JP5205692B2 - 電解質樹脂組成物、イオン伝導性電解質及びそれを用いた二次電池 - Google Patents

電解質樹脂組成物、イオン伝導性電解質及びそれを用いた二次電池 Download PDF

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Description

本発明は、電解質用組成物、また、それから得られるイオン伝導性電解質及びそれを用いた二次電池に関するものである。

近年の情報化社会におけるエレクトロニクスの発展はめざましく、それに伴って、携帯電話、ノート型パーソナルコンピュータおよびデジタルカメラに代表される情報携帯機器、携帯用医療器具ならびに福祉機器類などの電源として用いられる二次電池の高性能化に対する期待は、ますます大きくなっている。そして、それらの要求を満たす電源用二次電池材料として、高分子固体電解質が注目されてきている。
このような二次電池に対応するためには、高いイオン伝導性および高いイオン輸率の電解質が求められている。これまで、イオン伝導度の高い電解質を得る方法としては、例えば、特許文献1に記載された方法などが知られている。この方法によれば、特定のアンモニウムカチオンと特定のアニオンからなる塩構造を有するイオン性化合物を含むイオン性樹脂シートにより、イオン伝導度を向上させ、これを電解質に用いているが、十分なイオン輸率が得られているとは言えない。
特開2004−47400号公報
本発明によれば、高いイオン伝導性、かつ高いリチウムイオン輸率を発現するイオン伝導性電解質を得ることができる電解質用組成物、また高いイオン伝導性、かつ高いリチウムイオン輸率を有し、二次電池におけるサイクル特性に優れたイオン伝導性電解質、さらにはそれを用いた二次電池を提供することが可能となる。

本発明者は、上記の目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、下記第1項〜第5項の本発明により、上記目的を達成するに至った。
1. 重合性官能基を有するオニウムカチオンと重合性官能基を有する有機アニオンから
構成される塩モノマーと、カチオン及びアニオンから構成されるイオン性液体と、リチウムカチオンとアニオンから構成されるリチウム塩とを、必須成分とする電解質用組成物であって、前記イオン性液体を構成するアニオンとリチウム塩を構成するアニオンとが、同一の構造を有するものであることを特徴とする電解質用組成物。
2. 前記電解質用組成物において、イオン性液体を構成するカチオン(A)と、イオン
性液体を構成するアニオン(B)と、リチウム塩を構成するアニオン(C)のモル比(B+C)/Aが、1.01〜3である第1項に記載の電解質用組成物。
3. 前記重合性官能基を有するアンモニウムカチオンと重合性官能基を有する有機アニ
オンから構成される塩モノマーは、重合されて含むものである第1項または第2項に記載の電解質用組成物。
4. 第1項〜第3項のいずれかに記載の電解質組成物を用いて得られるイオン伝導性
電解質。
5. 第4項に記載のイオン伝導性電解質を構成要素とする二次電池。

本発明によれば、高いイオン伝導性、かつ高いリチウムイオン輸率を発現し、サイクル特性を向上し得るイオン伝導性電解質を得ることができる電解質用組成物を提供できる。
また、前記電解質組成物により得られるイオン伝導性電解質は、高いイオン伝導性、かつ高いリチウムイオン輸率を有し、二次電池におけるサイクル特性に優れたものとなる。さらには、前記イオン伝導性電解質を用いた二次電池は、充放電サイクル特性に優れたものとなる。

本発明は、重合性官能基を有するオニウムカチオンと重合性官能基を有する有機アニオンから構成される塩モノマーと、カチオン及びアニオンから構成されるイオン性液体と、リチウムカチオンとアニオンから構成されるリチウム塩とを、必須成分とする電解質用組成物であって、前記イオン性液体を構成するアニオンとリチウム塩を構成するアニオンとが、同一の構造を有するものであることを特徴とする電解質用組成物である。これらにより、得られるイオン伝導性電解質は、高いイオン伝導性を発現することができると共に、イオン性液体とリチウム塩のアニオンが同一であるために、可動性のアニオンとリチウムイオンが選択的に再結合することがなく、リチウムイオンが移動しやすいためリチウムイオン輸率は向上する。また、これを用いて得られた二次電池は、サイクル特性が良好なものとなる。

本発明に用いる塩モノマーとしては、少なくとも一つ以上の重合性官能基を有するオニウムカチオンと、少なくとも1つ以上の重合性官能基を有する有機アニオンから構成されるものであれば良い。前記塩モノマーを用いることにより、カチオンとアニオンのイオン的相互作用が高分子マトリックス中に均一に分散させることができ、イオンを安定に存在させることができる。これにより良好なイオン伝導度を得ることができる。
前記塩モノマーにおける重合性官能基としては、ラジカル重合、イオン重合、配位重合およびレドックス重合などにより重合が可能な官能基であれば、何ら限定されないが、炭素−炭素二重結合を有する基が好ましく、活性エネルギー線もしくは熱によりラジカル重合が可能であることがより好ましい。このような官能基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、(メタ)アクリロイルオキシ基、(メタ)アクリルアミド基、アリル基、ビニル基、スチリル基および、オキサゾリン環などに代表される不飽和環構造を有する基などが挙げられる。
また、前記塩モノマーを構成するオニウムカチオンとしては、フルオニウムカチオン(F+)、オキソニウムカチオン(O+)、ホスホニウムカチオン(P+)、スルホニウムカチオン(S+)、アンモニウムカチオン(N+)などがカチオン種として挙げられる。汎用性、作業性の点から、ホスホニウムカチオン、スルホニウムカチオンおよびアンモニウムカチオンがより好ましく、中でも、アンモニウムカチオンが最も好ましい。
前記塩モノマーを構成するホスホニウムカチオンとしては、具体的には、燐原子が4つの有機基Rで置換されたカチオンが挙げられる。前記有機基Rは、置換または無置換の、アルキル基Cn2n+1−、アリール基(Rc)m−C65-m−、アラルキル基(Rc)m−C65-m−Cn2n−、アルケニル基Rc−CH=CH−Rc−、アラルケニル基(Rc)m−C65-m−CH=CH−Rc−、アルコキシアルキル基Rc−O−Cn2n−、アシルオキシアルキル基Rc−COO−Cn2n−(前記有機基Rにおける、Rcは置換または無置換の、炭素数20以下のアルキル基、または水素であり、複数ある場合は互いに異なっても良い。mは1以上5以下の整数。nは1以上20以下の整数。)などを例示することができる。また、前記Rはヘテロ原子を含んでも良い。また、4つのRは各々異なっても、同一であってもかまわない。ただし、塩モノマーおける4つの有機基の内、少なくとも1つは重合性官能基を有する。
前記R、Rcにおいて置換された場合の置換基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基およびn−デシル基などの直鎖または分岐のアルキル基、シクロヘキシル基および4−メチルシクロヘキシル基などの環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基およびn−ヘキシルオキシ基等の直鎖または分岐のアルコキシ基、シクロヘキシルオキシ基などの環状のアルコキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシプロポキシ基、エトキシプロポキシ基およびプロポキシプロポキシ基等のアルコキシアルコキシ基、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、o−トリル基、p−クロロフェニル基、m−クロロフェニル基、o−クロロフェニル基等のアリール基、フェノキシ基、m−メチルフェノキシ基、o−メチルフェノキシ基、p−クロロフェノキシ基、m−クロロフェノキシ基、o−クロロフェノキシ基およびp−n−ブチルフェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基、m−メチルフェニルチオ基,o−メチルフェニルチオ基、o−エチルフェニルチオ基、p−プロピルフェニルチオ基および2,4,6−トリメチルフェニルチオ基等のアリールチオ基、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、n−プロピルカルボニルアミノ基、イソプロピルカルボニルアミノ基およびn−ブチルカルボニルアミノ基等のアルキルカルボニルアミノ基、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、n−プロポキシカルボニルアミノ基、イソプロポキシカルボニルアミノ基およびn−ブトキシカルボニルアミノ基等のアルコキシカルボニルアミノ基、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、n−プロピルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基およびn−ブチルカルボニル基等のアルキルカルボニル基、メチルカルボキシ基、エチルカルボキシ基、n−プロピルカルボキシ基、イソプロピルカルボキシ基およびn−ブチルカルボキシ基等のアルキルカルボキシ基、メトキシカルボキシ基、エトキシカルボキシ基、n−プロポキシカルボキシ基、イソプロポキシカルボキシ基およびn−ブトキシカルボキシ基等のアルコキシカルボキシ基、メトキシカルボニルメトキシ基、エトキシカルボニルエトキシ基、エトキシカルボニルメトキシ基、n−プロポキシカルボニルメトキシ基、イソプロポキシカルボニルメトキシ基およびn−ブトキシカルボニルメトキシ基等のアルコキシカルボニルアルコキシ基等を挙げることができ、それらには、ハロゲン原子、ヘテロ原子を含む基およびシアノ基などが含まれていても良い。さらに、置換基にはフッ素、塩素、および臭素などのハロゲン原子、ヘテロ原子及びシアノ基なども挙げられる。
前記塩モノマーを構成するスルホニウムカチオンとしては、具体的には、硫黄原子が3つの有機基Rで置換されたカチオンが挙げられる。前記有機基Rは、置換または無置換の、アルキル基Cn2n+1−、アリール基(Rc)m−C65-m−、アラルキル基(Rc)m−C65-m−Cn2n−、アルケニル基Rc−CH=CH−Rc−、アラルケニル基(Rc)m−C65-m−CH=CH−Rc−、アルコキシアルキル基Rc−O−Cn2n−、アシルオキシアルキル基Rc−COO−Cn2n−(前記有機基Rにおける、Rcは置換または無置換の、炭素数20以下のアルキル基、または水素であり、複数ある場合は互いに異なっても良い。mは1以上5以下の整数。nは1以上20以下の整数。)などを例示することができる。また、前記Rはヘテロ原子を含んでも良い。また、3つのRは各々異なっても、同一であってもかまわない。ただし、塩モノマーおける3つの有機基の内、少なくとも1つは重合性官能基を有する。
前記R、Rcにおいて置換された場合の置換基としては、上記ホスホニウムにおけるものと同じものが挙げられる。
前記塩モノマーを構成するアンモニウムカチオンとしては、アミン化合物から生じるオニウムカチオンであって、アミン化合物が、脂肪族アミン、芳香族アミン、含窒素複素環式アミンなどのすべてを含むことは言うまでもなく、アミンから生じる正電荷を有し、かつ、少なくとも1つの重合性官能基を有するカチオンであれば、特に限定されない。
具体的には、窒素原子が4つの有機基Rで置換された四級アンモニウムカチオンがまず挙げられる。前記有機基Rは、置換または無置換の、アルキル基Cn2n+1−、アリール基(Rc)m−C65-m−、アラルキル基(Rc)m−C65-m−Cn2n−、アルケニル基Rc−CH=CH−Rc−、アラルケニル基(Rc)m−C65-m−CH=CH−Rc−、アルコキシアルキル基Rc−O−Cn2n−、アシルオキシアルキル基Rc−COO−Cn2n−(前記有機基Rにおける、Rcは置換または無置換の、炭素数20以下のアルキル基、または水素であり、複数ある場合は互いに異なっても良い。mは1以上5以下の整数。nは1以上20以下の整数。)などを例示することができる。また、前記Rはヘテロ原子を含んでも良い。また、4つのRは各々異なっても、同一であってもかまわない。ただし、塩モノマーおける4つの有機基の内、少なくとも1つは重合性官能基を有する。
前記R、Rcにおいて置換された場合の置換基としては、上記ホスホニウムにおけるものと同じものが挙げられる。
前記塩モノマーを構成するアンモニウムカチオンとしては、上記アンモニウムカチオンの他のアンモニウムカチオンとして、ピリジニウムカチオン、ピラリジニウムカチオンおよびキノリニウムカチオンなどの芳香族アンモニウムカチオン、ピロリジウムカチオン、ピペリジニウムカチオンおよびピペラジニウムカチオンなどの脂肪族複素環式アンモニウムカチオン、モルホリンカチオンのような窒素以外のヘテロ原子を含む複素環式アンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオンなどの不飽和の含窒素複素環式カチオンなど、のアンモニウムカチオンも挙げることができる。さらに、上記環状のアンモニウムカチオンでは窒素の位置が異なるカチオンや、環上に置換基をもったカチオンでもよい。ヘテロ原子を含む置換基を有するカチオンでもよい。
前記塩モノマーを構成する重合性官能基を有するアンモニウムカチオンの具体例としては、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメチルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリ−n−プロピルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリ−iso−プロピルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリ−n−ブチルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリ−iso−ブチルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリ−tert−ブチルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリエチルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリロイルオキシエチルジエチル−n−ヘキシルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリデシルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリロイルオキシエチルトリオクチルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリロイルオキシエチルドデシルジメチルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリロイルオキシエチルドデシルヘキシルメチルアンモニウムカチオン、ジアリルジメチルアンモニウムカチオン、ビススチリルメチルジメチルアンモニウムカチオン、ビススチリルエチルジメチルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリルアミドエチルトリメチルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリルアミドエチルトリエチルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリルアミドエチルトリ−n−プロピルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリルアミドエチルトリ−iso−プロピルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリルアミドエチルトリ−n−ブチルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリルアミドエチルトリ−iso−ブチルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリルアミドエチルトリ−tert−ブチルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリルアミドエチルトリエチルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリルアミドエチルジエチル−n−ヘキシルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリルアミドエチルトリデシルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリルアミドエチルトリオクチルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリルアミドエチルドデシルジメチルアンモニウムカチオン、(メタ)アクリルアミドエチルドデシルヘキシルメチルアンモニウムカチオン等の各種アンモニウムカチオン、スチリルメチルメチルピロリジニウムカチオン、ビススチリルメチルピペリジニウムカチオン、N,N’−((メタ)アクリロイルオキシエチルメチル)ピペラジニウムカチオン、(メタ)アクリルアミドエチルメチルモルホリニウムカチオン、(メタ)アクリロイルオキシエチルメチルイミダゾリウムカチオンなどが挙げられる。
前記塩モノマーを構成する有機アニオンとして、塩モノマーにおいては重合性官能基を有するアニオンであれば、特に限定されないが、例えば、アルコラートおよびフェノラートなどの水酸基含有有機化合物のプロトンが脱離したアニオン:RO-アニオン、チオレートおよびチオフェノラートなどのプロトンが脱離したアニオン:RS-アニオン、スルホン酸アニオン:RSO3 -、カルボン酸アニオン:RCOO-;、リン酸および亜リン酸の水酸基の一部が有機基で置換している含リン誘導体アニオン:Rx(OR)y(O)z-(但し、x、y、zは0以上の整数で、かつ、x+y+2z=3またはx+y+2z=5)、置換ボレート:Rx(OR)y-(但し、x、yは0以上の整数で、かつ、x+y=4)、置換アルミニウムアニオン:Rx(OR)yAl-(但し、x、yは0以上の整数で、かつ、x+y=4)、カルボアニオン:(EA)3-、窒素アニオン(EA)2-などが挙げられる。EAは水素原子または電子吸引基を示す。
有機アニオンとしては、特に、スルホキシル基、カルボキシル基、ホスフォキシル基およびスルホンイミド基由来のアニオンである、RSO3 -、RCOO-、RPO3 2-、および(RO2S)2-に重合性官能基を有するものが好ましい。(ここで、Rは、水素、置換または無置換の、アルキル基Cn2n-1−、アリール基(Rc)m−C65-m−、アラルキル基(Rc)m−C65-m−Cn2n−、アルケニル基Rc−CH=CH−Rc−、アラルケニル基(Rc)m−C65-m−CH=CH−Rc−、アルコキシアルキル基Rc−O−Cn2n−、アシルオキシアルキル基Rc−COO−Cn2n−から選ばれる基(前記Rにおける、Rcは置換もしくは無置換の、炭素数20以下のアルキル基、または水素であり、複数ある場合は互いに異なっても良い。mは1以上5以下の整数。nは1以上20以下の整数。)であり、これらは環構造を有していてもよい。また、ヘテロ原子を含んでもよい。このRが分子内に2個以上ある場合は互いに同じであっても異なっていてもかまわない。ただし、塩モノマーにおける、有機基Rを一つ有するアニオンの場合はそのRが、複数の有機基Rを有する場合は、少なくとも一つが、重合性官能基且つカチオンを含む基である。また有機基EAの場合も同様である。
前記R、Rcにおいて置換された場合の置換基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基およびn−デシル基などの直鎖または分岐のアルキル基、シクロヘキシル基および4−メチルシクロヘキシル基などの環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基およびn−ヘキシルオキシ基等の直鎖または分岐のアルコキシ基、シクロヘキシルオキシ基などの環状のアルコキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシプロポキシ基、エトキシプロポキシ基およびプロポキシプロポキシ基等のアルコキシアルコキシ基、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、o−トリル基、p−クロロフェニル基、m−クロロフェニル基、o−クロロフェニル基等のアリール基、フェノキシ基、m−メチルフェノキシ基、o−メチルフェノキシ基、p−クロロフェノキシ基、m−クロロフェノキシ基、o−クロロフェノキシ基およびp−n−ブチルフェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基、m−メチルフェニルチオ基,o−メチルフェニルチオ基、o−エチルフェニルチオ基、p−プロピルフェニルチオ基および2,4,6−トリメチルフェニルチオ基等のアリールチオ基、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、n−プロピルカルボニルアミノ基、イソプロピルカルボニルアミノ基およびn−ブチルカルボニルアミノ基等のアルキルカルボニルアミノ基、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、n−プロポキシカルボニルアミノ基、イソプロポキシカルボニルアミノ基およびn−ブトキシカルボニルアミノ基等のアルコキシカルボニルアミノ基、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、n−プロピルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基およびn−ブチルカルボニル基等のアルキルカルボニル基、メチルカルボキシ基、エチルカルボキシ基、n−プロピルカルボキシ基、イソプロピルカルボキシ基およびn−ブチルカルボキシ基等のアルキルカルボキシ基、メトキシカルボキシ基、エトキシカルボキシ基、n−プロポキシカルボキシ基、イソプロポキシカルボキシ基およびn−ブトキシカルボキシ基等のアルコキシカルボキシ基、メトキシカルボニルメトキシ基、エトキシカルボニルエトキシ基、エトキシカルボニルメトキシ基、n−プロポキシカルボニルメトキシ基、イソプロポキシカルボニルメトキシ基およびn−ブトキシカルボニルメトキシ基等のアルコキシカルボニルアルコキシ基等を挙げることができ、それらには、ハロゲン原子、ヘテロ原子を含む基およびシアノ基などが含まれていても良い。さらに、置換基にはフッ素、塩素、および臭素などのハロゲン原子、ヘテロ原子及びシアノ基なども挙げられる。
前記塩モノマーを構成する重合性官能基を有する有機アニオンの具体例としては、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、2−[(2−プロペニロキシ)メトキシ]エテンスルホン酸、3−(2−プロペニロキシ)−1−プロペン−1−スルホン酸、ビニルスルホン酸、2−ビニルベンゼンスルホン酸、3−ビニルベンゼンスルホン酸、3−ビニルベンゼンヘキシルスルホン酸、3−ビニルベンゼンヘプチルスルホン酸、3−ビニルベンゼンオクチルスルホン酸、3−ビニルベンゼンノニルスルホン酸、3−ビニルドデシルヘキシルスルホン酸、3−ビニルベンゼンエイコシルスルホン酸、3−ビニルベンゼンジペンチルシクロヘキシルスルホン酸、4−ビニルベンゼンスルホン酸、4−ビニルベンゼンメタンスルホン酸、4−ビニルベンジルスルホン酸、2−メチル−1−ペンテン−1−スルホン酸、1−オクテン−1−スルホン酸、4−ビニルベンゼンメタンスルホン酸、アクリル酸、メタクリル酸、2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンリン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシ−1−エタンリン酸、フタル酸−2−(メタクリロイルオキシ)エチル、フタル酸−3−(メタクリロイルオキシ)エチル、フタル酸−4−(メタクリロイルオキシ)エチル、フタル酸−2−(アクリロイルオキシ)エチル、フタル酸−3−(アクリロイルオキシ)エチル、フタル酸−4−(アクリロイルオキシ)エチル、2−ビニル安息香酸、3−ビニル安息香酸および4−ビニル安息香酸などの有機酸由来の各種有機アニオンが挙げられる。
本発明に用いられる塩モノマーの具体的構造としては、前記スルホン酸アニオンRSO3 -と前記4級アンモニウムカチオンの組み合わせからなる化合物である場合が好ましい。例えば、次の化合物が挙げられるが、これに限定されない。
塩モノマー(11)
Figure 0005205692
塩モノマー(12)
Figure 0005205692
本発明におけるイオン性液体とは、カチオンとアニオンとにより構成される化合物であり、常温で、液体でありながら不揮発性を有し、これを用いて、イオン伝導性電解質とした場合に、イオン伝導性が高く、化学的に安定で、分解電圧が高く(電気分解しにくい)、不燃性および耐熱性を発現することができる。
前記イオン性液体を構成するカチオンとしては、オニウムカチオンが好ましく、前記塩モノマーを構成するオニウムカチオンと同様のものを挙げることができ、汎用性、作業性の点から、ホスホニウムカチオン、スルホニウムカチオンおよびアンモニウムカチオンがより好ましく、中でも、アンモニウムカチオンが最も好ましい。
前記イオン性液体を構成するホスホニウムカチオンとしては、具体的には、燐原子が4つの有機基Rで置換されたカチオンが挙げられる。前記有機基Rは、置換または無置換の、アルキル基Cn2n+1−、アリール基(Rc)m−C65-m−、アラルキル基(Rc)m−C65-m−Cn2n−、アルケニル基Rc−CH=CH−Rc−、アラルケニル基(Rc)m−C65-m−CH=CH−Rc−、アルコキシアルキル基Rc−O−Cn2n−、アシルオキシアルキル基Rc−COO−Cn2n−(前記有機基Rにおける、Rcは置換または無置換の、炭素数20以下のアルキル基、または水素であり、複数ある場合は互いに異なっても良い。mは1以上5以下の整数。nは1以上20以下の整数。)などを例示することができる。また、前記Rはヘテロ原子を含んでも良い。また、4つのRは各々異なっても、同一であってもかまわない。
前記R、Rcにおいて置換された場合の置換基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基およびn−デシル基などの直鎖または分岐のアルキル基、シクロヘキシル基および4−メチルシクロヘキシル基などの環状のアルキル基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基およびn−ヘキシルオキシ基等の直鎖または分岐のアルコキシ基、シクロヘキシルオキシ基などの環状のアルコキシ基、メトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基、エトキシエトキシ基、メトキシプロポキシ基、エトキシプロポキシ基およびプロポキシプロポキシ基等のアルコキシアルコキシ基、フェニル基、p−トリル基、m−トリル基、o−トリル基、p−クロロフェニル基、m−クロロフェニル基、o−クロロフェニル基等のアリール基、フェノキシ基、m−メチルフェノキシ基、o−メチルフェノキシ基、p−クロロフェノキシ基、m−クロロフェノキシ基、o−クロロフェノキシ基およびp−n−ブチルフェノキシ基等のアリールオキシ基、フェニルチオ基、p−メチルフェニルチオ基、m−メチルフェニルチオ基,o−メチルフェニルチオ基、o−エチルフェニルチオ基、p−プロピルフェニルチオ基および2,4,6−トリメチルフェニルチオ基等のアリールチオ基、メチルカルボニルアミノ基、エチルカルボニルアミノ基、n−プロピルカルボニルアミノ基、イソプロピルカルボニルアミノ基およびn−ブチルカルボニルアミノ基等のアルキルカルボニルアミノ基、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、n−プロポキシカルボニルアミノ基、イソプロポキシカルボニルアミノ基およびn−ブトキシカルボニルアミノ基等のアルコキシカルボニルアミノ基、メチルカルボニル基、エチルカルボニル基、n−プロピルカルボニル基、イソプロピルカルボニル基およびn−ブチルカルボニル基等のアルキルカルボニル基、メチルカルボキシ基、エチルカルボキシ基、n−プロピルカルボキシ基、イソプロピルカルボキシ基およびn−ブチルカルボキシ基等のアルキルカルボキシ基、メトキシカルボキシ基、エトキシカルボキシ基、n−プロポキシカルボキシ基、イソプロポキシカルボキシ基およびn−ブトキシカルボキシ基等のアルコキシカルボキシ基、メトキシカルボニルメトキシ基、エトキシカルボニルエトキシ基、エトキシカルボニルメトキシ基、n−プロポキシカルボニルメトキシ基、イソプロポキシカルボニルメトキシ基およびn−ブトキシカルボニルメトキシ基等のアルコキシカルボニルアルコキシ基等を挙げることができ、それらには、ハロゲン原子、ヘテロ原子を含む基およびシアノ基などが含まれていても良い。さらに、置換基にはフッ素、塩素、および臭素などのハロゲン原子、ヘテロ原子及びシアノ基なども挙げられる。
前記イオン性液体を構成するスルホニウムカチオンとしては、具体的には、硫黄原子が3つの有機基Rで置換されたカチオンが挙げられる。前記有機基Rは、置換または無置換の、アルキル基Cn2n+1−、アリール基(Rc)m−C65-m−、アラルキル基(Rc)m−C65-m−Cn2n−、アルケニル基Rc−CH=CH−Rc−、アラルケニル基(Rc)m−C65-m−CH=CH−Rc−、アルコキシアルキル基Rc−O−Cn2n−、アシルオキシアルキル基Rc−COO−Cn2n−(前記有機基Rにおける、Rcは置換または無置換の、炭素数20以下のアルキル基、または水素であり、複数ある場合は互いに異なっても良い。mは1以上5以下の整数。nは1以上20以下の整数。)などを例示することができる。また、前記Rはヘテロ原子を含んでも良い。また、3つのRは各々異なっても、同一であってもかまわない。
前記R、Rcにおいて置換された場合の置換基としては、上記ホスホニウムにおけるものと同じものが挙げられる。
前記イオン性液体を構成するアンモニウムカチオンとしては、アミン化合物から生じるオニウムカチオンであって、アミン化合物が、脂肪族アミン、芳香族アミン、含窒素複素環式アミンなどのすべてを含むことは言うまでもなく、アミンから生じる正電荷を有するカチオンであれば、特に限定されない。
具体的には、窒素原子が4つの有機基Rで置換された四級アンモニウムカチオンがまず挙げられる。前記有機基Rは、置換または無置換の、アルキル基Cn2n+1−、アリール基(Rc)m−C65-m−、アラルキル基(Rc)m−C65-m−Cn2n−、アルケニル基Rc−CH=CH−Rc−、アラルケニル基(Rc)m−C65-m−CH=CH−Rc−、アルコキシアルキル基Rc−O−Cn2n−、アシルオキシアルキル基Rc−COO−Cn2n−(前記有機基Rにおける、Rcは置換または無置換の、炭素数20以下のアルキル基、または水素であり、複数ある場合は互いに異なっても良い。mは1以上5以下の整数。nは1以上20以下の整数。)などを例示することができる。また、前記Rはヘテロ原子を含んでも良い。また、4つのRは各々異なっても、同一であってもかまわない。
前記R、Rcにおいて置換された場合の置換基としては、上記ホスホニウムにおけるものと同じものが挙げられる。
前記イオン性液体を構成するアンモニウムカチオンとして、上記アンモニウムカチオンの他のアンモニウムカチオンとして、ピリジニウムカチオン、ピラリジニウムカチオンおよびキノリニウムカチオンなどの芳香族アンモニウムカチオン、ピロリジウムカチオン、ピペリジニウムカチオンおよびピペラジニウムカチオンなどの脂肪族複素環式アンモニウムカチオン、モルホリンカチオンのような窒素以外のヘテロ原子を含む複素環式アンモニウムカチオン、イミダゾリウムカチオンなどの不飽和含窒素複素環式カチオンなどのアンモニウムカチオンも挙げることができる。さらに、上記環状のアンモニウムカチオンでは窒素の位置が異なるカチオンや、環上に置換基をもったカチオンでもよい。ヘテロ原子を含む置換基を有するカチオンでもよい。
前記イオン性液体を構成するアンモニウムカチオンの具体例としては、テトラメチルアンモニウムカチオン、テトラエチルアンモニウムカチオン、テトラプロピルアンモニウムカチオン、テトラペンチルアンモニウム、エチルトリメチルアンモニウムカチオン、ビニルトリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルメチルアンモニウムカチオン、トリエチルプロピルアンモニウムカチオン、ジエチルジメチルアンモニウムカチオン、ジエチルメチルメトキシエチルアンモニウムカチオン、ジメチルエチルメトキシエチルアンモニウムカチオン、トリブチルエチルアンモニウムカチオン、トリエチルイソプロピルアンモニウムカチオン、N,N−ジメチルピロリジニウムカチオン、N−メチル−N−エチルピロリジニウムカチオン、トリエチルメトキシメチルアンモニウムカチオン、トリメチルプロピルアンモニウムカチオン、トリメチルイソプロピルアンモニウムカチオン、ブチルトリメチルアンモニウムカチオン、アリルトリメチルアンモニウムカチオン、ヘキシルトリメチルアンモニウムカチオン、オクチルトリメチルアンモニウムカチオン、ドデシルトリメチルアンモニウムカチオン、トリエチルメトキシエトキシメチルアンモニウムカチオン、ジメチルジプロピルアンモニウムカチオンおよびヘキサメトニウムカチオン等のアンモニウムカチオン類、1,2,3−トリメチルイミダゾリウムイオン、2−ジメチル−3−エチルイミダゾリウムイオン、2−ジメチル−3−プロピルイミダゾリウムイオン、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウムイオン、3−ジメチルイミダゾリウムカチオン、3−ジエチルイミダゾリウムカチオン、3−ジプロピルイミダゾリウムカチオン、3−ジプロピルイミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−エチルイミダゾリウムイオン、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムカチオン、1−メチル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−イソプロピル−3−プロピルイミダゾリウムカチオン、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムイオンおよび1−tert−ブチル−3−イソプロピルイミダゾリウムカチオン等のイミダゾリウムカチオン類、N−メチルピリジニウムイオン、N−エチルピリジニウムカチオン、N−プロピルピリジニウムイオン、N−ブチルピリジニウムカチオン、1−エチル−2−メチルピリジニウム、1−ブチル−4−メチルピリジニウムおよび1−ブチル−2,4−ジメチルピリジニウム等のピリジニウムカチオン類などが挙げられる。
前記イオン性液体を構成するアニオンとしては、アルコラートおよびフェノラートなどの水酸基含有有機化合物のプロトンが脱離したRO-アニオン;、チオレートおよびチオフェノラートなどのプロトンが脱離したRS-アニオン;、スルホン酸アニオンRSO3 -、カルボン酸アニオンRCOO-;、リン酸および亜リン酸の水酸基の一部が有機基で置換している含リン誘導体アニオンRx(OR)y(O)z-、(但し、x、y、zは0以上の整数で、かつ、x+y+2z=3またはx+y+2z=5);、置換ボレートRx(OR)y-、(但し、x、yは0以上の整数で、かつ、x+y=4);、置換アルミニウムアニオンRx(OR)yAl-、(但し、x、yは0以上の整数で、かつ、x+y=4);、窒素アニオン(EA)2-、カルボアニオン(EA)3-等の有機アニオン、ハロゲンイオン等の無機アニオンなど、が挙げられる。前記有機アニオンとしては特に、RSO3 -、RCOO-、窒素アニオンとして(RO2S)2-およびカルボアニオンとして(RO2S)3-が好ましく、無機アニオンとしては含ハロゲンイオンであるClO4 -、BF4 -、AsF6 -、PF6 -、ハロゲンイオンであるF-、Cl-、Br-およびI-が好ましい例として例示される。(ここで、Rは、水素、置換または無置換の、アルキル基Cn2n-1−、アリール基(Rc)m−C65-m−、アラルキル基(Rc)m−C65-m−Cn2n−、アルケニル基Rc−CH=CH−Rc−、アラルケニル基(Rc)m−C65-m−CH=CH−Rc−、アルコキシアルキル基Rc−O−Cn2n−、アシルオキシアルキル基Rc−COO−Cn2n−から選ばれる基(前記Rにおける、Rcは置換または無置換の、炭素数20以下のアルキル基、または水素であり、複数ある場合は互いに異なっても良い。mは1以上5以下の整数。nは1以上20以下の整数。)であり、これらは環構造を有していてもよい。また、ヘテロ原子を含んでもよい。このRが分子内に2個以上ある場合は互いに同じであっても異なっていてもかまわない。EAは、水素原子または電子吸引基を示す。)また前述Rの炭素上の水素原子の一部または全部がハロゲン原子に置換されているものも含まれ、特にフッ素原子に置換されているものは好ましい事例である。
前記イオン性液体を構成するアニオンの具体例としては、特に限定されるものではなく、BF4 -、PF6 -、AsF6 -、ClO4 -、CF3SO3 -、CF3CO2 -、(CF3SO22-、(C25SO22-、(C37SO22-、(C49SO22-、(CF3SO2)(C25SO2)N-、(CF3SO2)(C37SO2)N-、(CF3SO2)(C49SO2)N-、(C25SO2)(C37SO2)N-、(C25SO2)(C49SO2)N-、(CF3OCF2SO22-、Cl-、Br-、I-等のアニオンを用いることができるが、非水系有機溶媒中での解離度、安定性等を考慮すると、BF4 -、PF6 -、(CF3SO22-、CF3SO3 -、CF3CO2 -を用いることが好ましい。
これらの中でも、特に、イオン性液体の粘度をより低くして、取り扱い性を高めるという点から、(CF3SO22-を用いることが好ましく、また、汎用性が高く、PF6 -よりも水の影響を受けにくく扱いやすいという点から、BF4 -を用いることが好ましい。
本発明に用いるイオン性液体の具体的構造としては、カチオンとして、前記4級アンモニウムカチオン、アニオンとして、(CF3SO22-、PF6 -およびBF4 -が特に好ましい。例えば、次の化合物が挙げられるが、これに限定されない。
イオン性液体(21)
Figure 0005205692
イオン性液体(22)
Figure 0005205692
本発明において塩モノマーを重合して重合体とする場合の重合体としては、オリゴマーまたはポリマーであれば、特に限定はされないが、成膜製の観点からポリマーの方がより好ましい。塩モノマーの重合体の作製方法としては、後述するが、種々の既知の重合方法で重合することが可能であり、特に好ましくは活性エネルギー線の照射若しくは加熱によるラジカル重合である。また、その際、重合開始剤を用いることが好ましいが、そのような重合開始剤としては、これに関しても後述するが、公知な熱ラジカル重合開始剤、光重合開始剤等の一般的な各種重合開始剤使用することができる。
本発明の電解質用組成物における塩モノマーの重合は、ラジカル重合、イオン重合、配位重合、レドックス重合、重縮合および付加縮合重合等、種々の既知の重合方法が可能であり、特に好ましくは活性エネルギー線の照射若しくは加熱によるラジカル重合である。前記照射する活性エネルギー線としては、紫外線、電子線、可視光線、遠紫外線などを用いることができる。照射量としては、0.1〜50Mradが好ましく、0.5〜30Mradがより好ましい。照射時間としては、5秒〜120分が好ましく、10秒〜60分がより好ましい。前記加熱温度としては、40〜150℃が挙げられ、加熱時間としては5分〜6時間が好ましく、30分〜3時間がより好ましい。

本発明に用いる塩モノマーの重合に用いることができる重合開始剤としては、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、クミルパーオキサイド、過硫酸カリウムおよび過酸化水素などの過酸化物、アゾビス(イソブチロニトリル)およびアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などのアゾ化合物など公知な熱ラジカル重合開始剤の他、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートおよびトリフェニルスルホニウムテトラフルオロホスフェートなどの光重合開始剤等の一般的な各種開始剤使用することができる。
また、開始温度の調整目的あるいは熱開始反応/光開始反応の併用や時間差開始などを目的として、これらの開始剤を複数種混合して用いることも可能である。
本発明に用いるリチウム塩としては、リチウムカチオンとアニオンから構成されるものであり、電解質塩として用いることができ、本発明においては、リチウム塩を構成するアニオンと前記イオン性液体を構成するアニオンとが、同一の構造を有するものを用いる。そのようなリチウム塩としては、例えば、LiBF4、LiPF6、LiAsF6、LiClO4、LiCF3SO3、LiCF3CO2、Li(CF3SO22N、Li(C25SO22N、Li(C37SO22N、Li(C49SO22N、Li(CF3SO2)(C25SO2)N、Li(CF3SO2)(C37SO2)N、Li(CF3SO2)(C49SO2)N、Li(C25SO2)(C37SO2)N、Li(C25SO2)(C49SO2)N、Li(CF3OCF2SO22N、LiCl、LiBr、LiI等が使用できるが、汎用性、イオン性液体への溶解度および解離度等を考慮すると、特に、LiBF4、LiPF6、Li(CF3SO22N、LiCF3SO3またはLiCF3CO2を用いることが好ましい。これらを単独若しくは2種以上を混合して用いても構わない。
本発明においては、必要に応じて、可塑剤を用いることができる。可塑剤としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、ジメチルカーボネートおよびエチルメチルカーボネート等の環状/鎖状カーボネート系溶媒の他、ジメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンおよびジオキソラン等のエーテル系溶媒、ジメチルスルホキシドおよびジメチルアセトキシド等のアミド系溶媒、メチルエチルケトン、メチルブチルケトン、γ−ブチロラクトンおよびn−メチルピロリドン等のケトン系/エステル系/ラクタム系溶媒、スルホラン等の含硫黄系溶媒が挙げられる。これらを単独若しくは2種以上を混合して用いても構わない。
本発明の電解質用組成物を製造する方法としては、リチウム塩、イオン性液体および重合性官能基を有するアンモニウムカチオンと重合性官能基を有する有機アニオンから構成される塩モノマー、上記塩モノマーを重合するための重合開始剤、場合により、その他の添加剤を混合して得られる。また、重合性官能基を有するアンモニウムカチオンと重合性官能基を有する有機アニオンから構成される塩モノマーは、予め、重合されていても良い。これら調製した混合物が、液状またはペースト状であることが好ましいが、例えば、塩モノマー及び予め重合した重合物が固体の場合には、予め、混合粉砕することにより、均一な粉体状混合物にした後、それを、イオン性液体、またはリチウム塩を含有する溶液に、室温で溶解する方法がある。また適宜、可塑剤を添加してもよく、リチウム塩を、予め、イオン性液体、または可塑剤に溶解させた溶液を使用しても良い。さらに、テトラヒドロフラン、メタノールおよびアセトニトリルなど可塑剤を用いて、前記塩モノマーおよびリチウム塩を溶解させる方法もある。

さらに、本発明のイオン伝導性電解質を製造する方法としては、上記で得られた電解質用組成物を用いて得ることができるが、具体的には、リチウム塩、イオン性液体および重合性官能基を有するアンモニウムカチオンと重合性官能基を有する有機アニオンから構成される塩モノマー、重合開始剤、場合によりその他の添加剤を混合し、これを公知の重合方法により、加熱重合してイオン伝導性電解質を得ることができる。ただし、予め、重合した重合性官能基を有するアンモニウムカチオンと重合性官能基を有する有機アニオンから構成される塩モノマーを用いて混合する場合は、加熱する必要はない。また、この場合、重合開始剤を添加する必要はない。またこれら調製した混合物を、所定のセルに注液し、これを所定の温度で加熱して硬化させる方法がある。テトラヒドロフラン、メタノールおよびアセトニトリルなどの可塑剤を用いた場合は、加熱硬化させた後に、それらの溶媒を取り除くか、あるいは、電池に使用する電解液に置換する必要がある。
また、セルの構造によっては注液以外にも、調製した混合物をキャスト法や固相重合法の公知の方法によっても、イオン伝導性電解質を得ることができる。

本発明の組成物における各成分の含有量としては、上記塩モノマー0.1〜99.8wt%、リチウム塩0.1〜99.8wt%、イオン性液体0.1〜99.8wt%が好ましく、より好ましくは塩モノマーが3〜80wt%、リチウム塩が3〜70wt%、イオン性液体10〜94wt%である。重合開始剤は、組成物中に含まれる全ての成分における重合性官能基のモル数に対して、0.01〜30mol%程度であることが好ましく、さらに好ましくは0.1〜20mol%である。その他の成分として、可塑剤はこれを用いる場合組成物に対して、0.1〜99wt%が好ましく、より好ましくは、可塑剤が0.5〜80wt%である。
また、イオン性液体を構成するカチオン(A)と、イオン性液体を構成するアニオン(B)と、リチウム塩を構成するアニオン(C)とのモル比(B+C)/Aが、1.01〜3の範囲であることが、より好ましい。この範囲とすることにより、よりリチウムイオンの輸率を向上することができる。
本発明の二次電池は、上記で得られたイオン伝導性電解質を構成要素とするものであり、前記イオン伝導性電解質の他に正極及び負極などを組み合わせて製造することができる。
本発明の電池で用いられる正極に使用される活物質としては、エネルギー密度が高く、リチウムイオンの可逆的な脱挿入に優れたリチウムを含有する遷移金属酸化物が好ましく、例えば、LiCoO2などのリチウムコバルト酸化物、LiMn24などのリチウムマンガン酸化物、LiNiO2などのリチウムニッケル酸化物、これら酸化物の混合物およびLiNiO2のニッケルの一部をコバルトやマンガンに置換したものなどが挙げられる。負極活物質としては、リチウムイオンを、挿入、脱離させることのできる材料であれば限定されないが、金属リチウムや炭素系材料が挙げられ、例えば、炭素材料であれば、天然黒鉛、人造黒鉛、メソカーボンマイクロビーズおよびグラファイトなどが挙げられる。
本発明のリチウムイオン伝導性電解質を用いた二次電池を製造する方法の例としては、まず、上記LiCoO2などの正極活物質、黒鉛などの導電剤、ポリ(ビニリデンフルオライド)などの結着剤を混合して正極合剤を調製し、この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドン中に分散させて、スラリー状の正極合剤とする。この正極合剤を、厚み20μmのアルミニウム箔などからなる正極集電体の両面に均一に塗布し、乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形することで正極が得られる。
次に、黒鉛粉末などの負極活物質と、ポリ(ビニリデンフルオライド)などの結着剤を混合して、負極合剤を調製し、この負極合剤をN−メチル−2−ピロリドン中に分散させてスラリー状の負極合剤とする。この負極合剤を、厚み15μmの銅箔などからなる負極集電体の両面に均一に塗布し、乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形することで負極が得られる。
以上のようにして得られた負極と正極とを、厚みが25μmのポリエチレン製微多孔性フィルムからなるセパレーターを介して密着させ、巻回して電極巻回体とし、この電極巻回体を、絶縁材料からなる外装フィルムに封入するとともに、上記で得られたモノマー電解質溶液を外装フィルム中に注入する。次に、外装フィルムの外周縁部を封口し、正極端子と負極端子とを、外装フィルムの開口部に挟み込むとともに、電極巻回体を外装フィルム中に減圧下にて密閉する。次に、これを50℃から60℃の温度下で、5分から8時間加熱することによって、リチウムイオン伝導性電解質を用いた二次電池が得られる。また、セルの構成によっては注液以外にも、調製した混合物をキャスト法や固相重合法など公知の方法によってリチウムイオン伝導性電解質を得ることができる。そのようにして得た、正極とイオン伝導性電解質と負極を貼り合わせ単層セルとし、このセルをポリエステルフィルム−アルミニウムフィルム−変性ポリオレフィンフィルムの三層構造のラミネートフィルムからなる外装体に挿入し封止しても、二次電池が得られる。
以下、実施例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれによって何ら限定されるものではない。
(実施例1)
[塩モノマー(11)の合成及び精製]
2−アクリルアミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸20.72g(100mmol)を、メタノール700ml/蒸留水40mlに溶解し、これに炭酸銀16.55g(60mmol)を添加して、室温下で穏やかに4時間連続攪拌し、濾過後、無色透明の溶液を得た。この濾液に、101mmolのメタクリロイルオキシエチルジメチルベンジルアンモニウムクロリド(60%水溶液)をメタノール100mlに溶解した溶液を滴下反応させた。反応は定量的に進行した。反応生成物である塩化銀を濾別し、無色透明のメタノール溶液を回収した。この濾液をエバポレーターで減圧濃縮し、冷暗所で終日静置することにより目的物を再結晶させ、無色透明の板状結晶を回収した。得られた塩モノマー(11)はプロトン核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)により組成確認を実施した。
[イオン伝導性電解質<LE1>の調製]
十分に乾燥した上記塩モノマー(11)0.10g(0.22mmol)、市販のイオン性液体、N,N−ジエチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウム−ビストリフルオロメタンスルホニルイミド(DEMMAI)(21)0.80g(1.88mmol)、リチウムビストリフルオロメタンスルホニルイミド(LiTFSI)0.10g(0.35mmol)を乾燥アルゴン雰囲気(露点温度:−60℃以下)にて、それぞれ秤量し、それを脱水メタノール1mlにより完全に溶解させ、充分脱気させた。十分に脱気させた後、過酸化ベンゾイル0.020g(0.083mmol)を加えて、均一に溶解させ60℃で1時間加熱し電解質用組成物を得た。得られた溶液をテフロン(登録商標)シート上でキャストし、60℃1時間大気中で加熱し、続いて、110℃で2時間真空加熱乾燥した後に、膜状のイオン伝導性電解質<LE1>を得た。
[イオン伝導性電解質<LE1>のイオン伝導度評価]
上記で得られたイオン伝導性電解質<LE1>について、交流インピーダンス法により、イオン伝導度を測定した。測定の際の周波数範囲は0.1Hz〜107Hz、電圧は100mVとした。測定の結果、室温(20℃)に於けるイオン伝導度は1.9×10-3S/cmであった。また、直流分極測定及び交流インピーダンス測定を併用して(「導電性高分子」、緒方直哉編)リチウムイオンの輸率の測定を行った。直流分極電圧は10mVで行ったところ、0.43の結果を得た。
[正極の作製]
まず、炭酸リチウムと炭酸コバルトとを0.5mol:1molの比率で混合した。その後、この混合物を900℃、大気中で焼成することにより、LiCO2を得た。
正極活物質として、LiCoO2を85重量%、導電剤としての黒鉛を5重量%と、結着剤としてのポリ(ビニリデンフルオライド)を10重量%とを混合して、正極合剤を調製し、この正極合剤を、N−メチル−2−ピロリドン中に分散させて、スラリー状の正極合剤とした。この正極合剤を、正極集電体として用いる厚み20μmのアルミニウム箔の両面に、均一に塗布し、乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形することで正極を得た。
[負極の作製]
まず、負極活物質として粉砕した黒鉛粉末を90重量%と、結着剤としてポリ(ビニリデンフルオライド)を10重量%とを混合して、負極合剤を調製し、この負極合剤を、N−メチル−2−ピロリドン中に分散させて、スラリー状の負極合剤とした。この負極合剤を、負極集電体として用いる厚み15μmの銅箔の両面に、均一に塗布し、乾燥後、ロールプレス機で圧縮成形することで負極を得た。
[二次電池<LB1>の作製]
次に、上記で得られた正極とイオン伝導性電解質と負極を貼り合わせ単層セルとし、このセルをポリエステルフィルム−アルミニウムフィルム−変性ポリオレフィンフィルムの三層構造のラミネートフィルムからなる外装体に挿入し封止して二次電池を得た。
[二次電池<LB1>のサイクル特性評価]
電池の組み立て後、25℃、500mAの定電流電圧充電を上限4.2Vまで2時間行い、次に500mAでの放電(1時間率放電)を終止電圧2.5Vまで行った。これを1サイクルとして充放電を100サイクル行い、1サイクル目の放電容量を100%としたときの100サイクル目の容量維持率を求めた。100サイクル後の容量維持率は、95%であった。
(実施例2)
[イオン伝導性電解質<LE2>の調製]
実施例1において、イオン性液体、DEMMAI(21)の代わりに、市販のイオン性液体、N,N−ジメチル−N−メチル−N−(2−メトキシエチル)アンモニウム−テトラフルオロボレート(DEMMAB)(22)を0.8g(3.43mmol)、LiTFSIの代わりにリチウムテトラフルオロボレート(LiBF4)を0.1g(1.07mmol)用いる以外は、実施例1と同様にして、イオン伝導性電解質<LE2>を得た。
[イオン伝導性電解質<LE2>のイオン伝導度評価]
上記で得られたイオン伝導性電解質<LE2>について、実施例1と同様にイオン伝導度を測定した。測定の結果、室温(20℃)に於けるイオン伝導度は1.5×10-3S/cmであった。またリチウムイオン輸率は0.38であった。
[二次電池<LB2>の作製]
実施例1のイオン伝導性電解質<LE1>の代わりに、イオン伝導性電解質<LE2>を用いる以外は、実施例1と同様にして、二次電池<LB2>を得た。
[二次電池<LB2>のサイクル特性評価]
上記で得られたイオン電解質電池<LB2>を用い、実施例1と同様にして100サイクル目の容量維持率を求めた結果、100サイクル後の容量維持率は、91%であった。
(実施例3)
[イオン伝導性電解質<LE3>の調製]
実施例1の塩モノマー(11)を0.20g(0.44mmol)、イオン性液体DEMMAI(21)0.60g(1.41mmol)、LiTFSI0.20g(0.70mmol)を用いて実施例1と同様にして、イオン伝導性電解質<LE3>を得た。
[イオン伝導性電解質<LE3>のイオン伝導度評価]
上記で得られたイオン伝導性電解質<LE3>について実施例1と同様にイオン伝導度を測定した。測定の結果、室温(20℃)に於けるイオン伝導度は1.2×10-3S/cmであった。またリチウムイオン輸率は0.44であった。
[二次電池<LB3>の作製]
実施例1のイオン伝導性電解質<LE1>の代わりに、イオン伝導性電解質<LE3>を用いる以外は、実施例1と同様にして、二次電池<LB3>を得た。
[二次電池<LB3>のサイクル特性評価]
上記で得られた二次電解質電池<LB3>を用い、実施例1と同様にして100サイクル目の容量維持率を求めた結果、100サイクル後の容量維持率は、95%であった。
(実施例4)
[塩モノマー(11)、の重合体の合成及び精製]
アルゴン雰囲気(露点温度:−60℃以下)にて、メタノール30mlに、実施例1にて用いたのと同じ塩モノマー(11)10.00g(22.00mmol)を加え完全に溶解させた。十分脱気したのち、熱重合開始剤過酸化ベンゾイル(BPO)0.03g(0.12mmol)を加え、十分に撹拌し均一に溶解させた。その後、60℃、60分加熱し重合させた。得られたポリマー溶液をアセトンで再沈させた後、濾過により白色の塩モノマー重合体を回収した。得られた結晶は、60℃の真空乾燥機中で3時間乾燥させた。塩モノマー重合体は、プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)により、重合性官能基が完全に消滅していることを確認した。
[イオン伝導性電解質<LE4>の調製]
上記で得た塩モノマーの重合体0.10g(0.22mmol)、イオン性液体DEMMAI0.80g(1.88mmol)、LiTFSI0.10g(0.35mmol)をメタノール中でよく撹拌混合することで、イオン伝導性電解質<LE4>を得た。
[イオン伝導性電解質<LE4>のイオン伝導度評価]
上記で得られたイオン伝導性電解質<LE4>について実施例1と同様にイオン伝導度を測定した。測定の結果、室温(20℃)に於けるイオン伝導度は2.1×10-3S/cmであった。またリチウムイオン輸率は0.42であった。
[二次電池<LB4>の作製]
実施例1のイオン伝導性電解質<LE1>の代わりに、イオン伝導性電解質<LE4>を用いる以外は、実施例1と同様にして、二次電池<LB4>を得た。
[二次電池<LB4>のサイクル特性評価]
上記で得られた二次電池<LB4>を用い、実施例1と同様にして100サイクル目の容量維持率を求めた結果、100サイクル後の容量維持率は、90%であった。
(比較例1)
[イオン伝導性電解質<LE5>の調製]
実施例1のイオン性液体(21)の代わりに、イオン性液体(22)を用いる以外は、実施例1と同様にして、イオン伝導性電解質<LE5>を得た。
[イオン伝導性電解質<LE5>のイオン伝導度評価]
上記で得られたイオン伝導性電解質<LE5>について実施例1と同様にイオン伝導度を測定した。測定の結果、室温(20℃)に於けるイオン伝導度は4.2×10-6S/cmであった。またリチウムイオン輸率は0.07であった。
[イオン伝導性電解質電池<LB5>の作製]
実施例1のイオン伝導性電解質<LE1>の代わりに、イオン伝導性電解質<LE5>を用いる以外は、実施例1と同様にして、二次電解質電池<LB5>を得た。
[二次電池<LB5>のサイクル特性評価]
上記で得られたイオン伝導性電解質電池<LB5>を用い、実施例1と同様にして100サイクル目の容量維持率を求めた結果、100サイクル後の容量維持率は、31%であった。
(比較例2)
[イオン伝導性電解質<LE6>の調製]
実施例1の塩モノマー(11)0.40g(0.88mmol)、イオン性液体(21)0.20g(0.47mmol)、LiTFSI0.40g(1.39mmol)を用いて、実施例1と同様にして、イオン伝導性電解質<LE6>を得た。
[イオン伝導性電解質<LE6>のイオン伝導度評価]
上記で得られたイオン伝導性電解質<LE6>について実施例1と同様にイオン伝導度を測定した。測定の結果、室温(20℃)に於けるイオン伝導度は測定不能(10-10S/cmオーダー)であった。またリチウムイオン輸率も測定不能であった。
[イオン伝導性電解質電池<LB6>の作製]
実施例1のイオン伝導性電解質<LE1>の代わりに、イオン伝導性電解質<LE6>を用いる以外は、実施例1と同様にして、イオン電解質電池<LB6>を得た。
[電解質電池<LB6>のサイクル特性評価]
上記で得られたイオン伝導性電解質電池<LB6>を用い、実施例1と同様にして100サイクル目の容量維持率を求めた結果、100サイクル後の容量維持率は、19%であった。
(比較例3)
[イオン伝導性電解質<LE7>の調製]
実施例1の塩モノマー(11)の代わりに1−アリル−3−メチルイミダゾリウム−ビストリフルオロメタンスルホニルアミド0.10g(0.25mmol)、イオン性液体(21)の代わりに1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムビス−トリフルオロメタンスルホニルアミド0.80g(1.91mmol)、LiTFSI0.10g(0.35mmol)を用いて、実施例1と同様にして、イオン伝導性電解質<LE7>を得た。
[イオン伝導性電解質<LE7>のイオン伝導度評価]
上記で得られたイオン伝導性電解質<LE7>について実施例1と同様にイオン伝導度を測定した。測定の結果、室温(20℃)に於けるイオン伝導度は3.8×10-4S/cmであった。またリチウムイオン輸率は0.02であった。
[イオン伝導性電解質電池<LB7>の作製]
実施例1のイオン伝導性電解質<LE1>の代わりに、イオン伝導性電解質<LE7>を用いる以外は、実施例1と同様にして、二次電池<LB7>を得た。
[二次電池<LB7>のサイクル特性評価]
上記で得られた二次電池<LB7>を用い、実施例1と同様にして100サイクル目の容量維持率を求めた結果、100サイクル後の容量維持率は、11%であった。
本発明のイオン伝導性電解質は、一次及び二次電池、電気二重層キャパシター、燃料電池MEA用電解質、二次電池電極用結着剤、色素増感型太陽電池電解質、ゲルアクチュエーター、電気刺激伝達用人工神経軸索充填剤及びその他の電気化学デバイス等の材料としても用いることができる。

Claims (4)

  1. 炭素−炭素二重結合を有する基を有するオニウムカチオンと炭素−炭素二重結合を有する基を有する有機アニオンから構成される塩モノマーと、カチオン及びアニオンから構成されるイオン性液体と、リチウムカチオンとアニオンから構成されるリチウム塩とを、必須成分とする電解質用組成物であって、前記イオン性液体を構成するアニオンとリチウム塩を構成するアニオンとが、同一の構造を有するものであり、
    前記イオン性液体を構成するカチオン(A)と、前記イオン性液体を構成するアニオン(B)と、リチウム塩を構成するアニオン(C)のモル比(B+C)/Aが、1.01〜3であることを特徴とする電解質用組成物。
  2. 前記炭素−炭素二重結合を有する基を有するアンモニウムカチオンと炭素−炭素二重結合を有する基を有する有機アニオンから構成される塩モノマーは、重合されて含むものである請求項1に記載の電解質用組成物。
  3. 請求項1または2のいずれかに記載の電解質用組成物を用いて得られるイオン伝導性電解質。
  4. 請求項3に記載のイオン伝導性電解質を構成要素とする二次電池。
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