾燥することで、[VIpI][TFSI]の無色透明液体を得た。収率は91%であった。
<ジアリルジメチルアンモニウム塩の合成>
(製造例2)
ナスフラスコに、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド([DADMA][Cl]、東京化成工業株式会社製)0.5質量部及び蒸留水10質量部を加えて溶解した。これに、Li[TFSI]3質量部を蒸留水6質量部に溶解させて調製したLi[TFSI]水溶液を滴下し、室温(25℃)で30分間撹拌した。ジクロロメタンを加えて、ジクロロメタン/蒸留水にて分液を行ない、[DADMA][TFSI]の無色透明液体を得た。収率は82%であった。
<メタクロイルコリン塩の合成>
(製造例3)
ナスフラスコに、メタクロイルコリンクロライド([MC][Cl]、アルドリッチ社製水溶液における水を減圧除去した固体)2.1質量部及び蒸留水を10質量部加えて溶解した。これに、Li[TFSI]8.6質量部を蒸留水10質量部に溶解させて調製したLi[TFSI]水溶液を滴下し、室温(25℃)で30分間撹拌した。ジクロロメタンを加えて、ジクロロメタン/蒸留水にて分液を行ない、[MC][TFSI]の半透明粘性液体を得た。収率は82%であった。
<正極の作製>
(実施例1)
Li(Co1/3Ni1/3Mn1/3)O(正極活物質)80質量部、アセチレンブラック(導電剤、商品名:HS−100、平均粒径48nm(製造元カタログ値)、電気化学工業株式会社)10質量部、ポリフッ化ビニリデン溶液(バインダ、商品名:クレハKFポリマ#1120、固形分:12質量%、株式会社クレハ)83質量部、及びN−メチル−2−ピロリドン(分散媒、NMP)2.5質量部を混合してスラリを調製した。このスラリを正極集電体(厚さ20μmのアルミニウム箔)上の両面(両方の主面)に塗布し、120℃で乾燥後、圧延して、片面塗布量60g/m、密度1.9g/cmの正極活物質層を形成し、正極前駆体を作製した。正極前駆体はコイン型電池作製のため、φ10mmに打ち抜いたものを用意した。
続いて、製造例1−1で合成した[VEI][TFSI]1質量部、溶融塩(イオン液体)として[EMI][TFSI](関東化学株式会社製、融点:−15℃)0.5質量部、電解質塩としてLi[TFSI]0.25質量部、及び重合開始剤として2,2’−アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)0.004質量部を混合することによって、[VEI][TFSI]を含有する混合液を調製した。この混合液に、φ10mmに打ち抜いた正極前駆体を1時間浸漬し、正極前駆体を混合液から取り出した。その後、正極前駆体を80℃で2時間、100℃で3時間加熱することによって、正極活物質と、[VEI][TFSI]に由来するポリマと、溶融塩と、含有する正極合剤層を形成した。当該正極合剤層を有するものを正極として用いた。
<負極の作製>
LiTi12(負極活物質)88質量部、アセチレンブラック(導電剤、商品名:HS−100、平均粒径48nm(製造元カタログ値)、電気化学工業株式会社)5質量部、ポリフッ化ビニリデン溶液(バインダ、商品名:クレハKFポリマ#9130、固形分:13質量%、株式会社クレハ)54質量部、及びN−メチル−2−ピロリドン(分散媒、NMP)23質量部を混合してスラリを調製した。このスラリを負極集電体(厚さ20μmのアルミニウム箔)上の両面に塗布し、120℃で乾燥後圧延して、片面塗布量75g/m、密度1.9g/cmの負極活物質層を形成し、負極前駆体を作製した。負極前駆体はコイン型電池作製のため、φ16mmに打ち抜いたものを用意した。
続いて、正極前駆体と同様に、製造例1−1で合成した[VEI][TFSI]1質量部、溶融塩(イオン液体)として[EMI][TFSI]0.5質量部、電解質塩としてLi[TFSI]0.25質量部、及び重合開始剤としてAIBN0.004質量部を混合することによって、混合液を調製した。この混合液に、φ16mmで打ち抜いた負極前駆体を1時間浸漬し、負極前駆体を混合液から取り出した。その後、負極前駆体を80℃で2時間、100℃で3時間加熱することによって、負極活物質と、[VEI][TFSI]に由来するポリマと、溶融塩と、を含有する負極合剤層を形成した。当該負極合剤層を有するものを負極として用いた。
<ポリマ電解質の作製>
[P(DADMA)][Cl]水溶液(20質量%水溶液、Aldrich社製)100質量部を、蒸留水500質量部で希釈し、希釈ポリマ水溶液を作製した。次に、Li[TFSI](キシダ化学株式会社製)43質量部を水100質量部に溶解し、Li[TFSI]水溶液を作製した。これを希釈ポリマ水溶液に滴下し、2時間撹拌することによって白色析出物を得た。析出物をろ過によって分離し、400質量部の蒸留水で洗浄後、再度ろ過を行った。洗浄及びろ過は5回繰り返した。その後、105℃の真空乾燥によって水分を蒸発させ、[P(DADMA)][TFSI]を得た。[P(DADMA)][TFSI]の粘度平均分子量は、2.11×10g・mol−1であった。
得られた[P(DADMA)][TFSI]8質量部に対して、電解質塩としてLi[TFSI]2質量部、溶融塩として[Py12][TFSI](柔粘性結晶、関東化学株式会社製、融点:90℃)10質量部、及びアセトン16質量部を加えて撹拌し、ポリマ電解質溶液を調製した。ポリマ電解質溶液を、アルミ箔上にドクターブレード法にてギャップ200μmで塗布し、60℃で12時間真空乾燥し、アセトンを除去することによって、厚みが70μmのポリマ電解質シートを得た。このポリマ電解質シートをアルミ箔から剥離し、コイン型電池作製のため、φ16mmで打ち抜いたものを用意した。
<電池の作製>
上記で作製した正極の正極合剤層と負極の負極合剤層との間に、固体電解質として、上記で得られたポリマ電解質シートを挟み込んだものを、CR2032型のコインセル容器内に配置し、絶縁性のガスケットを介して電池容器上部をかしめて密閉することによって、ポリマ二次電池を得た。なお、電池作製はアルゴン雰囲気のグローブボックス内で行った。
<電池性能評価>
上記の方法で作製したポリマ二次電池を用いて電池性能の評価を行った。充放電装置(東洋システム株式会社、商品名:TOSCAT−3200)を用いて、50℃で充放電測定を実施し、放電容量を測定して、電池性能を評価した。結果を表1に示す。
<液漏れ検証>
上記φ10mmの正極、上記φ16mmのポリマ電解質シート及びφ16mmの負極をこの順に積層した積層体の両側を、φ20mmで打ち抜いた薬包紙で挟むことによって、液漏れ検証用試料を得た。この試料を両方の薬包紙側からを1MPaでプレスし、薬包紙の外観を観察することによって、液漏れを検証した。結果を表1に示す。
<イオン伝導度測定>
製造例1−1で合成した[VEI][TFSI]1質量部、溶融塩(イオン液体)として[EMI][TFSI]0.5質量部、電解質塩としてLi[TFSI]0.25質量部、及び重合開始剤としてAIBN0.004質量部を混合することによって、混合液を調製した。この混合液をアルミ箔上にドクターブレード法にてギャップ200μmで塗布し、80℃で2時間、100℃で3時間加熱することによって、[VEI][TFSI]に由来する構造単位からなるポリマと、溶融塩と、を含むシートを作製した。得られたシートをアルミニウム箔で挟み、これをφ16mmに打ち抜いてイオン伝導度測定用試料を作製した。この試料を、2極式の密閉セル(HSセル、宝泉株式会社製)内に配置し、交流インピーダンス測定装置(1260型、Solartron社製)を用いて測定した。恒温槽中にて50℃、10mVで1Hz〜2MHzの範囲で交流インピーダンスを測定した。ナイキストプロットの実軸との交点から抵抗値を算出し、抵抗値からイオン伝導度を算出した。結果を表1に示す。なお、密閉セルへの試料の配置は、アルゴン雰囲気のグローブボックス内で実施した。
(実施例2)
正極合剤層及び負極合剤層を形成する際において、[EMI][TFSI](イオン液体)を[Py12][TFSI](柔粘性結晶)に変更した以外は、実施例1と同様にして、正極及び負極を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
(実施例3)
正極合剤層及び負極合剤層を形成する際において、[VEI][TFSI]を[VEtOEI][TFSI]に変更した以外は、実施例2と同様にして、正極及び負極を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
(実施例4)
正極合剤層及び負極合剤層を形成する際において、[VEI][TFSI]を[VIpI][TFSI]に変更した以外は、実施例2と同様にして、正極及び負極を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
(実施例5)
正極合剤層及び負極合剤層を形成する際において、[VEI][TFSI]を[DADMA][TFSI]に変更した以外は、実施例2と同様にして、正極及び負極を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
(実施例6)
正極合剤層及び負極合剤層を形成する際において、[VEI][TFSI]を[MC][TFSI]に変更した以外は、実施例2と同様にして、正極及び負極を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
(比較例1)
正極合剤層及び負極合剤層を形成する際において、[VEI][TFSI]及び[EMI][TFSI]を加えなかった以外は、実施例1と同様にして、正極及び負極を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
(比較例2)
正極合剤層及び負極合剤層を形成する際において、[EMI][TFSI]を加えなかった以外は、実施例1と同様にして、正極及び負極を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
(比較例3)
正極合剤層及び負極合剤層を形成する際において、[VEI][TFSI]を加えなかった以外は、実施例1と同様にして、正極及び負極を作製し、実施例1と同様に評価した。結果を表1に示す。
Figure 2018220802
図7は、実施例6及び比較例1で作製したポリマ二次電池の電池性能評価を示すグラフである。図7のグラフ及び表1のとおり、実施例1〜6のポリマ二次電池は、理論容量(約150mAh/g)の8割以上の放電容量を示した。また、実施例1〜6のポリマ二次電池は、液漏れがないことが判明した。これに対して、特定モノマ及び溶融塩を電極合剤層に含まない比較例1のポリマ電池は、放電容量において、実施例1〜6のポリマ二次電池に比べて、1/10以下であった。なお、イオン電導度については、測定できなかった。また、溶融塩を電極合剤層に含まない比較例2のポリマ電池は、放電容量及びイオン電導度の点において、実施例1〜6のポリマ二次電池に比べて、充分でなかった。さらに、特定モノマを電極合剤層に含まない比較例3のポリマ電池は、液漏れが発生した。なお、液漏れが発生したため、イオン電導度については、測定しなかった。これらの結果から、本発明の電気化学デバイス用電極が、固体電解質と組み合わせて電池を作製した場合であっても、液漏れを防ぐことができ、電池特性を高めることが可能であることが確認された。
本発明によれば、固体電解質と組み合わせて電池を作製した場合であっても、液漏れを防ぐことができ、電池特性を高めることが可能な電気化学デバイス用電極及びその製造方法が提供される。また、本発明によれば、このような電気化学デバイス用電極を備える電気化学デバイスが提供される。
1…二次電池、2,2A,2B…電極群、3…電池外装体、4…正極集電タブ、5…負極集電タブ、6…正極、7…電解質層、8…負極、9…正極集電体、10…正極合剤層、11…負極集電体、12…負極合剤層、13A,13B…第1の電気化学デバイス用電極、14A,14B…第2の電気化学デバイス用電極、15…バイポーラ電極、16…バイポーラ電極集電体、17A,17B…第3の電気化学デバイス用電極。

Claims (12)

  1. 集電体と、前記集電体の少なくとも一方の主面上に設けられた電極合剤層と、を備え、
    前記電極合剤層が、
    電極活物質と、
    下記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(2)で表される化合物、及び下記一般式(3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマに由来する構造単位を含むポリマと、
    溶融塩と、
    を含有する、電気化学デバイス用電極。
    Figure 2018220802
    [式(1)、(2)、及び(3)中、X 、X 、及びX は、対アニオンを示し、Rは、アルコキシ基で置換されていてもよいアルキル基を示す。]
  2. 前記対アニオンが、BF 、PF 、N(FSO 、N(CFSO 、C(SOF) 、B(C 、BF(CF、BF(C、BF(C、BF(C、C(SOCF 、CFSO、CFCOO、及びR’COO(R’は、炭素数1〜4のアルキル基、フェニル基、又はナフチル基である。)からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の電気化学デバイス用電極。
  3. 前記電極合剤層が、リチウム塩、ナトリウム塩、マグネシウム塩、及びカルシウム塩からなる群より選ばれる少なくとも1種の電解質塩をさらに含有する、請求項1又は2に記載の電気化学デバイス用電極。
  4. 前記電解質塩が、LiPF、LiBF、LiN(FSO、LiN(CFSO、LiB(C、及びLiClOからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項3に記載の電気化学デバイス用電極。
  5. 前記溶融塩の含有量が、前記ポリマを100質量部としたとき、10〜150質量部である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電気化学デバイス用電極。
  6. 前記溶融塩が、アニオン成分として、N(FSO 又はN(CFSO を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電気化学デバイス用電極。
  7. 前記電極合剤層が正極合剤層であり、前記電極活物質が正極活物質である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の電気化学デバイス用電極。
  8. 前記電極合剤層が負極合剤層であり、前記電極活物質が負極活物質である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の電気化学デバイス用電極。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載の電気化学デバイス用電極を備える、電気化学デバイス。
  10. 前記電気化学デバイスが二次電池である、請求項9に記載の電気化学デバイス。
  11. 集電体と、前記集電体の少なくとも一方の主面上に設けられた電極合剤層と、を備える電気化学デバイス用電極の製造方法であって、
    前記集電体の少なくとも一方の主面上に電極活物質を含む電極活物質層が設けられた電極前駆体を用意する工程と、
    前記電極活物質層に、下記一般式(1)で表される化合物、下記一般式(2)で表される化合物、及び下記一般式(3)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種のモノマ並びに溶融塩を加える工程と、
    前記電極活物質層に加えられた前記モノマを重合して、前記電極合剤層を形成する工程と、
    を備える、電気化学デバイス用電極の製造方法。
    Figure 2018220802
    [式(1)、(2)、及び(3)中、X 、X 、及びX は、対アニオンを示し、Rは、アルコキシ基で置換されていてもよいアルキル基を示す。]
  12. 前記重合がラジカル重合である、請求項11に記載の電気化学デバイス用電極の製造方法。
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